説明

液晶表示装置

【課題】 液晶パネルとバックライトを傷つけることなく、また、組立て工数を増やすことなく、液晶パネルとバックライトを一つの金属フレームのみを用いて固定できる構造を提案する。
【解決手段】 側面の一つが開口している箱型の金属フレーム5を用い、この開口から液晶表示モジュール1を挿入する。金属フレーム5には、開口と隣り合う二つの側壁5b、5cに、先端の平坦な片持ちバネ状の構造体6が内側に曲げられて設けられている。そして、片持ちバネ状の構造体6に対応して、面状表示装置の樹脂フレーム4の側壁4a、4bに凹部が設けられている。金属フレーム5の構造体6と、樹脂フレーム4の凹部が引っかかることにより、液晶表示モジュール1が金属フレーム5から滑落することを防ぐことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に用いられる表示装置、特に、カーナビゲーションシステム、液晶テレビ等に用いられる液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な液晶表示装置の構造として、液晶パネルとバックライト(面状照明装置)を、2枚の金属フレームによって上下から挟み込む構造が多く見られるが、2枚の金属フレームを組み合わせることによる工程の増加とコストアップを防ぐため、1枚の金属フレームのみで液晶パネルとバックライトを固定する方法が知られている。例えば、爪が形成された金属フレームに、液晶表示モジュール(液晶パネルとバックライト)をスライドさせて収め、その後、爪を折り曲げることにより液晶表示装置が分解することを防いでいる(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−50395号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のように、爪により液晶表示モジュールを固定する構造では、爪を曲げる際の押圧によって液晶表示パネルやバックライトを傷つけやすいという課題がある。
また、液晶表示装置が大型化するに従って爪の数も多くなると考えられるため、組立ての際の工数アップや、コストの増加に繋がるという課題もある。
【0005】
そこで本発明の目的は、液晶パネルとバックライトを傷つけることなく、また、組立て工数を増やすことなく、液晶パネルとバックライトを1枚の金属フレームのみを用いて固定できる構造を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の液晶表示装置では、側面の一つが開口している箱型の金属フレームが用いられる。この開口から液晶表示モジュールを金属フレームに挿入する。また、金属フレームには、開口と隣り合う二つの側面に、内側に曲げられた先端の平坦な片持ちバネ状の構造体が設けられている。そして、片持ちバネ状の構造体の先端に対応して、液晶表示モジュールに凹部が設けられている。このような構成によれば、金属フレームに液晶表示モジュールを収めた時に、金属フレームに設けられた片持ちバネ状の構造体と凹部が引っかかることになる。そのため、液晶表示モジュールを金属フレームに差し込んだ状態に保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】実施例に係る液晶表示装置の構成を示す模式図である。
【図2】金属フレームに形成された片持ちバネ状の構造体を示す模式図である。
【図3】実施例に係る液晶表示装置の断面を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の液晶表示装置では、側面の一つが開口している箱型の金属フレームが用いられる。この開口から液晶表示モジュールを金属フレームに挿入する。また、金属フレームには、開口と隣り合う二つの側面に、先端の平坦な片持ちバネ状の構造体が内側に曲げられて形成されている。そして、片持ちバネ状の構造体に対応して、液晶表示モジュールに凹部が設けられている。このような構成によれば、金属フレームに液晶表示モジュールを収めた時に、金属フレームに設けられた片持ちバネ状の構造体と凹部が引っかかることになる。そのため、液晶表示モジュールを金属フレームに差し込んだ状態に保持することができる。ここで、片持ちバネ状の構造体を開口と隣り合う二つの側面に形成すれば、より確実に保持できる。
【0009】
(実施例1)
本実施例の液晶表示装置を図に基づいて説明する。図1は、液晶表示装置を模式的に示す俯瞰図である。図1に示す液晶表示モジュール1は、面状照明装置の樹脂フレーム4に液晶パネル2が収められた構成である。金属フレーム5は、液晶表示モジュール1を内部に収納する保持機構である。金属フレーム5の開口面5aには、液晶パネル2の表示面が露出するように表示窓が形成されている。この開口面5aに接する四つの側面のうち、一つの側面には壁がなく、開口となっている。この開口から液晶表示モジュール1が挿入される。ここでは、金属フレーム5の一短辺側が開口となり、残りの二長辺側と一短辺側には側壁5b、5c、5dが存在する。このように、金属フレーム5は、開口面5aと、この開口面5aに対向する底面5eと、側壁5b、5c、5dで構成されている。金属フレーム5の開口に隣接する両側の側面、すなわち側壁5bと側壁5cには、片持ちバネ状の構造体6が形成されている。ここでは、それぞれの側壁に複数の片持ちバネ状の構造体6が形成されている。樹脂フレーム4の側壁4a、4bには、片持ちバネ状の構造体6に対応して凹面4cが形成されている。凹面4cは、樹脂フレーム4の側壁4aと略平行な面である。凹面4cの両側には、側壁4aに繋がる第一壁面4d、第二壁面4eが形成されている。このとき、樹脂フレーム4に形成された第一壁面4dは金属フレーム5の側壁5d側に位置しており、この第一壁面4dは、樹脂フレーム4の側壁4aに垂直に作られていることが望ましい。一方、凹面4cに対して第一壁面4dとは反対側の第二壁面4eは側壁4aに垂直である必要はなく、図示したような、なだらかな斜面でも良い。
【0010】
ここで、金属フレームの壁面5cに形成された片持ちバネ状の構造体6を図2に基づいて詳細に説明する。図2(a)は構造体6の模式図を、図2(b)は構造体6の断面図をそれぞれ示している。図示するように、構造体6は金属フレーム5の側壁5cの長辺に平行な向きに形成されている。構造体6は金属フレーム5の側壁5cに一体的に形成されている。構造体6は、根元部6aで金属フレーム5の内側に向かって曲げられており、さらに、先端側の屈曲部6cで、先端付近の面が金属フレーム5の側壁5cと平行に近づくように曲げられている。そして、構造体6の先端面6bは、側壁5cに垂直な平面となっている。このとき、構造体6は根元部6aが金属フレーム5の開口側になるように形成される。したがって、樹脂フレーム4の第一壁面4dが金属フレーム5の構造体6の先端面6bに引っかかることとなり、液晶表示モジュール1が金属フレーム5から滑落することがない。
【0011】
図3に、樹脂フレーム4と金属フレーム5が組み合わさった状態を模式的に示す。図示するように、液晶表示モジュール1を金属フレーム5に挿入した際、樹脂フレーム4の側壁4a、4bに形成された凹面4cと金属フレーム5の側壁5b、5cに形成された構造体6がひっかかる。これによって金属フレーム5から液晶表示モジュール1が滑落することを防ぐことができる。
【符号の説明】
【0012】
1 液晶表示モジュール
2 液晶パネル
3 面状照明装置
4 樹脂フレーム
4a、4b 側壁
4c 凹面
4d 第一壁面
4e 第二壁面
5 金属フレーム
5a 開口面
5b、5c、5d 側壁
5e 底面
6 構造体
6a 根元部
6b 先端面
6c 屈曲部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶パネルと面状照明装置を組み合わせた液晶表示モジュールと、
側面の一つが開口しているとともに、該開口から前記液晶表示モジュールをスライドして収納可能な箱型の金属フレームと、
前記液晶表示モジュールに設けられた凹部と、
前記凹部に対応するように前記金属フレームに設けられた片持ちバネ状の構造体と、を備え、
前記構造体と前記凹部が係合することにより、前記液晶表示モジュールが前記金属フレームから滑落することを防止する液晶表示装置。
【請求項2】
前記構造体が前記開口と隣り合う二つの側壁に形成された請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記面状照明装置は樹脂フレームを持ち、
前記凹部は前記樹脂フレームの側壁に形成されるとともに、該側壁に平行な凹面と、該凹面と該側壁を繋ぐ第一壁面及び第二壁面で構成され、
前記構造体は、前記側壁に一体的に形成され、前記金属フレームの内側に向かって曲げられるとともに、該側壁に垂直な先端面を持ち、
前記第一壁面と前記先端面が係合することにより、前記液晶表示モジュールが前記金属フレームから滑落することを防止する請求項2に記載の液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−72958(P2013−72958A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−211219(P2011−211219)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】