説明

液晶表示装置

【課題】バックライトの発光輝度の測定結果に基づくホワイトバランスの調整を、精度よく効果的に実行できるようにする。
【解決手段】バックライト輝度検出部20は、液晶表示パネル18の光シャッターが閉じた状態で、LEDバックライト10の発光輝度を検出する。主制御部14は、バックライト輝度検出部20が検出した発光輝度に従って、LEDバックライト10の発光輝度を調整する。ここでは、主制御部14は、バックライト輝度検出部20が検出したRGBのLEDの発光輝度と、記憶部19に予め記憶されているホワイトバランス調整時のRGBの発光輝度とを比較し、比較した発光輝度に誤差が生じている場合、誤差を解消するようにRGBのLEDの発光輝度を個々に調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置に関し、より詳細には、液晶表示パネルのホワイトバランスを調整する手段を備えた表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示パネルを使用したモニタ装置やテレビジョン受像機等が普及してきている。特に近年では、液晶表示装置の表示画面も大型化し、例えば大画面のディスプレイを街頭等に設置して広告表示などの用途に使用されるものもある。このような液晶表示装置では、液晶自体は発光しないため、液晶表示パネルの背面側に例えばLED(Light Emitting Diode)を利用したバックライトを配置して、その照射光により高輝度の表示を行っている。
【0003】
液晶表示パネルを用いた液晶表示装置に代表されるカラー方式の表示装置においては、ホワイトバランスの調整が重要である。ホワイトバランスの調整においては、例えば、入力されたRGB信号をそのままディスプレイに出力せず、特に白色が適切に表現されるように、RGB信号の各々を補正(γ補正)してから出力する。
しかしながら、液晶表示装置のバックライトの調光レベルの切り換えや、電源ON後の経過時間などによりバックライトの発光輝度が変化し、ホワイトバランスが変動して映像品位が低下する、という問題がある。
【0004】
ホワイトバランス調整を適切に行って表示品位の高い映像を表示させるための技術に関し、例えば特許文献1では、入力された映像信号にγ補正を行なう補正手段と、バックライトの輝度を検出する検出手段とを備え、検出手段で検出した輝度レベルに応じて、補正手段によりRGBごとに異なるγ補正を行なう表示装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−128040号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、発光しているバックライトの輝度を検出し、その検出結果を用いてホワイトバランスを調整することは有用な手法である。しかしながら、バックライトの発光輝度を検出してホワイトバランスの調整に用いる場合、ホワイトバランスの調整のためにバックライトを点灯させると、液晶表示パネルの状態に応じて、バックライトからの光が液晶パネルを透過して前面側に出射する。つまり液晶表示パネルでは、入力映像信号を表示しているときには、入力映像信号の階調に応じて液晶の配向状態を変化させ、光シャッターの機能により階調表現を行うようにしている。このとき、光シャッターの状態に応じて液晶表示パネルの透過光量が変化し、バックライトの発光輝度を検出する検出センサに入射する光量が安定せず、検出精度が低下する。
【0007】
本発明は、上述のごとき実情に鑑みてなされたもので、バックライトの発光輝度の測定結果に基づくホワイトバランスの調整を、精度よく効果的に実行できるようにした液晶表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の第1の技術手段は、液晶表示パネルと、該液晶表示パネルを背面側から照明するバックライトと、前記液晶表示パネル及び前記バックライトを制御する制御部と、前記液晶表示パネルの背面側で前記バックライトの発光輝度を検出するバックライト輝度検出部とを有する液晶表示装置において、前記バックライト輝度検出部は、前記液晶表示パネルの光シャッターが閉じた状態で、前記バックライトの発光輝度を検出し、前記制御部は、前記バックライト輝度検出部が検出した発光輝度に従って前記バックライトの発光輝度を調整することを特徴としたものである。
【0009】
第2の技術手段は、第1の技術手段において、前記バックライトが、RGBの3色のLEDにより構成され、予めホワイトバランスを調整した状態で前記RGBのLEDをそれぞれ発光させたときに前記バックライト輝度検出部により検出したRGBのそれぞれの発光輝度を記憶する記憶手段を、を備え、前記バックライトの発光輝度を調整する際に、前記バックライト輝度検出部は、前記RGBのLEDのそれぞれについて発光輝度を検出し、前記制御部は、前記バックライト輝度検出部が検出したRGBの発光輝度と、前記記憶手段に記憶されているRGBの発光輝度とを比較し、該比較した発光輝度に誤差が生じている場合、誤差を解消するように前記RGBのLEDの発光輝度を個々に調整することを特徴としたものである。
【0010】
第3の技術手段は、第1または第2の技術手段において、該液晶表示装置の周囲の照度を検出する周囲照度検出部を有し、前記制御部が、前記バックライト輝度検出部が検出した発光輝度に従って前記バックライトの発光輝度を調整する処理を、前記周囲照度検出部により検出された周囲の照度が、所定の閾値より大きいときに実行することを特徴としたものである。
【0011】
第4の技術手段は、第1または第2の技術手段において、現在の時刻を検出する時計を有し、前記制御部が、前記バックライト輝度検出部が検出した発光輝度に従って前記バックライトの発光輝度を調整する処理を、前記時計により検出された現在の時刻が、所定の時間帯に属するとき、もしくは所定の時刻に一致するときに実行することを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、バックライトの発光輝度の測定結果に基づくホワイトバランスの調整を、精度よく効果的に実行できるようにした液晶表示装置を提供することができる。
【0013】
本発明によれば、バックライトの発光輝度をバックライト輝度検出部で検出し、その検出した発光輝度を、予めホワイトバランスを調整した状態で記憶した発光輝度と比較することで、バックライトの発光輝度に変化が生じた場合であっても、バックライトの発光輝度を調整することで適切なホワイトバランスで映像表示が可能となる。そしてバックライト輝度検出部でバックライトの発光輝度を調整する際、液晶パネルの光シャッターを閉めた状態にすることにより、液晶パネルでの透過による検出光量の低下を極力抑えて、精度良く安定した輝度検出を行うことが可能となる。
【0014】
そしてバックライトの輝度検出によるバックライトの発光輝度の調整処理は、所定の閾値よりも周囲照度が高いときに実行したり、所定の時間帯や時刻に実行したりすることにより、液晶表示装置の画面を見る人に違和感を与えず、適切に輝度補正処理を実行することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明による液晶表示装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】LEDバックライトと液晶パネルの構成を説明するための図である。
【図3】本発明に係る液晶表示装置の処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【図4】LED発光輝度検出モードへ移行する所定条件の一例を説明するためのフローチャートである。
【図5】LED発光輝度検出モードへ移行する所定条件の他の例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、本発明に係る液晶表示装置の概略構成例を示すブロック図である。液晶表示装置1は、LEDバックライト10、チューナ部11、操作部12、映像信号処理部13、主制御部14、LED駆動部15、周囲照度検出部16、液晶制御部17、液晶表示パネル18、記憶部19、バックライト輝度検出部20、及び時計21を備えている。
【0017】
液晶表示パネル18は、非自己発光型のパネルである。LEDバックライト10は、本発明のバックライトを構成するもので、LEDを光源とし、LEDの発光により液晶表示パネル18を背面側から照明する。主制御部14は、映像信号処理部13やLED駆動部15等、液晶表示装置1内の全体を直接または間接的に制御する。主制御部14は、LED駆動部15を制御するLED制御部14aを含む。
操作部12は、ユーザ操作を受け付けてその操作内容を主制御部14に伝えるもので、液晶表示装置1の本体に設けた本体操作部や、付属のリモートコントローラからの操作信号を受信する受信部を含む。
【0018】
チューナ部11は、アンテナ22で受信され入力された放送信号を復調し、映像信号処理部13に出力する。映像信号処理部13は、チューナ部11から出力された映像信号を液晶表示パネル18に表示するための各種の信号変換処理を行う。チューナ部11等を設けることで、液晶表示装置は液晶テレビ装置として構成される。
【0019】
液晶制御部17は、映像信号処理部13から出力された映像信号を液晶表示パネル18の最上部ラインより順に書き込む制御を行う。液晶表示パネル18では、順次走査映像信号を書き込み更新していく垂直走査が行われる。書き込まれた映像信号は、1フレーム分保持される。このような書き込みにより、入力された映像信号が示す映像が液晶表示パネル18に表示される。
【0020】
LEDバックライト10は、LEDを光源としてマトリックス状に配置し、液晶表示パネル18を背面側から照明するものである。LEDの構成としては、RGBの3色のLEDがそれぞれ複数配置され、全体で白色光を照射できるようになっている。
【0021】
バックライト輝度検出部18は、LEDバックライト10のLEDの発光輝度を検出するもので、例えば検出センサとしてフォトセンサが用いられる。フォトセンサから出力された検出信号はAD変換されて主制御部14に出力される。
主制御部14は、バックライト輝度検出部20で検出されたLEDの発光輝度に基づいて、LEDバックライト10の発光輝度を調整することで、常に一定のホワイトバランスで映像表示が行われるようにする。このLEDの発光検出とLEDの発光輝度の調整処理が、本発明に係る表示装置の特徴となる部分である。
【0022】
周囲照度検出部16は、液晶表示装置1の周囲の照度を検出するOPC(Optical Picture Control)センサ(明るさセンサとも呼ばれる)により構成される。OPCセンサで検出した液晶表示装置1の周囲の照度に応じて、LEDバックライト10の発光輝度を制御可能とする。
本発明に係る一実施形態では、周囲照度検出部16により検出された周囲の照度が所定の閾値より明るい場合に、LEDの発光輝度検出に基づくLEDの発光輝度の調整処理を実行する。
【0023】
また、主制御部14のLED制御部14aは、LEDバックライト10の発光輝度を指定する調光値に従って生成された調光制御信号を受け取り、LED駆動部15を介してLEDバックライト10の発光輝度を制御する。この調光値は、例えば画面の明るさ設定メニューによりユーザ操作によって設定された設定値と、周囲照度検出部16による周囲照度の検出値とに基づいて決定される値で、LEDバックライト10の発光輝度を制御する範囲(調光レベル)を複数段階に区分し、区分した各段階に対応する値として設定されるものである。
【0024】
つまりユーザ操作による設定や、周囲照度検出部16の検出結果に応じて調光レベルが設定され、その調光レベルに応じた発光輝度でLEDバックライト10の発光輝度が制御される。調光値が変化するとホワイトバランスが乱れる恐れがあるが、本発明に係る実施形態で、LEDバックライトの発光輝度の検出結果に基づいてバックライトの輝度を調整することで、一定のホワイトバランスで映像表示が可能となる。
【0025】
LEDの発光輝度調整方式としては、パルス幅変調(Pulse Width Modulation:PWM)方式と電流値制御方式がある。PWM方式は、LEDを点灯/消灯させるパルスにおける1周期当たりの点灯時間を示すデューティを変更する方式である。また、電流値制御方式は、LEDに流す電流値(順方向電流値)を変更する方式である。
【0026】
記憶部19は、ROMやRAM、HDなどのデータ記憶が可能な記憶手段であり、ホワイトバランスを適正に保つための発光輝度のデータを保持している。このデータは、液晶表示装置1の製造時に工場等でホワイトバランスが調整されたときのLEDの発光制御量を示すデータと、このときのバックライト輝度検出部20によるLEDの発光輝度を示すデータである。発光制御量のデータは、例えば、LEDをPWM制御により点灯/消灯させるときのデューティとする。あるいは電流値制御を行うときの電流値としてもよい。
【0027】
本発明に係る実施形態では、適切なホワイトバランスを得るためにRGBのLEDのそれぞれについて個別に発光制御を行うため、LEDの発光制御量のデータとバックライト輝度検出部20により検出された発光輝度のデータは、RGBのそれぞれについて記憶する。
【0028】
また、上記のLEDの発光制御量のデータとバックライト輝度検出部20により検出した発光輝度のデータは、調光レベルに応じて記憶することができる。調光レベルが変化するとLEDの発光輝度レベルが変化するため、各調光レベルで最適な発光制御量のデータと、そのときのバックライト輝度検出部20の検出データを記憶部19に記憶する。
【0029】
なお、本発明に係る液晶表示装置では、周囲照度検出部16の検出結果やユーザ操作に基づく複数段階の調光設定機能は必須ではなく、所定の発光レベルでLEDバックライト10が発光されるものであってもよい。この場合には、記憶部19に記憶するデータは、所定の発光レベルでホワイトバランスを調整したときの各LEDの発光制御量データと、このときのバックライト輝度検出部20で検出した発光輝度のデータとする。
【0030】
バックライトの発光輝度の検出結果に基づくバックライトの輝度の調整処理を行う場合、主制御部14のLED制御部14aは、LEDバックライト10を点灯した状態で、バックライト輝度検出部20によって発光輝度を検出する。検出した発光輝度のデータは記憶部19に一時的に記憶しておくことができる。
このときに主制御部14は、液晶表示パネル18を制御して光シャッターを全閉にする。例えば液晶表示パネル18の全画素について映像信号の最低階調(黒)を入力し、対象となる全ての画素で最低階調を表示させる。
【0031】
そして主制御部14は、バックライト輝度検出部20で検出されたLEDの発光輝度と、予め記憶部19に記憶しているLEDの発光輝度とを比較し、これらに誤差が生じていれば、その誤差を解消するようにLEDの発光輝度を増減させる調整を行う。ここではRGBのLEDを順次点灯させて、RGBのそれぞれについてバックライト輝度検出部20で発光輝度を検出し、記憶部19の記憶データと比較して発光制御を行う。
【0032】
RGBの個々のLEDの発光輝度を調整することで、バックライト輝度検出部20で検出された実際の発光輝度が、記憶部19に記憶されている所定の発光輝度レベルになれば、当初設定したホワイトバランスで映像表示が可能となる。このときに、調光レベルに応じて発光輝制御量データとバックライト輝度検出部20の検出データが記憶されている場合、現在の調光レベルに応じた記憶データを使用してLEDの発光輝度制御を行う。
【0033】
図2は、LEDバックライトと液晶表示パネルの構成を説明するための図である。LEDバックライト10は、液晶表示パネル18をその表示画面の背面側から照明する。LEDバックライト10では、LED基板10s上に、RGBの3色のLED10r,10g,10bが配置される。これらのRGBのLED10r,10b,10gは、LED基板10s上に複数配置され、それぞれの発光色によって全体として白色光を生成する。また、映像信号に応じて発光を制御することもできる。例えば、映像信号に赤い色が多い場合に、RのLED10rの発光輝度を相対的に上げて、画面の色再現性を向上させる処理を行うことができる。各LED10r,10b,10gは、LED駆動部15(図1)によって駆動制御される。
【0034】
LED基板10s上には、フォトセンサ20aが配設される。フォトセンサ20aは、図1のバックライト輝度検出部20のセンサ部分を構成するもので、バックライト輝度検出部20は、フォトセンサ20aからの出力信号を図示しないADコンバータでデジタル信号に変換して、主制御部14に出力する。
【0035】
LEDバックライト10の発光輝度の検出結果に基づき、LEDバックライト10の発光輝度を調整する際、液晶表示パネル18の光シャッターを閉めた状態で、フォトセンサ20aによりRGBの各LEDの発光輝度を検出する。この場合、光シャッターが閉められた状態であるため、液晶表示パネルの前面側への光透過を極力抑えることができ、液晶表示パネル18の背面側での反射光により、フォトセンサ20aで精度良くLEDの発光輝度を検出することができる。
【0036】
図3は、本発明に係る液晶表示装置の処理の一例を説明するためのフローチャートである。液晶表示装置では、通常の動作を実行する(ステップS1)。通常動作は、放送番組や広告などのコンテンツを表示しユーザが視聴する通常の動作であって、LEDバックライト10を点灯し、液晶表示パネル18には表示すべき映像信号に基づき各画素の光シャッターが制御されて映像表示が行われる。そして通常動作を終了させる操作入力があった場合には、処理を終了する(ステップS2−Yes)。
【0037】
通常動作が継続している場合(ステップS2−No)、LED発光輝度検出モードになったかどうかを判断する(ステップS3)。LED発光輝度検出モードは、LEDバックライト10のLEDの発光輝度をフォトセンサ20aを用いて検出し、その検出した発光輝度のデータを記憶部19に記憶させる処理を行うモードである。
【0038】
LED発光輝度検出モードは、例えば、所定のユーザ操作によって実行させることができる。また、所定の条件下で通常動作からLED発光輝度検出モードに移行させることができる。所定の条件として、例えば、周囲照度検出部16による検出結果に基いて、周囲の照度が所定の閾値より明るい場合にLED発光輝度検出モードに移行させることができる。あるいは現在時刻が所定の時間帯に属している場合、もしくは所定の時刻に一致する場合にLED発光輝度検出モードに移行させることができる。
【0039】
ステップS3でLED発光輝度検出モードであると判定した場合、液晶表示パネル18の光シャッターを閉じる(ステップS4)。ここでは、例えば、液晶表示パネル18の全画素で最低階調の黒を表示させる状態とすることで液晶シャッターを閉じさせる。そしてRGBのLEDのうち、RのLEDのみを発光させる(ステップS5)。フォトセンサ20aによりこのときの発光輝度を検出し、記憶部19に記憶する(ステップS6)。次いで、RのLEDを消灯してGのLEDを発光させ(ステップS7)、フォトセンサ20aにより発光輝度を検出し、記憶部19に記憶する(ステップS8)。最後に、GのLEDを消灯してBのLEDを発光させ(ステップS9)、フォトセンサ20aにより発光輝度を検出し、記憶部19に記憶する(ステップS10)。
【0040】
この後、ステップS1に戻って通常動作に復帰する。この場合、通常動作が終了してなく、LED発光輝度検出モードではないため、ステップS11に進み、記憶部19に記憶されているLEDの発光輝度に従って、LEDの発光輝度を調整する(ステップS11)。
つまり主制御部14は、フォトセンサ20aで検出して記憶部19に記憶したLEDの発光輝度と、記憶部19に予め記憶しているLEDの発光輝度とを比較し、これらに誤差が生じていれば、その誤差を解消するようにLEDの発光輝度を増減させる制御を行う。ここでは、RGBのそれぞれについて、フォトセンサ20aにより新たに検出された発光輝度と記憶部19に記憶された発光輝度とを比較して発光制御を行う。フォトセンサ20aにより検出された実際の発光輝度が、記憶部19に記憶されている所定の発光輝度に一致すれば、当初設定したホワイトバランスで映像表示が可能となる。
【0041】
この状態で、ステップS2で通常動作が終了するか、もしくはステップS3で再度LED発光輝度検出モードに移行するまで、調整された発光輝度によりLEDを点灯させ、通常動作を継続する。
【0042】
上記のように、フォトセンサ20aによりLEDの発光輝度を検出する際に、液晶表示パネル18の光シャッターを閉じておくことにより、LEDからの出射光が液晶表示パネル18の前面側に透過することを極力抑えられるため、フォトセンサ20aによる発光輝度検出を精度良く安定して行うことができる。これにより、LEDの発光輝度の変動によるホワイトバランスの乱れを適切に修正することができるようになる。
【0043】
図4は、LED発光輝度検出モードへ移行する所定条件の一例を説明するためのフローチャートである。図3のステップS3において、通常動作からLED発光輝度検出モードに移行する場合、液晶表示装置の周囲の照度に基づいてLED発光輝度検出モードに移行するか否かを判定する。ここでは、通常動作中に周囲照度検出部16によって液晶表示装置1の周囲の照度(明るさ)を測定する(ステップS21)。
【0044】
そして、測定された周囲の照度が予め定めた閾値より大きければ(ステップS22−Yes)、LED発光輝度検出モードに移行すべきであると判別する(ステップS23)。そして、図3のステップS4に進んで、LEDの発光輝度の検出処理を実行する。
液晶表示装置の周囲の照度が所定レベル以上に明るいときに、LEDの発光輝度検出モードに移行して輝度検出処理を行うことで、光シャッターが閉まった状態で液晶表示パネルの前面側への光漏れがあったとしても、装置周囲が明るいため、ユーザにそれほど違和感を与えることなく効率的に発光輝度の検出および修正を行うことができる。
【0045】
また、ステップS22において、測定された周囲の照度が予め定めた閾値より大きくなければ、LED発光輝度検出モードに移行することなく、通常動作を継続するものと判断する(ステップS24)。そして、ステップS11に進んで、記憶部19に記憶されているLEDの発光輝度に従って、LEDの発光輝度を調整しながら通常動作を行う。
【0046】
この場合、周囲の照度が閾値より大きいときにLEDの発光輝度検出を行った後、周囲の照度が高い状態がなお継続している場合、LEDの発光輝度の検出処理を連続して繰り返し実行しなくてもよい。例えば、LED発光輝度検出モードで1回発光輝度の検出を行った後、所定時間経過後に再度周囲の照度を測定し、その時点で周囲の照度が閾値より大きい場合に、再度LEDの発光輝度検出処理を実行するようにしてもよい。
【0047】
図5は、LED発光輝度検出モードへ移行する所定条件の他の例を説明するためのフローチャートである。本例では、図3のステップS3において、通常動作からLED発光輝度検出モードに移行する場合、現在の時刻に基づいてLED発光輝度検出モードに移行するか否かを判定する。ここでは、液晶表示装置1は、通常動作中に時計21によって現在時刻を検出する(ステップS31)。
【0048】
そして、検出した現在時刻が予め定めた時間帯に含まれている時刻であれば(ステップS32−Yes)、LED発光輝度検出モードに移行すべきであると判別する(ステップS33)。そして、図3のステップS4に進んで、LEDの発光輝度の検出処理を実行する。
予め定める時間帯としては、例えば、午前2〜3時などの深夜の時間帯を設定することができる。この時間帯では、例えば広告表示用等の大型液晶表示装置であれば、その周囲の人通りが少なくなる時間帯であるため、光シャッターが閉まった状態で液晶表示パネルの前面側への光漏れがあったとしても、多くの人に違和感を与えることなく発光輝度の検出および調整を行うことができる。
【0049】
ステップS32で検出した時刻が予め定めた時間帯に含まれていなければ、LED発光輝度検出モードに移行することなく、通常動作を継続するものと判断する(ステップS34)。そして、図3のステップS11に進んで、記憶部19に記憶されているLEDの発光輝度に従って、LEDの発光輝度を調整しながら通常動作を行う。
【0050】
この場合、現在の時刻が予め定めた時間帯に含まれている間、LED発光輝度検出モードを連続して繰り返し実行しなくてもよい。例えば、LED発光輝度検出モードで1回発光輝度検出処理を行った後、所定時間経過後に再度現在時刻を検出し、その時点で現在時刻が予め定めた時間帯に含まれている場合に、再度LEDの発光輝度検出処理を実行するようにしてもよい。
また、検出した時刻に応じてLED発光輝度検出モードに移行する条件を、所定の時間帯ではなく特定の時刻として定めてもよい。この場合、特定の時刻に液晶表示装置が通常動作を行っていれば、LED発光輝度検出モードに移行させることができる。
【0051】
なお、上述した実施形態では、LED発光輝度検出モードでは、液晶表示パネル18の全画素の光シャッターを閉じて、フォトセンサ20aによりRGBのLEDの発光輝度を順に検出するものとしたが、液晶表示パネル18を複数領域に分割し、その複数領域毎にLEDの発光輝度を検出して、調整するようにしてもよい。
【0052】
この場合、液晶表示パネル18を複数領域に分割し、その分割領域に対応したLEDバックライト10の領域ごとにフォトセンサ20aを複数設ける。そして液晶表示パネル18の分割領域ごとに、各領域の光シャッターを閉じて、その領域に対応するLEDバックライトをRGBごとに順次点灯する。順次点灯するRGBの発光輝度を、その領域のフォトセンサ20aによって検出し、記憶部19に記憶した発光輝度と比較して、適宜LEDの発光輝度を調整する。従ってROM19には、分割領域ごとにRGBのそれぞれについてLEDの発光輝度と発光制御量データを記憶しておく。
【0053】
以上の構成により、本発明に係る実施形態の液晶表示装置によれば、LEDの発光輝度をフォトセンサ等を用いたバックライト輝度検出部20で検出し、その検出した発光輝度のデータを、予めホワイトバランスを調整した状態で記憶した発光輝度のデータと比較することで、LEDの経時変化や調光レベルの変化等によって発光輝度に変化が生じた場合であっても、LEDの発光輝度を調整して適切なホワイトバランスで映像表示が可能となる。ここでは、バックライト輝度検出部20でLEDの発光輝度を検出する場合、液晶表示パネル18の光シャッターを閉めた状態にすることにより、液晶表示パネルでの透過による検出光量の低下を極力抑えて、精度良く安定した発光輝度検出を行うことができるようになる。
そしてLED輝度検出によるLEDの発光輝度の検出処理は、所定閾値よりも周囲が明るいときに実行したり、所定の時間帯や時刻に実行したりすることにより、液晶表示装置の画面を見る人に違和感を与えずに適切に実行することができる。
【符号の説明】
【0054】
1…液晶表示装置、10…LEDバックライト、11…チューナ部、12…操作部、13…映像信号処理部、14…LED検出部、14…主制御部、14a…LED制御部、15…LED駆動部、16…周囲照度検出部、17…液晶制御部、18…液晶表示パネル、19…記憶部、20…バックライト輝度検出部、20a…フォトセンサ、22…アンテナ、21…時計。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶表示パネルと、該液晶表示パネルを背面側から照明するバックライトと、前記液晶表示パネル及び前記バックライトを制御する制御部と、前記液晶表示パネルの背面側で前記バックライトの発光輝度を検出するバックライト輝度検出部とを有する液晶表示装置であって、
前記バックライト輝度検出部は、前記液晶表示パネルの光シャッターが閉じた状態で、前記バックライトの発光輝度を検出し、前記制御部は、前記バックライト輝度検出部が検出した発光輝度に従って前記バックライトの発光輝度を調整することを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液晶表示装置において、
前記バックライトは、RGBの3色のLEDにより構成され、
予めホワイトバランスを調整した状態で前記RGBのLEDをそれぞれ発光させたときに前記バックライト輝度検出部により検出したRGBのそれぞれの発光輝度を記憶する記憶手段を、を備え、
前記バックライトの発光輝度を調整する際に、前記バックライト輝度検出部は、前記RGBのLEDのそれぞれについて発光輝度を検出し、
前記制御部は、前記バックライト輝度検出部が検出したRGBの発光輝度と、前記記憶手段に記憶されているRGBの発光輝度とを比較し、該比較した発光輝度に誤差が生じている場合、誤差を解消するように前記RGBのLEDの発光輝度を個々に調整することを特徴とする液晶表示装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の液晶表示装置において、
該液晶表示装置の周囲の照度を検出する周囲照度検出部を有し、
前記制御部は、前記バックライト輝度検出部が検出した発光輝度に従って前記バックライトの発光輝度を調整する処理を、前記周囲照度検出部により検出された周囲の照度が、所定の閾値より大きいときに実行することを特徴とする液晶表示装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の液晶表示装置において、
現在の時刻を検出する時計を有し、
前記制御部は、前記バックライト輝度検出部が検出した発光輝度に従って前記バックライトの発光輝度を調整する処理を、前記時計により検出された現在の時刻が、所定の時間帯に属するとき、もしくは所定の時刻に一致するときに実行することを特徴とする液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−92642(P2013−92642A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−234543(P2011−234543)
【出願日】平成23年10月26日(2011.10.26)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】