説明

液晶表示装置

【課題】 1つの表示領域を2つの領域に分割し、当該2つの領域に並行して映像や画像を表示する液晶表示装置におけるドライバ回路の発熱を抑え、かつ、画質の低下を防ぐ。
【解決手段】 液晶表示パネルの1つの表示領域は、走査信号線の延在方向と一致する境界線により第1の表示領域と第2の表示領域に分割されており、前記第1の表示領域の画素のTFT素子が接続している映像信号線と、前記第2の表示領域の画素のTFT素子が接続している映像信号線とは、電気的に絶縁されており、前記第1の表示領域および前記第2の表示領域のそれぞれの表示領域において、前記映像信号線の延在方向に沿って並んだ複数個の画素の列には、それぞれ、2本の隣接する映像信号線のうちの一方の映像信号線にTFT素子が接続している画素と、前記2本の隣接する映像信号線のうちの他方の映像信号線にTFT素子が接続している画素とが、交互に並んでいる液晶表示装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置に関し、特に、1つの表示領域を上下に2分割した液晶表示装置に適用して有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶表示装置には、液晶テレビや、PC(パーソナル・コンピュータ)に接続する液晶ディスプレイなどがある。前記液晶テレビなどの液晶表示装置は、通常、アクティブマトリクス型と呼ばれる駆動方式で映像や画像(すなわち動画や静止画)を表示している。
【0003】
前記アクティブマトリクス型の液晶表示装置に用いる液晶表示パネルは、1つの表示領域が、たとえば、TFT素子および画素電極を有する画素の集合で設定されている。前記液晶表示パネルは、一対の基板の間に液晶材料が封入された表示パネルであり、前記一対の基板のうちの一方の基板(以下、TFT基板と呼ぶ。)は、たとえば、複数本の走査信号線、複数本の映像信号線、複数個の前記TFT素子、および複数個の前記画素電極などが配置されている。また、前記一対の基板のうちの他方の基板(以下、対向基板と呼ぶ。)は、たとえば、前記TFT基板の前記複数本の走査信号線に対向する位置および前記複数本の映像信号線に対向する位置に延在する網目状の遮光膜や、カラーフィルタなどが配置されている。
【0004】
また、前記液晶材料中の液晶分子を駆動させる際に前記画素電極と対になる対向電極(共通電極と呼ぶこともある。)は、前記液晶分子の駆動方法により、前記TFT基板側に配置されていることもあるし、前記対向基板側に配置されていることもある。
【0005】
また、前記アクティブマトリクス型の液晶表示パネルは、一般に、1つの表示領域において前記走査信号線の延在方向に並んだ複数個の画素のTFT素子のゲートが共通の1本の走査信号線に接続している。また、前記アクティブマトリクス型の液晶表示パネルは、一般に、1つの表示領域において前記映像信号線の延在方向に並んだ複数個の画素のTFT素子のドレインが共通の1本の映像信号線に接続している。
【0006】
また、前記液晶テレビなどの液晶表示装置は、近年、大画面化、すなわち使用する液晶表示パネルにおける1つの表示領域の大面積化が進んでいる。また、前記液晶テレビなどの液晶表示装置は、近年、高精細化、すなわち使用する液晶表示パネルにおける1つの表示領域を構成する画素の数の増大化が進んでいる。そのため、従来の一般的な液晶表示装置、たとえば、1つの表示領域の左端側のみに走査信号線の信号入力端があり、上端側のみに映像信号線の信号入力端がある液晶表示装置では、走査信号線や映像信号線の信号入力端からの距離が近い画素と遠い画素とで、各信号線に加わった信号の遅延量の差が大きくなり、画質が低下しやすくなる。
【0007】
上記のような画質の低下を防ぐために、近年の液晶表示装置は、たとえば、1つの表示領域の左端側および右端側に走査信号線の信号入力端を設けたり、上端側および下端側に映像信号線の信号入力端を設けたりすることがある。
【0008】
また、前記1つの表示領域の上端側および下端側に映像信号線の信号入力端を設ける場合は、たとえば、前記1つの表示領域を走査信号線の延在方向に沿った境界線で上下に分割し、前記境界線の上側にある第1の表示領域に属する画素のTFT素子のドレインに接続する映像信号線と、前記境界線の下側にある第2の表示領域に属する画素のTFT素子のドレインに接続する映像信号線とを電気的に絶縁させておく。このようにすると、たとえば、前記第1の表示領域と前記第2の表示領域のそれぞれに、並行して映像や画像を表示させることができる。そのため、映像や画像の1フレームの表示にかかる時間が従来の半分になり、表示の高速化への対応が容易になる。
【0009】
しかしながら、前記1つの表示領域を上下に2分割した場合、たとえば、前記境界線部分で画質が大きく変化して、画質が低下することがある。そのため、前記1つの表示領域を上下に2分割して、前記第1の表示領域と前記第2の表示領域に並行して映像や画像を表示させる液晶表示装置では、前記境界線部分で生じる画質の低下を防ぐ方法が種々提案されている(たとえば、特許文献1または特許文献2を参照。)。
【特許文献1】特開平10−268261号公報
【特許文献2】特開平8−22028号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、従来の前記アクティブマトリクス型の液晶表示パネルは、一般に、1つの表示領域において前記映像信号線の延在方向に並んだ複数個の画素のTFT素子のドレインが共通の1本の映像信号線に接続している。また、前記1つの表示領域を上下に2分割した液晶表示パネルの場合は、一般に、前記第1の表示領域において前記映像信号線の延在方向に並んだ複数個の画素のTFT素子のドレインは、共通の1本の映像信号線に接続しており、前記第2の表示領域において前記映像信号線の延在方向に並んだ複数個の画素のTFT素子のドレインは、別の共通の1本の映像信号線に接続している。
【0011】
そのため、前記液晶表示装置を、たとえば、ドット反転と呼ばれる反転方法、すなわち、走査信号線の延在方向で隣接する2つの画素の極性が互いに反対の極性であり、かつ、映像信号線の延在方向で隣接する2つの画素の極性も互いに反対の極性であるような反転方法で駆動させる場合、各映像信号線に加える信号を生成するドライバ回路の負荷が増大し、当該ドライバ回路の発熱量が増大する。そのため、従来のドット反転で駆動させる液晶表示装置は、たとえば、前記ドライバ回路が故障しやすくなる、誤動作が起こりやすくなるという問題があった。
【0012】
なお、前記極性というのは、映像信号線から画素電極に書き込まれた信号(階調電圧)の電位と対向電極の電位との関係を表しており、一般に、画素電極の電位が対向電極の電位よりも高い場合を正極性と呼び、画素電極の電位が対向電極の電位よりも低い場合を負極性と呼ぶ。
【0013】
また、前記液晶表示装置を、たとえば、カラム反転と呼ばれる反転方法。すなわち、走査信号線の延在方向で隣接する2つの画素の極性が互いに反対の極性であり、かつ、映像信号線の延在方向で隣接する2つの画素の極性は互いに同じ極性であるような反転方法で駆動させる場合、各映像信号線に加える信号を生成するドライバ回路の負荷は、ドット反転の場合に比べて小さくなる。しかしながら、前記映像信号線の延在方向に並んだ複数個の画素の極性が、すべて同じ極性になるので、たとえば、縦スミアやフリッカ(縦筋流れ)などと呼ばれる現象が発生し、画質が低下するという問題があった。
【0014】
本発明の目的は、たとえば、1つの表示領域を2つの領域に分割し、当該2つの領域に並行して映像や画像を表示する液晶表示装置におけるドライバ回路の発熱を抑え、かつ、画質の低下を防ぐことが可能な技術を提供することにある。
【0015】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面によって明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概略を説明すれば、以下の通りである。
【0017】
(1)第1の基板と第2の基板との間に液晶材料を封入した液晶表示パネルを有し、前記第1の基板は、複数本の走査信号線、複数本の映像信号線、複数個のTFT素子、および複数個の画素電極を有し、前記液晶表示パネルは、前記TFT素子および前記画素電極を有する画素の集合で設定される1つの表示領域を有する液晶表示装置であって、前記1つの表示領域は、前記走査信号線の延在方向と一致する境界線により第1の表示領域と第2の表示領域に分割されており、前記第1の表示領域に属する画素の前記TFT素子のソースまたはドレインが接続している映像信号線と、前記第2の表示領域に属する画素の前記TFT素子のソースまたはドレインが接続している映像信号線とは、電気的に絶縁されており、前記第1の表示領域において前記映像信号線の延在方向に沿って並んだ複数個の画素の列、および前記第2の表示領域において前記映像信号線の延在方向に沿って並んだ複数個の画素の列には、それぞれ、2本の隣接する映像信号線のうちの一方の映像信号線に前記TFT素子のソースまたはドレインが接続している画素と、前記2本の隣接する映像信号線のうちの他方の映像信号線に前記TFT素子のソースまたはドレインが接続している画素とが、交互に並んでいる液晶表示装置。
【0018】
(2)前記(1)の液晶表示装置において、前記境界線を挟んで隣接する前記第1の表示領域に属する画素と前記第2の表示領域に属する画素とは、前記第1の基板上における当該各画素の前記TFT素子および前記画素電極の配置位置の関係が、前記境界線を対称軸とする線対称の関係になっている液晶表示装置。
【0019】
(3)前記(2)の液晶表示装置において、前記第1の表示領域を通る複数本の映像信号線、および前記第2の表示領域を通る複数本の映像信号線には、それぞれ、1フレーム期間中、常に同じ極性の信号が加わり、1フレーム期間中に前記第1の表示領域を通る複数本の映像信号線、および前記第2の表示領域を通る複数本の映像信号線に加わる信号は、それぞれ、同じ表示領域において隣接する2本の映像信号線に加わる信号の極性が互いに反対の極性であり、かつ、前記境界線を挟んで対向する2本の映像信号線に加わる信号の極性が互いに反対の極性である液晶表示装置。
【0020】
(4)前記(1)の液晶表示装置において、前記境界線を挟んで隣接する前記第1の表示領域に属する画素と前記第2の表示領域に属する画素とは、前記第1の基板上における当該各画素の前記TFT素子および前記画素電極の配置位置の関係が、前記境界線のうちの当該2つの画素を分割する線分の中心を対称の中心とする点対称の関係になっている液晶表示装置。
【0021】
(5)前記(4)の液晶表示装置において、前記第1の表示領域を通る複数本の映像信号線、および前記第2の表示領域を通る複数本の映像信号線には、それぞれ、1フレーム期間中、常に同じ極性の信号が加わり、1フレーム期間中に前記第1の表示領域を通る複数本の映像信号線、および前記第2の表示領域を通る複数本の映像信号線に加わる信号は、それぞれ、同じ表示領域において隣接する2本の映像信号線に加わる信号の極性が互いに反対の極性であり、かつ、前記境界線を挟んで対向する2本の映像信号線に加わる信号の極性が同じ極性である液晶表示装置。
【0022】
(6)前記(1)乃至(5)のいずれかの液晶表示装置において、前記第1の表示領域に属する画素の前記TFT素子のゲート、および前記第2の表示領域に属する画素の前記TFT素子のゲートは、それぞれ、当該画素の画素電極よりも、前記TFT素子のソースまたはドレインが接続している映像信号線の信号入力端側に位置する走査信号線に接続している液晶表示装置。
【0023】
(7)前記(6)の液晶表示装置において、前記第2の基板は、前記第1の基板の前記複数本の走査信号線および前記複数本の映像信号線に対向する位置、および前記境界線が通る位置に延在する網目状の遮光膜を有し、前記遮光膜のうちの、前記境界線が通る位置に延在する部分の前記映像信号線の延在方向に沿った寸法が、前記走査信号線に対向する位置に延在する部分の前記映像信号線の延在方向に沿った寸法とおおむね等しい液晶表示装置。
【発明の効果】
【0024】
本発明の液晶表示装置によれば、1つの表示領域を2つの領域に分割し、当該2つの領域に並行して映像や画像を表示しても、前記複数本の映像信号線に加える信号を生成するドライバ回路の発熱を抑えることができる。また、本発明の液晶表示装置によれば、たとえば、縦スミアと呼ばれる現象の発生を抑えることができ、当該縦スミアによる画質の低下を防ぐことができる。
【0025】
またさらに、本発明の液晶表示装置によれば、前記境界線部分が目立たないようにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明について、図面を参照して実施の形態(実施例)とともに詳細に説明する。なお、実施例を説明するための全図において、同一機能を有するものは、同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
【実施例】
【0027】
図1(a)乃至図1(e)は、本発明による一実施例の液晶表示装置の概略構成を示す模式図である。図1(a)は、本実施例の液晶表示装置における液晶表示パネルおよびドライバ回路の概略構成の一例を示す模式平面図である。図1(b)は、液晶表示パネルの表示領域における1つの画素の回路構成の一例を示す模式回路図である。図1(c)は、2分割された表示領域のうちの一方の表示領域の中央付近における画素の配列方法の一例を示す模式回路図である。図1(d)は、1つの表示領域を2分割する境界線を挟んで隣接する2つの画素の配列方法の一例を示す模式回路図である。図1(e)は、1つの表示領域を2分割する境界線を挟んで隣接する2つの画素の配列方法の別の例を示す模式回路図である。なお、図1(b)乃至図1(e)に示したx方向およびy方向は、それぞれ、図1(a)に示したx方向およびy方向と一致する方向である。また、図1(b)乃至図1(e)において、走査信号線の一端および映像信号線の一端にある三角形は、それぞれ、信号入力端がある方向を表している。
【0028】
本実施例では、本発明の適用が望まれる液晶表示装置の一例として、液晶テレビのような大画面で高精細な液晶表示装置を挙げる。大画面で高精細な液晶表示装置では、たとえば、図1(a)に示すように、液晶表示パネル1の4つの辺1a,1b,1c,1dに第1のドライバ回路2a、第2のドライバ回路2b、第3のドライバ回路2c、および第4のドライバ回路2dが取り付けられている。また、液晶表示パネル1の1つの表示領域3は、TFT素子および画素電極を有する画素の集合で設定されており、かつ、x方向に延びる境界線BLによって上下に2分割されている。以下の説明では、1つの表示領域3のうちの境界線BLの上にある領域を第1の表示領域3aと呼び、境界線BLの下にある領域を第2の表示領域3bと呼ぶ。
【0029】
本実施例の液晶表示パネル1は、アクティブマトリクス型であり、図1(a)には示していないが、複数本の走査信号線、複数本の映像信号線、複数個のTFT素子、複数個の画素電極、および対向電極などが配置されている。このとき、複数本の走査信号線は、それぞれがx方向に延在しており、かつ、y方向に並んでいる。また、複数本の映像信号線は、それぞれがy方向に延在しており、かつ、x方向に並んでいる。またこのとき、第1の表示領域3aを通る映像信号線と、第2の表示領域3bを通る映像信号線は、境界線BLの部分において電気的に絶縁されている。
【0030】
また、液晶表示パネル1の第1の辺1aに取り付けられた第1のドライバ回路2aは、第1の表示領域3aを通る複数本の映像信号線に加える信号の生成などを行う回路である。また、液晶表示パネル1の第2の辺1bに取り付けられた第2のドライバ回路2bは、第2の表示領域3bを通る複数本の映像信号線に加える信号の生成などを行う回路である。
【0031】
また、液晶表示パネル1の第3の辺1cおよび第4の辺1dに取り付けられた第3のドライバ回路2cは、第1の表示領域3aを通る複数本の走査信号線に加える信号の生成などを行う回路である。また、液晶表示パネル1の第3の辺1cおよび第4の辺1dに取り付けられた第4のドライバ回路2dは、第2の表示領域3bを通る複数本の走査信号線に加える信号の生成などを行う回路である。
【0032】
すなわち、本実施例の液晶表示パネル1は、第1のドライバ回路2aから映像信号線に加える信号および第3のドライバ回路2cから走査信号線に加える信号により第1の表示領域3aの表示を制御し、第2のドライバ回路2bから映像信号線に加える信号および第4のドライバ回路2dから走査信号線に加える信号により第2の表示領域3bの表示を制御する。
【0033】
第1のドライバ回路2a、第2のドライバ回路2b、第3のドライバ回路2c、および第4のドライバ回路2dは、それぞれ、たとえば、フレキシブルプリント配線板(インターポーザと呼ぶこともある)にチップ状のドライバICを実装したCOFまたはTABなどの半導体パッケージである。なお、第1のドライバ回路2a、第2のドライバ回路2b、第3のドライバ回路2c、および第4のドライバ回路2dは、上記の半導体パッケージに限らず、たとえば、前記チップ状のドライバIC自身であってもよいし、液晶表示パネル1に用いるTFT基板に走査信号線などとともに形成された回路であってもよい。
【0034】
また、1つの表示領域3において1つの画素が占有する領域は、2本の隣接する走査信号線と、2本の隣接する映像信号線とで囲まれた領域に相当する。このとき、1つの画素の回路構成は、たとえば、図1(b)に示すような構成になっている。すなわち、1つの画素は、TFT素子4、画素容量5(液晶容量と呼ぶこともある。)、および保持容量6(補助容量と呼ぶこともある。)とを有する。画素容量5は、当該1つの画素が有する画素電極、対向電極、および液晶材料で形成される容量であり、保持容量6は、前記画素電極、前記対向電極と同電位の保持容量線CL、および前記液晶材料とは異なる絶縁層で形成される容量である。また、TFT素子4は、ゲートが2本の隣接する走査信号線GLのうちの一方の走査信号線に接続しており、ドレインが2本の隣接する映像信号線DLのうちの一方の映像信号線に接続し、ソースが画素電極に接続している。
【0035】
また、本実施例の液晶表示パネル1では、第1の表示領域3aにおける各画素の配列が、たとえば、図1(c)に示したような配列になっている。なお、図1(c)には、第1の表示領域3aの中央付近における横2画素×縦6画素の計12個の画素の配列の一例を示している。
【0036】
すなわち、第1の表示領域3aにおいて、映像信号線DLの延在方向(y方向)に並んでいる複数個の画素は、2本の隣接する映像信号線DLのうちの一方の映像信号線DLにTFT素子4のソースが接続している画素と、当該2本の隣接する映像信号線DLのうちの他方の映像信号線DLにTFT素子4のソースが接続している画素とが交互に並んでいる。またこのとき、各画素のTFT素子4のゲートは、当該TFT素子4のソースに接続している画素電極(画素容量5)よりも、当該TFT素子4のドレインに接続している映像信号線DLの信号入力端側にある走査信号線GLに接続させる。
【0037】
また、1本の走査信号線GLを挟んで隣接する保持容量線CL同士は、たとえば、ブリッジ配線BRで電気的に接続する。このとき、ブリッジ配線BRは、図1(c)に示すように画素毎に設けてもよいし、数画素おきに設けてもよい。
【0038】
また、図示は省略するが、第2の表示領域3bにおける各画素の配列は、たとえば、図1(c)に示した配列の上下を反転させたような配列にする。
【0039】
このとき、第1の表示領域3aにおける各画素の配列と第2の表示領域3bにおける各画素の配列は、境界線BLを挟んで隣接する第1の表示領域3aの画素と第2の表示領域3bの画素とが、たとえば、図1(d)に示すような関係になるような配列にする。すなわち、第1の表示領域3aの画素におけるTFT素子4および画素電極(画素容量5)の位置関係と、第2の表示領域3bの画素におけるTFT素子4および画素電極(画素容量5)の位置関係とが、境界線BLを対称軸とする線対称の関係になるような配列にする。
【0040】
なお、第1の表示領域3aにおける各画素の配列と第2の表示領域3bにおける各画素の配列は、境界線BLを挟んで隣接する第1の表示領域3aの画素と第2の表示領域3bの画素とが、たとえば、図1(e)に示すような関係になるような配列になっていてもよい。すなわち、第1の表示領域3aの画素におけるTFT素子4および画素電極(画素容量5)の位置関係と、第2の表示領域3bの画素におけるTFT素子4および画素電極(画素容量5)の位置関係とが、境界線BLのうちの当該2つの画素を分割する線分の中心Pを対称の中心とする点対称の関係になるような配列にしてもよい。
【0041】
図2(a)および図2(b)は、本実施例の液晶表示パネルの駆動方法を説明するための模式図である。図2(a)は、各画素の配列が図1(c)および図1(d)に示したような配列の場合の駆動方法の一例を示す模式図である。図2(b)は、各画素の配列が図1(c)および図1(e)に示したような配列の場合の駆動方法の一例を示す模式図である。なお、図2(a)および図2(b)は、それぞれ、境界線部分における横4画素×縦6画素の計24画素の配列を示している。また、各画素には、TFT素子および画素電極のみを示している。また、図2(a)および図2(b)に示したx方向およびy方向は、それぞれ、図1(a)に示したx方向およびy方向と一致する方向である。また、図2(a)および図2(b)において、走査信号線の一端および映像信号線の一端にある三角形は、それぞれ、信号入力端がある方向を表している。
【0042】
本実施例の液晶表示パネル1のようなアクティブマトリクス型の液晶表示パネルにおいて映像や画像を表示する場合、各画素における階調表示は、正極性での表示と負極性での表示とを、あらかじめ定められたフレーム毎(たとえば、1フレーム毎)に切り替えて行う。なお、前記正極性での表示というのは、映像信号線DLから画素電極に書き込まれた信号(階調電圧)の電位が対向電極の電位よりも高い状態での表示であり、前記負極性での表示というのは、映像信号線から画素電極に書き込まれた信号(階調電圧)の電位が対向電極の電位よりも低い状態での表示である。
【0043】
また、アクティブマトリクス型の液晶表示パネル1において映像や画像を表示する場合、1フレーム期間中における各画素の極性は、たとえば、図2(a)に示すように、走査信号線GLの延在方向(x方向)で隣接する2つの画素の極性が互いに反対の極性であり、かつ、映像信号線DLの延在方向(y方向)で隣接する2つの画素の極性も互いに反対の極性であるようにすることが望ましい。このような表示方法は、一般に、ドット反転方式と呼ばれる。
【0044】
なお、図2(a)は、境界線BLを挟んで隣接する第1の表示領域3aの画素と第2の表示領域3bの画素が、図1(d)に示したような線対称の場合を例に挙げている。また、図2(a)において、各画素の画素電極PXの中に示した+(プラス)と−(マイナス)は、+が正極性であることを表し、−(マイナス)が負極性であることを表している。
【0045】
このように、各画素の配列が図1(c)および図1(d)に示したような配列の液晶表示パネル1において、ドット反転方式で映像や画像を表示する場合、第1の表示領域3aを通る複数本の映像信号線DLに加える信号の極性は、2本の隣接する映像信号線DLの極性が互いに反対の極性になるようにすればよい。このとき、1本の映像信号線DLに加える信号の極性は、1フレーム期間中、常に同じ極性でよい。
【0046】
同様に、第2の表示領域3bを通る複数本の映像信号線DLに加える信号の極性についても、2本の隣接する映像信号線DLの極性が互いに反対の極性になるようにすればよい。このときも、1本の映像信号線DLに加える信号の極性は、1フレーム期間中、常に同じ極性でよい。
【0047】
なお、図2(a)に示したような配列の場合、境界線BLを挟んで隣接する、第1の表示領域3aの画素のTFT素子4のドレインが接続している映像信号線DLと、第2の表示領域3bの画素のTFT素子4のドレインが接続している映像信号線DLとは、境界線BLを挟んで対向している。そのため、境界線BLを挟んで隣接する当該2つの画素の極性が互いに反対の極性になるようにするには、図2(a)に示すように、境界線BLを挟んで対向する、第1の表示領域3aの映像信号線DLに加える信号の極性と第2の表示領域3bの映像信号線DLに加える信号の極性とが互いに反対の極性になるようにすればよい。
【0048】
また、図2(a)に示した各画素の極性は、ある1つのフレームを表示する際の極性の例である。そのため、たとえば、次のフレームを表示する際には、各画素の極性が反対の極性、すなわち正極性の画素は負極性になり、負極性の画素は正極性になる。
【0049】
また、各画素の配列が図1(c)および図1(e)に示したような配列の液晶表示パネル1でも、ドット反転方式で映像や画像を表示することは可能であり、その場合、各画素の極性および各映像信号線DLに加える信号の極性は、たとえば、図2(b)に示すようになる。すなわち、境界線BLを挟んで隣接する、第1の表示領域3aの画素の極性と第2の表示領域3bの画素の極性とが互いに反対の極性になるようにするには、図2(b)に示すように、境界線BLを挟んで対向する、第1の表示領域3aの映像信号線DLに加える信号の極性と第2の表示領域3bの映像信号線に加える極性とが同じ極性になるようにすればよい。
【0050】
このとき、第1の表示領域3aを通る複数本の映像信号線DLに加える信号の極性は、1本の映像信号線DLに加える信号の極性が1フレーム期間中、常に同じ極性であり、かつ、2本の隣接する映像信号線DLの極性が互いに反対の極性になるようにする。同様に、第2の表示領域3bを通る複数本の映像信号線DLに加える信号の極性は、1本の映像信号線DLに加える信号の極性が1フレーム期間中、常に同じ極性であり、かつ、2本の隣接する映像信号線DLの極性が互いに反対の極性になるようにする。
【0051】
このように、本実施例の液晶表示パネル1は、第1のドライバ回路2aおよび第2のドライバ回路2bにおいて、各映像信号線DLに加える信号をカラム反転方式と同様の方法で生成するが、表示領域に表示される映像や画像はドット反転方式で表示される。そのため、ドット反転方式で映像や画像を表示させる際の第1のドライバ回路2aおよび第2のドライバ回路2bの負荷が軽減し、発熱による故障や誤動作を低減できる。また、第1のドライバ回路2aおよび第2のドライバ回路2bにおいてカラム反転方式と同様の方法で生成した信号を各映像信号線DLに加えても、ドット反転方式で映像や画像を表示することができるので、カラム反転方式での表示において問題となる縦スメアなどの発生を防げ、当該縦スメアなどによる画質の低下を防ぐことができる。
【0052】
また、本実施例の液晶表示パネル1のように、1つの表示領域3を上下に2分割した場合、たとえば、1つの表示領域3に映像または画像の1フレームを表示するときに、第1の表示領域3aの表示と第2の表示領域3bの表示とを並行して行うことができる。そのため、映像または画像の1フレームの表示に要する時間を短縮でき、高速化(たとえば、240Hz駆動)への対応が容易である。
【0053】
図3(a)乃至図3(e)は、本実施例の液晶表示パネルのTFT基板における画素の概略構成の一例を示す模式図である。図3(a)は、TFT基板における第1の表示領域3aの中央付近における画素の平面構成の一例を示す模式平面図である。図3(b)は、図3(a)に示したA−A’線におけるTFT基板の断面構成の一例を示す模式平面図である。図3(c)は、図3(a)に示したB−B’線におけるTFT基板の断面構成の一例を示す模式平面図である。図3(d)は、図3(a)に示したC−C’線におけるTFT基板の断面構成の一例を示す模式平面図である。図3(e)は、TFT基板における境界線を挟んで隣接する2つの画素の平面構成の一例を示す模式平面図である。なお、図3(a)および図3(e)に示したx方向およびy方向は、それぞれ、図1(a)に示したx方向およびy方向と一致する方向である。
【0054】
本実施例の液晶表示パネル1は、上記のように、図1(c)および図1(d)に示したような回路構成、または図1(c)および図1(e)に示したような回路構成を有する。そこで、次に、上記のような回路構成を有する液晶表示パネル1が、実際にどのような構成になっているかついて簡単に説明する。なお、以下の説明では、液晶表示パネル1として、画素電極および対向電極がTFT基板に配置されており、かつ、画素電極と対向電極とが絶縁層を介して積層配置されている横電界駆動方式の液晶表示パネルを例に挙げる。
【0055】
前記横電界駆動方式の液晶表示パネル1に本発明を適用した場合、TFT基板の、第1の表示領域3aの中央付近にある画素は、たとえば、図3(a)乃至図3(d)に示したような構成になっている。まず、ガラス基板などの絶縁基板SUBの表面には、対向電極CT、走査信号線GL、保持容量線CLが配置されている。なお、図3(a)乃至図3(d)に示した例では、絶縁基板SUBの表面に、たとえば、ITOなどの透明な導電膜の成膜およびエッチングして対向電極CTを形成した後、たとえば、アルミニウムなどの導電膜の成膜およびエッチングをして走査信号線GLおよび保持容量線CLを形成している。しかしながら、これに限らず、たとえば、ITO膜およびアルミニウム膜を続けて成膜した後、アルミニウム膜をエッチングして走査信号線GLおよび保持容量線CLを形成し、続けてITO膜をエッチングして対向電極CTを形成してもよい。またさらに、たとえば、絶縁基板SUBの表面にアルミニウム膜の成膜およびエッチングをして走査信号線GLおよび保持容量線CLを形成した後、続けてITO膜の成膜およびエッチングをして対向電極CTを形成してもよい。
【0056】
対向電極CT、走査信号線GL、および保持容量線CLの上には、第1の絶縁層PAS1を介して、TFT素子4の半導体層SC、映像信号線DL(TFT素子4のドレイン電極SD1を含む)、およびTFT素子4のソース電極SD2が配置されている。第1の絶縁層PAS1は、TFT素子4のゲート絶縁膜としての機能を有する絶縁層であり、たとえば、シリコン酸化膜またはシリコン窒化膜を成膜して形成する。なお、図3(b)乃至図3(d)に示した例では、半導体層SCや映像信号線DLを形成する面が平坦になるように第1の絶縁層PAS1を形成しているが、これに限らず、第1の絶縁層PAS1は、たとえば、絶縁基板SUBの各位置における膜厚がほぼ均一になるように形成してもよい。すなわち、第1の絶縁層PAS1は、半導体層SCや映像信号線DLを形成する面に段差があってもよい。
【0057】
また、半導体層SCは、チャネルが形成される能動層、能動層とドレイン電極SD1との間に介在するドレイン拡散層、能動層とソース電極SD2との間に介在するソース拡散層とで構成されている。また、ドレイン電極SD1は、映像信号線DLと一体に形成されている。また、ドレイン電極SD1およびソース電極SD2はその一部分が半導体層SCに乗り上げている。
【0058】
半導体層SC、映像信号線DL(ドレイン電極SD1を含む)、およびソース電極SD2を形成するときには、たとえば、まず、第1の絶縁層PAS1の表面全体に前記能動層に用いる第1の半導体膜と、前記ドレイン拡散層および前記ソース拡散層に用いる第2の半導体膜を成膜し、エッチングして島状の能動層を形成する。このとき、前記能動層の上にある前記第2の半導体膜は、まだ前記ドレイン拡散層と前記ソース拡散層とに分離されていない。次に、たとえば、アルミニウムなどの導電膜の成膜およびエッチングをして映像信号線DL(ドレイン電極SD1を含む)およびソース電極SD2を形成する。その後、ドレイン電極SD1およびソース電極SD2をマスクにして前記第2の半導体層をエッチングし、前記ドレイン拡散層と前記ソース拡散層に分離する。
【0059】
半導体層SC、映像信号線DL(ドレイン電極SD1を含む)、およびソース電極SD2の上には、第2の絶縁層PAS2を介して、画素電極PXおよびブリッジ配線BRが配置されている。第2の絶縁層PAS2は、たとえば、シリコン窒化膜、あるいはその他の無機絶縁膜または有機絶縁膜を成膜して形成する。このとき、第2の絶縁層PAS2は、1種類の絶縁膜であってもよいし、2種類以上の絶縁膜が積層されていてもよい。なお、図3(b)乃至図3(d)に示した例では、画素電極PXおよびブリッジ配線BRを形成する面が平坦になるように第2の絶縁層PAS2を形成しているが、これに限らず、第2の絶縁層PAS2は、たとえば、絶縁基板SUBの各位置における膜厚がほぼ均一になるように形成してもよい。すなわち、第2の絶縁層PAS2は、画素電極PXおよびブリッジ配線BRを形成する面に段差があってもよい。
【0060】
また、第2の絶縁層PASを形成するときには、たとえば、ソース電極SD2の上、対向電極CTの角部、および保持容量線CLの上などにスルーホールTH1,TH2,TH3を形成しておく。
【0061】
また、画素電極PXおよびブリッジ配線BRは、たとえば、ITOなどの透明な導電膜の成膜およびエッチングをして形成する。このとき、画素電極PXは、TFT素子4のソース電極SD2とスルーホールTH1により接続される。またこのとき、画素電極PXは、一般に櫛歯状と呼ばれる平面形状になっており、平面でみて対向電極CTと重なる部分に複数本のスリットが形成される。
【0062】
また、ブリッジ配線BRは、走査信号線GLと交差するように配置され、当該走査信号線GLを挟んで隣接する2つの対向電極CTのうちの一方の対向電極CTとスルーホールTH2により接続され、他方の対向電極CT(保持容量線CL)とスルーホールTH3により電気的に接続される。
【0063】
画素電極PXおよびブリッジ配線BRの上には、配向膜ORIが配置される。
【0064】
またこのとき、第1の表示領域3aにおいて映像信号線DLの延在方向(y方向)で隣接する2つの画素の平面レイアウトは、たとえば、左右を反転させた関係になっている。なお、図3(a)に示した例では、画素電極PXのスリットの向きも左右を反転させた関係になっているが、これに限らず、スリットの向きが同じ向きになっていてもよい。
【0065】
なお、当然のことではあるが、各走査信号線GLの間隔GLsは、すべて等間隔である。
【0066】
また、図示は省略するが、第2の表示領域3bの中央付近における画素の平面レイアウトは、たとえば、図3(a)に示した平面レイアウトの上下を反転させたようなレイアウトになる。
【0067】
一方、境界線BLを挟んで隣接する、第1の表示領域3aの画素と第2の表示領域3bの画素の平面レイアウトは、たとえば、図3(e)のようになる。なお、図3(e)は、当該2つの画素の配列が図1(d)に示したような線対称の関係の場合の平面レイアウトである。
【0068】
このとき、当然のことではあるが、第1の表示領域3aにおいて境界線BLに最も近い走査信号線GLと境界線BLとの間隔(距離)と、第2の表示領域3bにおいて境界線BLに最も近い走査信号線GLと境界線BLとの間隔(距離)とは、第1の表示領域3aにおける2本の隣接する走査信号線GLの間隔GLsと等間隔である。
【0069】
また、境界線BLが通る部分には、走査信号線GLおよび保持容量線CLが配置されていないので、第1の表示領域3aの画素の対向電極CTと第2の表示領域3bの画素の対向電極CTとは、直接接続、すなわち一体に形成することが可能であり、ブリッジ配線BRによる接続が不要である。このとき、第1の表示領域3aの画素の対向電極CTと第2の表示領域3bの画素の対向電極CTとを接続する部分は、たとえば、図3(e)に示したように、対向電極CTとして機能する部分よりも細くすることが望ましい。このようにすることで、第1の表示領域3aの画素の対向電極CTと第2の表示領域3bの画素の対向電極CTとの接続部における配線抵抗と、ブリッジ配線BRを介した対向電極CT間の接続部における配線抵抗とをおおむね等しくすることができ、各画素の対向電極CTの電位を安定化させることができる。
【0070】
なお、本実施例では、本発明を適用した液晶表示パネルのTFT基板の構成の一例として、図3(a)乃至図3(e)に示したような構成を挙げたが、これに限らず、本発明は、種々の構成のTFT基板に適用できる。
【0071】
図4(a)および図4(b)、図5(a)および図5(b)は、本実施例の液晶表示パネルにおける別の作用効果の一例を説明するための模式図である。図4(a)は、液晶表示パネルを対向基板側からみたときの第1の表示領域3aの中央付近における画素の平面構成の一例を示す模式平面図である。図4(b)は、図4(a)に示したD−D’線における液晶表示パネルの断面構成の一例を示す模式平面図である。図5(a)は、液晶表示パネルを対向基板側からみたときの境界線を挟んで隣接する2つの画素の平面構成の一例を示す模式平面図である。図5(b)は、図5(a)に示したE−E’線における液晶表示パネルの断面構成の一例を示す模式平面図である。なお、図4(a)および図4(b)、図5(a)および図5(b)には、図3(a)乃至図3(e)に示した構成のTFT基板を用いた液晶表示パネルにおける平面構成および断面構成の一例を示している。また、図4(a)は、図3(a)に示した領域と同じ領域を対向基板側からみた平面図を示しており、図5(a)は、図3(e)に示した領域と同じ領域を対向基板側からみた平面図を示している。また、図4(b)および図5(b)は、偏光板や位相差板などを省略している。また、図4(a)および図5(a)に示したx方向およびy方向は、それぞれ、図1(a)に示したx方向およびy方向と一致する方向である。
【0072】
液晶表示パネル1は、TFT基板7と対向基板8の間に液晶材料9を封入した表示パネルであり、TFT基板7は、たとえば、図3(a)乃至図3(e)に示したような構成になっている。このとき、対向基板8は、たとえば、図4(a)および図4(b)に示すように、ガラス基板などの絶縁基板SUBの表面(TFT基板7と対向する面)に、遮光膜(ブラックマトリクス)BM、カラーフィルタCF、オーバーコート層OC、配向膜ORIなどが配置されている。
【0073】
遮光膜BMは、遮光性の高い導電膜または絶縁膜で形成されており、表示領域3における平面形状は、一般に、走査信号線GLと対向する位置および映像信号線DLと対向する位置に延在する網目状になっている。このとき、遮光膜BMのうちの、走査信号線GLと対向する位置に延在している各部分は、走査信号線GLと同じ間隔GLsで並んでおり、かつ、映像信号線DLの延在方向(y方向)の寸法(幅)BMwはおおむね等しい。すなわち、各画素の開口領域(光が透過する領域)のy方向の寸法OAyはおおむね等しい。
【0074】
ところが、本実施例の液晶表示パネル1の場合、境界線BLを挟んで隣接する第1の表示領域3aの画素と第2の表示領域3bの画素の間(すなわち境界線BL上)には、たとえば、図3(e)に示したように、走査信号線GLやTFT素子4が配置されていない。このような液晶表示パネル1の場合、一般に、境界線BL上には遮光膜BMを延在させる必要がない。
【0075】
しかしながら、境界線BL上に遮光膜BMがないと、境界線BLを挟んで隣接する第1の表示領域3aの画素の開口領域と第2の表示領域3bの画素の開口領域は、1つの連続した開口領域になり、当該2つの画素の開口率が、他の画素の開口率よりも大きくなる。そのため、境界部分において、たとえば、輝度の違いなどにより第1の表示領域3aと第2の表示領域3bとの継ぎ目が目立ち、画質が低下する可能性がある。
【0076】
そこで、本実施例の液晶表示パネルでは、遮光膜BMを形成するときに、たとえば、図5(a)および図5(b)に示すように、境界線BL上にも延在するように形成する。このとき、遮光膜BMのうちの境界線BLと重なる部分は、映像信号線DLの延在方向(y方向)の寸法(幅)が、走査信号線GLと対向する位置に延在する部分のy方向の寸法BMwとおおむね等しくなるようにする。またこのとき、遮光膜BMの境界線BLと重なる部分は、境界線BLを挟んで隣接する第1の表示領域3aの画素の開口領域および第2の表示領域3bの画素の開口領域のy方向の寸法が、他の画素の開口領域のy方向の寸法OAyと等しくなるようにする。
【0077】
このようにすれば、境界線BLを挟んで隣接する2つの画素の開口率が、他の画素の開口率とおおむね等しくなり、輝度の違いなどによる画質の低下を防ぐことができる。
【0078】
また、本実施例の液晶表示パネル1は、TFT基板7における第1の表示領域3aと第2の表示領域3bとの境界部分の構成が、たとえば、図3(e)に示したような構成になっており、境界線BLの周辺には走査信号線GLや保持容量線CL、TFT素子4などが配置されていない。そのため、遮光膜BMの、境界線BLと重なる部分のy方向の寸法を、走査信号線GLと対向する部分の寸法BMwと合わせることは容易である。
【0079】
以上説明したように、本実施例の液晶表示パネルによれば、たとえば、ドット反転方式で映像や画像を表示する際に、映像信号線に加える信号を生成するドライバ回路の負荷を軽減し、発熱による故障や動作不良を低減できる。また、ドット反転方式で映像や画像を表示することで、縦スメアやフリッカなどの発生を抑えることができ、当該縦スメアなどによる画質の低下を防ぐことができる。
【0080】
また、本実施例の液晶表示パネルによれば、1つの表示領域を上下に2分割し、それぞれの表示領域に並行して映像や画像を表示する際に、第1の表示領域と第2の表示領域との境界部分(継ぎ目)が目立たないようにすることができる。
【0081】
以上、本発明を、前記実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々変更可能であることはもちろんである。
【0082】
たとえば、前記実施例では、本発明を適用した液晶表示パネルの一例として、たとえば、図3(a)乃至図3(e)に示したような構成のTFT基板を有する液晶表示パネルを挙げている。しかしながら、本発明は、これに限らず、他の構成の液晶表示パネルにも適用可能であることはもちろんである。すなわち、本発明は、たとえば、画素電極および対向電極がTFT基板側に配置されており、かつ、絶縁層の同一面上に並べて配置されている液晶表示パネルにも適用できる。また、本発明は、画素電極がTFT基板側に配置され、対向電極が対向基板側に配置されている液晶表示パネルにも適用できる。
【0083】
また、前記実施例では、液晶表示パネルを例に挙げている。しかしながら、本発明は、液晶表示パネルに限らず、液晶表示パネルと同様の構成および原理で映像や画像を表示する他の表示パネルにも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1(a)】本実施例の液晶表示装置における液晶表示パネルおよびドライバ回路の概略構成の一例を示す模式平面図である。
【図1(b)】液晶表示パネルの表示領域における1つの画素の回路構成の一例を示す模式回路図である。
【図1(c)】2分割された表示領域のうちの一方の表示領域の中央付近における画素の配列方法の一例を示す模式回路図である。
【図1(d)】1つの表示領域を2分割する境界線を挟んで隣接する2つの画素の配列方法の一例を示す模式回路図である。
【図1(e)】1つの表示領域を2分割する境界線を挟んで隣接する2つの画素の配列方法の別の例を示す模式回路図である。
【図2(a)】各画素の配列が図1(c)および図1(d)に示したような配列の場合の駆動方法の一例を示す模式図である。
【図2(b)】各画素の配列が図1(c)および図1(e)に示したような配列の場合の駆動方法の一例を示す模式図である。
【図3(a)】TFT基板における第1の表示領域3aの中央付近における画素の平面構成の一例を示す模式平面図である。
【図3(b)】図3(a)に示したA−A’線におけるTFT基板の断面構成の一例を示す模式平面図である。
【図3(c)】図3(a)に示したB−B’線におけるTFT基板の断面構成の一例を示す模式平面図である。
【図3(d)】図3(a)に示したC−C’線におけるTFT基板の断面構成の一例を示す模式平面図である。
【図3(e)】TFT基板における境界線を挟んで隣接する2つの画素の平面構成の一例を示す模式平面図である。
【図4(a)】液晶表示パネルを対向基板側からみたときの第1の表示領域3aの中央付近における画素の平面構成の一例を示す模式平面図である。
【図4(b)】図4(a)に示したD−D’線における液晶表示パネルの断面構成の一例を示す模式平面図である。
【図5(a)】液晶表示パネルを対向基板側からみたときの境界線を挟んで隣接する2つの画素の平面構成の一例を示す模式平面図である。
【図5(b)】図5(a)に示したE−E’線における液晶表示パネルの断面構成の一例を示す模式平面図である。
【符号の説明】
【0085】
1…液晶表示パネル 2a…第1のドライバ回路 2b…第2のドライバ回路 2c…第3のドライバ回路 2d…第4のドライバ回路 3…1つの表示領域 3a…第1の表示領域 3b…第2の表示領域 4…TFT素子 5…画素容量 6…保持容量 7…TFT基板 8…対向基板 9…液晶材料 GL…走査信号線 DL…映像信号線 CL…保持容量線 BR…ブリッジ配線 SUB…絶縁基板 CT…対向電極 PAS1…第1の絶縁層 SC…半導体層 SD1…ドレイン電極 SD2…ソース電極 PAS2…第2の絶縁層 PX…画素電極 ORI…配向膜 BM…遮光膜 CF…カラーフィルタ OC…オーバーコート層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の基板と第2の基板との間に液晶材料を封入した液晶表示パネルを有し、
前記第1の基板は、複数本の走査信号線、複数本の映像信号線、複数個のTFT素子、複数個の画素電極、複数個の共通電極およびドライバを有し、
前記液晶表示パネルは、前記TFT素子および前記画素電極を有する画素の集合で設定される1つの表示領域を有する液晶表示装置であって、
前記1つの表示領域は、前記走査信号線の延在方向と一致する境界線により第1の表示領域と第2の表示領域に分割されており、
前記第1の表示領域に属する画素の前記TFT素子のソースまたはドレインが接続している映像信号線と、前記第2の表示領域に属する画素の前記TFT素子のソースまたはドレインが接続している映像信号線とは、電気的に絶縁されており、
前記第1の表示領域において前記映像信号線の延在方向に沿って並んだ複数個の画素の列、および前記第2の表示領域において前記映像信号線の延在方向に沿って並んだ複数個の画素の列には、それぞれ、2本の隣接する映像信号線のうちの一方の映像信号線に前記TFT素子のソースまたはドレインが接続している画素と、前記2本の隣接する映像信号線のうちの他方の映像信号線に前記TFT素子のソースまたはドレインが接続している画素とが、交互に並んでおり、
前記境界線を挟んで対向する二つの前記対向電極を接続し、前記対向電極と一体形成される接続部を含み、
前記第1の表示領域または前記第2の表示領域のいずれか一方に含まれる二つの前記対向電極を、スルーホールを介して接続するブリッジ配線を含むことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記境界線を挟んで隣接する前記第1の表示領域に属する画素と前記第2の表示領域に属する画素とは、前記第1の基板上における当該各画素の前記TFT素子および前記画素電極の配置位置の関係が、前記境界線を対称軸とする線対称の関係になっていることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記ドライバは、前記第1の表示領域を通る複数本の映像信号線、および前記第2の表示領域を通る複数本の映像信号線に、それぞれ、1フレーム期間中、常に同じ極性の信号を加え、
1フレーム期間中に前記第1の表示領域を通る複数本の映像信号線、および前記第2の表示領域を通る複数本の映像信号線に加える前記信号は、それぞれ、同じ表示領域において隣接する2本の映像信号線に加える信号の極性が互いに反対の極性であり、かつ、
前記境界線を挟んで対向する2本の映像信号線に加える信号の極性が互いに反対の極性であることを特徴とする請求項2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記境界線を挟んで隣接する前記第1の表示領域に属する画素と前記第2の表示領域に属する画素とは、前記第1の基板上における当該各画素の前記TFT素子および前記画素電極の配置位置の関係が、前記境界線のうちの当該2つの画素を分割する線分の中心を対称の中心とする点対称の関係になっていることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記ドライバは、前記第1の表示領域を通る複数本の映像信号線、および前記第2の表示領域を通る複数本の映像信号線に、それぞれ、1フレーム期間中、常に同じ極性の信号を加え、
1フレーム期間中に前記第1の表示領域を通る複数本の映像信号線、および前記第2の表示領域を通る複数本の映像信号線に加える前記信号は、それぞれ、同じ表示領域において隣接する2本の映像信号線に加える信号の極性が互いに反対の極性であり、かつ、
前記境界線を挟んで対向する2本の映像信号線に加える信号の極性が同じ極性であることを特徴とする請求項4に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記第1の表示領域に属する画素の前記TFT素子のゲート、および前記第2の表示領域に属する画素の前記TFT素子のゲートは、それぞれ、当該画素の画素電極よりも、前記TFT素子のソースまたはドレインが接続している映像信号線の信号入力端側に位置する走査信号線に接続していることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項7】
前記第2の基板は、前記第1の基板の前記複数本の走査信号線および前記複数本の映像信号線に対向する位置、および前記境界線が通る位置に延在する網目状の遮光膜を有し、
前記遮光膜のうちの、前記境界線が通る位置に延在する部分の前記映像信号線の延在方向に沿った寸法が、前記走査信号線に対向する位置に延在する部分の前記映像信号線の延在方向に沿った寸法とおおむね等しいことを特徴とする請求項6に記載の液晶表示装置。
【請求項8】
前記接続部の幅は、前記対向電極の幅よりも細いことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の液晶表示装置。

【図1(a)】
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【図1(b)】
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【図1(c)】
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【図1(d)】
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【図1(e)】
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【図2(a)】
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【図2(b)】
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【図3(a)】
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【図3(b)】
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【図3(c)】
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【図3(d)】
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【図3(e)】
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【図4(a)】
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【図4(b)】
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【図5(a)】
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【図5(b)】
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【公開番号】特開2013−92785(P2013−92785A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−270549(P2012−270549)
【出願日】平成24年12月11日(2012.12.11)
【分割の表示】特願2007−268828(P2007−268828)の分割
【原出願日】平成19年10月16日(2007.10.16)
【出願人】(502356528)株式会社ジャパンディスプレイイースト (2,552)
【出願人】(506087819)パナソニック液晶ディスプレイ株式会社 (443)
【Fターム(参考)】