説明

液晶表示装置

それぞれの吸収軸がたがいに略垂直の位置関係にある一対の偏光子の間に、少なくとも(A)、(B)2枚の光学異方体及び液晶セルを有する液晶表示装置であって、波長550nmの光で測定した前記(A)及び(B)それぞれの面内の遅相軸方向の屈折率をnxA及びnxB、これと面内で直交する方向の屈折率をnyA及びnyB、厚さ方向の屈折率をnzA及びnzBとしたとき、nzA>nyA、かつ、nzB>nyBであり、前記(A)、(B)両面内の遅相軸がたがいに略平行又は略垂直の位置関係にあり、(A)の面内の遅相軸が近傍に配置されている方の偏光子の吸収軸と略平行又は略垂直の位置関係にある。反射防止性や傷つき性及び耐久性に優れ、視野角が広く、どの方向から見ても均質な表示と高いコントラストが得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置に関する。さらに詳しくは、本発明は、反射防止性や傷つき性及び耐久性に優れ、画面をどの方向から見ても均質な表示で高いコントラストを有する液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、高画質、薄型、軽量、低消費電力などの特徴をもち、テレビジョン、パーソナルコンピューター、カーナビゲーターなどに広く用いられている。これまで、液晶表示装置は、その画面を斜め方向から観察した際に、明るさ、色、コントラストなどが大きく変化するために、画面が見にくくなる問題が指摘されてきた。
この問題を解決するため、液晶セルの設計自体を改良する手法が検討され、その一つに、インプレーンスイッチングモードの液晶表示装置が考案された(例えば、特許文献1)。この方式によると、他のモードの液晶表示装置と比較した場合、視野角は向上する。しかしながら、この方式においては、液晶セル中の液晶分子に起因した視野角の悪化現象は比較的解消されているものの、観察角度によっては偏光板の配置がクロスニコル配置からずれ、これが要因で光漏れが発生して視野角が低下する現象が起きる。加えて、前記液晶セル中の液晶分子に起因した視野角の狭さについても未だ改善の余地がある。このために、インプレーンスイッチングモードの液晶表示装置に光学補償手段を加えて、画面のコントラストの低下を防止する試みがなされている。
例えば、インプレーンスイッチングモードの液晶表示装置に、液晶セルと少なくとも一方の偏光板との間に光学補償シートが配置され、該光学補償シートが光学的に負の一軸性を有し、かつその光軸が該シート面に対して平行である液晶表示装置が提案されている(特許文献2)。
また、別のインプレーンスイッチングモードの液晶表示装置として、第1偏光板、光学補償フィルム、第1基板、液晶層、第2基板、第2偏光板をこの順序で配置し、偏光板の一方が液晶層の黒表示時に液晶遅相軸に対して平行な透過軸を有し、光学補償フィルムが有するフィルム遅相軸と偏光板の一方が有する透過軸とが形成する角度が0〜2°又は88〜90°である液晶表示装置が提案されている(特許文献3)。
しかし、これらの手段によっても、どの方向から見ても均質で高いコントラストを有する液晶表示装置を得るにはまだ不十分でありさらなる改善が求められている。
【0003】
【特許文献1】特開平7−261152号公報
【特許文献2】特開平10−054982号公報
【特許文献3】特開平11−305217号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、反射防止性や傷つき性及び耐久性に優れ、視野角が広く、どの方向から見ても均質な表示で高いコントラストが得られる液晶表示装置を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の屈折率を有する光学異方体層を含む2層を液晶セル及び偏光子に対して特定の位置関係に配置することにより、コントラストの低下を防止して、視野角が広く、高いコントラストを有する液晶表示装置が得られることを見出し、さらに、波長550nmの光で測定した面内の遅相軸方向の屈折率をn、面内の遅相軸と面内で直交する方向の屈折率をn、厚さ方向の屈折率をnとしたとき、n>nである光学異方体(A)とn>nである光学異方体(B)とを、液晶セル及び偏光子に対して特定の位置関係に配置することにより、コントラストの低下を防止して、視野角が広く、高いコントラストを有するインプレーンスイッチングモードの液晶表示装置が得られることを見いだし、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)それぞれの吸収軸がたがいに略垂直の位置関係にある出射側偏光子及び入射測偏光子から構成される一対の偏光子の間に、少なくとも光学異方体(A)、光学異方体(B)及び液晶セルを有するインプレーンスイッチングモードの液晶表示装置であって、波長550nmの光で測定した前記光学異方体(A)及び光学異方体(B)それぞれの面内の遅相軸方向の屈折率をnxA及びnxB、面内の遅相軸と面内で直交する方向の屈折率をnyA及びnyB、厚さ方向の屈折率をnzA及びnzBとしたとき、nzA>nyA、かつ、nzB>nyBであり、前記光学異方体(A)の面内の遅相軸と光学異方体(B)の面内の遅相軸とが略平行又は略垂直の位置関係にあり、光学異方体(A)の面内の遅相軸が近傍に配置されている方の偏光子の吸収軸と略平行又は略垂直の位置関係にあることを特徴とする液晶表示装置、
(2)nxAとnzAの差の絶対値が0.003以下であり、かつ、nxBとnzBの差の絶対値が0.003以下である(1)記載の液晶表示装置、
(3)nxAとnzAの差の絶対値が0.003以下であり、かつ、nxB>nzBである(1)記載の液晶表示装置、
(4)出射側偏光子の吸収軸が電圧無印加状態の液晶セルの、液晶の面内の遅相軸と平行の位置関係にあり、光学異方体(A)と光学異方体(B)が、液晶セルと入射側偏光子との間に配置され、かつ、光学異方体(A)と光学異方体(B)の面内の遅相軸が略垂直の位置関係にある(1)又は(2)記載の液晶表示装置、
(5)光学異方体(B)の面内の遅相軸が、電圧無印加状態の液晶セルの面内の遅相軸と略垂直の位置関係にあり、光学異方体(A)が液晶セル側に配置されてなる(4)記載の液晶表示装置、
(6)出射側偏光子の吸収軸が電圧無印加状態の液晶セルの、液晶の面内の遅相軸と平行の位置関係にあり、光学異方体(A)と光学異方体(B)が、液晶セルと出射側偏光子との間に配置され、かつ、光学異方体(A)と光学異方体(B)の面内の遅相軸が略垂直の位置関係にある(1)又は(2)記載の液晶表示装置、
(7)光学異方体(B)の面内の遅相軸が、電圧無印加状態の液晶セルの面内の遅相軸と略垂直の位置関係にあり、光学異方体(B)が液晶セル側に配置されてなる(6)記載の液晶表示装置、
(8)出射側偏光子の吸収軸が電圧無印加状態の液晶セルの、液晶の面内の遅相軸と平行の位置関係にあり、光学異方体(A)と光学異方体(B)が、液晶セルと入射側偏光子との間、及び、液晶セルと出射側偏光子との間に別々に配置されてなる(1)又は(2)記載の液晶表示装置、
(9)光学異方体(B)の面内の遅相軸が、電圧無印加状態の液晶セルの面内の遅相軸と略垂直の位置関係にあり、光学異方体(A)が液晶セルと出射側偏光子との間に配置されてなる(8)記載の液晶表示装置、
(10)出射側偏光子の吸収軸が電圧無印加状態の液晶セルの、液晶の面内の遅相軸と平行の位置関係にあり、光学異方体(A)と光学異方体(B)とが、液晶セルと入射側偏光子との間、又は、液晶セルと出射側偏光子との間のいずれかに配置され、かつ、光学異方体(A)の面内の遅相軸が、電圧無印加状態の液晶セルの面内の遅相軸と略垂直の位置関係にある(1)又は(3)記載の液晶表示装置、
(11)光学異方体(A)が液晶セル側に配置されてなる(10)記載の液晶表示装置、
(12)出射側偏光子の吸収軸が電圧無印加状態の液晶セルの、液晶の面内の遅相軸と平行の位置関係にあり、光学異方体(A)と光学異方体(B)が、液晶セルと入射側偏光子との間、及び、液晶セルと出射側偏光子との間に、別々に配置されてなり、光学異方体(A)の面内の遅相軸が、電圧無印加状態の液晶セルの面内の遅相軸と略垂直の位置関係にある(1)又は(3)記載の液晶表示装置、及び、
(13)光学異方体(A)及び光学異方体(B)が、次の(i)〜(iii)のいずれかの層より選ばれたものからなることを特徴とする(1)〜(12)のいずれか1項に記載の液晶表示装置、
(i)固有複屈折値が負である材料を含む層
(ii)ディスコティック液晶分子又はライオトロピック液晶分子を含む層
(iii)光異性化物質を含む層
を提供するものである。
さらに、本発明の好ましい態様として、
(14)それぞれの透過軸がたがいに略垂直の位置関係にある一対の偏光子の間に少なくとも光学異方体(A)、光学異方体(B)及び液晶セルを有する液晶表示装置であって、光学異方体(A)及び光学異方体(B)が、固有複屈折値が負である材料層からなり、光学異方体(A)の面内の遅相軸と光学異方体(B)の面内の遅相軸とが略平行又は略垂直の位置関係にあり、光学異方体(A)の面内の遅相軸が近傍に配置されている方の偏光子の透過軸とほぼ平行又は略垂直の位置関係にあることを特徴とする液晶表示装置、
(15)それぞれの、透過軸がたがいに略垂直の位置関係にある出射側偏光子及び入射側偏光子から構成される一対の偏光子の間に少なくとも光学異方体(A)、光学異方体(B)及び液晶セルを有する液晶表示装置であって、光学異方体(A)及び光学異方体(B)が、透明ポリマーフィルムに液晶化合物が垂直配向した状態で固定化されたものからなり、波長550nmの光で測定した前記光学異方体(A)及び光学異方体(B)それぞれの面内の遅相軸方向の屈折率をnxA及びnxB、面内の遅相軸と面内で直交する方向の屈折率をnyA及びnyB、厚さ方向の屈折率をnzA及びnzBとしたとき、nzA>nyA、かつ、nzB>nyBであり、前記光学異方体(A)の面内の遅相軸と光学異方体(B)の面内の遅相軸とが略平行又は略垂直の位置関係にあり、光学異方体(A)の面内の遅相軸が近傍に配置されている方の偏光子の吸収軸と略平行又は略垂直の位置関係にあることを特徴とする液晶表示装置、及び
(16)それぞれの、透過軸がたがいに略垂直の位置関係にある出射側偏光子及び入射側偏光子から構成される一対の偏光子の間に少なくとも光学異方体(A)、光学異方体(B)及び液晶セルを有する液晶表示装置であって、光学異方体(A)及び光学異方体(B)が、透明ポリマーフィルムに液晶化合物が垂直配向した状態で固定化されたものからなり、光学異方体(B)は、波長550nmの光で測定した面内の遅相軸方向の屈折率をnxB、面内の遅相軸と面内で直交する方向の屈折率をnyB、厚さ方向の屈折率をnzBとしたとき、nxB>nzB>nyBであり、前記光学異方体(A)の面内の遅相軸と光学異方体(B)の面内の遅相軸とが略平行又は略垂直の位置関係にあり、光学異方体(A)の面内の遅相軸が近傍に配置されている方の偏光子の透過軸と略平行又は略垂直の位置関係にあることを特徴とする液晶表示装置、
などが挙げられる。
【発明の効果】
【0006】
本発明の液晶表示装置は、反射防止性や傷つき性及び耐久性に優れ、視野角が広く、どの方向から見ても均質な表示で高いコントラストを有するので、大画面のフラットパネルディスプレイなどとして、好適に用いることができる。
【0007】
本発明において、コントラスト(CR)とは、液晶表示装置の暗表示時の輝度をYOFF、明表示時の輝度をYONとしたとき、コントラスト(CR)=YON/YOFFで表されるものをいう。コントラストが大きいほど、視認性がよい。ここで、明表示とは該液晶表示の明るさが最も明るい状態、暗表示とは該液晶表示の明るさが最も暗い状態を指す。本発明において、極角とは、液晶表示画面を観察する際に、正面方向から傾けてみたときの角度をいう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の液晶表示装置はそれぞれの透過軸がたがいに略垂直の位置関係にある一対の偏光子の間に少なくとも光学異方体(A)、光学異方体(B)及び液晶セルを有する液晶表示装置であって、光学異方体(A)及び光学異方体(B)が、特定の屈折率を有する層からなり、光学異方体(A)の面内の遅相軸と光学異方体(B)の面内の遅相軸とが略平行又は略垂直の位置関係にあり、光学異方体(A)の面内の遅相軸が近傍に配置されている方の偏光子の透過軸とほぼ平行又は略垂直の位置関係にあることを特徴とする。また、本発明の液晶表示装置においては、波長550nmの光で測定した光学異方体(A)及び光学異方体(B)の面内の遅相軸方向の屈折率をnxA及びnxB、面内の遅相軸と面内で直交する方向の屈折率をnyA及びnyB、厚さ方向の屈折率をnzA及びnzBとしたとき、nzA>nyA、かつ、nzB>nyBであることが好ましい。さらに、nzA−nyA、及び、nzB−nyBが0.00001以上であることがより好ましく、nzA−nyA、及び、nzB−nyBが0.00003以上であることがさらに好ましい。nzA≦nyA又はnzB≦nyBであると、液晶表示装置のコントラストが光学異方体を配置しないときよりも低下するおそれがある。
【0009】
本発明においては、(I)nxAとnzAとの差の絶対値及びnxBとnzBの差の絶対値0.003以下、好ましくは0.002以下、より好ましくは0.001以下、さらに好ましくは0.0008以下であり(以下、「好ましい態様1」と記す)、特に好ましくは0.0005以下である。又は(II)nxAとnzAの差の絶対値が0.003以下及びnxB>nzBであることが好ましく、nxAとnzAの差の絶対値が0.0005以下及びnxB>nzBであることがより好ましい。又、nxAとnzAの差の絶対値が0.001以下及びnxB−nzBが0.00001以上であることがさらに好ましく、nxAとnzAの差の絶対値が0.0008以下及びnzB−nyBが0.00003以上であることが特に好ましい(以下、「好ましい態様2」と記す)。前記屈折率が上記関係を満たさないと、液晶表示装置のコントラストが光学異方体を配置しないときよりも低下するおそれがある。
【0010】
本発明に用いる光学異方体(A)及び光学異方体(B)は、(i)固有複屈折値が負である材料を含む層、(ii)ディスコティック液晶又はライオトロピック液晶を含む層、(iii)光異性化物質を含む層より選ばれたものからなることが好ましい。その場合、光学異方体(A)と光学異方体(B)とが、(i)〜(iii)のうち、異なる層の組合せであっても、同一の層の組合せであってもよい。
【0011】
(i)固有複屈折値が負である材料を含む層
固有複屈折値が負である材料とは、一軸性の秩序をもって分子が配向した層に光が入射したとき、前記配向方向の光の屈折率が前記配向方向に直交する方向の光の屈折率より小さくなるものをいう。
【0012】
固有複屈折値が負である材料としては、ビニル芳香族系重合体、ポリアクリロニトリル系重合体、ポリメチルメタクリレート系重合体、セルロースエステル系重合体、これらの多元共重合体などを挙げることができる。これらの固有複屈折値が負である材料は、1種を単独で用いることができ、あるいは、2種以上を組合せて用いることもできる。これらの中で、ビニル芳香族系重合体、ポリアクリロニトリル系重合体及びポリメチルメタクリレート系重合体を好適に用いることができ、ビニル芳香族系重合体は、複屈折発現性が高いので特に好適に用いることができる。
【0013】
ビニル芳香族系重合体としては、例えば、ポリスチレン、又は、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン、p−ニトロスチレン、p−アミノスチレン、p−カルボキシスチレン、p−フェニルスチレンなどのビニル芳香族単量体と、エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン、(メタ)アクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、酢酸ビニルなどのその他の単量体との共重合体などを挙げることができる。これらの中で、ポリスチレン又はスチレンと無水マレイン酸との共重合体を好適に用いることができる。
【0014】
本発明において、固有複屈折値が負である材料には、必要に応じて、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、分散剤、塩素捕捉剤、難燃剤、結晶化核剤、ブロッキング防止剤、防曇剤、離型剤、顔料、有機又は無機の充填材、中和剤、滑剤、分解剤、金属不活性化剤、汚染防止剤、抗菌剤やその他の樹脂、熱可塑性エラストマーなどの公知の添加剤を発明の効果が損なわれない範囲で添加することができる。
【0015】
固有複屈折値が負である材料を含む層は、他の材料を含んでいてもよいが、好ましくは、固有複屈折値が負である材料からなる層である。さらに、固有複屈折値が負である材料からなる層の少なくとも片面に他の材料からなる層を積層した積層体であることが好ましく、固有複屈折値が負である材料からなる層の両面に他の材料からなる層を積層した積層体であることが特に好ましい。
【0016】
前記固有複屈折値が負である材料からなる層、及び、固有複屈折値が負である材料からなる層の少なくとも片面に他の材料からなる層からなる層を積層した積層体を製造する方法としては、特に制限はなく、例えば、溶液流延法や射出成形法や溶融押出法などの従来公知の方法が挙げられる。
【0017】
固有複屈折値が負である材料からなる層は、固有複屈折値が負である材料からなる層が配向した層であることが好ましい。さらに、加工性能に優れ、光学異方体(A)及び光学異方体(B)を効率良く容易に形成できる観点及び長期に渡って安定で均質な位相差を有することができる観点から、固有複屈折値が負である材料からなる層の少なくとも片面に他の材料からなる層を積層した積層体が配向した層であることが好ましく、固有複屈折値が負である材料からなる層の両面に他の材料からなる層を積層した積層体が配向した層であることが特に好ましい。この場合、他の材料からなる層は、固有複屈折値が負である材料からなる層の位相差を効率的に利用する観点から、実質的に無配向であることが好ましい。他の材料からなる層が、実質的に無配向であると、n>n、かつ、nとnの差の絶対値が0.003以下である光学異方体を効率良く容易に形成させることができる。
【0018】
前記固有複屈折値が負である材料からなる層が配向した層、及び、固有複屈折値が負である材料からなる層の少なくとも片面に他の材料からなる層を積層した積層体が配向した層を製造する方法としては、特に制限されないが、光学異方体の厚さ方向の屈折率を均一に効率良く制御する観点から、固有複屈折値が負である材料からなる層を延伸する方法が好ましい。
また、光学異方体の面内屈折率を制御する観点から、前記延伸した固有複屈折値が負である材料からなる層に他の延伸フィルムをさらに積層する方法も好ましい。固有複屈折値が負である材料からなる層に他の延伸フィルムをさらに積層すると、n>n、かつ、n>nである光学異方体を効率良く容易に形成させることができる。
さらに、固有複屈折値が負である材料からなる層は、その両側に、接着性樹脂層を介して他の材料からなる層を積層した積層体とする構成が好ましい。これにより、強度が低く単独では延伸が困難な固有複屈折値が負である材料からなる層であっても、複屈折が発現しやすい温度で、延伸が可能となり、破断することなく、生産性よく、層全面に渡って均質な位相差を有する光学異方体(A)及び光学異方体(B)を得ることができる。
【0019】
前記固有複屈折値が負である材料からなる層が配向した層、及び、固有複屈折値が負である材料からなる層の少なくとも片面に他の材料からなる層を積層した積層体が配向した層の延伸方法は特に制限はなく、従来公知の方法を適用し得る。具体的には、ロール側の周速の差を利用して縦方向に一軸延伸する方法、テンターを用いて横方向に一軸延伸する方法等の一軸延伸法;固定するクリップの間隔が開かれて縦方向の延伸と同時にガイドレールの広がり角度により横方向に延伸する同時二軸延伸法や、ロール間の周速の差を利用して縦方向に延伸した後にその両端部をクリップ把持してテンターを用いて横方向に延伸する逐次二軸延伸法などの二軸延伸法;横又は縦方向に左右異なる速度の送り力若しくは引張り力又は引取り力を付加できるようにしたテンター延伸機や、横又は縦方向に左右等速度の送り力若しくは引張り力又は引取り力を付加できるようにして、移動する距離が同じで延伸角度θを固定できるようにした若しくは移動する距離が異なるようにしたテンター延伸機を用いて斜め延伸する方法:が挙げられる。
【0020】
上記のように、固有複屈折値が負である材料からなる層を延伸することで、或いは、固有複屈折値が負である材料からなる層の少なくとも片面に他の材料からなる層を積層した積層体を延伸することで、これらの層の延伸方向と直交する方向の屈折率が大きく、延伸方向の屈折率が小さくなり、均質な位相差を有する光学異方体(A)及び光学異方体(B)が効率的に好ましく作られる。
【0021】
(ii−1)ディスコティック液晶分子を含む層
ディスコティック液晶分子としては、種々の文献[例えば、C.Desrade et al.,Mol.Crysr.Liq.Cryst.,vol.71,111頁(1981年)に記載されているベンゼン誘導体や、B.Kohneらの研究報告、Angew.Chem.96巻,70頁(1984)に記載されたシクロヘキサン誘導体及びJ.M.Lehnらの研究報告、J.Chem.Commun.,1794頁(1985年)、J.Zhangらの研究報告、J.Am.Chem.Soc.116巻,2655頁(1994年)]に記載されているアザクラウン系やフェニルアセチレン系マクロサイクルなどが挙げられ、一般的にこれらを分子中心の母核として、直鎖のアルキル基やアルコキシ基、置換ベンゾイルオキシ基などがその直鎖として放射状に置換された構造を持っている。このようなディスコティック液晶の具体例を下記式(1)及び(2)に示す。
【0022】

ただし、式(1)において、Rは以下の式(i)〜(iii)のうちのいずれかの基を示す。


ただし、式(2)において、Rは以下のA〜F式のうちのいずれかの基をあらわす。


【0023】
ディスコティック液晶分子を含む層は、光学異方体(A)及び光学異方体(B)を効率良く容易に形成できる観点及び長期に渡って安定で均質な位相差を有することができる観点から、ディスコティック液晶分子が基材面に対して実質的に垂直配向した層からなることが好ましい。実質的に垂直配向とは、ディスコティック液晶分子が基材面に対して50〜90°の範囲の平均傾斜角で配向していることを言う。基材には、ガラスや樹脂等からなるフィルムや板状物が挙げられる。軽量化、薄型化、製造効率等の観点から、ディスコティック液晶分子を含む層は、ディスコティック液晶分子が本発明に用いる偏光子や一方の光学異方体に対して実質的に垂直配向した積層体であってもよい。
【0024】
前記ディスコティック液晶分子を含む層から光学異方体(A)を製造する方法としては、特に制限されないが、ディスコティック液晶分子を基材に積層する方法が好ましく、光学異方体(A)の厚さ方向の屈折率を効率良く制御する観点から、ディスコティック液晶分子を基材面に対して実質的に垂直配向させて積層する方法が特に好ましい。これにより、効率的に、光学異方体(A)を形成することができる。この場合、該基材が、実質的に位相差がないと、n>n、かつ、nとnの差の絶対値が0.003以下である光学異方体を効率良く容易に形成させることができる。該基材が、位相差があると、n>n、かつ、n>nである光学異方体を効率良く容易に形成させることができる。
【0025】
前記ディスコティック液晶分子を垂直配向させる方法としては、例えば、ディスコティック液晶分子若しくはこれと後記の重合性開始剤や他の添加剤を含む塗布液を垂直配向膜上に塗布して固定化するか、又は前記塗布液を垂直配向膜上に塗布して固定化したのち、垂直配向膜を剥離して残りのディスコティック液晶分子を含む層を基材上に積層することにより得られる。
【0026】
前記塗布液の調製に使用する溶媒としては、水や有機溶媒が挙げられる。有機溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミドなどのアミド類;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド;ピリジンなどのヘテロ環化合物;ベンゼン、ヘキサンなどの炭化水素類;クロロホルム、ジクロロメタンなどのアルキルハライド;酢酸メチル、酢酸ブチルなどのエステル類;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタンなどのエーテル類;があげられる。また、二種類以上の有機溶媒を併用してもよい。
塗布液の塗布は、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法などの公知の方法により実施できる。
【0027】
前記垂直配向膜とは、液晶分子を垂直に配向させることができる程に表面エネルギーが低い膜のことを指す。該垂直配向膜は、通常ポリマーから構成される。特に、配向膜の表面エネルギーを低下させることができる観点から、ポリマーの側鎖にフッ素原子又は炭素原子数が10以上の炭化水素基を導入したポリマーが好適に用い得る。炭化水素基は、脂肪族基、芳香族基又はそれらの組合せである。ポリマーの主鎖は、ポリイミド構造又はポリビニルアルコール構造を有することが好ましい。
前記垂直配向膜に用いるポリマーの重合度は、200〜5,000であることが好ましく、300〜3,000であることが好ましい。ポリマーの分子量は、9,000〜200,000であることが好ましく、13,000〜130,000であることがさらに好ましい。二種類以上のポリマーを併用してもよい。
垂直配向膜は、前記垂直配向膜に用いるポリマーを基材に塗布することで形成することができる。さらに、垂直配向膜には、ラビング処理を施すことが好ましい。ラビング処理は、上記のポリマーを含む膜の表面を、紙や布で一定方向に、数回こすることにより実施する。
【0028】
垂直配向させたディスコティック液晶分子は、配向状態を維持して固定化する。固定化する方法としては、重合反応により行うことが好ましい。なお、垂直配向状態で固定された液晶分子は、垂直配向膜がなくても配向状態を維持することができる。
重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応や光重合開始剤を用いる光重合反応が挙げられる。中でも光重合反応が好ましい。
光重合開始剤としては、α−カルボニル化合物(米国特許2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組合せ(米国特許3549367号明細書記載)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許4239850号明細書記載)およびオキサジアゾール化合物(米国特許4212970号明細書記載)などが挙げられる。
【0029】
上記のように、ディスコティック液晶分子が垂直配向した層を形成させることで、この層の垂直配向したディスコティック液晶分子の円盤面と実質的に平行な方向の屈折率が大きく、円盤面の法線方向の屈折率が小さくなり、均質な位相差を有する光学異方体(A)及び光学異方体(B)が効率的に好ましく作られる。
【0030】
(ii−2)ライオトロピック液晶分子を含む層
ライオトロピック液晶分子とは、特定の溶媒に、特定の濃度範囲で溶解した場合に、液晶性を示す分子のことを言う(丸善株式会社、液晶便覧3p等を参照)。具体的には、特開平10−333145号公報、Mol.Cryst.,Liq.Cryst.,1993,Vol.225,293−310などに記載されている、セルロース誘導体、ポリペプチド、核酸など主鎖が棒状骨格を持つ高分子を溶解してなる高分子ライオトロピック液晶分子;両親媒性低分子化合物の濃厚水溶液からなる両親媒性ライオトロピック液晶分子;水溶性が付与された芳香環を有する低分子化合物の溶液からなるクロモニック液晶分子;などが挙げられる。
本発明に用いるライオトロピック液晶分子は、剪断により特定の方向に配向する特徴を有することが好ましい。また、本発明に用いるライオトロピック液晶分子は、可視光領域において実質的に吸収を持たない方が好ましい。このようなライオトロピック液晶分子の具体例を以下の式(3)及び(4)に示す。
【0031】


【0032】
ライオトロピック液晶分子を含む層は、光学異方体(A)及び光学異方体(B)を効率良く容易に形成できる観点及び長期に渡って安定で均質な位相差を有することができる観点から、ライオトロピック液晶分子が基材面に対して実質的に垂直配向した層からなることが好ましい。実質的に垂直配向とは、ライオトロピック液晶分子が基材面に対して50〜90°の範囲の平均傾斜角で配向していることを言う。基材には、ガラスや樹脂等からなるフィルムや板状物が挙げられる。
【0033】
前記ライオトロピック液晶分子を含む層から光学異方体(A)及び光学異方体(B)を製造する方法としては、特に制限されないが、ライオトロピック液晶分子を基材に積層する方法が好ましく、光学異方体(A)及び光学異方体(B)の厚さ方向の屈折率を効率良く制御する観点から、ライオトロピック液晶分子を基材面に対して剪断により実質的に垂直配向させて積層する方法が好ましい。これにより、効率的に、光学異方体(A)及び光学異方体(B)を形成することができる。この場合、該基材が、実質的に位相差がないと、n>n、かつ、nとnの差の絶対値が0.003以下である光学異方体を効率良く容易に形成させることができる。該基材が、位相差があると、n>n、かつ、n>nである光学異方体を効率良く容易に形成させることができる。
【0034】
ライオトロピック液晶分子を剪断により垂直配向させる方法としては、ライオトロピック液晶分子の溶液若しくはこれと後記の添加剤を含む溶液を基材上に塗布して固定化する方法が挙げられる。この配向処理に際しては、製造効率に優れ、さらに、軽量化・薄型化が達成でき、加えて、基材への損傷を防げる、均一な厚さで塗布できる等の理由から、配向膜を使用しない方が好ましい。
【0035】
前記ライオトロピック液晶分子を溶解させる場合に用いる溶媒としては、水や有機溶媒が挙げられる。有機溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミドなどのアミド類;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド;ピリジンなどのヘテロ環化合物;ベンゼン、ヘキサンなどの炭化水素類;クロロホルム、ジクロロメタンなどのアルキルハライド;酢酸メチル、酢酸ブチルなどのエステル類;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタンなどのエーテル類;があげられる。また、二種類以上の有機溶媒を併用してもよい。
前記ライオトロピック液晶分子を含む溶液の濃度としては、(A)層及び(B)層に用いる分子が液晶性を示す限り特に制限はないが、好ましくは、溶媒に対して液晶分子を0.0001〜100重量部の範囲で、さらに好ましくは0.0001〜1重量部の範囲で溶解させる。
【0036】
前記ライオトロピック液晶分子を含む溶液には、必要に応じて、重合開始剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、分散剤、塩素捕捉剤、難燃剤、結晶化核剤、ブロッキング防止剤、防曇剤、離型剤、顔料、有機又は無機の充填材、中和剤、滑剤、分解剤、金属不活性化剤、汚染防止材、可塑剤、接着剤、抗菌剤やその他の樹脂、熱可塑性エラストマーなどの公知の添加剤を発明の効果が損なわれない範囲で添加することができる。これらの添加剤は、ライオトロピック液晶溶液に対して、通常0〜5重量部、好ましくは0〜3重量部の範囲で添加する。
【0037】
前記ライオトロピック液晶分子を含む溶液の塗布は、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法などの公知の方法により実施できる。
【0038】
剪断により垂直配向させたライオトロピック液晶分子は、配向状態を維持して固定化する。固定化する方法としては、乾燥による溶媒除去や重合反応、これらの方法の組合せ等が挙げられる。重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応や光重合開始剤を用いる光重合反応が挙げられる。
【0039】
上記のように、ライオトロピック液晶分子が垂直配向した層を形成させることで、剪断により垂直配向したライオトロピック液晶分子の剪断方向と実質的に垂直な方向の屈折率が大きくなり、該剪断方向の屈折率が小さくなり、均質な位相差を有する光学異方体(A)及び光学異方体(B)が効率的に好ましく作られる。
【0040】
(iii)光異性化物質を含む層
光異性化物質とは、光により立体異性化又は構造異性化を起こすものであり、好ましくは、さらに別の波長の光又は熱によってその逆異性化を起こすものである。これらの化合物として一般的には、構造変化と共に可視域での色調変化を伴うものは、フォトクロミック化合物としてよく知られているものが多く、具体的には、アゾベンゼン系化合物、ベンズアルドキシム系化合物、アゾメチン系化合物、スチルベン系化合物、スピロピラン系化合物、スピロオキサジン系化合物、フルギド系化合物、ジアリールエテン系化合物、ケイ皮酸系化合物、レチナール系化合物、ヘミチオインジゴ系化合物等が挙げられる。
【0041】
また、前記光異性化物質、すなわち光異性化しうる官能基(アゾ基や内部オレフィン等)を有する化合物は低分子化合物でもポリマーでもよく、ポリマーの場合、光異性化基が主鎖中に在っても側鎖中に在っても同様の機能を発揮できる。また、ポリマーはホモポリマーでも、コーポリマーでも良く、コーポリマーの共重合比は光異性化能、Tg等のポリマー物性を適切に調節すべく適宜好ましい値で用いられる。また、これらの光異性化基を有する化合物が同時に液晶化合物であってもよい。すなわち、液晶化合物の分子中に光異性化しうる官能基を含んでいてもよい。光異性化物質については、高分子、41、(12)、(1992年)p884、「クロミック材料と応用」(シーエムシー編)p221、「メカノケミストリー」(丸善編)p21、「高分子論文集147巻10号」(1991年)p771等にも具体的に記載されている。このような光異性化物質の具体例を次の式(5)に示す。
【0042】

【0043】
光異性化物質を含む層は、光学異方体(A)及び光学異方体(B)を効率良く容易に形成できる観点及び長期に渡って安定で均質な位相差を有することができる観点から、特定の異性体に異性化した光異性化物質からなる層であることが好ましい。
【0044】
前記光異性化物質を含む層から光学異方体(A)及び光学異方体(B)を製造する方法としては、特に制限されないが、光異性化物質を含む溶液を基材上に塗布して膜状物を形成し、乾燥工程を経て直線偏光を照射する方法が好ましく、膜状物面に垂直な方向から直線偏光を照射する方法が特に好ましい。これにより、効率的に、光学異方体(A)及び光学異方体(B)を形成することができる。基材には、ガラスや樹脂等からなるフィルムや板状物が挙げられる。この場合、該基材が、実質的に位相差がないと、n>n、かつ、nとnの差の絶対値が0.003以下である光学異方体を効率良く容易に形成させることができる。該基材が、位相差があると、n>n、かつ、n>nである光学異方体を効率良く容易に形成させることができる。
【0045】
光異性化物質を含む溶液の調製に使用する溶媒は、特に制約はないが、メチレンクロライド、アセトン、メタノール、メチルエチルケトン等の有機溶媒が挙げられる。また、塗布液の濃度は塗布に好適な粘性を得るために選ばれるものであり、特に制約はないが、好ましくは1〜50%である。塗布の方法も、バーコート、ロールコート等、公知の塗布方式が利用できる。
【0046】
直線偏光を照射する場合は、塗布層が概ね乾燥した時点から行うことができる。概ね乾燥とは、塗布層中の残留溶剤が10重量%以下を目安とする。また偏光照射の温度は残留溶剤の量によって最適な温度は異なるが、Tg−50℃からTg+30℃の範囲が特に好ましい。偏光の光源については特に制約はなく、水銀ランプ、ハロゲンランプ等が好適に利用される。
【0047】
上記のように、光異性化物質を含む層に直線偏光を照射することで、照射光の偏光軸と実質的に直交する方向の屈折率が大きく、照射光の偏光軸方向の屈折率が小さくなり、均一な位相差を有する光学異方体(A)及び光学異方体(B)が効率的に好ましく作られる。
【0048】
本発明の液晶表示装置においては、光学異方体(A)及び光学異方体(B)の残留揮発成分含有量が0.1重量%以下であることが好ましく、0.01重量%以下であることがより好ましい。光学異方体(A)及び光学異方体(B)の両方の残留揮発成分含有量が0.1重量%を超えると、使用時に該揮発性成分が外部に放出して、光学異方体(A)又は光学異方体(B)に寸法変化が生じて内部応力を発生することにより、位相差にムラを生じることがある。したがって、本発明の液晶表示装置の光学異方体(A)及び光学異方体(B)の揮発性成分が上記範囲にあることにより、長期間使用しても環境に関係なく液晶表示装置のディスプレイのコントラストの低下や表示ムラが発生しないといった光学特性の安定性に優れる。
揮発性成分は、光学異方体に微量含まれる分子量200以下の物質であり、例えば、残留単量体や溶媒などが挙げられる。揮発性成分の含有量は、光学異方体に含まれる分子量200以下の物質の合計として、光学異方体をガスクロマトグラフィーにより分析することにより定量することができる。
【0049】
本発明の液晶表示装置は、それぞれの吸収軸がたがいに略垂直の位置関係にある出射側偏光子及び入射側偏光子から構成される一対の偏光子の間に少なくとも光学異方体(A)、光学異方体(B)及び液晶セルを有するインプレーンスイッチングモードの液晶表示装置であって、光学異方体(A)の面内の遅相軸と光学異方体(B)の面内の遅相軸とが略平行又は略垂直の位置関係にあり、光学異方体(A)の面内の遅相軸が近傍に配置されている方の偏光子の吸収軸と略平行又は略垂直の位置関係にあることを特徴とする。
【0050】
本発明において、二つの軸がなす角度とは、二つの軸のそれぞれを法線とする面どうしのなす角度(ただしなす角度は小さいほう)とする。本発明において、二つの軸が略平行な位置関係にあるとは、二つの軸がなす角度が0〜3°であることを意味する。本発明において、二つの軸が略垂直な位置関係にあるとは、二つの軸がなす角度が87〜90°であることを意味する。
【0051】
本発明に用いる光学異方体(A)及び光学異方体(B)は、均質な光学特性を有することが好ましく、より好ましくは面内レターデーションのバラツキが10nm以内、さらに好ましくは5nm以内、最も好ましくは2nm以内である。面内レターデーションのバラツキを、上記範囲にすることにより、本発明の液晶表示装置の表示品質を良好なものにすることが可能になる。ここで、面内レターデーションのバラツキは、光入射角0°(入射光線と本発明に用いる光学異方体(A)及び光学異方体(B)の表面が直交する状態)の時の面内レターデーションを異方体の面全体に渡って測定したときの、その面内レターデーションの最大値と最小値との差である。
【0052】
本発明の液晶表示装置のモードであるインプレーンスイッチング(IPS)モードでは、水平方向にホモジニアスな配向をした液晶分子と、透過軸が画面正面に対して上下と左右の方向を指して垂直の位置関係にある2枚の偏光子を用いているので、上下左右の方向から画面を斜めに見るときには、2本の透過軸は直交して見える位置関係にあり、ホモジニアス配向液晶層はツイステッドモード液晶層で生ずるような複屈折も少ないことから、十分なコントラストが得られる。これに対して、方位角45°の方向から画面を斜めに見るときには、2枚の偏光子の透過軸のなす角度が90°からずれる位置関係となるために、透過光が複屈折を生じて光が洩れ、十分な黒が得られず、コントラストが低下する。そこで、インプレーンスイッチングモードの液晶表示装置の2枚の偏光子の間に、光学異方体(A)と、光学異方体(B)とを配置し、光学異方体(A)の面内の遅相軸と光学異方体(B)の面内の遅相軸とが略平行の位置関係にあり、光学異方体(A)の面内の遅相軸が近傍に配置されている方の偏光子の透過軸と略平行又は略垂直の位置関係とすることにより、液晶セル中の液晶により生ずる位相差の補償を行うことに加えて偏光子の視野角補償も行うことができる。これにより、透過光に生じた位相差を効果的に補償して光の洩れを防ぎ、全方位角において高いコントラストを得ることができる。この効果は、他のモードの液晶表示装置においても同様の効果があると考えられ、特にIPSモードにおいて効果が顕著である。
【0053】
本発明の液晶表示装置において、使用する偏光子としては、ポリビニルアルコールや部分ホルマール化ポリビニルアルコール等の従来に準じた適宜なビニルアルコール系ポリマーよりなるフィルムに、ヨウ素や二色性染料等よりなる二色性物質による染色処理、延伸処理、架橋処理等の適宜な処理を適宜な順序や方式で施したもので、自然光を入射させると直線偏光を透過する適宜なものを用いることができる。特に、光透過率や偏光度に優れるものが好ましい。偏光子の厚さは、5〜80μmが一般的であるが、これに限定されない。
【0054】
偏光子は通常、その両面に保護フィルムが接着され、偏光板として供される。
偏光子の保護フィルムとしては、適宜な透明フィルムを用いることができる。中でも、透明性や機械的強度、熱安定性や水分遮蔽性等に優れるポリマーからなるフィルム等が好ましく用いられる。そのポリマーの例としては、脂環式構造を有する重合体、ポリオレフィン重合体、ポリカーボネート重合体、ポリエチレンテレフタレートの如きポリエステル重合体、ポリ塩化ビニル重合体、ポリスチレン重合体、ポリアクリロニトリル重合体、ポリスルフォン重合体、ポリエーテルスルフォン重合体、ポリアリレート重合体、トリアセチルセルロースの如きアセテート重合体、(メタ)アクリル酸エステル−ビニル芳香族化合物共重合体等を挙げることができる。特に、透明性、軽量性の観点から、トリアセチルセルロース、ポリエチレンテレフタレート、脂環式構造を有する重合体樹脂が好ましく、寸法安定性、膜厚制御性の観点からポリエチレンテレフタレート、脂環式構造を有する重合体樹脂がさらに好ましい。さらに、本発明に用いる光学異方体は、偏光子の保護フィルムを兼ねることができ、液晶表示装置の薄型化が可能である。
【0055】
本発明において、光学異方体と偏光子が接する構成の場合は、光学異方体を前記偏光子の保護フィルムに換えて、接着剤や粘着剤等の適宜な接着手段を用いて貼り合わせることができる。
接着剤又は粘着剤としては、例えば、アクリル系、シリコーン系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリエーテル系、ゴム系等が挙げられる。これらの中でも、耐熱性や透明性等の観点から、アクリル系のものが好ましい。
積層方法としては、公知の方法が挙げられ、例えば、光学異方体及び偏光子をそれぞれ所望の大きさに切り出して積層する方法;長尺状の光学異方体及び長尺状の偏光子をロールトゥーロール法で積層する方法;が挙げられる。
【0056】
脂環式構造を有する重合体樹脂は、具体的には、ノルボルネン系重合体、単環の環状オレフィン系重合体、環状共役ジエン系重合体、ビニル脂環式炭化水素重合体、及びこれらの水素添加物などが挙げられる。これらの中でも、透明性や成形性の観点から、ノルボルネン系重合体がより好ましい。
ノルボルネン系重合体としては、具体的にはノルボルネン系モノマーの開環重合体、ノルボルネン系モノマーと開環共重合可能なその他のモノマーとの開環共重合体、及びそれらの水素添加物、ノルボルネン系モノマーの付加重合体、ノルボルネン系モノマーと共重合可能なその他のモノマーとの付加型共重合体などが挙げられる。これらの中でも、透明性の観点から、ノルボルネン系モノマーの開環(共)重合体水素添加物が最も好ましい。
上記の脂環式構造を有する重合体樹脂は、例えば特開2002−321302号公報などに開示されている公知の重合体から選ばれる。
【0057】
本発明の液晶表示装置の視認側の偏光子の保護フィルムには、ハードコート層及び低屈折率層を、この順に積層することができる。
【0058】
前記ハードコート層とは表面硬度の高い層である。具体的には、JIS K 5600−5−4で示す鉛筆硬度試験(試験板はガラス板)で「HB」以上の硬度を持つ層である。上記ハードコート層は高屈折率を有することが好ましい。高屈折率にすることによって、外光の映りこみ等が防止され、耐擦傷性、防汚性等にも優れた偏光板とすることが可能になる。ハードコート層の平均厚みは特に限定されないが、通常0.5〜30μm、好ましくは3〜15μmである。ここで、高屈折率とは、後に積層させる低屈折率層の屈折率よりも大きい屈折率のことをいい、好ましくは1.55以上である。屈折率は、例えば、公知の分光エリプソメータを用いて測定し求めることができる。
【0059】
前記ハードコート層を構成する材料としては、JIS K 5600−5−4で示す鉛筆硬度試験(試験板はガラス板)で「HB」以上の硬度を示すことのできるものであれば、特に制限されない。
例えば、有機系シリコーン系、メラミン系、エポキシ系、アクリル系、ウレタンアクリレート系等の有機ハードコート材料;二酸化ケイ素等の無機系ハードコート材料;等が挙げられる。なかでも、接着力が良好であり、生産性に優れる観点から、ウレタンアクリレート系、多官能アクリレート系ハードコート材料の使用が好ましい。
本発明においては、使用するハードコート層の屈折率が、1.5以上であることが好ましく、1.53以上であることがさらに好ましく、1.55以上であることが特に好ましい。前記ハードコート層の屈折率が前記範囲であることにより、広帯域における反射防止性能に優れ、ハードコート層の上に積層する低屈折率層の設計が容易となり、耐擦傷性に優れる光学積層フィルムを得ることができる。
【0060】
ハードコート層は、無機酸化物粒子をさらに含むものであるのが好ましい。
無機酸化物粒子を添加することにより、耐擦傷性に優れ、屈折率が1.55以上のハードコート層を容易に形成することが可能となる。
【0061】
ハードコート層に用いることができる無機酸化物粒子としては、屈折率が高いものが好ましい。具体的には、屈折率が1.6以上、特に1.6〜2.3である無機酸化物粒子が好ましい。
【0062】
このような屈折率の高い無機酸化物粒子としては、例えば、チタニア(酸化チタン)、ジルコニア(酸化ジルコニウム)、酸化亜鉛、酸化錫、酸化セリウム、五酸化アンチモン、スズをドープした酸化インジウム(ITO)、アンチモンをドープした酸化スズ(ATO)、リンをドープした酸化錫(PTO)、亜鉛をドープした酸化インジウム(IZO)、アルミニウムをドープした酸化亜鉛(AZO)、フッ素をドープした酸化スズ(FTO)等が挙げられる。
これらの中でも、五酸化アンチモンは、屈折率が高く、導電性と透明性のバランスに優れるので、屈折率を調節するための成分として適している。
【0063】
前記低屈折率層は、ハードコート層よりも屈折率が低い層である。低屈折率層の屈折率は、1.36以下であることが好ましく、1.35〜1.25であることがさらに好ましく、1.34〜1.30であることが特に好ましい。上記好ましい条件であることにより、視認性と耐擦傷性、強度のバランスに優れる偏光板保護フィルムが形成される。低屈折率層の厚さは、10〜1000nmであることが好ましく、30〜500nmであることがより好ましい。
【0064】
前記低屈折率層を構成する材料としては、屈折率が上記範囲である層を構成する材料であればよいが、屈折率の制御が容易である点及び耐水性に優れる点で、エアロゲルが好ましい。
エアロゲルは、マトリックス中に微小な空孔が分散した透明性多孔質体である。気泡の大きさは大部分が200nm以下であり、空孔の含有率は通常10体積%以上60体積%以下、好ましくは20体積%以上40体積%以下である。
微小な空孔が分散したエアロゲルの具体例としては、シリカエアロゲル、中空粒子がマトリックス中に分散された多孔質体が挙げられる。
【0065】
シリカエアロゲルは、米国特許第4402927号公報、米国特許第4432956号公報、米国特許第4610863号公報等に開示されているように、アルコキシシランの加水分解重合反応によって得られたシリカ骨格からなる湿潤状態のゲル状化合物を、超臨界乾燥することによって製造することができる。この超臨界乾燥は、例えば、二酸化炭素やアルコールなどの乾燥液をゲル状化合物の溶媒の全部又は一部と置換し、該乾燥液を超臨界状態にし、次いで超臨界状態から気相に変化した乾燥液(気体)を排出することによって行うことができる。また、シリカエアロゲルは、米国特許第5137279号公報、米国特許5124364号公報等に開示されているように、ケイ酸ナトリウムを原料として、上記と同様にして製造しても良い。シリカエアロゲルの屈折率は、シリカエアロゲルの原料配合比によって自由に変化させることができる。
【0066】
中空粒子がマトリックス中に分散された多孔質体としては、特開2001−233611号公報、特開2003−149642号公報に開示されているような、微粒子の内部に空隙を持つ中空微粒子をバインダー樹脂に分散させた多孔質体が挙げられる。
バインダー樹脂としては中空微粒子の分散性、多孔質体の透明性、多孔質体の強度等の条件に適合する樹脂等から選択して用いることができ、例えば従来から用いられているポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フッ素樹脂、シリコン樹脂、ブチラール樹脂、フェノール樹脂、酢酸ビニル樹脂、紫外線硬化樹脂、電子線硬化樹脂、エマルジョン樹脂、水溶性樹脂、親水性樹脂、これら樹脂の混合物、さらにはこれら樹脂の共重合体や変性体などの塗料用樹脂、又はアルコキシシラン等の加水分解性有機珪素化合物・およびその加水分解物等が挙げられる。
これらの中でも微粒子の分散性、多孔質体の強度からアクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコン樹脂、アルコキシシラン等の加水分解性有機珪素化合物およびその加水分解物が好ましい。
【0067】
前記アルコキシシラン等の加水分解性有機珪素化合物およびその加水分解物は、下記(a)〜(c)からなる群から選ばれる1種以上の化合物から形成されたものであって、分子中に、−(O−Si)−O−(式中、mは自然数を表す。)結合を有するものである。
(a)式(6):SiXで表される化合物。
(b)前記式(6)で表される化合物の少なくとも1種の部分加水分解生成物。
(c)前記式(6)で表される化合物の少なくとも1種の完全加水分解生成物。
【0068】
中空微粒子は、無機化合物の微粒子であれば、特に制限されないが、外殻の内部に空洞が形成された無機中空微粒子が好ましく、シリカ系中空微粒子の使用が特に好ましい。無機中空微粒子としては、(A)無機酸化物単一層、(B)種類の異なる無機酸化物からなる複合酸化物の単一層、及び(C)上記(A)と(B)との二重層を包含するものを用いることができる。
【0069】
外殻は細孔を有する多孔質なものであってもよく、あるいは細孔が閉塞されて空孔が外殻の外側に対して密封されているものであってもよい。外殻は、内側の第1無機酸化物被覆層及び外側の第2無機酸化物被覆層からなる複数の無機酸化物被覆層であることが好ましい。外側に第2無機酸化物被覆層を設けることにより、外殻の細孔を閉塞させて外殻を緻密化させたり、さらには、内部の空孔を密封した無機中空微粒子を得ることができる。特に第2無機酸化物被覆層の形成に含フッ素有機珪素化合物を用いる場合は、屈折率が低くなるとともに、有機溶媒への分散性もよくなり、さらに防汚性が付与されるので好ましい。このような含フッ素有機珪素化合物としては、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、メチル−3,3,3−トリフルオロプロピルジメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルメチルジメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリクロロシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン等を挙げることが出来る。
【0070】
外殻の厚みは1〜50nm、特に5〜20nmの範囲であるのが好ましい。外殻の厚みが1nm未満であると、無機中空微粒子が所定の粒子形状を保持できない場合がある。逆に、外殻の厚みが50nmを超えると、無機中空微粒子中の空孔が小さく、その結果、空孔の割合が減少して屈折率の低下が不十分であるおそれがある。
【0071】
無機中空微粒子の平均粒子径は特に制限されないが、5〜2000nmが好ましく、20〜100nmがより好ましい。5nmよりも小さいと、中空によって低屈折率になる効果が小さく、逆に2000nmよりも大きいと、透明性が極端に悪くなり、拡散反射による寄与が大きくなってしまう。ここで、平均粒子径は、透過型電子顕微鏡観察による数平均粒子径である。
【0072】
前記視認側の偏光子の保護フィルムは、入射角5°の波長430〜700nmにおける反射率の最大値が、好ましくは、1.4%以下であり、さらに好ましくは、1.3%以下である。また、入射角5°の波長550nmにおける反射率が、好ましくは、0.7%以下であり、さらに好ましくは、0.6%以下である。
また、入射角20°の波長430nm〜700nmにおける反射率の最大値が好ましくは、1.5%以下であり、さらに好ましくは1.4%以下である。また、入射角20°の波長550nmにおける反射率が、好ましくは、波長550nmで0.9%以下、さらに好ましくは0.8%以下である。
各反射率が上記の範囲にあることにより、外部光の映りこみ及びギラツキがなく、視認性に優れる偏光板とすることができる。
反射率は、分光光度計(紫外可視近赤外分光光度計V−550、日本分光社製)を用い、入射角5°及び20°にて波長550nmでの反射率、波長430nm〜700nmにおける反射率の最大値を求めた。
【0073】
スチールウール試験は、スチールウール#0000に荷重0.025MPaをかけた状態で、前記視認側の偏光子の保護フィルム表面を10往復させ、試験後の表面状態の変化を測定する。
スチールウール試験前後の反射率の変動は、測定前後の面内の異なる任意の場所5箇所で5回測定し、それらの算術平均値から算出した。
上記スチールウール試験においては、前記視認側の偏光子の保護フィルムの試験前後の反射率の変動が10%以下であることが好ましく、8%以下がより好ましい。反射率の変動が10%を超えると、画面のぼやけ、ギラツキが発生することがある。
スチールウール試験前後の反射率の変動は下記式(1.1)で求めた。Rはスチールウール試験前の反射率、Rはスチールウール試験後の反射率を表す。
ΔR=(R−R)/R×100 (%) (1.1)
【0074】
本発明に用いる光学異方体(A)及び光学異方体(B)を本発明の液晶表示装置に備える態様としては、前記「好ましい態様1」で6種類の好適な配置があり、前記「好ましい態様2」で8種類の好適な配置がある。但し、後述では、「出射側偏光子」側を視認側とし、「入射側偏光子」側をバックライト設置側とした場合の7種類(「好ましい態様1」で3種類、「好ましい態様2」で4種類)の配置について記述する。その7種類の配置において、視認側とバックライト側とを入れ替えた配置(つまり、「入射側偏光子」側を視認側とし、「出射側偏光子」側をバックライト設置側とした場合)が、他の残りの7種類の配置であり、視認側とバックライト側とを入れ替える前と同一の視野角特性を示す。例えば、Fig.1とFig.2との配置関係は、輝度、コントラスト、色味で同一の視野角特性を示す。図中の矢印は、偏光子(1:入射側偏光子、5:出射側偏光子)については吸収軸を、液晶セル2については電圧無印加状態の面内の遅相軸を、光学異方体(3:光学異方体(A)、4:光学異方体(B))については面内の遅相軸を表す。
【0075】
前記好適な配置の第一の態様は、「好ましい態様1」において、液晶表示装置の入射側偏光子(バックライト側の偏光子)と液晶セルの間に光学異方体(A)及び光学異方体(B)を配置する。
【0076】
(1−I)第一の態様
Fig.3は、本発明の液晶表示装置の第一の態様(以下、配置1−Iとする)の説明図である。配置1−Iにおいては、出射側偏光子の吸収軸が電圧無印加状態の液晶セルの、液晶の面内の遅相軸と平行の位置関係にあり、光学異方体(A)と光学異方体(B)が、液晶セルと入射側偏光子との間に配置され、かつ、光学異方体(A)と光学異方体(B)の面内の遅相軸が略垂直の位置関係にある。さらに、光学異方体(B)の面内の遅相軸が、電圧無印加状態の液晶セルの面内の遅相軸と略垂直の位置関係にあり、光学異方体(A)が液晶セル側に配置されてなることが特に好ましい。光学異方体(A)、光学異方体(B)、液晶セル及び2枚の偏光子がこの位置関係をとることにより、極角0〜80°において、コントラストの最小値を30以上とすることができる。
【0077】
配置1−Iにおいて、光学異方体(A)の面内レターデーションR(A)(単位nm)、厚さ方向レターデーションRth(A)(単位nm)、光学異方体(B)の面内レターデーションR(B)(単位nm)、厚さ方向レターデーションRth(B)(単位nm)の好ましい組合せとしては、10≦R(A)≦1000、−500≦Rth(A)≦−5、10≦R(B)≦1000、−500≦Rth(B)≦−5が挙げられる。より好ましい組合せとしては、(1)390≦R(A)≦450、−225≦Rth(A)≦−195、30≦R(B)≦90、−45≦Rth(B)≦−15、又は、(2)30≦R(A)≦90、−45≦Rth(A)≦−15、390≦R(B)≦450、−225≦Rth(B)≦−195が挙げられる。そして最も好ましい組合せとしては、400≦R(A)≦440、−230≦Rth(A)≦−190、40≦R(B)≦80、−50≦Rth(B)≦−10が挙げられる。
本発明において、面内レターデーションR、厚さ方向レターデーションRthは以下の式(1.2)、(1.3)で求められる。なお、式中n、n及びnは屈折率(−)、dは厚さ(nm)を表す。
=(n−n)×d (1.2)
th=[(n+n)/2−n]×d (1.3)
【0078】
前記好適な配置の第二の態様は、「好ましい態様1」において、液晶表示装置の出射側偏光子(液晶表示装置の視認側の偏光子)と液晶セルの間に光学異方体(A)及び光学異方体(B)を配置する。
【0079】
(1−II)第二の態様
Fig.4は、本発明の液晶表示装置の第二の態様(以下、配置1−IIとする)の説明図である。配置1−IIにおいては、出射側偏光子の吸収軸が電圧無印加状態の液晶セルの、液晶の面内の遅相軸と平行の位置関係にあり、光学異方体(A)と光学異方体(B)が、液晶セルと出射側偏光子との間に配置され、かつ、光学異方体(A)と光学異方体(B)の面内の遅相軸が略垂直の位置関係にある。さらに、光学異方体(B)の面内の遅相軸が、電圧無印加状態の液晶セルの面内の遅相軸と略垂直の位置関係にあり、光学異方体(B)が液晶セル側に配置されてなることが特に好ましい。光学異方体(A)、光学異方体(B)、液晶セル及び2枚の偏光子がこの位置関係をとることにより、極角0〜80°において、コントラストの最小値を20以上とすることができる。
【0080】
配置1−IIにおいて、光学異方体(A)の面内レターデーションR(A)(単位nm)、厚さ方向レターデーションRth(A)(単位nm)、光学異方体(B)の面内レターデーションR(B)(単位nm)、厚さ方向レターデーションRth(B)(単位nm)の好ましい組合せとしては、10≦R(A)≦1000、−500≦Rth(A)≦−5、60≦R(B)≦1000、−500≦Rth(B)≦−30が挙げられる。より好ましい組合せとしては、(1)30≦R(A)≦190、−95≦Rth(A)≦−15、110≦R(B)≦250、−125≦Rth(B)≦−55、(2)380≦R(A)≦450、−225≦Rth(A)≦−190、290≦R(B)≦350、−175≦Rth(B)≦−145、又は(3)40≦R(A)≦80、−40≦Rth(A)≦−20、670≦R(B)≦710、−355≦Rth(B)≦−335が挙げられる。さらに好ましい組合せとしては、50≦R(A)≦150、−75≦Rth(A)≦−25、130≦R(B)≦230、−215≦Rth(B)≦−65が挙げられる。最も好ましい組合せとしては、80≦R(A)≦120、−70≦Rth(A)≦−30、160≦R(B)≦200、−110≦Rth(B)≦−70が挙げられる。
【0081】
前記好適な配置の第三の態様は、「好ましい態様1」において、入射側偏光子と液晶セルの間に光学異方体(A)又は光学異方体(B)のどちらか一方を配置し、出射側偏光子と液晶セルの間にそのもう一方を配置する。
【0082】
(1−III)第三の態様
Fig.5は、本発明の液晶表示装置の第三の態様(以下、配置1−IIIとする)の説明図である。配置1−IIIにおいては、出射側偏光子の吸収軸が電圧無印加状態の液晶セルの、液晶の面内の遅相軸と平行の位置関係にあり、光学異方体(A)と光学異方体(B)が、液晶セルと入射側偏光子との間、及び、液晶セルと出射側偏光子との間に別々に配置される。さらに、光学異方体(B)の面内の遅相軸が、電圧無印加状態の液晶セルの面内の遅相軸と略垂直の位置関係にあり、かつ、光学異方体(A)が、液晶セルと出射側偏光子との間に配置されてなることが特に好ましい。光学異方体(A)、光学異方体(B)、液晶セル及び2枚の偏光子がこの位置関係をとることにより、極角0〜80°において、コントラストの最小直を30以上とすることができる。
【0083】
配置1−IIIにおいて、光学異方体(A)の面内レターデーションR(A)(単位nm)、厚さ方向レターデーションRth(A)(単位nm)、光学異方体(B)の面内レターデーションR(B)(単位nm)、厚さ方向レターデーションRth(B)(単位nm)の好ましい組合せとしては、10≦R(A)≦1000、−500≦Rth(A)≦−5、10≦R(B)≦800、−400≦Rth(B)≦−5が挙げられる。より好ましい組合せとしては、(1)20≦R(A)≦150、−75≦Rth(A)≦−10、110≦R(B)≦250、−125≦Rth(B)≦−55、(2)410≦R(A)≦470、−235≦Rth(A)≦−205、310≦R(B)≦370、−185≦Rth(B)≦−155、又は、(3)30≦R(A)≦90、−45≦Rth(A)≦−30、670≦R(B)≦730、−365≦Rth(B)≦−335が挙げられる。さらに好ましい組合せとしては、40≦R(A)≦210、−105≦Rth(A)≦−20、130≦R(B)≦230、−150≦Rth(B)≦−65が挙げられる。そして、最も好ましい組合せとしては、75≦R(A)≦115、−90≦Rth(A)≦−50、145≦R(B)≦185、−145≦Rth(B)≦−105が挙げられる。
【0084】
前記好適な配置の第四の態様と第五の態様は、液晶表示装置の出射側偏光子と液晶セルの間、又は、入射側偏光子と液晶セルとの間のいずれかに光学異方体(A)及び光学異方体(B)を配置する。
【0085】
(2−I)第四の態様
Fig.6は、本発明の液晶表示装置の第四の態様(以下、配置2−Iとする)の説明図である。配置2−Iにおいては、出射側偏光子の吸収軸が電圧無印加状態の液晶セルの、液晶の面内の遅相軸と平行の位置関係にあり、光学異方体(A)及び光学異方体(B)が液晶表示装置の出射側偏光子と液晶セルの間に配置され、且つ、光学異方体(A)の面内の遅相軸が、電圧無印加状態の液晶セルの面内の遅相軸と略垂直の位置関係にある。さらに、光学異方体(A)が、液晶セル側に配置されてなることが特に好ましい。光学異方体(A)、光学異方体(B)、液晶セル及び2枚の偏光子がこの位置関係をとることにより、極角0〜80°において、コントラストの最小値を30以上とすることができる。
【0086】
(2−II)第五の態様
Fig.7は、本発明の液晶表示装置の第五の態様(以下、配置2−IIとする)の説明図である。配置2−IIにおいては、出射側偏光子の吸収軸が電圧無印加状態の液晶セルの、液晶の面内の遅相軸と平行の位置関係にあり、光学異方体(A)及び光学異方体(B)が液晶表示装置の入射側偏光子と液晶セルの間に配置され、且つ、光学異方体(A)の面内の遅相軸が、電圧無印加状態の液晶セルの面内の遅相軸と略垂直の位置関係にある。さらに、光学異方体(A)が、液晶セル側に配置されてなることが特に好ましい。光学異方体(A)、光学異方体(B)、液晶セル及び2枚の偏光子がこの位置関係をとることにより、極角0〜80°において、コントラストの最小値を30以上とすることができる。
【0087】
配置2−I及び配置2−IIにおいて、光学異方体(A)の面内レターデーションR(A)(単位nm)、厚さ方向レターデーションRth(A)(単位nm)、光学異方体(B)の面内レターデーションR(B)(単位nm)、厚さ方向レターデーションRth(B)(単位nm)の好ましい組合せとしては、0≦R(A)≦1000、−500≦Rth(A)≦0、100≦R(B)≦500、−200≦Rth(B)≦200が挙げられ、より好ましい組合せとしては、0≦R(A)≦1000、−500≦Rth(A)≦0、120≦R(B)≦430、−75≦Rth(B)≦75が挙げられる。さらに好ましい組合せとしては、0≦R(A)≦1000、−500≦Rth(A)≦0、190≦R(B)≦390、−50≦Rth(B)≦50が挙げられる。そして最も好ましい組合せとしては、250≦R(A)≦290、−165≦Rth(A)≦−125、250≦R(B)≦290、−20≦Rth(B)≦20が挙げられる。
【0088】
前記好適な配置の第六の態様と第七の態様は、入射側偏光子と液晶セルの間に光学異方体(A)又は光学異方体(B)のどちらか一方を配置し、出射側偏光子と液晶セルの間にそのもう一方を配置する。
【0089】
(2−III)第六の態様
Fig.8は、本発明の液晶表示装置の第六の態様(以下、配置2−IIIとする)の説明図である。配置2−IIIにおいては、出射側偏光子の吸収軸が電圧無印加状態の液晶セルの、液晶の面内の遅相軸と平行の位置関係にあり、光学異方体(A)が液晶表示装置の出射側偏光子と液晶セルの間に配置され、且つ、光学異方体(A)の面内の遅相軸が、電圧無印加状態の液晶セルの面内の遅相軸と略垂直の位置関係にある。光学異方体(A)、光学異方体(B)、液晶セル及び2枚の偏光子がこの位置関係をとることにより、極角0〜80°において、コントラストの最小値を30以上とすることができる。
【0090】
(2−VI)第七の態様
Fig.9は、本発明の液晶表示装置の第七の態様(以下、配置2−VIとする)の説明図である。配置2−VIにおいては、出射側偏光子の吸収軸が電圧無印加状態の液晶セルの、液晶の面内の遅相軸と平行の位置関係にあり、光学異方体(A)が液晶表示装置の入射側偏光子と液晶セルの間に配置され、且つ、光学異方体(A)の面内の遅相軸が、電圧無印加状態の液晶セルの面内の遅相軸と略垂直の位置関係にある。光学異方体(A)、光学異方体(B)、液晶セル及び2枚の偏光子がこの位置関係をとることにより、極角0〜80°において、コントラストの最小値を30以上とすることができる。
【0091】
配置2−III及び配置2−VIにおいて、光学異方体(A)の面内レターデーションR(A)(単位nm)、厚さ方向レターデーションRth(A)(単位nm)、光学異方体(B)の面内レターデーションR(B)(単位nm)、厚さ方向レターデーションRth(B)(単位nm)の好ましい組合せとしては、0≦R(A)≦1000、−500≦Rth(A)≦0、100≦R(B)≦500、−200≦Rth(B)≦200が挙げられる。より好ましい組合せとしては、0≦R(A)≦1000、−500≦Rth(A)≦0、120≦R(B)≦430、−75≦Rth(B)≦75が挙げられる。さらに好ましい組合せとしては、0≦R(A)≦1000、−500≦Rth(A)≦0、190≦R(B)≦390、−50≦Rth(B)≦50が挙げられる。そして最も好ましい組合せとしては、250≦R(A)≦290、−165≦Rth(A)≦−125、250≦R(B)≦290、−20≦Rth(B)≦20が挙げられる。
【0092】
本発明の液晶表示装置には、例えばプリズムアレイシート、レンズアレイシート、光拡散板、バックライトや輝度向上フィルム等の適宜な部品を適宜な位置に1層又は2層以上配置することができる。
本発明の液晶表示装置においては、バックライトとして、冷陰極管、水銀平面ランプ、発光ダイオード、エレクトロルミネッセンスなどを用いることができる。
【実施例】
【0093】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
なお、実施例及び比較例において、偏光子と偏光子保護フィルムの積層体である偏光板[(株)サンリッツ、HLC2−5618]を用いた。液晶セルとして、厚さ2.74μm、誘電異方性が正、波長550nmの複屈折率Δn=0.09884、プレチルト角0°のインプレーンスイッチングモードの液晶セルを用いた。
また、実施例及び比較例において、測定及び評価は下記の方法により行った。
(1)厚さ
光学積層体をエポキ樹脂に包埋したのち、ミクロトーム[大和光機工業(株)、RUB−2100]を用いて0.05μm厚にスライスし、透過型電子顕微鏡を用いて断面を観察し、各層ごとに測定する。
(2)ガラス転移温度
JIS K 7121に準拠して、示差走査熱量分析法(DSC)により測定する。
(3)光学異方体(A)及び光学異方体(B)の屈折率(n、n、n)、レターデーション(面内レターデーションR、厚さ方向のレターデーションRth)、面内レターデーションのバラツキ
光学異方体(A)及び光学異方体(B)の屈折率は、まず、自動複屈折計[王子計測機器(株)、KOBRA−21]を用いて、波長550nmの光での異方体の面内遅相軸の方向を測定する。そして、異方体の該遅相軸方向の屈折率をn、遅相軸方向に面内で垂直な方向の屈折率をn、異方体の厚さ方向の屈折率をnとする。さらに、光学異方体が多層体である場合、n、n、nは、各層の屈折率(nxi、nyi、nzi)を測定した後に、以下の式にて算出する。ここで、光学異方体の各層において、光学異方体の該遅相軸と平行な方向の屈折率をnxi、該遅相軸と面内で垂直な方向の屈折率をnyi、厚さ方向の屈折率をnziとする。
=[Σ(nxi×d)]/(Σd);n=[Σ(nyi×d)]/(Σd);n=[Σ(nzi1×d)]/(Σd
(但し、Σは総和を表し、異方体の各層をi層(i=1、2、・・)として、各層の厚さをdi1、di2、・・とする。)
レターデーションR及びRthは、上記自動複屈折計を用いて、波長550nmの光での値を測定する。
面内レターデーションのバラツキは、異方体の全面に渡って面内レターデーションを任意に30点測定して、その測定値の算術平均値を面内レターデーション値とする。そして、前記測定値の内、最大値と最小値との差を面内レターデーションのバラツキとする。
(4)残留揮発成分含有量
光学異方体200mgを、表面に吸着していた水分や有機物を完全に除去した内径4mmのガラスチューブの試料容器に入れる。次に、その容器を温度100℃で60分間加熱し、容器から出てきた気体を連続的に捕集する。そして、捕集した気体を熱脱着ガスクロマトグラフィー質量分析計(TDS−GC−MS)で分析し、その中で分子量200以下の成分の合計量を残留揮発成分含有量として測定する。
(5)ハードコート層及び低屈折率層の屈折率
高速分光エリプソメーター[J.A.Woollam社製、M−2000U]を用いて、測定波長245〜1000nm、入射角55°、60°及び65°で測定し、その測定値を元に算出した値を屈折率とする。
(6)反射率
分光光度計[日本分光社製:「紫外可視近赤外分光光度計 V−570」]を用い、入射角5°にて反射スペクトルを測定し、波長550nmにおける反射率と、波長430〜700nmにおける反射率の最大値を求める。
(7)液晶表示装置の視野角特性
光学異方体(A)及び光学異方体(B)を、インプレーンスイッチング(IPS)モードの液晶表示装置に配置して、目視により正面方向からと極角80°以内の斜め方向からの表示特性を観察する。
(8)輝度ムラ
インプレーンスイッチング(IPS)モードの液晶表示装置に光学異方体(A)及び光学異方体(B)を配置し、ディスプレイの背景を黒表示にし、暗室内で目視により、正面方向、極角40°の上下左右斜め方向からの輝度ムラ(白抜け)がないか確認する。評価は、正面方向、上下左右40度で行う。
(9)傷つき性
偏光板のハードコート層及び低屈折率が積層されている方の面にスチールウール#0000をあて、スチールウールに荷重0.05MPaをかけた状態で10往復させ、10往復させたあとの偏光板の表面状態を目視で観察する。
【0094】
(製造例1)(nzA>nyA、かつ、nxAとnzAの差の絶対値が0.002以下である光学異方体(A1)フィルムの作製)
ノルボルネン系重合体[日本ゼオン社製、ZEONOR1020、ガラス転移温度105℃]からなる[1]層、スチレン−無水マレイン酸共重合体[ガラス転移温度130℃、オリゴマー成分含有量3重量%]からなる[2]層及び変性エチレン−酢酸ビニル共重合体[ビカット軟化点80℃]からなる[3]層を有し、[1]層(8μm)−[3]層(2μm)−[2]層(16μm)−[3]層(2μm)−[1]層(8μm)の構成の未延伸積層体を共押出成形により得た。未延伸積層体を、温度135℃、倍率1.5倍、延伸速度12%/minでテンターにより横一軸延伸して、遅相軸がフィルム長手方向にあるフィルム長尺体;光学異方体(A1)を得た。
得られた光学異方体(A1)は、屈折率nxA1.57329、nyA1.57012、nzA1.57408であり、面内レターデーションR(A1)は95nm、厚さ方向レターデーションRth(A1)は−70nmであり、残留揮発成分含有量は0.01%以下であった。
【0095】
(製造例2)(nzB>nyB、かつ、nxBとnzBの差の絶対値が0.002以下である光学異方体(B1)フィルムの作製)
ノルボルネン系重合体[日本ゼオン社製、ZEONOR1020、ガラス転移温度105℃]からなる[1]層、スチレン−無水マレイン酸共重合体[ガラス転移温度130℃、オリゴマー成分含有量3重量%]からなる[2]層及びマレイン酸変性オレフィン系重合体[ビカット軟化点55℃]からなる[3]層を有し、[1]層(8μm)−[3]層(2μm)−[2]層(16μm)−[3]層(2μm)−[1]層(8μm)の構成の未延伸積層体を共押出成形により得た。未延伸積層体を、温度134℃、倍率1.7倍、延伸速度10%/minでテンターにより横一軸延伸して、遅相軸がフィルム長手方向にあるフィルム長尺体;光学異方体(B1)を得た。
得られた光学異方体(B1)は、屈折率nxB1.57557、nyB1.57007、nzB1.57695であり、面内レターデーションR(B1)は165nm、厚さ方向レターデーションRth(B1)は−125nmであり、残留揮発成分含有量は0.01%以下であった。
【0096】
(製造例3)(nzA>nyA、かつ、nxAとnzAの差の絶対値が0.002以下である光学異方体(A2)フィルムの作製)
ノルボルネン系重合体[日本ゼオン社製、ZEONOR1020、ガラス転移温度105℃]からなる[1]層、スチレン−無水マレイン酸共重合体[ガラス転移温度130℃、オリゴマー成分含有量3重量%]からなる[2]層及びマレイン酸変性オレフィン系重合体[ビカット軟化点55℃]からなる[3]層を有し、[1]層(18μm)−[3]層(7μm)−[2]層(88μm)−[3]層(7μm)−[1]層(18μm)の構成の未延伸積層体を共押出成形により得た。未延伸積層体を、温度133℃、倍率1.9倍、延伸速度23%/minでニップロールにより縦一軸延伸して、遅相軸がフィルム幅方向にあるフィルム長尺体;光学異方体(A2)を得た。
得られた光学異方体(A2)は、屈折率nxA1.57281、nyA1.57011、nzA1.57349であり、面内レターデーションR(A2)は270nm、厚さ方向レターデーションRth(A2)は−135nmであり、残留揮発成分含有量は0.01%以下であった。
【0097】
(製造例4)(nzB>nyB、かつ、nxB>nzBである光学異方体(B2)フィルムの作製)
ノルボルネン系重合体[日本ゼオン社製、ZEONOR1020、ガラス転移温度105℃]からなる[1]層、スチレン−無水マレイン酸共重合体[ガラス転移温度130℃、オリゴマー成分含有量3重量%]からなる[2]層及び変性エチレン−酢酸ビニル共重合体[ビカット軟化点80℃]からなる[3]層を有し、[1]層(15μm)−[3]層(5μm)−[2]層(32μm)−[3]層(5μm)−[1]層(15μm)の構成の未延伸積層体を共押出成形により得た。この未延伸積層体を、温度136℃、倍率1.8倍、延伸速度15%/minでテンターにより横一軸延伸して、遅相軸がフィルム長手方向にあるフィルム長尺体(b1)を得た。
また、ノルボルネン系重合体[日本ゼオン社製、ZEONOR1420R、ガラス転移温度136℃]からなる厚さ60μmの未延伸フィルムを押出成形により得た。この未延伸フィルムを、延伸温度140℃、延伸倍率1.7倍、延伸速度22%/minでニップロールにより縦一軸延伸して、遅相軸がフィルム長手方向にあるフィルム長尺体(b2)を得た。
さらに、フィルム長尺体(b1)と、フィルム長尺体(b2)とを、各々の延伸方向が直交するようにロールトゥーロール法により積層して、遅相軸がフィルム長手方向にあるフィルム長尺体;光学異方体(B2)を得た。
得られた光学異方体(B2)は、屈折率nxA1.58270、nyA1.58000、nzA1.58135であり、面内レターデーションR(B2)は270nm、厚さ方向レターデーションRth(B2)は0nmであり、残留揮発成分含有量は0.01%以下であった。
【0098】
(製造例I)(ハードコート剤の調製)
5酸化アンチモンの変性アルコールゾル[固形分濃度30%、触媒化成社製]100重量部に、紫外線硬化型ウレタンアクリレート[商品名:紫光UV7000B、日本合成化学社製]10重量部、光重合開始剤[商品名:イルガキュアー184、チバガイギー社製]0.4重量部を混合し、紫外線硬化型のハードコート剤を得た。
【0099】
(製造例II)(低屈折率層用塗布液の調製)
テトラエトキシシラン208重量部にメタノール356重量部を加え、さらに水18重量部および、0.01Nの塩酸18重量部を混合し、これを、ディスパーを用いてよく混合した。この混合液を25℃恒温漕中で2時間攪拌して、重量平均分子量を850の4官能シリコーンレジンを得た。次にこの4官能シリコーンレジンに、中空シリカ微粒子成分として中空シリカイソプロパノール(IPA)分散ゾル(固形分20質量%、平均1次粒子径約35nm、外殻厚み約8nm、触媒化成工業製)を用い、中空シリカ微粒子/4官能シリコーンレジン(縮合化合物換算)が固形分基準で質量比が85/25となるように添加し、その後、全固形分が10質量%になるようにメタノールで希釈して、低屈折率層用塗布液を得た。
【0100】
(製造例III)(ハードコート層の作製)
長尺の偏光板[サンリッツ社製、HLC2−5618S、厚さ180μm]の片面に、高周波発振機[コロナジェネレーターHV05−2、Tamtec社製]を用いて、3秒間コロナ放電処理を行い、表面張力が0.072N/mになるように表面改質した。この表面改質面に、製造例1で得られたハードコート剤を硬化後のハードコート層の膜厚が5μmになるように、ダイコーターを用いて連続的に塗布した。次いで、これを80℃で5分間乾燥させた後、紫外線照射(積算光量300mJ/cm)を行うことにより、ハードコート剤を硬化させ、長尺のハードコート層積層偏光板(C’)を得た。硬化後のハードコート層の膜厚は5μm、屈折率は1.62、表面粗さは0.2μmであった。
【0101】
(製造例IV)(低屈折率層の作製)
長尺のハードコート層積層偏光板(C’)の上に低屈折率層を構成する材料として製造例IIで得られた低屈折率層用塗布液をワイヤーバーコーターにより塗工し、空気中で120℃、5分間熱処理を行うことにより、厚さ100nmの低屈折率層が形成された長尺の低屈折率層−ハードコート層積層偏光板(C)を得た。この低屈折率層の屈折率は1.34であった。
【0102】
[実施例1](液晶表示装置LCD−1の作製)
製造例1で得られた長尺の光学異方体(A1)と製造例IVで得られた長尺の低屈折率層−ハードコート層積層偏光板(C)とをロールトゥーロール法により積層して光学素子を得た。このとき、光学異方体(A1)の遅相軸と偏光板の吸収軸とのなす角は0°であった。そして、この光学素子から適当な大きさに切り出したものを出射側偏光板(A’1)とした。
また、製造例2で得られた長尺の光学異方体(B1)と長尺の偏光板(サンリッツ社製、HLC2−5618S、厚さ180μm)とをロールトゥーロール法により積層して光学素子を得た。このとき、光学異方体(B1)の遅相軸と偏光板の吸収軸とのなす角は0°であった。そして、この光学素子から適当な大きさに切り出したものを入射側偏光板(B’1)とした。
さらに、市販のインプレーンスイッチング(IPS)モードの液晶表示装置の出射側及び入射側偏光板を、それぞれ出射側偏光板(A’1)及び入射側偏光板(B’1)に置き換えた。この際、出射側偏光板(A’1)の吸収軸と液晶セルの電圧無印加時の面内の遅相軸とが平行、入射側偏光板(B’1)の吸収軸と液晶セルの電圧無印加時の面内の遅相軸とが垂直となるように、Fig.5に示す構成を有する液晶表示装置LCD−1を組み立てた。この時の配置構成は、液晶表示装置の視認側から見て、低屈折率層−ハードコート層、偏光板、製造例1で得られた光学異方体(A1)フィルム、液晶セル、製造例2で得られた光学異方体(B1)フィルム、偏光板の順序であった。
得られた液晶表示装置LCD−1の表示特性を目視で評価すると、画面を正面から見た場合も、全方位から極角80°以内の斜め方向から見た場合も、表示は良好かつ均質であった。また、輝度ムラは、正面方向から見ても、上下左右40°以内の斜め方向から見ても見られなかった。さらに、外景の映り込みも見られなかった。波長550nmにおける反射率は0.51%、波長430〜700nmにおける反射率の最大値は1.1%であった。傷つき性評価では傷は全く見られなかった。
【0103】
[実施例2](液晶表示装置LCD−2の作製)
製造例4で得られた長尺の光学異方体(B2)と製造例IVで得られた長尺の低屈折率層−ハードコート層積層偏光板(C)とをロールトゥーロール法により積層して光学素子(b’2)を得た。このとき、光学異方体(B2)の遅相軸と偏光板の吸収軸とのなす角は0°であった。
また、製造例3で得られた長尺の光学異方体(A2)と上記光学素子(b’2)とをロールトゥーロール法により積層して光学素子(a’2)を得た。このとき、光学異方体(A2)の遅相軸と上記光学素子(a’2)の吸収軸とのなす角は90°であった。そして、この光学素子(a’2)から適当な大きさに切り出したものを出射側偏光板(A’2)とした。
さらに、市販のインプレーンスイッチング(IPS)モードの液晶表示装置の出射側偏光板を、出射側偏光板(A’2)に置き換えた。この際、出射側偏光板(A’1)の吸収軸と液晶セルの電圧無印加時の面内の遅相軸とが平行、入射側偏光板の吸収軸と液晶セルの電圧無印加時の面内の遅相軸とが垂直となるように、Fig.6に示す構成を有する液晶表示装置LCD−2を組み立てた。この時の配置構成は、液晶表示装置の視認側から見て、低屈折率層−ハードコート層、偏光板、製造例4で得られた光学異方体(B2)フィルム、製造例3で得られた光学異方体(A2)フィルム、液晶セル、偏光板の順序であった。
得られた液晶表示装置LCD−2の表示特性を目視で評価すると、画面を正面から見た場合も、全方位から極角80°以内の斜め方向から見た場合も、表示は良好かつ均質であった。また、輝度ムラは、正面方向から見ても、上下左右40°以内の斜め方向から見ても見られなかった。さらに、外景の映り込みも見られなかった。波長550nmにおける反射率は0.51%、波長430〜700nmにおける反射率の最大値は1.0%であった。傷つき性評価では傷は全く見られなかった。
【0104】
(製造例5)(nzA>nyA、かつ、nxAとnzAの差の絶対値が0.002以下である光学異方体(A3)フィルムの作製
下記式(7)で表されるポリビニルアルコールをメタノールとアセトンの混合溶媒(容量比は50:50)に溶解して、5%溶液を調製した。この溶液をバーコーターを用いて縦40cm/横30cmの光学等方性透明ガラス基板上に1μmの厚さに塗布し、60℃の温風で2分間乾燥し、その表面をラビング処理して、垂直配向膜を形成した。
【0105】

【0106】
垂直配向膜の上に、前記式(1)のiに示すディスコティック液晶32.6%、セルロースアセテートブチレート0.7%、変性トリメチロールプロパントリアクリレート3.2%、増感剤0.4%、光重合開始剤1.1%、及びメチルエチルケトン62.0%を含む塗布液を塗布し、該ディスコティック液晶分子をホモジニアス配向させた。次に、500W/cmの照度の水銀ランプで紫外線を1秒間照射して該ディスコティック液晶分子を重合させた。このようにして光学異方体(A3)フィルムを得た。ディスコティック液晶分子は、光学等方性透明ガラス基板の横方向に遅相軸を有するようにホモジニアス配向をしていた。
得られた光学異方体(A3)は、屈折率nxA1.6440、nyA1.5600、nzA1.6440であり、面内レターデーションR(A3)は420nm、厚さ方向レターデーションRth(A3)は−210nmであった
【0107】
(製造例6)(nzB>nyB、かつ、nxBとnzBの差の絶対値が0.002以下である光学異方体(B3)フィルムの作製)
ノルボルネン系重合体[日本ゼオン社製、ZEONOR1420R、ガラス転移温度136℃]からなる厚さ100μmの長尺の未延伸フィルム(b3)を押出成形により得た。得られた未延伸フィルム(b3)の残留揮発成分含有量は0.01%以下であった。
製造例5において、光学等方性透明ガラス基板の代わりに、上記未延伸フィルム(b3)を用いて、塗布液の濃度をディスコティック液晶22.3%、メチルエチルケトン72.3%とした他は、製造例5と同様にして垂直配向膜を形成し、次いで液晶性化合物を含む塗布液を塗布して長尺の光学異方体(B3)フィルムを得た。ディスコティック液晶分子は、光学異方体(B3)の長手方向に遅相軸を有するようにホモジニアス配向をしていた。
得られた光学異方体(B3)は、屈折率nxA1.56677、nyA1.56617、nzA1.56677であり、面内レターデーションR(B3)は60nm、厚さ方向レターデーションRth(B3)は−30nmであった。
【0108】
(製造例7)(nzA>nyA、かつ、nxAとnzAの差の絶体値が0.002以下である光学異方体(A4)フィルムの作製)
ノルボルネン系重合体[日本ゼオン社製、ZEONOR1600、ガラス転移温度163℃]からなる厚さ100μmの長尺の未延伸フィルム(a4)を押出成形により得た。得られた未延伸フィルム(a4)の残留揮発成分含有量は0.01%以下であった。
製造例5において、光学等方性透明ガラス基板の代わりに、上記未延伸フィルム(a4)を用いて、塗布液の濃度をディスコティック液晶27.9%、メチルエチルケトン66.7%とした他は、製造例5と同様にして垂直配向膜を形成し、次いで液晶性化合物を含む塗布液を塗布して長尺の光学異方体(A4)フィルムを得た。ディスコティック液晶分子は、光学異方体(A4)の幅方向に遅相軸を有するようにホモジニアス配向をしていた。
得られた光学異方体(A4)は、屈折率nxA1.57275、nyA1.57005、nzA1.57275であり、面内レターデーションR(A4)は270nm、厚さ方向レターデーションRth(A4)は−135nmであった。
【0109】
(製造例8)(nzB>nyB、かつ、nxB>nzBである光学異方体(B4)フィルムの作製)
ノルボルネン系重合体[日本ゼオン社製、ZEONOR1600、ガラス転移温度163℃]からなる厚さ100μmの未延伸フィルムを押出成形により得た。この未延伸フィルムを、延伸温度165℃、延伸倍率1.3倍、延伸速度18%/minでニップロールにより縦一軸延伸して、遅相軸がフィルム長手方向にあるフィルム長尺体(b4)を得た。得られたフィルム長尺体(b4)の残留揮発成分含有量は0.01%以下であった。
製造例5において、光学等方性透明ガラス基板の代わりに、上記フィルム長尺体(b4)を用いた他は、製造例5と同様にして垂直配向膜を形成し、次いで液晶性化合物を含む塗布液を塗布して光学異方体(B4)フィルムを得た。ディスコティック液晶性分子は、透明ポリマーフィルムの長手方向に遅相軸を有するようにホモジニアス配向をしていた。
得られた光学異方体(B4)は、屈折率nxA1.56775、nyA1.56505、nzA1.56640であり、面内レターデーションR(B4)は270nm、厚さ方向レターデーションRth(B4)は0nmであった。
【0110】
[実施例3](液晶表示装置LCD−3の作製)
光学異方体(B3)から切り出した縦40cm/横30cmの小版フィルム(光学異方性層B3の長手方向が小版フィルムの縦方向と一致するようにした)の縦方向と長尺の偏光板[サンリッツ社製、HLC2−5618S、厚さ180μm]の長手方向とを平行にして、光学異方体(B3)のディスコティック液晶層側を該偏光板に向けて積層して光学素子(b’3)を得た。このとき、光学異方体(B3)の遅相軸と偏光板の吸収軸とのなす角は0°であった。
また、製造例5で得られた光学異方体(A3)の縦方向と光学素子(b’3)の吸収軸方向とを平行にして、光学異方体(A3)のディスコティック液晶層側を光学素子(b’3)に向けて積層して入射側偏光板(A’3)を得た。このとき、光学異方体(A3)の遅相軸と光学素子(b’3)の吸収軸とのなす角は90°であった。
さらに、市販のインプレーンスイッチング(IPS)モードの液晶表示装置の入射側偏光板を、入射側偏光板(A’3)に置き換えた。加えて、その液晶表示装置の出射側偏光板を、製造例IVで得られた長尺の低屈折率層−ハードコート層積層偏光板(C)に置き換えた。この際、出射側偏光板の吸収軸と液晶セルの電圧無印加時の面内の遅相軸とが平行、入射側偏光板(A’3)の吸収軸と液晶セルの電圧無印加時の面内の遅相軸とが垂直となるように、Fig.3に示す構成を有する液晶表示装置LCD−3を組み立てた。この時の配置構成は、液晶表示装置の視認側から見て、低屈折率層−ハードコート層、偏光板、液晶セル、製造例5で得られた光学異方体(A3)フィルム、製造例6で得られた光学異方体(B3)フィルム、偏光板の順序であった。
得られた液晶表示装置LCD−3の表示特性を目視で評価すると、画面を正面から見た場合も、全方位から極角80°以内の斜め方向から見た場合も、表示は良好かつ均質であった。また、輝度ムラは、正面方向から見ても、上下左右40°以内の斜め方向から見ても見られなかった。さらに、外景の映り込みも見られなかった。波長550nmにおける反射率は0.54%、波長430〜700nmにおける反射率の最大値は1.2%であった。傷つき性評価では傷は全く見られなかった。
【0111】
[実施例4](液晶表示装置LCD−4の作製)
製造例7で得られた長尺の光学異方体(A4)と製造例IVで得られた長尺の低屈折率層−ハードコート層積層偏光板(C)とを、光学異方体(A4)のディスコティック液晶層側を該偏光板に向けてロールトゥーロール法により積層して光学素子を得た。このとき、光学異方体(A4)の遅相軸と偏光板の吸収軸とのなす角は90°であった。そして、この光学素子から適当な大きさに切り出したものを出射側偏光板(A’4)とした。
また、製造例8で得られた長尺の光学異方体(B4)と長尺の偏光板[サンリッツ社製、HLC2−5618S、厚さ180μm]とを、光学異方体(A4)のディスコティック液晶層側を該偏光板に向けてロールトゥーロール法により積層して光学素子を得た。このとき、光学異方体(B4)の遅相軸と偏光板の吸収軸とのなす角は90°であった。そして、この光学素子から適当な大きさに切り出したものを入射側偏光板(B’4)とした。
さらに、市販のインプレーンスイッチング(IPS)モードの液晶表示装置の出射側及び入射側偏光板を、それぞれ出射側偏光板(A’4)及び入射側偏光板(B’4)に置き換えた。この際、出射側偏光板(A’4)の吸収軸と液晶セルの電圧無印加時の面内の遅相軸とが平行、入射側偏光板(B’4)の吸収軸と液晶セルの電圧無印加時の面内の遅相軸とが垂直となるように、Fig.8に示す構成を有する液晶表示装置LCD−4を組み立てた。この時の配置構成は、液晶表示装置の視認側から見て、低屈折率層−ハードコート層、偏光板、製造例7で得られた光学異方体(A4)フィルム、液晶セル、製造例8で得られた光学異方体(B4)フィルム、偏光板の順序であった。
得られた液晶表示装置LCD−4の表示特性を目視で評価すると、画面を正面から見た場合も、全方位から極角80°以内の斜め方向から見た場合も、表示は良好かつ均質であった。また、輝度ムラは、正面方向から見ても、上下左右40°以内の斜め方向から見ても見られなかった。さらに、外景の映り込みも見られなかった。波長550nmにおける反射率は0.55%、波長430〜700nmにおける反射率の最大値は1.1%であった。傷つき性評価では傷は全く見られなかった。
【0112】
(製造例9)(nzB>nyB、かつ、nxB>nzBである光学異方体(A5)フィルムの作製)
ノルボルネン系重合体[日本ゼオン社製、ZEONOR1420R、ガラス転移温度136℃]からなる厚さ100μmの長尺の未延伸フィルム(a5)を共押出成形により得た。
上記未延伸フィルム(a5)上に、前記式(3)に示すライオトロピック液晶分子8%と水92%の溶液を、配向膜を使用せずに、その幅方向に並行してダイコーターによって剪断塗布した。これを118℃の熱雰囲気(アルゴン置換させたもの)下に静置して、水を除去して、光学異方体(A5)フィルムを得た。ライオトロピック液晶分子は、透明ポリマーフィルムの長手方向に遅相軸を有するようにホモジニアス配向をしていた。
得られた光学異方体(A5)は、屈折率nxA1.54362、nyA1.54263、nzA1.54362であり、面内レターデーションR(A5)は100nm、厚さ方向レターデーションRth(A5)は−50nmであった。
【0113】
(製造例10)(nzB>nyB、かつ、nxB>nzBである光学異方体(B5)フィルムの作製)
脂環式溝造を有する重合体の一例であるビニル芳香族炭化水素系単量体の共重合体の芳香環を含む不飽和結合部分の水素添加物(スチレン由来の繰り返し単位を含有するブロック(以降、「St」と略記。)、及び、スチレンとイソプレン由来の繰り返し単位を含有するブロック(以降、「St/Ip」と略記。)、及びStとからなる3元ブロック共重合体、それぞれのブロックのモル比は、St:St/Ip:St=34.5:31(St:Ip=10/21):34.5、Tgは127.1℃)からなる厚さ100μmの未延伸フィルムを押出成形により得た。この未延伸フィルムを、延伸温度165℃、延伸倍率1.3倍、延伸速度18%/minでニップロールにより縦一軸延伸して、遅相軸がフィルム幅方向にあるフィルム長尺体(b5)を得た。得られたフィルム長尺体(b5)の残留揮発成分含有量は0.01%以下であった。
上記未延伸フィルム(b5)上に、前記式(3)に示すライオトロピック液晶分子6%と水94%の溶液を、配向膜を使用せずに、その長手方向に並行してダイコーターによって剪断塗布した。これを108℃の熱雰囲気(アルゴン置換させたもの)下に静置して、水を除去して、光学異方体(B5)フィルムを得た。ライオトロピック液晶分子は、透明ポリマーフィルムの幅方向に遅相軸を有するようにホモジニアス配向をしていた。
得られた光学異方体(B5)は、屈折率nxA1.54590、nyA1.54368、nzA1.54590であり、面内レターデーションR(B5)は180nm、厚さ方向レターデーションRth(B5)は−90nmであった。
【0114】
(製造例11)(nzA>nyA、かつ、nxAとnzAの差の絶対値が0.002以下である光学異方体(A6)フィルムの作製)
ノルボルネン系重合体[日本ゼオン社製、ZEONOR1060、ガラス転移温度100℃]からなる[1]層、スチレン−無水マレイン酸共重合体[ガラス転移温度130℃、オリゴマー成分含有量3重量%]からなる[2]層及び変性エチレン−酢酸ビニル共重合体[ビカット軟化点55℃]からなる[3]層を有し、[1]層(25μm)−[3]層(5μm)−[2]層(56μm)−[3]層(5μm)−[1]層(25μm)の構成の未延伸積層体を共押出成形により得た。未延伸積層体を、温度134℃、倍率2.1倍、延伸速度13%/minでテンターにより横一軸延伸して、遅相軸がフィルム長手方向にある)フィルム長尺体;光学異方体(A6)を得た。
得られた光学異方体(A6)は、屈折率nxA1.57748、nyA1.57410、nzA1.57760であり、面内レターデーションR(A6)は270nm、厚さ方向レターデーションRth(A6)は−184nmあり、残留揮発成分含有量は0.01%以下であった。
【0115】
(製造例12)(nzB>nyB、かつ、nxB>nzBである光学異方体(B6)フィルムの作製)
ノルボルネン系重合体[日本ゼオン社製、ZEONOR1600、ガラス転移温度163℃]からなる厚さ100μmの未延伸フィルムを押出成形により得た。この未延伸フィルムを、延伸温度168℃、延伸倍率1.1倍、延伸速度8%/minでニップロールにより縦一軸延伸して、遅相軸がフィルム長手方向にあるフィルム長尺体(b6)を得た。得られたフィルム長尺体(b6)の残留揮発成分含有量は0.01%以下であった。
上記未延伸フィルム(b6)上に、前記式(4)に示すライオトロピック液晶分子9重量%と水91重量%の溶液を、配向膜を使用せずに、その長手方向に並行してダイコーターによって剪断塗布した。これを113℃の熱雰囲気(アルゴン置換させたもの)下に静置して、水を除去して、光学異方体(B6)フィルムを得た。ライオトロピック液晶分子は、透明ポリマーフィルムの幅方向に遅相軸を有するようにホモジニアス配向をしていた。
得られた光学異方体(B6)は、屈折率nxA1.54347、nyA1.54080、nzA1.54206であり、面内レターデーションR(B6)は270nm、厚さ方向レターデーションRth(B6)は8nmであった。
【0116】
[実施例5](液晶表示装置LCD−5の作製)
製造例9で得られた長尺の光学異方体(A5)と製造例IVで得られた長尺の低屈折率層−ハードコート層積層偏光板(C)とを、光学異方体(A5)のライオトロピック液晶層側を該偏光板に向けてロールトゥーロール法により積層して光学素子(a’5)を得た。このとき、光学異方体(A5)の遅相軸と偏光板の吸収軸とのなす角は0°であった。
また、製造例10で得られた長尺の光学異方体(B5)と上記光学素子(a’5)とを、光学異方体(B5)のライオトロピック液晶層側を光学素子(a’5)に向けてロールトゥーロール法により積層して光学素子(a’5’)を得た。このとき、光学異方体(B5)の遅相軸と上記光学素子(a’5’)の吸収軸とのなす角は90°であった。そして、この光学素子(a’5’)から適当な大きさに切り出したものを出射側偏光板(A’5)とした。
さらに、市販のインプレーンスイッチング(IPS)モードの液晶表示装置の出射側偏光板を、出射側偏光板(A’5)に置き換えた。この際、出射側偏光板(A’5)の吸収軸と液晶セルの電圧無印加時の面内の遅相軸とが平行となるように、Fig.4に示す構成を有する液晶表示装置LCD−5を組み立てた。この時の配置構成は、液晶表示装置の視認側から見て、低屈折率層−ハードコート層、偏光板、製造例9で得られた光学異方体(A5)フィルム、製造例10で得られた光学異方体(B5)フィルム、液晶セル、偏光板の順序であった。
得られた液晶表示装置LCD−5の表示特性を目視で評価すると、画面を正面から見た場合も、全方位から極角80°以内の斜め方向から見た場合も、表示は良好かつ均質であった。また、輝度ムラは、正面方向から見ても、上下左右40°以内の斜め方向から見ても見られなかった。さらに、外景の映り込みも見られなかった。波長550nmにおける反射率は0.53%、波長430〜700nmにおける反射率の最大値は1.1%であった。傷つき性評価では傷は全く見られなかった。
【0117】
[実施例6](液晶表示装置LCD−6の作製)
製造例12で得られた長尺の光学異方体(B6)と長尺の偏光板[サンリッツ社製、HLC2−5618S、厚さ180μm]とを、光学異方体(B6)のライオトロピック液晶層側を該偏光板に向けてロールトゥーロール法により積層して光学素子(b’6)を得た。このとき、光学異方体(B6)の遅相軸と偏光板の吸収軸とのなす角は90°であった。
また、製造例11で得られた長尺の光学異方体(A6)と上記光学素子(b’6)とをロールトゥーロール法により積層して光学素子(a’6)を得た。このとき、光学異方体(A6)の遅相軸と上記光学素子(a’6)の吸収軸とのなす角は0°であった。そして、この光学素子(a’6)から適当な大きさに切り出したものを入射側偏光板(A’6)とした。
さらに、市販のインプレーンスイッチング(IPS)モードの液晶表示装置の入射側偏光板を、入射側偏光板(A’6)に置き換えた。加えて、その液晶表示装置の出射側偏光板を、製造例IVで得られた長尺の低屈折率層−ハードコート層積層偏光板(C)と置き換えた。この際、入射側偏光板(A’6)の吸収軸と液晶セルの電圧無印加時の面内の遅相軸とが垂直となるように、Fig.7に示す構成を有する液晶表示装置LCD−6を組み立てた。この時の配置構成は、液晶表示装置の視認側から見て、低屈折率層−ハードコート層、偏光板、液晶セル、製造例11で得られた光学異方体(A6)フィルム、製造例12で得られた光学異方体(B6)フィルム、偏光板の順序であった。
得られた液晶表示装置LCD−6の表示特性を目視で評価すると、画面を正面から見た場合も、全方位から極角80°以内の斜め方向から見た場合も、表示は良好かつ均質であった。また、輝度ムラは、正面方向から見ても、上下左右40°以内の斜め方向から見ても見られなかった。さらに、外景の映り込みも見られなかった。波長550nmにおける反射率は0.54%、波長430〜700nmにおける反射率の最大値は1.0%であった。傷つき性評価では傷は全く見られなかった。
【0118】
(製造例13)(nzA>nyA、かっ、nxAとnzAの差の絶対値が0.002以下である光学異方体(A7)フィルムの作製)
Makromal.Chem.,Rapid Commun.10,477−483(1989)に開示されている方法に従って、前記式(5)で表される樹脂を合成し、該樹脂8gを100gのメタノール:メチレンクロライド=1:9(重量比)の溶媒に溶解し、アゾベンゼン樹脂溶液を作製した。この溶液をバーコーターを用いて縦40cm/横30cmの光学等方性透明ガラス基板上に1μmの厚さに塗布し、該基板を40℃に加熱しながら、該基抜の垂直方向からハロゲンランプにより照度10000ルクスの直線偏光(該基板の横方向に平行な偏光)を、ヨウ素系偏光板を用いて照射し、遅相軸が縦方向にある光学異方体(A7)を得た。
得られた光学異方体(A7)は、屈折率nxA1.57392、nyA1.57122、nzA1.57392であり、面内レターデーションR(A7)は270nm、厚さ方向レターデーションRth(A7)は−135nmであった。
【0119】
(製造例14)(nzB>nyB、かつ、nxB>nzBである光学異方体(B7)フィルムの作製)
ノルボルネン系重合体[日本ゼオン社製、ZEONOR1420R、ガラス転移温度136℃]からなる厚さ100μmの未延伸フィルムを押出成形により得た。この未延伸フィルムを、延伸温度143℃、延伸倍率1.5倍、延伸速度16%/minでニップロールにより縦一軸延伸して、遅相軸がフィルム長手方向にあるフィルム長尺体(b7)を得た。得られたフィルム長尺体(b7)の残留揮発成分含有量は0.01%以下であった。
上記未延伸フィルム(b7)上に、製造例13で用いたアゾベンゼン溶液をバーコーターを用いて1μmに塗布し、フィルム(b7)を40℃に加熱しながら、フィルム(b7)の垂直方向からハロゲンランプにより照度10000ルクスの直線偏光(フィルム(b7)の幅方向に平行な偏光)を、ヨウ素系偏光板を用いて照射し、遅相軸が縦方向にある光学異方体(B7)を得た。
得られた光学異方体(B7)は、屈折率nxA1.58687、nyA1.58362、nzA1.58525であり、面内レターデーションR(B7)は270nm、厚さ方向レターデーションRth(B7)は0nmであった。
【0120】
[実施例7](液晶表示装置LCD−7の作製)
光学異方体(B7)から切り出した縦40cm/横30cmの小版フィルム(光学異方性層B7の幅方向が小版フィルムの縦方向と一致するようにした)を、光学異方体(B7)のアゾベンゼン樹脂層側にして、その縦方向と長尺の偏光板[サンリッツ社製、HLC2−5618S、厚さ180μm]の長手方向とを平行にして積層して光学素子(b’7)を得た。このとき、光学異方体(B7)の遅相軸と偏光板の吸収軸とのなす角は90°であった。
また、製造例13で得られた光学異方体(A7)の縦方向と光学素子(b’7)の吸収軸方向とを平行にして積層して入射側偏光板(A’7)を得た。このとき、光学異方体(A7)の遅相軸と光学素子(b’7)の吸収軸とのなす角は0°であった。
さらに、市販のインプレーンスイッチング(IPS)モードの液晶表示装置の入射側偏光板を、入射側偏光板(A’7)に置き換えた。加えて、その液晶表示装置の出射側偏光板を、製造例IVで得られた長尺の低屈折率層−ハードコート層積層偏光板(C)に置き換えた。この際、出射側偏光板の吸収軸と液晶セルの電圧無印加時の面内の遅相軸とが平行、入射側偏光板(A’7)の吸収軸と液晶セルの電圧無印加時の面内の遅相軸とが垂直となるように、Fig.7に示す構成を有する液晶表示装置LCD−7を組み立てた。この時の配置構成は、液晶表示装置の視認側から見て、低屈折率層−ハードコート層、偏光板、液晶セル、製造例13で得られた光学異方体(A7)フィルム、製造例14で得られた光学異方体(B7)フィルム、偏光板の順序であった。
得られた液晶表示装置LCD−7の表示特性を目視で評価すると、画面を正面から見た場合も、全方位から極角80°以内の斜め方向から見た場合も、表示は良好かつ均質であった。また、輝度ムラは、正面方向から見ても、上下左右40°以内の斜め方向から見ても見られなかった。さらに、外景の映り込みも見られなかった。波長550nmにおける反射率は0.53%、波長430〜700nmにおける反射率の最大値は1.0%であった。傷つき性評価では傷は全く見られなかった。
【0121】
(比較例1)
市販のインプレーンスイッチング(IPS)モードの液晶表示装置の偏光板を、偏光板[サンリッツ社製、HLC2−5618]に置き換えた。この際、出射側偏光板の吸収軸と液晶セルの電圧無印加時の面内の遅相軸とが平行、入射側偏光板の吸収軸と液晶セルの電圧無印加時の面内の遅相軸とが垂直となるように、液晶表示装置LCD−8を組み立てた。この時の配置構成は、液晶表示装置の視認側から見て、偏光板、液晶セル、偏光板の順序であった。
得られた液晶表示装置LCD−8の表示特性を目視で評価すると、画面を正面から見た場合は表示は良好であったが、方位角45°の斜め方向から見た場合は、コントラストが低く、不良であった。さらに、外景の映り込みが見られた。波長550nmにおける反射率は3.51%、波長430〜700nmにおける反射率の最大値は3.55%であった。傷つき性評価では明らかに傷が認められた。
【産業上の利用可能性】
【0122】
本発明の液晶表示装置は、反射防止性及び傷つき性に優れ、正面方向からの画像特性を低下させることなく、画面を斜め方向から見たときのコントラストの低下が防止され、視野角が広く、どの方向から見ても均質で高いコントラストを有する。本発明の液晶表示装置は、インプレーンスイッチングモードの液晶表示装置に特に好適に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0123】
本発明の液晶表示装置の好適な配置の説明図である。本発明の液晶表示装置の好適な配置の説明図である。本発明の液晶表示装置の配置1−Iの態様の説明図である。本発明の液晶表示装置の配置1−IIの態様の説明図である。本発明の液晶表示装置の配置1−IIIの態様の説明図である。本発明の液晶表示装置の配置2−Iの態様の説明図である。本発明の液晶表示装置の配置2−IIの態様の説明図である。本発明の液晶表示装置の配置2−IIIの態様の説明図である。本発明の液晶表示装置の配置2−VIの態様の説明図である。
【符号の説明】
【0124】
1 入射側偏光子
2 液晶セル
3 光学異方体(A)
4 光学異方体(B)
5 出射側偏光子
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれの吸収軸がたがいに略垂直の位置関係にある出射側偏光子及び入射側偏光子から構成される一対の偏光子の間に、少なくとも光学異方体(A)、光学異方体(B)及び液晶セルを有するインプレーンスイッチングモードの液晶表示装置であって、波長550nmの光で測定した前記光学異方体(A)及び光学異方体(B)それぞれの面内の遅相軸方向の屈折率をnxA及びnxB、面内の遅相軸と面内で直交する方向の屈折率をnyA及びnyB、厚さ方向の屈折率をnzA及びnzBとしたとき、nzA>nyA、かつ、nzB>nyBであり、前記光学異方体(A)の面内の遅相軸と光学異方体(B)の面内の遅相軸とが略平行又は略垂直の位置関係にあり、光学異方体(A)の面内の遅相軸が近傍に配置されている方の偏光子の吸収軸と略平行又は略垂直の位置関係にあることを待徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
xAとnzAの差の絶対値が0.003以下であり、かつ、nxBとnzBの差の絶対値が0.003以下である請求項1記載の液晶表示装置。
【請求項3】
xAとnzAの差の絶対値が0.003以下であり、かつ、nxB>nzBである請求項1記載の液晶表示装置。
【請求項4】
出射側偏光子の吸収軸が電圧無印加状態の液晶セルの、液晶の面内の遅相軸と平行の位置関係にあり、光学異方体(A)と光学異方体(B)が、液晶セルと入射側偏光子との間に配置され、かつ、光学異方体(A)と光学異方体(B)の面内の遅相軸が略垂直の位置関係にある請求項1又は2記載の液晶表示装置。
【請求項5】
光学異方体(B)の面内の遅相軸が、電圧無印加状態の液晶セルの面内の遅相軸と略垂直の位置関係にあり、光学異方体(A)が液晶セル側に配置されてなる請求項4記載の液晶表示装置。
【請求項6】
出射側偏光子の吸収軸が電圧無印加状態の液晶セルの、液晶の面内の遅相軸と平行の位置関係にあり、光学異方体(A)と光学異方体(B)が、液晶セルと出射側偏光子との間に配置され、かつ、光学異方体(A)と光学異方体(B)の面内の遅相軸が略垂直の位置関係にある請求項1又は2記載の液晶表示装置。
【請求項7】
光学異方体(B)の面内の遅相軸が、電圧無印加状態の液晶セルの面内の遅相軸と略垂直の位置関係にあり、光学異方体(B)が液晶セル側に配置されてなる請求項6記載の液晶表示装置。
【請求項8】
出射側偏光子の吸収軸が電圧無印加状態の液晶セルの、液晶の面内の遅相軸と平行の位置関係にあり、光学異方体(A)と光学異方体(B)が、液晶セルと入射側偏光子との間、及び、液晶セルと出射側偏光子との間に別々に配置されてなる請求項1又は2記載の液晶表示装置。
【請求項9】
光学異方体(B)の面内の遅相軸が、電圧無印加状態の液晶セルの面内の遅相軸と略垂直の位置関係にあり、光学異方体(A)が液晶セルと出射側偏光子との間に配置されてなる請求項8記載の液晶表示装置。
【請求項10】
出射側偏光子の吸収軸が電圧無印加状態の液晶セルの、液晶の面内の遅相軸と平行の位置関係にあり、光学異方体(A)と光学異方体(B)とが、液晶セルと入射側偏光子との間、又は、液晶セルと出射側偏光子との間のいずれかに配置され、かつ、光学異方体(A)の面内の遅相軸が、電圧無印加状態の液晶セルの面内の遅相軸と略垂直の位置関係にある請求項1又は3記載の液晶表示装置。
【請求項11】
光学異方体(A)が液晶セル側に配置されてなる請求項10記載の液晶表示装置。
【請求項12】
出射側偏光子の吸収軸が電圧無印加状態の液晶セルの、液晶の面内の遅相軸と平行の位置関係にあり、光学異方体(A)と光学異方体(B)が、液晶セルと入射側偏光子との間、及び、液晶セルと出射側偏光子との間に、別々に配置されてなり、光学異方体(A)の面内の遅相軸が、電圧無印加状態の液晶セルの面内の遅相軸と略垂直の位置関係にある請求項1又は3記載の液晶表示装置。
【請求項13】
光学異方体(A)及び光学異方体(B)が、次の(i)〜(iii)のいずれかの層より選ばれたものからなることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
(i)固有複屈折値が負である材料を含む層
(ii)ディスコティック液晶分子又はライオトロピック液晶分子を含む層
(iii)光異性化物質を含む層

【国際公開番号】WO2005/050301
【国際公開日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【発行日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−515697(P2005−515697)
【国際出願番号】PCT/JP2004/017541
【国際出願日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【出願人】(000229117)日本ゼオン株式会社 (1,870)
【Fターム(参考)】