説明

液晶装置で配列層として用いるための重合体

本発明は、液晶装置で表面指向子配列層として用いるための、重合体主鎖及びそれに結合した側鎖を含む重合体において、前記重合体主鎖が、直接結合した環構造体を持たず、そして前記側鎖の少なくとも幾つかのの各側鎖が、炭素・炭素一重結合(−)、炭素・炭素二重結合含有単位(−CH=CH−)、炭素・炭素三重結合含有単位(−C≡C−)、メチレンエーテル単位(−CHO−)、エチレンエーテル単位(−CHCHO−)、エステル単位(−COO−)、及びアゾ単位(−N=N−)からなる群から選択された結合部により結合された少なくとも二つの非置換及び/又は置換フェニルを含み、配向相で、誘電異方性を与える永久的及び/又は誘導双極子モーメントを示し、そして少なくとも二つの隔離原子により重合体主鎖に結合している、重合体に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に液晶の分野に関する。特に本発明は、液晶装置(LCD)で、表面指向子配列層(surface-director alignment layer)として用いるための重合体に関する。
【0002】
本発明は、前記重合体の製造方法、前記重合体を含む組成物、前記重合体を含む表面指向子配列層、前記重合体を表面指向子配列層として使用すること、及び液晶装置の製造方法にも関する。
【背景技術】
【0003】
液晶表示器及び装置の基本的操作原理の一つは、液晶材料の誘電異方性に結合する(誘電カップリング)印加電場により液晶分子の配向を切り替えことである。そのようなカップリングは、印加電場に対し二次的な、即ち、電場極性とは無関係に光電応答を引き起こす。
【0004】
結晶又は液晶構造のような構造的異方性を有する配向分子構造(配向相)を有する材料の誘電異方性(△ε)は、この材料の優先的配向に対し、直角及び平行な方向に夫々測定した誘電率の差である。
【0005】
正の誘電異方性(△ε>0)を示す液晶材料を通って電場を印加すると、分子は電場の方向に沿って(又は実質的に沿って)それらの長軸を配列するであろう。
【0006】
負の誘電異方性(△ε<0)を示す液晶材料を通って電場を印加すると、分子は、電場の方向とは直角(又は実質的に直角)にそれらの長軸を配列するであろう。
【0007】
液晶分子は、長い棒状分子〔所謂カラミティック(calamitic)分子〕であり、それは或る優先的方向(配向)にそれらの長軸に沿って配列する能力を有する。それら分子の平均方向は、ベクトル量により特定化され、指向子(director)と呼ばれる。
【0008】
液晶表示器では、電場のような外部からの場が存在しない時の液晶層の希望の初期配列は、一般に前記液晶主要部の方へ向いた閉込め用(confining)基体表面上に所謂(表面指向子)配列層(配向層)を適用するなどにより、閉込め用固体基体表面を適当に表面処理することにより達成される。初期液晶配列は、固体表面/液晶相互作用により定まる。閉込め用表面に隣接した液晶分子の配向は、弾性力により主要部中の液晶分子に伝達され、それにより全ての液晶主要部分子に本質的に同じ配列を与える。
【0009】
閉込め用基体表面に近い液晶分子の指向子(ここでは表面指向子と呼ぶ)は、閉込め用基体表面に直角(ホメオトロピック又は垂直と呼ぶ)、又は平行(平面状としても言及される)のような或る方向の点まで束縛される。液晶誘電異方性と印加電場とのカップリングで作動する液晶表示器中の配列の型は、誘電異方性の符号、印加電場の方向、及び希望の型〔平面型(in-plane)、又は非平面型(out-of-plane)〕のスイッチング方式に従って選択される。
【0010】
負の誘電異方性を有する液晶主要部を用いた、非平面型スイッチング液晶セルでは、液晶主要部分子の指向子を(電場オフの状態で)基体表面に対し垂直に均一に配向する(所謂ホメオトロピック配向)することが重要である。
【0011】
ホメオトロピック配列を確立するための方法の一例は、次のようにすることを含む。閉込め用基体表面を、レシチン又は臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウムのような表面活性剤で被覆する。次に被覆した基体表面を、好ましくは予め定められた方向に擦り、その結果、液晶分子の電場誘導平面状配向が、予め定められた擦り方向の配向になるであろう。この方法は、実験室的研究では良好な結果を与えるかも知れないが、配列層が液晶主要部中にゆっくり溶解するので長期間の安定性は得られないことにより、工業的な許容性は見出されていない〔J.コナード(Cojnard)、Mol.Cryst.Liq.Cryst.,Suppl.Ser.,1982,1,1〕。
【0012】
正の誘電異方性を有する液晶主要部を用いた非平面型スイッチング液晶セル、及び正又は負の誘電異方性を有する液晶主要部を用いた平面型スイッチング液晶セルでは、液晶主要部分子指向子を、(電場オフの状態で)基体表面と平行に均一に配向(所謂平行配向)させることが重要である。捩れネマティック液晶セルの場合、基体に対し或る傾斜した配向角度(予め定められた傾斜角)で液晶主要部分子を配向することも重要である。
【0013】
平面状配列を確立するための既知の方法は、例えば、無機フイルム蒸着法及び有機フイルム擦り法(rubbing method)である。
【0014】
無機フイルム蒸着法では、閉込め用基体に対し斜めに酸化珪素のような無機材料を蒸着することにより基体表面に無機フイルムを形成し、その無機フイルムにより、その無機材料及び蒸着条件に依存して或る方向に液晶分子を配向させるようにする。製造コストが高いので、この方法は大規模製造には適さず、この方法は実際上用いられていない。
【0015】
有機フイルム擦り法によれば、例えば、ポリビニルアルコール、ポリオキシエチレン、ポリアミド、又はポリイミドの有機被覆を基体表面上に形成する。然る後、例えば、木綿、ナイロン、又はポリエステルの布を用いて有機被覆を予め定められた方向に擦り、その層と接触した液晶分子を、その擦った方向に配向させるようにする。
【0016】
ポリビニルアルコール(PVA)は、配列層として商業的に用いられるのは稀である。なぜなら、これらの重合体は親水性で吸湿性の重合体であり、湿分を吸収して重合体の分子配向、従って、液晶装置の性能に悪影響を与えることがあるからである。更に、PVAは、イオンを吸引し、それも液晶装置の性能を損なう。
【0017】
ポリオキシエチレンもイオンを吸引し、そのため液晶装置の性能を損なう結果になる。
【0018】
ポリアミドは、最も一般に許容されている溶媒に対する溶解度が低い。従って、ポリアミドは液晶装置の製造で商業的に用いられることは滅多にない。
【0019】
ポリイミドは、化学的安定性、熱安定性等のような比較的有利な特性を持つため、有機表面被覆として殆どの場合に用いられている。ポリイミド層の適用は、一般に下に記載するように200〜300℃での焼き付け(baking)工程を含んでいる。
【0020】
ポリイミドは、例えば、下の方式I又は方式IIに従って製造することができる:
【0021】
【化1】

【0022】
【化2】

【0023】
第一の工程では、テトラカルボン酸無水物とジアミンを等モル量で、N−メチルピロリドン(NMP)のようなアミド溶媒中で混合する。自然に反応が起き、ポリイミドのプレポリマーであるポリアミックアシッド(polyamic acid)が形成される。この状態で、そのプレポリマーは、LCD製造業者のようなそのユーザーに配布される。しかし、このプレポリマー溶液は室温でむしろ不安定なので、溶液は一般に輸送及び貯蔵中に冷却され、劣化、又はプレポリマーの望ましくない他の化学反応を避けるようにする。
【0024】
一般に、ポリアミックアシッドは、液晶装置製造業者により、NMPとブチルセルソルブとの4:1(w/w)の混合物を屡々用いて、約0.5%へ希釈される。
【0025】
【化3】

【0026】
ポリアミックアシッドは、一般に、例えば、回転被覆又は或る型の印刷法を用いて、透明パターン化インジウム錫酸化物(ITO)電極層で被覆されたガラス基体上に適用される。次に、ポリアミックアシッドの層を、約100℃の炉中で乾燥し、然る後、約200℃に1〜2時間加熱する。この加熱サイクル中、ポリアミックアシッドはポリイミドへ転化する。この工程は、ポリイミドの硬化又は焼き付けとしても言及されている。得られたポリイミドは、熱的に非常に安定であり、全ての溶媒に対し不溶性である。この重合体は、例えば、アルカリ性媒体を用いてそれを劣化するのでなければ除去することができない。
【0027】
この有機フイルム適用法の欠点は、長い製造時間及び高い製造コストの両方を与える結果になる焼き付け工程にある。
【0028】
更に、約200℃のような高い温度は、例えば、珪素上の液晶(LCOS)及び薄膜トランジスタ(TFT)の製造では回避すべきである。なぜなら、高い温度は収率を低下させ、それによるフイルムの欠陥をもたらす結果になることがあるからである。
【0029】
前記有機フイルム適用法を用いて適用した有機フイルムと、液晶主要部層との間の結合強度を制御することも困難である。
【0030】
もし前記焼き付け工程を省略でき、上記欠点を回避することができるならば、大きな利点になるであろう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0031】
(本発明の概要)
本発明の目的は、既知の表面指向子配列材料の上記欠点を解消し、液晶表示装置及び他の液晶装置のような液晶装置での表面指向子配列層として用いられる改良された材料を与えることにある。
【課題を解決するための手段】
【0032】
本発明の第一の態様によれば、この目的及び他の目的は、重合体主鎖及びそれに結合した側鎖を含む重合体により達成され、この場合、前記重合体主鎖は、直接結合した環構造体を持たず、前記側鎖の少なくとも幾つかの各側鎖は、炭素・炭素一重結合(−)、炭素・炭素二重結合含有単位(−CH=CH−)、炭素・炭素三重結合含有単位(−C≡C−)、メチレンエーテル単位(−CHO−)、エチレンエーテル単位(−CHCHO−)、エステル単位(−COO−)、及びアゾ単位(−N=N−)からなる群から選択された結合部により結合された少なくとも二つの非置換及び/又は置換フェニルを含み、配向相(ordered phase)で、誘電異方性を与える永久的及び/又は誘導双極子モーメントを示し、少なくとも二つの隔離原子、好ましくは少なくとも五つの隔離原子により重合体主鎖に結合している。
【0033】
重合体主鎖は、ポリビニルアセタールであるのが好ましい。
この種の重合体を用いる利点は、それらが、クロロホルム、テトラヒドロフラン、キシレンと酢酸ブチルとの混合物、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、及びN−メチルピロリドンのような有機溶媒に溶解することである。本発明による重合体は、有機溶媒に可溶性であるので、重合体自身の溶液(そのプレポリマーの溶液ではない)を、背景技術で記載したように、従来法のポリイミドのような配列材料を含む方法で用いられているような硬化工程を必要とすることなく、液晶装置で表面指向子配列層として用いるために基体表面に適用することができる。例えば、プレポリマーを約180〜250℃で約1〜2時間加熱する工程が省略される。硬化工程の省略は液晶装置の製造サイクル時間を減少し、それにより時間、エネルギー、及び費用が節約される。本発明による重合体を用いることにより、従来の製造方法と比較して、製造時間を約20%まで短縮することができる。
【0034】
更に、従来法の配列材料を硬化する時の強力な加熱により、欠陥を生じ、収率を減少することがある。本発明による重合体を用いることにより、これらの欠点も回避され、収率を実質的に増大することができる。
【0035】
更に、本発明による重合体を用いることにより、最新の炉設備が不必要になり、それにより製造ラインのための資本コストを減少することができる。
【0036】
本発明による重合体の別の利点は、それら重合体をガラス基体に適用できるのみならず、もし加熱(硬化)工程を用いるならば使用することができないプラスチック基体にも適用することができることである。プラスチック基体への適用は、湾曲した基体表面及び巻き取られる基体表面のような種々の形態の基体の使用を可能にしている。
【0037】
本発明による重合体の更に別の利点は、有機溶媒に入れた重合体の前記溶液が室温で安定であり、即ち、溶解した重合体が室温で保存している間に劣化しないと言うことである。従って、従来法によって用いらているプレポリマー溶液では屡々必要になる溶液の冷却を行う必要がない。
【0038】
本発明による重合体の更に別な利点は、それら重合体が、本発明による重合体の配列層と、液晶主要部層との間の固定強度の改良された調節を与え、それにより応答時間、即ち、立ち上がり(rise)及び減衰(decay)時間の改良された調節を与えることである(固定強度が強いと短い減衰時間を与え、固定強度が弱いと短い立ち上がり時間を与える)。
【0039】
本発明による重合体は、現存する製造設備を利用して液晶装置を製造する現存する方法で用いることができることも認められるであろう。
【0040】
本発明の第二の態様によれば、側鎖前駆物質と、直接結合された環構造体を持たない重合体主鎖とを反応させることを含む本発明による重合体の製造方法において、前記側鎖前駆物質が、炭素・炭素一重結合(−)、炭素・炭素二重結合含有単位(−CH=CH−)、炭素・炭素三重結合含有単位(−C≡C−)、メチレンエーテル単位(−CHO−)、エチレンエーテル単位(−CHCHO−)、エステル単位(−COO−)、及びアゾ単位(−N=N−)からなる群から選択された結合部により結合された少なくとも二つの非置換及び/又は置換フェニルを含み、配向相で、誘電異方性を与える永久的及び/又は誘導双極子モーメントを示す、重合体製造方法が与えられる。
【0041】
本発明の第三の態様によれば、側鎖を有する単量体を重合して、直接結合された環構造体を持たない重合体主鎖にすることを含む本発明による重合体の製造方法において、前記側鎖の少なくとも幾つかの各側鎖が、炭素・炭素一重結合(−)、炭素・炭素二重結合含有単位(−CH=CH−)、炭素・炭素三重結合含有単位(−C≡C−)、メチレンエーテル単位(−CHO−)、エチレンエーテル単位(−CHCHO−)、エステル単位(−COO−)、及びアゾ単位(−N=N−)からなる群から選択された結合部により結合された少なくとも二つの非置換及び/又は置換フェニルを含み、配向相で、誘電異方性を与える永久的及び/又は誘導双極子モーメントを示す、重合体製造方法が与えられる。
【0042】
本発明の第四の態様によれば、液晶装置中の表面指向子配列層として用いるための組成物で、本発明による少なくとも一種類の重合体を含む組成物が与えられる。
【0043】
本発明の第五の態様によれば、液晶装置で用いるための表面指向子配列層で、本発明による少なくとも一種類の重合体を含む配列層が与えられる。
【0044】
本発明の第六の態様によれば、液晶装置での表面指向子配列層としての、本発明による重合体の使用が与えられる。
【0045】
本発明の第七の態様によれば、液晶装置を製造する方法において:
− 本発明による重合体を含む表面指向子配列層を、少なくとも一つの基体の表面上に与える工程、及び
− 二つの基体で、その少なくとも一方に前記重合体が与えられている基体の間に液晶層を、前記表面指向子配列層(単数又は複数)が前記液晶層の方に向くように配置して挟む工程、
を含む製造方法が与えられる。
【0046】
本発明の他の特徴及び利点は、本発明についての次の記述から明らかになるであろう。
【0047】
(本発明の詳細な記述)
参考のためここに組入れ、その優先権を主張する係属中のスウェーデン出願0301810−8及び0303041−8には、液晶主要部層の表面主要部に表面指向子を与える液晶主要部層、及び前記主要部層の表面指向子の好ましい配向を得易くするために前記表面主要部の主要部層と相互作用するように配置された表面指向子配列層を含む液晶装置が記載されており、この場合、前記液晶主要部層及び前記表面指向子配列層は、夫々誘電カップリングを経て電場により直接制御することができる。表示器の型及び希望の効果により、表面指向子配列層は、正又は負の誘電異方性を示すか、又は後者が反対記号の誘電異方性(Δε)を示す構造部分を含んでいてもよい。
【0048】
これらの用途では、重合体主鎖(Z)及びそれに結合した一つ以上の側鎖を含む次の重合体の幾つかが、適当な表面指向子配列材料の例として与えられている。
【0049】
本願の式には、次の省略記号が用いられている:
【0050】
R1及びR2は、夫々独立に、脂肪族炭化水素鎖、例えば、アルキルで、好ましくは1〜20個の炭素原子を有し、例えば、2〜12個の炭素原子を有するアルキルである。
【0051】
R3(隔離原子を表す)は、脂肪族炭化水素、例えば、アルキル、シロキサン、エチレングリコール鎖、又はそれらのいずれかの組合せであり、少なくとも二つ、好ましくは2〜20個、例えば、4〜20個、一層好ましくは5〜20個の炭素原子又はヘテロ原子を含む(炭素原子又はヘテロ原子の数は、重合体主鎖に沿って無作為的に変動してもよいことは認められるであろう)。
【0052】
R4は、脂肪族炭化水素鎖であり、例えば、アルキル、好ましくは1〜20個の炭素原子、例えば、1〜5個の炭素原子を含む。
【0053】
R5及び6Fは、夫々独立に、脂肪酸炭化水素、シロキサン、エチレングリコール鎖、又はそれらのいずれかの組合せであり、好ましくは4〜22個、例えば、6〜20個、一層好ましくは8〜18個、例えば、9〜15個の炭素原子又はヘテロ原子を含む。
【0054】
X及びYは、夫々独立に、H、F、Cl、CN、又はCFである。
【0055】
及びYは、夫々独立に、F又はCl、好ましくはFであり、そして
【0056】
Zは、直接結合した環構造体を持たない重合体主鎖の一部分であり、好ましくは
【0057】
【化4】

【0058】
によるポリビニルアセタールである。
【0059】
式I〜Xは、配向相で、正の誘電異方性を与える永久的及び/又は誘導双極子モーメントを示す側鎖(S)を含む、本発明による重合体の例である。これらの重合体は、例えば、非平面型スイッチング液晶装置で電場オフで初期垂直配列を与えるのに適切である。
【0060】
【化5】

【0061】
【化6】

【0062】
式XI〜XIIIは、本発明による重合体の例であり、配向相で、正の誘電異方性を与える永久的及び/又は誘電双極子モーメントを示す側鎖(S)、及び永久的及び/又は誘導双極子モーメントを示さず、従って、誘電異方性を与えない側鎖(S)を含む。これらの重合体は、例えば、非平面型スイッチング液晶装置で電場オフで初期垂直配列を与えるのに適している。
【0063】
【化7】

【0064】
本発明によるこの種の重合体の特別な例は、式XIV〜XIXにより与えられている:
【0065】
【化8】

【0066】
【化9】

【0067】
式中、R4はCHであり、(m+n)/oは、25/50〜43/14の範囲内にあり、好ましくは40/20より大きく、例えば、42/16であり、m/nは、9/1〜1/9、好ましくは3/1〜1/3の範囲内にあり、例えば、2/1である。
【0068】
式XXは、本発明による重合体の例を示し、配向相で正の誘電異方性を与える永久的及び/又は誘導双極子モーメントを示す側鎖(S及びS)、及び永久的及び/又は誘導双極子モーメントを示さず、従って、誘電異方性を与えない側鎖(S)を含む。これらの重合体は、例えば、非平面型スイッチング液晶装置で電場オフで初期垂直配列を与えるのに適している。
【0069】
【化10】

【0070】
本発明によるこの種の重合体の特別な例を、式XXI〜XXIIにより与える:
【0071】
【化11】

【0072】
式中、R4はCHであり、R5はCHであり、そして(m+n)/oは、25/50〜43/14の範囲内にあり、好ましくは40/20より大きく、例えば、42/16であり、m/nは、9/1〜1/9、好ましくは3/1〜1/3の範囲内にあり、例えば、2/1である。
【0073】
式XXIII〜XXXIIIは、本発明による重合体の例であり、配向相で負の誘電異方性を与える永久的及び/又は誘導双極子モーメントを示す側鎖(S)を含む。これらの重合体は、例えば、非平面型、又は平面型スイッチング液晶装置で電場オフで初期平面状配列を与えるのに適している。
【0074】
【化12】

【0075】
【化13】

【0076】
配向相で負の誘電異方性を与える永久的及び/又は誘導双極子モーメントを示す側鎖(S)、及び永久的及び/又は誘導双極子モーメントを示さず、従って、誘電異方性を与えない側鎖(S)を含む、本発明による重合体の特別の例を、式XXXIVにより与える。この重合体は、例えば、非平面型、又は平面型スイッチング液晶装置で電場オフで初期平面状配列を与えるのに適している。
【0077】
【化14】

【0078】
式中、(m+n)/oは、25/50〜43/14の範囲内にあり、好ましくは40/20より大きく、例えば、43/18であり、m/nは、9/1〜1/9、好ましくは3/1〜1/3の範囲内にあり、例えば、1/1である。
【0079】
式XXXV〜LIは、本発明による重合体の例であり、配向相で正の誘電異方性を与える永久的及び/又は誘導双極子モーメントを示す側鎖(S)を含む。これらの重合体は、例えば、平面型スイッチング液晶装置で電場オフで初期平面状配列を与えるのに適している。
【0080】
【化15】

【0081】
【化16】

【0082】
式LII〜LVIは、本発明による重合体の例であり、配向相で正の誘電異方性を与える永久的及び/又は誘導双極子モーメントを示す側鎖(S)、及び永久的及び/又は誘導双極子モーメントを示さず、従って、誘電異方性を与えない側鎖(S)を含む。これらの重合体は、例えば、平面型スイッチング液晶装置で電場オフで初期平面状配列を与えるのに適している。
【0083】
【化17】

【0084】
式LVII〜LXは、本発明による重合体の例であり、配向相で負の誘電異方性を与える永久的及び/又は誘導双極子モーメントを示す側鎖(S)を含む。これらの重合体は、例えば、非平面型スイッチング液晶装置で電場オフで初期垂直配列を与えるのに適している。
【0085】
【化18】

【0086】
式LXIは、本発明による重合体の例を表し、配向相で負の誘電異方性を与える永久的及び/又は誘導双極子モーメントを示す側鎖(S)、及び永久的及び/又は誘導双極子モーメントを示さず、従って、誘電異方性を与えない側鎖(S)を含む。これらの重合体は、例えば、非平面型スイッチング液晶装置で初期電場オフで垂直配列を与えるのに適している。
【0087】
【化19】

【0088】
式LXIIは、本発明による重合体の例を表し、配向相で正の誘電異方性を与える永久的及び/又は誘導双極子モーメントを示す第一構造部分、及び配向相で負の誘電異方性を与える永久的及び/又は誘導双極子モーメントを示す第二構造部分を夫々含む、二量体構造を有する側鎖(S)を含む。これらの重合体は、例えば、非平面型又は平面型スイッチング液晶装置で電場オフで初期平面状配列を与えるのに適している。
【0089】
【化20】

【0090】
式LXIII〜LXVIIは、本発明による重合体の例であり、配向相で正の誘電異方性を与える永久的及び/又は誘導双極子モーメントを示す第一構造部分、及び配向相で負の誘電異方性を与える永久的及び/又は誘導双極子モーメントを示す第二構造部分を夫々含む、二量体構造を有する側鎖(S)を含む。これらの重合体は、例えば、非平面型スイッチング液晶装置で電場オフで初期垂直配列を与えるのに適している。

【0091】
【化21】

【0092】
式LXVIII〜LXXは、本発明による重合体の例であり、配向相で正の誘電異方性を与える永久的及び/又は誘導双極子モーメントを示す第一構造部分、及び配向相で負の誘電異方性を与える永久的及び/又は誘導双極子モーメントを示す第二構造部分、及び配向相で正又は負の誘電異方性を与える永久的及び/又は誘導双極子モーメントを示す第三構造部分を夫々含む、三量体構造を有する側鎖(S)を含む。これらの重合体は、例えば、非平面型、又は平面型スイッチング液晶装置で電場オフで初期平面状配列を与えるのに適している。
【0093】
【化22】

【0094】
重合体主鎖(Z)が、直接結合した環構造体を持たず、側鎖の少なくとも幾つかの各々が、炭素・炭素一重結合(−)、炭素・炭素二重結合含有単位(−CH=CH−)、炭素・炭素三重結合含有単位(−C≡C−)、メチレンエーテル単位(−CHO−)、エチレンエーテル単位(−CHCHO−)、エステル単位(−COO−)、及びアゾ単位(−N=N−)からなる群から選択された結合部により結合された少なくとも二つの非置換及び/又は置換フェニルを含み、配向相で、誘電異方性を与える永久的及び/又は誘導双極子モーメントを示し、少なくとも二つの隔離原子により重合体主鎖に結合している式I〜LXXによる重合体は、本発明によるものであり、上に記載した幾つかの利点を有することが判明している。
【0095】
本発明による重合体は、重合体主鎖が、直接結合した環構造体を持たず、側鎖の少なくとも幾つかの各側鎖が、炭素・炭素一重結合(−)、炭素・炭素二重結合含有単位(−CH=CH−)、炭素・炭素三重結合含有単位(−C≡C−)、メチレンエーテル単位(−CHO−)、エチレンエーテル単位(−CHCHO−)、エステル単位(−COO−)、及びアゾ単位(−N=N−)からなる群から選択された結合部により結合された少なくとも二つの非置換及び/又は置換フェニルを含み、配向相で、誘電異方性を与える永久的及び/又は誘導双極子モーメントを示し、少なくとも二つの隔離原子により重合体主鎖に結合している、重合体主鎖及びそれに結合した側鎖を含む。
【0096】
上に与えた結合部は、置換及び/又は非置換原子を含んでいてもよいことは認められるであろう。例えば、本発明による重合体は、−CF=CF−、又は−CH=CF−のようなフッ素化炭素・炭素二重結合を含む単位を経て結合された二つのフェニルを含んでいてもよい。
【0097】
二つのフェニルは、前記結合部によってのみ結合され、即ち、それら二つのフェニルの間には他の原子又は結合は存在しないのが好ましい。
【0098】
ここで用いる用語「側鎖」とは、直鎖分子(ここでの重合体主鎖)から枝分かれした原子群を意味する。
【0099】
ここで用いる「直接結合した環構造体」とは、融合環構造体、及び単一又は多重結合だけで結合された環構造体(即ち、一つ以上の結合のみで結合された環構造体)を意味する。
【0100】
融合環構造体の例は次の通りである:
【0101】
【化23】

【0102】
一重結合のみで結合された環構造体の例は、次の通りである:
【0103】
【化24】

【0104】
このように、本発明による重合体の重合体主鎖の反復単位(単数又は複数)は、例えば、少なくとも一つの置換又は非置換炭素原子、例えば、−(CH−、−(CHR)−、及び−(CR−、及び/又は少なくとも一つの置換又は非置換ヘテロ原子により結合された環構造体を含む。
【0105】
直接結合した環構造体を持たない好ましい重合体主鎖の例は、ポリビニルアセタールである。ここで用いられるポリビニルアセタールは、ポリビニルアルコールから作られた重合体を含み、この場合、側鎖基の幾つか、例えば、14%までのものが未反応ヒドロキシル基でもよいことは認められるであろう。ポリビニルアセタールを製造するのに用いられるポリビニルアルコールは、ポリ酢酸ビニルを加水分解することにより製造することができる。その場合、加水分解度は≧86%であるのが好ましく、本発明による重合体の側鎖基の14%までが依然として酢酸基であってもよいことを意味する。
【0106】
ここで用いられる「非置換フェニル」とは、−C−、及び−Cのようなフェニル基を意味する。
【0107】
ここで用いられる「置換フェニル」とは、一つ以上の水素原子(単数又は複数)が、(a)異なった原子(単数又は複数)又は基(単数又は複数)により置換されているフェニル基を意味する。
【0108】
ここで用いる「隔離原子」とは、側鎖を重合体主鎖へ結合する原子を意味する。これらの隔離原子は、好ましくは少なくとも2つ、一層好ましくは少なくとも5個、最も好ましくは5〜20個の炭素原子又はヘテロ原子の分子鎖である。分子鎖は、環式構造(環構造体)を含まないのが好ましく、従って、分子鎖は、分岐又は非分岐直線状分子鎖であるのが好ましい。本発明による重合体中の隔離原子は、脂肪族炭化水素鎖、例えば、アルキル、シロキサン鎖、エチレングリコール鎖、又はそれらの何れかの組合せのような脂肪族炭化水素鎖を構成しているのが好ましい。
【0109】
各側鎖を重合体主鎖へ結合する隔離原子の数は、本発明による重合体と共に変化してもよいことは認められるであろう。
【0110】
上に記載したように、本発明による重合体は、クロロホルム、テトラヒドロフラン、キシレンと酢酸ブチルとの混合物、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、又はN−エチルピロリドンのような有機溶媒に可溶性である。本発明による重合体は、上に例示した溶媒のいずれかのような有機溶媒に対する溶解度を有し、0.01〜10%(w/w)の範囲内の濃度を有する周囲温度で安定な溶液を与えるのが好ましい。有機溶媒に対し重合体が大きな溶解度を有することは、約5%(w/w)重合体のようなむしろ高い重合体濃度を有する重合体保存溶液の製造を可能にする。更に、本発明による重合体は有機溶媒に溶解し易いので、供給業者は顧客に固体状態でそれらを配達することさえできる。従って、LCD製造業者のような顧客に重合体供給業者から輸送される可燃性で危険な溶媒の量は減少することができる。
【0111】
本発明による重合体の主鎖は、
【0112】
【化25】

【0113】
〔式中、Sは、炭素・炭素一重結合(−)、炭素・炭素二重結合含有単位(−CH=CH−)、炭素・炭素三重結合含有単位(−C≡C−)、メチレンエーテル単位(−CHO−)、エチレンエーテル単位(−CHCHO−)、エステル単位(−COO−)、及びアゾ単位(−N=N−)からなる群から選択された結合部により結合された少なくとも二つの非置換及び/又は置換フェニルを含み、配向相で、誘電異方性を与える永久的及び/又は誘導双極子モーメントを示す第一側鎖、及び第一側鎖を重合体主鎖へ結合している少なくとも二つの隔離原子を表す。〕
による無作為的に分布した第一の型の単位、及び
【0114】
【化26】

【0115】
による無作為的に分布した第二の型の単位を含むのが好ましい。
【0116】
本発明による重合体中の重合体主鎖が、無作為的に分布したこれらの型の単位を含む場合、その重合体はポリビニルアセタールである。
【0117】
更に、本発明による重合体中の重合体主鎖は、
【0118】
【化27】

【0119】
〔式中、Sは、Sとは異なっており、配向相で、誘電異方性を与える永久的及び/又は誘導双極子モーメントを示した第二の側鎖、及び第二側鎖を重合体主鎖へ結合している少なくとも二つの隔離原子を表す。〕
による無作為的に分布した第三の型の単位も含むのが好ましい。Sにより与えられる誘電異方性は、Sにより与えられる誘電異方性とは異なっていてもよい。
【0120】
好ましくは、前記第二側鎖Sは、炭素・炭素一重結合(−)、炭素・炭素二重結合含有単位(−CH=CH−)、炭素・炭素三重結合含有単位(−C≡C−)、メチレンエーテル単位(−CHO−)、エチレンエーテル単位(−CHCHO−)、エステル単位(−COO−)、及びアゾ単位(−N=N−)からなる群から選択された結合部により結合された少なくとも二つの非置換及び/又は置換フェニルを含む。
【0121】
本発明による重合体の重合体主鎖は、
【0122】
【化28】

【0123】
〔式中、Sは、S及びSとは異なり、永久的及び/又は誘導双極子モーメントを示さず、従って、誘電異方性を与えない側鎖を表す。〕
による無作為的に分布した更に別の(第三又は第四の)型の単位を含んでいてもよい。この型の単位は、希望の特定の側鎖Sを、場合により希望の特定の側鎖Sと組合せて用い、配向相で、ある希望の誘電異方性を示す重合体を得るために重合体主鎖中に組込むことができる。例えば、配向相中の重合体の誘電異方性は、永久的及び/又は誘導双極子モーメントを示さず、従って、誘電異方性を与えない側鎖Sを用いて減少することができる。
【0124】
本発明による重合体の一つの態様は、重合体主鎖及びそれに結合した側鎖を含む重合体で、前記重合体主鎖が直接結合した環構造体を持たず、前記側鎖の少なくとも幾つかの各側鎖が、炭素・炭素一重結合(−)、炭素・炭素二重結合含有単位(−CH=CH−)、炭素・炭素三重結合含有単位(−C≡C−)、メチレンエーテル単位(−CHO−)、エチレンエーテル単位(−CHCHO−)、エステル単位(−COO−)、及びアゾ単位(−N=N−)からなる群から選択された二つの同じか又は異なる結合部により結合された三つの非置換及び/又は置換フェニルを含み、配向相で、誘電異方性を与える永久的及び/又は誘導双極子モーメントを示し、少なくとも二つの隔離原子により重合体主鎖に結合している重合体である。例えば、この型の態様の例は、式XIX、XXX、LII、及びLVIIにより与えられている。
【0125】
本発明は、液晶装置で表面指向子配列層として用いるための組成物にも関し、前記組成物は、本発明による少なくとも一種類の重合体、及びポリビニルアセタールのような第二重合体を含む。本発明による前記少なくとも一種類の重合体と、前記第二重合体との比を変化させることにより、希望の特性及び製造パラメーターを得ることができる。
【0126】
本発明による組成物は、本発明による少なくとも二種類の重合体を含んでいてもよい。
【0127】
本発明は、液晶装置で用いるための表面指向子配列層にも関し、この場合、前記層は本発明による少なくとも一種類の重合体を含む。表面指向子配列層は、例えば、本発明による一種類の重合体を含み、或は本発明による一種の重合体を、第二の重合体、例えば、ポリビニルアセタール、又は本発明による別の重合体と組合せて含む。
【0128】
結局、本発明は、液晶装置で表面指向子配列層として、本発明による重合体を使用することにも関する。
【0129】
本発明による重合体の別の用途は、光配列層、偏光子、光学的記録用材料、ホトクロミックフイルム、例えば、メガネ及び自動車の窓で用いられるフイルムになるであろう。
【0130】
本発明を、次の実施例により例示するが、それらに限定されるものではなく、実施例中次の省略記号を用いる:PCC=クロロクロム酸ピリジニウム、DCC=1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド、DMF=N,N−ジメチルホルムアミド、THF=テトラヒドロフラン、TsOH=p−トルエンスルホン酸、及びPVA=ポリビニルアルコール。
【0131】
a)本発明による重合体を製造するための合成法の例:
本発明による重合体の製造では、側鎖前駆物質(単数又は複数)を、直接結合した環構造体を持たない重合体へ結合する。そのような重合体の例は、ポリビニルアルコールである。
【0132】
用いる側鎖前駆物質は、市販されているか、又は市販されている出発材料から、例えば、下の例2及び4に概略述べた方式の手順に従い製造することができる。
【0133】
側鎖前駆物質(単数又は複数)は、アセタール単位の形成を通して、ポリビニルアルコールへ結合されるのかが好ましい。側鎖前駆物質のアルデヒド又は低分子量アセタール基は、ポリビニルアルコールの二つの隣り合ったヒドロキシ基と反応して、希望の高分子量ポリビニルアルコールを形成する。反応は、アミド又はエーテル溶媒、例えば、DMF、THF、又はジオキサン、中で行うのが好ましい。更に、反応は、TsOHのような酸触媒を存在させて行うのが好ましい
【0134】
少なくとも86%まで加水分解したポリビニルアルコール(即ち、残留する酢酸基が14%以下)を用いるのが好ましい。ポリビニルアルコールの平均分子量(Mw)は、10,000〜40,000の範囲内にあるのが好ましく、一層好ましくは13,000〜23,000の範囲内にある。
【0135】
下の実施例で用いられている側鎖前駆物質は二種類ある:
a)配向相で、誘電異方性を与える永久的及び/又は誘導双極子モーメントを示す分子(一般に液晶挙動を示す分子)で、炭素・炭素一重結合(−)、炭素・炭素二重結合含有単位(−CH=CH−)、炭素・炭素三重結合含有単位(−C≡C−)、メチレンエーテル単位(−CHO−)、エチレンエーテル単位(−CHCHO−)、エステル単位(−COO−)、及びアゾ単位(−N=N−)からなる群から選択された結合部により結合された少なくとも二つの非置換及び/又は置換フェニルを含む分子。この種の側鎖前駆物質は、少なくとも二つ、好ましくは少なくとも五つの、上に一層詳細に記述した隔離原子も含む。このように、主鎖は、前記少なくとも二つの隔離原子を経て重合体主鎖に結合している。この種の側鎖前駆物質の例は、下に与える式に従い、側鎖前駆物質、I、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、X、XI、XII、XIII、XIV、及びXVである。
【0136】
簡単なアルキルアルデヒドのような、永久的及び/又は誘導双極子モーメントを示さず、従って、誘電異方性を与えない分子。この種の側鎖前駆物質の例はオクタナールである。
【0137】
本発明による重合体は、別法として、側鎖を有する単量体、好ましくはメソ型(mesogenic)単量体を重合して、直接結合した構造体を持たない重合体主鎖にすることにより製造することができることも認められるであろう。この場合、側鎖の少なくとも幾つかの各側鎖は、炭素・炭素一重結合(−)、炭素・炭素二重結合含有単位(−CH=CH−)、炭素・炭素三重結合含有単位(−C≡C−)、メチレンエーテル単位(−CHO−)、エチレンエーテル単位(−CHCHO−)、エステル単位(−COO−)、及びアゾ単位(−N=N−)からなる群から選択された結合部により結合された少なくとも二つの非置換及び/又は置換フェニルを含み、配向相で誘電異方性を与える永久的及び/又は誘導双極子モーメントを示す。この方法により製造される重合体は、ポリビニルアセタールであるのが好ましい。重合は、基体表面に適用する前でも、その後でも行うことができる。
【0138】
下の全ての例で、溶媒は、ドイツICNバイオメディカルズ有限会社(ICN Biomedicals GmbH)からのICNアルミナNスーパー1を入れた短クロマトグラフィーカラムにそれら溶媒を通すことにより、それを使用する前に乾燥した。
【0139】
下の例で最大官能性化度は、統計的理由により86%である。従って、初期ヒドロキシル基の最低14%は、反応完了後でも残っている。
【0140】
下の全ての例で、当業者によく知られている標準的反応を、重合体を製造するために用いた。
【0141】
例1: 4′−(11,11−ジエトキシ−ウンデシルオキシ)−ビフェニル−4−カルボニトリル(側鎖前駆物質I)及びオクタナールによるPVAの官能性化
100mlのフラスコ中で、0.70gの側鎖前駆物質I〔D.ラセイ(Lacey)その他、Macromolecular Chemistry and Physics 200,1222−1231(1999)参照〕、0.081gのオクタナール、0.198gのPVA(数平均分子量、Mw、約15,000)、及び0.10gのTsOHを、20mlの乾燥DMFに溶解し、約55℃で24時間撹拌した。
【0142】
次に反応混合物を150mlのメタノール中へ注入し、重合体を沈澱させた。沈澱物を収集し、5mlのクロロホルムに溶解し、100mlのメタノール中で再び沈澱させた。再沈澱を2回繰り返した。
【0143】
収率は0.29gの重合体(即ち、添加したポリビニルアルコールの量に基づいて計算して、40%)であった。損失は、操作手順(即ち、沈澱手順)で除去された低分子量重合体が存在していることによるものであった。
【0144】
得られた重合体のH−NMRスペクトルは、方式IIIの構造体Aに従うものであった。NMRを用いて決定した重合体中の側鎖モル比、I/オクタナールは、2/1(=構造体A中のo/n)であることが判明した。更に、(o+n)/pは、約42/16であることが判明した(重合体Aは、式XVIによっても与えられている)。
【0145】
側鎖前駆物質Iから形成された側鎖は、−(CH10−の形の隔離原子を経て重合体主鎖に結合している。
【0146】
【化29】

【0147】
例2: 4′−(11,11−ジエトキシ−ウンデシルオキシ)−ビフェニル−4−カルボン酸エチルエステル(側鎖前駆物質II)及びオクタナールによるPVAの官能性化
側鎖前駆物質IIは、方式IVに従って調製した。
250mlのフラスコ中で、5.0gの4′−ヒドロキシ−4−ビフェニル−カルボン酸を、100mlの無水エタノールに溶解し、氷浴中で冷却した。2.5mlの塩化チオニルを少しずつ添加した。次に、反応混合物を4時間還流し、室温になるようにした。形成された沈澱物をフィルターで収集し、25mlのエタノールで2回洗浄し、トルエンにより再結晶化した。収率は、4.8gの4′−ヒドロキシ−4−ビフェニルカルボン酸エチルエステルであった。
【0148】
250mlの丸底フラスコ中で、12.5gの11−ブロモウンデカノールを、50mlのジクロロメタンに溶解した。100mlのジクロロメタン中に16.2gのクロロクロム酸ピリジニウム(PCC)を入れたスラリーを添加した。混合物を室温で2時間撹拌し、次に300mlのジエチルエーテル中へ注入した。褐色の固体を濾過して除去し、液相を、溶離剤としてジエチルエーテルを用いたシリカゲルの短カラムに通した。減圧下で有機溶媒を蒸発し、残渣を無水エタノール(EtOH)に溶解し、無水塩化カルシウムを、少量のp−トルエンスルホン酸(方式IVには示されていない)と一緒に添加した。この反応混合物を、室温で一晩放置した。溶媒を真空除去し、残渣をジエチルエーテルにとり、飽和炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、溶媒がもはや出なくなるまで蒸発した。残渣を15mlの酢酸エチル/石油エーテル1:4(v/v)混合物中に溶解し、溶離剤として前記溶媒混合物を用いたカラムクロマトグラフィーにより精製した。9.5gの11−ブロモウンデカナルジエチルアセタールが分離された。その化合物のH−NMRスペクトルは、方式IVの構造体に従うものであることが判明した。
【0149】
100mlの丸底フラスコに、2.7gの11−ブロモウンデカナルジエチルアセタール、2.42gの4′−ヒドロキシ−4−ビフェニルカルボン酸エチルエステル、50mlのアセトン、2gの無水炭酸カリウム、及び0.2gの沃化カリウム(方式IVには示されていない)を入れた。混合物を72時間還流した。
【0150】
反応混合物の溶液部分の約40%を除去し、乾固するまで蒸発し、15mlの酢酸エチル/石油エーテル1:4中に溶解し、溶離剤としてこの溶媒混合物を用いて、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィーを用いて精製した。0.9gの4′−(11,11−ジエトキシ−ウンデシルオキシ)−ビフェニル−4−カルボン酸エチルエステル(即ち、前駆物質II)を分離した。H−NMRスペクトルは、方式IVの構造体IIに従うものであった。
【0151】
【化30】

【0152】
100mlのフラスコ中で、0.80gの側鎖前駆物質II、0.186gのオクタナール、0.097gのPVA(Mw約15,000)、及び0.1gのTsOHを、25mlの乾燥DMF中に溶解し、約60℃で24時間撹拌した。
【0153】
次に、反応混合物を250mlのメタノール中に注入し、重合体を沈澱させた。沈澱物を収集し、5mlのクロロホルム中に溶解し、100mlのメタノール中で再び沈澱させた。再沈澱を2回繰り返した。
【0154】
収率は0.44gの重合体であった。損失は、操作手順で除去された低分子量重合体が存在していたことによるものであった。
【0155】
得られた重合体のH−NMRスペクトルは、方式Vの構造体Bに従うものであった。NMRを用いて決定した重合体の側鎖モル比、II/オクタナールは、7/3(=構造体Bのo/n)であることが判明した(重合体Bは、式XVとしても与えられている)。
【0156】
側鎖前駆物質IIから形成された側鎖は、−(CH10−の形の隔離原子を経て重合体主鎖に結合している。
【0157】
【化31】

【0158】
例3: 4′−(11,11−ジエトキシ−ウンデシルオキシ)−ビフェニル−4−カルボン酸4−エトキシカルボニル−フェニルエステル(側鎖前駆物質III)及びオクタナールによるPVAの官能性化
50mlのフラスコ中で、0.2gの側鎖前駆物質III、0.029gのオクタナール、0.05gのPVA(Mw約15,000)、及びTsOHを、10mlの乾燥DMF中に溶解し、約55℃で24時間撹拌した。
【0159】
次に、反応混合物を150mlのメタノール中に注入し、重合体を沈澱させた。沈澱物を収集し、5mlのクロロホルム中に溶解し、100mlのメタノール中で再び沈澱させた。再沈澱を2回繰り返した。
【0160】
収率は0.11gの重合体であった。損失は、操作手順で除去された低分子量重合体が存在していたことによるものであった。
【0161】
得られた重合体のH−NMRスペクトルは、方式VIの構造体Cに従うものであった。NMRを用いて決定した重合体の側鎖モル比、III/オクタナールは、1.1/1(=構造体Cのo/n)であることが判明した。
【0162】
側鎖前駆物質IIIから形成された側鎖は、−(CH10−の形の隔離原子を経て重合体主鎖に結合している。
【0163】
【化32】

【0164】
例4: 4′−(11,11−ジエトキシ−ウンデシルオキシ)−ビフェニル−4−カルボン酸4−メトキシフェニルエステル(側鎖前駆物質IV)及びオクタナールによるPVAの官能性化
側鎖前駆物質IVは、方式IV及び方式VIIに従って調製した。
例2に記載した反応混合物の溶液部分の残りの60%に、40mlのエタノール、2gの水酸化カリウム、及び5mlの水を添加し、この混合物を48時間還流した。混合物を塩酸で酸性化し、水中に注入し、ジエチルエーテルで5回抽出した。20mlの有機相を硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を真空除去し、生成物をトルエンにより再結晶化した。収率は、1.8gの4′−(11,11−ジエトキシ−ウンデシルオキシ)−ビフェニル−4−カルボン酸であった。
【0165】
50mlのフラスコ中で、0.54gの4′−(11,11−ジエトキシ−ウンデシルオキシ)−ビフェニル−4−カルボン酸、20mlの乾燥ジクロロメタン(方式VIIでは示されていない)、0.05gの4−(N,N−ジメチルアミノ)−ピリジン(方式VIIでは示されていない)、及び0.24gの4−メトキシフェノールを混合した。混合物を氷水浴で冷却し、0.31gの1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(方式VIIでは示されていない)を添加した。反応混合物を室温にし、撹拌を24時間継続した。次に反応混合物を濾過し、溶媒を真空除去した。生成物を、勾配溶離方式で操作して、溶離剤としてトルエン/酢酸エチルを用いたカラムクロマトグラフィーを用いて精製した。収率は、0.46gの4′−(11,11−ジエトキシ−ウンデシルオキシ)−ビフェニル−4−カルボン酸4−メトキシ−フェニルエステル(即ち、前駆物質IV)であった。H−NMRスペクトルは、方式VIIの構造体IVに従うものであった。
【0166】
【化33】

【0167】
100mlのフラスコ中で、0.58gの側鎖前駆物質IV、0.093gのオクタナール、0.049gのPVA(Mw約15,000)、及び0.1gのTsOHを、25mlの乾燥THF中に溶解し、約60℃で24時間撹拌した。
【0168】
次に、反応混合物を250mlのメタノール中に注入し、重合体を沈澱させた。沈澱物を収集し、5mlのクロロホルム中に溶解し、100mlのメタノール中で再び沈澱させた。再沈澱を2回繰り返した。
【0169】
収率は0.26gの重合体であった。損失は、操作手順で除去された低分子量重合体が存在していたことによるものであった。
【0170】
得られた重合体のH−NMRスペクトルは、方式VIIIの構造体Dに従うものであった。NMRを用いて決定した重合体の側鎖モル比、IV/オクタナールは、2.2/1(=構造体Dのo/n)であることが判明した(重合体Dは、式XVIIとしても与えられている)。
【0171】
側鎖前駆物質IVから形成された側鎖は、−(CH10−の形の隔離原子を経て重合体主鎖に結合している。
【0172】
【化34】

【0173】
例5: 4′−(11,11−ジエトキシ−ウンデシルオキシ)−ビフェニル−4−カルボン酸4−(1−ブトキシ−カルボニル−エトキシ)−フェニルエステル(側鎖前駆物質V)及びオクタナールによるPVAの官能性化
100mlのフラスコ中で、0.61gの側鎖前駆物質V、0.26gのオクタナール、0.26gのPVA(Mw約15,000)、及び0.02gのTsOHを、25mlの乾燥DMF中に溶解し、約60℃で24時間撹拌した。
【0174】
次に、反応混合物を250mlのメタノール中に注入し、重合体を沈澱させた。沈澱物を収集し、7mlのTHF中に溶解し、75mlのメタノール中で再び沈澱させた。再沈澱を2回繰り返した。
【0175】
収率は0.40gの重合体であった。損失は、操作手順で除去された低分子量重合体が存在していたことによるものであった。
【0176】
得られた重合体のH−NMRスペクトルは、方式IXの構造体Eに従うものであった。NMRを用いて決定した重合体の側鎖モル比、V/オクタナールは、1/2(=構造体Eのo/n)であることが判明した。
【0177】
側鎖前駆物質Vから形成された側鎖は、−(CH10−の形の隔離原子を経て重合体主鎖に結合している。
【0178】
【化35】

【0179】
例6: 4′−(11,11−ジエトキシ−ウンデシルオキシ)−ビフェニル−4−カルボン酸シクロヘキシルエステル(側鎖前駆物質VI)及びオクタナールによるPVAの官能性化
50mlのフラスコ中で、0.36gの側鎖前駆物質VI、0.06gのオクタナール、0.10gのPVA(Mw約15,000)、及び0.1gのTsOHを、10mlの乾燥DMF中に溶解し、約55℃で24時間撹拌した。
【0180】
次に、反応混合物を150mlのメタノール中に注入し、重合体を沈澱させた。沈澱物を収集し、5mlのクロロホルム中に溶解し、100mlのメタノール中で再び沈澱させた。再沈澱を2回繰り返した。
【0181】
収率は0.24gの重合体であった。損失は、操作手順で除去された低分子量重合体が存在していたことによるものであった。
【0182】
得られた重合体のH−NMRスペクトルは、方式Xの構造体Fに従うものであった。NMRを用いて決定した重合体の側鎖モル比、VI/オクタナールは、1.6/1(=構造体Fのo/n)であることが判明した。
【0183】
側鎖前駆物質VIから形成された側鎖は、−(CH10−の形の隔離原子を経て重合体主鎖に結合している。
【0184】
【化36】

【0185】
例7: 4′−(11,11−ジエトキシ−ウンデシルオキシ)−4′−ウンデセ−10−エニルオキシ−ビフェニル(側鎖前駆物質VII)及びオクタナールによるPVAの官能性化
50mlのフラスコ中で、0.40gの側鎖前駆物質VII、0.055gのオクタナール、0.10gのPVA(Mw約15,000)、及び0.1gのTsOHを、10mlの乾燥DMF中に溶解し、約55℃で24時間撹拌した。
【0186】
次に、反応混合物を150mlのメタノール中に注入し、重合体を沈澱させた。沈澱物を収集し、5mlのクロロホルム中に溶解し、100mlのメタノール中で再び沈澱させた。再沈澱を2回繰り返した。
【0187】
収率は0.19gの重合体であった。損失は、操作手順で除去された低分子量重合体が存在していたことによるものであった。
【0188】
得られた重合体のH−NMRスペクトルは、方式XIの構造体Gに従うものであった。NMRを用いて決定した重合体の側鎖モル比、VII/オクタナールは、1.8/1(=構造体Gのo/n)であることが判明した。
【0189】
側鎖前駆物質VIIから形成された側鎖は、−(CH10−の形の隔離原子を経て重合体主鎖に結合している。
【0190】
【化37】

【0191】
例8: 4′−(11,11−ジエトキシ−ウンデシルオキシ)−ビフェニル−4−カルボン酸4−エトキシカルボニル−フェニルエステル(側鎖前駆物質III)、4′−(11,11−ジエトキシ−ウンデシルオキシ)−4′−ウンデセ−10−エニルオキシ−ビフェニル(側鎖前駆物質VII)及びオクタナールによるPVAの官能性化
100mlのフラスコ中で、0.11gの側鎖前駆物質III、0.07gの側鎖前駆物質VII、0.018gのオクタナール、0.037gのPVA(Mw約15,000)、及び0.03gのTsOHを、10mlの乾燥DMF中に溶解し、約55℃で48時間撹拌した。
【0192】
次に、反応混合物を150mlのメタノール中に注入し、重合体を沈澱させた。沈澱物を収集し、5mlのクロロホルム中に溶解し、100mlのメタノール中で再び沈澱させた。再沈澱を2回繰り返した。
【0193】
収率は0.09gの重合体であった。損失は、操作手順で除去された低分子量重合体が存在していたことによるものであった。
【0194】
得られた重合体のH−NMRスペクトルは、方式XIIの構造体Hに従うものであった。
【0195】
側鎖前駆物質IIIから形成された側鎖は、−(CH10−の形の隔離原子を経て重合体主鎖に結合しており、側鎖前駆物質VIIから形成された側鎖は、−(CH10−の形の隔離原子を経て重合体主鎖に結合している。
【0196】
【化38】

【0197】
例9: 4−(11,11−ジエトキシ−ウンデシルオキシ)−フェニル−(4−エトキシ−フェニル)−ジアゼン(側鎖前駆物質VIII)及びオクタナールによるPVAの官能性化
100mlのフラスコ中で、0.82gの側鎖前駆物質VIII、0.13gのオクタナール、0.24gのPVA(Mw約15,000)、及び0.1gのTsOHを、25mlの乾燥DMF中に溶解し、約60℃で24時間撹拌した。
【0198】
次に、反応混合物を250mlのメタノール中に注入し、重合体を沈澱させた。沈澱物を収集し、5mlのクロロホルム中に溶解し、100mlのメタノール中で再び沈澱させた。再沈澱を2回繰り返した。
【0199】
収率は0.48gの重合体であった。損失は、操作手順で除去された低分子量重合体が存在していたことによるものであった。
【0200】
得られた重合体のH−NMRスペクトルは、方式XIIIの構造体Iに従うものであった。NMRを用いて決定した重合体の側鎖モル比、VIII/オクタナールは、1.8/1(=構造体Iのo/n)であることが判明した。
【0201】
側鎖前駆物質VIIIから形成された側鎖は、−(CH10−の形の隔離原子を経て重合体主鎖に結合している。
【0202】
【化39】

【0203】
例10: 2−[4−(11,11−ジエトキシ−ウンデシルオキシ)−3−(4−エトキシ−フェニルアゾ)−フェノキシ]−プロピオン酸ブチルエステル(側鎖前駆物質IX)及びオクタナールによるPVAの官能性化
100mlのフラスコ中で、1.0gの側鎖前駆物質IX、0.205gのオクタナール、0.25gのPVA(Mw約15,000)、及び0.1gのTsOHを、25mlの乾燥THF中に溶解し、約60℃で24時間撹拌した。
【0204】
次に、反応混合物を250mlのメタノール中に注入し、重合体を沈澱させた。沈澱物を収集し、5mlのクロロホルム中に溶解し、100mlのメタノール中で再び沈澱させた。再沈澱を2回繰り返した。
【0205】
収率は0.56gの重合体であった。損失は、操作手順で除去された低分子量重合体が存在していたことによるものであった。
【0206】
得られた重合体のH−NMRスペクトルは、方式XIVの構造体Jに従うものであった。NMRを用いて決定した重合体の側鎖モル比、IX/オクタナールは、1/1(=構造体Jのo/n)であることが判明した。更に、(o+n)/pは、約43/18であることが判明した(重合体Jは、式XXXIVによっても与えられている)。
【0207】
側鎖前駆物質IXから形成された側鎖は、−(CH10−の形の隔離原子を経て重合体主鎖に結合している。
【0208】
【化40】

【0209】
例11: 2−(11,11−ジエトキシ−ウンデシルオキシ)−4−メチル−安息香酸4′−ブトキシ−ビフェニル−4−イルエステル(側鎖前駆物質X)及びオクタナールによるPVAの官能性化
100mlのフラスコ中で、0.53gの側鎖前駆物質X、0.065gのオクタナール、0.12gのPVA(Mw約15,000)、及び0.1gのTsOHを、25mlの乾燥DMF中に溶解し、約60℃で24時間撹拌した。
【0210】
次に、反応混合物を250mlのメタノール中に注入し、重合体を沈澱させた。沈澱物を収集し、5mlのクロロホルム中に溶解し、100mlのメタノール中で再び沈澱させた。再沈澱を2回繰り返した。
【0211】
収率は0.22gの重合体であった。損失は、操作手順で除去された低分子量重合体が存在していたことによるものであった。
【0212】
得られた重合体のH−NMRスペクトルは、方式XVの構造体Kに従うものであった。NMRを用いて決定した重合体の側鎖モル比、X/オクタナールは、1.7/1(=構造体Kのo/n)であることが判明した。
【0213】
側鎖前駆物質Xから形成された側鎖は、−(CH10−の形の隔離原子を経て重合体主鎖に結合している。
【0214】
【化41】

【0215】
例12: 4−(11,11−ジエトキシ−ウンデシルオキシ)−2,3,5,6,2′,3′,5′,6′−オクタフルオロ−4′−ヘキシルオキシ−ビフェニル(側鎖前駆物質XI)及びオクタナールによるPVAの官能性化
前の例に従って、適当な量の側鎖前駆物質XI、オクタナール、PVA、TsOH、及び乾燥DMFをフラスコ中で混合し、撹拌(例えば、約60℃で24時間)することにより、重合体Lを製造する。
【0216】
次に、反応混合物を適当な量の有機溶媒、例えば、メタノール中に注入し、方式XVIの構造体Lに従う重合体を沈澱させる。
【0217】
【化42】

【0218】
例13: 2−(11,11−ジエトキシ−ウンデシルオキシ)−4−メチル−安息香酸4′−ブトキシ−2,3,5,6,2′,3′,5′,6′−オクタフルオロ−ビフェニル−4−イルエステル(側鎖前駆物質XII)及びオクタナールによるPVAの官能性化
前の例に従って、適当な量の側鎖前駆物質XII、オクタナール、PVA、TsOH、及び乾燥DMFをフラスコ中で混合し、撹拌(例えば、約60℃で24時間)することにより、重合体Mを製造する。
【0219】
次に、反応混合物を適当な量の有機溶媒、例えば、メタノール中に注入し、方式XVIIの構造体Mに従う重合体を沈澱させる。
【0220】
【化43】

【0221】
例14: 4′−(11,11−ジエトキシ−ウンデシルオキシ)−ビフェニル4−カルボン酸エチルエステル(側鎖前駆物質II)によるPVAの官能性化
前の例に従って、適当な量の側鎖前駆物質II、PVA、TsOH、及び乾燥DMFをフラスコ中で混合し、撹拌(例えば、約60℃で24時間)することにより、重合体Nを製造する。
【0222】
次に、反応混合物を適当な量の有機溶媒、例えば、メタノール中に注入し、方式XVIIIの構造体Nに従う重合体を沈澱させる。
【0223】
【化44】

【0224】
例15: 4′−(11,11−ジエトキシ−ウンデシルオキシ)−ビフェニル4−カルボン酸4−メトキシフェニルエステル(側鎖前駆物質IV)によるPVAの官能性化
前の例に従って、適当な量の側鎖前駆物質IV、PVA、TsOH、及び乾燥DMFをフラスコ中で混合し、撹拌(例えば、約60℃で24時間)することにより、重合体Oを製造する。
【0225】
次に、反応混合物を適当な量の有機溶媒、例えば、メタノール中に注入し、方式XIXの構造体Oに従う重合体を沈澱させる。
【0226】
【化45】

【0227】
例16: 1,21−ビス−(4′−カルブエトキシ−4−ビフェニルオキシ)−10−ジエトキシメチル−ヘンイコセ−10−エン(側鎖前駆物質XIII)によるPVAの官能性化
前の例に従って、適当な量の側鎖前駆物質XIII、PVA、TsOH、及び乾燥DMFをフラスコ中で混合し、撹拌(例えば、約60℃で24時間)することにより、重合体Pを製造する。
【0228】
次に、反応混合物を適当な量の有機溶媒、例えば、メタノール中に注入し、方式XXの構造体Pに従う重合体を沈澱させる。
【0229】
【化46】

【0230】
例16: 1,21−ビス−(4′−カルブエトキシ−4−ビフェニルオキシ)−10−ジエトキシメチル−ヘンイコセ−10−エン(側鎖前駆物質XIII)及びオクタナールによるPVAの官能性化
前の例に従って、適当な量の側鎖前駆物質XIII、オクタナール、PVA、TsOH、及び乾燥DMFをフラスコ中で混合し、撹拌(例えば、約60℃で24時間)することにより、重合体Qを製造する。
【0231】
次に、反応混合物を適当な量の有機溶媒、例えば、メタノール中に注入し、方式XXIの構造体Qに従う重合体を沈澱させる。
【0232】
【化47】

【0233】
b)本発明による液晶装置を製造する方法の例
少なくとも一つの基体の表面上に、本発明による重合体を含む表面指向子配列層を与える工程、及び次に二つの基体で、その少なくとも一つに前記重合体が与えられている基体の間に液晶層を、前記表面指向子配列層(単数又は複数)が前記液晶層の方へ向くように配置して挟む工程を含む方法により、液晶装置を製造することができる。
【0234】
表面指向子配列層は、前記表面上に前記重合体を含む溶液を適用し、次に前記表面から前記溶媒を除去することにより与えられるのが好ましい。従って、基体表面上に重合体層の層を形成するのにプレポリマーを硬化する必要はない。
【0235】
1.10mmの厚さを有する液晶表示ガラス基体を用いた。その基体の一方の側に、80Ω/cmの表面抵抗を有するインジウム錫酸化物(ITO)層(電極材料)を与えた。当業者に知られている慣用的ホトリトグラフ法を用いてアドレス用電極構造体を与えた。ガラス基体を9.5×12.5mmの大きさを持つ片に切断し、縁を削った。25.4×25.4mmの大きさのガラス基体も用いた。
【0236】
次に、それら基体を超音波浴中で蒸留水中で数回洗浄し、乾燥し、次にイソプロパノール中で2回洗浄した。然る後、それら基体を無塵室中へ移した。
【0237】
基体のITO側に、テトラヒドロフラン(THF)中に表面指向配列材料を約0.1%(w/w)の濃度まで溶解したものを回転塗布した(0.5%w/wまでの濃度を試験した)。速度は約3000〜4000rpmであり、被覆は30秒間行なった。
【0238】
被覆後、基体を125℃の温度で約5〜10分間加熱し、溶媒(THF)を除去し、配列層を形成した。乾燥は、炉中か、又はホットプレート上で、且つ/又は真空中で行うことができる。然る後、基体を冷却させた。
【0239】
60℃で約5〜10分間加熱し、次に130℃で約10〜30分間加熱することを含む2工程法も試験し、許容可能な結果が得られていることも認められるであろう。しかし、室温より高い温度は、乾燥工程としては原理的に不必要であることが認められるであろう。
【0240】
ITOの上に適用した表面指向子配列層を、次に120mmの直径のドラムを用いたナイロン布で、300rpmのドラム速度、15mm/秒の線速度、及び約0.5mmのパイル接触長さを用いてバフ掛けした。全ての基体を同じ方向にバフ掛けした。
【0241】
二つの基体で、一方の基体を180°回転させて、セル中でバフ掛け方向が逆平行になるようにしたものを、UV接着剤〔ノーランド(Norland)NOA68〕及び二つの縁の所にある細紐状のスペーサーを用いて一緒に合わせ、セルを形成した。別法として、セル表面にエタノール分散物からスペーサーをスプレーしてもよい。セルを、UV露出箱中で15分間加圧した。
【0242】
小さな電気コードを、セルの各ITO表面に超音波はんだ付けした。
【0243】
次に、毛細管力によりネマチック液晶を、等方性相としてセル中に導入した(これは、真空を適用しても、しなくても行うことができる)。
【0244】
上に記載した装置は、比較的簡単な型のものであることは分かるであろう。装置は、遥かに大きな大きさのものにすることもでき、受動マトリックス・アドレス型又は活性マトリックス・アドレス型を用いるなどして異なった仕方でアドレスすることができる。これらの場合には、複雑なマイクロエレクトロニクス製造工程を含む工程が含まれる。
【0245】
例17: 電気的に安定化された垂直配列表面指向子配列層を有する非平面型スイッチング液晶装置
基体のITO側に、上に記載したように、例1で製造した重合体Aを被覆した。しかし、式I〜XXIIに従う構造体の何れか一つをこの態様で用いてもよいことは分かるであろう。
【0246】
重合体層(100nm)を、非常に軽く一方向に擦り、重合体のメソ型側鎖基の僅かな傾斜を予め誘発させ、然る後、セルを組立た。
【0247】
次にサンドイッチ型セル(セル間隙約3μm)に、ネマチック混合物MBBA/MCL6608〔ドイツ、メルク(Merck)〕、40/60重量%を満たした。MBBAは、Δε=−0.8を示し、MCL6608は、Δε=−4.2を示していた。
【0248】
このセルでは、重合体層は、表面指向子配列層として働く。
【0249】
室温まで冷却した後のセルの配列を、偏光顕微鏡により検査し、均一に垂直であることが判明した。
【0250】
偏光顕微鏡、光検出器、オシロスコープ、及びパルス発生機を含む装置で、応答立ち上がり及び減衰時間を測定した。
【0251】
低周波(約1Hz)の単極性インパルスを適用した時の垂直配列を有するセルの電気光学的応答が、図1に描かれている。9.2Vの電圧(U)では、測定された立ち上がり及び減衰時間は、夫々約1.9及び3.8msであった。従って、測定された減衰時間は、初期垂直配列を有する非平面型スイッチング液晶セルで通常測定されている減衰時間よりも短く、約1/5である。
【0252】
例18: 電気的に安定化された垂直配列表面指向子配列層を有する非平面型スイッチング液晶装置
例17を繰り返した。但しサンドイッチ状セルに、ネマチック混合物MBBA/MCL6884(ドイツ、メルク)、40/60重量%、を満たした。MCL6884はΔε=−5.0を示し、MBBAはΔε=−0.8を示していた。
【0253】
6.1Vの電圧(U)では、図2に示したように、測定された立ち上がり及び減衰時間は、夫々約2.5及び1.8msであった。
【0254】
例19: 電気的に安定化された垂直配列表面指向子配列層を有する非平面型スイッチング液晶装置
例17を繰り返した。但し基体のITO側を、上に記載したように、例8で製造した重合体Hを被覆した。しかし、重合体層を擦らなかった。更に、サンドイッチ状セルに、Δε=−5.0を示すネマチック材料MCL6884(ドイツ、メルク)を満たした。
【0255】
5.2Vの電圧(U)では、図3に示したように、測定された立ち上がり及び減衰時間は、夫々約2.7及び2.7msであった。
【0256】
例20: 電気的に安定化された平面状配列表面指向子配列層を有する非平面型スイッチング液晶装置
基体のITO側に、上に記載したように、例10で製造した重合体Jを被覆した。しかし、式XXIII〜XXXIVに従う構造体の何れか一つをこの態様で用いてもよいことは分かるであろう。
【0257】
重合体層(100nm)を、一方向に擦り、重合体のメソ型側鎖基の均一な平面状配列を確実に与えるようにし、然る後、セルを組立た。
【0258】
次にサンドイッチ型セル(セル間隙約3μm)に、Δε>0を示すネマチック材料E7(BDH/メルク)を満たした。
【0259】
このセルでは、重合体層は、表面指向子配列層として働く。
【0260】
室温まで冷却した後のセルの配列を、偏光顕微鏡により検査し、均一に平面状であることが判明した。
【0261】
偏光顕微鏡、光検出器、オシロスコープ、及びパルス発生機を含む装置で、立ち上がり及び減衰時間を測定した。
【0262】
低周波(約1Hz)の単極性インパルスを適用した時の平面状配列を有するセルの電気光学的応答は、立ち上がり及び減衰時間について、夫々約0.5ms及び4msであることが判明した。
【0263】
例21: 電気的に安定化された平面状配列表面指向子配列層を有する非平面型スイッチング液晶装置
例20を繰り返した。但しサンドイッチ型セルに、Δε=+10.8を示すネマチック材料E70A(BDH/メルク)満たした。
【0264】
5.6Vの電圧(U)では、図4に示したように、測定された立ち上がり及び減衰時間は、夫々約1.1及び1.6msであった。
【0265】
本発明を、その特別な態様に関連して詳細に記述してきたが、種々の変更及び修正を、その本質及び範囲から離れることなくそこに行えることは当業者に明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0266】
【図1】図1は、本発明による表面指向子配列層を含み、液晶主要部層の初期垂直配列を示す液晶装置について測定した立ち上がり及び減衰時間を示す図である(例17参照)。
【図2】図2は、本発明による表面指向子配列層を含み、液晶主要部層の初期垂直配列を示す液晶装置について測定した立ち上がり及び減衰時間を示す図である(例18参照)。
【図3】図3は、本発明による表面指向子配列層を含み、液晶主要部層の初期垂直配列を示す液晶装置について測定した立ち上がり及び減衰時間を示す図である(例19参照)。
【図4】図4は、本発明による表面指向子配列層を含み、液晶主要部層の初期平面状配列を示す液晶装置について測定した立ち上がり及び減衰時間を示す図である(例21参照)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶装置で表面指向子配列層として用いるための、重合体主鎖及びそれに結合した側鎖を含む重合体において、
前記重合体主鎖が、直接結合した環構造体を持たず、そして
前記側鎖の少なくとも幾つかのの各側鎖が、
(1)炭素・炭素一重結合(−)、炭素・炭素二重結合含有単位(−CH=CH−)、炭素・炭素三重結合含有単位(−C≡C−)、メチレンエーテル単位(−CHO−)、エチレンエーテル単位(−CHCHO−)、エステル単位(−COO−)、及びアゾ単位(−N=N−)からなる群から選択された結合部により結合された少なくとも二つの非置換及び/又は置換フェニルを含み、
(2)配向相で、誘電異方性を与える永久的及び/又は誘導双極子モーメントを示し、そして
(3)少なくとも二つの隔離原子により重合体主鎖に結合している、
ことを特徴とする重合体。
【請求項2】
側鎖が、少なくとも五つの隔離原子により重合体主鎖に結合している、請求項1に記載の重合体。
【請求項3】
重合体主鎖が、
【化1】


〔式中、Sは、炭素・炭素一重結合(−)、炭素・炭素二重結合含有単位(−CH=CH−)、炭素・炭素三重結合含有単位(−C≡C−)、メチレンエーテル単位(−CHO−)、エチレンエーテル単位(−CHCHO−)、エステル単位(−COO−)、及びアゾ単位(−N=N−)からなる群から選択された結合部により結合された少なくとも二つの非置換及び/又は置換フェニルを含み、配向相で、誘電異方性を与える永久的及び/又は誘導双極子モーメントを示す第一側鎖、及び前記第一側鎖を前記重合体主鎖へ結合している少なくとも二つの隔離原子を表す。〕
による無作為的に分布した第一の型の単位、及び
【化2】


による無作為的に分布した第二の型の単位、
を含む、請求項1又は2に記載の重合体。
【請求項4】
重合体主鎖が、
【化3】


〔式中、Sは、Sとは異なっている第二側鎖で、炭素・炭素一重結合(−)、炭素・炭素二重結合含有単位(−CH=CH−)、炭素・炭素三重結合含有単位(−C≡C−)、メチレンエーテル単位(−CHO−)、エチレンエーテル単位(−CHCHO−)、エステル単位(−COO−)、及びアゾ単位(−N=N−)からなる群から選択された結合部により結合された少なくとも二つの非置換及び/又は置換フェニルを含み、配向相で、誘電異方性を与える永久的及び/又は誘導双極子モーメントを示す第二側鎖、及び前記第二側鎖を前記重合体主鎖へ結合している少なくとも二つの隔離原子を表す。〕
による無作為的に分布した第三の型の単位を含む、請求項3に記載の重合体。
【請求項5】
重合体主鎖が、
【化4】


〔式中、Sは、S及びSとは異なる側鎖で、永久的及び/又は誘導双極子モーメントを示さず、従って、誘電異方性を与えない側鎖を表す。〕
による無作為的に分布した更に別の型の単位を含む、請求項3又は4に記載の重合体。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の重合体の製造方法において、側鎖前駆物質と、直接結合した環構造体を持たない重合体主鎖とを反応させることを含み、然も、前記側鎖前駆物質が、炭素・炭素一重結合(−)、炭素・炭素二重結合含有単位(−CH=CH−)、炭素・炭素三重結合含有単位(−C≡C−)、メチレンエーテル単位(−CHO−)、エチレンエーテル単位(−CHCHO−)、エステル単位(−COO−)、及びアゾ単位(−N=N−)からなる群から選択された結合部により結合された二つの非置換及び/又は置換フェニルを含み、配向相で、誘電異方性を与える永久的及び/又は誘導双極子モーメントを示すことを特徴とする、重合体製造方法。
【請求項7】
重合体主鎖がポリビニルアルコールである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の重合体の製造方法において、側鎖を有する単量体を重合して、直接結合した環構造体を持たない重合体にすることを含み、然も、前記側鎖の少なくとも幾つかの各側鎖が、炭素・炭素一重結合(−)、炭素・炭素二重結合含有単位(−CH=CH−)、炭素・炭素三重結合含有単位(−C≡C−)、メチレンエーテル単位(−CHO−)、エチレンエーテル単位(−CHCHO−)、エステル単位(−COO−)、及びアゾ単位(−N=N−)からなる群から選択された結合部により結合された少なくとも二つの非置換及び/又は置換フェニルを含み、配向相で、誘電異方性を与える永久的及び/又は誘導双極子モーメントを示すことを特徴とする、重合体製造方法。
【請求項9】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の少なくとも一種類の重合体及び第二重合体を含むことを特徴とする、液晶装置で表面指向子配列層として使用するための組成物。
【請求項10】
第二重合体がポリビニルアセタールである、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
第二重合体が、請求項1〜5のいずれか1項に記載の重合体である、請求項9に記載の組成物。
【請求項12】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の少なくとも一種類の重合体を含むことを特徴とする、液晶装置で使用するための表面指向子配列層。
【請求項13】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の重合体の、液晶装置での表面指向子配列層としての使用。
【請求項14】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の重合体を含む表面指向子配列層を、少なくとも一つの基体上に与え、そして
二つの基体で、その少なくとも一方に前記重合体が与えられている基体の間に液晶層を、前記表面指向子配列層(単数又は複数)が前記液晶層の方に向くように配置して挟む、
ことを含むことを特徴とする、液晶装置製造方法。
【請求項15】
表面指向子配列層を、重合体と溶媒とを含む溶液を表面上に適用し、次に前記溶媒を前記表面から除去することにより与える、請求項14に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公表番号】特表2007−521361(P2007−521361A)
【公表日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−517012(P2006−517012)
【出願日】平成16年3月4日(2004.3.4)
【国際出願番号】PCT/SE2004/000300
【国際公開番号】WO2004/113470
【国際公開日】平成16年12月29日(2004.12.29)
【出願人】(505472724)エクシベオ ペーペーエフ 2 アーベー (2)
【Fターム(参考)】