説明

液晶装置の製造方法及び液晶装置

【課題】良好なコントラスト特性を有し、且つ、ディスクリネーション等の発生を防止した液晶装置を得ると共に、製造工程の更なる簡素化を可能とした液晶装置の製造方法を提供する。
【解決手段】垂直配向領域A1に、シロキサン結合(Si−O)を含みランダムな原子構造を有するSi骨格と、このSi骨格に結合する脱離基とを含む重合膜を形成する工程と、重合膜にエネルギーを付与して脱離基をSi骨格から脱離させる工程と、重合膜の表面に長鎖アルキル鎖を形成して垂直配向膜41とする工程と、水平配向領域A2に短鎖アルキル鎖を形成して水平配向膜42とする工程と、長鎖アルキル鎖及び短鎖アルキル鎖が形成された面を一の方向に沿ってラビング処理する工程とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶装置の製造方法及び液晶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶装置を用いて映像を大画面に表示する装置として液晶プロジェクタがある。プロジェクタにおいては高輝度、高コントラストが要求されており、その点、垂直配向方式の液晶装置は高コントラストの表示が可能であり、近年、プロジェクタ用の液晶装置における液晶配向方式として採用されつつある。
【0003】
しかしながら、垂直配向方式の液晶装置では、液晶が基板表面に対して垂直に立っており、電圧印加時に倒れる方位方向での相互作用が弱い。また、画素電位を印加すると、画素電極端から横方向の電界が発生し、この横方向電界に起因して、液晶が様々な方向に倒れてしまうため、ディスクリネーションを生じさせてしまう。
【0004】
このようなディスクリネーションは、明暗のムラやコントラストの低下、残像等の表示欠陥として視認されるため、その発生を防止する必要がある。そこで、画素領域では液晶を垂直配向させて、良好なコントラスト特性を確保しつつ、画素領域の周辺にある非表示領域では液晶を水平配向させて、液晶の配向を規制し、ディスクリネーションの発生を防止する方法が提案されている(例えば、特許文献1,2を参照。)。
【0005】
具体的に、特許文献1に開示された液晶装置では、無機配向膜を斜方蒸着法によって形成し、その厚さを変化させることで無機配向膜の配向角を制御して配向膜上の液晶の方位角を制御することが行われている。
【0006】
また、特許文献2に開示された液晶装置では、絵素領域内に垂直配向規制領域を、絵素領域外に水平配向規制領域を持たせることで、絵素内部の液晶分子を電圧印加時に一方向に配向させている。
【特許文献1】特開2005−107373号公報
【特許文献2】特開2001−343651号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記発明では、厚さの異なる斜方蒸着層を形成するために、2回の真空プロセスが必要となり、工程負担が大きくなるため、生産効率及びコストの面で優れているとは言い難い。また、「画素表示領域のプレチルト角は周囲のプレチルト角よりも小さい」ということになっており、基板平面に対して垂直方向を強く規制していないため、コントラスト的にも優れているとは言い難い。また、特許文献2においては、絵素領域外に水平配向規制領域を形成するために、垂直配向膜にUV光を照射しているが、これによって切断されたアルキル基が残存してしまい、焼き付きなどの不具合が生じることがある。
【0008】
本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、良好なコントラスト特性を有し、且つ、ディスクリネーション等の発生を防止した液晶装置を得ると共に、製造工程の更なる簡素化を可能とした液晶装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明に係る液晶装置の製造方法は、複数の画素電極を有する第1基板と、第1基板に対向して配置される第2基板と、第1基板と第2基板との間に挟持される液晶層とを備え、少なくとも第1基板の液晶層と対向する側の面に、複数の画素電極の表示領域に対応する部分において液晶層の液晶分子を垂直配向させる垂直配向膜と、表示領域の間にある非表示領域に対応する部分において液晶層の液晶分子を一定方位方向に水平配向させる水平配向膜とを有する液晶装置の製造方法であって、第1基板の前記液晶層と対向する側の面に垂直配向膜及び水平配向膜を形成する際に、表示領域に対応する部分に、シロキサン結合(Si−O)を含みランダムな原子構造を有するSi骨格と、このSi骨格に結合する脱離基とを含む重合膜を形成する工程と、重合膜にエネルギーを付与して脱離基をSi骨格から脱離させる工程と、重合膜の表面に長鎖アルキル鎖を形成して垂直配向膜とする工程と、長鎖アルキル鎖を形成した後に、非表示領域に短鎖アルキル鎖を形成して水平配向膜とする工程と、長鎖アルキル鎖及び短鎖アルキル鎖が形成された面を一定方位方向にラビング処理する工程とを有することを特徴とする。
【0010】
本発明に係る液晶装置の製造方法では、第1基板の液晶層と対向する側の面に垂直配向膜及び水平配向膜を形成する際に、レジスト等を用いることなく、複数の画素電極の表示領域に対応する部分に重合膜を介して長鎖アルキル鎖が結合された垂直配向膜と、表示領域の間に存在する非表示領域に対応する部分に短鎖アルキル鎖が結合された水平配向膜とを精度良く形成することができる。また、レジスト等を用いないことから製造工程も簡略化することができる。
【0011】
そして、本発明の方法により製造された液晶装置では、電圧無印加時には複数の画素電極の表示領域に対応する部分に形成された長鎖アルキル鎖(垂直配向膜)により液晶層の液晶分子を垂直配向させることによって、良好なコントラスト特性を確保しつつ、表示領域の間に存在する非表示領域に対応する部分に形成された短鎖アルキル鎖(水平配向膜)が液晶層の液晶分子を一定方位方向に水平配向させることによって、電圧印加時には横方向電界の影響を抑えて、液晶層の液晶分子が一定方位方向に配向するようになるため、ディスクリネーション等の発生を防止することができる。
【0012】
また、本発明に係る液晶装置の製造方法では、重合膜に脱離基をSi骨格から脱離させるエネルギーを付与する際に、フォトマスクを用いて第1基板の液晶層と対向する面側から当該エネルギーを付与する光を選択的に照射することができる。
【0013】
この場合、複数の画素電極の表示領域に対応する部分に重合膜を介して長鎖アルキル鎖が結合された垂直配向膜と、表示領域の間に存在する非表示領域に対応する部分に短鎖アルキル鎖が結合された水平配向膜とを精度良く形成することができる。
【0014】
また、本発明に係る液晶装置の製造方法では、重合膜に脱離基をSi骨格から脱離させるエネルギーを付与する際に、第1基板の液晶層と対向する側の面に、画素電極を形成する前に非表示領域に対応する部分を遮光する遮光膜を設けて、第1基板の前記液晶層と対向する面とは反対の面側から当該エネルギーを付与する光を照射することができる。
【0015】
この場合、遮光膜をマスクにしたセルフアライメントによって、複数の画素電極の表示領域に対応する部分に重合膜を介して長鎖アルキル鎖が結合された垂直配向膜と、表示領域の間に存在する非表示領域に対応する部分に短鎖アルキル鎖が結合された水平配向膜とを精度良く形成することができる。
【0016】
また、本発明に係る液晶装置の製造方法では、長鎖アルキル鎖を、長鎖アルキル基を含むシランカップリング剤を気相処理により反応させて形成し、短鎖アルキル鎖を、短鎖アルキル基を含むシランカップリング剤を気相処理により反応させて形成することが好ましい。
【0017】
これにより、長鎖アルキル鎖と短鎖アルキル鎖とを表示領域と非表示領域とにそれぞれ適切に形成することができる。
【0018】
また、本発明に係る液晶装置の製造方法では、長鎖アルキル鎖の炭素原子数を11〜20とし、短鎖アルキル鎖の炭素原子数を5〜10とすることが好ましい。
【0019】
これにより、垂直配向膜に適した長さの長鎖アルキル鎖と、水平配向膜に適した長さの短鎖アルキル鎖とを適切に形成することができる。
【0020】
また、本発明に係る液晶装置は、複数の画素電極を有する第1基板と、第1基板に対向して配置される第2基板と、第1基板と第2基板との間に挟持される液晶層とを備え、少なくとも第1基板の液晶層と対向する側の面に、複数の画素電極の表示領域に対応する部分において液晶層の液晶分子を垂直配向させる垂直配向膜と、表示領域の間に存在する非表示領域に対応する部分において液晶層の液晶分子を一定方位方向に水平配向させる水平配向膜とを有する液晶装置であって、垂直配向膜が、画素電極の表示領域に対応する部分に重合膜を介して結合された長鎖アルキル鎖を主体に形成され、水平配向膜が、長鎖アルキル鎖が形成された間の非表示領域に結合された短鎖アルキル鎖を主体に形成されていることを特徴とする。
【0021】
本発明に係る液晶装置では、複数の画素電極の表示領域に対応する部分に形成された長鎖アルキル鎖(垂直配向膜)が液晶層の液晶分子を垂直配向させることによって、良好なコントラスト特性を確保しつつ、表示領域の間に存在する非表示領域に対応する部分に形成された短鎖アルキル鎖(水平配向膜)が液晶層の液晶分子を一定方位方向に水平配向させることによって、電圧印加時には横方向電界の影響を抑えて、液晶層の液晶分子が一定方位方向に配向するようになるため、ディスクリネーション等の発生を防止することができる。
【0022】
また、本発明に係る液晶装では、重合膜が、シロキサン結合(Si−O)を含みランダムな原子構造を有するSi骨格を含むことが好ましい。
【0023】
これにより、複数の画素電極の表示領域に対応する部分に重合膜を介して長鎖アルキル鎖が強固に結合された構造とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明を適用した液晶装置の製造方法について図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
【0025】
[液晶装置]
先ず、本発明の一実施形態として図1に示す液晶装置1について説明する。
この液晶装置1は、図1に示すように、TFT(Thin-Film Transistor)素子を用いたアクティブマトリクス型の液晶パネル58を備えている。液晶パネル58は、第1基板10と、この第1基板10に対向して配置される第2基板20と、これら第1基板10と第2基板20との間に挟持された液晶層50とから構成されている。
【0026】
第1基板10は、ガラス等の透明な基板本体10Aと、この基板本体10A上に形成された遮光膜13と、この遮光膜13を覆うように形成された層間絶縁層14と、この層間絶縁層14上に形成された複数の画素電極9と、これら複数の画素電極9を覆うように形成された第1の配向膜11などから構成されている。また、遮光膜13上には、スイッチング素子であるTFT素子(図示せず)や、各種配線(図示せず)等が形成されている。
【0027】
第1基板10は、図2に示すように、面内にマトリックス状に配置された複数の画素電極9(その外周部を9aとし、その周縁部を9bとする。)に対応して、その内側に設けられた画素領域(表示領域)Pと、この画素領域Pの間を遮光する遮光領域(非表示領域)BMとを有して構成されている。
【0028】
画素電極9は、例えばITO(インジウム錫酸化物)等の透明導電膜からなる。遮光膜13は、例えばCr等の遮光材料からなり、画素電極9の間G及び周縁部9bを遮光している。したがって、基板本体10A側から入射する光は、遮光領域BMによって区画された画素開口部としての画素領域Pを透過することになる。
【0029】
第1の配向膜11は、図1に示すように、複数の画素電極9の画素領域Pに対応する部分において液晶層50の液晶分子51を垂直配向させる垂直配向膜41と、遮光領域BMに対応する部分において液晶層50の液晶分子52を一定方位方向に水平配向させる水平配向膜42とを有して構成されている。これにより、第1基板10の面内には、図2に示すように、少なくとも画素領域Pの全体を含んで垂直配向領域A1が形成されており、遮光領域BMに対応して垂直配向領域A1を取り囲むように水平配向領域A2が形成されている。また、第1基板10では、図1に示すように、遮光領域BMの幅をa、水平配向領域A2の幅をb、画素電極9の間Gの幅をcとすると、これらの関係はa>b>cとなっている。このように、画素電極9の間Gの幅(c)よりも水平配向領域A2の幅(b)の方が大きくなるように設定し、画素電極9の周縁部9b上に水平配向膜42の一部が配置されている。なお、第1基板10では、遮光領域BMの幅(a)と水平配向領域A2の幅(b)とが等しい構成であってもよい。
【0030】
一方、第2基板20は、図1に示すように、ガラス等からなる透明な基板本体20Aと、この基板本体20A上に形成された共通電極21と、垂直配向膜からなる第2の配向膜22とから構成されている。共通電極21及び第2の配向膜22は、画素領域P毎に区画されることなく第2基板20側の少なくとも表示領域全体に亘って設けられている。
【0031】
液晶層50は、このような第1基板10の第1の配向膜11と第2基板20の第2の配向膜22との間に、誘電異方性が負の液晶を挟持することにより形成されている。また、互いに対向配置された第1基板10と第2基板20との端縁部は、シール材(図示せず。)によって封止されている。
【0032】
液晶装置は、このような液晶パネル58の両側に配置された一対の1/4波長板81,82と、これら一対の1/4波長板81,82の外側に配置された一対の偏光板71,72とを備えている。具体的に、第1基板10及び第2基板20の外側には、1/4波長板81,82が互いの光軸を直交させるようにそれぞれ配置されている。また、偏光板71,72は、互いの偏光軸が内側に配置された1/4波長板81,82の光軸に対して略45゜の角度を為すように、且つ互いの偏光軸が直交するように配置されている。また、偏光板71の下方には、図示を省略する光源ユニットが配置されている。
【0033】
ところで、上記第1の配向膜11を構成している垂直配向膜41及び水平配向膜42のうち、垂直配向膜41は、垂直配向領域A1に対応する画素電極9の表面に重合膜43を介して形成されている。この重合膜43は、シロキサン結合(Si−O)を含みランダムな原子構造を有するSi骨格を含むものであり、後述する垂直配向膜41の長鎖アルキル鎖28Aを結合させる前は、シロキサン結合(Si−O)を含みランダムな原子構造を有するSi骨格と、このSi骨格に結合する脱離基とを有するものである。そして、このような重合膜43は、脱離基をSi骨格から脱離させることによって接着性を発現し、画素電極9の表面に垂直配向膜41を強固に接合させる機能を有している。
【0034】
垂直配向膜41は、図3に模式的に示すように、炭素原子数11〜20の長鎖アルキル鎖28Aを主体に構成されており、この長鎖アルキル鎖28Aは、長鎖アルキル基を含むシランカップリング剤を用いて、垂直配向領域A1に対応する画素電極9の表面(図3において重合膜43を省略するものとする。)を化学的に修飾することにより形成されている。そして、この長鎖アルキル鎖28Aは、その直鎖が基板面に対して略垂直に起立した状態で結合しており、これによって垂直配向能を有することになる。
【0035】
一方、水平配向膜42は、炭素原子数5〜10の短鎖アルキル鎖28Bを主体に構成されており、この短鎖アルキル鎖28Bは、短鎖アルキル基を含むシランカップリング剤を用いて、水平配向領域A2に対応する画素電極9の周縁部9bと、露出した層間絶縁層14の表面とを化学的に修飾することにより形成されている。そして、この短鎖アルキル鎖28Bは、その直鎖が基板面(基板の方線方向)に対して一の方向に傾倒した状態とされており、これによって水平配向能(一の方向に配向規制力)を有することになる。
【0036】
また、水平配向膜42によって液晶層50の液晶分子52を配向させるプレチルト角は、基板表面に対して1゜〜20゜とすることが好ましく、より好ましくは10゜以下である。これにより、電圧印加時に発生する横電界の影響を抑えることができるほどの配向規制力を得ることができる。
【0037】
第2の配向膜22は、上記垂直配向膜41と同様に、炭素原子数11〜20の長鎖アルキル鎖28Aを主体に構成されており、この長鎖アルキル鎖28Aは、長鎖アルキル基を含むシランカップリング剤を用いて、共通電極21の表面を化学的に修飾することにより形成されている。そして、この長鎖アルキル鎖28Aは、その直鎖が基板面に対して略垂直に起立した状態で結合しており、これによって垂直配向能を有することになる。
【0038】
以上のような構造を有する液晶装置では、図1に示す初期配向状態(電圧無印加状態)において、画素領域Pに対応する部分(垂直配向領域A1)に形成された垂直配向膜41(長鎖アルキル鎖28A)が液晶層50の液晶分子51を垂直配向させることによって、良好なコントラスト特性を確保しつつ、遮光領域BMに対応する部分(水平配向領域A2)に形成された水平配向膜42(短鎖アルキル鎖28B)が液晶層50の液晶分子52を一定方位方向に水平配向させている。
【0039】
そして、画素電極9と共通電極21との間に電圧を印加したときには、図4に示すように、その電圧に応じて垂直配向領域A1(垂直配向膜41)上に位置する液晶分子51が基板法線方向からチルトする。これにより、液晶パネル58の厚さ方向に透過する光が変調されて、階調表示が可能なものとなる。なお、画素電極9上において垂直配向している液晶50の液晶分子51は、そのチルトする方向を規制する手段が何もない場合には、画素電極9の端部から発生する横電界の影響を受けて、画素電極9の内側に向かって放射状に倒れようとする。しかしながら、画素電極9の中央では液晶分子51の配向方向が対立するために、画素電極9の中央付近の液晶分子51は倒れることができず、垂直配向したままディスクリネーションの発生の原因となる。
【0040】
本発明においては、垂直配向領域A1の水平配向領域A2近傍に位置する液晶分子51が、画素電極9の周縁部9b上の液晶分子52の配向に大きく影響を受ける。したがって、垂直配向領域A1上の液晶分子51は、電圧印加時に全て揃った方向にチルトし、均一に配向するようになる。これにより、画素電極9の端部から共通電極21に向かって第1基板10に平行な方向に横方向電界が生じても、この横方向電界の影響を抑えて、液晶分子51の配向対立に起因するディスクリネーション等の発生を防止することができる。
【0041】
なお、画素電極9の周縁部9b上の液晶分子52は、遮光領域BM内に位置するため、画素領域Pの透過率に寄与することはなく、画素領域Pの透過率は垂直配向領域A1上に位置する液晶分子51にのみ依存している。したがって、電圧無印加時に画素領域Pから光漏れが生じることはない。
【0042】
[液晶装置の製造方法]
次に、本発明を適用して製造される上記液晶パネル58の製造工程について説明する。
なお、以下の説明において例示される材料等は一例であって、本発明はそれらに必ずしも限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
【0043】
上記液晶パネル58は、上記第1基板10を作製する工程と、この工程と並行して又は前後して、上記第2基板20を作製する工程と、作製された第1基板10と第2基板20とを対向させ、シール材により貼り合わせ、その間の空間に誘電異方性が負の液晶を注入して、所定厚の液晶層50を形成する工程とを経ることによって製造される。
(第1基板の作製工程)
第1基板10の作製工程については、先ず、図5に示すように、ガラスからなる基板本体10A上にCr(クロム)からなる遮光膜13を格子状に形成し、この遮光膜13によって遮光領域BMを規定すると共に、この遮光領域BMに囲まれた領域を画素領域Pとする。続いて、図示を省略するものの、遮光膜13上に、TFT素子やデータ線、走査線等の配線を形成し、これらを覆うようにして層間絶縁層14を形成する。続いて、画素領域Pから遮光領域BM側に張り出すように、ITO(インジウム錫酸化物)からなる複数の画素電極9を、層間絶縁層14により平坦化された面内にマトリックス状に並べてパターン形成する。なお、これらの工程は、特に制限はなく公知の方法を用いることができる。
【0044】
次に、図6に示すように、上記垂直配向領域A1に重合膜43を形成する。具体的には、第1基板10の画素電極9が形成された面上に、この垂直配向領域A1に対応する部分に開口部を有するマスク(図示せず。)を配して、プラズマ重合法によりって生成された重合物を垂直配向領域A1上に堆積させながら重合膜43を形成する。なお、重合膜43は、第1基板10の画素電極9が形成された面の全面に亘って形成してもよい。
【0045】
このように形成された重合膜43は、例えば図16(a)に模式的に示すように、シロキサン結合(Si−O)を含みランダムな原子構造を有するSi骨格43aと、このSi骨格43aに結合する脱離基43bとを有している。この重合膜43は、シロキサン結合を含みランダムな原子構造を有するSi骨格43aの影響によって流動性を有しない固体状のものとなり、なお且つ寸法精度の高いものが得られる。
【0046】
また、このような重合膜43としては、特に、その構成原子からH原子を除いた原子のうち、Si原子の含有率とO原子の含有率の合計が10〜90原子%であるものが好ましく、より好ましくは20〜80原子%である。これにより、重合膜43では、Si原子と〇原子とが強固なネットワークを形成し、この膜自体が強固なものとなる。また、後述する垂直配向膜41の長鎖アルキル鎖28Aを強固に結合させることができる。
【0047】
脱離基43bとしては、例えば、メチル基、エチル基のようなアルキル基、ビニル基、アリル基のようなアルケニル基、アルデヒド基、ケトン基、カルボキシル基、アミノ基、アミド基、ニトロ基、ハロゲン化アルキル基、メルカプト基、スルホン酸基、シアノ基、イソシアネート基などを挙げることができる。これらの中でも特に脱離基43bをアルキル基とすることが好ましい。アルキル基は、化学的な安定性が高いため、脱離基43bとしてアルキル基を含む重合膜43は、耐候性及び耐薬品性に優れたものとなる。
【0048】
具体的な重合膜43の構成材料としては、例えば、ポリオルガノシロキサンのようなシロキサン結合を合む重合物などを挙げることができる。ポリオルガノシロキサンで構成された重合膜43は、それ自体が優れた機械的特性を有している。また、多くの材料に対して特に優れた接着性を示すものである。また、ポリオルガノシロキサンは、通常、アルキル基の作用によって撥水性(非接着性)を示すが、エネルギーを付与することにより有機基を脱離させて親水性に変化し、接着性を発現するが、この非接着性と接着性との制御を容易且つ確実に行えるという利点を有する。
【0049】
また、ポリオルガノシロキサンの中でも特に、オクタメチルトリシロキサンを主成分とする重合膜43が接着性に優れている。また、オクタメチルトリシロキサンを主成分とする原料は、常温で液状をなし、適度な粘度を有するため、取り接いが容易であるという利点もある。
【0050】
重合膜43の成膜方法としては、上述したプラズマ重合法が緻密で均質な重合膜43を効率良く成膜するのに適している。また、プラズマ重合法により成膜された重合膜43は、エネルギーが付与されて活性化された状態が比較的長時間に亘って維持されるため、製造工程の簡素化及び効率化を図ることができる。なお、重合膜43の成膜方法としては、このようなプラズマ重合法に限らず、例えばCVD法、PVD法のような各種気相成膜法や、各種液相成膜法などを用いることもできる。
【0051】
重合膜43の平均厚さは、1〜1000nmであることが好ましく、より好ましくは2〜800nmである。これにより、寸法精度が著しく低下するのを防止しつつ、後述する垂直配向膜41の長鎖アルキル鎖28Aを強固に結合させることができる。
【0052】
次に、図7に示すように、重合膜43にエネルギーを付与してSi骨格43aから脱離基43bを脱離させる。重合膜43は、図16(b)に模式的に示すように、このようなエネルギーが付与されて脱離基43bがSi骨格43aから離脱されると、その表面や内部に活性手43cが生じ、活性化される。これにより、重合膜43の表面に接着性が発現する。
【0053】
ここで、重合膜43を「活性化させる」とは、重合膜43の表面や内部の脱離基43bが離脱して、Si骨格43aにおいて終端化されていない結合手(以下、「未結合手」又は「ダングリングボンド」という。)43cが生じた状態や、この未結合手が水酸基(OH基)によって終端化された状態、又は、これらの状態が混在した状態のことを言う。また、活性手43aとは、未結合手(ダングリングボンド)又は未結合手が水酸基(OH基)によって終端化されたものを言い、このような活性手43aの存在によって、重合膜43の表面に接着性が発現することになる。
【0054】
ここで、重合膜43に付与するエネルギーは、例えば、エネルギー線を照射する方法や、重合膜43を加熱する方法、重合膜43に圧縮力(物理的エネルギー)を付与する方法、プラズマに曝す(プラズマエネルギーを付与する)方法、オゾンガスに曝す(化学的エネルギーを付与する)方法などを挙げることができるが、その中でも特に、エネルギー線を照射する方法が比較的簡単にエネルギーを効率良く付与することができるため適している。
【0055】
エネルギー線としては、例えば、紫外線、レーザー光、X線、γ線、電子線、イオンビームのような粒子線、又はこれらを組み合わせたものなどを挙げることができるが、その中でも特に、波長が150〜300nmの紫外線を用いることが好ましく、より好ましくは160〜200nmである。このような紫外線を用いた場合は、重合膜43に付与されるエネルギー量が最適されて、Si骨格43aが必要以上に破壊されるのを防止しつつ、Si骨格43aと脱離基43bとの間の結合を選択的に切断することができる。これにより、重合膜43の特性(機械的特性、化学的特性等)が低下するのを防止しつつ、重合膜43に接着性を発現させることができる。
【0056】
また、紫外線によれば、広い範囲にムラなく短時間に処理することができるので、脱離基43bの脱離を効率良く行わせることができる。さらに、紫外線には、例えばUVランプ等の簡単な設備で発生させることができるという利点もある。また、UVランプを用いる場合は、重合膜43の面積に応じて異なるものの、その出力を1mW/cm〜1W/cmとすることが好ましい。また、UVランプと重合膜43との離間距離は3〜3000mmとすることが好ましく、より好ましくは10〜1000mmである。
【0057】
また、紫外線を照射する時間は、重合膜43の表面付近の脱離基43bを離脱し得る程度の時間、すなわち重合膜43の内部の脱離基43bを多量に離脱させない程度の時間とすることが好ましい。具体的には、紫外線の光量や重合膜43の構成材料等に応じて若干異なるものの、0.5〜30分とすることが好ましく、より好ましくは1〜10分である。また、紫外光は、時間的に連続して照射しても、間欠的(パルス状)に照射してもよい。
【0058】
一方、レーザー光としては、例えばエキシマレーザー(フェムト秒レーザー)、Nd−YAGレーザー、Arレーザー、COレーザー、He−Neレーザー等を挙げることができる。
【0059】
また、重合膜43に対するエネルギー線の照射は、その照射時の雰囲気中について特に限定されるものではなく、例えば、大気、酸素を含むような酸化性ガス雰囲気、水素を含むような還元性ガス雰囲気、窒素、アルゴンのような不活性ガス雰囲気、又はこれらの雰囲気を減圧した減圧(真空)雰囲気等を挙げることができる。その中でも大気雰囲気中でエネルギー線の照射を行うことが好ましい。これにより、雰囲気を制御することに手間やコストをかける必要がなくなり、工程を簡便にすることができる。
【0060】
本実施形態では、図7に示すように、垂直配向領域A1に対応する部分に開口部を有するフォトマスクMを用いて、第1基板10の液晶層50と対向する面側から波長172nmのエキシマレーザーによる紫外光(UV光)を照射し、Si骨格43aから脱離基(例えばメチル基)43bを脱離させる。これにより、重合膜43の表面に活性手43aが生成されて接着性が発現する。
【0061】
次に、図8に示すように、重合膜43の活性化された表面に、長鎖アルキル基を有するシランカップリング剤を気相処理により反応させて、上記垂直配向膜41となる長鎖アルキル基28Aを形成する。
【0062】
長鎖アルキル基28Aは、炭素原子数11〜20の長鎖アルキル基を有するシランカップリング剤を有した容器と共に密閉容器内に放置し、この容器を加熱しながらシランカップリング剤の蒸気を基板本体10Aの画素電極9が形成された面に接触させることにより、重合膜43の活性化された表面に選択的に結合される。
【0063】
ここで、シランカップリング剤とは、一分子中に有機官能基と加水分解基とを有したもので、これによって無機物と有機物を結びつけ、材料の物理的強度や耐久性、接着性などの向上を可能にするものである。具体的には、珪素原子(Si)に一つの有機官能基と、2〜3の無機物と反応する官能基を有したもので、以下の式によって表される。
【0064】
【化1】

【0065】
使用するシランカップリング剤としては、特に限定されないものの、有機官能基が良好な撥水性を有し、且つ良好な耐光性を有するものであればよく、具体的には、化合物式における有機官能基(Y)がアルキル基であるものが好適に用いられる。また、加水分解基についても特に限定されないものの、例えばメトキシ基(−O−CH)、エトキシ基(−O−C)などが好ましい。
【0066】
本実施形態では、図9に模式的に示すように、重合膜43の表面を活性化させた後、基板本体10Aを、例えば炭素原子数18の長鎖アルキル基を側鎖に有するシランカップリング剤(ODS:オクタデシルトリエトキシシラン)を有した容器と共に、密閉容器内に放置する。そして、この容器を180℃の温度で加熱しながら2時間放置し、シランカップリング剤の蒸気を基板本体10Aの画素電極9が形成された面に接触させる。ここで、長鎖アルキル基は、シラノール基(Si−OH)を有していることにより、重合膜43の活性手43cと強固に結合する。したがって、長鎖アルキル基28Aを画素電極9の垂直配向領域A1上に重合膜43を介して形成することができる。
【0067】
次に、図10に示すように、第1基板10の垂直配向領域A1を取り囲む水平配向領域A2に、短鎖アルキル基を有するシランカップリング剤を気相処理により反応させて、上記水平配向膜42となる短鎖アルキル基28Bを形成する。
【0068】
短鎖アルキル基28Bは、炭素原子数5〜10の短鎖アルキル基を有するシランカップリング剤を有した容器と共に密閉容器内に放置し、この容器を加熱しながらシランカップリング剤の蒸気を基板本体10Aの液晶層50と対向する側の面に接触させることにより、垂直配向膜41間から露出した水平配向領域A2に選択的に結合される。
【0069】
短鎖アルキル鎖28Bは、炭素原子数5〜10のアルキル基を持つトリメトキシシランとして、例えば、ペンチル基(C5)、ヘキシル基(C6)、ヘプチル基(C7)、オクチル基(C8)、ノニル基(C9)、デシル基(C10)などが挙げられる。
【0070】
本実施形態では、図11に模式的に示すように、垂直配向膜41となる長鎖アルキル鎖28Aを形成した後、基板本体10Aを、例えば炭素原子数6の短鎖アルキル基を側鎖に有するシランカップリング剤を有した容器を120℃の温度で加熱すると共に、密閉容器内に2時間放置し、シランカップリング剤の蒸気を基板本体10Aの画素電極9が形成された面に接触させる。ここで、短鎖アルキル基は、シラノール基(Si−OH)を有していることにより、垂直配向膜41の間から露出した画素電極の周縁部9b及び画素電極9の間で露出する層間絶縁層14に選択的に結合される。これにより、短鎖アルキル基28Bを水平配向領域A2上に形成することができる。
【0071】
次に、図12に示すように、ラビング布をローラに巻きつけたラビング処理装置55を用いて、長鎖アルキル鎖28A及び短鎖アルキル鎖28Bが形成された面を一定方位方向にラビング処理する。ここで、鎖長が短い短鎖アルキル鎖28Bは、基板面に対してチルト易くなっており、このようなラビング処理を行うことによって、その殆どがラビング方向に沿って一様に傾倒(チルト)することになる。なお、鎖長が長い長鎖アルキル基28Aはラビングされてもほとんど水平方位方向に配向せず、垂直配向状態を維持する。
【0072】
以上のようにして、垂直配向領域A1に垂直配向膜41を、水平配向領域A2に水平配向膜42を、それぞれ備えた第1基板10を作製することができる。
【0073】
(第2基板の作製工程)
第2基板20の作製工程については、先ず、図13に示すように、ガラスからなる材料からなる基板本体20A上に、ITOからなる共通電極21を形成し、この共通電極21上に長鎖アルキル鎖28Aを主体とした垂直配向膜からなる第2の配向膜22を形成することによって得られる。これらの工程は公知の手法を用いることができ、例えば共通電極21の形成には蒸着法等が好適である。
【0074】
第2の配向膜22(垂直配向膜)は、上記した垂直配向膜41と同様に、例えば長鎖アルキル基28Aを含むシランカップリング剤を用いて形成することができる。この場合、第2の配向膜22は、画素領域毎に区画することなく、第1基板10側の垂直配向領域A1及び水平配向領域A2に対応した共通電極21上に形成される。
以上のようにして、第2の配向膜22を備えた第2基板20を作製することができる。
【0075】
(基板の貼合せ及び液晶の注入工程)
次に、図14に示すように、第1基板10と第2基板20とを、第1の配向膜11及び第2の配向膜22が内側になるように貼り合わせ、図15に示すように、第1基板10と第2基板20との間に液晶層50を封入することで、液晶パネル58が作製される。
【0076】
以上のように、本発明の製造方法では、第1基板10の液晶層50と対向する側の面に垂直配向膜41及び水平配向膜42を形成する際に、レジスト等を用いることなく、複数の画素電極9の画素領域P(表示領域)に対応する部分(垂直配向領域A1)に重合膜43を介して長鎖アルキル鎖28Aが結合された垂直配向膜41と、画素領域Pの間にある遮光領域BM(非表示領域)に対応する部分(水平配向領域A2)に短鎖アルキル鎖28Bが結合された水平配向膜42とを精度良く形成することができる。また、レジスト等を用いないことから製造工程も簡略化することができる。
【0077】
そして、このような製造方法により得られた液晶パネル58では、垂直配向領域A1に重合膜43を介して形成された長鎖アルキル鎖28A(垂直配向膜41)が液晶層50の液晶分子51を垂直配向させることによって、良好なコントラスト特性を確保しつつ、水平配向領域A2に形成された短鎖アルキル鎖28B(水平配向膜42)が液晶層50の液晶分子52を一定方位方向に水平配向させることによって、電圧印加時に横方向電界の影響を抑えて、液晶層50の液晶分子51,52が一定方位方向に配向するようになるため、ディスクリネーション等の発生を防止することができる。
【0078】
なお、本発明は、上記実施形態のものに必ずしも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記実施形態では、第1基板10側に遮光膜13を設けた構成となっているが、第2基板20側に遮光膜13を設けた構成としてもよい。この場合も、第1の配向膜11は、複数の画素電極9の画素領域Pに対応する部分(垂直配向領域A1)において垂直配向膜41と、遮光領域BMに対応する部分(水平配向領域A2)において水平配向膜42とを形成する一方、第2基板20の液晶層50と対向する側の面に、遮光膜13を遮光領域BMに対応して画素領域Pを取り囲むように形成すればよい。
【0079】
また、本発明の製造方法では、重合膜43のSi骨格43aから脱離基43bを脱離させるため、画素領域Pに対応する部分(垂直配向領域A1)に開口部を有するフォトマスクを用いて、第1基板10の液晶層50と対向する面側から重合膜43の表面を活性化する光を選択的に照射して露光を行う方法を採用しているが、図17に示すように、上記遮光膜13をマスクにしたセルフアライメントによって、第1基板10の液晶層50と対向する面とは反対の面側から重合膜43の表面を活性化する光(VUV)を照射することも可能である。この場合も、画素領域P(垂直配向領域A1)に重合膜43を介して長鎖アルキル鎖28Aが結合された垂直配向膜41と、遮光領域BM(水平配向領域A2)に短鎖アルキル鎖28Bが結合された水平配向膜42とを精度良く形成することが可能である。なお、この場合は、画素領域Pと垂直配向領域A1とがほぼ一致し、遮光領域BMと水平配向領域A2とがほぼ一致することになる。
【0080】
[電子機器]
次に、上記実施形態の液晶装置を備えた電子機器の例について説明する。
図18(a)は、携帯電話の一例を示した斜視図である。図18(a)において、符号500は携帯電話本体を示し、符号501は上記実施形態の液晶装置を用いた液晶表示部を示している。
【0081】
図18(b)は、ワープロ、パソコンなどの携帯型情報処理装置の一例を示した斜視図である。図18(b)において、符号600は情報処理装置、符号601はキーボードなどの入力部、符号603は情報処理装置本体、符号602は上記実施形態の液晶装置を用いた液晶表示部を示している。
【0082】
図18(c)は、腕時計型電子機器の一例を示した斜視図である。図18(c)において、符号700は時計本体を示し、符号701は上記実施形態の液晶装置を用いた液晶表示部を示している。
【0083】
このように図18に示す電子機器は、表示部に上述の本発明の一例たる液晶装置を適用したものであるので、高コントラストで、かつ表示品質が高い表示装置となる。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明を適用した液晶装置の一例を示す断面図。
【図2】図1に示す液晶パネルの第1基板の要部を拡大して示す平面図。
【図3】垂直配向膜及び水平配向膜の構成を示す模式図。
【図4】図1に示す液晶パネルの電圧印加時における配向状態を示す断面図。
【図5】図1に示す液晶パネルの製造工程を示す断面図。
【図6】図1に示す液晶パネルの製造工程を示す断面図。
【図7】図1に示す液晶パネルの製造工程を示す断面図。
【図8】図1に示す液晶パネルの製造工程を示す断面図。
【図9】図1に示す液晶パネルの製造工程を示す断面図。
【図10】図1に示す液晶パネルの製造工程を示す断面図。
【図11】図1に示す液晶パネルの製造工程を示す断面図。
【図12】図1に示す液晶パネルの製造工程を示す断面図。
【図13】図1に示す液晶パネルの製造工程を示す断面図。
【図14】図1に示す液晶パネルの製造工程を示す断面図。
【図15】図1に示す液晶パネルの製造工程を示す断面図。
【図16】重合膜のSi骨格から脱離基を(a)離脱する前の状態、(b)離脱した後の状態を示す模式図。
【図17】図1に示す液晶パネルの別の製造工程を示す断面図。
【図18】本発明を適用した液晶装置を備える電子機器の例を示す斜視図。
【符号の説明】
【0085】
1・・・液晶装置、9・・・画素電極、10・・・第1基板、11・・・第1の配向膜、13・・・遮光膜、20・・・第2基板、21・・・共通電極、22・・・第2の配向膜、28A・・・長鎖アルキル鎖、28B・・・短鎖アルキル鎖、41・・・垂直配向膜、42・・・水平配向膜、43・・・重合膜、43a・・・Si骨格、43b・・・脱離基、43c・・・活性手、50・・・液晶層、P・・・画素領域(表示領域)、BM・・・遮光領域(非表示領域)、A1・・・垂直配向領域、A2・・・水平配向領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素電極を有する第1基板と、前記第1基板に対向して配置される第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に挟持される液晶層とを備え、少なくとも前記第1基板の前記液晶層と対向する側の面に、前記複数の画素電極の表示領域に対応する部分において前記液晶層の液晶分子を垂直配向させる垂直配向膜と、前記表示領域の間に存在する非表示領域に対応する部分において前記液晶層の液晶分子を一定方位方向に水平配向させる水平配向膜とを有する液晶装置の製造方法であって、
前記第1基板の前記液晶層と対向する側の面に前記垂直配向膜及び前記水平配向膜を形成する際に、
前記表示領域に対応する部分に、シロキサン結合(Si−O)を含みランダムな原子構造を有するSi骨格と、このSi骨格に結合する脱離基とを含む重合膜を形成する工程と、
前記重合膜にエネルギーを付与して前記脱離基を前記Si骨格から脱離させる工程と、
前記重合膜の表面に長鎖アルキル鎖を形成して前記垂直配向膜とする工程と、
前記長鎖アルキル鎖を形成した後に、前記非表示領域に短鎖アルキル鎖を形成して前記水平配向膜とする工程と、
前記長鎖アルキル鎖及び前記短鎖アルキル鎖が形成された面を前記一定方位方向にラビング処理する工程とを有することを特徴とする液晶装置の製造方法。
【請求項2】
前記重合膜に前記脱離基を前記Si骨格から脱離させるエネルギーを付与する際に、フォトマスクを用いて前記第1基板の前記液晶層と対向する面側から当該エネルギーを付与する光を選択的に照射することを特徴とする請求項1に記載の液晶装置の製造方法。
【請求項3】
前記重合膜に前記脱離基を前記Si骨格から脱離させるエネルギーを付与する際に、前記第1基板の前記液晶層と対向する側の面に、前記画素電極を形成する前に前記非表示領域に対応する部分を遮光する遮光膜を設けて、前記第1基板の前記液晶層と対向する面とは反対の面側から当該エネルギーを付与する光を照射することを特徴とする請求項1に記載の液晶装置の製造方法。
【請求項4】
前記長鎖アルキル鎖を、長鎖アルキル基を含むシランカップリング剤を気相処理により反応させて形成し、前記短鎖アルキル鎖を、短鎖アルキル基を含むシランカップリング剤を気相処理により反応させて形成することを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の液晶装置の製造方法。
【請求項5】
前記長鎖アルキル鎖の炭素原子数を11〜20とし、前記短鎖アルキル鎖の炭素原子数を5〜10とすることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の液晶装置の製造方法。
【請求項6】
複数の画素電極を有する第1基板と、前記第1基板に対向して配置される第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に挟持される液晶層とを備え、少なくとも前記第1基板の前記液晶層と対向する側の面に、前記複数の画素電極の表示領域に対応する部分において前記液晶層の液晶分子を垂直配向させる垂直配向膜と、前記表示領域の間に存在する非表示領域に対応する部分において前記液晶層の液晶分子を一定方位方向に水平配向させる水平配向膜とを有する液晶装置であって、
前記垂直配向膜は、前記画素電極の前記表示領域に対応する部分に重合膜を介して結合された長鎖アルキル鎖を主体に形成され、
前記水平配向膜は、前記長鎖アルキル鎖が形成された間の非表示領域に結合された短鎖アルキル鎖を主体に形成されていることを特徴とする液晶装置。
【請求項7】
前記重合膜が、シロキサン結合(Si−O)を含みランダムな原子構造を有するSi骨格を含むことを特徴とする請求項6に記載の液晶装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2009−294544(P2009−294544A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−149871(P2008−149871)
【出願日】平成20年6月6日(2008.6.6)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】