説明

液晶配向制御用突起形成樹脂組成物、及びカラーフィルタ

【課題】ネガ型レジストを用いた液晶配向制御用突起による液晶パネルの駆動不良を低減し、表示品質の向上が図れる液晶配向制御用突起を形成可能なネガ型感光性の液晶配向制御用突起形成樹脂組成物、及び当該樹脂組成物を用いた液晶配向制御用突起を有するカラーフィルタを提供する。
【解決手段】特定の構造を有するアクリル酸2−(トリシクロ[5.2.1.02,6]−3−エン−9−イルオキシ)アルキル(A)を含有し、硬化後の比誘電率が、1kHzにおいて1.0以上4.0以下であることを特徴とするネガ型感光性の液晶配向制御用突起形成樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、垂直配向液晶表示型カラーフィルタの液晶配向制御用突起を形成する際に用いられる液晶配向制御用突起形成樹脂組成物、及び当該液晶配向制御用突起形成樹脂組成物を用いた液晶配向制御用突起を備えたカラーフィルタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、カラーフィルタ側の透明基板と液晶駆動側基板とを対向させ、両者の間に液晶化合物を封入して薄い液晶層を形成し、液晶駆動側基板により液晶層内の液晶配列を電気的に制御してカラーフィルタの透過光または反射光の量を選択的に変化させることによって表示を行う。
【0003】
近年、電圧が印加されていない状態で液晶分子が基板面に垂直に配列されており、電圧が印加されると液晶分子がいろいろな方向に倒れる垂直配向液晶表示装置が提案されている。このような液晶分子が倒れる方向を多数の方向とする垂直配向液晶表示装置としては、透明電極層(ITO(酸化インジウムスズ)層)および対向する液晶駆動側基板に形成された第2電極層の表面に、液晶配向制御用突起を形成し、電圧を印加した際の液晶の配向方向を制御する方式(以下、MVA方式ともいう。)を用いたものが提案されている(特許文献1)。このMVA方式は、従来より使用されている捩れネマッチック方式と比較して、コントラスト比、応答速度等の面で優れている。また、液晶分子が倒れる方向が多数の方向であるため、効果的に高視野角を実現することができる、という利点も有する。
【0004】
上記垂直配向液晶表示装置では、液晶分子が垂直に配向した状態、すなわち電圧を印加しない状態で黒表示が行われる。ここで、感光性レジストとしてネガ型レジストを用いて上記液晶配向制御用突起を形成した場合、当該液晶配向制御用突起は比誘電率が高いため、液晶表示装置に電圧を印加後、電圧を除去した際にも帯電が解消されず、液晶配向制御用突起による液晶パネルの駆動不良、すなわち焼きつきが生じる。また、当該液晶配向制御用突起に帯電が残った状態で新たな表示に切り替えても、焼きつきが残っているために正確な表示ができず、残像が生じてしまうという問題がある。
【0005】
一方、ネガ型レジストを用いた液晶配向制御用突起の比誘電率を低下させることにより、電圧を除去した際の帯電が解消され、液晶パネルの駆動不良が改善される。従って、比誘電率の低い液晶配向制御用突起を用いれば、表示品質を向上させることができると考えられる。
【0006】
組成物の低誘電化の方法としては、(1)組成物の構成要素中に、フッ素原子等のモル分極率の小さい原子を導入し、組成物全体の比誘電率を低下させる方法、(2)組成物の構成要素中に、嵩高い基を導入し単位体積当たりの極性基の密度を小さくし、組成物全体の比誘電率を低下させる方法が挙げられる。このように、嵩高く、低極性の構造を含む液晶配向制御用突起形成樹脂組成物を用いることは、液晶配向制御用突起の低誘電率化に有効である。しかしながら、当該樹脂組成物の極性が低下するとネガ型レジストの現像液に対する溶解性が低下するため、当該樹脂組成物を透明電極層上に塗布し、乾燥させ、露光及び現像を行うことにより、液晶配向制御用突起をパターン状に形成することは困難である。
【0007】
【特許文献1】特開2003−75839号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記実情に鑑み、本発明は、ネガ型レジストを用いた液晶配向制御用突起による液晶パネルの駆動不良を低減し、表示品質の向上が図れる液晶配向制御用突起を形成可能なネガ型感光性の液晶配向制御用突起形成樹脂組成物、及び当該樹脂組成物を用いた液晶配向制御用突起を有するカラーフィルタを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、鋭意検討の結果、ネガ型感光性の液晶配向制御用突起形成樹脂組成物中に、特定の構造を有する下記化学式(1)で表される化合物(A)を含有させることにより、低誘電率の液晶配向制御用突起が得られるという知見を見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、下記化学式(1)で表されるアクリル酸2−(トリシクロ[5.2.1.02,6]−3−エン−9−イルオキシ)アルキル(A)を含有し、硬化後の比誘電率が、1kHzにおいて1.0以上4.0以下であることを特徴とするネガ型感光性の液晶配向制御用突起形成樹脂組成物を提供する。
【0010】
【化1】

(化学式(1)中、Rは、炭素数が1〜4のアルキレン基を表す。)
【0011】
本発明によれば、ネガ型感光性の液晶配向制御用突起形成樹脂組成物中に、特定の構造を有する上記化学式(1)で表される化合物(A)を含有させることにより、低誘電率の液晶配向制御用突起を得ることができる。
【0012】
本発明に係るネガ型感光性の液晶配向制御用突起形成樹脂組成物においては、炭素数が7〜20の脂環式構造と、光又は熱硬化性の反応基を少なくとも1つ有する化合物(B)を更に含有することが硬化膜の耐熱性及び残膜率を向上させる点から好ましい。
【0013】
本発明に係るネガ型感光性の液晶配向制御用突起形成樹脂組成物においては、前記光又は熱硬化性の反応基が、エチレン性不飽和基、又はグリシジル基であることが硬化膜の耐熱性及び残膜率を向上させる点から好ましい。
【0014】
本発明に係るネガ型感光性の液晶配向制御用突起形成樹脂組成物においては、前記エチレン性不飽和基が、メタクリル基、又はアクリロイル基であることが硬化膜の硬度を向上させる点から好ましい。
【0015】
本発明に係るネガ型感光性の液晶配向制御用突起形成樹脂組成物においては、前記脂環式構造が、アダマンタン、又はジアマンタンであることが、比誘電率を大幅に上昇させずに硬化性を向上させる点から好ましい。
【0016】
本発明に係るネガ型感光性の液晶配向制御用突起形成樹脂組成物においては、前記化合物(B)の含有量が、全固形分に対して、5〜25重量%であることが好ましい。
【0017】
本発明に係るネガ型感光性の液晶配向制御用突起形成樹脂組成物においては、−Si−O−又はSiの直鎖又は網目構造を有するケイ素系化合物(C)を更に含有することが、硬化後の比誘電率を低下させる点から好ましい。
【0018】
本発明に係るネガ型感光性の液晶配向制御用突起形成樹脂組成物においては、前記ケイ素系化合物(C)が、下記化合物群の中から選ばれる少なくとも1種の化合物であることが硬化後の比誘電率を低下させる点から好ましい。
【0019】
【化2】

(化学式(C−1)中、Rはメチル基、又はメトキシ基である。)
【0020】
【化3】

【0021】
【化4】

(ASi‐Networkは、Siが架橋結合してなる編目構造を表す。Lは、当該Siが架橋結合してなる編目構造の末端に結合した炭素数が1〜4のアルキル基、又はフェニル基を表す。OHは、当該Siが架橋結合してなる編目構造の末端に結合したヒドロキシ基を表す。)
【0022】
本発明に係るネガ型感光性の液晶配向制御用突起形成樹脂組成物においては、前記ケイ素系化合物(C)の含有量が、全固形分に対して、5〜20重量%であることが好ましい。
【0023】
また、上記課題を解決するために本発明は、前記本発明に係るネガ型感光性の液晶配向制御用突起形成樹脂組成物の硬化物からなる液晶配向制御用突起を有することを特徴とするカラーフィルタを提供する。本発明によれば、上記液晶配向制御用突起が本発明に係る樹脂組成物を用いて形成されたものであるため、本発明のカラーフィルタを液晶表示装置に用いた際、焼きつきの原因となる液晶パネルの駆動不良を改善することができ、良好な表示特性を得ることが可能となる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、ネガ型感光性の液晶配向制御用突起形成樹脂組成物中に、特定の構造を有する上記化合物(A)を含有させることにより、低誘電率の液晶配向制御用突起を得ることができる。従って、垂直配向液晶表示装置において、比誘電率の低い液晶配向制御用突起を用いることにより、電圧を除去した際の帯電が解消され、焼きつきの原因となる液晶パネルの駆動不良を改善することができ、良好な表示特性を得ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明のネガ型感光性の液晶配向制御用突起形成樹脂組成物、及びカラーフィルタについて順に説明する。
【0026】
I.ネガ型感光性の液晶配向制御用突起形成樹脂組成物
本発明のネガ型感光性の液晶配向制御用突起形成樹脂組成物は、下記化学式(1)で表されるアクリル酸2−(トリシクロ[5.2.1.02,6]−3−エン−9−イルオキシ)アルキル(A)を含有し、硬化後の比誘電率が、1kHzにおいて1.0以上4.0以下であることを特徴とする。
【0027】
【化5】

(化学式(1)中、Rは、炭素数が1〜4のアルキレン基を表す。)
【0028】
ここで「脂環式構造」とは、炭素原子が環状に結合した構造のうち、芳香族環を除いた構造のことである。また、「嵩高い構造」とは、上記化合物(A)の分子構造中の単位体積当たりの極性基の密度を小さくし得る立体障害を有する構造を意味する。
【0029】
以下、このような本発明のネガ型感光性の液晶配向制御用突起形成樹脂組成物の各構成について順に詳細に説明する。
なお、本明細書中において(メタ)アクリロイルはアクリロイル及び/又はメタクリロイルを表し、(メタ)アクリルはアクリル及び/又はメタクリルを表す。また、本願明細書中の光には、可視及び非可視領域の波長の電磁波だけでなく、電子線のような粒子線、及び、電磁波と粒子線を総称する放射線又は電離放射線が含まれる。
【0030】
本明細書中の反応基には、光硬化性の反応基及び熱硬化性の反応基が含まれる。光硬化性の反応基とは、光照射により重合反応や架橋反応等を進行させて塗膜を硬化させることができる反応基を意味し、例えば、光ラジカル重合、光カチオン重合、光アニオン重合のような重合反応、あるいは、光二量化を経て進行する付加重合または縮重合等の反応形式により反応が進行するものが挙げられる。また、本明細書中の熱硬化性の反応基とは、加熱によって同じ反応基同士または他の反応基との間で重合反応または架橋反応等を進行させて塗膜を硬化させることができる反応基を意味し、例えば、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基、イソシアネート基等を例示することができる。
本発明に用いられる反応基としては、特に、硬化膜の硬度を向上させる観点から、重合性不飽和基が好適に用いられ、好ましくは光硬化性不飽和基であり、その具体例としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性不飽和基等が挙げられる。
【0031】
本発明のネガ型感光性の液晶配向制御用突起形成樹脂組成物は、光硬化性の官能基を有するモノマー、オリゴマー、及びポリマーの他に、非反応性の官能基、又は熱硬化性の官能基を有する、モノマー、オリゴマー、及びポリマーを含んでいても良い。
光硬化性の官能基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性不飽和基及びエポキシ基等を例示することができ、その中でも(メタ)アクリロイル基が好ましい。
【0032】
光硬化性の官能基を有する化合物としては、(メタ)アクリレート基等のラジカル重合性官能基を有する化合物が挙げられる。具体的には、エチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート系モノマーが挙げられる。また、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂、多価アルコール等の高分子骨格とし、(メタ)アクリレート基を導入したポリマーが挙げられる。尚、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又は/及びメタクリレートを意味する。
上記化合物以外の例としては、スチレン、メチルスチレン、N−ビニルピロリドン等の単官能又は多官能単量体、或いは芳香族ビニルエーテル、脂肪族ビニルエーテル等のカチオン重合性官能基を有する化合物が挙げられる。
【0033】
また、上記モノマー、オリゴマー、及びポリマーは、ネガ型感光性の液晶配向制御用突起形成用樹脂成物の固形分中に、20〜75質量%含有されることが好ましい。
【0034】
<化学式(1)で表されるアクリル酸2−(トリシクロ[5.2.1.02,6]−3−エン−9−イルオキシ)アルキル(A)>
本発明において用いられるアクリル酸2−(トリシクロ[5.2.1.02,6]−3−エン−9−イルオキシ)アルキル(A)は、下記化学式(1)で表される化合物である。
【0035】
【化6】

(化学式(1)中、Rは、炭素数が1〜4のアルキレン基を表す。)
【0036】
上記化学式(1)において、Rは、炭素数が1〜4のアルキレン基を表し、中でもエチレン基であることが好ましい。また、上記化合物(A)の具体例としては、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシプロピルアクリレート等が挙げられる。
【0037】
上記化合物(A)は、立体的に嵩高い脂環式構造を有することにより、当該化合物(A)中の単位体積当たりの極性基の密度が小さい。これにより、当該化合物(A)は低極性であるため、当該化合物(A)を含有するネガ型感光性の液晶配向制御用突起形成樹脂組成物からなる液晶配向制御用突起の比誘電率を低下させることができる。また、当該化合物(A)は、アクリロイルオキシアルキル基を有するため極性が高く水溶性であることから、現像液に対する溶解性を有し、当該化合物(A)を含有するネガ型感光性の液晶配向制御用突起形成樹脂組成物の現像性を向上させることができる。
【0038】
上記化合物(A)の含有量は、全固形分に対して、10〜40重量%であることが好ましく、更に好ましくは20〜35重量%である。但し、後述する脂環式構造を有する化合物(B)又はケイ素系化合物(C)のいずれかを併用しない場合は、当該化合物(A)を45重量%まで、当該化合物(B)及び当該化合物(C)の両方を併用しない場合は、当該化合物(A)を50重量%まで添加することができる。上記化合物(A)の含有量が10重量%未満の場合には、硬化後の比誘電率が高くなるおそれがあり、50重量%超過の場合には、硬化後の残膜率が低下するおそれがある。
なお、本発明において、固形分とは、樹脂組成物中に含まれる成分のうち溶剤以外のものを意味する。
【0039】
<炭素数が7〜20の脂環式構造と、光又は熱硬化性の反応基を少なくとも1つ有する化合物(B)>
本発明において用いられる炭素数が7〜20の脂環式構造と、光又は熱硬化性の反応基を少なくとも1つ有する化合物(B)は、硬化膜の比誘電率を大幅に上昇させずに、残膜率を向上させることを目的として、ネガ型感光性の液晶配向制御用突起形成樹脂組成物中に含有させることが好ましい化合物である。
【0040】
脂環式構造を構成する炭素原子の数は、7〜20個であることが好ましく、更に好ましくは、10〜15個である。ここでいう炭素原子には脂環式構造に置換した連結基や置換基の炭素原子を含めない。例えば、1−メチルアダマンタンは10個の炭素原子で構成されるものとする。
また、脂環式構造は、飽和の脂肪族炭化水素であることが好ましく、特に比誘電率を大幅に上昇させずに硬化性を向上させる点から、アダマンタン、ジアマンタンが好ましい。
【0041】
本発明に係る上記化合物(B)は、光又は熱硬化性の反応基を少なくとも1つ有し、更に硬化膜の残膜率を向上させる点から、2個以上有することが好ましい。また、当該反応基は、エチレン性不飽和基、又はグリシジル基が好ましい。
一つの脂環式構造に対するエチレン性不飽和基の数は、1〜4個であることが好ましく、更に好ましくは2〜3個である。エチレン性不飽和基としては、例えば、メタクリル基、又はアクリロイル基、ビニル基、アリル基等が挙げられる。中でも、メタクリル基、又はアクリロイル基は、硬化性向上の点から特に好ましい。
また、上記化合物(B)が有するグリシジル基の数は、硬化膜の残膜率向上の点から、1〜4個であることが好ましく、更に好ましくは2〜3個である。
【0042】
上記化合物(B)は、脂環式構造を1〜2個程度含む非ポリマーである。
また、上記化合物(B)の含有量は、全固形分に対して、5〜25重量%であることが好ましく、更に好ましくは10〜20重量%である。上記化合物(B)の含有量が5重量%未満の場合には、硬化膜の耐熱性及び残膜率が低下するおそれがある。また、25重量%超過の場合には、現像性の低下を招くおそれがある。
なお、全固形分に対する上記化合物(B)の含有量は、上記化合物(A)の含有量より少ないことが、現像性を向上させる点から好ましい。
【0043】
以下に具体例を示すが、本発明に用いられる上記化合物(B)は、これらに限定されるものではない。
【0044】
【化7】

【0045】
中でも、化合物(B)として好適なのは、上記化学式(x−1)で表される1、3−アダマンタンジメタノールジアクリレート、上記化学式(x−2)で表される2、4−ジ(グリシジルオキシ)フェニル−1−アダマンタン等が挙げられる。
【0046】
<−Si−O−又はSiの直鎖又は網目構造を有するケイ素系化合物(C)>
本発明において用いられる−Si−O−又はSiの直鎖又は網目構造を有するケイ素系化合物(C)は、硬化後の比誘電率を低下させることを目的として、ネガ型感光性の液晶配向制御用突起形成樹脂組成物中に含有させることが好ましい化合物である。
【0047】
本発明に用いられるケイ素系化合物(C)は、下記化合物群の中から選ばれる少なくとも1種の化合物であることが、硬化後の比誘電率を低下させる点から好ましい。但し、これらに限定されるものではない。
【0048】
【化8】

(化学式(C−1)中、Rはメチル基、又はメトキシ基である。)
【0049】
また、上記化学式(C−1)で表される化合物(C)の質量平均分子量(Mw)は、硬化性向上の点から、800〜3200であることが好ましく、更に好ましくは1100〜2900である。
なお、化学式(C−1)で表される化合物(C)の質量平均分子量は、東ソー(株)製 HLC−8220カラム、TSKゲル α−2500、α−3000を使用し、臭化リチウム及びリン酸を0.1%となるように添加したDMF溶液で測定した値である。
【0050】
【化9】

【0051】
上記化学式(C−2)で表される化合物(C)は、Si−Si結合の繰り返し単位を主鎖とし、その両末端がヒドロキシ基を有し、側鎖がメチル基又はフェニル基を有している。
【0052】
また、上記化学式(C−2)で表される化合物(C)の質量平均分子量(Mw)は、硬化性向上の点から、1000〜2200であることが好ましく、更に好ましくは1300〜1900である。
【0053】
【化10】

(ASi‐Networkは、Siが架橋結合してなる編目構造を表す。Lは、当該Siが架橋結合してなる編目構造の末端に結合した炭素数が1〜4のアルキル基、又はフェニル基を表す。OHは、当該Siが架橋結合してなる編目構造の末端に結合したヒドロキシ基を表す。)
【0054】
上記化学式(C−3)で表される化合物(C)は、Siが架橋結合してなる編目構造の末端に結合した炭素数が1〜4のアルキル基、フェニル基、及びヒドロキシ基を所定量有している。
【0055】
また、上記化学式(C−3)で表される化合物(C)の質量平均分子量(Mw)は、硬化性向上の点から、500〜2100であることが好ましく、更に好ましくは900〜1700である。
【0056】
なお、化学式(C−2)及び(C−3)で表される化合物(C)の質量平均分子量は、東ソー(株)製 HLC−8220カラム、TSKゲル GMHHR−Lを使用し、THF溶液で測定した値である。
【0057】
また、上記化合物(C)の含有量は、全固形分に対して、5〜20重量%であることが好ましく、更に好ましくは10〜20重量%である。上記化合物(C)の含有量が5重量%未満の場合には、硬化後の比誘電率が十分に低下しないおそれがある。また、25重量%超過の場合には、相溶性が悪化するおそれがある。
【0058】
<その他の成分>
本発明のネガ型感光性の液晶配向制御用突起形成樹脂組成物は、上記モノマー、オリゴマー、及びポリマー、並びに上記化学式(1)で表されるアクリル酸2−(トリシクロ[5.2.1.02,6]−3−エン−9−イルオキシ)アルキル(A)を含有するものであれば特に限定されるものではなく、必要に応じて適宜他の材料を含有していてもよい。通常、上記各成分とともに、光重合開始剤、界面活性剤、密着助剤、溶剤等が用いられることとなる。
【0059】
(光重合開始剤)
本発明に用いられる光重合開始剤としては、一般的なものを用いることができ、例えばミヒラーズケトン等のラジカル型光重合開始剤や、トリアリールスルフォニウム塩、ジアリールヨウドニウム塩等のカチオン型光重合開始剤などを挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、2種類以上を併用することもできる。
【0060】
また、このような光重合開始剤は、光増感剤と組み合わせて用いることができる。光増感剤としては、一般的なものを使用することができ、例えばN,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、N,N−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、トリエタノールアミン、トリエチルアミン等が挙げられる。これらの光増感剤は単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0061】
光重合開始剤は、ネガ型感光性の液晶配向制御用突起形成用樹脂成物の固形分中に、1質量%〜30質量%の範囲内、中でも5質量%〜15質量%の範囲内含有されることが好ましい。これにより、当該樹脂組成物の硬化性を十分なものとすることができるからである。
【0062】
(界面活性剤)
また本発明のネガ型感光性の液晶配向制御用突起形成樹脂組成物は、必要に応じて、界面活性剤を含有していてもよい。界面活性剤は、本発明のネガ型感光性の液晶配向制御用突起形成樹脂組成物の塗布性を向上させるため、あるいは塗膜の現像性を向上させるため用いられる。
【0063】
本発明に用いられる界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアリールエーテル類;ポリオキシエチレンジアルキルエステル類(例えば、ポリオキシエチレンジラウレートおよびポリオキシエチレンジステアレート)等のノニオン系界面活性剤;エフトップEF301、エフトップ303、エフトップ352(新秋田化成(株)製);メガファックF171、メガファックF172、メガファックF173、メガファックF475、(メガファックR−08MH)(大日本インキ化学工業(株)製);フロラードFC−430、フロラードFC−431(住友スリーエム(株)製);アサヒガードAG710、サーフロンS−382、サーフロンSC−101、サーフロンSC−102、サーフロンSC−103、サーフロンSC−104、サーフロンSC−105、サーフロンSC−106(旭硝子(株)製)等の商品名で市販されているフッ素系界面活性剤;オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製);(メタ)アクリル酸系共重合体ポリフローNo.57、95(共栄社油脂化学工業(株)製);などが挙げられる。これらは単独であるいは2種以上組合せて用いられる。
【0064】
界面活性剤の含有量は、ネガ型感光性の液晶配向制御用突起形成樹脂組成物中の固形分に対して、1質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.5質量%以下である。
【0065】
(密着助剤)
本発明のネガ型感光性の液晶配向制御用突起形成樹脂組成物は、必要に応じて、密着助剤を含有していてもよい。密着助剤は、本発明のネガ型感光性の液晶配向制御用突起形成樹脂組成物を透明電極層等の上に塗布した場合、塗膜と透明電極層等との密着性を向上させるために用いられる。このような密着助剤としては、例えばシランカップリング剤などが挙げられる。
【0066】
密着助剤の含有量は、ネガ型感光性の液晶配向制御用突起形成樹脂組成物中の固形分に対して、10質量%以下であることが好ましく、より好ましくは5質量%以下である。
【0067】
(溶剤)
本発明のネガ型感光性の液晶配向制御用突起形成樹脂組成物は、必要に応じて、溶剤を含有していてもよい。溶剤は、ネガ型感光性の液晶配向制御用突起形成樹脂組成物中の各成分を均一に溶解し、例えば透明電極層上等への塗布を容易にするために用いられる。
【0068】
本発明に用いられる溶剤としては、ネガ型感光性の液晶配向制御用突起形成樹脂組成物中の各成分とは反応せず、これらを溶解もしくは分散可能な有機溶剤であればよく、特に限定されるものではない。具体的には、メタノール、エタノール等のアルコール類;テトラヒドロフラン等のエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート等のエチレングリコールアルキルエーテルアセテート類;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のジエチレングリコール類;プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン等のケトン類;および、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルブタン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル等のエステル類;ジメチルジグリコール、3−メトキシブタノール、3−メトキシブチルアセテート、シクロヘキサノールアセテートなどが挙げられる。これらの溶剤は単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせてもよい。
【0069】
溶剤としては、上記の中でも、グリコールエーテル類、アルキレングリコールアルキルエーテルアセテート類、ジエチレングリコールジアルキルエーテル類、およびジエチレングリコール類が好ましい。特に、3−エトキシプロピオン酸エチル、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、メチルアミルケトン、ジメチルジグリコール、3−メトキシブタノール、3−メトキシブチルアセテート、シクロヘキサノールアセテートおよびジエチレングリコールエチルメチルエーテルが好ましい。
【0070】
本発明のネガ型感光性の液晶配向制御用突起形成樹脂組成物では、溶剤を除いた成分が5質量%〜40質量%であることが好ましく、より好ましくは10質量%〜30質量%の範囲内となるように溶剤を配合する。これにより、塗布に適した粘度とすることができる。
【0071】
(添加剤)
本発明のネガ型感光性の液晶配向制御用突起形成樹脂組成物は、必要に応じて、添加剤を含有していてもよい。添加剤としては、例えば帯電防止剤、保存安定剤、消泡剤、重合禁止剤、可塑剤、レベリング剤などが挙げられる。
【0072】
<液晶配向制御用突起>
次に、本発明のネガ型感光性の液晶配向制御用突起形成樹脂組成物を用いて形成される液晶配向制御用突起について説明する。
【0073】
本発明に用いられる液晶配向制御用突起の1kHzにおける比誘電率は、1.0以上4.0以下とすることができ、特に好ましい実施形態においては、2.5以上4.0以下とすることができる。上記液晶配向制御用突起の比誘電率を上記範囲内とすることで、当該液晶配向制御用突起を用いた垂直配向液晶表示装置において、電圧を除去した際の帯電が解消される。これにより、液晶パネルの駆動不良に起因する残像が解消され、表示品質を向上させることができる。
なお、上記液晶配向制御用突起の比誘電率は、INPEDANCE/GAIN−PHASE ANALYZER SI 1260、DIELECTRIC INTERFACE 1296(Solartron製)により測定したものである。
【0074】
II.カラーフィルタ
次に、本発明のカラーフィルタについて説明する。本発明のカラーフィルタは、上記記載のネガ型感光性の液晶配向制御用突起形成樹脂組成物を用いて形成された液晶配向制御用突起を有することを特徴とするものである。
【0075】
本発明のカラーフィルタは、例えば、透明基板と、その透明基板上に形成された着色層と、当該着色層上に形成された透明電極層と、当該透明電極層上の当該着色層に対応する領域に形成された液晶配向制御用突起とを有するものである。なお、液晶配向制御用突起が上記透明電極層上の着色層に対応する領域に形成されているとは、当該透明電極層を挟んで着色層と上記各液晶配向制御用突起とが対応するように形成されていることをいう。
【0076】
本発明によれば、上記液晶配向制御用突起が上述したネガ型感光性の液晶配向制御用突起形成樹脂組成物を用いて形成されたものであるため、本発明のカラーフィルタを液晶表示装置に用いた際、液晶パネルの駆動不良が改善され、良好な表示特性を得ることが可能となる。
【0077】
本発明のカラーフィルタは、通常、透明基板と、この透明基板上に形成された遮光部と、この透明基板上と遮光部上とに形成された着色層と、上記着色層上に形成された透明電極層と、上記透明電極層上に形成された液晶配向制御用突起とを有するものである。上記透明基板、遮光部、着色層および透明電極層は、一般的なカラーフィルタに用いられているものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。以下、本発明における液晶配向制御用突起について説明する。
【0078】
(液晶配向制御用突起)
本発明のカラーフィルタに用いられる液晶配向制御用突起は、上述したネガ型感光性の液晶配向制御用突起形成樹脂組成物を用いて形成されるものであり、通常、透明電極層上の着色層に対応する領域に形成される。
【0079】
本発明においては、上記ネガ型感光性の液晶配向制御用突起形成樹脂組成物を、透明電極層上に塗布し、乾燥させ、露光および現像を行うことにより、液晶配向制御用突起をパターン状に形成することができる。
【0080】
上記ネガ型感光性の液晶配向制御用突起形成樹脂組成物の塗布方法としては、特に限定されるものではなく、例えばスプレーコート法、ディップコート法、バーコート法、ロールコート法、スピンコート法等を挙げることができる。
塗膜の厚みは、塗布方法、当該液晶配向制御用突起形成樹脂組成物の固形分濃度や粘度等を調整することにより、適宜制御される。
上記ネガ型感光性の液晶配向制御用突起形成樹脂組成物を塗布した後は、溶剤を除去するために塗膜を乾燥させる。例えば、減圧乾燥機を用いて溶剤を蒸発させて乾燥させること、ホットプレートやオーブン等を用いて塗膜を加熱することによって乾燥させること、或いは、それらを組み合わせて用いることができる。
【0081】
次に、塗膜に所定のパターンのマスクを介して露光を行って、重合反応(硬化反応)させる。
露光に使用される放射線としては、例えば低圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプなどの紫外線、電子線等が挙げられる。露光量は、使用する光源や塗膜の厚みなどによって適宜調整される。
【0082】
露光後は、現像液を用いて現像し、未露光部分を溶解、除去することにより、所望のパターンで液晶配向制御用突起が形成される。
現像液としては、通常、水や水溶性溶媒にアルカリを溶解させた溶液が用いられる。このアルカリ溶液には、界面活性剤などを適量添加してもよい。
また、現像方法は一般的な方法を採用することができる。現像条件としても一般的な条件であればよい。なお、現像後には、通常現像液の洗浄、乾燥が行われる。
【0083】
また、現像後に、液晶配向制御用突起が十分に硬化したものとするために加熱処理を行ってもよい。加熱条件としては特に限定されるものではなく、一般的な液晶配向制御用突起の形成の際の条件と同様とすることができる。
【0084】
本発明において用いられるネガ型感光性の液晶配向制御用突起形成樹脂組成物については、上記「I.ネガ型感光性の液晶配向制御用突起形成樹脂組成物」の項に詳しく記載したので、ここでの説明は省略する。
【0085】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【実施例】
【0086】
以下に実施例を示し、本発明を更に具体的に説明する。
【0087】
<実施例1>
(液晶配向制御用突起の形成)
下記組成のネガ型感光性の液晶配向制御用突起形成樹脂組成物を調製した。
<ネガ型感光性の液晶配向制御用突起形成樹脂組成物>
・アクリル樹脂(I6805:商品名、根上工業(株)製、分子量59000):43.1重量部(固形分量換算値)
・ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート(FA512AS:商品名、日立化成工業(株)製):48.5重量部(固形分量換算値)
・光重合開始剤(N−1919:商品名、(株)ADEKA製)8.4重量部
・ジエチレングリコールエチルメチルエーテル(EDM):配合物の固形分が20質量%となるように添加
【0088】
基材の酸化インジウムスズ(ITO)蒸着ガラス基板上に、上記ネガ型感光性の液晶配向制御用突起形成樹脂組成物をスピンコート法により塗布し、減圧乾燥を行った後、80℃で3分間、プリベークを行った。次に、塗布した塗膜をフォトマスクを介して、積算露光量60mJ/cmとなるように露光した。その後、温度25℃、0.05%の水酸化カリウム水溶液で現像し、さらにオーブンにて230℃で30分間加熱し、ポストベークを行い、膜厚0.9μm、線幅20μmの液晶配向制御用突起を形成した。
【0089】
<実施例2>
実施例1において、化合物(A)を39.1重量部とし、化合物(B)として2、4‐ジ(グリシジルオキシ)フェニル‐1‐アダマンタン(A−ARS−EPO:商品名、出光興産(株)製)を9.4重量部用いた以外は、前記実施例1と同様にして液晶配向制御用突起を形成した。
【0090】
<実施例3>
実施例2において、化合物(A)を29.7重量部、化合物(B)を18.8重量部用いた以外は、前記実施例2と同様にして液晶配向制御用突起を形成した。
【0091】
<実施例4>
実施例1において、化合物(A)を39.1重量部とし、化合物(B)として1、3‐アダマンタンジメタノールジアクリレート(A−DMODA:商品名、出光興産(株)製)を9.4重量部用いた以外は、前記実施例1と同様にして液晶配向制御用突起を形成した。
【0092】
<実施例5>
実施例4において、化合物(A)を29.7重量部、化合物(B)を18.8重量部用いた以外は、前記実施例4と同様にして液晶配向制御用突起を形成した。
【0093】
<実施例6>
実施例1において、化合物(A)を38.5重量部とし、ケイ素系化合物(C)としてコンポセランE103A(商品名、荒川化学工業(株)製)を10.0重量部用いた以外は、前記実施例1と同様にして液晶配向制御用突起を形成した。
【0094】
<実施例7>
実施例6において、化合物(A)を28.5重量部とし、ケイ素系化合物(C)を20.0重量部用いた以外は、前記実施例6と同様にして液晶配向制御用突起を形成した。
【0095】
<実施例8>
実施例1において、化合物(A)を43.5重量部とし、ケイ素系化合物(C)としてオグソールSI10−20(商品名、大阪ガスケミカル(株)製)を5.0重量部用いた以外は、前記実施例1と同様にして液晶配向制御用突起を形成した。
【0096】
<実施例9>
実施例8において、化合物(A)を38.5重量部とし、ケイ素系化合物(C)を10.0重量部用いた以外は、前記実施例8と同様にして液晶配向制御用突起を形成した。
【0097】
<実施例10>
実施例1において、化合物(A)を43.5重量部とし、ケイ素系化合物(C)としてオグソールSI20−12(商品名、大阪ガスケミカル(株)製)を5.0重量部用いた以外は、前記実施例1と同様にして液晶配向制御用突起を形成した。
【0098】
<実施例11>
実施例10において、化合物(A)を38.5重量部とし、ケイ素系化合物(C)を10.0重量部用いた以外は、前記実施例10と同様にして液晶配向制御用突起を形成した。
【0099】
<実施例12>
実施例1において、化合物(A)を23.6重量部とし、化合物(B)として1、3‐アダマンタンジメタノールジアクリレート(A−DMODA)を14.9重量部、ケイ素系化合物(C)としてコンポセランE103Aを10.0重量部用いた以外は、前記実施例1と同様にして液晶配向制御用突起を形成した。
【0100】
<実施例13>
実施例12において、ケイ素系化合物(C)としてオグソールSI10−20を10.0重量部用いた以外は、前記実施例12と同様にして液晶配向制御用突起を形成した。
【0101】
<実施例14>
実施例12において、ケイ素系化合物(C)としてオグソールSI20−12を10.0重量部用いた以外は、前記実施例12と同様にして液晶配向制御用突起を形成した。
【0102】
<実施例15>
実施例1において、化合物(A)を31.0重量部とし、化合物(B)として2、4‐ジ(グリシジルオキシ)フェニル−1−アダマンタン(A−ARS−EPO)を7.5重量部、ケイ素系化合物(C)としてコンポセランE103Aを10.0重量部用いた以外は、前記実施例1と同様にして液晶配向制御用突起を形成した。
【0103】
<実施例16>
実施例15において、ケイ素系化合物(C)としてオグソールSI10−20を10.0重量部用いた以外は、前記実施例15と同様にして液晶配向制御用突起を形成した。
【0104】
<実施例17>
実施例15において、ケイ素系化合物(C)としてオグソールSI20−12を10.0重量部用いた以外は、前記実施例15と同様にして液晶配向制御用突起を形成した。
【0105】
<比較例1>
実施例1において、化合物(A)の代わりに、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート エチレンオキサイド変性品(DPEA−12:商品名、日本化薬(株)製)48.5重量部と、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 酸変性品(TO2371:商品名、東亜合成(株)製)9.4重量部とを用いた以外は、前記実施例1と同様にして液晶配向制御用突起を形成した。
【0106】
<比較例2>
実施例3において、化合物(A)を用いず、化合物(B)として2、4‐ジ(グリシジルオキシ)フェニル‐1‐アダマンタン(A−ARS−EPO:商品名、出光興産(株)製)を48.5重量部用いた以外は、前記実施例3と同様にして液晶配向制御用突起を形成した。
【0107】
<比較例3>
実施例3において、化合物(A)の代わりに、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 酸変性品(TO2335:商品名、東亜合成(株)製)18.8重量部、化合物(B)として2、4‐ジ(グリシジルオキシ)フェニル‐1‐アダマンタン(A−ARS−EPO:商品名、出光興産(株)製)を29.7重量部を用いた以外は、前記実施例3と同様にして液晶配向制御用突起を形成した。
【0108】
<比較例4>
実施例1において、化合物(A)の代わりに、ジシクロペンテニルアクリレート(FA−511AS:商品名、日立化成工業(株)製)29.7重量部と、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 酸変性品(TO2335:商品名、東亜合成(株)製)18.8重量部とを用いた以外は、前記実施例1と同様にして液晶配向制御用突起を形成した。
【0109】
<比較例5>
実施例1において、化合物(A)の代わりに、ジシクロペンタニルアクリレート(FA−513AS:商品名、日立化成工業(株)製)29.7重量部と、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 酸変性品(TO2335:商品名、東亜合成(株)製)18.8重量部とを用いた以外は、前記実施例1と同様にして液晶配向制御用突起を形成した。
【0110】
<比較例6>
実施例1において、化合物(A)の代わりに、ジシクロペンタニルメタクリレート(FA−513M:商品名、日立化成工業(株)製)29.7重量部と、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 酸変性品(TO2335:商品名、東亜合成(株)製)18.8重量部とを用いた以外は、前記実施例1と同様にして液晶配向制御用突起を形成した。
【0111】
〔評価方法〕
上記、各実施例、及び比較例に対して、以下の点を評価した。その結果を表1及び表2に記載する。
(1)比誘電率
上記実施例及び比較例で作成した各液晶配向制御用突起の1kHzにおける比誘電率を、INPEDANCE/GAIN−PHASE ANALYZER SI 1260、DIELECTRIC INTERFACE 1296(Solarton製)を用いて測定した。
【0112】
(2)現像性
上記実施例及び比較例において、各々、現像工程後のフォトマスクによるパターン形成について評価した。評価基準を下記に示す。
<評価基準>
評価○:未露光部が、現像工程により完全に除去され、フォトマスクによるパターンが形成されている。
評価×:未露光部が、現像工程後も一部又は全体に残っており、パターンが完全には形成されていない。
【0113】
(3)残膜率
ポストベーク(230℃、30分加熱)後の膜厚を露光後の露光部の膜厚で割り、露光工程からポストベーク工程を経た後の膜の残存している割合を求めた。
なお、比較例2〜比較例6では、上記現像工程においてパターン形成ができなかったため、残膜率を求めることができなかった。
【0114】
【表1】

【0115】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式(1)で表されるアクリル酸2−(トリシクロ[5.2.1.02,6]−3−エン−9−イルオキシ)アルキル(A)を含有し、硬化後の比誘電率が、1kHzにおいて1.0以上4.0以下であることを特徴とするネガ型感光性の液晶配向制御用突起形成樹脂組成物。
【化1】

(化学式(1)中、Rは炭素数が1〜4のアルキレン基を表す。)
【請求項2】
炭素数が7〜20の脂環式構造と、光又は熱硬化性の反応基を少なくとも1つ有する化合物(B)を更に含有する、請求項1に記載のネガ型感光性の液晶配向制御用突起形成樹脂組成物。
【請求項3】
前記光又は熱硬化性の反応基が、エチレン性不飽和基、又はグリシジル基である、請求項2に記載のネガ型感光性の液晶配向制御用突起形成樹脂組成物。
【請求項4】
前記エチレン性不飽和基が、メタクリル基、又はアクリロイル基である、請求項3に記載のネガ型感光性の液晶配向制御用突起形成樹脂組成物。
【請求項5】
前記脂環式構造が、アダマンタン、又はジアマンタンである、請求項2に記載のネガ型感光性の液晶配向制御用突起形成樹脂組成物。
【請求項6】
前記化合物(B)の含有量が、全固形分に対して、5〜25重量%である、請求項2乃至5のいずれか一項に記載のネガ型感光性の液晶配向制御用突起形成樹脂組成物。
【請求項7】
−Si−O−又はSiの直鎖又は網目構造を有するケイ素系化合物(C)を更に含有する、請求項1に記載のネガ型感光性の液晶配向制御用突起形成樹脂組成物。
【請求項8】
前記ケイ素系化合物(C)が、下記化合物群の中から選ばれる少なくとも1種の化合物である、請求項7に記載のネガ型感光性の液晶配向制御用突起形成樹脂組成物。
【化2】

(化学式(C−1)中、Rはメチル基、又はメトキシ基である。)
【化3】

【化4】

(ASi‐Networkは、Siが架橋結合してなる編目構造を表す。Lは、当該Siが架橋結合してなる編目構造の末端に結合した炭素数が1〜4のアルキル基、又はフェニル基を表す。OHは、当該Siが架橋結合してなる編目構造の末端に結合したヒドロキシ基を表す。)
【請求項9】
前記ケイ素系化合物(C)の含有量が、全固形分に対して、5〜20重量%である、請求項7又は8に記載のネガ型感光性の液晶配向制御用突起形成樹脂組成物。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか一項に記載のネガ型感光性の液晶配向制御用突起形成樹脂組成物を用いて形成された液晶配向制御用突起を有することを特徴とするカラーフィルタ。

【公開番号】特開2009−145436(P2009−145436A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−320340(P2007−320340)
【出願日】平成19年12月12日(2007.12.12)
【出願人】(000183923)ザ・インクテック株式会社 (268)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】