説明

液晶配向剤

【課題】偏光または非偏光の紫外線を照射して良好なプレチルト角を発現させることができるとともに、高度の紫外線耐性を有する液晶配向膜を与える液晶配向剤を提供すること。
【解決手段】上記液晶配向剤は、(I)重合性二重結合を有する基を有するポリオルガノシロキサンおよび(II)桂皮酸構造を有する基を有するポリオルガノシロキサンを含有するか、あるいは(III)重合性二重結合を有する基および桂皮酸構造を有する基を有するポリオルガノシロキサンを含有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶配向剤に関する。さらに詳しくは、偏光または非偏光の紫外線を照射することによって良好なプレチルト角を発現させることができるとともに、高度の紫外線耐性を有する液晶配向膜を与えることのできる液晶配向剤に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示素子としては、TN(Twisted Nematic)型、STN(Super Twisted Nematic)型、IPS(In Plane Switching)型などに代表される、正の誘電異方性を有するネマチック型液晶を用いる水平配向モードの液晶表示素子のほか、負の誘電異方性を有するネマチック型液晶を用いる垂直(ホメオトロピック)配向モードのVA(Vertical Alignment)型液晶表示素子が知られている。
このような液晶表示素子は、液晶分子を一定の方向に配向させる機能を有する液晶配向膜を具備している。この液晶配向膜を構成する材料としては、ポリアミック酸、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリオルガノシロキサンなどが知られており、特にポリアミック酸またはポリイミドからなる液晶配向膜が、耐熱性、機械的強度、液晶分子との親和性に優れることなどから、古くから好ましく使用されている(特許文献1〜3)。
また、特許文献4には、3官能および4官能の加水分解性シラン化合物の混合物をシュウ酸およびアルコールの存在下に反応させて得られたポリオルガノシロキサンを含有する液晶配向剤が開示され、かかる液晶配向剤から形成された液晶配向膜が垂直配向性および耐熱性に優れると説明されている。
さらに、有機膜に液晶配向能を付与する方法として、旧来採用されてきたラビング法に代わって、光配向法の実用化が進んでいる。この技術の提案自体は旧聞に属するものであるが、光配向法用液晶配向膜材料の研究開発は進展を続けており、例えば特許文献5には、シンナメート構造を有するポリイミド薄膜に偏光または非偏光の紫外線を照射し、前記シンナメート構造の光異性化による分子の回転を利用して所望のプレチルト角発現性を付与する技術が提案されている。しかしながら特許文献5の技術によると、所望のプレチルト角発現性を付与するためには相当量の紫外線を照射することを要し、液晶表示素子製造時のタクトタイムが長くなり、あるいは強烈な紫外線のために形成される液晶配向膜の電気特性、特に電圧保持率が損なわれるなどの弊害が生じている。
【0003】
近年、光配向法を適用したときに極めて少ない放射線照射量で良好な液晶配向性能を発現しうる新規な液晶配向膜材料として、分子内に特定の感光性部位を導入したポリアミック酸またはポリイミドからなる材料が報告された(特許文献10〜12)。これらの文献に記載された液晶配向剤は、500〜3,000J/m程度の放射線照射によって良好な液晶配向性を示す液晶配向膜を形成することのできる極めて優れた材料である。
ところで液晶表示素子の進展は近年著しく、高精細な表示が可能であり高速の動画応答性に優れる高品位な表示が可能となり、テレビジョンのほか、車載型表示装置、ゲーム機、携帯型動画再生機などへの適用が広くなされていることは周知のとおりである。また、高輝度の表示が可能となるのに伴い、上記の如き液晶表示素子が昼間の屋外で使用される場面が増加することによって、液晶表示素子およびこれに具備される液晶配向膜は、従来の使用態様では考えられなかったほどの強い紫外線を長時間浴びることとなってきた。このため、従来知られている液晶配向膜材料では、現在の使用態様に適応しうる紫外線耐性を有しておらず、液晶配向膜の耐紫外線性の向上が望まれている。
以上述べてきたとおり、液晶表示素子の使用態様の変化、新たな製造方法の開発に伴い、液晶配向膜材料における紫外線耐性向上の要請が大きくなってきており、早急な対策が切望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平4−153622号公報
【特許文献2】特開昭56−91277号公報
【特許文献3】特開平11−258605号公報
【特許文献4】特開平9−281502号公報
【特許文献5】米国特許出願公開第2009/0325453号明細書
【特許文献6】特開平6−222366号公報
【特許文献7】特開平6−281937号公報
【特許文献8】特開平5−107544号公報
【特許文献9】特開2010−97188号公報
【特許文献10】国際公開第09/025386号パンフレット
【特許文献11】国際公開第2009/25385号パンフレット
【特許文献12】国際公開第2009/25388号パンフレット
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】T.J.Scheffer et.al.,J.Appl.Phys.vol.48,p1783(1977)
【非特許文献2】F.Nakano et.al.,JPN.J.Appl.Phys.vol.19,p2013(1980)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、偏光または非偏光の紫外線を照射して良好なプレチルト角を発現させることができるとともに、高度の紫外線耐性を有する液晶配向膜を与える液晶配向剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、本発明の上記課題は、第1に、
(I)重合性二重結合を有する基を有するポリオルガノシロキサン、および
(II)桂皮酸構造を有する基を有するポリオルガノシロキサン
を含有することを特徴とする、液晶配向剤によって達成される。
本発明の上記課題は、第2に、
(III)重合性二重結合を有する基および桂皮酸構造を有する基を有するポリオルガノシロキサンを含有することを特徴とする、液晶配向剤によって達成される。
【発明の効果】
【0008】
本発明の液晶配向剤は、偏光または非偏光の紫外線を照射することによって良好なプレチルト角発現性を有するとともに高度の紫外線耐性を有する液晶配向膜を与えることができる。
本発明の液晶配向剤から形成された液晶配向膜は高度の紫外線耐性を有するから、かかる液晶配向膜を具備する液晶表示素子は、強い紫外線照射条件下、例えば昼間の屋外において長時間使用しても、その表示品位が劣化することがない。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の液晶配向剤は、上記のとおり、
(I)重合性二重結合を有する基を有するポリオルガノシロキサン(以下、「ポリオルガノシロキサン(I)」という。)と、
(II)桂皮酸構造を有する基を有するポリオルガノシロキサン(以下、「ポリオルガノシロキサン(II)」という。)と、
からなる少なくとも2種類のポリオルガノシロキサンを含有するものであるか、あるいは
(III)重合性二重結合を有する基および桂皮酸構造を有する基を有するポリオルガノシロキサン(以下、「ポリオルガノシロキサン(III)」という。)
からなる少なくとも1種類のポリオルガノシロキサンを含有するものである。
ポリオルガノシロキサン(I)は、重合性二重結合を有する基のほかに、任意的に、液晶分子を配向させる機能を有する基(以下、「液晶配向性基」という。)、光増感性機能を有する基(以下、「光増感性基」という。)などを有していてもよい。ポリオルガノシロキサン(II)は、桂皮酸構造を有する基のほかに、任意的に、保護されたカルボキシ基を有する基(以下、「潜在性酸性基」という。)、エポキシ基などを有していてもよい。ポリオルガノシロキサン(III)は、重合性二重結合を有する基および桂皮酸構造を有する基のほかに、任意的に、エポキシ基などを有していてもよい。
上記桂皮酸構造を有する基は、その一部に液晶分子を配向させる機能を有する部位を含んでいてもよい。
【0010】
本発明の液晶配向剤が、
液晶配向性基を有するポリオルガノシロキサン(I)を含有する場合、または
液晶分子を配向させる機能を有する部位を含む桂皮酸構造を有する基を有するポリオルガノシロキサン(II)もしくはポリオルガノシロキサン(III)を含有する場合には、該液晶配向剤はVA型の液晶表示素子に好適に適用することができる。それ以外の場合には、該液晶配向剤はTN型、STN型またはIPS型の液晶表示素子に好適に適用することができる。
なお、本明細書における「液晶配向性基」とは、炭素数4〜30のアルキル基、炭素数1〜30のフルオロアルキル基、ステロイド骨格を有する炭素数17〜51の炭化水素基、炭素数2〜24のアルコキシ基を有するアルコキシフェニル基、ビシクロヘキサン骨格を有する炭素数12〜30の炭化水素基などを包含する概念である。
【0011】
<ポリオルガノシロキサン>
ポリオルガノシロキサン(I)および(III)における重合性二重結合を有する基としては、例えば下記式(A)
【0012】
【化1】

【0013】
(式(A)中、R15は水素原子またはメチル基であり、
およびXIIは、それぞれ、1,4−フェニレン基、メチレン基または炭素数2〜8のアルキレン基であり、
Zは酸素原子、−COO−または−OCO−(ただし、「*」を付した結合手がXII側である。)であり、
a、b、cおよびdは、それぞれ、0または1であり、
ただし、cが0であってdが1であるとき、XIIは1,4−フェニレン基であり、
bが0であるとき、dは0である。)
で表される基などを挙げることができる。
【0014】
上記式(A)で表される基の具体例としては、例えばビニル基、アリル基、p−スチリル基、(メタ)アクリロキシメチル基、2−((メタ)アクリロキシ)エチル基、3−((メタ)アクリロキシ)プロピル基、4−((メタ)アクリロキシ)ブチル基、5−((メタ)アクリロキシ)ペンチル基、6−((メタ)アクリロキシ)ヘキシル基、7−((メタ)アクリロキシ)ヘプチル基、8−((メタ)アクリロキシ)オクチル基、9−((メタ)アクリロキシ)ノニル基、10−((メタ)アクリロキシ)デシル基、4−(2−((メタ)アクリロキシ)エチル)フェニル基、2−((4−(メタ)アクリロキシ)フェニル)エチル基、4−((メタ)アクリロキシメチル)フェニル基、4−(メタ)アクリロキシフェニルメチル基、4−(3−((メタ)アクリロキシ)プロピル)フェニル基、3−(4−(メタ)アクリロキシフェニル)プロピル基、4−((メタ)アクリロキシメトキシ)フェニル基、4−(2−((メタ)アクリロキシ)エトキシ)フェニル基、4−(3−((メタ)アクリロキシ)プロポキシ)フェニル基、(メタ)アクリロキシメトキシメチル基、2−((メタ)アクリロキシメトキシ)エチル基、2−(2−((メタ)アクリロキシ)エトキシ)エチル基、2−(2−(2−((メタ)アクリロキシ)エトキシ)エトキシ)エチル基、3−(3−((メタ)アクリロキシ)プロポキシ)プロピル基、アクリロキシメチル基などを挙げることができ、これらのうちから選択される1種以上であることができる。これらの中でもビニル基、アリル基、p−スチリル基、(メタ)アクリロキシメチル基、2−((メタ)アクリロキシ)エチル基および3−((メタ)アクリロキシ)プロピル基を好ましい基として挙げることができる。
上記式(A)で表される基は、ポリオルガノシロキサン(I)の有するSi原子に直接結合していてもよく、あるいは2価の連結基を介して結合していてもよい。
【0015】
ポリオルガノシロキサン(I)は、重合性炭素−炭素二重結合を含む基、好ましくは上記式(A)で表される基、より好ましくは上記に例示した具体的な基のうちから選択される1種以上の基を、ポリオルガノシロキサン(I)に含まれるケイ素原子の1モルに対して、好ましくは0.01〜0.60モルの割合、より好ましくは0.02〜0.50モルの割合、さらに好ましくは0.02〜0.30モルの割合で含有する。ポリオルガノシロキサン(III)は、重合性炭素−炭素二重結合を含む基、好ましくは上記式(A)で表される基、より好ましくは上記に例示した具体的な基のうちから選択される1種以上の基を、ポリオルガノシロキサン(I)に含まれるケイ素原子の1モルに対して、好ましくは0.01〜0.60モルの割合、より好ましくは0.02〜0.50モルの割合、さらに好ましくは0.02〜0.30モルの割合で含有する。
ポリオルガノシロキサン(II)またはポリオルガノシロキサン(III)における桂皮酸構造を有する基としては、例えば下記式(B0−1)
【0016】
【化2】

【0017】
(式(B0−1)中、Rは炭素数1〜40のアルキル基または脂環式基を含む炭素数3〜40の1価の有機基であり、ただし前記アルキル基の水素原子の一部または全部はフッ素原子で置換されていてもよく、Rは単結合、酸素原子、−COO−または−OCO−であり、Rは2価の芳香族基、2価の脂環式基、2価の複素環式基または2価の縮合環式基であり、ただし前記2価の芳香族基の水素原子の一部または全部はフッ素原子で置換されていてもよく、Rは単結合、酸素原子、−COO−または−OCO−であり、Rは単結合、メチレン基、炭素数2〜10のアルキレン基または2価の芳香族基であり、Rはフッ素原子、メチル基またはシアノ基であり、fは0〜3の整数であり、gは0〜4の整数である。)
で表される基、下記式(B0−2)
【0018】
【化3】

【0019】
(式(B0−2)中、Rは炭素数1〜40のアルキル基または脂環式基もしくは芳香族基を含む炭素数3〜40の1価の有機基であり、ただし前記アルキル基の水素原子の一部または全部はフッ素原子で置換されていてもよく、Rは単結合、酸素原子、−COO−または−OCO−であり、R10はメチレン基、炭素数2〜10のアルキレン基、2価の芳香族基、2価の脂環式基、2価の複素環式基または2価の縮合環式基であり、ただし前記2価の芳香族基の水素原子の一部または全部はフッ素原子で置換されていてもよく、R11は単結合、−OCO−(CH−、−COO−(CH−または−O−(CH−であり、ただしe、kおよびiはそれぞれ1〜10の整数であり、R13はフッ素原子、メチル基またはシアノ基であり、hは0〜3の整数であり、jは0〜4の整数である。)
で表される基などを挙げることができる。
【0020】
上記式(B0−1)におけるRおよび(B0−2)におけるRの脂環式基を含む炭素数3〜40の1価の有機基としては、例えばコレステニル基、コレスタニル基、アダマンチル基などを挙げることができる。RおよびRの炭素数1〜40のアルキル基としては、例えば炭素数1〜20のアルキル基、ただしこのアルキル基の水素原子の一部または全部はフッ素原子により置換されているフッ化アルキル基であってもよい、であることが好ましい。このような(フッ化)アルキル基としては炭素数5〜20の直鎖のものが好ましく、例えばn−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ラウリル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−エイコシル基、4,4,4−トリフロロブチル基、4,4,5,5,5−ペンタフルオロペンチル基、4,4,5,5,6,6,6−ヘプタフルオロヘキシル基、3,3,4,4,5,5,5−ヘプタフルオロペンチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル基、2−(パーフルオロブチル)エチル基、2−(パーフルオロオクチル)エチル基、2−(パーフルオロデシル)エチルなどを挙げることができ、これらのうちの1種以上であることができる。
【0021】
上記式(B0−1)におけるRおよび(B0−2)におけるR10の、2価の芳香族基としては、例えば1,4−フェニレン基、2−フルオロ−1,4−フェニレン基、3−フルオロ−1,4−フェニレン基、2,3,5,6−テトラフルオロ−1,4−フェニレン基などを;
およびR10の脂環式基としては、例えば1,4−シクロへキシレン基などを;
およびR10の2価の複素環式基としては、例えば1,4−ピリジレン基、2,5−ピリジレン基、1,4−フラニレン基などを;
およびR10の2価の縮合環式基としては、例えばナフチレン基などを、それぞれ挙げることができる。
上記式(B0−1)で表される基としては、例えば下記式(B0−1−1)〜(B0−1−3)のそれぞれで表される記などを;
上記式(B0−2)で表される基としては、例えば下記式(B0−2−1)〜(B0−2−3)のそれぞれで表される基などを、それぞれ挙げることができるほか、特願2010−111836号に記載されたカルボン酸から、カルボキシ基の水素原子を除去して得られる基を挙げることができる。
【0022】
【化4】

【0023】
【化5】

【0024】
(上記式(B0−1−1)〜(B0−1−3)におけるRは上記式(B0−1)におけるのと同じ意味であり;
上記式(B0−2−1)〜(B0−2−3)におけるRは上記式(B0−2)におけるのと同じ意味であり、uは1〜10の整数である。)
上記式(B0−1)または(B0−2)で表される基は、ポリオルガノシロキサン(II)またはポリオルガノシロキサン(III)の有するSi原子に直接結合していてもよく、あるいは2価の連結基を介して結合していてもよい。
ポリオルガノシロキサン(II)は、桂皮酸構造を有する基、好ましくは上記式(B0−1)および(B0−2)のそれぞれで表される基から選択される1種以上、より好ましくは上記に例示した具体的な基のうちから選択される1種以上の基を、ポリオルガノシロキサン(II)に含まれるケイ素原子の1モルに対して、好ましくは0.01〜0.60モルの割合、より好ましくは0.02〜0.50モルの割合、さらに好ましくは0.02〜0.30モルの割合で含有する。ポリオルガノシロキサン(III)は、桂皮酸構造を有する基、好ましくは上記式(B0−1)および(B0−2)のそれぞれで表される基から選択される少なくとも1種、より好ましくは上記に例示した具体的な基のうちから選択される少なくとも1種の基を、ポリオルガノシロキサン(III)に含まれるケイ素原子の1モルに対して、好ましくは0.01〜0.60モルの割合、より好ましくは0.02〜0.50モルの割合、さらに好ましくは0.02〜0.30モルの割合で含有する。
【0025】
ポリオルガノシロキサン(I)が任意的に有することのできる液晶配向性基としては、例えば炭素数4〜30のアルキル基、炭素数1〜30のフルオロアルキル基、ステロイド骨格を有する炭素数17〜51の炭化水素基、炭素数2〜24のアルコキシ基を有するアルコキシフェニル基、ビシクロヘキサン骨格を有する炭素数12〜30の炭化水素基などを挙げることができる。
上記炭素数4〜30のアルキル基としては、直鎖のものが好ましく、例えばn−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ドデシル基、n−オクタデシル基などを挙げることができる。上記炭素数1〜30のフルオロアルキル基としては、例えば3,3,3−トリフルオロプロピル基、3,3,4,4,5,5,5−ヘプタフルオロペンチル基、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル基、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシル基などを;
上記ステロイド骨格を有する炭素数17〜51の炭化水素基としては、例えば3−コレスタニル基、3−コレステニル基、3−ラノスタニル基、3−コラニル基、3−プレグナル基、3−アンドロスタニル基、3−エストラニル基などを、それぞれ挙げることができる。上記炭素数2〜24のアルコキシ基を有するアルコキシフェニル基としては、炭素数2〜18の直鎖のアルコキシ基を有する4−アルコキシフェニル基であることが好ましく、例えば4−n−ペントキシフェニル基、4−n−ヘキシロキシフェニル基、4−n−オクチロキシフェニル基、4−n−ドデシロキシフェニル基などを挙げることができる。上記ビシクロヘキサン骨格を有する炭素数12〜30の炭化水素基としては、例えば4−n−ペンチルビシクロヘキシル基、4−n−ヘプチルビシクロヘキシル基、4−n−プロピルビシクロヘキシル基などを挙げることができる。
【0026】
上記に例示したような液晶配向性基は、ポリオルガノシロキサン(I)の有するSi原子に直接結合していてもよく、あるいは2価の連結基を介して結合していてもよい。
ポリオルガノシロキサン(I)における液晶配向性基の存在割合は、ポリオルガノシロキサン(I)に含まれるケイ素原子の1モルに対して、0.7モル以下の割合であることが好ましく、0.5モル以下の割合であることがより好ましく、特に0.1〜0.5モルの割合であることが好ましい。
【0027】
ポリオルガノシロキサン(I)が任意的に有することのできる光増感性基としては、例えばアセトフェノン構造、ベンゾフェノン構造、アントラキノン構造、ビフェニル構造、カルバゾール構造、ニトロアリール構造、フルオレン構造、ナフタレン構造、アントラセン構造、アクリジン構造およびインドール構造から選択される構造のうちの1種以上を有する基などなどを挙げることができる。上記の構造は、それぞれ、アセトフェノン、ベンゾフェノン、アントラキノン、ビフェニル、カルバゾール、ニトロベンゼンもしくはジニトロベンゼン、ナフタレン、フルオレン、アントラセン、アクリジンまたはインドールから、1〜4個の水素原子を除去して得られる基からなる構造である。アセトフェノン構造、カルバゾール構造およびインドール構造は、それぞれ、アセトフェノン、カルバゾールまたはインドールのベンゼン環が有する水素原子のうちの1〜4個を除去して得られる基からなる構造であることが好ましい。
光増感性基としては、これらのうち、アセトフェノン構造、ベンゾフェノン構造、アントラキノン構造、ビフェニル構造、カルバゾール構造、ニトロアリール構造およびナフタレン構造よりなる群から選択される少なくとも1種の構造を有する基であることが好ましく、アセトフェノン構造、ベンゾフェノン構造およびニトロアリール構造よりなる群から選択される少なくとも1種の構造を有する基であることが特に好ましい。
光増感性基として、例えば下記式(D0−3−1)〜(D0−3−10)
【0028】
【化11】

【0029】
のそれぞれで表される基などを挙げることができる。
上記に例示したような光増感性基は、ポリオルガノシロキサン(I)の有するSi原子に直接結合していてもよく、あるいは2価の連結基を介して結合していてもよい。
ポリオルガノシロキサン(I)における光増感性基の存在割合は、ポリオルガノシロキサン(I)に含まれるケイ素原子の1モルに対して、0.3モル以下の割合であることが好ましく、0.2モル以下の割合であることがより好ましく、特に0.1モル以下の割合であることが好ましい。ポリオルガノシロキサン(I)における光増感性基を有さないことが好ましい。
【0030】
ポリオルガノシロキサン(II)が任意的に有することのできる潜在性酸性基としては、例えば特願2011−202073に記載されたものを挙げることができる。本発明における潜在性酸性基としては、1−エトキシエトキシカルボニル基、1−n−プロポキシエトキシカルボニル基、1−シクロヘキシルオキシエトキシカルボニル基、2−テトラヒドロピラニルオキシカルボニル基、2−テトラヒドロピラニルオキシカルボニル基、1−メチル−1−メトキシエトキシカルボニル基、1−メチル−1−シクロヘキシルオキシエトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基およびt−アミロキシカルボニル基よりなる群から選択される1種以上であることが好ましい。
上記に例示したような潜在性酸性基は、ポリオルガノシロキサン(I)の有するSi原子に直接結合していてもよく、あるいは2価の連結基を介して結合していてもよい。
ポリオルガノシロキサン(II)における潜在性酸性基の存在割合は、ポリオルガノシロキサン(II)に含まれるケイ素原子の1モルに対して、0.3モル以下の割合であることが好ましく、0.2モル以下の割合であることがより好ましく、特に0.1モル以下の割合であることが好ましい。ポリオルガノシロキサン(I)における光増感性基を有さないことが好ましい。
【0031】
ポリオルガノシロキサン(II)および(III)が任意的に有することのできるエポキシ基としては、オキシラニル基(1,2−エポキシ基)、3,4−エポキシシクロヘキシル基などを挙げることができ、これらのうちから選択される1種以上であることができる。
これらのエポキシ基は、ポリオルガノシロキサン(II)またはポリオルガノシロキサン(III)の有するSi原子に直接結合していてもよく、あるいは2価の連結基を介して結合していてもよい。
ポリオルガノシロキサン(II)におけるエポキシ基の存在割合は、ポリオルガノシロキサン(II)に含まれるケイ素原子の1モルに対して、0.7モル以下の割合であることが好ましく、0.05〜0.5モルの割合であることがより好ましく、特に0.1〜0.3モルの割合であることが好ましい。ポリオルガノシロキサン(III)におけるエポキシ基の存在割合は、ポリオルガノシロキサン(III)に含まれるケイ素原子の1モルに対して、0.7モル以下の割合であることが好ましく、0.05〜0.5モルの割合であることがより好ましく、特に0.1〜0.3モルの割合であることが好ましい。
【0032】
ポリオルガノシロキサン(I)、(II)および(III)につき、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって測定したポリスチレン換算の重量平均分子量は、それぞれ、500〜1,000,000であることが好ましく、1,000〜100,000であることがより好ましく、さらに1,000〜50,000であることが好ましい。
このようなポリオルガノシロキサン(I)、(II)および(III)は、それぞれ、上記のような特徴を有するものである限り、いかなる方法によって製造されたものであってもよいが、例えば以下のような方法によって得ることができる。
【0033】
上記のようなポリオルガノシロキサン(I)は、例えば重合性二重結合を有する加水分解性シラン化合物(以下、「シラン化合物(a1)」という。)またはシラン化合物(a1)と他の加水分解性シラン化合物との混合物を重縮合する工程を経る方法によって得ることができる。ポリオルガノシロキサン(I)を合成するに際して以下のような操作を行うことにより、重合性二重結合を有する基のほかに液晶配向性基および光増感性基から選択される1種以上の基を有するポリオルガノシロキサン(I)を得ることができる。すなわち;
シラン化合物を重縮合するにあたって他の加水分解性シラン化合物を併用し、且つ該他の加水分解性シラン化合物の少なくとも一部にエポキシ基を有する加水分解性シラン化合物(以下、「シラン化合物(a2)」という。)を使用して先ず重合性二重結合を有する基とエポキシ基とを有するポリオルガノシロキサン(以下、「前駆体(I)」という、)を合成し、次いで該前駆体(I)の有するエポキシ基に、液晶配向性基を有するカルボン酸(以下、「カルボン酸(2)」という。)、および光増感性基を有するカルボン酸(以下、「カルボン酸(3)」という。)から選択される1種以上の化合物を反応させることにより、重合性二重結合を有する基のほかに液晶配向性基および光増感性基から選択される1種以上の基を有するポリオルガノシロキサン(I)を得ることができる。また、シラン化合物を重縮合するにあたって他の加水分解性シラン化合物を併用し、且つ該他の加水分解性シラン化合物の少なくとも一部に液晶配向性基を有する加水分解性シラン化合物(以下、「シラン化合物(a3)」という。)を使用することにより、重合性二重結合を有する基のほかに液晶配向性基を有するポリオルガノシロキサン(I)を得ることができる。
【0034】
上記のようなポリオルガノシロキサン(II)は、例えばシラン化合物(a2)またはシラン化合物(a2)と他の加水分解性シラン化合物との混合物を重縮合して先ずエポキシ基を有するポリオルガノシロキサン(以下、「前駆体(II)」という、)を合成し、次いで該前駆体(II)の有するエポキシ基に桂皮酸構造を有するカルボン酸(以下、「カルボン酸(1)」という。)を反応させることにより、合成することができる。ここで、上記カルボン酸(1)とともに潜在性酸性基を有するカルボン酸(以下、「カルボン酸(4)」という。)を併用することにより、桂皮酸構造のほかに潜在性酸性基を有するポリオルガノシロキサン(II)とすることができ;
カルボン酸(1)および任意的に使用されるカルボン酸(4)の合計の使用割合を、前駆体(II)のエポキシ基量よりも少ない量とすることにより、さらにエポキシ基を有するポリオルガノシロキサン(II)とすることができる。
【0035】
上記のようなポリオルガノシロキサン(III)は、例えばシラン化合物(a1)および(a2)、またはこれらと他の加水分解シラン化合物との混合物を重縮合して先ず重合性二重結合を有する基とエポキシ基とを有するポリオルガノシロキサン(以下、「前駆体(III)」という、)を合成し、次いで該前駆体(III)の有するエポキシ基にカルボン酸(1)を反応させることにより、合成することができる。ここで、上記カルボン酸(1)とともにカルボン酸(2)を併用することにより、重合性二重結合を有する基および桂皮酸構造のほかに液晶配向性基を有するポリオルガノシロキサン(II)とすることができ;
カルボン酸(1)および任意的に使用されるカルボン酸(2)の合計の使用割合を、上記前駆体(III)のエポキシ基量よりも少ない量とすることにより、さらにエポキシ基を有するポリオルガノシロキサン(III)とすることができる。
上記加水分解性シラン化合物またはその混合物の重縮合は、例えば特願2011−95224号に記載された方法によって行うことができる。かくして得られる前駆体(I)および(III)は、それぞれ、下記式(S−1)
【0036】
【化20】

【0037】
(式(S−1)中、Xはエポキシ基を有する基であり、Yは水酸基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数1〜20のアルキル基または炭素数6〜20のアリール基である。)
で表される繰り返し単位および下記式(S−2)
【0038】
【化21】

【0039】
(式(S−2)中、Aは上記式(A)で表される基であり、Yは上記式(S−1)におけるYと同じ意味である。)
で表される繰り返し単位を有するポリオルガノシロキサン、その加水分解物および加水分解物の縮合物よりなる群から選択される少なくとも1種であり、おそらくはこれらの混合物である。前駆体(II)は、上記式(S−1)で表される繰り返し単位を有するポリオルガノシロキサン、その加水分解物および加水分解物の縮合物よりなる群から選択される少なくとも1種であり、おそらくはこれらの混合物である。
このような前駆体(I)の有するエポキシ基に、カルボン酸(2)および任意的にカルボン酸(3)を反応させることにより、重合性二重結合を有する基および液晶配向性基ならびに任意的に光増感性基を有するポリオルガノシロキサン(I)を得ることができる。前駆体(II)の有するエポキシ基に、カルボン酸(1)および任意的にカルボン酸(3)を反応させることにより、桂皮酸構造を有する基および任意的に光増感性基を有するポリオルガノシロキサン(II)を得ることができる。前駆体(III)の有するエポキシ基に、カルボン酸(1)および任意的にカルボン酸(4)を反応させることにより、重合性二重結合を有する基および桂皮酸構造を有する基ならびに任意的に潜在性酸性基を有するポリオルガノシロキサン(II)を得ることができる。
【0040】
上記カルボン酸(1)は桂皮酸構造を有するカルボン酸である。
カルボン酸(1)における桂皮酸構造を有する基としては、上記式(B0−1)および(B0−2)のそれぞれで表される基が好ましい。従って本発明におけるカルボン酸(1)としては、上記式(B0−1)および(B0−2)のそれぞれの結合手にカルボキシ基が結合してなる化合物であることが好ましく、具体的には例えば特願2010−111836号に記載された化合物を使用することがより好ましい。
上記カルボン酸(2)は液晶配向性基を有するカルボン酸である。カルボン酸(2)の有する液晶配向性基については、ポリオルガノシロキサン(I)が任意的に有することのできる液晶配向性基について上記に説明したところと同様である。
本発明において用いられるカルボン酸(2)としては、例えばブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、4−プロピル安息香酸、4−ブチル安息香酸、4−ペンチル安息香酸、4−ヘキシル安息香酸、4−ヘプチル安息香酸、4−オクチル安息香酸、4−ノニル安息香酸、4−デシル安息香酸、4−ドデシル安息香酸、4−オクタデシル安息香酸、4−メトキシ安息香酸、4−エトキシ安息香酸、4−プロポキシ安息香酸、4−ブトキシ安息香酸、4−ペンチルオキシ安息香酸、4−ヘキシルオキシ安息香酸、4−ヘプチルオキシ安息香酸、4−オクチルオキシ安息香酸、4−ノニルオキシ安息香酸、4−デシルオキシ安息香酸、4−ドデシルオキシ安息香酸、4−オクタデシルオキシ安息香酸、4−(4’−n−ペンチルシクロヘキシル)安息香酸、下記式(1)〜(3)
【0041】
【化30】

【0042】
のそれぞれで表される化合物などを挙げることができ、これらのうちから選択される1種以上を用いることができる。
上記カルボン酸(3)は光増感性基を有するカルボン酸である。
この光増感性基は、放射線の照射により励起し、この励起エネルギーを重合体内で近接する感光性構造に与える機能を有する。この励起状態は、一重項であってもよく、三重項であってもよいが、寿命が長く効率的にエネルギー移動がなされることから、三重項であることが好ましい。上記光増感性構造が吸収する放射線は、波長150〜600nmの範囲の紫外線または可視光線であることが好ましい。波長がこれより短い放射線は、通常の光学系で取り扱うことができないため、光配向法に好適に用いることができない。一方、これより波長の長い放射線は、エネルギーが小さく、上記光増感性基の励起状態を誘起し難い。
【0043】
このような光増感性基における光増感性構造としては、例えばアセトフェノン構造、ベンゾフェノン構造、アントラキノン構造、ビフェニル構造、カルバゾール構造、ニトロアリール構造、フルオレン構造、ナフタレン構造、アントラセン構造、アクリジン構造、インドール構造などを挙げることができ、従って上記光増感性基は、これらのうちの少なくとも1種の構造を有する基であることができる。上記の構造とは、それぞれ、アセトフェノン、ベンゾフェノン、アントラキノン、ビフェニル、カルバゾール、ニトロベンゼンもしくはジニトロベンゼン、ナフタレン、フルオレン、アントラセン、アクリジンまたはインドールから、1〜4個の水素原子を除去して得られる基からなる構造をいう。ここで、アセトフェノン構造、カルバゾール構造およびインドール構造は、それぞれ、アセトフェノン、カルバゾールまたはインドールのベンゼン環が有する水素原子のうちの1〜4個を除去して得られる基からなる構造であることが好ましい。
光増感性構造としては、これらのうち、アセトフェノン構造、ベンゾフェノン構造、アントラキノン構造、ビフェニル構造、カルバゾール構造、ニトロアリール構造およびナフタレン構造よりなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましく、アセトフェノン構造、ベンゾフェノン構造およびニトロアリール構造よりなる群から選択される少なくとも1種であることが特に好ましい。
本発明におけるカルボン酸(3)としては、カルボキシル基および光増感性構造を有する化合物であることが好ましく、さらに好ましい化合物として、例えば下記式(C−1)〜(C−10)
【0044】
【化31】

【0045】
のそれぞれで表される化合物などを挙げることができる。
カルボン酸(4)は潜在性酸性基を有するカルボン酸である。
カルボン酸(4)としては、下記式(D)
R―COOH (D)
(式(D)中、Bは下記式(B−1)および(B−2)
【0046】
【化15】

【0047】
(式(B−1)中、R16およびR17は、それぞれ、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜10の脂環式基、炭素数6〜10のアリール基または炭素数7〜10のアラルキル基であり、式(B−2)中、n1は2〜10の整数である。)のそれぞれで表される基、カルボン酸のケタールエステル構造を有する基、カルボン酸の1−アルキルシクロアルキルエステル構造を有する基または第3級アルコキシカルボニル基であり、
nは1〜10の整数であり、
Rは炭素数3〜10の複素環化合物から(n+1)個の水素を除去して得られる基または炭素数1〜18の(n+1)価の炭化水素基である。)
で表される化合物などを挙げることができる。
【0048】
前駆体(I)とカルボン酸とを反応させてポリオルガノシロキサン(I)を合成する場合、カルボン酸の使用割合は、前駆体(I)の有するエポキシ基1モルに対して、それぞれ以下のとおりとすることが好ましい。
カルボン酸(2):好ましくは0.01〜0.4モル、より好ましくは0.03〜0.3モル、さらに好ましくは0.05〜0.2モル。
カルボン酸(3):好ましくは0.3モル以下、より好ましくは0.1モル以下、これを含有しないことがさらに好ましい。
前駆体(II)とカルボン酸とを反応させてポリオルガノシロキサン(II)を合成する場合、カルボン酸の使用割合は、前駆体(II)の有するエポキシ基1モルに対して、それぞれ以下のとおりとすることが好ましい。
桂皮酸構造を有するカルボン酸(1):好ましくは0.01〜0.6モル、より好ましくは0.03〜0.5モル、さらに好ましくは0.05〜0.4モル。
潜在性酸性基を有するカルボン酸(4):好ましくは0.4モル以下、より好ましくは0.01〜0.4モル、さらに好ましくは0.03〜0.3モル、特に好ましくは0.05〜0.2モル。
【0049】
前駆体(III)とカルボン酸とを反応させてポリオルガノシロキサン(III)を合成する場合、カルボン酸の使用割合は、前駆体(III)の有するエポキシ基1モルに対して、それぞれ以下のとおりとすることが好ましい。
カルボン酸(1):好ましくは0.03〜0.9モル、より好ましくは0.06〜0.7モル、さらに好ましくは0.3〜0.5モル。
カルボン酸(2):好ましくは0.5モル以下、より好ましくは0.01〜0.3モル、さらに好ましくは0.05〜0.2モル。
上記すべての場合において、カルボン酸の合計の使用割合は、各前駆体の有するエポキシ基の1モルに対して、0.1〜0.9モルとすることが好ましく、0.2〜0.7モルとすることがより好ましく、0.3〜0.5モルとすることがさらに好ましい。
【0050】
前駆体とカルボン酸との反応は、好ましくは適当な触媒および適当な有機溶媒の存在下で行われる。
前駆体とカルボン酸との反応において使用される触媒としては、例えば有機塩基を好適に使用することができるほか、エポキシ化合物と酸無水物との反応を促進するいわゆる硬化促進剤を本反応における触媒として使用することができる。上記有機塩基としては例えば1級または2級の有機アミン、3級有機アミン、4級有機アミン塩などを;
上記硬化促進剤としては例えば3級アミン(ただし有機塩基としての3級有機アミンは除く)、イミダゾール誘導体、有機リン化合物、4級ホスフォニウム塩、ジアザビシクロアルケン、有機金属化合物、ハロゲン化4級アンモニウム、金属ハロゲン化合物、潜在性硬化促進剤などを、それぞれ挙げることができる。上記潜在性硬化促進剤としては、例えば高融点分散型潜在性硬化促進剤(例えばアミン付加型促進剤など)、マイクロカプセル型潜在性硬化促進剤、アミン塩型潜在性硬化剤促進剤、高温解離型の熱カチオン重合型潜在性硬化促進剤などを挙げることができる。
これらのうち、4級有機アミン塩またはハロゲン化4級アンモニウムを使用することが好ましい。
【0051】
触媒の使用割合は、前駆体100重量部に対して、好ましくは0.01〜100重量部であり、より好ましくは0.1〜20重量部である。
前駆体とカルボン酸との反応において使用される有機溶媒としては、例えばケトン、エーテル、エステル、アミド、アルコールなどを挙げることができる。
有機溶媒の使用割合は、反応溶液中の有機溶媒以外の成分の合計重量が反応溶液の全量に占める割合として、0.1〜50重量%となる割合とすることが好ましく、5〜50重量%となる割合とすることがより好ましい。
前駆体とカルボン酸との反応は、好ましくは0〜200℃、より好ましくは50〜150℃の温度において、好ましくは0.1〜50時間、より好ましくは0.5〜20時間行われる。
【0052】
本発明の液晶配向剤は、好ましくは上記の方法によって製造された
ポリオルガノシロキサン(I)およびポリオルガノシロキサン(II)を含有するか、あるいは
ポリオルガノシロキサン(III)を含有する。
本発明の液晶配向剤がポリオルガノシロキサン(I)およびポリオルガノシロキサン(II)を含有する場合におけるポリオルガノシロキサン(II)の含有割合は、ポリオルガノシロキサン(I)100重量部に対して、1〜20重量部とすることが好ましく、3〜15重量部とすることがより好ましく、5〜10重量部とすることが特に好ましい。
本発明の液晶配向剤がポリオルガノシロキサン(I)およびポリオルガノシロキサン(II)を含有する場合、該液晶配向剤はポリオルガノシロキサン(III)をさらに含有していてもよいが、これを含有しないことが好ましい。
本発明の液晶配向剤がポリオルガノシロキサン(III)を含有する場合、該液晶配向剤はポリオルガノシロキサン(I)もしくはポリオルガノシロキサン(II)またはこれらの双方を含有していてもよいが、これらの双方ともを含有しないことが好ましい。
【0053】
<その他の成分>
本発明の液晶配向剤は、好ましくは上記の方法によって製造された
ポリオルガノシロキサン(I)およびポリオルガノシロキサン(II)か、あるいはポリオルガノシロキサン(III)を、必須の成分として含有するが、本発明の効果を減殺しない限り、必要に応じてその他の成分を含有していてもよい。
このようなその他の成分としては、例えばポリオルガノシロキサン(I)〜(III)以外の重合体(以下、「その他の重合体」という。)、重合性不飽和化合物、光重合開始剤、ラジカル捕捉剤、分子内に少なくとも一つのエポキシ基を有する化合物(ポリオルガノシロキサンがエポキシ基を有している場合を除く。)、官能性シラン化合物、界面活性剤などを挙げることができ、これらのうちから選択される1種以上を使用することができる。
【0054】
[その他の重合体]
上記その他の重合体は、得られる液晶配向剤の溶液特性ならびに形成される液晶配向膜の電気特性および液晶配向性のさらなる向上のために使用することができる。かかるその他の重合体は、上記ポリオルガノシロキサン(I)〜(III)以外の重合体であり、例えばポリオルガノシロキサン(I)〜(III)以外のポリオルガノシロキサン(以下、「他のポリオルガノシロキサン」という。)、ポリアミック酸、ポリイミド、ポリアミック酸エステル、ポリエステル、ポリアミド、ポリシロキサン、セルロース誘導体、ポリアセタール、ポリスチレン誘導体、ポリ(スチレン−フェニルマレイミド)誘導体、ポリ(メタ)アクリレートなどを挙げることができ、これらのうちから選択される1種以上を使用することができる。
本発明において他の重合体を使用する場合、ポリアミック酸およびポリイミドよりなる群から選択される1種以上を使用することが好ましい。
上記ポリアミック酸は、例えば特許文献9(特開2010−97188号公報)に記載のテトラカルボン酸二無水物およびジアミンを使用して、これらを公知の方法により反応させることにより、製造することができる。
ポリイミドは、上記ポリアミック酸を公知の方法により脱水閉環してイミド化することにより製造することができる。
本発明の液晶配向剤がポリアミック酸およびポリイミドよりなる群から選択される1種以上の重合体を含有するものである場合、その含有割合は、ポリオルガノシロキサン(I)〜(III)の合計100重量部に対するポリアミック酸およびポリイミドの合計量として、60重量部以下とすることが好ましく、30重量部以下とすることがより好ましい。
【0055】
<液晶配向剤>
本発明の液晶配向剤は、上記のようなポリオルガノシロキサン(I)および(II)か、あるいはポリオルガノシロキサン(III)と、さらに任意的に使用されるその他の成分とが、好ましくは有機溶媒中に溶解含有されてなる液状の組成物として構成される。
【0056】
本発明の液晶配向剤に使用できる有機溶媒としては、例えばN−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、γ−ブチロラクタム、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、エチレングリコールモノメチルエーテル、乳酸ブチル、酢酸ブチル、メチルメトキシプロピオネ−ト、エチルエトキシプロピオネ−ト、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジイソブチルケトン、イソアミルプロピオネート、イソアミルイソブチレート、ジイソペンチルエーテル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ジアセトンアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、モノエチレングリコール、ジエチレングリコール、モノプロピレングリコール、モノヘキシレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、酢酸メチル、酢酸エチル、乳酸エチル、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、ヘキサメチルホスホトリアミド、m−クレゾールなどを挙げることができ、これらのうちから選択される1種以上を使用することが好ましい。
【0057】
本発明の液晶配向剤における固形分濃度(液晶配向剤の溶媒以外の成分の合計重量が液晶配向剤の全重量に占める割合)は、粘性、揮発性などを考慮して適宜に選択されるが、好ましくは1〜10重量%の範囲である。すなわち、本発明の液晶配向剤は、後述するように基板表面に塗布され、好ましくは加熱されることにより液晶配向膜となる塗膜が形成されるが、固形分濃度が1重量%未満である場合には、この塗膜の膜厚が過小となって良好な液晶配向膜を得ることができず、一方固形分濃度が10重量%を超える場合には、塗膜の膜厚が過大となって良好な液晶配向膜を得ることができないものとなる。
特に好ましい固形分濃度の範囲は、基板に液晶配向剤を塗布する際に用いる方法によって異なる。例えばスピンナー法による場合には固形分濃度1.5〜7.5重量%の範囲が特に好ましい。印刷法による場合には、固形分濃度を6〜15重量%の範囲とし、それにより溶液粘度を8〜50mPa・sの範囲とすることが特に好ましい。インクジェット法による場合には、固形分濃度を3〜10重量%の範囲とし、それにより、溶液粘度を3〜15mPa・sの範囲とすることが特に好ましい。
本発明の液晶配向剤を調製する際の温度は、好ましくは10℃〜50℃であり、より好ましくは20℃〜30℃である。
【0058】
<液晶配向膜の形成方法>
本発明の液晶配向剤は、光配向法により液晶配向膜を形成するために好適に使用することができる。
液晶配向膜を形成する方法としては、例えば基板上に本発明の液晶配向膜を塗布して塗膜を形成し、次いで該塗膜に偏光または非偏光の放射線を照射してより液晶配向能を付与する方法を挙げることができる。
まず、パターン状の透明導電膜が設けられた基板の透明導電膜側に、本発明の液晶配向剤を、例えばロールコーター法、スピンナー法、印刷法、インクジェット法などの適宜の塗布方法により塗布する。そして、該塗布面を、予備加熱(プレベーク)し、次いで焼成(ポストベーク)することにより塗膜を形成する。プレベーク条件は、例えば40〜120℃において0.1〜5分であり、ポストベーク条件は、好ましくは120〜300℃、より好ましくは150〜250℃において、好ましくは5〜200分、より好ましくは10〜100分である。ポストベーク後の塗膜の膜厚は、好ましくは0.001〜1μmであり、より好ましくは0.005〜0.5μmである。
前記基板としては、例えばフロートガラス、ソーダガラスの如きガラス、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、環状オレフィン樹脂の如きプラスチックからなる透明基板などを用いることができる。
前記透明導電膜としては、SnOからなるNESA(登録商標)膜、In−SnOからなるITO膜などを用いることができる。これらの透明導電膜のパターニングには、公知の方法が用いられる。
液晶配向剤の塗布に際しては、基板または透明導電膜と塗膜との接着性をさらに良好にするために、基板および透明導電膜上に、予め官能性シラン化合物、チタネート化合物などを塗布しておいてもよい。
【0059】
次いで、前記塗膜に直線偏光もしくは部分偏光された放射線または非偏光の放射線を照射することにより、液晶配向能を付与する。ここで、放射線としては、例えば150nm〜800nmの波長の光を含む紫外線および可視光線を用いることができるが、300nm〜400nmの波長の光を含む紫外線が好ましい。用いる放射線が直線偏光または部分偏光している場合には、照射は基板面に垂直の方向から行っても、プレチルト角を付与するために斜め方向から行ってもよく、また、これらを組み合わせて行ってもよい。非偏光の放射線を照射する場合には、照射の方向は斜め方向である必要がある。
放射線の照射量としては、好ましくは1J/m以上10,000J/m未満であり、より好ましくは10〜3,000J/mである。なお、従来知られている液晶配向剤から形成された塗膜に光配向法により液晶配向能を付与する場合、10,000J/m以上の放射線照射量が必要であった。しかし本発明の液晶配向剤を用いると、光配向法の際の放射線照射量が3,000J/m以下、さらに1,000J/m以下であっても良好な液晶配向能を付与することができ、液晶表示素子の製造コストの削減に資する。
【0060】
<液晶表示素子の製造方法>
本発明の液晶表示素子は、本発明の液晶配向剤から形成された液晶配向膜を具備するものである。本発明の液晶配向剤から形成された液晶配向膜は、特に垂直配向型の液晶表示素子に適用したときにその有利な効果を最大限に発揮することができ、好ましい。
本発明の液晶表示素子は、例えば以下のようにして製造することができる。
上記のようにして液晶配向膜が形成された基板を2枚準備し、この2枚の基板間に液晶を配置することにより、液晶セルを製造する。液晶セルを製造するには、例えば以下の2つの方法が挙げられる。
第一の方法は、先ずそれぞれの液晶配向膜が対向するように間隙(セルギャップ)を介して2枚の基板を対向配置し、2枚の基板の周辺部をシール剤を用いて貼り合わせ、基板表面およびシール剤により区画されたセルギャップ内に液晶を注入充填した後、注入孔を封止する方法であり、これにより、液晶セルを製造することができる。
第二の方法は、ODF(One Drop Fill)方式と呼ばれる手法である。液晶配向膜を形成した2枚の基板のうちの一方の基板上の所定の場所に例えば紫外光硬化性のシール材を塗布し、さらに液晶配向膜面上に液晶を滴下した後、液晶配向膜が対向するように他方の基板を貼り合わせ、次いで基板の全面に紫外光を照射してシール剤を硬化することにより、液晶セルを製造することができる。
いずれの方法による場合でも、次いで、用いた液晶が等方相をとる温度まで液晶セルを加熱した後、室温まで徐冷することにより、液晶充填時の流動配向を除去することが望ましい。
【0061】
そして、液晶セルの外側表面に偏光板を貼り合わせることにより、本発明の液晶表示素子を得ることができる。ここで液晶配向膜が垂直配向性である場合には、液晶配向膜が形成された2枚の基板における配向容易軸の方向が平行となるようにセルを構成し、これに、偏光板をその偏光方向が配向容易軸と45°の角度をなすように貼り合わせることにより、垂直配向型液晶セルを有する液晶表示素子とすることができる。
前記シール剤としては、例えばスペーサーとしての酸化アルミニウム球および硬化剤を含有するエポキシ樹脂等を用いることができる。
前記液晶としては、例えばネマティック型液晶、スメクティック型液晶等を好ましく用いることができる。
垂直配向型液晶セルの場合には、負の誘電異方性を有するネマティック型液晶が好ましく、例えばジシアノベンゼン系液晶、ピリダジン系液晶、シッフベース系液晶、アゾキシ系液晶、ビフェニル系液晶、フェニルシクロヘキサン系液晶等が用いられる。
液晶セルの外側に使用される偏光板としては、ポリビニルアルコールを延伸配向させながらヨウ素を吸収させた「H膜」と呼ばれる偏光膜を酢酸セルロース保護膜で挟んだ偏光板、またはH膜そのものからなる偏光板等を挙げることができる。
かくして製造された本発明の液晶表示素子は、表示特性、長期信頼性等の諸性能に優れるものである。
【実施例】
【0062】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
以下において、ポリオルガノシロキサンの重量平均分子量およびポリアミック酸の溶液粘度は以下の方法によって測定した。
[重量平均分子量]
ポリオルガノシロキサンの重量平均分子量は、以下の装置を用いて以下の条件におけるゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって測定した結果から、標準物質として単分散ポリスチレンを用いてポリスチレン換算値として求めた。
測定装置:東ソー(株)製、型式「8120−GPC」
カラム:東ソー(株)製、「TSKgelGRCXLII」
溶媒:テトラヒドロフラン
試料濃度:5重量%
試料注入量:100μL
カラム温度:40℃
カラム圧力:68kgf/cm
[ポリアミック酸の溶液粘度]
ポリアミック酸の溶液粘度(mPa・s)は、各重合体溶液についてE型回転粘度計を用いて25℃で測定した。
【0063】
<ポリオルガノシロキサン(I)の合成>
合成例A−1
撹拌機、温度計、滴下漏斗および還流冷却管を備えた反応容器に、シュウ酸13.9gおよびエタノール19.5gを投入し、攪拌してシュウ酸のエタノール溶液を調製した。次いでこの溶液を窒素雰囲気下、70℃まで加熱した後、ここに、原料シラン化合物としてテトラエトキシシラン15.1gおよびビニルトリエトキシシラン1.6gからなる混合物を滴下した。滴下終了後、70℃の温度を6時間維持して重縮合反応を行った。反応終了後、25℃まで冷却し、ブチルセロソルブ40.0gを加えることにより、ポリオルガノシロキサン(I)であるポリオルガノシロキサン(A−1)を含有する溶液を得た。
この溶液に含有されるポリオルガノシロキサン(A−1)の重量平均分子量Mwは12,000であった。
【0064】
合成例A−2〜A−10
上記合成例A−1において、原料として使用したシラン化合物の種類および量ならびに使用したシュウ酸およびエタノールの量をそれぞれ第1表の1に記載の通りとしたほかは上記合成例A−1と同様にして、ポリオルガノシロキサン(I)であるポリオルガノシロキサン(A−2)〜(A−10)をそれぞれ含有する溶液を調製した。
合成例A−7およびA−8においては、シラン化合物(a2−3)を、それぞれ2種類ずつ使用した。
各溶液に含有される各ポリオルガノシロキサンの重量平均分子量Mwを、第1表の1に合わせて示した。
【0065】
<他のポリオルガノシロキサンの合成>
合成例B−1およびB−2
上記合成例A−1において、原料シラン化合物の種類および量ならびに使用したシュウ酸およびエタノールの量をそれぞれ第1表の1に記載の通りとしたほかは上記合成例A−1と同様にして、他のポリオルガノシロキサンであるポリオルガノシロキサン(B−1)および(B−2)をそれぞれ含有する溶液を調製した。
各溶液に含有される各ポリオルガノシロキサンの重量平均分子量Mwを、第1表の1に合わせて示した。
【0066】
【表1】

【0067】
第1表の1におけるシラン化合物の略称は、それぞれ以下の意味である。
[シラン化合物(a1)]
VTES:ビニルトリエトキシシラン
STMS:スチリルトリメトキシシラン
ATES:アリルトリエトキシシラン
MPTMS:3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン
APTMS:3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン
[シラン化合物(a3)]
ODES:オクタデシルトリエトキシシラン
DDES:ドデシルトリエトキシシラン
[シラン化合物(a4)]
TEOS:テトラエトキシシラン
MTES:メチルトリエトキシシラン
PTES:フェニルトリエトキシシラン
第1表の1のシラン化合物欄における「−」は、当該欄に該当する原料を使用しなかったことを示す。
【0068】
<他のポリオルガノシロキサンの合成>
合成例G−1
撹拌機、温度計、滴下漏斗および還流冷却管を備えた反応容器に、原料シラン化合物として2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン99g、溶媒としてメチルイソブチルケトン500gおよび触媒としてトリエチルアミン10gを仕込み、室温で混合した。次いでここに、脱イオン水100gを滴下漏斗より30分かけて滴下した後、80℃の還流下で撹拌しつつ6時間反応を行った。反応終了後、有機層を取り出し、0.2重量%硝酸アンモニウム水溶液により洗浄後の水が中性になるまで洗浄した後、減圧下で溶媒および水を留去することにより、エポキシ基を有するポリオルガノシロキサンを粘調な透明液体として得た。
このエポキシ基を有するポリオルガノシロキサンについて、H−NMR分析を行なったところ、化学シフト(δ)=3.2ppm付近にエポキシ基に基づくピークが理論強度どおりに得られ、反応中にエポキシ基の副反応が起こっていないことを確認した。
次いで200mLの三口フラスコに、上記で得たエポキシ基を有するポリオルガノシロキサン、溶媒としてメチルイソブチルケトン30g、カルボン酸として4−オクチロキシ安息香酸30g(上記エポキシ基を有するポリオルガノシロキサンの有するエポキシ基に対して30モル%に相当する。)および触媒としてUCAT 18X(商品名。サンアプロ(株)製のエポキシ化合物の硬化促進剤である。)0.10gを仕込み、100℃で48時間撹拌下に反応を行った。反応終了後、反応混合物に酢酸エチルを加えて得た有機層を3回水洗し、硫酸マグネシウムを用いて乾燥した後、溶媒を留去することにより、他のポリオルガノシロキサンであるポリオルガノシロキサン(G−1)を得た。このポリオルガノシロキサン(G−1)につき、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって測定したポリスチレン換算の重量平均分子量Mwは7,200であった。
【0069】
<ポリオルガノシロキサン(I)の合成>
合成例C−1〜C−6
上記合成例G−1において、原料シラン化合物の種類および量ならびに使用したカルボン酸の種類および量を、それぞれ第1表の2に記載の通りとしたほかは上記合成例G−1と同様にし、ただし仕込みの原料シラン化合物濃度およびエポキシ基を有するポリオルガノシロキサン濃度を上記合成例G−1と同じに調整して実施することにより、ポリオルガノシロキサン(I)であるポリオルガノシロキサン(C−1)〜(C−6)をそれぞれ得た。これらのポリオルガノシロキサンにつき、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって測定したポリスチレン換算の重量平均分子量Mwを、第1表の2に合わせて示した。
合成例C−4〜C−6においては、カルボン酸を、それぞれ2種類ずつ使用した。
【0070】
【表2】

【0071】
第1表の2におけるシラン化合物およびカルボン酸の略称は、それぞれ以下の意味である。
[シラン化合物(a1)]
MPTMS:3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン
[シラン化合物(a2)]
ECETS:2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン
[カルボン酸(2)]
OCTBA:4−n−オクチロキシ安息香酸
PCHBA:4−(4−n−ペンチル−シクロヘキシル)安息香酸
SACE:コハク酸−5ξ−コレスタン−3−イル
[カルボン酸(3)]
AQCA:アントラキノン−2−カルボン酸
DAHBBA:2−(4−ジエチルアミノ−2−ヒドロキシ−ベンゾイル)−安息香酸
第1表の2のシラン化合物欄およびカルボン酸欄における「−」は、当該欄に該当する原料を使用しなかったことを示す。
【0072】
<ポリオルガノシロキサン(II)の合成>
合成例E−1〜E−5
上記合成例G−1と同様にしてエポキシ基を有するポリオルガノシロキサンを得た。その後、使用したカルボン酸の種類および量を、それぞれ第1表の3に記載の通りとした他は、上記合成例G−1と同様にして、ポリオルガノシロキサン(II)であるポリオルガノシロキサン(E−1)〜(E−5)をそれぞれ得た。これらのポリオルガノシロキサンにつき、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって測定したポリスチレン換算の重量平均分子量Mwを、第1表の3に合わせて示した。
合成例E−1およびE−3〜E−5においては、カルボン酸を、それぞれ2種類ずつ使用した。
【0073】
【表3】

【0074】
第1表の3におけるシラン化合物(a2)およびカルボン酸の略称は、それぞれ以下の構造である。
[シラン化合物(a2)]
ECETS:2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン
[カルボン酸(1)]
E−1−1:下記式(E−1−1)で表される化合物
E−1−2:下記式(E−1−2)で表される化合物
E−1−3:下記式(E−1−3)で表される化合物
[カルボン酸(4)]
E−4−1:4−(t−ブチルオキシカルボニル)安息香酸
【0075】
【化40】

【0076】
上記式中の「n−C11−」は、直鎖のペンチル基を表す。
第1表の3のカルボン酸欄における「−」は、当該欄に該当する原料を使用しなかったことを示す。
【0077】
<ポリオルガノシロキサン(III)の合成>
合成例H−1〜H−5
上記合成例G−1において、原料シラン化合物の種類および量ならびに使用したカルボン酸の種類および量を、それぞれ第1表の4に記載の通りとしたほかは上記合成例G−1と同様にし、ただし仕込みの原料シラン化合物濃度およびエポキシ基を有するポリオルガノシロキサン濃度を上記合成例G−1と同じに調整して実施することにより、ポリオルガノシロキサン(III)であるポリオルガノシロキサン(H−1)〜(H−5)をそれぞれ得た。これらのポリオルガノシロキサンにつき、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって測定したポリスチレン換算の重量平均分子量Mwを、第1表の4に合わせて示した。
合成例H−4およびH−5においては、カルボン酸を、それぞれ2種類ずつ使用した。
【0078】
【表4】

【0079】
第1表の4におけるシラン化合物およびカルボン酸の略称は、それぞれ前出の略称と同じ意味である。
【0080】
<ポリアミック酸の合成>
合成例PA−1〜3
N−メチル−2−ピロリドン135gに、第1表の5に示した種類および量のジアミンおよびテトラカルボン酸二無水物を、この順に加えて溶解し、ジアミンおよびテトラカルボン酸二無水物の合計重量が、反応溶液の全重量に対して10重量%である溶液とし、これを60℃で6時間反応させることにより、ポリアミック酸(F−1)〜(F−3)をそれぞれ10重量%含有する溶液各150gをそれぞれ得た。ここで得られた各溶液の粘度を第1表の5に示した。
【0081】
【表5】

【0082】
第1表の5におけるジアミンおよびテトラカルボン酸二水和物の略称は、それぞれ以下の意味である。
[ジアミン]
F−1−1:下記式(F−1−1)で表される化合物
F−1−2:下記式(F−1−2)で表される化合物
F−1−3:下記式(F−1−3)で表される化合物
F−1−4:3,5−ジアミノ安息香酸コレスタニル
[テトラカルボン酸二無水物]
F−2−1:2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物
【0083】
【化41】

【0084】
上記式中の「n−CO−」および「n−C11O−」は、それぞれ、直鎖のブチル基または直鎖のペンチル基を有するアルコキシ基を表す。
【0085】
実施例1
<液晶配向剤の調製>
ポリオルガノシロキサン(I)として上記合成例A−1で得たポリオルガノシロキサン(A−1)を含有する溶液に、ポリオルガノシロキサン(II)として上記合成例E−1で得たポリオルガノシロキサン(E−1)を、上記溶液中のポリオルガノシロキサン(A−1)100重量部に対して5重量部加え、さらにブチルセロソルブを加えて、固形分濃度5重量%の溶液とした。この溶液を孔径1μmのフィルターを用いて濾過することにより、液晶配向剤を調製した。
【0086】
<垂直配向型液晶表示素子の製造および評価>
[垂直配向型液晶表示素子の製造]
ITO膜からなる透明電極付きガラス基板の透明電極面上に、上記で調製した液晶配向剤をスピンナーを用いて塗布し、80℃のホットプレート上で1分間プレベークを行った後、庫内を窒素置換したオーブン中で200℃において1時間加熱して膜厚0.1μmの塗膜を形成した。次いでこの塗膜表面に、Hg−Xeランプおよびグランテーラープリズムを用いて、313nmの輝線を含む偏光紫外線(p波)200J/mを、基板法線から40°傾いた方向から照射して液晶配向膜とした。
同じ操作を繰り返して、液晶配向膜を有する基板を1対(2枚)製造した。
上記基板のうちの1枚の液晶配向膜を有する面の外周に、直径5.5μmの酸化アルミニウム球入りエポキシ樹脂接着剤をスクリーン印刷により塗布した後、1対の基板の液晶配向膜面を対向して、各基板へ照射した偏光紫外線の照射方向が逆平行(180°)となるように圧着した後、150℃において1時間加熱して接着剤を熱硬化した。次いで、液晶注入口より基板間の間隙に、ネガ型液晶(メルク社製、MLC−6608)を充填した後、エポキシ系接着剤で液晶注入口を封止して液晶セルを構成した。さらに、液晶注入時の流動配向を除くため、液晶セルを150℃まで加熱した後、室温まで徐冷した。次いで、基板の外側両面に、偏光板を、その偏光方向が互いに直交し、且つ、液晶配向膜面への偏光紫外線の照射方向と45°の角度をなすように貼り合わせることにより、垂直配向型液晶表示素子を製造した。
【0087】
[垂直配向型液晶表示素子の評価]
上記で製造した垂直配向型液晶表示素子につき、以下のように評価した。評価結果は第2表の1に示した。
(1)液晶配向性の評価
上記で製造した液晶表示素子に5Vの電圧をON・OFF(印加・解除)したときの明暗の変化における異常ドメインの有無を目視により観察した。
このとき、電圧OFF時に光漏れが観察されず、且つ電圧印加時に駆動領域が白表示、それ以外の領域から光漏れがなかった場合を液晶配向性「良」とし、光漏れが観察された場合を液晶配向性「不良」とした。
(2)プレチルト角の評価
上記で製造した各液晶表示素子について、それぞれHe−Neレーザー光を用いる結晶回転法によって液晶分子の基板面からの傾きの角度を測定し、この値をプレチルト角とした。結晶回転法は、非特許文献1(T.J.Scheffer et.al.,J.Appl.Phys.vol.48,p1783(1977))および非特許文献2(F.Nakano et.al.,JPN.J.Appl.Phys.vol.19,p2013(1980))に記載の方法に準拠して行った。
(3)耐紫外線性の評価
上記で製造した液晶表示素子に、70℃において1Vの電圧を60マイクロ秒の印加時間、16.67ミリ秒のスパンで印加した後、印加解除から16.67ミリ秒後の電圧保持率を測定し、この値を初期電圧保持率VHRBIとした。
上記初期電圧保持率測定後の液晶表示素子に対し、照度800W/mのメタルハライドランプを用いて10,000J/mの紫外光を照射した後、室温に静置して室温まで自然冷却した。次いで、上記と同様にして再度電圧保持率を測定し、この値を照射後電圧保持率VHRAIとした。
このときの電圧保持率の変化率を、下記数式(1)
【0088】
【数1】

【0089】
によって算出し、この値が95%以上であった場合を耐紫外線性「優良」、90%以上95%未満であった場合を耐紫外線性「良」、90%未満であった場合を耐紫外線性「不良」として評価した。
上記電圧保持率の測定は、(株)東陽テクニカ製、「VHR−1」を使用し手行った。
【0090】
実施例2〜16ならびに比較例1〜10および16〜22
使用したポリオルガノシロキサンの種類および量を、それぞれ第2表の1に記載のとおりとしたほかは、上記実施例1と同様にして液晶配向剤を調製し、液晶表示素子を製造して評価した。評価結果は第2表の1に示した。
【0091】
実施例17
<液晶配向剤の調製>
ポリオルガノシロキサン(I)として上記合成例C−1で得たポリオルガノシロキサン(C−1)100重量部およびポリオルガノシロキサン(II)として上記合成例E−5で得たポリオルガノシロキサン(E−5)5重量部をブチルセロソルブに溶解し、固形分濃度5重量%の溶液とした。この溶液を孔径1μmのフィルターを用いて濾過することにより、液晶配向剤を調製した。
<垂直配向型液晶表示素子の製造および評価>
上記で調製した液晶配向剤を使用したほかは上記実施例1と同様にして液晶表示素子を製造して評価した。評価結果は第2表の1に示した。
実施例18〜22および比較例11〜15
使用したポリオルガノシロキサンの種類および量を、それぞれ第2表の1に記載のとおりとしたほかは、上記実施例17と同様にして液晶配向剤を調製し、液晶表示素子を製造して評価した。評価結果は第2表の1に示した。
【0092】
【表6】

【0093】
【表7】

【0094】
実施例23
<液晶配向剤の調製>
ポリオルガノシロキサン(III)として上記合成例H−1で得たポリオルガノシロキサン(H−1)をブチルセロソルブに溶解し、固形分濃度5重量%の溶液とした。この溶液を孔径1μmのフィルターを用いて濾過することにより、液晶配向剤を調製した。
<垂直配向型液晶表示素子の製造および評価>
上記で調製した液晶配向剤を使用したほかは上記実施例1と同様にして液晶表示素子を製造して評価した。評価結果は第2表の2に示した。
【0095】
実施例24〜27
使用したポリオルガノシロキサンの種類を第2表の2に記載のとおりとしたほかは、上記実施例17と同様にして液晶配向剤を調製し、液晶表示素子を製造して評価した。評価結果は第2表の2に示した。
【0096】
【表8】

【0097】
比較例23
<液晶配向剤の調製>
上記合成例PA−1で得たポリアミック酸(PA−1)を含有する溶液に、γ−ブチロラクトン(BL)、プロピレンカーボネート(PC)およびN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を加えて十分に撹拌し、溶媒組成がBL:PC:NMP=10:40:50(重量比)、固形分濃度が3.6重量%の溶液とした。この溶液を孔径1μmのフィルターを用いて濾過することにより、液晶配向剤を調製した。
<光垂直配向型液晶表示素子の製造および評価>
上記で調製した液晶配向剤を用いたほかは、実施例1と同様にして液晶表示素子を製造して評価した。評価結果は第2表の3に示した。
比較例24および25
使用したポリアミック酸の種類を第2表の3に記載のとおりとしたほかは、上記比較例23と同様にして液晶配向剤を調製し、液晶表示素子を製造して評価した。評価結果は第2表の3に示した。
【0098】
【表9】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(I)重合性二重結合を有する基を有するポリオルガノシロキサン、および
(II)桂皮酸構造を有する基を有するポリオルガノシロキサン
を含有することを特徴とする、液晶配向剤。
【請求項2】
(I)ポリオルガノシロキサンの有する重合性二重結合を有する基が、下記式(A)
【化1】

(式(A)中、R15は水素原子またはメチル基であり、
およびXIIは、それぞれ、1,4−フェニレン基、メチレン基または炭素数2〜8のアルキレン基であり、
Zは酸素原子、−COO−または−OCO−(ただし、「*」を付した結合手がXII側である。)であり、
a、b、cおよびdは、それぞれ、0または1であり、
ただし、cが0であってdが1であるとき、XIIは1,4−フェニレン基であり、
bが0であるとき、dは0である。)
で表される基である、請求項1に記載の液晶配向剤。
【請求項3】
上記(II)ポリオルガノシロキサンが、
エポキシ基を有するポリオルガノシロキサンと、
桂皮酸構造を有するカルボン酸と、
を反応させて得られるものである、請求項1に記載の液晶配向剤。
【請求項4】
(III)重合性二重結合を有する基および桂皮酸構造を有する基を有するポリオルガノシロキサンを含有することを特徴とする、液晶配向剤。
【請求項5】
(III)ポリオルガノシロキサンの有する重合性二重結合を有する基が、下記式(A)
【化6】

(式(A)中、R15は水素原子またはメチル基であり、
およびXIIは、それぞれ、1,4−フェニレン基、メチレン基または炭素数2〜8のアルキレン基であり、
Zは酸素原子、−COO−または−OCO−(ただし、「*」を付した結合手がXII側である。)であり、
a、b、cおよびdは、それぞれ、0または1であり、
ただし、cが0であってdが1であるとき、XIIは1,4−フェニレン基であり、
bが0であるとき、dは0である。)
で表される基である、請求項4に記載の液晶配向剤。
【請求項6】
上記(III)ポリオルガノシロキサンが、
重合性二重結合を有する基およびエポキシ基を有するポリオルガノシロキサンと、
桂皮酸構造を有するカルボン酸と、
を反応させて得られるものである、請求項4に記載の液晶配向剤。
【請求項7】
垂直配向型である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
【請求項8】
基板上に、請求項1〜6に記載のいずれか一項に記載の液晶配向剤を塗布して塗膜を形成し、該塗膜に放射線を照射する工程を経ることを特徴とする、液晶配向膜の形成方法。
【請求項9】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の液晶配向剤から形成された液晶配向膜を具備することを特徴とする、液晶表示素子。

【公開番号】特開2013−109151(P2013−109151A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−254008(P2011−254008)
【出願日】平成23年11月21日(2011.11.21)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】