説明

液浸上層膜形成用組成物及びレジストパターン形成方法

【課題】本発明の目的は、撥水性、耐溶出性及び溶解性についての特性を満たしつつ、剥がれ耐性及び露光余裕度をバランス良く両立することができる液浸上層膜形成用組成物及びレジストパターン形成方法を提供することである。
【解決手段】本発明は、[A1]下記式(i)で表される基を含む構造単位(I−1)を有する重合体、[A2]上記[A1]重合体と異なる重合体、及び[B]溶媒を含有する液浸上層膜形成用組成物である。下記式(i)中、Rは、炭素数1〜20の(n+1)価の炭化水素基である。nは、1〜3の整数である。[A2]重合体の成膜状態での水との後退接触角は、[A1]重合体よりも大きいことが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液浸上層膜形成用組成物及びレジストパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造にあっては、従来から化学増幅型のレジスト組成物を用いたリソグラフィーによる微細加工が行われている。この微細加工で用いられるパターン形成方法には、一般的に、基板上にレジスト膜を形成する工程、このレジスト膜にマクスを介して紫外線等の放射線を照射する露光工程、露光したレジスト膜を現像する現像工程、得られたレジストパターンを保護膜として基板をエッチングする工程が含まれる。
【0003】
このパターン形成方法では、露光部において生じた酸によりレジスト組成物中の重合体の酸解離性基を脱離させ、極性を変化させて露光部と未露光部とで現像液に対する溶解速度を異ならせてパターン形成がなされる。
【0004】
近年、さらに微細なレジストパターンを形成する方法として、レンズとレジスト膜との間を、例えば、純水やフッ素系不活性液体等の液浸媒体で満たして露光を行う液浸露光法の利用が拡大しつつある。この液浸露光法によれば、レンズの開口数(NA)の拡大が可能であり、NAを拡大した場合であっても焦点深度が低下しにくく、しかも高い解像性が得られるといった利点がある。
【0005】
この液浸露光法によるパターン形成方法では、レジスト膜成分の液浸媒体への溶出を防止するため、通常、レジスト膜上には保護膜となる液浸上層膜が設けられている。この液浸上層膜は、その撥水性により露光工程においてはレジスト膜成分の溶出を抑えて耐溶出性を高め、その後の現像工程においては現像液に対する高い溶解性により溶解して除去される。
【0006】
このような液浸上層膜を形成可能な液浸上層膜形成用組成物には、上記撥水性、耐溶出性及び溶解性に加え、液浸上層膜周縁部での液浸上層膜と基板とが直接接する部位における基板からの剥がれ耐性及び露光余裕度の向上が求められている。
【0007】
この要求に対し、剥がれ耐性を改善する技術にあっては、カルボン酸系樹脂を含有する液浸上層膜が開示されている(特開2009−205132号公報参照)。しかしながら、カルボン酸系樹脂を含有する液浸上層膜では、基板からの剥がれ耐性は向上するものの、露光余裕度が低下して所望のレジストパターンを形成するのが困難になり、剥がれ耐性と露光余裕度とをバランス良く両立させることができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−205132号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、撥水性、耐溶出性及び溶解性についての特性を満たしつつ、剥がれ耐性と露光余裕度とをバランス良く両立することができる液浸上層膜形成用組成物及びレジストパターン形成方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するためになされた発明は、
[A1]下記式(i)で表される基を含む構造単位(I−1)を有する重合体(以下、「[A1]重合体」ともいう。)、
[A2]上記[A1]重合体と異なる重合体(以下、「[A2]重合体」ともいう。)、及び
[B]溶媒
を含有する液浸上層膜形成用組成物である。
【化1】

(式(i)中、Rは、炭素数1〜20の(n+1)価の炭化水素基である。nは、1〜3の整数である。)
【0011】
当該液浸上層膜形成用組成物は、水酸基を有する[A1]重合体を含有することで剥がれ耐性と露光余裕度とをバランス良く両立することができ、さらに[A2]重合体を含有することで撥水性及び耐溶出性を高めることができる。その結果、当該液浸上層膜形成用組成物は、撥水性等の特性を満たしつつ、剥がれ耐性及び露光余裕度をバランス良く両立可能な液浸上層膜を形成できる。
【0012】
[A2]重合体の成膜状態での水との後退接触角は、[A1]重合体よりも大きいことが好ましい。[A2]重合体の成膜状態での水との後退接触角が[A1]重合体よりも大きいことで、当該液浸上層膜形成用組成物は、液浸媒体として通常用いられる水に対する撥水性及び上記水へのレジスト膜成分の耐溶出性をより高めることができる。
【0013】
上記構造単位(I−1)は、下記式(1)で表される構造単位であることが好ましい。
【化2】

(式(1)中、R及びnは、上記式(i)と同義である。Rは、水素原子、メチル基、フッ素原子又はトリフルオロメチル基である。)
【0014】
構造単位(I−1)が上記特定の構造単位であることで、当該液浸上層膜形成用組成物は、剥がれ耐性と露光余裕度とをよりバランス良く両立することができる。
【0015】
[A2]重合体は、下記式(2)で表される基を含む構造単位及び下記式(3)で表される基を含む構造単位からなる群より選択される少なくとも1種の構造単位(II−1)を有することが好ましい。
【化3】

(式(2)中、R及びRは、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のフッ素化アルキル基である。但し、上記R及びRのうち、少なくともいずれかは、炭素数1〜4のフッ素化アルキル基である。式(3)中、Rは、炭素数1〜20のフッ素化アルキル基である。)
【0016】
[A2]重合体が上記特定の構造単位を有することで、当該液浸上層膜形成用組成物は、撥水性及び耐溶出性をさらに高めることができる。
【0017】
[A2]重合体は、下記式(4)で表される構造単位(II−2)をさらに有することが好ましい。
【化4】

(式(4)中、Rは、水素原子、メチル基、フッ素原子又はトリフルオロメチル基である。Rは、炭素数1〜12の1価のフッ素化炭化水素基である。)
【0018】
[A2]重合体が上記特定の構造単位を有することで、当該液浸上層膜形成用組成物は、撥水性及び耐溶出性をさらに高めることができる。
【0019】
[A1]重合体は、下記式(2’)で表される基を含む構造単位及び下記式(3’)で表される基を含む構造単位からなる群より選択される少なくとも1種の構造単位(I−2)をさらに有することが好ましい。
【化5】

(式(2’)中、R及びRは、上記式(2)と同義である。
式(3’)中、Rは、上記式(3)と同義である。)
【0020】
[A1]重合体が上記特定の構造単位を有することで、当該液浸上層膜形成用組成物は、撥水性及び耐溶出性をより高めることができる。
【0021】
[A1]重合体はスルホ基を含む構造単位(I−3)をさらに有することが好ましい。[A1]重合体が上記特定の構造単位をさらに有することで、当該液浸上層膜形成用組成物は、剥がれ耐性をより高めることができる。
【0022】
[B]溶媒は、エーテル系溶媒を含むことが好ましい。[B]溶媒がエーテル系溶媒を含むことで、当該液浸上層膜形成用組成物は、塗布性に優れると共に、レジスト膜と液浸上層膜とのインターミキシングを低減することができる。
【0023】
本発明のレジストパターン形成方法は、
(1)レジスト組成物を用い、基板上にレジスト膜を形成する工程、
(2)当該液浸上層膜形成用組成物を用い、上記レジスト膜上に液浸上層膜を形成する工程、
(3)上記レジスト膜及び液浸上層膜を、液浸媒体を介して露光する工程、及び
(4)上記露光されたレジスト膜及び液浸上層膜を現像する工程
を有する。
【0024】
当該レジストパターン形成方法が上記特定の工程を有することで、当該レジストパターン形成方法は、撥水性、耐溶出性及び溶解性についての特性を満たしつつ、剥がれ耐性と露光余裕度とをバランス良く両立することができる。
【0025】
なお、[A1]重合体及び[A2]重合体の成膜状態での水との後退接触角は、シリコンウエハ上に各重合体を含む溶液をスピンコートして成膜し、得られた膜上に針から水を排出させて25μLの水滴を形成し、一旦針を水滴から引き抜いた後、再び針を水滴内に挿入し、この針により10μL/minの速度で90秒間水滴を吸引しながら毎秒1回の頻度で後退接触角を測定し、測定値が安定した後の20秒間の値を平均したものである。
【発明の効果】
【0026】
本発明の液浸上層膜形成用組成物及びレジストパターン形成方法によれば、撥水性、耐溶出性及び溶解性についての特性を満たしつつ、剥がれ耐性及び露光余裕度をバランス良く両立することができる。従って、当該液浸上層膜形成用組成物及びレジストパターン形成方法は、レジストパターンの更なる微細化が進む半導体デバイスの製造プロセスに好適に適用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
<液浸上層膜形成用組成物>
本発明の液浸上層膜形成用組成物は、[A1]重合体、[A2]重合体、及び[B]溶媒を含有する。また、当該組成物は、本発明の効果を損なわない限り、任意成分を含有してもよい。以下、各成分について詳述する。
【0028】
<[A1]重合体>
[A1]重合体は、構造単位(I−1)を有する重合体である。また、[A1]重合体は、構造単位(I−2)を有していてもよい。また、[A1]重合体は、構造単位(I−3)を有していてもよい。また、[A1]重合体は、その他の構造単位を有していてもよい。なお、[A1]重合体は、各構造単位を2種以上有していてもよい。
【0029】
[構造単位(I−1)]
構造単位(I−1)は、上記式(i)で表される基を含む構造単位である。[A1]重合体が上記式(i)で表される基を含む構造単位を有することで、当該液浸上層膜形成用組成物は、撥水性、耐溶出性及び溶解性についての特性を満たしつつ、剥がれ耐性と露光余裕度とをバランス良く両立することができる液浸上層膜を形成することができる。
【0030】
上記式(i)中、Rは、炭素数1〜20の(n+1)価の炭化水素基である。nは、1〜3の整数である。nは、1又は2が好ましい。
【0031】
上記Rで表される炭素数1〜20の(n+1)価の炭化水素基としては、例えば、炭素数1〜20の直鎖状若しくは分岐状の(n+1)価の鎖状炭化水素基、炭素数3〜20の(n+1)価の脂環式炭化水素基、炭素数6〜20の(n+1)価の芳香族炭化水素基、又はこれらの基を2種以上組み合わせた(n+1)価の基等が挙げられる。
【0032】
上記炭素数1〜20の直鎖状若しくは分岐状の(n+1)価の鎖状炭化水素基としては、例えば、炭素数1〜20の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基から水素原子をn個除いた基等が挙げられる。
【0033】
上記炭素数1〜20の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基等が挙げられる。
【0034】
上記炭素数3〜20の(n+1)価の脂環式炭化水素基としては、例えば、炭素数3〜20の1価の脂環式炭化水素基から水素原子をn個除いた基等が挙げられる。
【0035】
上記炭素数3〜20の1価の脂環式炭化水素基としては、例えばシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等が挙げられる。
【0036】
上記炭素数6〜20の(n+1)価の芳香族炭化水素基としては、例えば、炭素数6〜20の1価の芳香族炭化水素基から水素原子をn個除いた基等が挙げられる。
【0037】
上記炭素数6〜20の1価の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基等が挙げられる。
【0038】
上記これらの基を2種以上組み合わせた(n+1)価の基としては、例えば、上記炭素数1〜20の直鎖状若しくは分岐状の(n+1)価の炭化水素基、上記炭素数3〜20の(n+1)価の脂環式炭化水素基及び上記炭素数6〜20の(n+1)価の芳香族炭化水素基として例示した基を2種以上組み合わせた基等が挙げられる。
【0039】
構造単位(I−1)は、上記式(1)で表される構造単位であることが好ましい。[A1]重合体が、上記式(1)で表される構造単位を有することで、剥がれ耐性と露光余裕度とをよりバランス良く両立することができる。
【0040】
上記式(1)中、R及びnは、上記式(i)と同義である。Rは、水素原子、メチル基、フッ素原子又はトリフルオロメチル基である。
【0041】
上記Rで表される炭化水素基としては、炭素数1〜10の炭化水素基が好ましく、炭素数1〜5の直鎖状若しくは分岐状の鎖状炭化水素基、炭素数3〜8の脂環式炭化水素基、又はこれらの基を2種以上組み合わせた基がより好ましい。
【0042】
構造単位(I−1)としては、下記式で表される構造単位が特に好ましい。
【0043】
【化6】

【0044】
[A1]重合体における全構造単位に対する構造単位(I−1)の含有率としては、0.1モル%以上50モル%以下が好ましく、0.5モル%以上30モル%以下がより好ましい。構造単位(I−1)の含有率を上記特定範囲とすることで、効果的に剥がれ耐性と露光余裕度とをバランス良く両立することができる。
【0045】
[構造単位(I−2)]
構造単位(I−2)は、上記式(2’)で表される基を含む構造単位及び上記式(3’)で表される基を含む構造単位からなる群より選択される少なくとも1種の構造単位である。[A1]重合体が上記構造単位(I−2)を有することで、当該液浸上層膜形成用組成物は、撥水性及び耐溶出性をより高めることができる。
【0046】
上記式(2’)中、R及びRは、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のフッ素化アルキル基である。但し、上記R及びRのうち、少なくともいずれかは、炭素数1〜4のフッ素化アルキル基である。式(3’)中、Rは、炭素数1〜20のフッ素化アルキル基である。
【0047】
上記R及びRで表される炭素数1〜4のアルキル基としては、直鎖状又は分岐状のどちらでもよく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基等が挙げられる。
【0048】
上記R及びRで表される炭素数1〜4のフッ素化アルキル基は、炭素数1〜4のアルキル基が有する水素原子の少なくとも1つがフッ素原子で置換された基である。上記炭素数1〜4のアルキル基としては、例えば、上記R及びRで表される炭素数1〜4のアルキル基として例示した基を適用することができる。
【0049】
上記Rで表される炭素数1〜20のフッ素化アルキル基は、炭素数1〜20のアルキル基が有する水素原子の少なくとも1つが、フッ素原子で置換された基である。上記炭素数1〜20のアルキル基としては、直鎖状又は分岐状のどちらでもよく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基等が挙げられる。
【0050】
上記R及びRで表される炭素数1〜4のフッ素化アルキル基としては、トリフルオロメチル基が好ましい。
【0051】
上記式(2’)で表される基を含む構造単位及び上記式(3’)で表される基を含む構造単位(I−2)としては、それぞれ、下記式(2’−1)で表される構造単位及び下記式(3’−1)で表される構造単位を挙げることができる。
【0052】
【化7】

【0053】
上記式(2’−1)及び(3’−1)中、R及びR10は、それぞれ独立して、水素原子、メチル基、フッ素原子又はトリフルオロメチル基である。式(2’−1)中、Rは、2価の連結基である。式(3’−1)中、R11は、2価の連結基である。Rは、式(3)と同義である。
【0054】
上記Rで表される2価の連結基としては、例えば、炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状の2価の鎖状炭化水素基、炭素数4〜12の2価の脂環式炭化水素基、又はこれらを組み合わせた基等が挙げられる。
【0055】
上記炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状の2価の鎖状炭化水素基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、1,3−プロピレン基、1,2−プロピレン基、1,1−プロピレン基、2,2−プロピレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、1−メチル−1,3−プロピレン基、2−メチル−1,3−プロピレン基、2−メチル−1,2−プロピレン基、1−メチル−1,4−ブチレン基、2−メチル−1,4−ブチレン基等が挙げられる。
【0056】
上記炭素数4〜12の2価の脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロオクチレン基等の単環式炭化水素基;ノルボルニレン基、アダマンチレン基等の多環式炭化水素基等が挙げられる。
【0057】
上記R11で表される2価の連結基としては、例えば、上記Rで表される2価の連結基として例示した基を適用することができる。
【0058】
上記式(2’−1)で表される構造単位としては、例えば、下記式(2’−1−1)〜(2’−1−8)で表される構造単位等が挙げられる。
【0059】
【化8】

【0060】
上記式(2’−1−1)〜(2’−1−8)中、Rは、上記式(2’−1)と同義である。これらの中で、式(2’−1−4)及び(2’−1−8)で表される構造単位が好ましい。
【0061】
上記式(3’−1)で表される構造単位としては、例えば、下記式(3’−1−1)〜(3’−1−3)で表される構造単位等が挙げられる。
【0062】
【化9】

【0063】
上記式(3’−1−1)〜(3’−1−3)中、R10は、上記式(3’−1)と同義である。これらの中で、式(3’−1−1)で表される構造単位が好ましい。
【0064】
[A1]重合体における全構造単位に対する構造単位(I−2)の含有率としては、20モル%以上98モル%以下が好ましく、35モル%以上95モル%以下がより好ましく、50モル%以上90モル%以下がさらに好ましい。構造単位(I−2)の含有率を上記特定範囲とすることで、効果的に撥水性及び耐溶出性を高めることができる。
【0065】
[構造単位(I−3)]
構造単位(I−3)は、スルホ基を含む構造単位である。[A1]重合体が上記特定の構造単位(I−3)をさらに有することで、当該液浸上層膜形成用組成物は、剥がれ耐性をより高めることができる。
【0066】
構造単位(I−3)としては、例えば、下記式(5)で表される構造単位等が挙げられる。
【0067】
【化10】

【0068】
上記式(5)中、R12は、水素原子、メチル基、フッ素原子又はトリフルオロメチル基である。R13は、単結合、酸素原子、硫黄原子、炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状の2価の鎖状炭化水素基、炭素数4〜12の2価の脂環式炭化水素基、炭素数6〜12の2価の芳香族炭化水素基又は−C(=O)−X−Y−基である。Xは、酸素原子、硫黄原子又はNH基である。Yは、単結合、炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状の2価の炭化水素基、炭素数4〜12の2価の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜12の2価の芳香族炭化水素基である。
【0069】
上記R13及びYで表される炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状の2価の鎖状炭化水素基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、1,3−プロピレン基、1,2−プロピレン基、1,1−プロピレン基、2,2−プロピレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、1−メチル−1,3−プロピレン基、2−メチル−1,3−プロピレン基、2−メチル−1,2−プロピレン基、1−メチル−1,4−ブチレン基、2−メチル−1,4−ブチレン基等が挙げられる。
【0070】
上記R13及びYで表される炭素数4〜12の2価の脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロオクチレン基等の単環式炭化水素基;ノルボルニレン基、アダマンチレン基等の多環式炭化水素基等が挙げられる。
【0071】
上記R13及びYで表される炭素数6〜12の2価の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニレン基、トリレン基等のアリーレン基等が挙げられる。なお、上記脂環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基は、環構造のみで構成されている必要はなく、その一部に鎖状構造を含んでいてもよい。
【0072】
上記構造単位(I−3)としては、下記式(5−1)〜(5−5)で表される構造単位が好ましい。
【0073】
【化11】

【0074】
上記式(5−1)〜(5−5)中、R12は、上記式(5)と同義である。これらの中で、(5−1)及び(5−5)が好ましい。
【0075】
[A1]重合体における全構造単位に対する構造単位(I−3)の含有率としては、0.1モル%以上20モル%以下が好ましく1モル%以上15モル%以下がより好ましい。構造単位(I−3)の含有率を上記特定範囲とすることで、効果的に剥がれ耐性を高めることができる。
【0076】
[他の構造単位]
[A1]重合体は、本発明の効果を損なわない範囲で、上記構造単位(I−1)〜(I−3)以外の他の構造単位を含んでいてもよい。
【0077】
[A1]重合体の成膜状態での水との後退接触角は70°以下が好ましく、68°以下がさらに好ましく、63°以下が好ましい。
【0078】
<[A2]重合体>
[A2]重合体は、[A1]重合体と異なる重合体である。[A2]重合体は、[A1]重合体と異なる限り特に限定されないが、[A2]重合体の成膜状態での水との後退接触角が上記[A1]重合体よりも大きいことが好ましい。この場合、[A2]重合体は、上記後退接触角の差が3°以上であることがより好ましく、5°以上であることがさらに好ましく、10°以上であることが特に好ましい。
また、[A2]重合体の成膜状態での水との後退接触角は、73°以上が好ましく、75°以上がより好ましく、80°以上がさらに好ましい。
[A2]重合体が上記構成の重合体であることで、当該液浸上層膜形成用組成物は、液浸媒体として通常用いられる水に対する撥水性及び上記水へのレジスト膜成分の耐溶出性をより高めることができる。
この[A2]重合体は、構造単位(II−1)を有する重合体であることが好ましい。また、[A2]重合体は、構造単位(II−2)を有していてもよい。また、[A2]重合体は、その他の構造単位を有していてもよい。なお、[A2]重合体は、各構造単位を2種以上有していてもよい。
【0079】
[構造単位(II−1)]
構造単位(II−1)は上記式(2)で表される基を含む構造単位及び上記式(3)で表される基を含む構造単位からなる群より選択される少なくとも1種の構造単位である。[A2]重合体が上記特定の構造単位(II−1)を有することで、当該液浸上層膜形成用組成物は、撥水性及び耐溶出性をさらに高めることができる。なお、上記式(2)で表される基を含む構造単位及び上記式(3)で表される基を含む構造単位は、それぞれ、上述した構造単位(I−2)における上記式(2’)で表される基を含む構造単位及び上記式(3’)で表される基を含む構造単位と同様である。
【0080】
[A2]重合体における全構造単位に対する構造単位(II−1)の含有率としては、5モル%以上100モル%以下が好ましく20モル%以上99モル%以下がより好ましい。構造単位(II−1)の含有率を上記特定範囲とすることで、効果的に撥水性及び耐溶出性を高めることができる。
【0081】
[構造単位(II−2)]
構造単位(II−2)は、上記式(4)で表される構造単位である。[A2]重合体が上記特定の構造単位を有することで、当該液浸上層膜形成用組成物は、撥水性及び耐溶出性をさらに高めることができる。
【0082】
上記式(4)中、Rは、水素原子、メチル基、フッ素原子又はトリフルオロメチル基である。Rは、炭素数1〜12の1価のフッ素化炭化水素基である。
【0083】
上記Rで表される炭素数1〜12の1価のフッ素化炭化水素基は、炭素数1〜12の1価の炭化水素基が有する水素原子の少なくとも1つがフッ素原子で置換した基である。
【0084】
上記炭素数1〜12の1価の炭化水素基としては、例えば、炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、炭素数3〜12の1価の脂環式炭化水素基又はこれらの基を2種以上組み合わせた1価の基等が挙げられる。
【0085】
上記炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基等が挙げられる。
【0086】
上記炭素数3〜12の1価の脂環式炭化水素基としては、例えばシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等が挙げられる。
【0087】
構造単位(II−2)としては、下記式(4−1)〜(4−6)で表される構造単位が好ましい。
【0088】
【化12】

【0089】
上記式中、Rは、式(4)と同義である。
【0090】
[A2]重合体における全構造単位に対する構造単位(II−2)の含有率としては、1モル%以上90モル%以下が好ましく10モル%以上80モル%以下がより好ましい。構造単位(II−2)の含有率を上記特定範囲とすることで、効果的に撥水性及び耐溶出性を高めることができる。
【0091】
[他の構造単位]
[A2]重合体は、本発明の効果を損なわない範囲で、上記構造単位(II−1)及び(II−2)以外の他の構造単位を含んでいてもよい。上記他の構造単位としては、例えば、カルボキシ基を含む構造単位、[A1]重合体において構造単位(I−3)として説明したスルホ基を含む構造単位等が挙げられる。
【0092】
[カルボキシ基を含む構造単位]
カルボキシ基を含む構造単位としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、アンゲリカ酸、チグリン酸由来の構造単位等が挙げられる。
【0093】
[A2]重合体における全構造単位に対する上記カルボキシ基を含む構造単位の含有率としては、0モル%以上50モル%以下が好ましく、10モル%以上30モル%以下がより好ましい。上記カルボキシ基を含む構造単位の含有率を上記特定範囲とすることで、効果的に剥がれ耐性を高めることができる。
【0094】
[構造単位[I−3]]
[A2]重合体における全構造単位に対する構造単位(I−3)の含有率としては、0.1モル%以上20モル%以下が好ましく、1モル%以上15モル%以下がより好ましい。[A2]合体における構造単位(I−3)の含有率を上記特定範囲とすることで、効果的に剥がれ耐性を高めることができる。
【0095】
[A2]重合体の含有量としては、[A1]重合体100質量部に対して、0.5質量部〜4,000質量部が好ましく、1質量部〜2,000質量部がより好ましい。[A2]重合体の含有量を上記範囲とすることで、撥水性及び耐溶出性を効果的に高めることができる。
【0096】
<各重合体の合成方法>
上記各重合体の合成方法としては、例えば、所定の各構造単位に対応する単量体を、ラジカル重合開始剤を使用し、適当な溶媒中で重合することにより合成できる。
【0097】
重合開始剤としては、例えば2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−シクロプロピルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)、2,2−アゾビスイソ酪酸ジメチル等が挙げられる。これらの開始剤は単独又は2種以上を併用できる。
【0098】
重合溶媒としては、重合を阻害する溶媒(重合禁止効果を有するニトロベンゼン、連鎖移動効果を有するメルカプト化合物等)以外の溶媒であれば特に限定されない。架橋剤及び架橋触媒下、重合を行なう場合は、溶媒の種類は特に限定されない。重合溶媒としては、例えばアルコール系溶媒、ケトン系溶媒、アミド系溶媒、エステル・ラクトン系溶媒、ニトリル系溶媒及びその混合溶媒等が挙げられる。これらの重合溶媒は、1種又は2種以上を併用できる。
【0099】
重合反応により得られた各重合体は、液々抽出、再沈殿法により、回収することができる。また、液々抽出、再沈殿法の他に、分液操作やカラム操作、限外ろ過操作等により、低分子成分を除去して、重合体を回収することもできる。
【0100】
これらの合成方法における反応温度としては、各構造単位を与える単量体、使用する重合開始剤の種類等によって適宜決定される。
【0101】
各重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)としては、1,000〜100,000が好ましく、3,000〜50,000がより好ましい。重合体のMwが1,000未満の場合、液浸上層膜とレジスト膜とのインターミキシングが起こり易くなる場合がある。一方、Mwが100,000を超えると、各重合体が溶媒に溶け難くなるおそれがある。また、GPCによるポリスチレン換算数平均分子量(Mn)に対するMwの比(Mw/Mn)は、1〜5が好ましく1〜3がより好ましい。
【0102】
なお、本明細書のMw及びMnは、東ソー製GPCカラム(G2000HXL 2本、G3000HXL 1本、G4000HXL 1本)を用い、流量1.0mL/分、溶出溶媒テトラヒドロフラン、カラム温度40℃の分析条件で、単分散ポリスチレンを標準とするGPCにより測定したものである。
【0103】
<[B]溶媒>
[B]溶媒は、[A1]重合体及び[A2]重合体等の各成分を均一に溶解する溶媒である。なお、[B]溶媒は、1種又は2種以上を併用して用いてもよい。
【0104】
[B]溶媒としては、例えば、アルコール系溶媒、エーテル系溶媒、炭化水素系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、水等が挙げられる。
【0105】
上記アルコール系溶媒としては、例えば、ブタノール、ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール等の1価アルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール等の多価アルコール類等が挙げられる。
【0106】
上記エーテル系溶媒としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等の多価アルコールのアルキルエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の多価アルコールのアルキルエーテルアセテート類;ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ブチルメチルエーテル、ブチルエチルエーテル、ジイソアミルエーテル、ヘキシルメチルエーテル、オクチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、ジシクロペンチルエーテル等の脂肪族エーテル類;アニソール、フェニルエチルエーテル等の脂肪族−芳香族エーテル類;テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジオキサン等の環状エーテル類等が挙げられる。
【0107】
上記炭化水素系溶媒としては、例えば、デカン、ドデセン、ウンデカン等の高級炭化水素類が挙げられる。
【0108】
上記ケトン系溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、ジエチルケトン、メチル−iso−ブチルケトン、メチル−n−ペンチルケトン、エチル−n−ブチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジ−iso−ブチルケトン、トリメチルノナノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、シクロオクタノン、メチルシクロヘキサノン、2,4−ペンタンジオン、アセトニルアセトン、ジアセトンアルコール、アセトフェノン等が挙げられる。
【0109】
上記エステル系溶媒としては、例えば、ジエチルカーボネート、プロピレンカーボネート、酢酸メチル、酢酸エチル、γ−バレロラクトン、酢酸n−プロピル、酢酸iso−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸iso−ブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸n−ペンチル、酢酸sec−ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸ベンジル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸n−ノニル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、酢酸エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノプロピルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノブチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジ酢酸グリコール、酢酸メトキシトリグリコール、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸iso−アミル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジ−n−ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル、乳酸n−アミル、マロン酸ジエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル等が挙げられる。
【0110】
これらの中でも、アルコール系溶媒、エーテル系溶媒及び炭化水素系溶媒が好ましく、アルコール系溶媒及びエーテル系溶媒がより好ましい。これらの中でも、得られる液浸上層膜形成用組成物の粘度の低減により塗布量を低減し、結果としてコストを低減できる観点から、エーテル系溶媒がさらに好ましい。
【0111】
また、アルコール系溶媒としては、1価アルコール類が、エーテル系溶媒としては、脂肪族エーテル類、環状エーテル類、多価アルコールのアルキルエーテル類、多価アルコールのアルキルエーテルアセテート類が好ましく、炭素数4〜10の1価アルコール類及び炭素数4〜10のアルキル鎖を有する脂肪族エーテル類の少なくともいずれかを含む溶媒がさらに好ましく、4−メチル−2−ペンタノール及びジイソアミルエーテルを含む溶媒が特に好ましい。
【0112】
[B]溶媒として、炭素数4〜10の1価アルコール類及び炭素数4〜10のアルキル鎖を有する脂肪族エーテル類を含む場合には、炭素数4〜10の1価アルコール類と炭素数4〜10のアルキル鎖を有する脂肪族エーテル類の混合比(質量)としては、1:99〜90:10であることが好ましく、2:98〜70:30であることがより好ましく、5:95〜60:40であることがさらに好ましく、10:90〜50:50であることが特に好ましい。
【0113】
<任意成分>
当該液浸上層膜形成用組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、[A1]重合体、[A2]重合体及び[B]溶媒以外の任意成分を含有できる。各任意成分は、それぞれ1種又は2種以上を併用できる。また、任意成分の配合量は、その目的に応じて適宜決定することができる。
【0114】
上記任意成分としては、例えば、界面活性剤等が挙げられる。上記界面活性剤としては、例えば、全て商品名で、BM−1000、BM−1100(以上、BMケミー製)、メガファックF142D、同F172、同F173、同F183(以上、大日本インキ化学工業製)等の市販のフッ素系界面活性剤が挙げられる。上記界面活性剤の含有量としては、[A]重合体100質量部に対して5質量部以下が好ましい。
【0115】
<液浸上層膜形成用組成物の調製方法>
当該液浸上層膜形成用組成物は、[A1]重合体、[A2]重合体、[B]溶媒等を所定の割合で混合することにより調製できる。
【0116】
<レジストパターン形成方法>
本発明のレジストパターン形成方法は、
(1)レジスト組成物を用い、基板上にレジスト膜を形成する工程、
(2)当該液浸上層膜形成用組成物を用い、上記レジスト膜上に液浸上層膜を形成する工程、
(3)上記レジスト膜及び液浸上層膜を、液浸媒体を介して露光する工程、及び
(4)上記露光されたレジスト膜及び液浸上層膜を現像する工程
を有する。
【0117】
当該レジストパターン形成方法が上記特定の工程を有することで、当該レジストパターン形成方法は、撥水性、耐溶出性及び溶解性についての特性を満たしつつ、剥がれ耐性及び露光余裕度をバランス良く両立することができる。以下、各工程について説明する。
【0118】
[工程(1)]
本工程は、レジスト組成物を用い、基板上にレジスト膜を形成する工程である。上記基板としては、例えば、シリコンウエハ等が挙げられる。
【0119】
上記レジスト組成物としては、例えば、酸発生剤を含有するポジ型又はネガ型の化学増幅型レジスト組成物、アルカリ可溶性樹脂とキノンジアジド系感光剤とからなるポジ型レジスト組成物、アルカリ可溶性樹脂と架橋剤とからなるネガ型レジスト組成物等が挙げられる。なお、レジスト組成物として、市販のレジスト組成物を使用することもできる。レジスト膜の形成方法としては塗布方法が好ましく、例えば、スピンコート法等の公知の方法により塗布することができる。なお、レジスト組成物を塗布する際には、形成されるレジスト膜が所望の膜厚となるように、塗布するレジスト組成物の量を調整する。なお、レジスト組成物を基板上に塗布した後、溶媒を揮発させるためにプレベーク(以下、「PB」ともいう。)を行ってもよい。
【0120】
[工程(2)]
本工程は、当該液浸上層膜形成用組成物を用い、上記レジスト膜上に液浸上層膜を形成する工程である。
【0121】
本工程では、例えば当該液浸上層膜形成用組成物を塗布した後、焼成することが好ましい。この焼成により液浸媒体とレジスト膜とが直接接触しなくなるため、液浸媒体がレジスト膜に浸透することに起因するレジスト膜のリソグラフィー性能が低下したり、レジスト膜から液浸媒体に溶出した成分によって投影露光装置のレンズが汚染されたりすることを効果的に防止できる。液浸上層膜を形成する方法は、上記レジスト組成物に代えて当該液浸上層膜形成用組成物を用いること以外は、上記レジスト膜を形成する方法と同様の方法を採用することができる。
【0122】
[工程(3)]
本工程は、液浸上層膜とレンズとの間に液浸媒体を介在させて放射線をレジスト膜及び液浸上層膜に照射し、レジスト膜及び液浸上層膜を露光する工程である。
【0123】
上記液浸媒体としては、通常、空気より屈折率の高い液体を使用する。具体的には、水を用いることが好ましく、純水を用いることがさらに好ましい。この液浸媒体を介在させた状態、すなわち、レンズと液浸上層膜との間に液浸媒体を満たした状態で、露光装置から放射線を照射し、所定のパターンを有するマスクを介してレジスト膜及び液浸上層膜を露光する。
【0124】
上記放射線としては、例えば、可視光線;g線、i線等の紫外線;エキシマレーザー光等の遠紫外線;X線;電子線等が挙げられる。これらの中でも、ArFエキシマレーザー光(波長193nm)及びKrFエキシマレーザー光(波長248nm)が好ましい。なお、放射線量等の照射条件は、レジスト組成物、液浸上層膜形成用組成物等に応じて適宜設定することができる。
【0125】
[工程(4)]
本工程は、露光されたレジスト膜及び液浸上層膜を現像液により現像し、レジストパターンを形成する工程である。液浸上層膜は、当該液浸上層膜形成用組成物から形成されているため、現像液により液浸上層膜を容易に除去することができ、液浸上層膜を除去するための特別な工程を必要としない。
【0126】
上記現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、珪酸ナトリウム、メタ珪酸ナトリウム、アンモニア、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、テトラアルキルアンモニウムヒドロキシド類(例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、テトラエチルアンモニウムヒドロキシドなど)、ピロール、ピペリジン、コリン、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]−5−ノナン等のアルカリ性化合物を少なくとも1種溶解したアルカリ性水溶液が好ましく、これらの中でも、テトラアルキルアンモニウムヒドロキシド類の水溶液がより好ましい。なお、この現像液には、例えば、メタノール、エタノール等のアルコール類等の水溶性有機溶媒や、界面活性剤を適量添加することもできる。
【0127】
なお、レジスト膜の解像度等を向上させるために、露光後現像前に焼成を行うことが好ましい。焼成温度は、使用するレジスト組成物、液浸上層膜形成用組成物等によって適宜設定することができるが、30〜200℃が好ましく、50〜150℃がより好ましい。
【実施例】
【0128】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に制限されるものではない。
【0129】
なお、[A1]重合体及び[A2]重合体の成膜状態での水との後退接触角は、以下の方法により測定した。
【0130】
<[A1]重合体及び[A2]重合体の後退接触角の測定方法>
各重合体をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに溶解させた後、この溶液をシリコンウエハ上にスピンコートし、90℃で60秒間PBを行い、膜厚30nmの液浸上層膜を形成した。その後、後退接触角測定装置(DSA−10、KRUS製)に上記ウエハをセットし、このウエハ上に針から水を排出させて25μLの水滴を形成し、一旦針を水滴から引き抜いた後、再び針を水滴内に挿入し、この針により10μL/minの速度で90秒間水滴を吸引しながら毎秒1回の頻度で後退接触角を測定した。そして、測定値が安定した後の20秒間の後退接触角の平均値を算出し、その平均値を後退接触角とした。
【0131】
また、各重合体における各構造単位の含有率(モル%)を求めるための13C−NMR分析は、核磁気共鳴装置(JNM−ECX400、日本電子製)を使用した。
【0132】
<各重合体の合成>
下記式(M−1)〜(M−10)で表される単量体を用いて各重合体を合成した。
【0133】
【化13】

【0134】
[合成例1](A1−1)の合成
(M−1)0.37g(5モル%)、(M−3)19.39g(93モル%)、(M−6)0.24g(2モル%)、及び重合開始剤として2,2’−アゾビス−(2−メチルプロピオン酸メチル)1.33gをイソプロパノール20.00gに溶解させた単量体溶液を準備した。
一方、温度計及び滴下漏斗を備えた200mLの三つ口フラスコにイソプロパノール50gを投入し、30分間窒素パージした。窒素パージの後、フラスコ内をマグネティックスターラーで攪拌しながら、80℃になるように加熱した。
そして、滴下漏斗を用い、予め準備しておいた単量体溶液を3時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに3時間反応を行った。その後、30℃以下に冷却して、重合液を得た。
得られた上記重合液を60gに濃縮した後、分液漏斗に移した。この分液漏斗にn−ヘプタン150gを投入し、分離精製を実施した。分離後、下層液を回収した。回収した下層液に4−メチル−2−ペンタノールを45g、水95gを加えて分離精製を実施し、分離後、上層液を回収した。回収した上層液は、4−メチル−2−ペンタノールに置換し、重合体(A1−1)を含む溶液を得た。得られた重合体(A1−1)のMwは10,000、Mw/Mnは1.6であり、収率は50%であった。13C−NMR分析分析の結果、(M−1)、(M−3)、(M−6)に由来する構造単位の含有率は、それぞれ5モル%、93モル%、2モル%であった。
【0135】
[合成例2〜11](A1−2)〜(A2−5)の合成
配合する単量体の種類及び使用量を表1に記載した通りとした以外は、合成例1と同様に操作し、各重合体を合成した。各重合体の後退接触角、Mw及びMw/Mnを表1に示す。なお、表1中の「−」は、該当する単量体を配合しなかったことを示す。
【0136】
【表1】

【0137】
<液浸上層膜形成用組成物の調製>
液浸上層膜形成用組成物の調製に用いた重合体以外の成分について以下に示す。
【0138】
[B]溶媒
B−1:4−メチル−2−ペンタノール
B−2:ジイソアミルエーテル
【0139】
[実施例1]
[A1]重合体として(A1−1)80質量部、[A2]重合体として(A2−1)20質量部、並びに[B]溶媒として(B−1)3,730質量部及び(B−2)932質量部を配合し、液浸上層膜形成用組成物を調製した。
【0140】
[実施例2〜24及び比較例1、2]
配合する各成分の種類及び配合量(質量部)を表2に記載した通りとした以外は、実施例1と同様に操作して、各液浸上層膜形成用組成物を調製した。なお、表2中の「−」は、該当する成分を配合しなかったことを示す。
【0141】
【表2】

【0142】
<レジスト組成物に含有される重合体の合成>
下記式(M−11)〜(M−13)で表される単量体を用い、レジスト組成物に含有される重合体を合成した。
【0143】
【化14】

【0144】
[合成例12]
500mLのフラスコに、(M−11)47.54g(46モル%)、(M−12)12.53g(15モル%)、(M−13)39.93g(39モル%)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート4.08g、2−ブタノン200gを仕込み、窒素下、80℃で6時間し重合反応を行った。重合終了後、重合溶液を水冷することにより30℃以下に冷却した後、2,000gのメタノールへ投入して重合体を析出させ、この重合体をろ別後、800gのメタノールを加えて重合体を洗浄した。この重合体を更にろ別後、50℃にて17時間乾燥し、重合体(P−1)を得た(73g、収率73%)。この重合体は、Mwが5,700、Mw/Mnが1.7であった。また、13C−NMR分析の結果、(M−11)、(M−12)及び(M−13)に由来する各構造単位の含有率が、それぞれ51.4モル%、14.6モル%、34.0モル%の共重合体であった。
【0145】
<レジスト組成物の調製>
重合体として(P−1)100質量部、酸発生剤としてトリフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート1.5質量部及び1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート6質量部、酸拡散制御剤としてR−(+)−(tert−ブトキシカルボニル)−2−ピペリジンメタノール0.65質量部を混合し、この混合物に、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート2,900質量部、シクロヘキサノン1,250質量部及びγ−ブチロラクトン100質量部を加えて、固形分濃度を5質量%に調整し、孔径30nmのフィルターでろ過することにより、レジスト組成物を調製した。
【0146】
<評価>
撥水性、耐溶出性、溶解性、剥がれ耐性及び露光余裕度を評価し、その結果を表3に示す。
【0147】
[撥水性]
シリコンウエハ上に、各液浸上層膜形成用組成物をスピンコートし、90℃で60秒間PBを行い、膜厚30nmの液浸上層膜を形成した。その後、後退接触角測定装置(DSA−10、KRUS製)に上記ウエハをセットし、このウエハ上に針から水を排出させて25μLの水滴を形成し、一旦針を水滴から引き抜いた後、再び針を水滴内に挿入し、この針により10μL/minの速度で90秒間水滴を吸引しながら毎秒1回の頻度で後退接触角を測定した。そして、測定値が安定した後の20秒間の後退接触角の平均値を算出し、この値が75°以上であれば撥水性は特に良好「AA」、70°以上75°未満であれば良好「A」、70°未満であれば不良「B」とした。
【0148】
[耐溶出性]
シリコンウエハ上に中央部がくり抜かれたシリコーンゴムを載せ、そのくり抜き部を超純水10mLで満たした。そして、レジスト膜及び液浸上層膜が形成された他のシリコンウエハを重ねて液浸上層膜と超純水とが接触するようにした。なお、レジスト膜は、上記レジスト組成物をウエハ上にスピンコートした後、115℃で60秒間ベークして形成した(膜厚205nm)。また、液浸上層膜は、上記レジスト膜上に、上記各液浸上層膜形成用組成物をスピンコートした後、90℃で60秒間ベークして形成した(膜厚30nm)。
【0149】
そして、液浸上層膜と超純水とを10秒間接触させた後、上記他のシリコンウエハを取り除き、超純水を回収してその中に溶解している酸発生剤及び酸拡散制御剤の溶出量を液体クロマトグラフ質量分析計(LC部:AGILENT製 SERIES1100、MS部:Perseptive Biosystems,Inc.製 Mariner)により測定した。なお、測定は、カラム(CAPCELL PAK MG、資生堂製)1本を用い、測定温度:35℃、流量:0.2mL/分、流出溶媒:水/メタノール(3/7)に0.1質量%のギ酸を添加したもの、にて行った。このとき、酸発生剤及び酸拡散制御剤共に溶出量が5.0×10−12mol/cm以下であれば耐溶出性は良好「A」、少なくともいずれかが5.0×10−12mol/cmを超えていれば不良「B」とした。
【0150】
[溶解性]
シリコンウエハ上に各液浸上層膜形成用組成物をスピンコートし、90℃で60秒間PBを行い、膜厚90nmの塗膜を形成した。そして、2.38質量%TMAH水溶液により60秒間パドル現像を行い、乾燥後、ウエハ表面を観察し、その結果を溶解性とした。このとき、残渣がなければ溶解性は良好「A」、残渣が観察されれば不良「B」とした。
【0151】
[剥がれ耐性]
HMDS(ヘキサメチルジシラザン)処理をしていないシリコンウエハ上に、レジスト組成物をスピンコートし、100℃で60秒PBを行って膜厚100nmのレジスト膜を形成した。そして、このレジスト膜上に各液浸上層膜形成用組成物をスピンコートし、90℃で60秒PBを行って膜厚30nmの液浸上層膜を形成した。そして、半導体製造装置(CLEAN TRACK ACT8、東京エレクトロン製)を用いて純水によるリンスを60秒間行った後、乾燥させた。その後、目視により液浸上層膜の剥がれの有無を観測し、その結果を剥がれ耐性とした。このとき、剥がれが観測されなければ剥がれ耐性は良好「A」、観測されれば不良「B」とした。
【0152】
[露光余裕度]
シリコンウエハ上に、レジスト組成物をスピンコートし、100℃で60秒間PBを行って膜厚100nmのレジスト膜を形成した。そして、このレジスト膜上に各液浸上層膜形成用組成物をスピンコートし、90℃で60秒PBを行って膜厚30nmの液浸上層膜を形成した。そして、液浸露光装置(S610C,Nikon製)を使用し、線幅50nmの1:1のラインアンドスペース形成用マスクを用いて超純水(液浸媒体)による液浸露光を行った後、2.38質量%TMAH水溶液により25℃で60秒現像し、水洗し、乾燥してレジストパターンを形成した。このとき、線幅が設計寸法の±10%となる露光量を測定し、最適露光量(線幅50nmの1:1のラインアンドスペースが形成される露光量)に対する上記露光量の割合を算出して、この割合を露光余裕度とした。なお、線幅は、走査型電子顕微鏡(S9260A、日立ハイテクノロジーズ製)を用いて測定した。このとき、上記割合が15%以上であれば露光余裕度は良好「A」、15%未満であれば不良「B」とした。
【0153】
【表3】

【0154】
表3の結果から分かるように、撥水性、耐溶出性及び溶解性については、それぞれ、実施例及び比較例共に良好であった。また、剥がれ耐性及び露光余裕度については、比較例はいずれかが不良であったのに対し、実施例はいずれも良好であった。
【産業上の利用可能性】
【0155】
本発明は、撥水性、耐溶出性及び溶解性についての特性を満たしつつ、剥がれ耐性及び露光余裕度をバランス良く両立することができる液浸上層膜形成用組成物及びレジストパターン形成方法を提供することができる。従って、当該液浸上層膜形成用組成物及びレジストパターン形成方法は、レジストパターンの更なる微細化が進む半導体デバイスの製造プロセスに好適に適用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
[A1]下記式(i)で表される基を含む構造単位(I−1)を有する重合体、
[A2]上記[A1]重合体と異なる重合体、及び
[B]溶媒
を含有する液浸上層膜形成用組成物。
【化1】

(式(i)中、Rは、炭素数1〜20の(n+1)価の炭化水素基である。nは、1〜3の整数である。)
【請求項2】
[A2]重合体の成膜状態での水との後退接触角が、[A1]重合体よりも大きい請求項1に記載の液浸上層膜形成用組成物。
【請求項3】
上記構造単位(I−1)が、下記式(1)で表される請求項1又は請求項2に記載の液浸上層膜形成用組成物。
【化2】

(式(1)中、R及びnは、上記式(i)と同義である。Rは、水素原子、メチル基、フッ素原子又はトリフルオロメチル基である。)
【請求項4】
[A2]重合体が、下記式(2)で表される基を含む構造単位及び下記式(3)で表される基を含む構造単位からなる群より選択される少なくとも1種の構造単位(II−1)を有する請求項1、請求項2又は請求項3に記載の液浸上層膜形成用組成物。
【化3】

(式(2)中、R及びRは、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のフッ素化アルキル基である。但し、上記R及びRのうち、少なくともいずれかは、炭素数1〜4のフッ素化アルキル基である。
式(3)中、Rは、炭素数1〜20のフッ素化アルキル基である。)
【請求項5】
[A2]重合体が、下記式(4)で表される構造単位(II−2)をさらに有する請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の液浸上層膜形成用組成物。
【化4】

(式(4)中、Rは、水素原子、メチル基、フッ素原子又はトリフルオロメチル基である。Rは、炭素数1〜12の1価のフッ素化炭化水素基である。)
【請求項6】
[A1]重合体が、下記式(2’)で表される基を含む構造単位及び下記式(3’)で表される基を含む構造単位からなる群より選択される少なくとも1種の構造単位(I−2)をさらに有する請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の液浸上層膜形成用組成物。
【化5】

(式(2’)中、R及びRは、上記式(2)と同義である。
式(3’)中、Rは、上記式(3)と同義である。)
【請求項7】
[A1]重合体が、スルホ基を含む構造単位(I−3)をさらに有する請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の液浸上層膜形成用組成物。
【請求項8】
[B]溶媒が、エーテル系溶媒を含む請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の液浸上層膜形成用組成物。
【請求項9】
(1)レジスト組成物を用い、基板上にレジスト膜を形成する工程、
(2)請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の液浸上層膜形成用組成物を用い、上記レジスト膜上に液浸上層膜を形成する工程、
(3)上記レジスト膜及び液浸上層膜を、液浸媒体を介して露光する工程、及び
(4)上記露光されたレジスト膜及び液浸上層膜を現像する工程
を有するレジストパターン形成方法。

【公開番号】特開2013−83931(P2013−83931A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−165033(P2012−165033)
【出願日】平成24年7月25日(2012.7.25)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】