説明

液滴を操作するためのデバイスおよび方法

【課題】少なくとも1つの液滴を操作するためのマイクロ流体デバイスおよび方法を提供すること。
【解決手段】本デバイスは、平行であり、離間距離(H)だけ相互に離間された、第1のマイクロ流体表面および第2のマイクロ流体表面と、前記第1の表面の上に配置された少なくとも1つの第1の電気変位経路と、前記第2の表面の上に配置された少なくとも1つの第2の電気変位経路とを備える。第1の経路および第2の経路の少なくとも一方は、前記経路に沿って各流体フィンガを形成するように構成され、前記流体フィンガは、毛管作用により少なくとも1つの各液滴を生成することによって破裂する。第1の経路および第2の経路は、前記第1の表面と前記第2の表面との間の離間距離が、一方においては各流体フィンガにより形成される流体厚さよりも大きく、他方においては各液滴により形成される流体厚さよりも小さくなるように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロ流体デバイスにおける液滴の形成および操作の全般分野に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの分野において、少量の液体試料を分析するために可能な限り最も簡易かつ低介入的な態様において液滴を形成および操作することが要求される。
【0003】
この要求は、例えば、化学分析、生物学的診断もしくは医学的診断のためなど、または農業食品工学もしくは遺伝子工学の分野において、2つの溶液間における生物学的相互作用および/または化学的相互作用の確立を目的とする場合などに当てはまり得る。
【0004】
例としては、バイオチップを挙げることができる。このバイオチップは、分子生物学の分野において、核酸(DNAおよび/またはRNA)の交配、あるいは抗原/抗体、タンパク/受容体、タンパク/タンパク、酵素/基質、等々のタイプの相互作用を分析するためのマクロシステムを構成する。さらに、これらの化学的相互作用および/または生物学的相互作用に関連付けられる運動学的パラメータまたは平衡定数の取得を試みることが可能である。
【0005】
一般的には、液滴または流体流の操作は、流体力学的手段、電気的手段、または磁気的手段を用いて実施することが可能である。例えばエレクトロウェッティングの効果による操作および誘電泳動の効果による操作など、操作のための複数の技術を利用することが可能である。
【0006】
EWODエレクトロウェッティング(誘電体上におけるエレクトロウェッティング)は、複数の初歩的な流体操作の実施を可能にする。この技術は、一般的には、表面上において液滴を徐々に近づけるように前進させるために適切な制御に従い連続的にスイッチングされる電極マットを使用する。EWODによる液滴の変位は、カバー上の電極と基板上の別の電極との間の電位差を利用することにより実施することが可能である。そのため、液滴は、これら2つの面に直接的に接触した状態にある。また、アノード電極と周囲の電界との間に電位差を印加することにより一方の電極から別の電極へと液滴を変位させることが可能である。しかし、液滴は、形成されるとすぐにその固有の体積を持ち、対面する面と接触状態になれないか、または対面する面と常に接触状態になる。この特徴を制御することは不可能である。同様に、この技術は、異なる液体流を使用して対面し合う液滴を形成することができない。
【0007】
誘電泳動方法LDEPは、表面上に液滴を形成するために利用される。しかし、これまで、この技術は、開構成(すなわちカバーを有さない)において適用されるか、またはEWODによる液滴の変位と同一の(すなわち、表面上の電極網とカバー上の質量に相当する電極との間の電位差を用いた)構成で閉じられてきた。この構成においては、液体は、基板およびカバーと接触状態にある。
【0008】
液体誘電泳動により表面上の液体を操作する機構について言及している複数の研究がある。
【0009】
特許出願WO2006025982、ならびにAhmedおよびJonesによる「Optimized liquid DEP droplet dispensing」(J. Micromech. Microeng.、17(2007年)、1052〜1058頁)と題する記事は、カバーを有さない開構成においてLDEPにより液滴を形成するためのデバイスについて記載している。このデバイスは、基板と誘電体材料で覆われた2つの共平面電極とを備えるマイクロ流体プラットフォームから構成される。AC信号が、2つの電極間に印加され、その結果としてこれらの電極は、プラットフォーム上において液体の変位を生じさせる。
【0010】
別の出願である米国特許20110056834は、互いに離間された2つの同様の対面するLDEPプラットフォームを備える閉マイクロ流体デバイスについて記載している。第1のプラットフォーム(または基板)は、互いに分離されAC信号により個別に作動される電極を備え、第2のプラットフォーム(またはカバー)は、質量の役割を果たす電極を備える。この構成により、LDEP効果による複数方向への液体流の変位が可能となる。しかし、液体は、変位されることが可能となるには、カバーの電極および基板の電極の両方に接触することが必要となる。そのため、このデバイスでは、ある表面から別の表面への液体の移動は、または液滴の正確かつ再現可能な形成および操作は、可能とはならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】WO2006025982
【特許文献2】米国特許20110056834
【特許文献3】WO2009/141515
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】AhmedおよびJonesによる「Optimized liquid DEP droplet dispensing」(J. Micromech. Microeng.、17(2007年)、1052〜1058頁)
【非特許文献2】Jonesによる「Liquid dielectrophoresis on the microscale」(J. Electrostat、51〜52 (2001年)、290〜299頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、液滴を形成および操作するための、より効果的かつより正確なデバイスおよび方法を提案することにより、前述の欠点を解消することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、目的に合わせて、液滴を操作するためのマイクロ流体デバイスを有し、このマイクロ流体デバイスは、
− 離間距離だけ相互に離間された、第1および第2の平行なマイクロ流体表面と、
− 前記第1の表面の上に配置された少なくとも1つの第1の電気変位経路と、
− 前記第2の表面の上に配置された少なくとも1つの第2の電気変位経路であって、前記第1の経路および前記第2の経路が、それらの間に少なくとも1つの交差ゾーンを画定する、第2の電気変位経路と
を備え、
− 前記第1の経路および前記第2の経路の少なくとも一方が、電気的活性化の効果の下において液体誘電泳動により関心液体の対応するリザーバから前記経路に沿って各流体フィンガを形成するように構成され、このリザーバは、前記液体を対応する表面と接触状態に置くことが可能となるように配置され、前記流体フィンガは、電気的不活性化の効果の下において毛管作用により前記少なくとも1つの交差ゾーンにおいて前記流体フィンガから少なくとも1つの各液滴を生成することによって破裂し、
− 前記第1の経路および前記第2の経路は、前記第1の表面と前記第2の表面との間の前記離間距離が、一方においては各流体フィンガにより形成される流体厚さよりも大きく、他方においては各液滴により形成される流体厚さよりも小さくなるように、構成される。
【0015】
そのため、第1の経路および第2の経路の一方の上に形成された流体フィンガは、前記第1の経路および前記第2の経路の他方による衝突を受けることはなくなり、また同時に第1の経路および第2の経路のそれぞれが第1の経路および第2の経路のいずれか一方の上に形成された液滴と相互作用するのを依然として可能にする。これにより、ある平面から別の平面に液滴を移動させること、ならびに液滴を混合させて種々の溶液間において生物学的相互作用および/または化学的相互作用を同時に生じさせることを必要とする多くの用途のために、1つまたは複数の位置の上におよび1つまたは2つの表面の上において液滴を形成および操作することが可能となる。
【0016】
2つの流体が、混和性を有する場合には、混合は、互いに対向して形成されたその2つの液滴を接触状態に置く際に得られる。しかし、混合は、非混和性液体の関与も意味し、その場合には、混合は、2相となり、すなわち2つの非混和性液相を含み、液相は、例えば第2の液相に封じ込められる。
【0017】
本発明の第1の実施形態によれば、前記第1の電気変位経路は、電気的活性化の効果の下において第1の関心液体の第1のリザーバから第1の流体フィンガを形成するために、前記第1の表面の上に配置された実質的に平行かつ共平面内に位置する第1の電極対を備え、前記第2の電気変位経路は、電気的活性化の効果の下において第2の関心液体の第2のリザーバから第2の流体フィンガを形成するために、前記第2の表面の上に配置された実質的に平行かつ共平面内に位置する第2の電極対を備え、前記第1の流体フィンガおよび前記第2の流体フィンガは、前記不活性化の効果の下において毛管作用により少なくとも1つの各第1の液滴および少なくとも1つの第2の液滴を生成することによって破裂し、前記少なくとも1つの各第1の液滴および前記少なくとも1つの第2の液滴は、前記少なくとも1つの交差ゾーンにおいて混合されて、少なくとも1つのグローバル液滴(global drop)を形成する。
【0018】
これにより、接触状態に置くことなく第1の流体フィンガおよび第2の流体フィンガを交差させ、2つの異なる表面から液体を形成して、接触させることが可能となる。そのため、このデバイスは、例えば2つの液体ボリューム間の相互作用または反応などを必要とする様々な用途を実施するために液滴を操作するのに理想的なものである。
【0019】
有利には、前記第1の電極対は、複数の第1の液滴形成ゾーンを備え、これにより、前記第1の電極対の不活性化にて、第1の流体フィンガは、複数の第1の液滴へと破裂して、各液滴は、前記第1の液滴形成ゾーンの中の1つの上に位置をとる。
【0020】
これにより、第1の表面の計画位置に再現可能な態様で液滴を形成することが可能となる。
【0021】
有利には、前記第2の電極対は、第1の別個の液滴形成ゾーンに対面するようにそれぞれが配置されることにより複数の交差ゾーンを形成する複数の第2の液滴形成ゾーンを備え、これにより、前記第2の電極対の不活性化にて、第2の流体フィンガは、複数の第2の液滴へと破裂して、各液滴は、前記第2の液滴形成ゾーンの中の1つの上に位置をとり、各第2の液滴は、第1の対応する液滴と接触状態になることにより、対応する交差ゾーンにおいてグローバル液滴を形成する。
【0022】
これにより、完全に再現可能な態様で、および良好に規定された位置にて、第1の表面の液滴と第2の表面の液滴との混合物を形成することが可能となる。
【0023】
第1の実施形態のある特定の構成によれば、前記第1の表面は、m個の第1の電極対からなる第1の電極網を備え、各対は、n個の第1の液滴形成ゾーンからなる一連のゾーンを備えることにより、第1のセットのnm個の第1の液滴形成ゾーンを形成し、前記第2の表面は、n個の第2の電極対からなる第2の電極網を備え、各対は、m個の第2の液滴形成ゾーンからなる一連のゾーンを備えることにより、第2のセットのnm個の第2の液滴形成ゾーンを形成し、前記nm個の第1の液滴形成ゾーンは、前記nm個の第2の液滴形成ゾーンと交差することによりnm個の交差ゾーンのセットを形成する。
【0024】
これにより、少なくとも2つの溶液を用いて非常に多数の様々な液滴を同時におよび自動的に相互作用させることが可能となる。
【0025】
有利には、前記第2の電極対は、前記第2の電極対に沿って位置する少なくとも1つの第2の液滴および/または少なくとも1つのグローバル液滴を変位させるように構成される。
【0026】
これにより、例えば、液滴を形成するためのゾーンを備えない第2の電極を使用し、第2の液滴を変位させて、前記第1の電極対の第1の液滴形成ゾーンに位置する第1の対応する液滴と接触させることにより、対応するグローバル液滴を形成することが可能となる。また、これにより、第2の液滴および/またはグローバル液滴を変位させて、様々な化学的プロトコルおよび/または生物学的プロトコルを求めることが可能となる。
【0027】
第2の実施形態によれば、前記第1の電気変位経路は、前記電気的活性化の効果の下において液体誘電泳動により関心液体のリザーバから流体フィンガを形成するために、前記第1の表面の上に配置された実質的に平行かつ共平面内に位置する第1の電極対を備え、前記流体フィンガは、前記不活性化の効果の下において毛管作用により少なくとも1つの液滴を生成することにより破裂し、前記第2の電気変位経路は、第2の電極を備えることにより、前記第2の電極の電気的活性化の効果の下において前記少なくとも1つの液滴を変位させる。
【0028】
これにより、第1の表面上に液滴を形成すること、別の表面上にそれらの液滴を移動させること、ならびに次いでこの第2の表面の上においてそれらの液滴を変位させて、様々な生物学的用途および/または化学的用途のために様々なプロトコルを実施することが可能となる。
【0029】
有利には、本デバイスは、前記少なくとも1つの交差ゾーンの上に形成された液滴の成分を検出する手段を備える。
【0030】
これにより、液体の化学的特性および/または生物学的特性を分析することが可能となる。
【0031】
第1の代替的な実施形態によれば、前記検出手段は、前記少なくとも1つの液滴の上に光を発するための光源と、前記少なくとも1つの液滴により拡散される光を受けるための受光手段とを備える、光学的手段である。
【0032】
これにより、短縮された時間で同時にかつ正確に試料を操作および分析することが可能となる。
【0033】
別の代替形態によれば、前記検出手段は、前記第1の表面および前記第2の表面のいずれか一方に属する検出表面を形成する表面を有する少なくとも1つの平坦状発振器を備える電気機械的手段である。
【0034】
これにより、試料の効果的な操作および分析の両方を行うための単純、コンパクト、かつ自律的なデバイスを得ることが可能となる。
【0035】
有利には、前記検出表面は、前記少なくとも1つの液滴により覆われるように意図された親水性ゾーンを有する。
【0036】
これにより、最適な検出を得るために検出表面の最も感度の高い位置に液体を配置することが可能となる。
【0037】
有利には、前記第1の電極対および前記第2の電極対はそれぞれ、誘電体層により覆われる。
【0038】
これにより、液体と電極との間の直接的な接触が防がれて、液体の電気分解を防止することが可能となる。
【0039】
また、本発明は、液滴を操作するための方法に関し、この方法は、
− 第1の関心液体を備える少なくとも1つの第1のリザーバを第1のマイクロ流体表面の上に配置された少なくとも1つの第1の対応する電気変位経路と接触状態に置くステップと、
− 第2の関心液体を備える少なくとも1つの第2のリザーバを第2のマイクロ流体表面の上に配置された少なくとも1つの第2の対応する電気変位経路と接触状態に置くステップであって、前記第1の表面および前記第2の表面が、平行であり、離間距離だけ相互に離間され、前記少なくとも1つの第1の変位経路および前記少なくとも1つの第2の変位経路が、それらの間に少なくとも1つの交差ゾーンを画定する、ステップと、
− 前記少なくとも1つの第1の変位経路を活性化することにより、前記第1の経路に沿って第1の対応する流体フィンガを形成するステップと、
− 前記少なくとも1つの第2の変位経路を活性化することにより、前記第2の経路に沿って第2の対応する流体フィンガを形成するステップと、
− 前記少なくとも1つの第1の変位経路を不活性化することにより、毛管作用によって前記少なくとも1つの交差ゾーンに位置する少なくとも1つの第1の液滴を生成することによって第1の対応する流体フィンガを破裂させるステップと、
− 前記少なくとも1つの第2の変位経路を不活性化することにより、毛管作用によって前記少なくとも1つの交差ゾーンに位置する少なくとも1つの第2の液滴を生成することによって第2の流体フィンガを破裂させるステップであって、前記第1の表面と前記第2の表面との間の前記離間距離が、一方においては前記第1の流体フィンガおよび前記第2の流体フィンガの合計厚さよりも大きく、他方においては前記第1の液滴および前記第2の液滴の合計厚さよりも小さく、これにより、前記第1の液滴および前記第2の液滴は、前記少なくとも1つの交差ゾーンにおいて共に混合されて、少なくとも1つのグローバル液滴を形成する、ステップと
を含む。
【0040】
有利には、本方法は、
− m個の第1の関心液体を備えるm個の第1のリザーバのセットをm個の第1の対応する経路からなる経路網と接触状態に置くステップであって、このm個の第1の対応する経路はそれぞれ、n個の第1の液滴形成ゾーンからなる一連のゾーンを備えることにより、第1のセットのnm個の第1の液滴形成ゾーンを形成する、ステップと、
− n個の第2の関心液体を備えるn個の第2のリザーバのセットをn個の対応する第2の経路からなる経路網と接触状態に置くステップであって、このn個の対応する第2の経路はそれぞれ、m個の第2の液滴形成ゾーンからなる一連のゾーンを備えることにより、第2のセットのnm個の第2の液滴形成ゾーンを形成し、前記nm個の第1の液滴形成ゾーンは、前記nm個の第2の液滴形成ゾーンとそれぞれ交差することによりnm個の対応する交差ゾーンのセットを形成する、ステップと、
− m個の第1の経路からなる前記経路網を活性化することにより、m個の第1の対応する流体フィンガからなるフィンガ網を形成するステップと、
− n個の第2の経路からなる前記経路網を活性化することにより、n個の第2の対応する流体フィンガからなるフィンガ網を形成するステップと、
− m個の第1の経路からなる前記経路網を不活性化することにより、毛管作用によって前記第1のセットのnm個の第1の液滴形成ゾーンにおいてnm個の第1の液滴のセットを生成することによってm個の第1の対応する流体フィンガを破裂させるステップと、
− n個の第2の経路からなる前記経路網を不活性化することにより、毛管作用によって前記第2のセットのnm個の第2の液滴形成ゾーンにおいてnm個の第2の液滴のセットを生成することによってn個の第2の対応する流体フィンガを破裂させるステップであって、nm個の液滴は、nm個の第2の対応する液滴と混合して、nm個の対応する交差ゾーンにおいてnm個のグローバル液滴のセットを形成する、ステップと
を含む。
【0041】
有利には、前記m個の第1のリザーバは、様々な特性の第1の溶液のm個の第1の試料をそれぞれ備え、前記n個の第2のリザーバは、様々な特性の第2の溶液のn個の第2の試料をそれぞれ備え、これによりnm個の様々なグローバル液滴を形成する。
【0042】
有利には、本方法は、光学的手段、電気機械的手段、または電気生理学的手段により、前記第1の溶液と前記第2の溶液との間の様々な相互作用を検出するステップを含むことが可能である。
【0043】
また、本発明は、液滴を操作するための方法に関し、この方法は、
− 関心液体を備える少なくとも1つのリザーバを第1のマイクロ流体表面の上に配置された少なくとも1つの第1の対応する電気変位経路と接触状態に置くステップであって、前記第1の表面が、第2のマイクロ流体表面に対して平行であり、第2のマイクロ流体表面から離間距離だけ離間され、前記第2の表面が、少なくとも1つの第2の電気変位経路を備え、この少なくとも1つの第2の電気変位経路が、前記少なくとも1つの第1の経路との間に少なくとも1つの交差ゾーンを画定する、ステップと、
− 前記少なくとも1つの第1の変位経路を活性化することにより、前記第1の経路に沿って対応する流体フィンガを形成するステップと、
− 前記少なくとも1つの第1の変位経路を不活性化することにより、毛管作用によって前記少なくとも1つの交差ゾーンに位置する少なくとも1つの液滴を生成することによって対応する流体フィンガを破裂させるステップであって、前記第1の表面と前記第2の表面との間の前記離間距離が、一方においては前記流体フィンガの厚さよりも大きく、他方においては前記少なくとも1つの液滴の厚さよりも小さい、ステップと、
− 前記少なくとも1つの第2の変位経路を活性化することにより、前記少なくとも1つの液滴を変位させるステップと
を含む。
【0044】
本発明の他の利点および特徴が、以下の非限定的な詳細な説明において明らかになろう。
【0045】
以下、添付の図面を参照として、非限定的な例として本発明の実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明による液滴を操作するためのマイクロ流体デバイスの概略図である。
【図2】本発明の第1の好ましい実施形態による操作用デバイスの長手方向概略断面図である。
【図3A】図2に示すデバイスの上方基板の概略底面図である。
【図3B】図2に示すデバイスの上方基板の概略底面図である。
【図3C】図2に示すデバイスの下方基板の概略上面図である。
【図3D】図2に示すデバイスの下方基板の概略上面図である。
【図3E】図2に示すデバイスの変位電極の一部分の詳細図である。
【図4A】液体の液滴の形成を示す、図2に示すデバイスの長手方向概略断面図である。
【図4B】液体の液滴の形成を示す、図2に示すデバイスの長手方向概略断面図である。
【図4C】液体の液滴の形成を示す、図2に示すデバイスの長手方向概略断面図である。
【図5】図2のデバイスの交差ゾーンの概略斜視図である。
【図6A】本発明の第1の好ましい実施形態のある特定の構成による液滴を操作するためのデバイスの概略図である。
【図6B】本発明の第1の好ましい実施形態のある特定の構成による液滴を操作するためのデバイスの概略図である。
【図6C】本発明の第1の好ましい実施形態のある特定の構成による液滴を操作するためのデバイスの概略図である。
【図6D】本発明の第1の好ましい実施形態のある特定の構成による液滴を操作するためのデバイスの概略図である。
【図6E】本発明の第1の好ましい実施形態のある特定の構成による液滴を操作するためのデバイスの概略図である。
【図7A】光学的検出手段を備える図6Aの構成による操作用デバイスの概略図である。
【図7B】光学的検出手段を備える図6Aの構成による操作用デバイスの概略図である。
【図8A】電気機械的検出手段を備える図6Aによる操作用デバイスの概略図である。
【図8B】電気機械的検出手段を備える図6Aによる操作用デバイスの概略図である。
【図9】本発明の第2の好ましい実施形態による操作用デバイスの長手方向概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
図1は、本発明による液滴を操作するためのマイクロ流体デバイス1を概略的に示す。
【0048】
操作用マイクロ流体デバイス1は、第1のマイクロ流体表面3aおよび第2のマイクロ流体表面3bを備える。これらの第1のマイクロ流体表面3aおよび第2のマイクロ流体表面3bは、互いに平行であり、離間距離Hだけ相互に離間される。
【0049】
以下に述べることとなる全ての説明において、慣例により、図1に示すデカルト座標(X,Y,Z)における正規直交系を使用する。平面(X,Y)は、前記第1のマイクロ流体表面3aおよび前記第2のマイクロ流体表面3bに対して平行であり、方向Zは、第2の表面3bから始まり第1の表面3aの方向に向かうように配向される。
【0050】
少なくとも1つの第1の電気変位経路5aが、第1の表面3aの上に構成される(ここでは、単一の第1の経路が図示される)。
【0051】
同様に、少なくとも1つの第2の電気変位経路5bが、第2の表面3bの上に構成される(ここでは、単一の第2の経路が図示される)。
【0052】
電気経路は、所与の方向に従って延在する連続電極か、または複数の隣接し合う基本電極のいずれかを意味する。この後者の例においては、各電極は、近い間隔で隣の電極から離間される。この間隔は、10μmの電極の幅については典型的には1μmとなり、この幅は、間隔の方向に対して垂直な方向における寸法である。
【0053】
第1の電気変位経路5aおよび第2の電気変位経路5bは、それらの間に接触を伴わずに少なくとも1つの交差ゾーン7を画定する。換言すれば、第1の電気変位経路5aおよび第2の電気変位経路5bは、互いに接触状態にはない。
【0054】
実際には、第1の電気変位経路5aおよび第2の電気変位経路5bは、第1の表面3aおよび第2の表面3bに直交する少なくとも1つの直線(方向Zに沿った)が、第1の点7aにて第1の経路5aと、および第2の点7bにて第2の経路5bと交差することにより、これらの2つの点の間に形成される空間によって交差ゾーン7が画定されるように、配置される。第1の点7aと第2の点7bとの間の距離は、当然ながら、離間距離Hに等しい。
【0055】
第1の経路5aおよび第2の経路5bの平面(X,Y)内における方向は、単一の交差ゾーン7を形成するあらゆる角度に沿った割線が可能であり、または、交絡することにより無限交差ゾーンを形成することが可能である点に留意されたい。
【0056】
第1の経路5aおよび第2の経路5bの少なくとも一方は、電気的活性化の効果の下において液体誘電泳動によりその経路に沿った各流体フィンガを形成するように構成される。
【0057】
液体誘電泳動(LDEP)は、電気絶縁液体または導電液体に対する電気力の印加を意味し、この力は、非均一振動電界により生成される。液体誘電泳動による流体フィンガの形成は、具体的には、Jonesによる「Liquid dielectrophoresis on the microscale」(J. Electrostat、51〜52 (2001年)、290〜299頁)と題する記事に記載されている。液体が、電界内に位置する場合には、この液体の分子は、非ゼロ双極子を獲得し、分極状態となる。電界が均一でない限りは、クーロン力が生じ、この液体の分子の、したがって全ての液体の最大電界方向への変位を引き起こす。
【0058】
流体フィンガは、対応する表面3a、3bと液体とを接触状態にすることが可能となるように配置された対応する関心流体のリザーバ9a、9bから各経路5a、5bに沿って形成される。図1は、第1の表面5aの上に配置された第1のリザーバ9aと、場合によっては第2の表面3bの上に配置された第2のリザーバ(破線として示される)9bとを示す。
【0059】
電気的制御が停止した場合には、流体フィンガは不安定な形態を有する点に留意されたい。次いで、毛管不安定(capillary instability)が急速に生じ、1つまたは複数の液滴へのフィンガの破裂が引き起こされて、これにより液体の表面エネルギーを低下させることが可能となる。
【0060】
そのため、第1の表面3aおよび/または第2の表面3bの上に形成された各流体フィンガは、電気的不活性化の効果の下において毛管作用により交差ゾーン7において各液滴を生成することにより破裂される。
【0061】
さらに、第1の経路5aおよび第2の経路5bは、第1の表面3aと2の表面3bとの間の離間距離Hが、一方においては各流体フィンガにより形成される流体厚さよりも大きくなり、他方においては各液滴により形成される流体厚さよりも小さくなるように構成される。
【0062】
そのため、経路5a、5bの一方のみが、流体フィンガを形成するように構成される場合には、離間距離Hは、流体フィンガが他方の経路に接触し、その一方でこのフィンガにより生成された液滴の少なくとも1つがこの他方の経路に接触しているような距離となる。
【0063】
さらに、第1の経路5aおよび第2の経路5bが、第1の流体フィンガおよび第2の流体フィンガのそれぞれを形成するように構成される場合には、離間距離Hは、これらの流体フィンガが接触しない一方で、第1のフィンガにより生成された液滴の少なくとも1つが第2のフィンガにより生成された液滴の中の別の液滴に接触しているような距離となる。
【0064】
図2は、本発明の第1の実施形態による液滴を操作するためのマイクロ流体デバイスを示す。
【0065】
操作用デバイス101は、互いに対向して配置された、カバーを形成する上方基板11aおよび下方基板11bを備える。「下方」および「上方」という用語は、本明細書においては、正規直交系(X,Y,Z)の方向Zに沿った配向に関するものと理解されたい。
【0066】
カバー11aは、誘電体層13aから形成された下方表面を有する。誘電体層13aの自由表面は、第1の表面3aに相当する。
【0067】
下方基板11bは、誘電体層13bから形成された上方表面を有する。誘電体層13bの自由表面は、第2の表面3bに相当する。
【0068】
下方基板11bまたは上方基板11aの材料は、以下の材料、すなわちガラス、パイレックス(登録商標)またはポリカーボネートもしくはPEEKなどの有機材料、単結晶シリコン、多結晶シリコン、ダイヤモンド、シリコン窒化物、シリコン酸化物、ニッケル、タングステン、およびさらには白金の中から選択することが可能である。上方基板11aは、有利には透明材料から作製される。上方基板11aおよび下方基板11bの厚さは、数十ミクロンから数ミリメートルの間であることが可能である。
【0069】
デバイス101は、2つの基板11aおよび11bの第1の表面3aと第2の表面3bとの間に一定かつ正確な離間距離Hを与えるために、高さHの分離壁部15を備える。この分離壁部15の材料は、例えばポリマー、樹脂、ドライフィルム、またはシリコンなどであることが可能である。
【0070】
上方基板11aは、例えば第1のスルーホール9aなどにより形成され、第1の表面3aにて開口する、第1のリザーバ9aを備える。第1のホール9aは、第1の関心液体119aで充填され得る。
【0071】
下方基板11bは、第2の表面3bにて開口する第2のスルーホール9bを備える。ホール9bは、第2の関心液体119bで充填され得るものであり、そのため関心液体119bの第2のリザーバ9bを形成する。
【0072】
液体は、任意のかかる導電性を有する。LDEPにより液体を活性化させ非均一電気信号の代わりとして設定するためには、有利には、この導電性は、100mS.m−1未満であり、さらには1mS.m−1未満である。
【0073】
操作用デバイス101は、液体誘電泳動により流体フィンガを形成する電気的手段を備える。より具体的には、上方基板11aおよび下方基板11bは、液体誘電泳動により第1の表面3aおよび第2の表面3bのそれぞれの上に流体フィンガを形成するために、第1の電気変位経路5aおよび第2の電気変位経路5bをそれぞれ備える。第1の経路5aの方向は、例としては、第2の経路5bの方向に対して平行であり、そのため複数の交差ゾーン7を形成するように示される。
【0074】
電気的手段は、AhmedおよびJonesによる「Optimized liquid DEP droplet dispensing」(J. Micromech. Microeng.、17 (2007年), 1052〜1058頁)と題した記事に示される手段と同様のものである点に留意されたい。
【0075】
そのため、図3Aに示すように、第1の電気変位経路5aは、第1の表面3aの上に配置された一対の第1の変位電極51a、52aを備える。第1の電極51aおよび52aは、互いに平行であり、共平面内に位置し、実質的に直線状である。
【0076】
同様に、図3Cに示すように、第2の電気変位経路5bは、第2の表面3bの上に配置された一対の第2の電極51b、52bを備える。第2の電極51bおよび52bは、互いに平行であり、共平面内に位置し、実質的に直線状である。
【0077】
第1および第2の変位電極(51a、52a、51b、52b)は、例えば金またはアルミニウムなどの金属材料から作製されたポケットである。
【0078】
第1の表面3aを形成する第1の誘電体層13aまたは第2の表面3bを形成する第2の誘電体層13bは、例えば、SiO酸化物、窒化物(SiN、Si)、樹脂、ドライフィルム、SiOC、テフロン(登録商標)タイプの疎水性ポリマー(登録商標−テトラフルオロエチレン)もしくは他のフルオロポリマー、ポリ−p−キシリレン(パリレン)のポリマー、いわゆるALD方法により堆積された高誘電率酸化物(HfO、Al、ZrO、SrTiO、BaTiO、Ba(1−X)SrTiO(BST)...)などであることが可能であり、数nm(例えば10nmまたは25nm)から数ミクロン(例えば5μm)の間の厚さを有する。これにより、液体が変位電極(51a、52a、51b、52b)と直接的に接触状態にあった場合の液体の電気分解を防止することが可能となる。
【0079】
離間空間Hに関しては、第1の電極51bおよび第2の電極52bの寸法(すなわち各電極の長さおよび幅、ならびに各対の電極同士の間の差)は、一方においては第1の表面3aの上に形成されることとなる第1のフィンガの最大厚さおよび第2の表面3bの上に形成されることとなる第2のフィンガの最大厚さの合計が、離間距離H未満となり、他方においては第1の表面3aの上に形成されることとなる第1の液滴および第2の表面3bの上に形成されることとなる第2の液滴の半径の合計が、離間距離Hよりも大きくなるように、選択される。
【0080】
そのため、第1の表面3aの上に形成された第1の流体フィンガ19aは、第2の表面3bの上に形成された第2の流体フィンガ19bと接触状態にはならない(図6Bおよび図6Cを参照)。しかし、第1の表面3aの上の第1の液滴および第2の表面3bの上の第2の液滴が、同一の交差ゾーン内に形成される(すなわち同一の座標(x,y)を有する)場合には、これらの液滴は、接触状態となる(図5、図6D、および図6Eを参照)。
【0081】
第1の変位電極51a、52aは、第1の電圧発生器21a(図3A)に接続されることにより、これらの電極51a、52a間に第1の電位差を印加することが可能となる。同様に、第2の変位電極51b、52bは、第2の電圧発生器21b(図3C)に接続されることにより、これらの電極51b、52b間に第2の電位差を印加することが可能となる。第1の発生器および第2の発生器は、交絡され得るものであり、この場合には、各電極対に対して異なる信号を印加することが可能な単一の発生器が存在する。この後者の例においては、2つの電極対(51a−51bおよび52a−52b)は、やはり同一の信号により電力供給され得る。
【0082】
印加される第1のまたは第2の電圧は、例えば数ヘルツ(導電性の最も低い液体の場合)から数メガヘルツの間の、例えば10kHz〜10MHzの間などの周波数を有し、数ボルトRMSから数百ボルトRMSの間の好ましい電圧からなる交流電圧である。液体が、高い絶縁性を有し、例えば10−9S.m−1未満の導電性を有する場合には、周波数は、Hzの規模となる。
【0083】
そのため、第1の発生器21aによる第1の電極51a、52aの電気的活性化の効果の下においては、第1の流体フィンガ19aは、第1の関心液体119aの第1のリザーバ9aから第1の電極対51a、52aの上に形成される(図3A)。
【0084】
同様に、第2の発生器21bによる第2の電極51b、52bの電気的活性化の効果の下においては、第2の流体フィンガ19bは、第2の関心液体119bの第2のリザーバ9bから第2の電極対51b、52bの上に形成される(図3C)。有利には、この電気的活性化は、これら2つの表面上において同時に実施される。そしてさらに有利には、電気的不活性化が、これら2つの表面上において同時に実施される。
【0085】
さらに、図3Bおよび図3Dにおいて示すように、第1の電極51a、52aおよび第2の電極51b、52bの電気的不活性化(開回路)の効果の下においては、第1の流体フィンガ19aおよび第2の流体フィンガ19bは、毛管作用により少なくとも1つの各第1の液滴23aおよび少なくとも1つの第2の液滴23bを生成することによって破裂し、これらの液滴は、少なくとも1つの交差ゾーン7において共に混合されて、少なくとも1つのグローバル液滴25を形成する(図2)。
【0086】
有利には、図3Eに示すように、第1の変位電極対51a、52a(または第2の変位電極対51b、52bのそれぞれ)は、複数の第1の液滴形成ゾーン(または複数の第2の液滴形成ゾーンのそれぞれ)を備える。
【0087】
より具体的には、図3Eは、電極51、52の不活性化にて、流体フィンガが複数の液滴へと破裂し、各液滴が液滴を形成するためのこれらのゾーン53の中の1つの上に位置をとるように、液滴を形成するための複数のゾーン53を備える一対の変位電極51、52(第1の変位電極または第2の変位電極に相当する)を示す。
【0088】
実際に、各電極51、52は、内部エッジ54、55および外部エッジ56、57を備える。内部エッジ54、55は、相互に対向して配置される。
【0089】
有利には、液滴を形成するためのゾーン53は、平面状隆起部、すなわち平坦状バンプ531および532から形成される。これらのバンプは、各変位電極51、52の外部の方向に延在する。バンプ531および532は、電極51、52の一部分であり、これらの電極51、52と共平面に位置する。
【0090】
バンプ531および532は、ここでは互いに対称的に配置され、それぞれが、異なる変位電極51、52に属する。
【0091】
そのため、変位電極51、52は、直線状部分58と、前記直前状部分58により一体的に連結される液滴を形成するためのゾーン53とを備える。
【0092】
変位電極51、52の内部エッジ54、55は、距離gだけ相互に離間される。直線状部分58は、wとして示される幅を有し、その結果として、流体フィンガの幅(すなわち平面(Y,Z)内の半径)は、R=w+g/2によって求められる。各バンプ531および532は、平面(X,Y)内の半径Rbumpを有し、中心が直線状部分58の外部エッジ56、57の連続部分に位置する、半円盤である。以下においてさらに詳細に論じるように、バンプの半径Rbumpは、流体フィンガの半径Rの規模となる。
【0093】
垂直平面(Y,Z)内における流体フィンガの断面は、半円であり、流体フィンガの表面は、電極に沿って一定であると考えられる。電極の幅wが、電極間の間隔gと同一の規模である場合には、流体フィンガは、経路のあらゆる点において、電極の2つの側方端部間に内接するゾーンを覆う。2Rは、これら2つの直線状端部(すなわち変位電極51、52の直線状部分58の外部エッジ56、57)を離間させる距離を示す。
【0094】
より好ましくは、液滴を形成するためのゾーン53は、相互に等距離をおいて配置され、より好ましくは8R〜10Rの間の距離をおいて、より好ましくは9.016Rの距離をおいて配置される。
【0095】
以下においてさらに詳細に論じるように、液滴を形成するためのゾーン53同士の間の間隔距離は、変位電極51、52に沿って延在する流体フィンガの最も不安定な波長λmaxと実質的に等しい。
【0096】
さらに有利には、第1の電極対51a、52aは、複数の第1の液滴形成ゾーン53を備え、第2の電極対51b、52bは、複数の第2の液滴形成ゾーン53を備える(図5を参照)。
【0097】
第1の電極対51a、52aの不活性化にて、第1の流体フィンガ19aは、複数の第1の液滴23aへと破裂して、各液滴は、これらの第1の液滴形成ゾーン53の中の1つの上に位置をとる。
【0098】
同様に、第2の電極51b、52bの不活性化にて、第2の流体フィンガ19bは、複数の第2の液滴23bへと破裂して、各液滴は、これらの第2の液滴形成ゾーン53の中の1つの上に位置をとる。
【0099】
第2の液滴形成ゾーン53は、各ゾーンが個別の第1の液滴形成ゾーン53に対面することにより、複数の交差ゾーン7を形成して、第1の電極対51a、52aおよび第2の電極51b、52bの不活性化にて各第2の液滴23bが第1の対応する液滴23aと接触状態になり、それによって対応する交差ゾーン7にグローバル液滴25を形成するように、配置される。これにより、第1の表面3aの液滴と第2の表面3bの液滴との間における完全に再現可能な混合物を形成することが可能となる。再現可能であるとは、混合物の量およびその位置が制御されることを意味する。
【0100】
例えば図3Eなどの構成による(すなわち液滴を形成するための複数のゾーンを備える変位電極を有する)操作用デバイス101の作動は、図4A〜図4Cを参照とする以下の通りとなる。
【0101】
第1のステップ(図4A)によれば、第1の関心液体119aは、第1のリザーバ9aから第1の表面3aと接触状態に置かれる。
【0102】
同様に、第2の関心液体119bは、第2のリザーバ9bから第2の表面3bと接触状態に置かれる。
【0103】
第1の非均一の振動電界は、第1の電気的制御の効果の下で、2つの第1の変位電極51a、52aに適合した電圧を印加することにより生成される(図4B)。
【0104】
第1の流体フィンガ19aは、2つの第1の変位電極51a、52aに沿って延在する。
【0105】
第1の流体フィンガ19aは、第1の変位電極51a、52aをそれらの全長にわたって実質的に覆い、先に定義した、第1の電極対51a、52aの外部エッジをそれらの直線状部分において離間させる距離に相当する距離2Rと実質的に等しい接触幅(平面(X,Y)内の)を有する。
【0106】
同様に、第2の非均一な振動電界は、電気的制御の効果の下で、2つの第2の変位電極51b、52bに適合した電圧を印加することにより生成される(図4B)。
【0107】
第2の流体フィンガ19bは、2つの第2の変位電極51b、52bに沿って延在して、第2の電極をそれらの全長にわたって実質的に覆う。
【0108】
この場合に、第1の電気的制御の停止時には(図4C)、第1の流体フィンガ19aは、毛管作用により複数の第1の液滴へと破裂されて、各液滴は、第1の液滴形成ゾーンの上に位置をとる。
【0109】
同様に、第2の電気的制御の停止時には(図4C)、第2の流体フィンガ19bは、毛管作用により複数の第2の液滴へと破裂されて、各液滴は、第2の液滴形成ゾーンの上に位置をとる。
【0110】
実際には、流体フィンガ19a、19bは、静電力の不在時には、当然ながら不安定となる。フィンガは、Rayleigh−Plateauタイプの流体力学的不安定性の効果の下で破裂する。フィンガの複数の液滴へのこの破裂により、液体の表面エネルギーを低下させることが実に可能となる。
【0111】
この不安定性は、毛管作用/慣性の間の競合であり、最も不安定な波長は、
【0112】
【数1】

【0113】
となる。ここで、kmaxは、波数である。
【0114】
したがって、最も不安定な波長は、λmax=9.016Rと表される。Rは、流体フィンガの半径である。
【0115】
そのため、液滴を形成するためのゾーン(53a、53b)は、λmaxと実質的に等しい距離だけ相互に離間される。液滴を形成するためのこれらのゾーンにより、波長λmaxにて流体フィンガ19a、19bの界面を変形させることが、したがって所望の波長を「事前選択」することが可能となる。
【0116】
そのため、これらの液滴は、同時に形成され、液滴形成ゾーン53a、53bにそれぞれ置かれる。
【0117】
各液滴は、較正された量を有する。この量は、流体フィンガ19a、19bの幅2R、液滴を形成するためのゾーン53a、53b間の距離λmax、および隆起部すなわちバンプ531、532の半径Rbumpに応じて、以下の等式、すなわち
【0118】
【数2】

【0119】
によって決定される。
【0120】
λmaxは、上述の等式においてRによる代入を行うことにより、以下の形式において、すなわち
bump=0.96xR〜R
において、RによりRbumpを表す関数が得られる。
【0121】
第1の表面3aと第2の表面3bとの間の間隔距離H、ならびに側方寸法gおよびwおよび変位電極51、52の可能なRbumpは、第1のフィンガおよび第2のフィンガの最大厚さが距離H未満となり、第1の液滴および第2の液滴の半径の合計がこの距離Hよりも大きい厚さを有するように、適合化される。
【0122】
換言すれば、仮に第1の流体フィンガ19aおよび第2の流体フィンガ19bの半径(平面(Y,Z)内における)をそれぞれRおよびRとすると、第1の液滴23aおよび第2の液滴23bの半径は、それぞれ2Rおよび2Rの規模となる。この例においては(図5)、第1の表面と第2の表面とを離間させる高さHは、以下の不等式、すなわち
+R<H<2R+2R
が真であることを立証する。
【0123】
実際には、図5は、図2のデバイスの交差ゾーンの概略斜視図である。
【0124】
図5に付随する表に示される数字の例は、50μmの規模の離間距離Hの場合に、第1の電極対51a、52aが、8μm〜16μmの規模の幅wを有し、4μm〜8μmの規模の距離gだけ相互に離間され得ることを、および第2の電極51b、52bが、16μm〜20μmの規模の幅wを有し、8μm〜10μmの規模の距離gだけ相互に離間され得ることを示す。
【0125】
したがって、第1の流体フィンガの半径Rは、10μm〜20μmの規模となり(R=w+g/2)、第1の液滴形成ゾーン間の距離λA,maxは、90μm〜180μmの規模となり、半円盤の半径RA,bumpは、9.6μm〜19.2μmの規模となり、第1の液滴23aの半径RA,drop(すなわちRA,total)は、19.6μm〜39.2μmの規模となり、第1の液滴の量Vは、16pL〜126pLの規模となる。
【0126】
さらに、第2の流体フィンガの半径Rは、20μm〜30μmの規模となり、第2の液滴形成ゾーン間の距離λB,maxは、180μm〜270μmの規模となり、半円盤の半径RB,bumpは、19.2μm〜28.8μmの規模となり、第2の液滴の半径RB,drop(すなわちRB,total)は、39.2μm〜58.8μmの規模となり、第2の液滴23bの量Vは、126pL〜426pLの規模となり、グローバル液滴の量Vは、252pL〜442pLの規模となる。
【0127】
そのため、第1の液滴23aおよび第2の液滴23bは、第1の表面3aの第1の液滴23aが第2の表面3bの第2の対応する液滴23bと接触状態になり、それにより対応するグローバル液滴25を形成するのに十分な厚さを有する。
【0128】
本発明による方法によれば、異なる関心溶液間において相互作用を生じさせるために、液滴を迅速に形成し、それらの液滴を正確に操作することが可能となる。
【0129】
流体フィンガ19a、19bの形成は、1〜10cm/sの液体の変位速度により実際に非常に迅速であり、5mmの流体フィンガを形成するには50〜500msが必要であるに過ぎない点に留意されたい。さらに、液滴は、毛管作用/慣性の不安定性の特徴時間が、
【0130】
【数3】

【0131】
であり、この特徴時間が、液体密度がρ=1000kg/mであり、フィンガの半幅Rが数十マイクロメートルの規模であり、液体/空気表面張力がσ=0.072Nmである場合に、0.01ms未満である限りにおいては、さらにより迅速に形成される。
【0132】
液滴を形成するためのゾーン53は、第1の表面3aおよび第2の表面3bの一方のみの上において実施され得る点に留意されたい。そのため、液滴は、所望の位置にて(すなわち隆起部を備える電極の上において)形成され、さらに液体は、隆起部を有さない対面し合う電極によって変位され得る。
【0133】
例としては(図示せず)、第1の変位電極対51a、52aは、複数の第1の液滴形成ゾーン53aを備える一方で、第2の電極対51b、52bが、液滴形成ゾーンを有さないことが可能である。
【0134】
そのため、第1の電極51a、52aの不活性化後に、第1の流体フィンガ19aは、複数の第1の液滴23aへと破裂して、各液滴は、これらの第1の液滴形成ゾーン53aの中の1つの上に位置をとる。次いで、第2の電極対51b、52bが活性化されることにより、これらの第2の電極に沿って少なくとも1つの第2の液滴23bを変位させて、第1の液滴形成ゾーン53に位置する第1の対応する液滴23aと接触状態にすることによって、グローバル液滴25を形成することが可能である。さらに、次いで第2の電極対51b、52bを活性化させることにより、第2の電極に沿ってかように形成されたグローバル液滴25を変位させることが可能である。
【0135】
これにより、例えば、液液抽出を生じさせるためにイオン液体が下方基板の第2の表面上において変位される一方で、上方基板の第1の表面上において抽出器としての役割を果たす溶剤を使用することが可能となる。
【0136】
図6A〜図6Eは、本発明の第1の好ましい実施形態のある特定の構成による、液滴を操作するためのマイクロ流体デバイスを概略的に示す。
【0137】
第1の表面3aは、m個の対の第1の電極51a、52aからなる第1の電極網を備え、各対は、n個の第1の液滴形成ゾーン53aからなる一連のゾーンを備えることにより、第1のセットのnm個の第1の液滴形成ゾーン53aを形成する。また、デバイス102は、m個の第1の関心液体119aをそれぞれm個の対の第1の電極51a、52aと接触状態に置くことが可能となるように配置された、m個の第1の関心液体119aのm個の第1のリザーバ9aのセットを備える。
【0138】
第2の表面3bは、n個の対の第2の電極51b、52bからなる第2の電極網を備え、各対は、m個の第2の液滴形成ゾーン53bからなる一連のゾーンを備えることにより、第2のセットのnm個の第2の液滴形成ゾーン53bを形成する。さらに、このデバイスは、n個の第2の関心液体119bをそれぞれn個の対の第2の電極51b、52bと接触状態に置くことが可能となるように配置された、n個の第2の関心液体119bのn個の第2のリザーバ9bのセットを備える。
【0139】
nm個の第1の液滴形成ゾーン53aは、nm個の第2の液滴形成ゾーン53bと交差することによりnm個の交差ゾーン7を形成するように配置される。
【0140】
より具体的には、図6Aに示すデバイス102の上面図が、それぞれが3つ(n=3)の第1の液滴形成ゾーン53aを備える3つ(m=3)の対の第1の電極51a、52aと、それぞれが3つ(m=3)の第2の液滴形成ゾーン53bを備える3つ(n=3)の対の第2の電極51b、52bとを図示する。
【0141】
第1の表面3aの第1の電極51a、52aは、不等式(R+RB)<H<(2R+2R)を満たすように、離間距離Hがこれらの電極対の幅w、wおよび差g、gに対して正確に寸法設定される限りにおいては、第2の表面3bの電極51b、52bとの間に任意の角度θを形成することが可能である。
【0142】
初期状態においては、m個の第1の関心液体119aの初期液滴は、m個の対の第1の電極51a、52aの経路の始点のm個の第1のリザーバ9a内に位置をとる。同様に、n個の第2の関心液体119bの初期液滴は、n個の対の第2の電極51b、52bの経路の始点のn個の第2のリザーバ9b内に位置をとる。
【0143】
図6B(上面図)および図6C(断面図)は、十分な周波数および電圧で振動している信号が、第1の電極51a、52aよび第2の電極51b、52bの上の交流電圧源21a、21bにより送出された場合に、第1の流体フィンガ19aおよび第2の流体フィンガ19bが、接触状態になることなく電極に沿って移動を始めるのを示す。ある特定の非常に短期間(数十ミリ秒の規模の)の後に、流体フィンガ19a、19bは、電極の端部に達する。フィンガのプロファイルは、半円盤であり、第1のフィンガについては半径Rを、第2のフィンガについては半径Rを有する。
【0144】
図6D(上面図)および図6E(断面図)は、電気回路が開かれ、電極(51a、52a、51b、52b)がもはや電力供給を受けなくなるとすぐに、液体が、隆起部(液滴を形成するためのゾーン)の方向に後退することにより最小エネルギー状態へと戻るように動作するのを示す。そのため、約2Rの半径のnm個の第1の液滴23aは、nm個の第1の液滴形成ゾーン53aの上に形成され、約Rの半径のnm個の第2の液滴23bは、nm個の第2の液滴形成ゾーン53bの上に形成される。
【0145】
そのため、第1の表面3aからのnm個の第1の液滴23aはそれぞれ、第2の表面3bからのnm個の第2の液滴の対応する液滴23bと相互作用して、nm個の交差ゾーン7にnm個のグローバル液滴25のセットを形成する。
【0146】
これにより、生物学的成分(例えばDNA鎖)または化学的成分の混合物を、非常に大量に、同時に、非常に短期間で生成することが可能となる。
【0147】
また、イオン液体が下方基板の第2の表面上において変位される一方で、抽出器の役割を果たす溶剤を上方基板の第1の表面上において使用することも可能である。
【0148】
また、このデバイスは、構成変更可能なジオメトリを有する固体柱網を形成するために使用することも可能である。この例においては、変位される液体は、例えば興味深い溶解特性および固化特性を有するワックスまたはパラフィンである。
【0149】
有利には、操作用デバイスは、少なくとも1つの交差ゾーンの上に形成された液滴の成分を検出する手段を備える。これらの検出手段は、光学的手段、電気機械的手段、化学的手段、または他の手段であることが可能である。
【0150】
図7Aおよび図7Bは、図6A〜図6Eの構成による、光学的検出手段を備える操作用デバイスを概略的に示す。
【0151】
このデバイス103は、透明材料から作製され、光学的検出手段61、63に結合された、上方基板11aを備えるマイクロ流体チップである。これらの手段は、透明基板11aを通してグローバル液滴25を照明する光源61と、センサ、すなわちこの液滴25により拡散された光を受けるための受光手段63とを備える。そのため、液滴により拡散された光によって、この液滴内部で生じる相互作用を分析することが可能となる。
【0152】
この例は、2n個の試料を使用して自動的かつ同時的な態様でn個の化学的/生物学的反応(ここではn=4)に関する蛍光応答マップを作成するのを示す。
【0153】
実際には、それぞれ化学的成分または生物学的成分αおよびβを含む2つの生物学的溶液または化学溶液AおよびBを使用して、溶液Aのnα個の試料(CA1、CA2、CA3、CA4)を第1のリザーバ9a内に用意し、溶液Bのnβ個の試料(CB1、CB2、CB3、CB4)を第2のリザーバ9b内に用意する。これらの各試料は、異なる特性(例えば製品の濃度においてなど)を有する。
【0154】
操作用デバイス103を用いることにより、同時的かつ自動的な態様で、相互に異なるnα個・nβ個のグローバル液滴25が、nα個の第1の液滴とnβ個の対応する液滴との間の相互作用から形成される。
【0155】
発光手段61により、様々なグローバル液滴25によって拡散されることとなる光励起が送出される。拡散され受光手段63により捕獲される光により、成分αとβとの間の相互作用または反応の蛍光応答を正確に判定することが可能となる(図7B)。
【0156】
代替的な一実施形態によれば、検出手段は、電気機械的手段である。この例においては、操作用デバイスは、上方基板または下方基板の少なくとも一方の上に少なくとも1つの検出器を備える。検出器は、交差ゾーンの上に配置され、第1の表面および第2の表面のいずれか一方に属する検出表面を形成する表面を有する、平坦状電気機械的発振器であることが可能である。
【0157】
実際に、図8Aおよび図8Bは、第1の実施形態の代替形態による操作用デバイス内に組み込まれる電気機械的検出手段を概略的に示す。より具体的には、図8Aは、このデバイスの長手方向概略断面図であり、図8Bは、図8Aのデバイスの下方基板の一部分の概略斜視図である。
【0158】
デバイス104の上方基板11aは、先に説明した基板と同様である。有利には、上方基板11aは、誘電体層13aの上に形成された疎水性層14aを備える。第1の表面3aを形成することとなる疎水性層14aは、SiOC、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、およびさらにはパリレンであることが可能であり、数ナノメートルから数ミクロンの厚さを有することが可能である。
【0159】
有利には、誘電体層13aおよび疎水性層14aは、同一材料からなる単一の層であることが可能であり、この材料は、例えばテフロン(登録商標)、パリレン、SiOCなどであることが可能である。
【0160】
下方基板11bは、支持体73により基板111b内に維持された複数の電気機械発振器71を備える(図8B)。したがって、下方基板111bの上方表面(すなわち第2の表面113b)は、発振器71の表面により形成された検出表面114bを備える。
【0161】
発振器71は、流体媒体内の粒子を重量検出するためのデバイスについて記載している本出願人の名において出願された国際出願WO2009/141515に記載されているものと同様または同一であることが可能である。
【0162】
各発振器71は、ここでは、空洞部75の上方に配置された正方形プレートであり、この空洞部75により、このプレートは、その平面内および平面外において振動することが可能となる。しかし、発振器71は、例えば円盤、リング、または多角形などの他の形状を有することも可能である。
【0163】
各プレート71は、発振器71の4つの上部に分配され、発振器71の対角線に沿って配向された、支持体73、接触上部(図8B)、または場合によってはビーム(図示せず)により下方基板111bの上に設置される。
【0164】
正方形プレート71は、5〜数百ミクロンの間の幅を有する。正方形プレート71の厚さは、典型的には、その幅の1/10以下である。正方形プレート71は、単結晶シリコン、多結晶シリコン、ダイヤモンド、シリコン窒化物、シリコン酸化物、ニッケル、タングステン、およびさらには白金または電気機械マイクロシステム(MEMS)もしくは電気機械ナノシステム(NEMS)の分野において使用される任意の他の材料の中から選択された材料から作製することが可能である。
【0165】
第2の変位電極対51b、52bは、第2のリザーバ(図示せず)から第2の表面113bを覆って延在し、支持手段73が介在することにより、検出表面114bを形成する発振器の正方形プレート71の上に延在する。第2の電極対51b、52bは、検出表面113bの上に第2の液滴形成ゾーン153bを形成する。
【0166】
さらに、正方形プレート71は、第1の変位電極の第1の液滴形成ゾーン53aの正反対側の交差ゾーン7に配置される。
【0167】
各発振器71は、発振器71のエッジの対向側に配置された作動電極81、82と容量結合されることにより振動状態に置かれるように、より好ましくはその共振周波数において振動状態に置かれるように、構成される。
【0168】
発振器71は、ラーメモード、ボリューム拡張モードもしくはいわゆる「ワイングラス」モード、または任意の他の輪郭モードの中から選択された所定の振動モードに応じて振動する、より好ましくは発振器71の平面内において振動することが可能である点に留意されたい。
【0169】
重量検出は、発振器71と、発振器71のエッジの対向側に配置された2つの測定電極84、85との間の容量結合により実施される。
【0170】
測定した電流を利用して、有効振動周波数と印加した初期周波数との間の周波数差が低減される。
【0171】
第1の流体フィンガおよび第2の流体フィンガを形成するためのモードは、先に説明したモードと同一である。特に第2の流体フィンガは、液体誘電泳動により形成され、対応する支持手段73により下方基板111bおよび発振器71を覆って延在する。
【0172】
第2の液滴形成ゾーン153bは、各検出表面114bの上に配置される。そのため、電気的制御の停止時には、第2の流体フィンガは、毛管作用により複数の第2の液滴へと破裂され、各液滴は、第2の液滴形成ゾーン153bの上に配置され、そのため対応する発振器71の検出表面114bの上に配置される。
【0173】
検出表面114bの上に形成された第2の液滴23bはそれぞれ、第1の表面からの第1の液滴23aの対応する液滴と相互作用して、異なる検出表面114bの上にグローバル液滴のセットを形成する。この場合に、重量検出により、これらの液滴の内部において生ずる相互作用を分析することが可能となる。
【0174】
発振器71の検出表面114bは、有利には液滴により覆われるように意図された親水性ゾーンを有することが可能である点に留意されたい。
【0175】
代替的には、操作用デバイスは、電気生理学的検出手段(図示せず)を備えることが可能である。
【0176】
実際には、下方基板11b内の発振器71は、電気生理学的センサに置換することが可能である。これらのセンサは、検出表面を形成するセル膜を通過するイオン電流を記録する。
【0177】
下方基板は、検出表面上に、流体チャンバとして作用する開口を有する。この開口の壁部の中の1つは、膜の下方表面となる。
【0178】
また、膜の両側に配置された2つの測定点間の電位差を測定するための手段を使用して、膜上に形成された液滴と流体チャンバとの間で膜を通過する種のイオン電流を測定することも可能である。
【0179】
図9は、本発明の第2の実施形態による液滴を操作するためのマイクロ流体デバイス201を示す。
【0180】
操作用デバイス201は、互いに対向して配置された、下方基板211bと、カバーを形成する上方基板11aとを備える。
【0181】
上方基板11aは、先に説明したものと同一であり、そのため関心液体の少なくとも1つのリザーバ9aと、第1の表面3aの上に配置された少なくとも1つの電気変位経路5aとを備える。有利には、上方基板11aは、誘電体層13aの上に形成された疎水性層14aをさらに備える。
【0182】
各第1の電気変位経路5aは、電気的活性化の効果の下において液体誘電泳動により関心液体の対応するリザーバ9aから流体フィンガを形成するために、第1の表面3aの上に配置された実質的に平行かつ同一平面内に位置する第1の電極対51a、52aを備える。流体フィンガは、不活性化の効果の下において毛管作用により少なくとも1つの液滴23aを生成することによって破裂される。
【0183】
下方基板211bは、第2の表面上に配置された少なくとも1つの第2の電極変位経路5bを備える。第1の電気変位経路および第2の電気変位経路は、それらの間に少なくとも1つの交差ゾーン7を画定する。
【0184】
各第2の電気変位経路5bは、交差ゾーン7において上方基板11aにより形成された少なくとも1つの液滴23aを変位させるための第2の電極251b、252bを備える。
【0185】
例としては、第2の電極251b、252bは、第2の電極251b、252bの十分な電気活性化と、液滴が第1の電極および第2の電極に接触状態となるのに十分な厚さを有することが判明している状態での第1の電極対51a、52aの接地との効果の下において、EWODにより液滴を変位させるように構成された正方形電極であることが可能である。
【0186】
実際には、第1の表面3aと第2の表面3bとの間の離間距離H、および第1の変位電極の寸法は、流体フィンガの最大厚さが距離H未満となり、液滴がこの距離Hを超える厚さを有するように、適合化される。
【0187】
換言すれば、仮に流体フィンガの半径をRとすると、液滴の半径は、2Rの規模となる。この例においては、第1の表面および第2の表面を離間させる高さHは、以下の不等式、すなわち
R <H<2R
が真であることを立証する。
【0188】
例としては、離間距離が50μmの規模の場合には、第1の電極対51a、52aは、20μmの規模の幅wを有することが可能であり、20μmの規模の距離gだけ相互に離間されることが可能となる。そのため、流体フィンガの半径Rは、R=w+g/2=30μmの規模となり、液滴の半径は、60μmの規模となる。
【0189】
この第2の実施形態によれば、液滴は、上方基板11aにより形成され、そのため下方基板111bは、関心液体のリザーバを備えない点に留意されたい。
【0190】
本発明による第2の実施形態により、第1の表面3aの液体の液滴を第2の表面113bの方向に移動させることが可能となり、第2の表面の上に配置された変位電極によりこの液体を操作するかまたは次いで変位させることが可能となる。
【0191】
有利には、デバイスは、第1の実施形態を参照として説明されるように実施される、光学的検出手段、電気機械的検出手段、電気生理学的検出手段、または他の検出手段を備える。
【0192】
特に、電気機械的検出手段の場合には、第2の電極は、例えば検出表面の上に液滴を移動させるように構成され得る。
【0193】
さらに、第2の表面は、機能化されることが可能であり、および/または第1の表面とは異なる温度を有することが可能であり、および/または様々な生物学的プロトコルもしくは化学的プロトコルを生成するための生物学的成分を備えることが可能である。
【0194】
当然ながら、当業者は、専ら非限定的な例として本明細書において説明した本発明に対して様々な変更を行うことが可能である。
【符号の説明】
【0195】
1 マイクロ流体デバイス
3a 第1のマイクロ流体表面
3b 第2のマイクロ流体表面
5a 第1の電気変位経路
5b 第2の電気変位経路
7 交差ゾーン
7a 第1の点
7b 第2の点
9a リザーバ
9b リザーバ
11a 上方基板
11b 下方基板
13a 誘電体層
13b 誘電体層
14a 疎水性層
15 分離壁部
19a 第1の流体フィンガ
19b 第2の流体フィンガ
21a 交流電圧源
21b 交流電圧源
23a 第1の液滴
23b 第2の液滴
25 グローバル液滴
51 電極
51a 第1の電極
51b 第2の電極
52 電極
52a 第1の電極
52b 第2の電極
53 液滴を形成するためのゾーン
53a 液滴を形成するためのゾーン
53b 液滴を形成するためのゾーン
54 内部エッジ
55 内部エッジ
56 外部エッジ
57 外部エッジ
58 直線状部分
61 光学的検出手段、光源、発光手段
63 光学的検出手段、受光手段
71 電気機械発振器
73 支持体、支持手段
75 空洞部
81 作動電極
82 作動電極
84 測定電極
85 測定電極
101 操作用デバイス
102 デバイス
103 操作用デバイス
104 デバイス
111b 基板
113b 第2の表面、検出表面
114b 検出表面
119a 第1の関心液体
119b 第2の関心液体
153b 第2の液滴形成ゾーン
201 マイクロ流体デバイス、操作用デバイス
211b 下方基板
531 平坦状バンプ
532 平坦状バンプ
A1 試料
A2 試料
A3 試料
A4 試料
B1 試料
B2 試料
B3 試料
B4 試料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液滴を操作するためのマイクロ流体デバイスにおいて、
平行であり、離間距離(H)だけ相互に離間された、第1のマイクロ流体表面(3a)および第2のマイクロ流体表面(3b)と、
前記第1の表面(3a)の上に配置された少なくとも1つの第1の電気変位経路(5a)と、
前記第2の表面(3b)の上に配置された少なくとも1つの第2の電気変位経路(5b)であって、前記第1の経路および前記第2の経路は、それらの間に少なくとも1つの交差ゾーン(7)を画定する、第2の電気変位経路(5b)と
を備え、
前記第1の経路(5a)および前記第2の経路(5b)の少なくとも一方が、電気的活性化の効果の下において液体誘電泳動により関心液体の対応するリザーバ(9a、9b)から前記経路に沿って各流体フィンガ(19a、19b)を形成するように構成され、前記リザーバ(9a、9b)は、前記液体を対応する前記表面(3a、3b)と接触状態に置くことが可能となるように配置され、前記流体フィンガは、電気的不活性化の効果の下において毛管作用により前記少なくとも1つの交差ゾーン(7)において前記流体フィンガから少なくとも1つの各液滴(23a、23b)を生成することによって破裂し、
前記第1の経路(5a)および前記第2の経路(5b)は、前記第1の表面(3a)と前記第2の表面(3b)との間の前記離間距離(H)が、一方においては各流体フィンガにより形成される流体厚さよりも大きく、他方においては各液滴により形成される流体厚さよりも小さくなるように、構成されることを特徴とするデバイス。
【請求項2】
前記第1の電気変位経路(5a)は、前記電気的活性化の効果の下において第1の関心液体の第1のリザーバ(9a)から第1の流体フィンガ(19a)を形成するために、前記第1の表面(3a)の上に配置された実質的に平行かつ共平面内に位置する第1の電極対(51a、52a)を備え、前記第2の電気変位経路(5b)は、前記電気的活性化の効果の下において第2の関心液体の第2のリザーバ(9b)から第2の流体フィンガ(19b)を形成するために、前記第2の表面(3b)の上に配置された実質的に平行かつ共平面内に位置する第2の電極対(51b、52b)を備え、前記第1の流体フィンガ(19a)および前記第2の流体フィンガ(19b)は、前記不活性化の効果の下において毛管作用により少なくとも1つの各第1の液滴(23a)および少なくとも1つの第2の液滴(23b)を生成することによって破裂し、前記少なくとも1つの各第1の液滴(23a)および前記少なくとも1つの第2の液滴(23b)は、前記少なくとも1つの交差ゾーン(7)において混合されて、少なくとも1つのグローバル液滴(25)を形成する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記第1の電極対(51a、52a)は、複数の第1の液滴形成ゾーン(53)を備え、これにより、前記第1の電極対の不活性化にて、前記第1の流体フィンガ(19a)は、複数の第1の液滴(23a)へと破裂して、各液滴は、前記第1の液滴形成ゾーンの中の1つの上に位置をとる、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記第2の電極対(51b、52b)は、別個の第1の液滴形成ゾーンに対面するようにそれぞれが配置されることにより複数の交差ゾーン(7)を形成する複数の第2の液滴形成ゾーン(53)を備え、これにより、前記第2の電極対の不活性化にて、前記第2の流体フィンガ(19b)は、複数の第2の液滴(23b)へと破裂して、各液滴は、前記第2の液滴形成ゾーンの中の1つの上に位置をとり、各第2の液滴は、前記第1の対応する液滴(23a)と接触状態になることにより、対応する交差ゾーンにおいてグローバル液滴(25)を形成する、請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記第1の表面(3a)は、m個の対の第1の電極(51a、52a)の第1の電極網を備え、各対は、n個の第1の液滴形成ゾーンからなる一連のゾーンを備えることにより、第1のセットのnm個の第1の液滴形成ゾーンを形成し、前記第2の表面(3b)は、n個の対の第2の電極(51b、52b)からなる第2の電極網を備え、各対は、m個の第2の液滴形成ゾーンからなる一連のゾーンを備えることにより、第2のセットのnm個の第2の液滴形成ゾーンを形成し、前記nm個の第1の液滴形成ゾーンは、前記nm個の第2の液滴形成ゾーンと交差することによりnm個の交差ゾーン(7)のセットを形成する、請求項4に記載のデバイス。
【請求項6】
前記第2の電極対(51b、52b)は、前記第2の電極対に沿って位置する少なくとも1つの第2の液滴(23b)および/または少なくとも1つのグローバル液滴(25)を変位させるように構成されることを特徴とする、請求項2から5のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記第1の電気変位経路(5a)は、前記電気的活性化の効果の下において液体誘電泳動により関心液体のリザーバから流体フィンガを形成するために、前記第1の表面(3a)の上に配置された実質的に平行かつ共平面内に位置する第1の電極対(51a、52a)を備え、前記流体フィンガは、前記不活性化の効果の下において毛管作用により少なくとも1つの液滴を生成することにより破裂し、前記第2の電気変位経路(5b)は、第2の電極(251b、252b)を備えることにより、前記第2の電極の電気的活性化の効果の下において前記少なくとも1つの液滴を変位させる、請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
前記少なくとも1つの交差ゾーンの上に形成された液滴の成分を検出する手段を備えることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項9】
前記検出手段は、前記少なくとも1つの液滴の上に光を発するための光源(61)と、前記少なくとも1つの液滴により拡散される前記光を受けるための受光手段(63)とを備える、光学的手段であることを特徴とする、請求項8に記載のデバイス。
【請求項10】
前記検出手段は、前記第1の表面および前記第2の表面のいずれか一方に属する検出表面(114b)を形成する表面を有する少なくとも1つの平坦状発振器(71)を備える電気機械的手段であることを特徴とする、請求項8に記載のデバイス。
【請求項11】
前記検出表面(114b)は、前記少なくとも1つの液滴により覆われるように意図された親水性ゾーンを有することを特徴とする、請求項10に記載のデバイス。
【請求項12】
前記第1の電極対および前記第2の電極対はそれぞれ、誘電体層(13a、13b)により覆われることを特徴とする、請求項2から11のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項13】
液滴を操作するための方法において、
第1の関心液体(119a)を備える少なくとも1つの第1のリザーバ(9a)を第1のマイクロ流体表面(3a)の上に配置された少なくとも1つの第1の対応する電気変位経路(5a)と接触状態に置くステップと、
第2の関心液体(119b)を備える少なくとも1つの第2のリザーバ(9b)を第2のマイクロ流体表面(3b)の上に配置された少なくとも1つの第2の対応する電気変位経路(5b)と接触状態に置くステップであって、前記第1の表面および前記第2の表面は、平行であり、離間距離(H)だけ相互に離間され、前記少なくとも1つの第1の変位経路および前記少なくとも1つの第2の変位経路は、それらの間に少なくとも1つの交差ゾーン(7)を画定する、ステップと、
前記少なくとも1つの第1の変位経路を活性化することにより、前記第1の経路に沿って第1の対応する流体フィンガ(19a)を形成するステップと、
前記少なくとも1つの第2の変位経路を活性化することにより、前記第2の経路に沿って第2の対応する流体フィンガ(19b)を形成するステップと、
前記少なくとも1つの第1の変位経路を不活性化することにより、毛管作用によって前記少なくとも1つの交差ゾーンに位置する少なくとも1つの第1の液滴(23a)を生成することによって前記第1の対応する流体フィンガを破裂させるステップと、
前記少なくとも1つの第2の変位経路を不活性化することにより、毛管作用によって前記少なくとも1つの交差ゾーンに位置する少なくとも1つの第2の液滴(23b)を生成することによって前記第2の流体フィンガを破裂させるステップであって、前記第1の表面と前記第2の表面との間の前記離間距離は、一方においては前記第1の流体フィンガおよび前記第2の流体フィンガの合計厚さよりも大きく、他方においては前記第1の液滴および前記第2の液滴の合計厚さよりも小さく、これにより、前記第1の液滴および前記第2の液滴は、前記少なくとも1つの交差ゾーンにおいて共に混合されて、少なくとも1つのグローバル液滴(25)をを形成する、ステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項14】
m個の第1の関心液体を備えるm個の第1のリザーバ(9a)のセットをm個の第1の対応する経路からなる経路網と接触状態に置くステップであって、前記m個の第1の対応する経路はそれぞれ、n個の第1の液滴形成ゾーンからなる一連のゾーンを備えることにより、第1のセットのnm個の第1の液滴形成ゾーンを形成する、ステップと、
n個の第2の関心液体を備えるn個の第2のリザーバ(9b)のセットをn個の対応する第2の経路からなる経路網と接触状態に置くステップであって、前記n個の対応する第2の経路はそれぞれ、m個の第2の液滴形成ゾーンからなる一連のゾーンを備えることにより、第2のセットのnm個の第2の液滴形成ゾーンを形成し、前記nm個の第1の液滴形成ゾーンは、前記nm個の第2の液滴形成ゾーンとそれぞれ交差することによりnm個の対応する交差ゾーン(7)のセットを形成する、ステップと、
m個の第1の経路からなる前記経路網を活性化することにより、m個の第1の対応する流体フィンガからなるフィンガ網を形成するステップと、
n個の第2の経路からなる前記経路網を活性化することにより、n個の第2の対応する流体フィンガからなるフィンガ網を形成するステップと、
m個の第1の経路からなる前記経路網を不活性化することにより、毛管作用によって前記第1のセットのnm個の第1の液滴形成ゾーンにおいてnm個の第1の液滴のセットを生成することによって前記m個の第1の対応する流体フィンガを破裂させるステップと、
n個の第2の経路からなる前記経路網を不活性化することにより、毛管作用によって前記第2のセットのnm個の第2の液滴形成ゾーンにおいてnm個の第2の液滴のセットを生成することによって前記n個の第2の対応する流体フィンガを破裂させるステップであって、前記nm個の第1の液滴は、前記nm個の第2の対応する液滴と混合して、前記nm個の対応する交差ゾーンにおいてnm個のグローバル液滴のセットを形成する、ステップと
を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記m個の第1のリザーバは、様々な特性の第1の溶液のm個の第1の試料をそれぞれ備え、前記n個の第2のリザーバは、様々な特性の第2の溶液のn個の第2の試料をそれぞれ備え、これによりnm個の様々なグローバル液滴を形成する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
光学的手段、電気機械的手段、または電気生理学的手段により、前記第1の溶液と前記第2の溶液との間の様々な相互作用を検出するステップを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
液滴を操作するための方法において、
関心液体を備える少なくとも1つのリザーバ(9a)を第1のマイクロ流体表面(3a)の上に配置された少なくとも1つの第1の対応する電気変位経路(5a)と接触状態に置くステップであって、前記第1の表面は、第2のマイクロ流体表面(3b)に対して平行であり、前記第2のマイクロ流体表面(3b)から離間距離(H)だけ離間され、前記第2の表面は、少なくとも1つの第2の電気変位経路(5b)を備え、前記少なくとも1つの第2の電気変位経路(5b)は、前記少なくとも1つの第1の経路との間に少なくとも1つの交差ゾーン(7)を画定する、ステップと、
前記少なくとも1つの第1の変位経路を活性化することにより、前記第1の経路に沿って対応する流体フィンガ(19a)を形成するステップと、
前記少なくとも1つの第1の変位経路を不活性化することにより、毛管作用によって前記少なくとも1つの交差ゾーンに位置する少なくとも1つの液滴(23a)を生成することによって対応する流体フィンガを破裂させるステップであって、前記第1の表面と前記第2の表面との間の前記離間距離は、一方においては前記流体フィンガの厚さよりも大きく、他方においては前記少なくとも1つの液滴の厚さよりも小さい、ステップと、
前記少なくとも1つの第2の電気変位経路を活性化することにより、前記少なくとも1つの液滴を変位させるステップと
を含むことを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図6E】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−101115(P2013−101115A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−235458(P2012−235458)
【出願日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【出願人】(502124444)コミッサリア ア レネルジー アトミーク エ オ ゼネルジ ザルタナテイヴ (383)
【Fターム(参考)】