説明

液滴アクチュエータでのビーズ操作

液滴アクチュエータは、(a)底基板の液滴操作表面上で液滴操作を行うように構成された電極を備える底基板と、(b)上記液滴操作表面上に配置された1つ以上のビーズを含む液滴と、(c)上記液滴および上記電極に対して配置された障壁であって、1つ以上の上記電極によって媒介される1つ以上の液滴操作を用いて、液滴がビーズから離れる方向に輸送されることができ、かつ上記ビーズの輸送が障壁によって制限される、障壁とを備える。関連の方法およびキットもまた提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1(政府の利益)
本発明は米国国立衛生研究所により与えられたCA114993−01およびHG003706−01の下で政府支援によりなされたものである。米国政府は本発明に特定の権利を有する。
【0002】
2(関連特許出願)
本出願は、「Bead Washing Using Physical Barriers」と題された、2007年8月24日出願の米国特許出願第60/957,717号明細書、および「Bead manipulations in a droplet actuator」と題された、2007年10月17日出願の米国特許出願第60/980,767号明細書の優先権を主張し、参照することによりそれらを援用する。
【0003】
3(発明の分野)
本発明は一般に、液滴アクチュエータおよび液滴アクチュエータを用いて行われる液滴操作の分野に関する。
【背景技術】
【0004】
4(背景)
液滴アクチュエータは、様々な種類の液滴操作を行うために用いられる。液滴アクチュエータは、通常、空隙によって隔てられた2つのプレートを含む。これらのプレートは液滴操作を行うための電極を含む。このスペースは、通常、液滴アクチュエータ上で操作される流体と混ざらない充填剤流体で満たされる。液滴の形成および移動は、液滴輸送および液滴分配等、様々な液滴操作を行うための電極によって制御される。プロトコルが、電磁ビーズ等のビーズの使用を必要とする場合、そのビーズを液滴アクチュエータ中に自由に移動させるよりもむしろ、その液滴アクチュエータ内の特定の位置にビーズを保持することが有用である場合があり、それゆえ、液滴アクチュエータ内でビーズを操作する別のアプローチに対する必要性が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
5(発明の要旨)
本発明は液滴アクチュエータを提供する。例示的な実施形態において、この液滴アクチュエータは、底基板の液滴操作表面上で液滴操作を行うように構成された電極を備える底基板と、上記液滴操作表面上に配置された1つ以上のビーズを含む液滴と、上記液滴および上記電極に対して配置された障壁であって、1つ以上の上記電極によって媒介される1つ以上の液滴操作を用いて、液滴がビーズから離れる方向に輸送されることができ、かつ上記ビーズの輸送が障壁によって制限される、障壁とを備えてもよい。
【0006】
一部の場合において、この液滴アクチュエータは、また、液滴操作を行うための空隙を形成するために、上記液滴操作表面から分離された上部基板、例えば上部プレートをさらに備える。上部基板が存在する場合、この障壁は上部基板と結合され、かつ上記上部基板から下方に延在する。上記障壁は、上記障壁の底縁と上記液滴操作表面との間に空隙を残すように構成されてもよい。
【0007】
一部の実施形態において、上記障壁は垂直の空隙を備え、1つ以上の上記電極によって媒介される液滴操作の間、上記空隙を介して、流体を通過させることができる。存在する場合、特定の実施形態において、上記垂直の空隙は1つの電極上に配置されていてもよい。一部の実施形態において、上記垂直の空隙は、上記空隙に面した上記上部基板の表面から上記液滴操作表面まで、実質的に延在する。
【0008】
一部の実施形態において、本発明の液滴アクチュエータは上記障壁に完全に取り囲まれているか、および/または捕捉された1つ以上のビーズを含む。このような実施形態において、上記の1つ以上のビーズは、上記障壁の囲いから離れて任意の方向に輸送されることを、上記障壁によって防がれ、同時に、上記障壁の囲いの内側および外側に液滴を輸送させることができる。例えば、上記障壁は、液滴を輸送して、上記障壁の範囲内で捕捉されたビーズに液滴を接触させ、かつそのビーズから液滴を離すように構成された電極の経路に配置された任意の形状の、囲まれた障壁であってもよい。液滴は、例えば、試薬、サンプル、および/または上記障壁の内側および外側へ輸送されるのに十分に小さい、より小さい大きさのビーズを含んでもよい。1つの実施形態において、上記障壁は、液滴を輸送するように構成された電極の経路上に配置された方形の障壁を備え、上記方形の障壁の1つの側が第1の電極全体のほぼ中間のところに配置されており、上記方形の障壁の別の側が第2の電極全体のほぼ中間のところに配置されている。
【0009】
他の実施形態において、上記障壁は、電極経路を横断して、上記障壁のビーズ保持部から離れた方向を指している、角度のある障壁を備えてもよい。類似の実施形態において、上記障壁は、電極経路を横断して、上記障壁のビーズ保持部の方向を指している、角度のある障壁を備えてもよい。
【0010】
1つの実施形態において、上記1つ以上のビーズは、上記障壁から離れて第1の方向に輸送されることを、上記障壁によって防がれるが、上記障壁から離れて第2の方向に輸送されることを、上記障壁によって防がれないように、上記障壁が構成されている。別の実施形態において、上記障壁は、特定の大きさの制限より小さい大きさを有するビーズが上記障壁を横断できるようにし、同時に、上記特定の大きさの制限より大きいビーズを保持する開口を備える。
【0011】
上記障壁は、特定の大きさの制限より小さい大きさを有するビーズが上記障壁を横断できるようにし、同時に、上記特定の大きさの制限より大きいビーズを保持する開口を備えてもよい。特定の実施形態において、上記液滴アクチュエータは2つ以上の障壁を備え、各々の障壁は異なる特定のビーズの大きさの制限のビーズを保持するように大きさが調整されている空隙を有する。
【0012】
特定の実施形態において、上記障壁は、第1の細長の次第に狭くなる液滴操作電極であって、上記障壁のビーズ保持側の上記電極の第1の端部における幅広の底面と、上記障壁の反対側の第2の端部における次第に狭くなる狭い頂点とを備える電極、によって横断される。別の実施形態において、上記障壁は、第1の細長の次第に狭くなる液滴操作電極であって、上記障壁のビーズ保持側の反対の上記電極の第1の端部における幅広の底面と、上記障壁のビーズ保持側の第2の端部における次第に狭くなる狭い頂点とを備える電極、によって横断される。例えば、上記第1の液滴操作電極は、長さが同様であって、実質的に第3の辺よりも長い2つの辺を含む略三角形状を有してもよい。その三角形状は、細長の直角三角形、二等辺三角形、または不等辺三角形を含んでもよい。特定の実施形態において、上記第1の次第に狭くなる液滴操作電極の上記底面が第2の次第に狭くなる液滴操作電極の上記頂点に隣接し、かつ上記第1の次第に狭くなる液滴操作電極の上記頂点が上記第2の次第に狭くなる液滴操作電極の上記底面に隣接するように、上記第1の次第に狭くなる液滴操作電極に沿って方向付けられた第2の細長の次第に狭くなる液滴電極である。特定の実施形態において、上記液滴アクチュエータは、上記障壁を横断する2組の上記第1および第2の細長の次第に狭くなる液滴操作電極を備える。
【0013】
本発明の液滴アクチュエータにおいて使用されるビーズは、一部の実施形態において、上記ビーズに結合される生体細胞を含む。上記ビーズは、例えば、上記ビーズに結合される実質的に純粋な群の生体細胞を含んでもよい。他の実施形態において、上記障壁は、液滴操作の間、遊離の生体細胞または生体細胞の群を保持するために用いられてもよい。
【0014】
別の実施形態において、上記液滴アクチュエータは、底基板の液滴操作表面上で液滴操作を行うように構成された電極を備える底基板と、上記底基板に近接した位置にある狭い開口を備える、漏斗形状のリザーバとを備え、上記底基板および上記漏斗形状のリザーバは、上記漏斗に装填されるビーズを含むサンプルの一部が上記液滴操作表面に流れ、上記サンプルの一部は上記ビーズの相当量を含むように構成される。別の実施形態において、磁界源が、磁気ビーズを、上記漏斗形状のリザーバから上記基板表面上に引き付けるように配置されてもよい。上部基板が、上記液滴操作表面と並行するように配置されてもよく、上記漏斗形状のリザーバの狭い開口が上記上部基板を貫通していてもよい。
【0015】
さらに別の実施形態において、液滴アクチュエータは、底基板の液滴操作表面上で液滴操作を行うように構成された電極を備える底基板と、上記液滴操作表面に対して略並行して配置された上部基板と、上記液滴アクチュエータの障壁において捕捉されるビーズであって、1つ以上の上記電極によって媒介された液滴操作を用いて、上記障壁は、上記液滴を上記液滴の内側に、および上記障壁から外側へ輸送できるようさせ、同時に上記障壁内に1つ以上の上記ビーズを保持する、ビーズとを備える。一部の場合において、上記障壁は上記障壁内に実質的に全ての上記ビーズを保持する。特定の実施形態において、2つ以上の上記電極は上記障壁内において液滴操作を行うために配置される。上記液滴アクチュエータは、障壁の列をさらに備えてもよく、各々の障壁は特定のビーズの種類を含むビーズを保持し、上記列は複数のビーズの種類を含む。上記ビーズは、上記ビーズに結合される生体細胞を含む。上記ビーズは、上記ビーズに結合される実質的に純粋な群の生体細胞を含んでもよい。
【0016】
本発明はまた、ビーズを取り囲む所定量の流体を低減する方法を含む。本方法は、液滴アクチュエータの障壁を通して上記所定量の流体の一部を輸送する工程を含んでもよく、上記障壁が上記ビーズの輸送を制限すると同時に上記流体を通過させる。上記ビーズは、上記ビーズに結合される生体細胞を含んでもよい。上記所定量の流体は、上記生体細胞を増殖させるために選択された培地を含んでもよい。上記輸送する工程は1つ以上の液滴操作を用いて行われてもよい。上記液滴操作は、電極を媒介してもよい。上記液滴操作は、液滴駆動を媒介してもよい。上記液滴操作は、誘電泳動を媒介してもよい。上記所定量の流体の一部は分析プロトコルによって1つ以上の液滴操作にさらに供せられてもよい。
【0017】
本発明は、生体細胞に栄養素を提供する方法を提供する。本発明は、一部の実施形態において、概して、ビーズに付着された生体細胞を含むビーズを取り囲む所定量の流体を低減する工程と、1つ以上の液滴操作を行い、上記栄養素を含む流体を上記ビーズに接触させる工程とを含む。上記ビーズは、上記ビーズに結合される実質的に純粋な群の生体細胞を含んでもよい。上記ビーズは細胞の群と相互作用する工程を含んでもよい。
【0018】
本発明はまた、所定量の流体を1つ以上のビーズから分離する方法であって、液滴アクチュエータの障壁を通して上記所定量の流体を輸送する工程を含み、上記障壁が上記1つ以上のビーズの1つ以上の輸送を制限する。
【0019】
さらに、本発明は、実質的にビーズを含まない液滴を、ビーズを含む液滴から離れた方向に輸送する方法を含む。本方法は、例えば、本明細書に記載されるような液滴アクチュエータを提供する工程と、上記障壁にわたってビーズを含む液滴を輸送する工程とを含んでもよく、上記障壁は上記ビーズを保持し、ビーズを実質的に含まない液滴は上記障壁の反対側に形成される。
【0020】
本発明はまた、液滴アクチュエータ上のビーズを洗浄する工程を含む。本方法は、(a)本明細書に記載されるような液滴アクチュエータを提供する工程、(b)上記障壁にわたってビーズを含む上記液滴を輸送する工程であって、上記障壁は上記ビーズを保持し、実質的にビーズを含まない液滴が、上記障壁の反対側に形成される、工程、(c)洗浄液滴を輸送して上記ビーズに接触させる工程と、(d)上記ビーズの洗浄が完了するまで上記工程(b)および(c)を繰り返す工程とを含んでもよい。
【0021】
本発明はまた、液滴アクチュエータにおいてビーズを分別する方法を含む。本方法は、液滴アクチュエータを提供する工程であって、上記液滴アクチュエータは、底基板の液滴操作表面上で液滴操作を行うように構成された電極を備える底基板と、第1の特定の大きさより小さい大きさを有するビーズが上記障壁を横断できるようにし、同時に、上記第1の特定の大きさより大きいビーズを保持するように構成された第1の障壁とを備える、工程と、少なくとも3つの大きさを有するビーズを含む液滴を上記第1の障壁を介して輸送して、上記第1の特定の大きさより大きいビーズを含む保持された液滴と、上記第1の特定の大きさよりも大きいビーズを含む送られた液滴とを提供する工程とを含んでもよい。関連する実施形態において、上記液滴アクチュエータは、第2の特定の大きさより小さい大きさを有するビーズが、上記障壁を横断できるようにし、同時に、上記第2の特定の大きさよりも大きいビーズを保持するように構成された第2の障壁をさらに備え、上記方法は、少なくとも3つの大きさを有するビーズを含む液滴を上記第1の障壁を介して輸送して、上記第1の特定の大きさより大きいビーズを含む保持された液滴と、上記第1の特定の大きさよりも大きいビーズを含む送られた液滴とを提供する工程をさらに含み、上記保持された液滴を上記第2の障壁を介して輸送して、上記第1および第2の特定の大きさよりも大きいビーズを含む保持された液滴と、上記第1の特定の大きさよりも大きく、上記第2の特定の大きさより小さいビーズを含む送られた液滴とを提供する工程を含む。
【0022】
本発明は液滴アクチュエータを作製する方法をさらに含む。上部基板と液滴操作表面との間の液滴アクチュエータの障壁にビーズを配置させる工程を含み、上記障壁は、全ての側において上記障壁の外側への上記ビーズの輸送を防ぎ、流体を上記障壁の内側におよび/または外側に液滴操作を介して輸送させることができる。
【0023】
本発明はキットをさらに含む。このキットは一般に液滴アクチュエータを含む。この液滴アクチュエータは、上部基板と上記液滴アクチュエータの液滴操作表面との間の障壁内に配置されたビーズと、さらなる要素であって、上記液滴アクチュエータを用いた使用のための充填剤流体と、上記液滴アクチュエータの使用のための試薬と、流体を上記液滴アクチュエータに装填する際に使用するためのデバイスとからなる群より選択されるさらなる要素とを備える。
【0024】
6(定義)
本明細書において用いられる場合、以下の用語は、示される意味を有する。
【0025】
1つ以上の電極に関して、「作動させる」ということは、1つ以上の電極の電気的状態に変化をもたらすことを意味し、それによって液滴操作がもたらされる。
【0026】
液滴アクチュエータ上のビーズに関して、「ビーズ」とは、液滴アクチュエータの上または付近の液滴と相互作用ができる任意のビーズまたは粒子を意味する。ビーズは、球形、ほぼ球形、卵形、円盤形、立法形、および他の三次元形状などの、多種多様な形状のいずれであってもよい。ビーズは、例えば、液滴アクチュエータ上の液滴の中に移動可能であってもよく、あるいは液滴アクチュエータ上および/または液滴アクチュエータから離れて液滴アクチュエータ上の液滴がビーズに接触できるように、ビーズは液滴アクチュエータに対して構成されてもよい。ビーズは、例えば樹脂およびポリマーを含む多種多様な材料を用いて製造してもよい。ビーズは、任意の適切なサイズであってよく、例えば、マイクロビーズ、微小粒子、ナノビーズ、およびナノ粒子を含む。場合によっては、ビーズは磁気に反応するが、他の場合には、ビーズは磁気にさほど反応しない。磁気に反応するビーズについて、磁気に反応する材料は、ビーズの実質的に全ての構成要素を構成してもよく、あるいはビーズの1つの構成要素のみを構成してもよい。残りのビーズは、特に、高分子材料、コーティング、および検定用試薬の結合を可能にする部分を含んでもよい。磁気に反応する適切なビーズの例は、2005年11月24日に公開の「好ましくは固相としての磁性粒子を用いたマルチプレックスフローアッセイ」という名称の米国特許公開第2005−0260686号明細書に記載されており、磁気に反応する材料およびビーズに関する教示については、その開示の全体が本願明細書に援用されるものとする。ビーズは、ビーズに付着した生物学的細胞の1つ以上の集団を含んでもよい。場合によっては、生物学的細胞は、実質的に純粋集団である。他の場合には、生物学的細胞は、異なる細胞集団(例えば、操作された組織または全動物(例えば、C.elegans)などの互いに相互作用をする細胞集団)を含む。
【0027】
「液滴」とは、充填材流体によって少なくとも部分的に取り囲まれる、液滴アクチュエータ上のある量の液体を意味する。例えば、液滴は、充填材流体によって完全に囲まれてもよく、あるいは充填材流体と液滴アクチュエータの1つ以上の表面とによって取り囲まれてもよい。液滴は、多種多様な形状をとり得る。非限定的な例としては、ほぼ円板形、スラグ形、切断球形、楕円形、球形、部分的に圧縮された球形、半球形、卵形、円筒形、さらには、結合または分割などの液滴操作中に形成される様々な形状や、上記形状が液滴アクチュエータの1つ以上の表面と接触する結果として形成される様々な形状が挙げられる。
【0028】
「液滴操作」とは、液滴アクチュエータ上の液滴に対する任意の操作を意味する。液滴操作は、例えば、液滴を液滴アクチュエータに装填すること、供給源の液滴から1つ以上の液滴を分配すること、液滴を2つ以上の液滴に分裂、分離、または分割すること、液滴をある位置から別の位置へと任意の方向に移動させること、2つ以上の液滴を1つの液滴に結合または組み合わせること、液滴を希釈すること、液滴を混合すること、液滴を攪拌すること、液滴を変形させること、液滴を適所に保持すること、液滴を温置すること、液滴を加熱すること、液滴を蒸発させること、液滴を冷却すること、液滴を処理すること、液滴を液滴アクチュエータの外に移動させること、本明細書に記載する他の液滴操作、および/または上記操作の任意の組合せを含んでもよい。「結合する」、「結合すること」、「組み合わせる」、「組み合わせること」等の用語は、2つ以上の液滴から1つの液滴を作ることを説明するために用いられる。2つ以上の液滴に関してそのような用語を用いる場合には、2つ以上の液滴を1つの液滴に組合せるのに充分な、液滴操作の任意の組合せを用いてもよい、ということを理解すべきである。例えば、「液滴Aを液滴Bに結合すること」は、液滴Aを静止液滴Bに接触するように移動させること、液滴Bを静止液滴Aに接触するように移動させること、または液滴Aと液滴Bとを互いに接触するように移動させることによって達成することができる。「分裂する」、「分離する」および「分割する」という用語は、結果として生じる液滴のサイズまたは数について任意の特定の結果を意味することを意図しない。すなわち、結果として生じる液滴のサイズは、同一であることも異なることもあり得るし、結果として生じる液滴の数は、2つ、3つ、4つ、5つ、またはそれ以上であり得る。「混合する」という用語は、液滴内の1つ以上の構成要素のより均質な分布をもたらす液滴操作を指す。「装填する」液滴操作の例としては、微小透析装填、圧力によって援助される装填、ロボット装填、受動的な装填、毛細管装填、およびピペット/シリンジ/スポイト装填が挙げられる。液滴操作は電極を媒介してもよい。一部の場合において、液滴操作は、表面上の親水性および/または疎水性領域の使用、ならびに/または物理的障壁によってさらに容易にされる。
【0029】
磁気に反応するビーズを洗浄することに関して、「洗浄すること」とは、磁気に反応するビーズと接触するか、または磁気に反応するビーズと接触する液滴から磁気に反応するビーズに曝される1つ以上の物質の量を減少させることを意味する。物質の量の減少は、部分的でもよく、実質的に全部でもよく、または全部でもよい。物質は、多種多様な物質の任意のものでもよく、例としては、さらなる分析のための目標物質、および不必要な物質(例えばサンプル、汚染物質および/または過剰な試薬の成分)を含む。一部の実施形態において、洗浄の操作は、磁気に反応するビーズと接触する初期の液滴で開始し、ここでその液滴は、物質の初期の総量を含む。洗浄の操作は、様々な液滴操作を用いて進めてもよい。洗浄の操作は、磁気に反応するビーズを含む液滴を産出してもよく、ここでその液滴は、物質の初期量よりも少ない物質の総量を含む。他の実施形態は、本明細書において他で記述され、さらに他の実施形態は、現在の開示からみて直ちに明らかである。
【0030】
「上部」および「底部」という用語は、便宜上のみ、本明細書において一貫して液滴アクチュエータの上部基板および底部基板を指す。なぜなら、液滴アクチュエータは、空間における位置に関係なく機能するからである。
【0031】
本明細書において、所与の構成要素(例えば層、領域または基板)が、他の構成要素の「上」に配置または形成される、と言及する場合には、その所与の構成要素は、他の構成要素の上に直接的に存在し得るか、またはそれに代わって、介在する構成要素(例えば、1つ以上のコーティング、層、中間層、電極または接点)も存在し得る。「上に配置される」および「上に形成される」という用語は、所与の構成要素が別の構成要素に対してどのように配置または位置するかを説明するために互換可能に用いられる、ということが更に理解される。従って、「上に配置される」および「上に形成される」という用語は、材料を移動、配置または製造する特定の方法に関する限定を導入することを意図しない。
【0032】
任意の形態の液体(例えば、移動または静止している液滴または連続的液体)が、電極、配列、マトリックスまたは表面「の上に」、「において」または「にわたって」存在する、と記載される場合には、そのような液体は、電極/配列/マトリックス/表面と直接的に接触しているか、または液体と電極/配列/マトリックス/表面との間に配置される1つ以上の層またはフィルムと接触している、ということであり得る。
【0033】
液滴が液滴アクチュエータの「上にある」または「上に装填されている」と記載される場合には、液滴アクチュエータを用いて液滴への1つ以上の液滴操作の実行を容易にするように液滴アクチュエータ上に液滴が配置されているか、液滴の特性または液滴からの信号の検出を容易にするように液滴アクチュエータ上に液滴が配置されているか、および/または液滴アクチュエータ上で液滴への液滴操作が行われた、ということを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】図1Aは、ビーズを操作するのに適切である物理的障壁を含む液滴アクチュエータ100の上面図(縮尺通りではない)を示し、図1Bは、液滴アクチュエータ100のさらなる詳細を示す、図1Aの線A−Aに沿った、液滴アクチュエータ100の断面図(縮尺通りではない)を示す。
【図2】図2Aは、ビーズを操作するのに適切である物理的障壁を含む液滴アクチュエータ200の上面図(縮尺通りではない)を示し、図2Bは、物理的障壁210を含む液滴アクチュエータ200の詳細を示す、図2Aの線B−Bに沿った、液滴アクチュエータ200の断面図(縮尺通りではない)を示す。
【図3】図3は、ビーズを操作するのに適切である物理的障壁を含む液滴アクチュエータ300の上面図(縮尺通りではない)を示す。
【図4】図4は、代替的な電極構成と組み合わせての、ビーズを操作するのに適切である物理的障壁を含む液滴アクチュエータ400の上面図(縮尺通りではない)を示す。
【図5】図5は、ビーズを操作するのに適切である代替的な形状を有する物理的障壁を含む液滴アクチュエータ500の上面図(縮尺通りではない)を示す。
【図6】図6は、ビーズを操作するのに適切である代替的な形状を有する物理的障壁を含む液滴アクチュエータ600の上面図(縮尺通りではない)を示す。
【図7】図7は、複数の物理的障壁を含む液滴アクチュエータ700の上面図(縮尺通りではない)を示す。
【図8】図8は、1つ以上の標的(例えば細胞または分子)を含むサンプルを含む液滴を摘み取る(pinch off)ような方法において装填される液滴アクチュエータ800の側面図(縮尺通りではない)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
7(詳細な説明)
本発明は、液滴アクチュエータにおいてビーズを操作するためのメカニズムを提供する。特定の実施形態において、本発明は、液滴アクチュエータ内での特定の位置において、所定のビーズ量を保持するための様々な形状および特徴の物理的障壁を提供する。この物理的障壁は、1つ以上の電極が液滴アクチュエータ内にあるように、液滴アクチュエータの空隙内に配置されてもよい。物理的障壁は、その障壁が、その障壁全体にわたって流体の流れを妨げないように構成されてよい。それゆえ、流体はその物理的障壁を介して流れることができ、その一方で、ビーズが適切な位置に保持され、ビーズを取り囲む流体が取り除かれるか、または新しい流体と取り替えられることができる。所定量のビーズが物理的障壁内に保持されてもよい。ビーズは様々な液滴操作を用いて操作されてもよい。別の実施形態において、本発明は、単一の液滴アクチュエータにおいて、異なる物理的傷害の組み合わせを用いて、異なる大きさにされたビーズを操作する方法を提供する。
【0036】
7.1(物理的障壁を用いたビーズ操作)
以下の実施形態は本発明の範囲を示す。
【0037】
図1Aは、ビーズを操作するのに適切である物理的障壁を含む液滴アクチュエータ100の上面図(縮尺通りではない)を示す。液滴アクチュエータ100は、液滴114上の液滴操作を実行するための、電極110、例えば、液滴駆動(electrowetting)電極の構成を含む。液滴アクチュエータ100は物理的障壁118をさらに含む。物理的障壁118は、四角形状(すなわち、任意の設計者仕様の寸法の正方形または長方形形状)等、様々な形状のうちの任意のものに形成されてもよく、同じ構造内において、別の一定の高さまたは可変の高さを有することができる。一部の場合において、その障壁はまた、連続的でなくてもよいが、多くの柱状(pillar−like)の構造体でてきていてもよい。さらに、図1Aは、1つ以上の電極110が物理的障壁118内にあることを示す。所定量のビーズ126を含む1つ以上の液滴122もまた、物理的障壁内に保持されていてもよい。液滴アクチュエータ100は、液滴を含まない物理的障壁にビーズ126を提供されてもよい。次いで、操作の間、液滴は、ビーズ126を取り囲むために、液滴操作を介して物理的障壁118へ輸送されてもよい。ビーズ126は、一部の場合、磁気に反応してもよい。磁気に反応する適切なビーズの例は、11月24日、3145で公開された「Multiplex flow assays preferably with magnetic particles as solid phase」と題された米国特許出願公開第2005−0260686号明細書に記載されている。図1Bは、ビーズ126を操作するための物理的障壁118を含む液滴アクチュエータ100のさらなる詳細を記載する。
【0038】
図1Bは、液滴アクチュエータ100のさらなる詳細を示す、図1Aの線A−Aに沿った、液滴アクチュエータ100の断面図(縮尺通りではない)を示す。より詳細には、図1Bは、電極110を伴った基板130として形成された底板を含む液滴アクチュエータ100を示す。さらに、液滴アクチュエータ100は、接地電極138を伴った基板134として形成された上部基板を含む。底部基板および上部基板は、それらの間に空隙142を有するように構成され、この空隙142は液滴アクチュエータ100の流路である。
【0039】
図1Bに示される例において、空隙142は、約200ミクロンの高さaを有し、各々の電極110は、約900ミクロンの幅bを有し、物理的障壁118は約100ミクロンから約200ミクロンの幅cを有し、物理的障壁118と特定の電極110の表面との間のスペース146は、ビーズ126がそのスペースの間を通過しないように、そして同時に、流体がそのスペースの間を流れることができるように、ビーズ126の直径未満の高さdを有する。1つの実施形態において、スペース146は約20ミクロンから約40ミクロンの高さdを有する。本特許出願に提供されたこれらの寸法および他の寸法は、例示のためのみであり、本発明の範囲を限定することは意図されていない。したがって、それらの寸法は当業者によって容易に調節されてもよい。
【0040】
物理的障壁118、ならびに図2A、2B、3、4、5、6、および7の実施形態に記載された物理的障壁等の物理的障壁は、クリオテープ(cryotape)またはソルダーレジスト(solder mask)等の材料で形成されてもよいが、それらに限定されない。さらに、物理的障壁118、ならびに図2A、2B、3、4、5、6、および7の実施形態に記載された物理的障壁等の物理的障壁は、材料が液滴アクチュエータの操作を過度に干渉しない限りにおいて、公知のフォトリソグラフィープロセスを用いて形成されてもよい光構成可能な(photo−configurable)障壁であってもよい。
【0041】
操作において、図1Aおよび図1Bを参照すると、液滴操作を実行する場合、流体は、液滴アクチュエータ100の流路に沿って、かつスペース146を介し物理的障壁118を通って、双方向に流れてもよい。液滴操作の間、物理的障壁118内に所定量のビーズ126が実質的に保持されており、好ましくは完全に保持されており、液滴アクチュエータ100全体にわたって自由に移動することができない。物理的障壁118の境界内に2つ以上の電極110が存在してもよいため、液滴操作およびビーズ操作は物理的障壁118の範囲内で行われてもよい。1つの実施形態において、液滴を攪拌することは、物理的障壁118の範囲内で行われてもよく、その結果、液滴122内のビーズ126の移動は、液滴成分の内部混合を容易にする。液滴の攪拌により、例えば、反応のための試薬および/またはサンプルの完全な混合、ならびに/あるいは洗浄液とビーズとの完全な混合が容易にできる。
【0042】
図2Aは、ビーズを操作するのに適切である物理的障壁を含む液滴アクチュエータ200の上面図(縮尺通りではない)を示す。液滴アクチュエータ200は、図1Aおよび図1Bの物理的障壁118が、物理的障壁210の一方の流体の入り口/出口端部において第1の空隙214、および他方の流体の入り口/出口端部において第2の空隙216を有する物理的障壁210に置き換えられていることを除いて、図1Aおよび図1Bの液滴アクチュエータ100と実質的に同じである。代替の実施形態において、複数の空隙214および216が提供されてもよい。空隙214および215は、実質的に垂直であってもよく、上部基板から底部基板まで、完全に延在していてもよく、または部分的に延在していてもよい。図2Bは、ビーズ126を操作するための物理的障壁210を含む液滴アクチュエータ200の詳細を示す。
【0043】
図2Bは、物理的障壁210を含む液滴アクチュエータ200の詳細を示す、図2Aの線B−Bに沿った、液滴アクチュエータ200の断面図(縮尺通りではない)を示す。1つの特定の実施形態において、空隙142は、図1Bに示すように、約200ミクロンの高さaを有し、各々の電極110は約900ミクロンの幅bを有する。さらに、図2Bは、例えば、ビーズ126がそのスペースの間を通過しないように、そして同時に、流体がそのスペースの間を流れることができるように、スペース146がビーズ126の直径未満の幅eを有することを示す。1つの実施形態において、スペース146は、約20ミクロンから約40ミクロンの幅eを有する。さらに、この実施形態において、スペース146の存在は任意であってもよい。従って、スペース146の高さdは、0ミクロンから、ビーズ126の直径未満の高さの範囲であってもよい。スペース216のみの存在(スペース146無し)により物理的障壁210を介して流体の流れが促進され得るために、この高さの範囲でもよい。それゆえ、1つの実施形態において、スペース146は、約0ミクロンから約40ミクロンの高さdを有してもよい。
【0044】
操作において、図2Aおよび図2Bを参照すると、液滴操作を実行する場合、流体は、液滴アクチュエータ200の流路に沿って、かつスペース214、スペース216、および必要に応じてスペース146を介して物理的障壁210を通って、双方向に流れてもよい。液滴操作の間、物理的障壁210内に所定量のビーズ126が実質的に保持されており、好ましくは完全に保持されており、液滴アクチュエータ200全体にわたって自由に移動することができない。物理的障壁210の境界内に2つ以上の電極110が存在してもよいため、液滴操作およびビーズ操作は物理的障壁210の範囲内で行われてもよい。
【0045】
1つの実施形態において、本発明は細胞培養装置として用いられることができ、ここで細胞は物理的障壁によって適切な位置に保持され、同時に、細胞の培地は移動して、細胞と接触したり、しなかったりする。その障壁の下の流体の輸送は、流体および電極110に面する210の底部上に電極を配置することによって支援可能である。これらの2つの電極は、次いで、より大きな濡れ力(wetting force)を生成するために用いられて、より小さい空隙dを介して液滴輸送を促進することができる。細胞は、空隙eを介して障壁へ輸送できる。
【0046】
図3は、ビーズを操作するのに適切である物理的障壁を含む液滴アクチュエータ300の上面図(縮尺通りではない)を示す。液滴アクチュエータ300は、図1Aおよび図1Bに示すように、例えば、液滴114上で、液滴操作を実行するための電極110の構成を含む。液滴アクチュエータ300は、例えば、U字型および任意の有用な寸法である物理的障壁310をさらに含む。U字型の物理的障壁310は、1つの方向への液滴の移動、例えば、物理的障壁310の描写された方向に関して、図3に示される方向への液滴の移動を防ぐのに有用である。図1Aおよび図1Bの液滴アクチュエータ100の物理的障壁118と同様に、ビーズの直径より小さい空隙(図示せず)が、物理的障壁310と、電極110上の液滴操作表面との間に提供され、これにより、流体(図示せず)のみが1つ以上の液滴操作に用いる障壁を通って移動することができる。従って、流れの一方向において、物理的障壁310は、ビーズ126が溜まってもよいダムの役割を果たし、それにより、ビーズ126がさらに下流に移動することを妨げる。
【0047】
一部の実施形態において、一連のこのような障壁は、異なる大きさのビーズを分離するために用いられてもよい。例えば、障壁と液滴操作表面との間で徐々に小さくなる空隙を有する一連の障壁が、徐々に小さくなるビーズを保持するために利用されてもよい。この場合、障壁は連続した篩(serial sieve)として効果的に機能し得る。最も大きいビーズは最初の障壁で捕捉されるが、他の大きさは、その障壁から次の障壁へと通過して輸送されることができる。一連のより小さい大きさのビーズは第2の障壁で捕捉されるが、さらに他のより小さい大きさのビーズは第3の障壁に輸送される。このプロセスは、実質的に全てのビーズが液滴から取り除かれるまで、次々に、さらなる障壁を用いて繰り返されることができる。
【0048】
類似の実施形態において、図1に示す障壁のような一連の障壁を用いてもよい。障壁は、より大きなビーズが入り口位置において入り、それらを出口位置において保持することを可能にするために、入り口位置と出口位置において異なる空隙の高さを有してもよい。
【0049】
別の関連の実施形態において、障壁は、柱状の構造体でできていてもよい。これらの柱の形状は、円筒形、半球形、または任意の他の適切な形状であってもよい。それらは、上部基板と底部基板との間の空隙の高さ全体、またはその空隙の高さの一部のサブセクションにわたっていてもよい。その材料を構成するために用いられる寸法および材料は、柱を介して液滴操作を実行でき、同時に、その柱間の空隙および/または基板の1つの表面における柱間の空隙よりも大きい任意のビーズを、その柱において保持できることを確実にするように選択される。篩は、特定の大きさのビーズが通過できるように、柱間で異なるスペースを有する一群の柱で形成可能である。柱間の空隙の大きさにより、柱の直径および/または柱の間隔を変更して設定できる。例えば、柱間の空隙の大きさは、柱の直径を固定し、柱間の間隔を変動させることによって、または、柱の数を固定し、各柱の直径を変動させることによって、設定可能である。例えば、そのような設計は、異なる直径の細胞を有する血液等、サンプルマトリクスからの異なる大きさの細胞を分離するために用いられることができる。同様に、大きさの異なったビーズは、篩としての、次第に小さくなる一連の柱を用いて分離可能である。
【0050】
物理的障壁を用いた任意のビーズ分離操作において、より小さなビーズが、より大きなビーズによってブロックされることなく障壁を横断できるように、液滴が障壁全体にわたって行き来することは、有用であり得る。さらに、横断−分裂(traverse−and−split)方法が用いられてもよく、これにより、液滴は障壁を越えて輸送され、新たな液滴がその保持されたビーズに導入される。新たな液滴は、液滴内のビーズを混合するために1度以上行き来してもよく、その後、新たな液滴は障壁全体にわたって輸送されてもよい。このプロセスは、その障壁によって保持される実質的に全てのビーズがその障壁内の開口よりも大きい直径を有するビーズになるまで、かつその障壁内の開口よりも小さい直径を有する実質的に全てのビーズがその障壁全体にわたって輸送されるまで、繰り返されてもよい。
【0051】
図4は、代替的な電極構成と組み合わせての、ビーズを操作するのに適切である物理的障壁を含む液滴アクチュエータ400の上面図(縮尺通りではない)を示す。液滴アクチュエータ400は、液滴操作を実行するために、第1の電極の対414および第2の電極の対418を組み合わせた電極410(例えば、液滴駆動電極)の構成を含む。液滴アクチュエータ400は物理的障壁414をさらに含み、この物理的障壁414は、例えば、液滴アクチュエータ100の物理的障壁118または液滴アクチュエータ200の物理的障壁210と実質的に同じである。物理的障壁414は、液滴アクチュエータ400の空隙内に配置される。
【0052】
第1の電極の対414は、図4に示すように、対応の対向するテーパー状の(tapered)電極430に沿ったテーパー状の(例えば三角形状の)電極426を含み、この電極は、物理的障壁414の一方の流体の入り口/出口の境界にわたっている。同様に、第2の電極の対418は、図4に示すように、対応の対向するテーパー状の電極438に沿ったテーパー状の電極434を含み、この電極は、物理的障壁414の他方の流体の入り口/出口の境界にわたっている。さらに、図4は、1つ以上の電極410が、物理的障壁414の範囲内での液滴操作を促進するために、物理的障壁414内、および第1の電極の対414と第2の電極の対418との間に配置される。さらに、所定量のビーズ(図示せず)は、物理的障壁414内に保持される。
【0053】
電極の対414および電極の対434の形状は、物理的障壁414の境界全体にわたって液滴(図示せず)の輸送をさらに促進することによって、液滴操作の容易性を改善する。より詳細には、液滴の物理的障壁414への移動を支援すると、例えば、テーパー状の電極430およびテーパー状の電極438のより小さい領域が、物理的障壁414の外側に配置され、このことは、液滴の大部分が、物理的障壁414の内側にある三角形のより大きな領域に調整されるのに好都合である。対照的に、液滴の物理的障壁414から外側への移動を支援すると、例えば、テーパー状の電極426およびテーパー状の電極434のより小さい領域が、物理的障壁414の内側に配置され、このことは、液滴の大部分が、物理的障壁414の外側にある三角形のより大きな領域に調整されるのに好都合である。
【0054】
電極410aから電極410bへ液滴を輸送するための例示的な一連の流れは以下の通りである。液滴が電極410aに輸送される。次いで、電極430を作動させ、電極410aの作動を解除して、その液滴を電極430上に止める。次いで、電極430の作動を解除し、電極410bを作動させ、これにより、物理的障壁414内にある電極410b上に液滴を止める。反対の方法においては、電極426は、電極410bから電極410aへの逆方向に液滴を輸送するために用いられる。
【0055】
図5は、ビーズを操作するのに適切である代替的な形状を有する物理的障壁を含む液滴アクチュエータ500の上面図(縮尺通りではない)を示す。液滴アクチュエータ500は、液滴操作を実行するための電極510(例えば液滴駆動電極)の構成を含む。液滴アクチュエータ500は、物理的障壁514をさらに含み、例えば、この物理的障壁514は、それが代替的な形状を有していることを除いて、液滴アクチュエータ100の物理的障壁118または液滴アクチュエータ200の物理的障壁210と実質的に同じである。物理的障壁514は液滴アクチュエータ500の空隙内に配置される。
【0056】
図5の例において、物理的障壁514の1つの流体の入り口/出口端部は、先が尖った形状(すなわち、物理的障壁514の中心から離れた方向を指している)を有してもよく、これは、液滴(図示せず)を物理的障壁514に移動させるのに好都合な形状である。なぜならば、特定の電極510のより小さい領域は物理的障壁514の外側に配置されており、これは、物理的障壁514の内側に配置されたより大きな領域を液滴が満たすのに好都合だからである。あるいは、物理的障壁514の流体の入り口/出口端部の両方は、物理的障壁514の中心から離れる方向を指している、先が尖った形状を有していてもよい。
【0057】
図6は、ビーズを操作するのに適切である代替的な形状を有する物理的障壁を含む液滴アクチュエータ600の上面図(縮尺通りではない)を示す。液滴アクチュエータ600は、液滴操作を実行するために、電極610(例えば液滴駆動電極)の構成を含む。液滴アクチュエータ600は、物理的障壁614をさらに含み、例えば、この物理的障壁614は、それが代替的な形状を有していることを除いて、液滴アクチュエータ100の物理的障壁118または液滴アクチュエータ200の物理的障壁210と実質的に同じである。物理的障壁614は液滴アクチュエータ600の空隙内に配置される。
【0058】
図6の例において、物理的障壁614の1つの流体の入り口/出口端部は、先が尖った形状(すなわち、物理的障壁614の中心の方向を指している)を有してもよく、これは、液滴(図示せず)を物理的障壁614から外側へ移動させるのに好都合な形状である。なぜならば、特定の電極610のより小さい領域は物理的障壁614の内側に配置されており、これは、物理的障壁614の外側に配置されたそれらのより大きな領域を液滴が満たすのに好都合だからである。あるいは、物理的障壁614の流体の入り口/出口端部の両方は、物理的障壁614の中心の方向を指している、先が尖った形状を有していてもよい。
【0059】
図5および図6を再び参照すると、物理的障壁は、液滴アクチュエータ500および液滴アクチュエータ600の組み合わせである形状を有していてもよい。より詳細には、物理的障壁の一方の流体の入り口/出口端部は、物理的障壁の中心の方向を指している先の尖った形状を有していてもよく、同時に物理的障壁の他方の入り口/出口端部は物理的障壁の中心から離れた方向を指している先の尖った形状を有していてもよい。
【0060】
図1A、図1B、図2A、図2B、図4、図5、および図6を再び参照すると、製造中において、ビーズは、個々の物理的障壁内に配置されてもよい。あるいは、ビーズは、液滴アクチュエータのチップの製造中、物理的障壁内で製造される。結果として、ビーズを完全に保持できる物理的障壁によって、ビーズが液滴アクチュエータ内で輸送され保存されることを可能にする。
【0061】
図1Aから図6を再び参照すると、単一の液滴アクチュエータは、図1Aから図6に記載されるものの任意の種類および組み合わせの複数の物理的障壁を含んでもよい。1つの応用において、単一の液滴アクチュエータは、各々、異なる物理的傷害内に異なる種類のビーズを含んでもよい。1つの実施形態において、液滴アクチュエータは、図1Aおよび図1Bまたは図2Aおよび図2Bの四角形状の物理的障壁のアレイを有してもよく、ここで各障壁は異なる種類のビーズを含んでもよい。液滴アクチュエータ内に電極の連続した構成が存在する場合があるので、1つのサンプルが全ての異なる物理的障壁を通って移動するように向上された柔軟性が与えられ、それにより1つの液滴アクチュエータ内で異なるアッセイを実行することができる能力を与えられる。図7は、複数の物理的障壁を含む例示的な液滴アクチュエータの詳細を示す。1つの実施形態において、本発明は、同じ種類の捕捉されたビーズまたは異なる種類の捕捉されたビーズの列を有する液滴アクチュエータを提供する。
【0062】
図7は、複数の物理的障壁を含む液滴アクチュエータ700の上面図(縮尺通りではない)を示す。この実施形態において、複数の物理的障壁が異なる大きさのビーズを分別するために用いられる。例えば、液滴アクチュエータ700は、例えば、図7に示す構成(これに限定されない)等、複数の流路に沿って液滴操作を実行するための電極710、例えば液滴駆動電極の、例えば列または格子の連続的構成を含む。特定の大きさの開口716を有するU字型の物理的障壁714が電極710の第1の構成に沿って配置される。U字型の物理的障壁714の開口716よりも大きい特定の大きさの開口726を有するU字型の物理的障壁724が電極710の第2の構成に沿って配置される。U字型の物理的障壁724の開口726よりも大きい特定の大きさの開口736を有するU字型の物理的障壁734が電極710の第3の構成に沿って配置される。従って、U字型の物理的障壁714、724、および734は、それらの各々の開口の幅が異なる。
【0063】
開口716、726、および736の機能は、それらの開口よりも小さいビーズのみを通過させ、それらの開口よりも大きいビーズのみを保持することができる。組み合わせて使用して、図7に示すように、U字型の物理的障壁714、724、および734は異なった大きさのビーズを分離するために用いられてもよい。例えば、および再び図7を参照すると、異なる直径のビーズを分離するための物理的障壁を使用する方法は、以下の工程の1つ以上を含むがそれらに限定されない。(1)連続的な電極(例えば図7の電極710)の構成、および異なった大きさの開口を有する複数の物理的障壁(例えば図7の物理的障壁714、724、および734)の構成を含む液滴アクチュエータ(例えば図7の液滴アクチュエータ700)を提供する工程、(2)最も小さい開口を有する第1の物理的障壁(例えば図7の物理的障壁714)に2つ以上の大きさのビーズを含む液滴を移動させ、次いでその液滴を攪拌し、これにより、最も小さいビーズをその開口を通過させ、より大きいビーズを保持させる、工程、(3)第1の物理的障壁よりも僅かに大きい開口を有する次の物理的障壁(例えば図7の物理的障壁724)に2つ以上の大きさのビーズを含む液滴を移動させ、次いでその液滴を攪拌し、これにより、次に、より大きいビーズをその開口を通過させ、さらにより大きいビーズを保持させる、工程、(4)それまでの物理的障壁よりもさらに大きい開口を有する次の物理的障壁(例えば図7の物理的障壁734)に、2つ以上の大きさのビーズを含む液滴を移動させ、次いでその液滴を攪拌し、これにより、さらにより大きいビーズをその開口を通過させ、さらにより大きいビーズを保持させる、工程、ならびに(5)任意の数の物理的障壁および任意の数の対応する大きさのビーズについて、上述の工程を繰り返す工程。
【0064】
図1Aからから図7を参照すると、一部の実施形態において、(開口を有するか、または有さない)物理的障壁は、電極の格子または列にわたって配置されてもよく、液滴は複数の方向においてその物理的障壁に入り、かつ出てもよい。1つの実施形態において、(開口を有するか、または有さない)四角の障壁が、四角の電極の格子に沿って提供される。別の実施形態において、(開口を有するか、または有さない)六角形の障壁が、六角形の電極の格子に沿って提供される。さらに別の実施形態において、(開口を有するか、または有さない)八角形の障壁が、八角形の電極の格子に沿って提供される。電極の形状および障壁の形状は同じである必要はなく、任意の組み合わせが用いられてもよい。
【0065】
なお、液滴アクチュエータの基板の1つ以上から延在する障壁に加えて、障壁は1つの基板において1つ以上のくぼみで形成されてもよいことに留意されたい。
【0066】
7.2(液滴アクチュエータを装填する場合のビーズ操作)
図8は、1つ以上の標的(例えば細胞または分子)を含むサンプルを含む液滴を摘み取る(pinch off)ような方法において装填される液滴アクチュエータ800の側面図(縮尺通りではない)を示す。図8は、注入口814を介して供給される流入リザーバ810を有する液滴アクチュエータ800を示す。さらに、液滴アクチュエータ800の流入リザーバ810は、マグネット818によって提供される磁場の範囲内に構成される。
【0067】
図8は、当該標的の特定の濃度を含む大量のサンプル822をさらに示す。1つの実施形態において、所定量の磁気ビーズ824が大量のサンプルに加えられてもよく、これは、当該標的を捕捉するために用いられてもよい。ビーズに結合される当該標的と共にビーズ824を有するサンプルは、注入口814を介して液滴アクチュエータ800のリザーバ810に移動されてもよい。ビーズ824は磁気を有しているので、ビーズ824は、マグネット818の磁界により、液滴アクチュエータ800の流路(図示せず)に導かれて、リザーバ810の底部に引き寄せられてもよい。さらに、マグネット818の磁界により、ビーズ824は、液滴アクチュエータ800内の表面上に集中する。このように、ビーズ824は液滴アクチュエータ800に引き付けられて、液滴へと摘み取られ、それにより、少量の液滴中のビーズ824に、捕捉される当該標的を集中させる。
【0068】
7.3(液滴アクチュエータ)
本発明の用途に適した液滴アクチュエータ・アーキテクチャの例として、パムラ(Pamula)らによる2005年6月28日発行の「Apparatus for Manipulating Droplets by Electrowetting−Based Techniques」と題する米国特許第6,911,132号;2006年1月30日出願の「Apparatuses and Methods for Manipulating Droplets on a Printed Circuit Board」と題する米国特許出願第11/343,284号;双方ともシェンデロフ(Shenderov)らによる、2004年8月10日発行の「Electrostatic Actuators for Microfluidics and Methods for Using Same」と題する米国特許第6,773,566号および、2000年1月24日発行の「Actuators for Microfluidics Without Moving Parts」と題する米国特許第6,565,727号;2006年12月11日に出願されたポラック(Pollack)らによる「Droplet−Based Biochemistry」と題する国際特許出願PCT/US 06/47486号を参照されたい。また、それらの開示が参照により本明細書に援用される。磁気ビーズおよび/または非磁気ビーズを固定させるための液滴アクチュエータの技術の例は、前述の国際特許出願、シスタ(Sista)らによる「Immobilization of magnetically−responsive beads during droplet operations」と題された、2007年2月9日出願の米国特許出願第60/900,653号、シスタ(Sista)らによる「Droplet Actuator Assay Improvements」と題された、2007年9月4日に出願の米国特許出願第60/969,736号、およびアレン(Allen)らによる「Bead washing using physical barriers」と題された、2007年4月24日に出願の米国特許出願第60/957,717号に記載されており、それらの開示全体は参照することにより援用される。
【0069】
7.4(流体)
本発明のアプローチを使用する液滴操作に供され得る流体の実施形態として、第03節の特許のリスト、特に、2006年12月11日に出願された「Droplet−Based Biochemistry」と題された国際特許出願PCT/US第06/47486号を参照されたい。一部の実施形態において、装填される流体は、生物学的サンプル(例えば、全血、リンパ液、血清、血漿、汗、涙、唾液、痰、脳脊髄液、羊水、精液、膣分泌物、漿液、滑液、囲心腔液、腹膜流体、胸水、漏出液、浸出液、嚢胞液、胆汁、尿、胃液、腸液、大便サンプル、流体化した組織、流体化した有機体、生物学的綿棒および生物学的洗浄物)を含む。一部の実施形態において、単離される流体は、試薬(例えば水、純水、生理的食塩水、酸性液、塩基性溶液、清浄液および/または緩衝液)を含む。一部の実施形態において、流体は、試薬(例えば生化学的プロトコル(例えば、核酸増幅プロトコル、親和性ベースの分析プロトコル、塩基配列決定プロトコル、および/または体液の分析のための生化学プロトコル)のための試薬)を含む。流体は、生体細胞のための栄養素を含む流体であってもよい。例えば、流体は培地または培地の成分であってもよい。本発明は、培地、または生体細胞のための栄養素を含む流体を、生体細胞集団、例えば、1つ以上のビーズに付着した集団に接触させるための1つ以上の液滴操作を行うことを含む。
【0070】
7.5(充填剤流体)
空隙は、通常、充填剤流体で満たされる。充填剤流体は、例えば、低粘度油(例えばシリコーンオイル)でもよい。充填剤流体の他の例は、2006年12月11日に出願された「Droplet−Based Biochemistry」と題された国際特許出願PCT/US第06/47486号において提供される。
【0071】
本明細書は、読者の便宜のためだけに節に分けられる。見出しは、本発明の範囲を限定するものとして解釈されてはならない。定義は本発明の記載の一部である。本発明のさまざまな詳細が、本発明の範囲から逸脱しないで変更されてもよいことが理解される。本明細書に記載された各々の実施形態の様々な態様は他の実施形態の様々な態様と置き換えられてもよい。本明細書に記載された特定の例、寸法、および量は、例示目的のためだけにあり、特許請求の範囲を限定することを意図されていない。
【図1A】

【図1B】

【図2A】

【図2B】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)底基板の液滴操作表面上で液滴操作を行うように構成された電極を備える底基板と、
(b)前記液滴操作表面上に配置された1つ以上のビーズを含む液滴と、
(c)前記液滴および前記電極に対して配置された障壁であって、1つ以上の前記電極によって媒介される1つ以上の液滴操作を用いて、液滴がビーズから離れる方向に輸送されることができ、かつ前記ビーズの輸送が前記障壁によって制限される、障壁と
を備える、液滴アクチュエータ。
【請求項2】
液滴操作を行うための空隙を形成するために、前記液滴操作表面から分離された上部基板をさらに備える、請求項1に記載の液滴アクチュエータ。
【請求項3】
前記障壁は、前記上部基板と結合され、かつ前記上部基板から下方に延在する、請求項2に記載の液滴アクチュエータ。
【請求項4】
前記障壁は、前記障壁の底縁と前記液滴操作表面との間に空隙を残すように構成される、請求項3に記載の液滴アクチュエータ。
【請求項5】
前記障壁は垂直の空隙を備え、1つ以上の前記電極によって媒介される液滴操作の間、前記空隙を介して、流体を通過させることができる、請求項3に記載の液滴アクチュエータ。
【請求項6】
前記垂直の空隙は1つの電極上に配置されている、請求項5に記載の液滴アクチュエータ。
【請求項7】
前記垂直の空隙は、前記空隙に面した前記上部基板の表面から前記液滴操作表面まで、実質的に延在する、請求項5に記載の液滴アクチュエータ。
【請求項8】
前記1つ以上のビーズは前記障壁に完全に取り囲まれている、請求項3に記載の液滴アクチュエータ。
【請求項9】
前記障壁は、液滴を輸送するように構成された電極の経路上に配置された方形の障壁を備える、請求項8に記載の液滴アクチュエータ。
【請求項10】
前記障壁は、液滴を輸送するように構成された電極の経路上に配置された方形の障壁を備え、前記方形の障壁の1つの側が第1の電極全体のほぼ中間のところに配置されており、前記方形の障壁の別の側が第2の電極全体のほぼ中間のところに配置されている、請求項8に記載の液滴アクチュエータ。
【請求項11】
前記障壁は、電極経路を横断して、前記障壁のビーズ保持部から離れた方向を指している、角度のある障壁を備える、請求項8に記載の液滴アクチュエータ。
【請求項12】
前記障壁は、電極経路を横断して、前記障壁のビーズ保持部の方向を指している、角度のある障壁を備える、請求項8に記載の液滴アクチュエータ。
【請求項13】
前記1つ以上のビーズは、前記障壁から離れて任意の方向に輸送されることを、前記障壁によって防がれる、請求項1に記載の液滴アクチュエータ。
【請求項14】
前記1つ以上のビーズは、前記障壁から離れて第1の方向に輸送されることを、前記障壁によって防がれるが、前記障壁から離れて第2の方向に輸送されることを、前記障壁によって防がれない、請求項1に記載の液滴アクチュエータ。
【請求項15】
前記障壁は、特定の大きさの制限より小さい大きさを有するビーズが、前記障壁を横断できるようにし、同時に、前記特定の大きさの制限より大きいビーズを保持する開口を備える、請求項14に記載の液滴アクチュエータ。
【請求項16】
前記液滴アクチュエータは2つ以上の前記障壁を備え、各々の障壁は異なる特定の大きさの制限を有する、請求項15に記載の液滴アクチュエータ。
【請求項17】
前記障壁は、特定の大きさの制限より小さい大きさを有するビーズが、前記障壁を横断できるようにし、同時に、前記特定の大きさの制限より大きいビーズを保持する開口を備える、請求項1に記載の液滴アクチュエータ。
【請求項18】
前記液滴アクチュエータは2つ以上の前記障壁を備え、各々の障壁は異なる特定の大きさの制限を有する、請求項17に記載の液滴アクチュエータ。
【請求項19】
前記障壁は、第1の細長の次第に狭くなる液滴操作電極であって、前記障壁のビーズ保持側で前記電極の第1の端部における幅広の底面と、前記障壁の反対側で第2の端部における次第に狭くなる狭い頂点とを備える電極、によって横断される、請求項1に記載の液滴アクチュエータ。
【請求項20】
前記障壁は、第1の細長の次第に狭くなる液滴操作電極であって、前記障壁のビーズ保持側と反対側で前記電極の第1の端部における幅広の底面と、前記障壁のビーズ保持側で第2の端部における次第に狭くなる狭い頂点とを備える電極、によって横断される、請求項1に記載の液滴アクチュエータ。
【請求項21】
前記第1の液滴操作電極は、長さが同様であって、実質的に第3の辺よりも長い2つの辺を含む略三角形状を有する、請求項19に記載の液滴アクチュエータ。
【請求項22】
前記第1の液滴操作電極は、長さが同様であって、実質的に第3の辺よりも長い2つの辺を含む略三角形状を有する、請求項20に記載の液滴アクチュエータ。
【請求項23】
三角形状は、細長の直角三角形、二等辺三角形、または不等辺三角形を含む、請求項21に記載の液滴アクチュエータ。
【請求項24】
三角形状は、細長の直角三角形、二等辺三角形、または不等辺三角形を含む、請求項22に記載の液滴アクチュエータ。
【請求項25】
(a)前記第1の次第に狭くなる液滴操作電極の前記底面が第2の次第に狭くなる液滴操作電極の前記頂点に隣接し、かつ
(b)前記第1の次第に狭くなる液滴操作電極の前記頂点が前記第2の次第に狭くなる液滴操作電極の前記底面に隣接するように、
前記第1の次第に狭くなる液滴操作電極に沿って方向付けられた第2の細長の次第に狭くなる液滴電極をさらに備える、請求項19に記載の液滴アクチュエータ。
【請求項26】
前記障壁を横断する2組の前記第1および第2の細長の次第に狭くなる液滴操作電極を備える、請求項25に記載の液滴アクチュエータ。
【請求項27】
前記ビーズは、前記ビーズに結合される生体細胞を含む、請求項1に記載の液滴アクチュエータ。
【請求項28】
前記ビーズは、前記ビーズに結合される実質的に純粋な群の生体細胞を含む、請求項1に記載の液滴アクチュエータ。
【請求項29】
(a)底基板の液滴操作表面上で液滴操作を行うように構成された電極を備える底基板と、
(b)前記底基板に近接した位置にある狭い開口を備える、漏斗形状のリザーバと
を備え、前記底基板および前記漏斗形状のリザーバは、前記漏斗に装填されるビーズを含むサンプルの一部が前記液滴操作表面に流れ、前記サンプルの前記一部は前記ビーズの相当量を含む、液滴アクチュエータ。
【請求項30】
磁気ビーズを、前記漏斗形状のリザーバから前記基板表面上に引き付けるように配置された磁界源をさらに備える、請求項29に記載の液滴アクチュエータ。
【請求項31】
前記液滴操作表面と並行するように配置された上部基板をさらに備え、前記漏斗形状のリザーバの前記狭い開口が前記上部基板を貫通している、請求項29に記載の液滴アクチュエータ。
【請求項32】
(a)底基板の液滴操作表面上で液滴操作を行うように構成された電極を備える底基板と、
(b)前記液滴操作表面に対して略並行して配置された上部基板と、
(c)前記液滴アクチュエータの障壁において捕捉されるビーズであって、1つ以上の前記電極によって媒介された液滴操作を用いて、前記障壁は、前記液滴を前記障壁の内側に、および前記障壁から外側へ輸送できるようにさせ、同時に前記障壁内に1つ以上の前記ビーズを保持する、ビーズと
を備える、液滴アクチュエータ。
【請求項33】
前記障壁は前記障壁内に実質的に全ての前記ビーズを保持する、請求項32に記載の液滴アクチュエータ。
【請求項34】
2つ以上の前記電極は前記障壁内において液滴操作を行うように配置される、請求項32に記載の液滴アクチュエータ。
【請求項35】
障壁の列をさらに備え、各々の障壁は特定のビーズの種類を含むビーズを保持し、前記列は複数のビーズの種類を含む、請求項32に記載の液滴アクチュエータ。
【請求項36】
前記ビーズは、前記ビーズに結合される生体細胞を含む、請求項32に記載の液滴アクチュエータ。
【請求項37】
前記ビーズは、前記ビーズに結合される実質的に純粋な群の生体細胞を含む、請求項32に記載の液滴アクチュエータ。
【請求項38】
ビーズを取り囲む所定量の流体を低減する方法であって、液滴アクチュエータの障壁を通して前記所定量の流体の一部を輸送する工程を含み、前記障壁が前記ビーズの輸送を制限する、方法。
【請求項39】
前記ビーズは、前記ビーズに結合される生体細胞を含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記所定量の流体は、前記生体細胞を増殖させるために選択された培地を含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記所定量の流体の一部を用い、分析プロトコルにおいて1つ以上の液滴操作を行う工程をさらに含む、請求項38の方法。
【請求項42】
前記輸送する工程は、電極を媒介する、請求項38に記載の方法。
【請求項43】
前記輸送する工程は、液滴駆動を媒介する、請求項38に記載の方法。
【請求項44】
前記輸送する工程は、誘電泳動を媒介する、請求項38に記載の方法。
【請求項45】
生体細胞に栄養素を提供する方法であって、
(a)請求項40に記載の方法に係る所定量の流体を低減する工程と、
(b)1つ以上の液滴操作を行い、前記栄養素を含む流体を前記ビーズに接触させる工程と
を含む、方法。
【請求項46】
前記ビーズは、前記ビーズに結合される実質的に純粋な群の生体細胞を含む、請求項38に記載の方法。
【請求項47】
前記ビーズは細胞の群と相互作用する工程を含む、請求項38に記載の方法。
【請求項48】
所定量の流体を1つ以上のビーズから分離する方法であって、液滴アクチュエータの障壁を通して前記所定量の流体を輸送する工程を含み、前記障壁が前記1つ以上のビーズの1つ以上の輸送を制限する、方法。
【請求項49】
実質的にビーズを含まない液滴を、ビーズを含む液滴から離れた方向に輸送する方法であって、
(a)液滴アクチュエータを提供する工程であって、前記液滴アクチュエータは、
(i)底基板の液滴操作表面上で液滴操作を行うように構成された電極を備える底基板と、
(ii)前記液滴操作表面上に配置された1つ以上のビーズを含む液滴と、
(iii)前記液滴および前記電極に対して配置された障壁であって、1つ以上の前記電極によって媒介される1つ以上の液滴操作を用いて、液滴がビーズから離れる方向に輸送されることができ、かつ前記ビーズの輸送が障壁によって制限される、障壁と
を備える、工程と、
(b)前記障壁にわたってビーズを含む前記液滴を輸送する工程であって、前記障壁は前記ビーズを保持し、実質的にビーズを含まない液滴が、前記障壁の反対側に形成される、工程と
を含む、方法。
【請求項50】
前記液滴アクチュエータは、液滴操作を行うための空隙を形成するために、前記液滴操作表面から分離された上部基板をさらに備える、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記障壁は、前記上部基板と結合され、かつ前記上部基板から下方に延在する、請求項49に記載の方法。
【請求項52】
前記障壁は、第1の細長の次第に狭くなる液滴操作電極であって、前記障壁のビーズ保持側と反対側の前記電極の第1の端部における幅広の底面と、前記障壁のビーズ保持側の第2の端部における次第に狭くなる狭い頂点とを備える電極、によって横断され、請求項49に記載の工程(b)は、前記電極を作動して、液滴が前記障壁を横断させるようにする工程を含む、請求項49に記載の方法。
【請求項53】
前記ビーズは細胞の群を含む、請求項49に記載の方法。
【請求項54】
液滴アクチュエータにおいてビーズを洗浄する方法であって、
(a)液滴アクチュエータを提供する工程であって、前記液滴アクチュエータは、
(i)底基板の液滴操作表面上で液滴操作を行うように構成された電極を備える底基板と、
(ii)前記液滴操作表面上に配置された1つ以上のビーズを含む液滴と、
(iii)前記液滴および前記電極に対して配置された障壁であって、1つ以上の前記電極によって媒介される1つ以上の液滴操作を用いて、液滴がビーズから離れる方向に輸送されることができ、かつ前記ビーズの輸送が障壁によって制限される、障壁と
を備える、工程と、
(b)前記障壁にわたってビーズを含む前記液滴を輸送する工程であって、前記障壁は前記ビーズを保持し、実質的にビーズを含まない液滴が、前記障壁の反対側に形成される、工程と、
(c)洗浄液滴を輸送して前記ビーズに接触させる工程と、
(d)前記ビーズの洗浄が完了するまで前記工程(b)および(c)を繰り返す工程と
を含む、方法。
【請求項55】
請求項54に記載の工程(c)は、前記液滴を、前記障壁全体に輸送して、前記ビーズに接触させる工程を含む、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
液滴アクチュエータにおいてビーズを分別する方法であって、
(a)液滴アクチュエータを提供する工程であって、前記液滴アクチュエータは
(i)底基板の液滴操作表面上で液滴操作を行うように構成された電極を備える底基板と、
(ii)第1の特定の大きさより小さい大きさを有するビーズが前記障壁を横断できるようにし、同時に、前記第1の特定の大きさより大きいビーズを保持するように構成された第1の障壁と
を備える、工程と、
(b)少なくとも3つの大きさを有するビーズを含む液滴を前記第1の障壁を介して輸送して、前記第1の特定の大きさより大きいビーズを含む保持された液滴と、前記第1の特定の大きさよりも大きいビーズを含む送られた液滴とを提供する工程と
を含む、方法。
【請求項57】
(a)前記液滴アクチュエータは、第2の特定の大きさより小さい大きさを有するビーズが、前記障壁を横断できるようにし、同時に、前記第2の特定の大きさよりも大きいビーズを保持するように構成された第2の障壁をさらに備え、
(b)前記方法は、少なくとも3つの大きさを有するビーズを含む液滴を前記第1の障壁を介して輸送して、前記第1の特定の大きさより大きいビーズを含む保持された液滴と、前記第1の特定の大きさよりも大きいビーズを含む送られた液滴とを提供する工程をさらに含み、
(c)(b)の前記保持された液滴を前記第2の障壁を介して輸送して、前記第1および第2の特定の大きさよりも大きいビーズを含む保持された液滴と、前記第1の特定の大きさよりも大きく、前記第2の特定の大きさより小さいビーズを含む送られた液滴とを提供する工程を含む、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記ビーズは、前記ビーズに結合される生体細胞を含む、請求項56に記載の方法。
【請求項59】
液滴アクチュエータを作製する方法であって、上部基板と液滴操作表面との間の液滴アクチュエータの障壁にビーズを配置させる工程を含み、前記障壁は、全ての側において前記障壁の外側への前記ビーズの輸送を防ぎ、流体を前記障壁の内側におよび/または外側に液滴操作を介して輸送させることができる、方法。
【請求項60】
液滴アクチュエータを備えるキットであって、前記液滴アクチュエータが、
(a)上部基板と前記液滴アクチュエータの液滴操作表面との間の障壁内に配置されたビーズと、
(b)さらなる要素であって、
(i)前記液滴アクチュエータでの使用のための充填剤流体と、
(ii)前記液滴アクチュエータでの使用のための試薬と、
(iii)流体を前記液滴アクチュエータに装填する際に使用するためのデバイスと
からなる群より選択されるさらなる要素と
を備える、キット。

【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2010−537203(P2010−537203A)
【公表日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−522099(P2010−522099)
【出願日】平成20年8月25日(2008.8.25)
【国際出願番号】PCT/US2008/074151
【国際公開番号】WO2009/029561
【国際公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【出願人】(509225524)アドヴァンスト リキッド ロジック インコーポレイテッド (8)
【Fターム(参考)】