液滴吐出装置、薄膜形成方法
【課題】ノズル間の液滴吐出量のバラツキを抑制する。
【解決手段】本発明の液滴吐出装置は、区画領域PX1,PX2の配置間隔が異なる複数の吐出領域PA1,PA2に液滴を吐出するものである。副走査方向の移動間隔δを区画領域PX1の配置間隔の整数倍とし、区画領域PX1に液滴を吐出するときには、区画領域PX1と重なる特定のノズルNからの液滴吐出量の分布に基づいて、各ノズルNから吐出される液滴吐出量が所定の適正量に近づくように、駆動素子の駆動波形を制御する。一方、区画領域PX2に液滴を吐出するときには、区画領域PX2と重なるノズルNを1主走査毎に選択し、選択したノズルNから液滴を吐出させると共に、選択され得る全てのノズルの組み合わせ(吐出パターン)についての平均的な吐出量の分布に基づいて、各ノズルNから吐出される液滴吐出量が所定の適正量に近づくように駆動素子の駆動波形を制御する。
【解決手段】本発明の液滴吐出装置は、区画領域PX1,PX2の配置間隔が異なる複数の吐出領域PA1,PA2に液滴を吐出するものである。副走査方向の移動間隔δを区画領域PX1の配置間隔の整数倍とし、区画領域PX1に液滴を吐出するときには、区画領域PX1と重なる特定のノズルNからの液滴吐出量の分布に基づいて、各ノズルNから吐出される液滴吐出量が所定の適正量に近づくように、駆動素子の駆動波形を制御する。一方、区画領域PX2に液滴を吐出するときには、区画領域PX2と重なるノズルNを1主走査毎に選択し、選択したノズルNから液滴を吐出させると共に、選択され得る全てのノズルの組み合わせ(吐出パターン)についての平均的な吐出量の分布に基づいて、各ノズルNから吐出される液滴吐出量が所定の適正量に近づくように駆動素子の駆動波形を制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液滴吐出装置、薄膜形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、液滴吐出装置を用いた薄膜形成技術が知られている。液滴吐出装置で形成される薄膜の代表的な例は、カラーフィルタや有機ELパネルの発光層である。液滴吐出装置を用いた薄膜形成技術では、用いる液滴吐出ヘッドの解像度に応じて微小な液滴を所望の位置に塗布することができる。そのため、凸版印刷等の他の印刷技術に比べて、微細なパターンの形成が可能である。例えば、カラーフィルタ基板に、赤、緑、青のカラーフィルタを形成する場合には、赤、緑、青の着色材料を含む溶液を微小ノズルから基板上に吐出し、これを乾燥、固化することによりカラーフィルタを形成することができる(例えば、特許文献1,2参照)。
【0003】
また、最近では、一つの大型基板上に複数機種のカラーフィルタ(パネル領域)を形成し、それを機種毎に分割して複数機種のカラーフィルタ基板を作製する方法が開発されている。この方法では、複数機種のカラーフィルタ基板を一つの液滴吐出装置で作製することができるため、機種毎に別々の液滴吐出装置を用意する場合に比べて、設備投資を少なくすることができる。また、各パネル領域の配置を工夫することによって、基板上の無駄なスペースを減らすことができるので、部材の利用効率を向上することが可能である。
【0004】
ここで、図18(b)に示すように、基板301の表面に設定される複数の画素領域PXに、ドット状に配列された複数のカラーフィルタ303を液滴吐出法に基づいて形成する場合を考える。この場合、例えば、複数のノズル304を列状に配列してなるノズル列305を有する液滴吐出ヘッド306を、矢印A1及び矢印A2で示すように複数回(図18(b)では2回)主走査させながら、それらの主走査の間に複数のノズル304から選択的にインクすなわちカラーフィルタ材料を吐出することによって所望の位置にカラーフィルタ303を形成する。
【0005】
カラーフィルタ303は、R,G,B等の各色をストライプ配列、デルタ配列、モザイク配列等といった適宜の配列形態で配列することによって形成されるものである。インクの吐出工程では、図に示すように、R,G,Bの単色を吐出する液滴吐出ヘッド306をR,G,B等の3色分だけ予め設けておいて、それらの液滴吐出ヘッド306を順々に用いて1つの基板301上にR,G,B等の3色配列を形成する。
【0006】
ところで、液滴吐出ヘッド306に関しては、ノズル列305を構成する各ノズル304の間でインクの吐出量にバラツキが生じており、一般に、図18(a)に示すように、ノズル列305の両端部に対応する位置の吐出量が多く、その中央部がその次に多く、それらの中間部の吐出量が少ないといった吐出特性(吐出量の分布)Qを示す。
【0007】
このため、液滴吐出ヘッド306によってカラーフィルタ303を所定の厚みに形成する場合には、ノズル列305を構成する各ノズル304のインク吐出量のバラツキに起因して、液滴吐出ヘッド306の主走査方向と直交する副走査方向に並ぶ複数のカラーフィルタ303の間で、インクの配置量(膜厚)にバラツキが生じることになる。この場合、例えばノズル列305の端部に対応する位置P1又は中央部P2、或いはP1及びP2の両方に濃度の濃いスジムラ(配置ムラ)が形成されてしまうため、カラーフィルタの平面的な光透過特性が不均一になるといった問題が発生してしまう。また、このようなスジ状の配置ムラは視認されやすく、カラーフィルタ303を介して表示される画像の画質を低下させる原因ともなる。
【0008】
そこで、特許文献1では、ノズル列305を複数のグループに分け、各ノズル304から吐出されるインクの吐出量をグループ毎に制御する方法が提案されている。この方法によれば、各ノズル304の吐出量をノズル304毎ではなくグループ毎に調整するので、補正値の選定作業や回路構成を簡略化しつつ、ノズル304間でインクの吐出量を均一化することができる。
【0009】
一方、液滴吐出ヘッド306における吐出量のバラツキは、1主走査毎の吐出パターンの変化によっても発生する。吐出パターンとは、1つの液滴吐出ヘッド306に設けられる複数のノズル304のうち、吐出を行うノズル(吐出ノズル)と吐出を行わないノズル(非吐出ノズル)との組み合わせをいう。
【0010】
例えば、基板301の画素領域PXのみにインクを吐出する場合、画素領域と重なるノズル304を使用し、非画素領域と重なるノズル304は使用しないため、副走査方向に液滴吐出ヘッド306を移動すると、ノズル304と画素領域との空間的な配置がずれてしまい、吐出ノズルと非吐出ノズルとの組み合わせ、すなわち吐出パターンが変わってしまう。
【0011】
副走査を行ったときにノズル304と画素領域PXとの空間的な配置がずれてしまうのは、副走査の移動距離が、液滴吐出ヘッド306のノズル間の間隔を基準として行われるためである。すなわち、副走査はノズル間の間隔の整数倍の距離で行われるように設計されているが、副走査をノズル間の間隔の整数倍とした場合、一般的には、画素領域PXの配置間隔はノズル間の間隔の整数倍とはならないので、ノズル304と画素領域PXとの空間的な配置は1主走査毎に異なったものとなる。そのため、副走査前の主走査では画素領域PX内に配置されていたノズルが、副走査後の主走査では画素間の領域(非画素領域)に配置される場合が生じ、それにより、吐出パターンが異なったものとなるのである。
【0012】
吐出パターンが変化すると、各ノズル304の吐出特性Qも変化する。この吐出特性Qの変化は、液滴吐出ヘッド306の構造的なクロストークおよび電気的なクロストークに起因している。すなわち、ノズル304の駆動による機械的な振動やインクを介した圧力伝達、及びノズル304に供給される駆動信号の歪み(オーバーシュートやアンダーシュート)によって、近接するノズル304の吐出量が変動するのである。
【0013】
このような問題を解決するために、特許文献2では、吐出ノズル数の割合(吐出ノズル数/全ノズル数)、すなわちノズルデューティに応じて、各ノズル304の駆動素子に供給する駆動波形を補正する方法が提案されている。この方法によれば、ノズル304に供給される駆動信号の歪みによって、近接するノズル304の吐出量が変動すること(電気的なクロストーク)を防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2002−196127号公報
【特許文献2】特開2006−289765号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、特許文献2の方法では、駆動信号の歪みによる吐出量の変動(電気的なクロストーク)は防止できるものの、ノズル304の駆動による機械的な振動或いはインクを介した圧力伝達等による吐出量の変動(構造的なクロストーク)は防止することができない。吐出パターン自体の変化を防止できないからである。
【0016】
そのため、考えうる全ての吐出パターンについて吐出特性Qを測定し、1主走査毎にこの吐出特性Qに基づいた駆動波形の調整を行うことが考えられるが、この方法では、吐出パターンの組み合わせが膨大になり、測定時間が長くかかると共に、制御が非常に複雑になるという問題がある。
【0017】
また、代表的な吐出パターン(例えば、全てのノズル304からインクを吐出する吐出パターン)を選択し、その吐出パターンにおける吐出特性Qに基づいて全ての吐出パターンの吐出量を調節することも考えられるが、この方法では、代表的な吐出パターンの吐出特性と実際の吐出パターンの吐出特性とが大きく異なる場合に、インクの吐出量が均一にならないという問題がある。
【0018】
また、同一基板上に複数機種のカラーフィルタを形成する場合には、機種毎に画素ピッチが異なるため、機種毎に吐出パターンが大きく変化する可能がある。例えば、小型の液晶パネルのカラーフィルタでは、大型液晶パネル用のカラーフィルタと比較して、画素の開口率が小さくなるため、非画素領域に配置されるノズルの割合が大きくなる。そのため、吐出パターンの変化による構造的なクロストークに加え、ノズルデューティの変化による電気的なクロストークも大きくなり、吐出量の制御が更に複雑化する。
【0019】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、簡易な構成でノズル間の液滴の吐出量のバラツキを抑制することのできる液滴吐出装置及び薄膜形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記の課題を解決するため、本発明の液滴吐出装置は、液滴を吐出する複数のノズルと、前記複数のノズルに対応して設けられた複数の駆動素子とを有する液滴吐出ヘッドを備え、前記液滴吐出ヘッドを基板上の第1方向及び該第1方向と直交する第2方向にそれぞれ所定の移動間隔で主走査及び副走査しながら前記複数のノズルから所定のタイミングで液滴を吐出することにより、前記基板上の前記第1方向及び前記第2方向に所定の間隔で配置された複数の区画領域に対してそれぞれ液滴を吐出する液滴吐出装置であって、前記複数のノズルからの液滴の吐出動作を制御すると共に、予め測定された前記複数のノズルからの液滴の吐出量の分布に基づいて、各ノズルから吐出される液滴の吐出量が所定の適正量に近づくように前記複数の駆動素子の駆動波形を制御する制御手段と、を備え、前記基板上には、前記第1方向に第1間隔で配列された複数の第1区画領域からなる第1吐出領域と、前記第1方向に前記第1間隔とは異なる第2間隔で配列された複数の第2区画領域からなる第2吐出領域とが設けられ、前記液滴吐出ヘッドの前記第2方向への移動間隔は前記第1間隔の整数倍とされ、前記制御手段は、前記第1区画領域に対して液滴を吐出するときには、前記複数のノズルのうち1主走査毎に選択されうる特定のノズルについて予め測定された前記液滴の吐出量の分布に基づいて、前記特定のノズルから吐出される液滴の吐出量が前記所定の適正量に近づくように前記特定のノズルに対応する前記駆動素子の駆動波形を制御し、前記第2区画領域に対して液滴を吐出するときには、前記複数のノズルのうち1主走査毎に選択され得る全てのノズルの組み合わせについて予め測定された、各組み合わせにおける平均的な液滴の吐出量の分布に基づいて、前記複数のノズルから吐出される液滴の吐出量が前記所定の適正量に近づくように前記複数の駆動素子の駆動波形を制御することを特徴とする。
【0021】
この構成によれば、ノズルの吐出特性(吐出量の分布)に基づいてノズル毎に吐出量を調節しているので、ノズルの吐出特性に起因する液滴吐出量のバラツキを抑制し、均一な膜層を形成することが可能となる。この場合、1主走査毎に吐出パターンが異なると、吐出パターン毎にノズルの吐出特性を調べなければならないが、本発明の液滴吐出装置では、第1吐出領域については、液滴吐出ヘッドの副走査方向の移動距離が第1区画領域の副走査方向における配置間隔の整数倍であるため、ノズルと第1区画領域との空間的な配置が常に等しくなり、吐出パターンが変化することがない。すなわち、液滴吐出ヘッドに備えられる複数のノズルのうち、複数の第1区画領域と重なる部分のノズルの組み合わせ(すなわち吐出ノズルと非吐出ノズルとの組み合わせ)が常に一定である。そのため、予め測定するノズルの吐出特性は、液滴吐出ヘッド毎に1種類の吐出パターンのみでよく、測定時間の短縮化が図られると共に駆動制御も容易となる。また、実際の吐出に用いる吐出パターンの吐出特性に基づいて吐出量の制御を行うため、吐出量の均一性が非常に高くなる。
【0022】
一方、第2吐出領域においては、液滴吐出ヘッドの副走査方向の移動距離は必ずしも第2区画領域の副走査方向における配置間隔の整数倍とはならないため、一般的には、ノズルと第2区画領域との空間的な配置が1主走査毎に変化し、それに応じて吐出パターンも変化する。そのため、本発明では、第2吐出領域に液滴を吐出する場合には、複数のノズルのうち第2区画領域と重なるノズルを1主走査毎に選択し、選択したノズルから液滴を吐出させると共に、選択され得る全てのノズルの組み合わせについて予め測定された、各組み合わせにおける平均的な液滴の吐出量の分布に基づいて、複数のノズルから吐出される液滴の吐出量が前記所定の適正量に近づくように複数の駆動素子の駆動波形を制御している。この方法によれば、吐出ノズルと非吐出ノズルとの組み合わせである吐出パターンは1主走査毎に異なるものの、予め測定するノズルの吐出特性は1つのみで良く、従って、全ての吐出パターン毎に吐出特性を測定し、その吐出特性に基づいて各駆動素子の駆動波形を吐出パターン毎に求める場合に比べて、駆動制御が容易となる。
【0023】
ここで、各組み合わせにおける平均的な液滴の吐出量の分布を測定する方法としては、例えば、選択され得る全てのノズルの組み合わせについて吐出量の分布を測定し、それらの分布を加算平均して算出する方法が挙げられる。また、同一記録媒体上に、各組み合わせに係る複数のノズルから液滴を重ねて吐出し、その総量をノズル毎に算出し、その総量を液滴の着弾数で除した値を加算平均とし、この加算平均をノズル毎に算出することによっても加算平均の分布を求める方法でも良い。例えば、第1の組み合わせに係る複数のノズルから液滴を吐出した後、第2の組み合わせに係る複数のノズルから液滴を重ねて吐出し、それらの総量の平均(加算平均)をノズル毎に測定し、各ノズルの吐出量の分布とするという方法である。
【0024】
このような方法で各ノズルの吐出量の分布を求めた場合、吐出量の分布の測定で用いる複数のノズルの組み合わせは、いずれも実際の吐出に用いるノズルの組み合わせである。そのため、実際の吐出に用いる吐出パターンの吐出量の分布に近似した分布が得られる。よって、このような吐出量の分布に基づいて各ノズルの吐出量を調節した場合には、実際の吐出に用いる吐出パターンの吐出量の分布に基づいて吐出量を調節した場合に比べて吐出量の均一性が大きく損なわれることはない。
【0025】
本発明においては、前記複数のノズルから液滴が吐出される記録媒体と、前記記録媒体上に吐出された前記液滴の画像を撮像する撮像装置と、を有する吐出量測定装置を備え、前記制御手段は、前記撮像装置によって撮像された液滴の画像を画像処理し、前記液滴の前記記録媒体上の着弾面積を求め、前記着弾面積に基づいて前記複数のノズルから吐出された液滴の吐出量の分布を求めることが望ましい。
【0026】
この構成によれば、複数のノズルから吐出される液滴の吐出量を同時に測定することができるため、例えば、電子天秤を用いて1ノズル毎に吐出量の測定を行う従来の測定方法に比べて、測定に要する時間を大幅に短縮することができる。
【0027】
本発明においては、前記記録媒体は、顔料をバインダーで結着させた多孔質のインク受容層を有する可撓性のシート部材であり、前記吐出量測定装置は、前記記録媒体を供給する供給リールと、前記供給リールから供給された前記記録媒体を巻き取る巻き取りリールと、を備えていることが望ましい。
【0028】
この構成によれば、記録媒体として一般に普及している写真印刷用のロール紙を用いることができるため、低コストで手軽に吐出量の測定を行うことができる。また、記録媒体を供給リールと巻き取りリールによって供給・排出するようにしたため、測定毎に常に新しい記録媒体を用いて高精度な測定を行うことができる。この場合、シート部材は消耗品となるが、本発明の液滴吐出装置では、吐出量の測定は液滴吐出ヘッド毎に定まる単一の吐出パターンに対して行えばよいので、測定に要するシート部材の量を少なくすることができ、コストの増大は最小限に抑えることができる。
【0029】
本発明においては、前記制御手段は、前記駆動素子毎に複数種類の駆動信号の中から1つを選択して供給する駆動信号選択手段と、前記駆動素子と当該駆動素子に供給する駆動信号の種類との対応関係を示す駆動信号選択データを記憶する第1の記憶手段と、前記複数種類の駆動信号の波形データを記憶する第2の記憶手段と、前記第2の記憶手段から前記複数種類の駆動信号の波形データを取得し、当該波形データに基づいて前記複数種類の駆動信号を生成する駆動信号生成手段と、を備え、前記駆動信号選択手段は、前記第1の記憶手段に記憶されている前記駆動信号選択データに基づいて、各駆動素子に供給する駆動信号の種類を前記駆動信号生成手段が生成した駆動信号の中から選択することが望ましい。
【0030】
この構成によれば、駆動信号選択データ及び駆動信号の波形データの追加、削除、変更を自由に行うことができ、これらデータの管理が容易となる。また、汎用的な装置構成で液滴吐出ヘッドの個体差に対応することができる。
【0031】
本発明においては、前記第1の記憶手段は、前記駆動素子と当該駆動素子に駆動信号を供給するか否かを規定する情報との対応関係を示す吐出データを記憶し、前記吐出データに基づいて、前記駆動素子毎に、前記駆動信号選択手段によって選択した駆動信号の供給または非供給を切り替える供給切替手段を備えることが望ましい。
【0032】
この構成によれば、駆動信号選択データと同様に吐出データの追加、削除、変更を自由に行うことができ、これらデータの管理が容易になる。
【0033】
本発明においては、前記駆動信号選択手段及び供給切替手段を前記液滴吐出ヘッドに設け、前記第1の記憶手段、前記第2の記憶手段及び前記駆動信号生成手段が設けられた駆動回路基板を備えることが望ましい。
【0034】
この構成によれば、液滴吐出ヘッドの交換や駆動回路基板の交換、または使用部品の交換などが容易となり、メンテナンス性の向上を図ることができる。
【0035】
本発明においては、前記駆動信号の種類は4種類であることが望ましい。
このように駆動信号を4種類の中から選択した場合であっても、各ノズルの吐出特性のバラツキに起因する液滴吐出量のバラツキを目標レベルまで低減することができるので、必要最小限の部品点数及びコストに抑えることができる。
【0036】
本発明においては、前記駆動素子は圧電素子であることが望ましい。
このように圧電素子を使用することにより、駆動信号に応じた量の液滴を高精度に吐出することができる。
【0037】
本発明の薄膜形成方法は、液滴を吐出する複数のノズルと、前記複数のノズルに対応して設けられた複数の駆動素子とを有する液滴吐出ヘッドを用い、前記液滴吐出ヘッドを基板上の第1方向及び該第1方向と直交する第2方向にそれぞれ所定の移動間隔で主走査及び副走査しながら前記複数のノズルから所定のタイミングで液滴を吐出することにより、前記基板上の前記第1方向及び前記第2方向に所定の間隔で配置された複数の区画領域に対してそれぞれ液滴を吐出する工程を含む薄膜形成方法であって、前記基板上には、前記第1方向に第1間隔で配列された複数の第1区画領域からなる第1吐出領域と、前記第1方向に前記第1間隔とは異なる第2間隔で配列された複数の第2区画領域からなる第2吐出領域とが設けられ、前記液滴吐出ヘッドの前記第2方向への移動間隔は前記第1間隔の整数倍とされ、前記第1区画領域に対して液滴を吐出するときには、前記複数のノズルのうち1主走査毎に選択されうる特定のノズルについて予め測定された前記液滴の吐出量の分布に基づいて、前記特定のノズルから吐出される液滴の吐出量が前記所定の適正量に近づくように前記特定のノズルに対応する前記駆動素子の駆動波形を制御し、前記第2区画領域に対して液滴を吐出するときには、前記複数のノズルのうち1主走査毎に選択され得る全てのノズルの組み合わせについて予め測定された、各組み合わせにおける平均的な液滴の吐出量の分布に基づいて、前記複数のノズルから吐出される液滴の吐出量が前記所定の適正量に近づくように前記複数の駆動素子の駆動波形を制御することを特徴とする。
【0038】
この方法によれば、ノズルの吐出特性(吐出量の分布)に基づいてノズル毎に吐出量を調節しているので、ノズルの吐出特性に起因する液滴吐出量のバラツキを抑制し、均一な膜層を形成することが可能となる。この場合、1主走査毎に吐出パターンが異なると、吐出パターン毎にノズルの吐出特性を調べなければならないが、本発明の液滴吐出装置では、第1吐出領域については、液滴吐出ヘッドの副走査方向の移動距離が第1区画領域の副走査方向における配置間隔の整数倍であるため、ノズルと第1区画領域との空間的な配置が常に等しくなり、吐出パターンが変化することがない。すなわち、液滴吐出ヘッドに備えられる複数のノズルのうち、複数の第1区画領域と重なる部分のノズルの組み合わせ(すなわち吐出ノズルと非吐出ノズルとの組み合わせ)が常に一定である。そのため、予め測定するノズルの吐出特性は、液滴吐出ヘッド毎に1種類の吐出パターンのみでよく、測定時間の短縮化が図られると共に駆動制御も容易となる。また、実際の吐出に用いる吐出パターンの吐出特性に基づいて吐出量の制御を行うため、吐出量の均一性が非常に高くなる。
【0039】
一方、第2吐出領域においては、液滴吐出ヘッドの副走査方向の移動距離は必ずしも第2区画領域の副走査方向における配置間隔の整数倍とはならないため、一般的には、ノズルと第2区画領域との空間的な配置が1主走査毎に変化し、それに応じて吐出パターンも変化する。そのため、本発明では、第2吐出領域に液滴を吐出する場合には、複数のノズルのうち第2区画領域と重なるノズルを1主走査毎に選択し、選択したノズルから液滴を吐出させると共に、選択され得る全てのノズルの組み合わせについて予め測定された、各組み合わせにおける平均的な液滴の吐出量の分布に基づいて、複数のノズルから吐出される液滴の吐出量が前記所定の適正量に近づくように複数の駆動素子の駆動波形を制御している。この方法によれば、吐出ノズルと非吐出ノズルとの組み合わせである吐出パターンは1主走査毎に異なるものの、予め測定するノズルの吐出特性は1つのみで良く、従って、全ての吐出パターン毎に吐出特性を測定し、その吐出特性に基づいて各駆動素子の駆動波形を吐出パターン毎に求める場合に比べて、駆動制御が容易となる。
【0040】
本発明においては、前記液滴の吐出量の分布は、前記液滴吐出ヘッドから記録媒体上に液滴を吐出し、前記記録媒体上に着弾した液滴の画像を撮像装置によって撮像し、前記撮像装置によって撮像された前記液滴の画像から前記記録媒体上の前記液滴の着弾面積を測定し、前記着弾面積に基づいて前記液滴の吐出量を算出することにより求められることが望ましい。
【0041】
この方法によれば、複数のノズルから吐出される液滴の吐出量を同時に測定することができるため、例えば、電子天秤を用いて1ノズル毎に吐出量の測定を行う従来の測定方法に比べて、測定に要する時間を大幅に短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】液滴吐出装置の概略構成図である。
【図2】液滴吐出装置に備えられる液滴吐出ヘッドの詳細説明図である。
【図3】複数の液滴吐出ヘッドの配置例及び動作例を説明する平面図である。
【図4】液滴吐出ヘッドの吐出動作を説明する平面図である。
【図5】パネル領域の全域に液滴吐出ヘッドを走査する場合の走査方法の説明図である。
【図6】ノズルデューティが異なる場合の駆動電圧の調整方法の説明図である。
【図7】複数の吐出パターンについての平均的な吐出量の分布を測定する方法の説明図である。
【図8】液滴吐出装置の電気的な構成を示すブロック図である。
【図9】液滴吐出ヘッドとその駆動回路基板の回路構成図である。
【図10】ノズルの吐出特性を示すグラフである。
【図11】各ノズルの駆動波形の設定方法を説明するフローチャートである。
【図12】各ノズルに設定される駆動波形の一例を示す説明図である。
【図13】各ノズルの駆動波形の設定方法を説明するフローチャートである。
【図14】COM選択回路40の詳細説明図である。
【図15】スイッチング回路50の詳細説明図である。
【図16】液滴吐出装置IJの動作を示す第1のタイミングチャートである。
【図17】液滴吐出装置IJの動作を示す第2のタイミングチャートである。
【図18】従来の液滴吐出工程を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態を説明する。以下の説明においては、図1中に示されたXYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材について説明する。XYZ直交座標系は、X軸及びY軸がワークステージ2に対して平行となるよう設定され、Z軸がワークステージ2に対して直交する方向に設定されている。図1中のXYZ座標系は、実際にはXY平面が水平面に平行な面に設定され、Z軸が鉛直上方向に設定される。
【0044】
図1は本発明の一実施形態における液滴吐出装置IJの概略構成図である。本実施形態の液滴吐出装置IJは、インクジェット方式によりカラーフィルタ基板(吐出対象物)上にカラーフィルタ材料の液滴を吐出してカラーフィルタ層を形成する装置である。
【0045】
液滴吐出装置IJは、装置架台1、ワークステージ2、ステージ移動装置3、キャリッジ4、液滴吐出ヘッド5、キャリッジ移動装置6、チューブ7、第1タンク8、第2タンク9、第3タンク10、保守装置12、吐出量測定装置13、及び制御装置(制御手段)11を備えている。
【0046】
装置架台1は、ワークステージ2、保守装置12、測定ステージ17及びステージ移動装置3の支持台である。ワークステージ2は、装置架台1上においてステージ移動装置3によってX軸方向に移動可能に設置されており、上流側の基板供給装置36(図8参照)から搬送されるカラーフィルタ基板Pを、真空吸着機構によりXY平面上に保持する。ステージ移動装置3は、ボールネジまたはリニアガイド等の軸受け機構を備え、制御装置11から入力される、ワークステージ2のX座標を示すステージ位置制御信号に基づいて、ワークステージ2をX軸方向に移動させる。
【0047】
キャリッジ4は、複数の液滴吐出ヘッド5を一体に保持する保持具である。キャリッジ4は、キャリッジ移動装置6によってY軸方向及びZ軸方向に移動可能に設けられている。
【0048】
液滴吐出ヘッド5は、図示略の複数のノズルを備えており、制御装置11から入力される描画データや駆動制御信号に基づいて、カラーフィルタ材料の液滴を吐出する。この液滴吐出ヘッド5は、カラーフィルタ材料のR(赤)、G(緑)、B(青)に対応して設けられており、それぞれの液滴吐出ヘッド5はキャリッジ4を介してチューブ7と連結されている。そして、R(赤)に対応する液滴吐出ヘッド5はチューブ7を介して第1タンク8からR(赤)用のカラーフィルタ材料の供給を受け、G(緑)に対応する液滴吐出ヘッド5はチューブ7を介して第2タンク9からG(緑)用のカラーフィルタ材料の供給を受け、また、B(青)に対応する液滴吐出ヘッド5はチューブ7を介して第3タンク10からB(青)用のカラーフィルタ材料の供給を受けるようになっている。
【0049】
キャリッジ移動装置6は、装置架台1を跨ぐ橋梁構造をしており、Y軸方向及びZ軸方向に対してボールネジまたはリニアガイド等の軸受け機構を備え、制御装置11から入力される、キャリッジ4のY座標及びZ座標を示すキャリッジ位置制御信号に基づいて、キャリッジ4をY軸方向及びZ軸方向に移動させる。
【0050】
チューブ7は、第1タンク8、第2タンク9及び第3タンク10とキャリッジ4(液滴吐出ヘッド5)とを連結するカラーフィルタ材料の供給用チューブである。第1タンク8は、R(赤)用のカラーフィルタ材料を貯蔵すると共に、チューブ7を介してR(赤)に対応する液滴吐出ヘッド5にカラーフィルタ材料を供給する。第2タンク9は、G(緑)用のカラーフィルタ材料を貯蔵すると共に、チューブ7を介してG(緑)に対応する液滴吐出ヘッド5にカラーフィルタ材料を供給する。第3タンク10は、B(青)用のカラーフィルタ材料を貯蔵すると共に、チューブ7を介してB(青)に対応する液滴吐出ヘッド5にカラーフィルタ材料を供給する。
【0051】
保守装置12は、図示略のステージ移動装置によってX軸方向に移動可能な保守ステージと、該保守ステージ上に配置された、クリーニング装置、キャッピング装置、フラッシング装置などを備えている。
【0052】
吐出量測定装置13は、測定ステージ14と、該測定ステージ14上に設けられた帯状のシート部材16を収容するハウジング部材15と、ハウジング部材15から露出したシート部材16の記録面16aを撮像する撮像装置17と、を備えている。
【0053】
測定ステージ14は、装置架台1上においてステージ移動装置3によってX軸方向に移動可能に設置されている。ステージ移動装置3は、制御装置11から入力される、測定ステージ14のX座標を示すステージ位置制御信号に基づいて、測定ステージ14をX軸方向に移動させる。
【0054】
シート部材16は、液滴吐出ヘッド5と対向した状態で、液滴吐出ヘッド5のノズル面に対してY方向(液滴吐出ヘッド5の副走査方向)に相対的に移動可能な記録面16aを有する。ハウジング部材15には、シート部材16と共に、シート部材16の記録面16aを送るための送り機構(図示略)が収容されている。シート部材16の少なくとも一部は、液滴吐出ヘッド5と対向するハウジング部材15の上面に形成された開口部(図示略)より露出しており、液滴吐出ヘッド5のノズル面と対向可能に配置されている。
【0055】
シート部材16は、液滴吐出ヘッド5の各ノズルから吐出された液滴の吐出量及び着弾位置が記録可能な記録媒体(測定部材)である。シート部材5としては、例えばロール紙等の記録紙を用いることができる。
【0056】
本実施形態では、シート部材15として、プラスチックフィルムにインク受容層を設けたシートを用いる。インク受容層は、顔料とバインダーとを複数含んで構成される。顔料はバインダーに包含されている。また、インク受容層は、複数のバインダー52の間に、多数の空隙を有する多孔質構造となっている。
【0057】
インク受容層に使用可能な顔料としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、アルミナ水和物、水酸化アルミニウム、リトポン、ゼオライト、加水ハロサイト、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料が挙げられる。インク受容層中には、これらのうち1種を単独で含有させてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0058】
顔料の結着材としてインク受容層に含有されるバインダーとしては、インクと親和性を有する水溶性あるいは非水溶性の高分子化合物を含有させることができる。水溶性高分子化合物としては、例えば、メチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、及びヒドロキシエチルセルロース等のセルロース系接着剤、澱粉及びその変性物、ゼラチン及びその変性物、カゼイン、プルラン、アラビアゴム、及びアルブミン等の天然高分子樹脂またはこれらの誘導体、ポリビニルアルコール及びその変性物、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリル共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のラテックスやエマルジョン類、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等のビニルポリマー、ポリエチレンイミン、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、及び無水マレイン酸またはその共重合体が挙げられる。
【0059】
非水溶性高分子化合物としては、例えば、エタノール、2−プロパノール等のアルコール類やこれらのアルコール類と水との混合溶媒に溶解する非水溶性接着剤が挙げられる。このような非水溶性接着剤としては、ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール等のアセタール樹脂が挙げられる。
【0060】
送り機構は、例えば、シート部材16を供給する供給リールと、供給リールから供給されたシート部材16を巻き取る巻き取りリールと、これら供給リール及び巻き取りリールを回転させる回転モータ等のアクチュエータとを有し、制御装置11が該アクチュエータを制御することにより、シート部材16を供給リールから巻き取りリールへと送るように構成されている。
【0061】
撮像装置17は、記録面16a上に着弾した液滴の膜を撮像するものである。撮像装置70は、撮像装置移動装置18(図8参照)により測定ステージ14の上方においてY軸方向に移動可能に設けられている。撮像装置17としては、記録面16a上に着弾した液滴の膜を所定の解像度で撮像可能なCCDカメラなどを用いることができる。
【0062】
制御装置11は、ステージ移動装置3にステージ位置制御信号を出力し、キャリッジ移動装置6にキャリッジ位置制御信号を出力すると共に、液滴吐出ヘッド5の駆動回路基板30(図8参照)に描画データ及び駆動制御信号を出力して、液滴吐出ヘッド5による液滴吐出動作、ワークステージ2の移動によるカラーフィルタ基板Pの位置決め動作、キャリッジ4の移動による液滴吐出ヘッド5の位置決め動作の同期制御を行うことにより、カラーフィルタ基板P上の所定の位置にカラーフィルタ材料の液滴を吐出する。
【0063】
吐出量測定装置13で液滴吐出ヘッド5の各ノズルから吐出される液滴の吐出量及び着弾精度を測定する場合には、制御装置11は、ステージ移動装置3にステージ位置制御信号を出力し、キャリッジ移動装置6にキャリッジ位置制御信号を出力すると共に、液滴吐出ヘッド5の駆動回路基板30(図8参照)に測定用の描画データ及び駆動制御信号を出力して、液滴吐出ヘッド5による液滴吐出動作、測定ステージ14の移動によるシート部材16の記録面16aの位置決め動作、キャリッジ4の移動による液滴吐出ヘッド5の位置決め動作の同期制御を行うことにより、シート部材16の記録面16a上の所定の位置にカラーフィルタ材料の液滴を吐出する。
【0064】
また、制御装置11は、撮像装置移動装置18(図8参照)に撮像装置位置制御信号を出力し、撮像装置17を液滴が着弾されたシート部材16の記録面16aの上方に移動する。また、撮像装置駆動装置19(図8参照)に撮像装置駆動制御信号を出力し、撮像装置17による撮像動作を制御することにより、記録面16a上に着弾し乾燥処理により膜化した液滴の膜を撮像し、その画像データを吐出量測定演算部41(図8参照)及びディスプレイ38(図8参照)に出力する。そして、吐出量測定演算部41で画像処理を行うことにより、液滴の着弾精度を測定すると共に、液滴の膜の面積から1滴当たりの液滴の吐出量を測定する。
【0065】
なお、測定が終了したら、液滴が着弾した部分の記録面16aは送り機構によりハウジング部材15の内部に送られ、新しい記録面がハウジング部材15の外部に露出される。
【0066】
図2は液滴吐出ヘッド5の概略構成図である。図2(a)は液滴吐出ヘッド5をワークステージ2側から見た平面図、図2(b)は液滴吐出ヘッド5の部分斜視図、図2(c)は液滴吐出ヘッド5の1ノズル分の部分断面図である。
【0067】
図2(a)に示すように、液滴吐出ヘッド5は、Y軸方向に配列された複数(例えば180個)のノズルN1〜N180を備えている。図2(a)ではY軸方向(副走査方向)に配列した1列分のノズルをX方向(主走査方向)に2列設け、この2列のノズルを半ノズル間隔だけY軸方向にずらして配置した例を示したが、液滴吐出ヘッド5に設けるノズル数は任意に変更可能であり、Y軸方向に配列した1列分のノズルをX軸方向に1列若しくは3列以上設けても良い。ノズルを複数列設ける場合には、各ノズル列を副走査方向にずらして配置し、互いの吐出可能範囲を補完するように構成することが望ましい。また、キャリッジ4内に配置する液滴吐出ヘッド5の数も任意に変更可能である。さらに、キャリッジ4をサブキャリッジ単位で複数設ける構成としても良い。
【0068】
図2(b)に示すように、液滴吐出ヘッド5は、チューブ7と連結される材料供給孔20aが設けられた振動板20と、ノズルN1〜N180が設けられたノズルプレート21と、振動板20とノズルプレート21との間に設けられた液溜まり22と、複数の隔壁23と、複数のキャビティ(液室)24とを備えている。振動板20上には、各ノズルN1〜N180に対応して圧電素子(駆動素子)PZ1〜PZ180が配置されている。圧電素子PZ1〜PZ180は、例えばピエゾ素子である。
【0069】
液溜まり22には、材料供給孔20aを介して供給される液状のカラーフィルタ材料が充填されるようになっている。キャビティ24は、振動板20と、ノズルプレート21と、1対の隔壁23とによって囲まれるようにして形成されおり、各ノズルN1〜N180に1対1に対応して設けられている。また、各キャビティ24には、一対の隔壁23の間に設けられた供給口24aを介して、液溜まり22からカラーフィルタ材料が導入されるようになっている。
【0070】
図2(c)に示すように、圧電素子PZ1は、圧電材料25を一対の電極26で挟持したものであり、一対の電極26に駆動信号を印加すると圧電材料25が収縮するよう構成されたものである。そして、このような圧電素子PZ1が配置されている振動板20は、圧電素子PZ1と一体になって同時に外側(キャビティ24の反対側)へ撓曲するようになっており、これによってキャビティ24の容積が増大するようになっている。従って、キャビティ24内に増大した容積分に相当するカラーフィルタ材料が、液溜まり22から供給口24aを介して流入する。また、このような状態から圧電素子PZ1への駆動信号の印加を停止すると、圧電素子PZ1と振動板20はともに元の形状に戻り、キャビティ24も元の容積に戻ることから、キャビティ24内のカラーフィルタ材料の圧力が上昇し、ノズルN1からカラーフィルタ基板Pに向けてカラーフィルタ材料の液滴Lが吐出される。
【0071】
図3は、1つのキャリッジに設けられた複数の液滴吐出ヘッド5の配置例及び動作例を示す平面図である。図3では、図を簡略化するために、キャリッジに保持された複数の液滴吐出ヘッドのうち2つの液滴吐出ヘッド5A,5Bのみを拡大して、その配置例及び動作例を示している。
【0072】
液滴吐出ヘッド5A,5Bは、互いに副走査方向(Y軸方向)に位置をずらして配置されており、互いに吐出可能範囲を補完する関係にある。複数の液滴吐出ヘッド5A,5Bは互いに吐出可能範囲を補完することにより、一つのヘッドユニットを構成する。ヘッドユニットを構成する複数の液滴吐出ヘッド5A,5Bは、一体となって、副走査方向に配列された複数の区画領域PXに対して複数の液滴を吐出する。
【0073】
液滴吐出ヘッド5A,5Bにおける複数のノズルNは、所定のピッチ(例えば90dpi)でライン状に配設されており、ノズル列501,502を構成している。ノズル列501,502におけるノズルNの並びの方向は副走査方向に一致するようにされており、また、ノズル列501,502のノズルNは互いに千鳥配列をなす関係にある。
【0074】
液滴吐出ヘッド5A,5Bをカラーフィルタ基板Pに対して主走査方向に走査させると、ノズルNは、カラーフィルタ基板Pに対して連続した所定ピッチ(例えば180dpi)の走査軌跡を描く。この際、ノズル列501,502の端部の数個分(本実施形態では5個)のノズルNは、その特性の特異性に鑑みて使用しないダミーノズル(塗り潰して図示)とされており、液滴吐出ヘッド5Aのダミーノズルに掛かる走査領域は液滴吐出ヘッド5BのノズルNで補完され、液滴吐出ヘッド5Bのダミーノズルに掛かる走査領域は液滴吐出ヘッド5AのノズルNで補完される関係となっている。
【0075】
カラーフィルタ基板Pには、各画素領域に対応する区画領域PXを規定するバンクBKが、感光性樹脂等を用いてあらかじめ形成されている。バンクBKは、区画領域PXの周囲を囲むようにカラーフィルタ基板P上に立設されており、バンクBKに囲まれた領域にインクすなわちカラーフィルタ材料を吐出することにより、区画領域PXにカラーフィルタが形成される。この場合、走査軌跡に関して、区画領域PXに掛かり得るノズルNと掛かり得ないノズルNとが存在するが、区画領域PXへのインクの配置は、区画領域PXに掛かり得るノズルNからのインクの吐出によって行われることになる。
【0076】
各ノズルNに付されているA1〜A5、B1〜B5、C75〜C80、D75〜D80は、それぞれ、液滴吐出ヘッド5Aのノズル列501、液滴吐出ヘッド5Aのノズル列502、液滴吐出ヘッド5Bのノズル列501、液滴吐出ヘッド5Bのノズル列502のノズル番号を示している。ここで、ノズル番号とは、各ノズル列501,502の並び方向におけるノズルNの配列順を示した通し番号のことであり、本実施形態では、1ノズル列につき、ダミーノズルを除いたノズル番号で示すことができる。
【0077】
ノズル番号D79,C80,D80,A1,B1のノズルNは、当該走査中のそれぞれ適切な期間において、同一の区画領域PXに対してインクを吐出することができる。また、ノズル番号C76,C79,A2,A5のノズルNは、走査軌跡がバンクBKに掛かっているため、当該走査中の全期間においてインクの吐出を行わない。このようなノズルNごとの吐出/非吐出の制御は、対応する圧電素子への駆動信号の供給のスイッチングによって行われるものである。
【0078】
図4は液滴吐出ヘッドの走査方法を説明するための平面図である。図4(a)は副走査方向に配列した一列分の区画領域PXの平面図であり、図4(b)〜図4(d)は第1〜第4の主走査における吐出ノズル(区画領域PXに液滴を吐出するノズル)の配置を示す平面図である。なお、図4(b)〜図4(d)では、図を簡略化するために、1つの液滴吐出ヘッドのノズル数を12個とし、さらに、ダミーノズルを省略して複数の液滴吐出ヘッドを一直線状に表示している。一直線状に配置された複数の液滴吐出ヘッドは、一つのノズルユニットHUを構成する。また、吐出ノズルは塗り潰して図示し、非吐出ノズルは白丸で図示している。
【0079】
図4(b)〜図4(d)に示すように、ノズルユニットHUは、4つの液滴吐出ヘッド5A,5B,5C,5Dを備えている。4つの液滴吐出ヘッド5A,5B,5C,5Dには合計48個のノズルNが設けられており、これら48個のノズルNが一体となって副走査方向に延びる1つのノズル列を形成している。区画領域PX1〜PX8は、Y軸方向(副走査方向)に一定の間隔GPで配列されており、1つの区画領域PXには4回の主走査が実施され、合計9滴の液滴が吐出される。
【0080】
図4(b)に示すように、1回目の主走査(第1主走査)では、液滴吐出ヘッド5BのノズルN1B,N2B,N3B,N5B,N6B,N8B,N9B,N12Bと、液滴吐出ヘッド5CのノズルN1C,N3C,N4C,N5C,N7C,N8C,N10C,N11Cと、液滴吐出ヘッド5DのノズルN2D,N3Dとから液滴が吐出される。そして、液滴吐出ヘッド5BのノズルN1B,N2B,N3Bから吐出された液滴が区画領域PX1に着弾し、液滴吐出ヘッド5BのノズルN5B,N6Bから吐出された液滴が区画領域PX2に着弾し、液滴吐出ヘッド5BのノズルN8B,N9Bから吐出された液滴が区画領域PX3に着弾し、液滴吐出ヘッド5BのノズルN12Bと液滴吐出ヘッド5CのノズルN1Cから吐出された液滴が区画領域PX4に着弾し、液滴吐出ヘッド5CのノズルN3C,N4C,N5Cから吐出された液滴が区画領域PX5に着弾し、液滴吐出ヘッド5CのノズルN7C,N8Cから吐出された液滴が区画領域PX6に着弾し、液滴吐出ヘッド5CのノズルN10C,N11Cから吐出された液滴が区画領域PX7に着弾し、液滴吐出ヘッド5DのノズルN2D,N3Dから吐出された液滴が区画領域PX8に着弾する。
【0081】
1回目の主走査が終了したら、図4(c)に示すように、副走査を実施して、2回目の主走査(第2主走査)を実施する。副走査は、1回目の主走査の位置からヘッドユニットHUをY軸方向に、区画領域PXのY軸方向の配置間隔GPと同一の距離だけ移動することにより行われる。
【0082】
副走査の移動距離は、通常は、液滴吐出ヘッド5のノズル間の間隔の整数倍に設計されるが、この場合、一般的には区画領域PXの配置間隔GPはノズル間の間隔の整数倍にはならないので、ノズルNと区画領域PXとの空間的な配置は1主走査毎に異なったものとなる。そうすると、吐出パターンが1主走査毎に異なったものとなり、各ノズルNの吐出特性も変化することとなる。
【0083】
これに対して、本実施形態の液滴吐出装置では、副走査の移動距離を区画領域PXの配置間隔の整数倍としているため、液滴吐出ヘッド5の各ノズルNと区画領域PXとの空間的な配置が、全ての主走査において等しくなる。すなわち、液滴吐出ヘッドに備えられる複数のノズルのうち、複数の区画領域PXからなるパネル領域と重なる部分の吐出ノズルと非吐出ノズルの配置が常に一定である。そうすると、各液滴吐出ヘッド5において吐出を行うノズルNの配置(吐出パターン)が固定され、常に安定した吐出動作を行うことが可能となる。
【0084】
2回目の主走査では、液滴吐出ヘッド5AのノズルN10A,N11Aと、液滴吐出ヘッド5BのノズルN1B,N2B,N3B,N5B,N6B,N8B,N9B,N12Bと、液滴吐出ヘッド5CのノズルN1C,N3C,N4C,N5C,N7C,N8C,N10C,N11Cとから液滴が吐出される。そして、液滴吐出ヘッド5AのノズルN10A,N11Aから吐出された液滴が区画領域PX1に着弾し、液滴吐出ヘッド5BのノズルN1B,N2B,N3Bから吐出された液滴が区画領域PX2に着弾し、液滴吐出ヘッド5BのノズルN5B,N6Bから吐出された液滴が区画領域PX3に着弾し、液滴吐出ヘッド5BのノズルN8B,N9Bから吐出された液滴が区画領域PX4に着弾し、液滴吐出ヘッド5BのノズルN12Bと液滴吐出ヘッド5CのノズルN1Cから吐出された液滴が区画領域PX5に着弾し、液滴吐出ヘッド5CのノズルN3C,N4C,N5Cから吐出された液滴が区画領域PX6に着弾し、液滴吐出ヘッド5CのノズルN7C,N8Cから吐出された液滴が区画領域PX7に着弾し、液滴吐出ヘッド5CのノズルN10C,N11Cから吐出された液滴が区画領域PX8に着弾する。
【0085】
2回目の主走査が終了したら、図4(d)に示すように、副走査を実施して、3回目の主走査(第3主走査)を実施する。副走査は、2回目の主走査の位置からヘッドユニットHUをY軸方向に、区画領域PXのY軸方向の配置間隔GPと同一の距離だけ移動することにより行われる。
【0086】
3回目の主走査では、液滴吐出ヘッド5AのノズルN7A,N8A,N10A,N11Aと、液滴吐出ヘッド5BのノズルN1B,N2B,N3B,N5B,N6B,N8B,N9B,N12Bと、液滴吐出ヘッド5CのノズルN1C,N3C,N4C,N5C,N7C,N8Cとから液滴が吐出される。そして、液滴吐出ヘッド5AのノズルN7A,N8Aから吐出された液滴が区画領域PX1に着弾し、液滴吐出ヘッド5AのノズルN10A,N11Aから吐出された液滴が区画領域PX2に着弾し、液滴吐出ヘッド5BのノズルN1B,N2B,N3Bから吐出された液滴が区画領域PX3に着弾し、液滴吐出ヘッド5BのノズルN5B,N6Bから吐出された液滴が区画領域PX4に着弾し、液滴吐出ヘッド5BのノズルN8B,N9Bから吐出された液滴が区画領域PX5に着弾し、液滴吐出ヘッド5BのノズルN12Bと液滴吐出ヘッド5CのノズルN1Cから吐出された液滴が区画領域PX6に着弾し、液滴吐出ヘッド5CのノズルN3C,N4C,N5Cから吐出された液滴が区画領域PX7に着弾し、液滴吐出ヘッド5CのノズルN7C,N8Cから吐出された液滴が区画領域PX8に着弾する。
【0087】
3回目の主走査が終了したら、図4(e)に示すように、副走査を実施して、4回目の主走査(第4主走査)を実施する。副走査は、3回目の主走査の位置からヘッドユニットHUをY軸方向に、区画領域PXのY軸方向の配置間隔GPと同一の距離だけ移動することにより行われる。
【0088】
4回目の主走査では、液滴吐出ヘッド5AのノズルN3A,N4A,N7A,N8A,N10A,N11Aと、液滴吐出ヘッド5BのノズルN1B,N2B,N3B,N5B,N6B,N8B,N9B,N12Bと、液滴吐出ヘッド5CのノズルN1C,N3C,N4C,N5Cとから液滴が吐出される。そして、液滴吐出ヘッド5AのノズルN3A,N4Aから吐出された液滴が区画領域PX1に着弾し、液滴吐出ヘッド5AのノズルN7A,N8Aから吐出された液滴が区画領域PX2に着弾し、液滴吐出ヘッド5AのノズルN10A,N11Aから吐出された液滴が区画領域PX3に着弾し、液滴吐出ヘッド5BのノズルN1B,N2B,N3Bから吐出された液滴が区画領域PX4に着弾し、液滴吐出ヘッド5BのノズルN5B,N6Bから吐出された液滴が区画領域PX5に着弾し、液滴吐出ヘッド5BのノズルN8B,N9Bから吐出された液滴が区画領域PX6に着弾し、液滴吐出ヘッド5BのノズルN12Bと液滴吐出ヘッド5CのノズルN1Cから吐出された液滴が区画領域PX7に着弾し、液滴吐出ヘッド5CのノズルN3C,N4C,N5Cから吐出された液滴が区画領域PX8に着弾する。
【0089】
このように4回の主走査においては、液滴吐出ヘッド5A〜5D内で吐出を行うノズルN(吐出ノズル)は固定されている。1つの液滴吐出ヘッドにおいて吐出を行うノズル(吐出ノズル)と吐出を行わないノズル(非吐出ノズル)との組み合わせを「吐出パターン」とすると、吐出パターンは、液滴吐出ヘッドが連続した複数の区画領域PXの両端側に配置される場合を除いて常に一定である。
【0090】
本明細書では、「吐出パターンが一定である」ということを、液滴吐出ヘッドに備えられる複数のノズルのうち複数の区画領域PXからなるパネル領域(吐出対象領域)と重なる部分の吐出ノズルと非吐出ノズルの配置が一定であるという意味で用いることがあるが、図4の例では、この意味で各液滴吐出ヘッド5A〜5Dの吐出パターンは常に一定となっている。
【0091】
このように吐出パターンを一定とすると、それぞれのノズルNが近傍のノズルNの駆動状態によって互いに及ぼされあう影響も一定となる。そのため、近傍のノズルNの駆動状態が変動することによる吐出量の変動は殆ど生じなくなり、ノズルNの駆動条件の調整も1主走査毎に行う必要がなくなる。よって、駆動条件は、全ての主走査で一定とすることができ、駆動制御が非常に簡単になる。例えば、本実施形態の液滴吐出装置では、各ノズルの吐出量を均一化するために、ノズルの吐出特性(吐出量の分布)に基づいてノズル毎に吐出量を調節しているが、この場合、1主走査毎に吐出パターンが異なると、吐出パターン毎にノズルの吐出特性を調べなければならない。しかし、上述のように吐出パターンが常に一定である場合には、予め測定すべきノズルの吐出特性は、1種類の吐出パターンのみでよく、測定時間の短縮化が図られると共に駆動制御も容易となる。
【0092】
図5は、複数の主走査によって複数のパネル領域PA1,PA2の全域を走査する場合の説明図である。図5において、符号Pはカラーフィルタ基板複数分を含む大型カラーフィルタ基板である。
【0093】
大型カラーフィルタ基板Pには、機種の異なる複数種類のパネル領域PA1、PA2が設けられている。各パネル領域PA1,PA2には、それぞれ複数の区画領域PX1,PX2がX方向及びY方向に所定の間隔で配置されている。第1パネル領域(第1吐出領域)PA1の第1区画領域PX1と第2パネル領域PA2の第2区画領域PX2とは、互いに区画領域の配置間隔が異なっている。具体的には、第2パネル領域PA2の第2区画領域PX2の主走査方向及び副走査方向における配置間隔は、第1パネル領域PA1の第1区画領域PX1の主走査方向及び副走査方向における配置間隔よりも小さくなっている。
【0094】
大型カラーフィルタ基板Pは、カラーフィルタ層を形成した後、複数の小型カラーフィルタ基板に分割される。大型カラーフィルタ基板P上には、分割後の小型カラーフィルタ基板に対応した複数のパネル領域PA1,PA2が設けられている。
【0095】
なお、図5では、理解を容易にするために、液滴吐出ヘッド5の大きさや、区画領域PXの大きさ、パネル領域PAのサイズを実際のものと異ならせている。
【0096】
図5において、液滴吐出ヘッド5は以下の動作を行う。まず、液滴吐出ヘッド5は、第1パネル領域PA1において、初期位置(a)から終端位置(k)に至るまで、主走査方向(X軸方向)への走査移動、初期位置への復帰移動及び副走査方向(Y軸方向)への副走査移動を繰り返しながら、主走査移動の期間中に複数のノズルNから選択的にインクすなわちカラーフィルタ材料を吐出し、これにより、大型カラーフィルタ基板Pの第1パネル領域PA1内の各第1区画領域PX1にカラーフィルタ材料を付着させる。
【0097】
次に、液滴吐出ヘッド5は1回又は複数回だけ副走査方向に副走査移動し、第2パネル領域PA2において、初期位置(l)から終端位置(q)に至るまで、主走査方向(X軸方向)への走査移動、初期位置への復帰移動及び副走査方向(Y軸方向)への副走査移動を繰り返しながら、主走査移動の期間中に複数のノズルNから選択的にインクすなわちカラーフィルタ材料を吐出し、これにより、大型カラーフィルタ基板Pの第2パネル領域PA2内の各第2区画領域PX2にカラーフィルタ材料を付着させる。
【0098】
副走査の移動距離δは、第1区画領域PX1の副走査方向の配置間隔の整数倍である。例えば、移動距離δを液滴吐出ヘッド5のノズル列の幅Wの1/4とすると、液滴吐出ヘッド5のノズル列全体が第1パネル領域PA1と重なる第4主走査(d)から第8主走査(h)までの吐出パターンは常に一定となる。しかし、液滴吐出ヘッド5のノズル列が第1パネル領域PA1の一部としか重ならない第1主走査(a)から第3主走査(c)及び第9主走査(i)から第11主走査(k)では、ノズル列の端部が非吐出となり、その端部の吐出パターンが第4主走査(d)から第8主走査(h)までの吐出パターンとは異なったものとなる。
【0099】
この場合、液滴吐出ヘッド5内で吐出するノズル数の割合(吐出ノズル数/ダミーノズルを除く全ノズル数)、すなわちノズルデューティが、第4主走査(d)から第8主走査(h)と、第1主走査(a)から第3主走査(c)及び第9主走査(i)から第11主走査(k)とで異なったものとなる。その結果、電気的なクロストークの影響により、ノズルデューティが小さいものほど吐出量が少なくなることがある。
【0100】
すなわち、ノズルに供給される駆動信号としては通常は矩形波又は台形波が使用されるが、ノズルデューティが大きくなり駆動電圧が増大すると、駆動電圧の立ち上がり部分又は立ち下がり部分にオーバーシュートやアンダーシュートが発生し、駆動電圧の実効値が変化してしまう。このような駆動電圧の実効値の変化は液状体の吐出量に影響し、膜厚ムラを発生させる。
【0101】
そこで、本実施形態では、図6(a)に示すように、ノズルデューティに応じて駆動波形の電圧値を異ならせることとしている。ノズルデューティと吐出量との間には概ね比例関係があるので、第1主走査(a)と第11主走査(k)の駆動電圧をV1(ノズルデューティは25%)、第2主走査(b)と第10主走査(j)の駆動電圧をV2(ノズルデューティは50%)、第3主走査(c)と第9主走査(i)の駆動電圧をV3(ノズルデューティは75%)、第4主走査(d)から第8主走査(h)までの駆動電圧をV4(ノズルデューティは100%)とした場合、V1>V2>V3>V4の関係となるように駆動電圧を調整する。
【0102】
一般に、ノズルデューティが小さくなると、図6(b)に示すように、駆動素子に同じ駆動電圧を供給しても、吐出量は小さくなる傾向がある。ただし、非吐出ノズルは常に吐出を行わないので、吐出ノズルが近傍の非吐出ノズルから受ける構造的なクロストークの影響は一定である。そのため、ノズルと該ノズルから吐出される液滴の吐出量との対応関係である吐出特性Q1〜Q4のカーブは、各主走査において概ね相似の形状を有する。第4主走査(d)から第8主走査(h)以外の吐出工程では、吐出を行うべきノズル列端部のノズル(吐出ノズル)が吐出を行わないので(非吐出ノズルの部分は2点鎖線で示している)、その近傍の吐出ノズルの吐出量は、その構造的なクロストークの影響によって、吐出量が若干変化する場合があるが、その影響の及ぶ範囲は非常に狭いので無視することができる。
【0103】
吐出特性Q1〜Q4は概ね相似形状を有するので、駆動素子に供給する駆動波形の電圧値を増減することで、これらの吐出特性を概ね一致させることができる。従来のように、吐出パターンが1主走査毎に異なる場合には、吐出特性も1主走査毎に異なったものとなり、その結果、駆動電圧を調節しても、各主走査の吐出量を十分に均一化することができなかったが、本実施形態のように吐出パターンが全ての主走査において常に同じである場合には、各ノズルからの吐出特性も近似したものとなり、駆動電圧の調整による吐出量の均一性もより高いものとなる。
【0104】
一方、第2パネル領域PA2では、副走査の移動距離δは必ずしも第2区画領域PX2の配置間隔の整数倍とはなっていない。そのため、一般的には、ノズルNと第2区画領域PX2との空間的な配置は1主走査毎に変化し、それに応じて吐出パターンも変化する。そのため、本実施形態の液滴吐出装置では、第2パネル領域PA2に液滴を吐出する場合には、複数のノズルNのうち第2区画領域PX2と重なるノズルを1主走査毎に選択し、選択したノズルから液滴を吐出させると共に、選択され得る全てのノズルの組み合わせについて予め測定された、各組み合わせにおける平均的な液滴の吐出量の分布に基づいて、複数のノズルから吐出される液滴の吐出量が所定の適正量に近づくように複数の駆動素子の駆動波形を制御している。
【0105】
この方法によれば、吐出ノズルと非吐出ノズルとの組み合わせである吐出パターンは1主走査毎に異なるものの、予め測定するノズルの吐出特性は1つのみで良く、従って、全ての吐出パターン毎に吐出特性を測定し、その吐出特性に基づいて各駆動素子の駆動波形を吐出パターン毎に求める場合に比べて、駆動制御が容易となる。
【0106】
各組み合わせにおける平均的な液滴の吐出量の分布を測定する方法としては、例えば、選択され得る全てのノズルの組み合わせについて吐出量の分布を測定し、それらの分布を加算平均して算出する方法が挙げられる。また、同一記録媒体上に、各組み合わせに係る複数のノズルから液滴を重ねて吐出し、その総量をノズル毎に算出し、その総量を液滴の着弾数で除した値を加算平均とし、この加算平均をノズル毎に算出する方法を用いても良い。
【0107】
図7は、後者の方法で平均的な吐出量の分布を測定する方法の説明図である。図7(a)は、吐出ノズルとその吐出タイミングとを示す図であり、図7(b)は、各ノズルからの液滴の吐出量を示す図である。
【0108】
図7では、第2区画領域PX2の副走査方向の長さG1と第2区画領域PX2間の領域の副走査方向の長さG2とが2:1の関係である場合を例に挙げて説明する。図7では、説明を容易にするために、液滴吐出ヘッド5に含まれるノズルの数を12個としている(ノズルN1〜N12)。なお、符号G3は、第2区画領域PX2の副走査方向の配置間隔を示しており、図7(a)中の鎖線は、ノズルN1〜N12と第2区画領域PX2との空間的な配置を仮想的に示したものである。
【0109】
図7(a)に示すように、上記構成の第2区画領域PX2に対して液滴を吐出する場合、第2区画領域PX2と重なるノズルの数と第2区画領域PX2間の領域と重なるノズルの数との比は概ね2:1となる。そのため、ノズルデューティ(吐出ノズル数/ダミーノズルを除く全ノズル数)は2/3となる。
【0110】
前述したように、液滴吐出ヘッド5の副走査の移動距離は第2区画領域PX2の配置間隔GP3の整数倍とはなっていない。そのため、図7中一点鎖線で示したように、ノズルN1〜N12と第2区画領域PX2との空間的な配置は任意である。
【0111】
図7(a)に示すように、隣接する2つのノズルが吐出に寄与し(吐出ノズル;図7中網掛けした丸印)、それと隣接する1つのノズルが吐出に寄与しない(非吐出ノズル;図7中白抜きした丸印)構成の場合、各ノズルN1〜N12のとり得る吐出パターンはPat1〜Pat3に示した3つの吐出パターンのみとなる。
【0112】
吐出パターンPat1〜Pat3は、2つの吐出ノズルと1つの吐出ノズルとからなる吐出のパターンを1単位とし、この1単位の単位パターンを同じ配列順序で副走査方向に複数配列したものである。吐出ノズルと非吐出ノズルの配置位置を副走査方向に一つずつずらした構成とすることにより、3つの吐出パターンPat1〜Pat3が形成されている。吐出パターンの数(1主走査毎に選択され得る全てのノズルの組み合わせの数)は、1つの単位パターンに含まれるノズルの数と等しい数、すなわち3つとなっている。
【0113】
第2区画領域PX2に液滴を吐出する場合には、どの吐出パターンPat1〜Pat3で吐出が行われるかは1主走査毎に異なる。そのため、それぞれの吐出パターンPat1〜Pat3についての平均的な吐出量の分布(吐出特性Qt)を測定し、その分布に基づいて、複数のノズルN1〜N12から吐出される液滴の吐出量が所定の適正量に近づくように、各ノズルに対応する駆動素子の駆動波形を制御する必要がある。
【0114】
具体的には、まず、t1〜t2の期間においてノズルN1,N2,N4,N5,N7,N8,N10,N11から図示略の記録媒体上(図1に示した記録媒体16上)に液滴を吐出する。そして、次のt2〜t3の期間においてN1,N3,N4,N6,N7,N9,N10,N12から、t1〜t2の期間で吐出を行った記録媒体と同じ記録媒体上に液滴を吐出する。さらに、t3〜t4の期間においてノズルN2,N3,N5,N6,N7,N8,N11,N12から、t1〜t3の期間で吐出を行った記録媒体と同じ記録媒体上に液滴を吐出する。
【0115】
各期間t1〜t4において同一ノズルから吐出される複数の液滴は記録媒体上の同一箇所に着弾される。例えば、期間t1〜t2及び期間t2〜t3においてノズルN1から吐出された複数の液滴は記録媒体上の第1の着弾位置に着弾され、この第1の着弾位置で液滴同士が重なり合う。また、期間t1〜t2及び期間t3〜t4においてノズルN2から吐出された複数の液滴は記録媒体上の第2の着弾位置に着弾され、この第2の着弾位置で液滴同士が重なり合う。他のノズルN3〜N12から吐出された液滴についても同様である。
【0116】
このように各吐出パターンPat1〜Pat3で吐出された複数の液滴を同一着弾位置に着弾させた場合、各着弾位置に着弾される液滴の着弾数は全て同じである。例えば図7(a)の例では、各着弾位置に着弾される液滴の着弾数は2つである。よって、各着弾位置について着弾された液滴の総量を着弾数で除算することで、1ノズル毎の平均の吐出量(加算平均)が求められる。
【0117】
図7(b)中符号Q1〜Q3は、各パターンPat1〜Pat3における液滴の吐出量の分布(吐出特性)を示している。符号Qtは、各着弾位置に着弾された液滴の総量を液滴の着弾数(2つ)で除算したものの分布(加算平均の分布)である。
【0118】
このようにして求めた吐出量の分布Qtは、各吐出パターンPat1〜Pat3で得られる吐出量の分布Q1〜Q3とは厳密には異なるものである。しかし、ここで得られた吐出量の分布Qtは、各吐出パターンPat1〜Pat3で得られる吐出量の分布Q1〜Q3の特徴をそれぞれ部分的に含んでいるため、各吐出パターンPat1〜Pat3で得られる吐出量の分布Q1〜Q3の特徴を概ね正確に表したものとなっている。
【0119】
すなわち、上述の方法で吐出量の分布を求めた場合、吐出量の分布Qtの測定で用いる複数のノズルの組み合わせ(吐出パターンPat1〜Pat3)は、いずれも実際の吐出に用いるノズルの組み合わせである。そのため、実際の吐出に用いる吐出パターンPat1〜Pat3の吐出量の分布Q1〜Q3に近似した分布が得られるのである。よって、このような吐出量の分布Qtに基づいて各ノズルN1〜N12の吐出量を調節した場合には、実際の吐出に用いる吐出パターンPat1〜Pat3の吐出量の分布Q1〜Q3に基づいて吐出量を調節した場合に比べて吐出量の均一性が大きく損なわれることはない。
【0120】
なお、図7では、第2区画領域PX2の副走査方向の長さG1と第2区画領域PX2間の長さG2との比が2:1の場合を示したが、この比は第2区画領域PX2の開口率や精細度等によって任意に設定される。吐出パターンPat1〜Pat3は、2つの吐出ノズルと1つの吐出ノズルとからなる吐出のパターンを1単位とし、この1単位の単位パターンを同じ配列順序で副走査方向に複数配列したものであるが、この吐出パターンの構成や吐出パターンの数は、第2区画領域PX2の副走査方向の長さG1と第2区画領域PX2間の長さG2との比、すなわち、第2区画領域PX2の開口率や精細度等によって任意に変更される。
【0121】
例えば、第2区画領域PX2の副走査方向の長さG1と第2区画領域PX2間の長さG2との比が3:1であり、第2区画領域PX2と重なるノズルの数が3であり、第2区画領域PX2間と重なるノズルの数が1である場合を考える。この場合には、1主走査毎に選択され得る全てのノズルの組み合わせ、すなわち吐出パターンは、3つの吐出ノズルと1つの吐出ノズルとからなる吐出のパターンを1単位とし、この1単位の単位パターンを同じ配列順序で副走査方向に複数配列したものとなる。また、吐出パターンの数(1主走査毎に選択され得る全てのノズルの組み合わせの数)は、吐出ノズルと非吐出ノズルの配置位置を副走査方向に一つずつずらして得られるバリエーションの数だけ存在するため、その数は、1つの単位パターンに含まれるノズルの数と等しい数、すなわち4つとなる。
【0122】
なお、図5では、一つの液滴吐出ヘッド5が機種の異なる2つのパネル領域PA1,PA2で吐出を行うことが示されているが、このように機種の異なる2つのパネル領域PA1,PA2で吐出を行うと、液滴吐出ヘッドのノズルデューティがパネル領域毎に大きく異なってしまい、その結果、電気的なクロストークの影響が顕著に現れることがある。
【0123】
例えば、第2パネル領域PA2で吐出を行う場合に比べて、第1パネル領域PA1で吐出を行う場合のほうが、ノズルデューティが大きくなる場合を考える。このような状況は、区画領域の大きさと区画領域間の大きさとの比(図7のG1とG2に相当)が第1パネル領域PA1で大きく、第2パネル領域PA2で小さい場合に生じる。この場合、図6で説明したように、各ノズルからの平均的な吐出量は、第1パネル領域PA1で吐出を行う場合のほうが第2パネル領域PA2で吐出を行う場合に比べて大きくなる。そのため、第2パネル領域PA2で吐出を行う場合には、第1パネル領域PA1で吐出を行う場合に比べて、各駆動素子の駆動電圧を大きくし、平均的な吐出量を2つのパネル領域PA1,PA2で等しくする必要がある。
【0124】
この場合、第1パネル領域PA1で吐出を行う場合の駆動条件を基準とし、第2パネル領域PA2で吐出を行う場合の駆動条件を補正する方法と、第2パネル領域PA2で吐出を行う場合の駆動条件を基準とし、第1パネル領域PA1で吐出を行う場合の駆動条件を補正する方法とが考えられるが、以下の理由で、前者の方法が好ましい。
【0125】
図6で説明したように、ノズルデューティが大きくなる第1パネル領域PA1では、小さい駆動電圧で大きな吐出量が得られるため、図示略の電源から液滴吐出ヘッド5に供給する電圧は、比較的小さな電圧で良い。一方、ノズルデューティが小さくなる第2パネル領域PA2では、大きな駆動電圧を供給しなければ同じ吐出量が得られないため、図示略の電源から液滴吐出ヘッド5に供給しなければならない電圧も大きなものとなる。
【0126】
一般的に、液滴吐出ヘッド5に供給する電圧の大きさには装置上の制限があり、所定の電圧以上の電圧が供給されると装置が強制的にストップするようになっている。そのため、液滴吐出ヘッド5に供給する電圧は小さいほうが良く、その観点からは、ノズルデューティが大きくなる第1パネル領域PA1の駆動条件を基準とするほうが良い。
【0127】
図8は、液滴吐出装置IJの電気的構成を示すブロック図である。液滴吐出装置IJは、プロセッサとしての各種の演算を行うCPU(演算処理装置)80と、各種情報を記憶するメモリ(記憶装置)90とを有する。
【0128】
液滴吐出ヘッド5の位置を制御するヘッド位置制御装置71、カラーフィルタ基板の位置を制御する基板位置制御装置72、ステージ移動装置3(図1参照)を制御して液滴吐出ヘッド5をカラーフィルタ基板に対して主走査移動させる主走査駆動装置73、キャリッジ移動装置6(図1参照)を制御してキャリッジ(液滴吐出ヘッド5)をカラーフィルタ基板に対して副走査移動させる副走査駆動装置74、液滴吐出ヘッド5内の駆動素子を駆動するヘッド駆動回路75、カラーフィルタ基板を液滴吐出装置IJ内の所定の作業位置へ供給する基板供給装置76は、入出力インターフェース95及びデータバス96を介してCPU80に接続されている。さらに、入力装置77、ディスプレイ78、吐出量測定装置13、撮像装置移動装置18、及び撮像装置駆動装置19も入出力インターフェース95及びデータバス96を介してCPU80に接続されている。
【0129】
ヘッド位置制御装置71は、液滴吐出ヘッド5を面内回転させるαモータと、液滴吐出ヘッド5を副走査方向と平行な軸線回りに揺動回転させるβモータと、液滴吐出ヘッド5を主走査方向と平行な軸線回りに揺動回転させるγモータと、液滴吐出ヘッド5を上下方向へ平行移動させるZモータとを有する。
【0130】
基板位置制御装置72は、ワークステージ2(図1参照)を面内回転させるθモータを有する。
【0131】
主走査駆動装置73は、主走査方向へ延びるガイドレールと、パルス駆動されるリニアモータを内蔵したスライダとを有するステージ移動装置3(図1参照)を有する。スライダは内蔵するリニアモータが作動するときにガイドレールに沿って主走査方向へ平行移動する。
【0132】
副走査駆動装置74は、副走査方向へ延びるガイドレールと、パルス駆動されるリニアモータを内蔵したスライダとを有するキャリッジ移動装置6(図1参照)を有する。スライダは内蔵するリニアモータが作動するときにガイドレールに沿って副走査方向へ平行移動する。
【0133】
撮像装置移動装置18は、副走査方向へ延びるガイドレールと、パルス駆動されるリニアモータを内蔵したスライダとを有する。スライダは内蔵するリニアモータが作動するときにガイドレールに沿って副走査方向へ平行移動する。
【0134】
スライダやスライダ内においてパルス駆動されるリニアモータは、該モータに供給するパルス信号によって出力軸の回転角度制御を精細に行うことができ、従って、液滴吐出ヘッド5を搭載するキャリッジ4(図1参照)、測定ステージ14上に設置されたシート部材16(図1参照)、及び撮像装置移動装置18によって移動される撮像装置17(図1参照)の主走査方向上の位置や副走査方向上の位置等を高精細に制御することができる。
【0135】
なお、液滴吐出ヘッド5、撮像装置17(図1参照)、及びワークステージ2(図1参照)の位置制御はパルスモータを用いた位置制御に限られず、サーボモータを用いたフィードバック制御や、その他任意の制御方法によって実現することもできる。
【0136】
メモリ90は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等といった半導体メモリや、ハードディスク、CD−ROM読取り装置、ディスク型記憶媒体等といった外部記憶装置等を含む概念であり、機能的には、液滴吐出装置IJの動作の制御手順が記述されたプログラムソフトを記憶する記憶領域91や、ストライプ配列、デルタ配列、モザイク配列等の各種のR,G,B配列を実現するためのカラーフィルタ基板(図1参照)内における吐出位置を座標データとして記憶するための記憶領域92や、副走査方向へのカラーフィルタ基板の副走査移動量を記憶するための記憶領域93や、撮像装置で撮像した液滴の画像から吐出量を演算する際の補正データを記憶するための記憶領域94や、CPU80のためのワークエリアやテンポラリファイル等として機能する領域や、その他各種の記憶領域が設定される。
【0137】
CPU80は、メモリ90内に記憶されたプログラムソフトに従って、カラーフィルタ基板の表面の所定位置にインク、すなわちカラーフィルタ材料を吐出するための制御を行うものであり、具体的な機能実現部として、吐出量測定装置13を用いた吐出量の測定を実現するための演算を行う吐出量測定演算部81と、撮像装置移動装置18を用いて撮像装置を副走査方向に走査するための演算を行う撮像装置走査演算部82と、撮像装置駆動装置19を用いてシート部材16の記録面16a(図1参照)に着弾した液滴(乾燥膜)を撮像するための演算を行う撮像装置駆動演算部83と、液滴吐出ヘッド5によってカラーフィルタ材料を描画するための演算を行う描画演算部84とを有する。
【0138】
また、描画演算部84を詳しく分割すると、液滴吐出ヘッド5を描画のための初期位置へセットするための描画開始位置演算部85と、液滴吐出ヘッド5を主走査方向へ所定の速度で走査移動させるための制御を演算する主走査制御演算部86と、カラーフィルタ基板を副走査方向へ所定の副走査量だけずらせるための制御を演算する副走査制御演算部87と、液滴吐出ヘッド5内の複数のノズルのうちのいずれを作動させてインク、すなわちカラーフィルタ材料を吐出するか否かを制御するための演算を行うノズル吐出制御演算部88等といった各種の機能演算部を有する。
【0139】
CPU80やメモリ90は、図1に示した制御装置11に含まれている。本実施形態では、上記の各機能をCPU80を用いてソフト的に実現することにしたが、上記の各機能がCPUを用いない単独の電子回路によって実現できる場合には、そのような電子回路を用いることも可能である。
【0140】
図9は、液滴吐出ヘッド5と、液滴吐出ヘッド5に駆動信号を供給するための駆動回路基板30の回路構成図である。駆動回路基板30は、図8に示したヘッド駆動回路75やメモリ90の一部を含むものであり、図1に示した制御装置11と共に本発明の制御手段の一部を構成するものである。
【0141】
駆動回路基板30は、インターフェース31、描画データメモリ32、アドレス変換回路33、第1の駆動波形メモリ34、第2の駆動波形メモリ35、第1のD/Aコンバータ36、第2のD/Aコンバータ37、第3のD/Aコンバータ38及び第4のD/Aコンバータ39を備えている。また、液滴吐出ヘッド5は、COM選択回路40、スイッチング回路50及び圧電素子PZ1〜PZ180からなる圧電素子群60を備えている。なお、圧電素子PZ1〜PZ180は、図3に示すようにコンデンサとして標記することができる。
【0142】
上記の描画データメモリ32は、本発明における第1の記憶手段に相当し、第1の駆動波形メモリ34及び第2の駆動波形メモリ35は、本発明における第2の記憶手段に相当し、第1のD/Aコンバータ36、第2のD/Aコンバータ37、第3のD/Aコンバータ38及び第4のD/Aコンバータ39は、本発明における駆動信号生成手段に相当する。また、COM選択回路40は、本発明における駆動信号選択手段に相当し、スイッチング回路50は本発明における供給切替手段に相当する。
【0143】
制御装置11(図1参照)と駆動回路基板30のインターフェース31とは図示しないPCIバスで接続されており、制御装置11からPCIバスを介して、描画データSIと、駆動制御信号としてクロック信号CLK、ラッチ信号LT、DACクロック信号CLK1及びCLK2、描画データアドレス信号AD1、描画データライトイネーブル信号WE1、駆動波形データ信号WD、波形データアドレス信号AD2、波形データライトイネーブル信号WE2、チップセレクタ信号CS1及びCS2、アウトプットイネーブル信号OE1及びOE2がインターフェース31に出力される。
【0144】
インターフェース31は、描画データSI、描画データライトイネーブル信号WE1、描画データアドレス信号AD1、チップセレクタ信号CS1及びアウトプットイネーブル信号OE1を描画データメモリ32に出力する。また、インターフェース31は、クロック信号CLK及びラッチ信号LTを液滴吐出ヘッド5のCOM選択回路40及びスイッチング回路50に出力する。また、インターフェース31は、DACクロック信号CLK1を第1のD/Aコンバータ36及び第3のD/Aコンバータ38に出力し、DACクロック信号CLK2を第2のD/Aコンバータ37及び第4のD/Aコンバータ39に出力する。また、インターフェース31は、波形データライトイネーブル信号WE2、波形データアドレス信号AD2、駆動波形データ信号WD、チップセレクタ信号CS2及びアウトプットイネーブル信号OE2を第1の駆動波形メモリ34及び第2の駆動波形メモリ35に出力する。
【0145】
描画データメモリ32は、例えば32ビットのSRAMであり、描画データライトイネーブル信号WE1、チップセレクタ信号CS1及びアウトプットイネーブル信号OE1によってデータ書き込みが要求されている場合、描画データアドレス信号AD1が指定するアドレスに描画データSIを記憶する。ここで、描画データSIは、吐出データSIA及びCOM選択データSIB(駆動信号選択データ)から構成される。吐出データSIAとは、カラーフィルタ基板P上に形成された画素パターンをマトリクス状に区分し、このマトリクスを構成する各ドット毎に、液滴を吐出するか否かを規定する2値データをマッピングしたビットマップデータである。このマトリクスのY軸方向のドットピッチは、液滴吐出ヘッド5のノズルピッチと対応しており、つまり上記の吐出データSIAは、液滴吐出ヘッド5を所定の位置に移動させた場合に、各ノズルN1〜N180に対応する圧電素子PZ1〜PZ180に駆動信号を供給するか否かを規定するデータである。
【0146】
本実施形態では、圧電素子PZ1〜PZ180に駆動信号を供給するか否かを規定するために2ビットのデータを使用する。この2ビットのデータの内、上位ビットをSIH、下位ビットをSILと呼び、(SIH、SIL)=(0、0)の場合は、駆動信号の非供給(非吐出)を規定するものとし、(SIH、SIL)=(0、1)、(1、0)、(1、1)の場合は、駆動信号の供給(吐出)を規定するものとする。つまり、圧電素子PZ1〜PZ180の各々に対応するSIHデータ(SIH1〜SIH180)と、SILデータ(SIL1〜SIL180)とが吐出データSIAに含まれている。このような吐出データSIAは、カラーフィルタ基板Pの画素パターンに応じて異なるため、画素パターンの数に対応して制御装置11から送られ、描画データメモリ32に記憶される。なお、本実施形態では、圧電素子PZ1〜PZ180に駆動信号を供給するか否かを規定するために2ビットのデータを使用したが、これに限らず、1ビットのデータを用いても勿論良い。
【0147】
一方、COM選択データSIBとは、各圧電素子PZ1〜PZ180に供給する駆動信号の種類を規定するデータである。本実施形態では、各圧電素子PZ1〜PZ180毎に4種類の駆動信号の中から1つの駆動信号を選択して供給する。また、本実施形態では、4種類の駆動信号をそれぞれCOM1、COM2、COM3、COM4と呼ぶ。つまり、COM選択データSIBは、各圧電素子PZ1〜PZ180に印加する駆動信号としてCOM1、COM2、COM3、COM4のいずれかを規定するデータである。さらに、このCOM選択データSIBには、各駆動信号COM1、COM2、COM3、COM4の波形(駆動波形)を規定するための駆動波形番号データWNが含まれている。
【0148】
本実施形態では、駆動信号を4種類の中から選択するため、駆動信号を規定するには2ビットのデータが必要である。本実施形態では、駆動信号を規定する2ビットのデータの内、上位ビットをWSH、下位ビットをWSLと呼び、(WSH、WSL)=(0、0)の場合はCOM1を規定するものとし、(WSH、WSL)=(0、1)の場合はCOM2を規定するものとし、(WSH、WSL)=(1、0)の場合はCOM3を規定するものとし、(WSH、WSL)=(1、1)の場合はCOM4を規定するものとする。つまり、圧電素子PZ1〜PZ180の各々に対応するWSHデータ(WSH1〜WSH180)と、WSLデータ(WSL1〜WSL180)とがCOM選択データSIBに含まれている。また、本実施形態では、駆動信号COM1〜COM4の駆動波形の組み合わせを64種類の中から1つ選択できるものとする。つまり、駆動波形を規定するための駆動波形番号データWNは6ビットのデータである。
【0149】
上記のCOM選択データSIBは、液滴吐出ヘッド5の各ノズルN1〜N180の液滴吐出量の分布(吐出特性)に応じて設定される。図10に、液滴吐出量の分布の一例を示す。図10において、横軸はノズル番号、縦軸は液滴吐出量である。なお、液滴吐出ヘッド5の特性上、両端のノズル(ノズルN1〜N9及びノズルN171〜N180)では液滴吐出量のバラツキが非常に大きいため、これらのノズルの吐出分布を省略している。実際に液滴吐出ヘッド5を使用する場合でも、180個のノズルの内、ノズルN10〜N170の160個が使用される。
【0150】
図10に示すような液滴吐出量のバラツキを補正するためには、各ノズルN10〜N170の液滴吐出量が適正吐出量に近づくように、各圧電素子PZ10〜圧電素子PZ170に供給する駆動信号を変えれば良い。例えば、図10に示すように、液滴の吐出分布において適正吐出量から大きくずれているノズルの液滴吐出量を適正吐出量に補正するには、このノズルに対応する圧電素子に供給する駆動信号の電圧値を大きくすれば良い。
【0151】
実際には、事前に(例えば本液滴吐出装置IJの出荷検査時などに)、図10に示すような液滴吐出量の分布を測定し、各ノズルN10〜N170の液滴吐出量が適正吐出量に近づくような各圧電素子PZ10〜PZ170の駆動信号を求める。原理的には、各圧電素子PZ10〜PZ170毎に求めた駆動信号を用意して供給すれば良いが、その場合、駆動信号を最大で160種類も用意しなければならず、部品点数の増加、装置コストの増大、駆動回路基板30の大型化及び消費電力の増大などの問題が生じるため、現実的には実現困難である。そこで、本実施形態では、4種類の駆動信号を使用して各ノズルN10〜N170の液滴吐出量が適正吐出量に近づくように設定する。これは、少なくとも4種類の駆動電信号を使用することにより、液滴吐出量のバラツキをすじムラとして人に視認されないレベル(バラツキ1.2%以内)まで抑えることができるためである。このように求めた4種類の駆動信号をCOM1〜COM4としてCOM選択データSIBに設定する。以下、COM選択データSIBの設定方法の具体例について説明する。
【0152】
(COM選択データSIBの設定方法の具体例1)
最初に、COM選択データSIBの設定方法の具体例1について図11のフローチャートを用いて説明する。この説明では、図1、図5、図7、図8を適宜参照して説明を行う。
【0153】
まず、事前に、各圧電素子PZ10〜PZ170に所定の基準駆動電圧V0を印加し、図10に示すようなノズルN10〜N170の液滴吐出量の分布を測定する(ステップS1)。
【0154】
液滴吐出量の分布は、図1及び図8に示した吐出量測定装置13を用いて行う。測定に先立って、まず、図8に示した描画演算部84が、上位の制御装置から取得したカラーフィルタ基板Pに関する情報(画素パターンや基板サイズなどの情報。この情報はメモリ90の記憶領域92に記憶される)に基づいて吐出データSIAを作成する。そして、この吐出データSIAに基づいて、液滴吐出ヘッド5毎に、吐出ノズルと非吐出ノズルとの組み合わせ、すなわち吐出パターンを設定する。また、描画演算部84は、カラーフィルタ基板Pに関する情報のうち画素パターンに関する情報に基づいて、副走査方向における区画領域の配置間隔を検出し、メモリ90の記憶領域93に記憶する。
【0155】
本実施形態の液滴吐出装置では、副走査の移動距離は、大型カラーフィルタ基板P上に設けられる複数機種のパネル領域のうち特定の1種類のパネル領域(図5の例では、第1パネル領域PA1)の区画領域の配置間隔の整数倍に設定される。それにより、特定のパネル領域に関しては、全ての主走査において吐出パターンが固定されるようになっている。
【0156】
そのため、ステップSS1では、特定のパネル領域を主走査する場合の吐出パターンとして、各液滴吐出ヘッドに対してそれぞれ1種類の吐出パターンを設定する。それ以外のパネル領域を主走査する場合には、従来と同様に、各区画領域と重なるノズルを1主走査毎に選択する。
【0157】
次に、描画演算部84は、ステージ移動装置3及びキャリッジ移動装置6を制御して、吐出量測定装置13の測定ステージ14とキャリッジ4とを互いに対向する位置に移動する。そして、測定ステージ14上に設置されたシート部材16の記録面16aと液滴吐出ヘッド5のノズル面とが対向配置した状態で、各液滴吐出ヘッド5のノズルから、液滴吐出ヘッド毎に設定された吐出パターンで記録面16a上に液滴を着弾させる(ステップSS2)。
【0158】
ここで、大型カラーフィルタ基板P上に設けられた複数のパネル領域のうち特定のパネル領域に関しては、吐出パターンは1種類に設定される。そのため、各ノズルNからは、その1種類の吐出パターンで液滴が吐出される。一方、他のパネル領域に関しては、吐出パターンが1種類に特定されないので、図7に示した方法で、1主走査毎に選択され得る全てのノズルの組み合わせ(吐出パターン)について記録面16aの同一箇所に重ねて吐出を行う。
【0159】
液滴を記録面16a上に着弾したら、撮像装置走査演算部82は撮像装置移動装置18を制御して撮像装置17を液滴が着弾した記録面16aの上方に移動させる。そして、撮像装置駆動演算部83が撮像装置17を制御して、記録面16a上に着弾した液滴の乾燥膜を撮像し、撮像した画像データを、撮像装置17から吐出量測定演算部81に出力する(ステップSS3)。
【0160】
吐出量測定演算部81は、画像処理技術を用いて、液滴の乾燥膜のZ方向から見た面積を測定する。そして、メモリ90の記憶領域94に記憶された、乾燥膜の面積と吐出量との関係を規定した補正データを用いて、乾燥膜の面積から液滴の吐出量を演算する。そして、この演算結果に基づいて、各ノズルの吐出量の分布(吐出特性)を検出する(ステップSS4)。
【0161】
各ノズルの吐出量の分布は、大型カラーフィルタ基板P上に設けられた1パネル領域毎に設定される。特定機種のパネル領域に関しては、各液滴吐出ヘッドに対してそれぞれ吐出パターンは1種類のみである。したがって、この1種類の吐出パターンについて吐出量の分布を求めればよい。一方、それ以外のパネル領域に関しては、吐出パターンは1種類に特定されないので、各吐出パターンについての平均的な吐出量の分布が求められることになる。すなわち、ステップSS2において、記録面16a上の同一箇所に重ねて吐出された各吐出パターンの液滴吐出量の総和を測定し、各着弾位置に着弾した液滴の着弾数で総量を除算して平均の吐出量を求め、この平均の吐出量を1ノズル毎に測定することにより、各ノズルの吐出量の分布、すなわち、各吐出パターンについての平均的な吐出量の分布を求める。
【0162】
こうして液滴吐出量の分布を測定したら、描画演算部84は、各ノズルの吐出量のうち最小の吐出量(最小吐出量)と最大の吐出量(最大吐出量)を検出する。そして、最小吐出量から最大吐出量までのレンジを均等に4分割し、レンジ1、レンジ2、レンジ3、レンジ4とする(ステップS2)。
【0163】
次に、描画演算部84は、下記(1)式に基づいて、各レンジ1〜4毎にCOM設定電圧を算出し、レンジ1について算出したCOM設定電圧をCOM1、レンジ2について算出したCOM設定電圧をCOM2、レンジ3について算出したCOM設定電圧をCOM3、レンジ4について算出したCOM設定電圧をCOM4と設定する(ステップS3)。
【0164】
なお、下記(1)式において、Kは液滴吐出量を電圧値に変換するための定数である。また、下記(1)式において、「レンジの中心吐出量」を「各レンジ内における全ノズルの平均吐出量」に替えても良い。
COM設定電圧=V0−K・(レンジの中心吐出量−適正吐出量) …(1)
【0165】
そして、描画演算部84は、レンジ1に含まれるノズルにCOM1を割り当て(ステップS4)、レンジ2に含まれるノズルにCOM2を割り当て(ステップS5)、レンジ3に含まれるノズルにCOM3を割り当て(ステップS6)、レンジ4に含まれるノズルにCOM4を割り当てる(ステップS7)。以上のように求めたノズルとCOM1〜COM4との対応関係に基づきCOM選択データSIBを設定する(ステップS8)。
【0166】
図12は、上記のようにして求めた電圧値を有するCOM1〜COM4の駆動波形の一例である。描画演算部84は、これらCOM1〜COM4の駆動波形のデジタルデータ(駆動波形データ)を設定し、これらCOM1〜COM4の駆動波形データの組み合わせを示す駆動波形番号データWNを設定する。
【0167】
(COM選択データSIBの設定方法の具体例2)
次に、COM選択データSIBの設定方法の具体例2について図13のフローチャートを用いて説明する。まず、事前に、各圧電素子PZ10〜PZ170に所定の基準駆動電圧V0を印加し、具体例1と同様にノズルN10〜N170の液滴吐出量の分布を測定する(ステップS10)。この測定方法は、上述の具体例1で説明したものと同じである。
【0168】
そして、描画演算部84は、吐出分布の最小吐出量を許容バラツキレンジの最小値に合わせ、この許容バラツキレンジ内に含まれるノズルの内、液滴吐出量の小さい方から順にピックアップし、ピックアップしたノズル数をカウントする(ステップS11)。
【0169】
ここで、許容バラツキレンジとは、品質管理上許容することができるノズル間の吐出量バラツキの許容レンジを指すものであって予めユーザが設定することができる値である。
【0170】
続いて、描画演算部84は、ステップS11でピックアップしたノズル数が、COM1に割り当て可能な最大許容ノズル数より大きいか否かを判定する(ステップS12)。ここで、この最大許容ノズル数は、第1のD/Aコンバータ36の電流容量に応じて設定されており、本実施形態では80個とする。
【0171】
描画演算部84は、ステップS12において、ピックアップしたノズル数が最大許容ノズル数(つまり80個)より大きい場合(「YES」)、80個目までのノズルにCOM1を割り当てる(ステップS13)。一方、ステップS12において、ピックアップしたノズル数が80個以下の場合(「NO」)、ピックアップした全ノズルにCOM1を割り当てる(ステップS14)。
【0172】
そして、描画演算部84は、COM1を割り当てたノズルの最大吐出量と最小吐出量との中心吐出量を算出し、下記(2)式に基づいて、COM1の電圧値(COM設定電圧)を決定する(ステップS15)。
【0173】
なお、下記(2)式において、Kは液滴吐出量を電圧値に変換するための定数である。
COM設定電圧=V0−K・(中心吐出量−適正吐出量) ・・・・(2)
【0174】
次に、描画演算部84は、残ったノズルの最小吐出量を許容バラツキレンジの最小値に合わせ、この許容バラツキレンジ内に含まれるノズルの内、液滴吐出量の小さい方から順にピックアップし、ピックアップしたノズル数をカウントする(ステップS16)。
【0175】
続いて、描画演算部84は、ステップS16でピックアップしたノズル数が、COM2に割り当て可能な最大許容ノズル数より大きいか否かを判定する(ステップS17)。ここで、この最大許容ノズル数は、第2のD/Aコンバータ37の電流容量に応じて設定されており、本実施形態では80個とする。
【0176】
描画演算部84は、ステップS17において、ピックアップしたノズル数が最大許容ノズル数(つまり80個)より大きい場合(「YES」)、80個目までのノズルにCOM2を割り当てる(ステップS18)。一方、ステップS17において、ピックアップしたノズル数が80個以下の場合(「NO」)、ピックアップした全ノズルに対応する圧電素子にCOM2を割り当てる(ステップS19)。
【0177】
そして、描画演算部84は、COM2を割り当てたノズルの最大吐出量と最小吐出量との中心吐出量を算出し、上記(2)式に基づいて、COM2の電圧値(COM設定電圧)を決定する(ステップS20)。
【0178】
次に、描画演算部84は、残ったノズルの最小吐出量を許容バラツキレンジの最小値に合わせ、許容バラツキレンジ内に含まれるノズルの内、液滴吐出量の小さい方から順にピックアップし、ピックアップしたノズル数をカウントする(ステップS21)。
【0179】
続いて、描画演算部84は、ステップS21でピックアップしたノズル数が、COM3に割り当て可能な最大許容ノズル数より大きいか否かを判定する(ステップS22)。ここで、この最大許容ノズル数は、第3のD/Aコンバータ38の電流容量に応じて設定されており、本実施形態では80個とする。
【0180】
描画演算部84は、ステップS22において、ピックアップしたノズル数が最大許容ノズル数(つまり80個)より大きい場合(「YES」)、80個目までのノズルにCOM3を割り当てる(ステップS23)。一方、ステップS22において、ピックアップしたノズル数が80個以下の場合(「NO」)、ピックアップした全ノズルに対応する圧電素子にCOM3を割り当てる(ステップS24)。
【0181】
そして、描画演算部84は、COM3を割り当てたノズルの最大吐出量と最小吐出量との中心吐出量を算出し、上記(2)式に基づいて、COM3の電圧値(COM設定電圧)を決定する(ステップS25)。
【0182】
次に、描画演算部84は、残ったノズルの最小吐出量を許容バラツキレンジの最小値に合わせ、許容バラツキレンジ内に含まれるノズルの内、液滴吐出量の小さい方から順にピックアップし、ピックアップしたノズル数をカウントする(ステップS26)。
【0183】
続いて、描画演算部84は、ステップS26でピックアップしたノズル数が、COM4に割り当て可能な最大許容ノズル数より大きいか否かを判定する(ステップS27)。ここで、この最大許容ノズル数は、第4のD/Aコンバータ39の電流容量に応じて設定されており、本実施形態では80個とする。
【0184】
描画演算部84は、ステップS27において、ピックアップしたノズル数が最大許容ノズル数(つまり80個)より大きい場合(「YES」)、80個目までのノズルにCOM4を割り当てる(ステップS28)。一方、ステップS27において、ピックアップしたノズル数が80個以下の場合(「NO」)、ピックアップした全ノズルに対応する圧電素子にCOM4を割り当てる(ステップS29)。
【0185】
そして、描画演算部84は、COM4を割り当てたノズルの最大吐出量と最小吐出量との中心吐出量を算出し、上記(2)式に基づいて、COM4の電圧値(COM設定電圧)を決定する(ステップS30)。
【0186】
そして、描画演算部84は、ノズルとCOM1〜COM4との対応関係に基づきCOM選択データSIBを設定する(ステップS31)。
【0187】
そして、描画演算部84は、具体例1と同様に、上記のように決定した電圧値を有するCOM1〜COM4の駆動波形のデジタルデータ(駆動波形データ)を設定し、これらCOM1〜COM4の駆動波形データの組み合わせを示す駆動波形番号データWNを設定する。なお、ステップS30が終了した時点で、残りノズルがあった場合、警報を発生し、この液滴吐出ヘッド5を不良品とするか、または再組み立てを行うかを判断する。
【0188】
上述したCOM選択データSIBの設定方法の具体例1は、具体例2と比較して簡単にノズルに対するCOM1〜COM4の割り当てを行うことができるが、COM毎に、つまりD/Aコンバータ毎に最大許容ノズル数が設定されている場合、4分割したレンジ1〜4に含まれるノズル数が最大許容ノズル数を越えてしまうと、D/Aコンバータの駆動能力が低下し、駆動信号の電圧値が低下したり波形に歪が生じたりするなどの問題が発生するという欠点がある。よって、各レンジ1〜4に含まれるノズル数が最大許容ノズル数を越えた場合は、警報を発生し、液滴吐出ヘッド5を不良品とするか、または再組み立てを行うかを判断する必要がある。
【0189】
具体例2の方法では、D/Aコンバータ毎に最大許容ノズル数が設定されている場合であっても、問題なく各ノズルに対するCOM1〜COM4の割り当てを行うことができる。また、具体例2では、液滴吐出量のバラツキがほとんどなく均一に近い特性であった場合、ほとんどのノズルがCOM1及びCOM2に割り当てられるが、具体例1では各ノズルが必ず均等にCOM1〜COM4に割り当てられることになる。
【0190】
また、上述したように、液滴吐出ヘッド5のノズルデューティが変化すると液滴吐出量のバラツキ分布(吐出特性)は変化する。よって、事前に、ノズルデューティ毎に液滴吐出量のバラツキ分布を測定し、各ノズルN10〜N170の液滴吐出量が適正吐出量に近づくような各圧電素子PZ10〜PZ170の駆動信号COM1〜COM4を求め、ノズルデューティに対応するCOM選択データSIBを設定する。例えば、ノズルデューティと吐出量との間に比例関係がある場合には、吐出ノズル数に応じて、一定の補正係数を乗じた電圧値を各吐出ノズルの圧電素子に供給すれば良い。
【0191】
図9に戻って説明すると、描画データメモリ32は、描画データライトイネーブル信号WE1、チップセレクタ信号CS1及びアウトプットイネーブル信号OE1によってデータ読み出しが要求されている場合、描画データアドレス信号AD1が指定するアドレスに記憶されている吐出データSIAをシリアルデータとして液滴吐出ヘッド5のスイッチング回路50に出力し、また、COM選択データSIBをシリアルデータとして液滴吐出ヘッド5のCOM選択回路40に出力する。なお、駆動波形番号データWNは、アドレス変換回路33に出力される。
【0192】
アドレス変換回路33は、駆動波形番号データWNが指定する駆動波形番号に該当する駆動波形データの記憶先アドレスを示すアドレス信号AD3を第1の駆動波形メモリ34及び第2の駆動波形メモリ35に出力する。第1の駆動波形メモリ34は、32Kワード×16ビットのSRAMであり、COM1及びCOM2に対応する駆動波形のデジタルデータ(駆動波形データ)を記憶するメモリである。第2の駆動波形メモリ35も同様に、32Kワード×16ビットのSRAMであり、COM3及びCOM4に対応する駆動波形データを記憶するメモリである。
【0193】
これら第1の駆動波形メモリ34及び第2の駆動波形メモリ35は、波形データライトイネーブル信号WE2、チップセレクタ信号CS2及びアウトプットイネーブル信号OE2によってデータ書き込みが要求されている場合、波形データアドレス信号AD2で指定されるアドレスに、駆動波形データ信号WDを記憶する。なお、この駆動波形データ信号WDは、上位2バイトがCOM3及びCOM4に対応する駆動波形データに割り当てられ、下位2バイトがCOM1及びCOM2に対応する駆動波形データに割り当てられた4バイトのデータ信号であり、上位2バイト分の駆動波形データ信号WDは第1の駆動波形メモリ34に入力され、上位2バイト分の駆動波形データ信号WDは第2の駆動波形メモリ35に入力される。
【0194】
また、第1の駆動波形メモリ34は、波形データライトイネーブル信号WE2、チップセレクタ信号CS2及びアウトプットイネーブル信号OE2によってデータ読み出しが要求されている場合、アドレス信号AD3で指定されるアドレスに記憶されている駆動波形データを第1のD/Aコンバータ36及び第2のD/Aコンバータ37に出力する。第2の駆動波形メモリ35は、波形データライトイネーブル信号WE2、チップセレクタ信号CS2及びアウトプットイネーブル信号OE2によってデータ読み出しが要求されている場合、アドレス信号AD3で指定されるアドレスに記憶されている駆動波形データを第3のD/Aコンバータ38及び第4のD/Aコンバータ39に出力する。
【0195】
第1のD/Aコンバータ36は、DACクロック信号CLK1の立ち上がりに同期して、第1の駆動波形メモリ34から入力される駆動波形データをラッチし、当該ラッチした駆動波形データをアナログ変換して駆動信号COM1を生成し、液滴吐出ヘッド5のCOM選択回路40に出力する。第2のD/Aコンバータ37は、DACクロック信号CLK2の立ち上がりに同期して、第1の駆動波形メモリ34から入力される駆動波形データをラッチし、当該ラッチした駆動波形データをアナログ変換して駆動信号COM2を生成し、液滴吐出ヘッド5のCOM選択回路40に出力する。第3のD/Aコンバータ38は、DACクロック信号CLK1の立ち上がりに同期して、第2の駆動波形メモリ35から入力される駆動波形データをラッチし、当該ラッチした駆動波形データをアナログ変換して駆動信号COM3を生成し、液滴吐出ヘッド5のCOM選択回路40に出力する。第4のD/Aコンバータ39は、DACクロック信号CLK2の立ち上がりに同期して、第2の駆動波形メモリ35から入力される駆動波形データをラッチし、当該ラッチした駆動波形データをアナログ変換して駆動信号COM4を生成し、液滴吐出ヘッド5のCOM選択回路40に出力する。
【0196】
図14に示すように、液滴吐出ヘッド5のCOM選択回路40は、シフトレジスタ回路41、ラッチ回路42、COM選択スイッチ回路CSW1〜CSW180から構成されている。シフトレジスタ回路41は、クロック信号CLK及びCOM選択データSIBを入力とし、クロック信号CLKに同期してシリアルデータであるCOM選択データSIBをパラレル変換してラッチ回路42に順次出力する。具体的には、シフトレジスタ回路41は、圧電素子PZ1〜PZ180に対応するWSHデータ(WSH1〜WSH180)及びWSLデータ(WSL1〜WSL180)をパラレルに順次出力する。
【0197】
ラッチ回路42は、上記のWSHデータ(WSH1〜WSH180)及びWSLデータ(WSL1〜WSL180)を、ラッチ信号LTに同期してラッチし、各WSHデータ(WSH1〜WSH180)及びWSLデータ(WSL1〜WSL180)を一括してCOM選択スイッチ回路CSW1〜CSW180に出力する。具体的には、ラッチ回路42は、WSH1及びWSL1をCOM選択スイッチ回路CSW1に出力し、WSH2及びWSL2をCOM選択スイッチ回路CSW2に出力し、以下同様に、WSH180及びWSL180をCOM選択スイッチ回路CSW180に出力する。
【0198】
各COM選択スイッチ回路CSW1〜CSW180は、駆動信号COM1〜COM4を入力とし、ラッチ回路42から入力されるWSH及びWSLデータに応じて駆動信号COM1〜COM4のいずれかを選択し、選択した駆動信号をV1〜V180として後述するスイッチング回路50のスイッチング素子SW1〜SW180に出力する。具体的には、COM選択スイッチ回路CSW1は、(WSH1、WSL1)=(0、0)の場合、駆動信号COM1を選択し、(WSH1、WSL1)=(0、1)の場合、駆動信号COM2を選択し、(WSH1、WSL1)=(1、0)の場合、駆動信号COM3を選択し、(WSH1、WSL1)=(1、1)の場合、駆動信号COM4を選択し、選択した駆動信号をV1としてスイッチング回路50のスイッチング素子SW1に出力する。以下同様に、COM選択スイッチ回路CSW180は、(WSH180、WSL180)=(0、0)の場合、駆動信号COM1を選択し、(WSH180、WSL180)=(0、1)の場合、駆動信号COM2を選択し、(WSH180、WSL180)=(1、0)の場合、駆動信号COM3を選択し、(WSH180、WSL180)=(1、1)の場合、駆動信号COM4を選択し、選択した駆動信号をV180としてスイッチング回路50のスイッチング素子SW180に出力する。
【0199】
続いて、図15に示すように、スイッチング回路50は、シフトレジスタ回路51、ラッチ回路52、論理和回路OR1〜OR180、レベルシフタ回路53、スイッチング素子SW1〜SW180から構成されている。シフトレジスタ回路51は、クロック信号CLK及び吐出データSIAを入力とし、クロック信号CLKに同期してシリアルデータである吐出データSIAをパラレル変換してラッチ回路52に順次出力する。具体的には、シフトレジスタ回路51は、圧電素子PZ1〜PZ180に対応するSIHデータ(SIH1〜SIH180)及びSILデータ(SIL1〜SIL180)をパラレルに順次出力する。
【0200】
ラッチ回路52は、上記のSIHデータ(SIH1〜SIH180)及びSILデータ(SIL1〜SIL180)を、ラッチ信号LTに同期してラッチし、各SIHデータ(SIH1〜SIH180)及びSILデータ(SIL1〜SIL180)を一括して論理和回路OR1〜OR180に出力する。具体的には、ラッチ回路52は、SIH1及びSIL1を論理和回路OR1に出力し、SIH2及びSIL2を論理和回路OR2に出力し,以下同様に、SIH180及びSIL180を論理和回路OR180に出力する。
【0201】
論理和回路OR1は、SIH1とSIL1との論理和であるスイッチング信号S1をレベルシフタ回路53に出力する。つまり、SIH1とSIL1との少なくとも一方が「1」であれば駆動信号の供給(吐出)を規定しているので、「1」を示すスイッチング信号S1が出力される。論理和回路OR2は、SIH2とSIL2との論理和であるスイッチング信号S2をレベルシフタ回路53に出力する。以下同様に、論理和回路OR180は、SIH180とSIL180との論理和であるスイッチング信号S180をレベルシフタ回路53に出力する。
【0202】
レベルシフタ回路53は、スイッチング信号S1〜S180を各スイッチング素子SW1〜SW180を駆動可能なレベルまで電圧増幅する。具体的には、レベルシフタ回路53は、スイッチング信号S1を電圧増幅してスイッチング素子SW1に出力し、スイッチング信号S2を電圧増幅してスイッチング素子SW2に出力し、以下同様に、スイッチング信号S180を電圧増幅してスイッチング素子SW180に出力する。
【0203】
スイッチング素子SW1は、駆動信号V1及びスイッチング信号S1を入力とし、「1」を示すスイッチング信号S1が入力された場合にON状態となり、駆動信号V1を図9に示す圧電素子PZ1の一方の電極に出力する。スイッチング素子SW2は、駆動信号V2及びスイッチング信号S2を入力とし、「1」を示すスイッチング信号S2が入力された場合にON状態となり、駆動信号V2を図9に示す圧電素子PZ2の一方の電極に出力する。以下同様に、スイッチング素子SW180は、駆動信号V180及びスイッチング信号S180を入力とし、「1」を示すスイッチング信号S180が入力された場合にON状態となり、駆動信号V180を図9に示す圧電素子PZ180の一方の電極に出力する。
【0204】
図9に戻って説明すると、各圧電素子PZ1〜PZ180の他方の電極は、液滴吐出ヘッド5内で互いに接続され、且つ駆動回路基板30側のグランドと共通接地されている。
つまり、圧電素子PZ1は、駆動信号V1とグランド間の電位差によって伸縮し、これにより駆動信号V1に応じた吐出量のカラーフィルタ材料の液滴がノズルN1から吐出される。また、圧電素子PZ2は、駆動信号V2とグランド間の電位差によって伸縮し、これにより駆動信号V2に応じた吐出量のカラーフィルタ材料の液滴がノズルN2から吐出される。以下同様に、圧電素子PZ180は、駆動信号V180とグランド間の電位差によって伸縮し、これにより駆動信号V180に応じた吐出量のカラーフィルタ材料の液滴がノズルN180から吐出される。
【0205】
次に、このように構成された本液滴吐出装置IJの動作について説明する。
まず、カラーフィルタ基板Pの画素パターンに応じて事前に設定した吐出データSIAと、ノズルデューティ毎に設定したCOM選択データSIBとを駆動回路基板30の描画データメモリ32に記憶し、また、COM選択データSIBに対応するCOM1〜COM4の駆動波形データを第1の駆動波形メモリ34及び第2の駆動波形メモリ35に予め記憶する。
【0206】
具体的には、制御装置11は、インターフェース31を介して、描画データSI(吐出データSIA及びCOM選択データSIB)と、これら吐出データSIA及びCOM選択データSIBの記憶先アドレスを示す描画データアドレス信号AD1と、データ書き込み要求を示す描画データライトイネーブル信号WE1、チップセレクタ信号CS1及びアウトプットイネーブル信号OE1とを描画データメモリ32に出力する。これにより、描画データメモリ32には、描画データアドレス信号AD1が指定する記憶先アドレスに、吐出データSIA及びCOM選択データSIBが順次記憶される。
【0207】
また、制御装置11は、インターフェース31を介して、駆動波形データWDと、波形データアドレス信号AD2と、データ書き込み要求を示す波形データライトイネーブル信号WE2、チップセレクタ信号CS2及びアウトプットイネーブル信号OE2とを第1の駆動波形メモリ34及び第2の駆動波形メモリ35に出力する。そして、この処理により、カラーフィルタ基板Pの画素パターンに応じて事前に設定した吐出データSIAと、ノズルデューティ毎に設定したCOM選択データSIBとが描画データメモリ32に記憶され、また、COM選択データSIBに対応するCOM1〜COM4の駆動波形データが第1の駆動波形メモリ34及び第2の駆動波形メモリ35に記憶される。
【0208】
次に、実際にカラーフィルタ基板Pにカラーフィルタ材料を吐出する動作について図16のタイミングチャートを用いて説明する。
【0209】
制御装置11は、ワークステージ2にカラーフィルタ基板Pが搬送され、上位の制御装置からカラーフィルタ基板Pに関する情報(画素パターンや基板サイズなどの情報)を取得すると、搬送されたカラーフィルタ基板Pに対応する吐出データSIAを決定する。また、制御装置11は、カラーフィルタ基板Pに関する情報に基づいてノズルデューティを求め、そのノズルデューティに対応するCOM選択データSIBを決定する。そして、制御装置11は、ステージ移動装置3及びキャリッジ移動装置6を制御して、液滴吐出ヘッド5をカラーフィルタ基板P上の所定のXYZ座標に移動させる。
【0210】
続いて、制御装置11は、上記のように決定した吐出データSIA及びCOM選択データSIBの記憶先アドレスを示す描画データアドレス信号AD1と、データ読み出し要求を示す描画データライトイネーブル信号WE1、チップセレクタ信号CS1及びアウトプットイネーブル信号OE1とを駆動回路基板30の描画データメモリ32に出力する。これにより、搬送されたカラーフィルタ基板Pに対応する吐出データSIAが液滴吐出ヘッド5のスイッチング回路50(具体的にはシフトレジスタ回路51)に出力され、カラーフィルタ基板Pのノズルデューティに対応するCOM選択データSIBが液滴吐出ヘッド5のCOM選択回路40(具体的にはシフトレジスタ回路41)に出力される。また、COM選択データSIBに含まれる駆動波形番号データWNは、アドレス変換回路33に出力される。
【0211】
図16に示すように、時刻T1に、吐出データSIAがスイッチング回路50のシフトレジスタ回路51に出力され、COM選択データSIBがCOM選択回路40のシフトレジスタ回路41に出力されたと想定する。シフトレジスタ回路51は、時刻T1からT2までの期間、クロック信号CLKに同期してシリアルデータである吐出データSIAをパラレル変換してラッチ回路52に順次出力する。つまり、圧電素子PZ1〜PZ180に対応するSIHデータ(SIH1〜SIH180)及びSILデータ(SIL1〜SIL180)がパラレルに順次出力される。一方、シフトレジスタ回路41は、クロック時刻T1からT2までの期間、クロック信号CLKに同期してシリアルデータであるCOM選択データSIBをパラレル変換してラッチ回路42に順次出力する。つまり、圧電素子PZ1〜PZ180に対応するWSHデータ(WSH1〜WSH180)及びWSLデータ(WSL1〜WSL180)がパラレルに順次出力される。
【0212】
ここで、この時刻T1からT2までの期間におけるアドレス変換回路33、第1の駆動波形メモリ34及び第2の駆動波形メモリ35、第1のD/Aコンバータ36、第2のD/Aコンバータ37、第3のD/Aコンバータ38及び第4のD/Aコンバータ39の動作について図17のタイミングチャートを用いて説明する。
【0213】
図17に示すように、時刻T1’においてアドレス変換回路33は、クロック信号CLKの立ち上がりに同期して、駆動波形番号データWNが指定する駆動波形番号に該当する駆動波形データの記憶先アドレスを示すアドレス信号AD3を第1の駆動波形メモリ34及び第2の駆動波形メモリ35に出力する。例えば駆動波形番号「0」が指定されている場合を想定すると、アドレス信号AD3はアドレス「+00000h」を示す。時刻T2’において、第1の駆動波形メモリ34は、アドレス「+00000h」に記憶されているCOM1の2バイト分の駆動波形データを第1のD/Aコンバータ36及び第2のD/Aコンバータ37に出力し、第2の駆動波形メモリ35は、アドレス「+00000h」に記憶されているCOM3の2バイト分の駆動波形データを第3のD/Aコンバータ38及び第4のD/Aコンバータ39に出力する。
【0214】
そして、時刻T3’において、DACクロック信号CLK1の立ち上がりが発生すると、第1のD/Aコンバータ36は、DACクロック信号CLK1の立ち上がりに同期してCOM1の2バイト分の駆動波形データをラッチして取り込み、同様に第3のD/Aコンバータ38も、DACクロック信号CLK1の立ち上がりに同期してCOM3の2バイト分の駆動波形データをラッチして取り込む。
【0215】
また、この時刻T3’において、アドレス変換回路33は、クロック信号CLKの立ち上りに同期して、アドレス「+08000h」を示すアドレス信号AD3を第1の駆動波形メモリ34及び第2の駆動波形メモリ35に出力する。そして、時刻T4’において、第1の駆動波形メモリ34は、アドレス「+08000h」に記憶されているCOM2の2バイト分の駆動波形データを第1のD/Aコンバータ36及び第2のD/Aコンバータ37に出力し、第2の駆動波形メモリ35は、アドレス「+08000h」に記憶されているCOM4の2バイト分の駆動波形データを第3のD/Aコンバータ38及び第4のD/Aコンバータ39に出力する。
【0216】
そして、時刻T5’において、DACクロック信号CLK2の立ち上がりが発生すると、第2のD/Aコンバータ37は、DACクロック信号CLK2の立ち上がりに同期してCOM2の2バイト分の駆動波形データをラッチして取り込み、同様に第4のD/Aコンバータ39も、DACクロック信号CLK2の立ち上がりに同期してCOM4の2バイト分の駆動波形データをラッチして取り込む。
【0217】
このように、第1のD/Aコンバータ36はCOM1の駆動波形データだけ取り込み、第2のD/Aコンバータ37はCOM2の駆動波形データだけ取り込み、第3のD/Aコンバータ38はCOM3の駆動波形データだけ取り込み、第4のD/Aコンバータ39はCOM4の駆動波形データだけ取り込むことになる。以降、アドレス変換回路33は、クロック信号CLKの立ち上りに同期してアドレスをインクリメントしていき、第1の駆動波形メモリ34及び第2の駆動波形メモリ35から駆動波形番号「0」に該当する512バイト分(1波形分)のCOM1〜COM4の駆動波形データが出力される。
【0218】
そして、第1のD/Aコンバータ36は、1波形分のCOM1の駆動波形データを取り込み、アナログ変換して駆動信号COM1を生成し、液滴吐出ヘッド5のCOM選択回路40に出力する。また、第2のD/Aコンバータ37は、1波形分のCOM2の駆動波形データを取り込み、アナログ変換して駆動信号COM2を生成し、液滴吐出ヘッド5のCOM選択回路40に出力する。また、第3のD/Aコンバータ38は、1波形分のCOM3の駆動波形データを取り込み、アナログ変換して駆動信号COM3を生成し、液滴吐出ヘッド5のCOM選択回路40に出力する。また、第4のD/Aコンバータ39は、1波形分のCOM4の駆動波形データを取り込み、アナログ変換して駆動信号COM4を生成し、液滴吐出ヘッド5のCOM選択回路40に出力する。
【0219】
このように、図16の時刻T1〜T2の期間において、図17に示す動作が行われ、液滴吐出ヘッド5のCOM選択回路40には、駆動信号COM1〜COM4が入力される。
なお、図17に示す動作中において、第1の駆動波形メモリ34及び第2の駆動波形メモリ35にはデータ読み出し要求を示す波形データライトイネーブル信号WE2、チップセレクタ信号CS2及びアウトプットイネーブル信号OE2が入力される。
【0220】
図16に戻って説明すると、時刻T3においてラッチ信号LTの立ち上がりが発生した場合、COM選択回路40のラッチ回路42は、ラッチ信号LTの立ち上がりに同期して、WSHデータ(WSH1〜WSH180)及びWSLデータ(WSL1〜WSL180)をラッチし、ラッチ信号LTの立ち下がりが発生する時刻T4に各WSHデータ(WSH1〜WSH180)及びWSLデータ(WSL1〜WSL180)を一括してCOM選択スイッチ回路CSW1〜CSW180に出力する。ここでは、図16に示すように、(WSH1、WSL1)=(0、1)のデータがCOM選択スイッチ回路CSW1に入力され、(WSH2、WSL2)=(0、1)のデータがCOM選択スイッチ回路CSW2に入力され、以下同様に、(WSH180、WSL180)=(0、1)のデータがCOM選択スイッチ回路CSW180に入力されたものとする。つまり、COM選択スイッチ回路CSW1〜CSW180は、駆動信号COM2を選択し、駆動信号V1〜V180をスイッチング回路40に出力する。なお、駆動波形番号「0」に該当する駆動波形データから生成されたCOM1〜COM4は、図16に示すようにグランドレベルより少し高い電圧値を有するフラットな波形であるものとする。このような駆動波形番号「0」に該当する駆動波形データから生成されたCOM1〜COM4は、本液滴吐出装置IJの電源投入時などにおいて、各圧電素子PZ1〜PZ180を待機状態に遷移させるためのものであり、液滴が吐出されないレベルの電圧値に設定されている。
【0221】
一方、時刻T3において、スイッチング回路50のラッチ回路52は、ラッチ信号LTの立ち上がりに同期して、SIHデータ(SIH1〜SIH180)及びSILデータ(SIL1〜SIL180)をラッチし、ラッチ信号LTの立ち下がりが発生する時刻T4に、各SIHデータ(SIH1〜SIH180)及びSILデータ(SIL1〜SIL180)を一括して論理和回路OR1〜OR180に出力する。ここでは、図16に示すように、(SIH1、SIL1)=(0、1)のデータが論理和回路OR1に入力され、(SIH2、SIL2)=(0、1)のデータが論理和回路OR2に入力され、以下同様に、(SIH180、SIL180)=(0、1)のデータが論理和回路OR180に入力されたものとする。つまり、各論理和回路OR1〜OR180は、ハイレベルのスイッチング信号S1〜S180をレベルシフタ回路53に出力し、レベルシフタ回路53は各スイッチング信号S1〜S180を増幅して各スイッチング素子SW1〜SW180に出力する。
【0222】
上述したように、時刻T4において、各スイッチング素子SW1〜SW180にハイレベルのスイッチング信号S1〜S180が入力されることにより、各スイッチング素子SW1〜SW180はオン状態となり、COM選択回路40から供給される駆動信号V1〜V180を、それぞれに対応する圧電素子PZ1〜PZ180に出力する。これにより、各圧電素子PZ1〜PZ180には待機状態に遷移し、液滴吐出の準備が完了する。
【0223】
一方、時刻T5において、制御装置11は、次の吐出データSIA及びCOM選択データSIBの記憶先アドレスを示す描画データアドレス信号AD1と、データ読み出し要求を示す描画データライトイネーブル信号WE1、チップセレクタ信号CS1及びアウトプットイネーブル信号OE1とを駆動回路基板30の描画データメモリ32に出力する。ここで、次の吐出データSIA及びCOM選択データSIBとは、液滴吐出ヘッド5の現在位置で液滴を吐出するためのデータである。これにより、液滴吐出ヘッド5の現在位置に対応する吐出データSIAが液滴吐出ヘッド5のスイッチング回路50(具体的にはシフトレジスタ回路51)に出力され、COM選択データSIBは液滴吐出ヘッド5のCOM選択回路40(具体的にはシフトレジスタ回路41)に出力される。また、この時のCOM選択データSIBに含まれる駆動波形番号データWNは、アドレス変換回路33に出力される。ここでは、駆動波形番号「1」が指定されたものとする。
【0224】
そして、時刻T5において、吐出データSIAがスイッチング回路50のシフトレジスタ回路51に出力され、COM選択データSIBがCOM選択回路40のシフトレジスタ回路41に出力される。シフトレジスタ回路51は、時刻T5からT6までの期間、クロック信号CLKに同期してシリアルデータである吐出データSIAをパラレル変換してラッチ回路52に順次出力する。ここで、時刻T5からT6までの期間において、図17で説明したような動作により、第1のD/Aコンバータ36から、駆動波形番号「1」に対応する1波形分の駆動信号COM1が液滴吐出ヘッド5のCOM選択回路40に出力され、第2のD/Aコンバータ37から、駆動波形番号「1」に対応する1波形分の駆動信号COM2が液滴吐出ヘッド5のCOM選択回路40に出力され、第3のD/Aコンバータ38から、駆動波形番号「1」に対応する1波形分の駆動信号COM3が液滴吐出ヘッド5のCOM選択回路40に出力され、第4のD/Aコンバータ39から、駆動波形番号「1」に対応する1波形分の駆動信号COM4が液滴吐出ヘッド5のCOM選択回路40に出力される。
【0225】
そして、時刻T7においてラッチ信号LTの立ち上がりが発生すると、COM選択回路40のラッチ回路42は、ラッチ信号LTの立ち上がりに同期して、WSHデータ(WSH1〜WSH180)及びWSLデータ(WSL1〜WSL180)をラッチし、ラッチ信号LTの立ち下がりが発生する時刻T8に各WSHデータ(WSH1〜WSH180)及びWSLデータ(WSL1〜WSL180)を一括してCOM選択スイッチ回路CSW1〜CSW180に出力する。ここでは、図16に示すように、(WSH1、WSL1)=(1、0)のデータがCOM選択スイッチ回路CSW1に入力され、(WSH2、WSL2)=(1、0)のデータがCOM選択スイッチ回路CSW2に入力され、(WSH180、WSL180)=(0、0)のデータがCOM選択スイッチ回路CSW180に入力されたものとする。つまり、COM選択スイッチ回路CSW1及びCSW2は駆動信号COM3を選択し、COM選択スイッチ回路CSW180は駆動信号COM1を選択して、それぞれ駆動信号V1〜V180をスイッチング回路40に出力する。
【0226】
一方、時刻T7において、スイッチング回路50のラッチ回路52は、ラッチ信号LTの立ち上がりに同期して、SIHデータ(SIH1〜SIH180)及びSILデータ(SIL1〜SIL180)をラッチし、ラッチ信号LTの立ち下がりが発生する時刻T8に、各SIHデータ(SIH1〜SIH180)及びSILデータ(SIL1〜SIL180)を一括して論理和回路OR1〜OR180に出力する。ここでは、図16に示すように、(SIH1、SIL1)=(1、0)のデータが論理和回路OR1に入力され、(SIH2、SIL2)=(1、0)のデータが論理和回路OR2に入力され、以下同様に、(SIH180、SIL180)=(1、0)のデータが論理和回路OR180に入力されたものとする。つまり、各論理和回路OR1〜OR180は、ハイレベルのスイッチング信号S1〜S180をレベルシフタ回路53に出力し、レベルシフタ回路53は各スイッチング信号S1〜S180を増幅して各スイッチング素子SW1〜SW180に出力する。
【0227】
上述したように、時刻T8において、各スイッチング素子SW1〜SW180にハイレベルのスイッチング信号S1〜S180が入力されることにより、各スイッチング素子SW1〜SW180はオン状態となり、COM選択回路40から供給される駆動信号V1〜V180を、それぞれに対応する圧電素子PZ1〜PZ180に出力する。これにより、圧電素子PZ1及びPZ2にはCOM3の駆動信号が供給され、圧電素子PZ180にはCOM1の駆動信号が供給され、それぞれの駆動信号に応じた重量の液滴がカラーフィルタ基板P上に吐出される。以上のような動作をカラーフィルタ基板P上の全ての位置に対して繰り返すことにより、カラーフィルタ基板P上の全画素にカラーフィルタ層が形成される。
【0228】
なお、時刻T9では、(SIH1、SIL1)=(0、0)のデータが論理和回路OR1に入力され、(SIH2、SIL2)=(0、0)のデータが論理和回路OR2に入力され、以下同様に、(SIH180、SIL180)=(0、0)のデータが論理和回路OR180に入力されるため、スイッチング信号S1〜S180は全てローレベルとなり、各スイッチング素子SW1〜SW180はオフ状態となる。従って、この場合、駆動信号COM1〜COM4は液滴吐出ヘッド5に供給されるが、各圧電素子PZ1〜PZ180に対する駆動信号V1〜V180は供給されない。
【0229】
液滴吐出ヘッド5では、このようにして調整された駆動波形を用いて、1滴ごとに吐出量が調節された液滴をカラーフィルタ基板P上に吐出する。各ノズルの吐出位置はビットマップデータによって設定されており、液滴吐出ヘッド5はこのビットマップデータに基づいて、予め設定された吐出パターンで液滴を吐出しながら主走査及び副走査を繰り返す。これにより、カラーフィルタ基板Pの全面に、バラツキの少ない均一な膜厚のカラーフィルタが形成される。
【0230】
以上説明したように、本実施形態の液滴吐出装置IJによれば、液滴吐出ヘッド5におけるノズルの吐出特性に基づいて予め設定されたCOM選択データSIBに基づいて、圧電素子毎に、駆動信号COM1〜COM4の中から1つを選択して供給するので、液滴吐出量のバラツキを抑制し、均一な膜層を形成することが可能である。
【0231】
また、各駆動信号COM1〜COM4に割り当てる波形データの組み合わせを複数記憶しておくことにより、各駆動信号COM1〜COM4の波形(電圧値)を、液滴吐出ヘッド5毎の吐出特性に応じて任意に可変することができる。さらに、ノズルデューティに応じた駆動信号を各圧電素子に供給するので、電気的なクロストークの影響による液滴吐出量のバラツキを抑制することができる。
【0232】
また、液滴吐出ヘッド5の副走査方向の移動距離を区画領域PX1の副走査方向における配置間隔GPの整数倍としたため、第1パネル領域PA1に関しては、ノズルNと区画領域PX1との空間的な配置が常に等しくなり、吐出パターンが変化することがない。そのため、吐出量測定装置13で測定するノズルNの吐出特性は、液滴吐出ヘッド5毎に1種類の吐出パターンのみでよく、測定時間の短縮化が図られると共に駆動制御も容易となる。また、実際に吐出走査で用いる吐出パターンの吐出特性に基づいて吐出量の調整を行うため、吐出量の均一性が非常に高くなる。
【0233】
一方、第2パネル領域PA2においては、液滴吐出ヘッド5の副走査方向の移動距離は必ずしも区画領域PX2の副走査方向における配置間隔の整数倍とはならないため、一般的には、ノズルNと区画領域PX2との空間的な配置が1主走査毎に変化し、それに応じて吐出パターンも変化する。そのため、本実施形態では、第2パネル領域PA2に液滴を吐出する場合には、複数のノズルNのうち区画領域PX2と重なるノズルを1主走査毎に選択し、選択したノズルから液滴を吐出させると共に、選択され得る全てのノズルの組み合わせ(吐出パターン)について予め測定された、各組み合わせにおける平均的な液滴の吐出量の分布Qtに基づいて、複数のノズルNから吐出される液滴の吐出量が所定の適正量に近づくように複数の駆動素子PZの駆動波形を制御している。この方法によれば、吐出ノズルと非吐出ノズルとの組み合わせである吐出パターンは1主走査毎に異なるものの、予め測定するノズルの吐出特性は1つのみで良く(吐出特性Qt)、従って、全ての吐出パターン毎に吐出特性を測定し、その吐出特性に基づいて各駆動素子PZの駆動波形を吐出パターン毎に求める場合に比べて、駆動制御が容易となる。
【0234】
ここで、吐出量の分布Qtの測定で用いる複数のノズルの組み合わせ(例えば、図7の吐出パターンPat1〜Pat3)は、いずれも実際の吐出に用いるノズルの組み合わせである。そのため、実際の吐出に用いる吐出パターンの吐出量の分布(例えば、図7の吐出量の分布Q1〜Q3)に近似した分布が得られる。よって、このような吐出量の分布Qtに基づいて各ノズルNの吐出量を調節した場合には、実際の吐出に用いる吐出パターンの吐出量の分布に基づいて吐出量を調節した場合に比べて吐出量の均一性が大きく損なわれることはない。
【0235】
なお、上記の実施形態では、1つの液滴吐出ヘッド5とそれに対応する1つの駆動回路基板30を例示して説明したが、これら液滴吐出ヘッド5及び駆動回路基板30が複数であっても同様な構成、動作を採用することができる。また、駆動素子として圧電素子を例示して説明したが、これに限らず、駆動信号に応じてキャビティ24の容積を変化させて液滴を吐出することが可能な素子ならば他の駆動素子を使用しても良い。また、上記実施形態では、4種類の駆動信号COM1〜COM4を使用する場合を例示して説明したが、装置コストや駆動回路基板30のサイズなどの設計条件に応じて、さらに複数種類の駆動信号を使用しても良い。
【符号の説明】
【0236】
5…液滴吐出ヘッド、11…制御装置(制御手段)、13…吐出量測定装置、16…シート部材(記録媒体)、17…撮像装置、30…駆動回路基板(制御手段)、32…描画データメモリ(第1の記憶手段)、34,35…駆動波形メモリ(第2の記憶手段)、36〜39…D/Aコンバータ(駆動信号生成手段)、40…COM選択回路(駆動信号選択手段)、50…スイッチング回路(供給切替手段)、GP…区画領域の配置間隔、IJ…液滴吐出装置、L…液滴、N1〜N180…ノズル、P…カラーフィルタ基板、PX…区画領域、PZ,PZ1〜PZ180…圧電素子(駆動素子)、Q1〜Q4…ノズルの吐出特性、Qt…複数の吐出パターンについての平均的な吐出量の分布、SIA…吐出データ、SIB…COM選択データ(駆動信号選択データ)
【技術分野】
【0001】
本発明は、液滴吐出装置、薄膜形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、液滴吐出装置を用いた薄膜形成技術が知られている。液滴吐出装置で形成される薄膜の代表的な例は、カラーフィルタや有機ELパネルの発光層である。液滴吐出装置を用いた薄膜形成技術では、用いる液滴吐出ヘッドの解像度に応じて微小な液滴を所望の位置に塗布することができる。そのため、凸版印刷等の他の印刷技術に比べて、微細なパターンの形成が可能である。例えば、カラーフィルタ基板に、赤、緑、青のカラーフィルタを形成する場合には、赤、緑、青の着色材料を含む溶液を微小ノズルから基板上に吐出し、これを乾燥、固化することによりカラーフィルタを形成することができる(例えば、特許文献1,2参照)。
【0003】
また、最近では、一つの大型基板上に複数機種のカラーフィルタ(パネル領域)を形成し、それを機種毎に分割して複数機種のカラーフィルタ基板を作製する方法が開発されている。この方法では、複数機種のカラーフィルタ基板を一つの液滴吐出装置で作製することができるため、機種毎に別々の液滴吐出装置を用意する場合に比べて、設備投資を少なくすることができる。また、各パネル領域の配置を工夫することによって、基板上の無駄なスペースを減らすことができるので、部材の利用効率を向上することが可能である。
【0004】
ここで、図18(b)に示すように、基板301の表面に設定される複数の画素領域PXに、ドット状に配列された複数のカラーフィルタ303を液滴吐出法に基づいて形成する場合を考える。この場合、例えば、複数のノズル304を列状に配列してなるノズル列305を有する液滴吐出ヘッド306を、矢印A1及び矢印A2で示すように複数回(図18(b)では2回)主走査させながら、それらの主走査の間に複数のノズル304から選択的にインクすなわちカラーフィルタ材料を吐出することによって所望の位置にカラーフィルタ303を形成する。
【0005】
カラーフィルタ303は、R,G,B等の各色をストライプ配列、デルタ配列、モザイク配列等といった適宜の配列形態で配列することによって形成されるものである。インクの吐出工程では、図に示すように、R,G,Bの単色を吐出する液滴吐出ヘッド306をR,G,B等の3色分だけ予め設けておいて、それらの液滴吐出ヘッド306を順々に用いて1つの基板301上にR,G,B等の3色配列を形成する。
【0006】
ところで、液滴吐出ヘッド306に関しては、ノズル列305を構成する各ノズル304の間でインクの吐出量にバラツキが生じており、一般に、図18(a)に示すように、ノズル列305の両端部に対応する位置の吐出量が多く、その中央部がその次に多く、それらの中間部の吐出量が少ないといった吐出特性(吐出量の分布)Qを示す。
【0007】
このため、液滴吐出ヘッド306によってカラーフィルタ303を所定の厚みに形成する場合には、ノズル列305を構成する各ノズル304のインク吐出量のバラツキに起因して、液滴吐出ヘッド306の主走査方向と直交する副走査方向に並ぶ複数のカラーフィルタ303の間で、インクの配置量(膜厚)にバラツキが生じることになる。この場合、例えばノズル列305の端部に対応する位置P1又は中央部P2、或いはP1及びP2の両方に濃度の濃いスジムラ(配置ムラ)が形成されてしまうため、カラーフィルタの平面的な光透過特性が不均一になるといった問題が発生してしまう。また、このようなスジ状の配置ムラは視認されやすく、カラーフィルタ303を介して表示される画像の画質を低下させる原因ともなる。
【0008】
そこで、特許文献1では、ノズル列305を複数のグループに分け、各ノズル304から吐出されるインクの吐出量をグループ毎に制御する方法が提案されている。この方法によれば、各ノズル304の吐出量をノズル304毎ではなくグループ毎に調整するので、補正値の選定作業や回路構成を簡略化しつつ、ノズル304間でインクの吐出量を均一化することができる。
【0009】
一方、液滴吐出ヘッド306における吐出量のバラツキは、1主走査毎の吐出パターンの変化によっても発生する。吐出パターンとは、1つの液滴吐出ヘッド306に設けられる複数のノズル304のうち、吐出を行うノズル(吐出ノズル)と吐出を行わないノズル(非吐出ノズル)との組み合わせをいう。
【0010】
例えば、基板301の画素領域PXのみにインクを吐出する場合、画素領域と重なるノズル304を使用し、非画素領域と重なるノズル304は使用しないため、副走査方向に液滴吐出ヘッド306を移動すると、ノズル304と画素領域との空間的な配置がずれてしまい、吐出ノズルと非吐出ノズルとの組み合わせ、すなわち吐出パターンが変わってしまう。
【0011】
副走査を行ったときにノズル304と画素領域PXとの空間的な配置がずれてしまうのは、副走査の移動距離が、液滴吐出ヘッド306のノズル間の間隔を基準として行われるためである。すなわち、副走査はノズル間の間隔の整数倍の距離で行われるように設計されているが、副走査をノズル間の間隔の整数倍とした場合、一般的には、画素領域PXの配置間隔はノズル間の間隔の整数倍とはならないので、ノズル304と画素領域PXとの空間的な配置は1主走査毎に異なったものとなる。そのため、副走査前の主走査では画素領域PX内に配置されていたノズルが、副走査後の主走査では画素間の領域(非画素領域)に配置される場合が生じ、それにより、吐出パターンが異なったものとなるのである。
【0012】
吐出パターンが変化すると、各ノズル304の吐出特性Qも変化する。この吐出特性Qの変化は、液滴吐出ヘッド306の構造的なクロストークおよび電気的なクロストークに起因している。すなわち、ノズル304の駆動による機械的な振動やインクを介した圧力伝達、及びノズル304に供給される駆動信号の歪み(オーバーシュートやアンダーシュート)によって、近接するノズル304の吐出量が変動するのである。
【0013】
このような問題を解決するために、特許文献2では、吐出ノズル数の割合(吐出ノズル数/全ノズル数)、すなわちノズルデューティに応じて、各ノズル304の駆動素子に供給する駆動波形を補正する方法が提案されている。この方法によれば、ノズル304に供給される駆動信号の歪みによって、近接するノズル304の吐出量が変動すること(電気的なクロストーク)を防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2002−196127号公報
【特許文献2】特開2006−289765号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、特許文献2の方法では、駆動信号の歪みによる吐出量の変動(電気的なクロストーク)は防止できるものの、ノズル304の駆動による機械的な振動或いはインクを介した圧力伝達等による吐出量の変動(構造的なクロストーク)は防止することができない。吐出パターン自体の変化を防止できないからである。
【0016】
そのため、考えうる全ての吐出パターンについて吐出特性Qを測定し、1主走査毎にこの吐出特性Qに基づいた駆動波形の調整を行うことが考えられるが、この方法では、吐出パターンの組み合わせが膨大になり、測定時間が長くかかると共に、制御が非常に複雑になるという問題がある。
【0017】
また、代表的な吐出パターン(例えば、全てのノズル304からインクを吐出する吐出パターン)を選択し、その吐出パターンにおける吐出特性Qに基づいて全ての吐出パターンの吐出量を調節することも考えられるが、この方法では、代表的な吐出パターンの吐出特性と実際の吐出パターンの吐出特性とが大きく異なる場合に、インクの吐出量が均一にならないという問題がある。
【0018】
また、同一基板上に複数機種のカラーフィルタを形成する場合には、機種毎に画素ピッチが異なるため、機種毎に吐出パターンが大きく変化する可能がある。例えば、小型の液晶パネルのカラーフィルタでは、大型液晶パネル用のカラーフィルタと比較して、画素の開口率が小さくなるため、非画素領域に配置されるノズルの割合が大きくなる。そのため、吐出パターンの変化による構造的なクロストークに加え、ノズルデューティの変化による電気的なクロストークも大きくなり、吐出量の制御が更に複雑化する。
【0019】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、簡易な構成でノズル間の液滴の吐出量のバラツキを抑制することのできる液滴吐出装置及び薄膜形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記の課題を解決するため、本発明の液滴吐出装置は、液滴を吐出する複数のノズルと、前記複数のノズルに対応して設けられた複数の駆動素子とを有する液滴吐出ヘッドを備え、前記液滴吐出ヘッドを基板上の第1方向及び該第1方向と直交する第2方向にそれぞれ所定の移動間隔で主走査及び副走査しながら前記複数のノズルから所定のタイミングで液滴を吐出することにより、前記基板上の前記第1方向及び前記第2方向に所定の間隔で配置された複数の区画領域に対してそれぞれ液滴を吐出する液滴吐出装置であって、前記複数のノズルからの液滴の吐出動作を制御すると共に、予め測定された前記複数のノズルからの液滴の吐出量の分布に基づいて、各ノズルから吐出される液滴の吐出量が所定の適正量に近づくように前記複数の駆動素子の駆動波形を制御する制御手段と、を備え、前記基板上には、前記第1方向に第1間隔で配列された複数の第1区画領域からなる第1吐出領域と、前記第1方向に前記第1間隔とは異なる第2間隔で配列された複数の第2区画領域からなる第2吐出領域とが設けられ、前記液滴吐出ヘッドの前記第2方向への移動間隔は前記第1間隔の整数倍とされ、前記制御手段は、前記第1区画領域に対して液滴を吐出するときには、前記複数のノズルのうち1主走査毎に選択されうる特定のノズルについて予め測定された前記液滴の吐出量の分布に基づいて、前記特定のノズルから吐出される液滴の吐出量が前記所定の適正量に近づくように前記特定のノズルに対応する前記駆動素子の駆動波形を制御し、前記第2区画領域に対して液滴を吐出するときには、前記複数のノズルのうち1主走査毎に選択され得る全てのノズルの組み合わせについて予め測定された、各組み合わせにおける平均的な液滴の吐出量の分布に基づいて、前記複数のノズルから吐出される液滴の吐出量が前記所定の適正量に近づくように前記複数の駆動素子の駆動波形を制御することを特徴とする。
【0021】
この構成によれば、ノズルの吐出特性(吐出量の分布)に基づいてノズル毎に吐出量を調節しているので、ノズルの吐出特性に起因する液滴吐出量のバラツキを抑制し、均一な膜層を形成することが可能となる。この場合、1主走査毎に吐出パターンが異なると、吐出パターン毎にノズルの吐出特性を調べなければならないが、本発明の液滴吐出装置では、第1吐出領域については、液滴吐出ヘッドの副走査方向の移動距離が第1区画領域の副走査方向における配置間隔の整数倍であるため、ノズルと第1区画領域との空間的な配置が常に等しくなり、吐出パターンが変化することがない。すなわち、液滴吐出ヘッドに備えられる複数のノズルのうち、複数の第1区画領域と重なる部分のノズルの組み合わせ(すなわち吐出ノズルと非吐出ノズルとの組み合わせ)が常に一定である。そのため、予め測定するノズルの吐出特性は、液滴吐出ヘッド毎に1種類の吐出パターンのみでよく、測定時間の短縮化が図られると共に駆動制御も容易となる。また、実際の吐出に用いる吐出パターンの吐出特性に基づいて吐出量の制御を行うため、吐出量の均一性が非常に高くなる。
【0022】
一方、第2吐出領域においては、液滴吐出ヘッドの副走査方向の移動距離は必ずしも第2区画領域の副走査方向における配置間隔の整数倍とはならないため、一般的には、ノズルと第2区画領域との空間的な配置が1主走査毎に変化し、それに応じて吐出パターンも変化する。そのため、本発明では、第2吐出領域に液滴を吐出する場合には、複数のノズルのうち第2区画領域と重なるノズルを1主走査毎に選択し、選択したノズルから液滴を吐出させると共に、選択され得る全てのノズルの組み合わせについて予め測定された、各組み合わせにおける平均的な液滴の吐出量の分布に基づいて、複数のノズルから吐出される液滴の吐出量が前記所定の適正量に近づくように複数の駆動素子の駆動波形を制御している。この方法によれば、吐出ノズルと非吐出ノズルとの組み合わせである吐出パターンは1主走査毎に異なるものの、予め測定するノズルの吐出特性は1つのみで良く、従って、全ての吐出パターン毎に吐出特性を測定し、その吐出特性に基づいて各駆動素子の駆動波形を吐出パターン毎に求める場合に比べて、駆動制御が容易となる。
【0023】
ここで、各組み合わせにおける平均的な液滴の吐出量の分布を測定する方法としては、例えば、選択され得る全てのノズルの組み合わせについて吐出量の分布を測定し、それらの分布を加算平均して算出する方法が挙げられる。また、同一記録媒体上に、各組み合わせに係る複数のノズルから液滴を重ねて吐出し、その総量をノズル毎に算出し、その総量を液滴の着弾数で除した値を加算平均とし、この加算平均をノズル毎に算出することによっても加算平均の分布を求める方法でも良い。例えば、第1の組み合わせに係る複数のノズルから液滴を吐出した後、第2の組み合わせに係る複数のノズルから液滴を重ねて吐出し、それらの総量の平均(加算平均)をノズル毎に測定し、各ノズルの吐出量の分布とするという方法である。
【0024】
このような方法で各ノズルの吐出量の分布を求めた場合、吐出量の分布の測定で用いる複数のノズルの組み合わせは、いずれも実際の吐出に用いるノズルの組み合わせである。そのため、実際の吐出に用いる吐出パターンの吐出量の分布に近似した分布が得られる。よって、このような吐出量の分布に基づいて各ノズルの吐出量を調節した場合には、実際の吐出に用いる吐出パターンの吐出量の分布に基づいて吐出量を調節した場合に比べて吐出量の均一性が大きく損なわれることはない。
【0025】
本発明においては、前記複数のノズルから液滴が吐出される記録媒体と、前記記録媒体上に吐出された前記液滴の画像を撮像する撮像装置と、を有する吐出量測定装置を備え、前記制御手段は、前記撮像装置によって撮像された液滴の画像を画像処理し、前記液滴の前記記録媒体上の着弾面積を求め、前記着弾面積に基づいて前記複数のノズルから吐出された液滴の吐出量の分布を求めることが望ましい。
【0026】
この構成によれば、複数のノズルから吐出される液滴の吐出量を同時に測定することができるため、例えば、電子天秤を用いて1ノズル毎に吐出量の測定を行う従来の測定方法に比べて、測定に要する時間を大幅に短縮することができる。
【0027】
本発明においては、前記記録媒体は、顔料をバインダーで結着させた多孔質のインク受容層を有する可撓性のシート部材であり、前記吐出量測定装置は、前記記録媒体を供給する供給リールと、前記供給リールから供給された前記記録媒体を巻き取る巻き取りリールと、を備えていることが望ましい。
【0028】
この構成によれば、記録媒体として一般に普及している写真印刷用のロール紙を用いることができるため、低コストで手軽に吐出量の測定を行うことができる。また、記録媒体を供給リールと巻き取りリールによって供給・排出するようにしたため、測定毎に常に新しい記録媒体を用いて高精度な測定を行うことができる。この場合、シート部材は消耗品となるが、本発明の液滴吐出装置では、吐出量の測定は液滴吐出ヘッド毎に定まる単一の吐出パターンに対して行えばよいので、測定に要するシート部材の量を少なくすることができ、コストの増大は最小限に抑えることができる。
【0029】
本発明においては、前記制御手段は、前記駆動素子毎に複数種類の駆動信号の中から1つを選択して供給する駆動信号選択手段と、前記駆動素子と当該駆動素子に供給する駆動信号の種類との対応関係を示す駆動信号選択データを記憶する第1の記憶手段と、前記複数種類の駆動信号の波形データを記憶する第2の記憶手段と、前記第2の記憶手段から前記複数種類の駆動信号の波形データを取得し、当該波形データに基づいて前記複数種類の駆動信号を生成する駆動信号生成手段と、を備え、前記駆動信号選択手段は、前記第1の記憶手段に記憶されている前記駆動信号選択データに基づいて、各駆動素子に供給する駆動信号の種類を前記駆動信号生成手段が生成した駆動信号の中から選択することが望ましい。
【0030】
この構成によれば、駆動信号選択データ及び駆動信号の波形データの追加、削除、変更を自由に行うことができ、これらデータの管理が容易となる。また、汎用的な装置構成で液滴吐出ヘッドの個体差に対応することができる。
【0031】
本発明においては、前記第1の記憶手段は、前記駆動素子と当該駆動素子に駆動信号を供給するか否かを規定する情報との対応関係を示す吐出データを記憶し、前記吐出データに基づいて、前記駆動素子毎に、前記駆動信号選択手段によって選択した駆動信号の供給または非供給を切り替える供給切替手段を備えることが望ましい。
【0032】
この構成によれば、駆動信号選択データと同様に吐出データの追加、削除、変更を自由に行うことができ、これらデータの管理が容易になる。
【0033】
本発明においては、前記駆動信号選択手段及び供給切替手段を前記液滴吐出ヘッドに設け、前記第1の記憶手段、前記第2の記憶手段及び前記駆動信号生成手段が設けられた駆動回路基板を備えることが望ましい。
【0034】
この構成によれば、液滴吐出ヘッドの交換や駆動回路基板の交換、または使用部品の交換などが容易となり、メンテナンス性の向上を図ることができる。
【0035】
本発明においては、前記駆動信号の種類は4種類であることが望ましい。
このように駆動信号を4種類の中から選択した場合であっても、各ノズルの吐出特性のバラツキに起因する液滴吐出量のバラツキを目標レベルまで低減することができるので、必要最小限の部品点数及びコストに抑えることができる。
【0036】
本発明においては、前記駆動素子は圧電素子であることが望ましい。
このように圧電素子を使用することにより、駆動信号に応じた量の液滴を高精度に吐出することができる。
【0037】
本発明の薄膜形成方法は、液滴を吐出する複数のノズルと、前記複数のノズルに対応して設けられた複数の駆動素子とを有する液滴吐出ヘッドを用い、前記液滴吐出ヘッドを基板上の第1方向及び該第1方向と直交する第2方向にそれぞれ所定の移動間隔で主走査及び副走査しながら前記複数のノズルから所定のタイミングで液滴を吐出することにより、前記基板上の前記第1方向及び前記第2方向に所定の間隔で配置された複数の区画領域に対してそれぞれ液滴を吐出する工程を含む薄膜形成方法であって、前記基板上には、前記第1方向に第1間隔で配列された複数の第1区画領域からなる第1吐出領域と、前記第1方向に前記第1間隔とは異なる第2間隔で配列された複数の第2区画領域からなる第2吐出領域とが設けられ、前記液滴吐出ヘッドの前記第2方向への移動間隔は前記第1間隔の整数倍とされ、前記第1区画領域に対して液滴を吐出するときには、前記複数のノズルのうち1主走査毎に選択されうる特定のノズルについて予め測定された前記液滴の吐出量の分布に基づいて、前記特定のノズルから吐出される液滴の吐出量が前記所定の適正量に近づくように前記特定のノズルに対応する前記駆動素子の駆動波形を制御し、前記第2区画領域に対して液滴を吐出するときには、前記複数のノズルのうち1主走査毎に選択され得る全てのノズルの組み合わせについて予め測定された、各組み合わせにおける平均的な液滴の吐出量の分布に基づいて、前記複数のノズルから吐出される液滴の吐出量が前記所定の適正量に近づくように前記複数の駆動素子の駆動波形を制御することを特徴とする。
【0038】
この方法によれば、ノズルの吐出特性(吐出量の分布)に基づいてノズル毎に吐出量を調節しているので、ノズルの吐出特性に起因する液滴吐出量のバラツキを抑制し、均一な膜層を形成することが可能となる。この場合、1主走査毎に吐出パターンが異なると、吐出パターン毎にノズルの吐出特性を調べなければならないが、本発明の液滴吐出装置では、第1吐出領域については、液滴吐出ヘッドの副走査方向の移動距離が第1区画領域の副走査方向における配置間隔の整数倍であるため、ノズルと第1区画領域との空間的な配置が常に等しくなり、吐出パターンが変化することがない。すなわち、液滴吐出ヘッドに備えられる複数のノズルのうち、複数の第1区画領域と重なる部分のノズルの組み合わせ(すなわち吐出ノズルと非吐出ノズルとの組み合わせ)が常に一定である。そのため、予め測定するノズルの吐出特性は、液滴吐出ヘッド毎に1種類の吐出パターンのみでよく、測定時間の短縮化が図られると共に駆動制御も容易となる。また、実際の吐出に用いる吐出パターンの吐出特性に基づいて吐出量の制御を行うため、吐出量の均一性が非常に高くなる。
【0039】
一方、第2吐出領域においては、液滴吐出ヘッドの副走査方向の移動距離は必ずしも第2区画領域の副走査方向における配置間隔の整数倍とはならないため、一般的には、ノズルと第2区画領域との空間的な配置が1主走査毎に変化し、それに応じて吐出パターンも変化する。そのため、本発明では、第2吐出領域に液滴を吐出する場合には、複数のノズルのうち第2区画領域と重なるノズルを1主走査毎に選択し、選択したノズルから液滴を吐出させると共に、選択され得る全てのノズルの組み合わせについて予め測定された、各組み合わせにおける平均的な液滴の吐出量の分布に基づいて、複数のノズルから吐出される液滴の吐出量が前記所定の適正量に近づくように複数の駆動素子の駆動波形を制御している。この方法によれば、吐出ノズルと非吐出ノズルとの組み合わせである吐出パターンは1主走査毎に異なるものの、予め測定するノズルの吐出特性は1つのみで良く、従って、全ての吐出パターン毎に吐出特性を測定し、その吐出特性に基づいて各駆動素子の駆動波形を吐出パターン毎に求める場合に比べて、駆動制御が容易となる。
【0040】
本発明においては、前記液滴の吐出量の分布は、前記液滴吐出ヘッドから記録媒体上に液滴を吐出し、前記記録媒体上に着弾した液滴の画像を撮像装置によって撮像し、前記撮像装置によって撮像された前記液滴の画像から前記記録媒体上の前記液滴の着弾面積を測定し、前記着弾面積に基づいて前記液滴の吐出量を算出することにより求められることが望ましい。
【0041】
この方法によれば、複数のノズルから吐出される液滴の吐出量を同時に測定することができるため、例えば、電子天秤を用いて1ノズル毎に吐出量の測定を行う従来の測定方法に比べて、測定に要する時間を大幅に短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】液滴吐出装置の概略構成図である。
【図2】液滴吐出装置に備えられる液滴吐出ヘッドの詳細説明図である。
【図3】複数の液滴吐出ヘッドの配置例及び動作例を説明する平面図である。
【図4】液滴吐出ヘッドの吐出動作を説明する平面図である。
【図5】パネル領域の全域に液滴吐出ヘッドを走査する場合の走査方法の説明図である。
【図6】ノズルデューティが異なる場合の駆動電圧の調整方法の説明図である。
【図7】複数の吐出パターンについての平均的な吐出量の分布を測定する方法の説明図である。
【図8】液滴吐出装置の電気的な構成を示すブロック図である。
【図9】液滴吐出ヘッドとその駆動回路基板の回路構成図である。
【図10】ノズルの吐出特性を示すグラフである。
【図11】各ノズルの駆動波形の設定方法を説明するフローチャートである。
【図12】各ノズルに設定される駆動波形の一例を示す説明図である。
【図13】各ノズルの駆動波形の設定方法を説明するフローチャートである。
【図14】COM選択回路40の詳細説明図である。
【図15】スイッチング回路50の詳細説明図である。
【図16】液滴吐出装置IJの動作を示す第1のタイミングチャートである。
【図17】液滴吐出装置IJの動作を示す第2のタイミングチャートである。
【図18】従来の液滴吐出工程を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態を説明する。以下の説明においては、図1中に示されたXYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材について説明する。XYZ直交座標系は、X軸及びY軸がワークステージ2に対して平行となるよう設定され、Z軸がワークステージ2に対して直交する方向に設定されている。図1中のXYZ座標系は、実際にはXY平面が水平面に平行な面に設定され、Z軸が鉛直上方向に設定される。
【0044】
図1は本発明の一実施形態における液滴吐出装置IJの概略構成図である。本実施形態の液滴吐出装置IJは、インクジェット方式によりカラーフィルタ基板(吐出対象物)上にカラーフィルタ材料の液滴を吐出してカラーフィルタ層を形成する装置である。
【0045】
液滴吐出装置IJは、装置架台1、ワークステージ2、ステージ移動装置3、キャリッジ4、液滴吐出ヘッド5、キャリッジ移動装置6、チューブ7、第1タンク8、第2タンク9、第3タンク10、保守装置12、吐出量測定装置13、及び制御装置(制御手段)11を備えている。
【0046】
装置架台1は、ワークステージ2、保守装置12、測定ステージ17及びステージ移動装置3の支持台である。ワークステージ2は、装置架台1上においてステージ移動装置3によってX軸方向に移動可能に設置されており、上流側の基板供給装置36(図8参照)から搬送されるカラーフィルタ基板Pを、真空吸着機構によりXY平面上に保持する。ステージ移動装置3は、ボールネジまたはリニアガイド等の軸受け機構を備え、制御装置11から入力される、ワークステージ2のX座標を示すステージ位置制御信号に基づいて、ワークステージ2をX軸方向に移動させる。
【0047】
キャリッジ4は、複数の液滴吐出ヘッド5を一体に保持する保持具である。キャリッジ4は、キャリッジ移動装置6によってY軸方向及びZ軸方向に移動可能に設けられている。
【0048】
液滴吐出ヘッド5は、図示略の複数のノズルを備えており、制御装置11から入力される描画データや駆動制御信号に基づいて、カラーフィルタ材料の液滴を吐出する。この液滴吐出ヘッド5は、カラーフィルタ材料のR(赤)、G(緑)、B(青)に対応して設けられており、それぞれの液滴吐出ヘッド5はキャリッジ4を介してチューブ7と連結されている。そして、R(赤)に対応する液滴吐出ヘッド5はチューブ7を介して第1タンク8からR(赤)用のカラーフィルタ材料の供給を受け、G(緑)に対応する液滴吐出ヘッド5はチューブ7を介して第2タンク9からG(緑)用のカラーフィルタ材料の供給を受け、また、B(青)に対応する液滴吐出ヘッド5はチューブ7を介して第3タンク10からB(青)用のカラーフィルタ材料の供給を受けるようになっている。
【0049】
キャリッジ移動装置6は、装置架台1を跨ぐ橋梁構造をしており、Y軸方向及びZ軸方向に対してボールネジまたはリニアガイド等の軸受け機構を備え、制御装置11から入力される、キャリッジ4のY座標及びZ座標を示すキャリッジ位置制御信号に基づいて、キャリッジ4をY軸方向及びZ軸方向に移動させる。
【0050】
チューブ7は、第1タンク8、第2タンク9及び第3タンク10とキャリッジ4(液滴吐出ヘッド5)とを連結するカラーフィルタ材料の供給用チューブである。第1タンク8は、R(赤)用のカラーフィルタ材料を貯蔵すると共に、チューブ7を介してR(赤)に対応する液滴吐出ヘッド5にカラーフィルタ材料を供給する。第2タンク9は、G(緑)用のカラーフィルタ材料を貯蔵すると共に、チューブ7を介してG(緑)に対応する液滴吐出ヘッド5にカラーフィルタ材料を供給する。第3タンク10は、B(青)用のカラーフィルタ材料を貯蔵すると共に、チューブ7を介してB(青)に対応する液滴吐出ヘッド5にカラーフィルタ材料を供給する。
【0051】
保守装置12は、図示略のステージ移動装置によってX軸方向に移動可能な保守ステージと、該保守ステージ上に配置された、クリーニング装置、キャッピング装置、フラッシング装置などを備えている。
【0052】
吐出量測定装置13は、測定ステージ14と、該測定ステージ14上に設けられた帯状のシート部材16を収容するハウジング部材15と、ハウジング部材15から露出したシート部材16の記録面16aを撮像する撮像装置17と、を備えている。
【0053】
測定ステージ14は、装置架台1上においてステージ移動装置3によってX軸方向に移動可能に設置されている。ステージ移動装置3は、制御装置11から入力される、測定ステージ14のX座標を示すステージ位置制御信号に基づいて、測定ステージ14をX軸方向に移動させる。
【0054】
シート部材16は、液滴吐出ヘッド5と対向した状態で、液滴吐出ヘッド5のノズル面に対してY方向(液滴吐出ヘッド5の副走査方向)に相対的に移動可能な記録面16aを有する。ハウジング部材15には、シート部材16と共に、シート部材16の記録面16aを送るための送り機構(図示略)が収容されている。シート部材16の少なくとも一部は、液滴吐出ヘッド5と対向するハウジング部材15の上面に形成された開口部(図示略)より露出しており、液滴吐出ヘッド5のノズル面と対向可能に配置されている。
【0055】
シート部材16は、液滴吐出ヘッド5の各ノズルから吐出された液滴の吐出量及び着弾位置が記録可能な記録媒体(測定部材)である。シート部材5としては、例えばロール紙等の記録紙を用いることができる。
【0056】
本実施形態では、シート部材15として、プラスチックフィルムにインク受容層を設けたシートを用いる。インク受容層は、顔料とバインダーとを複数含んで構成される。顔料はバインダーに包含されている。また、インク受容層は、複数のバインダー52の間に、多数の空隙を有する多孔質構造となっている。
【0057】
インク受容層に使用可能な顔料としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、アルミナ水和物、水酸化アルミニウム、リトポン、ゼオライト、加水ハロサイト、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料が挙げられる。インク受容層中には、これらのうち1種を単独で含有させてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0058】
顔料の結着材としてインク受容層に含有されるバインダーとしては、インクと親和性を有する水溶性あるいは非水溶性の高分子化合物を含有させることができる。水溶性高分子化合物としては、例えば、メチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、及びヒドロキシエチルセルロース等のセルロース系接着剤、澱粉及びその変性物、ゼラチン及びその変性物、カゼイン、プルラン、アラビアゴム、及びアルブミン等の天然高分子樹脂またはこれらの誘導体、ポリビニルアルコール及びその変性物、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリル共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のラテックスやエマルジョン類、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等のビニルポリマー、ポリエチレンイミン、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、及び無水マレイン酸またはその共重合体が挙げられる。
【0059】
非水溶性高分子化合物としては、例えば、エタノール、2−プロパノール等のアルコール類やこれらのアルコール類と水との混合溶媒に溶解する非水溶性接着剤が挙げられる。このような非水溶性接着剤としては、ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール等のアセタール樹脂が挙げられる。
【0060】
送り機構は、例えば、シート部材16を供給する供給リールと、供給リールから供給されたシート部材16を巻き取る巻き取りリールと、これら供給リール及び巻き取りリールを回転させる回転モータ等のアクチュエータとを有し、制御装置11が該アクチュエータを制御することにより、シート部材16を供給リールから巻き取りリールへと送るように構成されている。
【0061】
撮像装置17は、記録面16a上に着弾した液滴の膜を撮像するものである。撮像装置70は、撮像装置移動装置18(図8参照)により測定ステージ14の上方においてY軸方向に移動可能に設けられている。撮像装置17としては、記録面16a上に着弾した液滴の膜を所定の解像度で撮像可能なCCDカメラなどを用いることができる。
【0062】
制御装置11は、ステージ移動装置3にステージ位置制御信号を出力し、キャリッジ移動装置6にキャリッジ位置制御信号を出力すると共に、液滴吐出ヘッド5の駆動回路基板30(図8参照)に描画データ及び駆動制御信号を出力して、液滴吐出ヘッド5による液滴吐出動作、ワークステージ2の移動によるカラーフィルタ基板Pの位置決め動作、キャリッジ4の移動による液滴吐出ヘッド5の位置決め動作の同期制御を行うことにより、カラーフィルタ基板P上の所定の位置にカラーフィルタ材料の液滴を吐出する。
【0063】
吐出量測定装置13で液滴吐出ヘッド5の各ノズルから吐出される液滴の吐出量及び着弾精度を測定する場合には、制御装置11は、ステージ移動装置3にステージ位置制御信号を出力し、キャリッジ移動装置6にキャリッジ位置制御信号を出力すると共に、液滴吐出ヘッド5の駆動回路基板30(図8参照)に測定用の描画データ及び駆動制御信号を出力して、液滴吐出ヘッド5による液滴吐出動作、測定ステージ14の移動によるシート部材16の記録面16aの位置決め動作、キャリッジ4の移動による液滴吐出ヘッド5の位置決め動作の同期制御を行うことにより、シート部材16の記録面16a上の所定の位置にカラーフィルタ材料の液滴を吐出する。
【0064】
また、制御装置11は、撮像装置移動装置18(図8参照)に撮像装置位置制御信号を出力し、撮像装置17を液滴が着弾されたシート部材16の記録面16aの上方に移動する。また、撮像装置駆動装置19(図8参照)に撮像装置駆動制御信号を出力し、撮像装置17による撮像動作を制御することにより、記録面16a上に着弾し乾燥処理により膜化した液滴の膜を撮像し、その画像データを吐出量測定演算部41(図8参照)及びディスプレイ38(図8参照)に出力する。そして、吐出量測定演算部41で画像処理を行うことにより、液滴の着弾精度を測定すると共に、液滴の膜の面積から1滴当たりの液滴の吐出量を測定する。
【0065】
なお、測定が終了したら、液滴が着弾した部分の記録面16aは送り機構によりハウジング部材15の内部に送られ、新しい記録面がハウジング部材15の外部に露出される。
【0066】
図2は液滴吐出ヘッド5の概略構成図である。図2(a)は液滴吐出ヘッド5をワークステージ2側から見た平面図、図2(b)は液滴吐出ヘッド5の部分斜視図、図2(c)は液滴吐出ヘッド5の1ノズル分の部分断面図である。
【0067】
図2(a)に示すように、液滴吐出ヘッド5は、Y軸方向に配列された複数(例えば180個)のノズルN1〜N180を備えている。図2(a)ではY軸方向(副走査方向)に配列した1列分のノズルをX方向(主走査方向)に2列設け、この2列のノズルを半ノズル間隔だけY軸方向にずらして配置した例を示したが、液滴吐出ヘッド5に設けるノズル数は任意に変更可能であり、Y軸方向に配列した1列分のノズルをX軸方向に1列若しくは3列以上設けても良い。ノズルを複数列設ける場合には、各ノズル列を副走査方向にずらして配置し、互いの吐出可能範囲を補完するように構成することが望ましい。また、キャリッジ4内に配置する液滴吐出ヘッド5の数も任意に変更可能である。さらに、キャリッジ4をサブキャリッジ単位で複数設ける構成としても良い。
【0068】
図2(b)に示すように、液滴吐出ヘッド5は、チューブ7と連結される材料供給孔20aが設けられた振動板20と、ノズルN1〜N180が設けられたノズルプレート21と、振動板20とノズルプレート21との間に設けられた液溜まり22と、複数の隔壁23と、複数のキャビティ(液室)24とを備えている。振動板20上には、各ノズルN1〜N180に対応して圧電素子(駆動素子)PZ1〜PZ180が配置されている。圧電素子PZ1〜PZ180は、例えばピエゾ素子である。
【0069】
液溜まり22には、材料供給孔20aを介して供給される液状のカラーフィルタ材料が充填されるようになっている。キャビティ24は、振動板20と、ノズルプレート21と、1対の隔壁23とによって囲まれるようにして形成されおり、各ノズルN1〜N180に1対1に対応して設けられている。また、各キャビティ24には、一対の隔壁23の間に設けられた供給口24aを介して、液溜まり22からカラーフィルタ材料が導入されるようになっている。
【0070】
図2(c)に示すように、圧電素子PZ1は、圧電材料25を一対の電極26で挟持したものであり、一対の電極26に駆動信号を印加すると圧電材料25が収縮するよう構成されたものである。そして、このような圧電素子PZ1が配置されている振動板20は、圧電素子PZ1と一体になって同時に外側(キャビティ24の反対側)へ撓曲するようになっており、これによってキャビティ24の容積が増大するようになっている。従って、キャビティ24内に増大した容積分に相当するカラーフィルタ材料が、液溜まり22から供給口24aを介して流入する。また、このような状態から圧電素子PZ1への駆動信号の印加を停止すると、圧電素子PZ1と振動板20はともに元の形状に戻り、キャビティ24も元の容積に戻ることから、キャビティ24内のカラーフィルタ材料の圧力が上昇し、ノズルN1からカラーフィルタ基板Pに向けてカラーフィルタ材料の液滴Lが吐出される。
【0071】
図3は、1つのキャリッジに設けられた複数の液滴吐出ヘッド5の配置例及び動作例を示す平面図である。図3では、図を簡略化するために、キャリッジに保持された複数の液滴吐出ヘッドのうち2つの液滴吐出ヘッド5A,5Bのみを拡大して、その配置例及び動作例を示している。
【0072】
液滴吐出ヘッド5A,5Bは、互いに副走査方向(Y軸方向)に位置をずらして配置されており、互いに吐出可能範囲を補完する関係にある。複数の液滴吐出ヘッド5A,5Bは互いに吐出可能範囲を補完することにより、一つのヘッドユニットを構成する。ヘッドユニットを構成する複数の液滴吐出ヘッド5A,5Bは、一体となって、副走査方向に配列された複数の区画領域PXに対して複数の液滴を吐出する。
【0073】
液滴吐出ヘッド5A,5Bにおける複数のノズルNは、所定のピッチ(例えば90dpi)でライン状に配設されており、ノズル列501,502を構成している。ノズル列501,502におけるノズルNの並びの方向は副走査方向に一致するようにされており、また、ノズル列501,502のノズルNは互いに千鳥配列をなす関係にある。
【0074】
液滴吐出ヘッド5A,5Bをカラーフィルタ基板Pに対して主走査方向に走査させると、ノズルNは、カラーフィルタ基板Pに対して連続した所定ピッチ(例えば180dpi)の走査軌跡を描く。この際、ノズル列501,502の端部の数個分(本実施形態では5個)のノズルNは、その特性の特異性に鑑みて使用しないダミーノズル(塗り潰して図示)とされており、液滴吐出ヘッド5Aのダミーノズルに掛かる走査領域は液滴吐出ヘッド5BのノズルNで補完され、液滴吐出ヘッド5Bのダミーノズルに掛かる走査領域は液滴吐出ヘッド5AのノズルNで補完される関係となっている。
【0075】
カラーフィルタ基板Pには、各画素領域に対応する区画領域PXを規定するバンクBKが、感光性樹脂等を用いてあらかじめ形成されている。バンクBKは、区画領域PXの周囲を囲むようにカラーフィルタ基板P上に立設されており、バンクBKに囲まれた領域にインクすなわちカラーフィルタ材料を吐出することにより、区画領域PXにカラーフィルタが形成される。この場合、走査軌跡に関して、区画領域PXに掛かり得るノズルNと掛かり得ないノズルNとが存在するが、区画領域PXへのインクの配置は、区画領域PXに掛かり得るノズルNからのインクの吐出によって行われることになる。
【0076】
各ノズルNに付されているA1〜A5、B1〜B5、C75〜C80、D75〜D80は、それぞれ、液滴吐出ヘッド5Aのノズル列501、液滴吐出ヘッド5Aのノズル列502、液滴吐出ヘッド5Bのノズル列501、液滴吐出ヘッド5Bのノズル列502のノズル番号を示している。ここで、ノズル番号とは、各ノズル列501,502の並び方向におけるノズルNの配列順を示した通し番号のことであり、本実施形態では、1ノズル列につき、ダミーノズルを除いたノズル番号で示すことができる。
【0077】
ノズル番号D79,C80,D80,A1,B1のノズルNは、当該走査中のそれぞれ適切な期間において、同一の区画領域PXに対してインクを吐出することができる。また、ノズル番号C76,C79,A2,A5のノズルNは、走査軌跡がバンクBKに掛かっているため、当該走査中の全期間においてインクの吐出を行わない。このようなノズルNごとの吐出/非吐出の制御は、対応する圧電素子への駆動信号の供給のスイッチングによって行われるものである。
【0078】
図4は液滴吐出ヘッドの走査方法を説明するための平面図である。図4(a)は副走査方向に配列した一列分の区画領域PXの平面図であり、図4(b)〜図4(d)は第1〜第4の主走査における吐出ノズル(区画領域PXに液滴を吐出するノズル)の配置を示す平面図である。なお、図4(b)〜図4(d)では、図を簡略化するために、1つの液滴吐出ヘッドのノズル数を12個とし、さらに、ダミーノズルを省略して複数の液滴吐出ヘッドを一直線状に表示している。一直線状に配置された複数の液滴吐出ヘッドは、一つのノズルユニットHUを構成する。また、吐出ノズルは塗り潰して図示し、非吐出ノズルは白丸で図示している。
【0079】
図4(b)〜図4(d)に示すように、ノズルユニットHUは、4つの液滴吐出ヘッド5A,5B,5C,5Dを備えている。4つの液滴吐出ヘッド5A,5B,5C,5Dには合計48個のノズルNが設けられており、これら48個のノズルNが一体となって副走査方向に延びる1つのノズル列を形成している。区画領域PX1〜PX8は、Y軸方向(副走査方向)に一定の間隔GPで配列されており、1つの区画領域PXには4回の主走査が実施され、合計9滴の液滴が吐出される。
【0080】
図4(b)に示すように、1回目の主走査(第1主走査)では、液滴吐出ヘッド5BのノズルN1B,N2B,N3B,N5B,N6B,N8B,N9B,N12Bと、液滴吐出ヘッド5CのノズルN1C,N3C,N4C,N5C,N7C,N8C,N10C,N11Cと、液滴吐出ヘッド5DのノズルN2D,N3Dとから液滴が吐出される。そして、液滴吐出ヘッド5BのノズルN1B,N2B,N3Bから吐出された液滴が区画領域PX1に着弾し、液滴吐出ヘッド5BのノズルN5B,N6Bから吐出された液滴が区画領域PX2に着弾し、液滴吐出ヘッド5BのノズルN8B,N9Bから吐出された液滴が区画領域PX3に着弾し、液滴吐出ヘッド5BのノズルN12Bと液滴吐出ヘッド5CのノズルN1Cから吐出された液滴が区画領域PX4に着弾し、液滴吐出ヘッド5CのノズルN3C,N4C,N5Cから吐出された液滴が区画領域PX5に着弾し、液滴吐出ヘッド5CのノズルN7C,N8Cから吐出された液滴が区画領域PX6に着弾し、液滴吐出ヘッド5CのノズルN10C,N11Cから吐出された液滴が区画領域PX7に着弾し、液滴吐出ヘッド5DのノズルN2D,N3Dから吐出された液滴が区画領域PX8に着弾する。
【0081】
1回目の主走査が終了したら、図4(c)に示すように、副走査を実施して、2回目の主走査(第2主走査)を実施する。副走査は、1回目の主走査の位置からヘッドユニットHUをY軸方向に、区画領域PXのY軸方向の配置間隔GPと同一の距離だけ移動することにより行われる。
【0082】
副走査の移動距離は、通常は、液滴吐出ヘッド5のノズル間の間隔の整数倍に設計されるが、この場合、一般的には区画領域PXの配置間隔GPはノズル間の間隔の整数倍にはならないので、ノズルNと区画領域PXとの空間的な配置は1主走査毎に異なったものとなる。そうすると、吐出パターンが1主走査毎に異なったものとなり、各ノズルNの吐出特性も変化することとなる。
【0083】
これに対して、本実施形態の液滴吐出装置では、副走査の移動距離を区画領域PXの配置間隔の整数倍としているため、液滴吐出ヘッド5の各ノズルNと区画領域PXとの空間的な配置が、全ての主走査において等しくなる。すなわち、液滴吐出ヘッドに備えられる複数のノズルのうち、複数の区画領域PXからなるパネル領域と重なる部分の吐出ノズルと非吐出ノズルの配置が常に一定である。そうすると、各液滴吐出ヘッド5において吐出を行うノズルNの配置(吐出パターン)が固定され、常に安定した吐出動作を行うことが可能となる。
【0084】
2回目の主走査では、液滴吐出ヘッド5AのノズルN10A,N11Aと、液滴吐出ヘッド5BのノズルN1B,N2B,N3B,N5B,N6B,N8B,N9B,N12Bと、液滴吐出ヘッド5CのノズルN1C,N3C,N4C,N5C,N7C,N8C,N10C,N11Cとから液滴が吐出される。そして、液滴吐出ヘッド5AのノズルN10A,N11Aから吐出された液滴が区画領域PX1に着弾し、液滴吐出ヘッド5BのノズルN1B,N2B,N3Bから吐出された液滴が区画領域PX2に着弾し、液滴吐出ヘッド5BのノズルN5B,N6Bから吐出された液滴が区画領域PX3に着弾し、液滴吐出ヘッド5BのノズルN8B,N9Bから吐出された液滴が区画領域PX4に着弾し、液滴吐出ヘッド5BのノズルN12Bと液滴吐出ヘッド5CのノズルN1Cから吐出された液滴が区画領域PX5に着弾し、液滴吐出ヘッド5CのノズルN3C,N4C,N5Cから吐出された液滴が区画領域PX6に着弾し、液滴吐出ヘッド5CのノズルN7C,N8Cから吐出された液滴が区画領域PX7に着弾し、液滴吐出ヘッド5CのノズルN10C,N11Cから吐出された液滴が区画領域PX8に着弾する。
【0085】
2回目の主走査が終了したら、図4(d)に示すように、副走査を実施して、3回目の主走査(第3主走査)を実施する。副走査は、2回目の主走査の位置からヘッドユニットHUをY軸方向に、区画領域PXのY軸方向の配置間隔GPと同一の距離だけ移動することにより行われる。
【0086】
3回目の主走査では、液滴吐出ヘッド5AのノズルN7A,N8A,N10A,N11Aと、液滴吐出ヘッド5BのノズルN1B,N2B,N3B,N5B,N6B,N8B,N9B,N12Bと、液滴吐出ヘッド5CのノズルN1C,N3C,N4C,N5C,N7C,N8Cとから液滴が吐出される。そして、液滴吐出ヘッド5AのノズルN7A,N8Aから吐出された液滴が区画領域PX1に着弾し、液滴吐出ヘッド5AのノズルN10A,N11Aから吐出された液滴が区画領域PX2に着弾し、液滴吐出ヘッド5BのノズルN1B,N2B,N3Bから吐出された液滴が区画領域PX3に着弾し、液滴吐出ヘッド5BのノズルN5B,N6Bから吐出された液滴が区画領域PX4に着弾し、液滴吐出ヘッド5BのノズルN8B,N9Bから吐出された液滴が区画領域PX5に着弾し、液滴吐出ヘッド5BのノズルN12Bと液滴吐出ヘッド5CのノズルN1Cから吐出された液滴が区画領域PX6に着弾し、液滴吐出ヘッド5CのノズルN3C,N4C,N5Cから吐出された液滴が区画領域PX7に着弾し、液滴吐出ヘッド5CのノズルN7C,N8Cから吐出された液滴が区画領域PX8に着弾する。
【0087】
3回目の主走査が終了したら、図4(e)に示すように、副走査を実施して、4回目の主走査(第4主走査)を実施する。副走査は、3回目の主走査の位置からヘッドユニットHUをY軸方向に、区画領域PXのY軸方向の配置間隔GPと同一の距離だけ移動することにより行われる。
【0088】
4回目の主走査では、液滴吐出ヘッド5AのノズルN3A,N4A,N7A,N8A,N10A,N11Aと、液滴吐出ヘッド5BのノズルN1B,N2B,N3B,N5B,N6B,N8B,N9B,N12Bと、液滴吐出ヘッド5CのノズルN1C,N3C,N4C,N5Cとから液滴が吐出される。そして、液滴吐出ヘッド5AのノズルN3A,N4Aから吐出された液滴が区画領域PX1に着弾し、液滴吐出ヘッド5AのノズルN7A,N8Aから吐出された液滴が区画領域PX2に着弾し、液滴吐出ヘッド5AのノズルN10A,N11Aから吐出された液滴が区画領域PX3に着弾し、液滴吐出ヘッド5BのノズルN1B,N2B,N3Bから吐出された液滴が区画領域PX4に着弾し、液滴吐出ヘッド5BのノズルN5B,N6Bから吐出された液滴が区画領域PX5に着弾し、液滴吐出ヘッド5BのノズルN8B,N9Bから吐出された液滴が区画領域PX6に着弾し、液滴吐出ヘッド5BのノズルN12Bと液滴吐出ヘッド5CのノズルN1Cから吐出された液滴が区画領域PX7に着弾し、液滴吐出ヘッド5CのノズルN3C,N4C,N5Cから吐出された液滴が区画領域PX8に着弾する。
【0089】
このように4回の主走査においては、液滴吐出ヘッド5A〜5D内で吐出を行うノズルN(吐出ノズル)は固定されている。1つの液滴吐出ヘッドにおいて吐出を行うノズル(吐出ノズル)と吐出を行わないノズル(非吐出ノズル)との組み合わせを「吐出パターン」とすると、吐出パターンは、液滴吐出ヘッドが連続した複数の区画領域PXの両端側に配置される場合を除いて常に一定である。
【0090】
本明細書では、「吐出パターンが一定である」ということを、液滴吐出ヘッドに備えられる複数のノズルのうち複数の区画領域PXからなるパネル領域(吐出対象領域)と重なる部分の吐出ノズルと非吐出ノズルの配置が一定であるという意味で用いることがあるが、図4の例では、この意味で各液滴吐出ヘッド5A〜5Dの吐出パターンは常に一定となっている。
【0091】
このように吐出パターンを一定とすると、それぞれのノズルNが近傍のノズルNの駆動状態によって互いに及ぼされあう影響も一定となる。そのため、近傍のノズルNの駆動状態が変動することによる吐出量の変動は殆ど生じなくなり、ノズルNの駆動条件の調整も1主走査毎に行う必要がなくなる。よって、駆動条件は、全ての主走査で一定とすることができ、駆動制御が非常に簡単になる。例えば、本実施形態の液滴吐出装置では、各ノズルの吐出量を均一化するために、ノズルの吐出特性(吐出量の分布)に基づいてノズル毎に吐出量を調節しているが、この場合、1主走査毎に吐出パターンが異なると、吐出パターン毎にノズルの吐出特性を調べなければならない。しかし、上述のように吐出パターンが常に一定である場合には、予め測定すべきノズルの吐出特性は、1種類の吐出パターンのみでよく、測定時間の短縮化が図られると共に駆動制御も容易となる。
【0092】
図5は、複数の主走査によって複数のパネル領域PA1,PA2の全域を走査する場合の説明図である。図5において、符号Pはカラーフィルタ基板複数分を含む大型カラーフィルタ基板である。
【0093】
大型カラーフィルタ基板Pには、機種の異なる複数種類のパネル領域PA1、PA2が設けられている。各パネル領域PA1,PA2には、それぞれ複数の区画領域PX1,PX2がX方向及びY方向に所定の間隔で配置されている。第1パネル領域(第1吐出領域)PA1の第1区画領域PX1と第2パネル領域PA2の第2区画領域PX2とは、互いに区画領域の配置間隔が異なっている。具体的には、第2パネル領域PA2の第2区画領域PX2の主走査方向及び副走査方向における配置間隔は、第1パネル領域PA1の第1区画領域PX1の主走査方向及び副走査方向における配置間隔よりも小さくなっている。
【0094】
大型カラーフィルタ基板Pは、カラーフィルタ層を形成した後、複数の小型カラーフィルタ基板に分割される。大型カラーフィルタ基板P上には、分割後の小型カラーフィルタ基板に対応した複数のパネル領域PA1,PA2が設けられている。
【0095】
なお、図5では、理解を容易にするために、液滴吐出ヘッド5の大きさや、区画領域PXの大きさ、パネル領域PAのサイズを実際のものと異ならせている。
【0096】
図5において、液滴吐出ヘッド5は以下の動作を行う。まず、液滴吐出ヘッド5は、第1パネル領域PA1において、初期位置(a)から終端位置(k)に至るまで、主走査方向(X軸方向)への走査移動、初期位置への復帰移動及び副走査方向(Y軸方向)への副走査移動を繰り返しながら、主走査移動の期間中に複数のノズルNから選択的にインクすなわちカラーフィルタ材料を吐出し、これにより、大型カラーフィルタ基板Pの第1パネル領域PA1内の各第1区画領域PX1にカラーフィルタ材料を付着させる。
【0097】
次に、液滴吐出ヘッド5は1回又は複数回だけ副走査方向に副走査移動し、第2パネル領域PA2において、初期位置(l)から終端位置(q)に至るまで、主走査方向(X軸方向)への走査移動、初期位置への復帰移動及び副走査方向(Y軸方向)への副走査移動を繰り返しながら、主走査移動の期間中に複数のノズルNから選択的にインクすなわちカラーフィルタ材料を吐出し、これにより、大型カラーフィルタ基板Pの第2パネル領域PA2内の各第2区画領域PX2にカラーフィルタ材料を付着させる。
【0098】
副走査の移動距離δは、第1区画領域PX1の副走査方向の配置間隔の整数倍である。例えば、移動距離δを液滴吐出ヘッド5のノズル列の幅Wの1/4とすると、液滴吐出ヘッド5のノズル列全体が第1パネル領域PA1と重なる第4主走査(d)から第8主走査(h)までの吐出パターンは常に一定となる。しかし、液滴吐出ヘッド5のノズル列が第1パネル領域PA1の一部としか重ならない第1主走査(a)から第3主走査(c)及び第9主走査(i)から第11主走査(k)では、ノズル列の端部が非吐出となり、その端部の吐出パターンが第4主走査(d)から第8主走査(h)までの吐出パターンとは異なったものとなる。
【0099】
この場合、液滴吐出ヘッド5内で吐出するノズル数の割合(吐出ノズル数/ダミーノズルを除く全ノズル数)、すなわちノズルデューティが、第4主走査(d)から第8主走査(h)と、第1主走査(a)から第3主走査(c)及び第9主走査(i)から第11主走査(k)とで異なったものとなる。その結果、電気的なクロストークの影響により、ノズルデューティが小さいものほど吐出量が少なくなることがある。
【0100】
すなわち、ノズルに供給される駆動信号としては通常は矩形波又は台形波が使用されるが、ノズルデューティが大きくなり駆動電圧が増大すると、駆動電圧の立ち上がり部分又は立ち下がり部分にオーバーシュートやアンダーシュートが発生し、駆動電圧の実効値が変化してしまう。このような駆動電圧の実効値の変化は液状体の吐出量に影響し、膜厚ムラを発生させる。
【0101】
そこで、本実施形態では、図6(a)に示すように、ノズルデューティに応じて駆動波形の電圧値を異ならせることとしている。ノズルデューティと吐出量との間には概ね比例関係があるので、第1主走査(a)と第11主走査(k)の駆動電圧をV1(ノズルデューティは25%)、第2主走査(b)と第10主走査(j)の駆動電圧をV2(ノズルデューティは50%)、第3主走査(c)と第9主走査(i)の駆動電圧をV3(ノズルデューティは75%)、第4主走査(d)から第8主走査(h)までの駆動電圧をV4(ノズルデューティは100%)とした場合、V1>V2>V3>V4の関係となるように駆動電圧を調整する。
【0102】
一般に、ノズルデューティが小さくなると、図6(b)に示すように、駆動素子に同じ駆動電圧を供給しても、吐出量は小さくなる傾向がある。ただし、非吐出ノズルは常に吐出を行わないので、吐出ノズルが近傍の非吐出ノズルから受ける構造的なクロストークの影響は一定である。そのため、ノズルと該ノズルから吐出される液滴の吐出量との対応関係である吐出特性Q1〜Q4のカーブは、各主走査において概ね相似の形状を有する。第4主走査(d)から第8主走査(h)以外の吐出工程では、吐出を行うべきノズル列端部のノズル(吐出ノズル)が吐出を行わないので(非吐出ノズルの部分は2点鎖線で示している)、その近傍の吐出ノズルの吐出量は、その構造的なクロストークの影響によって、吐出量が若干変化する場合があるが、その影響の及ぶ範囲は非常に狭いので無視することができる。
【0103】
吐出特性Q1〜Q4は概ね相似形状を有するので、駆動素子に供給する駆動波形の電圧値を増減することで、これらの吐出特性を概ね一致させることができる。従来のように、吐出パターンが1主走査毎に異なる場合には、吐出特性も1主走査毎に異なったものとなり、その結果、駆動電圧を調節しても、各主走査の吐出量を十分に均一化することができなかったが、本実施形態のように吐出パターンが全ての主走査において常に同じである場合には、各ノズルからの吐出特性も近似したものとなり、駆動電圧の調整による吐出量の均一性もより高いものとなる。
【0104】
一方、第2パネル領域PA2では、副走査の移動距離δは必ずしも第2区画領域PX2の配置間隔の整数倍とはなっていない。そのため、一般的には、ノズルNと第2区画領域PX2との空間的な配置は1主走査毎に変化し、それに応じて吐出パターンも変化する。そのため、本実施形態の液滴吐出装置では、第2パネル領域PA2に液滴を吐出する場合には、複数のノズルNのうち第2区画領域PX2と重なるノズルを1主走査毎に選択し、選択したノズルから液滴を吐出させると共に、選択され得る全てのノズルの組み合わせについて予め測定された、各組み合わせにおける平均的な液滴の吐出量の分布に基づいて、複数のノズルから吐出される液滴の吐出量が所定の適正量に近づくように複数の駆動素子の駆動波形を制御している。
【0105】
この方法によれば、吐出ノズルと非吐出ノズルとの組み合わせである吐出パターンは1主走査毎に異なるものの、予め測定するノズルの吐出特性は1つのみで良く、従って、全ての吐出パターン毎に吐出特性を測定し、その吐出特性に基づいて各駆動素子の駆動波形を吐出パターン毎に求める場合に比べて、駆動制御が容易となる。
【0106】
各組み合わせにおける平均的な液滴の吐出量の分布を測定する方法としては、例えば、選択され得る全てのノズルの組み合わせについて吐出量の分布を測定し、それらの分布を加算平均して算出する方法が挙げられる。また、同一記録媒体上に、各組み合わせに係る複数のノズルから液滴を重ねて吐出し、その総量をノズル毎に算出し、その総量を液滴の着弾数で除した値を加算平均とし、この加算平均をノズル毎に算出する方法を用いても良い。
【0107】
図7は、後者の方法で平均的な吐出量の分布を測定する方法の説明図である。図7(a)は、吐出ノズルとその吐出タイミングとを示す図であり、図7(b)は、各ノズルからの液滴の吐出量を示す図である。
【0108】
図7では、第2区画領域PX2の副走査方向の長さG1と第2区画領域PX2間の領域の副走査方向の長さG2とが2:1の関係である場合を例に挙げて説明する。図7では、説明を容易にするために、液滴吐出ヘッド5に含まれるノズルの数を12個としている(ノズルN1〜N12)。なお、符号G3は、第2区画領域PX2の副走査方向の配置間隔を示しており、図7(a)中の鎖線は、ノズルN1〜N12と第2区画領域PX2との空間的な配置を仮想的に示したものである。
【0109】
図7(a)に示すように、上記構成の第2区画領域PX2に対して液滴を吐出する場合、第2区画領域PX2と重なるノズルの数と第2区画領域PX2間の領域と重なるノズルの数との比は概ね2:1となる。そのため、ノズルデューティ(吐出ノズル数/ダミーノズルを除く全ノズル数)は2/3となる。
【0110】
前述したように、液滴吐出ヘッド5の副走査の移動距離は第2区画領域PX2の配置間隔GP3の整数倍とはなっていない。そのため、図7中一点鎖線で示したように、ノズルN1〜N12と第2区画領域PX2との空間的な配置は任意である。
【0111】
図7(a)に示すように、隣接する2つのノズルが吐出に寄与し(吐出ノズル;図7中網掛けした丸印)、それと隣接する1つのノズルが吐出に寄与しない(非吐出ノズル;図7中白抜きした丸印)構成の場合、各ノズルN1〜N12のとり得る吐出パターンはPat1〜Pat3に示した3つの吐出パターンのみとなる。
【0112】
吐出パターンPat1〜Pat3は、2つの吐出ノズルと1つの吐出ノズルとからなる吐出のパターンを1単位とし、この1単位の単位パターンを同じ配列順序で副走査方向に複数配列したものである。吐出ノズルと非吐出ノズルの配置位置を副走査方向に一つずつずらした構成とすることにより、3つの吐出パターンPat1〜Pat3が形成されている。吐出パターンの数(1主走査毎に選択され得る全てのノズルの組み合わせの数)は、1つの単位パターンに含まれるノズルの数と等しい数、すなわち3つとなっている。
【0113】
第2区画領域PX2に液滴を吐出する場合には、どの吐出パターンPat1〜Pat3で吐出が行われるかは1主走査毎に異なる。そのため、それぞれの吐出パターンPat1〜Pat3についての平均的な吐出量の分布(吐出特性Qt)を測定し、その分布に基づいて、複数のノズルN1〜N12から吐出される液滴の吐出量が所定の適正量に近づくように、各ノズルに対応する駆動素子の駆動波形を制御する必要がある。
【0114】
具体的には、まず、t1〜t2の期間においてノズルN1,N2,N4,N5,N7,N8,N10,N11から図示略の記録媒体上(図1に示した記録媒体16上)に液滴を吐出する。そして、次のt2〜t3の期間においてN1,N3,N4,N6,N7,N9,N10,N12から、t1〜t2の期間で吐出を行った記録媒体と同じ記録媒体上に液滴を吐出する。さらに、t3〜t4の期間においてノズルN2,N3,N5,N6,N7,N8,N11,N12から、t1〜t3の期間で吐出を行った記録媒体と同じ記録媒体上に液滴を吐出する。
【0115】
各期間t1〜t4において同一ノズルから吐出される複数の液滴は記録媒体上の同一箇所に着弾される。例えば、期間t1〜t2及び期間t2〜t3においてノズルN1から吐出された複数の液滴は記録媒体上の第1の着弾位置に着弾され、この第1の着弾位置で液滴同士が重なり合う。また、期間t1〜t2及び期間t3〜t4においてノズルN2から吐出された複数の液滴は記録媒体上の第2の着弾位置に着弾され、この第2の着弾位置で液滴同士が重なり合う。他のノズルN3〜N12から吐出された液滴についても同様である。
【0116】
このように各吐出パターンPat1〜Pat3で吐出された複数の液滴を同一着弾位置に着弾させた場合、各着弾位置に着弾される液滴の着弾数は全て同じである。例えば図7(a)の例では、各着弾位置に着弾される液滴の着弾数は2つである。よって、各着弾位置について着弾された液滴の総量を着弾数で除算することで、1ノズル毎の平均の吐出量(加算平均)が求められる。
【0117】
図7(b)中符号Q1〜Q3は、各パターンPat1〜Pat3における液滴の吐出量の分布(吐出特性)を示している。符号Qtは、各着弾位置に着弾された液滴の総量を液滴の着弾数(2つ)で除算したものの分布(加算平均の分布)である。
【0118】
このようにして求めた吐出量の分布Qtは、各吐出パターンPat1〜Pat3で得られる吐出量の分布Q1〜Q3とは厳密には異なるものである。しかし、ここで得られた吐出量の分布Qtは、各吐出パターンPat1〜Pat3で得られる吐出量の分布Q1〜Q3の特徴をそれぞれ部分的に含んでいるため、各吐出パターンPat1〜Pat3で得られる吐出量の分布Q1〜Q3の特徴を概ね正確に表したものとなっている。
【0119】
すなわち、上述の方法で吐出量の分布を求めた場合、吐出量の分布Qtの測定で用いる複数のノズルの組み合わせ(吐出パターンPat1〜Pat3)は、いずれも実際の吐出に用いるノズルの組み合わせである。そのため、実際の吐出に用いる吐出パターンPat1〜Pat3の吐出量の分布Q1〜Q3に近似した分布が得られるのである。よって、このような吐出量の分布Qtに基づいて各ノズルN1〜N12の吐出量を調節した場合には、実際の吐出に用いる吐出パターンPat1〜Pat3の吐出量の分布Q1〜Q3に基づいて吐出量を調節した場合に比べて吐出量の均一性が大きく損なわれることはない。
【0120】
なお、図7では、第2区画領域PX2の副走査方向の長さG1と第2区画領域PX2間の長さG2との比が2:1の場合を示したが、この比は第2区画領域PX2の開口率や精細度等によって任意に設定される。吐出パターンPat1〜Pat3は、2つの吐出ノズルと1つの吐出ノズルとからなる吐出のパターンを1単位とし、この1単位の単位パターンを同じ配列順序で副走査方向に複数配列したものであるが、この吐出パターンの構成や吐出パターンの数は、第2区画領域PX2の副走査方向の長さG1と第2区画領域PX2間の長さG2との比、すなわち、第2区画領域PX2の開口率や精細度等によって任意に変更される。
【0121】
例えば、第2区画領域PX2の副走査方向の長さG1と第2区画領域PX2間の長さG2との比が3:1であり、第2区画領域PX2と重なるノズルの数が3であり、第2区画領域PX2間と重なるノズルの数が1である場合を考える。この場合には、1主走査毎に選択され得る全てのノズルの組み合わせ、すなわち吐出パターンは、3つの吐出ノズルと1つの吐出ノズルとからなる吐出のパターンを1単位とし、この1単位の単位パターンを同じ配列順序で副走査方向に複数配列したものとなる。また、吐出パターンの数(1主走査毎に選択され得る全てのノズルの組み合わせの数)は、吐出ノズルと非吐出ノズルの配置位置を副走査方向に一つずつずらして得られるバリエーションの数だけ存在するため、その数は、1つの単位パターンに含まれるノズルの数と等しい数、すなわち4つとなる。
【0122】
なお、図5では、一つの液滴吐出ヘッド5が機種の異なる2つのパネル領域PA1,PA2で吐出を行うことが示されているが、このように機種の異なる2つのパネル領域PA1,PA2で吐出を行うと、液滴吐出ヘッドのノズルデューティがパネル領域毎に大きく異なってしまい、その結果、電気的なクロストークの影響が顕著に現れることがある。
【0123】
例えば、第2パネル領域PA2で吐出を行う場合に比べて、第1パネル領域PA1で吐出を行う場合のほうが、ノズルデューティが大きくなる場合を考える。このような状況は、区画領域の大きさと区画領域間の大きさとの比(図7のG1とG2に相当)が第1パネル領域PA1で大きく、第2パネル領域PA2で小さい場合に生じる。この場合、図6で説明したように、各ノズルからの平均的な吐出量は、第1パネル領域PA1で吐出を行う場合のほうが第2パネル領域PA2で吐出を行う場合に比べて大きくなる。そのため、第2パネル領域PA2で吐出を行う場合には、第1パネル領域PA1で吐出を行う場合に比べて、各駆動素子の駆動電圧を大きくし、平均的な吐出量を2つのパネル領域PA1,PA2で等しくする必要がある。
【0124】
この場合、第1パネル領域PA1で吐出を行う場合の駆動条件を基準とし、第2パネル領域PA2で吐出を行う場合の駆動条件を補正する方法と、第2パネル領域PA2で吐出を行う場合の駆動条件を基準とし、第1パネル領域PA1で吐出を行う場合の駆動条件を補正する方法とが考えられるが、以下の理由で、前者の方法が好ましい。
【0125】
図6で説明したように、ノズルデューティが大きくなる第1パネル領域PA1では、小さい駆動電圧で大きな吐出量が得られるため、図示略の電源から液滴吐出ヘッド5に供給する電圧は、比較的小さな電圧で良い。一方、ノズルデューティが小さくなる第2パネル領域PA2では、大きな駆動電圧を供給しなければ同じ吐出量が得られないため、図示略の電源から液滴吐出ヘッド5に供給しなければならない電圧も大きなものとなる。
【0126】
一般的に、液滴吐出ヘッド5に供給する電圧の大きさには装置上の制限があり、所定の電圧以上の電圧が供給されると装置が強制的にストップするようになっている。そのため、液滴吐出ヘッド5に供給する電圧は小さいほうが良く、その観点からは、ノズルデューティが大きくなる第1パネル領域PA1の駆動条件を基準とするほうが良い。
【0127】
図8は、液滴吐出装置IJの電気的構成を示すブロック図である。液滴吐出装置IJは、プロセッサとしての各種の演算を行うCPU(演算処理装置)80と、各種情報を記憶するメモリ(記憶装置)90とを有する。
【0128】
液滴吐出ヘッド5の位置を制御するヘッド位置制御装置71、カラーフィルタ基板の位置を制御する基板位置制御装置72、ステージ移動装置3(図1参照)を制御して液滴吐出ヘッド5をカラーフィルタ基板に対して主走査移動させる主走査駆動装置73、キャリッジ移動装置6(図1参照)を制御してキャリッジ(液滴吐出ヘッド5)をカラーフィルタ基板に対して副走査移動させる副走査駆動装置74、液滴吐出ヘッド5内の駆動素子を駆動するヘッド駆動回路75、カラーフィルタ基板を液滴吐出装置IJ内の所定の作業位置へ供給する基板供給装置76は、入出力インターフェース95及びデータバス96を介してCPU80に接続されている。さらに、入力装置77、ディスプレイ78、吐出量測定装置13、撮像装置移動装置18、及び撮像装置駆動装置19も入出力インターフェース95及びデータバス96を介してCPU80に接続されている。
【0129】
ヘッド位置制御装置71は、液滴吐出ヘッド5を面内回転させるαモータと、液滴吐出ヘッド5を副走査方向と平行な軸線回りに揺動回転させるβモータと、液滴吐出ヘッド5を主走査方向と平行な軸線回りに揺動回転させるγモータと、液滴吐出ヘッド5を上下方向へ平行移動させるZモータとを有する。
【0130】
基板位置制御装置72は、ワークステージ2(図1参照)を面内回転させるθモータを有する。
【0131】
主走査駆動装置73は、主走査方向へ延びるガイドレールと、パルス駆動されるリニアモータを内蔵したスライダとを有するステージ移動装置3(図1参照)を有する。スライダは内蔵するリニアモータが作動するときにガイドレールに沿って主走査方向へ平行移動する。
【0132】
副走査駆動装置74は、副走査方向へ延びるガイドレールと、パルス駆動されるリニアモータを内蔵したスライダとを有するキャリッジ移動装置6(図1参照)を有する。スライダは内蔵するリニアモータが作動するときにガイドレールに沿って副走査方向へ平行移動する。
【0133】
撮像装置移動装置18は、副走査方向へ延びるガイドレールと、パルス駆動されるリニアモータを内蔵したスライダとを有する。スライダは内蔵するリニアモータが作動するときにガイドレールに沿って副走査方向へ平行移動する。
【0134】
スライダやスライダ内においてパルス駆動されるリニアモータは、該モータに供給するパルス信号によって出力軸の回転角度制御を精細に行うことができ、従って、液滴吐出ヘッド5を搭載するキャリッジ4(図1参照)、測定ステージ14上に設置されたシート部材16(図1参照)、及び撮像装置移動装置18によって移動される撮像装置17(図1参照)の主走査方向上の位置や副走査方向上の位置等を高精細に制御することができる。
【0135】
なお、液滴吐出ヘッド5、撮像装置17(図1参照)、及びワークステージ2(図1参照)の位置制御はパルスモータを用いた位置制御に限られず、サーボモータを用いたフィードバック制御や、その他任意の制御方法によって実現することもできる。
【0136】
メモリ90は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等といった半導体メモリや、ハードディスク、CD−ROM読取り装置、ディスク型記憶媒体等といった外部記憶装置等を含む概念であり、機能的には、液滴吐出装置IJの動作の制御手順が記述されたプログラムソフトを記憶する記憶領域91や、ストライプ配列、デルタ配列、モザイク配列等の各種のR,G,B配列を実現するためのカラーフィルタ基板(図1参照)内における吐出位置を座標データとして記憶するための記憶領域92や、副走査方向へのカラーフィルタ基板の副走査移動量を記憶するための記憶領域93や、撮像装置で撮像した液滴の画像から吐出量を演算する際の補正データを記憶するための記憶領域94や、CPU80のためのワークエリアやテンポラリファイル等として機能する領域や、その他各種の記憶領域が設定される。
【0137】
CPU80は、メモリ90内に記憶されたプログラムソフトに従って、カラーフィルタ基板の表面の所定位置にインク、すなわちカラーフィルタ材料を吐出するための制御を行うものであり、具体的な機能実現部として、吐出量測定装置13を用いた吐出量の測定を実現するための演算を行う吐出量測定演算部81と、撮像装置移動装置18を用いて撮像装置を副走査方向に走査するための演算を行う撮像装置走査演算部82と、撮像装置駆動装置19を用いてシート部材16の記録面16a(図1参照)に着弾した液滴(乾燥膜)を撮像するための演算を行う撮像装置駆動演算部83と、液滴吐出ヘッド5によってカラーフィルタ材料を描画するための演算を行う描画演算部84とを有する。
【0138】
また、描画演算部84を詳しく分割すると、液滴吐出ヘッド5を描画のための初期位置へセットするための描画開始位置演算部85と、液滴吐出ヘッド5を主走査方向へ所定の速度で走査移動させるための制御を演算する主走査制御演算部86と、カラーフィルタ基板を副走査方向へ所定の副走査量だけずらせるための制御を演算する副走査制御演算部87と、液滴吐出ヘッド5内の複数のノズルのうちのいずれを作動させてインク、すなわちカラーフィルタ材料を吐出するか否かを制御するための演算を行うノズル吐出制御演算部88等といった各種の機能演算部を有する。
【0139】
CPU80やメモリ90は、図1に示した制御装置11に含まれている。本実施形態では、上記の各機能をCPU80を用いてソフト的に実現することにしたが、上記の各機能がCPUを用いない単独の電子回路によって実現できる場合には、そのような電子回路を用いることも可能である。
【0140】
図9は、液滴吐出ヘッド5と、液滴吐出ヘッド5に駆動信号を供給するための駆動回路基板30の回路構成図である。駆動回路基板30は、図8に示したヘッド駆動回路75やメモリ90の一部を含むものであり、図1に示した制御装置11と共に本発明の制御手段の一部を構成するものである。
【0141】
駆動回路基板30は、インターフェース31、描画データメモリ32、アドレス変換回路33、第1の駆動波形メモリ34、第2の駆動波形メモリ35、第1のD/Aコンバータ36、第2のD/Aコンバータ37、第3のD/Aコンバータ38及び第4のD/Aコンバータ39を備えている。また、液滴吐出ヘッド5は、COM選択回路40、スイッチング回路50及び圧電素子PZ1〜PZ180からなる圧電素子群60を備えている。なお、圧電素子PZ1〜PZ180は、図3に示すようにコンデンサとして標記することができる。
【0142】
上記の描画データメモリ32は、本発明における第1の記憶手段に相当し、第1の駆動波形メモリ34及び第2の駆動波形メモリ35は、本発明における第2の記憶手段に相当し、第1のD/Aコンバータ36、第2のD/Aコンバータ37、第3のD/Aコンバータ38及び第4のD/Aコンバータ39は、本発明における駆動信号生成手段に相当する。また、COM選択回路40は、本発明における駆動信号選択手段に相当し、スイッチング回路50は本発明における供給切替手段に相当する。
【0143】
制御装置11(図1参照)と駆動回路基板30のインターフェース31とは図示しないPCIバスで接続されており、制御装置11からPCIバスを介して、描画データSIと、駆動制御信号としてクロック信号CLK、ラッチ信号LT、DACクロック信号CLK1及びCLK2、描画データアドレス信号AD1、描画データライトイネーブル信号WE1、駆動波形データ信号WD、波形データアドレス信号AD2、波形データライトイネーブル信号WE2、チップセレクタ信号CS1及びCS2、アウトプットイネーブル信号OE1及びOE2がインターフェース31に出力される。
【0144】
インターフェース31は、描画データSI、描画データライトイネーブル信号WE1、描画データアドレス信号AD1、チップセレクタ信号CS1及びアウトプットイネーブル信号OE1を描画データメモリ32に出力する。また、インターフェース31は、クロック信号CLK及びラッチ信号LTを液滴吐出ヘッド5のCOM選択回路40及びスイッチング回路50に出力する。また、インターフェース31は、DACクロック信号CLK1を第1のD/Aコンバータ36及び第3のD/Aコンバータ38に出力し、DACクロック信号CLK2を第2のD/Aコンバータ37及び第4のD/Aコンバータ39に出力する。また、インターフェース31は、波形データライトイネーブル信号WE2、波形データアドレス信号AD2、駆動波形データ信号WD、チップセレクタ信号CS2及びアウトプットイネーブル信号OE2を第1の駆動波形メモリ34及び第2の駆動波形メモリ35に出力する。
【0145】
描画データメモリ32は、例えば32ビットのSRAMであり、描画データライトイネーブル信号WE1、チップセレクタ信号CS1及びアウトプットイネーブル信号OE1によってデータ書き込みが要求されている場合、描画データアドレス信号AD1が指定するアドレスに描画データSIを記憶する。ここで、描画データSIは、吐出データSIA及びCOM選択データSIB(駆動信号選択データ)から構成される。吐出データSIAとは、カラーフィルタ基板P上に形成された画素パターンをマトリクス状に区分し、このマトリクスを構成する各ドット毎に、液滴を吐出するか否かを規定する2値データをマッピングしたビットマップデータである。このマトリクスのY軸方向のドットピッチは、液滴吐出ヘッド5のノズルピッチと対応しており、つまり上記の吐出データSIAは、液滴吐出ヘッド5を所定の位置に移動させた場合に、各ノズルN1〜N180に対応する圧電素子PZ1〜PZ180に駆動信号を供給するか否かを規定するデータである。
【0146】
本実施形態では、圧電素子PZ1〜PZ180に駆動信号を供給するか否かを規定するために2ビットのデータを使用する。この2ビットのデータの内、上位ビットをSIH、下位ビットをSILと呼び、(SIH、SIL)=(0、0)の場合は、駆動信号の非供給(非吐出)を規定するものとし、(SIH、SIL)=(0、1)、(1、0)、(1、1)の場合は、駆動信号の供給(吐出)を規定するものとする。つまり、圧電素子PZ1〜PZ180の各々に対応するSIHデータ(SIH1〜SIH180)と、SILデータ(SIL1〜SIL180)とが吐出データSIAに含まれている。このような吐出データSIAは、カラーフィルタ基板Pの画素パターンに応じて異なるため、画素パターンの数に対応して制御装置11から送られ、描画データメモリ32に記憶される。なお、本実施形態では、圧電素子PZ1〜PZ180に駆動信号を供給するか否かを規定するために2ビットのデータを使用したが、これに限らず、1ビットのデータを用いても勿論良い。
【0147】
一方、COM選択データSIBとは、各圧電素子PZ1〜PZ180に供給する駆動信号の種類を規定するデータである。本実施形態では、各圧電素子PZ1〜PZ180毎に4種類の駆動信号の中から1つの駆動信号を選択して供給する。また、本実施形態では、4種類の駆動信号をそれぞれCOM1、COM2、COM3、COM4と呼ぶ。つまり、COM選択データSIBは、各圧電素子PZ1〜PZ180に印加する駆動信号としてCOM1、COM2、COM3、COM4のいずれかを規定するデータである。さらに、このCOM選択データSIBには、各駆動信号COM1、COM2、COM3、COM4の波形(駆動波形)を規定するための駆動波形番号データWNが含まれている。
【0148】
本実施形態では、駆動信号を4種類の中から選択するため、駆動信号を規定するには2ビットのデータが必要である。本実施形態では、駆動信号を規定する2ビットのデータの内、上位ビットをWSH、下位ビットをWSLと呼び、(WSH、WSL)=(0、0)の場合はCOM1を規定するものとし、(WSH、WSL)=(0、1)の場合はCOM2を規定するものとし、(WSH、WSL)=(1、0)の場合はCOM3を規定するものとし、(WSH、WSL)=(1、1)の場合はCOM4を規定するものとする。つまり、圧電素子PZ1〜PZ180の各々に対応するWSHデータ(WSH1〜WSH180)と、WSLデータ(WSL1〜WSL180)とがCOM選択データSIBに含まれている。また、本実施形態では、駆動信号COM1〜COM4の駆動波形の組み合わせを64種類の中から1つ選択できるものとする。つまり、駆動波形を規定するための駆動波形番号データWNは6ビットのデータである。
【0149】
上記のCOM選択データSIBは、液滴吐出ヘッド5の各ノズルN1〜N180の液滴吐出量の分布(吐出特性)に応じて設定される。図10に、液滴吐出量の分布の一例を示す。図10において、横軸はノズル番号、縦軸は液滴吐出量である。なお、液滴吐出ヘッド5の特性上、両端のノズル(ノズルN1〜N9及びノズルN171〜N180)では液滴吐出量のバラツキが非常に大きいため、これらのノズルの吐出分布を省略している。実際に液滴吐出ヘッド5を使用する場合でも、180個のノズルの内、ノズルN10〜N170の160個が使用される。
【0150】
図10に示すような液滴吐出量のバラツキを補正するためには、各ノズルN10〜N170の液滴吐出量が適正吐出量に近づくように、各圧電素子PZ10〜圧電素子PZ170に供給する駆動信号を変えれば良い。例えば、図10に示すように、液滴の吐出分布において適正吐出量から大きくずれているノズルの液滴吐出量を適正吐出量に補正するには、このノズルに対応する圧電素子に供給する駆動信号の電圧値を大きくすれば良い。
【0151】
実際には、事前に(例えば本液滴吐出装置IJの出荷検査時などに)、図10に示すような液滴吐出量の分布を測定し、各ノズルN10〜N170の液滴吐出量が適正吐出量に近づくような各圧電素子PZ10〜PZ170の駆動信号を求める。原理的には、各圧電素子PZ10〜PZ170毎に求めた駆動信号を用意して供給すれば良いが、その場合、駆動信号を最大で160種類も用意しなければならず、部品点数の増加、装置コストの増大、駆動回路基板30の大型化及び消費電力の増大などの問題が生じるため、現実的には実現困難である。そこで、本実施形態では、4種類の駆動信号を使用して各ノズルN10〜N170の液滴吐出量が適正吐出量に近づくように設定する。これは、少なくとも4種類の駆動電信号を使用することにより、液滴吐出量のバラツキをすじムラとして人に視認されないレベル(バラツキ1.2%以内)まで抑えることができるためである。このように求めた4種類の駆動信号をCOM1〜COM4としてCOM選択データSIBに設定する。以下、COM選択データSIBの設定方法の具体例について説明する。
【0152】
(COM選択データSIBの設定方法の具体例1)
最初に、COM選択データSIBの設定方法の具体例1について図11のフローチャートを用いて説明する。この説明では、図1、図5、図7、図8を適宜参照して説明を行う。
【0153】
まず、事前に、各圧電素子PZ10〜PZ170に所定の基準駆動電圧V0を印加し、図10に示すようなノズルN10〜N170の液滴吐出量の分布を測定する(ステップS1)。
【0154】
液滴吐出量の分布は、図1及び図8に示した吐出量測定装置13を用いて行う。測定に先立って、まず、図8に示した描画演算部84が、上位の制御装置から取得したカラーフィルタ基板Pに関する情報(画素パターンや基板サイズなどの情報。この情報はメモリ90の記憶領域92に記憶される)に基づいて吐出データSIAを作成する。そして、この吐出データSIAに基づいて、液滴吐出ヘッド5毎に、吐出ノズルと非吐出ノズルとの組み合わせ、すなわち吐出パターンを設定する。また、描画演算部84は、カラーフィルタ基板Pに関する情報のうち画素パターンに関する情報に基づいて、副走査方向における区画領域の配置間隔を検出し、メモリ90の記憶領域93に記憶する。
【0155】
本実施形態の液滴吐出装置では、副走査の移動距離は、大型カラーフィルタ基板P上に設けられる複数機種のパネル領域のうち特定の1種類のパネル領域(図5の例では、第1パネル領域PA1)の区画領域の配置間隔の整数倍に設定される。それにより、特定のパネル領域に関しては、全ての主走査において吐出パターンが固定されるようになっている。
【0156】
そのため、ステップSS1では、特定のパネル領域を主走査する場合の吐出パターンとして、各液滴吐出ヘッドに対してそれぞれ1種類の吐出パターンを設定する。それ以外のパネル領域を主走査する場合には、従来と同様に、各区画領域と重なるノズルを1主走査毎に選択する。
【0157】
次に、描画演算部84は、ステージ移動装置3及びキャリッジ移動装置6を制御して、吐出量測定装置13の測定ステージ14とキャリッジ4とを互いに対向する位置に移動する。そして、測定ステージ14上に設置されたシート部材16の記録面16aと液滴吐出ヘッド5のノズル面とが対向配置した状態で、各液滴吐出ヘッド5のノズルから、液滴吐出ヘッド毎に設定された吐出パターンで記録面16a上に液滴を着弾させる(ステップSS2)。
【0158】
ここで、大型カラーフィルタ基板P上に設けられた複数のパネル領域のうち特定のパネル領域に関しては、吐出パターンは1種類に設定される。そのため、各ノズルNからは、その1種類の吐出パターンで液滴が吐出される。一方、他のパネル領域に関しては、吐出パターンが1種類に特定されないので、図7に示した方法で、1主走査毎に選択され得る全てのノズルの組み合わせ(吐出パターン)について記録面16aの同一箇所に重ねて吐出を行う。
【0159】
液滴を記録面16a上に着弾したら、撮像装置走査演算部82は撮像装置移動装置18を制御して撮像装置17を液滴が着弾した記録面16aの上方に移動させる。そして、撮像装置駆動演算部83が撮像装置17を制御して、記録面16a上に着弾した液滴の乾燥膜を撮像し、撮像した画像データを、撮像装置17から吐出量測定演算部81に出力する(ステップSS3)。
【0160】
吐出量測定演算部81は、画像処理技術を用いて、液滴の乾燥膜のZ方向から見た面積を測定する。そして、メモリ90の記憶領域94に記憶された、乾燥膜の面積と吐出量との関係を規定した補正データを用いて、乾燥膜の面積から液滴の吐出量を演算する。そして、この演算結果に基づいて、各ノズルの吐出量の分布(吐出特性)を検出する(ステップSS4)。
【0161】
各ノズルの吐出量の分布は、大型カラーフィルタ基板P上に設けられた1パネル領域毎に設定される。特定機種のパネル領域に関しては、各液滴吐出ヘッドに対してそれぞれ吐出パターンは1種類のみである。したがって、この1種類の吐出パターンについて吐出量の分布を求めればよい。一方、それ以外のパネル領域に関しては、吐出パターンは1種類に特定されないので、各吐出パターンについての平均的な吐出量の分布が求められることになる。すなわち、ステップSS2において、記録面16a上の同一箇所に重ねて吐出された各吐出パターンの液滴吐出量の総和を測定し、各着弾位置に着弾した液滴の着弾数で総量を除算して平均の吐出量を求め、この平均の吐出量を1ノズル毎に測定することにより、各ノズルの吐出量の分布、すなわち、各吐出パターンについての平均的な吐出量の分布を求める。
【0162】
こうして液滴吐出量の分布を測定したら、描画演算部84は、各ノズルの吐出量のうち最小の吐出量(最小吐出量)と最大の吐出量(最大吐出量)を検出する。そして、最小吐出量から最大吐出量までのレンジを均等に4分割し、レンジ1、レンジ2、レンジ3、レンジ4とする(ステップS2)。
【0163】
次に、描画演算部84は、下記(1)式に基づいて、各レンジ1〜4毎にCOM設定電圧を算出し、レンジ1について算出したCOM設定電圧をCOM1、レンジ2について算出したCOM設定電圧をCOM2、レンジ3について算出したCOM設定電圧をCOM3、レンジ4について算出したCOM設定電圧をCOM4と設定する(ステップS3)。
【0164】
なお、下記(1)式において、Kは液滴吐出量を電圧値に変換するための定数である。また、下記(1)式において、「レンジの中心吐出量」を「各レンジ内における全ノズルの平均吐出量」に替えても良い。
COM設定電圧=V0−K・(レンジの中心吐出量−適正吐出量) …(1)
【0165】
そして、描画演算部84は、レンジ1に含まれるノズルにCOM1を割り当て(ステップS4)、レンジ2に含まれるノズルにCOM2を割り当て(ステップS5)、レンジ3に含まれるノズルにCOM3を割り当て(ステップS6)、レンジ4に含まれるノズルにCOM4を割り当てる(ステップS7)。以上のように求めたノズルとCOM1〜COM4との対応関係に基づきCOM選択データSIBを設定する(ステップS8)。
【0166】
図12は、上記のようにして求めた電圧値を有するCOM1〜COM4の駆動波形の一例である。描画演算部84は、これらCOM1〜COM4の駆動波形のデジタルデータ(駆動波形データ)を設定し、これらCOM1〜COM4の駆動波形データの組み合わせを示す駆動波形番号データWNを設定する。
【0167】
(COM選択データSIBの設定方法の具体例2)
次に、COM選択データSIBの設定方法の具体例2について図13のフローチャートを用いて説明する。まず、事前に、各圧電素子PZ10〜PZ170に所定の基準駆動電圧V0を印加し、具体例1と同様にノズルN10〜N170の液滴吐出量の分布を測定する(ステップS10)。この測定方法は、上述の具体例1で説明したものと同じである。
【0168】
そして、描画演算部84は、吐出分布の最小吐出量を許容バラツキレンジの最小値に合わせ、この許容バラツキレンジ内に含まれるノズルの内、液滴吐出量の小さい方から順にピックアップし、ピックアップしたノズル数をカウントする(ステップS11)。
【0169】
ここで、許容バラツキレンジとは、品質管理上許容することができるノズル間の吐出量バラツキの許容レンジを指すものであって予めユーザが設定することができる値である。
【0170】
続いて、描画演算部84は、ステップS11でピックアップしたノズル数が、COM1に割り当て可能な最大許容ノズル数より大きいか否かを判定する(ステップS12)。ここで、この最大許容ノズル数は、第1のD/Aコンバータ36の電流容量に応じて設定されており、本実施形態では80個とする。
【0171】
描画演算部84は、ステップS12において、ピックアップしたノズル数が最大許容ノズル数(つまり80個)より大きい場合(「YES」)、80個目までのノズルにCOM1を割り当てる(ステップS13)。一方、ステップS12において、ピックアップしたノズル数が80個以下の場合(「NO」)、ピックアップした全ノズルにCOM1を割り当てる(ステップS14)。
【0172】
そして、描画演算部84は、COM1を割り当てたノズルの最大吐出量と最小吐出量との中心吐出量を算出し、下記(2)式に基づいて、COM1の電圧値(COM設定電圧)を決定する(ステップS15)。
【0173】
なお、下記(2)式において、Kは液滴吐出量を電圧値に変換するための定数である。
COM設定電圧=V0−K・(中心吐出量−適正吐出量) ・・・・(2)
【0174】
次に、描画演算部84は、残ったノズルの最小吐出量を許容バラツキレンジの最小値に合わせ、この許容バラツキレンジ内に含まれるノズルの内、液滴吐出量の小さい方から順にピックアップし、ピックアップしたノズル数をカウントする(ステップS16)。
【0175】
続いて、描画演算部84は、ステップS16でピックアップしたノズル数が、COM2に割り当て可能な最大許容ノズル数より大きいか否かを判定する(ステップS17)。ここで、この最大許容ノズル数は、第2のD/Aコンバータ37の電流容量に応じて設定されており、本実施形態では80個とする。
【0176】
描画演算部84は、ステップS17において、ピックアップしたノズル数が最大許容ノズル数(つまり80個)より大きい場合(「YES」)、80個目までのノズルにCOM2を割り当てる(ステップS18)。一方、ステップS17において、ピックアップしたノズル数が80個以下の場合(「NO」)、ピックアップした全ノズルに対応する圧電素子にCOM2を割り当てる(ステップS19)。
【0177】
そして、描画演算部84は、COM2を割り当てたノズルの最大吐出量と最小吐出量との中心吐出量を算出し、上記(2)式に基づいて、COM2の電圧値(COM設定電圧)を決定する(ステップS20)。
【0178】
次に、描画演算部84は、残ったノズルの最小吐出量を許容バラツキレンジの最小値に合わせ、許容バラツキレンジ内に含まれるノズルの内、液滴吐出量の小さい方から順にピックアップし、ピックアップしたノズル数をカウントする(ステップS21)。
【0179】
続いて、描画演算部84は、ステップS21でピックアップしたノズル数が、COM3に割り当て可能な最大許容ノズル数より大きいか否かを判定する(ステップS22)。ここで、この最大許容ノズル数は、第3のD/Aコンバータ38の電流容量に応じて設定されており、本実施形態では80個とする。
【0180】
描画演算部84は、ステップS22において、ピックアップしたノズル数が最大許容ノズル数(つまり80個)より大きい場合(「YES」)、80個目までのノズルにCOM3を割り当てる(ステップS23)。一方、ステップS22において、ピックアップしたノズル数が80個以下の場合(「NO」)、ピックアップした全ノズルに対応する圧電素子にCOM3を割り当てる(ステップS24)。
【0181】
そして、描画演算部84は、COM3を割り当てたノズルの最大吐出量と最小吐出量との中心吐出量を算出し、上記(2)式に基づいて、COM3の電圧値(COM設定電圧)を決定する(ステップS25)。
【0182】
次に、描画演算部84は、残ったノズルの最小吐出量を許容バラツキレンジの最小値に合わせ、許容バラツキレンジ内に含まれるノズルの内、液滴吐出量の小さい方から順にピックアップし、ピックアップしたノズル数をカウントする(ステップS26)。
【0183】
続いて、描画演算部84は、ステップS26でピックアップしたノズル数が、COM4に割り当て可能な最大許容ノズル数より大きいか否かを判定する(ステップS27)。ここで、この最大許容ノズル数は、第4のD/Aコンバータ39の電流容量に応じて設定されており、本実施形態では80個とする。
【0184】
描画演算部84は、ステップS27において、ピックアップしたノズル数が最大許容ノズル数(つまり80個)より大きい場合(「YES」)、80個目までのノズルにCOM4を割り当てる(ステップS28)。一方、ステップS27において、ピックアップしたノズル数が80個以下の場合(「NO」)、ピックアップした全ノズルに対応する圧電素子にCOM4を割り当てる(ステップS29)。
【0185】
そして、描画演算部84は、COM4を割り当てたノズルの最大吐出量と最小吐出量との中心吐出量を算出し、上記(2)式に基づいて、COM4の電圧値(COM設定電圧)を決定する(ステップS30)。
【0186】
そして、描画演算部84は、ノズルとCOM1〜COM4との対応関係に基づきCOM選択データSIBを設定する(ステップS31)。
【0187】
そして、描画演算部84は、具体例1と同様に、上記のように決定した電圧値を有するCOM1〜COM4の駆動波形のデジタルデータ(駆動波形データ)を設定し、これらCOM1〜COM4の駆動波形データの組み合わせを示す駆動波形番号データWNを設定する。なお、ステップS30が終了した時点で、残りノズルがあった場合、警報を発生し、この液滴吐出ヘッド5を不良品とするか、または再組み立てを行うかを判断する。
【0188】
上述したCOM選択データSIBの設定方法の具体例1は、具体例2と比較して簡単にノズルに対するCOM1〜COM4の割り当てを行うことができるが、COM毎に、つまりD/Aコンバータ毎に最大許容ノズル数が設定されている場合、4分割したレンジ1〜4に含まれるノズル数が最大許容ノズル数を越えてしまうと、D/Aコンバータの駆動能力が低下し、駆動信号の電圧値が低下したり波形に歪が生じたりするなどの問題が発生するという欠点がある。よって、各レンジ1〜4に含まれるノズル数が最大許容ノズル数を越えた場合は、警報を発生し、液滴吐出ヘッド5を不良品とするか、または再組み立てを行うかを判断する必要がある。
【0189】
具体例2の方法では、D/Aコンバータ毎に最大許容ノズル数が設定されている場合であっても、問題なく各ノズルに対するCOM1〜COM4の割り当てを行うことができる。また、具体例2では、液滴吐出量のバラツキがほとんどなく均一に近い特性であった場合、ほとんどのノズルがCOM1及びCOM2に割り当てられるが、具体例1では各ノズルが必ず均等にCOM1〜COM4に割り当てられることになる。
【0190】
また、上述したように、液滴吐出ヘッド5のノズルデューティが変化すると液滴吐出量のバラツキ分布(吐出特性)は変化する。よって、事前に、ノズルデューティ毎に液滴吐出量のバラツキ分布を測定し、各ノズルN10〜N170の液滴吐出量が適正吐出量に近づくような各圧電素子PZ10〜PZ170の駆動信号COM1〜COM4を求め、ノズルデューティに対応するCOM選択データSIBを設定する。例えば、ノズルデューティと吐出量との間に比例関係がある場合には、吐出ノズル数に応じて、一定の補正係数を乗じた電圧値を各吐出ノズルの圧電素子に供給すれば良い。
【0191】
図9に戻って説明すると、描画データメモリ32は、描画データライトイネーブル信号WE1、チップセレクタ信号CS1及びアウトプットイネーブル信号OE1によってデータ読み出しが要求されている場合、描画データアドレス信号AD1が指定するアドレスに記憶されている吐出データSIAをシリアルデータとして液滴吐出ヘッド5のスイッチング回路50に出力し、また、COM選択データSIBをシリアルデータとして液滴吐出ヘッド5のCOM選択回路40に出力する。なお、駆動波形番号データWNは、アドレス変換回路33に出力される。
【0192】
アドレス変換回路33は、駆動波形番号データWNが指定する駆動波形番号に該当する駆動波形データの記憶先アドレスを示すアドレス信号AD3を第1の駆動波形メモリ34及び第2の駆動波形メモリ35に出力する。第1の駆動波形メモリ34は、32Kワード×16ビットのSRAMであり、COM1及びCOM2に対応する駆動波形のデジタルデータ(駆動波形データ)を記憶するメモリである。第2の駆動波形メモリ35も同様に、32Kワード×16ビットのSRAMであり、COM3及びCOM4に対応する駆動波形データを記憶するメモリである。
【0193】
これら第1の駆動波形メモリ34及び第2の駆動波形メモリ35は、波形データライトイネーブル信号WE2、チップセレクタ信号CS2及びアウトプットイネーブル信号OE2によってデータ書き込みが要求されている場合、波形データアドレス信号AD2で指定されるアドレスに、駆動波形データ信号WDを記憶する。なお、この駆動波形データ信号WDは、上位2バイトがCOM3及びCOM4に対応する駆動波形データに割り当てられ、下位2バイトがCOM1及びCOM2に対応する駆動波形データに割り当てられた4バイトのデータ信号であり、上位2バイト分の駆動波形データ信号WDは第1の駆動波形メモリ34に入力され、上位2バイト分の駆動波形データ信号WDは第2の駆動波形メモリ35に入力される。
【0194】
また、第1の駆動波形メモリ34は、波形データライトイネーブル信号WE2、チップセレクタ信号CS2及びアウトプットイネーブル信号OE2によってデータ読み出しが要求されている場合、アドレス信号AD3で指定されるアドレスに記憶されている駆動波形データを第1のD/Aコンバータ36及び第2のD/Aコンバータ37に出力する。第2の駆動波形メモリ35は、波形データライトイネーブル信号WE2、チップセレクタ信号CS2及びアウトプットイネーブル信号OE2によってデータ読み出しが要求されている場合、アドレス信号AD3で指定されるアドレスに記憶されている駆動波形データを第3のD/Aコンバータ38及び第4のD/Aコンバータ39に出力する。
【0195】
第1のD/Aコンバータ36は、DACクロック信号CLK1の立ち上がりに同期して、第1の駆動波形メモリ34から入力される駆動波形データをラッチし、当該ラッチした駆動波形データをアナログ変換して駆動信号COM1を生成し、液滴吐出ヘッド5のCOM選択回路40に出力する。第2のD/Aコンバータ37は、DACクロック信号CLK2の立ち上がりに同期して、第1の駆動波形メモリ34から入力される駆動波形データをラッチし、当該ラッチした駆動波形データをアナログ変換して駆動信号COM2を生成し、液滴吐出ヘッド5のCOM選択回路40に出力する。第3のD/Aコンバータ38は、DACクロック信号CLK1の立ち上がりに同期して、第2の駆動波形メモリ35から入力される駆動波形データをラッチし、当該ラッチした駆動波形データをアナログ変換して駆動信号COM3を生成し、液滴吐出ヘッド5のCOM選択回路40に出力する。第4のD/Aコンバータ39は、DACクロック信号CLK2の立ち上がりに同期して、第2の駆動波形メモリ35から入力される駆動波形データをラッチし、当該ラッチした駆動波形データをアナログ変換して駆動信号COM4を生成し、液滴吐出ヘッド5のCOM選択回路40に出力する。
【0196】
図14に示すように、液滴吐出ヘッド5のCOM選択回路40は、シフトレジスタ回路41、ラッチ回路42、COM選択スイッチ回路CSW1〜CSW180から構成されている。シフトレジスタ回路41は、クロック信号CLK及びCOM選択データSIBを入力とし、クロック信号CLKに同期してシリアルデータであるCOM選択データSIBをパラレル変換してラッチ回路42に順次出力する。具体的には、シフトレジスタ回路41は、圧電素子PZ1〜PZ180に対応するWSHデータ(WSH1〜WSH180)及びWSLデータ(WSL1〜WSL180)をパラレルに順次出力する。
【0197】
ラッチ回路42は、上記のWSHデータ(WSH1〜WSH180)及びWSLデータ(WSL1〜WSL180)を、ラッチ信号LTに同期してラッチし、各WSHデータ(WSH1〜WSH180)及びWSLデータ(WSL1〜WSL180)を一括してCOM選択スイッチ回路CSW1〜CSW180に出力する。具体的には、ラッチ回路42は、WSH1及びWSL1をCOM選択スイッチ回路CSW1に出力し、WSH2及びWSL2をCOM選択スイッチ回路CSW2に出力し、以下同様に、WSH180及びWSL180をCOM選択スイッチ回路CSW180に出力する。
【0198】
各COM選択スイッチ回路CSW1〜CSW180は、駆動信号COM1〜COM4を入力とし、ラッチ回路42から入力されるWSH及びWSLデータに応じて駆動信号COM1〜COM4のいずれかを選択し、選択した駆動信号をV1〜V180として後述するスイッチング回路50のスイッチング素子SW1〜SW180に出力する。具体的には、COM選択スイッチ回路CSW1は、(WSH1、WSL1)=(0、0)の場合、駆動信号COM1を選択し、(WSH1、WSL1)=(0、1)の場合、駆動信号COM2を選択し、(WSH1、WSL1)=(1、0)の場合、駆動信号COM3を選択し、(WSH1、WSL1)=(1、1)の場合、駆動信号COM4を選択し、選択した駆動信号をV1としてスイッチング回路50のスイッチング素子SW1に出力する。以下同様に、COM選択スイッチ回路CSW180は、(WSH180、WSL180)=(0、0)の場合、駆動信号COM1を選択し、(WSH180、WSL180)=(0、1)の場合、駆動信号COM2を選択し、(WSH180、WSL180)=(1、0)の場合、駆動信号COM3を選択し、(WSH180、WSL180)=(1、1)の場合、駆動信号COM4を選択し、選択した駆動信号をV180としてスイッチング回路50のスイッチング素子SW180に出力する。
【0199】
続いて、図15に示すように、スイッチング回路50は、シフトレジスタ回路51、ラッチ回路52、論理和回路OR1〜OR180、レベルシフタ回路53、スイッチング素子SW1〜SW180から構成されている。シフトレジスタ回路51は、クロック信号CLK及び吐出データSIAを入力とし、クロック信号CLKに同期してシリアルデータである吐出データSIAをパラレル変換してラッチ回路52に順次出力する。具体的には、シフトレジスタ回路51は、圧電素子PZ1〜PZ180に対応するSIHデータ(SIH1〜SIH180)及びSILデータ(SIL1〜SIL180)をパラレルに順次出力する。
【0200】
ラッチ回路52は、上記のSIHデータ(SIH1〜SIH180)及びSILデータ(SIL1〜SIL180)を、ラッチ信号LTに同期してラッチし、各SIHデータ(SIH1〜SIH180)及びSILデータ(SIL1〜SIL180)を一括して論理和回路OR1〜OR180に出力する。具体的には、ラッチ回路52は、SIH1及びSIL1を論理和回路OR1に出力し、SIH2及びSIL2を論理和回路OR2に出力し,以下同様に、SIH180及びSIL180を論理和回路OR180に出力する。
【0201】
論理和回路OR1は、SIH1とSIL1との論理和であるスイッチング信号S1をレベルシフタ回路53に出力する。つまり、SIH1とSIL1との少なくとも一方が「1」であれば駆動信号の供給(吐出)を規定しているので、「1」を示すスイッチング信号S1が出力される。論理和回路OR2は、SIH2とSIL2との論理和であるスイッチング信号S2をレベルシフタ回路53に出力する。以下同様に、論理和回路OR180は、SIH180とSIL180との論理和であるスイッチング信号S180をレベルシフタ回路53に出力する。
【0202】
レベルシフタ回路53は、スイッチング信号S1〜S180を各スイッチング素子SW1〜SW180を駆動可能なレベルまで電圧増幅する。具体的には、レベルシフタ回路53は、スイッチング信号S1を電圧増幅してスイッチング素子SW1に出力し、スイッチング信号S2を電圧増幅してスイッチング素子SW2に出力し、以下同様に、スイッチング信号S180を電圧増幅してスイッチング素子SW180に出力する。
【0203】
スイッチング素子SW1は、駆動信号V1及びスイッチング信号S1を入力とし、「1」を示すスイッチング信号S1が入力された場合にON状態となり、駆動信号V1を図9に示す圧電素子PZ1の一方の電極に出力する。スイッチング素子SW2は、駆動信号V2及びスイッチング信号S2を入力とし、「1」を示すスイッチング信号S2が入力された場合にON状態となり、駆動信号V2を図9に示す圧電素子PZ2の一方の電極に出力する。以下同様に、スイッチング素子SW180は、駆動信号V180及びスイッチング信号S180を入力とし、「1」を示すスイッチング信号S180が入力された場合にON状態となり、駆動信号V180を図9に示す圧電素子PZ180の一方の電極に出力する。
【0204】
図9に戻って説明すると、各圧電素子PZ1〜PZ180の他方の電極は、液滴吐出ヘッド5内で互いに接続され、且つ駆動回路基板30側のグランドと共通接地されている。
つまり、圧電素子PZ1は、駆動信号V1とグランド間の電位差によって伸縮し、これにより駆動信号V1に応じた吐出量のカラーフィルタ材料の液滴がノズルN1から吐出される。また、圧電素子PZ2は、駆動信号V2とグランド間の電位差によって伸縮し、これにより駆動信号V2に応じた吐出量のカラーフィルタ材料の液滴がノズルN2から吐出される。以下同様に、圧電素子PZ180は、駆動信号V180とグランド間の電位差によって伸縮し、これにより駆動信号V180に応じた吐出量のカラーフィルタ材料の液滴がノズルN180から吐出される。
【0205】
次に、このように構成された本液滴吐出装置IJの動作について説明する。
まず、カラーフィルタ基板Pの画素パターンに応じて事前に設定した吐出データSIAと、ノズルデューティ毎に設定したCOM選択データSIBとを駆動回路基板30の描画データメモリ32に記憶し、また、COM選択データSIBに対応するCOM1〜COM4の駆動波形データを第1の駆動波形メモリ34及び第2の駆動波形メモリ35に予め記憶する。
【0206】
具体的には、制御装置11は、インターフェース31を介して、描画データSI(吐出データSIA及びCOM選択データSIB)と、これら吐出データSIA及びCOM選択データSIBの記憶先アドレスを示す描画データアドレス信号AD1と、データ書き込み要求を示す描画データライトイネーブル信号WE1、チップセレクタ信号CS1及びアウトプットイネーブル信号OE1とを描画データメモリ32に出力する。これにより、描画データメモリ32には、描画データアドレス信号AD1が指定する記憶先アドレスに、吐出データSIA及びCOM選択データSIBが順次記憶される。
【0207】
また、制御装置11は、インターフェース31を介して、駆動波形データWDと、波形データアドレス信号AD2と、データ書き込み要求を示す波形データライトイネーブル信号WE2、チップセレクタ信号CS2及びアウトプットイネーブル信号OE2とを第1の駆動波形メモリ34及び第2の駆動波形メモリ35に出力する。そして、この処理により、カラーフィルタ基板Pの画素パターンに応じて事前に設定した吐出データSIAと、ノズルデューティ毎に設定したCOM選択データSIBとが描画データメモリ32に記憶され、また、COM選択データSIBに対応するCOM1〜COM4の駆動波形データが第1の駆動波形メモリ34及び第2の駆動波形メモリ35に記憶される。
【0208】
次に、実際にカラーフィルタ基板Pにカラーフィルタ材料を吐出する動作について図16のタイミングチャートを用いて説明する。
【0209】
制御装置11は、ワークステージ2にカラーフィルタ基板Pが搬送され、上位の制御装置からカラーフィルタ基板Pに関する情報(画素パターンや基板サイズなどの情報)を取得すると、搬送されたカラーフィルタ基板Pに対応する吐出データSIAを決定する。また、制御装置11は、カラーフィルタ基板Pに関する情報に基づいてノズルデューティを求め、そのノズルデューティに対応するCOM選択データSIBを決定する。そして、制御装置11は、ステージ移動装置3及びキャリッジ移動装置6を制御して、液滴吐出ヘッド5をカラーフィルタ基板P上の所定のXYZ座標に移動させる。
【0210】
続いて、制御装置11は、上記のように決定した吐出データSIA及びCOM選択データSIBの記憶先アドレスを示す描画データアドレス信号AD1と、データ読み出し要求を示す描画データライトイネーブル信号WE1、チップセレクタ信号CS1及びアウトプットイネーブル信号OE1とを駆動回路基板30の描画データメモリ32に出力する。これにより、搬送されたカラーフィルタ基板Pに対応する吐出データSIAが液滴吐出ヘッド5のスイッチング回路50(具体的にはシフトレジスタ回路51)に出力され、カラーフィルタ基板Pのノズルデューティに対応するCOM選択データSIBが液滴吐出ヘッド5のCOM選択回路40(具体的にはシフトレジスタ回路41)に出力される。また、COM選択データSIBに含まれる駆動波形番号データWNは、アドレス変換回路33に出力される。
【0211】
図16に示すように、時刻T1に、吐出データSIAがスイッチング回路50のシフトレジスタ回路51に出力され、COM選択データSIBがCOM選択回路40のシフトレジスタ回路41に出力されたと想定する。シフトレジスタ回路51は、時刻T1からT2までの期間、クロック信号CLKに同期してシリアルデータである吐出データSIAをパラレル変換してラッチ回路52に順次出力する。つまり、圧電素子PZ1〜PZ180に対応するSIHデータ(SIH1〜SIH180)及びSILデータ(SIL1〜SIL180)がパラレルに順次出力される。一方、シフトレジスタ回路41は、クロック時刻T1からT2までの期間、クロック信号CLKに同期してシリアルデータであるCOM選択データSIBをパラレル変換してラッチ回路42に順次出力する。つまり、圧電素子PZ1〜PZ180に対応するWSHデータ(WSH1〜WSH180)及びWSLデータ(WSL1〜WSL180)がパラレルに順次出力される。
【0212】
ここで、この時刻T1からT2までの期間におけるアドレス変換回路33、第1の駆動波形メモリ34及び第2の駆動波形メモリ35、第1のD/Aコンバータ36、第2のD/Aコンバータ37、第3のD/Aコンバータ38及び第4のD/Aコンバータ39の動作について図17のタイミングチャートを用いて説明する。
【0213】
図17に示すように、時刻T1’においてアドレス変換回路33は、クロック信号CLKの立ち上がりに同期して、駆動波形番号データWNが指定する駆動波形番号に該当する駆動波形データの記憶先アドレスを示すアドレス信号AD3を第1の駆動波形メモリ34及び第2の駆動波形メモリ35に出力する。例えば駆動波形番号「0」が指定されている場合を想定すると、アドレス信号AD3はアドレス「+00000h」を示す。時刻T2’において、第1の駆動波形メモリ34は、アドレス「+00000h」に記憶されているCOM1の2バイト分の駆動波形データを第1のD/Aコンバータ36及び第2のD/Aコンバータ37に出力し、第2の駆動波形メモリ35は、アドレス「+00000h」に記憶されているCOM3の2バイト分の駆動波形データを第3のD/Aコンバータ38及び第4のD/Aコンバータ39に出力する。
【0214】
そして、時刻T3’において、DACクロック信号CLK1の立ち上がりが発生すると、第1のD/Aコンバータ36は、DACクロック信号CLK1の立ち上がりに同期してCOM1の2バイト分の駆動波形データをラッチして取り込み、同様に第3のD/Aコンバータ38も、DACクロック信号CLK1の立ち上がりに同期してCOM3の2バイト分の駆動波形データをラッチして取り込む。
【0215】
また、この時刻T3’において、アドレス変換回路33は、クロック信号CLKの立ち上りに同期して、アドレス「+08000h」を示すアドレス信号AD3を第1の駆動波形メモリ34及び第2の駆動波形メモリ35に出力する。そして、時刻T4’において、第1の駆動波形メモリ34は、アドレス「+08000h」に記憶されているCOM2の2バイト分の駆動波形データを第1のD/Aコンバータ36及び第2のD/Aコンバータ37に出力し、第2の駆動波形メモリ35は、アドレス「+08000h」に記憶されているCOM4の2バイト分の駆動波形データを第3のD/Aコンバータ38及び第4のD/Aコンバータ39に出力する。
【0216】
そして、時刻T5’において、DACクロック信号CLK2の立ち上がりが発生すると、第2のD/Aコンバータ37は、DACクロック信号CLK2の立ち上がりに同期してCOM2の2バイト分の駆動波形データをラッチして取り込み、同様に第4のD/Aコンバータ39も、DACクロック信号CLK2の立ち上がりに同期してCOM4の2バイト分の駆動波形データをラッチして取り込む。
【0217】
このように、第1のD/Aコンバータ36はCOM1の駆動波形データだけ取り込み、第2のD/Aコンバータ37はCOM2の駆動波形データだけ取り込み、第3のD/Aコンバータ38はCOM3の駆動波形データだけ取り込み、第4のD/Aコンバータ39はCOM4の駆動波形データだけ取り込むことになる。以降、アドレス変換回路33は、クロック信号CLKの立ち上りに同期してアドレスをインクリメントしていき、第1の駆動波形メモリ34及び第2の駆動波形メモリ35から駆動波形番号「0」に該当する512バイト分(1波形分)のCOM1〜COM4の駆動波形データが出力される。
【0218】
そして、第1のD/Aコンバータ36は、1波形分のCOM1の駆動波形データを取り込み、アナログ変換して駆動信号COM1を生成し、液滴吐出ヘッド5のCOM選択回路40に出力する。また、第2のD/Aコンバータ37は、1波形分のCOM2の駆動波形データを取り込み、アナログ変換して駆動信号COM2を生成し、液滴吐出ヘッド5のCOM選択回路40に出力する。また、第3のD/Aコンバータ38は、1波形分のCOM3の駆動波形データを取り込み、アナログ変換して駆動信号COM3を生成し、液滴吐出ヘッド5のCOM選択回路40に出力する。また、第4のD/Aコンバータ39は、1波形分のCOM4の駆動波形データを取り込み、アナログ変換して駆動信号COM4を生成し、液滴吐出ヘッド5のCOM選択回路40に出力する。
【0219】
このように、図16の時刻T1〜T2の期間において、図17に示す動作が行われ、液滴吐出ヘッド5のCOM選択回路40には、駆動信号COM1〜COM4が入力される。
なお、図17に示す動作中において、第1の駆動波形メモリ34及び第2の駆動波形メモリ35にはデータ読み出し要求を示す波形データライトイネーブル信号WE2、チップセレクタ信号CS2及びアウトプットイネーブル信号OE2が入力される。
【0220】
図16に戻って説明すると、時刻T3においてラッチ信号LTの立ち上がりが発生した場合、COM選択回路40のラッチ回路42は、ラッチ信号LTの立ち上がりに同期して、WSHデータ(WSH1〜WSH180)及びWSLデータ(WSL1〜WSL180)をラッチし、ラッチ信号LTの立ち下がりが発生する時刻T4に各WSHデータ(WSH1〜WSH180)及びWSLデータ(WSL1〜WSL180)を一括してCOM選択スイッチ回路CSW1〜CSW180に出力する。ここでは、図16に示すように、(WSH1、WSL1)=(0、1)のデータがCOM選択スイッチ回路CSW1に入力され、(WSH2、WSL2)=(0、1)のデータがCOM選択スイッチ回路CSW2に入力され、以下同様に、(WSH180、WSL180)=(0、1)のデータがCOM選択スイッチ回路CSW180に入力されたものとする。つまり、COM選択スイッチ回路CSW1〜CSW180は、駆動信号COM2を選択し、駆動信号V1〜V180をスイッチング回路40に出力する。なお、駆動波形番号「0」に該当する駆動波形データから生成されたCOM1〜COM4は、図16に示すようにグランドレベルより少し高い電圧値を有するフラットな波形であるものとする。このような駆動波形番号「0」に該当する駆動波形データから生成されたCOM1〜COM4は、本液滴吐出装置IJの電源投入時などにおいて、各圧電素子PZ1〜PZ180を待機状態に遷移させるためのものであり、液滴が吐出されないレベルの電圧値に設定されている。
【0221】
一方、時刻T3において、スイッチング回路50のラッチ回路52は、ラッチ信号LTの立ち上がりに同期して、SIHデータ(SIH1〜SIH180)及びSILデータ(SIL1〜SIL180)をラッチし、ラッチ信号LTの立ち下がりが発生する時刻T4に、各SIHデータ(SIH1〜SIH180)及びSILデータ(SIL1〜SIL180)を一括して論理和回路OR1〜OR180に出力する。ここでは、図16に示すように、(SIH1、SIL1)=(0、1)のデータが論理和回路OR1に入力され、(SIH2、SIL2)=(0、1)のデータが論理和回路OR2に入力され、以下同様に、(SIH180、SIL180)=(0、1)のデータが論理和回路OR180に入力されたものとする。つまり、各論理和回路OR1〜OR180は、ハイレベルのスイッチング信号S1〜S180をレベルシフタ回路53に出力し、レベルシフタ回路53は各スイッチング信号S1〜S180を増幅して各スイッチング素子SW1〜SW180に出力する。
【0222】
上述したように、時刻T4において、各スイッチング素子SW1〜SW180にハイレベルのスイッチング信号S1〜S180が入力されることにより、各スイッチング素子SW1〜SW180はオン状態となり、COM選択回路40から供給される駆動信号V1〜V180を、それぞれに対応する圧電素子PZ1〜PZ180に出力する。これにより、各圧電素子PZ1〜PZ180には待機状態に遷移し、液滴吐出の準備が完了する。
【0223】
一方、時刻T5において、制御装置11は、次の吐出データSIA及びCOM選択データSIBの記憶先アドレスを示す描画データアドレス信号AD1と、データ読み出し要求を示す描画データライトイネーブル信号WE1、チップセレクタ信号CS1及びアウトプットイネーブル信号OE1とを駆動回路基板30の描画データメモリ32に出力する。ここで、次の吐出データSIA及びCOM選択データSIBとは、液滴吐出ヘッド5の現在位置で液滴を吐出するためのデータである。これにより、液滴吐出ヘッド5の現在位置に対応する吐出データSIAが液滴吐出ヘッド5のスイッチング回路50(具体的にはシフトレジスタ回路51)に出力され、COM選択データSIBは液滴吐出ヘッド5のCOM選択回路40(具体的にはシフトレジスタ回路41)に出力される。また、この時のCOM選択データSIBに含まれる駆動波形番号データWNは、アドレス変換回路33に出力される。ここでは、駆動波形番号「1」が指定されたものとする。
【0224】
そして、時刻T5において、吐出データSIAがスイッチング回路50のシフトレジスタ回路51に出力され、COM選択データSIBがCOM選択回路40のシフトレジスタ回路41に出力される。シフトレジスタ回路51は、時刻T5からT6までの期間、クロック信号CLKに同期してシリアルデータである吐出データSIAをパラレル変換してラッチ回路52に順次出力する。ここで、時刻T5からT6までの期間において、図17で説明したような動作により、第1のD/Aコンバータ36から、駆動波形番号「1」に対応する1波形分の駆動信号COM1が液滴吐出ヘッド5のCOM選択回路40に出力され、第2のD/Aコンバータ37から、駆動波形番号「1」に対応する1波形分の駆動信号COM2が液滴吐出ヘッド5のCOM選択回路40に出力され、第3のD/Aコンバータ38から、駆動波形番号「1」に対応する1波形分の駆動信号COM3が液滴吐出ヘッド5のCOM選択回路40に出力され、第4のD/Aコンバータ39から、駆動波形番号「1」に対応する1波形分の駆動信号COM4が液滴吐出ヘッド5のCOM選択回路40に出力される。
【0225】
そして、時刻T7においてラッチ信号LTの立ち上がりが発生すると、COM選択回路40のラッチ回路42は、ラッチ信号LTの立ち上がりに同期して、WSHデータ(WSH1〜WSH180)及びWSLデータ(WSL1〜WSL180)をラッチし、ラッチ信号LTの立ち下がりが発生する時刻T8に各WSHデータ(WSH1〜WSH180)及びWSLデータ(WSL1〜WSL180)を一括してCOM選択スイッチ回路CSW1〜CSW180に出力する。ここでは、図16に示すように、(WSH1、WSL1)=(1、0)のデータがCOM選択スイッチ回路CSW1に入力され、(WSH2、WSL2)=(1、0)のデータがCOM選択スイッチ回路CSW2に入力され、(WSH180、WSL180)=(0、0)のデータがCOM選択スイッチ回路CSW180に入力されたものとする。つまり、COM選択スイッチ回路CSW1及びCSW2は駆動信号COM3を選択し、COM選択スイッチ回路CSW180は駆動信号COM1を選択して、それぞれ駆動信号V1〜V180をスイッチング回路40に出力する。
【0226】
一方、時刻T7において、スイッチング回路50のラッチ回路52は、ラッチ信号LTの立ち上がりに同期して、SIHデータ(SIH1〜SIH180)及びSILデータ(SIL1〜SIL180)をラッチし、ラッチ信号LTの立ち下がりが発生する時刻T8に、各SIHデータ(SIH1〜SIH180)及びSILデータ(SIL1〜SIL180)を一括して論理和回路OR1〜OR180に出力する。ここでは、図16に示すように、(SIH1、SIL1)=(1、0)のデータが論理和回路OR1に入力され、(SIH2、SIL2)=(1、0)のデータが論理和回路OR2に入力され、以下同様に、(SIH180、SIL180)=(1、0)のデータが論理和回路OR180に入力されたものとする。つまり、各論理和回路OR1〜OR180は、ハイレベルのスイッチング信号S1〜S180をレベルシフタ回路53に出力し、レベルシフタ回路53は各スイッチング信号S1〜S180を増幅して各スイッチング素子SW1〜SW180に出力する。
【0227】
上述したように、時刻T8において、各スイッチング素子SW1〜SW180にハイレベルのスイッチング信号S1〜S180が入力されることにより、各スイッチング素子SW1〜SW180はオン状態となり、COM選択回路40から供給される駆動信号V1〜V180を、それぞれに対応する圧電素子PZ1〜PZ180に出力する。これにより、圧電素子PZ1及びPZ2にはCOM3の駆動信号が供給され、圧電素子PZ180にはCOM1の駆動信号が供給され、それぞれの駆動信号に応じた重量の液滴がカラーフィルタ基板P上に吐出される。以上のような動作をカラーフィルタ基板P上の全ての位置に対して繰り返すことにより、カラーフィルタ基板P上の全画素にカラーフィルタ層が形成される。
【0228】
なお、時刻T9では、(SIH1、SIL1)=(0、0)のデータが論理和回路OR1に入力され、(SIH2、SIL2)=(0、0)のデータが論理和回路OR2に入力され、以下同様に、(SIH180、SIL180)=(0、0)のデータが論理和回路OR180に入力されるため、スイッチング信号S1〜S180は全てローレベルとなり、各スイッチング素子SW1〜SW180はオフ状態となる。従って、この場合、駆動信号COM1〜COM4は液滴吐出ヘッド5に供給されるが、各圧電素子PZ1〜PZ180に対する駆動信号V1〜V180は供給されない。
【0229】
液滴吐出ヘッド5では、このようにして調整された駆動波形を用いて、1滴ごとに吐出量が調節された液滴をカラーフィルタ基板P上に吐出する。各ノズルの吐出位置はビットマップデータによって設定されており、液滴吐出ヘッド5はこのビットマップデータに基づいて、予め設定された吐出パターンで液滴を吐出しながら主走査及び副走査を繰り返す。これにより、カラーフィルタ基板Pの全面に、バラツキの少ない均一な膜厚のカラーフィルタが形成される。
【0230】
以上説明したように、本実施形態の液滴吐出装置IJによれば、液滴吐出ヘッド5におけるノズルの吐出特性に基づいて予め設定されたCOM選択データSIBに基づいて、圧電素子毎に、駆動信号COM1〜COM4の中から1つを選択して供給するので、液滴吐出量のバラツキを抑制し、均一な膜層を形成することが可能である。
【0231】
また、各駆動信号COM1〜COM4に割り当てる波形データの組み合わせを複数記憶しておくことにより、各駆動信号COM1〜COM4の波形(電圧値)を、液滴吐出ヘッド5毎の吐出特性に応じて任意に可変することができる。さらに、ノズルデューティに応じた駆動信号を各圧電素子に供給するので、電気的なクロストークの影響による液滴吐出量のバラツキを抑制することができる。
【0232】
また、液滴吐出ヘッド5の副走査方向の移動距離を区画領域PX1の副走査方向における配置間隔GPの整数倍としたため、第1パネル領域PA1に関しては、ノズルNと区画領域PX1との空間的な配置が常に等しくなり、吐出パターンが変化することがない。そのため、吐出量測定装置13で測定するノズルNの吐出特性は、液滴吐出ヘッド5毎に1種類の吐出パターンのみでよく、測定時間の短縮化が図られると共に駆動制御も容易となる。また、実際に吐出走査で用いる吐出パターンの吐出特性に基づいて吐出量の調整を行うため、吐出量の均一性が非常に高くなる。
【0233】
一方、第2パネル領域PA2においては、液滴吐出ヘッド5の副走査方向の移動距離は必ずしも区画領域PX2の副走査方向における配置間隔の整数倍とはならないため、一般的には、ノズルNと区画領域PX2との空間的な配置が1主走査毎に変化し、それに応じて吐出パターンも変化する。そのため、本実施形態では、第2パネル領域PA2に液滴を吐出する場合には、複数のノズルNのうち区画領域PX2と重なるノズルを1主走査毎に選択し、選択したノズルから液滴を吐出させると共に、選択され得る全てのノズルの組み合わせ(吐出パターン)について予め測定された、各組み合わせにおける平均的な液滴の吐出量の分布Qtに基づいて、複数のノズルNから吐出される液滴の吐出量が所定の適正量に近づくように複数の駆動素子PZの駆動波形を制御している。この方法によれば、吐出ノズルと非吐出ノズルとの組み合わせである吐出パターンは1主走査毎に異なるものの、予め測定するノズルの吐出特性は1つのみで良く(吐出特性Qt)、従って、全ての吐出パターン毎に吐出特性を測定し、その吐出特性に基づいて各駆動素子PZの駆動波形を吐出パターン毎に求める場合に比べて、駆動制御が容易となる。
【0234】
ここで、吐出量の分布Qtの測定で用いる複数のノズルの組み合わせ(例えば、図7の吐出パターンPat1〜Pat3)は、いずれも実際の吐出に用いるノズルの組み合わせである。そのため、実際の吐出に用いる吐出パターンの吐出量の分布(例えば、図7の吐出量の分布Q1〜Q3)に近似した分布が得られる。よって、このような吐出量の分布Qtに基づいて各ノズルNの吐出量を調節した場合には、実際の吐出に用いる吐出パターンの吐出量の分布に基づいて吐出量を調節した場合に比べて吐出量の均一性が大きく損なわれることはない。
【0235】
なお、上記の実施形態では、1つの液滴吐出ヘッド5とそれに対応する1つの駆動回路基板30を例示して説明したが、これら液滴吐出ヘッド5及び駆動回路基板30が複数であっても同様な構成、動作を採用することができる。また、駆動素子として圧電素子を例示して説明したが、これに限らず、駆動信号に応じてキャビティ24の容積を変化させて液滴を吐出することが可能な素子ならば他の駆動素子を使用しても良い。また、上記実施形態では、4種類の駆動信号COM1〜COM4を使用する場合を例示して説明したが、装置コストや駆動回路基板30のサイズなどの設計条件に応じて、さらに複数種類の駆動信号を使用しても良い。
【符号の説明】
【0236】
5…液滴吐出ヘッド、11…制御装置(制御手段)、13…吐出量測定装置、16…シート部材(記録媒体)、17…撮像装置、30…駆動回路基板(制御手段)、32…描画データメモリ(第1の記憶手段)、34,35…駆動波形メモリ(第2の記憶手段)、36〜39…D/Aコンバータ(駆動信号生成手段)、40…COM選択回路(駆動信号選択手段)、50…スイッチング回路(供給切替手段)、GP…区画領域の配置間隔、IJ…液滴吐出装置、L…液滴、N1〜N180…ノズル、P…カラーフィルタ基板、PX…区画領域、PZ,PZ1〜PZ180…圧電素子(駆動素子)、Q1〜Q4…ノズルの吐出特性、Qt…複数の吐出パターンについての平均的な吐出量の分布、SIA…吐出データ、SIB…COM選択データ(駆動信号選択データ)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液滴を吐出する複数のノズルと、前記複数のノズルに対応して設けられた複数の駆動素子とを有する液滴吐出ヘッドを備え、前記液滴吐出ヘッドを基板上の第1方向及び該第1方向と直交する第2方向にそれぞれ所定の移動間隔で主走査及び副走査しながら前記複数のノズルから所定のタイミングで液滴を吐出することにより、前記基板上の前記第1方向及び前記第2方向に所定の間隔で配置された複数の区画領域に対してそれぞれ液滴を吐出する液滴吐出装置であって、
前記複数のノズルからの液滴の吐出動作を制御すると共に、予め測定された前記複数のノズルからの液滴の吐出量の分布に基づいて、各ノズルから吐出される液滴の吐出量が所定の適正量に近づくように前記複数の駆動素子の駆動波形を制御する制御手段と、を備え、
前記基板上には、前記第1方向に第1間隔で配列された複数の第1区画領域からなる第1吐出領域と、前記第1方向に前記第1間隔とは異なる第2間隔で配列された複数の第2区画領域からなる第2吐出領域とが設けられ、
前記液滴吐出ヘッドの前記第2方向への移動間隔は前記第1間隔の整数倍とされ、
前記制御手段は、前記第1区画領域に対して液滴を吐出するときには、前記複数のノズルのうち1主走査毎に選択されうる特定のノズルについて予め測定された前記液滴の吐出量の分布に基づいて、前記特定のノズルから吐出される液滴の吐出量が前記所定の適正量に近づくように前記特定のノズルに対応する前記駆動素子の駆動波形を制御し、
前記第2区画領域に対して液滴を吐出するときには、前記複数のノズルのうち1主走査毎に選択され得る全てのノズルの組み合わせについて予め測定された、各組み合わせにおける平均的な液滴の吐出量の分布に基づいて、前記複数のノズルから吐出される液滴の吐出量が前記所定の適正量に近づくように前記複数の駆動素子の駆動波形を制御することを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項2】
前記複数のノズルから液滴が吐出される記録媒体と、前記記録媒体上に吐出された前記液滴の画像を撮像する撮像装置と、を有する吐出量測定装置を備え、
前記制御手段は、前記撮像装置によって撮像された液滴の画像を画像処理し、前記液滴の前記記録媒体上の着弾面積を求め、前記着弾面積に基づいて前記複数のノズルから吐出された液滴の吐出量の分布を求めることを特徴とする請求項1に記載の液滴吐出装置。
【請求項3】
前記記録媒体は、顔料をバインダーで結着させた多孔質のインク受容層を有する可撓性のシート部材であり、
前記吐出量測定装置は、前記記録媒体を供給する供給リールと、前記供給リールから供給された前記記録媒体を巻き取る巻き取りリールと、を備えていることを特徴とする請求項2に記載の液滴吐出装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記駆動素子毎に複数種類の駆動信号の中から1つを選択して供給する駆動信号選択手段と、前記駆動素子と当該駆動素子に供給する駆動信号の種類との対応関係を示す駆動信号選択データを記憶する第1の記憶手段と、前記複数種類の駆動信号の波形データを記憶する第2の記憶手段と、前記第2の記憶手段から前記複数種類の駆動信号の波形データを取得し、当該波形データに基づいて前記複数種類の駆動信号を生成する駆動信号生成手段と、を備え、
前記駆動信号選択手段は、前記第1の記憶手段に記憶されている前記駆動信号選択データに基づいて、各駆動素子に供給する駆動信号の種類を前記駆動信号生成手段が生成した駆動信号の中から選択することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の液滴吐出装置。
【請求項5】
前記第1の記憶手段は、前記駆動素子と当該駆動素子に駆動信号を供給するか否かを規定する情報との対応関係を示す吐出データを記憶し、
前記吐出データに基づいて、前記駆動素子毎に、前記駆動信号選択手段によって選択した駆動信号の供給または非供給を切り替える供給切替手段を備えることを特徴とする請求項4に記載の液滴吐出装置。
【請求項6】
前記駆動信号選択手段及び供給切替手段を前記液滴吐出ヘッドに設け、
前記第1の記憶手段、前記第2の記憶手段及び前記駆動信号生成手段が設けられた駆動回路基板を備えることを特徴とする請求項5に記載の液滴吐出装置。
【請求項7】
前記駆動信号の種類は4種類であることを特徴とする請求項6に記載の液滴吐出装置。
【請求項8】
前記駆動素子は圧電素子であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の液滴吐出装置。
【請求項9】
液滴を吐出する複数のノズルと、前記複数のノズルに対応して設けられた複数の駆動素子とを有する液滴吐出ヘッドを用い、前記液滴吐出ヘッドを基板上の第1方向及び該第1方向と直交する第2方向にそれぞれ所定の移動間隔で主走査及び副走査しながら前記複数のノズルから所定のタイミングで液滴を吐出することにより、前記基板上の前記第1方向及び前記第2方向に所定の間隔で配置された複数の区画領域に対してそれぞれ液滴を吐出する工程を含む薄膜形成方法であって、
前記基板上には、前記第1方向に第1間隔で配列された複数の第1区画領域からなる第1吐出領域と、前記第1方向に前記第1間隔とは異なる第2間隔で配列された複数の第2区画領域からなる第2吐出領域とが設けられ、
前記液滴吐出ヘッドの前記第2方向への移動間隔は前記第1間隔の整数倍とされ、
前記第1区画領域に対して液滴を吐出するときには、前記複数のノズルのうち1主走査毎に選択されうる特定のノズルについて予め測定された前記液滴の吐出量の分布に基づいて、前記特定のノズルから吐出される液滴の吐出量が前記所定の適正量に近づくように前記特定のノズルに対応する前記駆動素子の駆動波形を制御し、
前記第2区画領域に対して液滴を吐出するときには、前記複数のノズルのうち1主走査毎に選択され得る全てのノズルの組み合わせについて予め測定された、各組み合わせにおける平均的な液滴の吐出量の分布に基づいて、前記複数のノズルから吐出される液滴の吐出量が前記所定の適正量に近づくように前記複数の駆動素子の駆動波形を制御することを特徴とする薄膜形成方法。
【請求項10】
前記液滴の吐出量の分布は、前記液滴吐出ヘッドから記録媒体上に液滴を吐出し、前記記録媒体上に着弾した液滴の画像を撮像装置によって撮像し、前記撮像装置によって撮像された前記液滴の画像から前記記録媒体上の前記液滴の着弾面積を測定し、前記着弾面積に基づいて前記液滴の吐出量を算出することにより求められることを特徴とする請求項9に記載の薄膜形成方法。
【請求項1】
液滴を吐出する複数のノズルと、前記複数のノズルに対応して設けられた複数の駆動素子とを有する液滴吐出ヘッドを備え、前記液滴吐出ヘッドを基板上の第1方向及び該第1方向と直交する第2方向にそれぞれ所定の移動間隔で主走査及び副走査しながら前記複数のノズルから所定のタイミングで液滴を吐出することにより、前記基板上の前記第1方向及び前記第2方向に所定の間隔で配置された複数の区画領域に対してそれぞれ液滴を吐出する液滴吐出装置であって、
前記複数のノズルからの液滴の吐出動作を制御すると共に、予め測定された前記複数のノズルからの液滴の吐出量の分布に基づいて、各ノズルから吐出される液滴の吐出量が所定の適正量に近づくように前記複数の駆動素子の駆動波形を制御する制御手段と、を備え、
前記基板上には、前記第1方向に第1間隔で配列された複数の第1区画領域からなる第1吐出領域と、前記第1方向に前記第1間隔とは異なる第2間隔で配列された複数の第2区画領域からなる第2吐出領域とが設けられ、
前記液滴吐出ヘッドの前記第2方向への移動間隔は前記第1間隔の整数倍とされ、
前記制御手段は、前記第1区画領域に対して液滴を吐出するときには、前記複数のノズルのうち1主走査毎に選択されうる特定のノズルについて予め測定された前記液滴の吐出量の分布に基づいて、前記特定のノズルから吐出される液滴の吐出量が前記所定の適正量に近づくように前記特定のノズルに対応する前記駆動素子の駆動波形を制御し、
前記第2区画領域に対して液滴を吐出するときには、前記複数のノズルのうち1主走査毎に選択され得る全てのノズルの組み合わせについて予め測定された、各組み合わせにおける平均的な液滴の吐出量の分布に基づいて、前記複数のノズルから吐出される液滴の吐出量が前記所定の適正量に近づくように前記複数の駆動素子の駆動波形を制御することを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項2】
前記複数のノズルから液滴が吐出される記録媒体と、前記記録媒体上に吐出された前記液滴の画像を撮像する撮像装置と、を有する吐出量測定装置を備え、
前記制御手段は、前記撮像装置によって撮像された液滴の画像を画像処理し、前記液滴の前記記録媒体上の着弾面積を求め、前記着弾面積に基づいて前記複数のノズルから吐出された液滴の吐出量の分布を求めることを特徴とする請求項1に記載の液滴吐出装置。
【請求項3】
前記記録媒体は、顔料をバインダーで結着させた多孔質のインク受容層を有する可撓性のシート部材であり、
前記吐出量測定装置は、前記記録媒体を供給する供給リールと、前記供給リールから供給された前記記録媒体を巻き取る巻き取りリールと、を備えていることを特徴とする請求項2に記載の液滴吐出装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記駆動素子毎に複数種類の駆動信号の中から1つを選択して供給する駆動信号選択手段と、前記駆動素子と当該駆動素子に供給する駆動信号の種類との対応関係を示す駆動信号選択データを記憶する第1の記憶手段と、前記複数種類の駆動信号の波形データを記憶する第2の記憶手段と、前記第2の記憶手段から前記複数種類の駆動信号の波形データを取得し、当該波形データに基づいて前記複数種類の駆動信号を生成する駆動信号生成手段と、を備え、
前記駆動信号選択手段は、前記第1の記憶手段に記憶されている前記駆動信号選択データに基づいて、各駆動素子に供給する駆動信号の種類を前記駆動信号生成手段が生成した駆動信号の中から選択することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の液滴吐出装置。
【請求項5】
前記第1の記憶手段は、前記駆動素子と当該駆動素子に駆動信号を供給するか否かを規定する情報との対応関係を示す吐出データを記憶し、
前記吐出データに基づいて、前記駆動素子毎に、前記駆動信号選択手段によって選択した駆動信号の供給または非供給を切り替える供給切替手段を備えることを特徴とする請求項4に記載の液滴吐出装置。
【請求項6】
前記駆動信号選択手段及び供給切替手段を前記液滴吐出ヘッドに設け、
前記第1の記憶手段、前記第2の記憶手段及び前記駆動信号生成手段が設けられた駆動回路基板を備えることを特徴とする請求項5に記載の液滴吐出装置。
【請求項7】
前記駆動信号の種類は4種類であることを特徴とする請求項6に記載の液滴吐出装置。
【請求項8】
前記駆動素子は圧電素子であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の液滴吐出装置。
【請求項9】
液滴を吐出する複数のノズルと、前記複数のノズルに対応して設けられた複数の駆動素子とを有する液滴吐出ヘッドを用い、前記液滴吐出ヘッドを基板上の第1方向及び該第1方向と直交する第2方向にそれぞれ所定の移動間隔で主走査及び副走査しながら前記複数のノズルから所定のタイミングで液滴を吐出することにより、前記基板上の前記第1方向及び前記第2方向に所定の間隔で配置された複数の区画領域に対してそれぞれ液滴を吐出する工程を含む薄膜形成方法であって、
前記基板上には、前記第1方向に第1間隔で配列された複数の第1区画領域からなる第1吐出領域と、前記第1方向に前記第1間隔とは異なる第2間隔で配列された複数の第2区画領域からなる第2吐出領域とが設けられ、
前記液滴吐出ヘッドの前記第2方向への移動間隔は前記第1間隔の整数倍とされ、
前記第1区画領域に対して液滴を吐出するときには、前記複数のノズルのうち1主走査毎に選択されうる特定のノズルについて予め測定された前記液滴の吐出量の分布に基づいて、前記特定のノズルから吐出される液滴の吐出量が前記所定の適正量に近づくように前記特定のノズルに対応する前記駆動素子の駆動波形を制御し、
前記第2区画領域に対して液滴を吐出するときには、前記複数のノズルのうち1主走査毎に選択され得る全てのノズルの組み合わせについて予め測定された、各組み合わせにおける平均的な液滴の吐出量の分布に基づいて、前記複数のノズルから吐出される液滴の吐出量が前記所定の適正量に近づくように前記複数の駆動素子の駆動波形を制御することを特徴とする薄膜形成方法。
【請求項10】
前記液滴の吐出量の分布は、前記液滴吐出ヘッドから記録媒体上に液滴を吐出し、前記記録媒体上に着弾した液滴の画像を撮像装置によって撮像し、前記撮像装置によって撮像された前記液滴の画像から前記記録媒体上の前記液滴の着弾面積を測定し、前記着弾面積に基づいて前記液滴の吐出量を算出することにより求められることを特徴とする請求項9に記載の薄膜形成方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
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【図4】
【図5】
【図6】
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【図8】
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【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2010−227762(P2010−227762A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−75906(P2009−75906)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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