説明

液滴吐出装置および画像形成装置

【課題】低コストで小スペースな空吐出受けで、高効率に空吐インクのミストと廃液を回収して、発生するミストの空吐出部外部への飛散を抑えることが可能な構成を備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】ライン型記録ヘッド108を対象として、空吐出液を収容する空間を備えた空吐出受け300には、収容した主滴を吸引する吸引孔303およびミストを吸引する吸引孔304が設けられ、吸引孔303,304は、記録ヘッドの奇数列および偶数列同士に纏められて吸引路3030,3040,303E,304Eに接続され、各吸引路3030,3040,303E,304Eでの吸引状態を選択する手段3100により、奇数列と偶数列との一方側での吸引を行うことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液滴吐出装置および画像形成装置に関し、さらに詳しくは、液滴吐出部を対象としたメンテナンス構造に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、プリンタ、ファクシミリ装置や複写装置あるいはプロッタさらにはこれら機能を併せ持つ複合機などの画像形成装置の一つに、インク液滴を吐出する記録ヘッドを用いた液体吐出記録方式によるインクジェット記録装置がある。
【0003】
この液体吐出記録方式のインクジェット記録装置は、記録ヘッドからインク滴を、搬送される用紙などが用いられる記録媒体(以下、記録媒体を記録用紙と表現する場合もある)に対して吐出して、画像形成(記録、印字、印写、印刷も同義語で使用する)が可能となる。そして、液滴吐出型式の一つとして、ライン型と称されるものがある。
【0004】
ライン型は、記録用紙の1辺の全域に対応して液滴吐出ノズルが配列されているラインヘッドを用いる構成を備え、シリアル方式のような液滴吐出ヘッドを移動させることなく記録用紙のみを搬送するだけで済むのでシリアル方式に比べて高速化できる利点を有している。
【0005】
インクジェット記録装置では、インク吐出機能を正常な状態に維持回復するためのノズル機能維持回復装置が装備されている。
ノズル機能維持回復装置に設定されている機能としては、インクの蒸発を抑えるために、ノズル面を高い密閉性を持たせる保湿用キャップで覆うキャップ機能や、ノズル孔内に発生した気泡などによる吐出不良を記録液の充填圧送により排出する排出回復機能と、ノズル面に付着して液滴の飛翔状態を変化させる原因となる残留インクを払拭するワイピング機能などがある。
【0006】
特に、ワイピングによるノズル面の清浄後、ノズルのメニスカスが未だ正常な状態に戻っていないため、空吐出受けに空吐出してメニスカスを正常な状態に戻す処理が必要となる。
【0007】
ところで、空吐出に際しては、比較的大粒でほぼ直線状に吐出されて空吐出受けに到達する主滴の他に、微細化してミスト状となって浮遊する液滴もある。このミストが空吐出受けから漏れ出して機内の汚染を招き、品質劣化や故障を招く原因となることが知られている(例えば、特許文献1)。
【0008】
主滴に加えてミストを捕集するために、上述した空吐出受けが用いられるが、空吐出受けのサイズが小さいと、空吐出受け外部へのミストの飛散がより多くなる虞がある。つまり、装置の小型化を図るなどの目的で上述した空吐出受けの小サイズ化が考えられる。
【0009】
このような場合には、空吐出受け内の廃インクレベルが上昇し、インクを受け入れる空間が少なくなることから、上昇したインクレベル、つまり上昇した液面に向けて空吐出された主滴の衝撃により廃インクが飛散してミストを発生することもある。小サイズの空吐出受けを用いた場合には、廃インクレベルが高くなることで満杯状態に短時間で到達してしまい、このため、空吐出受けの交換頻度が高まる虞もある。
【0010】
液滴吐出形式の一つであえるライン型の場合には、複数のヘッドをライン上に配置し、各ヘッドから一斉にインク滴を吐出することから、1回の空吐出量も多くなり、結果として、ミストが空吐出受け外部に飛散しやすくなると共に空吐出受けもすぐに満杯状態になりやすくなる。
【0011】
ミスト飛散と廃インクの早期満タンを解消する手段として、空吐出受けの構造として、空吐液を受け入れるサブタンクと、サブタンクの底部に対して着脱可能に結合されて空吐液を収容するメインタンクとを備え、サブタンクには、開閉可能な扉を設けた構造が提案されている。この構造において、空吐出される空吐液に混じって飛散しようとするミストを吸引ファンにより誘引する構成も提案されている(例えば、特許文献2)。
【0012】
図9は、特許文献2に開示された構成を示す図であり、図9(A)は、空吐出受けの側面図、図9(B)は空吐出受けの平面図である。
図9において、ミストの誘引に吸引ダクトや吸引ファンが各ヘッドにそれぞれ備えられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
図9に示した構成では、吸引ダクトや吸引ファンを設けることにより空吐出受けの構造が大型化し、吸引ファンの数も多くなり、コスト高となる虞がある。
また、図9(A)において一点鎖線で示すように、空吐出受け内の殆どを吸引する構成であるために、ミストの吸引に関わらない部分にも吸引作用が及び、吸引効率が悪化する虞もある。
【0014】
さらに図9に示す構成では、サブタンクとメインタンクとを分けているが、空吐出受けに空吐出の廃液を蓄積することから、交換頻度を少なくするには、メインタンクを大きくしなければならない。
また、空吐出の廃液を空吐出受けのメインタンクでなく、維持回復時の吸引での廃液を蓄積する廃液タンクに送ろうとしても、複数のチューブを配置して、メインタンクから廃液タンクに送り込まなければならず、コストが大きくなってしまうという新たな問題が生じる。
【0015】
本発明の目的は、上記従来の画像形成装置、特にインクジェット記録装置における問題点に鑑み、ラインヘッド式の液体吐出装置を備えた画像形成装置において、ラインヘッドから空吐出部へ空吐出液を空吐出する際に、低コストで小スペースな空吐出受けで、高効率に空吐インクのミストと廃液を回収して、発生するミストの空吐出部外部への飛散を抑えることが可能な構成を備えた画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
この目的を達成するため、本発明は、液滴を吐出するノズルを備えた記録ヘッドが複数配列されたラインヘッドと、
前記ノズルから空吐出された空吐出液を収容する液体受け部とを備えた画像形成装置であって、
前記液体受け部には、前記ラインヘッドに対応して複数設けられた液体吸引部が設けられ、
前記液体吸引部は、前記複数の記録ヘッドを所定条件に基づき纏めて連結される吸引路を備え、
前吸引路には、前記複数毎に纏められた記録ヘッドを選択的に吸引対象とする吸引選択機構が設けられていることを特徴とする画像形成装置にある。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、空吐出液を収容する液体受け部に設けられている液体吸引部が、複数の記録ヘッドを所定条件に基づき纏めて連結される吸引路を備え、この吸引路が選択的に吸引状態を設定されるようになっている。
これにより、複数の記録ヘッドを一括して吸引する場合と違って、吸引部に作用する吸引力を強くすることができる。この結果、小スペースであっても高効率により、空吐出される主滴はもちろん、浮遊しようとするミストの捕捉力も強められてミストが外部に漏洩するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】一実施形態にかかる画像形成装置を説明するための模式図である。
【図2】図1に示した画像形成装置に用いられるラインヘッドの構成を示す平面図である。
【図3】図1に示した画像形成装置に装備されている空吐出受け部の構成を説明するための模式的な平面図である。
【図4】図3に示した空吐出受け部の構成を説明するための模式的な側面図である。
【図5】図3に示した空吐出受け部を対象としたエア供給回路を示す図である。
【図6】図3に示した空吐出受け部に用いられる構成の他の例を説明する平面図である。
【図7】図6に示した構成による作用を説明するための側面図である。
【図8】図3に示した空吐出受け部に用いられる構成の別例を説明するための平面図である。
【図9】従来の空吐出受け部の構成を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図示実施例により本発明を実施するための形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置1000の全体を説明する概略構成図である。
同図において、用紙100の移動を用いて機能と共に構成を説明すると次の通りである。
【0020】
給紙トレイ101積載された用紙100は、給紙コロ102によって、図1の波線で示した搬送経路に搬送される。
搬送経路に搬送された用紙100は、レジストローラ対103を経由して、ベルト搬送ユニット104へ搬送される。
ベルト搬送ユニット104は、所定のタイミングにて駆動される搬送ローラ105とテンションローラ106と搬送ベルト107によって構成されている。搬送ベルト107は、無端状ベルトとなっている。
ベルト搬送ユニット104による用紙100の保持は、静電吸着、空気吸引による吸着等による手段や、その他の公知の手段を用いることができる。
【0021】
用紙100は、ベルト搬送ユニット104に搬送されて、記録ヘッドユニット108の下方を通過して、画像が形成される。
記録ヘッドユニット108で画像を形成した用紙100上には、未乾燥インクが付着している。この未乾燥インクを乾燥するために、図示はしないが、デカーラユニット109までの間に、ヒータや温風などの乾燥機構を設けることもできる。
【0022】
用紙100は記録ヘッドユニット108にて画像を形成後、デカーラユニット109に搬送されて、デカールされる。
デカーラユニット109を通過した用紙100は、そのまま排紙の場合、分離爪110によって、搬送経路111を経て、そのまま排紙ローラ112へ搬送されて排紙される。
反転排紙もしくは裏面を印字する場合は、分離爪110から、搬送経路113を通過し、分離爪114を経て、たたきコロ115に送られる。
【0023】
たたきコロ115に送られた用紙100は、たたきコロ115によって、逆向きに搬送され、分離爪114を経て、両面反転ローラ116に送られる。そのまま反転排紙の際は、両面反転ローラ121は反時計回りに回転して、用紙100は搬送経路117を通過して、排紙ローラ112へ送られて排紙される。裏面を印字する際には、両面反転ローラ116は時計周りに回転して、搬送経路118を通過して、レジストローラ対103へ送られる。
【0024】
図2には、画像形成装置の印刷部の平面図が示されている。
記録ヘッドユニット108は、液滴を吐出する複数のノズルを用紙幅相当分の長さに配列したノズル列を有するライン型液体吐出ヘッドから構成されている。
記録ヘッドユニット108は、イエロー(Y)とマゼンタ(M)の記録ヘッド(便宜上、色を区別する意味でハイフォンを付けて108m-yと表示する)、シアン(C)とブラック(K)の記録ヘッド(便宜上、色を区別する意味でハイフォンを付けて108k-cと表示する)をそれぞれ備えている。
記録ヘッドユニット108は、各ヘッドが奇数列と偶数列の千鳥配列されている。図2では、括弧書きの数字により奇数列及び偶数列がわかるように表示されている。
【0025】
一方、図1において、記録ヘッドユニット108の性能を維持回復するために、維持ユニット200が備えられている。
維持ユニット200は、ヘッドユニット108のインクを吸引するキャップ201、吸引した際にヘッドに付着したインクを払拭するワイパー202、空吐出のインクを収容する空吐出受け300を備えている。
【0026】
維持回復をする際に、ヘッドユニット108が上昇し、維持ユニット200が各ヘッドユニット108の下まで移動して、維持回復動作が行われる。また、維持ユニット200のキャップ201は、待機時には、記録ヘッドユニット108kcの湿度を保つ保湿キャップも担っており、記録ヘッド108m-yは、保湿キャップユニット203によって湿度を保つ。
非印刷時には、ヘッドユニット108が上昇して、維持ユニット200と保湿キャップユニット203は各ヘッドユニット108の下まで移動して、保湿キャッピングを行う。
【0027】
上述した画像形成装置における記録ヘッドユニット108の構成を対象として、本実施例の特徴を説明すると次の通りである。
図3は、図1において符号300で示した空吐出受けの構成を示しており、図3(A)は、平面図、図3(B)は側面図である。
図3において空吐出受け300は、記録ヘッドユニット108側の記録ヘッドから空吐出される空吐出液を収容する液体受け部であり、記録ヘッドに対向する面には、ヘッドユニット108の大きさとほぼ同じ程度の開口部301を持ち、空吐出によるインク的を収容する空間302を備えている。
【0028】
開口部301は、記録ヘッドユニット108側から吐出されたインク滴が入り込む部分であり、開口部301を通過したインク滴は、空間302に収容される。
【0029】
空吐出受け300を構成する空間302には、液体吸引部が設けられている。
液体吸引部は、空吐出により空間302に溜まったインク滴を吸引する複数の吸引孔群303と、空吐出の際に空吐出受け300から外部に漏れ出るミストを吸引する複数の吸引孔群304を備えており、これら各吸引孔群303,304は、後述する吸引路に接続されているバキュームポンプ306を介して、図示しない廃液タンクに連通している。
【0030】
液体吸引部として用いられる吸引孔のうちで、空間302内に収容されたインク滴の吸引を行う吸引孔群303は、空間302の底面で開口し、ミストを吸引する吸引孔群304は、空間302の内壁面に開口している。
これら吸引孔群303,304は、記録ヘッドに対応して複数設けられ、空間302内の開口位置とバキュームポンプ306との間に設けられる吸引路が次の条件で纏められている。
【0031】
吸引孔群303および304は、記録ヘッドユニット108の記録ヘッドの配列条件である奇数列および偶数列に合わせた配列で設けられている。
図2において、各記録ヘッドを対象として数字により奇数列および偶数列の該当ヘッドを示すと、これに対応して図3において同じく数字により示す奇数列および偶数列に吸引孔303,304が設けられている。
【0032】
これら各吸引孔303,304は、奇数列及び偶数列同士で纏められて吸引路に連結されている。
ここで各吸引孔303,304の設置位置を説明すると、図4に示すように、空間302の底面に設けられている吸引孔303は、図3において上下方向中央に配列され、吸引孔304は、奇数列と偶数列とで互い違いの関係で吸引孔303の中心線上に配列されている。
奇数列での吸引孔303は纏められてバキュームポンプ306に連通する第1の吸引路3030に接続され、偶数列での吸引孔303は纏められてバキュームポンプ306に連通する第2の吸引路303Eに接続されている。
【0033】
奇数列での吸引孔304は纏められてバキュームポンプ306に連通する第3の吸引路3040に接続され、偶数列での吸引孔304は纏められてバキュームポンプ306に連通する第4の吸引路304Eに接続されている。
【0034】
図3において、吸引孔303,304は、奇数列及び偶数列毎で纏められてそれぞれ吸引路に接続されるが、各吸引路では、奇数列及び偶数列毎に流路が纏められてバキュームポンプ306に連通されている。
【0035】
奇数列を対象とした吸引路3030,3040と偶数列を対象とした吸引路303E,304Eとは、それぞれバキュームポンプ306に連通されているが、纏められた吸引路とバキュームポンプ306との間に設けられた開閉弁3050,305Eからなる吸引選択機構によって各吸引路での吸引状態が設定されるようになっている。
【0036】
図5は、上述した吸引孔303,304と吸引路との接続状態を示す回路図であり、同図に示すように、奇数列の吸引孔303は、第1の吸引路3030に纏めて接続され、奇数列の吸引孔304は、第2の吸引路3040に纏めて接続されている。
偶数列の吸引孔303は、第3の吸引路303Eに纏めて接続され、偶数列の吸引孔304は、第4の吸引路304Eに纏めて接続されている。
【0037】
図5に示す構成では、図3に示した吸引選択機構の構成が異なる。
つまり、吸引選択機構は、各吸引路が接続された電磁式3ポート2方向切替弁3100が用いられている。
方向切替弁3100の駆動形態を選択することにより上述した場合と同様な吸引路への吸引状態の切替が行える。
【0038】
吸引選択機構をなす開閉弁3050,305Eの開閉選択あるいは方向切替弁3100の態位設定により、奇数列側の吸引路あるいは偶数列側の吸引路のいずれかに対してのみ、バキュームポンプ306の吸引力が作用する。
これにより、一方の吸引路に対してのみ重点的に吸引力が作用することになるので、ミストやインク滴に対する吸引力が集中して吸引効果が高められることになる。
【0039】
以上の構成においては、記録ヘッドユニット108における奇数列の記録ヘッドの空吐出が終了したら、空吐出受け300は、記録ヘッドユニット108における偶数列の記録ヘッドの下に対向するように移動する。
そして、図3に示した吸引選択機構の場合、弁3050が閉じられ、弁305Eが開いて、吸引路303E及び吸引路304Eで吸引が行われながら、偶数列のヘッドユニット108が空吐出を行う。
吸引孔303と304の奇数列と偶数列に分けて吸引を行っているが、それぞれの吸引孔に弁を取り付けて、個別に吸引を行ってもよい。
【0040】
吸引孔に関しては、図3において符号303や304で示した配置や数で無くても、インク収容空間に見合った配置や数が良い。
また、空吐出の廃液だけでなく、維持回復時のキャップ201を用いた際の吸引での廃液やワイパー202で払拭した際の廃液を吸引する回路と弁を空吐出受けの回路に設けて、一つのポンプ306で全ての廃液を吸引しても良い。
さらに、空吐出の廃液を吸引孔303で回収しやすくするために、吸引孔303付近をスロープ形状にするのが望ましい。
【0041】
また、空吐出受けに吸収体を入れて、吸収体と吸引孔303で空吐出受け全体を吸引して廃液を回収しても良い。また、各吸引孔304での吸引量を等しくするために、吸引孔304が吸引ポンプ306に離れるにしたがって、吸引孔までの回路の径が大きくなったり、吸引ポンプ306に近い吸引孔304ほど吸引回路が長くなっている構成が望ましい。
【0042】
次に上記構成での要部変形例について説明する。
図6に示す構成は、図3に示した開口301の構成に特徴がある。
つまり、図3に示した開口301は、ヘッドユニット108側での記録ヘッド全体が空間302に対向できるサイズとされていた。
これに対し、図6に示す開口301は、図2に示したように、記録ヘッドユニット108の奇数列と偶数列との間隔により前後にずらして形成されている。
吐出液受け300は、奇数列及び偶数列の記録ヘッドからの空吐出に際しては、奇数列および偶数列に応じて開口301の位置を記録ヘッドユニット108において対応するノズル群に向けて前後に移動させる。
【0043】
この構成においては、奇数列および偶数列での空吐出に際して、開口301の位相と空吐出対象のヘッドユニット108との位相を一致させることができる。
つまり、空吐出時のインクの挙動を示す図7において説明すると、空吐出受け300に吐出されたインクはミストとなって、矢印のように空吐出をしていな空間に舞い上がり、外部へ漏れ出てしまう。
このため、空吐出をしていないヘッド列部分の開口部はなるべく閉じている方が良い。従って、図6に示すように、空吐出受け開口部301を、ヘッドユニット108の奇数列と偶数列の間隔で、前後にずらすことによって、限られたサイズでも、空吐出をしていないヘッド列部分の開口部が狭くなりミストの外部への漏れ出し少なくすることができる。
【0044】
このように、空吐出対象にないヘッド列での開口からミストが外部に漏れ出すのを防止する構成として、図8に示す構成とすることも可能である。
図8において空吐出受け300には、図2に示した構成の記録ヘッドユニット108を対象として、奇数列および偶数列のヘッド列のいずれかが空吐出されている場合に、空吐出されないヘッド列が対向する開口を遮蔽する構成が用いられている。
図8(A)は、ヘッドユニット108での奇数列を空吐出した場合を示し、図8(B)は、ヘッドユニット108の偶数列を空吐出した場合を示している。
【0045】
つまり、空吐出受け300には、図2に示した記録ヘッドユニット108での奇数列を対象とした間隔の開口301’を備えて、記録ヘッド対応する開口を開閉する仕切り板307を用いた開閉機構が設けられている。
仕切り板307は、主走査方向に移動することで奇数列の配置間隔から偶数列の配置間隔へと開口301’の位相を変化させることができる。
【0046】
仕切り板307は、主走査方向一端に配置されているバネ308の弾性力に抗して仕切り位置変更部材309に押し動かされることにより開口301’位相を、奇数列を対象とする場合と偶数列を対象とする場合とに切り換えられるようになっている。
【0047】
この構成においては、仕切り位置変更部材309の駆動制御により、仕切り板307を主走査方向に移動させることにより、奇数列あるいは偶数列の開口301の位相に開口301’の位相を一致させることができる。
【0048】
これにより、空吐出対象でない開口は仕切り板307の非開口部によって塞がれることになるので、図6に示した場合と同様に、ミストの不用意な漏れ出しを防ぐことができる。
【符号の説明】
【0049】
108 ラインヘッドユニット
108m-y,108k-c 記録ヘッド
300 吐出受け
301 開口
302 収容空間
303,304 吸引孔
3030,3040,303E、304E 吸引路
305E、3050 開閉弁
3100 方向切替弁
1000 画像形成装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0050】
【特許文献1】特開2005−14487号公報
【特許文献2】特開2010−5862号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液滴を吐出するノズルを備えた記録ヘッドが複数配列されたラインヘッドと、
前記ノズルから空吐出された空吐出液を収容する液体受け部とを備えた画像形成装置であって、
前記液体受け部には、前記ラインヘッドに対応して複数設けられた液体吸引部が設けられ、
前記液体吸引部は、前記複数の記録ヘッドを所定条件で区分けしたもの同士を纏めた吸引路を備え、
前吸引路には、前記纏められた記録ヘッドに連通する吸引路間での吸引状態を選択する吸引選択機構が設けられていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記所定条件で区分けされる吸引路は、奇数列、偶数列に区分けした記録ヘッド同士を対象として纏められて連結されることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記吸引選択機構は、複数毎に纏められた記録ヘッドに対応する吸引路に接続された吸引手段と、該吸引手段からの吸引作用を、選択された吸引部に作用させる吸引切り換え手段とを備えていることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記吸引選択機構に用いられる吸引手段は前記吸引部を負圧化可能なポンプが用いられ、前記切り換え手段は纏められた記録ヘッド毎に接続されている流路を開閉する遮断弁あるいは方向切替弁が用いられることを特徴とする請求項1または3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記ラインヘッドは前記記録ヘッドが千鳥状に配列された構成を備え、
前記液体吸引部は、前記記録ヘッドのノズルに対向して空吐出液が通過する開口を備え、該開口は、前記記録ヘッドの配列に合わせて千鳥状にずらして形成されていることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記液体吸引部は、前記記録ヘッドのノズルに対向して空吐出液が通過する開口を備え、該開口には、空吐出対象となる開口を選択して開閉可能な開閉機構が設けられていることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−107266(P2013−107266A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−253700(P2011−253700)
【出願日】平成23年11月21日(2011.11.21)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】