説明

液滴吐出装置

【課題】吐出性の優れた液滴吐出装置を提供する。
【解決手段】供給部から供給される機能液を貯留するとともに、貯留された前記機能液を排出するタンクを含み、前記タンクは、底部と、前記機能液が供給される供給口と、前記機能液が排出される排出口と、を有し、側面視において、前記底部が配置された高さ位置と前記供給口が配置された高さ位置との間の高さ位置に前記排出口が配置された。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液滴吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、印刷用紙等の記録媒体に液体を液滴として吐出する吐出ヘッドを備えた液滴吐出装置が知られている。そして、液滴吐出装置には、吐出ヘッドに供給する液体を貯留する液体貯留部が備えられる。(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−240946号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記した液滴吐出装置では、液体貯留部としてのインクカートリッジと吐出ヘッドとの間にサブタンクが設けられ、サブタンクから吐出ヘッドに液体が供給される。ここで、例えば、供給される液体内に異物等が混入した場合、吐出性が低下してしまう、という課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0006】
[適用例1]本適用例にかかる液滴吐出装置は、供給部から供給される機能液を貯留するとともに、貯留された前記機能液を排出するタンクを含み、前記タンクは、底部と、前記機能液が供給される供給口と、前記機能液が排出される排出口と、を有し、側面視において、前記底部が配置された高さ位置と前記供給口が配置された高さ位置との間の高さ位置に前記排出口が配置されたことを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、タンクの底部、供給口および排出口の各配置高さは、側面視において底部の配置の高さが最も低く、排出口の配置位置の高さが次いで高く、供給口が配置された高さが最も高い関係を有する。従って、例えば、供給部から供給された機能液に異物が含まれる場合、異物を底部で捕集することが可能となり、安定した特性を有する機能液を排出口から排出させることができる。
【0008】
[適用例2]上記適用例にかかる液滴吐出装置は、水平方向において、前記供給口と前記排出口との間に前記底部が配置されたことを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、供給口から供給された機能液は、底部介して排出口から排出される。この間に、機能液に異物が含まれていた場合には、底部で異物を捕集できる。従って、安定した特性を有する機能液を排出口から排出させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】液滴吐出装置としてのプリンターの構成を示す模式図。
【図2】サブタンクの構成を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の各図においては、各層や各部材を認識可能な程度の大きさにするため、各層や各部材の尺度を実際とは異ならせて示している。
【0012】
本実施形態における液滴吐出装置は、供給部から供給される機能液を貯留するとともに、貯留された前記機能液を排出するタンクを含み、前記タンクは、底部と、前記機能液が供給される供給口と、前記機能液が排出される排出口と、を有し、側面視において、前記底部が配置された高さ位置と前記供給口が配置された高さ位置との間の高さ位置に前記排出口が配置されたものである。以下、具体的に説明する。なお、本実施形態では、液滴吐出装置としてのインクジェットプリンター(以下、「プリンター」という)を例に挙げて説明する。
【0013】
図1は、液滴吐出装置としてのプリンターの構成を示す模式図である。図1に示すように、プリンター1は、例えば、印刷用紙等の記録媒体Pを搬送する記録媒体搬送ユニット2と、搬送される記録媒体Pに機能液を塗布して記録媒体上に画像等を形成するヘッドユニット3と、ヘッドユニット3に機能液を供給する機能液供給ユニット4等を備えている。
【0014】
まず、記録媒体搬送ユニット2の構成について説明する。記録媒体搬送ユニット2は、記録媒体Pを載置する記録媒体載置部23と、記録媒体Pを所定の方向(本実施形態ではY方向)に搬送する搬送部20と、搬送(排出)された記録媒体Pを保持する記録媒体排出部27等を備えている。そして、搬送部20は、第1搬送部24と、第2搬送部25と、第3搬送部26を備えている。なお、図中の符号R1は、記録媒体載置部23から記録媒体排出部27への記録媒体Pの搬送経路を示している。
【0015】
第1搬送部24は、供給ローラー24aを有している。供給ローラー24aにはモーター(図示せず)が接続されている。そして、モーターを駆動させることにより供給ローラー24aが回転駆動する。これにより、供給ローラー24aが、記録媒体載置部23に載置された記録媒体Pに接触し、接触した際の摩擦力によって記録媒体Pを所定の搬送方向に搬送させることができる。尚、本実施形態では、記録媒体載置部23が供給ローラー24aに対して接離移動する構成となっている。これにより、供給ローラー24aと記録媒体Pとが容易に接触することができる。なお、供給ローラー24aが記録媒体載置部23に対して接離移動する構成であってもよい。すなわち、記録媒体載置部23と供給ローラー24aとが相対的に接離移動する構成であればよい。
【0016】
また、記録媒体載置部23に対して記録媒体Pの搬送方向側に分離手段としてのリタードローラー29が配置されている。リタードローラー29は、所定の負荷を伴って回転するローラーである。これにより、供給ローラー24aによって送られる記録媒体Pが複数枚重なっている場合に余分な記録媒体Pを搬送する記録媒体Pから分離することができるように設けられている。尚、分離手段として、例えば、摩擦係数が高い素材で形成されたパッド等であってもよい。
【0017】
そして、供給ローラー24aによって搬送された記録媒体Pは、案内部22a,22bに倣って第2搬送部25へ案内される。第2搬送部25は、搬送された記録媒体Pをさらに搬送方向(Y方向)に搬送するように構成されている。
【0018】
第2搬送部25は、第1駆動ローラー25aと、従動回転する第1従動ローラー25bとによって構成されている。第1駆動ローラー25aにはモーター(図示せず)が接続されている。そして、モーターを駆動させることにより第1駆動ローラー25aが回転駆動する。第1駆動ローラー25aの駆動により第1従動ローラー25bが従動回転する。これにより、記録媒体Pを第3搬送部26の方向に搬送することができる。
【0019】
そして、第2搬送部25から搬送された記録媒体Pは、ヘッドユニット3に対向する領域を介して第3搬送部26へ案内される。第3搬送部26は、搬送された記録媒体Pをさらに搬送方向(Y方向)に搬送するように構成されている。
【0020】
第3搬送部26は、第2駆動ローラー26aと、従動回転する第2従動ローラー26bとによって構成されている。第2駆動ローラー26aにはモーター(図示せず)が接続されている。そして、モーターを駆動させることにより第2駆動ローラー26aが回転駆動する。第2駆動ローラー26aの駆動により第2従動ローラー26bが従動回転する。これにより、記録媒体Pを記録媒体排出部27の方向に搬送することができる。
【0021】
記録媒体排出部27は、搬送(排出)された記録媒体Pを受け止めて保持するものである。さらに、搬送される複数の記録媒体Pを積層することができるように設けられている。
【0022】
次に、ヘッドユニット3の構成について説明する。ヘッドユニット3は、記録媒体Pに機能液を塗布して記録媒体上に画像等を形成するものである。ヘッドユニット3は、吐出ヘッド31と搬送された記録媒体Pを支持する媒体支持部34を備えている。
【0023】
吐出ヘッド31は、例えば、圧力発生手段としての圧電素子を備えたインクジェットヘッドである。吐出ヘッド31は、ノズル31aが設けられており、圧力発生手段の駆動によってノズル31aから機能液が液滴として吐出される。吐出される機能液は、機能液供給ユニット4から吐出ヘッド31に供給されるように構成されている。なお、圧力発生手段として、振動板と電極との間に静電気を発生させて、静電気力によって振動板を変形させてノズルから液滴を吐出させるいわゆる静電式アクチュエーターなどを使用してもよい。さらには、発熱体を用いてノズル内に泡を発生させ、その泡によって機能液を液滴として吐出させる構成を有する吐出ヘッドであってもよい。
【0024】
媒体支持部34は、吐出ヘッド31と対向する位置に設けられている。そして、記録媒体Pを鉛直方向下方から支持することにより、吐出ヘッド31と記録媒体Pとの間を所定の間隔を保つことができるように設けられている。
【0025】
次に、機能液供給ユニット4について説明する。機能液供給ユニット4は、供給部としてのメインタンク41とタンクとしてのサブタンク42等を備えている。
【0026】
メインタンク41(例えば、インクカートリッジ)には機能液100が貯留されている。そして、メインタンク41は第1流路47を介してサブタンク42に接続されている。サブタンク42は、メインタンク41から供給される機能液100を貯留する。そして、サブタンク42は第2流路48を介して吐出ヘッド31に接続されている。これにより、吐出ヘッド31に機能液100を供給することができる。
【0027】
なお、図1では、1色分(例えば、ブラック)のメインタンク41と、これに対応するサブタンク42を例示しているが、本実施形態のプリンター1では、複数色、例えば、ブラックの他、シアン、マゼンタ、イエロー等の各色に対応する複数のメインタンク41を備え、各メインタンク41に対応するサブタンク42を備えている。また、同色のメインタンク41を複数個備え、各メインタンク41に対応するサブタンク42を備えた構成であってもよい。
【0028】
図2は、サブタンクの構成を示す説明図である。サブタンク42は、メインタンク41から供給される機能液100を貯留するとともに、貯留された機能液100を吐出ヘッド31に排出する機能を有している。図2に示すように、サブタンク42は、機能液100を貯留する容器43を備え、貯留された機能液100の重力方向における最低部となる底部44と、第1流路47側から機能液100が供給される供給口45と、第2流路48側へ機能液100が排出される排出口46と、大気開放口49等を有している。供給口45には貯留される機能液100の貯留量をコントロールするための開閉弁(図示せず)が設けられていて、容器43内の機能液100が大気開放口49から外部で漏れ出すことを防いでいる。そして、側面視において、底部44が配置された高さ位置Haと供給口45が配置された高さ位置Hcとの間の高さ位置Hbに排出口46が配置されている。すなわち、サブタンク42の底部44、供給口45および排出口46の各高さ位置は、側面視において底部44の高さ位置Haが最も低く、排出口46の高さ位置Hbが次いで高く、供給口45の高さ位置Hcが最も高くなっている。なお、排出口46の高さ位置Hbは、排出口46の中心を基準に設定している。
【0029】
さらに、水平方向において、供給口45と排出口46との間に底部44が配置されている。供給口45が容器43に開口する面は、水平面となるように構成されている。これにより供給口45から流入してくる気泡を容器43内で浮上しやすくなり、機能液100に含まれる気泡を分離できるので、排出口46から気泡が流出することを防ぐことができる。排出口46が容器43に開口する面は、垂直面となるように構成されている。これにより容器43の底部44等に補集されている異物が排出口46を通過して流出することを防ぐことができる。ここで供給口45および排出口46の開口する面はそれぞれ厳密に水平面、垂直面である必要ななく、それぞれ水平、垂直に対して±20度の範囲内であれば、同様の効果を得ることができる。
【0030】
以上、上記実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
【0031】
メインタンク41から供給された機能液100に異物が含まれる場合、異物を底部44で捕集することが可能となり、安定した特性を有する機能液100を排出口46から排出させることができる。
【0032】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されず、上述した実施形態に種々の変更や改良などを加えることが可能である。変形例を以下に述べる。
【0033】
(変形例1)本実施形態では、供給部としてのメインタンク41からサブタンク42に機能液100を供給する構成を例に挙げて説明したが、この構成に限定されない。例えば、供給部としての吐出ヘッド31とサブタンク42とを接続し、吐出ヘッド31から機能液100を吸引し、サブタンク42へ機能液を供給し、サブタンク42から機能液100を吐出ヘッド31に対して再び供給する構成であってもよい。このようにしても、上記同様の効果を得ることができる。
【0034】
(変形例2)上記実施形態では、液滴吐出装置としてのプリンター1を例に挙げて説明したが、複写機及びファクシミリ等の各種記録装置に適用することができる。また、記録媒体Pは、印刷用紙に限らず、繊維織物やフィルム等、各種部材に適用することができる。
【符号の説明】
【0035】
1…液滴吐出装置としてのプリンター、2…記録媒体搬送ユニット、3…ヘッドユニット、4…機能液供給ユニット、20…搬送部、31…吐出ヘッド、31a…ノズル、41…供給部としてのメインタンク、42…タンクとしてのサブタンク、43…容器、44…底部、45…供給口、46…排出口、47…第1流路、48…第2流路、49…大気開放口、100…機能液。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給部から供給される機能液を貯留するとともに、貯留された前記機能液を排出するタンクを含み、
前記タンクは、
底部と、
前記機能液が供給される供給口と、
前記機能液が排出される排出口と、を有し、
側面視において、前記底部が配置された高さ位置と前記供給口が配置された高さ位置との間の高さ位置に前記排出口が配置されたことを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液滴吐出装置において、
水平方向において、前記供給口と前記排出口との間に前記底部が配置されたことを特徴とする液滴吐出装置。

【図1】
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【図2】
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