説明

液滴吐出装置

【課題】装置停止時や装置復旧時における作業安全性を確保する。
【解決手段】記録媒体と相対移動させながら、前記記録媒体に向けて紫外線硬化型の機能液を液滴として吐出する吐出ヘッドと前記記録媒体に塗布された前記機能液に対して紫外線を照射する紫外線照射部とを有するヘッドユニットと、停止信号に基づいて、前記記録媒体と前記ヘッドユニットとを相対移動させながら、前記記録媒体に塗布された前記機能液に前記紫外線を照射した後に前記相対移動を停止させる制御部と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液滴吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、記録媒体に向けて紫外線硬化型のインクを吐出する記録ヘッドと、吐出されたインクに対して紫外線を照射する紫外線照射装置と、記録媒体と記録ヘッドとの相対的な走査が正常に行われていないと判断した場合に、紫外線照射装置による紫外線の照射を停止させる制御部を備えた液滴吐出装置が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−188966号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の液滴吐出装置では、記録媒体と記録ヘッドとの相対的な走査が正常でないと判断された場合に、直ぐに紫外線の照射が停止されるので、記録媒体上に塗布されたインクの一部が未硬化状態として残り、例えば、液滴吐出装置の復帰作業等において人体や他の部材に触れてしまい、作業の安全性が低下してしまう、という課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0006】
[適用例1]本適用例にかかる液滴吐出装置は、記録媒体と相対移動させながら、前記記録媒体に向けて紫外線硬化型の機能液を液滴として吐出する吐出ヘッドと前記記録媒体に塗布された前記機能液に対して紫外線を照射する紫外線照射部とを有するヘッドユニットと、指定された停止信号に基づいて、前記記録媒体と前記ヘッドユニットとを相対移動させながら、前記記録媒体に塗布された前記機能液に前記紫外線を照射した後に前記相対移動を停止させる制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、記録媒体に塗布された機能液に紫外線を照射した後に停止されるため、記録媒体上に塗布された機能液が全て硬化された状態となる。このため、例えば、復帰作業等において人体や他の部材に付着しないので、作業面における安全性を確保することができる。
【0008】
[適用例2]上記適用例にかかる液滴吐出装置の前記制御部では、前記指定された停止信号が、前記記録媒体と前記ヘッドユニットとの相対移動に関する停止信号以外の停止信号であることを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、例えば、ユーザーの停止信号(入力)やインク補充等によるインクシステムの停止信号等において、記録媒体上に塗布された機能液が全て硬化された状態となった後に相対移動を停止させることができる。
【0010】
[適用例3]上記適用例にかかる液滴吐出装置の前記制御部では、前記指定された停止信号に基づいて、前記記録媒体と前記ヘッドユニットとの前記相対移動の速度を減速させることを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、相対移動速度が減速するため、作業安全性を確保することができる。
【0012】
[適用例4]上記適用例にかかる液滴吐出装置の前記制御部では、前記指定された停止信号に基づいて、前記紫外線の照射強度を弱めることを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、記録媒体とヘッドユニットとの相対移動の速度を減速させるとともに、紫外線の照射強度を弱めることにより、塗布された機能液を適切に硬化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】液滴吐出装置の構成を示す斜視図。
【図2】吐出ヘッドの構成を示す側断面図。
【図3】液滴吐出装置の制御部の構成を示すブロック図。
【図4】液滴吐出装置の制御方法を示すフローチャート。
【図5】液滴吐出装置の動作を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の各図においては、各部材等を認識可能な程度の大きさにするため、尺度を実際とは異ならせて示している。
【0016】
(液滴吐出装置の構成)
まず、液滴吐出装置の構成について説明する。液滴吐出装置は、記録媒体と相対移動させながら、記録媒体に向けて紫外線硬化型の機能液を液滴として吐出する吐出ヘッドと記録媒体に塗布された機能液に対して紫外線を照射する紫外線照射部とを有するヘッドユニットと、指定された停止信号に基づいて、記録媒体とヘッドユニットとを相対移動させながら、記録媒体に塗布された機能液に紫外線を照射した後に相対移動を停止させる制御部と、を備えたものである。なお、本実施形態における指定された停止信号は、記録媒体とヘッドユニットとの相対移動に関する停止信号以外の停止信号である。以下、詳細に説明する。
【0017】
図1は、液滴吐出装置の構成を示す斜視図である。図1に示すように、液滴吐出装置1には、直方体形状に形成される基台2が備えられている。本実施形態では、この基台2の長手方向をY軸方向とし、同Y軸方向と直交する方向をX軸方向とする。
【0018】
基台2の上面2aには、Y軸方向に延びる一対の案内レール3a,3bが同Y軸方向全幅にわたり凸設されている。その基台2の上側には、一対の案内レール3a,3bに対応する図示しない走査手段を備えたステージ4が取り付けられている。ステージ4は、基板等の記録媒体7を載置するものである。走査手段は、例えば、直動機構であり、当該直動機構は、例えば案内レール3a,3bに沿ってY方向に延びるネジ軸(駆動軸)と、同ネジ軸と螺合するボールナットを備えたネジ式直動機構であって、その駆動軸が、所定のパルス信号を受けてステップ単位で正逆転するY軸モーター(図示しない)に連結されている。そして、所定のステップ数に相対する駆動信号がY軸モーターに入力されると、Y軸モーターが正転又は逆転して、ステージ4が同ステップ数に相当する分だけ、Y軸方向に沿って所定の速度で往動又は、復動する(Y軸方向に走査する)ようになっている。
【0019】
さらに、基台2の上面2aには、案内レール3a,3bと平行にステージ位置検出装置5が配置され、ステージ4の位置が計測できるようになっている。
【0020】
そのステージ4の上面には、載置面6が形成され、その載置面6には、図示しない吸引式のチャック機構が設けられている。そして、載置面6に記録媒体7を載置すると、チャック機構によって、その記録媒体7が載置面6の所定位置に位置決め固定されるようになっている。
【0021】
基台2のX方向両側には、一対の支持台8a,8bが立設され、その一対の支持台8a,8bには、X方向に延びる案内部材9が架設されている。案内部材9は、ステージ4のX方向における幅よりも長く形成され、その一端が支持台8a側に張り出すように配置されている。案内部材9の上側には、吐出する液体を供給可能に収容する収容タンク10が配設されている。一方、その案内部材9の下側には、X方向に延びる案内レール11がX方向全幅にわたり凸設されている。
【0022】
案内レール11に沿って移動可能にヘッドユニット40が配置されている。ヘッドユニット40は、キャリッジ12と吐出ヘッド14と第1及び第2紫外線照射部50a,50bを備えている。
【0023】
キャリッジ12は、略直方体形状に形成されている。そのキャリッジ12の直動機構は、例えば案内レール11に沿ってX軸方向に延びるネジ軸(駆動軸)と、同ネジ軸と螺合するボールナットを備えたネジ式直動機構であって、その駆動軸が、所定のパルス信号を受けてステップ単位で正逆転するX軸モーター(図示しない)に連結されている。そして、所定のステップ数に相当する駆動信号をX軸モーターに入力すると、X軸モーターが正転又は逆転して、キャリッジ12が同ステップ数に相当する分だけX方向に沿って往動又は復動する(X軸方向に走査する)。案内部材9とキャリッジ12との間には、キャリッジ位置検出装置13が配置され、キャリッジ12の位置が計測できるようになっている。そして、キャリッジ12の下面(ステージ4側の面)には、吐出ヘッド14が設置されている。
【0024】
また、キャリッジ12のX軸方向における両端部のそれぞれに第1紫外線照射部50aと第2紫外線照射部50bが配置されている。第1および第2紫外線照射部50a,50bのそれぞれに複数の紫外線光源が設置されている。そして、第1および第2紫外線照射部50a,50bを駆動させることにより紫外線光源から紫外線が照射される。なお、紫外線光源は、LEDの他、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ等適宜適用することができる。
【0025】
基台2の片側の一方(図中X軸方向の逆方向)には、保守用基台15が配置されている。保守用基台15の上面15aには、Y軸方向に延びる一対の案内レール16a,16bが同Y方向全幅にわたり凸設されている。その保守用基台15の上側には、一対の案内レール16a,16bに対応する図示しない直動機構を備えた移動手段を構成する保守ステージ17が取り付けられている。その保守ステージ17の直動機構は、例えばステージ4と同様の直動機構であり、Y軸方向に沿って往動又は、復動するようになっている。
【0026】
保守ステージ17の上には、吐出ヘッド14のメンテナンスを行うヘッドメンテナンス部21が設けられている。ヘッドメンテナンス部21は、フラッシングユニット18とキャッピングユニット19とワイピングユニット20を含む。
【0027】
フラッシングユニット18は、吐出ヘッド14内の流路を洗浄するとき、吐出ヘッド14から吐出する液滴を受ける装置である。吐出ヘッド14内の機能液が硬化した場合や固形物が混入した場合に、吐出ヘッド14から液滴を吐出することにより、機能液の状態を調整したり、固形物等を除去する。フラッシングユニット18は、吐出された液滴を捕集する機能を有している。
【0028】
キャッピングユニット19は、主に、吐出ヘッド14に蓋をするとともに吐出ヘッド14内の機能液を吸引する装置である。吐出ヘッド14から吐出する液滴は、揮発性を有する場合があり、吐出ヘッド14に内在する機能液の溶媒がノズルから揮発すると、機能液の粘度が変わり、ノズルが目詰まりすることがある。キャッピングユニット19は、吐出ヘッド14に蓋をすることで、ノズルが目詰まりすることを防止するようになっている。また、吐出ヘッド14に蓋をした状態で、当該蓋内に負圧をかけ、吐出ヘッド14内の機能液を吸引することにより、吐出ヘッド14内の気泡や異物等を取り除くことができる。
【0029】
ワイピングユニット20は、吐出ヘッド14のノズルが配置されているノズルプレートを拭く装置である。ノズルプレートは、吐出ヘッド14において、記録媒体7と対向する側の面に配置されている部材である。ノズルプレートに液滴が付着しているとき、ノズルプレートに付着している液滴と記録媒体7とが接触して、記録媒体7において、予定外の場所に液滴が付着してしまうことがある。ワイピングユニット20は、ノズルプレートを拭くことにより、予定外の場所に液滴が付着してしまうこと防止することができる。
【0030】
保守用基台15と基台2との間には、重量測定装置22が配置されている。重量測定装置22には、電子天秤が2台設置され、各電子天秤には、受け皿が配置されている。液滴が、吐出ヘッド14から受け皿に吐出され、電子天秤が液滴の重量を測定するようになっている。受け皿は、スポンジ状の吸収体を備え、吐出される液滴が、跳ねて、受け皿の外に出ないようになっている。電子天秤は、吐出ヘッド14が液滴を吐出する前後で、受け皿の重量を測定し、吐出前後の受け皿の重量の差分を測定している。
【0031】
キャリッジ12が、案内レール11に沿って、X軸方向に移動すると、吐出ヘッド14が、ヘッドメンテナンス部21や重量測定装置22や記録媒体7と対向する場所に移動することができるようになっている。
【0032】
(吐出ヘッドの構成)
次に、吐出ヘッドの構成について説明する。図2は、吐出ヘッドの構成を示す断面図である。図2に示すように、吐出ヘッド14は、ノズルプレート30を備え、ノズルプレート30には、ノズル孔31が形成されている。ノズルプレート30の上側であってノズル孔31と相対する位置には、ノズル孔31と連通するキャビティ32が形成されている。そして、吐出ヘッド14のキャビティ32には、収容タンク10に貯留されている機能液33が供給される。
【0033】
キャビティ32の上側には、上下方向(Z方向:縦振動)に振動して、キャビティ32内の容積を拡大縮小する振動板34と、上下方向に伸縮して振動板34を振動させる加圧手段としての圧電素子35が配設されている。圧電素子35が上下方向に伸縮して振動板34を振動し、振動板34がキャビティ32内の容積を拡大縮小してキャビティ32を加圧する。それにより、キャビティ32内の圧力が変動し、キャビティ32内に供給された機能液33は、ノズル孔31を通って吐出されるようになっている。
【0034】
そして、吐出ヘッド14が圧電素子35を制御駆動するための駆動信号を受けると、圧電素子35が伸張して、振動板34がキャビティ32内の容積を縮小する。その結果、吐出ヘッド14のノズル孔31からは、縮小した容積分の機能液33が液滴36として吐出される。なお、本実施形態では、加圧手段として、縦振動型の圧電素子35を用いたが、特に、これに限定されず、例えば、下電極と圧電体層と上電極とを積層形成した撓み変形型の圧電素子を用いてもよい。また、圧力発生手段として、振動板と電極との間に静電気を発生させて、静電気力によって振動板を変形させてノズルから液滴を吐出させるいわゆる静電式アクチュエーターなどを使用してもよい。さらには、発熱体を用いてノズル内に泡を発生させ、その泡によって機能液を液滴として吐出させる構成を有する吐出ヘッドであってもよい。
【0035】
(制御部の構成)
次に、制御部の構成について説明する。図3は、液滴吐出装置の制御部の構成を示すブロックである。図3に示すように、液滴吐出装置1は、制御部38を備えている。制御部38は、指令部130と駆動部140とを備え、指令部130は、CPU132、記憶手段としてのROM133,RAM134および入出力インターフェイス131からなり、CPU132が、ROM133、RAM134のデータに基づき処理し、入出力インターフェイス131を介して駆動部140へ制御信号を出力する。CPU132は、例えば、ROM133に記憶されたプログラムソフトに従って、記録媒体7の表面の所定位置に機能液33を液滴36として吐出するための制御を行うものである。
【0036】
駆動部140は、ヘッドドライバー141、モータードライバー142、ステージ位置検出ドライバー143、キャリッジ位置検出ドライバー144、メンテナンスドライバー145、第1紫外線照射ドライバー147、第2紫外線照射ドライバー148等から構成されている。モータードライバー142は、指令部130の制御信号により、X軸モーターやY軸モーターを制御し、記録媒体7や吐出ヘッド14の移動を制御する。また、メンテナンスドライバー145は、フラッシングユニット18、キャッピングユニット19、ワイピングユニット20のそれぞれを制御する。ヘッドドライバー141は、吐出ヘッド14を制御し、モータードライバー142の制御と同調して、記録媒体7上の所定位置への移動やヘッドメンテナンス部21への移動を制御する。ステージ位置検出ドライバー143は、ステージ位置検出装置5を制御し、キャリッジ位置検出ドライバー144は、キャリッジ位置検出装置13を制御する。
【0037】
(液滴吐出装置の制御方法)
次に、液滴吐出装置の制御方法について説明する。図4は、液滴吐出装置の制御方法を示すフローチャートであり、図5は、液滴吐出装置の動作を示す模式図である。なお、本実施形態では、図5(a)に示すように、記録媒体7に対してヘッドユニット40をX軸方向に移動させながら、吐出ヘッド14のノズル孔31から記録媒体7に向けて紫外線硬化型の機能液を液滴36として吐出させるとともに、記録媒体7に塗布された液滴ドット36’に対して第1紫外線照射部50aから紫外線100を照射させている状態、すなわち、描画状態において、何かしらの停止信号が発生した場合における液滴吐出装置の制御方法について説明する。
【0038】
まず、ステップS11において、停止信号を取得する。停止信号としては、例えば、記録媒体7とヘッドユニット40との相対移動に関する停止信号、また、記録媒体7とヘッドユニット40との相対移動に関する停止信号以外の停止信号として、描画不良や描画指示の間違い等によるユーザーの停止処置(入力)に基づく停止信号、収容タンク10のインク切れに基づく停止信号、廃液タンク状態に基づく停止信号、メンテナンス部21の状態に基づく停止信号やステージ4の搬送状態に基づく停止信号等である。
【0039】
次いで、ステップS12において、液滴吐出を停止させる。具体的には、吐出ヘッド14の駆動を止め、液滴36の吐出を停止させる。なお、この時点において、図5(b)に示すように、第1紫外線照射部50aを駆動させた状態である。そして、液滴36の吐出を停止させた段階において、記録媒体7には、紫外線100が照射されたドットDと紫外線100が照射されていない未硬化状態の液滴ドット36’が存在することになる。
【0040】
次いで、ステップS13では、指定の停止信号であるか否かを判断する。指定の停止信号の場合にはステップS14に移行し、指定の停止信号以外の停止信号の場合にはステップS20へ移行する。本実施形態における指定の停止信号は、記録媒体7とヘッドユニット40との相対移動に関する停止信号以外の停止信号である。具体的な指定の停止信号としては、例えば、描画不良や描画指示の間違い等によるユーザーの停止処置に基づく停止信号、収容タンク10のインク切れ等に基づく停止信号、廃液タンクの状態に基づく停止信号、メンテナンス部21の状態に基づく停止信号やステージ4の搬送の状態に基づく停止信号等である。当該指定の停止信号を取得した場合にはステップS14に移行する。一方、記録媒体7とヘッドユニット40との相対移動に関する停止信号は、上記指定の停止信号に該当しないので、ステップS20に移行する。
【0041】
ステップS13からステップS14に移行した場合には、ステップS14において、ヘッドユニット40の移動到達位置を取得する。例えば、予め、X軸上におけるノズル孔31と第1紫外線照射部50aとの距離Sを記憶手段としてのROM133またはRAM134に記憶しておく。そして、指定の停止信号を取得した段階で、キャリッジ位置検出装置13が取得した位置データに距離Sをヘッドユニット40の走査方向に加算した位置をヘッドユニット40の移動到達位置として取得することができる。
【0042】
次いで、ステップS15では、図5(c)に示すように、ヘッドユニット40の移動到達位置までヘッドユニット40を移動させる。なお、本実施形態では、ヘッドユニット40を低速移動させる。具体的には、描画時におけるキャリッジ12の移動速度よりも遅くなるように設定する(図5(c)参照)。
【0043】
さらに、ステップS16では、ヘッドユニット40の移動到達位置まで紫外線100を照射させる。なお、本実施形態では、紫外線照射強度を低下させる。具体的には、描画時における紫外線100の照射強度よりも弱める。さらに詳細には、ステップS15におけるヘッドユニット40の低速移動を考慮し、描画時における積算照射光量とほぼ同様となるように紫外線100の照射強度を設定(弱める)する(図5(c)参照)。
【0044】
ステップS17では、ヘッドユニット40が移動到達位置に到達したか否かを判断する。ヘッドユニット40が移動到達位置に到達した場合にはステップS18に移行し、ヘッドユニット40が所定の位置に到達していない場合にはステップS15に移行する。
【0045】
ステップS18では、ヘッドユニット40の移動を停止させる。図5(d)に示すように、ヘッドユニット40が移動到達位置で停止する。
【0046】
さらに、ステップS19では、紫外線照射を停止させる。図5(d)に示すように、紫外線100の照射が停止する。以上より、未硬化であった液滴ドット36’の全てに紫外線100が照射され、塗布された液滴ドット36’の全てが硬化される。
【0047】
一方、ステップS13からステップS20へ移行した場合には、ステップS20において、ヘッドユニット40の移動を停止させる。さらに、ステップS21において、紫外線100の照射を停止させる。
【0048】
なお、上記では、ヘッドユニット40をX軸方向の一方方向に移動させた場合について説明したが、ヘッドユニット40を逆方向に移動させた場合も上記と同様である。なお、この場合、第2紫外線照射部50bを駆動させ、塗布された液滴ドット36’に対して紫外線100を照射させればよい。
【0049】
以上、上記実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
【0050】
(1)指定の停止信号が発生した場合、液滴36の吐出を停止させ、既に記録媒体7上に塗布された液滴ドット36’位置に対応する位置までヘッドユニット40を移動させるとともに紫外線100の照射を継続させる。その後、ヘッドユニット40の移動と紫外線100の照射を停止させる。これにより、記録媒体7上に塗布されたき液滴ドット36’が全て硬化されるので、例えば、復帰作業等において人体や他の部材への付着が防止され、作業面における安全性を確保することができる。
【0051】
(2)指定の停止信号が発生した場合、ヘッドユニット40の移動到達位置に到達するまで、ヘッドユニット40を低速移動させた。これにより、安全性が配慮され、2次災害発生リスク等を低下させることができる。さらに、所定の位置に到達するまで、紫外線100の照射強度を弱めた。これにより、液滴ドット36’に照射される紫外線照射光量が描画時と比較してほぼ同じとなるので、確実に液滴ドット36’を硬化させることができる。
【0052】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されず、上述した実施形態に種々の変更や改良などを加えることが可能である。変形例を以下に述べる。
【0053】
(変形例1)上記実施形態では、指定の停止信号に基づき、ヘッドユニット40を低速移動させたが、描画時と同様の速度でヘッドユニット40を移動させてもよい。さらに、指定の停止信号に基づき、紫外線100の照射強度を弱めたが、描画時と同様の照射強度であってもよい。このようにしても、記録媒体7に塗布された液滴ドット36’に対して紫外線100が照射されて硬化するので、上記同様に、例えば、液滴吐出装置1の復帰の作業の安全性を確保することができる。
【0054】
(変形例2)上記実施形態では、X軸上におけるノズル孔31と第1または第2紫外線照射部50a,50bとの距離Sに基づいて、ヘッドユニット40の移動到達位置を取得したが、これに限定されない。例えば、記録媒体7に対して描画する描画データに基づいて、停止信号を取得した際に液滴36の吐出に使用されたノズル孔31を特定し、特定されたノズル孔31と第1紫外線照射部50aと距離を演算することにより、ヘッドユニット40の移動到達位置を取得してもよい。このようにすれば、例えば、複数のノズル列を有する吐出ヘッド14を用いた場合であっても、確実にヘッドユニット40の移動到達位置を取得することができる。
【0055】
(変形例3)上記実施形態では、X軸上におけるノズル孔31と第1または第2紫外線照射部50a,50bとの距離Sに基づいて、ヘッドユニット40の移動到達位置を取得したが、これに限定されない。例えば、ヘッドユニット40の移動到達位置を、予めキャリッジ12のX軸方向における寸法分を移動させるように設定してもよい。このようにすれば、紫外線100が照射される範囲が広がるため、例えば、吐出された液滴36が飛行曲がりによって記録媒体7上にずれて塗布された場合であっても、確実に塗布された液滴ドット36’を硬化させることができる。
【符号の説明】
【0056】
1…液滴吐出装置、5…ステージ位置検出装置、6…載置面、7…記録媒体、8a…支持台、12…キャリッジ、13…キャリッジ位置検出装置、14…吐出ヘッド、33…機能液、36…液滴、38…制御部、40…ヘッドユニット、50a…第1紫外線照射部、50b…第2紫外線照射部、100…紫外線、130…指令部、131…入出力インターフェイス、132…CPU、133…ROM、134…RAM、140…駆動部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体と相対移動させながら、前記記録媒体に向けて紫外線硬化型の機能液を液滴として吐出する吐出ヘッドと前記記録媒体に塗布された前記機能液に対して紫外線を照射する紫外線照射部とを有するヘッドユニットと、
指定された停止信号に基づいて、前記記録媒体と前記ヘッドユニットとを相対移動させながら、前記記録媒体に塗布された前記機能液に前記紫外線を照射した後に前記相対移動を停止させる制御部と、を備えたことを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液滴吐出装置において、
前記制御部では、
前記指定された停止信号が、前記記録媒体と前記ヘッドユニットとの相対移動に関する停止信号以外の停止信号であることを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の液滴吐出装置において、
前記制御部では、
前記指定された停止信号に基づいて、前記記録媒体と前記ヘッドユニットとの前記相対移動の速度を減速させることを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項4】
請求項3に記載の液滴吐出装置において、
前記制御部では、
前記指定された停止信号に基づいて、前記紫外線の照射強度を弱めることを特徴とする液滴吐出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−735(P2013−735A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−138233(P2011−138233)
【出願日】平成23年6月22日(2011.6.22)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】