説明

液滴形成を促進する表面

【課題】霧または霞から、液滴を収集するために、調整された大きさの液滴形成を促進するために好適な表面を提供する。
【解決手段】液滴35の形成を促進するのに適する表面30を提供し、それは、液滴の直径が、液体吸引性材料の最小寸法の大きさによって調整されるように、表面を横切る少なくとも1つの方向に交互に存在する液体反発性材料32の部分と液体吸引性材料33の部分とを有する。その表面30は、きめ付けおよび/またはパターン形成することができる。また、上記表面30全体に蒸気を送るステップを含む、蒸気によって運ばれる、または、蒸気から凝縮される液体35を収集する方法およびシステム、ならびに、液滴を含有する蒸気を上記表面に送ることによって液体を浄化する方法も開示している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面上で液滴の大きさを調整する方法で液滴の形成を促進するのに適切な前記表面に関するものである。本発明は、風に吹かれた霧または霞からのその液体の収集を可能にするために特に適する。
【背景技術】
【0002】
ある材料は水を引き寄せ、一方、他の材料は水を活発にはじく表面を示すことはよく知られており、そのような材料は、それぞれ親水性および疎水性と言われている。さらに、水が引き寄せられたりはじかれたりするのは水が極性の液体であるという事実によること、およびいかなる類似の極性の液体もそのような表面によって同様の作用を受けることも知られている。油のような非極性の液体が、疎水性表面に引き寄せられ、親水性表面によってはじかれることもまた注目すべきである。
【0003】
液体を収集して貯蔵することが重要な状況が多くある。そのような状況の1つは、乾燥した環境にあって容易に利用できる水源が存在しない場合である。別の状況としては、化学物質が蒸留の途中で蒸気の形態をしているときがそうであり得る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、調整された大きさの液滴形成を促進するために好適な表面を提供することである。さらなる目的は前記液滴を収集することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様によれば、液滴の形成を促進するために好適な表面は、液滴の直径が、液体吸引性材料の最小寸法の大きさによって調整されるように、表面を横切る少なくとも1つの方向に交互に存在する液体反発性材料の部分と液体吸引性材料の部分とを含んでいる。
【0006】
液体が極性である場合、表面の親水性部分は極性の液体を引き寄せ、疎水性部分は極性の液体をはじく。液体が油である場合、疎水性部分は液体を引き寄せ、親水性部分は液体をはじく。
【0007】
液体吸引性(liquid attracting)部分の最小寸法(幅)は、形成される液滴の大きさを決定する。安定な液滴を得ることができる最大直径があり、それは液体吸引性部分の幅と関係がある。液体吸引性部分を分離している液体反発性部分は、隣接する液体吸引性部分の液滴との重なり合いを防ぐために、少なくとも同じ幅のものであることが好ましい。
【0008】
好ましくは、液体吸引性部分は、液体をはじく基体上に分離した形の部分を取る(すなわち、各液体吸引性部分は、他の液体吸引性部分から隔離している)。それによって、液滴を分離して形成し、それらを平面にさせ、液体吸引性の基体とのそれらの表面接触面積を制限する(したがって、それらの表面への接着を制限する)ことが可能となる。
【0009】
好ましい実施形態において、表面は、液体吸引性材料の部分が液体反発性材料の部分に対し突出して、織りがあるように構成されている。これにより、液滴が形成されたとき液体反発性部分に比して突出した位置を取り、特定の液滴の大きさが得られたとき、すなわち、液滴の直径がその最大の安定した大きさに到達したとき、液体吸引性材料からの液滴の脱離を促進することが可能となる。
【0010】
前記の液体吸引性材料の部分の最小寸法は、好ましくは、150μmより大きく、より好ましくは、200μmより大きく、ある用途に対しては、好ましくは、300μm、400μm、500μmより大きく、または少なくとも600μmでさえある。好ましくは、前記最小寸法は表面の前記1つの方向にある。前記最小寸法が前記1つの方向とは別の方向にある場合は、前記1つの方向内で、前記1つの方向にある液体吸引性材料の部分の最小寸法もまた、好ましくは、上記の好ましい最小の大きさ(150μm、200μm、300μm、400μm、500μmより大きいか、または少なくとも600μm)を有する。
【0011】
前記表面は、好ましくは、実質的に平面である。また、その表面は、たとえば凹面または凸面のように屈曲しているか、または、屈曲している部分と実質的に平面の部分とが組み合わさっていてもよい。表面が実質的に平面であるというのは、この場合特に、たとえば表面上にはみ出ている表面から突き出ているかまたははみ出ている部分を持つ実質的に平面である表面を含む。
【0012】
表面は、好ましくは、使用中水平面に対して傾斜するように設計する。これについては本発明の他の範疇を参照しながら以下でより詳細に説明する。ここで言及するのは特に表面が実質的に平面である場合、前記表面の前記1つの方向が、好ましくは、傾斜角を明確にする表面の方向であるからである。より詳細には、表面が傾斜しているとき、その傾斜角は、好ましくは、水平と前記1つの方向にある表面に沿って引いた任意の線の間の角度として定義される。
【0013】
前記液体吸引性部分の最小寸法は、好ましくは、最大5mm、より好ましくは、最大4mmであり、ある用途に対しては、好ましくは、最大、3mm、2mm、1mm、または、0.8mm(800μm)である。
【0014】
液体吸引性部分の最小寸法について述べる場合、これは一般的にはその部分の形に依存する幅である。したがって、たとえば、液体吸引性部分が縞の形をしている場合であれば、それは縞の幅である。同様に、液体吸引性部分が分離したドットの形をしている場合は、それはそのドットの幅または直径である。その他のより不規則な形に対しては、それはどんなものであっても任意の方向における最小寸法である。液体吸引性部分が多数存在する場合は、これらがすべて類似の形と大きさのものであることが好ましい。しかしながら、液体吸引性部分の形と大きさの組み合わせも使用することができるものと考えられる。
【0015】
液体反発性部分は、好ましくは、少なくとも液体吸引性部分と同じ幅であり、できれば2倍の幅である。隣接する液体吸引性部分を分離する液体反発性部分の幅または間隔は、好ましくは、少なくとも400μm、より好ましくは少なくとも600μm、特別の場合少なくとも800μm、または、少なくとも1mmまたは2mmでさえある。
【0016】
上で述べたように液体吸引性部分の最小寸法により、表面に形成される液滴の直径は制御される。このことは、水平方向に対して傾斜している好ましい使用位置にあって実質的に平面である好ましい表面について考えることによって最もよく説明することができる。この方位の状態で、表面に隣接する蒸気からの小さな液滴が傾斜した表面に当たるとき、それらが液体吸引性部分に当たる場合、それらは液体吸引性部分に付着する液滴を形成することができるが、それらが液体反発性部分に当たる場合は、それらは傾斜した表面を最寄りの液体吸引性部分までころがり落ちるであろう。その液滴は、同じ液体吸引性部分に付着している他の液滴と一緒になって、その表面接触面積が液体吸引性部分を覆う点にそれが至るまで生長する。この大きさを超えると、液滴は接触面積の増加なしで質量が増え続け、その結果、その液滴は液体反発性部分に移動しなければならない。それが起こると表面接着力の増加なしで重力が増加し、下に向かう斜面を下る液滴の移動を引き起こす。表面が静かな環境にある場合は、液滴は斜面をまっすぐ落下するであろうが、表面が向かい風に当たっている場合はその液滴はその風によって表面全体で吹き乱され得る。表面の間隔および液体吸引性部分は、十分に大きくて、一旦液滴がまっすぐころがり落ちるほど十分重くなりさえすれば、向かい風に当たってさえも斜面をころがり落ちることが望ましい。
【0017】
本発明の第2の態様によれば、蒸気が運ぶ、または蒸気から凝縮された液体を集める方法は、表面を横切り少なくとも1つの液体反発性材料部分と液体吸引性材料部分が交互に存在する表面である表面を横切って蒸気を送ることと、およびその表面上に形成した液滴を収集するために配置された収集手段によってその表面上に形成した液滴を収集することを含んでいる。
【0018】
表面は、通常は、人造の表面であり、該方法には一般の環境条件を考慮した液滴の大きさを決定するように液体吸引性部分の最小寸法を選択する最初のステップが含まれてもよい。
【0019】
本明細書を通して蒸気という用語は完全にガス状態である媒体およびガス状態であって液滴がガス中に浮遊してたとえば霧または霞を形成している媒体の両方を含めて使用している。
【0020】
好ましくは、表面は水平面に対して傾斜している。これによって液滴がある種の容器である収集手段に向かって重力の影響下で流れることができるようにする。
【0021】
本発明の第3の態様によれば、液体を収集するシステムは、表面を横切る少なくとも1つの方向に交互に存在する液体反発性材料の部分と液体吸引性材料の部分とを含む表面と、収集手段とを有しており、蒸気が表面に向かって移動すると蒸気中の液滴が表面で集合して大きな液滴となるので収集手段によってそれを収集する。
【0022】
本発明による液体を集めるための好ましい方法およびシステムにおいて、表面は、水平面に対して、好ましくは、少なくとも5°、より好ましくは、少なくとも10°の角度で傾斜させる。ある用途に対しては、表面は、好ましくは、少なくとも20°、30°、またはさらに40°の角度で傾斜させる。好ましくは、表面は最大90°、特に最大80°、または、時には最大70°で傾斜させる。この傾斜の角度は、液体吸引性部分の幅と同様に、表面で形成しつつある液滴がいつ収集用の斜面をころがり落ちるかを決める因子の1つである。
【0023】
表面、ならびに液体を集めるための方法およびシステムは、表面を横断して移動している蒸気から液体を集めるために特に適用性がある。たとえばそれは向かい風における場合である。
【0024】
さまざまな表面に落下する液滴の動きは、特に向かい風に向かって傾斜している場合、次のように説明することができる。全体が液体吸引性の表面または全体が液体反発性の表面に当たる蒸気を運ぶ向かい風の場合は、さまざまな大きさの液滴を表面に形成するであろうが、融合はしないであろう。液滴はしたがって向かい風のために表面上を無作為な方向に吹かれるであろう。本発明の表面の場合は、液体吸引性部分と液体反発性部分が交互に存在する部分が提供され、液滴は液体吸引性部分に当たってそこに留まるかまたは最初に液体反発性部分に降りた場合は最寄りの液体吸引性部分にころがるであろう。これらの液滴はもはや液体吸引性部分への積み込みが不可能になるほど大きくなるまで融合する。この時点でそれらは(表面が傾斜していれば)ころがり去る。
【0025】
表面が傾斜している場合、どんな向かい風にも向き合うように傾斜しているのが好ましい。本発明による標準的な好ましい向かい風は、最大で、または、ほぼ、5m/秒、10m/秒、15m/秒、または20m/秒といったところである。向かい風は、表面に形成されつつある液滴が収集に向けて傾斜を何時転がり落ちるかに影響する別の因子であって、向かい風が液滴の大きさおよび表面の斜面の角度に対して強すぎると、液滴は収集に向けてまっすぐころがり落ちるのではなく、表面上を無作為に吹かれて飛び散ることになるであろう。
【0026】
「向かい風」とは、自然の環境内か、または、蒸留装置または除湿装置のような管理された環境内のことでありうる。
【0027】
好ましくは、液体吸引性部分の最小寸法は、液滴が、その管理されたやり方において、傾斜をころがり落ちる前に向かい風に向かってさえも傾斜をまっすぐころがり落ちるのに十分な重量となる十分な大きさに常に成長するように、さまざまな向かい風の中でさまざまの適切な傾斜によって使用することができるように選択する。
【0028】
表面の液体吸引性部分と反発性部分の配列は、前記1つの方向内の表面に沿って引いた任意の線に沿って液体吸引性部分と反発性部分が交互に存在することが好ましい。前記1つの方向は、この配列によって前記1つの方向内の傾斜をころがり落ちる液滴がころがるときに常に液体吸引性部分と出会うように、水平方向と共に傾斜の角度を限定する方向であることが好ましい。この配列は、たとえば、液体吸引性部分と反発性部分が好ましくは前記1つの方向と直角に交差する縞によって提供することができる。他の例としては、周囲が液体反発性材料の中の液体吸引性部分の分離した部分、たとえばドットがあると言えよう。その液体吸引性の分離した部分は、前記1つの方向に対して互いに横になって分離して置かれている。したがって、隣接する列のドットは、その道に沿って液滴が吹き飛ばされることがある、液体反発性部分のはっきりとした「上り坂の」道とならないようにそれぞれ互い違いに配列する。
【0029】
本発明による液体を収集する方法および本発明による液体を収集するシステムにおいて、実質的に全部の液体を収集手段に導く通路は、好ましくは、液体吸引性部分と液体反発性部分の両方を横切る。
【0030】
液体を収集する前述の方法および/またはシステムは、乾燥した/砂漠のような環境で使用しているかまたは使用しようとする、1週間当たり少なくとも100ml、好ましくは、少なくとも0.5l、そして理想的には、少なくとも1lを収集するよう適応させた水の収集方法またはシステムであってもよい。
【0031】
本発明の4番目の態様によれば、表面全体に液体を広げる方法は、表面を横切る少なくとも1つの方向に交互に存在する液体反発性材料の部分と液体吸引性材料の部分とを有する表面を提供するステップと、その表面に液体を置くステップと、広げる手段を使用して表面全体にその液体を広げるステップとを含む。
【0032】
好ましくは、液体吸引性材料部分は、パターンを備えており、それによって、表面にシート状の印刷材料を置くと、液体吸引性材料の配置によって生成したパターンが、シート状の印刷材料に転写される。
【0033】
先に記述したように表面を調整することによって、表面を傾けたときまたは過剰の液体を取り除く別の処理をしたとき、液体吸引性部分で保持される液滴の最大の大きさを指定することが可能であり、それゆえ、たとえばインクである液体の密度と分布を指定することが可能である。
【0034】
パターンの部分は、連続した液体吸引性部分によって、より好ましくは、たとえば液体反発性部分に取り囲まれている多数の液体吸引性のドットである多数の分離した液体吸引性部分によって作ることができる。後の形態はたとえばインクである液体の密度と分布をよりよく制御できる。
【0035】
上で記した表面は自浄性であり得るという付加的な利点を有する。その表面は液滴の形成を促進し、その液滴は重力の影響の下で振り向けられる。液滴が表面上を移動するとき小さい粒子がその液滴によって拾われ、そのようにして表面から取り除かれる。
【0036】
さらなる態様において、本発明は、上で記した収集システムを形成するように組み立てることができる、表面と望ましい傾斜で表面を支持する支持手段と収集手段とを備えている水収集キットを提供する。そのキットは、携帯用サバイバルキットの一部を形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
本発明の多数の実施形態をここで図面を参照しながら実施例のみについて説明する。
【0038】
図1は、疎水性部分2および親水性部分3を有する表面1を示す。
【0039】
疎水性部分2および親水性部分3は、表面1全体に交互にあって縞のあるパターンを形成している。風に吹き飛ばされる霧から水を収集するために有効な表面は、疎水性の基体上に最低800ミクロンの間隔を置いて区切った600から800ミクロンの幅の親水性部分からなる。これによって、傾斜した表面上の重力の影響下で、中程度の向かい風の中に液滴を落とし込むことができる大きさの液滴を形成させることができる。
【0040】
図2は、疎水性部分12および親水性部分13を有する表面10を示す。
【0041】
疎水性部分12は、表面10全体に格子構造を形成する。親水性部分13は、疎水性部分12より高く盛り上がり、織りのあるざらざらした表面を形成する。表面10の上に蒸気を送ると、蒸気中の液滴が親水性部分13に吸引される。一定の時間の後、蒸気中の小さい液滴が表面上で結合するのに従って、より大きい液滴が親水性部分13上に形成し始める。その液滴が一定の大きさに到達すると、それらは重力の影響で1つの親水性部分13aから他の親水性部分13bに移動する。
【0042】
図3aから3dは、疎水性部分22および親水性部分23を有する水平面に対して傾斜したざらざらした織りのある表面20を示す。
【0043】
親水性部分23は、疎水性部分22と比較して突出している。風に吹かれる蒸気からの小さな液滴が傾斜した表面20に当たると、それらは親水性表面23に付着した液滴24を形成することができる。そのようにして液滴は成長し(表面に付着する他の液滴と合体するかまたは大きくなるかして)、液滴は、それらの表面との接触面積が、図3bの25に示すように親水性部分23を覆う点まで到達するであろう。この大きさを超えると、図3cの26で示すように、液滴は表面との接触面積の対応する増加なしで質量が増え続け、その後それらは、図3dの27で示すように、表面の水をはじく疎水性部分内まで拡大しなければならない。これが起きると液滴の重力が表面接着の対応する増加なしで増加し、結局液滴は傾斜を下に移動する。表面の傾斜、親水性部分の大きさと間隔、および表面部分の正確な疎水性度および親水性度を調整することによって、風に吹かれる霧または霞の向かい風にころがり込むことのできる直径に調整した液滴を形成することができ、それを傾斜した表面の最下部で収集することができる。蒸留の途中等の一定の管理された環境においては、風速もまた管理し、調整することができる。
【0044】
疎水性表面に当たる小さな液滴は、直後はその表面全体で自由にころがるであろうが、それらの寸法が小さいために、恒風に吹き飛ばされやすく、表面からあっさりとはねて蒸気の中に戻ることができることに注意すべきである。表面が全部親水性であれば、液滴は移動するとしてもひどくでたらめな仕方で移動するフィルムを形成し、水収集方法の速度と効率を制限する。
【0045】
上記の調整された表面を液滴が移動するときは、液滴はまた、それらの移動の方向および速度に影響する表面の引き寄せが十分である親水性部分によって導くこともできる。これは、液体吸引性部分が疎水性表面の上に溝または縞を形成した場合に特に当てはまる。
【0046】
上で記したような織目のあるざらざらした表面は、さまざまな技術を使用して製造することができる。清浄な(油の付着していない)ガラス表面は、親水性であり、それゆえ、ガラスはワックス等の疎水性材料と組み合わせることにより適当なパターンを生み出すことができる。直径800ミクロンのガラスビーズをワックスのフィルム中に部分的に埋め込み、疎水性基体上に親水性半球の配列をつくることができる。清浄なガラス表面は、ヘキサメチルジシラザン等の材料にさらすことによって疎水性にすることができ、これをコンタクトマスクと組み合わせて使用することにより、親水性部分の適当なパターンをつくることができる。表面の織目は、プラスチックの成形およびホットプレス等の技術によって達成することができ、それは後から親水性/疎水性の表面コーティングで処理することができる。
【0047】
図4は、疎水性部分32および親水性部分33の表面31を有する液体35を収集するのに適した織目のある表面30の概略の断面図を示す。収集器34が表面の下部に配置されている。
【0048】
蒸気が表面30上に送られると蒸気中の液滴は親水性の部分33に引き寄せられる。しばらく時間が経って次から次に蒸気からの小さな液滴が表面に吸引されるに従い大きな液滴が生成し始める。その液滴がある大きさに達すると、それらは重力の影響のもとに移動する。親水性部分33は、収集器34に向かって細くなっており、液滴は親水性部分を次から次へ移動する傾向があり、そのため多数の親水性部分33からの液体が1つの収集器34に収集される。
【0049】
上記の表面の用途としては、たとえば、液体を浄化する蒸留工程におけるものがあろう。蒸気を冷却し収集しなければならない場合、それはしばしば冷却システムに囲まれた管(たとえば、冷水が流れる第2の管)の中を通過する。蒸気は内側の管の壁で凝縮して収集器に流れ落ちる。この内側の壁で凝縮した蒸気はフィルムとなって残りの蒸気を冷たい表面から隔離するので、内側の管は時々疎水性の材料で被覆して凝縮した液滴が速やかに下に流れるように促す。しかしながら、小さな蒸気の液滴は、疎水性の壁から一層はね返されやすく、偏向して蒸気中に戻り、それゆえ収集工程を遅らせる。また、蒸気が特定の方向に運ばれる場合(たとえば、対流によって垂直のパイプを上昇する)、小さな液滴は蒸気の流れに逆らって下に落ちることはますますありそうにない。そのような用途に対して、上で記したもののようなざらざらとした織りのある疎水性/液体吸引性表面は、蒸留工程の効率を改良するであろう。
【0050】
図5aは、インクを引き寄せる部分51およびインクをはじく部分52を有する表面50を示す。インクをはじく部分52は、認識できる形を形成または明確にする。インク54(図示されていない)は、表面50全体に広がっている。
【0051】
インク54は、図5bで示すインクを引き寄せる部分51に引き寄せられ、インクをはじく部分52からはじかれる。これによりインク54は、表面50の上のインクを引き寄せる部分51の中に存在するのみということが引き起こされる。表面50の上に置かれたシート状の紙(図示されてはいない)は、表面50から紙へのインクの転移、したがって、認識できる形またはそれの陰画の印刷をもたらす。
【0052】
インクを引き寄せる部分およびインクをはじく部分がどちらであるかは、インクが油性であるか水性であるかに依存する。
【0053】
図5cは、インクをはじく材料60の取り巻きまたは素地の中に多数の高密度分布の不連続ドットで象ったインクを引き寄せる部分51’を有する別の表面50’を示す。インクをはじく材料60の取り巻きまたは素地の中のこれらのインクを引き寄せる部分51’は、パターン(図の中の文字「A」)を形成している。そのパターンの部分は、前の実施形態におけるようにインクをはじく材料52の背景の中である。インク54(図示されていない)は、表面50’全体に広げる。前の実施形態におけるように、インクは部分51’に引き寄せられる。インクは部分60および52からはじかれる。「A」のパターン中の液体吸引性部分51’の分離したドットの性質は、図5aおよび5bの実施形態の連続した液体吸引性部分51と比較して、パターン上に保持されるインクの密度をよりよく管理する。そこで、そのパターンは、図5a/5bの実施形態におけるようにシート状の紙に転移することによって印刷することができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明による表面を示す斜めの概略図である。
【図2】本発明による別の表面を示す図である。
【図3a】本発明による織目のある表面を示す概略断面図である。
【図3b】本発明による織目のある表面を示す概略断面図である。
【図3c】本発明による織目のある表面を示す概略断面図である。
【図3d】本発明による織目のある表面を示す概略断面図である。
【図4】本発明による液体収集に適する織目のある表面を示す概略断面図である。
【図5a】本発明による印刷の方法に適する表面を示す図である。
【図5b】本発明による印刷の方法に適する表面を示す図である。
【図5c】本発明による印刷の方法に適する別の表面を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液滴の直径が、液体吸引性材料の最小寸法の大きさによって調整されるように、表面を横切る少なくとも1つの方向に交互に存在する液体反発性材料の部分と液体吸引性材料の部分とを有している、液滴の形成を促進するのに適する表面。
【請求項2】
液体吸引性のそれぞれの部分が、液体吸引性の他の部分から隔離している請求項1に記載の表面。
【請求項3】
表面が、液体吸引性材料の部分が液体反発性材料の部分に対して突出するように構成されている請求項1または2に記載の表面。
【請求項4】
交互にある部分が、縞のあるパターンを形成している請求項1から3のいずれかに記載の表面。
【請求項5】
液体反発性材料が、格子を形成している請求項4に記載の表面。
【請求項6】
液体反発性材料が、ワックス状物質である請求項1から5のいずれかに記載の表面。
【請求項7】
前記液体吸引性材料の最小寸法が、150μmより大きい請求項1から6のいずれかに記載の表面。
【請求項8】
前記液体吸引性材料の最小寸法が、少なくとも600μmである請求項1から7のいずれかに記載の表面。
【請求項9】
前記液体吸引性材料の最小寸法が、最大5mmである請求項1から8のいずれかに記載の表面。
【請求項10】
前記液体吸引性材料の最小寸法が、600〜800μmの範囲である請求項1から9のいずれかに記載の表面。
【請求項11】
前記液体吸引性材料の最小寸法が、前記1つの方向にある請求項1から10のいずれかに記載の表面。
【請求項12】
表面の液体吸引性部分および液体反発性部分の配置が、表面に沿って引いた任意の線に沿って、前記1つの方向内に液体吸引性部分と液体反発性部分が交互に存在するようになっている請求項1から11のいずれかに記載の表面。
【請求項13】
実質的に平面である請求項1から12のいずれかに記載の表面。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図3d】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【図5c】
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【公開番号】特開2007−170169(P2007−170169A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−329059(P2006−329059)
【出願日】平成18年12月6日(2006.12.6)
【分割の表示】特願2002−583055(P2002−583055)の分割
【原出願日】平成14年2月18日(2002.2.18)
【出願人】(501352882)キネテイツク・リミテツド (93)