説明

液状の貯蔵安定性カルボジイミド基および/またはウレトンイミン基含有有機イソシアネートの製造方法

本発明は、低い色数を有する、液状の貯蔵安定性カルボジイミド(CD)基および/またはウレトンイミン(UI)基を有するイソシアネート混合物の製造方法、前記方法により得られるイソシアネート混合物および別のイソシアネートとの混合物を製造するため、もしくはイソシアネート基を有するプレポリマーならびにポリウレタンプラスチック、有利にはポリウレタン発泡材料を製造するための該イソシアネート混合物の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低い色数を有する、液状の貯蔵安定性カルボジイミド(CD)基および/またはウレトンイミン(UI)基含有イソシアネート混合物の製造方法、前記方法により得られるイソシアネート混合物、および別のイソシアネートとの混合物を製造するため、もしくはイソシアネート基を有するプレポリマーならびにポリウレタンプラスチック、有利にはポリウレタン発泡材料を製造するための該イソシアネート混合物の使用に関する。
【0002】
CD基および/またはUI基を有するイソシアネート混合物は、ホスホリン系列、特にホスホリンオキシド系列からの効果の高い触媒を用いて、US−A−2,853,473、US−A−6,120,699およびEP−A−515933に記載されている方法により容易な方法で製造することができる。
【0003】
ホスホリン触媒、特にホスホリンオキシド触媒の高い触媒活性は一方では、カルボジイミド化反応を保護的な温度条件下に開始するために所望されるが、しかし他方では今日まで、ホスホリン触媒もしくはホスホリンオキシド触媒を限定することなく有効に停止することを保証する方法は知られていない。カルボジイミド化イソシアネートは、後反応する傾向がある、つまりCO2の発生に基づいて気体を生じる。このことは特に比較的高い温度で例えば貯蔵容器中での圧力の発生につながる。
【0004】
ホスホリン触媒の有効な停止を見いだすための試みはなかったわけではない。このような停止剤は例えば特許文献DE−A−2537685、EP−A−515933、EP−A−609698およびUS−A−6,120,699に言及されており、かつ例えば酸、酸塩化物、クロロギ酸塩、シリル化酸および主族元素のハロゲン化物を含む。酸、たとえば酸塩化物として存在していてもよい酸による触媒の停止は十分に有効ではない。
【0005】
EP−A−515933の教示によれば、ホスホリン触媒により製造されたCD/UI含有イソシアネート混合物は、使用される触媒に対して、少なくとも等モル量、有利には1〜2倍のモル量の、たとえばトリメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート(TMST)を用いて停止される。しかし実地では、このようにして製造したCD/UI含有イソシアネートは、プレポリマー、つまり該CD/UI含有イソシアネートとポリオールとの反応生成物を製造するためには、限定的に適しているに過ぎない。相応して製造されたポリオールとCD/UI変性されたイソシアネートとからなる反応生成物は、気体を生じる傾向があり、このことは、輸送容器中での圧力の発生またはこのような生成物の取り扱いの際の発泡につながりうる。
【0006】
この問題は、ホスホリン触媒を停止するために使用されるシリル化酸を、比較的高いモル当量(たとえば触媒に対して5:1〜10:1)で使用することにより回避することができる。しかしこの場合、実地では、得られたCD/UI変性イソシアネートが、明らかに劣った色数を有することが判明した。このことは該イソシアネートから製造されるプレポリマーにも該当する。
【0007】
これはまた、ホスホリン触媒をトリフルオロメタンスルホン酸タイプの酸でUS−A−6,120,699に相応して停止する場合にも該当する。ここから製造されるプレポリマーもまた、著しく高い色数を有する。
【0008】
液状の貯蔵安定性カルボジイミド(CD)基および/またはウレトンイミン(UI)基を有するイソシアネート混合物を製造する際に、部分的に使用されるイソシアネートの反応性の明らかな変動ひいては必要とされる反応時間の変動が観察される。反応時間の不所望の延長はたとえば反応温度および/または触媒濃度(および結果として停止剤量)の増大を生じうる。しかしこのことは、方法および/または安全技術的な危険性および/または品質の問題(たとえば高い色数)と結びつく。
【0009】
従って本発明の課題は、液状の貯蔵安定性の、および淡色のカルボジイミド基および/またはウレトンイミン基を有するイソシアネート混合物を簡単かつ経済的に製造する方法であって、上記の欠点をもはや有しておらず、かつ低い色数を有する液状の貯蔵安定性のイソシアネート混合物を生じる方法を提供することであった。
【0010】
本発明は、カルボジイミド基および/またはウレトンイミン基を含有する有機イソシアネートの製造方法であって、ハーゼンの色数≦100APHA、有利には≦50APHAを有する1もしくは複数の有機イソシアネートを、ホスホリンタイプの触媒で部分的にカルボジイミド化し、かつ引き続き該カルボジイミド化反応を停止する方法において、カルボジイミド化をシリル化酸アミドの存在下に実施することを特徴とする方法に関する。このことにより必要とされる反応時間を低減するか、もしくは低く維持することができ、かつ/または必要とされる触媒量を低減することができる。
【0011】
本発明による方法では、シリル化酸アミドあるいはまた複数の異なったシリル化酸アミドの混合物を使用することができる。シリル化酸アミドはこの場合、出発イソシアネートまたは反応混合物に、カルボジイミド化の間に添加することができる。この場合、シリル化酸アミドは、有利には塊状で、つまり希釈しないで、またはマスターバッチとして、たとえば出発イソシアネートまたはすでにカルボジイミド化されたイソシアネート中でのシリル化酸アミドの溶液として添加される。
【0012】
この場合、ハーゼンの色数の測定は、DIN/EN/ISO6271−2(2002年9月)により塊状で、基準としての水に対して5cmの層厚さで行うことができる。測定装置としてたとえばDr.Lange LICO300の光度計を使用することができる。
【0013】
当然のことながら、高い色数を有する有機イソシアネートもまた、使用物質として使用することができる。しかしこの場合、有利な色数に関する利点を、全ての範囲で利用することができない。
【0014】
本発明は、上記の方法により得られるカルボジイミド基および/またはウレトンイミン基を有する有機イソシアネートにも関する。これらのカルボジイミド基および/またはウレトンイミン基を有する有機イソシアネートは、室温で、およびCD/UI含有率および/または使用されるイソシアネートに依存して、低温(たとえば0℃)まで液状である。
【0015】
本発明の対象は、改善された色数を有する別のイソシアネートとの混合物を製造するため、もしくはイソシアネート基を有するプレポリマーを製造するための、本発明によるカルボジイミド基および/またはウレトンイミン基を有する有機イソシアネートの使用でもある。
【0016】
本発明の対象は最後に、ポリウレタンプラスチックを製造するための、改善された色数を有する本発明によるカルボジイミド基および/またはウレトンイミン基を有する有機イソシアネートおよび該イソシアネートから製造されるイソシアネート混合物および/またはプレポリマーの使用である。
【0017】
本発明による方法のための出発材料として、≦100APHA、有利には≦50APHAのハーゼンの色数を有する任意の有機イソシアネートを使用することができる。しかし有利には本発明による方法を、ポリウレタン化学において使用することができる有機ジイソシアネートのカルボジイミド化のために使用する。
【0018】
当然のことながら、高い色数を有する有機イソシアネートもまた、使用物質として使用することができる。しかしこの場合、有利な色数に関する利点を、全ての範囲で利用することができない。
【0019】
適切なイソシアネートはたとえば芳香族、芳香脂肪族、脂肪族および/または脂環式のジイソシアネートおよび/またはポリイソシアネートである。
【0020】
脂肪族および/または脂環式ジイソシアネートの代表例として、たとえばイソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートおよびジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(それぞれ純粋な異性体ならびに異性体混合物)が挙げられる。
【0021】
芳香脂肪族ジイソシアネートの代表例としてたとえばキシリデンジイソシアネートの種々の異性体が挙げられる。
【0022】
特に芳香族ジイソシアネートおよびポリイソシアネート、たとえばトルイレンジイソシアネートおよびジフェニルメタン系列のジイソシアネートおよびポリイソシアネートが適切である。
【0023】
以下のものが特に適切である:
●芳香族ジイソシアネート、たとえば2,4−および/または2,6−ジイソシアネートトルエン(TDI)、2,2′−、2,4′−および/または4,4′−ジイソシアナトジフェニルメタン(MDI)、もしくはこれらの芳香族ジイソシアネートの任意の混合物、
●モノマーのジイソシアナトジフェニルメタン異性体80〜100質量%の含有率およびジフェニルメタン系列の二官能性よりも高い官能性のポリイソシアネート0〜20質量%の含有率を有するジフェニルメタン系列のジイソシアネートおよびポリイソシアネートの混合物、その際、ジイソシアナトジフェニルメタン異性体は、0〜100質量%までが、4,4′−ジイソシアナトジフェニルメタン、100〜0質量%までが2,4′−ジイソシアナトジフェニルメタンおよび0〜8質量%までが2,2′−ジイソシアナトジフェニルメタンからなっており、その際、全ての百分率は合計で100質量%である。
【0024】
出発材料として有利な有機イソシアネートは、特に芳香族ジイソシアネート、たとえば2,4−および/または2,6−ジイソシアナトトルエン(TDI)、2,2′−、2,4′−および/または4,4′−ジイソシアナトジフェニルメタン(MDI)もしくはこれらの芳香族ジイソシアネートの任意の混合物である。特に有利であるのは、2,2′−、2,4′−および/または4,4′−ジイソシアナトジフェニルメタン(MDI)もしくはこのような芳香族ジイソシアネートの任意の混合物であり、その際、(有機イソシアネートの)出発材料中の2,2′−、2,4′−および/または4,4′−ジイソシアナトジフェニルメタンの合計は、少なくとも85質量%であり、かつその際、ジイソシアナトジフェニルメタン異性体は、0〜100質量%までが4,4′−ジイソシアナトジフェニルメタン、100〜0質量%までが2,4′−ジイソシアナトジフェニルメタン、および0〜8質量%までが2,2′−ジイソシアナトジフェニルメタンからなり、その際、前記の百分率は合計で100質量%である。特に有利であるのは、2,2′−、2,4′−および/または4,4′−ジイソシアナトジフェニルメタン(MDI)もしくは芳香族ジイソシアネートの任意の混合物であり、その際、(有機イソシアネートの)出発材料中の2,2′−、2,4′−および/または4,4′−ジフェニルメタンの合計は、少なくとも90質量%であり、かつその際、ジイソシアナトジフェニルメタン異性体は、0〜100質量%までが4,4′−ジイソシアナトジフェニルメタン、100〜0質量%までが2,4′−ジイソシアナトジフェニルメタン、および0〜8質量%までが2,2′−ジイソシアナトジフェニルメタンからなり、その際、前記の百分率は、合計して100質量%である。とりわけ特に有利であるのは2,2′−、2,4′−および/または4,4′−ジイソシアナトジフェニルメタン(MDI)もしくは芳香族ジイソシアネートの任意の混合物であり、その際、(有機イソシアネートの)出発材料中の2,2′−、2,4′−および/または4,4′−ジイソシアナトジフェニルメタンの合計は、少なくとも99質量%であり、かつその際、ジイソシアナトジフェニルメタン−異性体は0〜100質量%までが4,4′−ジイソシアナトジフェニルメタン、100〜0質量%までが2,4′−ジイソシアナトジフェニルメタン、および0〜8質量%までが2,2′−ジイソシアナトジフェニルメタンからなり、その際、前記の百分率は合計して100質量%である。
【0025】
本発明による方法はホスホリンタイプの触媒の存在下で実施される。ホスホリンタイプの触媒はたとえばEP−A−515933およびUS−A−6,120,699から公知である。これらの触媒の典型的な例はたとえば従来技術から公知の式
【化1】

のホスホリンオキシドの混合物である。
【0026】
使用される触媒の量は、出発イソシアネートの品質および/または反応性に依存する。従ってそのつど必要とされる触媒量は、最も簡単な場合には前試験において決定することができる。
【0027】
シリル化酸アミドの使用により、出発イソシアネートの反応性を高めることができる。これはたとえば、これらが出発イソシアネート中の潜在的にHClを分離する副成分の反応性低減作用に対抗することに基づいて行われうる。しかしまた、その他の作用メカニズムも可能である。
【0028】
適切なシリル化酸アミドはたとえばシリル化カルボン酸アミドまたはシリル化カルバミネート、たとえばN−トリメチルシリルアセトアミド、N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、またはトリメチルシリル−N−トリメチルシリルカルバミネートまたはこれらからなる混合物である。前記の化合物は単に例としてみなされ、適切なシリル化酸アミドは、前記の化合物に限定されない。
【0029】
シリル化酸アミドまたは複数の異なったシリル化酸アミドの混合物は、直接に触媒の添加前、添加と同時に、または添加後に初めて添加することができる。有利にはシリル化酸アミドは、触媒の添加後に初めて、つまりカルボジイミド化の間に添加することができる。添加の最も良好な時点は、簡単な前試験で確認することができ、有利にはイソシアネートの合計で所望される反応率の50%の達成前、特に有利には30%達成前、およびとりわけ有利には20%達成前である。
【0030】
シリル化酸アミドの最適な使用量は同様に、簡単な前試験により確認することができ、かつ使用されるイソシアネートの質量に対して、有利には≦1000ppm、特に有利には≦250ppm、およびとりわけ有利には≦100ppmである。
【0031】
従って、シリル化酸アミドはこの場合、出発イソシアネートに、またはカルボジイミド化の間に反応混合物に添加することができる。この場合、シリル化酸アミドは、有利には塊状で、つまり希釈しないで、またはマスターバッチとして、たとえば出発イソシアネートまたはすでにカルボジイミド化されたイソシアネート中でのシリル化酸アミドの溶液として添加される。
【0032】
シリル化酸アミドを使用することによって、カルボジイミド化反応に関して高い反応性が生じ、このことによって必要とされる反応時間および/または必要とされる触媒量を低減することができる。
【0033】
カルボジイミド化反応は通常、50〜150℃、有利には60〜100℃の温度範囲で実施される。しかし、これよりも明らかに高い反応温度(たとえば約280℃まで)も可能である。最適な反応温度は出発イソシアネートおよび/または使用される触媒に依存し、かつ簡単な前試験で確認することができる。
【0034】
カルボジイミド化反応は一般に、3〜50%、有利には5〜30%のカルボジイミド化度(カルボジイミド化度は、出発イソシアネート中に存在するイソシアネート基の全量に対するカルボジイミド化されたイソシアネート基の百分率である)に達した場合に中断される。
【0035】
カルボジイミド化度は本発明による方法を実施している間に、NCO値を、たとえば当業者に自体公知の滴定を用いて、またはオンライン法を用いて測定することができる。適切なオンライン法はたとえば近赤外線もしくは中赤外線分析である。
【0036】
カルボジイミド化度は、本発明による方法を実施している間に、同様にたとえば反応混合物中で発生する二酸化炭素の量に基づいて認識することができる。従ってこれらの体積分析により測定可能な二酸化炭素量についての情報は、任意の時点で達成されたカルボジイミド化度により得られる。
【0037】
さらに基本的にはその他の適切な、当業者に公知のプロセス追跡のオフライン法またはオンライン法を使用することもできる。
【0038】
カルボジイミド化反応の終了にあたり、触媒に対して、有利には少なくとも等モル量、特に有利には1〜20倍のモル過剰の、とりわけ有利には1〜10倍のモル過剰の停止剤、有利にはトリメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート(TMST)またはアルキル化剤、または前記の停止剤の混合物を使用する。この場合、有利にはアルキル化剤またはトリメチルシリルフルオロメタンスルホネート(TMST)を唯一の停止剤として使用する。
【0039】
有利なアルキル化剤は、トリフルオロメタンスルホン酸のエステル、無機酸(有利には強無機酸)のエステル、またはトリアルキルオキソニウム化合物である。
【0040】
カルボジイミド化の反応生成物は、色安定剤、たとえば通常イソシアネートに添加される色安定剤を含有していてもよい。その際、添加の時点は重要ではない。色安定剤は出発材料として使用されるイソシアネートにカルボジイミド化前に添加するか、または反応が完了した後に反応生成物に添加することができる。
【0041】
色安定剤を、出発材料にも、反応生成物にも添加することが同様に可能である。
【0042】
このような安定剤は一般に当業者に公知であり、かつたとえば立体障害フェノール、亜リン酸エステルまたは立体障害アミンの群からの物質を含む。色安定剤はそのつど単独で、またはその他の、同一の、もしくは異なった物質群の代表物質との混合物として使用することができる。使用される色安定剤の量は、当業者に公知のパラメータ内で、通常は出発材料として使用されるイソシアネートもしくはカルボジイミド化の反応生成物に対して、個々の物質もしくは混合物に関して、100ppm〜10000ppmの範囲で変動する。
【0043】
イソシアネート基を有するプレポリマーは、本発明による方法により製造されるカルボジイミド基および/またはウレトンイミン基を有する有機イソシアネートと、ポリウレタン化学において慣用のポリオールとの反応により得られる。適切なポリオールは、62〜599g/モル、有利には62〜300g/モルの分子量範囲の単純な多価アルコール、たとえばエチレングリコール、トリメチロールプロパン、プロパンジオール−1,2、ブタンジオール−1,2またはブタンジオール−2,3、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ドデカンジオールおよび/またはオクタデカンジオール、しかし特にはポリウレタン化学から自体公知の種類の、600〜8000g/モル、有利には800〜4000g/モルを有する、少なくとも2個、通常2〜8個、有利には2〜4個の第1級および/または第2級ヒドロキシル基を有する高分子ポリエーテルポリオールおよび/またはポリエステルポリオールである。このようなポリオールの例は、US特許4218543、第7欄、第29行目〜第9欄第32行目に記載されている。
【0044】
本発明による方法の利点は明らかである。カルボジイミド化の間にシリル化酸アミドが存在することにより、反応混合物の反応性は高められ、かつ/または統一される。このことにより必要とされる反応時間を低減するか、もしくは低く維持することができ、かつ/または必要とされる触媒量を低減することができる。さらに、カルボジイミド基および/またはウレトンイミン基を有するイソシアネートも、該イソシアネートから製造されるプレポリマーも、良好な貯蔵安定性および淡い色を有している。
【0045】
これらのカルボジイミド基および/またはウレトンイミン基を有する有機イソシアネートおよび該イソシアネートからポリオールとの反応により製造されるプレポリマーは、イソシアネートの重付加法によりポリオールとの(たとえばポリエーテルポリオールまたはポリエステルポリオールとの)反応によりポリウレタンプラスチックを製造するための貴重な出発材料である。
【0046】
実施例
出発生成物:
Desmodur 44M(登録商標)、Bayer AG(4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、NCO含有率:33.6質量%)
ホスホリンオキシドタイプの触媒:1−メチル−1−オキソ−1−ホスファシクロペント−2−エンと1−メチル−オキソ−1−ホスファシクロペント−3−エンとからなる工業用混合物、トルエン中1質量%
停止剤:トリフルオロメタンスルホン酸エチルエステル(TFMSEE)もしくはトリメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート(TMST)
カルボジイミド基および/またはウレトンイミン基を有する有機イソシアネートを製造するための一般的な規定
3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシトルエン750ppmを含有する、<15APHAのハーゼンの色数を有する工業用4,4′−MDI(Desmodur 44M(登録商標)、Bayer Material Science AG)10kgを、N2/撹拌下で約90℃に加熱する。引き続き、表に記載されている量の触媒溶液を添加して、所望の触媒量とする。反応混合物に、相応する量のシリル化酸アミドを添加する(時点、物質および量は、表を参照のこと、N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、B:トリメチルシリル−N−トリメチルシリルカルバミネート)。反応混合物をN2/撹拌下で、所望のNCO含有率に達するまで約95℃に加熱する。その後、カルボジイミド化を、所望の停止剤(トリフルオロメタンスルホン酸エチルエステル(TFMSEE)もしくはトリメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート(TMST)、表を参照のこと)の添加により停止し、かつ1時間、後攪拌する。
【0047】
その結果は、以下の表にまとめられている。
【0048】
ハーゼンの色数の測定は、DIN/EN/ISO6271−2(2002年9月)により塊状で基準としての水に対して5cmの層厚さで行うことができる。測定装置としてたとえばDr.Lange LICO300の光度計を使用することができる。
【0049】
【表1】

【0050】
比較例1および2から、反応性もしくは反応時間に対する加水分解可能な塩素の高い含有率の影響が明らかである。
【0051】
本発明による例1および2では、比較例2に対して改善された反応性が達成されており、これは使用される触媒の濃度が同一の場合に、本発明による例1および例2における反応時間の短縮につながる。
【0052】
本発明による例3において使用される触媒の濃度が低いにもかかわらず、比較例1に対して短い反応時間が必要であるにすぎない。このことは、シリル化された酸アミドの添加によりもたらされる、出発イソシアネートとして使用される4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネートの反応性の向上を示している。
【0053】
その際に、得られた生成物は良好な色数(ハーゼン)を有している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カルボジイミド基および/またはウレトンイミン基含有有機イソシアネートの製造方法であって、ハーゼンの色数≦100APHA、有利には≦50APHAを有する1もしくは複数の有機イソシアネートを、ホスホリンタイプの触媒で部分的にカルボジイミド化し、かつ引き続き該カルボジイミド化反応を停止する方法において、カルボジイミド化をシリル化酸アミドの存在下に実施することを特徴とする、カルボジイミド基および/またはウレトンイミン基含有有機イソシアネートの製造方法。
【請求項2】
シリル化酸アミドとして、シリル化カルボン酸アミドを使用することを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
シリル化酸アミドとして、シリル化カルバミネートを使用することを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項4】
シリル化酸アミドとして、N−トリメチルシリルアセトアミド、N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、またはトリメチルシリル−N−トリメチルシリルカルバミネート、またはこれらからなる混合物を使用することを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項5】
シリル化酸アミドを、直接に触媒の添加の前、添加と同時、または添加後に添加することを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
シリル化酸アミドが、使用されるイソシアネートの質量に対して、≦1000ppm、有利には≦250ppm、特に有利には≦100ppmの濃度で存在していることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
シリル化酸アミドを塊状で添加することを特徴とする、請求項6記載の方法。
【請求項8】
シリル化酸アミドを、出発イソシアネートまたはすでにカルボジイミド化されたイソシアネート中のマスターバッチとして添加することを特徴とする、請求項6記載の方法。
【請求項9】
請求項1から8までのいずれか1項記載の方法により得られる、カルボジイミド基および/またはウレトンイミン基を有する有機イソシアネート。
【請求項10】
イソシアネート混合物を製造するための請求項9記載のカルボジイミド基および/またはウレトンイミン基を有する有機イソシアネートの使用。
【請求項11】
プレポリマーまたはポリウレタンを製造するための請求項9記載のカルボジイミド基および/またはウレトンイミン基を有する有機イソシアネートの使用。

【公表番号】特表2009−522419(P2009−522419A)
【公表日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−548949(P2008−548949)
【出願日】平成18年12月27日(2006.12.27)
【国際出願番号】PCT/EP2006/012553
【国際公開番号】WO2007/077000
【国際公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【出願人】(504213548)バイエル マテリアルサイエンス アクチエンゲゼルシャフト (54)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience AG
【住所又は居所原語表記】D−51368 Leverkusen, Germany
【Fターム(参考)】