説明

液状付加硬化性メタロシロキサン

【課題】アウトガスが出ない付加硬化性であり、硬化性樹脂組成物に含有させて硬化した場合に耐熱無黄変性に優れる液状メタロシロキサン化合物を提供する。
【解決手段】2官能のシラン化合物(S1)と、ジルコニウム化合物又はチタニウム化合物である金属化合物(M)と必要に応じてH2Oとを反応させる第1工程と、該第1工程の反応生成物と単官能のシラン化合物(S2)と必要に応じてH2Oとを反応させる第2工程とを経ることにより得られ、該シラン化合物(S1):該金属化合物(M):該シラン化合物(S2):第1工程のH2O:第2工程のH2Oを特定のモル比で反応させて製造され、1分子中にSi−H結合又はC2-10アルケニル基を少なくとも1つ有することを特徴とするメタロシロキサン化合物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、付加硬化性を有するメタロシロキサン、及び該メタロシロキサンを有する硬化性樹脂組成物、ならびにその硬化物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体デバイス、光電子デバイスなどの固体素子デバイスの大電流化が進み、それに伴い発熱量が増大する傾向にある。そのため、これらのデバイスの封止用等のパッケージ材料には高い耐熱性と耐久性が求められるようになってきている。また、光電子デバイス用のパッケージ材料には上記に加えて透明性が要求される。
【0003】
上記、要求に応えるため、耐熱性、耐熱安定性(耐熱着色性)、透明性などに優れた樹脂材料として、無機系化合物を含有する樹脂組成物が用いられるようになってきている。特許文献1には、ポリメタロキサン化合物や金属テトラアルコキシドをアルケニル基含有モノシラノールと反応させて得られる反応生成物を加水分解および縮合させて製造したシリル化ポリメタロキサン化合物が記載されている。また、特許文献2には、アルコキシシシラン化合物またはそれを含む混合物に、アルコキシジルコニウム化合物またはそれを含む混合物、ならびに水または水と水溶性有機溶剤の混合物を添加して、アルコキシシラン化合物とアルコキシジルコニウム化合物の部分共加水分解縮合を行うことにより製造した有機溶剤可溶性のジルコノシロキサンが記載されている。しかしながら、これらのシリル化ポリメタロキサン化合物及びジルコノシロキサンは固体であり、その耐熱無黄変性については検討されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−173910号公報
【特許文献2】特開2009−286986号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、硬化性樹脂組成物に含有させて硬化した場合に、耐熱無黄変性に優れ、アウトガスが出ない付加硬化性のメタロシロキサン化合物を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、上記メタロシロキサン化合物を含み、アウトガスが発生せず、それを硬化させることで耐熱無黄変の無機系硬化樹脂が得られる硬化性樹脂組成物を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、上記硬化性樹脂組成物を硬化して得られる、耐熱無黄変の硬化物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、2官能のシラン化合物と単官能のシラン化合物と金属化合物と必要に応じてH2Oとを、特定のモル比で反応させて得られる新規なメタロシロキサン化合物が、そのメタロシロキサン化合物を含む硬化性樹脂組成物の硬化時にアウトガスの発生がなく、さらにその硬化性樹脂組成物を硬化した硬化物が優れた耐熱無黄変性を有することを見出し、本発明に至った。
【0007】
すなわち、本発明は、下記式(1)
【化1】

(式中、R1,R2は、同一又は異なって、水素原子、C1-10アルキル基、C2-10アルケニル基、C6-14アリール基、又はC7-15アラルキル基を示し、X1,X2は、同一又は異なって、C1-10アルコキシ基、ハロゲン原子、又はヒドロキシル基を示す。)
で表されるシラン化合物(S1)と、下記式(2)
【化2】

(式中、Mはジルコニウム又はチタニウムを示し、Y1〜Y4は、同一又は異なって、C1-12アルコキシ基、又はハロゲン原子を示す。)
で表される金属化合物(M)とを、又は、該シラン化合物(S1)と該金属化合物(M)とH2Oとを反応させる第1工程と、該第1工程の反応生成物と下記式(3)
【化3】

(式中、R3〜R5は、同一又は異なって、水素原子、C1-10アルキル基、C2-10アルケニル基、C6-14アリール基、又はC7-15アラルキル基を示し、X3は、C1-10アルコキシ基、ハロゲン原子、又はヒドロキシル基を示す。)
で表されるシラン化合物(S2)とを、又は、該第1工程の反応生成物と該シラン化合物(S2)とH2Oとを反応させる第2工程とを経ることにより得られ、該シラン化合物(S1):該金属化合物(M):該シラン化合物(S2):第1工程のH2O:第2工程のH2O=m:n:k:a:bのモル比で、且つ、m,n,k,a,bが以下の関係(i)〜(v)を全て満たす条件で反応させて製造され、1分子中にSi−H結合又はC2-10アルケニル基を少なくとも1つ有することを特徴とするメタロシロキサン化合物を提供する。
(i) m>0,n>0,k>0,a≧0,b≧0
(ii) n/m≦3
(iii) (a+am)/(m+n)=0.03〜0.8
(iv) k≧{ah−(2a+am)}
(v) X3がアルコキシ基、又はハロゲン原子である場合はb≧kであり、X3がヒドロキシル基である場合はb=0である。
(上記式中、am,ahは、X1,X2が共にヒドロキシル基である場合はam=2m,ah=4n;X1,X2のどちらか一方のみがヒドロキシル基である場合はam=m,ah=m+4n;X1,X2が共にヒドロキシル基でない場合はam=0,ah=2m+4nである。)
上記メタロシロキサン化合物は、好ましくは、0〜90℃のいずれかの温度において液体である。
また、本発明は、Si−H結合を有する化合物とC2-10アルケニル基を有する化合物とを含む硬化性樹脂組成物であって、少なくとも上記メタロシロキサン化合物(A)とヒドロシリル化触媒(C)とを含有することを特徴とする硬化性樹脂組成物を提供する。
上記硬化性樹脂組成物は、好ましくは、さらに無機フィラー(D)を含有する。
また、上記硬化性樹脂組成物は、好ましくは、さらにシランカップリング剤(E)を含有する。
さらに、本発明は、上記硬化性樹脂組成物を硬化してなる硬化物を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るメタロシロキサン化合物は、そのメタロシロキサン化合物を含む硬化性樹脂組成物は硬化時にアウトガスの発生がなく、さらにその硬化性樹脂組成物を硬化した硬化物は優れた耐熱無黄変性を有する。そのため、LED等の電子デバイスの封止剤やシール剤、耐熱ハードコートなどとして有用である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[メタロシロキサン化合物(A)]
本発明のメタロシロキサン化合物(A)は、下記式(1)
【化4】

(式中、R1,R2は、同一又は異なって、水素原子、C1-10アルキル基、C2-10アルケニル基、C6-14アリール基、又はC7-15アラルキル基を示し、X1,X2は、同一又は異なって、C1-10アルコキシ基、ハロゲン原子、又はヒドロキシル基を示す。)
で表されるシラン化合物(S1)と、下記式(2)
【化5】

(式中、Mはジルコニウム又はチタニウムを示し、Y1〜Y4は、同一又は異なって、C1-12アルコキシ基、又はハロゲン原子を示す。)
で表される金属化合物(M)と、必要に応じてH2Oとを反応させる第1工程と、該第1工程の反応生成物と下記式(3)
【化6】

(式中、R3〜R5は、同一又は異なって、水素原子、C1-10アルキル基、C2-10アルケニル基、C6-14アリール基、又はC7-15アラルキル基を示し、X3は、C1-10アルコキシ基、ハロゲン原子、又はヒドロキシル基を示す。)
で表されるシラン化合物(S2)と、必要に応じてH2Oとを反応させる第2工程とを経ることにより得られ、該シラン化合物(S1):該金属化合物(M):該シラン化合物(S2):第1工程のH2O:第2工程のH2O=m:n:k:a:bのモル比で、且つ、m,n,k,a,bが以下の関係(i)〜(v)を全て満たす条件で反応させて製造され、1分子中にSi−H結合又はC2-10アルケニル基を少なくとも1つ有することを特徴とする化合物である。
(i) m>0,n>0,k>0,a≧0,b≧0
(ii) n/m≦3
(iii) (a+am)/(m+n)=0.03〜0.8
(iv) k≧{ah−(2a+am)}
(v) X3がアルコキシ基、又はハロゲン原子である場合はb≧kであり、X3がヒドロキシル基である場合はb=0である。
(上記式中、am,ahは、X1,X2が共にヒドロキシル基である場合はam=2m,ah=4n;X1,X2のどちらか一方のみがヒドロキシル基である場合はam=m,ah=m+4n;X1,X2が共にヒドロキシル基でない場合はam=0,ah=2m+4nである。)
2-10アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、2−ブテニル基、2−ペンタニル基、2−ヘキシニル基などが挙げられる。C2-10アルケニル基としては、ビニル基、アリル基が好ましい。なお、m,n,kは、後述のようにシラン化合物(S1)、金属化合物(M)、シラン化合物(S2)を2種以上使用した場合には、各々それらの合計量のモル比である。
【0010】
本発明では、上記第1工程において、アルコキシ基又はハロゲン原子である加水分解性基及びヒドロキシル基のいずれかの官能基(X1,X2)を1分子内に2つ有するいわゆる2官能のシラン化合物(S1)[以下、2官能のシラン化合物(S1)という]と金属化合物(M)とを反応させる。第1工程において2官能のシラン化合物(S1)の珪素原子と金属原子(Zr,Ti)とが酸素原子を介して結合した主鎖が形成されると考えられる。
【0011】
第1工程における金属化合物(M)の使用量は、2官能のシラン化合物(S1)に対して3倍モル以下とし[上記式(ii)]、「上記2官能のシラン化合物(S1)と金属化合物(M)との合計使用量」に対する、「H2Oとシラン化合物(S1)中のヒドロキシル基との合計使用量」の比を0.03〜0.8(モル比)とする[上記式(iii)]。上記のような条件で2官能のシラン化合物(S1)と金属化合物(M)と必要に応じてH2Oとを反応させて主鎖を合成することにより、最終的に得られるメタロシロキサン化合物(A)が好ましくは0〜90℃のいずれかの温度において液体になりやすくなると考えられる。「2官能のシラン化合物(S1)と金属化合物(M)との合計使用量」に対する、「H2Oとシラン化合物(S1)中のヒドロキシル基との合計使用量」のモル比は、好ましくは0.05〜0.6、特に好ましくは0.1〜0.45なる範囲に設定できる。
【0012】
続いて上記第2工程において、第1工程で得られた反応液と、アルコキシ基又はハロゲン原子である加水分解性基及びヒドロキシル基のいずれかの官能基(X3)を1分子内に1つ有するいわゆる単官能のシラン化合物(S2)[以下、単官能のシラン化合物(S2)という]と、必要に応じてH2Oとを反応させる。第2工程において側鎖に単官能シラン化合物(S2)由来のシリル基が導入されたメタロシロキサン化合物が得られると考えられる。
【0013】
本発明では、上記単官能のシラン化合物(S2)の使用量を、第1工程で得られた反応液中に残存する加水分解性基のモル数と同量か、それ以上のモル数とする[上記式(iv)]。単官能のシラン化合物(S2)のモル数は、好ましくは第1工程で得られた反応液中に残存する加水分解性基のモル数の1.5倍以上、更に好ましくは2倍以上である。第2工程において、単官能のシラン化合物(S2)の使用量を上記のようにすることにより、最終的に得られるメタロシロキサン化合物(A)中の加水分解性基の残留を最小限にすることができ、硬化した場合にアウトガスが発生せず、耐熱無黄変の硬化物が得られるメタロシロキサン化合物を得ることが出来る。
【0014】
本発明では、第1工程でのH2Oの使用量は、2官能のシラン化合物(S1)の官能基X1,X2のどちらか又は双方がヒドロキシル基である場合、その数に応じて減ずるもしくはH2Oを用いなくてもよい。また、第2工程において、単官能のシラン化合物(S2)の官能基(X3)がヒドロキシル基である場合、H2Oは用いなくてもよい。
【0015】
上記第1工程と第2工程における反応は、例えば50〜150℃、好ましくは60〜130℃、更に好ましくは60〜100℃で行うことができる。ただし、H2Oの滴下は、例えば−30℃以下の温度で行うことが好ましい。また、上記第1工程と第2工程における反応時間は、反応温度、使用するシラン化合物及び金属化合物の種類によっても異なるが、例えば10分〜10時間、好ましくは1〜5時間とすることができる。
【0016】
上記の製造方法で製造されたメタロシロキサン化合物(A)は、好ましくは0〜90℃のいずれかの温度において液体であり、さらに好ましくは0〜70℃のいずれかの温度、特に好ましくは0〜30℃のいずれかの温度において液体である。
【0017】
[2官能のシラン化合物(S1)]
本発明のメタロシロキサン化合物(A)を製造する反応に使用する2官能のシラン化合物(S1)は、下記式(1)
【化7】

(式中、R1,R2は、同一又は異なって、水素原子、C1-10アルキル基、C2-10アルケニル基、C6-14アリール基、又はC7-15アラルキル基を示し、X1,X2は、同一又は異なって、C1-10アルコキシ基、ハロゲン原子、又はヒドロキシル基を示す。)
で表され、ポリシロキサン、ポリメタロシロキサン等の製造に従来から使用されている公知のジアルコキシシラン化合物、ジハロゲン化シラン化合物、又はジヒドロキシシラン化合物を使用できる。
【0018】
式中のR1,R2におけるC1-10アルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ヘキシル、オクチル、デシル基など;C2-10アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、2−ブテニル基、2−ペンタニル基、2−ヘキシニル基など;C6-14アリール基としては、フェニル基、ナフチル基など;C7-15アラルキル基としてはベンジル基などが挙げられる。
【0019】
上記式(1)中のX1,X2におけるC1-12アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基など;ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などが挙げられる。なお、本明細書において、Si−H結合を1つ以上含むシラン化合物を「H型」のシラン化合物;ビニル基、アリル基などのC2-10アルケニル基を1つ以上含むシラン化合物を「ビニル型」のシラン化合物;Si−H結合及びC2-10アルケニル基の何れも含まないシラン化合物を「その他の」シラン化合物と称する。
【0020】
H型ジアルコキシシラン化合物としては、例えば、ジメトキシシラン、ジエトキシシラン、ジプロポキシシラン、ジブトキシシランなどの水素原子を2つ含むジC1-12アルコキシシラン化合物;メチルジメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、メチルジプロポキシシラン、メチルジブトキシシラン、エチルジメトキシシラン、エチルジエトキシシラン、エチルジプロポキシシラン、エチルジブトキシシラン、プロピルジメトキシシラン、プロピルジエトキシシラン、プロピルジプロポキシシラン、プロピルジブトキシシラン、ブチルジメトキシシラン、ブチルジエトキシシラン、ブチルジプロポキシシラン、ブチルジブトキシシラン、フェニルジメトキシシラン、フェニルジエトキシシラン、フェニルジプロポキシシラン、フェニルジブトキシシラン、ナフチルジメトキシシラン、ナフチルジエトキシシラン、ナフチルジプロポキシシラン、ナフチルジブトキシシラン、ベンジルジメトキシシラン、ベンジルジエトキシシラン、ベンジルジプロポキシシラン、ベンジルジブトキシシランなどの水素原子を1つ含むジC1-12アルコキシシラン化合物等が挙げられる。
【0021】
ビニル型ジアルコキシシラン化合物としては、例えば、ジビニルジメトキシシラン、ジアリルジメトキシシラン、ジ(2−ブテニル)プロピルジメトキシシラン、ジ(2−ペンタニル)ジメトキシシラン、ジビニルジエトキシシラン、ジアリルジエトキシシラン、ジ(2−ブテニル)プロピルジエトキシシラン、ジ(2−ペンタニル)ジエトキシシラン、ジビニルジプロポキシシラン、ジアリルジプロポキシシラン、ジ(2−ブテニル)プロピルジプロポキシシラン、ジ(2−ペンタニル)ジプロポキシシラン、ジビニルジブトキシシラン、ジアリルジブトキシシラン、ジ(2−ブテニル)プロピルジブトキシシラン、ジ(2−ペンタニル)ジブトキシシランなどのジC2-10アルケニルジC1-12アルコキシシラン化合物;メチルビニルジメトキシシラン、エチルビニルジメトキシシラン、プロピルビニルジメトキシシラン、ブチルビニルジメトキシシラン、メチルビニルジエトキシシラン、エチルビニルジエトキシシラン、プロピルビニルジエトキシシラン、ブチルビニルジエトキシシラン、メチルアリルジメトキシシラン、エチルアリルジメトキシシラン、プロピルアリルジメトキシシラン、ブチルアリルジメトキシシラン、メチルアリルジエトキシシラン、エチルアリルジエトキシシラン、プロピルアリルジエトキシシラン、ブチルアリルジエトキシシランなどのC1-10アルキルC2-10アルケニルジC1-12アルコキシシラン化合物;フェニルビニルジメトキシシラン、ナフチルビニルジメトキシシラン、フェニルビニルジエトキシシラン、ナフチルビニルジエトキシシラン、フェニルビニルジプロポキシシラン、ナフチルビニルジプロポキシシラン、フェニルビニルジブトキシシラン、ナフチルビニルジブトキシシラン、フェニルアリルジメトキシシラン、ナフチルアリルジメトキシシラン、フェニルアリルジエトキシシラン、ナフチルアリルジエトキシシラン、フェニルアリルジプロポキシシラン、ナフチルアリルジプロポキシシラン、フェニルアリルジブトキシシラン、ナフチルアリルジブトキシシランなどのC6-14アリールC2-10アルケニルジC1-12アルコキシシラン化合物;ベンジルビニルジメトキシシラン、ベンジルビニルジエトキシシラン、ベンジルビニルジプロポキシシラン、ベンジルビニルジブトキシシラン、ベンジルアリルジメトキシシラン、ベンジルアリルジエトキシシラン、ベンジルアリルジプロポキシシラン、ベンジルアリルジブトキシシランなどのC7-15アラルキルC2-10アルケニルジC1-12アルコキシシラン化合物が挙げられる。
【0022】
その他のジアルコキシシラン化合物としては、例えば、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジプロピルジメトキシシラン、ジブチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジプロピルジエトキシシラン、ジブチルジエトキシシラン、ジメチルジプロポキシシラン、ジエチルジプロポキシシラン、ジプロピルジプロポキシシラン、ジブチルジプロポキシシラン、ジメチルジブトキシシラン、ジエチルジブトキシシラン、ジプロピルジブトキシシラン、ジブチルジブトキシシランなどのジC1-10アルキルジC1-12アルコキシシラン化合物;ジフェニルジメトキシシラン、ジナフチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジナフチルジエトキシシラン、ジフェニルジプロポキシシラン、ジナフチルジプロポキシシラン、ジフェニルジブトキシシラン、ジナフチルジブトキシシランなどのジC6-14アリールジC1-12アルコキシシラン化合物;ジベンジルジメトキシシラン、ジベンジルジエトキシシラン、ジベンジルジプロポキシシラン、ジベンジルジブトキシシランなどのジC7-15アラルキルジC1-12アルコキシシラン化合物;メチルフェニルジメトキシシラン、エチルフェニルジメトキシシラン、プロピルフェニルジメトキシシラン、ブチルフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン、エチルフェニルジエトキシシラン、プロピルフェニルジエトキシシラン、ブチルフェニルジエトキシシラン、メチルナフチルジメトキシシラン、エチルナフチルジメトキシシラン、プロピルナフチルジメトキシシラン、ブチルナフチルジメトキシシラン、メチルナフチルジエトキシシラン、エチルナフチルジエトキシシラン、プロピルナフチルジエトキシシラン、ブチルナフチルジエトキシシランなどのC1-10アルキルC6-14アリールジC1-12アルコキシシラン化合物;メチルベンジルジメトキシシラン、エチルベンジルジメトキシシラン、プロピルベンジルジメトキシシラン、ブチルベンジルジメトキシシラン、メチルベンジルジエトキシシラン、エチルベンジルジエトキシシラン、プロピルベンジルジエトキシシラン、ブチルベンジルジエトキシシランなどのC1-10アルキルC7-15アラルキルジC1-12アルコキシシラン化合物等が挙げられる。
【0023】
H型ジハロゲン化シラン化合物としては、例えば、ジフルオロシラン、ジクロロシラン、ジブロモシランなどの水素原子を2つ含むジハロゲン化シラン化合物;ジフルオロメチルシラン、ジクロロメチルシラン、ジブロモメチルシラン、ジフルオロエチルシラン、ジクロロエチルシラン、ジブロモエチルシラン、ジフルオロプロピルシラン、ジクロロプロピルシラン、ジブロモプロピルシラン、ジフルオロブチルシラン、ジクロロブチルシラン、ジブロモブチルシラン、ジフルオロフェニルシラン、ジクロロフェニルシラン、ジブロモフェニルシラン、ジフルオロナフチルシラン、ジクロロナフチルシラン、ジブロモナフチルシラン、フルオロベンジルシラン、ジクロロベンジルシラン、ジブロモベンジルシランなどの水素原子を1つ含むジハロゲン化シラン化合物等が挙げられる。
【0024】
ビニル型ジハロゲン化シラン化合物としては、例えば、ジフルオロジビニルシラン、ジクロロジビニルシラン、ジブロモジビニルシラン、ジフルオロジアリルシラン、ジクロロジアリルシラン、ジブロモジアリルシラン、ジフルオロジ(2−ブテニル)シラン、ジクロロジ(2−ブテニル)シラン、ジブロモジ(2−ブテニル)シラン、ジフルオロジ(2−ペンタニル)シラン、ジクロロジ(2−ペンタニル)シラン、ジブロモジ(2−ペンタニル)シランなどのジハロゲン化ジC2-10アルケニルシラン化合物;ジフルオロメチルビニルシラン、ジフルオロエチルビニルシラン、ジフルオロプロピルビニルシラン、ジフルオロブチルビニルシラン、ジクロロメチルビニルシラン、ジクロロエチルビニルシラン、ジクロロプロピルビニルシラン、ジクロロブチルビニルシラン、ジブロモメチルビニルシラン、ジブロモエチルビニルシラン、ジブロモプロピルビニルシラン、ジブロモブチルビニルシラン、ジフルオロメチルアリルシラン、ジフルオロエチルアリルシラン、ジフルオロプロピルアリルシラン、ジフルオロブチルアリルシラン、ジクロロメチルアリルシラン、ジクロロエチルアリルシラン、ジクロロプロピルアリルシラン、ジクロロブチルアリルシラン、ジブロモメチルアリルシラン、ジブロモエチルアリルシラン、ジブロモプロピルアリルシラン、ジブロモブチルアリルシランなどのジハロゲン化C1-10アルキルC2-10アルケニルシラン化合物;ジフルオロフェニルビニルシラン、ジフルオロナフチルビニルシラン、ジクロロフェニルビニルシラン、ジクロロナフチルビニルシラン、ジブロモフェニルビニルシラン、ジブロモナフチルビニルシラン、ジフルオロフェニルアリルシラン、ジフルオロナフチルアリルシラン、ジクロロフェニルアリルシラン、ジクロロナフチルアリルシラン、ジブロモフェニルアリルシラン、ジブロモナフチルアリルシランなどのジハロゲン化C6-14アリールC2-10アルケニルシラン化合物;ジフルオロベンジルビニルシラン、ジクロロベンジルビニルシラン、ジブロモベンジルビニルシラン、ジフルオロベンジルアリルシラン、ジクロロベンジルアリルシラン、ジブロモベンジルアリルシランなどのジハロゲン化C7-15アラルキルC2-10アルケニルシラン化合物等が挙げられる。
【0025】
その他のジハロゲン化シラン化合物としては、例えば、ジフルオロジメチルシラン、ジクロロジメチルシラン、ジブロモジメチルシラン、ジフルオロジエチルシラン、ジクロロジエチルシラン、ジブロモジエチルシラン、ジフルオロジプロピルシラン、ジクロロジプロピルシラン、ジブロモジプロピルシラン、ジフルオロジブチルシラン、ジクロロジブチルシラン、ジブロモジブチルシランなどのジハロゲン化ジC1-10アルキルシラン化合物;ジフルオロジフェニルシラン、ジクロロジフェニルシラン、ジブロモジフェニルシラン、ジフルオロジナフチルシラン、ジクロロジナフチルシラン、ジブロモジナフチルシランなどのジハロゲン化ジC6-14アリールシラン化合物;ジフルオロジベンジルシラン、ジクロロジベンジルシラン、ジブロモジベンジルシランなどのジハロゲン化ジC7-15アラルキルシラン化合物;ジフルオロメチルフェニルシラン、ジフルオロエチルフェニルシラン、ジフルオロプロピルフェニルシラン、ジフルオロブチルフェニルシラン、ジクロロメチルフェニルシラン、ジクロロエチルフェニルシラン、ジクロロプロピルフェニルシラン、ジクロロブチルフェニルシラン、ジブロモメチルナフチルシラン、ジブロモエチルナフチルシラン、ジブロモプロピルナフチルシラン、ジブロモブチルナフチルシランなどのジハロゲン化C1-10アルキルC6-14アリールシラン化合物;ジフルオロメチルベンジルシラン、ジフルオロエチルベンジルシラン、ジフルオロプロピルベンジルシラン、ジフルオロブチルベンジルシラン、ジクロロメチルベンジルシラン、ジクロロエチルベンジルシラン、ジクロロプロピルベンジルシラン、ジクロロブチルベンジルシラン、ジブロモメチルベンジルシラン、ジブロモエチルベンジルシラン、ジブロモプロピルベンジルシラン、ジブロモブチルベンジルシランなどのジハロゲン化C1-10アルキルC7-15アラルキルシラン化合物等が挙げられる。
【0026】
H型ジヒドロキシシラン化合物としては、例えば、ジヒドロキシシラン(水素原子を2つ含む);メチルジヒドロキシシラン、エチルジヒドロキシシラン、プロピルジヒドロキシシラン、ブチルジヒドロキシシラン、フェニルジヒドロキシシラン、ナフチルジヒドロキシシラン、ベンジルジヒドロキシシランなどの水素原子を1つ含むジヒドロキシシラン化合物が挙げられる。
【0027】
ビニル型ジヒドロキシシラン化合物としては、例えば、ジビニルジヒドロキシシラン、ジアリルジヒドロキシシラン、ジ(2−ブテニル)ジヒドロキシシラン、ジ(2−ペンタニル)ジヒドロキシシランなどのジC2-10アルケニルジヒドロキシシラン化合物;メチルビニルジヒドロキシシラン、エチルビニルジヒドロキシシラン、プロピルビニルジヒドロキシシラン、ブチルビニルジヒドロキシシラン、メチルアリルジヒドロキシシラン、エチルアリルジヒドロキシシラン、プロピルアリルジヒドロキシシラン、ブチルアリルジヒドロキシシランなどのC1-10アルキルC2-10アルケニルジヒドロキシシラン化合物;フェニルビニルジヒドロキシシラン、ナフチルビニルジヒドロキシシラン、フェニルアリルジヒドロキシシラン、ナフチルアリルジヒドロキシシランなどのC6-14アリールC2-10アルケニルジヒドロキシシラン化合物;ベンジルビニルジヒドロキシシラン、ベンジルアリルジヒドロキシシランなどのC7-15アラルキルC2-10アルケニルジヒドロキシシラン化合物等が挙げられる。
【0028】
その他のジヒドロキシシラン化合物としては、例えば、ジメチルジヒドロキシシラン、ジエチルジヒドロキシシラン、ジプロピルジヒドロキシシラン、ジブチルジヒドロキシシランなどのジC1-10アルキルジヒドロキシシラン化合物;ジフェニルジヒドロキシシラン、ジナフチルジヒドロキシシランなどのジC6-14アリールジヒドロキシシラン化合物;ジベンジルジヒドロキシシランなどのジC7-15アラルキルジヒドロキシシラン化合物;メチルフェニルジヒドロキシシラン、エチルフェニルジヒドロキシシラン、プロピルフェニルジヒドロキシシラン、ブチルフェニルジヒドロキシシラン、メチルナフチルジヒドロキシシラン、エチルナフチルジヒドロキシシラン、プロピルナフチルジヒドロキシシラン、ブチルナフチルジヒドロキシシランなどのC1-10アルキルC6-14アリールジヒドロキシシラン化合物;メチルベンジルジヒドロキシシラン、エチルベンジルジヒドロキシシラン、プロピルベンジルジヒドロキシシラン、ブチルベンジルジヒドロキシシランなどのC1-10アルキルC7-15アラルキルジヒドロキシシラン等が挙げられる。シラン化合物(S1)としては、上記例示の化合物を単独でまたは2種以上を混合して使用できる。
【0029】
シラン化合物(S1)における上記式(1)中のR1,R2としてのC1-10アルキル基としては特にC1-5アルキル基が好ましく、C2-10アルケニル基としては特にC2-5アルケニル基が好ましい。R1,R2としては耐熱無黄変の点からメチル基、エチル基、フェニル基、ビニル基、アリル基が好ましい。また耐加水分解性の点からフェニル基であることがさらに好ましい。
【0030】
上記式(1)中のX1,X2におけるC1-12アルコキシ基としては特にC1-6アルコキシ基が好ましい。上記X1,X2としては入手性の点からメトキシ基、エトキシ基、塩素原子、臭素原子、ヒドロキシル基が好ましく、反応前の安定性の点からメトキシ基、エトキシ基がさらに好ましい。
【0031】
シラン化合物(S1)としては、具体的には、上記の中でも、ジC1-10アルキルジC1-12アルコキシシラン(さらにはジC1-5アルキルジC1-6アルコキシシラン)、ジC6-14アリールジC1-12アルコキシシラン(さらにはジフェニルジC1-6アルコキシシラン)が好ましく、特にはジメチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジビニルジメトキシシラン、ジアリルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジビニルジエトキシシラン、又はジアリルジエトキシシランを好ましく使用できる。
【0032】
[単官能のシラン化合物(S2)]
本発明のメタロシロキサン化合物(A)を製造する反応に使用する単官能のシラン化合物(S2)は、下記式(3)
【化8】

(式中、R3〜R5は、同一又は異なって、水素原子、C1-10アルキル基、C2-10アルケニル基、C6-14アリール基、又はC7-15アラルキル基を示し、X3は、C1-10アルコキシ基、ハロゲン原子、又はヒドロキシル基を示す。)
で表され、ポリシロキサン、ポリメタロシロキサン等の製造に従来から使用されている公知のモノアルコキシシラン化合物、モノハロゲン化シラン化合物、又はモノヒドロキシシラン化合物を使用できる。
【0033】
式中のR3〜R5におけるC1-10アルキル基、C2-10アルケニル基、C6-14アリール基、又はC7-15アラルキル基としては、上記2官能のシラン化合物においてR1、R2として例示のものが使用できる。X3におけるC1-10アルコキシ基、ハロゲン原子としては、上記シラン化合物(S1)においてX1,X2として例示のものが使用できる。
【0034】
H型モノアルコキシシラン化合物としては、例えば、メトキシシラン、エトキシシラン、プロポキシシラン、ブトキシシランなどの水素原子を3つ含むC1-12アルコキシシラン化合物;メチルメトキシシラン、メチルエトキシシラン、メチルプロポキシシラン、メチルブトキシシラン、エチルメトキシシラン、エチルエトキシシラン、エチルプロポキシシラン、エチルブトキシシラン、プロピルメトキシシラン、プロピルエトキシシラン、プロピルプロポキシシラン、プロピルブトキシシラン、ブチルメトキシシラン、ブチルエトキシシラン、ブチルプロポキシシラン、ブチルブトキシシラン、フェニルメトキシシラン、フェニルエトキシシラン、フェニルプロポキシシラン、フェニルブトキシシラン、ナフチルメトキシシラン、ナフチルエトキシシラン、ナフチルプロポキシシラン、ナフチルブトキシシラン、ベンジルメトキシシラン、ベンジルエトキシシラン、ベンジルプロポキシシラン、ベンジルブトキシシランなどの水素原子を2つ含むC1-12アルコキシシラン化合物;ジメチルメトキシシラン、ジエチルメトキシシラン、ジプロピルメトキシシラン、ジブチルメトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジエチルエトキシシラン、ジプロピルエトキシシラン、ジブチルエトキシシラン、ジメチルプロポキシシラン、ジエチルプロポキシシラン、ジプロピルプロポキシシラン、ジブチルプロポキシシラン、ジメチルブトキシシラン、ジエチルブトキシシラン、ジプロピルブトキシシラン、ジブチルブトキシシランなどの水素原子を1つ含むジC1-10アルキルC1-12アルコキシシラン;ジフェニルメトキシシラン、ジナフチルメトキシシラン、ジフェニルエトキシシラン、ジナフチルエトキシシラン、ジフェニルプロポキシシラン、ジナフチルプロポキシシラン、ジフェニルブトキシシラン、ジナフチルブトキシシランなどの水素原子を1つ含むジC6-14アリールC1-12アルコキシシラン;ジベンジルメトキシシラン、ジベンジルエトキシシラン、ジベンジルプロポキシシラン、ジベンジルブトキシシランなどの水素原子を1つ含むジC7-15アラルキルC1-12アルコキシシラン等が挙げられる。
【0035】
ビニル型モノアルコキシシラン化合物としては、例えば、トリビニルメトキシシラン、トリビニルエトキシシラン、トリビニルプロポキシシラン、トリビニルブトキシシラン、トリアリルメトキシシラン、トリアリルエトキシシラン、トリアリルプロポキシシラン、トリアリルブトキシシランなどのトリC2-10アルケニルC1-12アルコキシシラン化合物;メチルジビニルメトキシシラン、メチルジビニルエトキシシラン、メチルジビニルプロポキシシラン、メチルジビニルブトキシシラン、エチルジビニルメトキシシラン、エチルジビニルエトキシシラン、エチルジビニルプロポキシシラン、エチルジビニルブトキシシラン、プロピルジビニルメトキシシラン、プロピルジビニルエトキシシラン、プロピルジビニルプロポキシシラン、プロピルジビニルブトキシシラン、ブチルジビニルメトキシシラン、ブチルジビニルエトキシシラン、ブチルジビニルプロポキシシラン、ブチルジビニルブトキシシラン、メチルジアリルメトキシシラン、メチルジアリルエトキシシラン、メチルジアリルプロポキシシラン、メチルジアリルブトキシシラン、エチルジアリルメトキシシラン、エチルジアリルエトキシシラン、エチルジアリルプロポキシシラン、エチルジアリルブトキシシラン、プロピルジアリルメトキシシラン、プロピルジアリルエトキシシラン、プロピルジアリルプロポキシシラン、プロピルジアリルブトキシシラン、ブチルジアリルメトキシシラン、ブチルジアリルエトキシシラン、ブチルジアリルプロポキシシラン、ブチルジアリルブトキシシランなどのC1-10アルキルジC2-10アルケニルC1-12アルコキシシラン化合物;フェニルジビニルメトキシシラン、フェニルジビニルエトキシシラン、フェニルジビニルプロポキシシラン、フェニルジビニルブトキシシラン、ナフチルジビニルメトキシシラン、ナフチルジビニルエトキシシラン、ナフチルジビニルプロポキシシラン、ナフチルジビニルブトキシシラン、フェニルジアリルメトキシシラン、フェニルジアリルエトキシシラン、フェニルジアリルプロポキシシラン、フェニルジアリルブトキシシラン、ナフチルジアリルメトキシシラン、ナフチルジアリルエトキシシラン、ナフチルジアリルプロポキシシラン、ナフチルジアリルブトキシシランなどのC6-14アリールジC2-10アルケニルC1-12アルコキシシラン;ベンジルジビニルメトキシシラン、ベンジルジビニルエトキシシラン、ベンジルジビニルプロポキシシラン、ベンジルジビニルブトキシシラン、ベンジルジアリルメトキシシラン、ベンジルジアリルエトキシシラン、ベンジルジアリルプロポキシシラン、ベンジルジアリルブトキシシランなどのC7-15アラルキルジC2-10アルケニルC1-12アルコキシシラン化合物等が挙げられる。
【0036】
ビニル型モノアルコキシシラン化合物としては、さらに、例えば、ジメチルビニルメトキシシラン、ジエチルビニルメトキシシラン、ジプロピルビニルメトキシシラン、ジブチルビニルメトキシシラン、ジメチルビニルエトキシシラン、ジエチルビニルエトキシシラン、ジプロピルビニルエトキシシラン、ジブチルビニルエトキシシラン、ジメチルビニルプロポキシシラン、ジエチルビニルプロポキシシラン、ジプロピルビニルプロポキシシラン、ジブチルビニルプロポキシシラン、ジメチルビニルブトキシシラン、ジエチルビニルブトキシシラン、ジプロピルビニルブトキシシラン、ジブチルビニルブトキシシラン、ジメチルアリルメトキシシラン、ジエチルアリルメトキシシラン、ジプロピルアリルメトキシシラン、ジブチルアリルメトキシシラン、ジメチルアリルエトキシシラン、ジエチルアリルエトキシシラン、ジプロピルアリルエトキシシラン、ジブチルアリルエトキシシラン、ジメチルアリルプロポキシシラン、ジエチルアリルプロポキシシラン、ジプロピルアリルプロポキシシラン、ジブチルアリルプロポキシシラン、ジメチルアリルブトキシシラン、ジエチルアリルブトキシシラン、ジプロピルアリルブトキシシラン、ジブチルアリルブトキシシランなどのジC1-10アルキルC2-10アルケニルC1-12アルコキシシラン化合物;ジフェニルビニルメトキシシラン、ジナフチルビニルメトキシシラン、ジフェニルビニルエトキシシラン、ジナフチルビニルエトキシシラン、ジフェニルビニルプロポキシシラン、ジナフチルビニルプロポキシシラン、ジフェニルビニルブトキシシラン、ジナフチルビニルブトキシシラン、ジフェニルアリルメトキシシラン、ジナフチルアリルメトキシシラン、ジフェニルアリルエトキシシラン、ジナフチルアリルエトキシシラン、ジフェニルアリルプロポキシシラン、ジナフチルアリルプロポキシシラン、ジフェニルアリルブトキシシラン、ジナフチルアリルブトキシシランなどのジC6-14アリールC2-10アルケニルC1-12アルコキシシラン化合物;ジベンジルビニルメトキシシラン、ジベンジルビニルエトキシシラン、ジベンジルビニルプロポキシシラン、ジベンジルビニルブトキシシラン、ジベンジルアリルメトキシシラン、ジベンジルアリルエトキシシラン、ジベンジルアリルプロポキシシラン、ジベンジルアリルブトキシシランなどのジC7-15アラルキルC2-10アルケニルC1-12アルコキシシラン化合物等が挙げられる。
【0037】
その他のモノアルコキシシラン化合物としては、例えば、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリフェニルメトキシシラン、トリフェニルエトキシシラン、フェニルジメチルメトキシシラン、フェニルジメチルエトキシシラン、フェニルジエチルメトキシシラン、フェニルジエチルエトキシシラン、ジフェニルメチルメトキシシラン、ジフェニルメチルエトキシシラン、ジフェニルエチルメトキシシラン、ジフェニルエチルエトキシシランなどが挙げられる。
【0038】
H型モノハロゲン化シラン化合物としては、例えば、モノフルオロシラン、モノクロロシラン、モノブロモシランなどの水素原子を3つ含むモノハロゲン化シラン化合物;フルオロメチルシラン、クロロメチルシラン、ブロモメチルシラン、フルオロエチルシラン、クロロエチルシラン、ブロモエチルシラン、フルオロプロピルシラン、クロロプロピルシラン、ブロモプロピルシラン、フルオロブチルシラン、クロロブチルシラン、ブロモブチルシラン、フルオロフェニルシラン、クロロフェニルシラン、ブロモフェニルシラン、フルオロナフチルシラン、クロロナフチルシラン、ブロモナフチルシラン、フルオロベンジルシラン、クロロベンジルシラン、ブロモベンジルシランなどの水素原子を2つ含むモノハロゲン化シラン化合物;フルオロジメチルシラン、クロロジメチルシラン、ブロモジメチルシラン、フルオロジエチルシラン、クロロジエチルシラン、ブロモジエチルシラン、フルオロジプロピルシラン、クロロジプロピルシラン、ブロモジプロピルシラン、フルオロジブチルシラン、クロロジブチルシラン、ブロモジブチルシランなどの水素原子を1つ含むモノハロゲン化ジC1-10アルキルシラン化合物;フルオロジフェニルシラン、クロロジフェニルシラン、ブロモジフェニルシラン、フルオロジナフチルシラン、クロロジナフチルシラン、ブロモジナフチルシランなどの水素原子を1つ含むモノハロゲン化ジC6-14アリールシラン化合物;フルオロジベンジルシラン、クロロジベンジルシラン、ブロモジベンジルシランなどの水素原子を1つ含むモノハロゲン化ジC7-15アラルキルシラン化合物;フルオロメチルフェニルシラン、フルオロエチルフェニルシラン、フルオロプロピルフェニルシラン、フルオロブチルフェニルシラン、クロロメチルフェニルシラン、クロロエチルフェニルシラン、クロロプロピルフェニルシラン、クロロブチルフェニルシラン、ブロモメチルナフチルシラン、ブロモエチルナフチルシラン、ブロモプロピルナフチルシラン、ブロモブチルナフチルシランなどの水素原子を1つ含むモノハロゲン化C1-10アルキルC6-14アリールシラン化合物;フルオロメチルベンジルシラン、フルオロエチルベンジルシラン、フルオロプロピルベンジルシラン、フルオロブチルベンジルシラン、クロロメチルベンジルシラン、クロロエチルベンジルシラン、クロロプロピルベンジルシラン、クロロブチルベンジルシラン、ブロモメチルベンジルシラン、ブロモエチルベンジルシラン、ブロモプロピルベンジルシラン、ブロモブチルベンジルシランなどの水素原子を1つ含むモノハロゲン化C1-10アルキルC7-15アラルキルシラン化合物等が挙げられる。
【0039】
ビニル型モノハロゲン化シラン化合物としては、例えば、フルオロトリビニルシラン、クロロトリビニルシラン、ブロモトリビニルシラン、フルオロトリアリルシラン、クロロトリアリルシラン、ブロモトリアリルシランなどのモノハロゲン化トリC2-10アルケニルシラン化合物;フルオロメチルジビニルシラン、クロロメチルジビニルシラン、ブロモメチルジビニルシラン、フルオロエチルジビニルシラン、クロロエチルジビニルシラン、ブロモエチルジビニルシラン、フルオロプロピルジビニルシラン、クロロプロピルジビニルシラン、ブロモプロピルジビニルシラン、フルオロブチルジビニルシラン、クロロブチルジビニルシラン、ブロモブチルジビニルシラン、フルオロメチルジアリルシラン、クロロメチルジアリルシラン、ブロモメチルジアリルシラン、フルオロエチルジアリルシラン、クロロエチルジアリルシラン、ブロモエチルジアリルシラン、フルオロプロピルジアリルシラン、クロロプロピルジアリルシラン、ブロモプロピルジアリルシラン、フルオロブチルジアリルシラン、クロロブチルジアリルシラン、ブロモブチルジアリルシランなどのモノハロゲン化C1-10アルキルジC2-10アルケニルシラン化合物;フルオロフェニルジビニルシラン、クロロフェニルジビニルシラン、ブロモフェニルジビニルシラン、フルオロナフチルジビニルシラン、クロロナフチルジビニルシラン、ブロモナフチルジビニルシラン、フルオロフェニルジアリルシラン、クロロフェニルジアリルシラン、ブロモフェニルジアリルシラン、フルオロナフチルジアリルシラン、クロロナフチルジアリルシラン、ブロモナフチルジアリルシランなどのモノハロゲン化C6-14アリールジC2-10アルケニルシラン化合物;フルオロベンジルジビニルシラン、クロロベンジルジビニルシラン、ブロモベンジルジビニルシラン、フルオロベンジルジアリルシラン、クロロベンジルジアリルシラン、ブロモベンジルジアリルシランなどのモノハロゲン化C7-15アラルキルジC2-10アルケニルシラン化合物が挙げられる。
【0040】
ビニル型モノハロゲン化シラン化合物としては、さらに、例えば、フルオロジメチルビニルシラン、クロロジメチルビニルシラン、ブロモジメチルビニルシラン、フルオロジエチルビニルシラン、クロロジエチルビニルシラン、ブロモジエチルビニルシラン、フルオロジプロピルビニルシラン、クロロジプロピルビニルシラン、ブロモジプロピルビニルシラン、フルオロジブチルビニルシラン、クロロジブチルビニルシラン、ブロモジブチルビニルシラン、フルオロジメチルアリルシラン、クロロジメチルアリルシラン、ブロモジメチルアリルシラン、フルオロジエチルアリルシラン、クロロジエチルアリルシラン、ブロモジエチルアリルシラン、フルオロジプロピルアリルシラン、クロロジプロピルアリルシラン、ブロモジプロピルアリルシラン、フルオロジブチルアリルシラン、クロロジブチルアリルシラン、ブロモジブチルアリルシランなどのモノハロゲン化ジC1-10アルキルC2-10アルケニルシラン化合物;フルオロジフェニルビニルシラン、クロロジフェニルビニルシラン、ブロモジフェニルビニルシラン、フルオロジナフチルビニルシラン、クロロジナフチルビニルシラン、ブロモジナフチルビニルシラン、フルオロジフェニルアリルシラン、クロロジフェニルアリルシラン、ブロモジフェニルアリルシラン、フルオロジナフチルアリルシラン、クロロジナフチルアリルシラン、ブロモジナフチルアリルシランなどのモノハロゲン化ジC6-14アリールC2-10アルケニルシラン化合物;フルオロジベンジルビニルシラン、クロロジベンジルビニルシラン、ブロモジベンジルビニルシラン、フルオロジベンジルアリルシラン、クロロジベンジルアリルシラン、ブロモジベンジルアリルシランなどのモノハロゲン化ジC7-15アラルキルC2-10アルケニルシラン化合物;フルオロメチルフェニルビニルシラン、フルオロエチルフェニルビニルシラン、フルオロプロピルフェニルビニルシラン、フルオロブチルフェニルビニルシラン、クロロメチルフェニルビニルシラン、クロロエチルフェニルビニルシラン、クロロプロピルフェニルビニルシラン、クロロブチルフェニルビニルシラン、ブロモメチルナフチルビニルシラン、ブロモエチルナフチルビニルシラン、ブロモプロピルナフチルビニルシラン、ブロモブチルナフチルビニルシラン、フルオロメチルフェニルアリルシラン、フルオロエチルフェニルアリルシラン、フルオロプロピルフェニルアリルシラン、フルオロブチルフェニルアリルシラン、クロロメチルフェニルアリルシラン、クロロエチルフェニルアリルシラン、クロロプロピルフェニルアリルシラン、クロロブチルフェニルアリルシラン、ブロモメチルナフチルアリルシラン、ブロモエチルナフチルアリルシラン、ブロモプロピルナフチルアリルシラン、ブロモブチルナフチルアリルシランなどのモノハロゲン化C1-10アルキルC6-14アリールC2-10アルケニルシラン化合物;フルオロメチルベンジルビニルシラン、フルオロエチルベンジルビニルシラン、フルオロプロピルベンジルビニルシラン、フルオロブチルベンジルビニルシラン、クロロメチルベンジルビニルシラン、クロロエチルベンジルビニルシラン、クロロプロピルベンジルビニルシラン、クロロブチルベンジルビニルシラン、ブロモメチルベンジルビニルシラン、ブロモエチルベンジルビニルシラン、ブロモプロピルベンジルビニルシラン、ブロモブチルベンジルビニルシラン、フルオロメチルベンジルアリルシラン、フルオロエチルベンジルアリルシラン、フルオロプロピルベンジルアリルシラン、フルオロブチルベンジルアリルシラン、クロロメチルベンジルアリルシラン、クロロエチルベンジルアリルシラン、クロロプロピルベンジルアリルシラン、クロロブチルベンジルアリルシラン、ブロモメチルベンジルアリルシラン、ブロモエチルベンジルアリルシラン、ブロモプロピルベンジルアリルシラン、ブロモブチルベンジルアリルシランなどのモノハロゲン化C1-10アルキルC7-15アラルキルC2-10アルケニルシラン化合物等が挙げられる。
【0041】
その他のモノハロゲン化シラン化合物としては、例えば、フルオロトリメチルシラン、クロロトリメチルシラン、ブロモトリメチルシラン、フルオロトリフェニルシラン、クロロトリフェニルシラン、ブロモトリフェニルシラン、フルオロフェニルジメチルシラン、クロロフェニルジメチルシラン、ブロモフェニルジメチルシラン、フルオロフェニルジエチルシラン、クロロフェニルジエチルシラン、ブロモフェニルジエチルシラン、フルオロジフェニルメチルシラン、クロロジフェニルメチルシラン、ブロモジフェニルメチルシラン、フルオロジフェニルエチルシラン、クロロジフェニルエチルシラン、ブロモジフェニルエチルシランなどが挙げられる。
【0042】
H型モノヒドロキシシラン化合物としては、例えば、モノヒドロキシシラン;メチルヒドロキシシラン、エチルヒドロキシシラン、プロピルヒドロキシシラン、ブチルヒドロキシシラン、フェニルヒドロキシシラン、ナフチルヒドロキシシラン、ベンジルヒドロキシシランなどの水素原子を2つ含むヒドロキシシラン化合物;ジメチルヒドロキシシラン、ジエチルヒドロキシシラン、ジプロピルヒドロキシシラン、ジブチルヒドロキシシランなどの水素原子を1つ含むジC1-10アルキルヒドロキシシラン化合物;ジフェニルヒドロキシシラン、ジナフチルヒドロキシシランなどの水素原子を1つ含むジC6-14アリールヒドロキシシラン化合物;ジベンジルヒドロキシシランなどの水素原子を1つ含むジC7-15アラルキルヒドロキシシラン化合物;メチルフェニルヒドロキシシラン、エチルフェニルヒドロキシシラン、プロピルフェニルヒドロキシシラン、ブチルフェニルヒドロキシシラン、メチルナフチルヒドロキシシラン、エチルナフチルヒドロキシシラン、プロピルナフチルヒドロキシシラン、ブチルナフチルヒドロキシシランなどの水素原子を1つ含むC1-10アルキルC6-14アリールヒドロキシシラン化合物;メチルベンジルヒドロキシシラン、エチルベンジルヒドロキシシラン、プロピルベンジルヒドロキシシラン、ブチルベンジルヒドロキシシランなどの水素原子を1つ含むC1-10アルキルC7-15アラルキルヒドロキシシラン化合物等が挙げられる。
【0043】
ビニル型モノヒドロキシシラン化合物としては、例えば、トリビニルヒドロキシシラン、トリアリルヒドロキシシランなどのトリC2-10アルケニルヒドロキシシラン化合物;メチルジビニルヒドロキシシラン、エチルジビニルヒドロキシシラン、プロピルジビニルヒドロキシシラン、ブチルジビニルヒドロキシシラン、メチルジアリルヒドロキシシラン、エチルジアリルヒドロキシシラン、プロピルジアリルヒドロキシシラン、ブチルジアリルヒドロキシシランなどのC1-10アルキルジC2-10アルケニルヒドロキシシラン化合物;フェニルジビニルヒドロキシシラン、ナフチルジビニルヒドロキシシラン、フェニルジアリルヒドロキシシラン、ナフチルジアリルヒドロキシシランなどのC6-14アリールジC2-10アルケニルヒドロキシシラン化合物;ベンジルジビニルヒドロキシシラン、ベンジルジアリルヒドロキシシランなどのC7-15アラルキルC1-10アルキルジC2-10アルケニルヒドロキシシラン化合物等が挙げられる。
【0044】
ビニル型モノヒドロキシシラン化合物としては、さらに、例えば、ジメチルビニルヒドロキシシラン、ジエチルビニルヒドロキシシラン、ジプロピルビニルヒドロキシシラン、ジブチルビニルヒドロキシシラン、ジメチルアリルヒドロキシシラン、ジエチルアリルヒドロキシシラン、ジプロピルアリルヒドロキシシラン、ジブチルアリルヒドロキシシランなどのジC1-10アルキルC2-10アルケニルヒドロキシシラン化合物;ジフェニルビニルヒドロキシシラン、ジナフチルビニルヒドロキシシラン、ジフェニルアリルヒドロキシシラン、ジナフチルアリルヒドロキシシランなどのジC6-14アリールC2-10アルケニルヒドロキシシラン化合物;ジベンジルビニルヒドロキシシラン、ジベンジルアリルヒドロキシシランなどのジC7-15アラルキルC2-10アルケニルヒドロキシシラン化合物;メチルフェニルビニルヒドロキシシラン、エチルフェニルビニルヒドロキシシラン、プロピルフェニルビニルヒドロキシシラン、ブチルフェニルビニルヒドロキシシラン、メチルナフチルビニルヒドロキシシラン、エチルナフチルビニルヒドロキシシラン、プロピルナフチルビニルヒドロキシシラン、ブチルナフチルビニルヒドロキシシラン、メチルフェニルアリルヒドロキシシラン、エチルフェニルアリルヒドロキシシラン、プロピルフェニルアリルヒドロキシシラン、ブチルフェニルアリルヒドロキシシラン、メチルナフチルアリルヒドロキシシラン、エチルナフチルアリルヒドロキシシラン、プロピルナフチルアリルヒドロキシシラン、ブチルナフチルアリルヒドロキシシランなどのC1-10アルキルC6-14アリールC2-10アルケニルヒドロキシシラン化合物;メチルベンジルビニルヒドロキシシラン、エチルベンジルビニルヒドロキシシラン、プロピルベンジルビニルヒドロキシシラン、ブチルベンジルビニルヒドロキシシラン、メチルベンジルアリルヒドロキシシラン、エチルベンジルアリルヒドロキシシラン、プロピルベンジルアリルヒドロキシシラン、ブチルベンジルアリルヒドロキシシランなどのC1-10アルキルC7-15アラルキルC2-10アルケニルヒドロキシシラン化合物等が挙げられる。
【0045】
その他のモノヒドロキシシラン化合物としては、例えば、トリメチルシラノール、トリエチルシラノール、トリフェニルシラノール、フェニルジメチルシラノール、フェニルジエチルシラノール、ジフェニルメチルシラノール、ジフェニルエチルシラノールなどが挙げられる。シラン化合物(S2)としては、上記例示の化合物を単独でまたは2種以上を混合して使用できる。
【0046】
上記式(2)中のR3〜R5としてのC1-10アルキル基としては特にC1-5アルキル基が好ましく、C2-10アルケニル基としては特にC2-5アルケニル基が好ましい。R3〜R5としては耐熱無黄変の点からメチル基、エチル基、フェニル基、ビニル基、アリル基が好ましい。また耐加水分解性の点からはフェニル基であることがさらに好ましい。
【0047】
上記式(2)中のX3におけるC1-12アルコキシ基としては特にC1-6アルコキシ基が好ましい。上記X3としては入手性の点からメトキシ基、エトキシ基、塩素原子、臭素原子、ヒドロキシル基が好ましく、反応の容易さからヒドロキシル基がさらに好ましい。
【0048】
単官能のシラン化合物(S2)としては、モノヒドロキシシラン化合物が好ましく、具体的には、例えば、トリメチルシラノール、トリエチルシラノール、トリフェニルシラノール、フェニルジメチルシラノール、フェニルジエチルシラノール、ジフェニルメチルシラノール、ジフェニルエチルシラノールなどを好ましく使用できる。
【0049】
本発明のメタロシロキサン化合物は、ヒドロシリル化反応が可能なSi−H結合又はC2-10アルケニル基を1分子中に少なくとも1つ有することを特徴とするため、メタロシロキサン化合物の製造に使用するシラン化合物の少なくとも1つは、Si−H結合を1分子中に少なくとも1つ有するH型シラン化合物、又はC2-10アルケニル基を1分子中に少なくとも1つ有するビニル型シラン化合物である。
【0050】
[金属化合物(M)]
本発明で使用する金属化合物(M)は、下記式(2)
【化9】

(式中、Mはジルコニウム又はチタニウムを示し、Y1〜Y4は、同一又は異なって、C1-12アルコキシ基、又はハロゲン原子を示す。)
で表される。Y1〜Y4におけるC1-12アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などが挙げられ、好ましくはC1-6アルコキシ基である。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などが挙げられる。
【0051】
金属化合物(M)としては、上記式(2)で表される、従来ポリメタロシロキサンを製造するのに使用されていたジルコニウム化合物又はチタニウム化合物を使用でき、例えば、ジルコニウムアルコキシド(ジルコニウムテトラエトキシド、ジルコニウムテトライソプロポキシド、ジルコニウムテトラn−プロポキシド、ジルコニウムテトラt−ブトキシド、クロロジルコニウムトリイソプロポキシド、ジクロロジルコニウムジイソプロポキシド、トリクロロジルコニウムイソプロポキシド等)、ジルコニウムハライド(四塩化ジルコニウム、四臭化ジルコニウム等)等のジルコニウム系ルイス酸;前記ジルコニウム系ルイス酸に対応するチタン系ルイス酸(チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラn−プロポキシド等のチタンアルコキシド、四塩化チタン、四臭化チタン等のチタンハライド等が挙げられる。金属化合物(M)としては、上記例示の化合物を単独でまたは2種以上を混合して使用できる。
【0052】
上記Y1〜Y4におけるC1-12アルコキシ基又はハロゲン原子としては、入手性の点からプロポキシ、ブトキシ、塩素、臭素が好ましく、反応前の安定性の点からプロポキシ、ブトキシがさらに好ましい。好ましい金属化合物(M)としては、ジルコニウムテトライソプロポキシド、ジルコニウムテトラn−プロポキシド、ジルコニウムテトラt−ブトキシド、ジルコニウムテトラn−ブトキシド、チタニウムテトライソプロポキシド、チタニウムテトラn−プロポキシド、チタニウムテトラt−ブトキシド、チタニウムテトラn−ブトキシドなど、特にジルコニウムテトライソプロポキシド、ジルコニウムテトラn−プロポキシド等が挙げられる。
【0053】
[触媒]
上記反応は触媒なしでも進行する場合もあるが、必要に応じて酸触媒、塩基触媒を添加してもよい。反応系に酸触媒、又は塩基触媒を存在させることにより一般に反応速度が著しく増大する。塩基には無機塩基及び有機塩基が含まれる。無機塩基としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウムなどのアルカリ金属水酸化物;水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウムなどのアルカリ土類金属水酸化物;炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウムなどのアルカリ金属炭酸塩;炭酸マグネシウムなどのアルカリ土類金属炭酸塩;炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素セシウムなどのアルカリ金属炭酸水素塩などが挙げられる。
【0054】
有機塩基としては、例えば、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸セシウムなどのアルカリ金属有機酸塩(特に、アルカリ金属酢酸塩);酢酸マグネシウムなどのアルカリ土類金属有機酸塩;メチルリチウム、ブチルリチウム(n−ブチルリチウム,s−ブチルリチウム,t−ブチルリチウムなど)などのアルキルリチウム;リチウムメトキシド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムイソプロポキシド、カリウムエトキシドなどのアルカリ金属アルコキシド;ナトリウムフェノキシドなどのアルカリ金属フェノキシド;トリエチルアミン、N−メチルピペリジン、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(DBU)、トリエチレンジアミン(1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン;DABCO)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン(DBN)、ヘキサメチレンテトラミン、テトラメチルエチレンジアミン、トリオクチルアミン、ジメチルアニリン、N−メチルピロリジン、N−メチルピペリジン、4−メチルモルフォリンなどのアミン類(第3級アミンなど);ピリジン、ルチジン、ピコリン、イミダゾール、2,2′−ビピリジル、1,10−フェナントロリンなどの含窒素芳香族複素環化合物などが挙げられる。これらの塩基は単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。なかでも、トリエチルアミン、4−ジメチルアミノピリジンなどの3級アミン;ピリジン、ルチジン、ピコリンなどの窒素含有芳香族性複素環化合物などが好ましい。
【0055】
酸触媒としては、例えば、硫酸、塩酸、リン酸、硝酸等の無機酸、カルボン酸(酢酸、プロピオン酸等のC1-10飽和又は不飽和モノ又はポリカルボン酸等)、スルホン酸(メタンスルホン酸、エタンスルホン酸等のC1-6アルカンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の芳香族スルホン酸等)、ハロゲン化有機酸(トリフルオロ酢酸等のハロゲン化カルボン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等のハロゲン化アルカンスルホン酸等)等の有機酸、硫酸塩(硫酸カルシウム等)、金属酸化物(SiO2、Al23等)、ゼオライト(酸性OHを有するY型、X型、A型ゼオライト等)、イオン交換樹脂(H型等の陽イオン交換樹脂等)等の固体酸等が挙げられる。
【0056】
酸触媒、塩基触媒の使用量は、特に制限されず、反応系中のヒドロキシル基1モルに対して、例えば0.01〜5モル、好ましくは0.1〜2モル、さらに好ましくは0.8〜1.2モル程度である。なお、酸触媒、塩基触媒を用いない場合には加熱等により反応を促進できる。
【0057】
反応は重合禁止剤の存在下で行ってもよい。反応温度は、反応成分や触媒の種類などに応じて適宜選択でき、例えば、ビニルシランを用いる場合、20〜200℃、好ましくは20〜100℃、さらに好ましくは40〜60℃程度である。また、ヒドロシランを用いる場合、反応温度は、反応成分や触媒の種類などに応じて適宜選択でき、例えば、−78〜110℃、好ましくは−30〜40℃、さらに好ましくは−10〜10℃程度である。反応は常圧で行ってもよく、減圧又は加圧下で行ってもよい。反応の雰囲気は反応を阻害しない限り特に限定されず、例えば、空気雰囲気、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気などの何れであってもよい。また、反応はバッチ式、セミバッチ式、連続式などの何れの方法で行うこともできる。
【0058】
反応終了後、反応生成物は、例えば、濾過、濃縮、蒸留、抽出、晶析、再結晶、カラムクロマトグラフィーなどの分離手段や、これらを組み合わせた分離手段により分離精製できる。反応後の混合液に水、1〜7%の希塩酸、1〜7%の重曹水などの水系溶媒を加えて洗浄してもよい。
【0059】
[硬化性樹脂組成物]
本発明の硬化性樹脂組成物は、Si−H結合を有する化合物とC2-10アルケニル基を有する化合物とを含む硬化性樹脂組成物であって、少なくとも上記メタロシロキサン化合物(A)とヒドロシリル化触媒(C)とを含有することを特徴とする。メタロシロキサン化合物(A)の硬化性樹脂組成物中における含有量は、例えば30〜99重量%、好ましくは50〜80重量%である。
【0060】
本発明の硬化性樹脂組成物には、メタロシロキサン化合物(A)以外の、1分子中にSi−H結合又はC2-10アルケニル基を少なくとも1つ有する化合物(B)を含有していてもよい。メタロシロキサン化合物(A)がH型の化合物である場合、硬化性樹脂組成物は、1分子中にC2-10アルケニル基を少なくとも1つ有する化合物(B)[ビニル型の化合物(B)]を含有する。また、メタロシロキサン化合物(A)がビニル型の化合物である場合、硬化性樹脂組成物は、1分子中にSi−H結合を少なくとも1つ有する化合物(B)[H型の化合物(B)]を含有する。
【0061】
[メタロシロキサン化合物(A)以外の、1分子中にSi−H結合又はC2-10アルケニル基を少なくとも1つ有する化合物(B)]
上記H型又はビニル型の化合物(B)としては、1分子中にSi−H結合又はC2-10アルケニル基を少なくとも1つ有する、シロキサン結合(Si−O−Si)で構成された主鎖を有するH型又はビニル型のポリシロキサンが使用できる。C2-10アルケニル基としては、上記シラン化合物に含まれてもよいC2-10アルケニル基として例示のものが挙げられる。ポリシロキサンとしては、具体的には、直鎖状、分岐鎖状又は環状のシロキサン、架橋された三次元構造を有するシリコーン樹脂などが挙げられる。
【0062】
上記化合物(B)の具体例としては、テトラメチルシロキサン、テトラメチルジビニルシロキサン、ヘキサメチルトリシロキサン、ヘキサメチルジビニルトリシロキサン、ヘプタメチルトリシロキサン、ヘプタメチルビニルトリシロキサン、オクタメチルテトラシロキサン、オクタメチルジビニルテトラシロキサン、ノナメチルテトラシロキサン、ノナメチルビニルテトラシロキサン、ノナメチルジビニルテトラシロキサン、デカメチルペンタシロキサン、デカメチルジビニルペンタシロキサン、ウンデカメチルペンタシロキサン、ウンデカメチルビニルペンタシロキサン、デカメチルジビニルペンタシロキサンなどの、(Si−O)単位を1〜10個(好ましくは2〜5個)有する、直鎖状ポリジメチルシロキサン、ヒドロシリル基含有シリコーン、ビニル基含有シリコーンなどの1分子中にSi−H結合又はC2-10アルケニル基を少なくとも1つ有する直鎖状ポリジアルキルシロキサン(好ましくは直鎖状ポリジC1-10アルキルシロキサン);ジメチルシクロトリシロキサン、ジメチルジビニルシクロトリシロキサン、テトラメチルシクロテトラシロキサン、テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサン、トリメチルシクロペンタシロキサン、トリメチルトリビニルシクロペンタシロキサンなどの、(Si−O)単位を2〜10個(好ましくは2〜5個)有する、1分子中にSi−H結合又はC2-10アルケニル基を少なくとも1つ有する、環状ポリジメチルシロキサンなどの環状ポリジアルキルシロキサン(好ましくは環状ポリジC1-10アルキルシロキサン)などが挙げられる。
【0063】
上記ポリシロキサンとしては、さらに、上記例示の化合物のメチル基などのアルキル基の全部又は一部がフェニル基などのアリール基(好ましくはC6-20アリール基)で置換された化合物、例えば、1分子中にSi−H結合又はC2-10アルケニル基を少なくとも1つ有する、直鎖状又は環状の、ポリジフェニルシロキサンなどのポリジアリールシロキサン(好ましくはポリジC6-20アリールシロキサン);1分子中にSi−H結合又はC2-10アルケニル基を少なくとも1つ有する、直鎖状又は環状の、ポリフェニルメチルシロキサンなどのポリアルキルアリールシロキサン(好ましくはポリC1-10アルキルC6-20アリールシロキサン);前記ポリオルガノシロキサン単位で構成された共重合体[ジメチルシロキサン−メチルビニルシロキサン共重合体、ジメチルシロキサン−メチルフェニルシロキサン共重合体、ジメチルシロキサン−メチル(3,3,3−トリフルオロプロピル)シロキサン共重合体、ジメチルシロキサン−メチルビニルシロキサン−メチルフェニルシロキサン共重合体など]などが例示できる。上記例示のポリシロキサンは、分岐鎖を有していても良い。また、p−ビス(ジメチルシリル)ベンゼン、p−ビス(ジメチルビニルシリル)ベンゼンなども使用できる。
【0064】
上記ポリシロキサンの分子量は、例えば100〜80万のものが使用でき、好ましくは100〜10万である。ポリシロキサンの分子量がこの範囲にあると、相溶しやすく好ましい。
【0065】
上記化合物(B)としては、上記ポリシロキサンを単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。なかでも、H型の化合物(B)としてテトラメチルジシロキサン、ヘキサメチルトリシロキサン、テトラメチルシクロテトラシロキサン、ヒドロシリル基含有シリコーン、p−ビス(ジメチルシリル)ベンゼンが好ましく、ビニル型の化合物(B)としてテトラメチルジビニルシロキサン、ヘキサメチルトリシロキサン、テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサン、ビニル基含有シリコーン、p−ビス(ジメチルビニルシリル)ベンゼンが好ましい。
【0066】
本発明の硬化性樹脂組成物に含まれるSi−H結合を有する化合物とC2-10アルケニル基を有する化合物としては、H型のメタロシロキサン化合物(A)と対応するビニル型のメタロシロキサン化合物(A)とを使用することもできる。
【0067】
上記化合物(B)の含有量は、メタロシロキサン化合物(A)100重量部に対し、例えば0〜100重量部、好ましくは5〜60重量部とすることができる。上記化合物(B)の含有量がこの範囲にあると、硬化しやすく好ましい。上記硬化性樹脂組成物中にH型のメタロシロキサン化合物(A)とビニル型のメタロシロキサン化合物(A)両方が含まれる場合、上記化合物(B)は使用しなくてもよい。
【0068】
本発明の硬化性樹脂組成物には、上記例示のH型及びビニル型の化合物(B)に対応する、Si−H結合とアルケニル基の両方ともを含まない他のシラン化合物が含まれていても良い。
【0069】
本発明の硬化性樹脂組成物中のケイ素原子の含有量は、例えば、10〜30重量%、好ましくは10〜20重量%である。また、硬化性樹脂組成物中のジルコニウム若しくはチタニウム原子の含有量は、例えば、1〜10重量%、好ましくは1〜5重量%とすることができる。ケイ素原子およびジルコニウム若しくはチタニウム原子の含有量をこのような範囲にすることにより、硬化性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物の耐熱無黄変性を向上させることができる。
【0070】
[ヒドロシリル化触媒(C)]
本発明の硬化性樹脂組成物に含まれるヒドロシリル化触媒(C)としては、白金系触媒、ロジウム系触媒、パラジウム系触媒等の周知のヒドロシリル化反応用触媒が例示され、具体的には、白金微粉末、白金黒、白金担持シリカ微粉末、白金担持活性炭、塩化白金酸、塩化白金酸とアルコール、アルデヒド、ケトン等との錯体、白金のオレフィン錯体、白金−カルボニルビニルメチル錯体などの白金のカルボニル錯体、白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体や白金−シクロビニルメチルシロキサン錯体などの白金ビニルメチルシロキサン錯体、白金−ホスフィン錯体、白金−ホスファイト錯体等の白金系触媒、ならびに上記白金系触媒において白金原子の代わりにパラジウム原子又はロジウム原子を含有するパラジウム系触媒又はロジウム系触媒が挙げられる。これらは1種で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、白金ビニルメチルシロキサン錯体が、反応速度が良好であることから好ましい。
【0071】
本発明の硬化性樹脂組成物におけるヒドロシリル化触媒(C)の含有量は、触媒中の白金、パラジウム、又はロジウムが重量単位で0.01〜1,000ppmの範囲内となる量であることが好ましく、0.1〜500ppmの範囲内であることがさらに好ましい。ヒドロシリル化触媒(C)の含有量は、2種以上を併用した場合には、それらの合計の含有量である。ヒドロシリル化触媒(C)の含有量がこのような範囲にあると、架橋速度が著しく遅くなることがなく、架橋物に着色等の問題を生じる恐れが少なく好ましい。
【0072】
[ヒドロシリル化反応抑制剤]
本発明の硬化性樹脂組成物には、ヒドロシリル化反応の速度を調整するために、ヒドロシリル化反応抑制剤を含有していてもよい。このヒドロシリル化反応抑制剤としては、3−メチル−1−ブチン−3−オール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、フェニルブチノール等のアルキンアルコール;3−メチル−3−ペンテン−1−イン、3,5−ジメチル−3−ヘキセン−1−イン等のエンイン化合物;1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラビニルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラヘキセニルシクロテトラシロキサン、ベンゾトリアゾールが例示される。このヒドロシリル化反応抑制剤の含有量としては、上記組成物の架橋条件により異なるが、実用上、硬化性樹脂組成物100重量部に対して、0.00001〜5重量部の範囲内であることが好ましい。
【0073】
[溶媒]
ヒドロシリル化反応時にトルエン、ヘキサン、イソプロパノール、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の従来公知の溶媒を使用してもよい。
【0074】
[無機フィラー(D)]
本発明の硬化性樹脂組成物は、さらに、無機フィラー(D)を含んでいてもよい。無機フィラー(D)としては、特に限定するものではないが、ナノシリカ、ナノチタニア、ナノジルコニア、カーボンナノチューブ、シリカ、アルミナ、マイカ、合成マイカ、タルク、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、チタン酸バリウム、カオリン、ベントナイト、珪藻土、窒化ホウ素、窒化アルミ、炭化ケイ素、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化セシウム、酸化マグネシウム、ガラスビーズ、ガラス繊維、グラファイト、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、セルロースなどを1種類以上使用することができる。これらの無機フィラー(D)は、例えば国際公開第96/31572号に記載されている火炎加水分解法や、火炎熱分解法、プラズマ法等の公知の方法で製造することができる。
【0075】
好ましい無機フィラー(D)としては、ナノシリカ、ナノチタニア、ナノジルコニア、カーボンナノチューブ等の安定化されたコロイド状無機粒子のナノ分散ゾル類等を用いることができ、市販品としては、BAYER社製のシリカゾル、Goldschmidt社製のSnO2ゾル類、MERCK社製のTiO2ゾル類、Nissan Chemicals社製のSiO2、ZrO2、A123およびSb23ゾルまたはDEGUSSA社製のAerosil分散物類などの市販品が入手可能である。無機フィラー(D)は、可視光を遮断しないことが必要である。
【0076】
無機フィラー(D)は、表面の改質によりこれらの粘度挙動を変化させることができる。粒子の表面改質は、公知の表面改質剤を用いて行うことができる。このような表面改質剤としては、例えば、無機フィラー(D)の表面に存在する官能基と共有結合や錯形成等の相互作用が可能な化合物や、重合体マトリックスと相互作用可能な化合物を用いることができる。このような表面改質剤としては、例えば、分子内にカルボキシル基、(第1級、第2級、第3級)アミノ基、4級アンモニウム基、カルボニル基、グリシジル基、ビニル基、(メタ)アクリロキシ基、メルカプト基等の官能基を有する化合物等を用いることができる。このような表面改質剤としては、通常、標準温度および圧力条件下で液体であり、分子内の炭素数が例えば15以下、好ましくは10以下、特に好ましくは8以下の低分子有機化合物で構成される。前記低分子有機化合物の分子量は、例えば500以下、好ましくは350以下、特に200以下である。
【0077】
好ましい表面改質剤としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、クエン酸、アジピン酸、コハク酸、グルタル酸、シュウ酸、マレイン酸およびフマル酸などの炭素数1〜12の飽和または不飽和モノおよびポリカルボン酸類(好ましくは、モノカルボン酸類);及びこれらのエステル類(好ましくはメタクリル酸メチル等のC1〜C4アルキルエステル類);アミド類;アセチルアセトン、2,4−ヘキサンジオン、3,5−ヘプタンジオン、アセト酢酸およびC1〜C4アルキルアセト酢酸類などのβ−ジカルボニル化合物等が挙げられる。また、特に限定されないが、公知慣用のシランカップリング剤を表面改質剤として使用することもできる。
【0078】
無機フィラー(D)の粒径は、通常0.01nm〜200μm程度、好ましくは0.1nm〜100μm、特に0.1nm〜50μm程度である。
【0079】
無機フィラー(D)の含有量は、化合物(A)および化合物(B)の合計含有量を100重量部とすると、1〜2000重量部であることが好ましく、さらに好ましくは10〜1000重量部である。また、電子デバイス用低透湿性樹脂組成物の全量に対する、無機フィラー(D)の含有量は、例えば、5〜95重量%、好ましくは10〜90重量%である。
【0080】
[シランカップリング剤(E)]
本発明の硬化性樹脂組成物は、基板等の被接着体との接着性などを向上させるために、さらに、シランカップリング剤(E)を含んでいてもよい。シランカップリング剤(E)は特に限定されず、公知慣用のシランカップリング剤を使用できる。シランカップリング剤(E)としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリス(メトキシエトキシシラン)、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等の水溶液中で比較的安定なものの中から選ばれる。
【0081】
シランカップリング剤(E)の使用量は、硬化性樹脂組成物中、0.1〜20重量%程度であるのが好ましく、より好ましくは0.3〜8重量%であり、さらに好ましくは0.5〜5重量%の範囲である。0.1重量%未満では、シランカップリング剤(E)による樹脂の架橋効果が乏しく、したがって緻密な膜が得られず、また金属基材へのカップリング効果が乏しく、密着性が劣り、望ましい耐アルカリ性と防錆力が得られにくい。20重量%より多い場合は、加水分解による耐水、耐アルカリ性等諸性能の低下が著しく、造膜性に問題が生じ、また経済性の点でも不利となりやすい。
【0082】
[他の添加剤]
さらに、本発明の硬化性樹脂組成物には、その他任意の成分として、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂等の有機樹脂微粉末;銀、銅等の導電性金属粉末等の充填剤、溶剤、安定化剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐光安定剤、熱安定化剤など)、難燃剤(リン系難燃剤、ハロゲン系難燃剤、無機系難燃剤など)、難燃助剤、架橋剤、補強材(他の充填剤など)、核剤、カップリング剤、剤、ワックス、可塑剤、離型剤、耐衝撃改良剤、色相改良剤、流動性改良剤、着色剤(染料、顔料など)、分散剤、消泡剤、脱泡剤、抗菌剤、防腐剤、粘度調整剤、増粘剤、レベリング剤、イオン吸着体、蛍光体などの慣用の添加剤が含まれていてもよい。これらの添加剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0083】
本発明の硬化性樹脂組成物は、好ましくは0〜90℃、さらに好ましくは0〜40℃、特に好ましくは室温付近(0〜30℃程度)のいずれかの温度において液体であるため、電子デバイスの封止、シールやコーティング時の作業性に優れる。そのため、有機エレクトロルミネッセンス、LEDなどの高屈折率、低透湿性を必要とする電子部品用の、封止剤、シール剤などとして使用できる。また、ディスプレイの反射防止膜用のコーティング剤や接着剤としても使用できる。
【0084】
[硬化性樹脂組成物の製造法]
本発明の硬化性樹脂組成物は上記各成分を均一に混合することにより得られる。本発明の硬化性樹脂組成物を得るには、各成分を自公転式攪拌脱泡装置、ホモジナイザー、プラネタリーミキサー、3本ロールミル、ビーズミル等の一般的に知られる混合用機器を使用してなるべく均一になるように、攪拌、溶解、混合、分散等を行うことが望ましい。
【0085】
[硬化物]
本発明の硬化性樹脂組成物は、光若しくは熱により硬化させることができる。光により硬化させる場合、水銀ランプ等で1000mJ/cm2以上の光照射を行うことができる。また、熱により硬化させる場合、温度50〜200℃、好ましくは、50〜190℃、さらに好ましくは、50〜180℃で、硬化時間10〜600分、好ましくは、10〜480分、さらに好ましくは、15〜360分で硬化させることができる。硬化温度と硬化時間が上記範囲下限値より低い場合は、硬化が不十分となり、逆に上記範囲上限値より高い場合、樹脂成分の分解が起きる場合があるので、何れも好ましくない場合がある。硬化条件は種々の条件に依存するが、硬化温度が高い場合は硬化時間は短く、硬化温度が低い場合は硬化時間は長く、適宜調整することができる。本発明の硬化性樹脂組成物を硬化させることにより、気泡が少なく透明性に優れ、さらに耐熱無黄変性に優れた硬化物が得られる。本発明の硬化性樹脂組成物は、有機エレクトロルミネッセンス、LED、又はディスプレイなどの封止剤、シール剤、又はコーティング剤として使用できる。
【実施例】
【0086】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0087】
実施例1
攪拌機、温度計、ジムロート冷却菅、滴下ロートを備えたガラス製のフラスコにジメトキシメチルビニルシラン(東京化成社製 D3386)3.30g(25mmol)とジルコニウム n−プロポキシド(東京化成社製 Z0017)23.40g(50mmol 70wt%n−プロパノール溶液)、n−プロパノール300gを混合しドライメタノールバスにて−30℃以下に冷却した。次にイオン交換水0.54g(30mmol)とn−プロパノール40gを混合した液を、内温−30℃を超えないように徐々に滴下した。滴下終了後、内温を室温までに戻し、その後80℃に昇温し3時間攪拌した。反応終了後、室温まで放冷しエバポレータにより未反応分、揮発分を留去した。その濃縮後液にトルエン100g、トリエチルシラノール(東京化成社製 T2017)51.8g(380mmol)を添加し80℃で2時間攪拌した。反応終了後、室温まで放冷しエバポレータにより未反応分、揮発分を留去して液状のビニル基含有ジルコノシロキサンを得た。
【0088】
実施例2
実施例1で得た液状のビニル基含有ジルコノシロキサン0.2gに白金触媒0.4μlを添加し、その後ヒドロシリル基末端シリコーン(Gelest社製 DMS−H03、分子量 400−500)0.084gを添加、混合した。その混合液をガラスプレート上に塗布し、オーブンにて60℃1時間、120℃3時間で硬化させた。硬化物に気泡は見受けられず、また180℃のオーブンに500時間以上静置しても無色透明のままであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)
【化1】

(式中、R1,R2は、同一又は異なって、水素原子、C1-10アルキル基、C2-10アルケニル基、C6-14アリール基、又はC7-15アラルキル基を示し、X1,X2は、同一又は異なって、C1-10アルコキシ基、ハロゲン原子、又はヒドロキシル基を示す。)
で表されるシラン化合物(S1)と、下記式(2)
【化2】

(式中、Mはジルコニウム又はチタニウムを示し、Y1〜Y4は、同一又は異なって、C1-12アルコキシ基、又はハロゲン原子を示す。)
で表される金属化合物(M)とを、又は、該シラン化合物(S1)と該金属化合物(M)とH2Oとを反応させる第1工程と、該第1工程の反応生成物と下記式(3)
【化3】

(式中、R3〜R5は、同一又は異なって、水素原子、C1-10アルキル基、C2-10アルケニル基、C6-14アリール基、又はC7-15アラルキル基を示し、X3は、C1-10アルコキシ基、ハロゲン原子、又はヒドロキシル基を示す。)
で表されるシラン化合物(S2)とを、又は、該第1工程の反応生成物と該シラン化合物(S2)とH2Oとを反応させる第2工程とを経ることにより得られ、該シラン化合物(S1):該金属化合物(M):該シラン化合物(S2):第1工程のH2O:第2工程のH2O=m:n:k:a:bのモル比で、且つ、m,n,k,a,bが以下の関係(i)〜(v)を全て満たす条件で反応させて製造され、1分子中にSi−H結合又はC2-10アルケニル基を少なくとも1つ有することを特徴とするメタロシロキサン化合物。
(i) m>0,n>0,k>0,a≧0,b≧0
(ii) n/m≦3
(iii) (a+am)/(m+n)=0.03〜0.8
(iv) k≧{ah−(2a+am)}
(v) X3がアルコキシ基、又はハロゲン原子である場合はb≧kであり、X3がヒドロキシル基である場合はb=0である
(上記式中、am,ahは、X1,X2が共にヒドロキシル基である場合はam=2m,ah=4n;X1,X2のどちらか一方のみがヒドロキシル基である場合はam=m,ah=m+4n;X1,X2が共にヒドロキシル基でない場合はam=0,ah=2m+4nである。)
【請求項2】
0〜90℃のいずれかの温度において液体である、請求項1記載のメタロシロキサン化合物。
【請求項3】
Si−H結合を有する化合物とC2-10アルケニル基を有する化合物とを含む硬化性樹脂組成物であって、少なくとも請求項1又は2記載のメタロシロキサン化合物(A)とヒドロシリル化触媒(C)とを含有することを特徴とする硬化性樹脂組成物。
【請求項4】
さらに無機フィラー(D)を含有する、請求項3記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項5】
さらにシランカップリング剤(E)を含有する、請求項3又は4記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項6】
請求項3〜5の何れか1項に記載の硬化性樹脂組成物を硬化してなる硬化物。

【公開番号】特開2012−97180(P2012−97180A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−245631(P2010−245631)
【出願日】平成22年11月1日(2010.11.1)
【出願人】(000002901)株式会社ダイセル (1,236)
【Fターム(参考)】