説明

液状廃棄物容器

【課題】 本発明は、収容された液状廃棄物を装飾シートにより覆うことが出来、装飾シートの左右端部の間に形成される間隙から容器本体内に収容された液状廃棄物の収容量を容易に視認出来る。
【解決手段】 透明または半透明の円筒状の容器本体2の外周長よりも短い内周長を有すると共に、自然状態で容器本体2の外周面の曲率よりも大きな曲率を有し、弾性変形により拡開して容器本体2の外周面に外装し得る透明または半透明のカバー体4と、該カバー体4と容器本体2との間に挿入される装飾シート5とを有し、カバー体4の一部に装飾シート5の端部を挟持して該装飾シート5を支持する挟持部を設け、カバー体4の内周面の一部に容器本体2の外周面に当接して該カバー体4を係止する滑止部6を設けた構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸引した液状廃棄物を収容する液状廃棄物容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、医療現場において、特に外科手術を行う際に生じる廃棄する必要のある血液や生理食塩水などの廃棄物は、吸引機で容器に集められて廃棄焼却処分される。例えば、特開平09−056810号公報(特許文献1)には、円筒形の透明なプラスチック容器の表面に容量を示す目盛りを設け、低密度ポリエチレン製の収集袋内に収容された液状廃棄物の収容量を視認し得るものがある。一方、実開昭61−164164号公報(特許文献2)には、筒状容器本体の外周面に装飾シートの両端部が糊付けして巻装され、該装飾シートの表面を被覆するビニール製の透明なカバーシートが両端部を加熱溶着して装飾シート表面に密着状態で重層されるものがある。更に、実開平06−066452号公報(特許文献3)には、内側容器と外側容器との間に形成される閉空間内にディスプレイ部材を封入可能とし、内側容器または外側容器の少なくとも一部を透明体で構成したものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平09−056810号公報
【特許文献2】実開昭61−164164号公報
【特許文献3】実開平06−066452号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述の特許文献1の技術では、プラスチック容器や収集袋が透明であるため液状廃棄物が手術中の患者にも丸見えとなり、医療関係者ではない患者にとっては不快感を感じる場合があった。一方、特許文献2の技術では、装飾シートの両端部を筒状容器本体の外周面に糊付けしたり、該装飾シートの表面を被覆するビニール製の透明なカバーシートの両端部を加熱溶着する必要があるため製造工程が面倒であり、装飾シートを容易に取り替えることもできないという問題があった。また、特許文献3の技術では、外側容器と内側容器との結合部を設ける必要があるため構造が複雑となりコストアップとなるという問題があった。
【0005】
本発明は前記課題を解決するものであり、その目的とするところは、構造が簡単で装飾シートが容易に交換でき、収容された液状廃棄物を装飾シートにより覆って患者に不快感を与えることがなく、患者から見えない側(以下、「死角」という)の装飾シートの左右端部の間に形成される間隙から医療関係者が容器内に収容された液状廃棄物の収容量を容易に視認出来る液状廃棄物容器を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するための本発明に係る液状廃棄物容器の第1の構成は、吸引した液状廃棄物を収容する透明または半透明の円筒状の容器本体と、前記円筒状の容器本体の外周長よりも短い内周長を有すると共に、自然状態で前記円筒状の容器本体の外周面の曲率よりも大きな曲率を有し、弾性変形により拡開して前記円筒状の容器本体の外周面に外装し得る透明または半透明のカバー体と、前記カバー体と前記円筒状の容器本体との間に挿入される装飾シートとを有し、前記カバー体の一部に前記装飾シートの端部を挟持して該装飾シートを支持する挟持部を設け、前記カバー体の内周面の一部に前記円筒状の容器本体の外周面に当接して該カバー体を係止する滑止部を設けたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る液状廃棄物容器の第2の構成は、吸引した液状廃棄物を収容する透明または半透明の容器本体と、前記容器本体の外径よりも大きい内径を有し、前記容器本体の外周面に外装し得る透明または半透明の筒状のカバー体と、前記カバー体と前記容器本体との間に挿入される装飾シートとを有し、前記カバー体の一部に前記装飾シートの端部を挟持して該装飾シートを支持する挟持部を設け、前記カバー体の内周面の一部に前記容器本体の外周面に当接して該カバー体を係止する滑止部を設けたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る液状廃棄物容器の第3の構成は、前記第1、第2の構成において、前記容器本体の外周面に前記カバー体を介して前記装飾シートを取り付けた際に、前記装飾シートの左右端部の間に形成される間隙から前記容器本体の内部が視認し得ることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る液状廃棄物容器の第4の構成は、前記第1〜第3の構成において、前記容器本体の外周面に前記カバー体を介して前記装飾シートを取り付けた際に、前記装飾シートの左右端部の間に形成される間隙から前記容器本体に形成された目盛りが視認し得ることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る液状廃棄物容器の第5の構成は、前記第1の構成において、前記カバー体は、ポリエチレン、ポリカーボネイト、ポリプロピレン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS;Acrylonitrile butadiene styrene)、アクリル、スチロールのうちの少なくとも1つから構成されたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る液状廃棄物容器の第6の構成は、前記第1〜第5の構成において、前記滑止部は、ポリウレタンにより構成されたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る液状廃棄物容器の第7の構成は、前記第2の構成において、前記容器本体は底部から上方に向かって外径が大きくなる錐状で構成され、前記カバー体は前記錐状の容器本体に対応して下端部から上端部に向かって内径が大きくなる錐状で構成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る液状廃棄物容器の第1の構成によれば、カバー体の一部に設けた挟持部により装飾シートの端部を挟持して該装飾シートをカバー体に支持することが出来る。そして、内周面に沿って装飾シートを取り付けたカバー体を弾性変形により拡開して円筒状の容器本体の外周面に外装し、カバー体が弾性力により復元して装飾シートが円筒状の容器本体の外周面とカバー体の内周面との間に挟持される。そして、カバー体の内周面の一部に設けた滑止部が円筒状の容器本体の外周面に当接して該カバー体を係止することが出来る。これにより、構造が簡単で装飾シートが容易に交換でき、円筒状の容器本体内に収容された液状廃棄物を装飾シートにより覆って患者に不快感を与えることがなく、患者からは死角となる装飾シートの左右端部の間に形成される間隙から医療関係者が円筒状の容器本体内に収容された液状廃棄物の色や収容量等を容易に視認出来る。
【0014】
また、本発明に係る液状廃棄物容器の第2の構成によれば、カバー体の一部に設けた挟持部により装飾シートの端部を挟持して該装飾シートをカバー体に支持することが出来る。そして、内周面に沿って装飾シートを取り付けた筒状のカバー体を容器本体の外周面に外装して装飾シートが容器本体の外周面とカバー体の内周面との間に挿入される。そして、カバー体の内周面の一部に設けた滑止部が容器本体の外周面に当接して該カバー体を係止することが出来る。これにより、構造が簡単で装飾シートが容易に交換でき、容器本体内に収容された液状廃棄物を装飾シートにより覆って患者に不快感を与えることがなく、患者からは死角となる装飾シートの左右端部の間に形成される間隙から医療関係者が容器本体内に収容された液状廃棄物の色や収容量等を容易に視認出来る。
【0015】
また、本発明に係る液状廃棄物容器の第3の構成によれば、容器本体の外周面にカバー体を介して装飾シートを取り付けた際に、該装飾シートの左右端部の間に形成される間隙から容器本体の内部が視認出来、患者からは装飾シートにより容器本体内部に収容された液状廃棄物は覆われて見えず、医療関係者は患者からは死角となる装飾シートの左右端部の間に形成される間隙から容器本体の内部が視認出来、液状廃棄物の色や収容量等の確認が容易に出来る。
【0016】
また、本発明に係る液状廃棄物容器の第4の構成によれば、容器本体の外周面にカバー体を介して装飾シートを取り付けた際に、該装飾シートの左右端部の間に形成される間隙から容器本体に形成された目盛りが視認出来、患者からは装飾シートにより容器本体内部に収容された液状廃棄物は覆われて見えず、医療関係者は患者からは死角となる装飾シートの左右端部の間に形成される間隙から容器本体に形成された目盛りが視認出来、液状廃棄物の収容量の確認が容易に出来る。
【0017】
また、本発明に係る液状廃棄物容器の第5の構成によれば、カバー体の材質を、ポリエチレン、ポリカーボネイト、ポリプロピレン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS;Acrylonitrile butadiene styrene)、アクリル、スチロールのうちの少なくとも1つから構成することにより、自然状態で円筒状の容器本体の外周面の曲率よりも大きな曲率を有し、弾性変形により拡開して円筒状の容器本体の外周面に容易に外装し得る透明または半透明のカバー体を容易に製造することが出来る。
【0018】
また、本発明に係る液状廃棄物容器の第6の構成によれば、滑止部の材質を、ポリウレタンにより構成することにより、滑止部が適度の弾性と表面吸着性を持ち、容器本体の外周面に当接して該カバー体を効果的に係止することが出来、取り外しも容易である。
【0019】
また、本発明に係る液状廃棄物容器の第7の構成によれば、容器本体が底部から上方に向かって外径が大きくなる円錐や角錐の一部からなる錐状で構成され、カバー体も錐状の容器本体に対応して下端部から上端部に向かって内径が大きくなる円錐や角錐の一部からなる錐状で構成されたことで、装飾シートをカバー体の内周面側に支持した状態でカバー体の上端部から容器本体を挿入する際に装飾シートが容器本体の底部に干渉して外れるなどの不具合がなくカバー体を容器本体の外周面に外装する際の操作性が良い。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る液状廃棄物容器の第1実施形態の構成を示す図である。
【図2】本発明に係る液状廃棄物容器の第1実施形態の構成を示す分解説明図である。
【図3】第1実施形態において、患者からは死角となる装飾シートの左右端部の間に形成される間隙から容器本体に形成された目盛りを視認し、液状廃棄物の収容量を確認する様子を示す図である。
【図4】本発明に係る液状廃棄物容器の第2実施形態の構成を示す図である。
【図5】本発明に係る液状廃棄物容器の第2実施形態の構成を示す分解説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図により本発明に係る液状廃棄物容器の一実施形態を具体的に説明する。
【実施例1】
【0022】
先ず、図1〜図3を用いて本発明に係る液状廃棄物容器の第1実施形態の構成について説明する。図1〜図3において、2は吸引した液状廃棄物3を収容するプラスチック製の透明または半透明の円筒状の容器本体である。4は透明または半透明のカバー体であり、円筒状の容器本体2の外周長よりも短い内周長を有すると共に、自然状態で円筒状の容器本体2の外周面の曲率よりも大きな曲率を有し、弾性変形により拡開して円筒状の容器本体2の外周面に外装し得るよう構成される。ここで、曲率とはカバー体4の曲面の曲がり具合を表す量である。例えば半径Rの円周の曲率は1/Rであり、曲がり具合がきついほど曲率は大きくなる。
【0023】
カバー体4は、ポリエチレン、ポリカーボネイト、ポリプロピレン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS;Acrylonitrile butadiene styrene)、アクリル、スチロールのうちの少なくとも1つから構成することが出来る。これにより、自然状態で円筒状の容器本体2の外周面の曲率よりも大きな曲率を有し、弾性変形により拡開して円筒状の容器本体2の外周面に容易に外装し得る透明または半透明のカバー体を容易に製造することが出来る。カバー体4の製造方法の一例としては、円柱の型に上記樹脂を流し込んで射出成形することが出来る。
【0024】
カバー体4の内周面と円筒状の容器本体2の外周面との間に不透明な装飾シート5が挿入される。本実施形態の装飾シート5はカバー体4の内面積よりも小さな面積を有して構成される。装飾シート5としては、写真や絵画、ポスターなどの印刷物等が適用でき、紙やプラスチックシート等の種々の材質が適用可能である。
【0025】
カバー体4の下部(一部)には、装飾シート5の中央下端部5aを挟持して該装飾シート5を支持する挟持部が設けられている。本実施形態の挟持部はカバー体4の一部を切り欠いたC字形状の切欠部4aの一対の底辺4bと、該底辺4bに挟まれた起立片4cとを有しており、図1(a)に示すように、湾曲したカバー体4の起立片4cを内側に押し込んでカバー体4の内側に配置される装飾シート5の一部を起立片4cの外側に挿入し、カバー体4の切欠部4aの一対の底辺4bに装飾シート5の下端部5aを当接させカバー体4と起立片4cとにより装飾シート5の中央下端部5aを挟持する。装飾シート5を取り外す際には、起立片4cから引き抜けば容易に取り外すことができ、装飾シート5の交換も容易である。
【0026】
カバー体4の内周面の上部で左右両端部(一部)には、円筒状の容器本体2の外周面に当接して該カバー体4を係止する滑止部6が設けられている。滑止部6は、ポリウレタンにより構成される。滑止部6の材質をポリウレタンにより構成することにより、滑止部6が適度の弾性と表面吸着性を持ち、円筒状の容器本体2の外周面に当接して該カバー体4を効果的に係止することが出来、接着や溶着ではないため取り外しも容易で繰り返し着脱出来る。滑止部6はカバー体4の内周面に対して両面テープ等により容易に固着することが出来る。
【0027】
上記構成の液状廃棄物容器1によれば、カバー体4の中央下部(一部)に設けた挟持部となる起立片4cにより装飾シート5の中央下端部5aを挟持して該装飾シート5をカバー体4に支持することが出来る。そして、内周面に沿って装飾シート5を取り付けたカバー体4を弾性変形により拡開して円筒状の容器本体2の外周面に外装し、カバー体4が弾性力により復元して装飾シート5が円筒状の容器本体2の外周面とカバー体4の内周面との間に挟持される。そして、カバー体4の内周面の上部の左右両端部(一部)に設けた滑止部6が円筒状の容器本体2の外周面に当接して該カバー体4を係止することが出来る。
【0028】
図1〜図3において、9は図示しない外部の吸引装置に接続される排気口であり、10は吸引圧力調整つまみである。また、11は患者の患部に当てる図示しないペイセントホースに接続される吸引口である。また、円筒状の容器本体2のキャップ12には排気口9の通路を閉塞する閉塞弁14に連結されたフロート13が設けられており、フロート13は液状廃棄物3に浮くように構成される。そして、図3(b)に示すように、円筒状の容器本体2内に液状廃棄物3が満杯となった場合、液状廃棄物3に浮くフロート13が閉塞弁14を操作して排気口9の通路を閉塞する。
【0029】
上記構成の液状廃棄物容器1によれば、構造が簡単で装飾シート5が容易に交換でき、円筒状の容器本体2内に収容された液状廃棄物3を装飾シート5により覆って患者に不快感を与えることがなく、図3に示すように、患者からは死角となる装飾シート5の左右端部5b,5cの間に形成される間隙7から医療関係者が円筒状の容器本体2内に収容された液状廃棄物3の色や収容量等を容易に視認出来る。
【0030】
このように、円筒状の容器本体2の外周面にカバー体4を介して装飾シート5を取り付けた際に、該装飾シート5の左右端部5b,5cの間に形成される間隙7から円筒状の容器本体2の内部が視認出来、患者からは装飾シート5により円筒状の容器本体2内部に収容された液状廃棄物3は覆われて見えず、図3に示すように、医療関係者は患者からは死角となる装飾シート5の左右端部5b,5cの間に形成される間隙7から円筒状の容器本体2の内部が視認出来、液状廃棄物3の色や収容量等の確認が容易に出来る。
【0031】
また、円筒状の容器本体2の外周面には液状廃棄物3の収容量を計測するための目盛り8が形成されており、円筒状の容器本体2の外周面にカバー体4を介して装飾シート5を取り付けた際に、該装飾シート5の左右端部5b,5cの間に形成される間隙7から円筒状の容器本体2に形成された目盛り8が視認出来、患者からは装飾シート5により円筒状の容器本体2内部に収容された液状廃棄物3は覆われて見えず、図3に示すように、医療関係者は患者からは死角となる装飾シート5の左右端部5b,5cの間に形成される間隙7から円筒状の容器本体2に形成された目盛り8が視認出来、液状廃棄物3の色や収容量等の確認が容易に出来る。
【実施例2】
【0032】
次に、図4及び図5を用いて本発明に係る液状廃棄物容器の第2実施形態の構成について説明する。尚、前記第1実施形態と同様に構成したものは同一の符号を付して説明を省略する。前記第1実施形態ではカバー体4をカールしたシート状で構成したが、本実施形態ではカバー体4を円錐状に構成したものである。尚、容器本体2が断面三角形、断面四角形等の断面多角形や断面長円形や断面楕円形等の種々の形状で構成される場合には、カバー体4も容器本体2の外径に対応した筒錐状に構成される。
【0033】
図4及び図5において、本実施形態では、吸引した液状廃棄物3を収容する透明または半透明の容器本体2と、該容器本体2の外径よりも大きい内径を有し、該容器本体2の外周面に外装し得る透明または半透明の筒状のカバー体4と、該カバー体4と容器本体2との間に挿入される装飾シート5とを有し、カバー体4の一部に装飾シート5の端部を挟持して該装飾シート5を支持する挟持部を設け、カバー体4の内周面の一部に容器本体2の外周面に当接して該カバー体4を係止する滑止部6を設けたものである。そして、本実施形態の容器本体2は底部2aから上方に向かって外径が大きくなる円錐状で構成され、カバー体4は円錐状の容器本体2に対応して下端部4dから上端部4eに向かって内径が大きくなる錐状で構成される。装飾シート5を支持する挟持部は前記第1実施形態と同様に構成される。
【0034】
装飾シート5をカバー体4に設けられた挟持部となる起立片4cにより挟持してカバー体4の内周面側に支持した状態で該カバー体4の内部に上端部4e側から容器本体2の底部2a側を挿入し、カバー体4の上部内周面に複数設けられたポリウレタンからなる滑止部6を容器本体2の外周面に当接してカバー体4を係止する。
【0035】
本実施形態の構成によれば、カバー体4の一部に設けた挟持部により装飾シート5の端部を挟持して該装飾シート5をカバー体4に支持することが出来る。そして、内周面に沿って装飾シート5を取り付けた筒状のカバー体4を容器本体2の外周面に外装して装飾シート5が容器本体2の外周面とカバー体4の内周面との間に挿入される。そして、カバー体4の内周面の一部に設けた滑止部6が容器本体2の外周面に当接して該カバー体4を係止することが出来る。これにより、構造が簡単で装飾シート5が容易に交換でき、容器本体2内に収容された液状廃棄物3を装飾シート5により覆って患者に不快感を与えることがなく、患者からは死角となる装飾シート5の左右端部5b,5cの間に形成される間隙7から医療関係者が容器本体2内に収容された液状廃棄物3の色や収容量等を容易に視認出来る。
【0036】
また、容器本体2が底部2aから上方に向かって外径が大きくなる円錐や角錐の一部からなる錐状で構成され、カバー体4も錐状の容器本体2に対応して下端部4dから上端部4eに向かって内径が大きくなる円錐や角錐の一部からなる錐状で構成されたことで、装飾シート5をカバー体4の内周面側に支持した状態でカバー体4の上端部4e側から容器本体2の底部2a側を挿入して容器本体2の外周面にカバー体4を外装する際に装飾シート5が容器本体2の底部2aに干渉して外れるなどの不具合がなく外装する際の操作性が良い。他の構成は前記第1実施形態と同様に構成され、同様な効果を奏するものである。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明の活用例として、医療現場において、特に外科手術を行う際に生じる廃棄する必要のある血液や生理食塩水などの液状廃棄物の容器として適用出来る。
【符号の説明】
【0038】
1 …液状廃棄物容器
2 …容器本体
2a …底部
3 …液状廃棄物
4 …カバー体
4a …切欠部
4b …底辺
4c …起立片(挟持部)
4d …下端部
4e …上端部
5 …装飾シート
5a …下端部
5b,5c …左右端部
6 …滑止部
7 …間隙
8…目盛り
9 …排気口
10…吸引圧力調整つまみ
11 …吸引口
12 …キャップ
13 …フロート
14 …閉塞弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸引した液状廃棄物を収容する透明または半透明の円筒状の容器本体と、
前記円筒状の容器本体の外周長よりも短い内周長を有すると共に、自然状態で前記円筒状の容器本体の外周面の曲率よりも大きな曲率を有し、弾性変形により拡開して前記円筒状の容器本体の外周面に外装し得る透明または半透明のカバー体と、
前記カバー体と前記円筒状の容器本体との間に挿入される装飾シートと、
を有し、
前記カバー体の一部に前記装飾シートの端部を挟持して該装飾シートを支持する挟持部を設け、前記カバー体の内周面の一部に前記円筒状の容器本体の外周面に当接して該カバー体を係止する滑止部を設けたことを特徴とする液状廃棄物容器。
【請求項2】
吸引した液状廃棄物を収容する透明または半透明の容器本体と、
前記容器本体の外径よりも大きい内径を有し、前記容器本体の外周面に外装し得る透明または半透明の筒状のカバー体と、
前記カバー体と前記容器本体との間に挿入される装飾シートと、
を有し、
前記カバー体の一部に前記装飾シートの端部を挟持して該装飾シートを支持する挟持部を設け、前記カバー体の内周面の一部に前記容器本体の外周面に当接して該カバー体を係止する滑止部を設けたことを特徴とする液状廃棄物容器。
【請求項3】
前記容器本体の外周面に前記カバー体を介して前記装飾シートを取り付けた際に、前記装飾シートの左右端部の間に形成される間隙から前記容器本体の内部が視認し得ることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の液状廃棄物容器。
【請求項4】
前記容器本体の外周面に前記カバー体を介して前記装飾シートを取り付けた際に、前記装飾シートの左右端部の間に形成される間隙から前記容器本体に形成された目盛りが視認し得ることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の液状廃棄物容器。
【請求項5】
前記カバー体は、ポリエチレン、ポリカーボネイト、ポリプロピレン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS;Acrylonitrile butadiene styrene)、アクリル、スチロールのうちの少なくとも1つから構成されたことを特徴とする請求項1に記載の液状廃棄物容器。
【請求項6】
前記滑止部は、ポリウレタンにより構成されたことを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の液状廃棄物容器。
【請求項7】
前記容器本体は底部から上方に向かって外径が大きくなる錐状で構成され、前記カバー体は前記錐状の容器本体に対応して下端部から上端部に向かって内径が大きくなる錐状で構成されたことを特徴とする請求項2に記載の液状廃棄物容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−147477(P2011−147477A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−8831(P2010−8831)
【出願日】平成22年1月19日(2010.1.19)
【出願人】(591027008)株式会社小池メディカル (3)
【出願人】(595099960)株式会社群馬コイケ (6)
【出願人】(500020531)株式会社コーシンケミカル (3)
【出願人】(500285901)昭和樹脂工業株式会社 (1)
【Fターム(参考)】