液状材料塗布装置およびそれを含む欠陥修正装置
【課題】塗布針と基板との接触圧力の軽減が可能な塗布装置および本塗布装置を搭載した欠陥修正装置を提供する。
【解決手段】基板上の微細領域に液状材料を塗布して欠陥を修正するための液状材料塗布装置において、微細領域に液状材料を塗布する塗布針と、塗布針を上下方向に移動させるためのスライド機構と、スライド機構を上下方向に移動可能に支持する支持部材と、支持部材との距離が一定となるように設定された基板と塗布針との接触圧力を軽減する接触圧力軽減機構とを備える。
【解決手段】基板上の微細領域に液状材料を塗布して欠陥を修正するための液状材料塗布装置において、微細領域に液状材料を塗布する塗布針と、塗布針を上下方向に移動させるためのスライド機構と、スライド機構を上下方向に移動可能に支持する支持部材と、支持部材との距離が一定となるように設定された基板と塗布針との接触圧力を軽減する接触圧力軽減機構とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体状の材料を基板上の微細領域に塗布して欠陥を修正する欠陥修正装置に関し、特に、LCD(液晶ディスプレイ)のカラーフィルタの製造工程で発生する欠陥の修正において、液体状の材料を塗布する塗布装置およびそれを含む欠陥修正装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、LCD(液晶ディスプレイ)の大型化、高精細化に伴い画素数も増大し、LCDを無欠陥で製造することは困難となり、欠陥の発生確率も増加してきている。このような状況下において歩留まり向上のために、LCDのカラーフィルタの製造工程において発生する欠陥を修正する欠陥修正装置が生産ラインに不可欠となってきている。
【0003】
図15は、LCDのカラーフィルタの製造工程において発生する欠陥を示す図である。図15を参照して、図15(a)〜(c)において、カラーフィルタは、透明基板と、その表面に形成されたブラックマトリクス51と呼ばれる格子状のパターンと、複数組のR(赤色)画素52、G(緑色)画素53、およびB(青色)画素54とを含む。カラーフィルタの製造工程においては、図15(a)に示すように画素やブラックマトリクス51の色が抜けてしまった白欠陥55や、図15(b)に示すように隣の画素と色が混色したり、ブラックマトリクス51が画素にはみ出してしまった黒欠陥56や、図15(c)に示すように画素に異物が付着した異物欠陥57などが発生する。
【0004】
白欠陥55を修正する方法としては、インク塗布装置により、白欠陥55が存在する画素と同色のインクを塗布針の先端部に付着させ、塗布針の先端部に付着したインクを白欠陥55に塗布して修正する方法がある。また、黒欠陥56や異物欠陥57を修正する方法としては、欠陥部分をレーザカットして矩形の白欠陥55を形成した後、インク塗布装置により、塗布針の先端部に付着したインクをその白欠陥55に塗布して修正する方法がある。
【0005】
液晶ディスプレイは用途に応じ様々なサイズのものが製造される。具体的には大型パネルは家庭用TV用に、小型パネルは携帯端末の表示器用に製造される。
【0006】
特に、最近では携帯電話端末のスマートフォン化により、より高精細な小型液晶パネルの需要が増えてきている。このような状況下において、画素サイズが小型化し、修正対象となる欠陥サイズも20μm以下程度と非常に小さくなってきている。
【0007】
この微小サイズの欠陥を、高品位に修正が可能な修正装置が求められてきている。このような微小サイズの欠陥を高品位に修正できる技術として、特開2009−122259号公報(特許文献1)に開示される発明がある。
【0008】
特開2009−122259号公報(特許文献1)には、図15に示したようなカラーフィルタの欠陥修正のために、図14に示した塗布装置を用いて、色が抜けた部分(白欠陥)に同色のインクを塗布することで欠陥の修正を行なうことが記載されている。
【0009】
図14は、従来の欠陥修正装置の要部を示す図である。図14を参照して、図14(1)の塗布待機状態において、塗布針11の先端が塗布材料容器内に収納された状態になっている。インクを塗布する際は、図14(2)のように、シリンダを駆動して、塗布針11を塗布材料容器から突出させ、図14(3)のように、装置のZ軸駆動機構により塗布装置を下降させ、塗布針11の先端を基板5に接触させることでインクを塗布して欠陥を修正する。
【0010】
塗布針11は、スライド機構25で支持され、支持部材26に対して相対的に移動可能となっており、図14(3)に示すように塗布針11を基板5に接触させたとき、装置のZ軸駆動機構を、塗布針11の先端が基板5に接触してから、更に微小量下降させることで、基板5に確実にインクを塗布している。
【0011】
このときに、塗布針11は、スライド機構により支持部材26上部に移動することで、塗布針11の先端に余分な荷重が掛からないようになっている。塗布針11の基板5への接触荷重は、図14(4)に示した斜線部分の自重のみが掛かるようになっている。従って、静止時には塗布針11は、常に一定の接触荷重で基板5に接触する。
【0012】
塗布針11の先端が基板5に接触する時の圧力は、図14(4)に示した斜線部の自重および接触時の衝撃力と、塗布針11の先端の接触面積により決まる。
【0013】
塗布針11の先端形状は、円筒軸の先端が円錐状になった形で、さらに、この先端が平坦に加工された形状をしている。インクを塗布する際は、この平坦面に付着したインクを基板上に転写して塗布を行なう。このため、塗布されるインクの径は、塗布針11の先端の平坦面のサイズより若干大きくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2009−122259号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
前述のように、最近では20μm以下の欠陥サイズの修正が求められており、この欠陥を修正するための塗布針11の先端サイズは直径10μm程度が必要となる。塗布針11の先端サイズが小さくなると、塗布針11の先端が基板5に接触する時の圧力も高くなってしまう。
【0016】
このため、塗布針11の先端の接触により正常なカラーフィルタ面への傷付等が懸念されてきている。
【0017】
しかし、図14に示した装置では、図14(4)に示した斜線部の自重で、塗布針の接触荷重が決まっているため、接触圧力を小さくするためには、斜線部の自重を軽くしなければならないが、斜線部の軽量化にも限界があり、これ以上の接触圧力の低減は困難な状況にある。
【0018】
これまでは、液晶パネルのカラーフィルタの欠陥修正について説明したが、スマートフォン用液晶パネルに組み込まれるタッチパネルも小型化、高精細化しており、タッチパネルの電極修正用途でも、20μm幅の電極修正が求められてきている。この場合も、塗布針としては、先端直径10μm程度のものが用いられるため、カラーフィルタの場合と同様に、塗布針の接触圧力の軽減対策が必要となってきている。特に、タッチパネルの場合は、基材がPET(ポリエチレンテレフタレート)などのフィルムの場合があり、接触圧力が大きいと基材自体を傷付けてしまう可能性もあるため、より接触圧力の軽減が必要となってきている。
【0019】
上記のように、図14に示した塗布装置では、塗布針11の接触圧力の軽減に限界があり、これ以上の接触圧力の軽減は困難となってきている。そのため、小型化、高精細化する液晶パネルや、フィルム化するタッチパネルの修正への対応が困難になってきている。
【0020】
そこで、本発明の主たる目的は、上記で課題となっている塗布針と基板との接触圧力の軽減が可能な塗布装置および本塗布装置を搭載した欠陥修正装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
この発明に係る液状材料塗布装置は、基板上の微細領域に液状材料を塗布して欠陥を修正するための液状材料塗布装置において、微細領域に液状材料を塗布する塗布針と、塗布針を上下方向に移動させるためのスライド機構と、スライド機構を上下方向に移動可能に支持する支持部材と、支持部材との距離が一定となるように設定された基板と塗布針との接触圧力を軽減する接触圧力軽減機構とを備える。
【0022】
好ましくは、液状材料塗布装置は、塗布針を支持する塗布針支持部と、塗布針支持部の下方への移動を制限するストッパ部とをさらに備え、接触圧力軽減機構は、塗布針支持部の下端に設けられる第1の磁石と、ストッパ部に設けられる第2の磁石とを含み、第1の磁石と第2の磁石とは基板と鉛直する軸の同軸上に配置される。
【0023】
さらに好ましくは、第1の磁石または第2の磁石のいずれか一方は電磁石を含む。
さらに好ましくは、接触圧力軽減機構は、電磁石へ印加電流の大きさを調整する制御部をさらに含み、制御部は、電磁石へ印加電流の大きさを調整することによって、塗布針と基板との接触圧力を調整する。
【0024】
さらに好ましくは、制御部は、塗布針の先端が下降する際に印加電流をオフ状態からオン状態に切替えることによって塗布針と基板との接触圧力を軽減する。
【0025】
好ましくは、液状材料塗布装置は、塗布針を支持する塗布針支持部と、塗布針支持部の下方への移動を制限するストッパ部と、塗布針支持部とストッパ部との間にエアを噴射するエア噴射機構とを含み、エア噴射機構はエアの噴射を調整することにより、塗布針と基板との接触圧力を軽減する。
【0026】
さらに好ましくは、接触圧力軽減機構は、エア噴射機構のエア流量を調整する制御部をさらに含み、制御部は、エア噴射機構の強弱を変えることによって塗布針と基板との接触圧力を調整する。
【0027】
さらに好ましくは、制御部は、塗布針の先端が下降する際に、エア噴射機構が停止状態から噴射状態に切替えることによって塗布針と基板との接触圧力を軽減する。
【0028】
好ましくは、接触圧力軽減機構は、塗布針支持部は、第1の磁石を含み、ストッパ部は、第2の磁石を含み、第1の磁石と第2の磁石とは基板と鉛直な軸の同軸上に配置され、第1の磁石と第2の磁石とのそれぞれ対向する磁極は同性質の磁極となるように設けられ、第1の磁石と第2の磁石との間には反発力が発生する。
【0029】
さらに好ましくは、液状材料塗布装置は、第1の磁石と第2の磁石との間の距離を調節する間隔調整機構をさらに備える。
【0030】
好ましくは、液状材料塗布装置は、塗布針を支持する塗布針支持部と、支持部材と塗布針支持部との間に設けられる支持バネとをさらに備える。
【0031】
さらに好ましくは、塗布針支持部は、支持バネによって支持部材から吊り下げられるように設けられ、支持部材と塗布針支持部との間には収縮力が発生する。
【0032】
さらに好ましくは、液状材料塗布装置は、支持部材側および塗布針支持部側のいずれか一方に設けたバネ調整機構をさらに備える。
【0033】
好ましくは、液状材料塗布装置は、塗布針支持部および塗布針支持部を上昇端で保持する塗布針上昇端保持機構のそれぞれに設けられる第3の磁石および第4の磁石とを備え、第3および第4の磁石は、互いに吸着することによって、塗布針上昇端保持機構と塗布針支持部とが連動して動作可能にする。
【0034】
さらに好ましくは、第3の磁石および第4の磁石のいずれか一方は電磁石を含む。
また、好ましくは、液状材料塗布装置は、塗布針支持部および塗布針支持部を上昇端で保持する塗布針上昇端保持機構のうちの一方に設けられる第3の磁石と、他方に設けられる磁性体とを備え、第3の磁石および磁性体は、互いに吸着することによって、塗布針上昇端保持機構と塗布針支持部とが連動して動作可能にする。
【0035】
さらに好ましくは、第3の磁石は電磁石を含む。
好ましくは、欠陥修正装置は上述した液状材料塗布装置を備える。
【発明の効果】
【0036】
本発明の液状材料塗布装置によって、塗布針と基板との間の接触圧力を軽減することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】そのような欠陥修正装置の要部を示す図である。
【図2】図1に示した塗布ユニットの構成を示す図である。
【図3】図2に示した塗布材料容器の構成を示す断面図である。
【図4】図1〜図3に示した欠陥修正装置のインク塗布動作を示すフローチャートである。
【図5】本実施の形態1の液状材料塗布装置6を示す図である。
【図6】本実施の形態1の液状材料塗布装置6の主要部を示す図である。
【図7】本実施の形態2の液状材料塗布装置6Aを示す図である。
【図8】本実施の形態2の液状材料塗布装置6Aの主要部を示す図である。
【図9】本実施の形態3の液状材料塗布装置6Bを示す図である。
【図10】本実施の形態3の液状材料塗布装置6Bの主要部を示す図である。
【図11】本実施の形態4の液状材料塗布装置6Cを示す図である。
【図12】本実施の形態4の液状材料塗布装置6Cの主要部を示す図である。
【図13】この発明の実施の形態1〜4の液状材料塗布装置を含む欠陥修正装置の共通の全体構成を示す図である。
【図14】従来の欠陥修正装置の要部を示す図である。
【図15】LCDのカラーフィルタの製造工程において発生する欠陥を示す図である。
【図16】本実施の形態5の液状材料塗布装置6Dの主要部を示すもので、塗布前の状態を示す図である。
【図17】本実施の形態5の液状材料塗布装置6Dの塗布時の状態を示す図である。
【図18】本実施の形態4の液状材料塗布装置6Cにおいて、塗布針支持部18が下降不足を発生した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明について図面を参照して詳しく説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一の符号を付してその説明は繰り返さない。
【0039】
本願発明の各実施の形態1〜5について説明する前に、本願発明の基礎となる欠陥修正装置の共通構成について説明する。図1は、そのような欠陥修正装置の要部を示す図である。図1において、この欠陥修正装置は、観察鏡筒1と、倍率の異なる複数の対物レンズ2とを含む観察光学系3を備える。図示しないレボルバにより、複数の対物レンズ2のうちの所望の対物レンズ2を選択し、選択した対物レンズ2を観察鏡筒1の下に移動させることが可能となっている。観察光学系3はZ軸テーブル4に搭載されている。修正対象の液晶カラーフィルタ基板(以下、基板という)5は、対物レンズ2に対向してXYテーブル(図示せず)に搭載される。XYテーブルによって基板5をXY方向(水平方向)に移動させ、Z軸テーブル4によって観察光学系3をZ軸方向(垂直方向)に移動させることにより、基板5表面の任意の位置に対物レンズ2の焦点を合わせて拡大して観察することが可能となっている。
【0040】
図2は、図1に示した塗布ユニットの構成を示す図である。図2を参照して、Z軸テーブル4には、液状材料塗布装置も搭載されている。液状材料塗布装置は、図2(a)(b)に示すように、R,G,Bおよび黒用の4つの塗布ユニット7〜10を備え、塗布ユニット7〜10の各々は、塗布針11、塗布針ホルダ12、および塗布材料容器(以下、容器とも称する)13を含む。塗布ユニット7,8はX1テーブル14に搭載され、塗布ユニット9,10はX2テーブル15に搭載され、図1に示すように、テーブル14,15はZ軸テーブル16に搭載され、Z軸テーブル16はY軸テーブル17に搭載されている。
【0041】
塗布を行なうために選択された塗布針11を、Y軸テーブル17によって、塗布針11が塗布を行なう欠陥位置のY軸方向位置と同じ位置に来るように移動させ、次いでZ軸テーブル16によって、選択された塗布針11を含む塗布ユニット7〜10のいずれかを対物レンズ2の下に挿入できるように垂直方向に下降させ、さらに、塗布針11が塗布を行なう欠陥位置のX軸方向位置と同じ位置に来るように、選択された塗布針11を含む塗布ユニット7〜10のいずれかを搭載するX1テーブル14またはX2テーブル15を対物レンズ2の方向に移動させることにより、対物レンズ2と基板5の間に挿入することが可能となっている。
【0042】
塗布ユニット7は、図2(A)(B)に示すように、2本の塗布針支持部(アーム)18,19を含む。塗布針支持部(アーム)18の先端には塗布針ホルダ12が取り付けられ、塗布材料容器支持部(アーム)19の先端には塗布材料容器13が取り付けられ、塗布針11は塗布材料容器13に挿入されている。
【0043】
図3に示すように、塗布材料容器13の底には孔13aが開口され、インク20が注入されている。孔13aは、インク20が流出しないような小さな寸法に設定されている。塗布材料容器13の側部には保持部21が設けられており、保持部21には塗布材料容器13を塗布材料容器支持部(アーム)19の先端部に磁石(図示せず)を介して固定するための塗布材料容器固定ピン22が設けられている。塗布材料容器13の開口部は蓋23で閉じられており、蓋23には孔23aが開口されている。
【0044】
塗布針11は、先端部11a側の小径部11bと、塗布針ホルダ12に固着される大径部11cからなる段付形状を有し、小径部11bの直径は塗布材料容器13の孔13aの直径よりも若干小さく設定され、大径部11cの直径は蓋23の孔23aの直径よりも若干小さく設定されている。
【0045】
図2(A)(B)に戻って、塗布材料容器支持部(アーム)19の基端部はスライド機構24によって塗布針支持部(アーム)18の中央部に上下動可能に支持され、塗布針支持部(アーム)18の基端部はスライド機構25によって支持部材26に上下動可能に支持されている。支持部材26の下端には、塗布針支持部(アーム)18,塗布材料容器支持部(アーム)19の下方への移動を制限するストッパ部27が設けられ、支持部材26には塗布針支持部(アーム)18の基端部の下端を上下動させるシリンダ28が搭載されている。
【0046】
次に、この欠陥修正装置の動作について説明する。図3は、図2に示した塗布材料容器の構成を示す断面図である。図3を参照して待機時は、シリンダ28によって塗布針支持部(アーム)18が上限位置に保持され、塗布材料容器支持部(アーム)19は塗布針支持部(アーム)18にぶら下がった状態になっている。このとき塗布針支持部(アーム)18,塗布材料容器支持部(アーム)19間の上下方向の距離は最大になっており、図3に示すように、塗布針11の先端部11aはインク20に浸漬されている。
【0047】
図4は図1〜図3に示した欠陥修正装置のインク塗布動作を示すフローチャートである。図4を参照して、修正時は、ステップS1において、モニタ画面(図示せず)に表示された欠陥に対して、作業者がインク20を塗布する位置を指定する。ステップS2において、現在観察に用いている対物レンズ2が、塗布針11の挿入が可能な対物レンズ2か否か、すなわち倍率が10倍の対物レンズ2か否かを確認する。対物レンズ2の倍率が10倍以外のたとえば20倍である場合、ステップS3において、レボルバを回転させて対物レンズ2を10倍の対物レンズ2に切換え、ステップS4において、レボルバによる対物レンズ2の切換えの完了を確認する。対物レンズ2の切換えを完了した場合、およびステップS2において対物レンズ2が10倍のものであった場合は、ステップS5において、テーブル14〜17を駆動して、所望の塗布針11を欠陥修正位置へ移動させる。
【0048】
次に、ステップS6において、シリンダ28によって塗布針支持部(アーム)18,塗布材料容器支持部(アーム)19を下限位置まで下降させる。このとき、塗布材料容器支持部(アーム)19が塗布針支持部(アーム)18よりも先にストッパ部27に接触し、塗布針支持部(アーム)18,塗布材料容器支持部(アーム)19間の上下方向の距離が最小になり、塗布針11の先端部11aが塗布材料容器13の孔13aを貫通して塗布材料容器13の底から突出する。突出した塗布針11の先端部11aには、インク20が付着している。次いでステップS7において、Z軸テーブル16によって塗布針11を下降させ、塗布針11の先端部11aを基板5の欠陥部に接触させ、ステップS8において、基板5の欠陥部にインク20を塗布する。ステップS9において、Z軸テーブル16によって塗布針11を上昇させ、ステップS10において、シリンダ28を駆動して塗布針11を塗布材料容器13内に収納する。ステップS6〜S10で、1回のインク塗布が完了する。
【0049】
欠陥部が複数存在する場合はインク塗布位置も複数存在するので、ステップS11において、次の塗布位置があるか否かを確認し、次の塗布位置が存在する場合は、ステップS12において、基板5をXYテーブル(図示せず)によって移動させ、再度、ステップS6〜S10を実施する。この動作を繰り返すことで、全ての欠陥部分へのインク塗布が完了する。ステップS11において、次の塗布位置が無いと判別した場合は、ステップS13において、塗布針11を欠陥修正位置から退避させ、ステップS14において、修正を完了する。
【0050】
[実施の形態1]
図5は、本実施の形態1の液状材料塗布装置6を示す図である。図6は、本実施の形態1の液状材料塗布装置6の主要部を示す図である。
【0051】
図5、図6を参照して、液状材料塗布装置6は、塗布材料を収納するための塗布材料容器13と、塗布針11、塗布針11を固定する塗布針ホルダ12、塗布針ホルダ12を固定支持する塗布針支持部(アーム)18、塗布針11を上下方向に移動させるためのスライド機構25と、スライド機構25を上下方向に移動可能に支持する支持部材26とを含む。
【0052】
液状材料塗布装置6は、塗布針11の接触圧力を軽減するために、塗布針支持部18に組み込まれるマグネット110と、支持部材26に組み込まれる電磁石112とを含む。また、液状材料塗布装置6は、塗布針支持部18を支持部材26に対して相対的に移動させるための駆動機構であるシリンダ28をさらに含む。なお、基板5と支持部材26との距離は、一定となるように設定され、これは実施の形態1の液状材料塗布装置だけに限定されず、後に説明する実施の形態2〜4の液状材料塗布装置についても同様に一定になるように設定される。
【0053】
塗布待機時には、塗布針支持部18は、シリンダ28に取り付けられた支持ピン29で上部に引き上げられた状態になっている。塗布針支持部18とシリンダ28の支持ピン29は固着しておらず、塗布針支持部18の一部がシリンダ28の支持ピン29に引っ掛かった状態となっている。従って、シリンダ28の支持ピン29の下降によって、塗布針支持部18は図14(D)斜線部の自重で下降するようになっている。
【0054】
このとき、図示はしないが実施の形態1の液状材料塗布装置は制御部を含み、この制御部は電磁石に印加電流を印加することによって、マグネット110と電磁石112との間に反発力が生じ、この下降したときの塗布針11と基板5との接触圧力は軽減する。すなわち、マグネット110と電磁石112の対向する側は、同性質の磁極となっており、電磁石112に電流を流すことで、反発する方向に力を作用させることができる。
【0055】
電磁石112に流す電流量で、反発力を可変することができるため、塗布針11が基板から遠い位置では反発力を小さくしておいて、塗布針11が基板5に接触する寸前位置で、反発力を大きくして塗布針11の接触圧力を最終目的の値まで軽減するといった事が可能である。
【0056】
また、電磁石112に流す電流をON/OFFすることで、反発力をON/OFFすることもできるため、塗布針11の先端が下降する際、たとえば、基板5に接触する寸前位置で反発力を働かせて塗布針の接触圧力を軽減することが可能である。
【0057】
また実施の形態1の液状材料塗布装置では、塗布針11の接触圧力を調整するための反発力をON/OFFすることが可能なため、塗布針11が基板5に接触する直前で反発力を働かせることができ、塗布針支持部18の下降にほとんど影響を与えないため、従来の塗布装置と比較して塗布に掛かる時間をほとんど遅延することなく、塗布針11の接触圧力の軽減が可能である。
【0058】
このような構成を取ることにより、塗布針11の下降速度の遅延をできるだけ減らして塗布をすることができる。なお、ここでは、実施の形態1の液状材料塗布装置は、塗布針支持部18および支持部材26にそれぞれ、マグネット110、電磁石112を組み込まれた構成を用いて説明したが、これに限定されることなく、塗布針支持部18および支持部材26に組み込まれた磁石のうちいずれか一方に電磁石を用いればよい。
【0059】
[実施の形態2]
図7は、本実施の形態2の液状材料塗布装置6Aを示す図である。図8は、本実施の形態2の液状材料塗布装置6Aの主要部を示す図である。
【0060】
図7、図8を参照して、実施の形態1の液状材料塗布装置6と比較しつつ、本実施の形態2の液状材料塗布装置6Aを説明する。液状材料塗布装置6Aは、液状材料塗布装置6のマグネット110と電磁石112とに代え、エア噴射機構210を含む。
【0061】
図5、図6が示すように実施の形態1の液状材料塗布装置6では、塗布針支持部18にマグネット110を、ストッパ部27に電磁石112を組み込み、電磁石112に電流を流した時の反発力で、塗布針11が基板5に接触する時の接触圧力を軽減していた。
【0062】
一方、本実施の形態2の液状材料塗布装置6Aでは、ストッパ部27にエア噴射機構210を設け、塗布針支持部18の下端面にエアを吹き付けることで、接触圧力を軽減する。
【0063】
また図示はしないが実施の形態2の液状材料塗布装置は制御部を含み、この制御部はエア圧力の調整、エア圧のON/OFFを調整することによって実施の形態1の液状材料塗布装置6と同様の接触圧力の軽減が可能である。なお、ここでは、エア噴射機構210をストッパ部27側に設けて説明をしたが、これに限られることなく、塗布針支持部18側に設けてもよい。なお、本実施の形態2の液状材料塗布装置6Aの他の構成については、実施の形態1の液状材料塗布装置6と同様であるため、ここでは説明は繰返さない。
【0064】
[実施の形態3]
図9は、本実施の形態3の液状材料塗布装置6Bを示す図である。図10は、本実施の形態3の液状材料塗布装置6Bの主要部を示す図である。
【0065】
図9、図10を参照して、実施の形態1の液状材料塗布装置6と比較しつつ、本実施の形態3の液状材料塗布装置6Bを説明する。液状材料塗布装置6Bは、液状材料塗布装置6のマグネット110と電磁石112とに代え、マグネット310,312と、間隔調整機構320とを含む。
【0066】
実施の形態3の液状材料塗布装置6Bは、塗布針支持部18とストッパ部27とにそれぞれマグネットを組み込み、塗布針支持部18に組み込んだマグネット310と、ストッパ部27に組み込んだマグネット312とを、お互いに対向するように配置し、各マグネットが同極の磁極となるようにして、反発する方向に力を働かせる。
【0067】
この場合に、間隔調整機構320によって塗布針11の接触圧力を調整することは可能である。換言すると、間隔調整機構320は各マグネット間の距離を調整するように設定でき、これによって、接触圧力が調整される。但し、本実施の形態3の液状材料塗布装置は両マグネット間で生じる反発力のON/OFFを制御することはできない。
【0068】
なお、説明の際に間隔調整機構320は、塗布針支持部18側に設けられているが、これに限定されることなく、塗布針支持部18側およびストッパ部27のいずれか一方に設けられればよい。
【0069】
液状材料塗布装置6Bの構成をとることにより、マグネット310,312の強さ、間隔調整機構320による間隔調整によって実施の形態1の液状材料塗布装置6と同様の接触圧力の軽減が可能である。なお、本実施の形態3の液状材料塗布装置6Bの他の構成については、実施の形態1の液状材料塗布装置6と同様であるため、ここでは説明は繰返さない。
【0070】
[実施の形態4]
図11は、本実施の形態4の液状材料塗布装置6Cを示す図である。図12は、本実施の形態3の液状材料塗布装置6Cの主要部を示す図である。
【0071】
図11、図12を参照して、実施の形態1の液状材料塗布装置6と比較しつつ、本実施の形態4の液状材料塗布装置6Cを説明する。液状材料塗布装置6Cは、液状材料塗布装置6のマグネット110と電磁石112とに代え、支持バネ410と、バネ調整機構である張力調整機構420とを含む。
【0072】
実施の形態4の液状材料塗布装置6Cは、塗布針支持部18と支持部材26との間に支持バネ(引っ張りバネ)410をさらに含み、支持バネ(引っ張りバネ)410で塗布針支持部18を吊り下げ支持することで、塗布針11の接触圧力を軽減する。
【0073】
この場合でも、塗布針11の接触圧力を軽減することは可能である。具体的には接触圧力の調整は、支持部材26側に設けた張力調整機構420によって、支持バネ(引っ張りバネ)410の引っ張り長さを変えることで可能である。張力調整機構420を用いて、塗布針支持部18と支持部材26との間に設けられた支持バネが延びた状態から元に戻ろうとする引き戻す力(収縮力)を利用して、塗布針支持部18を上方向へ持ち上げ、塗布針11と基板5との接触圧力を軽減する。但し、塗布針11の接触圧力の軽減力のON/OFF自体を制御することはできない。
【0074】
ここでは、塗布針支持部18と支持部材26との間に支持バネを設けたが、これに限らず、塗布針支持部18とストッパ部27との間に支持バネを設けてもよい。なお、本実施の形態4の液状材料塗布装置6Cの他の構成については、実施の形態1の液状材料塗布装置6と同様であるため、ここでは説明は繰返さない。
【0075】
[実施の形態5]
図16は、本実施の形態5の液状材料塗布装置6Dの主要部を示す図で、塗布前の状態である。図17は、本実施の形態5の塗布時の状態を示す図である。図18は、本実施の形態5の液状材料塗布装置6Dのマグネット(磁石)520が無い、本実施の形態4の液状材料塗布装置6Cで、塗布針支持部18の下降不足が発生した場合を示す図である。
【0076】
図16および図17を参照して、液状材料塗布装置6Dは、実施の形態4の液状材料塗布装置6Cに針の降下を補助するマグネット520を追加したものである。
【0077】
実施の形態5の液状材料塗布装置6Dは、実施の形態3,4の液状材料塗布装置6B,6Cのように、塗布針11の接触圧力の軽減力のON/OFF自体を制御することができない場合に有効となる。
【0078】
具体的には、この実施の形態4の液状材料塗布装置6Cでは、支持バネ(引っ張りバネ)410で塗布針支持部18を吊り下げ支持することにより、塗布針11と基板5との接触圧力を軽減する。
【0079】
しかし、塗布針支持部18の自重を軽減し過ぎると、降下時のスライド機構25の摺動抵抗で、図18のように下降しきれない場合が発生する。
【0080】
そこで、液状材料塗布装置6Dはさらにマグネット(磁石)520,521を含む。このマグネット520は、支持ピン29に設けられ、一方、マグネット521は、塗布針支持部18に設けられ、マグネット520と対向して配置される。なお、支持ピン29(塗布針上昇端保持機構)は、塗布針支持部18を上部に引き上げた状態で保持する。
【0081】
また、このマグネット520,521が磁力で吸着した状態で、シリンダ28によりストッパ27まで塗布針支持部18を引き下げる。ストッパ27で塗布針支持部18が停止した後もシリンダ28は下降することによりマグネット520とマグネット521とが離間し、マグネット520とマグネット521との間に働く磁力による吸引力の影響は無くなり、支持バネ410で接触力を軽減した状態での安定した塗布が可能となる。
【0082】
なお、互いに吸着するための機構として双方ともマグネット(磁石)が配置されるとして説明を行なったが、これに限定されることなく、これらのうち一方が磁性体として配置されてもよい。たとえば、支持ピン29に設けられたマグネット520の代わりに磁性体を用いてもよい。
【0083】
また、マグネット520あるいはマグネット521のいずれか一方を電磁石にした構成でも安定した塗布が可能である。この場合、たとえばマグネット520の代わりに電磁石を用いて、この電磁石とマグネット521との離間距離が小さくても、この電磁石の電流をOFFすることで磁力の影響を除くことが可能である。
【0084】
実施の形態5の液状材料塗布装置6Dの構成をとることにより、より安定した塗布が可能となる。また、上述した構成を実施の形態3,4の液状材料塗布装置6B,6Cにも用いることによりさらに安定した塗布が可能となる。
【0085】
本実施の形態1〜5の液状材料塗布装置の構成をとることにより、塗布針11が基板5に接触するときの接触圧力を軽減することが可能である。
【0086】
これにより、液晶パネルのカラーフィルタ修正においては、20μm以下の微小な欠陥修正においても、正常なカラーフィルタ面にダメージを与えることがなく、高品位の修正が可能となる。また、タッチパネル等の電極修正においても、基材のフィルムや、正常電極部にダメージを与えることなく修正が可能となる。
【0087】
[液状材料塗布装置を含む欠陥修正装置の構成]
図13は、この発明の各実施の形態1〜5の液状材料塗布装置を含む欠陥修正装置の共通の全体構成を示す図である。図13を参照して、この欠陥修正装置は、観察光学系31、CCD(Charge Coupled Device)カメラ32、カット用レーザ装置33、インク塗布機構34、およびインク硬化用光源35から構成される修正ヘッド部と、この修正ヘッド部を修正対象の基板5に対して垂直方向(Z軸方向)に移動させるZ軸テーブル36と、Z軸テーブル36を搭載してX軸方向に移動させるX軸テーブル37と、基板5を搭載してY軸方向に移動させるY軸テーブル38と、装置全体の動作を制御する制御用コンピュータ39と、CCDカメラ32によって撮影された画像などを表示するモニタ40と、制御用コンピュータ39に作業者からの指令を入力するための操作パネル41とを備える。
【0088】
観察光学系31は、基板5の表面状態や、インク塗布機構34によって塗布されたインク20の状態を観察するためのものである。観察光学系31によって観察される画像は、CCDカメラ32により電気信号に変換され、モニタ40に表示される。カット用レーザ装置33は、観察光学系31を介して基板5上の不要部にレーザ光を照射して除去する。
【0089】
インク塗布機構34は、基板5に発生した白欠陥55にインク20を塗布して修正する。インク硬化用光源35は、たとえばCO2レーザを含み、インク塗布機構34によって塗布されたインク20にレーザ光を照射して硬化させる。
【0090】
なお、この装置構成は一例であり、たとえば、観察光学系31などを搭載したZ軸テーブル36をX軸テーブル37に搭載し、さらにX軸テーブル37をY軸テーブル38に搭載し、Z軸テーブル36をXY方向に移動可能とするガントリー方式と呼ばれる構成でもよく、観察光学系31などを搭載したZ軸テーブル36を、修正対象の基板5に対してXY方向に相対的に移動可能な構成であればどのような構成でもよい。
【0091】
最後に、図を用いて実施の形態1〜5について総括する。
本実施の形態1〜5の液状材料塗布装置は、図5〜図18に示されたように、基板5上の微細領域に液状材料を塗布して欠陥を修正するための液状材料塗布装置において、微細領域に液状材料を塗布する塗布針11と、塗布針11を上下方向に移動させるためのスライド機構25と、スライド機構25を上下方向に移動可能に支持する支持部材26と、支持部材との距離が一定となるように設定された基板と塗布針11との接触圧力を軽減する接触圧力軽減機構(たとえば、磁石110、電磁石112、エア噴射機構210、磁石310、磁石312、支持バネ410)と、下降補助機構(たとえば、マグネット520,521)とを備える。
【0092】
特に、本実施の形態1の液状材料塗布装置は、図5、図6に示されたように、塗布針11を支持する塗布針支持部18と、塗布針支持部18の下方への移動を制限するストッパ部27とをさらに備え、接触圧力軽減機構(たとえば磁石110,電磁石112は、塗布針支持部18の下端に設けられる磁石110と、ストッパ部27に設けられる電磁石112とを含み、第1の磁石110と第2の磁石112とは基板5と鉛直する軸の同軸上に配置される。さらに、実施の形態1では磁石110および電磁石112としたが、これに限定されることなく、いずれか一方の磁石が電磁石であればよい。さらに接触圧力軽減機構(たとえば磁石110,112)は、電磁石112への印加電流の大きさを調整する制御部をさらに含み、制御部は、電磁石112への印加電流の大きさを調整することによって、塗布針11と基板5との接触圧力を調整する。制御部は、塗布針11の先端が下降する際に印加電流をオフ状態からオン状態に切替えることによって塗布針11と基板5との接触圧力を軽減する。
【0093】
次に、本実施の形態2の液状材料塗布装置は、図7、図8に示されたように、塗布針11を支持する塗布針支持部18と、塗布針支持部18の下方への移動を制限するストッパ部27と、塗布針支持部18とストッパ部27との間にエアを噴射するエア噴射機構210とを含み、エア噴射機構210はエアの噴射を調整することにより、塗布針11と基板5との接触圧力を軽減する。接触圧力軽減機構(たとえば、エア噴射機構210)は、エア噴射機構210のエア流量を調整する制御部をさらに含み、制御部は、エア噴射機構210の強弱を変えることによって塗布針11と基板との接触圧力を調整する。制御部は、塗布針11の先端が下降する際に、エア噴射機構を停止状態から噴射状態に切替えることによって塗布針11と基板との接触圧力を軽減する。
【0094】
さらに、本実施の形態3の液状材料塗布装置は、図9、図10に示されたように、塗布針支持部18が第1の磁石310を含み、ストッパ部27が第2の磁石312を含み、第1の磁石310と第2の磁石312とは基板5と鉛直な軸の同軸上に配置され、第1の磁石310と第2の磁石312とのそれぞれ対向する磁極は同性質の磁極となるように設けられ、第1の磁石310と第2の磁石312との間には反発力が発生する。本実施の形態3の液状材料塗布装置は、第1の磁石310と第2の磁石312との間の距離を調節する間隔調整機構320をさらに備える。
【0095】
次に、本実施の形態4の液状材料塗布装置は、図11、図12で示されるように、塗布針11を支持する塗布針支持部18と、支持部材26と塗布針支持部18との間に設けられる支持バネ410とをさらに備える。さらに、塗布針支持部18は、支持バネ410によって支持部材26から吊り下げられるように設けられ、支持部材26と塗布針支持部18との間には収縮力が発生する。また本実施の形態4の液状材料塗布装置は、支持部材26側および前記塗布針支持部18側のいずれか一方に設けたバネ調整機構420をさらに備える。
【0096】
次に、本実施の形態5の液状材料塗布装置は、図16、図17で示されるように、形態3や形態4の液状材料塗布装置に、マグネット520をさらに備える。本実施の形態5の液状材料塗布装置は、シリンダ28により塗布針支持部18を下降させる時に、支持ピン29とマグネット520が磁力で吸着して下降を補助し、ストッパ27まで塗布針支持部18を下降させる。下降したあと、更にシリンダ28が下降することにより、支持ピン29とマグネット520が引き離される構造を備える。もしくはマグネット520を電磁石にしてオン/オフする構造を備える。
【0097】
好ましくは、本実施の形態5の液状材料塗布装置は、図16、図17に示すように塗布針支持部18および塗布針支持部18を上昇端で保持するの支持ピン29(塗布針上昇端保持機構)のそれぞれに設けられる磁石520および磁石521を備え、磁石520,521は、互いに吸着することによって、支持ピン29(塗布針上昇端保持機構)と塗布針支持部18とが連動して動作可能にする。
【0098】
さらに好ましくは、磁石520,521のいずれか一方は電磁石を含む。
好ましくは、本実施の形態5の液状材料塗布装置6Dは、塗布針支持部18および塗布針支持部18を上昇端で保持する支持ピン29(塗布針上昇端保持機構)のうちの一方に設けられる磁石と、他方に設けられる磁性体とを備え、磁石および磁性体は、互いに吸着することによって、支持ピン29(塗布針上昇端保持機構)と塗布針支持部18とが連動して動作可能にする。
【0099】
さらに好ましくは、上記磁石は電磁石を含む。
また欠陥修正装置は、図13に示したように実施の形態1〜5の液状材料塗布装置を備える。
【0100】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0101】
1 観察鏡筒、2 対物レンズ、3,31 観察光学系、5 基板、6,6A〜6C 液状材料塗布装置、7〜10 塗布ユニット、11 塗布針、13 塗布材料容器、18 塗布針支持部、20 インク、21 保持部、22 塗布材料容器固定ピン、24,25 スライド機構、26 支持部材、27 ストッパ部、28 シリンダ、29 支持ピン、32 CCDカメラ、33 カット用レーザ装置、34 インク塗布機構、35 インク硬化用光源、39 制御用コンピュータ、40 モニタ、41 操作パネル、110 マグネット、112 電磁石、210 エア噴射機構、320 間隔調整機構、410 支持バネ、420 張力調整機構、520,521 マグネット。
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体状の材料を基板上の微細領域に塗布して欠陥を修正する欠陥修正装置に関し、特に、LCD(液晶ディスプレイ)のカラーフィルタの製造工程で発生する欠陥の修正において、液体状の材料を塗布する塗布装置およびそれを含む欠陥修正装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、LCD(液晶ディスプレイ)の大型化、高精細化に伴い画素数も増大し、LCDを無欠陥で製造することは困難となり、欠陥の発生確率も増加してきている。このような状況下において歩留まり向上のために、LCDのカラーフィルタの製造工程において発生する欠陥を修正する欠陥修正装置が生産ラインに不可欠となってきている。
【0003】
図15は、LCDのカラーフィルタの製造工程において発生する欠陥を示す図である。図15を参照して、図15(a)〜(c)において、カラーフィルタは、透明基板と、その表面に形成されたブラックマトリクス51と呼ばれる格子状のパターンと、複数組のR(赤色)画素52、G(緑色)画素53、およびB(青色)画素54とを含む。カラーフィルタの製造工程においては、図15(a)に示すように画素やブラックマトリクス51の色が抜けてしまった白欠陥55や、図15(b)に示すように隣の画素と色が混色したり、ブラックマトリクス51が画素にはみ出してしまった黒欠陥56や、図15(c)に示すように画素に異物が付着した異物欠陥57などが発生する。
【0004】
白欠陥55を修正する方法としては、インク塗布装置により、白欠陥55が存在する画素と同色のインクを塗布針の先端部に付着させ、塗布針の先端部に付着したインクを白欠陥55に塗布して修正する方法がある。また、黒欠陥56や異物欠陥57を修正する方法としては、欠陥部分をレーザカットして矩形の白欠陥55を形成した後、インク塗布装置により、塗布針の先端部に付着したインクをその白欠陥55に塗布して修正する方法がある。
【0005】
液晶ディスプレイは用途に応じ様々なサイズのものが製造される。具体的には大型パネルは家庭用TV用に、小型パネルは携帯端末の表示器用に製造される。
【0006】
特に、最近では携帯電話端末のスマートフォン化により、より高精細な小型液晶パネルの需要が増えてきている。このような状況下において、画素サイズが小型化し、修正対象となる欠陥サイズも20μm以下程度と非常に小さくなってきている。
【0007】
この微小サイズの欠陥を、高品位に修正が可能な修正装置が求められてきている。このような微小サイズの欠陥を高品位に修正できる技術として、特開2009−122259号公報(特許文献1)に開示される発明がある。
【0008】
特開2009−122259号公報(特許文献1)には、図15に示したようなカラーフィルタの欠陥修正のために、図14に示した塗布装置を用いて、色が抜けた部分(白欠陥)に同色のインクを塗布することで欠陥の修正を行なうことが記載されている。
【0009】
図14は、従来の欠陥修正装置の要部を示す図である。図14を参照して、図14(1)の塗布待機状態において、塗布針11の先端が塗布材料容器内に収納された状態になっている。インクを塗布する際は、図14(2)のように、シリンダを駆動して、塗布針11を塗布材料容器から突出させ、図14(3)のように、装置のZ軸駆動機構により塗布装置を下降させ、塗布針11の先端を基板5に接触させることでインクを塗布して欠陥を修正する。
【0010】
塗布針11は、スライド機構25で支持され、支持部材26に対して相対的に移動可能となっており、図14(3)に示すように塗布針11を基板5に接触させたとき、装置のZ軸駆動機構を、塗布針11の先端が基板5に接触してから、更に微小量下降させることで、基板5に確実にインクを塗布している。
【0011】
このときに、塗布針11は、スライド機構により支持部材26上部に移動することで、塗布針11の先端に余分な荷重が掛からないようになっている。塗布針11の基板5への接触荷重は、図14(4)に示した斜線部分の自重のみが掛かるようになっている。従って、静止時には塗布針11は、常に一定の接触荷重で基板5に接触する。
【0012】
塗布針11の先端が基板5に接触する時の圧力は、図14(4)に示した斜線部の自重および接触時の衝撃力と、塗布針11の先端の接触面積により決まる。
【0013】
塗布針11の先端形状は、円筒軸の先端が円錐状になった形で、さらに、この先端が平坦に加工された形状をしている。インクを塗布する際は、この平坦面に付着したインクを基板上に転写して塗布を行なう。このため、塗布されるインクの径は、塗布針11の先端の平坦面のサイズより若干大きくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2009−122259号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
前述のように、最近では20μm以下の欠陥サイズの修正が求められており、この欠陥を修正するための塗布針11の先端サイズは直径10μm程度が必要となる。塗布針11の先端サイズが小さくなると、塗布針11の先端が基板5に接触する時の圧力も高くなってしまう。
【0016】
このため、塗布針11の先端の接触により正常なカラーフィルタ面への傷付等が懸念されてきている。
【0017】
しかし、図14に示した装置では、図14(4)に示した斜線部の自重で、塗布針の接触荷重が決まっているため、接触圧力を小さくするためには、斜線部の自重を軽くしなければならないが、斜線部の軽量化にも限界があり、これ以上の接触圧力の低減は困難な状況にある。
【0018】
これまでは、液晶パネルのカラーフィルタの欠陥修正について説明したが、スマートフォン用液晶パネルに組み込まれるタッチパネルも小型化、高精細化しており、タッチパネルの電極修正用途でも、20μm幅の電極修正が求められてきている。この場合も、塗布針としては、先端直径10μm程度のものが用いられるため、カラーフィルタの場合と同様に、塗布針の接触圧力の軽減対策が必要となってきている。特に、タッチパネルの場合は、基材がPET(ポリエチレンテレフタレート)などのフィルムの場合があり、接触圧力が大きいと基材自体を傷付けてしまう可能性もあるため、より接触圧力の軽減が必要となってきている。
【0019】
上記のように、図14に示した塗布装置では、塗布針11の接触圧力の軽減に限界があり、これ以上の接触圧力の軽減は困難となってきている。そのため、小型化、高精細化する液晶パネルや、フィルム化するタッチパネルの修正への対応が困難になってきている。
【0020】
そこで、本発明の主たる目的は、上記で課題となっている塗布針と基板との接触圧力の軽減が可能な塗布装置および本塗布装置を搭載した欠陥修正装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
この発明に係る液状材料塗布装置は、基板上の微細領域に液状材料を塗布して欠陥を修正するための液状材料塗布装置において、微細領域に液状材料を塗布する塗布針と、塗布針を上下方向に移動させるためのスライド機構と、スライド機構を上下方向に移動可能に支持する支持部材と、支持部材との距離が一定となるように設定された基板と塗布針との接触圧力を軽減する接触圧力軽減機構とを備える。
【0022】
好ましくは、液状材料塗布装置は、塗布針を支持する塗布針支持部と、塗布針支持部の下方への移動を制限するストッパ部とをさらに備え、接触圧力軽減機構は、塗布針支持部の下端に設けられる第1の磁石と、ストッパ部に設けられる第2の磁石とを含み、第1の磁石と第2の磁石とは基板と鉛直する軸の同軸上に配置される。
【0023】
さらに好ましくは、第1の磁石または第2の磁石のいずれか一方は電磁石を含む。
さらに好ましくは、接触圧力軽減機構は、電磁石へ印加電流の大きさを調整する制御部をさらに含み、制御部は、電磁石へ印加電流の大きさを調整することによって、塗布針と基板との接触圧力を調整する。
【0024】
さらに好ましくは、制御部は、塗布針の先端が下降する際に印加電流をオフ状態からオン状態に切替えることによって塗布針と基板との接触圧力を軽減する。
【0025】
好ましくは、液状材料塗布装置は、塗布針を支持する塗布針支持部と、塗布針支持部の下方への移動を制限するストッパ部と、塗布針支持部とストッパ部との間にエアを噴射するエア噴射機構とを含み、エア噴射機構はエアの噴射を調整することにより、塗布針と基板との接触圧力を軽減する。
【0026】
さらに好ましくは、接触圧力軽減機構は、エア噴射機構のエア流量を調整する制御部をさらに含み、制御部は、エア噴射機構の強弱を変えることによって塗布針と基板との接触圧力を調整する。
【0027】
さらに好ましくは、制御部は、塗布針の先端が下降する際に、エア噴射機構が停止状態から噴射状態に切替えることによって塗布針と基板との接触圧力を軽減する。
【0028】
好ましくは、接触圧力軽減機構は、塗布針支持部は、第1の磁石を含み、ストッパ部は、第2の磁石を含み、第1の磁石と第2の磁石とは基板と鉛直な軸の同軸上に配置され、第1の磁石と第2の磁石とのそれぞれ対向する磁極は同性質の磁極となるように設けられ、第1の磁石と第2の磁石との間には反発力が発生する。
【0029】
さらに好ましくは、液状材料塗布装置は、第1の磁石と第2の磁石との間の距離を調節する間隔調整機構をさらに備える。
【0030】
好ましくは、液状材料塗布装置は、塗布針を支持する塗布針支持部と、支持部材と塗布針支持部との間に設けられる支持バネとをさらに備える。
【0031】
さらに好ましくは、塗布針支持部は、支持バネによって支持部材から吊り下げられるように設けられ、支持部材と塗布針支持部との間には収縮力が発生する。
【0032】
さらに好ましくは、液状材料塗布装置は、支持部材側および塗布針支持部側のいずれか一方に設けたバネ調整機構をさらに備える。
【0033】
好ましくは、液状材料塗布装置は、塗布針支持部および塗布針支持部を上昇端で保持する塗布針上昇端保持機構のそれぞれに設けられる第3の磁石および第4の磁石とを備え、第3および第4の磁石は、互いに吸着することによって、塗布針上昇端保持機構と塗布針支持部とが連動して動作可能にする。
【0034】
さらに好ましくは、第3の磁石および第4の磁石のいずれか一方は電磁石を含む。
また、好ましくは、液状材料塗布装置は、塗布針支持部および塗布針支持部を上昇端で保持する塗布針上昇端保持機構のうちの一方に設けられる第3の磁石と、他方に設けられる磁性体とを備え、第3の磁石および磁性体は、互いに吸着することによって、塗布針上昇端保持機構と塗布針支持部とが連動して動作可能にする。
【0035】
さらに好ましくは、第3の磁石は電磁石を含む。
好ましくは、欠陥修正装置は上述した液状材料塗布装置を備える。
【発明の効果】
【0036】
本発明の液状材料塗布装置によって、塗布針と基板との間の接触圧力を軽減することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】そのような欠陥修正装置の要部を示す図である。
【図2】図1に示した塗布ユニットの構成を示す図である。
【図3】図2に示した塗布材料容器の構成を示す断面図である。
【図4】図1〜図3に示した欠陥修正装置のインク塗布動作を示すフローチャートである。
【図5】本実施の形態1の液状材料塗布装置6を示す図である。
【図6】本実施の形態1の液状材料塗布装置6の主要部を示す図である。
【図7】本実施の形態2の液状材料塗布装置6Aを示す図である。
【図8】本実施の形態2の液状材料塗布装置6Aの主要部を示す図である。
【図9】本実施の形態3の液状材料塗布装置6Bを示す図である。
【図10】本実施の形態3の液状材料塗布装置6Bの主要部を示す図である。
【図11】本実施の形態4の液状材料塗布装置6Cを示す図である。
【図12】本実施の形態4の液状材料塗布装置6Cの主要部を示す図である。
【図13】この発明の実施の形態1〜4の液状材料塗布装置を含む欠陥修正装置の共通の全体構成を示す図である。
【図14】従来の欠陥修正装置の要部を示す図である。
【図15】LCDのカラーフィルタの製造工程において発生する欠陥を示す図である。
【図16】本実施の形態5の液状材料塗布装置6Dの主要部を示すもので、塗布前の状態を示す図である。
【図17】本実施の形態5の液状材料塗布装置6Dの塗布時の状態を示す図である。
【図18】本実施の形態4の液状材料塗布装置6Cにおいて、塗布針支持部18が下降不足を発生した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明について図面を参照して詳しく説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一の符号を付してその説明は繰り返さない。
【0039】
本願発明の各実施の形態1〜5について説明する前に、本願発明の基礎となる欠陥修正装置の共通構成について説明する。図1は、そのような欠陥修正装置の要部を示す図である。図1において、この欠陥修正装置は、観察鏡筒1と、倍率の異なる複数の対物レンズ2とを含む観察光学系3を備える。図示しないレボルバにより、複数の対物レンズ2のうちの所望の対物レンズ2を選択し、選択した対物レンズ2を観察鏡筒1の下に移動させることが可能となっている。観察光学系3はZ軸テーブル4に搭載されている。修正対象の液晶カラーフィルタ基板(以下、基板という)5は、対物レンズ2に対向してXYテーブル(図示せず)に搭載される。XYテーブルによって基板5をXY方向(水平方向)に移動させ、Z軸テーブル4によって観察光学系3をZ軸方向(垂直方向)に移動させることにより、基板5表面の任意の位置に対物レンズ2の焦点を合わせて拡大して観察することが可能となっている。
【0040】
図2は、図1に示した塗布ユニットの構成を示す図である。図2を参照して、Z軸テーブル4には、液状材料塗布装置も搭載されている。液状材料塗布装置は、図2(a)(b)に示すように、R,G,Bおよび黒用の4つの塗布ユニット7〜10を備え、塗布ユニット7〜10の各々は、塗布針11、塗布針ホルダ12、および塗布材料容器(以下、容器とも称する)13を含む。塗布ユニット7,8はX1テーブル14に搭載され、塗布ユニット9,10はX2テーブル15に搭載され、図1に示すように、テーブル14,15はZ軸テーブル16に搭載され、Z軸テーブル16はY軸テーブル17に搭載されている。
【0041】
塗布を行なうために選択された塗布針11を、Y軸テーブル17によって、塗布針11が塗布を行なう欠陥位置のY軸方向位置と同じ位置に来るように移動させ、次いでZ軸テーブル16によって、選択された塗布針11を含む塗布ユニット7〜10のいずれかを対物レンズ2の下に挿入できるように垂直方向に下降させ、さらに、塗布針11が塗布を行なう欠陥位置のX軸方向位置と同じ位置に来るように、選択された塗布針11を含む塗布ユニット7〜10のいずれかを搭載するX1テーブル14またはX2テーブル15を対物レンズ2の方向に移動させることにより、対物レンズ2と基板5の間に挿入することが可能となっている。
【0042】
塗布ユニット7は、図2(A)(B)に示すように、2本の塗布針支持部(アーム)18,19を含む。塗布針支持部(アーム)18の先端には塗布針ホルダ12が取り付けられ、塗布材料容器支持部(アーム)19の先端には塗布材料容器13が取り付けられ、塗布針11は塗布材料容器13に挿入されている。
【0043】
図3に示すように、塗布材料容器13の底には孔13aが開口され、インク20が注入されている。孔13aは、インク20が流出しないような小さな寸法に設定されている。塗布材料容器13の側部には保持部21が設けられており、保持部21には塗布材料容器13を塗布材料容器支持部(アーム)19の先端部に磁石(図示せず)を介して固定するための塗布材料容器固定ピン22が設けられている。塗布材料容器13の開口部は蓋23で閉じられており、蓋23には孔23aが開口されている。
【0044】
塗布針11は、先端部11a側の小径部11bと、塗布針ホルダ12に固着される大径部11cからなる段付形状を有し、小径部11bの直径は塗布材料容器13の孔13aの直径よりも若干小さく設定され、大径部11cの直径は蓋23の孔23aの直径よりも若干小さく設定されている。
【0045】
図2(A)(B)に戻って、塗布材料容器支持部(アーム)19の基端部はスライド機構24によって塗布針支持部(アーム)18の中央部に上下動可能に支持され、塗布針支持部(アーム)18の基端部はスライド機構25によって支持部材26に上下動可能に支持されている。支持部材26の下端には、塗布針支持部(アーム)18,塗布材料容器支持部(アーム)19の下方への移動を制限するストッパ部27が設けられ、支持部材26には塗布針支持部(アーム)18の基端部の下端を上下動させるシリンダ28が搭載されている。
【0046】
次に、この欠陥修正装置の動作について説明する。図3は、図2に示した塗布材料容器の構成を示す断面図である。図3を参照して待機時は、シリンダ28によって塗布針支持部(アーム)18が上限位置に保持され、塗布材料容器支持部(アーム)19は塗布針支持部(アーム)18にぶら下がった状態になっている。このとき塗布針支持部(アーム)18,塗布材料容器支持部(アーム)19間の上下方向の距離は最大になっており、図3に示すように、塗布針11の先端部11aはインク20に浸漬されている。
【0047】
図4は図1〜図3に示した欠陥修正装置のインク塗布動作を示すフローチャートである。図4を参照して、修正時は、ステップS1において、モニタ画面(図示せず)に表示された欠陥に対して、作業者がインク20を塗布する位置を指定する。ステップS2において、現在観察に用いている対物レンズ2が、塗布針11の挿入が可能な対物レンズ2か否か、すなわち倍率が10倍の対物レンズ2か否かを確認する。対物レンズ2の倍率が10倍以外のたとえば20倍である場合、ステップS3において、レボルバを回転させて対物レンズ2を10倍の対物レンズ2に切換え、ステップS4において、レボルバによる対物レンズ2の切換えの完了を確認する。対物レンズ2の切換えを完了した場合、およびステップS2において対物レンズ2が10倍のものであった場合は、ステップS5において、テーブル14〜17を駆動して、所望の塗布針11を欠陥修正位置へ移動させる。
【0048】
次に、ステップS6において、シリンダ28によって塗布針支持部(アーム)18,塗布材料容器支持部(アーム)19を下限位置まで下降させる。このとき、塗布材料容器支持部(アーム)19が塗布針支持部(アーム)18よりも先にストッパ部27に接触し、塗布針支持部(アーム)18,塗布材料容器支持部(アーム)19間の上下方向の距離が最小になり、塗布針11の先端部11aが塗布材料容器13の孔13aを貫通して塗布材料容器13の底から突出する。突出した塗布針11の先端部11aには、インク20が付着している。次いでステップS7において、Z軸テーブル16によって塗布針11を下降させ、塗布針11の先端部11aを基板5の欠陥部に接触させ、ステップS8において、基板5の欠陥部にインク20を塗布する。ステップS9において、Z軸テーブル16によって塗布針11を上昇させ、ステップS10において、シリンダ28を駆動して塗布針11を塗布材料容器13内に収納する。ステップS6〜S10で、1回のインク塗布が完了する。
【0049】
欠陥部が複数存在する場合はインク塗布位置も複数存在するので、ステップS11において、次の塗布位置があるか否かを確認し、次の塗布位置が存在する場合は、ステップS12において、基板5をXYテーブル(図示せず)によって移動させ、再度、ステップS6〜S10を実施する。この動作を繰り返すことで、全ての欠陥部分へのインク塗布が完了する。ステップS11において、次の塗布位置が無いと判別した場合は、ステップS13において、塗布針11を欠陥修正位置から退避させ、ステップS14において、修正を完了する。
【0050】
[実施の形態1]
図5は、本実施の形態1の液状材料塗布装置6を示す図である。図6は、本実施の形態1の液状材料塗布装置6の主要部を示す図である。
【0051】
図5、図6を参照して、液状材料塗布装置6は、塗布材料を収納するための塗布材料容器13と、塗布針11、塗布針11を固定する塗布針ホルダ12、塗布針ホルダ12を固定支持する塗布針支持部(アーム)18、塗布針11を上下方向に移動させるためのスライド機構25と、スライド機構25を上下方向に移動可能に支持する支持部材26とを含む。
【0052】
液状材料塗布装置6は、塗布針11の接触圧力を軽減するために、塗布針支持部18に組み込まれるマグネット110と、支持部材26に組み込まれる電磁石112とを含む。また、液状材料塗布装置6は、塗布針支持部18を支持部材26に対して相対的に移動させるための駆動機構であるシリンダ28をさらに含む。なお、基板5と支持部材26との距離は、一定となるように設定され、これは実施の形態1の液状材料塗布装置だけに限定されず、後に説明する実施の形態2〜4の液状材料塗布装置についても同様に一定になるように設定される。
【0053】
塗布待機時には、塗布針支持部18は、シリンダ28に取り付けられた支持ピン29で上部に引き上げられた状態になっている。塗布針支持部18とシリンダ28の支持ピン29は固着しておらず、塗布針支持部18の一部がシリンダ28の支持ピン29に引っ掛かった状態となっている。従って、シリンダ28の支持ピン29の下降によって、塗布針支持部18は図14(D)斜線部の自重で下降するようになっている。
【0054】
このとき、図示はしないが実施の形態1の液状材料塗布装置は制御部を含み、この制御部は電磁石に印加電流を印加することによって、マグネット110と電磁石112との間に反発力が生じ、この下降したときの塗布針11と基板5との接触圧力は軽減する。すなわち、マグネット110と電磁石112の対向する側は、同性質の磁極となっており、電磁石112に電流を流すことで、反発する方向に力を作用させることができる。
【0055】
電磁石112に流す電流量で、反発力を可変することができるため、塗布針11が基板から遠い位置では反発力を小さくしておいて、塗布針11が基板5に接触する寸前位置で、反発力を大きくして塗布針11の接触圧力を最終目的の値まで軽減するといった事が可能である。
【0056】
また、電磁石112に流す電流をON/OFFすることで、反発力をON/OFFすることもできるため、塗布針11の先端が下降する際、たとえば、基板5に接触する寸前位置で反発力を働かせて塗布針の接触圧力を軽減することが可能である。
【0057】
また実施の形態1の液状材料塗布装置では、塗布針11の接触圧力を調整するための反発力をON/OFFすることが可能なため、塗布針11が基板5に接触する直前で反発力を働かせることができ、塗布針支持部18の下降にほとんど影響を与えないため、従来の塗布装置と比較して塗布に掛かる時間をほとんど遅延することなく、塗布針11の接触圧力の軽減が可能である。
【0058】
このような構成を取ることにより、塗布針11の下降速度の遅延をできるだけ減らして塗布をすることができる。なお、ここでは、実施の形態1の液状材料塗布装置は、塗布針支持部18および支持部材26にそれぞれ、マグネット110、電磁石112を組み込まれた構成を用いて説明したが、これに限定されることなく、塗布針支持部18および支持部材26に組み込まれた磁石のうちいずれか一方に電磁石を用いればよい。
【0059】
[実施の形態2]
図7は、本実施の形態2の液状材料塗布装置6Aを示す図である。図8は、本実施の形態2の液状材料塗布装置6Aの主要部を示す図である。
【0060】
図7、図8を参照して、実施の形態1の液状材料塗布装置6と比較しつつ、本実施の形態2の液状材料塗布装置6Aを説明する。液状材料塗布装置6Aは、液状材料塗布装置6のマグネット110と電磁石112とに代え、エア噴射機構210を含む。
【0061】
図5、図6が示すように実施の形態1の液状材料塗布装置6では、塗布針支持部18にマグネット110を、ストッパ部27に電磁石112を組み込み、電磁石112に電流を流した時の反発力で、塗布針11が基板5に接触する時の接触圧力を軽減していた。
【0062】
一方、本実施の形態2の液状材料塗布装置6Aでは、ストッパ部27にエア噴射機構210を設け、塗布針支持部18の下端面にエアを吹き付けることで、接触圧力を軽減する。
【0063】
また図示はしないが実施の形態2の液状材料塗布装置は制御部を含み、この制御部はエア圧力の調整、エア圧のON/OFFを調整することによって実施の形態1の液状材料塗布装置6と同様の接触圧力の軽減が可能である。なお、ここでは、エア噴射機構210をストッパ部27側に設けて説明をしたが、これに限られることなく、塗布針支持部18側に設けてもよい。なお、本実施の形態2の液状材料塗布装置6Aの他の構成については、実施の形態1の液状材料塗布装置6と同様であるため、ここでは説明は繰返さない。
【0064】
[実施の形態3]
図9は、本実施の形態3の液状材料塗布装置6Bを示す図である。図10は、本実施の形態3の液状材料塗布装置6Bの主要部を示す図である。
【0065】
図9、図10を参照して、実施の形態1の液状材料塗布装置6と比較しつつ、本実施の形態3の液状材料塗布装置6Bを説明する。液状材料塗布装置6Bは、液状材料塗布装置6のマグネット110と電磁石112とに代え、マグネット310,312と、間隔調整機構320とを含む。
【0066】
実施の形態3の液状材料塗布装置6Bは、塗布針支持部18とストッパ部27とにそれぞれマグネットを組み込み、塗布針支持部18に組み込んだマグネット310と、ストッパ部27に組み込んだマグネット312とを、お互いに対向するように配置し、各マグネットが同極の磁極となるようにして、反発する方向に力を働かせる。
【0067】
この場合に、間隔調整機構320によって塗布針11の接触圧力を調整することは可能である。換言すると、間隔調整機構320は各マグネット間の距離を調整するように設定でき、これによって、接触圧力が調整される。但し、本実施の形態3の液状材料塗布装置は両マグネット間で生じる反発力のON/OFFを制御することはできない。
【0068】
なお、説明の際に間隔調整機構320は、塗布針支持部18側に設けられているが、これに限定されることなく、塗布針支持部18側およびストッパ部27のいずれか一方に設けられればよい。
【0069】
液状材料塗布装置6Bの構成をとることにより、マグネット310,312の強さ、間隔調整機構320による間隔調整によって実施の形態1の液状材料塗布装置6と同様の接触圧力の軽減が可能である。なお、本実施の形態3の液状材料塗布装置6Bの他の構成については、実施の形態1の液状材料塗布装置6と同様であるため、ここでは説明は繰返さない。
【0070】
[実施の形態4]
図11は、本実施の形態4の液状材料塗布装置6Cを示す図である。図12は、本実施の形態3の液状材料塗布装置6Cの主要部を示す図である。
【0071】
図11、図12を参照して、実施の形態1の液状材料塗布装置6と比較しつつ、本実施の形態4の液状材料塗布装置6Cを説明する。液状材料塗布装置6Cは、液状材料塗布装置6のマグネット110と電磁石112とに代え、支持バネ410と、バネ調整機構である張力調整機構420とを含む。
【0072】
実施の形態4の液状材料塗布装置6Cは、塗布針支持部18と支持部材26との間に支持バネ(引っ張りバネ)410をさらに含み、支持バネ(引っ張りバネ)410で塗布針支持部18を吊り下げ支持することで、塗布針11の接触圧力を軽減する。
【0073】
この場合でも、塗布針11の接触圧力を軽減することは可能である。具体的には接触圧力の調整は、支持部材26側に設けた張力調整機構420によって、支持バネ(引っ張りバネ)410の引っ張り長さを変えることで可能である。張力調整機構420を用いて、塗布針支持部18と支持部材26との間に設けられた支持バネが延びた状態から元に戻ろうとする引き戻す力(収縮力)を利用して、塗布針支持部18を上方向へ持ち上げ、塗布針11と基板5との接触圧力を軽減する。但し、塗布針11の接触圧力の軽減力のON/OFF自体を制御することはできない。
【0074】
ここでは、塗布針支持部18と支持部材26との間に支持バネを設けたが、これに限らず、塗布針支持部18とストッパ部27との間に支持バネを設けてもよい。なお、本実施の形態4の液状材料塗布装置6Cの他の構成については、実施の形態1の液状材料塗布装置6と同様であるため、ここでは説明は繰返さない。
【0075】
[実施の形態5]
図16は、本実施の形態5の液状材料塗布装置6Dの主要部を示す図で、塗布前の状態である。図17は、本実施の形態5の塗布時の状態を示す図である。図18は、本実施の形態5の液状材料塗布装置6Dのマグネット(磁石)520が無い、本実施の形態4の液状材料塗布装置6Cで、塗布針支持部18の下降不足が発生した場合を示す図である。
【0076】
図16および図17を参照して、液状材料塗布装置6Dは、実施の形態4の液状材料塗布装置6Cに針の降下を補助するマグネット520を追加したものである。
【0077】
実施の形態5の液状材料塗布装置6Dは、実施の形態3,4の液状材料塗布装置6B,6Cのように、塗布針11の接触圧力の軽減力のON/OFF自体を制御することができない場合に有効となる。
【0078】
具体的には、この実施の形態4の液状材料塗布装置6Cでは、支持バネ(引っ張りバネ)410で塗布針支持部18を吊り下げ支持することにより、塗布針11と基板5との接触圧力を軽減する。
【0079】
しかし、塗布針支持部18の自重を軽減し過ぎると、降下時のスライド機構25の摺動抵抗で、図18のように下降しきれない場合が発生する。
【0080】
そこで、液状材料塗布装置6Dはさらにマグネット(磁石)520,521を含む。このマグネット520は、支持ピン29に設けられ、一方、マグネット521は、塗布針支持部18に設けられ、マグネット520と対向して配置される。なお、支持ピン29(塗布針上昇端保持機構)は、塗布針支持部18を上部に引き上げた状態で保持する。
【0081】
また、このマグネット520,521が磁力で吸着した状態で、シリンダ28によりストッパ27まで塗布針支持部18を引き下げる。ストッパ27で塗布針支持部18が停止した後もシリンダ28は下降することによりマグネット520とマグネット521とが離間し、マグネット520とマグネット521との間に働く磁力による吸引力の影響は無くなり、支持バネ410で接触力を軽減した状態での安定した塗布が可能となる。
【0082】
なお、互いに吸着するための機構として双方ともマグネット(磁石)が配置されるとして説明を行なったが、これに限定されることなく、これらのうち一方が磁性体として配置されてもよい。たとえば、支持ピン29に設けられたマグネット520の代わりに磁性体を用いてもよい。
【0083】
また、マグネット520あるいはマグネット521のいずれか一方を電磁石にした構成でも安定した塗布が可能である。この場合、たとえばマグネット520の代わりに電磁石を用いて、この電磁石とマグネット521との離間距離が小さくても、この電磁石の電流をOFFすることで磁力の影響を除くことが可能である。
【0084】
実施の形態5の液状材料塗布装置6Dの構成をとることにより、より安定した塗布が可能となる。また、上述した構成を実施の形態3,4の液状材料塗布装置6B,6Cにも用いることによりさらに安定した塗布が可能となる。
【0085】
本実施の形態1〜5の液状材料塗布装置の構成をとることにより、塗布針11が基板5に接触するときの接触圧力を軽減することが可能である。
【0086】
これにより、液晶パネルのカラーフィルタ修正においては、20μm以下の微小な欠陥修正においても、正常なカラーフィルタ面にダメージを与えることがなく、高品位の修正が可能となる。また、タッチパネル等の電極修正においても、基材のフィルムや、正常電極部にダメージを与えることなく修正が可能となる。
【0087】
[液状材料塗布装置を含む欠陥修正装置の構成]
図13は、この発明の各実施の形態1〜5の液状材料塗布装置を含む欠陥修正装置の共通の全体構成を示す図である。図13を参照して、この欠陥修正装置は、観察光学系31、CCD(Charge Coupled Device)カメラ32、カット用レーザ装置33、インク塗布機構34、およびインク硬化用光源35から構成される修正ヘッド部と、この修正ヘッド部を修正対象の基板5に対して垂直方向(Z軸方向)に移動させるZ軸テーブル36と、Z軸テーブル36を搭載してX軸方向に移動させるX軸テーブル37と、基板5を搭載してY軸方向に移動させるY軸テーブル38と、装置全体の動作を制御する制御用コンピュータ39と、CCDカメラ32によって撮影された画像などを表示するモニタ40と、制御用コンピュータ39に作業者からの指令を入力するための操作パネル41とを備える。
【0088】
観察光学系31は、基板5の表面状態や、インク塗布機構34によって塗布されたインク20の状態を観察するためのものである。観察光学系31によって観察される画像は、CCDカメラ32により電気信号に変換され、モニタ40に表示される。カット用レーザ装置33は、観察光学系31を介して基板5上の不要部にレーザ光を照射して除去する。
【0089】
インク塗布機構34は、基板5に発生した白欠陥55にインク20を塗布して修正する。インク硬化用光源35は、たとえばCO2レーザを含み、インク塗布機構34によって塗布されたインク20にレーザ光を照射して硬化させる。
【0090】
なお、この装置構成は一例であり、たとえば、観察光学系31などを搭載したZ軸テーブル36をX軸テーブル37に搭載し、さらにX軸テーブル37をY軸テーブル38に搭載し、Z軸テーブル36をXY方向に移動可能とするガントリー方式と呼ばれる構成でもよく、観察光学系31などを搭載したZ軸テーブル36を、修正対象の基板5に対してXY方向に相対的に移動可能な構成であればどのような構成でもよい。
【0091】
最後に、図を用いて実施の形態1〜5について総括する。
本実施の形態1〜5の液状材料塗布装置は、図5〜図18に示されたように、基板5上の微細領域に液状材料を塗布して欠陥を修正するための液状材料塗布装置において、微細領域に液状材料を塗布する塗布針11と、塗布針11を上下方向に移動させるためのスライド機構25と、スライド機構25を上下方向に移動可能に支持する支持部材26と、支持部材との距離が一定となるように設定された基板と塗布針11との接触圧力を軽減する接触圧力軽減機構(たとえば、磁石110、電磁石112、エア噴射機構210、磁石310、磁石312、支持バネ410)と、下降補助機構(たとえば、マグネット520,521)とを備える。
【0092】
特に、本実施の形態1の液状材料塗布装置は、図5、図6に示されたように、塗布針11を支持する塗布針支持部18と、塗布針支持部18の下方への移動を制限するストッパ部27とをさらに備え、接触圧力軽減機構(たとえば磁石110,電磁石112は、塗布針支持部18の下端に設けられる磁石110と、ストッパ部27に設けられる電磁石112とを含み、第1の磁石110と第2の磁石112とは基板5と鉛直する軸の同軸上に配置される。さらに、実施の形態1では磁石110および電磁石112としたが、これに限定されることなく、いずれか一方の磁石が電磁石であればよい。さらに接触圧力軽減機構(たとえば磁石110,112)は、電磁石112への印加電流の大きさを調整する制御部をさらに含み、制御部は、電磁石112への印加電流の大きさを調整することによって、塗布針11と基板5との接触圧力を調整する。制御部は、塗布針11の先端が下降する際に印加電流をオフ状態からオン状態に切替えることによって塗布針11と基板5との接触圧力を軽減する。
【0093】
次に、本実施の形態2の液状材料塗布装置は、図7、図8に示されたように、塗布針11を支持する塗布針支持部18と、塗布針支持部18の下方への移動を制限するストッパ部27と、塗布針支持部18とストッパ部27との間にエアを噴射するエア噴射機構210とを含み、エア噴射機構210はエアの噴射を調整することにより、塗布針11と基板5との接触圧力を軽減する。接触圧力軽減機構(たとえば、エア噴射機構210)は、エア噴射機構210のエア流量を調整する制御部をさらに含み、制御部は、エア噴射機構210の強弱を変えることによって塗布針11と基板との接触圧力を調整する。制御部は、塗布針11の先端が下降する際に、エア噴射機構を停止状態から噴射状態に切替えることによって塗布針11と基板との接触圧力を軽減する。
【0094】
さらに、本実施の形態3の液状材料塗布装置は、図9、図10に示されたように、塗布針支持部18が第1の磁石310を含み、ストッパ部27が第2の磁石312を含み、第1の磁石310と第2の磁石312とは基板5と鉛直な軸の同軸上に配置され、第1の磁石310と第2の磁石312とのそれぞれ対向する磁極は同性質の磁極となるように設けられ、第1の磁石310と第2の磁石312との間には反発力が発生する。本実施の形態3の液状材料塗布装置は、第1の磁石310と第2の磁石312との間の距離を調節する間隔調整機構320をさらに備える。
【0095】
次に、本実施の形態4の液状材料塗布装置は、図11、図12で示されるように、塗布針11を支持する塗布針支持部18と、支持部材26と塗布針支持部18との間に設けられる支持バネ410とをさらに備える。さらに、塗布針支持部18は、支持バネ410によって支持部材26から吊り下げられるように設けられ、支持部材26と塗布針支持部18との間には収縮力が発生する。また本実施の形態4の液状材料塗布装置は、支持部材26側および前記塗布針支持部18側のいずれか一方に設けたバネ調整機構420をさらに備える。
【0096】
次に、本実施の形態5の液状材料塗布装置は、図16、図17で示されるように、形態3や形態4の液状材料塗布装置に、マグネット520をさらに備える。本実施の形態5の液状材料塗布装置は、シリンダ28により塗布針支持部18を下降させる時に、支持ピン29とマグネット520が磁力で吸着して下降を補助し、ストッパ27まで塗布針支持部18を下降させる。下降したあと、更にシリンダ28が下降することにより、支持ピン29とマグネット520が引き離される構造を備える。もしくはマグネット520を電磁石にしてオン/オフする構造を備える。
【0097】
好ましくは、本実施の形態5の液状材料塗布装置は、図16、図17に示すように塗布針支持部18および塗布針支持部18を上昇端で保持するの支持ピン29(塗布針上昇端保持機構)のそれぞれに設けられる磁石520および磁石521を備え、磁石520,521は、互いに吸着することによって、支持ピン29(塗布針上昇端保持機構)と塗布針支持部18とが連動して動作可能にする。
【0098】
さらに好ましくは、磁石520,521のいずれか一方は電磁石を含む。
好ましくは、本実施の形態5の液状材料塗布装置6Dは、塗布針支持部18および塗布針支持部18を上昇端で保持する支持ピン29(塗布針上昇端保持機構)のうちの一方に設けられる磁石と、他方に設けられる磁性体とを備え、磁石および磁性体は、互いに吸着することによって、支持ピン29(塗布針上昇端保持機構)と塗布針支持部18とが連動して動作可能にする。
【0099】
さらに好ましくは、上記磁石は電磁石を含む。
また欠陥修正装置は、図13に示したように実施の形態1〜5の液状材料塗布装置を備える。
【0100】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0101】
1 観察鏡筒、2 対物レンズ、3,31 観察光学系、5 基板、6,6A〜6C 液状材料塗布装置、7〜10 塗布ユニット、11 塗布針、13 塗布材料容器、18 塗布針支持部、20 インク、21 保持部、22 塗布材料容器固定ピン、24,25 スライド機構、26 支持部材、27 ストッパ部、28 シリンダ、29 支持ピン、32 CCDカメラ、33 カット用レーザ装置、34 インク塗布機構、35 インク硬化用光源、39 制御用コンピュータ、40 モニタ、41 操作パネル、110 マグネット、112 電磁石、210 エア噴射機構、320 間隔調整機構、410 支持バネ、420 張力調整機構、520,521 マグネット。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上の微細領域に液状材料を塗布して欠陥を修正するための液状材料塗布装置において、
前記微細領域に液状材料を塗布する塗布針と、
前記塗布針を上下方向に移動させるためのスライド機構と、
前記スライド機構を上下方向に移動可能に支持する支持部材と、
前記支持部材との距離が一定となるように設定された前記基板と前記塗布針との接触圧力を軽減する接触圧力軽減機構とを備える、液状材料塗布装置。
【請求項2】
前記液状材料塗布装置は、
前記塗布針を支持する塗布針支持部と、
前記塗布針支持部の下方への移動を制限するストッパ部とをさらに備え、
前記接触圧力軽減機構は、
前記塗布針支持部の下端に設けられる第1の磁石と、
前記ストッパ部に設けられる第2の磁石とを含み、
前記第1の磁石と前記第2の磁石とは前記基板と鉛直する軸の同軸上に配置される、請求項1に記載の液状材料塗布装置。
【請求項3】
前記第1の磁石および前記第2の磁石のいずれか一方は電磁石を含む、請求項2に記載の液状材料塗布装置。
【請求項4】
前記接触圧力軽減機構は、
前記電磁石への印加電流の大きさを調整する制御部をさらに含み、
前記制御部は、前記電磁石への印加電流の大きさを調整することによって、前記塗布針と前記基板との接触圧力を調整する、請求項3に記載の液状材料塗布装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記塗布針の先端が下降する際に前記印加電流をオフ状態からオン状態に切替えることによって前記塗布針と前記基板との接触圧力を軽減する、請求項4に記載の液状材料塗布装置。
【請求項6】
前記液状材料塗布装置は、
前記塗布針を支持する塗布針支持部と、
前記塗布針支持部の下方への移動を制限するストッパ部と、
前記塗布針支持部と前記ストッパ部との間にエアを噴射するエア噴射機構とを含み、
前記エア噴射機構は前記エアの噴射を調整することにより、前記塗布針と前記基板との接触圧力を軽減する、請求項1に記載の液状材料塗布装置。
【請求項7】
前記接触圧力軽減機構は、
前記エア噴射機構のエア流量を調整する制御部をさらに含み、
前記制御部は、前記エア噴射機構の強弱を変えることによって前記塗布針と前記基板との接触圧力を調整する、請求項6に記載の液状材料塗布装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記塗布針の先端が下降する際に、前記エア噴射機構を停止状態から噴射状態に切替えることによって前記塗布針と前記基板との接触圧力を軽減する、請求項7に記載の液状材料塗布装置。
【請求項9】
塗布針支持部とストッパ部とをさらに備え、
前記塗布針支持部は、第1の磁石を含み、
前記ストッパ部は、第2の磁石を含み、
前記第1の磁石と前記第2の磁石とは前記基板と鉛直な軸の同軸上に配置され、
前記第1の磁石と前記第2の磁石とのそれぞれ対向する磁極は同性質の磁極となるように設けられ、
前記第1の磁石と前記第2の磁石との間には反発力が発生する、請求項1に記載の液状材料塗布装置。
【請求項10】
前記液状材料塗布装置は、
前記第1の磁石と前記第2の磁石との間の距離を調節する間隔調整機構をさらに備える、請求項9に記載の液状材料塗布装置。
【請求項11】
前記液状材料塗布装置は、
前記塗布針を支持する塗布針支持部と、
前記支持部材と前記塗布針支持部との間に設けられる支持バネとをさらに備える、請求項1に記載の液状材料塗布装置。
【請求項12】
前記塗布針支持部は、前記支持バネによって前記支持部材から吊り下げられるように設けられ、前記支持部材と前記塗布針支持部との間には収縮力が発生する、請求項11に記載の液状材料塗布装置。
【請求項13】
前記液状材料塗布装置は、
前記支持部材側および前記塗布針支持部側のいずれか一方に設けたバネ調整機構をさらに備える、請求項12に記載の液状材料塗布装置。
【請求項14】
前記液状材料塗布装置は、
前記塗布針支持部を上昇端で保持する塗布針上昇端保持機構と、
前記塗布針支持部および前記塗布針上昇端保持機構のそれぞれに設けられる第3の磁石および第4の磁石とを備え、
前記第3および第4の磁石は、互いに吸着することによって、前記塗布針上昇端保持機構と前記塗布針支持部とが連動して動作可能にする、請求項9〜13のいずれか1項に記載の液状材料塗布装置。
【請求項15】
前記第3の磁石および前記第4の磁石のいずれか一方は電磁石を含む、請求項14に記載の液状材料塗布装置。
【請求項16】
前記液状材料塗布装置は、
前記塗布針支持部を上昇端で保持する塗布針上昇端保持機構と、
前記塗布針支持部および前記塗布針上昇端保持機構のうちの一方に設けられる第3の磁石と、他方に設けられる磁性体とを備え、
前記第3の磁石および前記磁性体は、互いに吸着することによって、前記塗布針上昇端保持機構と前記塗布針支持部とが連動して動作可能にする、請求項9〜13のいずれか1項に記載の液状材料塗布装置。
【請求項17】
前記第3の磁石は電磁石を含む、請求項16に記載の液状材料塗布装置。
【請求項18】
請求項1から請求項17のいずれか1項に記載の液状材料塗布装置を備える、欠陥修正装置。
【請求項1】
基板上の微細領域に液状材料を塗布して欠陥を修正するための液状材料塗布装置において、
前記微細領域に液状材料を塗布する塗布針と、
前記塗布針を上下方向に移動させるためのスライド機構と、
前記スライド機構を上下方向に移動可能に支持する支持部材と、
前記支持部材との距離が一定となるように設定された前記基板と前記塗布針との接触圧力を軽減する接触圧力軽減機構とを備える、液状材料塗布装置。
【請求項2】
前記液状材料塗布装置は、
前記塗布針を支持する塗布針支持部と、
前記塗布針支持部の下方への移動を制限するストッパ部とをさらに備え、
前記接触圧力軽減機構は、
前記塗布針支持部の下端に設けられる第1の磁石と、
前記ストッパ部に設けられる第2の磁石とを含み、
前記第1の磁石と前記第2の磁石とは前記基板と鉛直する軸の同軸上に配置される、請求項1に記載の液状材料塗布装置。
【請求項3】
前記第1の磁石および前記第2の磁石のいずれか一方は電磁石を含む、請求項2に記載の液状材料塗布装置。
【請求項4】
前記接触圧力軽減機構は、
前記電磁石への印加電流の大きさを調整する制御部をさらに含み、
前記制御部は、前記電磁石への印加電流の大きさを調整することによって、前記塗布針と前記基板との接触圧力を調整する、請求項3に記載の液状材料塗布装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記塗布針の先端が下降する際に前記印加電流をオフ状態からオン状態に切替えることによって前記塗布針と前記基板との接触圧力を軽減する、請求項4に記載の液状材料塗布装置。
【請求項6】
前記液状材料塗布装置は、
前記塗布針を支持する塗布針支持部と、
前記塗布針支持部の下方への移動を制限するストッパ部と、
前記塗布針支持部と前記ストッパ部との間にエアを噴射するエア噴射機構とを含み、
前記エア噴射機構は前記エアの噴射を調整することにより、前記塗布針と前記基板との接触圧力を軽減する、請求項1に記載の液状材料塗布装置。
【請求項7】
前記接触圧力軽減機構は、
前記エア噴射機構のエア流量を調整する制御部をさらに含み、
前記制御部は、前記エア噴射機構の強弱を変えることによって前記塗布針と前記基板との接触圧力を調整する、請求項6に記載の液状材料塗布装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記塗布針の先端が下降する際に、前記エア噴射機構を停止状態から噴射状態に切替えることによって前記塗布針と前記基板との接触圧力を軽減する、請求項7に記載の液状材料塗布装置。
【請求項9】
塗布針支持部とストッパ部とをさらに備え、
前記塗布針支持部は、第1の磁石を含み、
前記ストッパ部は、第2の磁石を含み、
前記第1の磁石と前記第2の磁石とは前記基板と鉛直な軸の同軸上に配置され、
前記第1の磁石と前記第2の磁石とのそれぞれ対向する磁極は同性質の磁極となるように設けられ、
前記第1の磁石と前記第2の磁石との間には反発力が発生する、請求項1に記載の液状材料塗布装置。
【請求項10】
前記液状材料塗布装置は、
前記第1の磁石と前記第2の磁石との間の距離を調節する間隔調整機構をさらに備える、請求項9に記載の液状材料塗布装置。
【請求項11】
前記液状材料塗布装置は、
前記塗布針を支持する塗布針支持部と、
前記支持部材と前記塗布針支持部との間に設けられる支持バネとをさらに備える、請求項1に記載の液状材料塗布装置。
【請求項12】
前記塗布針支持部は、前記支持バネによって前記支持部材から吊り下げられるように設けられ、前記支持部材と前記塗布針支持部との間には収縮力が発生する、請求項11に記載の液状材料塗布装置。
【請求項13】
前記液状材料塗布装置は、
前記支持部材側および前記塗布針支持部側のいずれか一方に設けたバネ調整機構をさらに備える、請求項12に記載の液状材料塗布装置。
【請求項14】
前記液状材料塗布装置は、
前記塗布針支持部を上昇端で保持する塗布針上昇端保持機構と、
前記塗布針支持部および前記塗布針上昇端保持機構のそれぞれに設けられる第3の磁石および第4の磁石とを備え、
前記第3および第4の磁石は、互いに吸着することによって、前記塗布針上昇端保持機構と前記塗布針支持部とが連動して動作可能にする、請求項9〜13のいずれか1項に記載の液状材料塗布装置。
【請求項15】
前記第3の磁石および前記第4の磁石のいずれか一方は電磁石を含む、請求項14に記載の液状材料塗布装置。
【請求項16】
前記液状材料塗布装置は、
前記塗布針支持部を上昇端で保持する塗布針上昇端保持機構と、
前記塗布針支持部および前記塗布針上昇端保持機構のうちの一方に設けられる第3の磁石と、他方に設けられる磁性体とを備え、
前記第3の磁石および前記磁性体は、互いに吸着することによって、前記塗布針上昇端保持機構と前記塗布針支持部とが連動して動作可能にする、請求項9〜13のいずれか1項に記載の液状材料塗布装置。
【請求項17】
前記第3の磁石は電磁石を含む、請求項16に記載の液状材料塗布装置。
【請求項18】
請求項1から請求項17のいずれか1項に記載の液状材料塗布装置を備える、欠陥修正装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2013−109315(P2013−109315A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−144055(P2012−144055)
【出願日】平成24年6月27日(2012.6.27)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年6月27日(2012.6.27)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】
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