説明

液状樹脂組成物、半導体パッケージ、および半導体パッケージの製造方法

【課題】ウエハーレベルパッケージにおいて生産性の低下を招く擬似ウエハーの反りを抑制した液状封止樹脂組成物、およびこれを用いて作製した半導体パッケージを提供する。
【解決手段】(A)エポキシ樹脂、(B)酸無水物、(C)無機充填材、(D)硬化促進剤、および(E)低応力材を含有する液状樹脂組成物であって、固形成分が全液状樹脂組成物に対して80重量%以上95重量%以下含まれ、シリコンウェハーと液状樹脂組成物の硬化物の2層状態において式(1)により得られる内部応力値(σ)が20MPa以下である液状樹脂組成物。


(但し、σは内部応力、Eresin(T)は温度T℃における液状樹脂組成物の硬化物の弾性率、αresin(T)は温度T℃における液状樹脂組成物の硬化物の線膨張係数、αsi(T)は温度T℃におけるシリコンの線膨張係数。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液状樹脂組成物と、それを用いて作製した半導体パッケージおよび半導体パッケージの製造方法に関するものである
【背景技術】
【0002】
近年の電子機器の小型化、軽量化、高集積化、高速動作化の動向を反映して、半導体パッケージに占める半導体チップの面積、体積は大きくなり、半導体パッケージ内の配線は微細化、短小化している。
従来、このような半導体チップを配線基板に電気的に接続する方法としては、半導体チップに突起電極(バンプ)を形成して、このバンプによって配線基板と一括接合するフリップチップ接続と呼ばれる実装方法がある。この方法では、例えば、半導体チップを小型化した場合、配線基板上の配線パターンも変更せねばならず、開発の際のタイムラグやコスト増につながり、多品種少量生産には向かなくなってしまう。
そこで、ウエハーレベルパッケージ(WLP)と呼ばれる、半導体回路の形成されたウエハーを個別の半導体チップに切断する前に、電気接続用のバンプを設け、ウエハー全体を封止する手法が考え出された。(例えば、特許文献1参照。)
WLPでは配線基板を用いたフリップチップ接続が不要なため、多品種少量生産にも適する。しかしWLPでは、半導体パッケージの機能拡大と共に増大する単位面積あたりの実装用IO(入出力)バンプ数の上限が半導体チップの面積に比例し、小チップに機能を詰め込んだ多IO半導体チップには対応できない。
そこで、予め切断した半導体チップを支持体となるキャリア上に並べ、それをウエハー形状に封止樹脂で封止した後(擬似ウエハー化)、半導体チップの回路面に再配線を行うことで、半導体チップのデザイン変更にも低コストで対応しつつ、半導体チップのサイズに対して、過多なIO数にも対応できる技術が提案されている。(例えば、特許文献2参照。)
ところが、このタイプのWLPでは、封止樹脂とキャリアとの線膨張係数の差による内部応力から、擬似ウエハーに反りが発生することにより、封止より後の工程での擬似ウエハーの吸着搬送が困難になり生産性が低下することが問題となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3616615号公報
【特許文献2】米国特許出願公開第2007/205513号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、WLPにおいて生産性の低下を招く擬似ウエハーの反りを抑制した液状封止樹脂組成物、およびこれを用いて作製した半導体パッケージを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は以下の通りである。
[1](A)エポキシ樹脂、(B)酸無水物、(C)無機充填材、(D)硬化促進剤、および(E)低応力材を含有する液状樹脂組成物であって、固形成分が全液状樹脂組成物に対して80重量%以上95重量%以下含まれ、シリコンウェハーと液状樹脂組成物の硬化物の2層状態において式(1)により得られる内部応力値(σ)が20MPa以下である液状樹脂組成物。
【数1】

(但し、σは内部応力、Eresin(T)は温度T℃における液状樹脂組成物の硬化物の弾性率、αresin(T)は温度T℃における液状樹脂組成物の硬化物の線膨張係数、αsi(T)は温度T℃におけるシリコンの線膨張係数。)
[2](E)低応力材の含有量が、全液状樹脂組成物に対して3重量%以上30重量%以下である[1]に記載の液状樹脂組成物。
[3]前記液状樹脂組成物の硬化物の25℃での弾性率をE、ガラス転移温度以下での線膨張係数をα、前記液状樹脂組成物の(E)低応力材成分を(C)無機充填材成分に置換した液状樹脂組成物の硬化物の25℃での弾性率をE、ガラス転移温度以下での線膨張係数をαとした時、(Eα−Eα)/Eα<−0.05である[1]または[2]に記載の液状樹脂組成物。
[4]前記液状樹脂組成物の硬化物のガラス転移温度をTg、前記液状樹脂組成物の(E)低応力材成分を(C)無機充填材成分に置換した液状樹脂組成物の硬化物のガラス転移温度をTgとした時、−0.05<(Tg−Tg)/Tgである[1]乃至[4]のいずれかに記載の液状樹脂組成物。
[5](E)低応力材が、コアシェルゴム粒子である[1]乃至[4]のいずれかに記載の液状樹脂組成物。
[6](E)低応力材が、コアシェルシリコーンゴム粒子である[1]乃至[5]のいずれかに記載の液状樹脂組成物。
[7][1]乃至[6]のいずれかに記載の液状樹脂組成物を用いて、半導体チップを支持体に多数個配置し、封止して作製した再配置ウエハー。
[8][7]に記載の再配置ウエハーにおいて、半導体チップを支持体に多数個配置したものを圧縮成形により、封止して作製された再配置ウエハー。
[9][7]又は[8]に記載の再配置ウエハーを個片化して作製した半導体パッケージ。
[10][1]乃至[6]のいずれかに記載の液状樹脂組成物を用いて作製される半導体パッケージの製造方法であって、半導体チップを支持体に多数個配置する工程、この上に前記液状樹脂組成物を塗布する工程、金型により成形する工程、を含む半導体パッケージの製造方法。
【発明の効果】
【0006】
本発明により、液状樹脂封止材を用いて作製されたウエハーレベルパッケージ、とりわけ圧縮成形でウエハー状に形成されたウエハーレベル工程で製造される半導体装置において、反りが少なく吸着搬送が容易で生産性高い擬似ウエハーを提供する事が出来る。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明は、(A)エポキシ樹脂、(B)酸無水物、(C)無機充填材、(D)硬化促進剤、および(E)低応力材を含有する液状樹脂組成物であって、固形成分が全液状樹脂組成物に対して80重量%以上95重量%以下含まれ、シリコンウェハーと液状樹脂組成物の硬化物の2層状態において式(1)により得られる内部応力値(σ)が20MPa以下である液状樹脂組成物、およびこれを用いた半導体装置である。
【数1】

(但し、σは内部応力、Eresin(T)は温度T℃における液状樹脂組成物の硬化物の弾性率、αresin(T)は温度T℃における液状樹脂組成物の硬化物の線膨張係数、αsi(T)は温度T℃におけるシリコンの線膨張係数。)
以下、本発明を詳細に説明する
【0008】
本発明で用いる(A)エポキシ樹脂としては、一分子中にエポキシ基を2個以上有するもので、かつ常温において液状であれば、特に分子量や構造は限定されるものではない。
例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂などのノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、N,N-ジグリシジルアニリン、N,N−ジグリシジルトルイジン、ジアミノジフェニルメタン型グリシジルアミン、アミノフェノール型グリシジルアミンのような芳香族グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、トリフェノールプロパン型エポキシ樹脂、アルキル変性トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、トリアジン核含有エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フェニレンおよび/またはビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル型エポキシ樹脂、フェニレンおよび/またはビフェニレン骨格を有するナフトールアラルキル型エポキシ樹脂などのアラルキル型エポキシ樹脂などのエポキシ樹脂、ビニルシクロヘキセンジオキシド、ジシクロペンタジエンオキシド、アリサイクリックジエポキシ−アジペイドなどの脂環式エポキシなどの脂肪族エポキシ樹脂が挙げられる。
本発明では、芳香族環にグリシジルエーテル構造またはグリシジルアミン構造が結合した構造を含むものが耐熱性、機械特性、耐湿性という観点から好ましく、脂肪族または脂環式エポキシ樹脂は信頼性、特に接着性という観点から使用する量を限定するほうが好ましい。これらは単独でも2種以上混合して使用しても良い。本発明ではエポキシ樹脂として最終的に常温(25℃)で液状であることが好ましいが、常温で固体のエポキシ樹脂であっても常温で液状のエポキシ樹脂に溶解させ、結果的に液状の状態であればよい
【0009】
本発明に用いる(B)酸無水物としては、無水フタル酸、無水マレイン酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、3−メチル−ヘキサヒドロ無水フタル酸、4−メチル−ヘキサヒドロ無水フタル酸、3−メチル−ヘキサヒドロ無水フタル酸と4−メチル−ヘキサヒドロ無水フタル酸との混合物、テトラヒドロ無水フタル酸、無水ナジック酸、または無水メチルナジック酸などが挙げられる。
これらは、低温での硬化が早いことと、硬化物のガラス転移温度が高くなることから好ましい。また、常温で液状であり、且つ粘度も低いことから、テトラヒドロ無水フタル酸を硬化剤として用いることがより好ましい。特にこれらは、単独で用いても2種以上用いても差し支えない。
【0010】
上記の(B)酸無水物以外の硬化剤としては、1分子内にエポキシと反応する官能基を有するモノマー、オリゴマー、ポリマー全般であればこれを併用できる。例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、トリフェノールメタン型樹脂、フェノールアラルキル樹脂(フェニレン骨格、ジフェニレン骨格などを有する)などのフェノール類が挙げられる。
【0011】
本発明に用いる無機充填材(C)としては、一般に封止材料に使用されているものを使用することができる。
例えば、溶融シリカ、結晶シリカ、タルク、アルミナ、窒化珪素などが挙げられ、これらは単独でも2種類以上併用して用いても差し支えない。これらの中でも樹脂組成物の耐熱性、耐湿性、強度などを向上できることから溶融シリカ、結晶シリカ、合成シリカ粉末が好ましい。
前記無機充填材の形状は、特に限定されないが、粘度特性や流動特性の観点から形状は球状であることが好ましい。
無機充填材が溶融シリカの場合の含有量としては、成形性と耐半田クラック性のバランスから、全エポキシ樹脂組成物中に60重量%以上95重量%以下使用することが好ましく、更に好ましくは80重量%以上95重量%以下である。前記下限値未満の場合には、吸水率の上昇に伴う耐半田クラック性が低下し、前記上限値を越えると液状封止用樹脂組成物のディスペンス性能に問題が生じる可能性がある。
無機充填剤が、溶融シリカ以外の場合は、体積換算として前記の含有量となるようにする。
【0012】
本発明に用いる硬化促進剤(D)としては、エポキシ基と酸無水物との反応を促進させるものであればよく、一般に封止用材料に用いられるものを広く使用できる。例えば、ホスホニウム塩、トリフェニルホスフィン、イミダゾール化合物等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの硬化促進剤は単独でも混合して用いても差し支えない。好ましくは一般式(2)または一般式(3)の構造を有するホスホニウム塩、式(4)の構造を有するトリフェニルホスフィン、式(5)または式(6)の構造を有するイミダゾール化合物が低粘度化の観点から有効である。更に好ましくは一般式(2)の構造を有する硬化促進剤、または式(6)の構造を有するイミダゾール化合物が更なる低粘度化の観点から有効である。前記一般式(2)の硬化促進剤としては、例えば、下記式(7)、式(8)、および式(9)などが挙げられる。
【0013】
【化2】

(ただし、式(2)でR1, R2, R3, 及びR4は芳香族もしくは複素環を有する1価の有機基または1価の脂肪族基であって、それらの内の少なくとも1つは、分子外に放出しうるプロトンを少なくとも1個有するプロトン供与体がプロトンを1個放出してなる基であり、これらは互いに同一であっても異なっていても良い。)
【0014】
【化3】

(ただし、式(3)で、Arは置換または無置換の芳香族基を表し、同一分子内の二つの酸素原子は、芳香族炭素位の隣接に位置する。 nは2〜12の整数)
【0015】
【化4】

【0016】
【化5】

【0017】
【化6】

【0018】
【化7】

【0019】
【化8】

【0020】
【化9】

【0021】
また一般式(3)の硬化促進剤としては、下記式(10)、式(11)、および式(12)などが挙げられる。
【0022】
【化10】

【0023】
【化11】

【0024】
【化12】

【0025】
(D)硬化促進剤の配合量は、全液状封止用樹脂組成物100重量部に対して、0.1重量部以上1.0重量部以下であることが好ましく、更に好ましくは0.3重量部以上0.8重量部以下である。下限値未満の場合には硬化が遅く生産性が低下し、上限値を越える場合には保存性が悪化する恐れがあるためである。
【0026】
(B)酸無水物と(D)硬化促進剤の配合比[(B)/(D)]は、3以上35以下が好ましく、5以上30以下であることがさらに好ましく、10以上20以下が特に好ましい。配合比[(B)/(D)]が、下限値未満の場合には保存性が悪化し、上限値を越える場合には硬化が遅く生産性が悪くなる恐れがあるためである。
また、(B)酸無水物の配合量は、液状樹脂組成物100重量部に対して、2重量部以上10重量部以下が好ましく、更に好ましくは5重量部以上7重量部以下である。
(B)酸無水物の配合量が、下限値未満の場合には硬化性が悪くなり、生産性が低下する。そして、上限値を越える場合には、耐湿信頼性が低下する恐れがある。
【0027】
本発明に用いる(E)低応力材は、樹脂組成物を低弾性化させるものであればよく、一般に封止用材料に用いられるものを広く使用できる。例えば、エチレン・エチルアクリレート共重合樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂、ブタジエン−ニトリルゴム、ポリウレタン、アクリルゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、シリコーンゴム、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、シリコーンゴム、オレフィン系共重合体、ニトリルゴム、ポリブタジエンゴムやその変性物などが挙げられる。この内、(E)低応力材が液状ゴムの場合、添加によるTgの低下が大きくなるため固形ゴムが好ましい。固形ゴムの中でもコアシェルゴム粒子を用いると、線膨張係数の増加が抑えられる為更に好ましい。より好ましくはコアシェルシリコーンゴム粒子である。また、(E)低応力材の添加量は、液状樹脂組成物中に3〜30重量%であることが好ましく、5〜20重量%がより好ましい。下限値未満の場合には低弾性の効果が得られず、上限値を超える場合には粘度上昇が高く生産性が悪くなる恐れがあるためである。
【0028】
(E)低応力材がコアシェル粒子場合、コア部のガラス転移温度は、シェル部のガラス転移温度に比べ、低く、室温よりも低いことが好ましい。その際にコア部とシェル部が同一種のゴムである必要は無く、コア部がシリコーンゴムでシェル部がアクリルゴムや、コア部がブタジエンゴムでシェル部にアクリルゴムなどを組み合わせても可能である。
【0029】
(E)低応力材がコアシェル粒子場合、凝集しにくいという点で球状または略球状であることが好ましい。また(C)コアシェル粒子の粒子径は、好ましくは、0.01μm以上30μm以下であり、より好ましくは、0.1μm以上10μm以下である。粒子径が下限値未満では凝集力が強くなり、粘度が上昇し流動性が維持できない。また上限値を超えると狭ギャップに対して、樹脂詰まりを起こしてしまう可能性がある。
【0030】
本発明の液状樹脂組成物において、固形成分が全液状樹脂組成物に対して80重量%以上95重量%以下含まれる。固形成分は25℃において固形の成分であり、無機充填剤と固形の低応力材とを併せた含有量を示す。
【0031】
上記以外に用いることができる成分としては、消泡剤としてのシリコーン化合物やワックスなどの離型剤や難燃剤等が挙げられ、求める特性に応じて添加する事ができる。
【0032】
本発明の液状封止樹脂組成物の製造方法としては、例えば各成分、添加剤などをプラネタリーミキサー、三本ロール、二本熱ロール、ライカイ機などの装置を用いて分散混練したのち、真空下で脱泡処理して製造する。
【0033】
本発明の液状樹脂組成物の硬化物とシリコンウェハーの2層状態において式(1)により得られる内部応力値(σ)が20MPa以下であることが必要である。この値が上限値を超えると、ウエハーレベルパッケージに適用した場合内部応力によるウェハーの反りが大きくなる恐れがある。
【0034】
【数1】

(但し、σは内部応力、Eresin(T)は温度T℃における樹脂の弾性率、αresin(T)は温度T℃における樹脂の線膨張係数、αsi(T)は温度T℃における半導体素子の線膨張係数。)
【0035】
本発明の液状樹脂組成物の硬化物の25℃での弾性率をE、ガラス転移温度以下での線膨張係数をα、前記液状樹脂組成物の(E)低応力材成分を(C)無機充填材成分に置換した液状樹脂組成物の硬化物の25℃での弾性率をE、ガラス転移温度以下での線膨張係数をαとした時、(Eα−Eα)/Eα<−0.05であることが好ましい。この値が上限値を超えると半導体パッケージにおける半田耐熱試験等で不良が発生しやすくなる恐れがある。
【0036】
本発明の液状樹脂組成物の硬化物のガラス転移温度をTg、前記液状樹脂組成物の(E)低応力材成分を(C)無機充填材成分に置換した液状樹脂組成物の硬化物のガラス転移温度をTgとした時、−0.05<(Tg−Tg)/Tgであることが好ましい。この値が下限値未満では半導体パッケージにおける半田耐熱試験等で不良が発生しやすくなる恐れがある。
【0037】
本発明の半導体パッケージの種類としては、例えば次の様な種類があるが、これに限るものではない。
即ち、BGA(Ball Grid Array)、FCBGA(Flip Chip BGA)、MAPBGA(Molded Array Process BGA)などである。また本発明の液状封止樹脂組成物の適用例としてより好ましい例として、eWLB(Embedded Wafer−Level BGA)があり、Fan−Out型、Fan−In型、SiP(System in Package)などの形態である。
【0038】
本発明の半導体パッケージの製造方法としては、例えば次の様な方法があるが、これに限るものではない。
即ち、支持体であるキャリアの上に、予め動作することが分かっている半導体チップをその活性面を下向きに多数個並べる工程(半導体チップを支持体に多数個配置する工程)、次に成形金型に配置しその上に本発明の液状樹脂組成物をディスペンサーなどで塗布する工程(液状樹脂組成物を塗布する工程)、次に、圧縮成形(金型により成形する工程)後、キャリアを剥がして半導体チップが封止され再配置された再配置ウエハーを得る。
続いて、得られた再配置ウエハーの表面にバッファコート材をスピンコートして、バッファコート材を硬化して絶縁膜層を形成した後、パターニング処理により半導体チップ活性面上の電極パッド部分を開孔する。開孔部分からバッファコート材表面へ、メッキなどにより再配線加工と実装用バンプ形成を行う(再配線工程)。その後、これをダイシングにより個片化する(個片化工程)ことで半導体パッケージが得られる。
【実施例】
【0039】
以下、実施例を用いて、本発明を具体的に説明するが、これらに限定されるものではない。
[実施例1]
(1)エポキシ樹脂(A)として、ビスフェノールF型エポキシ樹脂
SB−403S 日本化薬工業社製 100重量部
(2)無水物(B)として、メチルテトラヒドロフタル酸無水物
MT−500 新日本理化社製 100重量部
(3)無機充填材(C)として、無機充填剤1
FB−74 電気化学工業社製 1200重量部
(4)無機充填材(C)として、無機充填材2
SO−E2 アドマテックス社製 250重量部
(5)硬化促進剤(D)として、式(8)で表される硬化促進剤 7重量部
(6)低応力材(E)としてコアシェルシリコーンゴム粒子(コアシェルシリコーンゴム1)
KMP−605 信越化学工業社製 150重量部
(7)エポキシシランカップリング剤:3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
KBM−403E 信越化学工業社製 4重量部
をビーカーに取りスパチュラで混ぜ合わせた後、三本ロールにて3回混錬したのち、ビーカーに入れて真空オーブン(常温、5mmHg)10分間脱泡処理を行い、液状樹脂組成物を得た。
【0040】
作製した液状樹脂組成物について、以下の評価を行った。
液状樹脂組成物を125℃10分、150℃1時間の硬化条件により硬化して試験サンプルを作成した。又、上記液状樹脂組成物の(E)低応力材成分を(C)無機充填材1に置換した液状樹脂組成物を125℃10分、150℃1時間の硬化条件により硬化して試験サンプルを作成した。
【0041】
(a)粘度測定:E型粘度計に3°R7.7型コーンを装着し25℃で5rpmの条件で測定を実施した。
【0042】
(b)ガラス転移温度、線膨張係数:熱機械分析装置(TMA/SS6100,SII社製)を用いて、四角柱状に硬化した液状樹脂組成物を圧縮法にて−100℃から300℃まで5℃/minで昇温測定し、ガラス転移温度およびガラス状態領域での線膨張係数を測定した。
【0043】
(c)ガラス転移温度変化率:液状樹脂組成物の硬化物のガラス転移温度をTg、前記液状樹脂組成物の(E)低応力材成分を(C)無機充填材1に置換した液状樹脂組成物の硬化物のガラス転移温度をTgとした時、(Tg−Tg)/Tg×100である。
【0044】
(d)室温弾性率:粘弾性測定装置(DMA−7e,PERKIN ELMER社製)を用いて、板状に硬化した液状樹脂組成物を3点曲げ法にて0℃から300℃まで5℃/minで昇温測定し、25℃での弾性率を測定した。
【0045】
(e)線膨張係数×室温弾性率変化率:液状樹脂組成物の硬化物の25℃での弾性率をE、ガラス転移温度以下での線膨張係数をα、前記液状樹脂組成物の(E)低応力材成分を(C)無機充填材1に置換した液状樹脂組成物の硬化物の25℃での弾性率をE、ガラス転移温度以下での線膨張係数をαとした時、(Eα−Eα)/Eα×100である。
【0046】
(f)内部応力値:シリコンウェハーと液状樹脂硬化物の2層状態において式(1)により得られる内部応力値(σ)を求めた。
【0047】
【数1】

(但し、σは内部応力、Eresin(T)は温度T℃における樹脂の弾性率、αresin(T)は温度T℃における樹脂の線膨張係数、αsi(T)は温度T℃におけるシリコンの線膨張係数。)
【0048】
(g)密着力:10mm角に切断した表面がミラータイプの625μm厚シリコンウエハーの裏面であるブライトエッチ面に、作製した液状樹脂組成物を塗布した。これを挟んで密着測定用の釘(銅製)を取り付け、125℃10分加熱硬化後、更に175℃4時間で後硬化を行い、測定サンプルを得た。釘の接着面積10mmである。これを測定装置(Dage4000,Dage社製)に半導体チップ面を万力で固定して取り付け、25℃において垂直方向に持ち上げて測定した。
作製した液状樹脂組成物の25℃での粘度は、500Pa・s、ガラス転移温度は100℃、ガラス転移温度変化は0℃、線膨張係数は7ppm/℃、室温弾性率は15GPa、線膨張×室温弾性率変化率は−24%。内部応力値は9MPa、密着力は28Nであった。
【0049】
[信頼性評価]
半導体チップ上に回路配線された半導体ウエハー(Phase8、日立超LSI株式会社製,350μm厚)をダイシング装置で7mm角大に切断し、半導体チップを得た。次に8インチシリコンウエハー(725μm厚)をキャリアとし、剥離可能な熱発泡フィルム(リバアルファ、日東電工株式会社製)を、熱発泡フィルムの発泡面を常温で接着して支持基板を作った。支持基板に適当な間隔を空けて、半導体チップの電極がある活性面が熱発泡フィルムと接するように、ダイマウンター(DB200, 澁谷工業(株)製)で半導体チップを搭載した。半導体チップ付き支持基板を圧縮成形機にセットし、液状樹脂組成物適量載せ、成形圧力3MPa,125℃10分で硬化を行い、ウエハーを得た。液状樹脂組成物の量は、成形後の樹脂厚みが600±10μmとなるように調整した。
ウエハーを150℃1時間オーブンで熱処理し後硬化を行った後、支持基板を剥がす為に、200℃の吸着可能な熱盤上に置いて熱発泡フィルムを発泡させ、支持基板のウエハー部を剥離し、次いで熱発泡フィルム自体をウエハーから剥離することで、表面に多数の半導体チップが露出した状態の再配置ウエハーを得た。得られた再配置ウエハーをチップ面を上にして表面粗さ測定装置(SURFCOM1400D,株式会社東京精密社製)を用いて測定距離18mm、測定速度6mm/sで測定し、反りは0.8mmであった。
得られた再配置ウエハー全体に、感光性バッファコート材をスピンコート(DSPIN80A、(株)SOKUDO製、1500rpm、30秒)、次いで同装置にてプリベーク(125℃5分)を行い、再配置ウエハー表面に再配線用の絶縁膜を形成する。半導体チップの各接続パッドの位置で絶縁膜を開孔するために、光照射(ブロードバンドアライナーMA−8、ズース・マイクロテック(株)製、500mJ/cm)を行い、現像液(TMAH2.38%、23℃、62秒2回パドル)で現像、最終硬化(250℃ 1.5時間)した。次にスパッター(SPF−740H、キャノンアネルバエンジニアリング(株)製)にてバッファコート上に、チタン500Å、銅3000Å厚みとなる様、順に成膜。ここにレジスト(サンフォート155、旭化成イーマテリアルズ(株)製)を塗布し、再配線回路用マスクを用いてレジストの露光と現像を行う。更に銅メッキ処理で、全体に10μm厚みの銅の層を形成した後、レジストを剥離した。この状態では、バッファコート面に不要な銅とチタン層が残っているので、これらをエッチングにより除去後、もう一度スピンコートにてバッファコート層を設け、再配線後の別位置に開孔しバンプ接続の為の銅層を露出させた。再配線は、以上の手順で行った。
再配線まで終わった再配置ウエハーは、ダイサーを用いて15mm角サイズに個片化した。この様にして、信頼性試験用の半導体パッケージ装置を組立てた。
【0050】
(h)半田耐熱試験
上記作製した半導体パッケージを、125℃20時間処理し、次いで85℃85%RHの条件で168時間吸湿処理した。これを、最大温度260℃の時間が30秒となるように設定したリフローオーブンに3回通し、半田耐熱試験1を行った。(試験条件1とした。)
また、半田耐熱試験1(試験条件1)の吸湿処理条件を85℃60%RH168hとした以外は、同様にして、半田耐熱試験2を行った。(試験条件2とした。)
試験後のサンプルは、超音波探傷装置(FineSAT FS300型,日立建機(株)製)にて20MHzのプローブを用いて、内部の剥離状態を確認した。半導体チップの面積に対して、剥離面積の合計が10%以下の場合は微小剥離とし、それ以上の剥離面積では剥離として、剥離が見られた半導体パッケージの数を数えた。
液状樹脂組成物を用いた結果では微小剥離、剥離ともに見つからなかった。
【0051】
[実施例2]
(1)エポキシ樹脂(A)として、ビスフェノールF型エポキシ樹脂
SB−403S 日本化薬工業社製 100重量部
(2)無水物(B)として、メチルテトラヒドロフタル酸無水物
MT−500 新日本理化社製 100重量部
(3)無機充填材(C)として、無機充填剤1
FB−74 電気化学工業社製 750重量部
(4)無機充填材(C)として、無機充填材2
SO−E2 アドマテックス社製 150重量部
(5)硬化促進剤(D)として、式(8)で表される硬化促進剤 7重量部
(6)低応力材(E)としてコアシェルシリコーンゴム粒子(コアシェルシリコーンゴム1)
KMP−605 信越化学工業社製 100重量部
(7)エポキシシランカップリング剤:3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
KBM−403E 信越化学工業社製 4重量部
をビーカーに取りスパチュラで混ぜ合わせた後、三本ロールにて3回混錬したのち、ビーカーに入れて真空オーブン(常温、5mmHg)10分間脱泡処理を行い、液状樹脂組成物を得た。
作製した液状樹脂組成物を実施例1と同様に評価した。液状樹脂組成物25℃での粘度は、100Pa・s、ガラス転移温度は100℃、ガラス転移温度変化は0℃、線膨張係数は11ppm/℃、室温弾性率は7GPa、線膨張×室温弾性率変化率は−20%。内部応力値は11MPa、密着力は24N、再配置ウエハーの反りは1.0mmであった。
【0052】
[実施例3]
(1)エポキシ樹脂(A)として、ビスフェノールF型エポキシ樹脂
SB−403S 日本化薬工業社製 100重量部
(2)無水物(B)として、メチルテトラヒドロフタル酸無水物
MT−500 新日本理化社製 100重量部
(3)無機充填材(C)として、無機充填剤1
FB−74 電気化学工業社製 2000重量部
(4)無機充填材(C)として、無機充填材2
SO−E2 アドマテックス社製 400重量部
(5)硬化促進剤(D)として、式(8)で表される硬化促進剤 7重量部
(6)低応力材(E)としてコアシェルシリコーンゴム粒子(コアシェルシリコーンゴム1)
KMP−605 信越化学工業社製 230重量部
(7)エポキシシランカップリング剤:3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
KBM−403E 信越化学工業社製 4重量部
をビーカーに取りスパチュラで混ぜ合わせた後、三本ロールにて3回混錬したのち、ビーカーに入れて真空オーブン(常温、5mmHg)10分間脱泡処理を行い、液状樹脂組成物を得た。
作製した液状樹脂組成物を実施例1と同様に評価した。液状樹脂組成物25℃での粘度は、1500Pa・s、ガラス転移温度は100℃、ガラス転移温度変化は0℃、線膨張係数は5ppm/℃、室温弾性率は21GPa、線膨張×室温弾性率変化率は−18%。内部応力値は5MPa、密着力は30N、再配置ウエハーの反りは0.7mmであった。
【0053】
[実施例4]
(1)エポキシ樹脂(A)として、ビスフェノールF型エポキシ樹脂
SB−403S 日本化薬工業社製 100重量部
(2)無水物(B)として、メチルテトラヒドロフタル酸無水物
MT−500 新日本理化社製 100重量部
(3)無機充填材(C)として、無機充填剤1
FB−74 電気化学工業社製 1200重量部
(4)無機充填材(C)として、無機充填材2
SO−E2 アドマテックス社製 250重量部
(5)硬化促進剤(D)として、式(8)で表される硬化促進剤 7重量部
(6)低応力材(E)としてコアシェルシリコーンゴム粒子(コアシェルシリコーンゴム1)
KMP−605 信越化学工業社製 70重量部
(7)エポキシシランカップリング剤:3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
KBM−403E 信越化学工業社製 4重量部
をビーカーに取りスパチュラで混ぜ合わせた後、三本ロールにて3回混錬したのち、ビーカーに入れて真空オーブン(常温、5mmHg)10分間脱泡処理を行い、液状樹脂組成物を得た。
作製した液状樹脂組成物を実施例1と同様に評価した。液状樹脂組成物25℃での粘度は、400Pa・s、ガラス転移温度は100℃、ガラス転移温度変化は0℃、線膨張係数は7ppm/℃、室温弾性率は18GPa、線膨張×室温弾性率変化率は−10%。内部応力値は11MPa、密着力は23N、再配置ウエハーの反りは0.9mmであった。
【0054】
[実施例5]
(1)エポキシ樹脂(A)として、ビスフェノールF型エポキシ樹脂
SB−403S 日本化薬工業社製 100重量部
(2)無水物(B)として、メチルテトラヒドロフタル酸無水物
MT−500 新日本理化社製 100重量部
(3)無機充填材(C)として、無機充填剤1
FB−74 電気化学工業社製 800重量部
(4)無機充填材(C)として、無機充填材2
SO−E2 アドマテックス社製 300重量部
(5)硬化促進剤(D)として、式(8)で表される硬化促進剤 7重量部
(6)低応力材(E)としてコアシェルシリコーンゴム粒子(コアシェルシリコーンゴム1)
KMP−605 信越化学工業社製 430重量部
(7)エポキシシランカップリング剤:3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
KBM−403E 信越化学工業社製 4重量部
をビーカーに取りスパチュラで混ぜ合わせた後、三本ロールにて3回混錬したのち、ビーカーに入れて真空オーブン(常温、5mmHg)10分間脱泡処理を行い、液状樹脂組成物を得た。
作製した液状樹脂組成物を実施例1と同様に評価した。液状樹脂組成物25℃での粘度は、1500Pa・s、ガラス転移温度は100℃、ガラス転移温度変化は0℃、線膨張係数は9ppm/℃、室温弾性率は6GPa、線膨張×室温弾性率変化率は−50%。内部応力値は6MPa、密着力は25N、再配置ウエハーの反りは0.8mmであった。
【0055】
[実施例6]
(1)エポキシ樹脂(A)として、ビスフェノールF型エポキシ樹脂
SB−403S 日本化薬工業社製 100重量部
(2)無水物(B)として、メチルテトラヒドロフタル酸無水物
MT−500 新日本理化社製 100重量部
(3)無機充填材(C)として、無機充填剤1
FB−74 電気化学工業社製 1200重量部
(4)無機充填材(C)として、無機充填材2
SO−E2 アドマテックス社製 250重量部
(5)硬化促進剤(D)として、式(8)で表される硬化促進剤 7重量部
(6)低応力材(E)としてコアシェルシリコーンゴム粒子(コアシェルシリコーンゴム2)
KMP−600 信越化学工業社製 150重量部
(7)エポキシシランカップリング剤:3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
KBM−403E 信越化学工業社製 4重量部
をビーカーに取りスパチュラで混ぜ合わせた後、三本ロールにて3回混錬したのち、ビーカーに入れて真空オーブン(常温、5mmHg)10分間脱泡処理を行い、液状樹脂組成物を得た。
作製した液状樹脂組成物を実施例1と同様に評価した。液状樹脂組成物25℃での粘度は、500Pa・s、ガラス転移温度は100℃、ガラス転移温度変化は0℃、線膨張係数は7ppm/℃、室温弾性率は15GPa、線膨張×室温弾性率変化率は−24%。内部応力値は9MPa、密着力は27N、再配置ウエハーの反りは1.0mmであった。
【0056】
[実施例7]
(1)エポキシ樹脂(A)として、ビスフェノールF型エポキシ樹脂
SB−403S 日本化薬工業社製 100重量部
(2)無水物(B)として、メチルテトラヒドロフタル酸無水物
MT−500 新日本理化社製 100重量部
(3)無機充填材(C)として、無機充填剤1
FB−74 電気化学工業社製 1200重量部
(4)無機充填材(C)として、無機充填材2
SO−E2 アドマテックス社製 250重量部
(5)硬化促進剤(D)として、式(8)で表される硬化促進剤 7重量部
(6)低応力材(E)としてコアシェルアクリルゴム粒子(コアシェルアクリルゴム)
W5500 三菱レイヨン社製 150重量部
(7)エポキシシランカップリング剤:3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
KBM−403E 信越化学工業社製 4重量部
をビーカーに取りスパチュラで混ぜ合わせた後、三本ロールにて3回混錬したのち、ビーカーに入れて真空オーブン(常温、5mmHg)10分間脱泡処理を行い、液状樹脂組成物を得た。
作製した液状樹脂組成物を実施例1と同様に評価した。液状樹脂組成物25℃での粘度は、500Pa・s、ガラス転移温度は100℃、ガラス転移温度変化は0℃、線膨張係数は12ppm/℃、室温弾性率は16GPa、線膨張×室温弾性率変化率は−7%。内部応力値は15MPa、密着力は27N、再配置ウエハーの反りは1.2mmであった。
【0057】
[実施例8]
(1)エポキシ樹脂(A)として、ビスフェノールF型エポキシ樹脂
SB−403S 日本化薬工業社製 100重量部
(2)無水物(B)として、メチルテトラヒドロフタル酸無水物
MT−500 新日本理化社製 100重量部
(3)無機充填材(C)として、無機充填剤1
FB−74 電気化学工業社製 1200重量部
(4)無機充填材(C)として、無機充填材2
SO−E2 アドマテックス社製 250重量部
(5)硬化促進剤(D)として、式(8)で表される硬化促進剤 7重量部
(6)低応力材(E)としてエポキシ化ポリブタジエン(25℃で液状)
BF−1000 アデカ社製 70重量部
(7)エポキシシランカップリング剤:3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
KBM−403E 信越化学工業社製 4重量部
をビーカーに取りスパチュラで混ぜ合わせた後、三本ロールにて3回混錬したのち、ビーカーに入れて真空オーブン(常温、5mmHg)10分間脱泡処理を行い、液状樹脂組成物を得た。
作製した液状樹脂組成物を実施例1と同様に評価した。液状樹脂組成物25℃での粘度は、400Pa・s、ガラス転移温度は96℃、ガラス転移温度変化は−4℃、線膨張係数は13ppm/℃、室温弾性率は18GPa、線膨張×室温弾性率変化率は−6%。内部応力値は16MPa、密着力は22N、再配置ウエハーの反りは1.8mmであった。
【0058】
[実施例9]
(1)エポキシ樹脂(A)として、ビスフェノールF型エポキシ樹脂
SB−403S 日本化薬工業社製 80重量部
(2)エポキシ樹脂(A)として、クレゾールノボラック型エポキシ
ESCN195LA(軟化点62℃) 住友化学社製 20重量部
(3)無水物(B)として、メチルテトラヒドロフタル酸無水物
MT−500 新日本理化社製 100重量部
(4)無機充填材(C)として、無機充填剤1
FB−74 電気化学工業社製 1200重量部
(5)無機充填材(C)として、無機充填材2
SO−E2 アドマテックス社製 250重量部
(6)硬化促進剤(D)として、式(8)で表される硬化促進剤 7重量部
(7)低応力材(E)としてコアシェルシリコーンゴム粒子(コアシェルシリコーンゴム1)
KMP−605 信越化学工業社製 150重量部
(8)エポキシシランカップリング剤:3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
KBM−403E 信越化学工業社製 4重量部
をビーカーに取りスパチュラで混ぜ合わせた後、三本ロールにて3回混錬したのち、ビーカーに入れて真空オーブン(常温、5mmHg)10分間脱泡処理を行い、液状樹脂組成物を得た。
作製した液状樹脂組成物を実施例1と同様に評価した。液状樹脂組成物25℃での粘度は、900Pa・s、ガラス転移温度は110℃、ガラス転移温度変化は0℃、線膨張係数は7ppm/℃、室温弾性率は16GPa、線膨張×室温弾性率変化率は−28%。内部応力値は10MPa、密着力は29N、再配置ウエハーの反りは1.3mmであった。
【0059】
[実施例10]
(1)エポキシ樹脂(A)として、ビスフェノールF型エポキシ樹脂
SB−403S 日本化薬工業社製 100重量部
(2)無水物(B)として、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物
MH−700 新日本理化社製 100重量部
(3)無機充填材(C)として、無機充填剤1
FB−74 電気化学工業社製 1200重量部
(4)無機充填材(C)として、無機充填材2
SO−E2 アドマテックス社製 250重量部
(5)硬化促進剤(D)として、式(8)で表される硬化促進剤 7重量部
(6)低応力材(E)としてコアシェルシリコーンゴム粒子(コアシェルシリコーンゴム1)
KMP−605 信越化学工業社製 150重量部
(7)エポキシシランカップリング剤:3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
KBM−403E 信越化学工業社製 4重量部
をビーカーに取りスパチュラで混ぜ合わせた後、三本ロールにて3回混錬したのち、ビーカーに入れて真空オーブン(常温、5mmHg)10分間脱泡処理を行い、液状樹脂組成物を得た。
作製した液状樹脂組成物を実施例1と同様に評価した。液状樹脂組成物25℃での粘度は、500Pa・s、ガラス転移温度は96℃、ガラス転移温度変化は0℃、線膨張係数は7ppm/℃、室温弾性率は15GPa、線膨張×室温弾性率変化率は−23%。内部応力値は9MPa、密着力は27N、再配置ウエハーの反りは1.1mmであった。
【0060】
[実施例11]
(1)エポキシ樹脂(A)として、ビスフェノールF型エポキシ樹脂
SB−403S 日本化薬工業社製 100重量部
(2)無水物(B)として、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物
MH−700 新日本理化社製 100重量部
(3)無機充填材(C)として、無機充填剤1
FB−74 電気化学工業社製 1200重量部
(4)無機充填材(C)として、無機充填材2
SO−E2 アドマテックス社製 250重量部
(5)硬化促進剤(D)として、式(10)で表される硬化促進剤 7重量部
(6)低応力材(E)としてコアシェルシリコーンゴム粒子(コアシェルシリコーンゴム1)
KMP−605 信越化学工業社製 150重量部
(7)エポキシシランカップリング剤:3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
KBM−403E 信越化学工業社製 4重量部
をビーカーに取りスパチュラで混ぜ合わせた後、三本ロールにて3回混錬したのち、ビーカーに入れて真空オーブン(常温、5mmHg)10分間脱泡処理を行い、液状樹脂組成物を得た。
作製した液状樹脂組成物を実施例1と同様に評価した。液状樹脂組成物25℃での粘度は、600Pa・s、ガラス転移温度は100℃、ガラス転移温度変化は0℃、線膨張係数は7ppm/℃、室温弾性率は15GPa、線膨張×室温弾性率変化率は−25%。内部応力値は9MPa、密着力は26N、再配置ウエハーの反りは1.1mmであった。
【0061】
[比較例1]
(1)エポキシ樹脂(A)として、ビスフェノールF型エポキシ樹脂
SB−403S 日本化薬工業社製 100重量部
(2)無水物(B)として、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物
MH−700 新日本理化社製 100重量部
(3)無機充填材(C)として、無機充填剤1
FB−74 電気化学工業社製 450重量部
(4)無機充填材(C)として、無機充填材2
SO−E2 アドマテックス社製 100重量部
(5)硬化促進剤(D)として、式(8)で表される硬化促進剤 7重量部
(6)低応力材(E)としてコアシェルシリコーンゴム粒子(コアシェルシリコーンゴム1)
KMP−605 信越化学工業社製 70重量部
(7)エポキシシランカップリング剤:3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
KBM−403E 信越化学工業社製 4重量部
をビーカーに取りスパチュラで混ぜ合わせた後、三本ロールにて3回混錬したのち、ビーカーに入れて真空オーブン(常温、5mmHg)10分間脱泡処理を行い、液状樹脂組成物を得た。
作製した液状樹脂組成物を実施例1と同様に評価した。液状樹脂組成物25℃での粘度は、10Pa・s、ガラス転移温度は100℃、ガラス転移温度変化は0℃、線膨張係数は15ppm/℃、室温弾性率は5GPa、線膨張×室温弾性率変化率は−23%。内部応力値は23MPa、密着力は19N、再配置ウエハーの反りは2.4mmであった。
【0062】
[比較例2]
(1)エポキシ樹脂(A)として、ビスフェノールF型エポキシ樹脂
SB−403S 日本化薬工業社製 100重量部
(2)無水物(B)として、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物
MH−700 新日本理化社製 100重量部
(3)無機充填材(C)として、無機充填剤1
FB−74 電気化学工業社製 3000重量部
(4)無機充填材(C)として、無機充填材2
SO−E2 アドマテックス社製 500重量部
(5)硬化促進剤(D)として、式(8)で表される硬化促進剤 7重量部
(6)低応力材(E)としてコアシェルシリコーンゴム粒子(コアシェルシリコーンゴム1)
KMP−605 信越化学工業社製 320重量部
(7)エポキシシランカップリング剤:3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
KBM−403E 信越化学工業社製 4重量部
をビーカーに取りスパチュラで混ぜ合わせた後、三本ロールにて3回混錬したのち、ビーカーに入れて真空オーブン(常温、5mmHg)10分間脱泡処理を行い、液状樹脂組成物を得た。
作製した液状樹脂組成物を実施例1と同様に評価した。液状樹脂組成物の25℃での粘度を測定しようとしたが、硬すぎて測定できず。その他硬化物評価も、サンプル作製が出来ず実施しなかった。
【0063】
[比較例3]
(1)エポキシ樹脂(A)として、ビスフェノールF型エポキシ樹脂
SB−403S 日本化薬工業社製 100重量部
(2)無水物(B)として、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物
MH−700 新日本理化社製 100重量部
(3)無機充填材(C)として、無機充填剤1
FB−74 電気化学工業社製 1200重量部
(4)無機充填材(C)として、無機充填材2
SO−E2 アドマテックス社製 300重量部
(5)硬化促進剤(D)として、式(8)で表される硬化促進剤 7重量部
(6)低応力材(E)としてコアシェルシリコーンゴム粒子(コアシェルシリコーンゴム1)
KMP−605 信越化学工業社製 20重量部
(7)エポキシシランカップリング剤:3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
KBM−403E 信越化学工業社製 4重量部
をビーカーに取りスパチュラで混ぜ合わせた後、三本ロールにて3回混錬したのち、ビーカーに入れて真空オーブン(常温、5mmHg)10分間脱泡処理を行い、液状樹脂組成物を得た。
作製した液状樹脂組成物を実施例1と同様に評価した。液状樹脂組成物25℃での粘度は、200Pa・s、ガラス転移温度は100℃、ガラス転移温度変化は0℃、線膨張係数は7ppm/℃、室温弾性率は21GPa、線膨張×室温弾性率変化率は−3%。内部応力値は21MPa、密着力は20N、再配置ウエハーの反りは2.5mmであった。
【0064】
[比較例4]
(1)エポキシ樹脂(A)として、ビスフェノールF型エポキシ樹脂
SB−403S 日本化薬工業社製 100重量部
(2)無水物(B)として、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物
MH−700 新日本理化社製 100重量部
(3)無機充填材(C)として、無機充填剤1
FB−74 電気化学工業社製 800重量部
(4)無機充填材(C)として、無機充填材2
SO−E2 アドマテックス社製 200重量部
(5)硬化促進剤(D)として、式(8)で表される硬化促進剤 7重量部
(6)低応力材(E)としてコアシェルシリコーンゴム粒子
KMP−605 信越化学工業社製 580重量部
(7)エポキシシランカップリング剤:3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
KBM−403E 信越化学工業社製 4重量部
をビーカーに取りスパチュラで混ぜ合わせた後、三本ロールにて3回混錬したのち、ビーカーに入れて真空オーブン(常温、5mmHg)10分間脱泡処理を行い、液状樹脂組成物を得た。
作製した液状樹脂組成物を実施例1と同様に評価した。液状樹脂組成物の25℃での粘度を測定しようとしたが、硬すぎて測定できず。その他硬化物評価も、サンプル作製が出来ず実施しなかった。
【0065】
[比較例5]
(1)エポキシ樹脂(A)として、ビスフェノールF型エポキシ樹脂
SB−403S 日本化薬工業社製 100重量部
(2)無水物(B)として、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物
MH−700 新日本理化社製 100重量部
(3)無機充填材(C)として、無機充填剤1
FB−74 電気化学工業社製 1200重量部
(4)無機充填材(C)として、無機充填材2
SO−E2 アドマテックス社製 500重量部
(5)硬化促進剤(D)として、式(8)で表される硬化促進剤 7重量部
(6)低応力材(E)としてアクリルゴムポリマー(アクリルゴム、25℃で液状)
UP−1061 東亞合成社製 150重量部
(7)エポキシシランカップリング剤:3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
KBM−403E 信越化学工業社製 4重量部
をビーカーに取りスパチュラで混ぜ合わせた後、三本ロールにて3回混錬したのち、ビーカーに入れて真空オーブン(常温、5mmHg)10分間脱泡処理を行い、液状樹脂組成物を得た。
作製した液状樹脂組成物を実施例1と同様に評価した。液状樹脂組成物25℃での粘度は、100Pa・s、ガラス転移温度は80℃、ガラス転移温度変化は−20℃、線膨張係数は15ppm/℃、室温弾性率は16GPa、線膨張×室温弾性率変化率は98%。内部応力値は22MPa、密着力は22N、再配置ウエハーの反りは2.6mmであった。
【0066】
実施例2〜11についても、実施例1と同様にして半導体パッケージを組立て半田耐熱試験を行った。試験条件2では何れも剥離は観察されなかったが、試験条件1では実施例4,7,8で、一つ微小剥離が観察された。
比較例1〜5についても、実施例1と同様にして半導体パッケージを組立てたが、比較例2と4では液状樹脂組成物Gは樹脂粘度が高すぎて成形できず、評価は行わなかった。比較例1と5について組立てた半導体パッケージで半田耐熱試験を行ったが、試験条件1では全数が剥離し、試験条件2では半数以上が剥離した。比較例3については試験条件1では約半数が剥離したが、試験条件2では剥離は観察されなかった。
【0067】
【表1】

【0068】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)エポキシ樹脂、(B)酸無水物、(C)無機充填材、(D)硬化促進剤、および(E)低応力材を含有する液状樹脂組成物であって、固形成分が全液状樹脂組成物に対して80重量%以上95重量%以下含まれ、シリコンウェハーと液状樹脂組成物の硬化物の2層状態において式(1)により得られる内部応力値(σ)が20MPa以下である液状樹脂組成物。
【数1】

(但し、σは内部応力、Eresin(T)は温度T℃における液状樹脂組成物の硬化物の弾性率、αresin(T)は温度T℃における液状樹脂組成物の硬化物の線膨張係数、αsi(T)は温度T℃におけるシリコンの線膨張係数。)
【請求項2】
(E)低応力材の含有量が、全液状樹脂組成物に対して3重量%以上30重量%以下である請求項1に記載の液状樹脂組成物。
【請求項3】
前記液状樹脂組成物の硬化物の25℃での弾性率をE、ガラス転移温度以下での線膨張係数をα、前記液状樹脂組成物の(E)低応力材成分を(C)無機充填材成分に置換した液状樹脂組成物の硬化物の25℃での弾性率をE、ガラス転移温度以下での線膨張係数をαとした時、(Eα−Eα)/Eα<−0.05である請求項1または2に記載の液状樹脂組成物。
【請求項4】
前記液状樹脂組成物の硬化物のガラス転移温度をTg、前記液状樹脂組成物の(E)低応力材成分を(C)無機充填材成分に置換した液状樹脂組成物の硬化物のガラス転移温度をTgとした時、−0.05<(Tg−Tg)/Tgである請求項1乃至3のいずれか1項に記載の液状樹脂組成物。
【請求項5】
(E)低応力材が、コアシェルゴム粒子である請求項1乃至4のいずれか1項に記載の液状樹脂組成物。
【請求項6】
(E)低応力材が、コアシェルシリコーンゴム粒子である請求項1乃至5のいずれか1項に記載の液状樹脂組成物。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の液状樹脂組成物を用いて、半導体チップを支持体に多数個配置し、封止して作製した再配置ウエハー。
【請求項8】
請求項7に記載の再配置ウエハーにおいて、半導体チップを支持体に多数個配置したものを圧縮成形により、封止して作製された再配置ウエハー。
【請求項9】
請求項7又は8に記載の再配置ウエハーを個片化して作製した半導体パッケージ。
【請求項10】
請求項1乃至6のいずれかに1項に記載の液状樹脂組成物を用いて作製される半導体パッケージの製造方法であって、
半導体チップを支持体に多数個配置する工程、
この上に前記液状樹脂組成物を塗布する工程、
金型により成形する工程、を含む半導体パッケージの製造方法。

【公開番号】特開2011−195742(P2011−195742A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−65472(P2010−65472)
【出願日】平成22年3月23日(2010.3.23)
【出願人】(000002141)住友ベークライト株式会社 (2,927)
【Fターム(参考)】