説明

液状水虫治療薬

【課題】吸水性軟質体に含浸させて直接塗布することで,菌の死滅と傷の治癒促進を同時に行い、しかも副作用がなく、治療時に刺激による痛みも無く、安全性が高い岩塩水溶液を主体とする液状水虫治療薬を提供する
【解決手段】吸水性軟質体に含浸させて水虫患部に添着する液状水虫治療薬であって、岩塩を粉末又は粒塊状にして、これを濃度20〜40%の水溶液にしてなり場合により痛緩衝剤を添加してなる液状水虫治療薬。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、白癬菌など真菌が手や足の表面等に感染して起きた水虫やタムシに対して,吸水性軟質体に含浸させて接触させることで,菌の死滅と傷の治癒促進を同時に行い、しかも副作用がなく、治療時に刺激による痛みも無く、安全性が高い岩塩水溶液を主体とする液状水虫治療薬に関するものである。
【背景技術】
【0002】
水虫は、白蘚菌による皮膚病の一で、主として足の指の間や足の裏にでき、小水疱疹・ただれ・角質化などの形で現れる。かゆみが強く、一般に症状は夏に激しく、冬は軽い。汗疱状白蘚の俗称である。この水虫は皮膚内部深く侵入するために治療が難しく、また、液状、軟膏状の塗り薬が大部分であるが、塗り薬も、効果が薄いか治療に長時間を要するため、十分な効果を得るのは困難である。
趾間糜蘭型の水虫の場合は治療が困難で、外用療法として、クリサロビン軟膏、タ−ル軟膏、ヨ−ドチンキの他、トルナフテ−ト、ヨ−ドウンデシレン酸、ケロトリマゾ−ルやミコナゾ−ルなどのイミダゾ−ル系薬剤の塗擦が行われているが、いずれの場合も処置が面倒なため、完全な治癒が困難であった。
一時的にはかゆみ痛み止めにはなるが、完治するものはない。
この水虫の治療薬には、従来特許文献1〜特許文献7にて紹介のものがある。
特許文献1(再表2005-000287号公報)には、抗白癬菌薬とl−メントール、メントール類縁化合物、および殺菌性化合物から選択される少なくとも1種以上の化合物を必須成分とする水虫治療用外用剤が紹介され、
特許文献2(特開2005-263695号公報)には、水虫防止に有効な靴下(例えば、特許文献3(特開2000-239901号公報))、水虫原因菌に対して治療効果のある抗菌剤(例えば、特許文献4(特開2001-64163号公報))、水虫治療薬の治癒効果を高めることのできる水虫治療用被包体(例えば、特許文献5(特開2003-235989号公報))あるいは水虫治療薬と靴下とを組み合わせた水虫治療法(例えば、特許文献6(特開平8-154967号公報))などの課題を解決すため水虫治療薬として、「グリセリン、BG(ブチレングリコール)、ポリエチレングリコール、水、トリオクタノイン、香料、AMPカルボマー、エデト酸塩、(アクリル酸/アクリル酸アルキル(C10−30))コポリマーAMP、クエン酸ナトリウム、酸化鉄を含み、芳香を楽しみながら、楽に完治させる水虫治療薬が紹介され、
特許文献7(特開2008-239626号公報)には、イミダゾール系、トリアゾール系、チオカルバミン系、ベンジルアミン系、アリルアミン系、モルホリン系等種々の抗真菌薬は、いずれも白癬菌および他の真菌類、例えばカンジダ菌等の真菌類全般にわたって強い抗菌活性を示さないため、「抗白癬菌薬ならびにl−メントール、メントール類縁化合物、および殺菌性化合物から選択される少なくとも1種以上の化合物を必須成分として含有させて、白癬菌だけでなくカンジダ菌等の他の真菌類、黄色ブドウ球菌などの皮膚常在菌をも効果的に減滅させる水虫治療用外用剤」を開発し紹介されている。
【0003】
一方、一般に水虫治療薬は殺菌消毒作用をもたらす薬剤が主として用いられるので、患部に灼熱のごとき激痛を与えるものが多い。しかし、今日まで決定的薬効が期待できず、激痛を伴わない治療薬の出現が要望されている。
比較的痛み等がない効用を有するものとしては、モンモリロナイトに木酢酸及びパパイン酵素等を混合して得られる粉末が、またはモンモリロナイトに木酢酸、塩化リゾチームを配してなる水虫治療薬剤が提供されており、いずれもモンモリロナイト粉末の吸収性を利用して、患部の湿潤を吸収し水虫治療に役立てようと試みている。しかしながら、固体粉末では、患部に平均的に延展せず部分的に散布されるのみであり、また、粉末の表面には湿潤成分が付着し吸収されても粉末内部にまでの吸収力がなく、この結果、十分な治療効果が得られないものであった。
このように、従来の水虫治療薬剤は、いずれもいくつもの課題が山積し、いまだ決定的に完治させるものではなく、更に十分に完治することができる薬効を呈する治療薬の開発が要望されている。
【特許文献1】再表2005−000287号公報
【特許文献2】特開2005−263695号公報
【特許文献3】特開2000−239901号公報
【特許文献4】特開2001−64163号公報
【特許文献5】特開2003−235989号公報
【特許文献6】特開平8−154967号公報
【特許文献7】特開2008−239626号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明はこのような従来の水虫治療薬のもつ問題を一掃して、白癬菌など真菌が手や足の表面等に感染して起きた水虫やタムシに対して,吸水性軟質体に含浸させて接触させることで,岩塩成分が患部皮膚に短時間で浸透して菌の死滅と傷の治癒促進を同時に行い、しかも副作用がなく、治療時に刺激による痛みも無く、安全性が高い岩塩水溶液を主体とする液状水虫治療薬を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を全て解決する液状水虫治療薬であり、その特徴は次の(1)〜(5)に記載のとおりである。
(1).吸水性軟質体に含浸させて水虫患部に添着する液状水虫治療薬であって、岩塩を粉末又は粒塊状にして、これを濃度20〜40%の水溶液にしてなる液状水虫治療薬。
(2).吸水性軟質体に含浸させて水虫患部に添着する液状水虫治療薬であって、岩塩を粉末又は粒塊状にして、これを濃度20〜40%の水溶液に、痛み緩和剤を混入してなる液状水虫治療薬。
(3).痛み緩和剤を用いる前記(2)に記載の液状水虫治療薬。
(4).岩塩としてモンゴル岩塩を用いる前記(1)〜(3)の何れか一つに記載の液状水虫治療薬。
(5).吸水性軟質体として、例えば、脱脂綿、化繊や紙や植物繊維の不織布、織布を用いる前記(1)〜(4)の何れか一つに記載の液状水虫治療薬。
【発明の効果】
【0006】
本発明の液状水虫治療薬は、白癬菌など真菌が手や足の表面等に感染して起きた水虫やタムシに対して,岩塩成分が患部皮膚に迅速浸透して、菌の死滅と傷の治癒促進を同時に効率良く行い、しかも副作用がなく、治療時に刺激による痛みも無く、安全性が極めて高く楽に完治させる優れた効果を呈するものである。
【0007】
本発明の液状水虫治療薬は、本液状水虫治療薬を吸水性軟質体に含浸させて水虫患部に添着するため、本液状水虫治療薬の蒸発、放散を抑制して薬効成分が患部の皮膚に長時間接触して岩塩成分を患部皮膚に迅速に深く浸透させることができるので、確実な殺菌作用を継続維持して、治療効果を高め、水虫を短期間で完治することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明を実施するための最良の形態とその意義は、次のとおりであり、また上記の特徴に記載の技術条件の具体的な実施形態を次の実施例において詳細に紹介する。
【0009】
1.本発明の液状水虫治療薬において、岩塩濃度20〜40%の岩塩水溶液とする意義
岩塩水溶液の水1に対する岩塩濃度(以下単に岩塩濃度と言う)を20〜40%にすることにより後述の実験例に示すように、通常、患部に初回19〜24時間程度浸透させることにより水虫治療効果を高め、殆どの水虫菌と不快感(痒み、悪臭等)の助長菌を完全に殺菌死滅させ、再発を殆ど皆無にすることができる条件であり、この範囲を悦脱するとその効果は薄らぎいたずらに治療期間を延長させるため好ましくない。
岩塩水溶液の温度は、常温で良い。
【0010】
2.本発明の液状水虫治療薬において、岩塩水溶液を吸水性軟質体に含浸さて水虫患部に添着する意義
水虫患部に塗布された本液状水虫治療薬の蒸発、放散を抑制して薬効成分が患部に滞留維持するため、岩塩水溶液の皮膚浸透作用とそれによる殺菌作用を持続し治療効果を高める。
吸水性軟質体の例:脱脂綿、化繊や紙や植物繊維の不織布、織布等が揚げられる。
添着方法としては、特に限定されないが、患部が指の間の場合は、岩塩水溶液を浸透させた脱脂綿を丸めて指の間に挟んで置いたり、患部が足裏の場合は、岩塩水溶液を浸透させたガーゼを足裏患部に添着して油紙や透明樹脂薄膜を介して粘着テープなどで保持するなど、患部の位置や形状などに応じて適宜な公知の添着手段を採用すればよい。
【0011】
3.痛み緩和剤を用いる意義
本液状水虫治療薬を吸水性軟質体に含浸さて虫患部に添着すると痛みを伴う。この痛みは殺菌効能の強さを示すものであるが人によって我慢できない場合は、当初少なめに含浸させて痛みを和らげながら徐々に斬増するか、次例等の一般公知の痛み緩和剤を混合して治療すればよい。この痛み緩和剤の混合によって、本液状水虫治療薬と痛み緩和剤の効能が低下することは殆どない。
公知の痛緩和剤の例:特開2002-338479で紹介の30%濃度前後のホウ酸水溶液1000mlに250mgの塩酸テトラヒドロゾリンと微量の添加物エデト酸ナトリューム、塩化ベルザルコニュウム、薄荷脳、クエン酸などを含有する水溶液や、その他公知の痛緩和剤含有の水虫治療液を混合しても一向に構わない。
【0012】
4.岩塩について
岩塩の起源、岩塩古いものは5億年前、新しいものは200万年前くらいにできたものと言われている。通説としては海水がせき止められて蒸発したものといわれている。
岩塩は、塩化ナトリウム99%のものから20%位まで様々で、地表にあるもの、深い地層に堆積して隠れているもの、地殻変動で岩塩層が柱状に突出しているもの(岩塩ドーム)、などがある。岩塩を掘り出したもの。これがほんとの岩塩である。
世界中に岩塩があるが、有名な岩塩鉱床としてはヨーロッパ全域、アメリカ東部、中部、南部、中国のほぼ全域で深い鉱床があり、ウクライナ、パキスタン、イラン、チリ、モンゴル等その他多くのところで岩塩鉱床がある。埋蔵量は無限に近い量がある。世界の塩の消費の殆どは食量用で2/3は岩塩を原料としている。岩塩はチリのように表面に露出して掘っているところ、地下に坑道を掘って採掘しているところ、地上から水を押し込んで塩分を溶かして濃い塩水を汲み出しているところ(溶解採鉱の岩塩)、などがある。
岩塩の色は、赤系は酸化鉄、黒は粘土や黒砂、白は石灰石、石こう、気泡などが多い、東欧でクロムやマンガンをかなり含んだ黒色岩塩、パキスタンでは硫黄や鉄を含む深紅色の岩塩がある。
【0013】
而して、本発明で用いる岩塩については、表1と表2に紹介の成分系の岩塩を推奨する。
表1には、イタリア産岩塩、ボリビア産岩塩、メキシコ産岩塩の成分系を示し、表2には4種類のモンゴル岩塩そのものとその岩塩を原料にした天外天塩、天日塩、月光塩の各成分系を示した。
モンゴル岩塩は、モンゴル自治区ジランタイの塩の湖において、1億数千万年かけて生成された塩の結晶そのもので最高品質の自然塩で、表2に記載のとおり、Nacl(塩化ナトリウム)以外に、カルシウムが豊富で、カリウム、マグネシウムなど健康に欠かせないミネラル分を良く含み患部の皮膚に対する浸透性は経験値で通常の塩の2倍以上であるため、その岩塩水溶液の岩塩濃度と関連するが、後述の実験例に示すように、他の岩塩に比べて、水虫治療効果を高め、殆どの水虫菌と不快感(痒み、悪臭等)の助長菌を完全に殺菌死滅させることを見い出し、再発を皆無にしたので、これら効果が得られる成分は特定できないが、有効成分が含有されているものと思われる。
【0014】
【表1】

【0015】
【表2】

【実施例】
【0016】
以下の表3と表4に本発明の液状水虫治療薬の実施例1〜実施例7及び比較例1の条件を紹介し、表5にこれ等の液状水虫治療薬で治療した官能試験例を詳細に紹介する。
【0017】
【表3】

【0018】
【表4】

【0019】
<官能試験例>
実施例1〜7および比較例1の液状水虫治療薬を30人の皮膚真菌症の患者に毎日1回24時間、1ヶ月間、塗布した後の、痛み感、清涼感、かゆみ感、痒み、悪臭の有無、および6ケ月後の再発の有無、1年後の完治の有無状況(%)を示す。
【0020】
【表5】


表3に示すように本発明の液状水虫治療薬の実施例1〜7の結果は、○治療後の痛み感無し:平均28.2/30%、○清涼感有り:30/30%、○かゆみ感無し:28/30%、痒み無し:28.5/30%、○悪臭無し:30/30%、および○6ケ月後の再発無し:29/30%、○1年後の完治有り:28/30%との素晴しい治療効果を得ることができた。
これに比し、好ましい条件から若干悦脱した条件の比較例1は、岩塩濃度を10%と薄めにしたが、それでも6ケ月後の再発無し:24/30%、1年後の完治有り:23/30%との好結果が得られた。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明の液状水虫治療薬は、前記の効果に記載のとおり、水虫やタムシは勿論、不快感(痒み、悪臭等)を助長する原因となるカンジダ菌や黄色ブドウ球菌などの皮膚常在菌に対して,菌の効果的死滅と傷の治癒促進を同時に行い、しかも副作用がなく、治療時に刺激による痛みも緩和して、安全性が極めて高く楽に完治させる優れた効果を呈するものであり、医学産業界に革命的な影響を与え、寄与すること多大なものがある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱脂綿、紙、不織布、織布の何れかに含浸させて水虫患部に添着する液状水虫治療薬であって、岩塩を粉末又は粒塊状にして、これを濃度20〜40%の水溶液にしてなる液状水虫治療薬。
【請求項2】
吸水性軟質体に含浸させて水虫患部に添着する液状水虫治療薬であって、岩塩を粉末又は粒塊状にして、これを濃度20〜40%の水溶液に、痛み緩和剤を混入してなる液状水虫治療薬。
【請求項3】
痛み緩和剤を用いる請求項2に記載の液状水虫治療薬。
【請求項4】
岩塩としてモンゴル岩塩を用いる請求項1〜請求項3の何れか一つに記載の液状水虫治療薬。
【請求項5】
吸水性軟質体として、例えば、脱脂綿、化繊や紙や植物繊維の不織布、織布を用いる請求項1〜請求4の何れか一つに記載の液状水虫治療薬。

【公開番号】特開2010−248080(P2010−248080A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−96194(P2009−96194)
【出願日】平成21年4月10日(2009.4.10)
【出願人】(594177966)
【Fターム(参考)】