説明

液状物繰出容器

【課題】回転繰出容器に求められる品質を維持しながら部品点数を削減し、簡単な方法で組立可能とすることで、現製品と使用感を変えること無くコストを抑えた液状物繰出容器を提供する。
【解決手段】液状物繰出容器において、ピストン18は、その前部の外周にシール部18a、18aが軸本体10の収容部12内壁に摺接すると共に、後端部の外周に径方向外側に突出するリブ状突起からなる一対の突部36を、かつ内周に雌ネジ部38を有する筒状部18bが形成され、前記回転体16の前記操作部16aから前方に延びた前部外周面には、前記筒状部18bの雌ネジ部38に螺合する雄ネジ部40が形成され、前記軸本体10には、先方部に収容部12の空間が形成され、後方部に前記筒状部18bの外周の突部36が係合する溝部42が軸方向に沿って形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液体や流動体の化粧料や薬品等の液状物を軸本体の収容部内に収容し、尾端を回転させる繰出し操作によって収容した液状物を塗付部に送り出す液状物繰出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の一般的な回転による液状物繰出容器は、特開平9−322819号(特許文献1)の実施例等に示すように繰出機構部は軸本体、ピストン、ネジ棒、ネジ体、繰出体、天冠の6部品からなっていて、繰出体の繰出し操作(ネジ体に対する天冠を介した繰出体の回転操作)によって液状物を塗布体に向けて適量繰り出せるようにしている。
【0003】
しかしながら、上記種類の液状物繰出容器では、今日、更なる部品点数削減によるコストダウンと組立性改善によるコストダウンが求められている。
【0004】
コストダウンが求められている中でも定量的な吐出や内容物の封入状態など、要求される品質レベルは高く、現性能を維持したまま部品点数を削減させるのは、従来の液状物繰出容器では困難であった。
【0005】
例えば、特開昭61−173997号(特許文献2)の記載の塗布具では、ピストンを先端に備えた押杆(軸筒に回り止めして摺動自在に配置している)に回転体を螺合させて、その回転体を軸筒に対して回転させることによりピストンを前進させて液体収納室内の液体を塗布体に繰出すようにしている。このように部品点数を減らした容器が考案されているが、回転操作時のクリック感や組立性など改良の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−322819号公報
【特許文献2】特開昭61−173997号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のように、回転繰出容器は、定量吐出性、回転操作時の操作感、内容物の密閉性などの品質維持のため、どうしても部品点数が多いことや部品点数が多いことによる組立性の複雑さからコストが高くなってしまう。
【0008】
この発明は回転繰出容器に求められる品質を維持しながら部品点数を削減し、簡単な方法で組立可能とすることで、現製品と使用感を変えること無くコストを抑えた液状物繰出容器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、軸本体に設けた収容部内に液状の内容物を収容し、軸本体後端部から露出した回転体の操作部を軸本体と相対回転することにより収容部内でピストンを前進させて、該内容物を軸本体先方に向けて繰出す液状物繰出容器において、
ピストンは、その前部のシール部が軸本体の収容部内壁に摺接すると共に、後部の外周に突部を、かつ内周に雌ネジ部を有する筒状部が形成され、
前記回転体の前記操作部から前方に延びた前部外周面には、前記筒状部の雌ネジ部に螺合する雄ネジ部が形成されており、
前記軸本体には、先方部に収容部空間が形成され、後方部に前記筒状部の外周の突部が係合する溝部が軸方向に沿って形成されたことを特徴とする液状物繰出容器である。
【0010】
本発明においては、前記回転体には径方向外側に向けて弾性的に付勢される突起部が形成され、軸本体内周部には、凹凸部が複数形成されており、前記回転体の雄ネジ部をピストンの筒状部内の雌ネジに螺合させた状態で前記突起部が前記凹凸部に係合して、該回転体を軸本体と相対回転させたときに前記突起部が凹凸部に係合離脱するようにしたことが好適である。
【0011】
また、本発明においては、前記回転体の前部外周面と、前記軸本体内周面には、互いに対向する箇所に前記回転体および軸本体の互いの軸方向への相対移動を規制しかつ回転方向へは相対回転を可能にする嵌合部がそれぞれ形成されたことが好適である。
【0012】
また、本発明においては、前記ピストンの筒状部には後方開きのスリットが軸方向に沿って形成されており、回転体の雄ネジ部を筒状部に組付けるときに弾性変形によってスリットから筒状部が開いて、雌ネジ部に雄ネジ部を螺着することなく装着可能にしたことが好適である。
【0013】
また、本発明においては、前記回転体は、操作部から前部にわたって中空筒状に形成され、突起部は中空筒状の前記回転体の壁部に片持ち梁状に形成されたものであって、弾性変形する際の揺動支点付近が薄肉に、揺動腕部の外面が前記回転体の壁部よりも外方向に突出して厚肉に形成されていることが好適である。
【発明の効果】
【0014】
本発明の液状物繰出容器によれば、軸本体の収容部内壁に摺接するピストンに、後端部の外周に突部を、かつ内周に雌ネジ部を有する筒状部が一体形成し、前記回転体の前記操作部から前方に延びた前部外周面には、前記筒状部の雌ネジ部に螺合する雄ネジ部を形成しており、前記軸本体に、先方部に収容部空間が形成され、後方部に前記筒状部の外周の突部が係合する溝部が軸方向に沿って形成したものである。
【0015】
したがって、本発明の液状物繰出容器では、回転体の操作部を軸本体と相対回転することにより、回転体の前部外周面の雄ネジ部が、ピストンの筒状部の内周の雌ネジ部をネジ送りして収容部内でピストンを前進させ、該内容物を軸本体先方に向けて繰出すことができる。よって、収容部一体の軸筒と、雌ネジの形成された筒状部一体のピストンと、雄ネジの形成された前部および操作部が一体の回転体という少ない部品構成で液状物繰出容器を構成でき、かつ、軸本体内で筒状部を収容してその筒状部内の雌ネジに回転体の前部の雄ネジを螺合させて繰出し操作をするため、軸本体が強度部品となって螺合を確実に保持できる。このため、回転繰出容器に求められる品質を維持しながら部品点数を削減し、簡単な方法で組立可能とすることで、現製品と使用感を変えること無くコストを抑えた液状物繰出容器を提供できる。
【0016】
なお、本発明においては、回転体には径方向外側に向けて弾性的に付勢される突起部が形成され、軸本体内周部には、凹凸部が複数形成されており、前記回転体の雄ネジ部をピストンの筒状部内の雌ネジに螺合させた状態で前記突起部が前記凹凸部に係合して、該回転体を軸本体と相対回転させたときに前記突起部が凹凸部に係合離脱する構成にできる。このような構成により、前記突起部が凹凸部に係合させた状態で、該回転体を軸本体と相対回転させたときに前記突起部が凹凸部に係合離脱するので、前記回転体を操作時にクリック感を伴って回転させることができ、液状物の繰出量の把握がし易く、かつ、回転体の回転方向への位置決め固定が簡単にできるので、不用意に液状物を繰出すことがない。
【0017】
また、本発明において、前記回転体の前部外周面と、前記軸本体内周面には、互いに対向する箇所に前記回転体および軸本体の互いの軸方向への相対移動を規制しかつ回転方向へは相対回転を可能にする嵌合部がそれぞれ形成することができる。このような構成により、回転体を軸本体に対して抜け止めを確実にできる。
【0018】
また、本発明において、前記ピストンの筒状部には後方開きのスリットが軸方向に沿って形成されており、回転体の雄ネジ部を筒状部に組付けるときに弾性変形によってスリットから筒状部が開いて、雌ネジ部に雄ネジ部を螺着することなく装着可能にできる。この構成により、ピストンの筒状部に回転体を組付けるときに、回転体を回転させることなく、回転体を筒状部に押し込むことにより雌ネジ部に雄ネジ部を嵌め込むことができ、押し込み操作のみで回転操作を不要にして組付けできるため、非常に簡単かつ正確に組付け工程を行うことができるようになる。
【0019】
また、本発明において、前記回転体は、操作部から前部にわたって中空筒状に形成され、突起部は中空筒状の前記回転体の壁部に片持ち梁状に形成されたものであって、弾性変形する際の揺動支点付近が薄肉に、揺動腕部の外面が前記回転体の壁部よりも外方向に突出して厚肉に形成されているものにできる。この構成により、突起部は、弾性変形する際の揺動支点付近が薄肉に、揺動腕部の外面が前記回転体の壁部よりも外方向に突出して厚肉に形成されているので、回転体を逆回転させると、突起部が凹凸部に係止して押し返される力が生じるが、揺動腕部の外周面が凹凸部内周面に当接してその押し返される力を支えるので、揺動腕部が変形することを防止して逆回転を確実に防止できる等の優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】(a)、(b)は、本発明の実施形態に係る液状繰出容器の全体外観図、全体縦断面図である。
【図2】(a)、(b)、(c)は、図1の液状繰出容器の軸本体に、ピストン、および回転体を組付けた状態を説明する外観図、縦断面図、後方視図である。
【図3】図1の液状繰出容器の軸本体を説明する図であり、(a)は(c)のA−A線断面図、(b)は(c)のB−B線断面図、(c)は外観側面図、(d)は縦断面図である。
【図4】図1の液状繰出容器のピストンを説明する図であり、(a)は前方側視の斜視図、(b)は後方側視の斜視図、(c)は外観図、(d)はスリット側から見た外観図、(e)は縦断面図、(f)は後方側からの軸方向視図である。
【図5】図1の液状繰出容器の回転体を説明する図であり、(a)は縦断面図、(b)は後方側視の斜視図、(c)は突起部側から見た外観図、(d)はC−C線の断面図、(e)は突起部を上方に位置させた外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0022】
図1〜図5は本発明の実施形態に係る液状物繰出容器の説明図であって、図中、同一の符号を付した部分は同一物を表わす。
【0023】
図1、図2に示すように、実施形態の液状繰出容器は、軸本体10に設けた収容部12内に液状の内容物14を収容し、軸本体10の後端部10bから露出した回転体16の操作部16aを軸本体10と相対回転することにより収容部12内でピストン18を前進させて、該内容物14を軸本体10先方に向けて繰出す液状物繰出容器であって、軸本体10、回転体16およびピストン18の3部品から構成されている。実施形態に係る液状物繰出容器では、図1に示すように、その液状物繰出容器の先方部に塗布体20を設けた塗布具を構成している。
【0024】
前記塗布具は、図1に示すように、軸本体10の先端部10aにシールボール受け22、パイプ継手24、パイプ26、先軸28、塗布体20が取付けられ、収容部12からの繰出された内容物14は、パイプ26を通り塗布体20先端に吐出されるようになっている。
【0025】
軸本体10の先端部10aは中央部よりも段状に細い径になっていて、先端部10a内部に筒状のシールボール受け22が嵌入している。このシールボール受け22の後部にシールボール30が嵌入し、また前部にパイプ継手24が装着されている。パイプ継手24には前方にパイプ26が装着されており、このパイプ26が筆穂からなる塗布体20にその後部から差し込まれている。パイプ継手24、パイプ26の中空連通路は塗布体20に連通し、シールボール30がシールボール受け22に嵌入した状態では、シールボール30によって上記中空連通路は収容部12との連通が閉鎖されている。シールボール受け22には図示しないシールボール30の係止構造が設けられ、使用開始時にその係止構造を外すことによってシールボール30を収容部12内に落とし込んで液状の内容物14がパイプ継手24およびパイプ26を介して塗布体20に供給されるようにしている。
【0026】
先軸28は、前記塗布体20の後部からパイプ26、パイプ継手24およびシールボール受け22周囲を覆って、先端テーパー状に縮径する先軸28が前記軸本体10の先端部10aに嵌着されている。先軸28の内周面と軸本体10の先端部10aの外周面には、緊密に嵌合し抜け止めが形成されている(図1、図2参照)。
【0027】
また、塗布具の使用後には、インナーキャップ32a、インナーキャップスプリング32bを備えたキャップ32を装着できるように形成されている。キャップ32使用時には、先軸28を覆ってキャップ32を装着し、インナーキャップ32aはインナーキャップスプリング32bの付勢力によって先軸28および塗布体20周囲を覆って塗布体20の気密性を保持して乾燥を防止するものになっている。
【0028】
さらに、塗布具の未使用時には、シールボール30がシールボール受け22に嵌合しており、使用開始時にシールボール30を収容部12内に落とし込んで、収容部12とパイプ26とを流通状態とする、収容部12内に撹拌ボール34が配され、液状物繰出容器を上下に振ることで内容物14の撹拌を行うようになっている。
【0029】
ここで、図4に示すように、上記ピストン18は、その前部の外周に2条周方向に沿って形成されたシール部18aが軸本体10の収容部12内壁に摺接すると共に、後端部の外周に径方向外側に突出するリブ状突起からなる一対の突部36を、かつ内周に雌ネジ部38を有する筒状部18bが形成されている。上記ピストン18の筒状部18bの後部は中央部よりも外径が大径であって上記シール部18aの外径よりやや小径に形成され、外周面に突部36がその後部の後端まで形成されている。突部36の突出高さがシール部18a外径よりも高く形成されている。また、筒状部18bの後部は長く形成され、突部36の高さもあるので、組み立て時の作業性を向上できる。また、雌ネジ部38の形成箇所は、後部の段状に大径になる箇所に近い部分の内周である。
【0030】
前記回転体16の前記操作部16aから前方に延びた前部外周面には、前記筒状部18bの雌ネジ部38に螺合する雄ネジ部40が形成されている。
【0031】
前記軸本体10には、先方部に収容部12の空間が形成され、後方部に前記筒状部18bの外周の突部36が係合する溝部42が軸方向に沿って形成されている。
【0032】
前記回転体16には径方向外側に向けて弾性的に付勢される突起部44が形成され、軸本体10の後端部10bの内周部には、凹凸部46として矩形状の凹形状および凸形状が交互に複数形成されている(図3(a)、(d)参照)。前記回転体16の雄ネジ部40をピストン18の筒状部18b内の雌ネジに螺合させた状態で前記突起部44が前記凹凸部46に係合して、該回転体16を軸本体10と相対回転させたときに前記突起部44が凹凸部46に係合離脱するようにしたものである。
【0033】
突起部44は、図5に示すように、弾性変形する際の揺動支点付近が薄肉に形成され、その支点から先の揺動腕部44aの外面がその周囲に隣接する前記回転体16の外周壁部の壁面よりも外方向に突出して厚肉に形成されている。
【0034】
また、前記軸本体10内周面と前記回転体16の操作部16a前方外周面には、互いに対向する箇所に前記回転体16および軸本体10の互いの軸方向への相対移動を規制しかつ回転方向へは相対回転を可能にする凹部や環状の凸部が互いに複数形成された嵌合部48、50がそれぞれ形成されたものである(図3、図5参照)。具体的には、図3に示すように、軸本体10後端部内周の嵌合部48、48は、前記凹凸部46を挟んで前後に凹状溝として形成されている。これらの嵌合部48、48および凹凸部46は軸本体10の後端部10b端面に隣接して形成しており、前記回転体16を装着し易くして組み立て性を向上させている。また、図5に示すように、前記回転体16において、環状の凸部構造に形成された嵌合部50、50は、上記突起部44の形成箇所を挟んで前後に形成したものであるので、装着時等に突起部44が他の部材に当たりにくくして突起部44の不具合を未然に防止可能にしている。また、軸本体10の嵌合部48、48の内径(前記嵌合部50、50の外径に近似する)は、前記ピストン18のシール部18aおよび筒状部18bの外径よりも大径に形成されていて、組付け時にシール部18aが通過してもシール部18aに干渉せずにスムーズに通して、シール部18aのシール性を確保できる。
【0035】
また、前記ピストン18の筒状部18bには後方開きのスリット52が軸方向に沿って切り込まれるように形成されており、回転体16の雄ネジ部40を前記筒状部18bに組付けるときに弾性変形によってスリット52から筒状部18bが開いて、雌ネジ部38に雄ネジ部40を螺着することなく装着可能にしたものである。
【0036】
また、前記回転体16は、図5に示すように、操作部16aの前部にわたって中空筒状に形成され、突起部44は中空筒状の前記回転体16の壁部に片持ち梁状に形成されたものであって、弾性変形する際の揺動支点付近が薄肉に、揺動腕部44aの外面が前記回転体16の壁部よりも外方向に突出して形成されている(特に図5(d)参照)。なお、軸筒10、ピストン18、回転体16はポリエチレン、ポリプロピレン等の樹脂を選択できるが、回転体16は強度を確保するために、ABS、PBT、ポリカーボネイト、POMなどの樹脂を選択するのが好ましい。
【0037】
実施形態に係る液状物繰出容器の作用を説明する。
【0038】
実施形態に係る液状物繰出容器によれば、回転体16の操作部16aを軸本体10と相対回転することにより、回転体16の前部外周面の雄ネジ部40が、ピストン18の筒状部18bの内周の雌ネジ部38をネジ送りして収容部12内でピストン18を前進させ、該内容物14を軸本体10先方に向けて繰出すことができる。
【0039】
よって、収容部12一体の軸筒と、雌ネジの形成された筒状部18b一体のピストン18と、雄ネジの形成された前部および操作部16aが一体の回転体16という少ない部品構成で液状物繰出容器を構成でき、かつ、軸本体10内で筒状部18bを収容してその筒状部18b内の雌ネジに回転体16の前部の雄ネジを螺合させて繰出し操作をするため、軸本体10が強度部品となって螺合を確実に保持できる。
【0040】
このため、回転繰出容器に求められる品質を維持しながら部品点数を削減し、簡単な方法で組立可能とすることで、現製品と使用感を変えること無くコストを抑えた液状物繰出容器を提供できる。
【0041】
また、上記液状物繰出容器によれば、回転体16には径方向外側に向けて弾性的に付勢される突起部44が形成され、軸本体10内周部には、凹凸部46が複数形成されており、前記回転体16の雄ネジ部40をピストン18の筒状部18b内の雌ネジに螺合させた状態で前記突起部44が前記凹凸部46に係合して、該回転体16を軸本体10と相対回転させたときに前記突起部44が凹凸部46に係合離脱する構成している。このような構成により、前記突起部44が凹凸部46に係合させた状態で、該回転体16を軸本体10と相対回転させたときに前記突起部44が凹凸部46に係合離脱するので、前記回転体16を操作時にクリック感を伴って回転させることができ、液状物の繰出量の把握がし易く、かつ、回転体16の回転方向への位置決め固定が簡単にできるので、不用意に液状物を繰出すことがない。
【0042】
また、前記回転体16の前部外周面と、前記軸本体10内周面には、互いに対向する箇所に前記回転体16および軸本体10の互いの軸方向への相対移動を規制しかつ回転方向へは相対回転を可能にする嵌合部48、50をそれぞれ形成しているので、回転体16を軸本体10に対して抜け止めを確実にできる。
【0043】
また、前記ピストン18の筒状部18bには後方開きのスリット52が軸方向に沿って形成されており、回転体16の雄ネジ部40を筒状部18bに組付けるときに弾性変形によってスリット52から筒状部18bが開いて、雌ネジ部38に雄ネジ部40を螺着することなく装着可能にできる。この構成により、ピストン18の筒状部18bに回転体16を組付けるときに、回転体16を回転させることなく、回転体16を筒状部18bに押し込むことにより雌ネジ部38に雄ネジ部40を嵌め込むことができ、押し込み操作のみで回転操作を不要にして組付けできるため、非常に簡単かつ正確に組付け工程を行うことができるようになる。
【0044】
また、前記回転体16は、操作部16aから前部にわたって中空筒状に形成されている。回転体16は、操作部16aは成形時のひけなどを防止するため、図5に示すように中空にして、操作部16aでも二重に中空にした部分(肉盗み部分)54を設けている。
【0045】
また、突起部44は中空筒状の前記回転体16の壁部に片持ち梁状に形成されているので、操作部16aを手指によって摘んで回転体16を回転操作すると、突起部44が弾性変形して内径側に倒れ込んで凹凸部46の凸部を乗り越えて凹部に嵌り込んでクリック感を与える。
【0046】
また、突起部44は、弾性変形する際の揺動支点付近が薄肉に形成され、その支点から先の揺動腕部44aの外面が前記回転体16の壁部よりも外方向に突出して厚肉に形成されているので、回転体16を逆回転させると、突起部44が凹凸部46に係止した押し返される力が生じるが、揺動腕部44aの外周面が凹凸部46内周面に当接してその押し返される力を支えるので、揺動腕部44aが変形することを防止して逆回転を確実に防止できる。
【符号の説明】
【0047】
10 軸本体
10a 先端部
10b 後端部
12 収容部
14 内容物
16 回転体
16a 回転体の操作部
18 ピストン
18a ピストンのシール部
18b ピストンの筒状部
20 塗布体
24 パイプ継手
26 パイプ
28 先軸
30 シールボール
32 キャップ
32a インナーキャップ
32b インナーキャップスプリング
34 撹拌ボール
36 筒状部外周の突部
38 雌ネジ部
40 雄ネジ部
42 溝部
44 回転体の突起部
44a 突起部の揺動腕部
46 軸本体内周の凹凸部
48、50 軸本体、回転体の嵌合部
52 筒状部のスリット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸本体に設けた収容部内に液状の内容物を収容し、軸本体後端部から露出した回転体の操作部を軸本体と相対回転することにより収容部内でピストンを前進させて、該内容物を軸本体先方に向けて繰出す液状物繰出容器において、
ピストンは、その前部のシール部が軸本体の収容部内壁に摺接すると共に、後部の外周に突部を、かつ内周に雌ネジ部を有する筒状部が形成され、
前記回転体の前記操作部から前方に延びた前部外周面には、前記筒状部の雌ネジ部に螺合する雄ネジ部が形成されており、
前記軸本体には、先方部に収容部空間が形成され、後方部に前記筒状部の外周の突部が係合する溝部が軸方向に沿って形成されたことを特徴とする液状物繰出容器。
【請求項2】
前記回転体には径方向外側に向けて弾性的に付勢される突起部が形成され、軸本体内周部には、凹凸部が複数形成されており、前記回転体の雄ネジ部をピストンの筒状部内の雌ネジに螺合させた状態で前記突起部が前記凹凸部に係合して、該回転体を軸本体と相対回転させたときに前記突起部が凹凸部に係合離脱するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の液状物繰出容器。
【請求項3】
前記回転体の前部外周面と、前記軸本体内周面には、互いに対向する箇所に前記回転体および軸本体の互いの軸方向への相対移動を規制しかつ回転方向へは相対回転を可能にする嵌合部がそれぞれ形成されたことを特徴とする請求項2に記載の液状物繰出容器。
【請求項4】
前記ピストンの筒状部には後方開きのスリットが軸方向に沿って形成されており、回転体の雄ネジ部を筒状部に組付けるときに弾性変形によってスリットから筒状部が開いて、雌ネジ部に雄ネジ部を螺着することなく装着可能にしたことを特徴とする請求項1から3のうちの1項に記載の液状物繰出容器。
【請求項5】
前記回転体は、操作部から前部にわたって中空筒状に形成され、突起部は中空筒状の前記回転体の壁部に片持ち梁状に形成されたものであって、弾性変形する際の揺動支点付近が薄肉に、揺動腕部の外面が前記回転体の壁部よりも外方向に突出して厚肉に形成されていることを特徴とする請求項1から4のうちの1項に記載の液状物繰出容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−227553(P2010−227553A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−45475(P2010−45475)
【出願日】平成22年3月2日(2010.3.2)
【出願人】(000005957)三菱鉛筆株式会社 (692)
【Fターム(参考)】