説明

液状硬化性樹脂組成物

【課題】樹脂液の保存安定性が良好であり、かつセカンダリ材として好適な硬度(ヤング率)を有する液状硬化性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】
(A1)下記式(1)で表される構造を有するウレタン(メタ)アクリレート、
H−I−POL1−I−H (1)
[上記式中、Hはそれぞれ独立に水酸基含有(メタ)アクリレートであり、Iはポリイソシアネートであり、POL1は数平均分子量500〜4,000の脂肪族系ポリエーテルポリオールである。]
(A2)下記式(2)で表されるウレタン(メタ)アクリレート、
H−I−H (2)
[上記式中、2個のHは同一の水酸基含有(メタ)アクリレートであり、Iはポリイソシアネートである。]
(A3)下記式(3)で表されるウレタン(メタ)アクリレート、
1−I−H2 (3)
[上記式中、H1およびH2は、互いに異なる水酸基含有(メタ)アクリレートであり、Iはポリイソシアネートである。]
(B)下記式(5)で表されるアルキル(メタ)アクリレート、
CH2=C(R1)COO−(CH2n−CH(CH32 (5)
(R1は水素原子又はメチル基を示し、nは4〜8の整数を示す)
及び
(C)重合開始剤
を含有する光ファイバのセカンダリ材用液状硬化性樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、応力緩和速度が速く、十分なヤング率を示す硬化物を与える液状硬化性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバは、ガラスを熱溶融紡糸して得たガラスファイバ素線に、保護補強を目的として樹脂を被覆して製造されている。この樹脂被覆としては、光ファイバの表面にまず柔軟な第一次の被覆層(以下、「第一次被覆層」ともいう。)を設け、その外側に剛性の高い第二次の被覆層(以下、「第二次被覆層」ともいう。)を設けた構造が知られている。これらの樹脂被覆を施された複数の光ファイバ素線を結束材料で固めたテープ状光ファイバや光ファイバケーブルもよく知られている。光ファイバ素線の第一次の被覆層を形成するための樹脂組成物をプライマリ材、第二次の被覆層を形成するための樹脂組成物をセカンダリ材、複数の光ファイバ素線の結束材料として用いられる樹脂組成物をバンドリング材と称している。また、複数のテープ状光ファイバや光ファイバケーブルをさらに結束材料でまとめる場合もあり、このとき用いられる結束材料もバンドリング材と称している。これらの樹脂被覆方法としては、液状硬化性樹脂組成物を塗布し、熱または光、特に紫外線により硬化させる方法が広く用いられている。
【0003】
このような光ファイバにおいては、多心光ファイバケーブル実現等のため、細径化ないし被覆の薄肉化が求められているが、光ファイバ強度を劣化させずに、これらを実現するのは困難であった。光伝送特性及び機会特性を維持しつつ、被覆を薄肉化した被覆光ファイバとして、特定の応力緩和時間を有するもの(特許文献1)や、特定のラジカル硬化性化合物を用いた、応力緩和性に優れた硬化物を与える放射線硬化型組成物(特許文献2)等が提案されている。
【0004】
しかしながら、これらの硬化物等では、応力緩和時間を十分短くすることができず、被覆の肉薄化等の問題を解決することはできなかった。また、直鎖状アルキル基を有するアクリレートモノマーを採用することにより高速塗布性に優れた光ファイバのセカンダリ材用液状硬化性樹脂組成物も知られている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−5877号公報
【特許文献2】特開平2001−31731号公報
【特許文献3】特開平2005−255955号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、直鎖状アルキル基を有するアクリレートモノマーを採用したセカンダリ材の場合、同モノマーの構造上の理由から組成物中での結晶性が高いため、特に組成物を低温環境下に置いた場合に樹脂液の保存安定性を低下させる場合があった。
従って、本発明の目的は、樹脂液の保存安定性、特に低温環境下における保存安定性が良好であり、かつセカンダリ材として好適な硬度(ヤング率)を有する液状硬化性樹脂組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、前記特性を有する組成物を得るべく種々検討した結果、特定構造のウレタン(メタ)アクリレートの混合物と、特定の分岐構造を有するアクリレートモノマーを組み合わせることにより、これらの課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明は、次の成分(A1)、(A2)、(A3)、(B)及び(C):
(A1)下記式(1)で表される構造を有するウレタン(メタ)アクリレート、
H−I−POL1−I−H (1)
[上記式中、Hはそれぞれ独立に水酸基含有(メタ)アクリレートであり、Iはポリイソシアネートであり、POL1は数平均分子量500〜4,000の脂肪族系ポリエーテルポリオールである。]
(A2)下記式(2)で表されるウレタン(メタ)アクリレート、
H−I−H (2)
[上記式中、2個のHは同一の水酸基含有(メタ)アクリレートであり、Iはポリイソシアネートである。]
(A3)下記式(3)で表されるウレタン(メタ)アクリレート、
1−I−H2 (3)
[上記式中、H1およびH2は、互いに異なる水酸基含有(メタ)アクリレートであり、Iはポリイソシアネートである。]
(B)下記式(5)で表されるアルキル(メタ)アクリレート、
CH2=C(R1)COO−(CH2n−CH(CH32 (5)
(R1は水素原子又はメチル基を示し、nは4〜8の整数を示す)
(C)重合開始剤
を含有する光ファイバのセカンダリ材用液状硬化性樹脂組成物、並びにこれを硬化して得られる光ファイバの第二次被覆層を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の液状硬化性樹脂組成物は、保存安定性、特に組成物を低温環境下に置いた場合に樹脂液の保存安定性が良好であり、高速塗布性に好適な組成物粘度を有している。また、セカンダリ材として好適な硬度(ヤング率)を有している。従って、本発明の組成物は、光ファイバ被覆材、特にセカンダリ材として有用である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の液状硬化性樹脂組成物について、詳細に説明する。
本発明の液状硬化性樹脂組成物に用いられる成分(A)の重合性オリゴマーであるウレタン(メタ)アクリレートは、下記(A1)、(A2)および(A3)成分を含有する混合物であり、さらに(A4)成分を含有することもできる。
本発明で用いる成分(A)のウレタン(メタ)アクリレートは、ポリオール化合物とジイソシアネート化合物と水酸基含有(メタ)アクリレートから、あるいはジイソシアネート化合物と水酸基含有(メタ)アクリレートとから合成される。すなわち、ジイソシアネートのイソシアネート基を、ポリオール化合物の水酸基及び/又は水酸基含有(メタ)アクリレートの水酸基と反応させることにより製造される。
【0011】
成分(A1)であるウレタン(メタ)アクリレートは、下記式(1)で表される構造を有している。
H−I−POL1−I−H (1)
[上記式中、Hはそれぞれ独立に水酸基含有(メタ)アクリレートであり、Iはポリイソシアネートであり、POL1は数平均分子量500〜4,000の脂肪族系ポリエーテルポリオールである。]
成分(A1)は、数平均分子量500〜4,000の脂肪族系ポリエーテルポリオールとポリイソシアネートと水酸基含有(メタ)アクリレートとを反応させて得ることができる。
【0012】
成分(A1)に用いられる脂肪族系ポリエーテルポリオールの数平均分子量は、500〜2,000が好ましく、700〜1,500がさらに好ましい。一般に、脂肪族系ポリエーテルポリオールは柔軟な構造を有しているため、その分子量が大きくなると硬化物のヤング率は低下し、分子量が小さくなると硬化物のヤング率は上昇する。よって、上記分子量範囲とすることにより、セカンダリ材として好適なヤング率を得ることができる。なお、ここで、脂肪族系ポリエーテルポリオールの分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により測定されるポリスチレン換算数平均分子量である。
【0013】
成分(A2)であるウレタン(メタ)アクリレートは、下記式(2)で表される構造を有している。
H−I−H (2)
[上記式中、2個のHは同一の水酸基含有(メタ)アクリレートであり、Iはポリイソシアネートである。]
成分(A2)は、1種類の水酸基含有(メタ)アクリレート2モルとジイソシアネート(2価のポリイソシアネート)1モルを反応させて得ることができる。
成分(A2)のウレタン(メタ)アクリレートは、ポリオール由来の構造単位を有しないために、成分(A1)に較べて剛直な構造を有している。このため、(A1)成分に加えて(A2)成分を含有することにより、セカンダリ材として好適なヤング率を得ることができる。
【0014】
成分(A3)であるウレタン(メタ)アクリレートは、下記式(3)で表される構造を有している。
1−I−H2 (3)
[上記式中、H1およびH2は、互いに異なる水酸基含有(メタ)アクリレートであり、Iはポリイソシアネートである。]
成分(A3)は、2種類の異なる水酸基含有(メタ)アクリレートとジイソシアネート1モルをそれぞれ等モルで反応させることにより得ることができる。
成分(A3)は、(A2)と同様に剛直な構造を有するウレタン(メタ)アクリレートであることに加え、2種類の異なる水酸基含有(メタ)アクリレートに由来する構造を有しているため、組成物中での結晶性が低く、組成物の保存安定性を良好にすることができる。
【0015】
さらに、成分(A)として、成分(A4)のウレタン(メタ)アクリレートを配合することができる。成分(A3)であるウレタン(メタ)アクリレートは、下記式(4)で表される構造を有している。
H−I−POL2−I−H (4)
[上記式中、Hはそれぞれ独立に水酸基含有(メタ)アクリレートであり、Iはポリイソシアネートであり、POL2は数平均分子量4,000を越えて12,000以下の脂肪族系ポリエーテルポリオールである。]
成分(A4)は、数平均分子量4,000を越えて12,000以下の脂肪族系ポリエーテルポリオールとポリイソシアネートと水酸基含有(メタ)アクリレートとを反応させて得ることができる。
【0016】
成分(A4)に用いられる脂肪族系ポリエーテルポリオールの数平均分子量は、6,000〜10,000が好ましく、8,000〜10,000がさらに好ましい。成分(A1)に較べて分子量が大きい脂肪族系ポリエーテルポリオール由来の構造単位を有するウレタン(メタ)アクリレートを配合することにより、硬化物である第二次被覆層の表面性を改良し、ボビン等への光ファイバの巻きむら等を改良することができる。
【0017】
ウレタン(メタ)アクリレート(A1)、(A2)、(A3)、(A4)の製造に用いられるジイソシアネート化合物としては、芳香族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート等が挙げられる。芳香族ジイソシアネートとして、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチルフェニレンジイソシアネート、4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、ビス(2−イソシアネートエチル)フマレート、6−イソプロピル−1,3−フェニルジイソシアネート、4−ジフェニルプロパンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。脂環族ジイソシアネートとして、例えば、イソフォロンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、2,5−ビス(イソシアネートメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,6−ビス(イソシアネートメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン等が挙げられる。脂肪族ジイソシアネートとして、例えば、1,6−ヘキサンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等が挙げられる。これらのうち、2,4−トリレンジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネートが特に好ましい。
これらのジイソシアネート化合物は、単独で用いても、2種以上併用しても良い。
【0018】
ウレタン(メタ)アクリレート(A1)、(A2)、(A3)、(A4)の製造に用いられる水酸基含有(メタ)アクリレート化合物としては、水酸基が第一級炭素原子に結合した水酸基含有(メタ)アクリレート(第一水酸基含有(メタ)アクリレートという)、水酸基が第二級炭素原子に結合した水酸基含有(メタ)アクリレート(第二水酸基含有(メタ)アクリレートという)を用いることが好ましい。水酸基が第三級炭素原子に結合した水酸基含有(メタ)アクリレート(第三水酸基含有(メタ)アクリレートという)はイソシアネート基との反応性に劣るため好ましくない。
【0019】
第一水酸基含有(メタ)アクリレートとして、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0020】
第二水酸基含有(メタ)アクリレートとして、例えば、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられ、また、アルキルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート等のグリシジル基含有化合物と、(メタ)アクリル酸との付加反応により得られる化合物も挙げられる。
【0021】
ウレタン(メタ)アクリレート(A1)、(A2)、(A3)、(A4)の製造に用いられる脂肪族ポリエーテルポリオールとしては、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコール、ポリヘプタメチレングリコール、ポリデカメチレングリコールおよび二種以上のイオン重合性環状化合物を開環共重合させて得られるポリエーテルジオールなどが挙げられる。
【0022】
上記イオン重合性環状化合物としては、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブテン−1−オキシド、イソブテンオキシド、3,3−ビスクロロメチルオキセタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、3−メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、トリオキサン、テトラオキサン、シクロヘキセンオキシド、スチレンオキシド、エピクロルヒドリン、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、アリルグリシジルカーボネート、ブタジエンモノオキシド、イソプレンモノオキシド、ビニルオキセタン、ビニルテトラヒドロフラン、ビニルシクロヘキセンオキシド、フェニルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、安息香酸グリシジルエステルなどの環状エーテル類が挙げられる。
【0023】
二種以上の上記イオン重合性環状化合物を開環共重合させて得られるポリエーテルジオールの具体例としては、例えばテトラヒドロフランとプロピレンオキシド、テトラヒドロフランと2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフランと3−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフランとエチレンオキシド、プロピレンオキシドとエチレンオキシド、ブテン−1−オキシドとエチレンオキシドなどの組み合わせより得られる二元共重合体;テトラヒドロフラン、ブテン−1−オキシドおよびエチレンオキシドの組み合わせより得られる三元重合体などを挙げることができる。
【0024】
上記脂肪族ポリエーテルジオールは、例えばPTMG650、PTMG1000、PTMG2000(以上、三菱化学社製)、PPG400、PPG1000、PPG2000、PPG3000、EXCENOL720、1020、2020(以上、旭硝子ウレタン社製)、PEG1000、ユニセーフDC1100、DC1800(以上、日本油脂社製)、PPTG2000、PPTG1000、PTG400、PTGL2000(以上、保土谷化学工業社製)、Z−3001−4、Z−3001−5、PBG2000A、PBG2000B、EO/BO4000、EO/BO3000、EO/BO2000、EO/BO1000、EO/BO500(以上、第一工業製薬社製)などの市販品としても入手することができる。
【0025】
ウレタン(メタ)アクリレート(A)の製造においては、ナフテン酸銅、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸亜鉛、ジブチル錫ジラウレート、トリエチルアミン、1,4−ジアザビシクロ〔2.2.2〕オクタン、2,6,7−トリメチル−1,4−ジアザビシクロ〔2.2.2〕オクタン等から選ばれるウレタン化触媒を、反応物の総量に対して0.01〜1質量%を用いるのが好ましい。また、反応温度は、通常5〜90℃、特に10〜80℃で行うのが好ましい。
【0026】
本発明で用いるウレタン(メタ)アクリレート(A)の好ましい分子量は、ゲルパーミュレーションクロマトグラフ法によるポリスチレン換算の分子量で通常500〜20,000であり、より好ましくは700〜15,000である。分子量が500未満ではその硬化物の破断伸びが低いことがあり、20,000を超えると粘度が高くなることがあり好ましくない。
【0027】
ウレタン(メタ)アクリレート(A)は、1種又は2種以上を組合わせて用いることができ、特に、ポリオール化合物とジイソシアネート化合物と水酸基含有(メタ)アクリレートとから製造されるウレタン(メタ)アクリレート(A1)と、ジイソシアネート化合物と水酸基含有(メタ)アクリレートとから製造されるウレタン(メタ)アクリレート(A2)を組合わせて用いるのが好ましい。
【0028】
ウレタン(メタ)アクリレート(A)は、本発明の液状硬化性樹脂組成物全量100質量%に対して、30〜90質量%、さらに55〜87質量%、特に65〜85質量%配合することが好ましい。30質量%未満では弾性率の温度依存性が大きく、90質量%以上では液状硬化性樹脂組成物の粘度が高くなることがある。
【0029】
ウレタン(メタ)アクリレート(A1)、(A2)、(A3)、(A4)は、それぞれ成分(A)の全量100質量%に対して、成分(A1)が20〜60質量%、成分(A2)が20〜40質量%、成分(A3)が10〜40質量%、成分(A4)が0〜5質量%であることが好ましく、成分(A1)が30〜50質量%、成分(A2)が25〜35質量%、成分(A3)が20〜30質量%、成分(A4)が0.1〜3質量%であることがさらに好ましい。
【0030】
本発明の組成物に用いられる成分(B)は、下記式(5)で表されるアルキル(メタ)アクリレートである。
CH2=C(R1)COO−(CH2n−CH(CH32 (5)
(R1は水素原子又はメチル基を示し、nは4〜8の整数を示す)
成分(B)は、(メタ)アクリロイル基に結合した炭化水素基が分岐構造を有しているため、分岐構造を有していない(メタ)アクリレートモノマーと比較して組成物中で結晶化しにくく、このため組成物の保存安定性、特に低温条件下における保存安定性が改善される効果を有している。
【0031】
成分(B)の具体例としては、例えばイソヘキシル(メタ)アクリレート、イソヘプチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらのうち、工業上の利用可能性の点から、イソノニル(メタ)アクリレートが特に好ましい。
【0032】
成分(B)の(メタ)アクリレート化合物は、本発明の液状硬化性樹脂組成物全量100質量%に対して、8〜60質量%、特に10〜30質量%配合することが好ましい。8質量%未満では粘度が高くなり、硬化物の力学特性の向上の効果が少なく、60質量%を超えると揮発性が高くなるため好ましくない。また、成分(B)が、組成物中に含まれるエチレン性不飽和結合を1個有する化合物(ただし、ウレタン(メタ)アクリレートを除く)の全量100質量%に対して、50質量%以上含まれることが好ましく、60〜80質量%含まれることがさらに好ましい。
【0033】
本発明で用いる成分(C)の重合開始剤としては、熱重合開始剤又は光重合開始剤を用いることができる。
本発明の樹脂組成物を熱硬化させる場合には、通常、過酸化物、アゾ化合物等の熱重合開始剤が用いることができる。具体的には、例えばベンゾイルパーオキサイド、t−ブチル−オキシベンゾエート、アゾビスイソブチロニトリル等が挙げられる。
【0034】
また、本発明の樹脂組成物を光硬化させる場合には、光重合開始剤を用い、必要に応じて、さらに光増感剤を添加することができる。ここで、光重合開始剤としては、例えば1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、キサントン、フルオレノン、ベンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォフフィンオキシド;市販品として、IRGACURE184、369、651、500、907、CGI1700、CGI1750、CGI1850、CG24−61、DAROCUR1116、1173(以上、チバスペシャルティケミカルズ社製)、LUCIRIN LR8728(BASF社製)、ユベクリルP36(UCB社製)等が挙げられる。また、光増感剤としては、例えばトリエチルアミン、ジエチルアミン、N−メチルジエタノールアミン、エタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル;市販品として、ユベクリルP102、103、104、105(以上、UCB社製)等が挙げられる。
【0035】
重合開始剤(C)は、本発明の液状硬化性樹脂組成物全量100質量%に対して、0.1〜10質量%、特に0.3〜7質量%配合するのが好ましい。
【0036】
本発明の組成物には、成分(A)、(B)以外の、エチレン性不飽和基を1個有する化合物(成分(D))やエチレン性不飽和基を2個以上有する化合物(成分(E))を配合することができる。
このような成分(D)の具体例としては、例えばN−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム等のビニル基含有ラクタム、イソボルニル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の脂環式構造含有(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、4−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン、ビニルイミダゾール、ビニルピリジン等が挙げられる。さらに、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、t−オクチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、7−アミノ−3,7−ジメチルオクチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシブチルビニルエーテル、ラウリルビニルエーテル、セチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、ビニルオキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、ビニルオキシエチル(メタ)アクリレートを挙げることができる。これらの(D)成分の中では、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム等のビニル基含有ラクタムが硬化速度の向上の観点から好ましい。
【0037】
また、上記の重合性不飽和単量体の単官能性化合物の市販品として、アロニックスM−111、M−113、M−114、M−117(以上、東亞合成社製);KAYARAD、TC110S、R629、R644(以上、日本化薬社製);IBXA、ビスコート3700(大阪有機化学工業社製)等が挙げられる。
【0038】
成分(D)は、本発明の液状硬化性樹脂組成物全量100質量%に対して、0.1〜20質量%、特に1〜15質量%配合するのが好ましい。
【0039】
また、成分(E)としては、例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリオキシエチル(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドの付加体のジオールのジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールAのエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドの付加体のジオールのジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルに(メタ)アクリレートを付加させたエポキシ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジビニルエーテル等が挙げられる。また、市販品としては、例えばユピマーUV SA1002、SA2007(以上、三菱化学社製);ビスコート700(大阪有機化学工業社製);KAYARAD R−604、DPCA−20、−30、−60、−120、HX−620、D−310、D−330(以上、日本化薬社製);アロニックスM−210、M−215、M−315、M−325(以上、東亞合成社製)等が挙げられる。
【0040】
成分(E)は、硬化物中の架橋密度を高くする効果を有するため、プライマリ材に較べて硬い被覆層を形成するセカンダリ材として好適なヤング率を得るために好適である。このため、成分(E)の配合量は、本発明の液状硬化性樹脂組成物全量100質量%に対して、0.5〜10質量%、特に1〜5質量%にするのが好ましい。
【0041】
また、本発明の液状硬化性樹脂組成物には、上記成分以外に各種添加剤、例えば酸化防止剤、着色剤、紫外線吸収剤、光安定剤、シランカップリング剤、熱重合禁止剤、レベリング剤、界面活性剤、保存安定剤、可塑剤、滑剤、溶媒、フィラー、老化防止剤、濡れ性改良剤、塗面改良剤等を必要に応じて配合することができる。
【0042】
ここで、酸化防止剤としては、例えばIRGANOX1010、1035、1076、1222(以上、チバスペシャルティケミカルズ社製)、ANTIGENE P、3C、FR、GA−80(住友化学工業社製)等が挙げられる。紫外線吸収剤としては、例えばTINUVIN P、234、320、326、327、328、329、213(以上、チバスペシャルティケミカルズ社製)、Seesorb102、103、501、202、712、704(以上、シプロ化成社製)等が挙げられる。光安定剤としては、例えばTINUVIN 292、144、622LD(以上、チバスペシャルティケミカルズ社製)、サノールLS770(三共社製)、TM−061(住友化学工業社製)等が挙げられる。シランカップリング剤としては、例えばγ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリメトキシシラン、市販品として、SH6062、6030(以上、トーレダウコーニングシリコーン社製)、KBE903、603、403(以上、信越化学工業社製)等が挙げられる。
【0043】
さらに、本発明の組成物には、必要に応じて他のオリゴマー、ポリマー、その他の添加剤等を、本発明の組成物の特性を損なわない範囲で配合することができる。
他のオリゴマー、ポリマーとしては、例えばポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリアミド(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシ基を有するシロキサンポリマー、グリシジルメタアクリレート等が挙げられる。
【0044】
本発明の液状硬化性樹脂組成物の粘度は、ハンドリング性、塗布性の点から、25℃において、0.1〜10Pa・s、さらに1〜8Pa・s、特に2〜6Pa・sが好ましい。
【0045】
なお、本発明の液状硬化性樹脂組成物は、熱及び/又は放射線によって硬化されるが、ここで放射線とは、赤外線、可視光線、紫外線、X線、電子線、α線、β線、γ線等をいい、特に紫外線が好ましい。
【0046】
本発明の液状硬化性樹脂組成物は、硬化させて得られる硬化物の25℃におけるヤング率が100〜2,500MPaとなることが好ましい。
【実施例】
【0047】
以下に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0048】
[合成例1:ウレタン(メタ)アクリレート(A1)の合成]
撹拌機を備えた反応容器に、2,4−トリレンジイソシアネート10.68g、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール0.012g、ジブチル錫ジラウレート0.039gを仕込み、これらを撹拌しながら液温度が10℃以下になるまで氷冷した。数平均分子量1000のプロピレンオキサイドの開環重合体30.65gを加え、液温が35℃以下になるように制御しながら2時間攪拌して反応させた。次に、ヒドロキシエチルアクリレート7.12gを滴下して液温度70〜75℃にて3時間撹拌を継続させ、残留イソシアネートが0.1質量%(全内容物に対する量;以下同じ)以下になった時を反応終了とし、プロピレンオキサイドの両端に2,4−トリレンジイソシアネートを介してヒドロキシエチルアクリレートが結合した構造のウレタンアクリレートを得た。このウレタンアクリレートをウレタン(メタ)アクリレート(UA−1)とする。
【0049】
[合成例2:ウレタン(メタ)アクリレート(A2)の合成]
撹拌機を備えた反応容器に、2,4−トリレンジイソシアネート41.4g、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール0.02g、ジブチル錫ジラウレート0.08g、フェノチアジン0.008gを仕込み、これらを撹拌しながら液温度が20度になるまで冷却した。2−ヒドロキシエチルアクリレート27.6gを液温度が25度以下になるように制御しながら滴下した後、室温にて1時間撹拌、反応させた。さらに2−ヒドロキシプロピルアクリレート30.9gを添加し、液温度約60度で撹拌、反応させた。残留イソシアネートが0.1質量%以下になった時点を反応終了とし、2,4−トリレンジイソシアネートと2−ヒドロキシエチルアクリレートと2−ヒドロキシプロピルアクリレートの等モル反応物であるウレタンアクリレートを得た。このウレタンアクリレートをウレタン(メタ)アクリレート(UA−2)とする。
【0050】
[合成例3:ウレタン(メタ)アクリレート(A3)の合成]
撹拌機を備えた反応容器に、2,4−トリレンジイソシアネート42.9g、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール0.02g、ジブチル錫ジラウレート0.08g、フェノチアジン0.008gを仕込み、これらを撹拌しながら液温度が20度になるまで冷却した。2−ヒドロキシエチルアクリレート57.1gを液温度が25度以下になるように制御しながら滴下した後、室温にて1時間撹拌、反応させた。残留イソシアネートが0.1質量%(全内容物に対する量;以下同じ)以下になった時点を反応終了とし、2,4−トリレンジイソシアネートの両端に2−ヒドロキシエチルアクリレートが結合した構造のウレタンアクリレートを得た。このウレタンアクリレートをウレタン(メタ)アクリレート(UA−3)とする。
【0051】
[合成例4:ウレタン(メタ)アクリレート(A4)の合成]
撹拌機を備えた反応容器に、2,4−トリレンジイソシアネート1.59g、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール0.012g、ジブチル錫ジラウレート0.039gを仕込み、これらを撹拌しながら液温度が10℃以下になるまで氷冷した。ヒドロキシエチルアクリレートを液温度が20℃以下になるように制御しながら1.06g滴下した後、さらに、1時間撹拌して反応させた。次に数平均分子量10000のプロピレンオキサイドの開環重合体45.78gを加え、液温度70〜75℃にて3時間撹拌を継続させ、残留イソシアネートが0.1質量%以下になった時を反応終了とし、プロピレンオキサイドの両端に2,4−トリレンジイソシアネートを介してヒドロキシエチルアクリレートが結合した構造のウレタンアクリレートを得た。このウレタンアクリレートをウレタン(メタ)アクリレート(UA−4)とする。
【0052】
実施例1〜3、比較例1〜2
表1に示す組成の液状硬化性樹脂組成物を製造し、下記の方法に従い、物性値を評価した。各実施例、比較例の構成(質量部)及び評価結果を表1に示す。
【0053】
[評価方法]
(1)樹脂液の保存安定性:
液状硬化性樹脂組成物を−36℃で30日間静置した後、目視で観察して保存安定性を評価した。透明であった場合を「○」、白濁が認められた場合を「×」とした。
【0054】
(2)破断強度および破断伸び:
200μm厚のアプリケーターバーを用いてガラス板上に液状硬化性樹脂組成物を塗布し、これに空気中で1J/cm2のエネルギーの紫外線を照射して硬化させ、試験用フィルムを得た。引張試験器(島津製作所社製、AGS−50G)を用い、試験片の破断強度および破断伸びを下記測定条件にて測定した。
引張速度 :50mm/分
標線間距離(測定距離):25mm
測定温度 :23℃
相対湿度 :50%RH
【0055】
(3)粘度:
実施例及び比較例で得られた組成物の25℃における粘度を、粘度計B8H−BII(トキメック社製)で測定した。
【0056】
(4)ヤング率:
実施例及び比較例で得られた組成物の硬化後のヤング率を測定した。354μm厚のアプリケーターバーを用いてガラス板上に液状硬化性樹脂組成物を塗布し、これを空気中で1J/cm2のエネルギーの紫外線を照射して硬化させ、試験用フィルムを得た。この硬化フィルムから延伸部が幅6mm、長さ25mmとなるように短冊状サンプルを作成した。温度25℃、湿度50%の条件下で引張り試験機AGS−1KND(島津製作所社製)を用い、JIS K7127に準拠して引張試験を行った。引張速度は1mm/minで、2.5%歪みでの抗張力からヤング率を求めた。
【0057】
(5)硬化速度:
実施例及び比較例で得られた組成物の硬化速度を測定した。200μm厚のアプリケーターバーを用いてガラス板上に液状硬化性樹脂組成物を塗布し、これを空気中で20mJ/cm2及び1J/cm2のエネルギーの紫外線を照射して硬化させ、試験用フィルム二種類を得た。この硬化フィルム二種類から、それぞれ延伸部が幅6mm、長さ25mmとなるように短冊状サンプルを作成した。温度23℃、湿度50%にて、引張り試験機AGS−1KND(島津製作所社製)を用い、JIS K7127に準拠して引張試験を行った。引張速度は1mm/minで、2.5%歪みでの抗張力からヤング率を求めた。20mJ/cm2で硬化させた試験用フィルムのヤング率と500mJ/cm2で硬化させた試験用フィルムのヤング率の比を式(1)より算出して、組成物の硬化速度を評価した。
【0058】
(数1)
硬化速度(%)
=[200mJ/cm2硬化フィルムヤング率]/[1J/cm2硬化フィルムヤング率] (1)
【0059】
【表1】

【0060】
イソボルニルアクリレート:IBXA(大阪有機合成社製)
2−エチルヘキシルアクリレート:下記式で表される化合物(BASF社製)
CH2=CHCOO−CH2CH(CH2CH3)−(CH23−CH3
ラウリルアクリレ−ト:下記式で表される化合物(共栄社化学社製)
CH2=CHCOO−(CH211−CH3
トリメチロールプロパントリアクリレート:TMP3A(大阪有機化学工業社製)
ルシリン:2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド(BASF社製)
Irgacure184;1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A1)、(A2)、(A3)、(B)及び(C):
(A1)下記式(1)で表される構造を有するウレタン(メタ)アクリレート、
H−I−POL1−I−H (1)
[上記式中、Hはそれぞれ独立に水酸基含有(メタ)アクリレートであり、Iはポリイソシアネートであり、POL1は数平均分子量500〜4,000の脂肪族系ポリエーテルポリオールである。]
(A2)下記式(2)で表されるウレタン(メタ)アクリレート、
H−I−H (2)
[上記式中、2個のHは同一の水酸基含有(メタ)アクリレートであり、Iはポリイソシアネートである。]
(A3)下記式(3)で表されるウレタン(メタ)アクリレート、
1−I−H2 (3)
[上記式中、H1およびH2は、互いに異なる水酸基含有(メタ)アクリレートであり、Iはポリイソシアネートである。]
(B)下記式(5)で表されるアルキル(メタ)アクリレート、
CH2=C(R1)COO−(CH2n−CH(CH32 (5)
(R1は水素原子又はメチル基を示し、nは4〜8の整数を示す)
(C)重合開始剤
を含有する光ファイバのセカンダリ材用液状硬化性樹脂組成物。
【請求項2】
更に、成分(A4):
(A4)下記式(4)で表される構造を有するウレタン(メタ)アクリレート、
H−I−POL2−I−H (4)
[上記式中、Hはそれぞれ独立に水酸基含有(メタ)アクリレートであり、Iはポリイソシアネートであり、POL2は数平均分子量4,000を越えて12,000以下の脂肪族系ポリエーテルポリオールである。]
を含有する請求項1に記載の光ファイバのセカンダリ材用液状硬化性樹脂組成物。
【請求項3】
前記成分(B)が、組成物中に含まれるエチレン性不飽和結合を1個有する化合物(ただし、ウレタン(メタ)アクリレートを除く)の全量100質量%に対して、50質量%以上含まれる請求項1または2に記載の光ファイバのセカンダリ材用液状硬化性樹脂組成物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一に記載の液状硬化性樹脂組成物を硬化して得られる光ファイバの第二次被覆層。
【請求項5】
請求項4に記載の第二次被覆層を有する光ファイバ。

【公開番号】特開2010−235814(P2010−235814A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−86312(P2009−86312)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【出願人】(503220392)ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ. (873)
【Fターム(参考)】