説明

液状食品用増粘組成物、及び液状食品用増粘組成物の製造方法

【課題】
油脂分、タンパク質分、及びミネラル分等を比較的多く含有する流動食や牛乳等の液状食品に添加・混合して使用する際に、少量でも短時間で十分な増粘効果を発揮できる液状食品用増粘組成物、及び当該増粘組成物の製造方法を提供すること。
【解決手段】
キサンタンガム、カラギナン、及びデキストリンからなる粉粒体原料を流動層となし、クエン酸三ナトリウムを含むバインダー液を噴霧し、該粉粒体原料を造粒物とし、該造粒物を乾燥することを特徴とする液状食品用増粘組成物の製造方法、並びに、クエン酸三ナトリウム、キサンタンガム、カラギナン、及びデキストリンからなる液状食品用増粘組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流動食等の液状食品に使用する増粘組成物、及び該増粘組成物の製造方法に関する。詳細には液状食品、特に流動食や牛乳等に添加した際に、手(スパーテル)撹拌などの弱い撹拌条件でもダマにならず容易に分散し、かつ粘度発現性に優れる液状食品用増粘組成物、及び流動層造粒により該液状食品用増粘組成物を製造する方法を提供するものである。
【背景技術】
【0002】
摂食は、食物を口に取り込み、咀嚼し、食塊形成を行い、奥舌へ送り込み、嚥下誘発後、0.5秒前後で嚥下反射して、食塊を食道に送り込む一連の行為である。通常は意識されることなく行われるこの摂食行為も、嚥下・咀嚼困難等の障害を持つ患者や高齢者にとっては、容易なことではなく、食品が誤嚥によって気管支に入って肺炎等の深刻な疾患を招くこともある。この重要な嚥下反射が適切に誘発され、食塊が咽頭を速やかに通過するためには、液体食品であっても、むしろ適度のとろみや粘度が付与されていることが望ましい。
【0003】
そのために、嚥下・咀嚼困難等の障害を持つ患者や高齢者が、むせることなく容易にかつ安全に嚥下できるような粘稠性を付与することが可能な増粘組成物が種々開発され、近年では、嗜好性(味、外観に与える影響が少ない)や機能性(少ない添加量で効果を発揮する)の面から、増粘多糖類を主剤にした増粘組成物が好んで使用されるようになってきている。
【0004】
増粘組成物に必要な条件としては、手(スパーテル)攪拌のような緩い攪拌状態で液状食品に添加した場合、(1)ダマにならず、良好に分散すること、(2)短時間で所定の物性値(例えば、粘度)に達し、その経時変化が小さいこと、(3)食品の種類によらず、安定した物性値を示すこと、(4)低濃度で所定の物性値を示し、味・外観を劣化させないこと、(5)口腔内で食塊を形成しやすく、咽頭での付着性が小さいこと等が挙げられる。
【0005】
特に、一旦形成されたダマは完全に取り除くことが難しく、ダマがあるままの液状食品を嚥下・咀嚼困難者に供した場合、誤嚥の原因になる可能性がある。そのために、このような患者や高齢者に供する場合には、ダマが形成されないように、介護者は十分な時間をかけて溶解する負担を強いられていた。また、油脂分、タンパク質分、及びミネラル分等を比較的多く含有する流動食や牛乳等の液状食品に増粘組成物を添加する場合、水やお茶等の液状食品に添加したときと比べて、粘度の立ち上がりが遅くなったり、最終粘度(平衡粘度)が低くなるという現象が生じることがあり、実用上の問題になっている。
【0006】
従来より、広い温度帯で溶解時にダマが生じにくいという特徴を有するキサンタンガムと水溶性カルシウム塩を含有するトロミ剤組成物(例えば、特許文献1)や、キサンタンガムとローカストビーンガムを必須成分とし、さらに有機酸塩を含み加熱することを特徴とする高齢者用食品のための増粘・ゲル化両用組成物及びその製造方法(例えば、特許文献2)等が開示されており、良好な溶解性や短時間で適度な粘性を発揮し、物性が安定した増粘組成物の開発が検討されている。
【特許文献1】特開2006−271258号公報
【特許文献2】特開2000−270792号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のように、患者や高齢者が最も必要とする、油脂分、タンパク質分、及びミネラル分等を比較的多く含有する流動食や牛乳等の液状食品への添加に適した増粘組成物が求められていた。
【0008】
そこで、本発明は、増粘多糖類の持つ膨潤溶解・増粘効果を低減させることなく造粒し、液状食品、特に油脂分、タンパク質分、及びミネラル分等を比較的多く含有する流動食や牛乳等の液状食品に添加・混合して使用する際に、少量でも短時間で十分な増粘効果を発揮できる液状食品用増粘組成物、及び当該増粘組成物の製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、流動層造粒法により各種バインダーを用いて調製した増粘多糖類の顆粒品を、流動食や牛乳等の液状食品に添加した際の、増粘効果への影響について鋭意検討を重ねた結果、クエン酸三ナトリウム水溶液をバインダー液として使用することによって調製した増粘組成物が、比較的粘度が付きにくいとされる液状食品に添加した場合であっても、手(スパーテル)攪拌のような緩い攪拌状態でダマにならずに容易に分散し、かつ粘度発現性に優れている、ということを発見し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、前記課題を解決する本願第一の発明は、クエン酸三ナトリウム、キサンタンガム、カラギナン、及びデキストリンからなる液状食品用増粘組成物であって、以下の(1)〜(3)を好ましい態様としている。
(1)クエン酸三ナトリウムが1〜5質量%、キサンタンガムが5〜15質量%、カラギナンが5〜15質量%、及び、デキストリンが65〜89質量%含まれること、
(2)液状食品用増粘組成物が顆粒状であること、
(3)液状食品用増粘組成物の用途が嚥下・咀嚼補助用であること。
【0011】
前記課題を解決する本願第二の発明は、前記第一の発明の液状食品用増粘組成物を添加した液状食品であって、液状食品が流動食、牛乳、乳飲料、乳酸菌飲料、果汁飲料、スープ、味噌汁、シチュウ、カレー、又はグラタンであることを好ましい態様としている。
【0012】
前記課題を解決する本願第三の発明は、液状食品用増粘組成物の製造方法であって、キサンタンガム、カラギナン、及びデキストリンからなる粉粒体原料を流動層となし、クエン酸三ナトリウムを含むバインダー液を噴霧し、該粉粒体原料を造粒物とし、該造粒物を乾燥することを特徴とする、液状食品用増粘組成物の製造方法であって、以下の(4)〜(5)を好ましい態様としている。
(4)液状食品用増粘組成物の用途が嚥下・咀嚼補助用であること、
(5)液状食品が流動食、牛乳、乳飲料、乳酸菌飲料、果汁飲料、スープ、味噌汁、シチュウ、カレー、又はグラタンであること。
【0013】
前記課題を解決する本願第四の発明は、液状食品用増粘組成物の製造方法であって、クエン酸三ナトリウム、キサンタンガム、カラギナン、及びデキストリンからなる粉粒体原料を流動層となし、バインダー液を噴霧し、該粉粒体原料を造粒物とし、該造粒物を乾燥することを特徴とする、液状食品用増粘組成物の製造方法であって、以下の(6)〜(8)を好ましい態様としている。
(6)バインダー液が水であること、
(7)液状食品用増粘組成物の用途が嚥下・咀嚼補助用であること、
(8)液状食品が流動食、牛乳、乳飲料、乳酸菌飲料、果汁飲料、スープ、味噌汁、シチュウ、カレー、又はグラタンであること。
【0014】
従って、本発明は、以下の[1]〜[6]にもある。
[1] クエン酸三ナトリウム、キサンタンガム、カラギナン、及びデキストリンからなる液状食品用増粘組成物。
[2] クエン酸三ナトリウムが1〜5質量%、キサンタンガムが5〜15質量%、カラギナンが5〜15質量%、及び、デキストリンが65〜89質量%含まれる[1]の液状食品用増粘組成物。
[3] 顆粒状である[1]〜[2]の液状食品用増粘組成物。
[4] 液状食品用増粘組成物の用途が嚥下・咀嚼補助用である[1]〜[3]の何れかの液状食品用増粘組成物。
[5] [1]〜[4]の何れかの液状食品用増粘組成物を添加した液状食品。
[6] 液状食品が流動食、牛乳、乳飲料、乳酸菌飲料、果汁飲料、スープ、味噌汁、シチュウ、カレー、又はグラタンである[5]の液状食品。
【0015】
さらに、本発明は、以下の[7]〜[9]にもある。
[7] 液状食品用増粘組成物の製造方法であって、キサンタンガム、カラギナン、及びデキストリンからなる粉粒体原料を流動層となし、クエン酸三ナトリウムを含むバインダー液を噴霧し、該粉粒体原料を造粒物とし、該造粒物を乾燥することを特徴とする、液状食品用増粘組成物の製造方法。
[8] 液状食品用増粘組成物の用途が嚥下・咀嚼補助用である[7]の製造方法。
[9] 液状食品が流動食、牛乳、乳飲料、乳酸菌飲料、果汁飲料、スープ、味噌汁、シチュウ、カレー、又はグラタンである[7]〜[8]の何れかの製造方法。
【0016】
さらに、本発明は、以下の[10]〜[13]にもある。
[10] 液状食品用増粘組成物の製造方法であって、クエン酸三ナトリウム、キサンタンガム、カラギナン、及びデキストリンからなる粉粒体原料を流動層となし、バインダー液を噴霧し、該粉粒体原料を造粒物とし、該造粒物を乾燥することを特徴とする、液状食品用増粘組成物の製造方法。
[11] バインダー液が、クエン酸三ナトリウム水溶液、クエン酸三ナトリウムを含まない水溶液、又は水である[10]の製造方法。
[12] 液状食品用増粘組成物の用途が嚥下・咀嚼補助用である[10]〜[11]の製造方法。
[13] 液状食品が流動食、牛乳、乳飲料、乳酸菌飲料、果汁飲料、スープ、味噌汁、シチュウ、カレー、又はグラタンである[10]〜[12]の何れかの製造方法。
【0017】
さらに、本発明は、以下の[14]〜[22]にもある。
[14] キサンタンガム、カラギナン、及びデキストリンを含んでなる粉粒体原料から流動層造粒するための、クエン酸三ナトリウムからなる、流動層造粒用バインダー剤。
[15] キサンタンガム、カラギナン、及びデキストリンを含んでなる粉粒体原料から流動層造粒するための、クエン酸三ナトリウム水溶液からなる、流動層造粒用バインダー液。
[16] [14]の流動層造粒用バインダー剤によってキサンタンガム、カラギナン、及びデキストリンを含んでなる粉粒体原料から流動層造粒されてなる、キサンタンガム、カラギナン、デキストリン、及びクエン酸三ナトリウムを含んでなる、液状食品用増粘組成物。
[17] [15]〜[16]の流動層造粒用バインダー液によってキサンタンガム、カラギナン、及びデキストリンを含んでなる粉粒体原料から流動層造粒されてなる、キサンタンガム、カラギナン、デキストリン、及びクエン酸三ナトリウムを含んでなる、液状食品用増粘組成物。
[18] クエン酸三ナトリウムが1〜5質量%、キサンタンガムが5〜15質量%、カラギナンが5〜15質量%、及び、デキストリンが65〜89質量%含まれる[16]〜[17]の液状食品用増粘組成物。
[19] 顆粒状である[16]〜[18]の何れかの液状食品用増粘組成物。
[20] キサンタンガム、カラギナン、デキストリン、及びクエン酸三ナトリウムを含んでなる、流動層造粒用の粉粒体原料混合物。
[21] クエン酸三ナトリウム水溶液、クエン酸三ナトリウムを含まない水溶液、又は水からなる流動層造粒用バインダー液によって、[20]の粉粒体原料混合物から流動層造粒されてなる、キサンタンガム、カラギナン、デキストリン、及びクエン酸三ナトリウムを含んでなる、液状食品用増粘組成物。
[22] 顆粒状である[21]の液状食品用増粘組成物。
【0018】
さらに、本発明は、以下の[23]〜[28]にもある。
[23] キサンタンガム、カラギナン、及びデキストリンを含んでなる粉粒体原料混合物混合物から流動層造粒するための流動層造粒用バインダー剤としての、クエン酸三ナトリウムの使用(use)。
[24] キサンタンガム、カラギナン、及びデキストリンを含んでなる粉粒体原料混合物から流動層造粒するための流動層造粒用バインダー液としての、クエン酸三ナトリウム水溶液の使用(use)。
[25] キサンタンガム、カラギナン、デキストリン、及びクエン酸三ナトリウムを含んでなる混合物の、流動層造粒用の粉粒体原料としての使用(use)。
[26] クエン酸三ナトリウムを1〜5質量%、キサンタンガムを5〜15質量%、カラギナンを5〜15質量%、及び、デキストリンを65〜89質量%含んでなる混合物の、流動層造粒用の粉粒体原料としての使用(use)。
[27] キサンタンガム、カラギナン、デキストリン、及びクエン酸三ナトリウムを含んでなる組成物の、液状食品用増粘剤としての使用(use)。
[28] クエン酸三ナトリウムを1〜5質量%、キサンタンガムを5〜15質量%、カラギナンを5〜15質量%、及び、デキストリンを65〜89質量%含んでなる組成物の、液状食品用増粘剤としての使用(use)。
【0019】
さらに、本発明は、以下の[29]〜[36]にもある。
[29] キサンタンガム、カラギナン、デキストリン、及びクエン酸三ナトリウムを含んでなる組成物を添加して、液状食品を増粘する方法(method)。
[30] クエン酸三ナトリウムを1〜5質量%、キサンタンガムを5〜15質量%、カラギナンを5〜15質量%、及び、デキストリンを65〜89質量%含んでなる組成物を添加して、液状食品を増粘する方法(method)。
[31] [1]〜[4]、[16]〜[19]、及び[21]〜[22]の何れかの液状食品用増粘組成物を液状食品に添加して、液状食品を増粘する方法(method)。
[32] キサンタンガム、カラギナン、デキストリン、及びクエン酸三ナトリウムを含んでなる組成物を液状食品に添加して、増粘された液状食品を製造する方法。
[33] クエン酸三ナトリウムを1〜5質量%、キサンタンガムを5〜15質量%、カラギナンを5〜15質量%、及び、デキストリンを65〜89質量%含んでなる組成物を液状食品に添加して、増粘された液状食品を製造する方法。
[34] [1]〜[4]、[16]〜[19]、及び[21]〜[22]の何れかの液状食品用増粘組成物を液状食品に添加して、増粘された液状食品を製造する方法。
[35] [7]〜[13]の何れかの製造方法によって製造された液状食品用増粘組成物を液状食品に添加して、液状食品を増粘する方法(method)。
[36] [7]〜[13]の何れかの製造方法によって製造された液状食品用増粘組成物を液状食品に添加して、増粘された液状食品を製造する方法。
【発明の効果】
【0020】
本発明の製造方法により調製した液状食品用増粘組成物は、手撹拌のような緩い撹拌条件でも良好に分散するので、油脂分やタンパク質分、ミネラル分等を比較的多く含有する液状食品に少量を添加した場合であっても、粘度の立ち上がりが早く、平衡粘度が高くなるという優れた粘度発現性を有する。したがって、一般的に水溶性高分子による粘度付与効果が得られにくいといわれる流動食や牛乳等の液状食品に添加することが可能な優れた液状食品用増粘組成物を提供することが可能である。
【0021】
本発明に係る液状食品用増粘組成物は、患者や高齢者が最も必要とする、油脂分、タンパク質分、及びミネラル分等を比較的多く含有する流動食や牛乳等の液状食品への添加に適したものであり、粘度の立ち上がりが早く、平衡粘度が高くなるという従来よりも優れた粘度発現性を有する結果、液状食品へ増粘組成物を添加して患者や高齢者に供しようとする場合にも、従来よりも介護者の負担が軽減されたものとなっている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
次に、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の好ましい実施形態に限定されず、本発明の範囲内で自由に変更することができるものである。尚、本明細書において百分率は特に断りのない限り質量による表示である。
【0023】
本発明に係る液状食品用増粘組成物は、クエン酸三ナトリウム、キサンタンガム、カラギナン、及びデキストリンを原料としてなる液状食品用増粘組成物であって、製造するにあたって、これら原料は一般に入手可能なものであれば、特に制限なく利用することができる。なお、本発明の液状食品用増粘組成物は、顆粒状(造粒物)であることが好ましい。
【0024】
本発明の液状食品用増粘組成物へのクエン酸三ナトリウムの添加量は、液状食品用増粘組成物の全量に対し1〜5質量%、好ましくは2〜4質量%となるように添加することが好ましい。ここで、クエン酸三ナトリウムの濃度が1質量%未満であると分散性や粘度発現性の効果が十分ではない。
【0025】
なお、バインダー液にクエン酸三ナトリウムの水溶液を使用して噴霧する場合、液状食品用増粘組成物中のクエン酸三ナトリウム濃度が、前記段落0024欄に記載の1〜5質量%、好ましくは2〜4質量%となるように調製されるためには、バインダー液におけるクエン酸三ナトリウム濃度を、1〜50質量%、好ましくは2〜25質量%に調整して噴霧すれば良い。
【0026】
本発明の液状食品用増粘組成物に使用する増粘性を付与する成分としては、キサンタンガム、カラギナン、デキストリンの組み合わせが好ましく、これら成分の含有量の範囲は、それぞれ、キサンタンガムは5〜15質量%、カラギナンを5〜15質量%、及びデキストリンを65〜89質量%とすることが好ましい。増粘剤およびゲル化剤の各成分の添加量が当該範囲を下回ると、本発明による粘度発現効果が十分に得られにくく、当該範囲を上回ると、増粘組成物を液状食品に添加した場合ダマになりやすい。
【0027】
また、本発明の効果を妨げない範囲において、一般的に使用される多糖類を併用することが可能である。具体的には、ガラクトマンナン(グァーガム、ローカストビーンガム、タラガム等)、グルコマンナン、ネイティブ型ジェランガム、脱アシル型ジェランガム、タマリンドシードガム、ペクチン(HM、LM等)、カシアガム、トラガントガム、カラヤガム、アラビアガム、ガティガム、サイリウムシードガム、マクロホモプシスガム、寒天、アルギン酸類(アルギン酸、アルギン酸塩)、カードラン、プルラン、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)等のセルロース誘導体、水溶性ヘミセルロース、大豆多糖類、加工・化工でん粉、未加工でん粉(生でん粉)、ゼラチンなどから選ばれる1種又は2種以上を挙げることができる。
【0028】
さらに、本発明の液状食品用増粘組成物は、少なくとも前記のクエン酸三ナトリウム、キサンタンガム、カラギナン、及びデキストリンを成分として含有するものであればよく、本発明の効果を奏する限りにおいて、他に任意の成分を配合することもできる。具体的には、食品原材料は無論のこと、効果を妨げない範囲において他の食品添加物、例えば、カラシ抽出物、ワサビ抽出物、およびコウジ酸等の日持向上剤;シラコたん白抽出物、ポリリシン、およびソルビン酸、安息香酸等の保存料;α・β−アミラーゼ、α・β−グルコシダ−ゼ、パパイン等の酵素;ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド、レシチン等の乳化剤;香料;β−カロチン、アナトー色素等の着色料:膨張剤;乳清たん白質、大豆たん白質等のたん白質;ショ糖、果糖、還元デンプン糖化物、エリスリトール、キシリトール等の糖類;スクラロース、ソーマチン、アセスルファムカリウム、アスパルテーム等の甘味料;ビタミンA、ビタミンE、ビタミンK等のビタミン類;鉄、カルシウム等のミネラル類等を添加することができる。
【0029】
流動層造粒法は、下方から熱風を送り込んで、粉末食品を激しく流動させその中に粘着液(バインダー液)を噴霧しながら粉体を造粒、乾燥する方法であり、吸湿固化防止、流動性改良、溶解性向上、粉立ち防止などの性状の改善が可能な方法である。本発明においては、この流動層造粒法を用いて、液状食品用増粘組成を製造することが好ましい。
【0030】
具体的には、本発明に係る液状食品用増粘組成物は、特定配合割合のキサンタンガム、カラギナン、及びデキストリンからなる粉粒体原料を造粒機にいれ、下方から熱風を送り込んで粉粒体原料を流動層となし、これに、クエン酸三ナトリウムを含むバインダー液をノズル噴霧し、粉体表面に均一にバインダー液を付着させ、粉体を結着させて造粒物とし、次いで、該造粒物を乾燥することによって製造することが可能である。また、前記工程において、粉粒体原料にクエン酸三ナトリウムを追加し、バインダー液に、クエン酸三ナトリウムを含まない水溶液又は水を使用して、使用するバインダー液の種類以外は同様の方法にて噴霧して造粒物とし、該造粒物を乾燥することによっても、本発明の液状食品用増粘組成物を製造することが可能である。また、粉粒体原料にクエン酸三ナトリウムを追加し、同時にクエン酸三ナトリウムを含むバインダー液を使用して、同様の方法にて造粒物を製造することもできる。
【0031】
流動層造粒装置としては、流動層本体、整流板、送風機、吸気フィルター、エアーヒーター、スプレー装置、集塵装置、配風機等で構成された一般的に使用される流動層造粒装置であれば、いずれであっても使用することが可能である(例えば、フロイント産業社製、FL−MINI等)。なお、流動層造粒を行う際の風量、噴霧液量、バインダー液の噴霧液速度、乾燥温度、等の操作条件については、基材やバインダー液の組成・濃度や仕込量、顆粒化の対象とする粉体の重量や大きさ、製造スケール等、常法に従い必要に応じて適宜設定が可能である。
【0032】
本発明においてキサンタンガム、カラギナン、及びデキストリンからなる粉粒体原料に対して用いられるバインダー液としては、クエン酸三ナトリウムを含有する水溶液を使用することが好ましく、これを用いて造粒する場合は、目的の造粒を行う粉末に対し、水溶液を10〜100質量%、好ましくは20〜60質量%となるように添加することが好ましい。水溶液の添加量が極端に少ないと造粒が不十分で顆粒が生長しないことがあり、水溶液の添加量が極端に多いと、多量の水分を含むため乾燥に時間がかかり、作業性が悪くなり好ましくない。
【0033】
なお、前記バインダー液には、クエン酸三ナトリウムを含有する以外に、本発明の効果に影響を及ぼさない範囲で、造粒に用いられる公知の任意成分、例えば、デキストリンや乳糖等を添加することも可能である。更に、水溶性クエン酸三ナトリウムを含有するバインダー液と、デキストリンなどの任意成分を含有するバインダー液を別途調製し、順番にあるいは交互に噴霧して造粒(顆粒化)することも可能である。
【0034】
本発明は、係る液状食品用増粘組成物を添加した液状食品にもある。この場合、本発明の液状食品用増粘組成物は、加熱や加温をせずとも、常温で液状食品に容易に溶解し、短時間で高い粘性を発現するのである。このように調製された液状食品は、保水性に優れ、食塊形成能(口中での食品のまとまりやすさ)がよく、付着性の少ない物性を有している。すなわち、本発明の液状食品用増粘組成物は、液状食品等に添加する嚥下・咀嚼困難者用補助剤として好適に利用でき、嚥下・咀嚼困難者用食品に要求される食感的および機能的性質を十分に発揮するものである。
【0035】
具体的には、流動食や牛乳などの液状食品に添加した場合、手攪拌といった弱い攪拌条件で実施しても、ダマにならず良好に分散し、さらに、嚥下・咀嚼困難者が食する場合であっても、十分な粘度発現性を付与することができるのである。よって、本発明の液状食品用増粘組成物を液状食品に用いることにより、粘度の立ち上がりが早く、平衡粘度が高くなるという特徴を有する粘稠性の液状食品へ付与することが可能となる。
【0036】
なお、本発明でいう液状食品は、例えば、水、牛乳、乳飲料、乳酸菌飲料、果汁入り清涼飲料、炭酸飲料、果汁飲料、菜汁飲料、茶飲料、スポーツ飲料、機能性飲料、ビタミン補給飲料、栄養補給バランス飲料、粉末飲料、赤ワイン等の果実酒、コンソメスープ、ポタージュスープ、クリームスープ、中華スープ等の各種スープ、味噌汁、清汁、シチュウ、カレー、グラタンなどのスープ類の液状の最終食品や、蛋白質・リン・カリウム調整食品、塩分調整食品、油脂調整食品、整腸作用食品、カルシウム・鉄・ビタミン強化食品、低アレルギー食品、天然食品流動食、人工濃厚流動食等の特殊食品や治療食の液状食品を例示することができる。これらに直接、本発明の液状食品用増粘組成物を添加して粘稠性の液状食品を調製することが可能である。
【0037】
液状食品の中でも、本発明では蛋白含量や脂質含量、ミネラル含量の高い液状食品に好適に使用される。このような液状食品は、従来の増粘組成物では、粘稠性の液状食品の実用的な調製が困難であったものであり、このような液状食品に対して、本発明に係る増粘組成物の優れた特性が顕著に発揮される。
【0038】
ここで、前記液状食品に例示された天然食品流動食は、普通流動食、ミキサー食、天然食品流動食等に分類され、主に経口的に栄養を補給する際に使用されるものである。例えば、普通流動食は、重湯、野菜スープ、牛乳、卵黄等を素材としたもので、主に経腸栄養法の開始時期に使用される比較的低エネルギーの流動食である。ミキサー食は、主食(お米)の3分粥、5分粥、7分粥、全粥と、必要に応じて副食(おかず)を混合してミキサーで処理したもので、一般の普通流動食よりエネルギーが高いものである。また、天然濃厚流動食は、天然食品を原料としたものから水分を減らし、単位重量当たりのエネルギーを高くした流動食である。
【0039】
さらに、前記液状食品に例示された人工濃厚流動食は、蛋白質の窒素源の違い(蛋白加水分解物、低分子ペプチド、アミノ酸等)により、「半消化態流動食」、「消化態流動食」とに分類されており、食品添加物等を利用して、必要な栄養素を適宜配合した流動食である。なお、「半消化態流動食」とは、窒素源として蛋白質並びに一部を蛋白加水分解物(ペプチド)やアミノ酸に置き換えたものを使用する流動食であり、『ある程度の』消化を必要とする流動食である。また、「消化態流動食」とは、窒素源が蛋白質を高度に加水分解した低分子ペプチド(ジペプチドや、トリペプチド)やアミノ酸だけで構成されている流動食である。
【0040】
本発明において、液状食品に混合する液状食品用増粘組成物の添加量は、液状食品における蛋白含量や脂質含量に応じて適宜設定することが可能であるが、具体的には0.5〜10質量%が好ましく、特に1〜5質量%が好ましい。
【0041】
本発明の液状食品用増粘組成物を添加した液状食品の粘度測定では、B型回転粘度計を用いて12rpmでローターを回転させ、2分後の示度を読み、その値に対応する係数を乗じて得た値を、mPa・sで表す。
【実施例】
【0042】
[実施例]
次に実施例を示して本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0043】
(液状食品用増粘組成物の製造)
(実施例1)
水溶性高分子「ビストップD−4021」(『ビストップ』:登録商標、キサンタンガム含有製剤、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製)57.5g、「ビストップD−1994」(『ビストップ』:登録商標、カラギナン含有製剤、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製)40g、およびデキストリン390.5gの混合粉体物488gを流動層造粒機に投入し、クエン酸三ナトリウム12gを水238gの水に溶解させたバインダー液(クエン酸三ナトリウム濃度4.8質量%に相当)を用いて、バインダー液の噴霧速度を約10mL/分に設定して流動層造粒を行い、液状食品用増粘組成物を製造した。なお、粉粒体混合物におけるクエン酸三ナトリウムの含有量は、2.4質量%であった。
【0044】
製造した液状食品用増粘組成物の粒径および粒度分布はほぼ同じであり、500μm以上が約30%、500〜250μmが約50%、250〜150μmが約13%、150〜106μmが約4%、106〜75μmが約2%であった。また、乾燥減量は約6%であった。
【0045】
(実施例2)
水溶性高分子「ビストップD−4021」(『ビストップ』:登録商標、キサンタンガム含有製剤、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製)57.5g、「ビストップD−1994」(『ビストップ』:登録商標、カラギナン含有製剤、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製)40g、デキストリン390.5g、およびクエン酸三ナトリウム12gの混合粉体物500gを流動層造粒機に投入し、水をバインダー液として使用して、バインダー液の噴霧速度を約10mL/分に設定して流動層造粒を行い、液状食品用増粘組成物を製造した。なお、粉粒体混合物におけるクエン酸三ナトリウムの含有量は、2.4質量%であった。
【0046】
製造した液状食品用増粘組成物の粒径および粒度分布はほぼ同じであり、500μm以上が約30%、500〜250μmが約50%、250〜150μmが約13%、150〜106μmが約4%、106〜75μmが約2%であった。また、乾燥減量は約6%であった。
【0047】
(比較例1)
前記実施例1において、バインダー液中に含まれるクエン酸三ナトリウムをデキストリンに置換したこと以外は、すべて同様の方法(基剤も同様に、キサンタンガム、カラギナン、デキストリンを使用)で増粘組成物を調製した。製造した増粘組成物の粒径および粒度分布はほぼ同じであり、500μm以上が約30%、500〜250μmが約50%、250〜150μmが約13%、150〜106μmが約4%、106〜75μmが約2%であった。また、乾燥減量は約6%であった。
【0048】
次に試験例を示して本発明を詳細に説明する。
[試験例1]
本発明の液状食品用増粘組成物を流動食へ添加した際の粘度の測定を行った。
【0049】
(1)試料の調製
実施例1で製造した液状食品用増粘組成物を試料1とした。また、実施例2で製造した液状食品用増粘組成物を試料2とした。さらに、比較例1で調製した増粘組成物を対照試料とした。
これら試料は、組成の異なる2つの流動食に添加して、その粘度発現を検討した。
【0050】
(2)試験方法
流動食A[「CZ−Hi」(商品名)、株式会社クリニコ製、組成分析値:蛋白5.0g/100mL、脂質2.2g/100mL、炭水化物16.7g/100mL]、100mLを3つのトールビーカーにそれぞれ秤り取り、20℃に調温して、試料1、試料2、対照試料をそれぞれ2.7gずつ添加し、スパーテルで60秒間攪拌(約4回転/秒)した後、粘度測定に供した。粘度の経時変化の測定は、室温で保持し、試料添加後120分まで、B型粘度計(東京計器社製)を用いて、回転数12rpmの条件で測定した。
【0051】
流動食B[「MA−8」(商品名)、株式会社クリニコ社製、組成分析値:蛋白4.0g/100mL、脂質3.0g/100mL、炭水化物14.7g/100mL]、100mLを3つのトールビーカーにそれぞれ秤り取り、20℃に調温して、試料1、試料2、対照試料をそれぞれ3.2gずつ添加し、スパーテルで60秒間攪拌(約4回転/秒)した後、粘度測定に供した。粘度の経時変化の測定は、室温で保持し、試料添加後120分まで、B型粘度計(東京計器社製)を用いて、回転数12rpmの条件で測定した。
【0052】
(3)試験結果
本試験の結果を図1および図2に示す。図1は、流動食Aにおける各試料添加後の粘度変化を測定したものである。また、図2は流動食Bにおける各試料添加後の粘度変化を測定したものである。
【0053】
また、図1および図2において、試料添加後15分の粘度、および試料添加後15分の粘度に対する試料添加後5分の粘度の割合を検討した結果を、それぞれ表1(流動食A)および表2(流動食B)に示す。
【0054】
(流動食Aの結果)
その結果、図1に示す流動食Aにおいては、いずれの試料でも添加時にダマが生じず、良好に分散し、試料添加後15分で粘度がほぼ平衡に達した。試料1(クエン酸三ナトリウムをバインダー液に添加して造粒した液状食品用増粘組成物)では、試料添加後15分の粘度が、5,130mPa・sであり、十分な粘度を保持していた。また、試料添加後15分の粘度に対する5分の粘度の割合は72.7%であり、粘度の立ち上がりも良好であった。
【0055】
図1の試料2(バインダー液に水を使用して造粒した液状食品用増粘組成物)においては、試料添加後15分の粘度が4,500mPa・sであり、十分な粘度を保持していた。また、試料添加後15分に対する5分の粘度の割合は70.8%であり、粘度の立ち上がりも良好であった。
【0056】
これに対し、図1の対照試料(クエン酸三ナトリウムを使用せず、バインダー液にデキストリンを用いて造粒した増粘組成物)では、試料添加後15分の粘度が3,330mPa・sとなり、十分な粘度は得られなかった。なお、試料添加後15分に対する5分の粘度の割合は72.1%となり、粘度の立ち上がりは十分であった。
【0057】
各試料を添加した流動食Aについて官能検査(硬さ、食塊形成性、付着性)を行った結果、試料1および試料2では、硬さ、食塊形成性、付着性のいずれも良好であり、飲み込みやすいものであったが、対照試料においては、粘度が4,000mPa・s未満であったために、食塊形成性に欠ける食感であった。
【0058】
(流動食Bの結果)
図2に示す流動食Bにおいては、いずれの試料でも添加時にダマが生じず、良好に分散し、試料添加後15分で粘度がほぼ平衡に達した。試料1(クエン酸三ナトリウムをバインダー液に添加して造粒した液状食品用増粘組成物)では、試料添加後15分の粘度が、5,100mPa・sであり、十分な粘度を保持していた。また、試料添加後15分の粘度に対する5分の粘度の割合は77.6%であり、粘度の立ち上がりも良好であった。
【0059】
図2の試料2(バインダー液に水を使用して造粒した液状食品用増粘組成物)においては、試料添加後15分の粘度が4,530mPa・sであり、十分な粘度を保持していた。また、試料添加後15分に対する5分の粘度の割合は55.8%であり、粘度の立ち上がりもまずまずの結果であった。
【0060】
これに対し、図2の対照試料(クエン酸三ナトリウムを使用せず、バインダー液にデキストリンを用いて造粒した増粘組成物)では、試料添加後15分の粘度が3,480mPa・sとなり、十分な粘度は得られなかった。なお、試料添加後15分に対する5分の粘度の割合は63.8%となり、粘度の立ち上がりは十分であった。
【0061】
各試料を添加した流動食Bについて官能検査(硬さ、食塊形成性、付着性)を行った結果、試料1および試料2では、硬さ、食塊形成性、付着性のいずれも良好であり、飲み込みやすいものであったが、対照試料においては、粘度が4,000mPa・s未満であったために、食塊形成性に欠ける食感であった。
【0062】
(結果のまとめ)
以上により、流動食A、Bいずれの場合も、キサンタンガムやカラギナンなどの水溶性高分子成分にクエン酸三ナトリウムを添加して製造した液状食品用増粘組成物を使用することで、流動食に添加後15分で4,000mPa・s以上の最終粘度(平衡粘度)に達することが判明した。特に、バインダー液にクエン酸三ナトリウムを使用して造粒した液状食品用増粘組成物(試料1)では、粘度の立ち上がりが速くなることも明らかとなった。
さらに、クエン酸三ナトリウムを添加して製造した液状食品用増粘組成物は、油脂分、タンパク質分、及びミネラル分等を比較的多く含有するために比較的粘度が付きにくいとされる液状食品に添加した場合であっても、添加時にダマが生じずに良好に分散し、粘度の立ち上がりが速やかであると同時に、高い平衡粘度を示すために、添加量を少量として実用できるものであることが明らかになった。
【0063】
【表1】

【0064】
【表2】

【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】流動食Aにおける試料添加後の粘度変化を表す図である。
【図2】流動食Bにおける試料添加後の粘度変化を表す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クエン酸三ナトリウム、キサンタンガム、カラギナン、及びデキストリンからなる液状食品用増粘組成物。
【請求項2】
クエン酸三ナトリウムが1〜5質量%、キサンタンガムが5〜15質量%、カラギナンが5〜15質量%、及び、デキストリンが65〜89質量%含まれる請求項1に記載の液状食品用増粘組成物。
【請求項3】
顆粒状である請求項1又は2に記載の液状食品用増粘組成物。
【請求項4】
液状食品用増粘組成物の用途が嚥下・咀嚼補助用である請求項1〜3のいずれか一項に記載の液状食品用増粘組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の液状食品用増粘組成物を添加した液状食品。
【請求項6】
液状食品が流動食、牛乳、乳飲料、乳酸菌飲料、果汁飲料、スープ、味噌汁、シチュウ、カレー、又はグラタンである請求項5に記載の液状食品。
【請求項7】
液状食品用増粘組成物の製造方法であって、キサンタンガム、カラギナン、及びデキストリンからなる粉粒体原料を流動層となし、クエン酸三ナトリウムを含むバインダー液を噴霧し、該粉粒体原料を造粒物とし、該造粒物を乾燥することを特徴とする、液状食品用増粘組成物の製造方法。
【請求項8】
液状食品用増粘組成物の用途が嚥下・咀嚼補助用である請求項7に記載の製造方法。
【請求項9】
液状食品が流動食、牛乳、乳飲料、乳酸菌飲料、果汁飲料、スープ、味噌汁、シチュウ、カレー、又はグラタンである請求項7又は8に記載の製造方法。
【請求項10】
液状食品用増粘組成物の製造方法であって、クエン酸三ナトリウム、キサンタンガム、カラギナン、及びデキストリンからなる粉粒体原料を流動層となし、バインダー液を噴霧し、該粉粒体原料を造粒物とし、該造粒物を乾燥することを特徴とする、液状食品用増粘組成物の製造方法。
【請求項11】
バインダー液が水である請求項10に記載の製造方法。
【請求項12】
液状食品用増粘組成物の用途が嚥下・咀嚼補助用である請求項10又は11に記載の製造方法。
【請求項13】
液状食品が流動食、牛乳、乳飲料、乳酸菌飲料、果汁飲料、スープ、味噌汁、シチュウ、カレー、又はグラタンである請求項10〜12のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項14】
キサンタンガム、カラギナン、及びデキストリンを含んでなる粉粒体原料から流動層造粒するための、クエン酸三ナトリウムからなる、流動層造粒用バインダー剤。
【請求項15】
キサンタンガム、カラギナン、及びデキストリンを含んでなる粉粒体原料から流動層造粒するための、クエン酸三ナトリウム水溶液からなる、流動層造粒用バインダー液。
【請求項16】
キサンタンガム、カラギナン、デキストリン、及びクエン酸三ナトリウムを含んでなる、流動層造粒用の粉粒体原料混合物。
【請求項17】
請求項1〜4の何れかに記載の液状食品用増粘組成物を液状食品に添加して、増粘された液状食品を製造する方法。
【請求項18】
請求項7〜13の何れかに記載の製造方法によって製造された液状食品用増粘組成物を液状食品に添加して、増粘された液状食品を製造する方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−55(P2009−55A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−164658(P2007−164658)
【出願日】平成19年6月22日(2007.6.22)
【出願人】(000006127)森永乳業株式会社 (269)
【Fターム(参考)】