説明

液面レベル調整装置及び包装充填装置

【課題】流量調節弁を適切な流量を調節することができ、迅速に調節できる液面レベル調整装置及びその包装充填装置を提供する。
【解決手段】チューブ状包装材料内に充填パイプから液体食品を充填する包装充填装置において、液面レベルを調整する装置であって、液面レベルを検知するセンサと、状況係数及び環境数式に基づいて、流量調節信号を出力する制御手段と、流量調節弁を開閉し充填パイプの流量を調節する流量調節手段と、状況係数及び環境数式を判定し、判定信号を出力する判定手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流動性食品などが充填された垂直状チューブ包装材料を容器毎に横シールして切断して容器とする包装充填装置において、チューブ内の液体食品の液面を所定レベルに調整する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発酵乳飲料、牛乳、ミネラルウォーター、茶、ジュース、スープ、アルコール類等の流動食品を収容する包装容器を製造する場合、ウェブ状(帯状)の包装積層材料が使用され、包装積層材料がヒートシール、超音波シール等によってシールされることにより、包装容器が形成される。例えば、包装充填装置において、包装積層材料をチューブ状に成形し、縦シール装置によって長手方向(縦方向)にシールした後、チューブ状の包装積層材料の中に液体食品を充填しながら、横シール装置によって横方向にシールして切断し、枕状の予備成形容器を形成し、予備成形容器を更に最終形状に成形して包装容器を完成させる。
【0003】
図2は、包装充填装置の一例を示す概略斜視図である。ウェブ状の包装積層材料1は、リールの状態で包装充填装置に供給される。包装積層材料1は、紙基材、及び紙基材の両面にポリエチレン樹脂が積層された可撓性の積層体から成り、必要に応じて紙基材とフィルムとの間にアルミニウム箔、ガスバリヤ性樹脂等から成るバリヤ層が形成され、包装容器14の表面に相当する部分にあらかじめ文字や模様などが印刷されている。
【0004】
繰り出された包装積層材料1は、搬送手段としての送り装置によって連続的に搬送され、ベンディングローラ、ダンパローラ等を経て、ストリップ付着装置3に送られ、ストリップ付着装置によって包装積層材料1の一方の縁部に沿ってストリップ2が付着される。
【0005】
続いて、包装積層材料1は、必要に応じて、プルタブ付着装置によってプルタブが付着されてる。包装積層材料1は、殺菌槽4に送られ、殺菌槽4において過酸化水素等の殺菌液によって殺菌される。包装積層材料1は、エアナイフ5に送られ、エアナイフ5によって乾燥させられた後、無菌室40の室内に送られる。包装積層材料1は、成形リング6、その他の成形リングによって徐々に変形させられてチューブ状の形状に形成される。
包装積層材料1は、縦シール装置の予熱手段8からのホットエアーによって予熱されて、縦方向にシールされ、充填パイプ7を介して供給された流動性食品がチューブ状包装積層材料1内に充填される。
【0006】
チューブ内の充填液の液面を所定レベルに調整する装置に関して、図3に示すように、包装材料チューブ1内部に挿入された充填パイプ7の下端内部に設けられた弁と、弁より上方の充填パイプ7の外周面に上下方向に移動自在に嵌められている円筒状のフロートと、弁の揺動端とフロートとを連結している連結部材とを備えており、フロートの上下動にともなって弁を開閉することにより、充填液の液面を調整する装置例がある。(特許文献1参照)
図3の装置例では、チューブの内側に配されるフロート12にマグネットを取付け、これをチューブの外部から磁気検知器31で検出し、磁気検知器の出力信号に基づいて制御される流量制御弁32によって充填パイプ7に供給される充填液の流量を調整して液面レベル36を適正な位置に制御する装置33である。(特許文献1参照)
【0007】
チューブ状包装積層材料1は、図2に示すように、ローラによって案内され、横シール装置10に送られ、挟まれて横方向にシールされ、横シールされた包装積層材料は、ナイフなどで切断されて枕状の予備成形容器13が形成される。そして、予備成形容器13は、最終成形搬送装置15によって搬送されて最終の形状に成形され、流動性食品を収容する包装容器14が完成する
【0008】
図4は、包装充填装置の別の例を示す概略斜視図である。
ウェブ状の包装積層材料1は、リールの状態で包装充填装置に供給される(図示せず)。包装積層材料1は、紙基材、及び紙基材の両面にポリエチレン樹脂が積層された可撓性の積層体から成り、必要に応じて紙基材とフィルムとの間にアルミニウム箔層が形成され、包装容器14の表面に相当する部分にあらかじめ文字や模様などが印刷されている。
【0009】
繰り出された包装積層材料1は、連続的に搬送され、包装積層材料1は、図4に示されるように、垂直に立ち上がりながら、二つ折りにされる。
二つ折りの帯状包装材料1は、緩やかなカーブを描きながら、上端に達して、同様に緩やかなカーブを描いて下方に向かい、充填、縦シール、横シール工程の上端に達する。
上記の充填、縦シール、横シールの上端から、垂直に、二つ折りの帯状包装材料1は下方に搬送される。
上部で、二つ折りの帯状包装材料1(扁平チューブ状包装積層材料)の一端の開放部分から、充填パイプ7を介して、液状ヨーグルト、牛乳、ミネラルウォーター、茶、ジュース、スープ、アルコール類等の流動食品が二つ折りの帯状包装材料1の内部に流し込まれる。
包装積層材料1は、更に、縦シール装置8によって縦方向にシールされる。
【0010】
チューブ内の充填液の液面を所定レベルに調整する装置は、充填パイプ7の吐出口(図4に図示せず)、パイプの途中またはパイプの上流に、設けられた流量調節弁と、充填液の液面を検知するセンサと、センサからの入力信号を受信して所定の出力を送信する制御手段とからなる。
例えば、チューブの内側に配されるフロートにマグネットを取付け、これをチューブの外部から磁気検知器で検出し、磁気検知器の出力信号に基づいて制御される流量制御弁によって充填パイプに供給される充填液の流量を調整して液面レベルを適正な位置に制御する。
【0011】
図4の部分断面図Aに示す扁平チューブ状包装積層材料1は、ローラ等によって案内され、横シール装置10に送られ、挟まれて横方向にシールされ、横シールされた包装積層材料は、ナイフなどで切断されて予備成形容器13が形成される。そして、予備成形容器13は、最終の形状に成形され、流動性食品を収容する包装容器14が完成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】実開平1ー82102号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上述の液面レベル調整において、液面レベルを検知しても、流量調節弁が適切に流量を調節できない(弁開閉度の調節が十分でない)不応答性がある。これは、液面レベルが下がり又は上がり、充填液が不足しもしくは過剰になり、その不足・過剰を是正するために、流量調節弁が開閉する。しかし、応答性が悪いために、開閉して直ちに上記の不足・過剰が是正されない不都合がある。
この様な不都合は、流量調節弁から充填パイプ7の吐出口までのパイプの距離が長い場合、包装充填装置の運転開始時、運転の一時停止後の再開時、充填する流動・液体性食品が粘性であったり、固形粒や繊維、粉砕果実や野菜などを固形分を含む飲料であるとき、また、ホイップなど微細気泡を含む乳飲料であるときに、更に、図4に示すような包装充填装置のチューブ状包装材料の横断面形状が扁平である充填システムであるときに、特に応答性が悪い。
従来の液面レベル調整では、応答性が悪い場合に、経験則から、操作員が流量調節弁の流量を手動で調整してる。
【0014】
本発明は、上述の不都合を解消して、液面レベルを検知した後、直ちに流量調節弁を適切に開閉し適切な流量を調節することができ、弁開閉度を十分に調節できる液面レベル調整装置及びその包装充填装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の液面レベル調整装置は、ウェブ状包装材料をチューブ状に成形し、包装材料の両端部でチューブの縦線方向に縦シールし、チューブ状包装材料内に充填パイプから液体食品を充填する包装充填装置において、チューブの内部に液体食品が所定液面レベルに充填されるように液面レベルを調整する装置であって、
液面レベルを検知してレベル信号を出力するセンサと、レベル信号を受信し、状況係数及び環境数式に基づいて、流量調節信号を出力する制御手段と、流量調節信号を受信し、流量調節弁を開閉し充填パイプの流量を調節する流量調節手段と、状況係数及び環境数式を判定し、判定信号を制御手段に出力する判定手段とを備える、ことを特徴とする。
【0016】
この発明の好ましい態様において、判定手段が、例えば、品種、粘稠度、固形含量、比重、温度、気泡度などの被充填液体のパラメータに、並びに、例えば、包装充填装置の運転開始時、運転のショートストップやロングストップ等の一時停止後の再開時などの種々の運転状況に、応じた状況係数及び環境数式を判定する。
【0017】
この発明の好ましい態様において、チューブ状包装材料の横断面形状が扁平である。
【0018】
この発明の好ましい態様において、判定手段が判定する環境数式が、下記(1)に示される:
y=ax+b ‥‥ (1)
(式中、yは流量調節信号の強度、aは状況係数、xはレベル信号の強度、bは調整定数である)
【0019】
本発明の包装充填装置は、ウェブ状包装材料をチューブ状に成形し、包装材料の両端部でチューブの縦線方向に縦シールし、チューブ状包装材料内に充填パイプから液体食品を充填する包装充填装置において、チューブの内部に液体食品が所定液面レベルに充填されるように液面レベルを調整する装置を有する包装充填装置であって、
液面レベルを調整する装置が、液面レベルを検知してレベル信号を出力するセンサと、レベル信号を受信し、状況係数及び環境数式に基づいて、流量調節信号を出力する制御手段と、流量調節信号を受信し、流量調節弁を開閉し充填パイプの流量を調節する流量調節手段と、状況係数及び環境数式を判定し、判定信号を制御手段に出力する判定手段とを備える、ことを特徴とする。
【0020】
この発明の好ましい態様において、判定手段が、例えば、品種、粘稠度、固形含量、比重、温度、気泡度などの被充填液体のパラメータに応じた状況係数及び環境数式のデータベスを備え、並びに、例えば、包装充填装置の運転開始時、運転のショートストップやロングストップ等の一時停止後の再開時などの種々の運転状況に応じた状況係数及び環境数式のデータベスを備え、上記データベースに照会し最適な状況係数及び環境数式を選択、判定する。
【0021】
この発明の更に好ましい態様において、判定手段が、状況係数及び環境数式のデータベスを絶えず若しくは適宜、更新する。
【発明の効果】
【0022】
この発明による液面レベル調整装置及びその包装充填装置は、ウェブ状包装材料をチューブ状に成形し、包装材料の両端部でチューブの縦線方向に縦シールし、チューブ状包装材料内に充填パイプから液体食品を充填する包装充填装置において、チューブの内部に液体食品が所定レベルに充填されるように液面レベルを調整する。
この装置において、帯状包装積層材料が連続的に装置に供給され、連続的にチューブの内部に液体食品が所定レベルに充填されるように液面レベルが調整され、内容物が充填され成形された容器が製造される。
【0023】
この発明による液面レベル調整装置は、液面レベルを検知してレベル信号を出力するセンサと、レベル信号を受信し、状況係数及び環境数式に基づいて、流量調節信号を出力する制御手段と、流量調節信号を受信し、流量調節弁を開閉し充填パイプの流量を調節する流量調節手段と、状況係数及び環境数式を判定し、判定信号を制御手段に出力する判定手段とを備える。
センサが、チューブの内部に充填された液体食品の上端の液面の高さ位置(レベル)を検知しそのレベルを計測する。更に、センサは計測されたレベルの電子データをレベル信号として送信(出力)する。
判定手段は、状況係数及び環境数式を判定し、判定信号を制御手段に前もって出力する。
状況係数及び環境数式は、包装充填装置の運転状況と、液体食品を包装充填する包装材料の条件と、装置において包装材料で包装充填される液体食品の種々のパラメータとによって、適切に選定され、判定され、決定される。
制御手段は、センサからのレベル信号を受信し、状況係数及び環境数式に基づいて、流量調節手段に流量調節信号を出力する。
状況係数及び環境数式に基づいて信号が出力されるので、適切な液面レベルの制御を可能にする。
【0024】
この発明の好ましい態様において、判定手段が、例えば、品種、粘稠度、固形含量、比重、温度、気泡度などの被充填液体のパラメータに、並びに、例えば、包装充填装置の運転開始時、運転のショートストップやロングストップ等の一時停止後の再開時などの種々の運転状況に、応じた状況係数及び環境数式を判定する。
例えば、比較的にドロドロした液状ヨーグルトなど品種では、液面レベルが低下して流量調節弁を広く開けてもその特性から容易にパイプ内を移送することができず迅速に液面レベルを上げることができないが、そのような場合、流量調節弁を更に開放して移送圧力を高め迅速に液面レベルを高めることを可能にする。また、粘稠度の高い果汁の場合も同様に、液面レベルが低下すると流量調節弁を標準よりも開放して移送圧力を高め迅速に液面レベルを高めることを可能にする。固形含量が無く浸透性が高いアルコール飲料では液面レベルが低下しても流量調節弁を開放すれば容易に迅速に液面レベルを高めることができるので流量調節弁を標準よりも狭めて開放すればよい。温度が高い場合も流動性が一般的に高まるので同様に流量調節弁を標準よりも狭めて開放する。逆に、気泡度が高いホイップクリームでは、液面レベルが低下すると流量調節弁を標準よりも開放して移送圧力を高め迅速に液面レベルを高めることを可能にする。
【0025】
充填される液体食品の種々のパラメータについて上記に例示したが、包装充填装置の種々の運転状況についても同様にである。
例えば、包装充填装置の運転開始時には、一般的に、充填パイプ内に空洞や気泡が残存し、また、温度が低いために、容易にパイプ内を移送することができず迅速に液面レベルを上げることができないが、そのような場合、流量調節弁を更に開放して移送圧力を高め迅速に液面レベルを高めることを可能にする。
逆に、運転のショートストップ等の一時停止後の再開時では、一般的に、充填パイプ内に空洞や気泡が無く、装置全体が暖められ温度が高いことから、容易にパイプ内を移送することができ迅速に液面レベルを上げることができ、そのような場合、流量調節弁を標準よりも狭く開放しても比較的迅速に液面レベルを高めることができる。
【0026】
この発明の好ましい態様において、チューブ状包装材料の横断面形状が扁平である。
図4に例示すように、チューブ状包装材料の横断面形状が扁平である場合、充填体積及び充填断面積に比較して、充填食品液体と包装材料の内面との接触面積が広くなる。従って、充填される液体食品の種々のパラメータや、包装充填装置の種々の運転状況が、図2、3に例示すように、チューブ状包装材料の横断面形状が実質的に円形である場合と比較して、大きく影響する。この発明による液面レベル調整装置及びその包装充填装置がこの発明の作用効果に関して大きく貢献することができる。
【0027】
この発明の好ましい態様において、判定手段が判定する環境数式が、下記一次式(1)に示される:
y=ax+b ‥‥ (1)
(式中、yは流量調節信号の強度、aは状況係数、xはレベル信号の強度、bは調整定数である)
一次式にすることによって、状況係数の最適化を容易にすることができる。
高次なシミュレーションを利用して、高次式を用い、より精度の高い最適化を図ることもできる。
【0028】
この発明の好ましい態様において、判定手段が、例えば、品種、粘稠度、固形含量、比重、温度、気泡度などの被充填液体のパラメータに応じた状況係数及び環境数式のデータベースを備え、並びに、例えば、包装充填装置の運転開始時、運転のショートストップやロングストップ等の一時停止後の再開時などの種々の運転状況に応じた状況係数及び環境数式のデータベスを備え、上記データベースに照会し最適な状況係数及び環境数式を選択、判定する。
上記のデータベースは、概ね、運転操作の経験/ノウハウから得られることが多い。経験のある操作員、オペレータなどが不在でも、新人、不慣れな操作員であっても、適切な運転操作が可能になる。
【0029】
上記態様において、判定手段が、状況係数及び環境数式のデータベスを絶えず若しくは適宜、更新する。
この更新によって、自動化されて優れた運転操作が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】この発明による一実施例の液面レベル調整装置の状況係数及び環境数式の一例を示す線図である。
【図2】この発明に使用できる包装充填装置の一例を示す概略斜視図である。
【図3】従来態様の液面レベル調整装置の側面断面図である。
【図4】この発明に使用できる包装充填装置の他の例における、この発明による実施例の液面レベル調整装置の概略を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図2は、包装充填装置の一例を示す概略斜視図である。ウェブ状の包装積層材料1は、連続的に搬送され、ストリップ付着装置3に送られ、ストリップ付着装置によって包装積層材料1の一方の縁部に沿ってストリップ2が付着される。包装積層材料1は、殺菌槽4において過酸化水素等の殺菌液によって殺菌され、無菌室40の室内に送られる。包装積層材料1は、成形リングによって徐々に変形させられてチューブ状の断面円形状に形成される。
包装積層材料1は、縦シール装置の予熱手段8によって予熱されて、縦方向にシールされ、充填パイプ7を介して供給された流動性食品がチューブ状包装積層材料1内に充填される。
【0032】
上述のように、この態様による液面レベル調整装置及びその包装充填装置は、チューブの内部に液体食品が所定レベルに充填されるように液面レベルを調整する。
【0033】
チューブ状包装積層材料1は、図2に示すように、横シール装置10で横方向にシールされ、横シールされた包装積層材料は、切断されて枕状の予備成形容器13が形成される。予備成形容器13は、最終成形搬送装置15によって搬送されて最終の形状に成形され、流動性食品を収容する包装容器14が完成する
【0034】
図4は、包装充填装置の別の例を示す概略斜視図である。
包装積層材料1は、連続的に搬送され、図4に示されるように、垂直に立ち上がりながら、二つ折りにされる。
二つ折りの帯状包装材料1は、緩やかなカーブを描きながら、上端に達して、同様に緩やかなカーブを描いて下方に向かい、充填工程の上端に達する。二つ折りの帯状包装材料1は垂直に下方に搬送される。
まず、上部で、二つ折りの帯状包装材料1(扁平チューブ状包装積層材料)の一端の開放部分から、充填パイプ7を介して、流動食品が二つ折りの帯状包装材料1の内部に流し込まれる。
包装積層材料1は、縦シール装置8によって縦方向にシールされ、充填パイプ7を介して流動性食品が二つ折りチューブ1内に充填される。
【0035】
図4に示す態様による液面レベル調整装置は、液面レベルを検知してレベル信号を出力するセンサ41と、レベル信号を受信し、状況係数及び環境数式に基づいて、流量調節信号を出力する制御手段42と、流量調節信号を受信し、タンク45の下流の流量調節弁を開閉し充填パイプの流量を調節する流量調節手段43と、状況係数及び環境数式を判定し、判定信号を制御手段に出力する判定手段44とを備える。
センサ41が、チューブの内部に充填された液体食品の上端の液面(図示せず)の高さ位置(レベル)を検知しそのレベルを計測する。更に、センサ41は計測されたレベルの電子データをレベル信号として送信する。
【0036】
判定手段44は、状況係数及び環境数式を判定し、判定信号を制御手段42に前もって出力する。
状況係数及び環境数式は、包装充填装置の運転状況と、液体食品を包装充填する包装材料の条件と、装置において包装材料で包装充填される液体食品の種々のパラメータとによって、適切に選定され、判定され、決定される。
制御手段は、センサからのレベル信号を受信し、状況係数及び環境数式に基づいて、流量調節手段に流量調節信号を出力する。
状況係数及び環境数式に基づいて信号が出力されるので、適切な液面レベルの制御を可能にする。
【0037】
この態様において、判定手段44が、充填される液体の品種、粘稠度、固形含量、比重、温度、気泡度などの被充填液体のパラメータに、並びに、包装充填装置の運転開始時、運転のショートストップやロングストップ等の一時停止後の再開時などの種々の運転状況に、応じた状況係数及び環境数式を判定する。
液状ヨーグルトなどの発酵乳の品種では、液面レベルが低下して流量調節弁を広く開けてもその特性から容易にパイプ内を移送することができず迅速に液面レベルを上げることができない。この態様では、流量調節弁を更に広く開放して移送圧力を高め迅速に液面レベルを高める。粘稠度の高い濃厚な果汁の場合も同様に、液面レベルが低下すると流量調節弁を標準よりも開放して移送圧力を高め迅速に液面レベルを高める。固形含量が無く浸透性が高いアルコール飲料では液面レベルが低下しても流量調節弁を開放すれば容易に迅速に液面レベルが上昇する。従って、流量調節弁を標準よりも狭めて開放する。温度が高い場合は、流動性が一般的に高まり、流量調節弁を標準よりも狭めて開放する。気泡度が高いホイップでは、液面レベルが低下すると流量調節弁を標準よりも開放して移送圧力を高め迅速に液面レベルを高める。
【0038】
包装充填装置の種々の運転状況については、包装充填装置の運転開始時には、充填パイプ内に空洞や気泡が残存し、また、温度が低く、容易にパイプ内を移送することができず迅速に液面レベルを上がらない。この態様では、流量調節弁を更に開放して移送圧力を高め迅速に液面レベルを上昇させる。
逆に、運転の一時停止後の再開時では、充填パイプ内に空洞や気泡が無く、装置全体が暖められ温度が高いことから、容易にパイプ内を移送することができ迅速に液面レベルを上げることができるので、この態様では、流量調節弁を標準よりも狭く開放しても比較的迅速に液面レベルを上げる。
【0039】
図4に例示すように、チューブ状包装材料の横断面形状が扁平である態様では、充填体積及び充填断面積に比較して、充填食品液体と包装材料の内面との接触面積が広くなる。しかし、この態様による液面レベル調整によって、大きく改善される。
【0040】
この態様において、判定手段が判定する環境数式が、図1の線図に示す下記一次式(1)に示される:
y=ax+b ‥‥ (1)
(式中、yは流量調節信号の強度、aは状況係数、xはレベル信号の強度、bは調整定数である)
図1の線図に示す状況係数及び環境数式の例示では、調整定数bが実質的にゼロであるが、G−1の状況及び環境では、状況係数aが大きく、センサからの低いレベル信号であっても、高い流量調節信号を、すなわちより多くのより高い圧力の液体を流すように出力する。一方、G−2の状況及び環境では、状況係数aが小さく、センサからの高いレベル信号であっても、低い流量調節信号を、すなわちより少なく、より低い圧力の液体を流すように出力する。このように、異なる状況係数aを持つ。
一次式にすることによって、状況係数の最適化を容易にする。
【0041】
この態様において、判定手段44が、被充填液体のパラメータに応じた状況係数及び環境数式のデータベースを備え、並びに、包装充填装置の種々の運転状況に応じた状況係数及び環境数式のデータベスを備え、上記データベースに照会し最適な状況係数及び環境数式を選択、判定する。
上記のデータベースは、運転操作の経験/ノウハウから得られるので、経験のあるオペレータなどが不在でも、適切な運転操作となる。
更にこの態様において、判定手段44が、状況係数及び環境数式のデータベスを絶えず若しくは適宜、更新する。この更新によって、より優れた運転操作が可能になる。
【0042】
図4に示す扁平チューブ状包装積層材料1は、ローラ等によって案内され、横シール装置10に送られ、挟まれて横方向にシールされ、横シールされた包装積層材料は、ナイフなどで切断されて予備成形容器13が形成される。そして、予備成形容器13は、最終成形搬送装置によって搬送されて最終の形状に成形され、流動性食品を収容する包装容器14が完成する。
【0043】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0044】
この発明の液面レベル調整装置によって、牛乳、ジュース、ミネラルウォーターなどの飲料、流動食品などの包装容器を製造することができる。
【符号の説明】
【0045】
1 包装積層材料
7 充填パイプ
41 センサ
42 制御手段
43 流量調節手段
44 判定手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェブ状包装材料をチューブ状に成形し、該包装材料の両端部で該チューブの縦線方向に縦シールし、該チューブ状包装材料内に充填パイプから液体食品を充填する包装充填装置において、該チューブの内部に該液体食品が所定液面レベルに充填されるように液面レベルを調整する装置であって、
該液面レベルを検知してレベル信号を出力するセンサと、該レベル信号を受信し、状況係数及び環境数式に基づいて、流量調節信号を出力する制御手段と、該流量調節信号を受信し、流量調節弁を開閉し該充填パイプの流量を調節する流量調節手段と、該状況係数及び該環境数式を判定し、判定信号を該制御手段に出力する判定手段とを備える、ことを特徴とする液面レベル調整装置。
【請求項2】
該判定手段が、充填される該液体食品のパラメータに、並びに、該包装充填装置の種々の運転状況に、応じた該状況係数及び該環境数式を判定する、請求項1記載の液面レベル調整装置。
【請求項3】
該チューブ状包装材料の横断面形状が扁平である、請求項1記載の液面レベル調整装置。
【請求項4】
該判定手段が判定する該環境数式が、下記(1)に示される:
y=ax+b ‥‥ (1)
(式中、yは該流量調節信号の強度、aは該状況係数、xは該レベル信号の強度、bは調整定数である)
、請求項1記載の液面レベル調整装置。
【請求項5】
ウェブ状包装材料をチューブ状に成形し、該包装材料の両端部で該チューブの縦線方向に縦シールし、該チューブ状包装材料内に充填パイプから液体食品を充填する包装充填装置において、該チューブの内部に該液体食品が所定液面レベルに充填されるように該液面レベルを調整する装置を有する包装充填装置であって、
該液面レベルを調整する装置が、該液面レベルを検知してレベル信号を出力するセンサと、該レベル信号を受信し、状況係数及び環境数式に基づいて、流量調節信号を出力する制御手段と、該流量調節信号を受信し、流量調節弁を開閉し該充填パイプの流量を調節する流量調節手段と、該状況係数及び該環境数式を判定し、判定信号を該制御手段に出力する判定手段とを備える、ことを特徴とする包装充填装置。
【請求項6】
該判定手段が、充填される該液体食品のパラメータに応じた該状況係数及び該環境数式のデータベスを備え、並びに、該包装充填装置の種々の運転状況に応じた該状況係数及び該環境数式のデータベスを備え、上記データベースに照会し最適な該状況係数及び該環境数式を選択、判定する、請求項5記載の液面レベル調整装置。
【請求項7】
該判定手段が、該状況係数及び該環境数式の該データベスを絶えず若しくは適宜、更新する、請求項5記載の液面レベル調整装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−14355(P2013−14355A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−147793(P2011−147793)
【出願日】平成23年7月2日(2011.7.2)
【出願人】(000229232)日本テトラパック株式会社 (259)
【Fターム(参考)】