説明

液面計、液面計を備えた低温恒温槽及び液面計を備えた超電導磁石

【課題】単一種類の液面センサで複数種類の低温冷媒の液面を評価可能であると共に配線ケーブル経由の熱浸入量を最小とする液面計を実現する。
【解決手段】抵抗R1〜Rkとバイメタル金属BM−1〜BM−kを互いに並列に接続した、複数の気相液相判定ユニット5−1〜5−kを互いに直列に接続し、ユニット5−1〜5−kにおける全体抵抗値を抵抗算出部13にて算出する。算出した抵抗値の微分値を微分演算部14で演算し、演算した微分値の時間変化を表示部15で表示する。表示された微分値から液面を判断することができる。電流ケーブル1は、ユニット5−1〜5−kの数に関係なく2本、電圧ケーブル2もユニットの数に関係なく2本であるので、ユニット5−1〜5−kの数に関係無く、ケーブル数を合計4本で液面計を実現することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低温恒温槽に充填した液体ヘリウムや液体窒素などの低温冷媒の液面レベルを検出する液面計に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、液体ヘリウム専用の液面計としては、液体ヘリウムの沸点より僅かに高い温度で常電導から超電導に遷移するNbTi(ニオブチタン)を利用した液面計が使用されている。
【0003】
この液面系計においては、NbTi製の超電導線材に予め設定しておいた電流を通電し、通電中の両端電圧を計測して超電導線材の抵抗を算出する。超電導線材のうち液体ヘリウムに浸っている部分は電気抵抗が零となるが、ヘリウム液面より上の気相にある部分は通電による発熱で昇温して常電導状態となり有限な抵抗が発生する。この現象を利用して、電流と電圧測定値から抵抗値を算出することにより、液体ヘリウムの液面レベルを連続的に評価することができる。
【0004】
このような、液体ヘリウム専用の液面計に関する公知技術としては、特許文献1に記載された技術がある。
【0005】
また、液体窒素専用の液面計として、液体窒素の沸点77Kより対して78K〜100Kの温度で常電導から超電導に遷移するY−Ba−Cu−O系やBi−Sr−Ca−Cu−O系の酸化物超電導体を利用することに関する公知技術として特許文献2に記載された技術がある。
【0006】
【特許文献1】特開平6−307914号公報
【特許文献2】特開平3−102221号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、例えば、超電導コイルを収容する低温恒温槽にあっては、一つの容器内で複数種類の低温冷媒が互いに入れ替えられる場合がある。
【0008】
一つの恒温槽内で複数種類の低温冷媒が互いに入れ替えられる場合、上記特許文献1や特許文献2に記載された技術のような超電導体を用いた液面計で液面を評価するときには、冷媒の種類によって沸点が異なるため、その恒温槽で使用する冷媒の数だけ液面計を設置する必要がある。
【0009】
例えば、液体ヘリウム温度で使用する恒温槽に最初から液体ヘリウムを充填すると液体ヘリウムの気化量が大きいので、まず、液体窒素を恒温槽に充填して予備冷却してから、その後、液体窒素を槽外に排出し、恒温槽内部が冷えた状態で液体ヘリウムを充填することが多い。
【0010】
このように、一つの恒温槽で液体窒素と液体ヘリウムの両方を使用する場合に、両冷媒の液面を超電導材の液面計で評価するためには、液体窒素用の液面センサと液体ヘリウム用の液面センサの両方を設置しなければならない。
【0011】
そこで、温度計式の液面計を使用すれば、複数種類の冷媒を用いる場合でも、単一の液面センサで各冷媒の液面評価が可能である。
【0012】
しかしながら、温度形式の液面計の場合、複数の温度計を使用しなければならず、各温度計の温度を個別に評価しなければならない。この場合、温度計の数に対応した計測配線が必要となる。
【0013】
このため、温度計として白金抵抗を使用することが考えられる。白金抵抗を使用すれば、電流ケーブルは温度計の数に係わらず2本1組でよいが、電圧計測線は各抵抗の端子電圧を測定する必要があるので、温度計設置数の2倍の本数のケーブルが必要となる。
【0014】
恒温槽内部は、低温環境下となるのでケーブル経由で槽内に浸入する熱量を考慮する必要があり、ケーブルの本数が多いと外部から恒温槽内部への熱浸入量も大きくなるという問題がある。また、液面センサを設置する作業の観点から考えても、ケーブル配線が多ければ作業量は増大するという問題がある。
【0015】
本発明の目的は、単一種類の液面センサで複数種類の低温冷媒の液面を評価可能であるとともに、配線ケーブル経由の熱浸入量を最小とすることができる液面計、この液面計を備えた低温恒温槽を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するため、本発明は次のように構成される。
【0017】
本発明の液面計は、熱膨張係数が互いに異なる2種類の部材を互いに貼り合わせた接点部材と、この接点部材に対向して配置された導電部材と、接点部材及び導電部材に並列に接続された抵抗素子とを有し、温度に従って上記接点部材と導電部材とが互いに接触、非接触となる気相液相判定ユニットが複数個互いに直列に接続された液面センサと、上記直列接続された複数の気相液相判定ユニットの全体の抵抗値を測定し、測定した上記抵抗値の時間微分値を算出し、算出した上記抵抗値の時間微分値を表示する計測表示部とを備える。
【0018】
また、本発明の低温恒温槽は、低温冷媒が収容される密閉容器と、上記密閉容器内に配置され、熱膨張係数が互いに異なる2種類の部材を互いに貼り合わせた接点部材と、この接点部材に対向して配置された導電部材と、接点部材及び導電部材に並列に接続された抵抗素子とを有し、温度に従って上記接点部材と導電部材とが互いに接触、非接触となる気相液相判定ユニットが複数個互いに直列に接続され、上記密閉容器内に収容された低温冷媒の液体の液面上昇方向に沿って配置される液面センサと、上記密閉容器外に配置され、上記直列接続された複数の気相液相判定ユニットの全体の抵抗値を測定し、測定した上記抵抗値の時間微分値を算出し、算出した上記抵抗値の時間微分値を表示する計測表示部とを備える。
【0019】
また、本発明の垂直型MRI用超電導磁石は、連結部により互い連結されて上下方向に互いに離間して配置され、それぞれ一個以上の超電導コイルを収容するヘリウム容器を有し、上記ヘリウム容器内に配置され、熱膨張係数が互いに異なる2種類の部材を互いに貼り合わせた接点部材と、この接点部材に対向して配置された導電部材と、接点部材及び導電部材に並列に接続された抵抗素子とを有し、温度に従って上記接点部材と導電部材とが互いに接触、非接触となる気相液相判定ユニットが複数個互いに直列に接続され、上記ヘリウム容器内に収容された液体ヘリウムの液面上昇方向に沿って配置される液面センサと、上記ヘリウム容器外に配置され、上記直列接続された複数の気相液相判定ユニットの全体の抵抗値を測定し、測定した上記抵抗値の時間微分値を算出し、算出した上記抵抗値の時間微分値を表示する計測表示部とを備える。
【発明の効果】
【0020】
単一種類の液面センサで複数種類の低温冷媒の液面を評価可能であるとともに、配線ケーブル経由の熱浸入量を最小とすることができる液面計、この液面計を備えた低温恒温槽、垂直型MRI用超電導磁石を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して説明する。
【0022】
図1は、本発明の第1の実施形態である液面計を備えた低温恒温槽を説明するための概略断面図である。
【0023】
図1において、本発明の第1の実施形態による液面計は、大きく分けると、低温冷媒が収容される密閉容器(恒温槽)6内に設置した液面センサ5(5−1〜5−k)と、密閉容器6外部で使用する計測・表示装置10との2つの部分から構成される。
【0024】
液面センサ5は、気相液相判定ユニット(5−1〜5−k)を互いに直列に接続し、両端に電流を印加するための電流線(ケーブル)1と、両端電圧を測定するための電圧計測線(ケーブル)2とを備えている。気相液相判定ユニット5−1〜5−kは、熱膨張係数が互いに異なる2種類の金属を貼り合わせた接点部材と、他の導電部材とを互いに対向させた構造で、この接点部材の温度により、導電部材と接点部材とが互いに接触、被接触となり、通電中に自身の発熱/冷却により電気接点としてのON/OFFを繰り返すバイメタル電極、若しくは、金属と樹脂材など熱膨張係数の異なる2種類の導電材料と絶縁材料とを貼り合わせた構造の異材電極BM−1〜BM−kと、電極ON状態のバイメタル金属の抵抗値RBMに対して十分に大きな抵抗R(R1〜Rk)とを、互いに並列に接続している。抵抗R1〜Rkは、それぞれ抵抗値が異なるものであり、この実施形態においては、R1<R2<R3<・・・<Rkとなっている。
【0025】
そして、複数個の気相液相判定ユニット5−1〜5−kは、密閉容器6内に収容された低温冷媒の液体の液面上昇方向に沿って配置される。
【0026】
電極BM−1がON状態の時のユニット5−1の抵抗RU1(ON)は、RU1(ON)=(R1×RBM)/(R1+RBM)なる式で表される。R1がRBMより十分に大きいので、(R1+RBM)≒R1と近似すれば、RU1(ON)≒RBMとなる。
【0027】
一方、BM−1がOFF状態のときのユニット5−1の抵抗RU1(OFF)は、RU1(OFF)=R1となる。ユニット5−1に電流を通電すると電極BM−1がON/OFF状態を繰り返すため、抵抗はRU1(ON)≒RBMとRU1(OFF)=R1の2つの値を交互に繰り返す。このときに、容器6の内部で、液面9より上の気相部8に位置するユニット5−1、5−2では、電極BM−1、BM−2で発生した熱は気相中へは逃げにくいので、電極BM−1、BM−2のON/OFF周期は早くなり、図1のグラフ1.1、1.2に示すように抵抗値の交代周期も早くなる(数秒の周期)。
【0028】
一方、液面9の下の液相部7に位置するユニット5−3〜5−kでは、電極BM−3〜BM−kで熱が発生しても液相部7へ熱が逃げ易いので、電極BM−3〜BM−kのON/OFF周期は遅くなり、図1のグラフ1.3、1.4に示すように抵抗値の交代周期も遅くなる(数十秒の周期)。
【0029】
本発明の第1の実施形態においては、液面センサ5の抵抗等の測定結果の画面表示を見て、冷媒の液面レベルを作業者が判断するタイプの計測・表示装置10である。以下に液面レベルの算出について説明する。
【0030】
通電・測定部11は、液面センサ5に予め定めておいた電流を通電し、電流通電時の電圧を測定する。そして、通電・測定部11の電圧計測値に基づいて、抵抗算出部13で液面センサ5、即ち、ユニット5−1〜5−kまでの全体抵抗を算出する。
【0031】
さらに、微分演算部14では、ユニット5−1〜5−kまでの全体抵抗の微分値を算出する。通電・測定部11の測定値、抵抗算出部13の抵抗算出結果、微分演算部14の微分演算結果の時間変化が記録部12に記録されるとともに、図1のグラフ1.5、1.6に示すような形態で、つまり、縦軸に抵抗値又は抵抗の微分値、横軸が時間を示すグラフが表示部15に表示される。
【0032】
図1のグラフ1.6の全体抵抗の微分値を作業者が見ると、ユニット5−2の電極BM−2と並列に接続した抵抗R2以下に相当する部分までの頻度が大きいが、抵抗R3以上の値を示す頻度が小さいことを知ることができる。したがって、このグラフ1.6の表示からユニット5−2およびユニット5−2より上に位置するユニット5−1は気相部8中にあり、ユニット5−3およびユニット5−3より下に位置するユニット5−4〜5−kは液相部7中にある、即ち、液面9はユニット5−2とユニット5−3との間に位置すると判断することができる。これは、容器6内に多種類の冷媒を用いた場合でも、単一種類のユニット5−1〜5−kにより液面レベルを検知することが可能である。
【0033】
また、電流ケーブル1は、ユニットの数に関係なく2本、電圧ケーブル2もユニットの数に関係なく2本であるので、ユニットの数に関係無く、ケーブル数を合計4本で液面計を実現することができる。
【0034】
以上のように本発明の第1の実施形態においては、抵抗とバイメタル金属を互いに並列に接続した、複数のユニット5−1〜5−kを互いに直列に接続し、ユニット5−1〜5−kにおける全体抵抗値の微分値の時間変化を画面表示している。
【0035】
したがって、単一種類の液面センサで複数種類の低温冷媒の液面を評価可能であるとともに、配線ケーブル経由の熱浸入量を最小とすることができる液面計、及びこの液面計を備えた低温恒温槽を実現することができる。
【0036】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。本発明の第2の実施形態は、容器内の低温冷媒の液面レベルを計測装置が自動判定する例である。
【0037】
図2は、本発明の第2の実施形態である液面計を備えた低温恒温槽の概略断面図である。図2において、気相液相判定ユニット5−1〜5−kからなる液面センサ5は、図1に記載のものと同等の構成を有する。第1の実施形態と第2の実施形態との相違点は、計測・表示装置の内部構成が互いに異なる点であり、その他の構成は同等となっている。
【0038】
通電・測定部21の測定値に基づき、抵抗算出部23と微分演算部24は、液面センサ5の全体抵抗及びその微分値を算出する。液面が8a〜8eの位置にある場合、全体抵抗の微分値は、図2のグラフ2.1〜2.5に示すようになる。
【0039】
全体抵抗の微分値をさらにRMS(Root Mean Square)演算、つまり二乗平均演算すると、図2のグラフ2.6における液面8a〜8eのRMSに示すように、各液面レベルに対応するRMS値は互いに交わることなく分かれて見える。
【0040】
したがって、適切な閾値を定めて、その閾値を閾値記憶部27に予め記憶させておき、RMS演算部25で算出したRMS値と記憶した閾値とを液面自動判定部28で比較することにより冷媒液面がどのユニットとどのユニットの間にあるのか自動判定できる。
【0041】
さらに、ユニット高さ記憶部26に各ユニット5−1〜5−kの設置高さを記憶させておけば、冷媒液面の高さを自動判定することが可能である。算出・判定した、全体抵抗、微分値、RMS、液面レベルなどは、記憶部22に記憶するとともに、表示部29で表示する。
【0042】
以上のように、本発明の第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様な効果を得ることができる他、自動的に容器6内の液面レベルを自動的に判断し、表示手段に表示することができる。
【0043】
図3は、本発明を超電導コイルの低温恒温槽に適用した場合の例の概略断面図であり、図4は、図3に示した例における計測・液面判定装置20の表示部に表示される画面表示例を示す図である。
【0044】
図3及び図4において、低温恒温槽31のトップフランジ32から吊り棒37を介して超電導コイル34が吊り下げられていて、トップフランジ32の下側には対流防止板38が取り付けられている。また、超電導コイル34の口出し線35は無酸素銅製でトップフランジ32を貫通するパワーリード36に接続されている。さらに、注液管39、給排気管40がトップフランジ32を貫通している。
【0045】
超電導コイル34を励磁するときには、低温恒温槽31内に液体ヘリウムを注液管39を介して注液して超電導コイル34を液体ヘリウム温度に冷却した状態にする。しかしながら、室温状態の低温恒温槽31に液体ヘリウムを直接充填すると、液体ヘリウムが恒温槽31を冷却する際に気化し、給排気管40を経由して恒温槽31外部に排出されるヘリウム量が大量になってしまう。
【0046】
そこで、高価な液体ヘリウムの消費量を抑えるために、まず、恒温槽31に安価な液体窒素を注入して予備冷却し、その後、液体窒素を恒温槽31から排出して、液体ヘリウムを注液する方法をとる。
【0047】
注液作業の最低液面は低温恒温槽31の底面である41のレベルになる。パワーリード36と液体冷媒が接すると恒温槽31外部からの熱侵入で液体冷媒の気化量が増加してしまう。このため、注液作業の最高液面はパワーリード36の下端である43のレベルにしている。また、励磁作業においては、超電導コイル34が全て液体ヘリウム中に浸漬していることが望ましいため、励磁作業の最低液面は超電導コイル34の上端である42のレベルとしている。
【0048】
励磁作業の最高液面は、注液作業と同じ理由で、パワーリード36の下端である43のレベルである。液体窒素の注排液作業、液体ヘリウムの注液作業、液体ヘリウムが注液された状態での励磁作業を通じて、冷媒の液面レベルを把握するために、気相液相判定ユニット51〜62で構成している液面センサ50が、低温恒温槽31に取り付けてある。
【0049】
なお、気相液相判定ユニット51〜62は高さ方向に等間隔には配置しておらず、注液作業の最低液面(ユニット51〜53)、励磁作業の最低液面(ユニット55〜58)、注液及び励磁作業の最高液面(ユニット60〜62)の近傍ではユニットを密に配置し、これ以外の高さではユニットを疎に配置している。
【0050】
つまり、複数の気相液相判定ユニット51〜62の密閉容器31内への互いの配置間隔は、密閉容器31内の予め定めた最高液面高さ43と、最低液面高さ41との位置の一定幅範囲内で、この一定範囲内以外の領域より小となっている。
【0051】
また、この液面センサ50には、図2に記載したものと同様な計測・液面判定装置20が接続されていて、自動判定した液面レベルを表示できるようにしている。
【0052】
以下、作業工程の順を追いながら本発明による液面計を備えた低温恒温槽について説明する。
【0053】
予備冷却の作業では、まず、注液管39を経由して液体窒素を低温恒温槽31に注液する。注液の最初では恒温槽の内壁温度が高いため、液体窒素は全て気化してしまい給排気管40を経由して窒素ガスとして排出される。液体窒素の気化熱により恒温槽下部内壁の温度が十分に下がると、液体窒素が貯まり始めるので、液面計50で液面レベルが確認できるようになる。
【0054】
しかしながら、注液管39に液体窒素ではなく冷えた窒素ガスだけが注入されているとか、注液管39の先端が恒温槽の底面41近くではなく超電導コイル42の上端より上に位置しているなどの不具合がある場合には、時間が経過しても液体窒素が貯まらないことがある。液体ヘリウム用の液面計しか備えていない低温恒温槽では液体窒素の液面を確認できないので、このような不具合が発生しても不具合に気づくのが遅れてしまうことがある。
【0055】
また、恒温槽31の底面に温度計を設置すれば液面の有無を確認できるが、温度計用の計測線が増加してしまう。
【0056】
上述したように、本発明の液面計では、計測線を増加することなく不具合の発生に早く気づくことができる。
【0057】
窒素注液初期作業で不具合が無ければ、液体窒素の液面は徐々に上昇してくる。例えば、液面がユニット58とユニット59との間にある場合の、計測・液面判定装置20の表示の一例が図4に示す例である。低温恒温槽31の断面概要図66が表示部に表示されていて、ユニット58及びその下方に位置するユニットは液相部にあると自動判定されるのでユニット58の設置位置を示す表示部67の内部を濃い色で彩色している。
【0058】
逆に、ユニット59及びその上方に位置するユニット60〜62は気相部にあると自動判定されるので、ユニット59の設置位置を示す表示部68は白抜きに表示している。表示画面中には符号69に示すような網掛けで液相部の判定結果を表示している。
【0059】
ただし、本発明によるユニット51〜62の設置位置ごとの離散的な液面レベルしか評価できないので、液面レベルは、ユニット58の設置位置を示す表示部67とユニット59の設置位置を示す表示部68の高さを斜めにつないだ表示としている。
【0060】
この表示例では、注液作業の最低液面(=恒温槽底面)を0.0%、注液及び励磁作業の最高液面を100.0%と表現している。液面数値表示部65には、液面レベルがユニット58の設置位置とユニット59の設置位置のどこかであるということを、%形式で表示している。
【0061】
予備冷却を続けると、液体窒素の液面は徐々に上昇していく。液面が最高液面に達したところ(満液状態)で注液を停めることが望ましいが、本発明とは異なり、液体ヘリウム用の液面計だけを備えている恒温槽では、窒素注液を作業者の感で停めるしかない。
【0062】
液面が低いところで停めてしまうと、予冷不十分になるし、逆に、液面を上げ過ぎると液体窒素を無駄に注液したことになるし、作業時間も無意味に長引いてしまうことになる。吊り棒37の最高液面位置に温度計を取り付ければ、温度計設置位置に液面が到達したことを検出できるが、温度計用の計測線が増加してしまう。
【0063】
本発明によれば、計測線を増加させること無く、液面が最高液面に到達したことを知ることが出来る。さらに、最高液面付近には判定ユニットを密に配してあるため、液面が最高液面に近づいていく様子を確認しながら、窒素注液の停止操作を確実に実施できる。
【0064】
液体窒素が最高液面43に達したら、低温恒温槽31の内面、及び、超電導コイル34などの内部機器が液体窒素温度(77K)まで冷却できたことになるので、液体窒素の排出作業に移る。
【0065】
低温恒温槽31とトップフランジ32とを気密状態にしておいて、給排気管40から窒素ガスのガス圧をかけると、液体窒素が注液管39を逆流するので液体窒素を恒温槽31の外部に排出できる。
【0066】
しかしながら、窒素の液面が注液管39の下端より低くなると、ガス圧をかけても残った液体窒素は排出できなくなる。槽31内に液体窒素が残留している状態で液体ヘリウムを注液すると、まず液体窒素が凝固して固体窒素となり、その後で低温恒温槽31内面の冷却が始まるので、液体ヘリウムの気化熱を無駄に消費してしまう。
【0067】
このため、窒素液面が注液管39の下端より低くなっても、給排気管40から室温に近い温度の窒素ガスを流入させ続け、残留した液体窒素を気化させ、窒素ガスの状態で注液管39から排出させる。
【0068】
本発明と異なり、液体ヘリウム用の液面計だけを備えている恒温槽では、窒素ガスの流入作業をいつまで続けて、いつ停止するのかについては、作業者の感で決めるしかない。窒素ガスの流入時間が短ければ液体窒素が残留して液体ヘリウムを無駄にしてしまうし、流入時間が長すぎればせっかく予備冷却した恒温槽内の温度が上昇してしまう。また、恒温槽の底面に温度計を設置すれば液体窒素の残留の有無を確認できるが、温度計用の計測線が増加してしまう。本発明の液面計では、計測線をふやすことなく液体窒素の残留の有無を確認できる。
【0069】
液体窒素の排出が終了した時点では、低温高温槽31内は窒素ガス雰囲気になっている。このままの状態で液体ヘリウムを注液すると、液体窒素や固体窒素ができてしまう怖れがあるので、給排気管40からヘリウムガスを流入させ、槽内をヘリウムガス雰囲気に置換する。ヘリウム置換が完了したら、注液管39を経由して液体ヘリウム注液を開始する。液体窒素の注液開始で説明したのと同様な不具合が発生しなければ、液体ヘリウムの注液を続けるにしたがって液面は上昇してくる。
【0070】
作業者が、注液をどこで停止するかを決める際に重要なのは、(1)ヘリウム液面が励磁作業の最低液面42より上であること、(2)ヘリウム液面が最高液面43より下であること、の2点である。
【0071】
本発明の液面計は離散式ではあるが、励磁作業の最低液面42及び最高液面43の近傍に気相液相判定ユニット55〜58及び60〜62を密に配置してあるため、上記2点については確実な判断が可能であり、連続式のヘリウム専用液面計と同等な検出精度を有する。
【0072】
液体ヘリウムの注液作業が完了したら、超電導コイル34の励磁作業を開始できる。励磁作業中の液面把握で重要なことは、液体ヘリウム注液の停止操作のとときに重要な2点と同じである。
【0073】
本発明の離散式液面計でも、この2点の判断が確実にできること、連続式液面計と同等な検出制度を有することも、液体ヘリウム注液の停止操作のときと同様である。
【0074】
次に、本発明を垂直型MRI(磁気共鳴イメージング)用超電導磁石に適用した場合について説明する。図5は、本発明を垂直型MRI用超電導磁石に適用した場合の例の概略断面図であり、図6は、図5に示した例における計測・液面判定装置20の表示部に表示される画面表示例を示す図である。
【0075】
図5及び図6において、垂直型MRI用超電導磁石は、上側超電導コイル75を収納した上部胴71と下側超電導コイル76を収納した下部胴72とが2つの連結部73、74で連結された構造をしている。注液作業のときは下部胴72の底面から上部胴71の天板付近まで液面レベルが変化するので、非常に広い範囲の液面変化を検出しなければならない。
【0076】
その一方で、超電導コイル75、76を励磁する励磁作業中においては、上部胴71の天板付近から上部コイル75上端付近の狭い範囲の液面変化を精度良く評価したいという作業者からの要求がある。
【0077】
本発明とは異なり、1本の液面センサのみを使用する場合は、広範囲と高精度を両立させることが難しいため、上部胴71側(および連結部73、74の上半分)用と下部胴72(および連結部73、74の下半分)用の2本の液面センサを適用する場合が多い。また、液面センサが故障して液面レベルの把握ができなくなると、上側超電導コイル75の上端が液体ヘリウムから露出していても作業者が気づくことが出来ない。
【0078】
しかし、MRI用超電導磁石のヘリウム容器は真空容器と輻射シールドの内側に設置してある場合が多いので、真空容器の内部に一旦設置した機器を補修することは非常に困難である。
【0079】
このため、一般的には、励磁作業に必須な上側液面センサについては予備品を含めて2本設置しておく場合が多い。さらに、液体ヘリウム用の超電導材(NbTi製)液面センサでは予備冷却に使用する液体窒素の液面は測定できないので、液体窒素の液面レベルを評価するためには、液体窒素用の液面センサを別途用意する必要があるという点は、一般的な低温恒温槽の場合と同様である。
【0080】
これらをまとめると、一般的には、垂直型MRI用超電導磁石のヘリウム容器に、上部胴に2本、下部胴に1本のNbTi製の液面センサと液体窒素用の液面センサで、合計4本の液面センサを設置している場合が多く、液面センサの数量が多いという問題がある。
【0081】
これに対して、本発明では、注液作業において広い範囲の液面変化を検出するための気相液相判定ユニット81〜89で構成されている全体液面センサ80と、励磁作業において上部胴71側の液面変化を高精度に検出するためのNbTi製の上側液面センサ77の両方を備えている。
【0082】
なお、全体液面センサ80の気相液相判定ユニットは高さ方向に等間隔には配置しておらず、注液作業の最低液面(ユニット81〜83)、励磁作業の最低液面及び最高液面(ユニット87〜89)の近傍ではユニットを密に配置し、これ以外の高さではユニットを疎に配置している。
【0083】
全体液面センサ80(ユニット81〜89)には、図2に記載したものと同様な計測・液面判定装置20が接続されており、自動判定した液面レベルを表示できる。また、上側液面センサ77は、NbTi製センサ用の計測・液面判定装置78が接続されている。
【0084】
図6は、液面がユニット83とユニット84の間にある場合の、計測・液面判定装置20の表示例である。図6において、ヘリウム容器の断面概要図92が表示されていて、ユニット83及びその下方に位置するユニット81、82は液相部にあると自動判定されるのでユニット83の設置位置を示す表示部93の内部を濃い色で彩色している。
【0085】
逆に、ユニット84及びその上方に位置するユニット85〜89は気相部にあると自動判定されるので、ユニット84の設置位置を示す表示部94は白抜きに表示している。図6中には95に示すような網掛けで液相部の判定結果を表示している。ただし、本発明によるユニットの設置位置ごとの離散的な液面レベルしか評価できないので、斜めにつないだ表示としている。
【0086】
この表示例では、注液作業の最低液面(=ヘリウム容器底面)を0.0%、最高液面を100.0%と表現している。液面数値表示部91の上段には、上側液面計による液面計測結果を示している。液体窒素の注排液作業中、及び、液体ヘリウムの注液作業中で液面が上側液面センサ77の下端未満の場合には、上側液面センサ77では液面を計測できないので「計測範囲外」という字句が濃く表示され、字句左側に丸印「○」が表示される。逆に、液体ヘリウムの液面が上側液面センサ77で計測できる場合には、「計測範囲内」という字句が濃く表示され、字句左側に丸印「○」が表示される。
【0087】
NbTi製の液面センサは連続式であり、液面評価値は一意となるので液面は単一の数字で表示できる。液面数値表示部91の中段には、全体液面計による液面計測結果を示している。また、垂直型MRI用超電導磁石のヘリウム容器は、高さによって水平断面積が大きく異なるので、液面高さが解っても液体冷媒の容積には直ぐには換算できない。
【0088】
そこで、高さ方向の水平断面積を予め記憶させておき、計測評価した液面高さから、現在の冷媒の液量と満液までに必要な予想液量を算出して液面数値表示部91の下段にその算出結果を表示している。
【0089】
本発明ではなく、一般的な装置では、上部胴に2本、下部胴に1本のNbTi製の液面センサと液体窒素用の液面センサで、合計4本の液面センサを要していたが、本発明では、上部胴に1本のNbTi製の液面センサと上下胴及び連結管全体を1本でカバーする離散型液面計の合計2本の液面センサで、一般的な装置と同等な精度の液面計測が可能となる。
【0090】
本発明によれば、単一種類の液面センサで複数の低温冷媒の液面を評価するとともに、配線ケーブル経由の熱浸入量を最小とする液面計を提供することができる。また、本発明によれば、上記液面計を備えることにより、液体窒素による予備冷却、および、液体ヘリウムによる本冷却での注排液作業を確実に遂行できる低温恒温槽を提供できる。さらに、本発明によれば、今までより少ない数量の液面センサで、励磁作業中に必要な高精度な液面計測と、注排液作業に必要な広範囲な液面計測を達成できる垂直型MRI用超電導磁石を提供することができる。
【0091】
図7及び図8は、本発明とは異なる例であり、本発明との比較例を図である。
【0092】
図7に示した例は、容器内の液面レベルを殆どカバーするための十分長い一つのNbTi製の超電導線材が用いられている。この超電導線材に予め設定しておいた電流を通電し、通電中の両端電圧を計測して超電導線材の抵抗を算出する。算出した抵抗値から液体ヘリウムの液面レベルを連続的に評価することができる。
【0093】
しかし、図7に示した液面検出計では、複数種類の低温冷媒毎に、複数種類の超電導線材を配置しなければならず、使用する低温冷媒によって、異なる超伝導線材を使用しなければならず、汎用的な装置を実現することができない。また、容器内外を貫通するケーブルの数も使用する冷媒の種類数により増加するため、熱侵入量が多くなる。
【0094】
図8に示した例は、複数の温度計を容器内に設置しておいて、各温度計の測定値と低温冷媒の沸点を比較することで冷媒の液面を離散的に評価する技術である。この技術は、低温恒温槽内に白金抵抗などの温度計PT−1〜PT−4を設置しておき、これらに低電流を流したときの各温度計の電圧を測定すると各温度計の抵抗値、すなわち各抵抗設置点における温度を評価できる。
【0095】
冷媒液面より下に位置する温度計は冷媒の沸点TBとほぼ等しい温度を示し、液面より上に位置する温度計は冷媒の沸点TBより高い温度を示す。このことから、現在の冷媒液面がどの温度計とどの温度計の間にあるのかを離散的に評価することが可能である。
【0096】
しかしながら、図8に示すように、各温度センサの両端電圧を測定する必要があり、設置された温度センサの数の2倍の数のケーブルが容器内外を貫通することになる。
【0097】
このような構成では、容器内への熱の侵入量が大きく、また、配線作業も増大する。
【0098】
図7、図8に示した比較例に対して、本発明は、一種類のセンサにより、複数種類の冷媒に対応可能で汎用性があり、さらに、センサの数を増加しても、容器内外を貫通するケーブルは、基本的に4本であるため、容器内への熱の侵入量を少量にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明の第1の実施形態である液面計を備えた低温恒温槽を示す概略断面図である。
【図2】本発明の第2の実施形態である液面計を備えた低温恒温槽を示す概略断面図である。
【図3】本発明を超電導コイルの低温恒温槽に適用した場合の例の概略断面図である。
【図4】図3に示した例における計測・液面判定装置の表示部に表示される画面表示例を示す図である。
【図5】本発明を垂直型MRI用超電導磁石に適用した場合の例の概略断面図である。
【図6】図5に示した例における計測・液面判定装置の表示部に表示される画面表示例を示す図である。
【図7】本発明との比較例であり、容器内の液面レベルを殆どカバーするための十分長い一つの超電導線材が用いられる例を示す図である。
【図8】本発明との比較例であり、複数の温度計を容器内に設置する例を示す図である。
【符号の説明】
【0100】
1・・・電流線、2・・・電圧線、5・・・液面センサ、5−1〜5−k、51〜61、81〜89・・・気相液相判定ユニット、6、31・・・容器(恒温槽)、7・・・液相部、8・・・気相部、9・・・液面、10・・・計測・表示装置、11、21・・・通電・測定部、12、22・・・記録部、13、23・・・抵抗算出部、14、24・・・微分演算部、15、29・・・表示部、20…計測・液面判定装置、25・・・RMS算出部、26・・・ユニット高さ記憶部、27・・・閾値記憶部、28・・・液面自動判定部、32・・・トップフランジ、34・・・超電導コイル、39・・・注射管、40・・・給排気管、71・・・上部胴、72・・・下部胴、73、74・・・連結部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱膨張係数が互いに異なる2種類の部材を互いに貼り合わせた接点部材と、この接点部材に対向して配置された導電部材と、接点部材及び導電部材に並列に接続された抵抗素子とを有し、温度に従って上記接点部材と導電部材とが互いに接触、非接触となる気相液相判定ユニットが複数個互いに直列に接続された液面センサと、
上記直列接続された複数の気相液相判定ユニットの全体の抵抗値を測定し、測定した上記抵抗値の時間微分値を算出し、算出した上記抵抗値の時間微分値を表示する計測表示部と、
を備えることを特徴とする液面計。
【請求項2】
請求項1記載の液面計において、上記接点部材は、熱膨張係数が互いに異なる2種類の金属を貼り合わせたバイメタル電極であることを特徴とする液面計。
【請求項3】
請求項1記載の液面計において、上記接点部材は、熱膨張係数が互いに異なる導電部材と絶縁部材とを貼り合わせた部材であることを特徴とする液面計。
【請求項4】
請求項1記載の液面計において、上記複数の気相液相判定ユニットの上記抵抗素子の抵抗値は、接続順に大又は小となっていることを特徴とする液面計。
【請求項5】
請求項4記載の液面計において、上記計測表示部は、上記液面センサに電流を供給する電流供給手段と、上記互いに直列接続された複数の気相液相判定ユニットの全体の両端電圧を測定する電圧測定手段と、上記電流供給される電流の値と上記電圧測定手段により測定された両端電圧とに基いて上記複数の気相液相判定ユニットの全体の抵抗値を算出する抵抗算出部と、この抵抗算出部により算出された上記全体抵抗値の時間微分値を演算する微分演算部と、この微分演算部により演算された上記全体抵抗値の時間微分値を表示する表示部とを有することを特徴とする液面計。
【請求項6】
請求項5記載の液面計において、上記計測表示部は、上記微分演算部により演算された微分値を二乗平均値を演算する二乗平均演算部と、この二乗平均演算部により演算された二乗平均値と予め定めた閾値とを比較し、液面高さを判定する液面高さ判定部とを有し、この液面高さ判定部により判定された液面高さを上記表示部に表示させることを特徴とする液面計。
【請求項7】
低温冷媒が収容される密閉容器と、
上記密閉容器内に配置され、熱膨張係数が互いに異なる2種類の部材を互いに貼り合わせた接点部材と、この接点部材に対向して配置された導電部材と、接点部材及び導電部材に並列に接続された抵抗素子とを有し、温度に従って上記接点部材と導電部材とが互いに接触、非接触となる気相液相判定ユニットが複数個互いに直列に接続され、上記密閉容器内に収容された低温冷媒の液体の液面上昇方向に沿って配置される液面センサと、
上記密閉容器外に配置され、上記直列接続された複数の気相液相判定ユニットの全体の抵抗値を測定し、測定した上記抵抗値の時間微分値を算出し、算出した上記抵抗値の時間微分値を表示する計測表示部と、
を備えることを特徴とする低温恒温槽。
【請求項8】
請求項7記載の低温恒温槽において、上記計測表示部は、上記液面センサに電流を供給する電流供給手段と、上記互いに直列接続された複数の気相液相判定ユニットの全体の両端電圧を測定する電圧測定手段と、上記電流供給される電流の値と上記電圧測定手段により測定された両端電圧とに基いて上記複数の気相液相判定ユニットの全体の抵抗値を算出する抵抗算出部と、この抵抗算出部により算出された上記全体抵抗値の時間微分値を演算する微分演算部と、この微分演算部により演算された上記全体抵抗値の時間微分値を表示する表示部とを有することを特徴とする低温恒温槽。
【請求項9】
請求項8記載の低温恒温槽において、上記計測表示部は、上記微分演算部により演算された微分値を二乗平均値を演算する二乗平均演算部と、この二乗平均演算部により演算された二乗平均値と予め定めた閾値とを比較し、液面高さを判定する液面高さ判定部とを有し、この液面高さ判定部により判定された液面高さを上記表示部に表示させることを特徴とする低温恒温槽。
【請求項10】
請求項9記載の低温恒温槽において、上記表示部は、判定された液面高さを上記密閉容器内に示した断面図と、上記判定された液面高さが予め定めた最高液面高さに対する割合とを表示することを特徴とする低温恒温槽。
【請求項11】
請求項9記載の低温高温槽において、上記複数の気相液相判定ユニットの上記密閉容器内への互いの配置間隔は、上記密閉容器内の予め定めた最高液面高さと、最低液面高さとの位置の一定幅範囲内で、この一定範囲内以外の領域より小となっていることを特徴とする低温恒温槽。
【請求項12】
請求項11記載の低温恒温槽において、この低温恒温槽は、超電導磁石を収容することを特徴とする低温恒温槽。
【請求項13】
連結部により互い連結されて上下方向に互いに離間して配置され、それぞれ一個以上の超電導コイルを収容するヘリウム容器を有する垂直型MRI用超電導磁石において、
上記ヘリウム容器内に配置され、熱膨張係数が互いに異なる2種類の部材を互いに貼り合わせた接点部材と、この接点部材に対向して配置された導電部材と、接点部材及び導電部材に並列に接続された抵抗素子とを有し、温度に従って上記接点部材と導電部材とが互いに接触、非接触となる気相液相判定ユニットが複数個互いに直列に接続され、上記ヘリウム容器内に収容された液体ヘリウムの液面上昇方向に沿って配置される液面センサと、
上記ヘリウム容器外に配置され、上記直列接続された複数の気相液相判定ユニットの全体の抵抗値を測定し、測定した上記抵抗値の時間微分値を算出し、算出した上記抵抗値の時間微分値を表示する計測表示部と、
を備えることを特徴とする垂直型MRI用超電導磁石。
【請求項14】
請求項13記載の垂直型MRI用超電導磁石において、上記計測表示部は、上記液面センサに電流を供給する電流供給手段と、上記互いに直列接続された複数の気相液相判定ユニットの全体の両端電圧を測定する電圧測定手段と、上記電流供給される電流の値と上記電圧測定手段により測定された両端電圧とに基いて上記複数の気相液相判定ユニットの全体の抵抗値を算出する抵抗算出部と、この抵抗算出部により算出された上記全体抵抗値の時間微分値を演算する微分演算部と、この微分演算部により演算された上記全体抵抗値の時間微分値を表示する表示部とを有することを特徴とする垂直型MRI用超電導磁石。
【請求項15】
請求項14記載の垂直型MRI用超電導磁石において、上記計測表示部は、上記微分演算部により演算された微分値を二乗平均値を演算する二乗平均演算部と、この二乗平均演算部により演算された二乗平均値と予め定めた閾値とを比較し、液面高さを判定する液面高さ判定部とを有し、この液面高さ判定部により判定された液面高さを上記表示部に表示させることを特徴とする垂直型MRI用超電導磁石。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−186321(P2009−186321A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−26487(P2008−26487)
【出願日】平成20年2月6日(2008.2.6)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】