説明

混合されたゼアキサンチンエステル濃縮物及びそれらの用途

混合されたゼアキサンチンエステルが、濃縮物の約50mg/g又はそれよりも多くを構成し、及びここでゼアキサンチンはケン化後にアッセイした場合に存在する総カロテノイドの約20%又はそれよりも多いような、混合されたゼアキサンチンC8-C20のカルボン酸エステルが、そのような濃縮物から製造することができる製品に加え、混合されたゼアキサンチンエステルのいくつかの用途として、明らかにされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
説明
関連出願の相互参照
本出願は、2001年6月29日に出願された特許仮出願第60/302,460号の優先権を請求するものである、2002年6月26日に出願された特許出願第10/180,775号の一部継続出願である、2002年12月19日に出願された特許出願第10/325,265号「Tagetes erecta MARIGOLDS WITH ALTERED CAROTENOID COMPOSITIONS AND RATIOS」の一部継続出願である。
【0002】
技術分野
本発明は、混合されたゼアキサンチンエステルに関する。より詳細に述べると本発明は、濃縮物の形及びそのような濃縮物から製造することができる製品中の、混合されたゼアキサンチンエステル、更には混合されたゼアキサンチンエステルのいくつかの用途に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
カロテノイドは、フリーラジカルが健康な細胞を攻撃する前に、フリーラジカルを消滅することがわかっている天然の抗酸化物質として長く説明されている。より詳細に述べると、抗酸化物質は、活性酸素種及び活性窒素種のような活性種の正常な生理的機能に対する有害作用を著しく減少する物質である。一重項酸素、ヒドロキシルラジカル、スーパーオキシド、過酸化水素、有機超酸化物及びペルオキシラジカルを含むいくつかの高度の酸化種は、生物学的システムにおいて生成される。これらの種は、電子移動、水素引抜き、及びラジカル付加の3種の明確に異なる経路により、カロテノイドと反応することができる[Krinskyら、Annual Rev. Nutr.、23:171-201 (2003)参照]。
【0004】
一般的カロテノイド並びにリコペン、ルテイン及びゼアキサンチンなどの特定のカロテノイドは、フリーラジカルの健康を損う作用に対する有益な保護を提供するために投与することができる組成物中で抗酸化物質として使用することが明らかにされている。このような恩恵は、皮膚、眼、肝臓及び肺の損傷、並びにある癌型から体を保護することを含む。フリーラジカルは、代謝の間に体内で形成された、並びに大気汚染、タバコの煙、太陽光及び食事性脂肪などの環境給源への曝露から形成された不安定な化学種である。体内に過剰な数のフリーラジカルが存在する場合、フリーラジカルは、健康な細胞を攻撃することができ、並びに癌及びコラーゲンの架橋などの多くの変性疾患の原因となり得る。
【0005】
フリーラジカルは、多くの疾患及び健康状態に結びつけられている。フリーラジカルに関連しかつ多臓器に影響を及ぼす状態は以下を含む:炎症-免疫損傷;アルコール障害;放射線傷害;加齢(早期老化障害、年齢に関連した免疫不全);及び、癌。特定の臓器又は組織に関係しかつフリーラジカルに関連した状態は、以下を含む:関節リウマチ、アテローム性動脈硬化症、老人性痴呆、アルツハイマー病、パーキンソン病(MPTP)、筋肉硬化症、白内障発生、変性性網膜損傷、及び太陽光照射。
【0006】
ゼアキサンチンは、網膜の黄斑色素として及び光が誘発した損傷に対する網膜保護の機能的役割を有するものとして、同定されている。Bernsteinら(Exp. Eye Res.、72(3):215-223 (2001))は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による分析のために、眼組織[網膜色素上皮/脈絡膜(RPE/脈絡膜)、黄斑、網膜周辺部、毛様体、虹彩、水晶体、硝子体、角膜、及び強膜]からカロテノイドを抽出した。硝子体、角膜、及び強膜を除いて、試験したほぼ全ての眼の構造は、定量可能なレベルの食事性の(3R,3'R,6'R)-ルテイン、ゼアキサンチン、それらの幾何(E/Z)異性体、更にはそれらの代謝産物(3R,3'S,6'R)-ルテイン(3'-エピルテイン)及び3-ヒドロキシ-β,ε-カロテン-3'-オンを有した。ブドウ膜構造(虹彩、毛様体、及びRPE/脈絡膜)は、眼の総カロテノイドの約50%を占め、並びにルテイン及びゼアキサンチンの約30%を占めている。
【0007】
黄斑色素の主なカロテノイドは、ルテイン、ゼアキサンチン、及びメゾ-ゼアキサンチンである。これらのカロテノイドのヒトの黄斑内の通常の分布パターンは、それらの沈着が、この組織において能動的に制御されていることを示している。増加した黄斑カロテノイドレベルは、ルテイン及びゼアキサンチンのヒト補充から生じる。[Landrumら、Arch. Biochem. Biophys.、385(1):28-40 (2001)参照]。
【0008】
黄斑から抽出されたゼアキサンチンは、成人網膜、特に黄斑(繊細な視覚活動に寄与している網膜領域)において、類似量の(3R, 3'R)及び(3R, 3'S)立体異性体並びに少量の(3S,3'S)-ゼアキサンチン立体異性体からなることが示されている。食事性のルテイン及びゼアキサンチンは、血清中に認められたものと同じ割合で個人の網膜へ輸送されることが提唱されたが、これらふたつの色素は、血中に認められるものとは異なる割合で眼に存在する。[Boneら、Invest. Ophthalmol. Vis. Sci.、34:2033-2040 (1993)、及びBoneら、Exp. Eye Res.、64(2):211-218 (1997)を参照]。従って、ゼアキサンチンは、中心窩領域においては2:1よりも大きい比で、ルテインよりも優先的であり、黄斑色素の光学密度は1/100に低下し、ゼアキサンチン対ルテインの比は約1:2に逆転する。[Boneら、Invest. Ophthalmol. Vis. Sci.、29:843-849 (1988)参照]。一部のルテインは、主に黄斑において、成人よりも幼児において未発達の機構により、非-食事性のメゾ-ゼアキサンチンに転換されることが示唆されている。[Boneら、Exp. Eye Res.、64(2):211-218 (1997)参照]。
【0009】
黄斑色素カロテノイドであるルテイン及びゼアキサンチンは、年齢-関連した黄斑変性(ARMD)、白内障形成、及び他の光が誘導した酸化的な眼の損傷の予防において重要な役割を果たすことを示す証拠が増加している。1985年及び1993年にBoneらは、ヒト黄斑色素は、ルテイン及びゼアキサンチンの組合せであることを明らかにし、並びにこれらの食事性カロテノイドは、眼疾患ARMDの予防において役割を果たすという仮説を立てた。[Boneら、Vision Research、25:1531-1535 (1985)、及びBoneら、Invest. Ophthalmol. Vis. Sci.、34:2033-2040 (1993)参照]。ルテイン及びゼアキサンチンが特異的に豊富な果実及び野菜の高度の消費は、ARMDリスクの43%低下に相関するという患者-対照疫学研究における更なる作業により、この仮説は確認された[Seddonら、J. A. Med. Assoc.、272(18):1413-1420 (1994)参照]。β-カロテンよりも増加したレベルの血清カロテノイドは、心臓疾患の発生を低下することに関連していることも報告されている。[Morrisら、J. Amer. Med. Assoc.、272(18):1439-1441(1994)参照]
【0010】
精製された食事性(3R,3'R,6'R)-ルテイン及び(3R,3'R)-ゼアキサンチン補助食品の摂取は、ヒトにおけるこれらの化合物の血清レベルの増加を生じるのみではなく、血漿中のそれらの酸化的代謝産物の濃度の増加も生じる[Khachikら、J. Cellular Biochem.、22:236-246 (1995)参照]。これらの知見は、カロテノイドは、疾患予防において抗酸化物質として機能することができることの予備的証拠を提供した。加えてこれらの結果は、非-ビタミンA-活性の食事性カロテノイド、特にルテイン、ゼアキサンチン、及びリコペンの重要性も確立した。
【0011】
ヒト網膜内のルテイン及び3'-エピルテイン(ルテイン及びゼアキサンチンの代謝産物)の直接の酸化産物の存在は、ルテイン及びゼアキサンチンは、短波可視光に対し黄斑を保護する抗酸化物質として作用することを示唆している。従ってヒト網膜におけるルテイン及びゼアキサンチンの酸化-還元経路は、年齢に関連した黄斑変性及び白内障の予防において重要な役割を果たすことができる。[Khachikら、Invest Ophthalmol Vis Sci、38(9):1802-11 (1997)参照]。
ハーバード医科大学のSchepens Eye Research Institute and Department of Ophthalmologyの研究者らは、食事性ゼアキサンチンは、光損傷からの網膜の保護において本質的役割を果たすことを報告した[Thomsonら、Invest. Ophthalmol. Vis. Sci.、43(11):3538-49 (2002)参照]。従って黄斑において高濃度で認められるふたつのカロテノイドであるゼアキサンチン及びルテインは、有害な青色光を吸収するそれらの能力及び強力な抗酸化物質としてのそれらの状態のために、網膜を保護することが先に理論付けられた。
【0012】
いくつかの臨床試験において、ゼアキサンチン及びルテインの比較的高い食事性レベル又は血清レベルを伴うヒトは、進行した段階の年齢に関連した黄斑変性(AMD)のリスクが低いことの証拠がわかっているが、他の試験では関連が、認められていない。Thomsonらは先の論文において、日本ウズラの網膜は、杆体よりもより多くの錐体光受容器を有する点、並びにそれらの食餌からのゼアキサンチン及びルテインの高度に選択された蓄積の点がヒト黄斑に似ているので、日本ウズラを用い、カロテノイドは網膜を保護することの最初の直接的実験証拠を提供した。これらの研究は、ウズラを通常食餌、カロテノイド-欠乏食餌、又は高用量のゼアキサンチンを補充したカロテノイド-欠乏食餌で育てることにより、操作した食事性カロテノイドの網膜への光損傷に対する作用を試験した。これらの研究は、光保護は、ウズラの網膜中のゼアキサンチン濃度と強力に相関していることを確立した。短期間の試験において、低濃度のゼアキサンチンを伴う網膜は、非常に多数の光受容器細胞のアポトーシスにより証拠づけられるように、重度の光損傷に罹患したのに対し、高ゼアキサンチン濃度群は最小の損傷を有した。
【0013】
これらの長期試験において、ウズラ群は、より明るい光に曝露する前に、カロテノイド-欠乏食餌、通常食餌又はゼアキサンチン-補充食餌で6ヶ月間飼育した。結果は、多数の死にかけている光受容器及び光受容器が死んでしまった部位の印であるギャップ又は「ゴースト」の両方により証拠づけられるように、カロテノイド-欠乏動物の網膜に過度の損傷を示した。ゼアキサンチンの食事性レベルが正常なウズラ群は、ゼアキサンチン-枯渇群よりも、網膜損傷の有意な低下を示したのに対し、高レベルのゼアキサンチンを受け取ったウズラ群は、それらの網膜中にほとんどゴーストを有さなかった。
これらの試験は、杆体及び錐体の両方の光受容器の保護を示した。この研究は更に、網膜は、ゼアキサンチン及び別の抗酸化物質であるビタミンEの両方により保護されることを明らかにした。これらの実験における損傷は、ゼアキサンチン及びトコフェノールにより明らかに低下されたが、ルテインによっては低下されなかった。
【0014】
Hammondら(Invest. Ophthalmol. Vis. Sci.、38(9):1795-1801 (1997))は、13匹の対象において精神物理的に測定された黄斑色素を試験した。ルテイン、ゼアキサンチン、及びβ-カロテンの血清濃度は、高速液体クロマトグラフィーにより測定した。11匹の対象は、それらの通常の毎日の食餌に、ホウレンソウ60g(ルテイン10.8mg、ゼアキサンチン0.3mg、β-カロテン5mg)の添加、及び10匹は、トウモロコシ150g(ゼアキサンチン0.3mg、ルテイン0.4mg)の添加が変更され;別の2匹の対象はトウモロコシのみ投与された。食餌の変更は、最大15週間維持された。
黄斑色素密度の増加は、ほとんどであるが全てでない対象において、食餌の変更の4週間以内に得られた。ホウレンソウ又はホウレンソウとトウモロコシを給餌されたほとんどの対象は、血清及び黄斑色素密度の両方の増加を伴い反応したが、一部は黄斑色素増加のみで証明されたのに対し、1匹は血清又は黄斑色素のいずれにおいても変化を示さなかった。トウモロコシ補充物のみを受け取るものは、血清ルテインの増加があったとしてもわずかしか示さず、1匹の対象は、血清ゼアキサンチンの大きい増加及び黄斑色素密度のより小さいが比較的大きい増加を示した。黄斑色素密度が食餌の変更により増加した場合、これは変更されない食餌の再開後、少なくとも数ヶ月間上昇を維持した。
【0015】
B.V.Werklust及びBeheerの発明者らは、特許出願第DE 199 50 327号において、眼疾患の予防及び治療のためのキサントフィルエステルの用途を示唆している。エステル安定性試験は、合成により誘導された短鎖脂肪酸について説明された。比較的長い鎖の脂肪酸エステルについての言及はない。
女性看護師77,466名が参加した試験は、増加したルテイン及びゼアキサンチン摂取に関連した水晶体摘出のリスクの低下を報告した。[Chasan-Taberら、Am. J. Clin. Nutr.、70:509-516 (1999)参照]。加えてルテイン及びゼアキサンチン摂取の最高の五分位数の男性について、水晶体摘出の減少が報告された。[Brownら、Am. J. Clin. Nutr.、70:517-524 (1999)参照]。
【0016】
最近、ゼアキサンチンの抗癌活性が報告された。ゼアキサンチンは、Raji細胞においてエプスタイン-バーウイルスの初期抗原のTPAが誘導した発現を抑制した。ゼアキサンチンは、TPAが増強した培養細胞のリン脂質への32Pi-取込みも阻害した。In vivo試験において、C3H/He雄マウスにおける自然発症肝臓癌が、飲料水との乳剤として混合された濃度0.005%のゼアキサンチンによる処置により抑制されたことがわかった。[Nishinoら、Cancer and Metastasis Reviews、21:257-264 (2002)参照]。
他のカロテノイドの抗酸化作用も知られている。Soudantらの米国特許第6,383,474号は、フィトエン及びフィトフルエンの組合せは、酸化及びUV光への曝露により引き起こされた損傷を予防する上で有効であることを開示している。この組合せは、外用調製物、医薬品又は食品添加物として有用であると言われている。
【0017】
β-カロテン及びリコペンは、周知の食品添加物であり、リコペン消費は前立腺癌のリスク低下を提供することが最近報告された。[Giovannucciら、J. Natl. Cancer Inst.、87(23):1767-1776 (1995)参照]。リコペンは、トマトの皮に赤色色素として天然に存在するのに対し、β-カロテンは、ニンジンの主要なカロテノイド色素である。Hauptmannらの米国特許第5,618,988号は、ニンジンなどの形質転換された植物の貯蔵器官内のβ-カロテンのようなカロテノイド色素の調製を開示している。Ausichらの米国特許第5,858,700号は、トマトの皮から調製することができるような、含油樹脂からのリコペン結晶の単離を開示している。リコペン及びβ-カロテンの構造式を以下に示す。
【0018】
【化1】

【0019】
アスタキサンチンは、その構造式を以下に示した赤色キサントフィルであるが、これは養殖された魚及び甲殻類の着色剤として広範に使用されている。アスタキサンチンの完全な生物医学的特性は解明されつつあるが、初期の結果は、これは癌及び腫瘍の予防に加え、免疫系からの陽性反応の誘起において重要な役割を果たすことを示唆している。[Tanakaら、Carcinogenesis、15(1):15-19 (1994)、Jyonouchiら、Nutrition and Cancer、19(3): 269-280 (1993)、及びJyonouchiら、Nutrition and Cancer、16(2): 93-105 (1991)参照]。
【0020】
【化2】

【0021】
食料源由来のカロテノイドは、純粋なカロテノイドを含む栄養補助食品よりもより低いバイオアベイラビリティ及び吸収を有する。補助食品において、キサントフィルは、エステルで又はエステル化されない形で提供することができる。ルテインはヒト用栄養補助食品に混入されるので、ルテインバイオアベイラビリティは、ルテインジエステル及びエステル化されないルテイン製剤について決定された。ほとんどの試験した個人について、特定のルテインジエステル製剤により提供されたルテインは、遊離のルテインを含有する製剤により提供されるルテインよりも、優れたバイオアベイラビリティがある。この著者らは、ルテインジエステル製剤は、試験した投与量でのルテインバイオアベイラビリティに対する妨害を有さないと結論した。先の試験のデータとの比較は、製剤の溶解は、ルテインエステルの加水分解よりも、バイオアベイラビリティをより大きく制限したことを示唆した。油溶性とされたエステル化されないルテイン調製物は、報告された試験のエステル化されない又はルテインジエステル製剤のいずれかと比べ、より大きいバイオアベイラビリティを生じた。[Bowenら、J. Nutr.、132:3668-3673 (2002)、及びBowen and Clark、米国特許第6,313,169号参照]。
【0022】
天然に認められたルテインの最も豊富な給源は、マリーゴールドの花タゲステ・エレクタ(Tagetes erecta)であり、これは典型的には、3〜5%のゼアキサンチンエステルを含有する。タゲテス属は、別にアステラセアエ(Asteraceae)としても知られているキク(Compositae)科の一員であり、かつこれはおよそ30種の強力に香る一年生植物又は多年生植物を含む。タゲテスは、アリゾナ及びニューメキシコからアルゼンチンまで自生している。[Hortus Third A Concise Dictionary of Plants Cultivated in the United States and Canada、acMillan Publishing Company (1976)参照]。栽培種は、一般にアフリカンマリーゴールドと称されるタゲステ・エレクタ、一般にフレンチマリーゴールドと称されるタゲテスパツラ(Tagetes patula)、一般に三倍体マリーゴールドと称されるタゲステ・エレクタxパツラ(Tagetes erecta x patula)、及びタゲテスシグナタ(Tagetes signata)又はホソバジャクソウとしても知られているタゲテステヌイフォリア(Tagetes tenuifolia)を含む。
【0023】
マリーゴールドの花序は、小花(floret)としても知られている数百の無柄又は小無柄(subsessile)の小さい花の密なクラスターで構成された単頂(solitary head)である。マリーゴールドは、中心の柱状型の筒状花の回りに、小舌状の又はストラップの形状をした外側の舌状花を伴う、放射状の頭状花を有する。一部のマリーゴールド頭状花の形は、それらの筒状花のほとんどが舌状花へと変形(transform)され、かつ筒状花はあるとしてもわずかである。このような頭状花は、重弁花と称される。
【0024】
頭状花を花と称する一般人は、舌状花又は小花を花弁と称することが多い。理解を容易にするために、マリーゴールド頭状花は、本願明細書において花又は頭状花と称す一方で、頭状花-成分の花又は小花、雄ずい、柱頭及び心皮は、花弁と称す。
栽培されたマリーゴールドは、目立つ花を有し、及び装飾目的に有用である。加えてこの属は、天然の染料、揮発油及びチオフェンの給源として認められる。いわゆるキサントフィルマリーゴールドから得られた乾燥したマリーゴールド花弁及びマリーゴールド花弁濃縮物は、養鶏業において、卵黄及びブロイラーの皮膚の黄色を強めるために、飼料添加物として使用される。[Piccaliaら、Ind. Crops and Prod.、8:45-51 (1998)参照]。家禽は、カロテノイドを新たに合成する能力を有さないので、家禽組織において望ましいカロテノイドは、それらの食事性濃縮物の機能である。[Balnaveら、Asian-Australiasian J. Animal Sci.、9(5):515-517 (1996)参照]。
【0025】
キサントフィルマリーゴールドは、装飾用マリーゴールドとはいくつかの特徴が異なる。最初でかつ最も重要なことに、キサントフィルマリーゴールドは、カロテノイドの抽出可能な給源として使用され、かつ装飾用マリーゴールドとは異なる植物の習性を有する。装飾用マリーゴールドは、典型的には地面からわずかに約45〜約60cm育つのに対し、キサントフィルマリーゴールドは、地面から約65〜約70cmに育つ。キサントフィルマリーゴールドは、装飾用マリーゴールドよりも茂みの生息地(bushier habit)に育ち、かつ条植え作物として生育することができるのに対し、装飾用マリーゴールドは概してできない。キサントフィルマリーゴールドの色は典型的には暗オレンジ色であるのに対し、装飾用は色が白色、黄色、もしくはオレンジ色であるか、又はアントシアニン色素の存在に起因した赤褐色を含む、混合色を有する。
【0026】
マリーゴールド花弁荒粉(meal)の着色能は、主にルテインエステルであるキサントフィルとして知られている酸素化されたカロテノイド画分に大きく備わっている。[Piccaliaら、Ind. Crops and Prod.、8:45-51 (1998)参照]。マリーゴールド花弁にも認められるキサントフィルゼアキサンチンは、ブロイラーの着色剤(pigmenter)として有効であり、より高度に許容できる黄色から黄橙色の色を生じることも示されている。[Marusichら、Poultry Sci.、55:1486-1494 (1976)参照]。キサントフィルの色素ルテイン及びゼアキサンチンは、販売用雑種において最も豊富である。ルテイン及びゼアキサンチンの構造式を以下に示す。
【0027】
【化3】

【0028】
ルテイン及びゼアキサンチンは各々、それらの各末端環構造内に、1個のヒドロキシル基を含み、その結果各分子は、2個のヒドロキシル基を含む。ルテインは、α-カロテンのふたつの個別の水酸化により生物学的に生成されると考えられるのに対し、ゼアキサンチンは、β-カロテンのふたつの個別の水酸化により生物学的に生成されると考えられる。
α-カロテン及びβ-カロテンの両方は、適当なシクラーゼ酵素のリコペンへの作用により形成され、最初にδ-カロテン又はγ-カロテンを生じ、これらはその後環化され、各々、更にα-カロテン及びβ-カロテンを形成すると理解される。リコペン、γ-カロテン、α-カロテン及びβ-カロテンは、各々、当該技術分野においてカロテンと称される、炭化水素カロテノイドである。従ってカロテノイド色素は、ふたつのファミリーの一方又は他方に群別される:炭化水素カロテン又は酸素化されたキサントフィル。その経路の最初のC40カロテノイドであるフィトエンは、無色の炭化水素である。β-カロテンを除き、炭化水素カロテン色素は、典型的には、マリーゴールドの葉又は花の部分には蓄積されないが、キサントフィルは、葉と花の部分の両方に蓄積する。
【0029】
図1は、リコペン、γ-カロテン、α-カロテン及びβ-カロテンを介し、ルテイン及びゼアキサンチン並びにフィトエンからの、その後の生成物の生成に関する生物学的合成経路の概略的説明を示す。ルテイン及びゼアキサンチンは、主に脂肪酸のモノ-及びジ-エステルとしてマリーゴールド花弁に存在する。図1は、ビオラキサンチンがアブシジン酸生合成経路の中間体であるようなゼアキサンチンから生じる、エポキシドを含むその後の生成物も記している。
キサントフィルマリーゴールドは、主にメキシコ、ペルー、アフリカ、インド、中国及びタイにおいて産生される。最近の商業的品種は、当初のキサントフィル産生品種のひとつである「Orangeade」を含み、かつ「Orangeade」の商業的改善は、より大きい花及びより大きい色素収量を有する「Deep Orangeade」、及びキサントフィル濃度が改善した「Scarletade」を含む。従って「Orangeade」は、乾燥した全頭状花(がくを含む)1gにつきキサントフィルを約9〜12mgを含むことが報告されている。「Deep Orangeade」は、色素約10〜13mg/gを有することが報告されており、及び「Scarletade」は、がくと一緒に秤量された乾燥した頭状花において、キサントフィル色素約12〜18mg/gを含むと言われている。これらの品種は、PanAmerican Seed Co.(622 Town Road, ウェストシカゴ, IL, 60185)から入手可能である。
【0030】
ルテインは、マリーゴールド花中の主要なキサントフィルであるのに対し、一部の最新の品種は、ゼアキサンチン比{[ゼアキサンチン/(ルテイン+ゼアキサンチン)]x100%}が典型的には3〜5%の範囲である抽出生成物を生じる(Product Profile, Kemin Foods L.C., 600 E. Court Ave. Suite A, デスモイン, IA 50309)。以下の結果から認められるように、「Scarletade」を用いて得られたゼアキサンチンのルテインに対する比は、典型的には約4〜約7%であり、その結果これらの花は、最大約1.25mg/gのゼアキサンチン、又はゼアキサンチン乾燥質量最大約0.125%である。
新鮮なマリーゴールド花弁からのルテインエステルの分析は、モノエステル化されたルテイン及びジエステル化されたルテインの両方を同定した。脂肪酸分布は、パルミチン酸、ステアリン酸、ミリスチン酸、オレイン酸、リノール酸、ラウリン酸、及びペンタデカン酸を含んだ[Gomezら、Revista Espanola de Fisiologia、34:253-256 (1978)参照]。
【0031】
Moehsら(Plant Mol. Biol.、45:281-293 (2001))は、暗オレンジ色の花を持ついわゆる野生型、並びに黄色、淡黄色及び白色の花を持つ植物を含む、装飾用品種T.エレクタにおけるカロテノイドの生合成を分析した。これらの研究者らは、他の知見の中で、異なる植物は、白色(変異体)から暗オレンジ色の範囲の花の色を有するが、これらの花の色の差は、様々なカロテノイド生成物又は中間体の蓄積よりもむしろ、非常に異なる量の同じカロテノイド、ルテインの蓄積に起因すると考えられることを報告した。試験した植物間の差は、生成されたカロテノイドの具体的種類又は生合成中間体の蓄積よりもむしろ、カロテノイド経路を介したフラックス(flux)の調節に主に関連するように見える。
加えて、いわゆる野生型及び変異体(白色の花が咲く植物)の葉は、花の色とは無関係に、ほぼ同じ相対量のカロテノイド色素を含むことが報告された。これらの色素は、花弁に存在する色素とは異なった。従って花弁について報告された唯一の色素はルテインであるのに対し、葉は、ルテインに加え、β-カロテン、ビオラキサンチン及びネオキサンチンを含むことが報告された。図1に認められるように、β-カロテンは、後者のふたつの色素の前駆体であるが、ルテインはそうではない。
【0032】
Moehsら著者は、自分たちが単離したT.エレクタ遺伝子をシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)の葉から得られた類似したカロテノイド-産生遺伝子と比較した(Pogsonら、下文)。約70〜約80%の遺伝子産物間の同一性が、タンパク質レベルで報告されたが、推定プラスチドの標的化シグナルペプチドが排除される場合はより高いレベルであり、及びDNAレベルでの同一性はより低いレベルであった。シロイヌナズナの葉において、ルテインは支配的なカロテノイドであり、β-カロテン、ビオラキサンチン及びネオキサンチンも形成されるが、ゼアキサンチンは通常蓄積されない。
【0033】
T.エレクタにおけるカロテノイド生合成は、多くの遺伝子及びおそらくふたつの経路が関わっている複雑なシステムである。カロテノイド生成に対する遺伝的変異の影響は、先験的に予想することはできない。しかし古典的育種技術は、先に記したキサントフィルを上昇したレベルで生成する「Orangeade」、「Deep Orangeade」及び「Scarletade」のT.エレクタ変種を作出している。これらの比較的最近になって育種された利用可能な品種は、ゼアキサンチン比を増大する試みで、遺伝的変異を誘導する処置を施したものではなかった。
【0034】
数名の研究者は、マリーゴールドを含む、開花する植物に対する、γ線照射、メタンスルホン酸エチル(EMS)及びニトロソメチル尿素(NMU)のような変異誘発物質の作用を試験した。例えばZahariaらの論文(Buletinul Institutului Agronomic Cluj-Napoca. Seria Agricultura、44(1):107-114 (1991))は、ジニアエレガンス(Zinnia elegans)、タゲステ・エレクタ及びカリステファスキネシス(Callistephus chinensis)の種子へ、変動量のγ線を照射した後の、子葉鞘におけるカロテノイドのクロロフィル-欠損作用について報告した。Geethaらの論文(Acta Botanica Indica、20(2):312-314 (1992))は、タゲテスパツラに対するγ線照射のクロロフィル欠損作用について報告している。
Diaconuの論文(Agronomie、34(1):17-21 (1991))は、タゲテス属と同等(even)ではない、ポットマリーゴールド又はキンセンカ(Calendula)と通常称されるF2多交雑からの種子の発芽に対する、EMSの作用について報告した。これらの研究者は、M2-M4植物における花の色、花序構造、生物学的-活性物質の収量及び含量における広範な変動を報告している。
【0035】
Pogsonらの研究(Plant Cell、8:1627-1639 (1996))は、植物シロイヌナズナの変異誘発に、EMSを使用した。この4000種のM2系統の詳細な研究は、γ-カロテンからのルテインの生成に関連している葉におけるカロテノイド生合成経路におけるふたつの遺伝子座の発見を報告した。これらの遺伝子座は、lut1及びlut2と称された。lut2座は、リコペンε-環シクラーゼ酵素に関連することが報告されたのに対し、lut1座は、リコペンε-環加水分解酵素に関連することが報告された。これらの研究者は、ルテイン生成の減少は、豊富な他のカロテノイドの等モル変化により補償されるが、これらの変化のごくわずかのみが、増加したゼアキサンチン生成に起因したことに注目した(1631頁)。
【0036】
Cetlら(Folia Fac. Sci. Nat. Univ. Purkynianae Brun Biol.、21(1):5-56 (1980))は、まとめた(merger)説明から全て装飾用品種であることが明らかである、T.エレクタ及び他のタゲテス種に関する集中的試験を報告した。これらの試験において、これらの著者は、様々な濃度のNMUのT.エレクタ種子に対する作用を試験し、かつ約2000種よりも多い植物を試験した。親交雑の表現型から派生した全てのM2植物を記録し、かつ表現型的に異なる植物のM2種子由来のM3植物を試験した。
これらの研究者らは、植物の高さ、植物の直径、頭状花の直径、及び頭状花の高さに加え、開花の回数、分枝の量、枝の長さ、子葉及び葉のサイズ、並びに花茎の長さをアッセイした。花の色又は葉もしくは花弁のカロテノイドレベルに関しては注目しなかった。
【0037】
DellaPennaらの公開されたPCT出願第WO 00/32788号は、マリーゴールドにおいてカロテノイド生合成を調節する方法を主張している。これらの研究者は、リコペンからゼアキサンチンの調製に必要なリコペンβ-環シクラーゼ及びリコペンβ-環加水分解酵素をコードしているものと言われたポリヌクレオチド配列を提供する。リコペンからのα-カロテンの調製のために、リコペンβ-環シクラーゼと共に有用であるリコペンε-環シクラーゼも開示されている。ルテイン生成に必要なリコペンε-環加水分解酵素の説明は提供されていない。
前述のようにマリーゴールド内に既に存在するカロテノイド合成酵素をコードしている遺伝子の発現によるか、又はそのような提供されたヌクレオチド配列によりコードされたアンチセンスRNAの使用により調節されるカロテノイドの生合成は、PCT出願第WO 00/32788号に開示されている。このような調節の証拠は、この出願においては提供されていない。これらの研究者は、相同遺伝子の追加が、発現されない天然の遺伝子及び導入遺伝子の両方を引き起こす共-抑制として公知の現象については、適切に対処していない。[例えば、Frayら、Plant Mol. Biol.、22:589-692 (1993)、又はFinneganら、Bio/Technology、12:883-888 (1994年、9月)参照]。
【0038】
共有されたPCT出願PCT/US02/20633及び関連出願第10/180,775号及びその一部継続出願第10/325,265号において、本発明者らは、商業的に有用な量のゼアキサンチンエステルを含む花の花弁を提供する変異体マリーゴールド植物を説明している。これらの植物は、変更されたルテイン対ゼアキサンチン比を有し、その結果通常報告された4〜約7%ゼアキサンチンレベルが上昇し、かつルテイン量は減少する。前述の出願及び共有されたPCT出願は、そのようなマリーゴールド植物を開示しているが、本発明は、好ましくはそのような植物から得られ、癌の予防、又は白内障形成、黄斑変性もしくはフリーラジカル-媒介型疾患の治療もしくは予防に有用な量の混合されたゼアキサンチンエステルを提供するために製剤された、濃縮されたマリーゴールド植物抽出物を企図している。
【発明の開示】
【0039】
発明の簡単な概要
本発明は、混合されたゼアキサンチンエステル、より詳細に述べると混合されたゼアキサンチンエステルを含有する精製されたカロテノイド濃縮物に加え、その濃縮物から調製することができる様々な混合されたゼアキサンチンエステル組成物を企図している。企図された精製された濃縮物は、固形から半-固形であり、これはケン化後にアッセイした場合に存在する総カロテノイドの約20%又はそれよりも多くのゼアキサンチンを伴う混合されたゼアキサンチンエステルを、濃縮物の約50mg/g又はそれよりも多く含有する。好ましい態様において、ゼアキサンチンは、ケン化後にアッセイした場合に存在する総カロテノイドの約25%又はそれよりも多い。一部の態様において、この濃縮物は、少なくとも1種の追加のカロテノイドを、遊離又はエステル化された形で含有する。好ましい態様において、混合されたゼアキサンチンエステルは、タゲステ・エレクタ種から抽出される。
【0040】
別の本発明の局面は、可食性希釈剤中に溶解又は分散された混合されたゼアキサンチンエステルを含有する、希釈され精製されたカロテノイド組成物を企図している。このような企図された組成物は、先に説明された濃縮物を用いて調製することができ、かつケン化後にアッセイした場合に存在する総カロテノイドの約20%又はそれよりも多いゼアキサンチンを伴う、混合されたゼアキサンチンエステルを、希釈された組成物の約10mg/g又はそれよりも多く含有する。ひとつの好ましい態様において、希釈剤は油である。別の態様において、この組成物は、ビーズレットに封入されて存在する。別の好ましい態様において、ゼアキサンチンは、ケン化後にアッセイした場合に存在する総カロテノイドの約25%又はそれよりも多い。一部の態様において、この組成物は、少なくとも1種の追加のカロテノイドを、遊離又はエステル化された形で含む。好ましい態様において、混合されたゼアキサンチンエステルは、タゲステ・エレクタ種から抽出される。
【0041】
本発明のこの局面の企図された用途のひとつは、バイアル又はアンプル内の、パケット(packet)、錠剤、カプセル剤、及び散剤のような、経口投与に適した単位剤形中の栄養学的有効量の混合されたゼアキサンチンエステルである。このような栄養学的有効量は、癌を予防し、又は白内障形成、黄斑変性もしくはフリーラジカル-媒介型疾患を治療もしくは予防するのに十分な量であることができる。好ましい態様において、この組成物は、混合されたゼアキサンチンエステルを約2mg又はそれよりも多く含有する。
本発明の局面の別の企図された用途は、食品又は飲料中の添加剤としての栄養学的有効量の混合されたゼアキサンチンエステルである。この食品は、ヒト消費に加えペットフードのために加工処理された商品を含むことができる。混入された栄養学的有効量は、癌を予防し、又は白内障形成、黄斑変性もしくはフリーラジカル-媒介型疾患を治療もしくは予防するために十分な量であることができる。一部の態様において、食品又は飲料は、一人分当たり約0.5mg又はそれよりも多い混合されたゼアキサンチンエステルを含有する。好ましい態様において、食品は、40mg/日を超えない投与量を有する医療食品である。
【0042】
別の本発明の局面は、化粧品として許容できる希釈剤中に溶解又は分散された混合されたゼアキサンチンエステルを含有する、希釈され、精製されたカロテノイド組成物を企図している。このような企図された組成物は、先に説明された濃縮物を用い調製することができ、かつケン化後にアッセイした場合に存在する総カロテノイドの約20%又はそれよりも多いゼアキサンチンを伴う、混合されたゼアキサンチンエステルを、希釈された組成物の約10mg/g又はそれよりも多く含有する。好ましい態様において、ゼアキサンチンは、ケン化後にアッセイした場合に存在する総カロテノイドの約25%又はそれよりも多い。一部の態様において、この組成物は、少なくとも1種の追加のカロテノイドを遊離又はエステル化された形で含む。好ましい態様において、混合されたゼアキサンチンエステルは、タゲステ・エレクタ種から抽出される。本発明のこの局面の企図された用途は、ヒト皮膚への外用塗布に適したクリーム剤、ローション剤、又は軟膏剤中に含有された、光保護量の混合されたゼアキサンチンエステルを含む。
【0043】
本発明は、いくつかの恩恵及び利点を有する。
本発明のひとつの恩恵は、現時点で大量の混合されたゼアキサンチンエステルが、精製され濃縮された形で経済的に提供され得ることである。
本発明の利点は、栄養学的有効量の混合されたゼアキサンチンエステル及び任意の1種又はそれよりも多いカロテノイドを含有する補助食品が現在利用可能であることである。
【0044】
別の本発明の恩恵は、栄養学的有効量の混合されたゼアキサンチンエステルを含有する食品又は飲料の供給である。
更なる本発明の利点は、フリーラジカル-媒介型疾患を予防するのに十分な量の混合されたゼアキサンチンエステルを含有する医療食品の供給である。
また更に本発明の恩恵は、光保護量の混合されたゼアキサンチンエステルを含有する外用のクリーム剤、ローション剤又は軟膏剤の供給である。
より更なる恩恵及び利点は、以下の詳細な説明から読者には明らかであろう。
【0045】
本願明細書において使用される用語「ゼアキサンチン比」とは、乾燥した花の花弁又は葉に存在するゼアキサンチン量を、その花弁又は葉に存在するゼアキサンチンとルテインの合計量で除算したものとして定義される[ゼアキサンチン/(ルテイン+ゼアキサンチン)]。「ネオキサンチン+ビオラキサンチン比」とは、ネオキサンチン+ビオラキサンチンを、これらふたつの色素+ルテインの合計で除算したものとして同様に計算される。「β-カロテン比」、「リコペン比」、「α-クリプトキサンチン比」、「フィトエン比」及び「フィトフルエン比」は、分子としてその異性体の合計としての指定した色素の量を、及び分母としてその色素とルテインの合計を用い同様に計算される。おおよその割合の合計を、それらの計算に使用することもできる。これらの色素量は、本願明細書において考察されたように、乾燥した花の花弁又は葉の抽出物のケン化後、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により決定され、その結果ルテイン及びゼアキサンチン(又は他の色素)の各量は、新鮮な花の花弁に存在するエステル化された形よりもむしろ、ケン化後存在する遊離の化合物の形、例えばルテイン及びゼアキサンチンについてアルコールの形で測定され、並びに葉抽出物中に存在し得るクロロフィルは破壊される。本願明細書において考察された植物の花の花弁及び葉の一部は、ルテイン又はルテインエステルを非常に少ない量又は測定不可能な量、例えば約0.1〜0.2%未満を含む。その場合、比の分母の中のルテイン量はゼロに近づき、この比は1に近づく。
【0046】
用語「含油樹脂」は、それらのエステル化された形で本願明細書において考察されるキサントフィルなどの植物色素を含有する植物組織の抽出物を意味するようにここでは使用され、時には、ある量のβ-カロテンなどの他のカロテノイドのような他の植物生成物及び色素に加え、少量のヘキサン又はアセトンのような溶媒、典型的には1%未満の有機溶媒を伴う。キサントフィルは、典型的には花の花弁中にモノ-又はジ-エステルとして存在し、かつ典型的にはマリーゴールド葉中には遊離のアルコールとして存在する。β-カロテン又はリコペンなどのカロテンは、遊離の、非化学的に組合せた化合物として存在する。クロロフィルは、マリーゴールド葉中に存在し、多くは花弁中には存在しない。従って花の花弁から調製された含油樹脂は、キサントフィルエステル及び/又は炭化水素カロテンを含有し、及び多くはクロロフィルを含まないのに対し、マリーゴールド葉から調製された含油樹脂は、クロロフィル及び遊離のキサントフィル及びカロテンを含む。含油樹脂は、固形又は半-固形の物質である。
【0047】
発明の詳細な説明
本発明は、濃縮物の形の混合されたゼアキサンチンエステル、及びこのような濃縮物が投入されるいくつかの用途、更にはそれらから調製されるいくつかの製品を企図している。以下により詳細に考察されるように、企図された濃縮物は、典型的には、好ましいマリーゴールドであるタゲステ・エレクタのような花の花弁などの植物組織の抽出物である。乾燥した花の花弁は、典型的には約0.2〜0.3%の混合されたゼアキサンチンエステルを含有するのに対し、本願明細書において企図された乾燥した花弁は、約0.4〜約1.2%の混合されたゼアキサンチンエステルを含有する。最初の植物抽出物は、当該技術分野において、含油樹脂と称され、かつ乾燥され混合されたゼアキサンチンエステルの乾燥した供給源の植物組織、更には他の植物材料よりも約10倍より多く含む。企図された濃縮物は、含油樹脂の精製から生じ、かつ乾燥した供給源の植物組織よりも質量当たりで少なくとも40倍多い乾燥され混合されたゼアキサンチンエステルを含む。
企図された濃縮物は、典型的にはゴムの稠度を有し得る固形又は半-固形の形である。物理的形状の差は、主に存在する構成成分に起因し、通常より多い構成成分は、より柔らかく、より固さの少ない物質につながる。
【0048】
ゼアキサンチンエステルは、複数のジエステル、複数のモノエステル又はジエステル及びモノエステルの両方の混合物として存在することができる。ゼアキサンチンは、ジアルコール(ジオール)であり、従って一回又は二回エステル化され得る。それらからゼアキサンチンのモノ-及びジエステルが形成される酸は、植物中、特に花の花弁中に、天然に認められる脂肪酸である。植物脂肪酸の例は、1分子当たりゼロ〜約3個のエチレン性不飽和を持つ直鎖の8〜約20個の炭素原子を含む。このような例証的脂肪酸は、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、ペンタデカン酸、カプリン酸及びリノレン酸を含む。典型的脂肪酸は、パルミチン酸、ステアリン酸、ミリスチン酸、オレイン酸、リノール酸、ラウリン酸及びペンタデカン酸を含む。企図された濃縮物のゼアキサンチンエステルは、前記カルボン酸の2種又はそれよりも多いゼアキサンチンエステルを含有する混合物であり、存在する特定のカルボン酸は、それからそれらのエステルが得られた植物及び植物部品の機能がある。この混合物は、様々な混合されたカルボン酸でエステル化された単独のゼアキサンチン分子部分、又は各々が同じカルボン酸部分をふたつ含むゼアキサンチンエステル分子の、異なるカルボン酸部分を含む異なるゼアキサンチンエステル分子との混合物を含むことができる。
【0049】
これらのジエステルのカルボン酸によりもたらされた質量は、ジエステル分子の質量の約半分であり、及びモノエステルの約1/3である。しかし便宜上、企図された濃縮物中に存在するゼアキサンチン又は本願明細書において考察された他のゼアキサンチンエステル含有組成物の量は、以下に考察されるように、HPLCを使用してアッセイされる試料の加水分解又はケン化後の遊離のジアルコール(ジオール)において、ゼアキサンチンそれ自身として決定される。企図された濃縮物がケン化後アッセイされる場合、ゼアキサンチンは、存在する総カロテノイドの約20%又はそれよりも多い。別の態様において、ゼアキサンチンは、ケン化後存在する総カロテノイドの約25%又はそれよりも多いことができる。好ましい態様において、ゼアキサンチンは、ケン化後に存在する総カロテノイドの約30%又はそれよりも多い。
【0050】
一般的カロテノイド、並びにカロテン、フィトエン及びリコペンなどの特定のカロテノイド、並びにルテイン及びゼアキサンチンなどのキサントフィルは、抗酸化物質特性を有しかつ関連した健康の恩恵を提供することがわかっている。企図された濃縮物又はそれに由来した希釈された製品中に遊離又はエステル化された形のいずれかで少なくとも1種の追加のカロテノイドを含むことは、消費者のために製剤された製品において増強された健康上の恩恵を提供することができる。追加のカロテノイドは、カロテン、キサントフィル、モノエステル化されたキサントフィル、ジエステル化されたキサントフィル又はそれらの混合物であることができる。カロテンの例は、フィトエン、フィトフルエン、ζ-カロテン、ノイロスポレン、リコペン、δ-カロテン、α-カロテン、γ-カロテン、及びβ-カロテンを含む。キサントフィルの例は、α-クリプトキサンチン、ルテイン、β-クリトキサンチン、ゼアキサンチン、アンテラキサンチン、ビオラキサンチン、及びネオキサンチンを含む。ゼアキサンチンエステル又はジエステルと混合されて同じく存在するキサントフィルエステル又はジエステルのカルボン酸部分は、ゼアキサンチンエステル又はジエステルのカルボン酸部分を提供することができる前述のカルボン酸から選択される。
【0051】
混合されたゼアキサンチンエステルを含有する企図された精製された濃縮物は、典型的には含油樹脂から生成される。当該技術分野において周知であるように、含油樹脂は、エステル化された形でルテイン及びゼアキサンチンのような植物色素を含む植物組織の固形抽出物である。これらの色素は時々、他の植物生成物及び色素、例えばキサントフィルエステル又はカロテンなどに加え、少量のヘキサン又はアセトンのような抽出溶媒を伴うことがある。好ましくは、この含油樹脂は、マリーゴールドタゲステ・エレクタの花から抽出され、かつ植物の花に存在するように脂肪酸エステル及び遊離のカロテノイドを含む。含油樹脂は、商業的商品であり、かつヒト又は他の動物の補助食品の製造において更なる処理のために加工処理業者に販売されている。
【0052】
マリーゴールド濃縮調製物の例において、混合されたゼアキサンチンエステル及び可能性のある他のキサントフィルエステル又はカロテンは、乾燥された、通常粉砕されたマリーゴールドの花の花弁から、ヘキサン、アセトン、酢酸エチル又は類似の有機溶媒を抽出剤として使用し、抽出される。この抽出は、当該技術分野において公知の手法に従い実行される。この溶媒(複数)は、典型的には真空下で除去され、高レベルのキサントフィルエステルを含有し、かつ約99%、好ましくは約99.9%抽出有機溶媒を含まず;すなわち、約1質量%未満、及び好ましくは約0.1質量%未満の有機溶媒を含む、含油樹脂と称される抽出物を生じる。この含油樹脂は更に、非-キサントフィル脂質又は殺虫剤の残留物を分離するために、低分子量アルコール中で精製することができる。その後これは、真空下で濃縮され、補助食品製剤、外用塗布剤、又は食品添加物中で直接使用するのに適するように十分に高濃度を生じる。先に説明された濃縮物は、生成物を形成するために、例えば油溶液に希釈されるか、又は補助食品製剤、外用塗布剤、もしくは食品添加物における使用のために販売されるために、ビーズレット中に封入される。
【0053】
この濃縮物は、分光光度法を用いて測定することができるような、混合されたゼアキサンチンエステルを含有するゴムのような暗オレンジ色-褐色の固形物又は半-固形物である。濃縮物は、ヘキサン中に溶解され、1%吸光係数ε1260を用い、ゼアキサンチンエステルの最大吸収波長約450nmで測定される。[Levyの米国特許第6,191,293号参照]。企図された精製された濃縮物は、ゼアキサンチンが、ケン化後にアッセイした場合に存在する総カロテノイドの約20%又はそれよりも多い、混合されたゼアキサンチンエステルを含む。
【0054】
溶解及び濾過などによる企図された濃縮物の調製において有用な精製法は、当該技術分野において公知の同様の手法から適合させられる。Tyczkowskiらは、マリーゴールドの市販のケン化された抽出物から、純度96.0〜99.2%のルテインを生じる簡単な抽出及び晶出の手法を開発した。ルテインエステルは、実験室規模のプロセスに有用な化合物を提供するために、合成により調製された。[Tyczkowskiら、Poultry Science、70:651-654 (1990)参照]。米国特許第4,048,203号において、Philipは、植物材料からのルテインエステルの抽出、75℃のアルコールを使用するエステルの更なる精製を説明している。米国特許第5,382,714号において、Khachikは、ケン化されたマリーゴールド含油樹脂からのルテインの単離、精製、及び再結晶のプロセスを開示し、並びにAusichらの米国特許第5,648,564号は、植物からの可食性キサントフィル結晶の抽出、単離、及び精製のプロセスを開示している。最後のプロセスは両方共、ケン化工程を必要とし、これにより植物材料中に存在する天然のキサントフィルエステル型は破壊される。
【0055】
Schulzの米国特許第4,105,855号は、エステル化することができる対称カロテノイドを合成する方法を開示している。Schulzにより言及されたゼアキサンチンのエステルのみが、そのジオールを得る際の最終中間体工程としての二酢酸塩である。Schulzは、混合されたゼアキサンチンエステル又はそれらの濃縮物の合成又は抽出については開示していない。
Levyは米国特許第6,191,293号において、中国産クコであるリシウムチネンセ(Lycium chinense)からのキサントフィルエステルの調製を例証している。別の研究者は、L.チネンセは、単独のジエステルであるゼアキサンチン二パルミチン酸エステルを有することを示している。[Kimら、Arch. Pharm. Res.、20(6):529-532 (1997)参照]。その特許において開示された方法は、それでもなお、所望の混合されたゼアキサンチンエステル濃縮物を得るために、ここで有用である。
【0056】
高純度のキサントフィル濃縮物を得るための工業的プロセスは、Montoya-Olveraらの米国特許第6,504,067号に開示されている。遊離の脂肪酸、ゴム、ワックス、ホスファチド、脂質、ステロール、クロロフィル及び揮発性化合物を含む不純物は、様々な工程において排除又は除去される一方で、キサントフィル濃縮物は、各工程後濃厚化される。このプロセスを使用し、純度90%を超えるケン化された濃縮物が、マリーゴールド含油樹脂を含む植物抽出物から調製される。
混合されたゼアキサンチンエステルの精製された濃縮物は、希釈された組成物を生成するために、食用植物油、ペクチン、又は乾燥デンプンなどの、適当な可食性希釈剤中に、溶解又は分散することができ、かつこれは希釈された組成物1gにつき混合されたゼアキサンチンエステルを約5mg含む。企図された組成物がケン化後アッセイされる場合、ゼアキサンチンは、存在する総カロテノイドの約20%又はそれよりも多い。好ましい態様において、ゼアキサンチンは、ケン化後にアッセイした場合に存在する総カロテノイドの約25%又はそれよりも多い。
【0057】
油の例は、カンデリラ油、ココナッツ油、タラ肝油、綿実油、メンハーデン油、オリーブ油、ヤシ油、トウモロコシ油、ダイズ油、ピーナッツ油、ケシの実油、紅花油及びヒマワリ油である。比較的高濃度の不飽和脂肪酸を有する油の使用が好ましく;すなわち、ヨウ素価約100〜150を有する油の使用が好ましい。ニシン油、トウモロコシ油、綿実油、カラシ油、ケシの実油、菜種油、紅花油、ゴマ油、ダイズ油、ヒマワリ油、及びコムギ胚芽油が、そのような油の例である。
【0058】
混合されたゼアキサンチンエステルの精製された濃縮物は、適当な化粧品として許容できる希釈剤中に溶解又は分散することができ、並びに希釈された組成物1gにつき混合されたゼアキサンチンエステル約5mgを含む。希釈された組成物を生成するために選択された希釈剤は、ワセリンのように、固体、液体又は半-固体であることができる。そのように生成された希釈され精製され混合されたゼアキサンチンエステル生成物は、固体分散体-中-固体のような分散体、水中油型又は油中水型乳剤のような乳剤、又は別所に考察されたような適当な油が希釈剤である液剤であることができる。企図された組成物がケン化後にアッセイされる場合、ゼアキサンチンは、存在する総カロテノイドの約20%又はそれよりも多い。好ましい態様において、ゼアキサンチンは、ケン化後にアッセイされた場合に存在する総カロテノイドの約25%又はそれよりも多い。
【0059】
追加の許容できる希釈剤は、ココアバター、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、乳糖、セルロース、カオリン、マンニトール、乾燥デンプン、粉末化された糖、ソルビトール及びイノシトールを含む。乳剤型の組成物について、乳化剤は、天然又は合成であることができ、並びにゼラチン、卵黄、カゼイン、ペクチン、ラウリル硫酸ナトリウム、モノステアリン酸ポリエチレングリコール400、ベントナイト、及び三ケイ酸マグネシウムを含むことができる。追加の可食性及び化粧品として許容できる希釈剤は、「レミントン薬科学」第8版、Gennaro編集、Mack Publishing 1990年及び「Handbook of Pharmaceutical Excipients」、Roweら編集、Pharmaceutical Press、2003年などの参考文献に記されている。
【0060】
ひとつの希釈された製品を作成するために、油及び混合されたゼアキサンチンエステルを含有する濃縮物の混合は、典型的には周知のように、混合装置を用い実行される。α-トコフェロールのような添加剤も、長期貯蔵時に可能性のある酸化を防止するために、Khachikの米国特許第5,382,714号に記されているように存在することができる。
混合されたゼアキサンチンエステルを含有する希釈され精製されたカロテノイド組成物は、通常「ビーズレット(beadlet)」と称される一般に球形の小型ペレット内に封入して存在することもできる。例証的ビーズレットは、水に不溶性であり、並びに米国特許第4,670,247号に開示されたように、架橋したゼラチン、又は米国特許第6,150,086号に開示されたように、アルギン酸ナトリウムのようなアルギン酸塩による、混合されたゼアキサンチンエステルの希釈されたカロテノイド組成物の封入により調製される。
【0061】
例として架橋したゼラチンを使用し、水に不溶性のビーズレットが、混合されたゼアキサンチンエステル、水、ゼラチン、及び糖を含む乳濁液の形成により調製される。この乳濁剤は、液滴から粒子が、それらの粒子型が永久に確立されるまで互いに個別に維持されるような方法で、デンプン質の粉末塊中に個々に収集された液滴に転換される。このカロテノイド-含有粒子は、デンプン質の収集粉末から分離され、かつ温度約90℃〜約180℃で熱処理される。この熱処理工程は、糖のカルボニル基とゼラチン分子の遊離アミノ部分の反応により、ビーズレットのゼラチンマトリックスを不溶化する。得られるビーズレットは、水に不溶性であり、かつ飼料ペレット化のストレスに対し増大した安定性を示す。架橋プロセスは、ビーズレットの製造において使用される成分を利用し、かつ架橋剤又は組成物への添加物の添加を必要としない。
【0062】
米国特許第5,695,794号は、ここでの使用に適合させることができるビーズレットの別の形を開示している。ここで、直径約30〜約55μmを有するビーズレットが、水素化されたココナッツ種子油、コムギ胚芽油、紅花油、ダイズ油などの水素化された植物油の中の所望の量の混合されたゼアキサンチンエステルの溶融液の噴霧により調製され、これは更に水素化されたダイズのモノ-及びジグリセリド、綿実のモノ-及びジグリセリドなどから調製されたもののような、モノ-及びジグリセリドに加え、抗酸化物質としてクエン酸及び2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール(BHT)を含むことができる。エトキシキン、ビタミンEなどの他の抗酸化物質も、周知のように使用することができる。この溶融混合物は、温度約160°F(約70℃)で、Niro, Inc.(コロンビア、MD)から入手可能であるような、噴霧式深冷機の順旋(cyclonic)大気流へと噴霧され、冷却時に固化するビーズレットを生成する。好ましくは飼料へ補助食品として添加されるビーズレットの形成について周知であるように、冷却されたビーズレットは、ヒュームドシリカ、リン酸カルシウム、粉末デンプンもしくはセルロースなどの亀裂防止剤と共に粉塵化される。
【0063】
混合されたゼアキサンチンエステルを含有する企図された精製された濃縮物は、合成により誘導されたゼアキサンチンエステルから生成することもできる。ゼアキサンチンの供給源は、有機合成に加え、天然の生物及び遺伝子修飾された生物を含む。Kreienbuhlらの米国特許第6,150,561号において、ウィッティッヒ反応を使用するゼアキサンチンの合成的生成を開示している。合成ゼアキサンチンは、Roche Vitamines, Inc.から市販されている。Garnettらの米国特許第5,747,544号は、望ましくはFlavobacterium multivorum細胞、更にはこのF. multivorum株から単離された遺伝子を含む他の宿主細胞の発酵により生成される所望の3R,3'R異性体を含有するゼアキサンチン調製を開示している。
【0064】
ゲラニルピロリン酸及びファルネシルピロリン酸などの遍在性の前駆体をゲラニルゲラニルピロリン酸(GGPP)へ、及びGGPPをβ-カロテンへ転換する酵素をコードしている遺伝子は、ゼアキサンチンを生成する遺伝的に修飾された生物の作出において重要である。Ausichらの米国特許第5,684,238号は、形質転換された宿主植物における、GGPPの形成、並びにGGPPのフィトエンへの、フィトエンのリコペンへの、及びリコペンのβ-カロテンへの転換に関する適当な方法、E. herbicola核酸配列、及び寄託されたE. herbicola DNA-含有細胞を開示している。この特許は、宿主生物における、β-カロテンのゼアキサンチンへの転換に関する、方法、E. herbicola核酸配列及び寄託されたE. herbicola DNA-含有細胞も開示している。各遺伝子はN-末端シグナルペプチド(transit peptide)配列を含むキメラ酵素をコードしているような、これらの遺伝子の各々を発現するための宿主生物の形質転換は、ゼアキサンチンエステルを生成するトランスジェニック生物を提供する。E. uredovoraからの適当な遺伝子のDNA配列[Misawaら、米国特許第5,429,939号]又はN-末端プラスチドシグナルペプチドを有するキメラ酵素をコードしている変種を、E. herbicola由来のDNA配列の代わりに使用することができることも理解される。
【0065】
先に説明された給源から生成されたゼアキサンチンは、その後混合されたC8-C20カルボン酸クロリドによりエステル化され、その後マリーゴールド植物から単離されたエステルに類似した混合されたゼアキサンチンエステルが回収される。しかし、このような化学的に合成された調製物は、先に説明されたようにマリーゴールドから生成された濃縮物よりもより高価である。高価であるエステル生成物の化学合成のみではなく、ゼアキサンチンの調製も、合成的であるか、又は生物の発酵に由来する。加えて合成的ゼアキサンチンプロセスは、所望の3R,3'R異性体から分離されるべき生物学的に不活性の異性体を生じる。高価ではあるが、このような誘導された混合されたゼアキサンチンエステルは、先に本願明細書に説明されたようなカロテノイド濃縮物と混合されるか、又はその濃縮物の代わりに使用される。
【0066】
混合されたゼアキサンチンエステルの精製された濃縮物又は希釈された組成物のひとつの企図された用途は、経口投与に適合された組成物中であり、及び哺乳類宿主、例えばヒトへの導入が意図されかつ良く適している。混合されたゼアキサンチンエステルは、マリーゴールド抽出物、更には先に示された合成的に誘導されたエステルから誘導される。経口投与のために企図された組成物は、混合されたゼアキサンチンエステルの活性物質を使用し、通常の補助食品又は医薬の実践に従い調製することができる。使用することができる希釈剤、賦形剤、又は担体は、このような製剤について周知であり、及び選択された製剤は所定の状況に応じて決まる。
【0067】
好ましくは、経口投与に適した組成物は、単位剤形内にある。このような形で、この組成物は、混合されたゼアキサンチンエステルを適量含有する単位剤形に分割される。この単位剤形は、包装された調製物であることができ、この容器は、例えば、バイアル又はアンプル中の、パケット、錠剤、カプセル剤、及び散剤などの調製物を個別の量含有する。単位剤形は、カプセル剤、カシェ剤、又は錠剤それ自身でもあるか、又はこれらの包装された形のいずれか適当な数であることができる。
【0068】
一部の態様において、企図された組成物は、癌の予防、又は白内障形成、黄斑変性もしくはフリーラジカル-媒介型疾患の治療もしくは予防に有効な量で、栄養学的に有効な単位剤形において使用される。用語「栄養学的有効量」とは、投与した時点で、所望の予防又は治療作用を実現するような、混合されたゼアキサンチンエステルの量を意味するように本願明細書において使用される。栄養学的有効量は、典型的には0.5mg/一人分の範囲であり、最大用量は、典型的には40mg/日を超えない。好ましい態様において、この組成物は、単位剤形中に混合されたゼアキサンチンエステルを2mg又はそれよりも多く提供する。
【0069】
混合されたゼアキサンチンエステルの別の企図された用途は、過酷な調理条件[例えば、約400°F、約205℃よりも高い温度]が施されない、焼き商品及びベーキングミックス、豆乳、飲料及び粉末飲料、凍結乳製品デザート及び混合物、加工した果実及び植物製品、卵製品及び卵代用品、朝食用シリアル、油脂、ハードキャンディー、フルーツスナック、乳製品、シロップ、ペットフード及び他の同様の食物を含む食肉調製物のような、食品調製物中の添加剤としてである。
【0070】
企図された組成物の混合されたゼアキサンチンエステルは、ヒト又は他の哺乳類により消費される場合、癌の予防、又は白内障形成、黄斑変性もしくはフリーラジカル-媒介型疾患の治療もしくは予防のための量で使用される。好ましい態様において、企図された食品又は飲料は、一人分につき約0.5mg〜約8mgの混合されたゼアキサンチンエステルを提供する。より好ましい態様において、企図された食品又は飲料は、一人分につき約2mg〜約6mgの混合されたゼアキサンチンエステルを提供する。
【0071】
混合されたゼアキサンチンエステルの精製された濃縮物又は希釈された組成物の別の企図された使用は、医療食品において、治療食の単独の商品として意図されている。医療食品とは、医師の監督下で、経口的に消費されるか又は投与されるように配合され、かつ認められた科学原理を基に、個別の栄養必要要件が医学的評価により確立されたような疾患又は状態の食事による管理のために意図された食品として、「希少難病医薬法(Orphan Drug Act)」により定義されている。一部の態様において、企図された組成物は、癌の予防、又は白内障形成、黄斑変性もしくはフリーラジカル-媒介型疾患の治療もしくは予防のための量で使用される。好ましい態様において、医療食品は、1日に混合されたゼアキサンチンエステルを最大約40mg提供する。より好ましい態様において、医療食品は、1日に約30mg〜約40mgの混合されたゼアキサンチンエステルを提供する。
【0072】
混合されたゼアキサンチンエステルは、抗酸化特性を有し、及び有害な照射に対する曝露から生じた損傷の予防においてそれらを有効にするよう青色光に加え、紫外(UV)光領域の一部を吸収する。波長320〜400nmの紫外照射範囲は、化粧産業において、「UVA」波長範囲と称され、かつ皮膚の炎症又は水泡(すなわち日焼け)を生じることがわかっている。太陽光により引き起こされた短期間の危険に加え、このUV照射曝露に関連した長期間の危険も存在する。これらの長期間の危険のひとつは、皮膚表面の悪性変化である。多くの疫学的試験が行われ、それらの結果は太陽光曝露とヒトの皮膚癌の間の強力な関係を明らかにしている。別の紫外線照射の長期にわたる危険は、皮膚の早期老化である。
【0073】
企図された調製物が皮膚上で使用される場合、緩和又は予防されるべき損傷は、例えば皮膚の早期老化のような、太陽光への慢性的曝露後に出現する火傷、水疱、又は損傷などのあらゆる皮膚の損傷であることができる。保護の正確な量は、日焼け止め指数(SPF)に応じて変動する。SPFは、通常使用されるサンスクリーンの光保護の測定値である。異なるUV波長を吸収し、これにより皮膚を保護する分子の混合物を含有するサンスクリーン組成物は、当該技術分野において公知である[Haffeyら、米国特許第5,087,445号及びTurnerら、米国特許第5,073,372号]。
【0074】
本発明のひとつの態様において、混合されたゼアキサンチンエステルの光防御有効量が、外用のクリーム剤又はローション剤のような使用のために希釈剤中に溶解又は分散される。用語「光防御有効量」は、本願明細書において、投与された場合に、所望の保護作用を実現する混合されたゼアキサンチンエステルの量を意味するように使用される。外用クリーム剤、ローション剤、又は軟膏剤は、ゲル、水-中-油型又は油-中-水型の乳剤、又は軟膏の形であることができる。ひとつの好ましい態様において、混合されたゼアキサンチンエステルの光保護量は、外用クリーム剤、ローション剤、又は軟膏剤の約0.5〜約20質量%であり、より好ましくは外用クリーム剤、ローション剤、又は軟膏剤の5〜15質量%である。
【0075】
キク科の植物、特にタゲステ・エレクタ種の植物マリーゴールドの花の花弁は、10%のビーズレット及び15%油性懸濁剤へ製剤されたルテインエステルを供給するために、商業的に抽出されている。これらの商業的製剤において、ゼアキサンチンエステルは、小さい構成成分である。15%のルテインエステル油性懸濁剤の加水分解後の分析は、ルテイン75.7mg/g、ゼアキサンチン3.9mg/g及びクリトキサンチン0.4mg/gを同定した。[Cognis Corp.のウェブサイトcognis.com]。
【0076】
商業的に実現可能な抽出レベルではないが、ゼアキサンチンエステルは、ミカン、ジャガイモ、唐辛子、柿及び桃を含む、他の給源から同定されている。ミカンジュースは、ゼアキサンチンエステル37.6nmol/gを含むことが示されており、柿果実は、ゼアキサンチンエステル8.57μg/gを含むことが示されている。[Wingerathら、J. Agric. Food Chem.、44:2006-2013 (1996);Breithauptら、J. Agric. Food Chem.、50:7175-7181 (2002);Breithauptら, Eur. Food Res. Technol.、211:52-55 (2000);Philipら、J. Food Sci.、53(6): 1720-1722及び1745 (1988);並びに、Khachikら、J. Agric. Food Chem.、37(6):1465-1473 (1989)]。先のWingerathらの論文のデータは、β-クリプトキサンチンの脂肪酸エステルは、ミカンから調製された濃縮物中のゼアキサンチンの同様のエステルよりも支配的であること、及びβ-クリプトキサンチンは、濃縮物のケン化後にゼアキサンチンよりも支配的であることを示しているのに対し、本願明細書の表6及び7のデータは、ゼアキサンチンは、マリーゴールドから調製された企図された濃縮物においてケン化後にβ-クリプトキサンチンよりも支配的であることを示している。このWingerathらの論文は、オレンジジュースから調製された濃縮物中に遊離のエステル化されないゼアキサンチン及びβ-クリプトキサンチンのみが存在することも示している。先のPhilipらの論文は、β-クリプトキサンチンエステルが柿から調製された濃縮物中に存在するゼアキサンチンエステルよりも過剰であることを示しているデータを同様に提供している。
【0077】
現在利用可能なマリーゴールドは、花に存在する量が少ないために、混合されたゼアキサンチンエステルの商業的抽出には適していない。しかし変更されたカロテノイドプロファイルを有するマリーゴールドを使用し、濃縮物又は希釈された組成物中に、混合されたゼアキサンチンエステルを提供することができる。変更されたカロテノイドプロファイルを有する植物は、変異誘発の様々な方法を介して、又は先に注記された共有の特許出願において開示されたトランスジェニック植物を形成するための遺伝子操作により、作出することができる。
【0078】
植物を変更するのに有用な変異誘発剤は、このような物質を使用する方法のように、当該技術分野において周知である。化学的変異原の例は、ニトロソメチル尿素(NMU)、メタンスルホン酸エチル(EMS)、メタンスルホン酸メチル、硫酸ジエチル、ニトロソグアニジン、及びエチルニトロソ尿素を含むが、EMSが本願明細書において好ましい。NMUを、Cetlらの論文(Folia Fac. Sci. Nat. Univ. Purkynianae Brun. Biol.、21(1):5-56 (1980))に説明されたように使用することができるが、EMSは、典型的には約0.25〜約1容量%(v/v)、好ましくは約0.2〜約0.8%で利用される。
【0079】
植物は、化学的変異体に加え、γ線又は中性子による電離放射線を使用し、カロテノイドプロファイルの変更に作用するように変異することができる。γ線及び高速中性子射撃は、1個又はそれよりも多い遺伝子の欠損を引き起こすために、他の植物について使用されている。γ線照射は、線量200〜約20,000rad(0.2〜約20krad)で種子を照射するように使用される場合、有用な変異誘発剤である。更なる技術は当業者に周知である。従ってこのような変異誘発された植物は、各々、化学的に誘導された、又は電離放射線で誘導されたと称される。結果的に、マリーゴールドのような変異体宿主植物は、化学的に誘導された変異又は電離放射線に誘導された変異により得られたマリーゴールド植物として、本願明細書において定義されている。
【0080】
使用された変異原とは関わりなく、花弁中のゼアキサンチン比及びキサントフィル量などの、カロテノイド-関連した形質を含む、ほとんどの得られる変異体植物の表現型は、通常親のそれと実質的に同一であり、その結果得られた非常に大きい割合の変異体は有用ではない。加えて、親と同じ表現型を有するように見える植物は、所望の変異体植物を探すためにスクリーニングする必要がある。これらのスクリーニングは退屈であるが、慣習的に実行され、及び1種又はそれよりも多い単独の花の花弁もしくは葉又は両方からのカロテノイド色素の分析に関連している。従って所望の変異体の調製は、比較的稀であるが、反復可能な事象である。例えば本願明細書のひとつの試験において、試験された22,000種弱の変異体植物から、わずかに23種の有用な変異体が得られ、これはゼアキサンチン比が約1:10又はそれよりも大きく、及びそれらの23種の中のわずかに2種の植物が、約9:1よりも大きいゼアキサンチン比を有した。別の試験において、試験した植物約8200種中の約43種の変異体は、ゼアキサンチン比約1:10又はそれ以上を示した。
【0081】
混合されたゼアキサンチンエステルの給源材料であることができるマリーゴールド植物は、同定された変異誘発された植物の自殖又は交雑の種子から生育する植物であることができる。給源のマリーゴールド植物は、独立したM1植物(M1 x M1)由来のふたつの異なる変異誘発された植物から生育した、ふたつの植物の花の交雑により形成された雑種であることができる。これは変異誘発された植物から生じたひとつの植物の花を変異誘発されない植物と交雑することにより形成された雑種、又は雑種の一方もしくは他方のその直接(immediate)の親の花との戻し交雑により形成された雑種でもあることができる。加えてふたつの異なる雑種植物は、交雑されるか、又は雑種は自殖され得る。生成された植物はスクリーニングされ、かつ所望のカロテノイド特性について選択される。
【0082】
当業者は、更なる労作を伴わずに、先行する説明を用い、本発明をその完全な程度まで利用することができると考えられる。従って下記の好ましい具体的態様は、単なる例証として構成され、いかなる意味においても本開示の残りの部分を限定するものではない。
【0083】
実施例1:タゲステ・エレクタ「Scarletade」のEMS処理
「Scarletade」と命名されたタゲステ・エレクタ・キサントフィルマリーゴールドの種子(PanAmerican Seed Co. 622 Town Road, ウェストシカゴ、IL 60185から市販)は、メタンスルホン酸エチル(EMS、Sigma Chemical Co., セントルイス、MO 63178から市販)で処理した。約2,500個の種子を400mlの0.4%(v/v)又は0.8%(v/v)EMSに添加し、周囲温度で8時間穏やかに攪拌した。EMS処理後4時間の間に、種子を16回洗浄し、各洗浄は、蒸留水400mlによる連続攪拌を用いた。処理した種子は、M1種子と同定され、その後無土壌鉢植え混合物の入ったトレー中に播種した。
数週間後、これらの実生苗を、無土壌鉢植え混合物を含むポットに移植し、温室で維持した。これらの植物により生じた花は、自然に自己受粉した。得られた種子は、M2種子と同定され、これは約2,300本の植物から収穫した。これら2,300本の植物のうち、約1,500本は、0.4%EMS処理した種子から生育し、及び約800本は0.8%EMSで処理した種子から生育した。変異体植物の同定を促進するために、各50本のM1植物からのM2種子を、ひとつのロットにまとめ、合計47種の種子ロットを得た。2000年の夏の間に、47種の各ロットから500個の種子を播種し、得られた植物を、PanAmerican Seed Co. (サンタポーラ、CA 93060)で圃場育成した。
【0084】
実施例2:EMS-処理したタゲステ・エレクタ「Scarletade」のHPLCスクリーニング
EMS-処理した「Scarletade」植物は、PanAmerican Seed Co.(サンタポーラ、CA 93060)で圃場育成し、変更されたゼアキサンチン比についてHPLCによりスクリーニングした。およそ98%完全に開花した花を、分析のために選択した。各花から、ひとつの花弁を花中心から1/3の距離で取り除き、ガラスビーズ約5gが入った3.5" x 0.75"のガラスバイアル中に配置した。バイアルは、80℃で貯蔵するまで、ドライアイスと共に封をした。
分析のために、1個の注入バルブGilson 232XL及び402 2S1V希釈装置を備えるロボットシステムで、溶媒送達及びアリコート採取を行った[Gilson, Inc. USA, 3000 W. Beltline Highway, ミドルタウン、WI]。ケン化のために、50%水酸化カリウムのヒドロ-エタノール性(hydro-ethanolic)溶液3ml(水4:エタノール1)を、各バイアルに添加し、その後オクタノール3mlを添加した。このケン化処理は、IKA HS 501水平振盪機[Labworld-online, Inc. ウィルミントン、NC]上で維持したバイアル中、室温で250移動/分で15時間行い、その後静止相を約1時間とした。
【0085】
ケン化後、上清をメタノール0.9mlで希釈した。メタノールの添加は、試料の均一性を確実にするために加圧下で行った。0.25mlのシリンジを用い、アリコート0.1mlを取り除き、かつ分析のためにHPLCバイアルに移した。
HPLC分析のために、四元(quaternary)ポンプ、真空脱気システム、6方向注入バルブ、温度調節した自動試料採取器、カラムオーブン及びフォトダイオードアレイ検出器が完備した、Hewlett Packard 1100 HPLCを用いた。[Agilent Technologies、Ultra Scientific Inc., 250 Smith Street, North Kingstown, RIから入手]。このカラムは、同じ材質のガードカラムを備えた、Waters YMC 30, 5-μm, 4.6 x 250 mmであった。[Waters, 34 Maple Street, Milford, MA]。移動相のための溶媒は、0.2%BHT(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール)で安定化した81メタノール:4水:15テトラヒドロフラン(THF)であった。注入は、20μlであった。分離は、30℃で無勾配であり、流量は1.7ml/分であった。ピーク反応は、吸光度447nmで測定した。
【0086】
このプロトコールを用い、最初の2,546種の試料の結果を、統計学的に解析し、ルテイン及びゼアキサンチン含量について平均値を確立した。これは半定量的分析スクリーニングであるので、ピーク面積値を使用した。平均ルテイン及び/又はゼアキサンチン濃度よりも高値を有する変異体を同定するために、平均よりも3標準偏差大きい値を計算した。計算したピーク面積平均値、標準偏差及びゼアキサンチン比を、下記表1に示した。
【0087】
【表1】

【0088】
先の値を基に、1565よりも大きいルテインピーク面積及び/又は91よりも大きいゼアキサンチンピーク面積を有する試料を選択した。試料は、高いルテインピーク面積、及び10%よりも大きいゼアキサンチン比についてのみ選択した。これらの選択パラメータを用い、合計88変異体を、21,754種のアッセイした試料から同定した。各EMS種子処理から得た変異体の総数は、下記表2に示した。
【0089】
【表2】

【0090】
ルテイン及びゼアキサンチンの相対レベルに関するこれらのアッセイのより詳細な結果は下記表3に示した。










【0091】
【表3】

【0092】
約21,700種の植物は、典型的ゼアキサンチン比約4〜約7%(約1:25〜約1:15)を示した。先のデータは、企図された変異の相対的希さに加え、低下したゼアキサンチンレベルを示すほぼ同数の植物を例示している。同じくこのデータは、変異原のひとつのレベルの使用の、ここで使用された他方に対する優先性も示していない。
【0093】
実施例3:タゲステ・エレクタ 13819のEMS処理
13819と称されるタゲステ・エレクタキサントフィルマリーゴールドの種子(PanAmerican Seed Co. 622 Town Road, ウェストシカゴ、IL 60185の専売の育種選択)を、メチルスルホン酸エチル(EMS, Sigma Chemical Co., セントルイス、MO 63178から市販)で処理した。約7,000個の種子を、600mlの0.2%(v/v)又は0.4%(v/v)EMSに添加し、周囲温度で8時間穏やかに攪拌した。EMS処理後4時間の間に、種子を16回洗浄し、各洗浄は、蒸留水600mlによる連続攪拌を用いた。
処理した種子は、M1種子と同定され、その後無土壌鉢植え混合物中に播種した。3〜4週間後、実生苗を圃場に移した。これらの植物により生じた花は、他家受粉を防止するために袋をかけ、かつ自然発生的に自家受粉させた。得られた種子は、M2種子と同定され、これは約2,391本の植物から収穫した。これらの植物のうち、約951本は、0.2%EMS処理した種子から生育し、及び約1,440本は0.4%EMSで処理した種子から生育した。
【0094】
変異体植物の同定を促進するために、各50本の植物からのM2種子を、ひとつのロットにまとめた。この群別は、合計48種の種子ロットを得た。2000年の10月下旬から11月半ばにかけて、0.4%EMS処理の各15ロットから1000個の種子を播種し、各ロットの700本の植物を、Seaview Nursery(El Rio, CA 93060)の温室で育成した。加えて、48ロット全てからの1,500個の種子を、2000年の10月下旬に播種し、各ロットからの765本の植物を、Semillas Pan American Chile LTDA(Pichidegua, チリ)で圃場育成した。
【0095】
実施例4:EMS-処理したタゲステ・エレクタ13819のHPLCスクリーニング
EMS-処理した13819 M2植物は、Seaview Nursery(El Rio, CA 93060)の温室で育成し、Semillas PanAmerican Chile LTDA(Pichidegua, チリ)で圃場育成し、かつ変更されたゼアキサンチン比についてスクリーニングした。およそ98%完全に開花した花を、分析のために選択した。これらの花から、花弁を花中心から1/3の距離で取り除いた。花弁組織約100mgを、プラスチックバッグ中に配置し、分析時まで凍結保存した。乾燥質量を、ガラスビーズ約5gが入った3.5" x 0.75"ガラスバイアルに配置した2個の花弁について決定した。
分析のために、1個の注入バルブGilson 232XL及び402 2S1V希釈装置を備えるロボットシステムで、溶媒送達及びアリコート採取を行った。ケン化のために、50%水酸化カリウムのヒドロ-エタノール性溶液3ml(水4:エタノール1)を、各バイアルに添加し、その後オクタノール3mlを添加した。このケン化処理は、IKA HS 501水平振盪機上で維持したバイアルにより、室温で250移動/分で15時間行い、その後静止相を約1時間とした。
【0096】
ケン化後、上清をメタノール0.9mlで希釈した。メタノールの添加は、試料の均一性を確実にするために加圧下で行った。0.25mlのシリンジを用い、アリコート0.1mlを取り除き、かつ分析のためにHPLCバイアルに移した。
HPLC分析のために、四元ポンプ、真空脱気システム、6方向注入バルブ、温度調節した自動試料採取器、カラムオーブン及びフォトダイオードアレイ検出器が完備した、Hewlett Packard 1100 HPLCを用いた。このカラムは、同じ材質のガードカラムを備えた、Waters YMC 30, 5-μm, 4.6 x 250 mmであった。標準は、DHI-Water & Environment( DK - 2970 Horsholm, デンマーク)及びSigma Chemical Co.(セントルイス、MO 63178)から得た。移動相のための溶媒は、0.2%BHTで安定化した81メタノール:4水:15テトラヒドロフランであった。注入は、20μlであった。分離は、30℃で無勾配であり、流量は1.7ml/分であった。ピーク反応は、吸光度447nmで測定した。
【0097】
このプロトコールを用い、最初の507種の試料からの結果を、統計学的に解析し、ルテイン及びゼアキサンチン含量について平均値を確立した。平均ルテイン及び/又はゼアキサンチン濃度よりも高値又は低値を有する変異体を同定するために、平均よりも3標準偏差大きい又は小さい値を計算した。計算した平均値、標準偏差及びゼアキサンチン比を、下記表4に示した。
【0098】
【表4】

【0099】
先の値を基に、10%よりも大きいゼアキサンチン比、1.12mg/g生体重よりも大きい一緒にしたルテイン及びゼアキサンチン含量、並びに0.24mg/g生体重未満の一緒にしたルテイン及びゼアキサンチン含量を持つ試料を選択した。1.12mg/gよりも大きいルテイン+ゼアキサンチンの和を有する合計347個の変異体、及び10%よりも大きいゼアキサンチン比を有する43個の変異体を、これらの選択パラメータを用い、8192種の試料から選択した。各EMS種子処理から得た変異体の総数は、下記表5に示した。
【0100】
【表5】

【0101】
約10%ゼアキサンチンよりも大きいゼアキサンチン比を有する変異体のうちで、約47%は10〜13%を有するのに対し、53%は、13%又はそれ以上を示した。
【0102】
実施例5:選択したマリーゴールド花弁中のカロテノイド組成
カロテノイド組成は、実施例2に説明されたスクリーニング手法において同定されたものから選択された「Scarletade」野生型及び変異体試料について決定した。花弁試料は、-80℃の冷凍機中で、変異体が同定されるまで保存した。試料は凍結乾燥し、乾燥した組織は、アルゴン下、-80℃で、分析の準備ができるまで貯蔵した。
抽出手法は、赤色光下で行った。乾燥した花弁を、No.40のメッシュサイズの篩を通過するように粉砕した。粉砕した試料を、正確に秤量し、100mlの赤色メスフラスコに移した。この試料に、500μlのH2Oを添加し、この混合物を1分間旋回させた。抽出溶媒30ml(10mlヘキサン+7mlアセトン+6ml無水アルコール+7mlトルエン)を添加し、このフラスコを、160rpmで10分間振盪した。
ケン化について、2mlの40%メタノール性KOHを、このフラスコに添加し、その後これを1分間旋回させた。このフラスコは、56℃のH2O浴に20分間放置した。溶媒の喪失を防ぐために、空冷コンデンサーを装着した。この試料を、暗所で1時間装着したコンデンサーにより冷却した。冷却後、ヘキサン30mlを添加し、このフラスコを160rpmで10分間振盪した。
【0103】
振盪した試料を、10%硫酸ナトリウム溶液で容量(100ml)に希釈し、1分間激しく振盪した。この試料は、少なくとも30分間は暗所に配置し続けた。35mlのアリコートを、約50mlの上側相から除去し、試料カップに移した。追加のヘキサン30mlを、フラスコに添加し、その後160rpmで10分間振盪した。約1時間後、上側相を一緒にした。HPLC分析のために、アリコート10mlを窒素下で乾燥し、アルゴン下で-80℃で貯蔵した。
HPLC装置は、冷蔵自動試料採取器、カラムヒーター及びWatersフォトダイオードアレイ996検出器(Waters Corp., 34 Maple Street, ミルフォード、MA 01757)を装着したAlliance 2690を備えた。分離は、同じ材質のガードカラムを備えた、YMC C30カラム、3μm, 2.0 x 150 mmで得た。標準は、ICC Indofine Chemicals (Somerville, NJ 088876)及びDHI-Water & Environment(DK - 2970 Horsholm, デンマーク)から得た。
【0104】
乾燥した変異体試料は、テトラヒドロフラン及びメタノール中に再懸濁し、総容積200μlとし、濾過したのに対し、対照は、更に濃縮しなかった。カロテノイドは、勾配法を用い分離した。最初の勾配条件は、90%メタノール:5%水:5%メチルtert-ブチルエーテルであり、流量0.4ml/分であった。0〜15分間、移動相を、最初の条件から、80メタノール:5水:15メチルtert-ブチルエーテルに、並びに15〜60分を20メタノール:5水:75メチルtert-ブチルエーテルに変更した。次の10分間、移動相を最初の条件に戻し、かつカラムを更に10分間平衡とした。カラム温度は、27℃で維持し、流量は0.4ml/分とした。注入は、10μlであった。ピーク反応の大部分は450nmで測定し、追加の面積は、286、348、400及び472nmの抽出チャンネルから追加した。
【0105】
選択された変異体のカロテノイドプロファイルの値は、総面積の割合としてのピーク面積を用い、下記表6a、6b及び6cに示した。示された化合物の識別は、抽出されたスペクトル及び各クロマトグラムの大きいピークに関して得られたエタノール中の最大吸光度(λmaxima;ETOH)を基にし、その一部は既知の標準の保持時間により証明した。値は、同じ化合物の疑わしい異性体と一緒にしている。一部の化合物は、少量の不純物を含み得る。この表に含まれた値は、Quackenbushらの論文(J. Assoc. Off. Anal. Chem.、55(3):617-621 (1972))に記された黄色アメリカンマリーゴールド(黄色マリーゴールド)であった。単独の記入(entry)は、本願明細書において使用した手法により分離されなかったネオキサンチン/ビオラキサンチン及びクリサンテマキサンチン/フラボキサンチン化合物対について、表6a--6cで用いた。































【0106】
【表6】













* nf = 認められず
** nr = 報告されず


























【0107】
【表7】

* nf = 認められず
** nr = 報告されず
【0108】
【表8】

* nf = 認められず
** nr = 報告されず
【0109】
実施例6:変異体の育種による少いルテイン及び高いゼアキサンチン、フィトエン、リコペン又はβ-カロテンのレベルを伴うマリーゴールドの調製
野生型と比較して増加したゼアキサンチン対ルテイン比を示すマリーゴールドの変異体選択124-257を自殖し、得られる種子を維持した。マリーゴールド選択124-257の自殖からの植物を、雌性の親PanAmerican Seedの専売の育種系統F9 Ap(85368-4)との交雑における雄性の親として用いた。この交雑から、F1植物を生じ、自殖し、F2集団を生じた。
【0110】
F2交雑からの15種の実生苗を、薄層クロマトグラフィー(TLC)を使用し、ルテインの非存在について分析した。各実生苗からの新鮮な葉組織約50mgを、5gのガラスビーズが入った100 x 13 mmねじ式蓋のチューブに秤量した。密封したバイアルは、-20℃で貯蔵した。
分析について、抽出溶媒(10mlヘキサン+7mlアセトン+6ml無水アルコール+7mlトルエン)500μlを添加し、密封したチューブを最低45分間ボルテックスした。ボルテックス後、この溶液を、4mlの褐色バイアルに移し、窒素下で蒸発させた。試料を、先に説明された抽出溶媒125μl中に再懸濁し、及び10μlを、19チャネルシリカゲルプレート上にスポットした。プレートは、約10分間乾燥し、その後2:1酢酸エチル:ヘキサン溶液100mlを含む2チャネル25cm発色タンク中で25分間発色した。取出し時に、試料を、ルテインの非存在について評価した。
【0111】
このスクリーニングから、F2マリーゴールド選択14649-3を同定した。この選択を、変異体101-190及び100-198との交雑における雌性親として用い、これは増加したゼアキサンチン対ルテイン比を示すことに加え、野生型と比べ、低下したエポキシカロテノイド(例えば、ネオキサンチン及びビオラキサンチン)生成を有した。
マリーゴールド変異体選択100-198を自殖し、得られる種子を維持した。マリーゴールド選択100-198の自殖由来の植物を、先に説明したような雌性親の選択14649-3との交雑における雄性親として使用した。この交雑から、F1種子を収集し、及びこれらの30個の種子を栽培した。得られる植物の11種は、自殖した。この交雑から、F2種子を収集し、これらの種子の400個を栽培育成した。
【0112】
先に説明されたようなTLC分析を用い、151種の実生苗の葉を分析した。32種の植物は、変異体選択100-198に典型的な低下したエポキシカロテノイド生成を基に同定した。残りのTLC抽出物は、改変した実施例5のプロトコールを用いて行った高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて分析した。改変は、以下を含む:乾燥した試料は、メチルtert-ブチルエーテル及びメタノール中に再懸濁し、全ての勾配条件は、6%に増加した水、対応する1%のメタノール減少、及びカラム温度の25℃での維持を使用した。
分析は、32種の植物中7種が、変異体選択124-257に典型的なゼアキサンチン対ルテイン比の増加した示したことを確認した。7種の選択の花弁及び葉試料を抽出し、前述の改変を伴う実施例5のプロトコールに従い分析した。花弁の結果は、下記表7aに示した。加えてケン化しなかった花弁試料は、存在する場合のエステル化されないゼアキサンチンの割合(%)を決定するために、分析した。これらのデータは表9に示した。
【0113】
マリーゴールド変異体選択101-190は自殖し、得られた種子を維持した。マリーゴールド選択101-190を、先に説明した雌性親選択14649-3との交雑における雄性親として用いた。この交雑から、F1種子を収集し、かつこれらの種子の30個を栽培した。得られた植物の6種は、自殖した。この後者の交雑から、F2種子を収集し、栽培・育種した。
最新のTLC分析法は、この集団について確定的でないことが決定された。従って、約30種の植物が、オレンジ色のがく片の表現型を有することを基に、HPLC分析のために選択された。
【0114】
試料は、TLCのために抽出した;しかし、HPLC分析を行った。30種の選択のうち10種は、変異体選択101-190に典型的な低下したエポキシ-カロテノイド生成を有することに加え、選択124-257に典型的な増加したゼアキサンチン対ルテイン比を有することがわかった。
10種の選択中の花弁及び葉試料を抽出し、前述の改変を伴う実施例5のプロトコールに従い、分析した。花弁の結果は、表7b及び7cに示した。加えて、ケン化されない花弁試料を分析し、エステル化されないゼアキサンチンの割合を決定した。これらの結果は表8に示した。









































【0115】
【表9】







































【0116】
【表10】

【0117】
【表11】

【0118】
【表12】

【0119】
実施例7:混合されたゼアキサンチンエステルの精製
乾燥したマリーゴールドの花冠1kgを、混合されたゼアキサンチンエステル含量1.0質量%を有すると、ソックスレー抽出器によりアリコートについて決定し、引き続き最大光吸収波長である445nmで分光光度測定し、セラミックフィルターが装着されたガラスカラムを用い、ヘキサン8Lで浸出濾過した。得られた抽出溶液のヘキサンは、真空下60℃で蒸発させた。HPLCピーク面積により決定されるように、混合されたゼアキサンチンエステル含量9.0%を有する含油樹脂35gを得た。
この含油樹脂は、イソプロパノール100ml中、20℃で3時間攪拌した。得られた懸濁剤を、濾紙を通して濾過し、その溶媒を減圧下周囲温度で除去した。得られた固形物は65℃で融解し、金型に注いだ。3時間周囲温度で冷却した後、1個の混合されたゼアキサンチンエステルバーを5gと秤量し、混合されたゼアキサンチンエステル含量約16質量%(ヘキサン中の分光光度法による)を得た。あるいは、混合されたゼアキサンチン濃縮物は、顆粒状態へ粉砕した。
【0120】
本願明細書に引用された特許及び記事は各々、参照として組入れられている。冠詞「ひとつの(a又はan)」の使用は、ひとつ又はそれよりも多く含むことが意図されている。
前述の説明及び実施例は、例証であることが意図されており、限定としてではない。本発明の精神及び範囲内のその他の変動が依然可能であり、かつ当業者には容易に示されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0121】
【図1】図1は、植物におけるルテイン及びゼアキサンチンの生成に関する生物学的合成経路の概略的説明であり、ここでは、この経路の最初のC40カロテノイドであるフィトエンは、いくつかの工程(4個の矢印)においてゼータ-カロテン(ζ-カロテン)を介しリコペンへ転換され、その後この経路は分裂し、1個のε-環を有するδ-カロテン、その後1個のε-環及び1個のβ-環を含むα-カロテンを形成するか、又は1個のβ-環を含むγ-カロテン、その後2個のβ-環を含むβ-カロテンを形成し、並びにいくつかの工程の後、各々、ルテイン又はゼアキサンチンを形成し、かつこのゼアキサンチンの枝は、エポキシド-含有するキサントフィルであるアンテラキサンチン、ビオラキサンチン及びネオキサンチンへと続く。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
混合されたゼアキサンチンC8-C20カルボン酸エステルを含有する精製されたカロテノイド濃縮物であって、該混合されたゼアキサンチンエステルが、濃縮物の約50mg/g以上を構成し、該ゼアキサンチンが、ケン化後にアッセイした場合に存在する総カロテノイドの約20%以上であることを特徴とする、カロテノイド濃縮物。
【請求項2】
前記ゼアキサンチンエステルが、モノエステル化されたゼアキサンチン、ジエステル化されたゼアキサンチン又はそれらの混合物である、請求項1記載のカロテノイド濃縮物。
【請求項3】
前記混合されたゼアキサンチンエステルの酸部分が、パルミチン酸、ステアリン酸、ミリスチン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ラウリン酸、パルミトレイン酸、ペンタデカン酸、及びカプリン酸からなる群より選択される複数の酸を含む、請求項1記載のカロテノイド濃縮物。
【請求項4】
前記ゼアキサンチンが、ケン化後にアッセイした場合に存在する総カロテノイドの約25%以上である、請求項1記載のカロテノイド濃縮物。
【請求項5】
前記総カロテノイドが、少なくとも1種の追加のカロテノイドを、遊離又はエステル化された形で含む、請求項1記載のカロテノイド濃縮物。
【請求項6】
前記追加のカロテノイドが、カロテン、キサントフィル、モノエステル化されたキサントフィル、ジエステル化されたキサントフィル及びそれらの混合物からなる群より選択される、請求項5記載のカロテノイド濃縮物。
【請求項7】
前記混合されたゼアキサンチンエステルが、キク科の植物から抽出される、請求項1記載のカロテノイド濃縮物。
【請求項8】
前記混合されたゼアキサンチンエステルが、タゲステ・エレクタ種から抽出される、請求項7記載のカロテノイド濃縮物。
【請求項9】
可食性希釈剤中に溶解又は分散された混合されたゼアキサンチンC8-C20カルボン酸エステルを含有する、希釈され精製されたカロテノイド組成物であって、前記混合されたゼアキサンチンエステルが、希釈された組成物の約10mg/g以上を構成し、該ゼアキサンチンが、ケン化後にアッセイした場合に存在する総カロテノイドの約20%以上であることを特徴とする、組成物。
【請求項10】
前記可食性希釈剤が、油である、請求項9記載のカロテノイド組成物。
【請求項11】
ビーズレット内に封入されて存在する、請求項9記載のカロテノイド組成物。
【請求項12】
前記ゼアキサンチンエステルが、モノエステル化されたゼアキサンチン、ジエステル化されたゼアキサンチン又はそれらの混合物である、請求項9記載のカロテノイド組成物。
【請求項13】
前記混合されたゼアキサンチンエステルの酸部分が、パルミチン酸、ステアリン酸、ミリスチン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ラウリン酸、パルミトレイン酸、ペンタデカン酸、及びカプリン酸からなる群より選択される複数の酸を含む、請求項9記載のカロテノイド組成物。
【請求項14】
前記ゼアキサンチンが、ケン化後にアッセイした場合に存在する総カロテノイドの約25%以上である、請求項9記載のカロテノイド組成物。
【請求項15】
前記総カロテノイドが、少なくとも1種の追加のカロテノイドを、遊離又はエステル化された形で含む、請求項9記載のカロテノイド組成物。
【請求項16】
前記追加のカロテノイドが、カロテン、キサントフィル、モノエステル化されたキサントフィル、ジエステル化されたキサントフィル及びそれらの混合物からなる群より選択される、請求項15記載のカロテノイド組成物。
【請求項17】
前記混合されたゼアキサンチンエステルが、キク科の植物から抽出される、請求項9記載のカロテノイド組成物。
【請求項18】
前記混合されたゼアキサンチンエステルが、タゲステ・エレクタ種から抽出される、請求項9記載のカロテノイド組成物。
【請求項19】
可食性希釈剤中に溶解又は分散され、単位剤形中に栄養学的有効量で存在する、混合されたゼアキサンチンエステルを含有する、経口投与に適した組成物。
【請求項20】
前記単位剤形が、粒状製剤を含む、請求項19記載の組成物。
【請求項21】
前記栄養学的有効量は、黄斑変性又は白内障形成を治療又は予防するのに十分な量である、請求項19記載の組成物。
【請求項22】
前記栄養学的有効量が、癌を予防するのに十分な量である、請求項19記載の組成物。
【請求項23】
前記栄養学的有効量が、フリーラジカル-媒介型疾患を治療又は予防するのに十分な量である、請求項19記載の組成物。
【請求項24】
前記フリーラジカル媒介型疾患が、炎症-免疫損傷、アルコール障害、放射線傷害、早期老化障害、年齢に関連した免疫不全、癌、関節リウマチ、アテローム性動脈硬化症、老人性痴呆、アルツハイマー病、パーキンソン病(MPTP)、筋肉硬化症、白内障発生、変性性網膜損傷、及び太陽光照射からなる群より選択される、請求項23記載の組成物。
【請求項25】
前記栄養学的有効量が、約2mg以上である、請求項19記載の組成物。
【請求項26】
可食性希釈剤中に溶解又は分散され、栄養学的有効量で存在する、混合されたゼアキサンチンエステルの添加剤を含有する、哺乳類の消費に適した食品又は飲料。
【請求項27】
前記栄養学的有効量が、約0.5mg〜約8mg/一人分である、請求項26記載の食品又は飲料。
【請求項28】
前記食品が、ペットフードである、請求項26記載の食品又は飲料。
【請求項29】
前記食品が、医療食品である、請求項26記載の食品又は飲料。
【請求項30】
前記栄養学的有効量が、黄斑変性又は白内障形成を治療又は予防するのに十分な量である、請求項29記載の医療食品。
【請求項31】
前記栄養学的有効量が、癌を予防するのに十分な量である、請求項29記載の医療食品。
【請求項32】
前記栄養学的有効量が、フリーラジカル-媒介型疾患を予防するのに十分な量である、請求項29記載の医療食品。
【請求項33】
前記フリーラジカル媒介型疾患が、炎症-免疫損傷、アルコール障害、放射線傷害、早期老化障害、年齢に関連した免疫不全、癌、関節リウマチ、アテローム性動脈硬化症、老人性痴呆、アルツハイマー病、パーキンソン病(MPTP)、筋肉硬化症、白内障発生、変性性網膜損傷、及び太陽光照射からなる群より選択される、請求項32記載の医療食品。
【請求項34】
栄養学的有効量が、単回投与又は反復投与において最大約40mg/日を提供するのに十分である、請求項29記載の医療食品。
【請求項35】
化粧用に許容できる希釈剤中に溶解又は分散された、混合されたゼアキサンチンC8-C20カルボン酸エステルを含有する、希釈され精製されたカロテノイド組成物であって、前記混合されたゼアキサンチンエステルが、希釈された組成物の約10mg/g以上を構成し、前記ゼアキサンチンが、ケン化後にアッセイした場合に存在する総カロテノイドの約20%以上であることを特徴とする、カロテノイド組成物。
【請求項36】
前記キサンチンエステルが、モノエステル化されたゼアキサンチン、ジエステル化されたゼアキサンチン又はそれらの混合物である、請求項35記載のカロテノイド組成物。
【請求項37】
混合されたゼアキサンチンエステルの酸部分が、パルミチン酸、ステアリン酸、ミリスチン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ラウリン酸、パルミトレイン酸、ペンタデカン酸、及びカプリン酸からなる群より選択される複数の酸を含む、請求項35記載のカロテノイド組成物。
【請求項38】
前記ゼアキサンチンが、ケン化後にアッセイした場合に存在する総カロテノイドの約25%又はそれよりも多い、請求項35記載のカロテノイド組成物。
【請求項39】
前記総カロテノイドが、少なくとも1種の追加のカロテノイドを、遊離又はエステル化された形で含む、請求項35記載のカロテノイド組成物。
【請求項40】
前記追加のカロテノイドが、カロテン、キサントフィル、モノエステル化されたキサントフィル、ジエステル化されたキサントフィル及びそれらの混合物からなる群より選択される、請求項39記載のカロテノイド組成物。
【請求項41】
前記混合されたゼアキサンチンエステルが、キク科の植物から抽出される、請求項35記載のカロテノイド組成物。
【請求項42】
前記混合されたゼアキサンチンエステルが、タゲステ・エレクタ種から抽出される、請求項41記載のカロテノイド組成物。
【請求項43】
希釈剤中に溶解又は分散され、光防御に有効量で存在する、混合されたゼアキサンチンエステルを含有する、外用のクリーム剤、ローション剤、又は軟膏剤。

【図1】
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【公表番号】特表2007−525189(P2007−525189A)
【公表日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−514887(P2006−514887)
【出願日】平成16年5月18日(2004.5.18)
【国際出願番号】PCT/US2004/015472
【国際公開番号】WO2004/108635
【国際公開日】平成16年12月16日(2004.12.16)
【出願人】(505446596)クリサンティス インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】