混合モード配位子
【課題】固体担体と、配位子と、固体担体を配位子に共有結合によって接続させる少なくとも1つのC、O、N、又はS原子を含むリンカーとを含む基材が、この基材を使用し、作製する方法、並びにこの基材を含むデバイスとともに開示される。
【解決手段】(a)固体担体と、(b)式(省略)の配位子と、(c)波線で示されている配位子上の位置で、固体担体を配位子に共有結合によって接続させる少なくとも1つのC、O、N、又はS原子を含むリンカーとを含む基材。
【解決手段】(a)固体担体と、(b)式(省略)の配位子と、(c)波線で示されている配位子上の位置で、固体担体を配位子に共有結合によって接続させる少なくとも1つのC、O、N、又はS原子を含むリンカーとを含む基材。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
[0001]本特許出願は、参照により本明細書に組み込まれている、2011年7月27日に出願された米国特許仮出願第61/512,097号の利益を主張するものである。
【発明の背景】
【0002】
[0002]本発明は、一般に、混合モード又は複数モード相互作用クロマトグラフィー材料に関する。タンパク質などの大量の生体関連分子(つまり、生体分子)に対する必要性が増加したために、生理的単離物からかかる生体分子を単離するためのさまざまな技術が生み出された。特に重要な1つの分離法は、液体クロマトグラフィーである。
【0003】
[0003]高い結合能、特異性、及び回収率を示し、しかも、クロマトグラフィー性能の低下なしで大量に再生が可能な混合モードクロマトグラフィー材料に対する必要性が当技術分野に存在する。
【発明の概要】
【0004】
[0004]本発明による基材及び基材の使用方法の実施形態によれば、免疫グロブリン(好ましくは、モノクロナール抗体)などの生体物質は、好ましくは、結合されるが、集合体には結合しない。一部の実施形態では、免疫グロブリンIgA及び/又はIgMは、選択的に結合する。有利には、生体物質は、精製するのと同時に集合体を除去することができ、それによってワンステップでの精製及び集合体除去が可能になる。
【0005】
[0005]一実施形態では、本発明は、固体担体と、配位子と、リンカーとを含む基材を提供する。一部の実施形態では、リンカーは、固体担体を配位子に共有結合によって接続させる少なくとも1つのC、O、N、又はS原子を含む。
【0006】
[0006]一実施形態では、配位子は、次式
を有し、式中、
は、芳香族基又はヘテロ芳香族基を表し、これは、任意選択で置換されていてもよい。一部の実施形態では、芳香族基又はヘテロ芳香族基は、環系に5〜12個の原子を有し、O、N、及びSから選択される0〜3個のヘテロ原子を含む、単環式又は二環式であってもよい。
【0007】
[0007]一部の実施形態では、配位子は、
からなる群から選択される式を有する。上の式中の波線は、リンカーが接続される配位子上の位置を指す。
【0008】
[0008]他の実施形態では、配位子は、次式
を有し、式中、
は、−H、−(C1〜C6)アルキル、ハロゲン、−OH、−O(C1〜C6)アルキル、−COOH、−COO(C1〜C6)アルキル、−SO3H、−PO3H、−NO2、−NH2、
からなる群から選択される0〜4個の置換基で任意選択で置換されている、フェニル、ピリジル、ピリミジニル、及びナフチルからなる群から選択される芳香環又は芳香族複素環を表す。
【0009】
[0009]一部の実施形態では、
は、−H、−COOH、及び−SO3Hからなる群から選択される0〜1個の置換基で任意選択で置換されている、フェニル、ピリジル、又はナフチルを表す。他の実施形態では、
は、−H、−COOH、及び−SO3Hからなる群から選択される0〜1個の置換基で任意選択で置換されている、フェニルを表す。追加の実施形態では、
は、
からなる群から選択される0〜1個の置換基で任意選択で置換されている、フェニルを表す。
【0010】
[0010]さらなる他の実施形態では、本発明は、
からなる群から選択される式を有する基材を提供し、式中、黒長方形は固体担体を表す。
【0011】
[0011]本発明は又、試料から少なくとも1種の物質を分離することを提供する。一実施形態では、基材を用いて少なくとも1種の生体物質を含む試料を処理する方法は、試料中の少なくとも1種の生体物質を基材に結合させるのに十分な時間、基材を試料と接触させるステップを含む。好ましい一実施形態では、この方法は、(a)本発明の一実施形態による基材を、少なくとも1種の物質を含む液体試料と接触させるステップであって、該物質が基材に吸着するステップと、(b)該物質が基材から脱着するようにpH、イオン強度、又はその双方を調整するステップとを含む。典型的な一実施形態では、該方法は、(a)で得られた基材を平衡緩衝液で洗浄するステップをさらに含む。
【0012】
[0012]別の実施形態では、試薬を固体担体に結合させるリンカーの一部分又は全部を含む二官能性試薬の1つの官能基と固体担体を接触させることによって固体担体を活性化するステップを含む、基材を作製するための方法が提供される。活性化された固体担体は、次いで、配位子を含む試薬と反応してリンカーと配位子との間の結合を形成する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】[0013] 本発明の一実施形態による基材を使用した場合のさまざまな配位子密度及び動的結合能(DBC)を示すグラフである。
【0014】
【図2】[0014] 本発明の一実施形態によるpara−フェニレンジアミン(PDA)配位子を含む基材を使用した場合の配位子密度の変化及び純IgGの取得を示すグラフである。
【0015】
【図3】[0015] 本発明の一実施形態による基材を使用した場合の、pH及び導電率値が10%漏出における純BSA(ウシ血清アルブミン)動的結合能(DBC)に及ぼす影響を示すグラフである。
【発明の詳細な説明】
【0016】
[0016]本発明の実施形態は、重要な生体物質を含めてのさまざまな物質を分離及び単離する際に使用するための有効な吸着剤である基材を提供する。本発明の実施形態による基材は、例えば、カラムクロマトグラフィーなどの調製技術で使用することができる。
【0017】
[0017]本明細書に記載の基材の一実施形態の1つの利点は、タンパク質などの生体物質に対する高い選択性及び特異性である。代替的に又は追加的に、別の利点は、本基材の実施形態の高い生体分子結合能である。したがって、より少ない体積の試料を取扱うこと、処理時間を短縮すること及び/又はカラムの単位体積当り大量の試料を処理することが可能である。本発明の実施形態の別の利点は、タンパク質集合体の存在下でのタンパク質に対する基材の選択性である。このために、タンパク質試料からの精製及び集合体の除去がワンステップで可能となり得る。加えて、基材は、コスト効率よく調製することができる。
【0018】
[0018]基材は、固体担体と、リンカーを介して固体担体に共有結合する配位子とを含む。一部の実施形態では、リンカーは、少なくとも1つのC、O、N、又はS原子を含む。
【0019】
[0019]一実施形態では、配位子は、次式
を有し、式中、
は、芳香族基又はヘテロ芳香族基を表し、これは、任意選択で置換されていてもよい。一部の実施形態では、芳香族基又はヘテロ芳香族基は、環系に5〜12個の原子を有し、O、N、及びSから選択される0〜3個のヘテロ原子を含む、単環式又は二環式であってもよい。
【0020】
[0020]一部の実施形態では、配位子は、
からなる群から選択される式を有する。上の式中の波線は、リンカーが接続される配位子上の位置を指す。
【0021】
[0021]他の実施形態では、配位子は、次式
を有し、式中、
は、−H、−(C1〜C6)アルキル、ハロゲン、−OH、−O(C1〜C6)アルキル、−COOH、−COO(C1〜C6)アルキル、−SO3H、−PO3H、−NO2、−NH2、
からなる群から選択される0〜4個の置換基で任意選択で置換されている、フェニル、ピリジル、ピリミジニル、及びナフチルからなる群から選択される芳香環又は芳香族複素環を表す。
【0022】
[0022]一部の実施形態では、
は、−H、−COOH、及び−SO3Hからなる群から選択される0〜1個の置換基で任意選択で置換されている、フェニル、ピリジル、又はナフチルを表す。他の実施形態では、
は、−H、−COOH、及び−SO3Hからなる群から選択される0〜1個の置換基で任意選択で置換されている、フェニルを表す。追加の実施形態では、
は、
からなる群から選択される0〜1個の置換基で任意選択で置換されている、フェニルを表す。
【0023】
[0023]配位子は、リンカーに共有結合によって接続され、該リンカーが、配位子を固体担体に連結する。リンカーは、立体障害を低減し、配位子を被結合物質に接近しやすくすることができる。配位子とリンカーの間の接続は、例えば、アミド結合であってもよい。
【0024】
[0024]リンカーは典型的には、少なくとも1つのC、O、N、又はS原子を含む。一実施形態では、リンカーは、
又は
を含み、式中、X、X1、及びX2は、それぞれ独立に、O、S、NHから選択され、共有結合であり、m、n、及びpは、それぞれ独立に、0、1、2、3、4、5、又は6である。別の実施形態では、上の式のH原子のうちの1、2、又は3個は、等価数のOH基及び/又はメチル基で置換することができる。
【0025】
[0025]一実施形態では、リンカーは、
からなる群から選択される構造を備え、式中、X1及びX2のそれぞれは、独立に、O、S、及びNHから選択され、Ra、Rb、Rc、及びRdのそれぞれは、独立に、H、OH、及びメチルから選択される。
【0026】
[0026]別の実施形態では、リンカーは、
からなる群から選択される構造を備える。
【0027】
[0027]リンカーは、配位子を固体担体に接続する。固体担体は、クロマトグラフィー媒体用として典型的に使用される形態のもの、例えば、直径約0.1μm〜約1000μmなどの多孔質若しくは非多孔質のビーズ又は不規則粒子であってもよい。こうしたビーズ又は粒子は、リンカーと配位子の組合せと一緒になって誘導体化することができる。ビーズ又は粒子は、例えば、カラムを充填するのに使用できるクロマトグラフィー媒体を提供することができる。或いは、一部の実施形態では、固体担体は、ファイバー、メンブラン、又は、例えば、大きさがミクロン〜数ミリメートルの開口部又は空隙の充満したスポンジ状の材料を含む。
【0028】
[0028]適切な固体担体は、当技術分野で公知である。一実施形態では、固体担体は、有機材料を含むことができる。例示的な有機材料は、セルロース、デンプン、寒天、アガロース、及びデキストランなどのポリサッカライドである。置換又は非置換の、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリビニルアルコールなどのポリビニルポリマー、ポリスチレン、ポリスルホン、及びスチレンとジビニルベンゼンのコポリマー、並びにその混合物を含む合成ポリマーが企図されている。別の実施形態では、無機材料を固体担体材料として使用することができる。かかる無機材料として、限定されないが、シリカ、ヒドロゲル含有シリカ、ジルコニア、チタニア、アルミナなどの多孔質鉱物材料、及びその他のセラミック材料が挙げられる。こうした材料の混合物、又は、米国特許第5,268,097号;第5,234,991号;及び第5,075,371号に開示のものなど、2種の材料の共重合又は相互貫通ネットワークによって形成された複合材料を使用することも可能である。
【0029】
[0029]一実施形態では、本発明の基材は、少なくとも約20μmol/ml基材、少なくとも約30μmol/ml、又は少なくとも約40μmol/ml、又は少なくとも約50μmol/mlの配位子密度(基材の体積当りの配位子の数)を示す。一部の実施形態では、配位子密度は、約180μmol/ml未満、例えば、約150μmol/ml未満、又は約100μmol/ml未満、又は約80μmol/ml未満、又は約60μmol/ml未満、又は約50μmol/ml未満である。配位子密度は、約20μmol/ml〜約180μmol/ml、約30μmol/ml〜約150μmol/ml、又は約40μmol/ml〜約100μmol/ml、又は約50μmol/ml〜約80μmol/ml、又は約30μmol/ml〜約60μmol/ml、又は約50μmol/ml〜約60μmol/mlの範囲であってもよい。
【0030】
[0030]本発明の他の実施形態は、以下に示されている。この場合及び全体を通じて、式の黒長方形は固体担体を表す。
【0031】
[0031]さらなる他の実施形態では、本発明は、
からなる群から選択される式を有する基材を提供する。
【0032】
[0032]別の実施形態では、本発明は、入口端と出口端を備え、本明細書に記載の基材の一実施形態で充填された管状部材を備えるクロマトグラフィーカラムを含む。管状部材は、ガラス、プラスティック、又は金属など任意の適切な材料から作製することができる。充填された基材は、管状部材内部に配置された多孔質部材によって一方の端又はそれぞれの端で隣接することができ、この多孔質部材が、基材を管状部材内部に固定保持する。
【0033】
[0033]一部の実施形態では、カラム内の液体の重力流れは、例えば、基材を、液体試料、洗浄流体、及び/又は溶離液と接触させるために十分である。他の実施形態では、カラムは、デバイスを移動してカラム内の流体の上方流又は下方流を実現する、1つ又は複数の流体を含むことができる。かかるデバイスとして、ポンプ、注射器、及び当技術分野で公知のようにクロマトグラフィー装置と一緒に典型的に用いられる任意の他のデバイスが挙げられる。
【0034】
[0034]クロマトグラフィーカラムは、任意の適切な体積のものであってもよい。例えば、実験室規模の分離は、例えば、約1ミリリットル、又はさらに約1マイクロリットルという小さいカラム体積で実施することができる。生体物質の大規模な精製及び単離は、例えば、約5000リットルという大きなカラムで実施することができる。より典型的な体積は、例えば、1リットル〜100リットルの間である。カラムは、全体の形状が管状であるが、他の点では、長さ又は直径も特に限定されていない。カラムが用いられる状況に応じて、カラム直径は、例えば、約0.5mm〜約1000mmの間で変化することができる。加えて、カラム長は、例えば、約50mm〜約1000mmの間で変化することができる。したがって、本発明は、多様な寸法及びそれに対応する体積のカラムを企図する。
【0035】
[0035]追加の一実施形態では、本発明は、基材を作製するための方法を含む。該方法は、試薬を固体担体に結合させるためリンカーの一部分又は全部を含む二官能性試薬の1つの官能基と固体担体を接触させることによって固体担体を活性化するステップを一般に含む。活性化された固体担体は、次いで、配位子を含む試薬と反応してリンカーと配位子との間の結合を形成する。二官能性試薬は、限定されないが、クロロ、ブロモ、ヨード、エポキシド、カルボキシル、エステル、アルデヒド、ケトン、アミド、アルケニル、シアノ、及びイミノを含めての少なくとも二つの官能基を含むことができる。
【0036】
[0036]本発明の別の実施形態は、試料から少なくとも1種の物質を分離するための方法である。一実施形態では、基材を用いて少なくとも1種の生体物質を含む試料を処理する方法は、試料中の少なくとも1種の生体物質を基材に結合させるのに十分な時間、本発明の一実施形態による基材を試料と接触させるステップを含む。好ましい一実施形態では、該方法は、(a)基材を、少なくとも1種の物質を含む液体試料と接触させるステップであって、該物質が基材に吸着するステップと、(b)該物質が基材から脱着するようにpH、イオン強度、又はその双方を調整するステップとを含む。典型的な一実施形態では、該方法は、(a)で得られた基材を平衡緩衝液で洗浄するステップをさらに含む。
【0037】
[0037]本発明の別の実施形態は、基材を調製するための方法を含む。上で説明された配位子は、固体担体とリンカーの間、及びリンカーと配位子の間の共有結合を形成することによって固体担体上に化学的に固定化されている。典型的には、固体担体は、最初に、二官能性試薬で処理され、該二官能性試薬は、リンカーの一部又は全部を形成する反応性基を固体担体上に導入する働きをする。セルロース、ヒドロゲルを含む複合材、又はヒドロキシル基を提供するその他の材料など一部の固体担体では、例えば、二官能性試薬と反応する前に、水酸化物源でヒドロキシル基を脱プロトン化することが有利な場合がある。二官能性試薬は、固体担体と、配位子を含む試薬との双方と反応することができる。同じ又は異なる官能基を含む例示的な二官能性試薬として、限定されないが、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、ジブロモ−及びジクロロプロパノール、ジブロモブタン、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ブタンジオールジグリシジルエーテル、ジビニルスルホン、アリルグリシジルエーテル、及び臭化アリルが挙げられる。臭化アリルなどのアリルへテロ官能性化合物は、好ましい二官能性試薬である。
【0038】
[0038]一旦官能化されると、固体担体は典型的には、次いで1種又は複数の溶媒で十分に洗浄されて未反応二官能性試薬、反応副産物、又は双方が除去される。この点で使用される典型的な溶媒は水である。
【0039】
[0039]配位子は、上で説明したような官能化固体担体によって提供される官能基と反応する試薬によって導入することができる。配位子試薬は、当業者に公知である合成方法によって調製することができる。
【0040】
[0040]二官能性試薬と配位子試薬との特定の組は、周知の化学反応によって導かれる。例えば、エポキシドによって官能化される固体担体は、メルカプト、ヒドロキシ、又はアミノ含有試薬と反応して、基材にエチレン含有連結基を与えることができる。例えば、臭化アリルで修飾された他の固体担体は、アルケン基を提供し、該アルケン基は、メルカプト含有試薬と直接反応することができ、それによってイオウ原子を含むリンカーが提供される。或いは、アルケン基は、さらに臭素化して適切に反応性であるブロモ誘導体を提供することもできる。別の例示的な方法では、固体担体は、ジビニルスルホン(DVS)などのイオウ含有二官能性試薬と反応することを可能にすることもできる。この場合、配位子を含む試薬は、DVSによって活性化された固体担体によって提供されるビニル基とのみ反応する必要がある。
【0041】
[0041]代替の経路では、上述のように活性化された固体担体は、中間の二官能性試薬で処理することができる。この反応の生成物は、次いで、配位子を含む試薬で処理することができる。この点に関する例示的な例は、上述したようなアリル活性化固体担体とメルカプトヘキサン酸の間の反応である。生成した懸垂カルボキシル基は、例えば、第一級アミンを有する任意の好都合な配位子試薬と反応することができる。この方法を用いる実施形態では、N−エトキシカルボニル−2−エトキシ−1,2−ジヒドロキノリン(EEDQ)、又はジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)、若しくは4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウム(DM−TMM)などの一般に知られているカルボジイミドなどのカップリング試薬を使用することが必要である場合もある。
【0042】
[0042]固定化されたリンカー及び配位子の濃度は、当技術分野で公知のように、固体担体を作製するのに使用された二官能性試薬の濃度に応じて、例えば、固体担体1ミリリットル当りの1マイクロモル〜数百マイクロモルの割合の間で変化することができる。固定化された基が低濃度であると、典型的には、クロマトグラフィー材料の分離能が低くなり、高濃度では、一般に、分離能が増加する。
【0043】
[0043]特定の実施形態では、本発明の基材は、生体関連分子、並びに、抗体、タンパク質、糖タンパク質、融合タンパク質、組み換えタンパク質、標識タンパク質、酵素及び生物触媒、ペプチド、細胞、バクテリア、ウイルス、ウイルス様粒子(VLP)、ワクチン、核酸、炭水化物、及び脂質などの生体物質を含めての、多様な物質を分離し、所望なら精製するのに使用することができる。分離(及び、所望なら精製)に適したその他の物質として、オリゴサッカライド及びポリサッカライド、リポポリサッカライド、ポリペプチド、並びに可溶性の合成ポリマーが挙げられる。生体物質は典型的には、限定されないが、唾液、体液、尿、リンパ液、前立腺液、精液、乳、乳清、器官抽出物、植物抽出物、細胞抽出物、(細胞株を含む)細胞培養物、発酵ブロス、血清、腹水、並びに遺伝子導入植物及び動物の抽出物などの液体試料を含めての供給源から誘導され、又は、該供給源に含まれている。本明細書で使用する場合は、体液として、生体に関連する任意の処理若しくは未処理液、特に、全血、温若しくは冷血、臍帯血、及び貯蔵若しくは新鮮血を含めての血液;限定されないが、生理食塩水、栄養剤及び/又は凝固防止溶液を含めての少なくとも1種の生理溶液で希釈された血液などの処理血液;濃縮血小板(PC)、血小板富化血漿(PRP)、貧血小板血漿(PPP)、無血小板血漿、血漿、新鮮凍結血漿(FFP)、血漿から得られたコンポーネント、充填赤色細胞(PRC)、遷移帯材料又は軟膜(BC)などの血液コンポーネント;血液若しくは血液コンポーネント由来の、又は骨髄由来の血液製品;白血球、幹細胞;血漿から分離され、生理溶液又は不凍液中で再懸濁された赤色細胞;並びに、血漿から分離され、生理溶液又は不凍液中で再懸濁された血小板が挙げられる。体液として又、骨髄吸引物を含む生理溶液が挙げられる。体液は、本発明に従って使用される前に、処理して一部の白血球を除去することができる。血液製品又は体液とは、上記のコンポーネント、及び類似の血液製品又は他の手段で得られ、類似の特性を有する体液を指す。
【0044】
[0044]これに関連して、特に好ましいクラスの生体物質は免疫グロブリンである。「免疫グロブリン」というカテゴリーは、モノクロナール及びポリクロナール抗体、及びFab、F(ab’)2、Fc及びFv断片、並びにその他の改変抗体種を含めての全体の免疫グロブリンを包含する。一実施形態では、免疫グロブリンは、免疫グロブリンG(IgG)であってもよい。代替的に又は追加的に、以下のもの:即ち、IgA、IgM、IgD及びIgEのうちの任意の1種又は複数が結合することができる。一部の実施形態では、IgA及び/又はIgMが選択的に結合する。
【0045】
[0045]本発明の実施形態によるクロマトグラフィー分離は、例えば、クロマトグラフィーイオン交換樹脂を含む基材、及び、一部の実施形態においては、生理pH及び/又はイオン強度下で機能できるものを含めての疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)樹脂を含むことができる。本発明の基材は、例えば、国際公開第2005/073711号パンフレットに開示のものを含めてのさまざまな方法に従って物質を分離するのに使用することができる。1種又は複数の生体物質を含む液体試料は、少なくとも1種の生体物質を基材に結合させるのに十分な時間、本発明の基材の一実施形態と接触させる。典型的には、接触期間は、約30秒〜約12時間の間である。
【0046】
[0046]少なくとも1種の生体物質を含む試料を処理する方法の一実施形態は、試料中の少なくとも1種の生体物質を基材に結合させるのに十分な時間、基材の一実施形態を試料と接触させるステップを含む。
【0047】
[0047]別の実施形態では、液体試料から少なくとも1種の物質を分離するための方法は、基材の一実施形態を、少なくとも1種の物質を含む液体試料と接触させるステップであって、該物質が基材に吸着するステップと、該物質が基材から脱着するようにpH、イオン強度、又はその双方を調整するステップとを含む。
【0048】
[0048]該方法の一実施形態では、少なくとも1種の物質は、抗体、例えば、IgG、IgA、又はその抗体断片を含む。
【0049】
[0049]該方法の一部の実施形態では、試料は、体液、例えば、限定されないが、血漿を含む。
【0050】
[0050]該方法の好ましい一実施形態では、基材をカラム内に配置し、該方法が試料をカラムに通すステップを含む。
【0051】
[0051]適切な場合、液体試料のpH、イオン強度、又はその双方は、試料を基材と接触させる前に調整することができる。追加的に、又は代替的に、試料は、濃縮、希釈、又は塩などの添加剤と混合することができる。ある範囲のタンパク質に対する典型的な捕獲pH値は、約4〜約10である。但し、捕獲pHは、これより高くても低くてもよい。典型的には、約4〜約8の範囲のpHは、カチオン交換部分を含む基材に対するタンパク質の吸着を増進するが、約6〜約10の範囲のpHは、アニオン交換部分が使用される場合に同じ働きをする。一部の実施形態では、基材は、約5.5のpHで、又は約7.2のpHで、又は約8.0のpHでタンパク質を結合することができる。しかし、基材は、これより高いpHでも低いpHでもタンパク質を結合することができる。
【0052】
[0052]本発明の基材は、試料のイオン強度によって制限されず、低いイオン強度及び高いイオン強度を有する試料と一緒に使用することができる。多数の生体物質は、生理的イオン強度で基材に容易に吸着する。生理的イオン強度は典型的には約15〜約20mS/cmの範囲であるが、イオン強度は、こうした値よりも高くても低くてもよい。この範囲に対応する典型的な塩濃度は、約0.1〜約0.2M,好ましくは、0.14〜約0.17Mに入る。
【0053】
[0053]液体試料が基材と接触する温度は、当技術分野で公知のように試料と所与のクロマトグラフィー材料によって異なる。好ましくは、温度は周囲温度であるが、周囲よりも高くても低くてもよい。
【0054】
[0054]試料を基材と接触させた後、基材は、当技術分野で公知のように、好ましくは、平衡緩衝液で洗浄される。平衡緩衝液は、好ましくは、液体試料が基材と接触したpHを有する緩衝液である。さらには、平衡緩衝液は、基材に吸着していない物質を基材物質から洗い落とす。適切な平衡緩衝液は、当技術分野で公知であり、例えば、それには、酢酸塩緩衝液及びリン酸塩緩衝生理食塩水が含まれる。洗浄は、結合した生体物質を含む基材を平衡緩衝液内に、入浴、浸漬、又はディッピングすることによって実施することができる。代替的に又は追加的に、平衡緩衝液は、基材上ですすいだり、スプレーしたり、又は洗浄することができる。
【0055】
[0055]所望の生体物質は典型的には、基材に吸着するものである。他の実施形態では、重要な生体物質は、例えば、平衡緩衝液の洗浄で除去することができる。この場合、物質は、当技術分野で公知の方法によって緩衝液から単離することができる。別の実施形態では、所望の生体物質は、基材に吸着しないが、除去すべき不純物こそが基材に吸着する。この場合、所望の生体物質は、当技術分野で公知の方法によって装入緩衝液又は洗浄緩衝液から回収することができる。
【0056】
[0056]基材に吸着される生体物質は、一実施形態では、次いで、pHを物質が脱着する値に調整することによって脱着される。脱着が行われるpHは、物質及び所与の基材で決まることになる。例えば、アニオン交換部分を含む基材では、脱着は、典型的には、約pH8で出発し約pH3まで減少するpH勾配で行われる。カチオン交換部分を含む基材では、適用されるpH勾配は典型的には、約pH4で出発し約pH11まで増加する。主として疎水基を特徴とする基材では、脱着用のpH勾配は典型的には、約pH7で出発し約pH3まで減少する。主として疎水基を特徴とする基材では、好ましくは、イオン強度勾配が又、以下に記載のように適用される。pHは、Tris−HCl水溶液や炭酸塩緩衝液など任意の日常的に市販されている試薬によって調整することができる。
【0057】
[0057]一部の場合では、上述したように、溶離液のイオン強度を調整すると、基材の効率を増加させることができる。したがって、主として疎水基を含む基材では、イオン強度は、pHと同時に減少させることができる。これは、追加的に−NH−部分を含む材料では、特にそうである。該−NH−部分は、中程度のイオン電荷を生成することができ、イオン強度が減少するにつれてそのイオン電荷がより有効になるからである。塩勾配の使用は、当技術分野で周知である。典型的には、本基材に対する塩濃度は、約1.0M、又は約0.5Mを超える必要はない。
【0058】
[0058]典型的には、脱着した生体物質は、次いで、集められ、所望ならさらに加工することができる。本発明の実施形態に従って精製される抗体などの生体物質の典型的な純度は、約70%以上、一部の実施形態では、約85%以上、より好ましくは、約90%〜約99%である。
【0059】
[0059]一部の実施形態では、本発明の基材は、生体物質を精製し、同時に集合体を除去するのに使用することができ、それによって、ワンステップでの精製及び集合体除去が可能になる。一部の実施形態では、基材は、優先的には、免疫グロブリン(好ましくは、モノクロナール抗体)などの生体物質を結合するが、集合体を結合しない。したがって、精製すべき生体物質を含む試料は、上述のように、基材と接触することができ、生体物質は、基材に吸着し、不純物及び集合体は通過することになる。精製生体物質は、次いで、脱着し、上述のように集めることができる。一部の実施形態では、精製生体物質中の集合体の量は、例えば、約5%未満、又は約2%未満、又は約1%未満などの約10%未満である。
【0060】
[0060]上述の実施形態の多くは、生体物質を含む溶液を基材と接触させるステップと、基材によって溶液中の少なくとも1種の生体物質を選択的に吸着するステップとを含む。所望の生体物質(複数可)が基材に結合した場合に、後者の溶離によって、それ又はそれらが分離され、精製及び濃縮形態で集められることが可能になる。所望の生体物質が、処理溶液(他の生体物質は、基材に結合している)中に残っている場合、所望の分離は、溶離液を集めることによって直接得ることができる。
【0061】
[0061]好ましくは、本発明の実施形態による基材は、劣化することなく反復して再生することができる。再生は、当業者に公知の手順によって実施することができる。例えば、使用後、基材は、水酸化ナトリウム水溶液などの再生溶液と接触させることができる。一実施形態では、基材は、30分という最小接触時間で5本のカラム体積分の1M NaOHと接触する。代替的に又は追加的に、基材は、塩酸水溶液や酢酸水溶液などの酸溶液と接触することができる。一実施形態では、基材は、30分という最小接触時間で5本のカラム体積分の0.1M HCl又は0.1M酢酸と接触する。代替的に又は追加的に、基材は、塩化ナトリウム水溶液などの塩溶液と接触することができる。一実施形態では、基材は、30分という最小接触時間で5本のカラム体積分の1M NaClと接触する。再使用前に、基材は、好ましくは、平衡緩衝液で洗浄される。接触時間並びに再生溶液(複数可)の組成及び濃度は、再生が確実に効率的になるように、配位子の性質及び原液の組成に基づいて当業者によって選択することができる。
【0062】
[0062]上述の例示的な分離方法は、例えば、固定床、流動床、及びバッチクロマトグラフィーを用いる調製方法を含めての、さまざまな技術で使用することができる。或いは、該方法は、例えば、デバイス体積が数マイクロリットルという小さなものであってもよいスピンカラムやマルチウエルプレートフォーマットなどのより小さいデバイスを利用するハイスループット分離技術との関連で、例えば、実施することができる。
【0063】
[0063]バッチ式の吸着/分離を使用する場合、基材は生体物質の溶液に直接添加することができ、基材/生体物質混合物は典型的には、生体物質を基材に結合させるのに十分な時間、静かに撹拌する。吸着された生体物質を含む基材は、次いで、例えば、遠心分離又はろ過によって除去することができ、生体物質は、次いで、別個のステップで基材から溶離される。
【0064】
[0064]別の実施形態では、カラムクロマトグラフィーを使用することができる。固定床カラムクロマトグラフィーでは、基材は、カラム内に充填され、分離すべき生体物質を含む溶液は、生体物質が基材に結合することが可能である速度で基材内に注がれることによって基材に施用される。
【0065】
[0065]流動床カラムクロマトグラフィーでは、上昇力に対して平衡を保つために、上昇ろ過流及び大型/高密度粒子が使用される。他の部分の頂部に置かれる1〜5段の間から典型的になる基本的に垂直なカラムが使用され、溶液は、順次、それぞれの段内を通過し、上の段の上部でオーバーフローによって引出される。好ましくは、カラムは3段である。最上段を除いて、それぞれの段は、2つの分配系によって分離されており、1つは、該当する段の底部で溶液を分配し、他は、直上に位置する段の方に溶液を分配する。
【0066】
[0066]一実施形態では、本基材を含むカラムは、他の基材を含むカラムと直列で使用することができ、これは、試料からのさまざまの不純物を排除するのに有効であると思われる。したがって、本カラムの1つ又は複数の利点は、他の又は従来のカラムの特徴を補うものとみなすことができる。これに関連して、カラムのかかる直列配置は、溶離液及び平衡緩衝液を節約すると思われ、したがって、試料の追加の操作及び調製に対する必要性を排除ではなくても低減することになる。
【0067】
[0067]以下の実施例は、本発明をさらに例示するものであるが、当然、いかなる意味においてもその範囲を限定するものとみなすべきではない。
実施例1
【0068】
[0068]本実施例は、配位子試薬2−(3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(イソプロポキシカルボニルアミノ)ベンズアミド)酢酸メチルを合成するための方法を実際に示す。
【0069】
[0069]グリシンメチルエステル塩酸塩(675mg、5mmol)をDMF(15ml)に溶解し、ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)(675mg、5mmol)、3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(イソプロポキシカルボニルアミノ)安息香酸(1.76g、5mmol)を加える。反応混合物を0℃まで冷却し、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)(1.54mL、10mmol)をゆっくりと加える。反応混合物を0℃で5分間及び室温で終夜さらに撹拌する。水(100ml)を加え、撹拌をさらに20分間継続した後に、酢酸エチル(100ml)を加える。粗生成物をさらに5分間撹拌し、有機層を分離する。水性相を酢酸エチル2×70mlでさらに抽出し、合わせた有機相を水で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、真空下で濃縮する。
【0070】
[0070]酢酸エチル/ヘキサン1:1におけるシリカゲルを含むカラムクロマトグラフィーによって、収率78%で白色固体1.65g、3.9mmolを得る。1H NMR(CDCl3)δ:7.72(s、1H、芳香族)、7.50(s、2H、芳香族)、6.50(s、1H、アミド)、6.60(s、2H、アミド)、4.22(dd、2H、)、3.80(s、3H)、1.55(s、18H)。LCMS(イオンモード:ESI)m/z[M−H+]計算値422.20、実測値422.00、[M+Na]+466.07。
実施例2
【0071】
[0071]本実施例は、セルロースのpara−フェニレンジアミン(PDA)誘導体を調製するための方法を実際に示す。
【0072】
[0072]セルロースビーズの50%スラリー100mlを水酸化ナトリウム1M溶液で十分に洗浄し、次いで、中性のpHが得られるまで水で洗浄する。水気を切ったビーズ50mlに、pH11〜12の水酸化ナトリウム溶液50ml及びクロロ酢酸5mlを加える。次いで、生成混合物を60℃で24時間撹拌する。反応混合物を室温まで放置冷却し、洗浄して未反応クロロ酢酸を除去し、次いで、中和する。
【0073】
[0073]COOHの密度は、60μmol/mlビーズであった。これは、さまざまな官能基を結合させるための酸−塩基滴定によって測定する。
【0074】
[0074]COOHが60μmol/mlであるカルボキシメチルセルロースのビーズ10mlを、pH4.7の0.1M MES緩衝液中のEDC(2.1mmol)の存在下でN−Boc−p−フェニレンジアミン(0.374g、1.8mmol、3当量)とカップリングさせる。反応混合物を洗浄して過剰のBoc−p−フェニレンジアミン及び副生物を除去する。BOC保護基を3M HClで除去して以下に示す材料を得る:
【0075】
[0075]生成物は白色である。窒素元素分析によって決定される配位子の密度は40μmol/mlビーズであった。生成物は、pH7のリン酸塩緩衝生理食塩水(PBS)中の50%スラリーとして4〜8℃で貯蔵する。
実施例3
【0076】
[0076]本実施例は、イオウ含有リンカーを含むセルロースのpara−フェニレンジアミン(PDA)誘導体を調製するための方法を実際に示す。
【0077】
[0077]湿潤ケーキまで吸引乾燥された架橋セルロースビーズ100gを水(75g)、32%NaOH(19.5g)及び臭化アリル(18.75g)と混合する。混合物を室温で24時間、回転ドラムに掛ける。
【0078】
[0078]ビーズを十分に洗浄して未反応臭化アリル及び副産物を除去し、さまざまな官能基を結合させるための基材としてのアリル−セルロースを得る。
【0079】
[0079]湿潤ケーキまで吸引乾燥されたアリル−セルロースビーズ100gを水(99g)及びpH11〜12の2−メルカプト酢酸(1.0g)と混合し、混合物を室温で48時間回転ドラムに掛ける。生成カルボキシル誘導体を洗浄して、副生物を除去し、さまざまな官能基を結合させるための基材としての酸活性化セルロースを得る。酸密度は、元素分析を使用することによって90μmol/mlビーズであると決定される。
【0080】
[0080]次いで、得られた酸活性化ビーズの50%スラリー10.0mlをEDC(3当量)の存在下でpH4.7の0.1M MES緩衝液中のBoc−p−フェニレンジアミンの(0.562g、2.7mmol、3当量)と縮合させる。反応混合物を室温で12時間振とうする。混合物を十分洗浄して未反応Boc−p−フェニレンジアミン及び反応の副生物を除去する。BOC保護基を3M HClで除去して以下に示す材料を得る:
【0081】
[0081]生成物は白色であり、窒素元素分析によって決定されるp−フェニレンジアミン配位子の密度は78μmol/mlビーズである。生成物は、pH7のPBS緩衝液中の50%スラリーとして4〜8℃で貯蔵することができる。
実施例4
【0082】
[0082]本実施例は、イオウ含有リンカーを含むセルロースのmeta−フェニレンジアミン誘導体を調製するための方法を実際に示す。
【0083】
[0083]実施例3で上記したプロトコルに従って得られた酸活性化セルロースビーズの50%スラリー10mlをEDC(3当量)の存在下でpH4.7の0.1M MES緩衝液中のN−Boc−m−フェニレンジアミンの(0.562g、2.7mmol、3当量)と縮合させる。BOC保護基を3M HClで除去して以下に示す材料を得る:
【0084】
[0084]生成物は白色である。窒素元素分析によって決定される配位子密度は62μmol/mlビーズである。生成物は、pH7のPBS緩衝液中の50%スラリーとして4〜8℃で貯蔵することができる。
【0085】
[0085]N−Boc−m−フェニレンジアミンの代わりにm−フェニレンジアミンをカップリングすることによって同じ生成物を調製する。配位子密度は、64μmol/mlビーズである。
実施例5
【0086】
[0086]本実施例は、イオウ含有リンカーを含むセルロースのortho−フェニレンジアミン誘導体を調製するための方法を実際に示す。
【0087】
[0087]実施例3で上記したプロトコルに従って得られた酸活性化セルロースビーズの50%スラリー10mlをEDC(3当量)の存在下でpH4.7の0.1M MES緩衝液中のBoc−o−フェニレンジアミンの(0.562g、2.7mmol、3当量)と縮合させる。反応混合物を室温で24時間振とうする。混合物を十分洗浄して未反応Boc−o−フェニレンジアミン及び反応の副生物を除去する。BOC保護基を3M HClで除去して以下に示す材料を得る:
【0088】
[0088]生成物は白色である。元素分析によって決定される配位子密度は40μmol/mlビーズであった。生成物は、pH7のPBS緩衝液中の50%スラリーとして貯蔵する。
実施例6
【0089】
[0089]本実施例は、イオウ含有リンカーを含むセルロースの4,6−ジアミノピリミジン誘導体を調製するための方法を実際に示す。
【0090】
[0090]実施例3で上記したプロトコルに従って得られた酸活性化セルロースビーズの50%スラリー10mlをEDC(3当量)の存在下、室温で12時間、pH4.7の0.1M MES緩衝液中の4,6−ジアミノピリミジン塩酸塩の(0.395g、2.7mmol、3当量)と縮合させる。生成物を洗浄して未反応4,6−ジアミノピリミジン及び副生物を除去する。
【0091】
[0091]4,6−ジアミノピリミジンで誘導体化されたビーズは白色である。配位子密度は、30μmol/mlビーズと決定される。ビーズは、pH7のPBS緩衝液中の50%スラリーとして4〜8℃で貯蔵することができる。
実施例7
【0092】
[0092]本実施例は、イオウ含有リンカーを含むセルロースの2,4,6−トリアミノピリミジン誘導体を調製するための方法を実際に示す。
【0093】
[0093]実施例3で上記したプロトコルに従って得られた酸活性化セルロースビーズの50%スラリー10mlを水で完全に洗浄して貯蔵溶液を除去し、次いで、pH4.7の0.1M MES緩衝液で洗浄する。その後、ビーズを、0.1M MES(3ml)及び2M HCl(1.75ml)に溶解した3.5mmol2,4,6−トリアミノピリミジンと混合した後に、EDC(1.5mmol)を加える。反応混合物を3時間室温で回転ドラムに掛け、十分に清浄にして未反応試薬及び副生物を除去する。
【0094】
[0094]生成物は白色であり、元素分析によって決定される配位子密度は30μmol/mlビーズである。生成物は、pH7のPBS緩衝液中の50%スラリーとして貯蔵する。
実施例8
【0095】
[0095]本実施例は、イオウ含有リンカーを含むセルロースの1,5−ジアミノナフタレン誘導体を調製するための方法を実際に示す。
【0096】
[0096]実施例3で上記したプロトコルに従って得られた酸活性化セルロースビーズの50%スラリー10mlをEDC(3当量)の存在下、室温で12時間、メタノールとpH4.7の0.1M MES緩衝液の混合物中の1,5−ジアミノナフタレンの(0.427g、2.7mmol、3当量)と縮合させる。次いで、生成物を十分に洗浄して未反応ジアミン及び副生物を除去する。
【0097】
[0097]1,5−ジアミノナフタレンによって誘導体化されたビーズは、オフピンク色である。配位子密度は、元素分析によって41μmol/mlビーズと決定される。生成物は安定であり、pH7のPBS緩衝液中の50%スラリーとして4〜8℃で貯蔵することができる。
実施例9
【0098】
[0098]本実施例は、イオウ含有リンカーを含むセルロースの2,5−ジアミノピリジン誘導体を調製するための方法を実際に示す。
【0099】
[0099]実施例3で上記したプロトコルに従って得られた酸活性化セルロースビーズの50%スラリー10mlをEDC(5当量)の存在下でpH4.7の0.1M MES緩衝液中の2,5−ジアミノピリジン二塩酸塩の(0.491g、3mmol、3当量)と縮合させる。生成物を十分に洗浄して未反応試薬及び副生物を除去する。
【0100】
[00100]2,5−ジアミノピリジンで誘導体化されたビーズは、白色である。元素分析によって決定される配位子密度は58μmol/mlビーズである。生成物は、pH7のPBS緩衝液中の50%スラリーとして4〜8℃で貯蔵することができる。
実施例10
【0101】
[00101]本実施例は、イオウ含有リンカーを含むセルロースの2,4,6−トリメチル−1,3−ベンゼンジアミン誘導体を調製するための方法を実際に示す。
【0102】
[0100]実施例3で上記したプロトコルに従って得られた酸活性化セルロースビーズの50%スラリー10mlをEDC(3当量)の存在下、メタノールとpH4.7の0.1M MES緩衝液の混合物中の2,4,6−トリメチル−1,3−ベンゼンジアミンの(0.405g、2.7mmol、3当量)と縮合させる。生成物を洗浄して副生物及び未反応試薬を除去する。
【0103】
[0101]2,4,6−トリメチル−1,3−ベンゼンジアミンで誘導体化されたビーズは、白色である。配位子密度は72μmol/mlビーズであり、元素分析によって決定される。
実施例11
【0104】
[0102]本実施例は、イオウ含有リンカーを含むセルロースのテトラメチル−p−フェニレンジアミン誘導体を調製するための方法を実際に示す。
【0105】
[0103]実施例3で上記したプロトコルに従って得られた酸活性化セルロースビーズの50%スラリー10mlを水で完全に洗浄して貯蔵溶液を除去し、次いで、pH4.7の0.1M MES緩衝液で洗浄する。メタノール(4ml)に溶解した2,3,5,6−テトラメチル−1,4−フェニレンジアミン(4.0mmol)を加えた後に、0.1M MESに溶解したEDC(4.0mmol)をビーズに加える。ビーズを終夜回転ドラムに掛け、十分に洗浄して過剰のジアミン及び副生物を除去する。
【0106】
[0104]生成物は、白色であり、配位子密度は65μmol/mlビーズであり、元素分析によって決定される。生成物は、pH7のPBS緩衝液中の50%スラリーとして貯蔵する。
実施例12
【0107】
[0105]本実施例は、イオウ含有リンカーを含むセルロースの3,5−ジアミノ安息香酸誘導体を調製するための方法を実際に示す。
【0108】
[0106]実施例3で上記したプロトコルに従って得られた酸活性化セルロースビーズの50%スラリー10mlをEDC(3当量)の存在下、メタノールとpH4.7の0.1M MES緩衝液の1:1混合物中の3,5−ジアミノ安息香酸のエチルエステルの(0.486g、2.7mmol、3当量)と縮合させる。次いで、室温で12時間、1M NaOHを使用することによって鹸化を実施して以下に示す生成物を得る:
【0109】
[0107]このジアミノ安息香酸で誘導体化されたビーズは、オフホワイト色である。配位子密度は40μmol/mlビーズであり、元素分析によって決定される。
実施例13
【0110】
[0108]本実施例は、イオウ含有リンカーを含むセルロースの2−メトキシ−5−tert−ブチル−1,3−ベンゼンジアミン誘導体を調製するための方法を実際に示す。
【0111】
[0109]実施例3で上記したプロトコルに従って得られた酸活性化セルロースビーズの50%スラリー10mlを水で完全に洗浄して貯蔵溶液を除去し、次いで、pH4.7の0.1M MES緩衝液で洗浄する。メタノール(4ml)に溶解した4−tert−ブチル−2,6−ジアミノアニソール(4.0mmol)を加えた後に、0.1M MESに溶解したEDC(4.0mmol)を加える。ビーズを終夜回転ドラムに掛け、十分に洗浄して過剰のジアミン及び副生物を除去する。
【0112】
[0110]生成物は白色であり、pH7のPBS緩衝液中の50%スラリーとして貯蔵することができる。
実施例14
【0113】
[0111]本実施例は、イオウ含有リンカーを含むセルロースの2,6−ジアミノピリジン誘導体を調製するための方法を実際に示す。
【0114】
[0112]実施例3で上記したプロトコルに従って得られた酸活性化セルロースビーズの50%スラリー5.0mlを水で完全に洗浄して貯蔵溶液を除去し、次いで、pH4.7の0.1M MES緩衝液で洗浄する。ビーズを、0.1M MES(2ml)及び2M HCl(1.75ml)に溶解した2,6−ジアミノピリジン(382mg、3.5mmol)と混合する。0.1M MES(1.5ml)に溶解したEDC(306mg、1.6mmol)を加えた。ビーズを終夜室温で回転ドラムに掛け、十分に洗浄して未反応試薬及び副生物を除去する。
【0115】
[0113]カップリングした配位子の密度は、26μmol/ml湿潤ビーズであると元素分析によって決定される。生成物は白色であり、pH7のPBS緩衝液中の50%スラリーとして貯蔵することができる。
実施例15
【0116】
[0114]本実施例は、イオウ含有リンカーを含むセルロースの4−ニトロ−1,2−フェニレンジアミン誘導体を調製するための方法を実際に示す。
【0117】
[0115]実施例3で上記したプロトコルに従って得られた酸活性化セルロースビーズの50%スラリー6.0mlを水で完全に洗浄して貯蔵溶液を除去し、次いで、pH4.7の0.1M MES緩衝液で洗浄する。メタノール(4ml)に溶解した4−ニトロ−1,2−フェニレンジアミン(2.4mmol)を加えた後に、0.1M MES(2ml)に溶解したEDC(2.4mmol、458mg)を加える。ビーズを終夜回転ドラムに掛け、十分に洗浄して未反応試薬及び副生物を除去する。
【0118】
[0116]最終生成物は橙色であり、pH7のPBS緩衝液中の50%スラリーとして貯蔵することができる。
実施例16
【0119】
[0117]本実施例は、イオウ含有リンカーを含むセルロースの4,5,6−トリアミノピリミジン誘導体を調製するための方法を実際に示す。
【0120】
[0118]実施例3で上記したプロトコルに従って得られた酸活性化セルロースビーズの50%スラリー5.0mlを水で完全に洗浄して貯蔵溶液を除去し、次いで、pH4.7の0.1M MES緩衝液で洗浄する。0.1M MES(4ml)に懸濁した4,5,6−トリアミノピリミジンスルフェート(3.2mmol、702mg)を加えた後に、0.1M MES(1ml)に溶解したEDC(1.5mmol、280mg)を加える。反応混合物を3時間回転ドラムに掛け、十分に洗浄して未反応試薬及び副生物を除去する。
【0121】
[0119]最終生成物は白色であり、pH7のPBS緩衝液中の50%スラリーとして貯蔵することができる。
実施例17
【0122】
[0120]本実施例は、イオウ含有リンカーを含むセルロースの4−クロロ−2,6−ジアミノピリジン誘導体を調製するための方法を実際に示す。
【0123】
[0121]実施例3で上記したプロトコルに従って得られた酸活性化セルロースビーズの50%スラリー5.0mlを水で完全に洗浄して貯蔵溶液を除去し、次いで、pH4.7の0.1M MES緩衝液で洗浄する。ビーズを、0.1M MES(3ml)及び2M HCl(1.75ml)に溶解した4−クロロ−2,6−ジアミノピリジン(3.5mmol)と混合した後に、EDC(1.5mmol)を加える。反応混合物を、次いで、3時間室温で回転ドラムに掛け、十分に洗浄して未反応試薬及び副生物を除去する。
【0124】
[0122]最終生成物は白色であり、pH7のPBS緩衝液中の50%スラリーとして貯蔵することができる。
実施例18
【0125】
[0123]本実施例は、イオウ含有リンカーを含むセルロースの2,4−ジアミノピリミジン誘導体を調製するための方法を実際に示す。
【0126】
[0124]実施例3で上記したプロトコルに従って得られた酸活性化セルロースビーズの50%スラリー10.0mlを水で完全に洗浄して貯蔵溶液を除去し、次いで、pH4.7の0.1M MES緩衝液で洗浄する。次いで、ビーズを、0.1M MES(6ml)及び2M HCl(3.5ml)に溶解した2,4−ジアミノピリミジン(7.0mmol)と混合した後に、EDC(3.0mmol)を加える。反応混合物を3時間室温で回転ドラムに掛け、十分に洗浄して過剰の試薬及び副生物を除去する。
【0127】
[0125]最終生成物は白色であり、pH7のPBS緩衝液中の50%スラリーとして貯蔵することができる。
実施例19
【0128】
[0126]本実施例は、イオウ含有リンカーを含むセルロースの2,5−ジアミノベンゼンスルホン酸誘導体を調製するための方法を実際に示す。
【0129】
[0127]実施例3で上記したプロトコルに従って得られた酸活性化セルロースビーズの50%スラリー5.0mlを水で完全に洗浄して貯蔵溶液を除去し、次いで、pH4.7の0.1M MES緩衝液で洗浄する。次いで、ビーズを、0.1M MES(3ml)及び1M NaOH(1.5ml)に溶解した2,5−ジアミノベンゼンスルホン酸(300mg、1.6mmol)と混合した後に、0.1M MES(2ml)に溶解したEDC(306mg、1.6mmol)を加える。ビーズを24時間室温で回転ドラムに掛け、十分に洗浄して過剰の試薬及び副生物を除去する。
【0130】
[0128]配位子の密度は28μmol/mlビーズであり、元素分析によって決定される。最終生成物は、pH7のPBS緩衝液中の50%スラリーとして貯蔵することができる。
実施例20
【0131】
[0129]本実施例は、イオウ含有リンカーを含むセルロースの3,4−ジアミノ安息香酸誘導体を調製するための方法を実際に示す。
【0132】
[0130]実施例3で上記したプロトコルに従って得られた酸活性化セルロースビーズの50%スラリー10mlをEDC(3当量)の存在下、メタノールとpH4.7の0.1M MES緩衝液の1:1混合物中の3,4−ジアミノ安息香酸のエチルエステルの(0.486g、2.7mmol、3当量)と縮合させる。次いで、室温で12時間1M NaOHを使用することによって鹸化を実施して以下に示す生成物を得る:
【0133】
[0131]このジアミノ安息香酸で誘導体化されたビーズはオフホワイト色である。配位子密度は、70μmol/ml樹脂であり、元素分析によって決定される。
実施例21〜45
【0134】
[0132]以下の表1に示すようなイオウ含有リンカー及び配位子を含むセルロース誘導体を、実施例19の2,5−ジアミノベンゼンスルホン酸を適切な配位子試薬で置換して、実施例8に記載のプロトコルに従って調製する。
実施例46
【0135】
[0133]本実施例は、本発明の一実施形態による固体基材を使用することによって、ヒトの粗血漿からIgGを単離及び精製するための方法を実際に示す。
【0136】
[0134]1mlのカラムを、実施例3に従って調製した固体基材で充填する。固体基材をpH7.2の20mMリン酸塩緩衝液で平衡化する。
【0137】
[0135]次に、ヒトの粗血漿の試料10mlを平衡緩衝液で1:1に希釈し、0.2μmメンブランでろ過し、12mlを直接カラムに装入する。次いで、非吸着タンパク質を確実に排除するために、カラムをpH7.2の20mMリン酸塩緩衝化0.5M NaClで洗浄する。pH7.2の20mMリン酸塩緩衝液でカラムを洗浄することによって結合不純物を除去する。
【0138】
[0136]所望のIgGをpH4.0の20mM酢酸塩緩衝液で溶離する。IgG25mgを集める。その純度を>99%であると推定した。
実施例47
【0139】
[0137]本実施例は、本発明の別の実施形態による固体基材を使用することによって、血漿からIgGを単離及び精製するための方法を実際に示す。
【0140】
[0138]1mlのカラムを、実施例9に従って調製した固体基材で充填する。固体基材をpH7.4の20mMリン酸塩緩衝液で平衡化する。
【0141】
[0139]次に、ヒトの血漿の試料10mlを平衡緩衝液で1:1に希釈し、0.2μmメンブランでろ過し、20mlを直接カラムに装入する。次いで、非吸着タンパク質を確実に排除するために、カラムをpH7.2の20mMリン酸塩緩衝化0.15M NaClで洗浄する。pH7.2の20mMリン酸塩緩衝液でカラムを洗浄することによって結合不純物を除去する。
【0142】
[0140]所望のIgGをpH5.0の20mM酢酸ナトリウム緩衝液で溶離する。所望のIgG35mgを集める。その純度を>99%であると推定した。
実施例48
【0143】
[0141]本実施例は、本発明の実施形態による基材を使用することによってさまざまな配位子密度で良好な動的結合能が実現可能であることを実際に示す。
【0144】
[0142]p−フェニレンジアミンを酸活性化ビーズとカップリングさせる条件(酸密度に対するフェニレンジアミン及びEDCの化学量論量を変化させること)をさまざまに変えてさまざまな配位子密度を有する試料を生成することを除いて、固体基材を実施例3に従って調製する。
【0145】
[0143]それぞれの基材試料に対するIgG動的タンパク質結合能(DBC)を、UNICORNソフトウエア手引書に従って、AKTA Explorer 100 LC Workstation(GE Healthcare Biosciences、Pittsburgh、PA)で決定する。平衡及び洗浄流速は、1ml/分であり、装入流速は、0.33ml/分(滞留時間3分)である。ヒトIgGを50%漏出(BT)まで装入する。Amersham18−0383−01からのHR5/5カラム(直径5mm及び長さ5cm、体積=1ml)を樹脂充填のために使用し、UltraSpec1000を使用することによって、A280の読みを決定する。濃度2.0mg/mlの市販IgG(SeraCare Life Sciences、ロット番号G111RM−25B0802)を使用する。IgG用の装入緩衝液は、pH7.2の20mM NaH2PO4であり、平衡及び洗浄緩衝液も、やはり、pH7.2の20mM NaH2PO4である。溶離緩衝液は、pH3.1の0.1M酢酸である。溶離からの動的結合能を、全ての溶離画分中のタンパク質量を測定することによって計算する。溶離タンパク質をカラムに実際に結合したタンパク質で除した量を使用することによって回収率を計算する(カラムに結合したタンパク質量=カラムに装入したタンパク質量−漏出及び洗浄タンパク質)。10%漏出における結合能を、次式:装入タンパク質濃度×(V10%BT−V空隙)を使用することによって計算する。系及びカラムの空隙体積を1%アセトンを注入することによって測定する。
【0146】
[0144]1つの基材試料の配位子密度及び動的結合能を図1に示す。試験した基材は、約50μmol/ml以上の低い配位子密度でも良好な動的結合能を示す。
実施例49
【0147】
[0145]本実施例は、本発明の実施形態による基材を使用することによって、純IgGを依然として得ながら、配位子密度を変化させることが可能であることを実際に示す。
【0148】
[0146]p−フェニレンジアミンを酸活性化ビーズとカップリングさせる条件(酸密度に対するフェニレンジアミン及びEDCの化学量論量を変化させる)をさまざまに変えてさまざまなp−フェニレンジアミン(PDA)配位子密度を有する試料を生成することを除いて、固体基材を実施例3に従って調製する。それぞれの固体基材試料を別々のカラム内に装入し、それを使用して実施例46に記載したようにヒト血漿からのIgGを精製する。
【0149】
[0147]それぞれの基材試料から得られたIgGの純度を図2に示す。配位子密度が35μmol/mlという低さでも、純度99%のIgGが得られる。35μmol/ml以上の配位子密度を有する基材では、配位子密度の増加につれてのIgG純度の有意な増加はみられない。
実施例50
【0150】
[0148]本実施例は、本発明の実施形態による基材を使用することによって、IgG結合と滞留時間との関係を実際に示す。
【0151】
[0149]固体基材を実施例3に従って調製する。それぞれの固体基材試料を別々のカラム内に装入し、それを使用して以下の手順に従って純IgGを結合させる:pH7.2及び導電率6mS/cmのリン酸塩緩衝液中IgG2mg/mlを50%BTに到達するまでそれぞれのカラムに装入する。次いで、カラムを0.5M NaClで洗浄してビーズに吸着したIgGを除去する。次いで、IgGを、pH3.1の0.1M酢酸緩衝液を使用することによって溶離する。
【0152】
[0150]試験したそれぞれの滞留時間に対する、10%漏出時の結合IgG量及び溶離IgG量、並びにpH3における回収率%を表2に示す。基材は、滞留時間6分で高い結合能を示し、IgGの回収率は、さまざまな滞留時間で高い。
実施例51
【0153】
[0151]本実施例は、本発明の実施形態による基材を使用することによって、pHがIgG結合及び回収率に及ぼす影響を実際に示す。
【0154】
[0152]固体基材を実施例12に従って調製した。それぞれの固体基材試料を別々のカラム内に装入し、それを使用して以下の手順に従ってヒト血漿からのIgGを精製した:可変pH(5〜8.5)(表2を参照されたい)及び導電率6mS/cmを有するさまざまな緩衝溶液中のIgG2mg/mlを10%BTに到達するまでそれぞれのカラムに装入した。次いで、カラムを0.5M NaClで洗浄してビーズに吸着したIgGを除去した。次いで、IgGをpH3.1の0.1M酢酸緩衝液を使用することによって溶離した。
【0155】
[0153]試験したそれぞれのpH値に対する、10%漏出時の結合IgG量及び溶離IgG量、並びに回収率%を表3に示す。試験した全てのpH値で、結合IgGの少なくとも98.8%が回収された。pH5.5が、この配位子に対する最適の装入pHである。
実施例52
【0156】
[0154]本実施例は、本発明の実施形態による基材を使用することによって、ヒトの粗血漿からのIgGを精製するための基材の再使用を実際に示す。
【0157】
[0155]固体基材を実施例3に従って調製し、カラム内に装入し、使用して、実施例46に記載の手順に従ってIgGを含む生体材料試料を処理する。溶離した後に、1ml/分の流速で1M NaOHを使用することによって固体基材を再生し、再度使用して、同じ手順に従ってIgGを含む生体材料試料を処理する。再生と再使用のサイクルをもう1回反復し、生体試料を全部で3回処理する。
【0158】
[0156]それぞれのサイクルに対するIgG結合量及び純度を表4に示す。基材は、反復使用の後でも高純度のIgGを生成する。
実施例53
【0159】
[0157]本実施例は、本発明の実施形態による基材を使用することによって、ヒトの粗血漿からのIgGの精製(滞留時間3分)を実際に示す。
【0160】
[0158]実施例3、4、9、10、及び11に従って固体基材を調製する。それぞれの固体基材試料を別々のカラム内に装入し、それを使用して実施例46に記載したように、ヒト血漿からのIgGを精製する。
【0161】
[0159]それぞれの試験した基材に対する溶離IgG量及びIgG純度を表5に示す。試験された全ての基材は高純度のIgGをもたらす。
実施例54
【0162】
[0160]本実施例は、本発明の実施形態による基材を使用することによって、10%漏出における純IgG結合及び回収率(滞留時間3分)を実際に示す。
【0163】
[0161]実施例3、10、11、及び13に従って固体基材を調製する。それぞれの固体基材試料を別々のカラム内に装入し、それを使用して実施例50に記載したように純IgGを結合させる。
【0164】
[0162]それぞれの基材に対する、10%漏出及び滞留時間3分における結合IgG量及び溶離IgG量並びに回収率%を表6に示す。
実施例55
【0165】
[0163]本実施例は、本発明の実施形態による基材を使用することによって、Fab結合及び10%漏出における回収率を実際に示す。
【0166】
[0164]実施例3、4、5、及び8に従って固体基材を調製する。それぞれの固体基材試料を別々のカラム内に装入し、それを使用して以下の条件下で純Fabを結合させる:100mM Tris−HCl、10mM EDTA緩衝液(pH7.4)中の0.5mg/mlFab溶液を、10%漏出に到達するまでそれぞれのカラムに装入する。次いで、カラムを平衡緩衝液(100mM Tris−HCl及び10mM EDTA、pH7.4)で洗浄し、FabをpH3の300mMグリシン緩衝液で溶離する。
【0167】
[0165]それぞれの基材に対する、10%漏出及び滞留時間3分におけるFab動的結合能(DBC)、並びに回収率%を表7に示す。
実施例56
【0168】
[0166]本実施例は、本発明の実施形態による基材を使用することによって、モノクロナール抗体結合と滞留時間との関係を実際に示す。
【0169】
[0167]実施例3に従って固体基材を調製し、カラム内に装入し、それを使用して以下の手順に従って純モノクロナール抗体を結合させる:導電率6mS/cmを有するpH7.2のリン酸ナトリウム緩衝液中のmAb2mg/mlを、さまざまな滞留時間で10%漏出に到達するまでそれぞれのカラムに装入する。カラムを20mMリン酸ナトリウム緩衝液及び500mM NaClで洗浄し、mAbをpH4.0の20mM酢酸ナトリウム緩衝液で溶離する。
【0170】
[0168]基材に結合している及び基材から溶離したモノクロナール抗体の量、並びに回収率%を表8に示す。基材は、短い滞留時間でモノクロナール抗体の高回収率を示す。
実施例57
【0171】
[0169]本実施例は、本発明の実施形態による基材を使用することによって、モノクロナール抗体結合と滞留時間との関係を実際に示す。
【0172】
[0170]実施例20に従って固体基材を調製し、カラム内に装入し、それを使用して以下の手順に従って純モノクロナール抗体を結合させる:導電率15mS/cmを有するpH5.5のリン酸ナトリウム+150mM NaCl中のmAb2mg/mlを、さまざまな滞留時間時間で10%漏出に到達するまでそれぞれのカラムに装入する。カラムを20mMリン酸ナトリウム+150mM NaCl(導電率15mS/cmを有する)で洗浄し、mAbをpH8.0の50mMリン酸ナトリウム+250mM NaCl(導電率25mS/cmを有する)で溶離する。
【0173】
[0171]基材に結合しているモノクロナール抗体の量、及び回収率%を表9に示す。基材は、短い滞留時間でモノクロナール抗体の高回収率を示す。
実施例58
【0174】
[0172]本実施例は、本発明の実施形態による基材を使用することによって、10%漏出及び滞留時間3分におけるモノクロナール抗体結合及び回収率を実際に示す。
【0175】
[0173]実施例3、4、8、及び9に従って固体基材を調製する。それぞれの固体基材試料を別々のカラム内に装入し、それを使用して実施例56に記載したようにモノクロナール抗体を含む生体材料試料を処理する。
【0176】
[0174]それぞれの基材に対する、10%漏出及び滞留時間3分におけるmAb動的結合能(DBC)、並びに回収率%を表10に示す。
実施例59
【0177】
[0175]本実施例は、本発明の実施形態による基材を使用することによって、集合体の除去を実際に示す。
【0178】
[0176]実施例4及び5に従って固体基材を調製する。それぞれの固体基材試料を別々のカラム内に装入し、それを使用して実施例56に記載の手順に従って、モノクロナール抗体75.5%と集合体24.5%とを含む生体材料試料を処理する。
【0179】
[0177]基材で処理した後の、試料中のモノクロナール抗体及び集合体の量を表11に示す。実施例3に記載の基材で処理した後、得られた生成物は、モノクロナール抗体91.9%と集合体8.1%とを有する。集合体に比較してモノクロナール抗体の割合の更に大きい増加が、実施例3に記載の基材で処理した試料で観察され、処理後、該試料は、モノクロナール抗体99.0%と集合体1.0%とを有する。
実施例60
【0180】
[0178]本実施例は、本発明の実施形態による基材を使用することによって、IgG静的結合能を実際に示す。
【0181】
[0179]固体基材を実施例3〜12、14、15、及び19〜45に従って調製する。IgGの静的結合分析を、純度約94%の凍結乾燥ヒトIgG(SeraCare Life Sciences、ロット番号G111RM−25B0802)27mgをPBS10mlに溶解して2.5mg/mlのIgG溶液を作製することによって実施する。IgG溶液の一連の希釈液を、2組調製し、UV吸収度を280nmで決定する。吸収値を使用して、公称濃度に対するグラフをプロットし、このプロットの傾きを使用して、IgGの吸光係数として1.43を用いて希釈液の実際のIgG濃度を計算する。PBS中のそれぞれのビーズ試料の1:1スラリーの50μLを2組の別々の1.5ml微小遠心管にピペットで入れ、それぞれの管にPBS中の2.5mg/ml IgGの1mlを加える。管を2時間回転させ、2分間沈降させる。次いで、試料をそれぞれ120μLずつ96個のウエル板にピペットで投入し、UV吸収度を280nmで読み取る。
【0182】
[0180]それぞれの基材に対する静的結合能及び配位子密度を表12に示す。基材は、低い配位子密度でも高い静的結合能を示す。
実施例61
【0183】
[0181]本実施例は、本発明の実施形態による基材を使用することによって、BSA(ウシ血清アルブミン)静的結合能を実際に示す。
【0184】
[0182]固体基材を実施例22〜26、29〜31、34、35、37、38、41、42、及び44に従って調製する。BSAの静的結合分析を、純度約96%のBSA粉末(Sigma Aldrich、バッチ番号106K0687)22mgをpH4.7の0.1M MES10mlに溶解して2mg/mlのBSA溶液を作製することによって実施する。BSA溶液の一連の希釈液を、2組調製し、UV吸収度を280nmで決定する。吸収値を使用して、公称濃度に対するグラフをプロットし、このプロットの傾きを使用して、BSAの吸光係数として0.625を用いて希釈液の実際のBSA濃度を計算する。pH4.7の0.1M MES中のそれぞれのビーズ試料の1:1スラリーの50μLを2組の別々の1.5ml微小遠心管にピペットで入れ、それぞれの管にpH4.7の0.1M MES中の2mg/ml BSAの1mlを加える。管を2時間回転させ、2分間沈降させる。次いで、試料をそれぞれ120μLずつ96個のウエル板にピペットで投入し、UV吸収度を280nmで読み取る。
【0185】
[0183]それぞれの基材に対する静的結合能及び配位子密度を表13に示す。基材は、低い配位子密度でも高い静的結合能を示す。
実施例62
【0186】
[0184]本実施例は、本発明の実施形態による基材を使用することによって、pH及び導電率値が10%漏出における純ウシ血清アルブミン(BSA)の動的結合に及ぼす影響を実際に示す。
【0187】
[0185]実施例20に従って固体基材を調製する。それぞれの固体基材試料を別々のカラム内に装入し、それを使用して以下の手順に従って、BSAの動的結合能(DBC)を決定する:さまざまなpH(3.4〜8.5)及びさまざまな導電率(0〜80mS/cm)を有するさまざまな緩衝溶液中のBSA2mg/mlを10%漏出が到達するまでそれぞれのカラムに装入する(図3)。次いで、カラムを装入緩衝液(例えば、pH4.7及び導電率15mS/cm)で洗浄して基材に吸着したBSAを除去する。次いで、pH8.0の50mMリン酸ナトリウム緩衝液及び250mM NaClを使用してBSAを溶離する。
【0188】
[0186]試験されたそれぞれのpH及び導電率の組合せで10%漏出において結合したBSA量を図3に示す。6.0以上のpH値では、5mS/cm超の導電率でBSA結合は観察されなかった。pH3.4では、BSA結合能は、導電率の増加とともに増加する。本配位子では、pH4.7が最適装入pHであり、この場合、導電率は、15mS/cm以下である。
【0189】
[0187]刊行物、特許出願、及び特許を含めての本明細書に引用された参考文献は全て、参照により本明細書に組み込まれているが、これは、それぞれの参考文献が、個別に且つ具体的に参照により組み込まれ、且つその全体が本明細書中に記載されていることと同等である。
【0190】
[0188]本発明を説明する文脈(特に、以下の特許請求の範囲の文脈)中の「a」及び「an」及び「the」及び「at least one」という用語及び類似の指示語の使用は、本明細書で別段の指示のない限り、又は文脈中明白な矛盾のない限り、単数と複数の双方を包含するものとみなされるべきである。1つ又は複数の事項のリストの前の「少なくとも1つ(1種)の」という用語(例えば、「A及びBのうちの少なくとも1つ(1種)の」)の使用は、本明細書で別段の指示のない限り、又は文脈中明白な矛盾のない限り、列挙された事項から選択される1つ(1種)の事項(A又はB)、又は2種以上の列挙された事項の任意の組合せ(A及びB)を意味するとみなされるべきである。「comprising」、「having」、「including」及び「containing」という用語は、別段の指示のない限り、オープンエンドな用語(つまり、「含むが、それに限定されない」ことを意味する)としてみなされるべきである。本明細書中で数値の範囲を記載は、本明細書で別段の指示のない限り、その範囲内にあるそれぞれの別々の値を個別に指す省略法としての役割を果たすよう意図されるにすぎず、それぞれの別々の値は、あたかもそれらが個別に本明細書に記載されているように、本明細書に組み込まれている。本明細書に記載の方法は全て、本明細書で別段の指示のない限り、又は文脈中明白な矛盾のない限り、任意の適切な順序で実施することができる。本明細書に示される任意の及び全ての例、又は例示的な言葉(例えば、「など(の)」)の使用は、本発明をよりよく明らかにするよう意図されるにすぎず、別段の指示のない限り、本発明の範囲を限定するものではない。本明細書中のいかなる言葉も、特許請求されていない要素が本発明の実施に必須であると指示すると解釈すべきではない。
【0191】
[0189]本発明を実施するための、発明者らに公知のベストモードを含めての本発明の好ましい実施形態が、本明細書に記載されている。前述の説明を読めば、こうした好ましい実施形態の変形形態は、当業者には明白であろう。本発明者らは、当業者がかかる変形形態を適宜用いることを期待するものであり、本発明者らは、本発明が、本明細書に具体的に記載されたもの以外の方法で実施されることを意図するものである。したがって、本発明は、本明細書に添付された特許請求の範囲に記載された主題事項の適用可能な法律により許可される全ての変更形態及び均等物を含むものである。さらに、全ての可能な変形形態中の上述の要素の任意の組合せが、本明細書で別段の指示のない限り、又は文脈中明白な矛盾のない限り、本発明に包含される。
【関連出願の相互参照】
【0001】
[0001]本特許出願は、参照により本明細書に組み込まれている、2011年7月27日に出願された米国特許仮出願第61/512,097号の利益を主張するものである。
【発明の背景】
【0002】
[0002]本発明は、一般に、混合モード又は複数モード相互作用クロマトグラフィー材料に関する。タンパク質などの大量の生体関連分子(つまり、生体分子)に対する必要性が増加したために、生理的単離物からかかる生体分子を単離するためのさまざまな技術が生み出された。特に重要な1つの分離法は、液体クロマトグラフィーである。
【0003】
[0003]高い結合能、特異性、及び回収率を示し、しかも、クロマトグラフィー性能の低下なしで大量に再生が可能な混合モードクロマトグラフィー材料に対する必要性が当技術分野に存在する。
【発明の概要】
【0004】
[0004]本発明による基材及び基材の使用方法の実施形態によれば、免疫グロブリン(好ましくは、モノクロナール抗体)などの生体物質は、好ましくは、結合されるが、集合体には結合しない。一部の実施形態では、免疫グロブリンIgA及び/又はIgMは、選択的に結合する。有利には、生体物質は、精製するのと同時に集合体を除去することができ、それによってワンステップでの精製及び集合体除去が可能になる。
【0005】
[0005]一実施形態では、本発明は、固体担体と、配位子と、リンカーとを含む基材を提供する。一部の実施形態では、リンカーは、固体担体を配位子に共有結合によって接続させる少なくとも1つのC、O、N、又はS原子を含む。
【0006】
[0006]一実施形態では、配位子は、次式
を有し、式中、
は、芳香族基又はヘテロ芳香族基を表し、これは、任意選択で置換されていてもよい。一部の実施形態では、芳香族基又はヘテロ芳香族基は、環系に5〜12個の原子を有し、O、N、及びSから選択される0〜3個のヘテロ原子を含む、単環式又は二環式であってもよい。
【0007】
[0007]一部の実施形態では、配位子は、
からなる群から選択される式を有する。上の式中の波線は、リンカーが接続される配位子上の位置を指す。
【0008】
[0008]他の実施形態では、配位子は、次式
を有し、式中、
は、−H、−(C1〜C6)アルキル、ハロゲン、−OH、−O(C1〜C6)アルキル、−COOH、−COO(C1〜C6)アルキル、−SO3H、−PO3H、−NO2、−NH2、
からなる群から選択される0〜4個の置換基で任意選択で置換されている、フェニル、ピリジル、ピリミジニル、及びナフチルからなる群から選択される芳香環又は芳香族複素環を表す。
【0009】
[0009]一部の実施形態では、
は、−H、−COOH、及び−SO3Hからなる群から選択される0〜1個の置換基で任意選択で置換されている、フェニル、ピリジル、又はナフチルを表す。他の実施形態では、
は、−H、−COOH、及び−SO3Hからなる群から選択される0〜1個の置換基で任意選択で置換されている、フェニルを表す。追加の実施形態では、
は、
からなる群から選択される0〜1個の置換基で任意選択で置換されている、フェニルを表す。
【0010】
[0010]さらなる他の実施形態では、本発明は、
からなる群から選択される式を有する基材を提供し、式中、黒長方形は固体担体を表す。
【0011】
[0011]本発明は又、試料から少なくとも1種の物質を分離することを提供する。一実施形態では、基材を用いて少なくとも1種の生体物質を含む試料を処理する方法は、試料中の少なくとも1種の生体物質を基材に結合させるのに十分な時間、基材を試料と接触させるステップを含む。好ましい一実施形態では、この方法は、(a)本発明の一実施形態による基材を、少なくとも1種の物質を含む液体試料と接触させるステップであって、該物質が基材に吸着するステップと、(b)該物質が基材から脱着するようにpH、イオン強度、又はその双方を調整するステップとを含む。典型的な一実施形態では、該方法は、(a)で得られた基材を平衡緩衝液で洗浄するステップをさらに含む。
【0012】
[0012]別の実施形態では、試薬を固体担体に結合させるリンカーの一部分又は全部を含む二官能性試薬の1つの官能基と固体担体を接触させることによって固体担体を活性化するステップを含む、基材を作製するための方法が提供される。活性化された固体担体は、次いで、配位子を含む試薬と反応してリンカーと配位子との間の結合を形成する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】[0013] 本発明の一実施形態による基材を使用した場合のさまざまな配位子密度及び動的結合能(DBC)を示すグラフである。
【0014】
【図2】[0014] 本発明の一実施形態によるpara−フェニレンジアミン(PDA)配位子を含む基材を使用した場合の配位子密度の変化及び純IgGの取得を示すグラフである。
【0015】
【図3】[0015] 本発明の一実施形態による基材を使用した場合の、pH及び導電率値が10%漏出における純BSA(ウシ血清アルブミン)動的結合能(DBC)に及ぼす影響を示すグラフである。
【発明の詳細な説明】
【0016】
[0016]本発明の実施形態は、重要な生体物質を含めてのさまざまな物質を分離及び単離する際に使用するための有効な吸着剤である基材を提供する。本発明の実施形態による基材は、例えば、カラムクロマトグラフィーなどの調製技術で使用することができる。
【0017】
[0017]本明細書に記載の基材の一実施形態の1つの利点は、タンパク質などの生体物質に対する高い選択性及び特異性である。代替的に又は追加的に、別の利点は、本基材の実施形態の高い生体分子結合能である。したがって、より少ない体積の試料を取扱うこと、処理時間を短縮すること及び/又はカラムの単位体積当り大量の試料を処理することが可能である。本発明の実施形態の別の利点は、タンパク質集合体の存在下でのタンパク質に対する基材の選択性である。このために、タンパク質試料からの精製及び集合体の除去がワンステップで可能となり得る。加えて、基材は、コスト効率よく調製することができる。
【0018】
[0018]基材は、固体担体と、リンカーを介して固体担体に共有結合する配位子とを含む。一部の実施形態では、リンカーは、少なくとも1つのC、O、N、又はS原子を含む。
【0019】
[0019]一実施形態では、配位子は、次式
を有し、式中、
は、芳香族基又はヘテロ芳香族基を表し、これは、任意選択で置換されていてもよい。一部の実施形態では、芳香族基又はヘテロ芳香族基は、環系に5〜12個の原子を有し、O、N、及びSから選択される0〜3個のヘテロ原子を含む、単環式又は二環式であってもよい。
【0020】
[0020]一部の実施形態では、配位子は、
からなる群から選択される式を有する。上の式中の波線は、リンカーが接続される配位子上の位置を指す。
【0021】
[0021]他の実施形態では、配位子は、次式
を有し、式中、
は、−H、−(C1〜C6)アルキル、ハロゲン、−OH、−O(C1〜C6)アルキル、−COOH、−COO(C1〜C6)アルキル、−SO3H、−PO3H、−NO2、−NH2、
からなる群から選択される0〜4個の置換基で任意選択で置換されている、フェニル、ピリジル、ピリミジニル、及びナフチルからなる群から選択される芳香環又は芳香族複素環を表す。
【0022】
[0022]一部の実施形態では、
は、−H、−COOH、及び−SO3Hからなる群から選択される0〜1個の置換基で任意選択で置換されている、フェニル、ピリジル、又はナフチルを表す。他の実施形態では、
は、−H、−COOH、及び−SO3Hからなる群から選択される0〜1個の置換基で任意選択で置換されている、フェニルを表す。追加の実施形態では、
は、
からなる群から選択される0〜1個の置換基で任意選択で置換されている、フェニルを表す。
【0023】
[0023]配位子は、リンカーに共有結合によって接続され、該リンカーが、配位子を固体担体に連結する。リンカーは、立体障害を低減し、配位子を被結合物質に接近しやすくすることができる。配位子とリンカーの間の接続は、例えば、アミド結合であってもよい。
【0024】
[0024]リンカーは典型的には、少なくとも1つのC、O、N、又はS原子を含む。一実施形態では、リンカーは、
又は
を含み、式中、X、X1、及びX2は、それぞれ独立に、O、S、NHから選択され、共有結合であり、m、n、及びpは、それぞれ独立に、0、1、2、3、4、5、又は6である。別の実施形態では、上の式のH原子のうちの1、2、又は3個は、等価数のOH基及び/又はメチル基で置換することができる。
【0025】
[0025]一実施形態では、リンカーは、
からなる群から選択される構造を備え、式中、X1及びX2のそれぞれは、独立に、O、S、及びNHから選択され、Ra、Rb、Rc、及びRdのそれぞれは、独立に、H、OH、及びメチルから選択される。
【0026】
[0026]別の実施形態では、リンカーは、
からなる群から選択される構造を備える。
【0027】
[0027]リンカーは、配位子を固体担体に接続する。固体担体は、クロマトグラフィー媒体用として典型的に使用される形態のもの、例えば、直径約0.1μm〜約1000μmなどの多孔質若しくは非多孔質のビーズ又は不規則粒子であってもよい。こうしたビーズ又は粒子は、リンカーと配位子の組合せと一緒になって誘導体化することができる。ビーズ又は粒子は、例えば、カラムを充填するのに使用できるクロマトグラフィー媒体を提供することができる。或いは、一部の実施形態では、固体担体は、ファイバー、メンブラン、又は、例えば、大きさがミクロン〜数ミリメートルの開口部又は空隙の充満したスポンジ状の材料を含む。
【0028】
[0028]適切な固体担体は、当技術分野で公知である。一実施形態では、固体担体は、有機材料を含むことができる。例示的な有機材料は、セルロース、デンプン、寒天、アガロース、及びデキストランなどのポリサッカライドである。置換又は非置換の、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリビニルアルコールなどのポリビニルポリマー、ポリスチレン、ポリスルホン、及びスチレンとジビニルベンゼンのコポリマー、並びにその混合物を含む合成ポリマーが企図されている。別の実施形態では、無機材料を固体担体材料として使用することができる。かかる無機材料として、限定されないが、シリカ、ヒドロゲル含有シリカ、ジルコニア、チタニア、アルミナなどの多孔質鉱物材料、及びその他のセラミック材料が挙げられる。こうした材料の混合物、又は、米国特許第5,268,097号;第5,234,991号;及び第5,075,371号に開示のものなど、2種の材料の共重合又は相互貫通ネットワークによって形成された複合材料を使用することも可能である。
【0029】
[0029]一実施形態では、本発明の基材は、少なくとも約20μmol/ml基材、少なくとも約30μmol/ml、又は少なくとも約40μmol/ml、又は少なくとも約50μmol/mlの配位子密度(基材の体積当りの配位子の数)を示す。一部の実施形態では、配位子密度は、約180μmol/ml未満、例えば、約150μmol/ml未満、又は約100μmol/ml未満、又は約80μmol/ml未満、又は約60μmol/ml未満、又は約50μmol/ml未満である。配位子密度は、約20μmol/ml〜約180μmol/ml、約30μmol/ml〜約150μmol/ml、又は約40μmol/ml〜約100μmol/ml、又は約50μmol/ml〜約80μmol/ml、又は約30μmol/ml〜約60μmol/ml、又は約50μmol/ml〜約60μmol/mlの範囲であってもよい。
【0030】
[0030]本発明の他の実施形態は、以下に示されている。この場合及び全体を通じて、式の黒長方形は固体担体を表す。
【0031】
[0031]さらなる他の実施形態では、本発明は、
からなる群から選択される式を有する基材を提供する。
【0032】
[0032]別の実施形態では、本発明は、入口端と出口端を備え、本明細書に記載の基材の一実施形態で充填された管状部材を備えるクロマトグラフィーカラムを含む。管状部材は、ガラス、プラスティック、又は金属など任意の適切な材料から作製することができる。充填された基材は、管状部材内部に配置された多孔質部材によって一方の端又はそれぞれの端で隣接することができ、この多孔質部材が、基材を管状部材内部に固定保持する。
【0033】
[0033]一部の実施形態では、カラム内の液体の重力流れは、例えば、基材を、液体試料、洗浄流体、及び/又は溶離液と接触させるために十分である。他の実施形態では、カラムは、デバイスを移動してカラム内の流体の上方流又は下方流を実現する、1つ又は複数の流体を含むことができる。かかるデバイスとして、ポンプ、注射器、及び当技術分野で公知のようにクロマトグラフィー装置と一緒に典型的に用いられる任意の他のデバイスが挙げられる。
【0034】
[0034]クロマトグラフィーカラムは、任意の適切な体積のものであってもよい。例えば、実験室規模の分離は、例えば、約1ミリリットル、又はさらに約1マイクロリットルという小さいカラム体積で実施することができる。生体物質の大規模な精製及び単離は、例えば、約5000リットルという大きなカラムで実施することができる。より典型的な体積は、例えば、1リットル〜100リットルの間である。カラムは、全体の形状が管状であるが、他の点では、長さ又は直径も特に限定されていない。カラムが用いられる状況に応じて、カラム直径は、例えば、約0.5mm〜約1000mmの間で変化することができる。加えて、カラム長は、例えば、約50mm〜約1000mmの間で変化することができる。したがって、本発明は、多様な寸法及びそれに対応する体積のカラムを企図する。
【0035】
[0035]追加の一実施形態では、本発明は、基材を作製するための方法を含む。該方法は、試薬を固体担体に結合させるためリンカーの一部分又は全部を含む二官能性試薬の1つの官能基と固体担体を接触させることによって固体担体を活性化するステップを一般に含む。活性化された固体担体は、次いで、配位子を含む試薬と反応してリンカーと配位子との間の結合を形成する。二官能性試薬は、限定されないが、クロロ、ブロモ、ヨード、エポキシド、カルボキシル、エステル、アルデヒド、ケトン、アミド、アルケニル、シアノ、及びイミノを含めての少なくとも二つの官能基を含むことができる。
【0036】
[0036]本発明の別の実施形態は、試料から少なくとも1種の物質を分離するための方法である。一実施形態では、基材を用いて少なくとも1種の生体物質を含む試料を処理する方法は、試料中の少なくとも1種の生体物質を基材に結合させるのに十分な時間、本発明の一実施形態による基材を試料と接触させるステップを含む。好ましい一実施形態では、該方法は、(a)基材を、少なくとも1種の物質を含む液体試料と接触させるステップであって、該物質が基材に吸着するステップと、(b)該物質が基材から脱着するようにpH、イオン強度、又はその双方を調整するステップとを含む。典型的な一実施形態では、該方法は、(a)で得られた基材を平衡緩衝液で洗浄するステップをさらに含む。
【0037】
[0037]本発明の別の実施形態は、基材を調製するための方法を含む。上で説明された配位子は、固体担体とリンカーの間、及びリンカーと配位子の間の共有結合を形成することによって固体担体上に化学的に固定化されている。典型的には、固体担体は、最初に、二官能性試薬で処理され、該二官能性試薬は、リンカーの一部又は全部を形成する反応性基を固体担体上に導入する働きをする。セルロース、ヒドロゲルを含む複合材、又はヒドロキシル基を提供するその他の材料など一部の固体担体では、例えば、二官能性試薬と反応する前に、水酸化物源でヒドロキシル基を脱プロトン化することが有利な場合がある。二官能性試薬は、固体担体と、配位子を含む試薬との双方と反応することができる。同じ又は異なる官能基を含む例示的な二官能性試薬として、限定されないが、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、ジブロモ−及びジクロロプロパノール、ジブロモブタン、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ブタンジオールジグリシジルエーテル、ジビニルスルホン、アリルグリシジルエーテル、及び臭化アリルが挙げられる。臭化アリルなどのアリルへテロ官能性化合物は、好ましい二官能性試薬である。
【0038】
[0038]一旦官能化されると、固体担体は典型的には、次いで1種又は複数の溶媒で十分に洗浄されて未反応二官能性試薬、反応副産物、又は双方が除去される。この点で使用される典型的な溶媒は水である。
【0039】
[0039]配位子は、上で説明したような官能化固体担体によって提供される官能基と反応する試薬によって導入することができる。配位子試薬は、当業者に公知である合成方法によって調製することができる。
【0040】
[0040]二官能性試薬と配位子試薬との特定の組は、周知の化学反応によって導かれる。例えば、エポキシドによって官能化される固体担体は、メルカプト、ヒドロキシ、又はアミノ含有試薬と反応して、基材にエチレン含有連結基を与えることができる。例えば、臭化アリルで修飾された他の固体担体は、アルケン基を提供し、該アルケン基は、メルカプト含有試薬と直接反応することができ、それによってイオウ原子を含むリンカーが提供される。或いは、アルケン基は、さらに臭素化して適切に反応性であるブロモ誘導体を提供することもできる。別の例示的な方法では、固体担体は、ジビニルスルホン(DVS)などのイオウ含有二官能性試薬と反応することを可能にすることもできる。この場合、配位子を含む試薬は、DVSによって活性化された固体担体によって提供されるビニル基とのみ反応する必要がある。
【0041】
[0041]代替の経路では、上述のように活性化された固体担体は、中間の二官能性試薬で処理することができる。この反応の生成物は、次いで、配位子を含む試薬で処理することができる。この点に関する例示的な例は、上述したようなアリル活性化固体担体とメルカプトヘキサン酸の間の反応である。生成した懸垂カルボキシル基は、例えば、第一級アミンを有する任意の好都合な配位子試薬と反応することができる。この方法を用いる実施形態では、N−エトキシカルボニル−2−エトキシ−1,2−ジヒドロキノリン(EEDQ)、又はジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)、若しくは4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウム(DM−TMM)などの一般に知られているカルボジイミドなどのカップリング試薬を使用することが必要である場合もある。
【0042】
[0042]固定化されたリンカー及び配位子の濃度は、当技術分野で公知のように、固体担体を作製するのに使用された二官能性試薬の濃度に応じて、例えば、固体担体1ミリリットル当りの1マイクロモル〜数百マイクロモルの割合の間で変化することができる。固定化された基が低濃度であると、典型的には、クロマトグラフィー材料の分離能が低くなり、高濃度では、一般に、分離能が増加する。
【0043】
[0043]特定の実施形態では、本発明の基材は、生体関連分子、並びに、抗体、タンパク質、糖タンパク質、融合タンパク質、組み換えタンパク質、標識タンパク質、酵素及び生物触媒、ペプチド、細胞、バクテリア、ウイルス、ウイルス様粒子(VLP)、ワクチン、核酸、炭水化物、及び脂質などの生体物質を含めての、多様な物質を分離し、所望なら精製するのに使用することができる。分離(及び、所望なら精製)に適したその他の物質として、オリゴサッカライド及びポリサッカライド、リポポリサッカライド、ポリペプチド、並びに可溶性の合成ポリマーが挙げられる。生体物質は典型的には、限定されないが、唾液、体液、尿、リンパ液、前立腺液、精液、乳、乳清、器官抽出物、植物抽出物、細胞抽出物、(細胞株を含む)細胞培養物、発酵ブロス、血清、腹水、並びに遺伝子導入植物及び動物の抽出物などの液体試料を含めての供給源から誘導され、又は、該供給源に含まれている。本明細書で使用する場合は、体液として、生体に関連する任意の処理若しくは未処理液、特に、全血、温若しくは冷血、臍帯血、及び貯蔵若しくは新鮮血を含めての血液;限定されないが、生理食塩水、栄養剤及び/又は凝固防止溶液を含めての少なくとも1種の生理溶液で希釈された血液などの処理血液;濃縮血小板(PC)、血小板富化血漿(PRP)、貧血小板血漿(PPP)、無血小板血漿、血漿、新鮮凍結血漿(FFP)、血漿から得られたコンポーネント、充填赤色細胞(PRC)、遷移帯材料又は軟膜(BC)などの血液コンポーネント;血液若しくは血液コンポーネント由来の、又は骨髄由来の血液製品;白血球、幹細胞;血漿から分離され、生理溶液又は不凍液中で再懸濁された赤色細胞;並びに、血漿から分離され、生理溶液又は不凍液中で再懸濁された血小板が挙げられる。体液として又、骨髄吸引物を含む生理溶液が挙げられる。体液は、本発明に従って使用される前に、処理して一部の白血球を除去することができる。血液製品又は体液とは、上記のコンポーネント、及び類似の血液製品又は他の手段で得られ、類似の特性を有する体液を指す。
【0044】
[0044]これに関連して、特に好ましいクラスの生体物質は免疫グロブリンである。「免疫グロブリン」というカテゴリーは、モノクロナール及びポリクロナール抗体、及びFab、F(ab’)2、Fc及びFv断片、並びにその他の改変抗体種を含めての全体の免疫グロブリンを包含する。一実施形態では、免疫グロブリンは、免疫グロブリンG(IgG)であってもよい。代替的に又は追加的に、以下のもの:即ち、IgA、IgM、IgD及びIgEのうちの任意の1種又は複数が結合することができる。一部の実施形態では、IgA及び/又はIgMが選択的に結合する。
【0045】
[0045]本発明の実施形態によるクロマトグラフィー分離は、例えば、クロマトグラフィーイオン交換樹脂を含む基材、及び、一部の実施形態においては、生理pH及び/又はイオン強度下で機能できるものを含めての疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)樹脂を含むことができる。本発明の基材は、例えば、国際公開第2005/073711号パンフレットに開示のものを含めてのさまざまな方法に従って物質を分離するのに使用することができる。1種又は複数の生体物質を含む液体試料は、少なくとも1種の生体物質を基材に結合させるのに十分な時間、本発明の基材の一実施形態と接触させる。典型的には、接触期間は、約30秒〜約12時間の間である。
【0046】
[0046]少なくとも1種の生体物質を含む試料を処理する方法の一実施形態は、試料中の少なくとも1種の生体物質を基材に結合させるのに十分な時間、基材の一実施形態を試料と接触させるステップを含む。
【0047】
[0047]別の実施形態では、液体試料から少なくとも1種の物質を分離するための方法は、基材の一実施形態を、少なくとも1種の物質を含む液体試料と接触させるステップであって、該物質が基材に吸着するステップと、該物質が基材から脱着するようにpH、イオン強度、又はその双方を調整するステップとを含む。
【0048】
[0048]該方法の一実施形態では、少なくとも1種の物質は、抗体、例えば、IgG、IgA、又はその抗体断片を含む。
【0049】
[0049]該方法の一部の実施形態では、試料は、体液、例えば、限定されないが、血漿を含む。
【0050】
[0050]該方法の好ましい一実施形態では、基材をカラム内に配置し、該方法が試料をカラムに通すステップを含む。
【0051】
[0051]適切な場合、液体試料のpH、イオン強度、又はその双方は、試料を基材と接触させる前に調整することができる。追加的に、又は代替的に、試料は、濃縮、希釈、又は塩などの添加剤と混合することができる。ある範囲のタンパク質に対する典型的な捕獲pH値は、約4〜約10である。但し、捕獲pHは、これより高くても低くてもよい。典型的には、約4〜約8の範囲のpHは、カチオン交換部分を含む基材に対するタンパク質の吸着を増進するが、約6〜約10の範囲のpHは、アニオン交換部分が使用される場合に同じ働きをする。一部の実施形態では、基材は、約5.5のpHで、又は約7.2のpHで、又は約8.0のpHでタンパク質を結合することができる。しかし、基材は、これより高いpHでも低いpHでもタンパク質を結合することができる。
【0052】
[0052]本発明の基材は、試料のイオン強度によって制限されず、低いイオン強度及び高いイオン強度を有する試料と一緒に使用することができる。多数の生体物質は、生理的イオン強度で基材に容易に吸着する。生理的イオン強度は典型的には約15〜約20mS/cmの範囲であるが、イオン強度は、こうした値よりも高くても低くてもよい。この範囲に対応する典型的な塩濃度は、約0.1〜約0.2M,好ましくは、0.14〜約0.17Mに入る。
【0053】
[0053]液体試料が基材と接触する温度は、当技術分野で公知のように試料と所与のクロマトグラフィー材料によって異なる。好ましくは、温度は周囲温度であるが、周囲よりも高くても低くてもよい。
【0054】
[0054]試料を基材と接触させた後、基材は、当技術分野で公知のように、好ましくは、平衡緩衝液で洗浄される。平衡緩衝液は、好ましくは、液体試料が基材と接触したpHを有する緩衝液である。さらには、平衡緩衝液は、基材に吸着していない物質を基材物質から洗い落とす。適切な平衡緩衝液は、当技術分野で公知であり、例えば、それには、酢酸塩緩衝液及びリン酸塩緩衝生理食塩水が含まれる。洗浄は、結合した生体物質を含む基材を平衡緩衝液内に、入浴、浸漬、又はディッピングすることによって実施することができる。代替的に又は追加的に、平衡緩衝液は、基材上ですすいだり、スプレーしたり、又は洗浄することができる。
【0055】
[0055]所望の生体物質は典型的には、基材に吸着するものである。他の実施形態では、重要な生体物質は、例えば、平衡緩衝液の洗浄で除去することができる。この場合、物質は、当技術分野で公知の方法によって緩衝液から単離することができる。別の実施形態では、所望の生体物質は、基材に吸着しないが、除去すべき不純物こそが基材に吸着する。この場合、所望の生体物質は、当技術分野で公知の方法によって装入緩衝液又は洗浄緩衝液から回収することができる。
【0056】
[0056]基材に吸着される生体物質は、一実施形態では、次いで、pHを物質が脱着する値に調整することによって脱着される。脱着が行われるpHは、物質及び所与の基材で決まることになる。例えば、アニオン交換部分を含む基材では、脱着は、典型的には、約pH8で出発し約pH3まで減少するpH勾配で行われる。カチオン交換部分を含む基材では、適用されるpH勾配は典型的には、約pH4で出発し約pH11まで増加する。主として疎水基を特徴とする基材では、脱着用のpH勾配は典型的には、約pH7で出発し約pH3まで減少する。主として疎水基を特徴とする基材では、好ましくは、イオン強度勾配が又、以下に記載のように適用される。pHは、Tris−HCl水溶液や炭酸塩緩衝液など任意の日常的に市販されている試薬によって調整することができる。
【0057】
[0057]一部の場合では、上述したように、溶離液のイオン強度を調整すると、基材の効率を増加させることができる。したがって、主として疎水基を含む基材では、イオン強度は、pHと同時に減少させることができる。これは、追加的に−NH−部分を含む材料では、特にそうである。該−NH−部分は、中程度のイオン電荷を生成することができ、イオン強度が減少するにつれてそのイオン電荷がより有効になるからである。塩勾配の使用は、当技術分野で周知である。典型的には、本基材に対する塩濃度は、約1.0M、又は約0.5Mを超える必要はない。
【0058】
[0058]典型的には、脱着した生体物質は、次いで、集められ、所望ならさらに加工することができる。本発明の実施形態に従って精製される抗体などの生体物質の典型的な純度は、約70%以上、一部の実施形態では、約85%以上、より好ましくは、約90%〜約99%である。
【0059】
[0059]一部の実施形態では、本発明の基材は、生体物質を精製し、同時に集合体を除去するのに使用することができ、それによって、ワンステップでの精製及び集合体除去が可能になる。一部の実施形態では、基材は、優先的には、免疫グロブリン(好ましくは、モノクロナール抗体)などの生体物質を結合するが、集合体を結合しない。したがって、精製すべき生体物質を含む試料は、上述のように、基材と接触することができ、生体物質は、基材に吸着し、不純物及び集合体は通過することになる。精製生体物質は、次いで、脱着し、上述のように集めることができる。一部の実施形態では、精製生体物質中の集合体の量は、例えば、約5%未満、又は約2%未満、又は約1%未満などの約10%未満である。
【0060】
[0060]上述の実施形態の多くは、生体物質を含む溶液を基材と接触させるステップと、基材によって溶液中の少なくとも1種の生体物質を選択的に吸着するステップとを含む。所望の生体物質(複数可)が基材に結合した場合に、後者の溶離によって、それ又はそれらが分離され、精製及び濃縮形態で集められることが可能になる。所望の生体物質が、処理溶液(他の生体物質は、基材に結合している)中に残っている場合、所望の分離は、溶離液を集めることによって直接得ることができる。
【0061】
[0061]好ましくは、本発明の実施形態による基材は、劣化することなく反復して再生することができる。再生は、当業者に公知の手順によって実施することができる。例えば、使用後、基材は、水酸化ナトリウム水溶液などの再生溶液と接触させることができる。一実施形態では、基材は、30分という最小接触時間で5本のカラム体積分の1M NaOHと接触する。代替的に又は追加的に、基材は、塩酸水溶液や酢酸水溶液などの酸溶液と接触することができる。一実施形態では、基材は、30分という最小接触時間で5本のカラム体積分の0.1M HCl又は0.1M酢酸と接触する。代替的に又は追加的に、基材は、塩化ナトリウム水溶液などの塩溶液と接触することができる。一実施形態では、基材は、30分という最小接触時間で5本のカラム体積分の1M NaClと接触する。再使用前に、基材は、好ましくは、平衡緩衝液で洗浄される。接触時間並びに再生溶液(複数可)の組成及び濃度は、再生が確実に効率的になるように、配位子の性質及び原液の組成に基づいて当業者によって選択することができる。
【0062】
[0062]上述の例示的な分離方法は、例えば、固定床、流動床、及びバッチクロマトグラフィーを用いる調製方法を含めての、さまざまな技術で使用することができる。或いは、該方法は、例えば、デバイス体積が数マイクロリットルという小さなものであってもよいスピンカラムやマルチウエルプレートフォーマットなどのより小さいデバイスを利用するハイスループット分離技術との関連で、例えば、実施することができる。
【0063】
[0063]バッチ式の吸着/分離を使用する場合、基材は生体物質の溶液に直接添加することができ、基材/生体物質混合物は典型的には、生体物質を基材に結合させるのに十分な時間、静かに撹拌する。吸着された生体物質を含む基材は、次いで、例えば、遠心分離又はろ過によって除去することができ、生体物質は、次いで、別個のステップで基材から溶離される。
【0064】
[0064]別の実施形態では、カラムクロマトグラフィーを使用することができる。固定床カラムクロマトグラフィーでは、基材は、カラム内に充填され、分離すべき生体物質を含む溶液は、生体物質が基材に結合することが可能である速度で基材内に注がれることによって基材に施用される。
【0065】
[0065]流動床カラムクロマトグラフィーでは、上昇力に対して平衡を保つために、上昇ろ過流及び大型/高密度粒子が使用される。他の部分の頂部に置かれる1〜5段の間から典型的になる基本的に垂直なカラムが使用され、溶液は、順次、それぞれの段内を通過し、上の段の上部でオーバーフローによって引出される。好ましくは、カラムは3段である。最上段を除いて、それぞれの段は、2つの分配系によって分離されており、1つは、該当する段の底部で溶液を分配し、他は、直上に位置する段の方に溶液を分配する。
【0066】
[0066]一実施形態では、本基材を含むカラムは、他の基材を含むカラムと直列で使用することができ、これは、試料からのさまざまの不純物を排除するのに有効であると思われる。したがって、本カラムの1つ又は複数の利点は、他の又は従来のカラムの特徴を補うものとみなすことができる。これに関連して、カラムのかかる直列配置は、溶離液及び平衡緩衝液を節約すると思われ、したがって、試料の追加の操作及び調製に対する必要性を排除ではなくても低減することになる。
【0067】
[0067]以下の実施例は、本発明をさらに例示するものであるが、当然、いかなる意味においてもその範囲を限定するものとみなすべきではない。
実施例1
【0068】
[0068]本実施例は、配位子試薬2−(3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(イソプロポキシカルボニルアミノ)ベンズアミド)酢酸メチルを合成するための方法を実際に示す。
【0069】
[0069]グリシンメチルエステル塩酸塩(675mg、5mmol)をDMF(15ml)に溶解し、ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)(675mg、5mmol)、3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(イソプロポキシカルボニルアミノ)安息香酸(1.76g、5mmol)を加える。反応混合物を0℃まで冷却し、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)(1.54mL、10mmol)をゆっくりと加える。反応混合物を0℃で5分間及び室温で終夜さらに撹拌する。水(100ml)を加え、撹拌をさらに20分間継続した後に、酢酸エチル(100ml)を加える。粗生成物をさらに5分間撹拌し、有機層を分離する。水性相を酢酸エチル2×70mlでさらに抽出し、合わせた有機相を水で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、真空下で濃縮する。
【0070】
[0070]酢酸エチル/ヘキサン1:1におけるシリカゲルを含むカラムクロマトグラフィーによって、収率78%で白色固体1.65g、3.9mmolを得る。1H NMR(CDCl3)δ:7.72(s、1H、芳香族)、7.50(s、2H、芳香族)、6.50(s、1H、アミド)、6.60(s、2H、アミド)、4.22(dd、2H、)、3.80(s、3H)、1.55(s、18H)。LCMS(イオンモード:ESI)m/z[M−H+]計算値422.20、実測値422.00、[M+Na]+466.07。
実施例2
【0071】
[0071]本実施例は、セルロースのpara−フェニレンジアミン(PDA)誘導体を調製するための方法を実際に示す。
【0072】
[0072]セルロースビーズの50%スラリー100mlを水酸化ナトリウム1M溶液で十分に洗浄し、次いで、中性のpHが得られるまで水で洗浄する。水気を切ったビーズ50mlに、pH11〜12の水酸化ナトリウム溶液50ml及びクロロ酢酸5mlを加える。次いで、生成混合物を60℃で24時間撹拌する。反応混合物を室温まで放置冷却し、洗浄して未反応クロロ酢酸を除去し、次いで、中和する。
【0073】
[0073]COOHの密度は、60μmol/mlビーズであった。これは、さまざまな官能基を結合させるための酸−塩基滴定によって測定する。
【0074】
[0074]COOHが60μmol/mlであるカルボキシメチルセルロースのビーズ10mlを、pH4.7の0.1M MES緩衝液中のEDC(2.1mmol)の存在下でN−Boc−p−フェニレンジアミン(0.374g、1.8mmol、3当量)とカップリングさせる。反応混合物を洗浄して過剰のBoc−p−フェニレンジアミン及び副生物を除去する。BOC保護基を3M HClで除去して以下に示す材料を得る:
【0075】
[0075]生成物は白色である。窒素元素分析によって決定される配位子の密度は40μmol/mlビーズであった。生成物は、pH7のリン酸塩緩衝生理食塩水(PBS)中の50%スラリーとして4〜8℃で貯蔵する。
実施例3
【0076】
[0076]本実施例は、イオウ含有リンカーを含むセルロースのpara−フェニレンジアミン(PDA)誘導体を調製するための方法を実際に示す。
【0077】
[0077]湿潤ケーキまで吸引乾燥された架橋セルロースビーズ100gを水(75g)、32%NaOH(19.5g)及び臭化アリル(18.75g)と混合する。混合物を室温で24時間、回転ドラムに掛ける。
【0078】
[0078]ビーズを十分に洗浄して未反応臭化アリル及び副産物を除去し、さまざまな官能基を結合させるための基材としてのアリル−セルロースを得る。
【0079】
[0079]湿潤ケーキまで吸引乾燥されたアリル−セルロースビーズ100gを水(99g)及びpH11〜12の2−メルカプト酢酸(1.0g)と混合し、混合物を室温で48時間回転ドラムに掛ける。生成カルボキシル誘導体を洗浄して、副生物を除去し、さまざまな官能基を結合させるための基材としての酸活性化セルロースを得る。酸密度は、元素分析を使用することによって90μmol/mlビーズであると決定される。
【0080】
[0080]次いで、得られた酸活性化ビーズの50%スラリー10.0mlをEDC(3当量)の存在下でpH4.7の0.1M MES緩衝液中のBoc−p−フェニレンジアミンの(0.562g、2.7mmol、3当量)と縮合させる。反応混合物を室温で12時間振とうする。混合物を十分洗浄して未反応Boc−p−フェニレンジアミン及び反応の副生物を除去する。BOC保護基を3M HClで除去して以下に示す材料を得る:
【0081】
[0081]生成物は白色であり、窒素元素分析によって決定されるp−フェニレンジアミン配位子の密度は78μmol/mlビーズである。生成物は、pH7のPBS緩衝液中の50%スラリーとして4〜8℃で貯蔵することができる。
実施例4
【0082】
[0082]本実施例は、イオウ含有リンカーを含むセルロースのmeta−フェニレンジアミン誘導体を調製するための方法を実際に示す。
【0083】
[0083]実施例3で上記したプロトコルに従って得られた酸活性化セルロースビーズの50%スラリー10mlをEDC(3当量)の存在下でpH4.7の0.1M MES緩衝液中のN−Boc−m−フェニレンジアミンの(0.562g、2.7mmol、3当量)と縮合させる。BOC保護基を3M HClで除去して以下に示す材料を得る:
【0084】
[0084]生成物は白色である。窒素元素分析によって決定される配位子密度は62μmol/mlビーズである。生成物は、pH7のPBS緩衝液中の50%スラリーとして4〜8℃で貯蔵することができる。
【0085】
[0085]N−Boc−m−フェニレンジアミンの代わりにm−フェニレンジアミンをカップリングすることによって同じ生成物を調製する。配位子密度は、64μmol/mlビーズである。
実施例5
【0086】
[0086]本実施例は、イオウ含有リンカーを含むセルロースのortho−フェニレンジアミン誘導体を調製するための方法を実際に示す。
【0087】
[0087]実施例3で上記したプロトコルに従って得られた酸活性化セルロースビーズの50%スラリー10mlをEDC(3当量)の存在下でpH4.7の0.1M MES緩衝液中のBoc−o−フェニレンジアミンの(0.562g、2.7mmol、3当量)と縮合させる。反応混合物を室温で24時間振とうする。混合物を十分洗浄して未反応Boc−o−フェニレンジアミン及び反応の副生物を除去する。BOC保護基を3M HClで除去して以下に示す材料を得る:
【0088】
[0088]生成物は白色である。元素分析によって決定される配位子密度は40μmol/mlビーズであった。生成物は、pH7のPBS緩衝液中の50%スラリーとして貯蔵する。
実施例6
【0089】
[0089]本実施例は、イオウ含有リンカーを含むセルロースの4,6−ジアミノピリミジン誘導体を調製するための方法を実際に示す。
【0090】
[0090]実施例3で上記したプロトコルに従って得られた酸活性化セルロースビーズの50%スラリー10mlをEDC(3当量)の存在下、室温で12時間、pH4.7の0.1M MES緩衝液中の4,6−ジアミノピリミジン塩酸塩の(0.395g、2.7mmol、3当量)と縮合させる。生成物を洗浄して未反応4,6−ジアミノピリミジン及び副生物を除去する。
【0091】
[0091]4,6−ジアミノピリミジンで誘導体化されたビーズは白色である。配位子密度は、30μmol/mlビーズと決定される。ビーズは、pH7のPBS緩衝液中の50%スラリーとして4〜8℃で貯蔵することができる。
実施例7
【0092】
[0092]本実施例は、イオウ含有リンカーを含むセルロースの2,4,6−トリアミノピリミジン誘導体を調製するための方法を実際に示す。
【0093】
[0093]実施例3で上記したプロトコルに従って得られた酸活性化セルロースビーズの50%スラリー10mlを水で完全に洗浄して貯蔵溶液を除去し、次いで、pH4.7の0.1M MES緩衝液で洗浄する。その後、ビーズを、0.1M MES(3ml)及び2M HCl(1.75ml)に溶解した3.5mmol2,4,6−トリアミノピリミジンと混合した後に、EDC(1.5mmol)を加える。反応混合物を3時間室温で回転ドラムに掛け、十分に清浄にして未反応試薬及び副生物を除去する。
【0094】
[0094]生成物は白色であり、元素分析によって決定される配位子密度は30μmol/mlビーズである。生成物は、pH7のPBS緩衝液中の50%スラリーとして貯蔵する。
実施例8
【0095】
[0095]本実施例は、イオウ含有リンカーを含むセルロースの1,5−ジアミノナフタレン誘導体を調製するための方法を実際に示す。
【0096】
[0096]実施例3で上記したプロトコルに従って得られた酸活性化セルロースビーズの50%スラリー10mlをEDC(3当量)の存在下、室温で12時間、メタノールとpH4.7の0.1M MES緩衝液の混合物中の1,5−ジアミノナフタレンの(0.427g、2.7mmol、3当量)と縮合させる。次いで、生成物を十分に洗浄して未反応ジアミン及び副生物を除去する。
【0097】
[0097]1,5−ジアミノナフタレンによって誘導体化されたビーズは、オフピンク色である。配位子密度は、元素分析によって41μmol/mlビーズと決定される。生成物は安定であり、pH7のPBS緩衝液中の50%スラリーとして4〜8℃で貯蔵することができる。
実施例9
【0098】
[0098]本実施例は、イオウ含有リンカーを含むセルロースの2,5−ジアミノピリジン誘導体を調製するための方法を実際に示す。
【0099】
[0099]実施例3で上記したプロトコルに従って得られた酸活性化セルロースビーズの50%スラリー10mlをEDC(5当量)の存在下でpH4.7の0.1M MES緩衝液中の2,5−ジアミノピリジン二塩酸塩の(0.491g、3mmol、3当量)と縮合させる。生成物を十分に洗浄して未反応試薬及び副生物を除去する。
【0100】
[00100]2,5−ジアミノピリジンで誘導体化されたビーズは、白色である。元素分析によって決定される配位子密度は58μmol/mlビーズである。生成物は、pH7のPBS緩衝液中の50%スラリーとして4〜8℃で貯蔵することができる。
実施例10
【0101】
[00101]本実施例は、イオウ含有リンカーを含むセルロースの2,4,6−トリメチル−1,3−ベンゼンジアミン誘導体を調製するための方法を実際に示す。
【0102】
[0100]実施例3で上記したプロトコルに従って得られた酸活性化セルロースビーズの50%スラリー10mlをEDC(3当量)の存在下、メタノールとpH4.7の0.1M MES緩衝液の混合物中の2,4,6−トリメチル−1,3−ベンゼンジアミンの(0.405g、2.7mmol、3当量)と縮合させる。生成物を洗浄して副生物及び未反応試薬を除去する。
【0103】
[0101]2,4,6−トリメチル−1,3−ベンゼンジアミンで誘導体化されたビーズは、白色である。配位子密度は72μmol/mlビーズであり、元素分析によって決定される。
実施例11
【0104】
[0102]本実施例は、イオウ含有リンカーを含むセルロースのテトラメチル−p−フェニレンジアミン誘導体を調製するための方法を実際に示す。
【0105】
[0103]実施例3で上記したプロトコルに従って得られた酸活性化セルロースビーズの50%スラリー10mlを水で完全に洗浄して貯蔵溶液を除去し、次いで、pH4.7の0.1M MES緩衝液で洗浄する。メタノール(4ml)に溶解した2,3,5,6−テトラメチル−1,4−フェニレンジアミン(4.0mmol)を加えた後に、0.1M MESに溶解したEDC(4.0mmol)をビーズに加える。ビーズを終夜回転ドラムに掛け、十分に洗浄して過剰のジアミン及び副生物を除去する。
【0106】
[0104]生成物は、白色であり、配位子密度は65μmol/mlビーズであり、元素分析によって決定される。生成物は、pH7のPBS緩衝液中の50%スラリーとして貯蔵する。
実施例12
【0107】
[0105]本実施例は、イオウ含有リンカーを含むセルロースの3,5−ジアミノ安息香酸誘導体を調製するための方法を実際に示す。
【0108】
[0106]実施例3で上記したプロトコルに従って得られた酸活性化セルロースビーズの50%スラリー10mlをEDC(3当量)の存在下、メタノールとpH4.7の0.1M MES緩衝液の1:1混合物中の3,5−ジアミノ安息香酸のエチルエステルの(0.486g、2.7mmol、3当量)と縮合させる。次いで、室温で12時間、1M NaOHを使用することによって鹸化を実施して以下に示す生成物を得る:
【0109】
[0107]このジアミノ安息香酸で誘導体化されたビーズは、オフホワイト色である。配位子密度は40μmol/mlビーズであり、元素分析によって決定される。
実施例13
【0110】
[0108]本実施例は、イオウ含有リンカーを含むセルロースの2−メトキシ−5−tert−ブチル−1,3−ベンゼンジアミン誘導体を調製するための方法を実際に示す。
【0111】
[0109]実施例3で上記したプロトコルに従って得られた酸活性化セルロースビーズの50%スラリー10mlを水で完全に洗浄して貯蔵溶液を除去し、次いで、pH4.7の0.1M MES緩衝液で洗浄する。メタノール(4ml)に溶解した4−tert−ブチル−2,6−ジアミノアニソール(4.0mmol)を加えた後に、0.1M MESに溶解したEDC(4.0mmol)を加える。ビーズを終夜回転ドラムに掛け、十分に洗浄して過剰のジアミン及び副生物を除去する。
【0112】
[0110]生成物は白色であり、pH7のPBS緩衝液中の50%スラリーとして貯蔵することができる。
実施例14
【0113】
[0111]本実施例は、イオウ含有リンカーを含むセルロースの2,6−ジアミノピリジン誘導体を調製するための方法を実際に示す。
【0114】
[0112]実施例3で上記したプロトコルに従って得られた酸活性化セルロースビーズの50%スラリー5.0mlを水で完全に洗浄して貯蔵溶液を除去し、次いで、pH4.7の0.1M MES緩衝液で洗浄する。ビーズを、0.1M MES(2ml)及び2M HCl(1.75ml)に溶解した2,6−ジアミノピリジン(382mg、3.5mmol)と混合する。0.1M MES(1.5ml)に溶解したEDC(306mg、1.6mmol)を加えた。ビーズを終夜室温で回転ドラムに掛け、十分に洗浄して未反応試薬及び副生物を除去する。
【0115】
[0113]カップリングした配位子の密度は、26μmol/ml湿潤ビーズであると元素分析によって決定される。生成物は白色であり、pH7のPBS緩衝液中の50%スラリーとして貯蔵することができる。
実施例15
【0116】
[0114]本実施例は、イオウ含有リンカーを含むセルロースの4−ニトロ−1,2−フェニレンジアミン誘導体を調製するための方法を実際に示す。
【0117】
[0115]実施例3で上記したプロトコルに従って得られた酸活性化セルロースビーズの50%スラリー6.0mlを水で完全に洗浄して貯蔵溶液を除去し、次いで、pH4.7の0.1M MES緩衝液で洗浄する。メタノール(4ml)に溶解した4−ニトロ−1,2−フェニレンジアミン(2.4mmol)を加えた後に、0.1M MES(2ml)に溶解したEDC(2.4mmol、458mg)を加える。ビーズを終夜回転ドラムに掛け、十分に洗浄して未反応試薬及び副生物を除去する。
【0118】
[0116]最終生成物は橙色であり、pH7のPBS緩衝液中の50%スラリーとして貯蔵することができる。
実施例16
【0119】
[0117]本実施例は、イオウ含有リンカーを含むセルロースの4,5,6−トリアミノピリミジン誘導体を調製するための方法を実際に示す。
【0120】
[0118]実施例3で上記したプロトコルに従って得られた酸活性化セルロースビーズの50%スラリー5.0mlを水で完全に洗浄して貯蔵溶液を除去し、次いで、pH4.7の0.1M MES緩衝液で洗浄する。0.1M MES(4ml)に懸濁した4,5,6−トリアミノピリミジンスルフェート(3.2mmol、702mg)を加えた後に、0.1M MES(1ml)に溶解したEDC(1.5mmol、280mg)を加える。反応混合物を3時間回転ドラムに掛け、十分に洗浄して未反応試薬及び副生物を除去する。
【0121】
[0119]最終生成物は白色であり、pH7のPBS緩衝液中の50%スラリーとして貯蔵することができる。
実施例17
【0122】
[0120]本実施例は、イオウ含有リンカーを含むセルロースの4−クロロ−2,6−ジアミノピリジン誘導体を調製するための方法を実際に示す。
【0123】
[0121]実施例3で上記したプロトコルに従って得られた酸活性化セルロースビーズの50%スラリー5.0mlを水で完全に洗浄して貯蔵溶液を除去し、次いで、pH4.7の0.1M MES緩衝液で洗浄する。ビーズを、0.1M MES(3ml)及び2M HCl(1.75ml)に溶解した4−クロロ−2,6−ジアミノピリジン(3.5mmol)と混合した後に、EDC(1.5mmol)を加える。反応混合物を、次いで、3時間室温で回転ドラムに掛け、十分に洗浄して未反応試薬及び副生物を除去する。
【0124】
[0122]最終生成物は白色であり、pH7のPBS緩衝液中の50%スラリーとして貯蔵することができる。
実施例18
【0125】
[0123]本実施例は、イオウ含有リンカーを含むセルロースの2,4−ジアミノピリミジン誘導体を調製するための方法を実際に示す。
【0126】
[0124]実施例3で上記したプロトコルに従って得られた酸活性化セルロースビーズの50%スラリー10.0mlを水で完全に洗浄して貯蔵溶液を除去し、次いで、pH4.7の0.1M MES緩衝液で洗浄する。次いで、ビーズを、0.1M MES(6ml)及び2M HCl(3.5ml)に溶解した2,4−ジアミノピリミジン(7.0mmol)と混合した後に、EDC(3.0mmol)を加える。反応混合物を3時間室温で回転ドラムに掛け、十分に洗浄して過剰の試薬及び副生物を除去する。
【0127】
[0125]最終生成物は白色であり、pH7のPBS緩衝液中の50%スラリーとして貯蔵することができる。
実施例19
【0128】
[0126]本実施例は、イオウ含有リンカーを含むセルロースの2,5−ジアミノベンゼンスルホン酸誘導体を調製するための方法を実際に示す。
【0129】
[0127]実施例3で上記したプロトコルに従って得られた酸活性化セルロースビーズの50%スラリー5.0mlを水で完全に洗浄して貯蔵溶液を除去し、次いで、pH4.7の0.1M MES緩衝液で洗浄する。次いで、ビーズを、0.1M MES(3ml)及び1M NaOH(1.5ml)に溶解した2,5−ジアミノベンゼンスルホン酸(300mg、1.6mmol)と混合した後に、0.1M MES(2ml)に溶解したEDC(306mg、1.6mmol)を加える。ビーズを24時間室温で回転ドラムに掛け、十分に洗浄して過剰の試薬及び副生物を除去する。
【0130】
[0128]配位子の密度は28μmol/mlビーズであり、元素分析によって決定される。最終生成物は、pH7のPBS緩衝液中の50%スラリーとして貯蔵することができる。
実施例20
【0131】
[0129]本実施例は、イオウ含有リンカーを含むセルロースの3,4−ジアミノ安息香酸誘導体を調製するための方法を実際に示す。
【0132】
[0130]実施例3で上記したプロトコルに従って得られた酸活性化セルロースビーズの50%スラリー10mlをEDC(3当量)の存在下、メタノールとpH4.7の0.1M MES緩衝液の1:1混合物中の3,4−ジアミノ安息香酸のエチルエステルの(0.486g、2.7mmol、3当量)と縮合させる。次いで、室温で12時間1M NaOHを使用することによって鹸化を実施して以下に示す生成物を得る:
【0133】
[0131]このジアミノ安息香酸で誘導体化されたビーズはオフホワイト色である。配位子密度は、70μmol/ml樹脂であり、元素分析によって決定される。
実施例21〜45
【0134】
[0132]以下の表1に示すようなイオウ含有リンカー及び配位子を含むセルロース誘導体を、実施例19の2,5−ジアミノベンゼンスルホン酸を適切な配位子試薬で置換して、実施例8に記載のプロトコルに従って調製する。
実施例46
【0135】
[0133]本実施例は、本発明の一実施形態による固体基材を使用することによって、ヒトの粗血漿からIgGを単離及び精製するための方法を実際に示す。
【0136】
[0134]1mlのカラムを、実施例3に従って調製した固体基材で充填する。固体基材をpH7.2の20mMリン酸塩緩衝液で平衡化する。
【0137】
[0135]次に、ヒトの粗血漿の試料10mlを平衡緩衝液で1:1に希釈し、0.2μmメンブランでろ過し、12mlを直接カラムに装入する。次いで、非吸着タンパク質を確実に排除するために、カラムをpH7.2の20mMリン酸塩緩衝化0.5M NaClで洗浄する。pH7.2の20mMリン酸塩緩衝液でカラムを洗浄することによって結合不純物を除去する。
【0138】
[0136]所望のIgGをpH4.0の20mM酢酸塩緩衝液で溶離する。IgG25mgを集める。その純度を>99%であると推定した。
実施例47
【0139】
[0137]本実施例は、本発明の別の実施形態による固体基材を使用することによって、血漿からIgGを単離及び精製するための方法を実際に示す。
【0140】
[0138]1mlのカラムを、実施例9に従って調製した固体基材で充填する。固体基材をpH7.4の20mMリン酸塩緩衝液で平衡化する。
【0141】
[0139]次に、ヒトの血漿の試料10mlを平衡緩衝液で1:1に希釈し、0.2μmメンブランでろ過し、20mlを直接カラムに装入する。次いで、非吸着タンパク質を確実に排除するために、カラムをpH7.2の20mMリン酸塩緩衝化0.15M NaClで洗浄する。pH7.2の20mMリン酸塩緩衝液でカラムを洗浄することによって結合不純物を除去する。
【0142】
[0140]所望のIgGをpH5.0の20mM酢酸ナトリウム緩衝液で溶離する。所望のIgG35mgを集める。その純度を>99%であると推定した。
実施例48
【0143】
[0141]本実施例は、本発明の実施形態による基材を使用することによってさまざまな配位子密度で良好な動的結合能が実現可能であることを実際に示す。
【0144】
[0142]p−フェニレンジアミンを酸活性化ビーズとカップリングさせる条件(酸密度に対するフェニレンジアミン及びEDCの化学量論量を変化させること)をさまざまに変えてさまざまな配位子密度を有する試料を生成することを除いて、固体基材を実施例3に従って調製する。
【0145】
[0143]それぞれの基材試料に対するIgG動的タンパク質結合能(DBC)を、UNICORNソフトウエア手引書に従って、AKTA Explorer 100 LC Workstation(GE Healthcare Biosciences、Pittsburgh、PA)で決定する。平衡及び洗浄流速は、1ml/分であり、装入流速は、0.33ml/分(滞留時間3分)である。ヒトIgGを50%漏出(BT)まで装入する。Amersham18−0383−01からのHR5/5カラム(直径5mm及び長さ5cm、体積=1ml)を樹脂充填のために使用し、UltraSpec1000を使用することによって、A280の読みを決定する。濃度2.0mg/mlの市販IgG(SeraCare Life Sciences、ロット番号G111RM−25B0802)を使用する。IgG用の装入緩衝液は、pH7.2の20mM NaH2PO4であり、平衡及び洗浄緩衝液も、やはり、pH7.2の20mM NaH2PO4である。溶離緩衝液は、pH3.1の0.1M酢酸である。溶離からの動的結合能を、全ての溶離画分中のタンパク質量を測定することによって計算する。溶離タンパク質をカラムに実際に結合したタンパク質で除した量を使用することによって回収率を計算する(カラムに結合したタンパク質量=カラムに装入したタンパク質量−漏出及び洗浄タンパク質)。10%漏出における結合能を、次式:装入タンパク質濃度×(V10%BT−V空隙)を使用することによって計算する。系及びカラムの空隙体積を1%アセトンを注入することによって測定する。
【0146】
[0144]1つの基材試料の配位子密度及び動的結合能を図1に示す。試験した基材は、約50μmol/ml以上の低い配位子密度でも良好な動的結合能を示す。
実施例49
【0147】
[0145]本実施例は、本発明の実施形態による基材を使用することによって、純IgGを依然として得ながら、配位子密度を変化させることが可能であることを実際に示す。
【0148】
[0146]p−フェニレンジアミンを酸活性化ビーズとカップリングさせる条件(酸密度に対するフェニレンジアミン及びEDCの化学量論量を変化させる)をさまざまに変えてさまざまなp−フェニレンジアミン(PDA)配位子密度を有する試料を生成することを除いて、固体基材を実施例3に従って調製する。それぞれの固体基材試料を別々のカラム内に装入し、それを使用して実施例46に記載したようにヒト血漿からのIgGを精製する。
【0149】
[0147]それぞれの基材試料から得られたIgGの純度を図2に示す。配位子密度が35μmol/mlという低さでも、純度99%のIgGが得られる。35μmol/ml以上の配位子密度を有する基材では、配位子密度の増加につれてのIgG純度の有意な増加はみられない。
実施例50
【0150】
[0148]本実施例は、本発明の実施形態による基材を使用することによって、IgG結合と滞留時間との関係を実際に示す。
【0151】
[0149]固体基材を実施例3に従って調製する。それぞれの固体基材試料を別々のカラム内に装入し、それを使用して以下の手順に従って純IgGを結合させる:pH7.2及び導電率6mS/cmのリン酸塩緩衝液中IgG2mg/mlを50%BTに到達するまでそれぞれのカラムに装入する。次いで、カラムを0.5M NaClで洗浄してビーズに吸着したIgGを除去する。次いで、IgGを、pH3.1の0.1M酢酸緩衝液を使用することによって溶離する。
【0152】
[0150]試験したそれぞれの滞留時間に対する、10%漏出時の結合IgG量及び溶離IgG量、並びにpH3における回収率%を表2に示す。基材は、滞留時間6分で高い結合能を示し、IgGの回収率は、さまざまな滞留時間で高い。
実施例51
【0153】
[0151]本実施例は、本発明の実施形態による基材を使用することによって、pHがIgG結合及び回収率に及ぼす影響を実際に示す。
【0154】
[0152]固体基材を実施例12に従って調製した。それぞれの固体基材試料を別々のカラム内に装入し、それを使用して以下の手順に従ってヒト血漿からのIgGを精製した:可変pH(5〜8.5)(表2を参照されたい)及び導電率6mS/cmを有するさまざまな緩衝溶液中のIgG2mg/mlを10%BTに到達するまでそれぞれのカラムに装入した。次いで、カラムを0.5M NaClで洗浄してビーズに吸着したIgGを除去した。次いで、IgGをpH3.1の0.1M酢酸緩衝液を使用することによって溶離した。
【0155】
[0153]試験したそれぞれのpH値に対する、10%漏出時の結合IgG量及び溶離IgG量、並びに回収率%を表3に示す。試験した全てのpH値で、結合IgGの少なくとも98.8%が回収された。pH5.5が、この配位子に対する最適の装入pHである。
実施例52
【0156】
[0154]本実施例は、本発明の実施形態による基材を使用することによって、ヒトの粗血漿からのIgGを精製するための基材の再使用を実際に示す。
【0157】
[0155]固体基材を実施例3に従って調製し、カラム内に装入し、使用して、実施例46に記載の手順に従ってIgGを含む生体材料試料を処理する。溶離した後に、1ml/分の流速で1M NaOHを使用することによって固体基材を再生し、再度使用して、同じ手順に従ってIgGを含む生体材料試料を処理する。再生と再使用のサイクルをもう1回反復し、生体試料を全部で3回処理する。
【0158】
[0156]それぞれのサイクルに対するIgG結合量及び純度を表4に示す。基材は、反復使用の後でも高純度のIgGを生成する。
実施例53
【0159】
[0157]本実施例は、本発明の実施形態による基材を使用することによって、ヒトの粗血漿からのIgGの精製(滞留時間3分)を実際に示す。
【0160】
[0158]実施例3、4、9、10、及び11に従って固体基材を調製する。それぞれの固体基材試料を別々のカラム内に装入し、それを使用して実施例46に記載したように、ヒト血漿からのIgGを精製する。
【0161】
[0159]それぞれの試験した基材に対する溶離IgG量及びIgG純度を表5に示す。試験された全ての基材は高純度のIgGをもたらす。
実施例54
【0162】
[0160]本実施例は、本発明の実施形態による基材を使用することによって、10%漏出における純IgG結合及び回収率(滞留時間3分)を実際に示す。
【0163】
[0161]実施例3、10、11、及び13に従って固体基材を調製する。それぞれの固体基材試料を別々のカラム内に装入し、それを使用して実施例50に記載したように純IgGを結合させる。
【0164】
[0162]それぞれの基材に対する、10%漏出及び滞留時間3分における結合IgG量及び溶離IgG量並びに回収率%を表6に示す。
実施例55
【0165】
[0163]本実施例は、本発明の実施形態による基材を使用することによって、Fab結合及び10%漏出における回収率を実際に示す。
【0166】
[0164]実施例3、4、5、及び8に従って固体基材を調製する。それぞれの固体基材試料を別々のカラム内に装入し、それを使用して以下の条件下で純Fabを結合させる:100mM Tris−HCl、10mM EDTA緩衝液(pH7.4)中の0.5mg/mlFab溶液を、10%漏出に到達するまでそれぞれのカラムに装入する。次いで、カラムを平衡緩衝液(100mM Tris−HCl及び10mM EDTA、pH7.4)で洗浄し、FabをpH3の300mMグリシン緩衝液で溶離する。
【0167】
[0165]それぞれの基材に対する、10%漏出及び滞留時間3分におけるFab動的結合能(DBC)、並びに回収率%を表7に示す。
実施例56
【0168】
[0166]本実施例は、本発明の実施形態による基材を使用することによって、モノクロナール抗体結合と滞留時間との関係を実際に示す。
【0169】
[0167]実施例3に従って固体基材を調製し、カラム内に装入し、それを使用して以下の手順に従って純モノクロナール抗体を結合させる:導電率6mS/cmを有するpH7.2のリン酸ナトリウム緩衝液中のmAb2mg/mlを、さまざまな滞留時間で10%漏出に到達するまでそれぞれのカラムに装入する。カラムを20mMリン酸ナトリウム緩衝液及び500mM NaClで洗浄し、mAbをpH4.0の20mM酢酸ナトリウム緩衝液で溶離する。
【0170】
[0168]基材に結合している及び基材から溶離したモノクロナール抗体の量、並びに回収率%を表8に示す。基材は、短い滞留時間でモノクロナール抗体の高回収率を示す。
実施例57
【0171】
[0169]本実施例は、本発明の実施形態による基材を使用することによって、モノクロナール抗体結合と滞留時間との関係を実際に示す。
【0172】
[0170]実施例20に従って固体基材を調製し、カラム内に装入し、それを使用して以下の手順に従って純モノクロナール抗体を結合させる:導電率15mS/cmを有するpH5.5のリン酸ナトリウム+150mM NaCl中のmAb2mg/mlを、さまざまな滞留時間時間で10%漏出に到達するまでそれぞれのカラムに装入する。カラムを20mMリン酸ナトリウム+150mM NaCl(導電率15mS/cmを有する)で洗浄し、mAbをpH8.0の50mMリン酸ナトリウム+250mM NaCl(導電率25mS/cmを有する)で溶離する。
【0173】
[0171]基材に結合しているモノクロナール抗体の量、及び回収率%を表9に示す。基材は、短い滞留時間でモノクロナール抗体の高回収率を示す。
実施例58
【0174】
[0172]本実施例は、本発明の実施形態による基材を使用することによって、10%漏出及び滞留時間3分におけるモノクロナール抗体結合及び回収率を実際に示す。
【0175】
[0173]実施例3、4、8、及び9に従って固体基材を調製する。それぞれの固体基材試料を別々のカラム内に装入し、それを使用して実施例56に記載したようにモノクロナール抗体を含む生体材料試料を処理する。
【0176】
[0174]それぞれの基材に対する、10%漏出及び滞留時間3分におけるmAb動的結合能(DBC)、並びに回収率%を表10に示す。
実施例59
【0177】
[0175]本実施例は、本発明の実施形態による基材を使用することによって、集合体の除去を実際に示す。
【0178】
[0176]実施例4及び5に従って固体基材を調製する。それぞれの固体基材試料を別々のカラム内に装入し、それを使用して実施例56に記載の手順に従って、モノクロナール抗体75.5%と集合体24.5%とを含む生体材料試料を処理する。
【0179】
[0177]基材で処理した後の、試料中のモノクロナール抗体及び集合体の量を表11に示す。実施例3に記載の基材で処理した後、得られた生成物は、モノクロナール抗体91.9%と集合体8.1%とを有する。集合体に比較してモノクロナール抗体の割合の更に大きい増加が、実施例3に記載の基材で処理した試料で観察され、処理後、該試料は、モノクロナール抗体99.0%と集合体1.0%とを有する。
実施例60
【0180】
[0178]本実施例は、本発明の実施形態による基材を使用することによって、IgG静的結合能を実際に示す。
【0181】
[0179]固体基材を実施例3〜12、14、15、及び19〜45に従って調製する。IgGの静的結合分析を、純度約94%の凍結乾燥ヒトIgG(SeraCare Life Sciences、ロット番号G111RM−25B0802)27mgをPBS10mlに溶解して2.5mg/mlのIgG溶液を作製することによって実施する。IgG溶液の一連の希釈液を、2組調製し、UV吸収度を280nmで決定する。吸収値を使用して、公称濃度に対するグラフをプロットし、このプロットの傾きを使用して、IgGの吸光係数として1.43を用いて希釈液の実際のIgG濃度を計算する。PBS中のそれぞれのビーズ試料の1:1スラリーの50μLを2組の別々の1.5ml微小遠心管にピペットで入れ、それぞれの管にPBS中の2.5mg/ml IgGの1mlを加える。管を2時間回転させ、2分間沈降させる。次いで、試料をそれぞれ120μLずつ96個のウエル板にピペットで投入し、UV吸収度を280nmで読み取る。
【0182】
[0180]それぞれの基材に対する静的結合能及び配位子密度を表12に示す。基材は、低い配位子密度でも高い静的結合能を示す。
実施例61
【0183】
[0181]本実施例は、本発明の実施形態による基材を使用することによって、BSA(ウシ血清アルブミン)静的結合能を実際に示す。
【0184】
[0182]固体基材を実施例22〜26、29〜31、34、35、37、38、41、42、及び44に従って調製する。BSAの静的結合分析を、純度約96%のBSA粉末(Sigma Aldrich、バッチ番号106K0687)22mgをpH4.7の0.1M MES10mlに溶解して2mg/mlのBSA溶液を作製することによって実施する。BSA溶液の一連の希釈液を、2組調製し、UV吸収度を280nmで決定する。吸収値を使用して、公称濃度に対するグラフをプロットし、このプロットの傾きを使用して、BSAの吸光係数として0.625を用いて希釈液の実際のBSA濃度を計算する。pH4.7の0.1M MES中のそれぞれのビーズ試料の1:1スラリーの50μLを2組の別々の1.5ml微小遠心管にピペットで入れ、それぞれの管にpH4.7の0.1M MES中の2mg/ml BSAの1mlを加える。管を2時間回転させ、2分間沈降させる。次いで、試料をそれぞれ120μLずつ96個のウエル板にピペットで投入し、UV吸収度を280nmで読み取る。
【0185】
[0183]それぞれの基材に対する静的結合能及び配位子密度を表13に示す。基材は、低い配位子密度でも高い静的結合能を示す。
実施例62
【0186】
[0184]本実施例は、本発明の実施形態による基材を使用することによって、pH及び導電率値が10%漏出における純ウシ血清アルブミン(BSA)の動的結合に及ぼす影響を実際に示す。
【0187】
[0185]実施例20に従って固体基材を調製する。それぞれの固体基材試料を別々のカラム内に装入し、それを使用して以下の手順に従って、BSAの動的結合能(DBC)を決定する:さまざまなpH(3.4〜8.5)及びさまざまな導電率(0〜80mS/cm)を有するさまざまな緩衝溶液中のBSA2mg/mlを10%漏出が到達するまでそれぞれのカラムに装入する(図3)。次いで、カラムを装入緩衝液(例えば、pH4.7及び導電率15mS/cm)で洗浄して基材に吸着したBSAを除去する。次いで、pH8.0の50mMリン酸ナトリウム緩衝液及び250mM NaClを使用してBSAを溶離する。
【0188】
[0186]試験されたそれぞれのpH及び導電率の組合せで10%漏出において結合したBSA量を図3に示す。6.0以上のpH値では、5mS/cm超の導電率でBSA結合は観察されなかった。pH3.4では、BSA結合能は、導電率の増加とともに増加する。本配位子では、pH4.7が最適装入pHであり、この場合、導電率は、15mS/cm以下である。
【0189】
[0187]刊行物、特許出願、及び特許を含めての本明細書に引用された参考文献は全て、参照により本明細書に組み込まれているが、これは、それぞれの参考文献が、個別に且つ具体的に参照により組み込まれ、且つその全体が本明細書中に記載されていることと同等である。
【0190】
[0188]本発明を説明する文脈(特に、以下の特許請求の範囲の文脈)中の「a」及び「an」及び「the」及び「at least one」という用語及び類似の指示語の使用は、本明細書で別段の指示のない限り、又は文脈中明白な矛盾のない限り、単数と複数の双方を包含するものとみなされるべきである。1つ又は複数の事項のリストの前の「少なくとも1つ(1種)の」という用語(例えば、「A及びBのうちの少なくとも1つ(1種)の」)の使用は、本明細書で別段の指示のない限り、又は文脈中明白な矛盾のない限り、列挙された事項から選択される1つ(1種)の事項(A又はB)、又は2種以上の列挙された事項の任意の組合せ(A及びB)を意味するとみなされるべきである。「comprising」、「having」、「including」及び「containing」という用語は、別段の指示のない限り、オープンエンドな用語(つまり、「含むが、それに限定されない」ことを意味する)としてみなされるべきである。本明細書中で数値の範囲を記載は、本明細書で別段の指示のない限り、その範囲内にあるそれぞれの別々の値を個別に指す省略法としての役割を果たすよう意図されるにすぎず、それぞれの別々の値は、あたかもそれらが個別に本明細書に記載されているように、本明細書に組み込まれている。本明細書に記載の方法は全て、本明細書で別段の指示のない限り、又は文脈中明白な矛盾のない限り、任意の適切な順序で実施することができる。本明細書に示される任意の及び全ての例、又は例示的な言葉(例えば、「など(の)」)の使用は、本発明をよりよく明らかにするよう意図されるにすぎず、別段の指示のない限り、本発明の範囲を限定するものではない。本明細書中のいかなる言葉も、特許請求されていない要素が本発明の実施に必須であると指示すると解釈すべきではない。
【0191】
[0189]本発明を実施するための、発明者らに公知のベストモードを含めての本発明の好ましい実施形態が、本明細書に記載されている。前述の説明を読めば、こうした好ましい実施形態の変形形態は、当業者には明白であろう。本発明者らは、当業者がかかる変形形態を適宜用いることを期待するものであり、本発明者らは、本発明が、本明細書に具体的に記載されたもの以外の方法で実施されることを意図するものである。したがって、本発明は、本明細書に添付された特許請求の範囲に記載された主題事項の適用可能な法律により許可される全ての変更形態及び均等物を含むものである。さらに、全ての可能な変形形態中の上述の要素の任意の組合せが、本明細書で別段の指示のない限り、又は文脈中明白な矛盾のない限り、本発明に包含される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)固体担体と、
(b)式
[式中、
は、−H、−(C1〜C6)アルキル、ハロゲン、−OH、−O(C1〜C6)アルキル、−COOH、−COO(C1〜C6)アルキル、−SO3H、−PO3H、−NO2、−NH2、
からなる群から選択される0〜4個の置換基で任意選択で置換されている、フェニル、ピリジル、ピリミジニル、及びナフチルからなる群から選択される芳香環又は芳香族複素環を表す]
の配位子と、
(c)波線で示されている配位子上の位置で、固体担体を配位子に共有結合によって接続させる少なくとも1つのC、O、N、又はS原子を含むリンカーと
を含む基材。
【請求項2】
が、−H、−COOH、及び−SO3Hからなる群から選択される0〜1個の置換基で任意選択で置換されている、フェニル、ピリジル、又はナフチルを表す、請求項1に記載の基材。
【請求項3】
が、−H、−COOH、及び−SO3Hからなる群から選択される0〜1個の置換基で任意選択で置換されている、フェニルを表す、請求項1に記載の基材。
【請求項4】
が、
からなる群から選択される0〜1個の置換基で任意選択で置換されている、フェニルを表す、請求項1に記載の基材。
【請求項5】
配位子が、
からなる群から選択される式を有する、請求項1に記載の基材。
【請求項6】
[式中、黒長方形は固体担体を表す]
からなる群から選択される式を有する、請求項1に記載の基材。
【請求項7】
少なくとも1種の生体物質を含む試料を請求項1〜6のいずれか一項に記載の基材で処理する方法であって、前記試料中の少なくとも1種の生体物質を前記基材に結合させるのに十分な時間、前記基材を前記試料と接触させるステップを含む方法。
【請求項8】
液体試料から少なくとも1種の物質を分離する方法であって、前記方法が、請求項1〜6のいずれか一項に記載の基材を少なくとも1種の物質を含む前記液体試料と接触させるステップであって、前記物質が前記基材に吸着するステップと、前記物質が前記基材から脱着するようにpH、イオン強度、又はその双方を調整するステップとを含む方法。
【請求項9】
前記少なくとも1種の物質が抗体を含む、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
IgG、IgM及び/又はIgAを選択的に結合するステップを含む、請求項7〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1種の物質が抗体断片を含む、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項12】
前記試料が体液を含む、請求項7〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記試料が血漿を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記基材がカラム内に配置し、前記方法が前記試料を前記カラムに通すステップを含む、請求項7〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項1】
(a)固体担体と、
(b)式
[式中、
は、−H、−(C1〜C6)アルキル、ハロゲン、−OH、−O(C1〜C6)アルキル、−COOH、−COO(C1〜C6)アルキル、−SO3H、−PO3H、−NO2、−NH2、
からなる群から選択される0〜4個の置換基で任意選択で置換されている、フェニル、ピリジル、ピリミジニル、及びナフチルからなる群から選択される芳香環又は芳香族複素環を表す]
の配位子と、
(c)波線で示されている配位子上の位置で、固体担体を配位子に共有結合によって接続させる少なくとも1つのC、O、N、又はS原子を含むリンカーと
を含む基材。
【請求項2】
が、−H、−COOH、及び−SO3Hからなる群から選択される0〜1個の置換基で任意選択で置換されている、フェニル、ピリジル、又はナフチルを表す、請求項1に記載の基材。
【請求項3】
が、−H、−COOH、及び−SO3Hからなる群から選択される0〜1個の置換基で任意選択で置換されている、フェニルを表す、請求項1に記載の基材。
【請求項4】
が、
からなる群から選択される0〜1個の置換基で任意選択で置換されている、フェニルを表す、請求項1に記載の基材。
【請求項5】
配位子が、
からなる群から選択される式を有する、請求項1に記載の基材。
【請求項6】
[式中、黒長方形は固体担体を表す]
からなる群から選択される式を有する、請求項1に記載の基材。
【請求項7】
少なくとも1種の生体物質を含む試料を請求項1〜6のいずれか一項に記載の基材で処理する方法であって、前記試料中の少なくとも1種の生体物質を前記基材に結合させるのに十分な時間、前記基材を前記試料と接触させるステップを含む方法。
【請求項8】
液体試料から少なくとも1種の物質を分離する方法であって、前記方法が、請求項1〜6のいずれか一項に記載の基材を少なくとも1種の物質を含む前記液体試料と接触させるステップであって、前記物質が前記基材に吸着するステップと、前記物質が前記基材から脱着するようにpH、イオン強度、又はその双方を調整するステップとを含む方法。
【請求項9】
前記少なくとも1種の物質が抗体を含む、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
IgG、IgM及び/又はIgAを選択的に結合するステップを含む、請求項7〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1種の物質が抗体断片を含む、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項12】
前記試料が体液を含む、請求項7〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記試料が血漿を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記基材がカラム内に配置し、前記方法が前記試料を前記カラムに通すステップを含む、請求項7〜13のいずれか一項に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図2】
【図3】
【公開番号】特開2013−33040(P2013−33040A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−164890(P2012−164890)
【出願日】平成24年7月25日(2012.7.25)
【出願人】(596064112)ポール・コーポレーション (70)
【氏名又は名称原語表記】Pall Corporation
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−164890(P2012−164890)
【出願日】平成24年7月25日(2012.7.25)
【出願人】(596064112)ポール・コーポレーション (70)
【氏名又は名称原語表記】Pall Corporation
【Fターム(参考)】
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