説明

混合容器

【課題】第1内容物と第2内容物とを混合させながら効率良く注出すること。
【解決手段】第1内容物W1を収容する容器本体2と、口部10の内側に装着された中栓3と、中栓を覆うオーバーキャップ4と、を備え、中栓は、注出口24が形成された頂壁部22と口部の内側に挿入される挿入筒23とを有する中栓本体20と、第2内容物W2を収容する収容室Rを有し、容器軸O方向に移動可能な可動体30と、を備え、可動体は、注出口に離脱可能に嵌合された内筒31と、内筒を径方向の外側から囲むと共に挿入筒に移動可能に嵌合され、内筒との間に収容室を形成する外筒32と、を有し、オーバーキャップは、装着時に、可動体を押し下げて、内筒を注出口から離脱させると共に内筒内及び注出口を塞ぎ、取り外し時に、内筒内及び注出口を開放させる押し下げ部42を備えている混合容器1を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立して収容された第1内容物と第2内容物とを、注出時に混合させることが可能な混合容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の混合容器として、例えば、ボトルの口部に螺着されたオーバーキャップを取り外すことで、ボトル内に収容された第1内容物と、ボトルの口部内に嵌め込まれた中栓に収容された第2内容物とを、混合させながら注出させることができる混合容器が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
この混合容器を詳細に説明すると、中栓は、円筒状の外筒と、外筒の内側に配設され、外筒の下端部に一体的に連設された有頂筒状の内筒と、で構成されている。このように構成された中栓は、ボトルの口部内に嵌め込まれている。また、中栓の外筒と内筒との間には環状の収容室が確保されており、この収容室内に第2内容物が収容されている。
また、この中栓には、内筒の上部を覆うカップ状のキャップが装着されている。この際、キャップは、内筒に対して非接触状態とされており、第2内容物を内筒の頂壁部まで流動可能とさせている。
【0004】
また、中栓が嵌め込まれた口部には、オーバーキャップが螺着されている。この際、オーバーキャップの頂壁部の下面には、下方に向けて突出した穿刺部が形成されている。この穿刺部は、オーバーキャップが螺着された際に、中栓を覆うキャップと中栓の内筒の頂壁部とを同時に穿刺し、先端が頂壁部を突き抜けて内筒の内部に到達するようになっている。
【0005】
このように構成された混合容器によれば、オーバーキャップを取り外す前の段階では、第1内容物と第2内容物とが混合することがない。ここで、使用するにあたってオーバーキャップを取り外した場合には、穿刺部が引き抜かれるので、内筒の頂壁部及びキャップが開口した状態となる。そのため、第1内容物と第2内容物とを混合させながら注出することができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0534909号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の混合容器は、オーバーキャップを螺着した際に、穿刺部がキャップ及び内筒の頂壁部を穿刺する構造であるため、穿刺時に捲れ等が発生する可能性があった。従って、オーバーキャップを取り外して使用する際に、この捲れ等が注出を妨げてしまう恐れがあり、注出性能の低下を招く可能性があった。
【0008】
この発明は、このような事情を考慮してなされたもので、その目的は、第1内容物と第2内容物とを混合させながら効率良く注出することができる混合容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、この発明は以下の手段を提供している。
(1)本発明に係る混合容器は、第1内容物と第2内容物とを混合させながら注出可能な混合容器であって、前記第1内容物を内部に収容する容器本体と、該容器本体の口部の内側に装着された中栓と、前記口部に着脱可能に装着され、前記中栓を覆うオーバーキャップと、を備え、前記中栓が、注出口が形成された頂壁部と前記口部の内側に挿入される挿入筒とを有する中栓本体と、前記第2内容物を収容する収容室を有し、前記中栓本体によって容器軸方向に移動可能に保持された可動体と、を備え、前記可動体が、前記注出口に離脱可能に嵌合され、前記容器本体の内部に連通して前記第1内容物を外部に注出させる内筒と、該内筒を径方向の外側から囲むと共に前記挿入筒に容器軸方向に移動可能に嵌合され、内筒との間に前記収容室を形成する外筒と、を有し、前記オーバーキャップが、装着時に、前記可動体を押し下げて、前記内筒を前記注出口から離脱させると共に内筒内及び注出口を塞ぎ、取り外し時に、内筒内及び注出口を開放させる押し下げ部を有していることを特徴とする。
【0010】
この発明に係る混合容器においては、製造時に、収容室に第2内容物が収容された中栓を、第1内容物が内部に収容された容器本体の口部の内側に装着する。この際、収容室の上部が中栓本体の挿入筒と頂壁部とによって囲まれているうえ、可動体の内筒が中栓本体の頂壁部に形成された注出口に嵌合している。そのため、収容室の上部は塞がれた状態となっている。従って、第2内容物が収容室に封入された状態となっている。よって、第2内容物に格段の注意を払わずに、中栓の装着作業を効率良く行うことができる。
【0011】
次に、容器本体の口部にオーバーキャップを装着する。すると、押し下げ部が、中栓の可動体を容器軸方向に押し下げる。これにより、内筒を注出口から離脱させることができる。しかも、押し下げ部は、内筒内及び注出口を塞ぎながら可動体を押し下げるので、第1内容物が内筒を通じて外部に零れてしまうことがないうえ、収容室内に収容された第2内容物が内筒の内側及び外部に流動する恐れがない。従って、この時点で第1内容物と第2内容物とをそれぞれ独立した状態で収容することができる。このように、オーバーキャップを装着した時点で、混合容器の製造が終了する。
【0012】
そして、混合容器を使用する場合には、オーバーキャップを容器本体の口部から取り外す。すると、押し下げ部がオーバーキャップと共に口部から離脱するので、内筒内及び注出口が開放される。これにより、容器本体の内部と収容室の内部と注出口とが、連通した状態となる。従って、第1内容物を中栓の内筒を通じて注出する際に、第2内容物を混合させることができる。このようにして、第1内容物と第2内容物とを混合させながら、注出させることができる。
【0013】
特に、本発明の混合容器は、キャップや内筒の頂壁部を穿刺することで第1内容物と第2内容物とを混合させる従来の容器とは異なり、オーバーキャップの装着による可動体の下方移動により、第1内容物と第2内容物とを混合させるものである。そのため、穿刺時に捲れ等が発生する可能性があった従来のものとは異なり、この捲れ等が発生し難い。従って、第1内容物と第2内容物とを混合させながら効率良く注出させることができる。
しかも、可動体が一旦押し下げられた後、該可動体に上向きの力が作用し難いので、オーバーキャップを取り外した後に、逆方向に上昇移動して元の状態に戻り難い。従って、内筒が注出口に再度嵌合して、該注出口を塞いでしまう可能性が低い。よって、この点においても注出が妨げられてしまい難い。
更に、中栓を容器本体の口部に装着する際に、第2内容物が収容室に封入されているので、中栓の装着作業を効率良く行うことができ、製造効率の向上化を図ることができる。
【0014】
(2)本発明に係る混合容器は、上記本発明の混合容器において、前記中栓には、前記可動体の下方移動量を規制する規制部が設けられていることを特徴とする。
【0015】
この発明に係る混合容器においては、規制部によって可動体の下方移動量を規制できるので、押し下げ時に可動体が容器本体側に脱落するような不具合を防止することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る混合容器によれば、第1内容物と第2内容物とを混合させながら効率良く注出することができる。また、中栓を容器本体の口部に装着する際に第2内容物が収容室に封入されているので、中栓の装着作業を効率良く行うことができ、製造効率の向上化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る混合容器の実施形態を示す図であって、製造段階にてオーバーキャップを装着する直前の状態を示す縦断面図である。
【図2】図1に示す中栓の拡大断面図である。
【図3】図1に示す状態から、オーバーキャップを装着した状態を示す断面図である。
【図4】図3に示す状態から、オーバーキャップを取り外した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る混合容器の一実施形態について、図1から図4を参照して説明する。本実施形態の混合容器1は、図1に示すように、第1内容物W1と第2内容物W2とを混合させながら注出可能な容器であって、口部10を有する容器本体2と、中栓3と、オーバーキャップ4と、を備えている。
【0019】
なお、図1は、製造段階においてオーバーキャップ4を装着する直前の混合容器1の縦断面図である。また、上記各構成品のそれぞれの中心軸は共通軸上に位置している。本実施形態では、この共通軸を容器軸Oといい、容器軸Oに直交する方向を径方向、容器軸Oを中心に周回する方向を周方向とする。また、容器軸O方向に沿って容器本体2の口部10側を上側、容器本体2の底部側を下側とする。
また、第1内容物W1及び第2内容物W2は、例えば液体状、ペースト状、顆粒状、粉状の内容物であり、その形態に関しては何ら限定されるものではない。
【0020】
容器本体2は、口部10を有する有底筒状の容器であり、内部に第1内容物W1が収容されている。口部10の外周面には、オーバーキャップ4の雌ねじ部40aが螺合される雄ねじ部10aが形成されている。また、口部10の先端部は、外径が縮径した縮径部11となっており、この縮径部11の外周面には径方向外方に突出した爪部11aが環状に形成されている。
【0021】
中栓3は、容器本体2の口部10の内側に装着される部材であり、図1及び図2に示すように、第2内容物W2を収容する収容室Rを備えている。なお、図2は、中栓3の縦断面図である。
この中栓3について詳細に説明すると、該中栓3は、中栓本体20と可動体30とで構成されている。中栓本体20は、周壁筒21と、該周壁筒21の上端部に連設された頂壁部22と、該頂壁部22の下面に形成され、口部10内に挿入される挿入筒23と、で一体的に形成されている。
【0022】
周壁筒21は、容器本体2の縮径部11を径方向の外側から囲むように配設された部材であり、内周面には爪部11aに係合される係合爪部21aが環状に形成されている。そして、この係合爪部21aを縮径部11に形成された爪部11aに係合することにより、中栓3を容器本体2の口部10の内側に装着可能とされている。
頂壁部22の中心には、平面視円形状の注出口24が形成されている。この注出口24を通じて第1内容物W1と第2内容物W2とを注出させるようになっている。
【0023】
挿入筒23は、頂壁部22の下面から下方に向けて突出した筒部材であり、周壁筒21の係合爪部21aを口部10の爪部11aに係合させた際に、口部10内から容器本体2の内部に挿入されるようになっている。この際、挿入筒23は、主に縮径部11の内周面に当接するようになっている。
また、本実施形態の挿入筒23の下端部には、内周面から径方向内方に向かって突出する突起部23aが形成されている。この突起部23aは、挿入筒23の内周面の全周に亘って環状に形成されている。
【0024】
可動体30は、第2内容物W2を収容する収容室Rを有すると共に、上記中栓本体20によって容器軸O方向に移動可能に保持された部材であり、内筒31と、外筒32と、底壁部33と、で一体的に形成されている。
内筒31は、容器本体2の内部に連通して第1内容物W1を外部に注出させる筒部材であり、上端部が中栓本体20の頂壁部22に形成された注出口24に離脱可能に嵌合されている。外筒32は、内筒31を径方向の外側から囲むように配設された筒部材であり、中栓本体20の挿入筒23の内周面に容器軸O方向に移動可能に嵌合している。底壁部33は、外筒32の下端部と内筒31の下端部とを連結する環状の部材であり、両筒31、32の間に第2内容物W2が収容される収容室Rを形成させている。
【0025】
このように構成された可動体30は、主に外筒32と中栓本体20の挿入筒23との間の摩擦力によって該中栓本体20に保持されているうえ、上述したように容器軸O方向に移動可能とされている。
特に、オーバーキャップ4を装着する前の段階では、内筒31の上端部が注出口24の内周面に嵌合している。そのため、収容室Rの上部は、中栓本体20の挿入筒23及び頂壁部22と、可動体30の内筒31と、によって囲まれた状態となっている。
一方、図3に示すように、オーバーキャップ4の装着により可動体30が押し下げられると、内筒31の上端部が注出口24から離脱するようになっている。但し、注出口24は、オーバーキャップ4の後述する押し下げ部42によって塞がれた状態となっている。
なお、図3は、図1の状態からオーバーキャップ4を装着した状態の断面図である。
【0026】
また、図1及び図2に示すように、本実施形態の外筒32の上端部には、可動体30が押し下げられた際に挿入筒23に形成された突起部23aに係合する係合爪部32aが外周面から径方向外方に突出するように設けられている。これにより、可動体30が押し下げられた際に、下方移動量が規制されるようになっている。即ち、これら突起部23a及び係合爪部32aは、可動体30の下方移動量を規制する規制部35として機能する。
【0027】
オーバーキャップ4は、図1及び図3に示すように、口部10に着脱可能に装着され、装着時に中栓3を覆うキャップである。このオーバーキャップ4は、容器本体2の口部10の周囲を囲む周壁筒40と、該周壁筒40の上部を覆う頂壁部41と、を備えている。周壁筒40の内周面には、雄ねじ部10aに螺合される雌ねじ部40aが形成されている。そして、この雌ねじ部40aを口部10に形成された雄ねじ部10aに螺合することにより、オーバーキャップ4を容器本体2の口部10に装着可能とされている。
【0028】
また、頂壁部41の下面には、オーバーキャップ4の装着時に、注出口24の内周面に嵌合している可動体30の内筒31を押し下げながら、内筒31内及び注出口24をそれぞれ塞ぐと共に、図4に示すように、取り外し時に、内筒31内及び注出口24を開放して、内筒31の内側と収容室Rの内部と注出口24とを連通させる押し下げ部42が形成されている。なお、図4は、図3の状態からオーバーキャップ4を取り外した状態の断面図である。
【0029】
本実施形態の押し下げ部42は、下方に向けて突出し、内筒31の外径と略同一の外径に形成された円柱状に形成されている。また、押し下げ部42の先端面には、内筒31の内側に挿入される突出部42aが形成されている。これにより、押し下げ部42は、図3に示すように、オーバーキャップ4の装着時に、内筒31に対して確実に押し当たり、該内筒31を介して可動体30に下向きの力を作用させることができると共に、内筒31内及び注出口24を塞ぐことができるようになっている。
【0030】
また、本実施形態のオーバーキャップ4には、頂壁部41の下面に、押し下げ部42を径方向の外側から囲むように環状突起したリング部43が形成されている。このリング部43は、オーバーキャップ4を装着する際、中栓本体20の頂壁部22の上面に接触するようになっている。
【0031】
次に、上述した混合容器1を組み立てて製造する場合の手順について簡単に説明する。
まず、図1に示すように、収容室Rに第2内容物W2が収容された中栓3を、第1内容物W1が収容された容器本体2の口部10の内側に装着する。具体的には、挿入筒23を口部10の内側に挿入しながら中栓3を押し込んで、周壁筒21の係合爪部21aを縮径部11の爪部11aに係合させる。これにより、挿入筒23を主に縮径部11の内周面に当接させた状態で中栓3を装着することができる。
【0032】
しかも、中栓3を装着する際、図2に示すように、収容室Rの上部が中栓本体20の挿入筒23と頂壁部22とによって囲まれているうえ、可動体30の内筒31が中栓本体20の頂壁部22に形成された注出口24に嵌合している。そのため、収容室Rの上部は、塞がれた状態となっている。従って、第2内容物W2が収容室Rに封入されている。よって、第2内容物W2に格段の注意を払わずに、中栓3の装着作業を効率良く行うことができる。
【0033】
続いて、容器本体2の口部10にオーバーキャップ4を装着する。具体的には、オーバーキャップ4を容器軸O回りに回転させ、周壁筒40の雌ねじ部40aを口部10の雄ねじ部10aに螺合させる。すると、図3に示すように、押し下げ部42の先端が内筒31の上端面に押し当たった後、該内筒31を介して可動体30を容器軸Oに沿って押し下げる。この際、上述したように、押し下げ部42の先端面に形成された突出部42aが内筒31の内側に入り込むので、押し下げ部42を確実に内筒31に押し当てながら可動体30を押し下げることができる。
【0034】
これにより、内筒31を注出口24から離脱させることができる。しかも、このとき押し下げ部42は、内筒31内及び注出口24を塞ぎながら可動体30を押し下げている。よって、第1内容物W1が内筒31を通じて外部に零れてしまうことがないうえ、収容室R内の第2内容物W2が内筒31の内側及び外部に流動する恐れはない。従って、第1内容物W1と第2内容物W2とを、この時点でそれぞれ独立した状態で収容することができる。
このように、オーバーキャップ4を装着した時点で、混合容器1の製造が終了する。
【0035】
次に、このように製造された混合容器1を使用する場合について、説明する。
まず、図4に示すように、オーバーキャップ4を容器軸O回りに先ほどとは逆方向に回転させて、容器本体2の口部10から取り外す。すると、内筒31内と注出口24とを塞いでいた押し下げ部42がオーバーキャップ4と共に口部10から離脱するので、内筒31の内側と収容室Rの内部と注出口24とが連通した状態となる。従って、第1内容物W1を中栓3の内筒31及び注出口24を通じて注出する際に、第2内容物W2を混合させることができる。
このようにして、第1内容物W1と第2内容物W2とを混合させながら、注出させることができる。
【0036】
特に、本実施形態の混合容器1は、キャップや内筒の頂壁部を穿刺することで第1内容物と第2内容物とを混合させる従来の容器とは異なり、オーバーキャップ4の装着による可動体30の下方移動により、第1内容物W1と第2内容物W2とを混合させるものである。そのため、穿刺時に捲れ等が発生する可能性があった従来のものとは異なり、この捲れ等が発生し難い。従って、第1内容物W1と第2内容物W2とを混合させながら効率良く注出させることができる。
【0037】
しかも、内筒31を含む可動体30の全体が一旦押し下げられた後は、可動体30に上向きの力が作用し難いので、オーバーキャップ4を取り外した後に、逆方向に上昇移動して元の状態に戻り難い。従って、内筒31の上端部が注出口24に再度嵌合して、該注出口24を塞いでしまう可能性が低い。よって、この点においても、注出が妨げされてしまい難い。
更に、中栓3を容器本体2の口部10の内側に装着する際に、第2内容物W2が収容室Rに封入されているので、中栓3の装着作業を効率良く行うことができ、製造効率の向上化を図ることができる。
【0038】
また、製造段階で可動体30を押し下げた際、可動体30の外筒32に形成された係合爪部32aが中栓本体20の挿入筒23に形成された突起部23aに係合するので、可動体30の下方移動量を規制することができ、それ以上可動体30が押し下げられてしまうことを防止することができる。よって、押し下げ時に、可動体30が容器本体2側に脱落するような不具合を防止することができる。また、下方移動量の設定により、第2内容物W2の混合量を変化させることも可能となる。
【0039】
なお、本発明の技術範囲は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えることが可能である。
【0040】
例えば、上記実施形態では、周壁筒40の雌ねじ部40aを口部10の雄ねじ部10aに螺合させることで、オーバーキャップ4を着脱自在に装着する構成としたが、この場合に限られず、嵌合等により着脱自在に装着する構成としても構わない。
【0041】
また、内筒31と外筒32と底壁部33とで可動体30を構成したが、底壁部33を設けずに、内筒31と外筒32の下端部とを直接連結(例えば、内筒31と外筒32とが断面V字状となるように連結)し、両筒31、32の間に収容室Rを形成しても構わない。
【0042】
更に、上記実施形態において、可動体30が、上昇位置(内筒31の上端部が注出口24に嵌合している状態)と、下降位置(係合爪部32aが突起部23aに係合している状態)とで、位置決めされ、容器軸O方向に容易に移動しないように設計すると良い。
【0043】
例えば、可動体30が上記上昇位置にセットされている際に、外筒32に形成された係合爪部32aが引っ掛かる突起部を挿入筒23の内周面に形成する。この際、係合爪部32aの下側において、オーバーキャップ4の装着によって可動体30が下降する際に、係合爪部32aが乗り越えることができるように突起部を形成する。こうすることで、可動体30の下降移動を阻害することなく、可動体30を上昇位置で位置決めさせることができる。従って、中栓3の装着時に第2内容物W2をより確実に収容室R内に封入することができる。
【0044】
また、同様の突起部を、可動体30が上記下降位置にセットされている際に、係合爪部32aの上側に形成すると良い。こうすることで、使用時に、可動体30がより上昇し難くなるので、注出をさらに妨げ難くなる。しかも、製造段階で、収容室R内に第2内容物Wを収容させた後、係合爪部32aが突起部を乗り越えることができるので、可動体30を上昇移動させて内筒31の上端部を注出口24に確実に嵌合させることができる。従って、中栓3の製造作業を問題なく行うことができる。
【符号の説明】
【0045】
R…収容室
O…容器軸
W1…第1内容物
W2…第2内容物
1…混合容器
2…容器本体
3…中栓
4…オーバーキャップ
10…容器本体の口部
20…中栓本体
22…中栓本体の頂壁部
23…中栓本体の挿入筒
24…注出口
30…可動体
31…内筒
32…外筒
35…規制部
42…押し下げ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1内容物と第2内容物とを混合させながら注出可能な混合容器であって、
前記第1内容物を内部に収容する容器本体と、該容器本体の口部の内側に装着された中栓と、前記口部に着脱可能に装着され、前記中栓を覆うオーバーキャップと、を備え、
前記中栓は、注出口が形成された頂壁部と前記口部の内側に挿入される挿入筒とを有する中栓本体と、前記第2内容物を収容する収容室を有し、前記中栓本体によって容器軸方向に移動可能に保持された可動体と、を備え、
前記可動体は、
前記注出口に離脱可能に嵌合され、前記容器本体の内部に連通して前記第1内容物を外部に注出させる内筒と、
該内筒を径方向の外側から囲むと共に前記挿入筒に容器軸方向に移動可能に嵌合され、内筒との間に前記収容室を形成する外筒と、を有し、
前記オーバーキャップは、装着時に、前記可動体を押し下げて、前記内筒を前記注出口から離脱させると共に内筒内及び注出口を塞ぎ、取り外し時に、内筒内及び注出口を開放させる押し下げ部を有していることを特徴とする混合容器。
【請求項2】
請求項1に記載の混合容器において、
前記中栓には、前記可動体の下方移動量を規制する規制部が設けられていることを特徴とする混合容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−260589(P2010−260589A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−111464(P2009−111464)
【出願日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】