説明

混合容器

【課題】第一内容物と第二内容物とを混合させながら効率良く注出することができる混合容器を提供することを目的とする。
【解決手段】第一内容物Xを収容した容器本体2と、容器本体2の口部20に装着されて連通路30及び収容室31を有する中栓3と、注出口40を有する注出部材4と、オーバーキャップ5と、を備え、注出部材4には、中栓3に設けられた係止部37に対して下側に間隔をあけて配設され、注出部材4の上方移動によって係止部37に係止される被係止部45と、オーバーキャップ5に設けられた係合部57に対して係合され、注出部材4の上方移動における被係止部45に対する係止部37の係止によって係合部57から離脱される被係合部46と、収容室31の開口部38を閉塞し、注出部材4の上方移動によって開口部38から離脱して開口部38を開口させる栓部41と、が備えられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立して収容された第一内容物と第二内容物とを、注出時に混合させることが可能な混合容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の混合容器として、例えば、ボトルの口部に螺着されたオーバーキャップを取り外すことで、ボトル内に収容された第一内容物と、ボトルの口部内に嵌め込まれた中栓に収容された第二内容物とを、混合させながら注出させることができる混合容器が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
この混合容器を詳細に説明すると、中栓は、円筒状の外筒と、外筒の内側に配設され、外筒の下端部に一体的に連設された有頂筒状の内筒と、で構成されている。このように構成された中栓は、ボトルの口部内に嵌め込まれている。また、中栓の外筒と内筒との間には環状の収容室が確保されており、この収容室内に第二内容物が収容されている。
また、この中栓には、内筒の上部を覆うカップ状のキャップが装着されている。この際、キャップは、内筒に対して非接触状態とされており、第二内容物を内筒の頂壁部まで流動可能とさせている。
【0004】
また、中栓が嵌め込まれた口部には、オーバーキャップが螺着されている。この際、オーバーキャップの頂壁部の下面には、下方に向けて突出した穿刺部が形成されている。この穿刺部は、オーバーキャップが螺着された際に、中栓を覆うキャップと中栓の内筒の頂壁部とを同時に穿刺し、先端が頂壁部を突き抜けて内筒の内部に到達するようになっている。
【0005】
このように構成された混合容器によれば、オーバーキャップを取り外す前の段階では、第一内容物と第二内容物とが混合することがない。ここで、使用するにあたってオーバーキャップを取り外した場合には、穿刺部が引き抜かれるので、内筒の頂壁部及びキャップが開口した状態となる。そのため、第一内容物と第二内容物とを混合させながら注出することができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0534909号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の混合容器は、オーバーキャップを螺着した際に、穿刺部がキャップ及び内筒の頂壁部を穿刺する構造であるため、穿刺時に捲れ等が発生する可能性が高かった。従って、オーバーキャップを取り外して使用する際に、この捲れ等が注出を妨げてしまう恐れがあり、注出性能の低下を招く可能性があった。
【0008】
この発明は、このような事情を考慮してなされたもので、その目的は、第一内容物と第二内容物とを混合させながら効率良く注出することができる混合容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る混合容器は、第一内容物を内部に収容した容器本体と、該容器本体の口部に装着され、前記容器本体の内部に連通される連通路及び第二内容物を収容する収容室を有する中栓と、前記中栓に対して前記口部の軸線方向に沿って相対移動可能に設けられ、前記連通路に連通する注出口を有する注出部材と、前記口部に着脱可能に装着されて前記注出口を覆うオーバーキャップと、を備えており、前記注出部材には、前記中栓に設けられた係止部に対して軸線方向下側に間隔をあけて配設され、前記注出部材の前記中栓に対する軸線方向上側への相対移動によって前記係止部に係止される被係止部と、前記オーバーキャップに設けられた係合部に対して係合され、前記注出部材の前記中栓に対する軸線方向上側への相対移動における前記被係止部に対する前記係止部の係止によって前記係合部から離脱される被係合部と、前記収容室と前記注出口とを連通させる前記収容室の開口部を閉塞し、前記注出部材の前記中栓に対する軸線方向上側への相対移動によって前記開口部から離脱して該開口部を開口させる栓部と、が備えられていることを特徴としている。
【0010】
上記した本発明に係る混合容器を使用する際には、口部に装着されたオーバーキャップを取り外す。このとき、オーバーキャップの係合部と注出部材の被係合部とが互いに係合されているので、オーバーキャップが容器本体に対して軸線方向上側に相対移動すると、オーバーキャップと共に注出部材が中栓に対して軸線方向上側に相対移動し、注出部材が引き上げられる。これにより、注出部材の栓部が中栓の収容室の開口部から離脱し、収容室の開口部が開口され、注出部材の注出口と収容室とが連通される。
また、オーバーキャップが容器本体に対して軸線方向上側に相対移動し、オーバーキャップと共に注出部材が中栓に対して軸線方向上側に相対移動すると、中栓の係止部によって注出部材の被係止部が係止され、中栓に対する注出部材の軸方向上側への相対移動が規制される。これにより、注出部材の被係合部がオーバーキャップの係合部から離脱して外れ、注出部材とオーバーキャップとの係合が解除される。
その後、オーバーキャップを容器本体に対して軸線方向上側に相対移動させることで、オーバーキャップが口部から取り外される。このとき、注出部材は引き上げられた状態で中栓に装着されている。
次に、容器本体を傾けて、容器本体内の第一内容物と中栓の収容室内の第二内容物とを注出口から注出する。詳しく説明すると、容器本体を傾けると、容器本体内に収容された第一内容物が中栓の連通路内に流入し、この連通路内を通って注出部材の注出口から注出されると共に、中栓の収容室内の第二内容物が開口部から流出して注出部材の注出口から注出され、これら第一、第二内容物は共通の注出口から注出されることで注出時に混合される。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る混合容器によれば、オーバーキャップの取り外し動作に伴い注出部材が引き上げられて中栓の収容室の開口部が開口されるので、中栓の一部を穿刺したりすることなく、第一内容物と第二内容物とを共通の注出口から注出させることができる。したがって、何の妨げを受けることなく、第一内容物と第二内容物とを混合させながら効率良く注出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態を説明するための混合容器の縦断面図である。
【図2】本発明の実施の形態を説明するためのオーバーキャップの開封時における混合容器の上部の縦断面図である。
【図3】本発明の実施の形態を説明するための注出時における混合容器の上部の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る混合容器の実施の形態について、図面に基いて説明する。
なお、図1に示す一点鎖線Oは、混合容器1の中心軸線を表しており、以下、単に「軸線O」と記す。また、この軸線Oに沿った方向を「軸方向」とし、軸線Oに直交する方向を「径方向」とし、軸線O回りの方向を「周方向」とする。また、容器本体2における口部20側(図1における上側)を「上」とし、その反対側(図1における下側)を「下」とする。
【0014】
図1に示すように、混合容器1は、2種類の内容物をそれぞれ収容すると共にこれらの内容物を注出しながら混合させる混合容器である。内容物としては、主液Xと、その主液Xに添加される添加物Yと、が収容されている。主液Xは、例えば食品、化粧品、薬品などの液体であり、添加物Yは、例えば、粘度が高く主液Xに比べて流動性が低い濃縮液、フレーバー(食品香料)などの液体や固体(粒状物、粉状物等)である。混合容器1の概略構成としては、容器本体2と、中栓3と、注出部材4と、オーバーキャップ5と、を備えている。
【0015】
容器本体2は、内部に主液Xを収容する容器であり、その概略構成としては、軸方向に延在する筒状の胴部21と、胴部21の下端に設けられた底部22と、胴部21の上端に設けられた肩部23と、肩部23から軸方向に沿って立設された口部20と、を備えている。胴部21は、軸線Oを中心軸線にする筒状の周壁部である。底部は、胴部21の下端を閉塞する壁部である。肩部23は上方に向かうに従い漸次縮径された環状の壁部である。口部20は、軸線Oを中心軸線にする略円筒形状の筒部であり、肩部23の内縁から立設されている。口部20の軸方向中間部の外周面には、雄ねじ24が形成されている。また、口部20の軸方向上端には、段状に縮径された小径部25が設けられている。
【0016】
中栓3は、容器本体2の口部20に装着される部材であり、容器本体2の内部に連通される連通路30と、添加物Yを収容する収容室31と、を有している。詳しく説明すると、中栓3の概略構成としては、外周壁32と、内周壁33と、底壁部34と、フランジ部35と、嵌合部36と、を備えている。
【0017】
外周壁32は、口部20の内側に挿通された略円筒形状の筒部であり、軸線Oを共通軸にして口部20と同軸上に配設されている。外周壁32の内周面の上部には、内径が拡径されて縦断面視凹状に形成された拡径部32aが全周に亘って形成されており、外周壁32の内周面の上端部には、拡径部32aの内周面よりも径方向内側に突出した係止部37が全周に亘って設けられている。
【0018】
内周壁33は、外周壁32の内側に配設された略円筒形状の筒部であり、軸線Oを共通軸にして外周壁32及び口部20と同軸上に配設されている。この内周壁33の上下端はそれぞれ開口されており、内周壁33の内周面の内側が上記した連通路30となっている。また、内周壁33の外周面は上記した外周壁32の内周面との間に隙間をあけて形成されており、この内周壁33の外周面と外周壁32の内周面との間の空間が上記した収容室31となっている。つまり、収容室31は、連通路30の径方向外側に環状に形成されている。
【0019】
底壁部34は、外周壁32の下端と内周壁33の下端との間に配設された壁部であり、軸線O回りに延設された円環状の壁部である。この底壁部34によって上記した収容室31の下側が閉塞されている。なお、収容室31の上端には、収容室31と後述する注出口40とを連通する開口部38が形成されている。
フランジ部35は、外周壁32の上端から径方向外側に向けて突出されていると共に外周壁32の上端に沿って全周に亘って延設された円環状の壁部である。このフランジ部35は、口部20の上端面の上に載置されている。
嵌合部36は、口部20の小径部25の径方向外側に嵌め込まれてアンダーカット嵌合される円筒形状の筒部であり、フランジ部35の外縁から垂下されて口部20の小径部25の径方向外側に周設されている。
【0020】
注出部材4は、中栓3に装着されていると共に中栓3に対して軸方向に沿って相対移動可能に設けられた部材であり、上記した連通路30に連通する注出口40を有している。この注出部材4は、オーバーキャップ5に対して係合されており、容器本体2に対するオーバーキャップ5の軸方向への移動に伴い中栓3に対して軸方向に沿って移動して収容室31上端の開口部38を開閉すると共に、オーバーキャップ5の口部20からの離脱に伴いオーバーキャップ5から分離して上記開口部38を開口させた状態で中栓3に装着されるものである。詳しく説明すると、注出部材4の概略構成としては、栓部41と、フランジ部42と、ノズル部43と、ガイド部44と、を備えている。
【0021】
栓部41は、収容室31の開口部38の内側に着脱可能に嵌合されて開口部38を閉塞する円筒形状の筒部であり、注出部材4の中栓3に対する軸線方向上側への相対移動によって開口部38から離脱して開口部38を開口させるものである。詳しく説明すると、栓部41は、内径が中栓3の内周壁33の上端部の外径と略同径で、外径が中栓3の外周壁32の上端部の内径と略同径の筒部であり、収容室31の開口部38の内側に液密、且つ軸方向に移動可能に嵌合されている。
【0022】
フランジ部42は、栓部41の上端部の外縁から径方向外側に突出した突出部であり、栓部41の外周面に沿って全周に亘って延設された円環状の壁部である。このフランジ部42の下面は、中栓3のフランジ部35の上面に当接されている。
【0023】
ノズル部43は、栓部41の上端部の内縁から立設された円筒形状の筒部であり、その先端(上端)に上記した注出口40が形成されている。このノズル部43は、軸線Oを中心軸にして軸方向に延設されている。また、ノズル部43の内径は、栓部41の内径よりも小さくて中栓3の連通路30の内径と略同径であり、ノズル部43の下端面が中栓3の内周壁33の上端面に当接されていると共に、ノズル部43の内部が中栓3の連通路30(内周壁33の内部)に連通されている。すなわち、注出口40は、ノズル部43の内部を介して中栓3の連通路30に連通されている。
【0024】
ガイド部44は、注出部材4が中栓3に対して軸方向に沿って移動するように案内する円筒形状の筒部であり、栓部41の下端外縁から垂下されて収容室31の内側に配設されている。詳しく説明すると、ガイド部44は、外径が栓部41の外径と略同径で内径が栓部41の内径よりも大径の筒部であり、その内周面が内周壁33の外周面との間に隙間をあけて配設されていると共にその外周面が外周壁32の内周面に摺動自在に当接されている。
【0025】
また、注出部材4には、注出部材4の中栓3に対する軸方向上側への相対移動によって中栓3の係止部37に係止される被係止部45と、後述するオーバーキャップ5の係合部57に対して係合され、注出部材4の中栓3に対する軸線方向上側への相対移動における被係止部45に対する係止部37の係止によって係合部57から離脱される被係合部46と、が備えられている。
【0026】
被係止部45は、ガイド部44の上部の外周面から径方向外側に突出した凸部であり、ガイド部44の外周面に沿って全周に亘って延設されている。この被係止部45は、中栓3の外周壁32の内周面に形成された拡径部32aの内側に配設されており、拡径部32aの内周面に摺接されていると共に係止部37に対して軸方向下側に間隔をあけて配設されている。
被係合部46は、ノズル部43の上端部の外周面から径方向外側に突出した凸部であり、ノズル部43の外周面に沿って全周に亘って延設されている。
【0027】
オーバーキャップ5は、容器本体2の口部20に着脱可能に装着されて注出部材4の注出口40を覆うキャップ体である。オーバーキャップ5の概略構成としては、天壁部50と、周壁部51と、立上り筒部52と、先端壁部53と、を備えている。
【0028】
天壁部50は、軸線Oに対して垂直に配設された円環状の板部であり、中栓3のフランジ部35の上方に配設されていると共に軸線Oを中心軸にして配設されている。天壁部50の下面には、天壁部50の内縁に沿って全周に亘って延設された円環状のシール部54が突設されている。
【0029】
周壁部51は、天壁部50の外縁から垂下された円筒形状の筒部であり、軸線Oを共通軸にして容器本体2の口部20及び中栓3の嵌合部36と同軸上に配設されていると共に口部20及び嵌合部36の外周に周設されている。この周壁部51の内周面には、容器本体2の雄ねじ24に螺着される雌ねじ55が形成されており、オーバーキャップ5は、雄ねじ24及び雌ねじ55によって口部20に対して螺合されている。
【0030】
立上り筒部52は、天壁部50の内縁から軸方向に沿って立設された筒部であり、内部に注出部材4のノズル部43が収納されている。立上り筒部52は、軸方向上側に向かうに従い漸次縮径されたテーパー形状の筒部である。
【0031】
先端壁部53は、立上り筒部52の上端部を閉塞する壁部であり、軸線Oに対して垂直に配設されている。先端壁部53は、注出部材4のノズル部43(注出口40)の上方に配設されており、先端壁部53の下面には、注出口40の内側に着脱可能に嵌合される筒状の嵌合部56が垂下されている。
【0032】
また、オーバーキャップ5には、上記した注出部材4の被係合部46に着脱可能に係合される係合部57が備えられている。この係合部57は、立上り筒部52の内周面から径方向内側に向けて突出した断面視円弧形状の凸部であり、注出部材4の被係合部46の軸方向下側から係合されている。
【0033】
次に、上記した構成からなる混合容器1の作用について説明する。
【0034】
上記した混合容器1を使用する際には、まず、図2に示すように、口部20に装着されたオーバーキャップ5を取り外す。具体的に説明すると、オーバーキャップ5を軸線O回りに回転させ、口部20の雄ねじ24とオーバーキャップ5の雌ねじ55との螺合を緩めていく。これにより、オーバーキャップ5が、徐々に口部20に対して上方に相対移動していく。
【0035】
このとき、オーバーキャップ5の係合部57と注出部材4の被係合部46とが互いに係合されているので、オーバーキャップ5と共に注出部材4が引き上げられる。すなわち、オーバーキャップ5が容器本体2に対して軸線方向上側に相対移動すると、オーバーキャップ5と共に注出部材4が中栓3に対して軸線方向上側に相対移動する。これにより、注出部材4の栓部41が中栓3の収容室31の開口部38の内側から抜け出て離脱し、収容室31の開口部38が開口される。その結果、収容室31が開口部38を介してノズル部43の内部に連通されてノズル部43先端の注出口40に連通される。
【0036】
一方、オーバーキャップ5と共に注出部材4が引き上げられると、注出部材4の被係止部45が、中栓3の外周壁32の拡径部32aの内周面に沿って軸方向上側に摺動し、中栓3の係止部37に対して軸方向下側から当接して係止される。これにより、中栓3に対する注出部材4の軸方向上側への相対移動が規制される。そして、さらにオーバーキャップ5が軸方向上側に移動すると、オーバーキャップ5の係合部57が注出部材4の被係合部46を乗り越え、注出部材4の被係合部46がオーバーキャップ5の係合部57から離脱して外れ、その結果、注出部材4とオーバーキャップ5との係合が解除される。これにより、オーバーキャップ5だけが取り外され、注出部材4は中栓3に装着された状態となる。このとき、注出部材4の栓部41及びガイド部44の各外周面が中栓3の外周壁32の内周面に圧接されているので、注出部材4がずれ落ちることがなく、注出部材4が引き上げられて収容室31の開口部38が開口された状態が保持される。
【0037】
次に、図3に示すように、容器本体2を傾けて、容器本体2内の主液Xと中栓3の収容室31内の添加物Yとを注出部材4の注出口40から注出する。詳しく説明すると、容器本体2を傾けると、容器本体2内に収容された主液Xが中栓3の連通路30内を通って注出部材4のノズル部43内に流入する。一方、容器本体2を傾けると、収容室31内の添加物Yが開口部38を通ってノズル部43内に流入する。そして、ノズル部43内に流入した主液X及び添加物Yは、共通の注出口40から注出される。このとき、主液X及び添加物Yは、注出時にノズル部43内および注出口40において混合される。
【0038】
また、混合容器1の使用後は、オーバーキャップ5を容器本体2の口部20に装着する。
詳しく説明すると、オーバーキャップ5を容器本体2の口部20に被せ、オーバーキャップ5の立上り筒部52の内側に注出部材4のノズル部43を挿入させると共に、オーバーキャップ5の周壁部51の内側に中栓3の嵌合部36を挿入させる。このとき、オーバーキャップ5の係合部57が注出部材4の被係合部46に上側から当接される。
【0039】
続いて、オーバーキャップ5を軸線O回りに回転させ、口部20の雄ねじ24とオーバーキャップ5の雌ねじ55とを螺合させていく。これにより、オーバーキャップ5が、徐々に口部20に対して下方に相対移動していく。これにより、係合部57及び被係合部46を介して注出部材4が押し下げられる。その結果、注出部材4の栓部41が収容室31の開口部38の内側に嵌合され、収容室31が栓部41によって密閉される。
【0040】
その後、さらにオーバーキャップ5を軸線O回りに回転させ、口部20の雄ねじ24とオーバーキャップ5の雌ねじ55とを螺合させていくと、注出部材4のフランジ部42の下面が中栓3のフランジ部35の上面に当接されて係止される。これにより、上記したオーバーキャップ5の係合部57が注出部材4の被係合部46を乗り越えて係合部57と被係合部46とが係合されて注出部材4がオーバーキャップ5に嵌合されると共に、嵌合部56が注出部材4の注出口40の内側に嵌合されて注出口40が密閉され、さらに、シール部54が中栓3のフランジ部35の上面に密接して中栓3とオーバーキャップ5との間がシールされる。
以上により、容器本体2の口部20にオーバーキャップ5が再び装着されて混合容器1が密封される。
【0041】
上記した構成からなる混合容器1によれば、オーバーキャップ5の取り外し動作に伴い注出部材4が引き上げられて中栓3の収容室31の開口部38が開口されるので、中栓3の一部を穿刺したりすることなく、主液Xと添加物Yとを共通の注出口40から注出させることができる。したがって、主液Xと添加物Yとを混合させながら効率良く注出することができる。
【0042】
以上、本発明に係る混合容器の実施の形態について説明したが、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上記した実施の形態では、注出部材4にノズル部43が備えられ、ノズル部43の先端に注出口40が形成されているが、本発明は、注出部材4を中栓に対して引き上げ可能であれば、この形態に限定されない。さらに、上記した実施の形態では、ガイド部44やフランジ部42が備えられているが、これらを適宜省略することも可能である。
【0043】
また、上記した実施の形態では、外周壁32及び内周壁33を備える中栓3が備えられており、平面視円環状の収容室31の内側に連通路30が形成された構成となっているが、本発明は、収容室31や連通路30の形状や配置は適宜変更可能である。例えば、平面視円環状の連通路の内側に収容室が形成された構成であってもよく、或いは、平面視において収容室と連通路とが2分割にされた構成や、収容室を2つ以上に区画した構成であってもよい。
【0044】
また、上記した実施の形態では、注出部材4の被係止部45がガイド部44の外周面に設けられ、中栓3の係止部37が外周壁32の内周面に設けられているが、本発明は、被係止部や係止部の位置や形状は適宜変更可能である。例えば、注出部材4の栓部41やガイド部44の内周面等に被係止部が設けられていてもよく、また、中栓3の内周壁33等に係止部が設けられていてもよい。
【0045】
また、上記した実施の形態では、注出部材4の被係合部46がノズル部43の外周面に設けられ、オーバーキャップ5の係合部57が立上り筒部52の内周面に設けられているが、本発明は、被係合部や係合部の位置や形状は適宜変更可能である。例えば、注出部材4のフランジ部42やノズル部43の内周面等に被係合部が設けられていてもよく、また、オーバーキャップ5の天壁部50や先端壁部53、嵌合部56等に係合部が設けられていてもよい。
【0046】
また、上記した実施の形態では、軸方向に沿って延在する筒形状の容器本体2が用いられているが、本発明は、容器本体の形状は適宜変更可能であり、例えば球形状や略卵形状の容器本体を用いることも可能である。
【0047】
また、上記した実施の形態では、容器本体2内に液体状の主液Xが収容され、収容室31内に液体状の添加物Yが収容されているが、本発明は、液体を収容する混合容器に限定されるものではなく、第一、第二内容物として粉末や顆粒、粘性体などの内容物が収容されていてもよい。例えば、収容室31に粉末状や顆粒状の添加物が収容されていてもよい。
【0048】
その他、本発明の主旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0049】
1 混合容器
2 容器本体
3 中栓
4 注出部材
5 オーバーキャップ
30 連通路
31 収容室
37 係止部
38 開口部
41 栓部
45 被係止部
46 被係合部
57 係合部
X 主液(第一内容物)
Y 添加物(第二内容物)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一内容物を内部に収容した容器本体と、
該容器本体の口部に装着され、前記容器本体の内部に連通される連通路及び第二内容物を収容する収容室を有する中栓と、
前記中栓に対して前記口部の軸線方向に沿って相対移動可能に設けられ、前記連通路に連通する注出口を有する注出部材と、
前記口部に着脱可能に装着されて前記注出口を覆うオーバーキャップと、
を備えており、
前記注出部材には、
前記中栓に設けられた係止部に対して軸線方向下側に間隔をあけて配設され、前記注出部材の前記中栓に対する軸線方向上側への相対移動によって前記係止部に係止される被係止部と、
前記オーバーキャップに設けられた係合部に対して係合され、前記注出部材の前記中栓に対する軸線方向上側への相対移動における前記被係止部に対する前記係止部の係止によって前記係合部から離脱される被係合部と、
前記収容室と前記注出口とを連通させる前記収容室の開口部を閉塞し、前記注出部材の前記中栓に対する軸線方向上側への相対移動によって前記開口部から離脱して該開口部を開口させる栓部と、
が備えられていることを特徴とする混合容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−260595(P2010−260595A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−111574(P2009−111574)
【出願日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】