説明

混合導電粉

【課題】高充填化された混合導電粉を提供する。
【解決手段】概略単分散された粒径の異なる略球状の銀、金、白金、パラジウム又はこれらの合金の2種類を組み合わせた粒子を含み、かつ相対充填密度が68〜80%である混合導電粉に関するものであり、上記の2種類を組み合わせた粒子のうち、一方の平均粒径が他法の平均粒径の5〜25倍であること、また上記の2種類を組み合わせた粒子のアスペクト比が1〜1.5であること、さらに上記の2種類を組み合わせた粒子のうち、粒径の小さい側の略球状の粒子の一次粒径が0.3〜1.8μmであることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性ペーストなどに使用される高充填化された混合導電粉に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、導電性ペーストなどに使用される高充填化された混合導電粉は、球状又は略球状粒子を組み合わせて作製していた(例えば、非特許文献1参照)。特に高導電性又は高熱伝導性が要求される分野では、金粉、銀粉、銅粉、アルミニウム粉、パラジウム粉又はこれらの合金粉が導電粉として用いられており、特に、導電性や熱伝導性を高くするために、導電粉の配合量を多くしていた。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】日刊工業新聞社刊、粉体工学会編、粉体工学便覧、初版1刷、昭和61年2月号(第101〜107頁)。
【0004】
上記の非特許文献1に記載されている高充填化された混合導電粉の作製法は、球状の粒子を組み合わせて均一に混合する方法である。即ち、球状の粒子を規則的に配列させ、さらに小さな粒径の球状粒子をその隙間に充填することで、理論的には80%以上の相対充填密度が得られると記載されている。
【0005】
しかしながら、実際に販売されている球状の銀粉では、粒子は一部凝集しており、粒径が5〜20μmの銀粉の相対充填密度は高々60%前後であり、粒径が1μm前後の銀微粉では相対充填密度は高々50%前後であり、これらを単純に組み合わせて混合しても、混合導電粉の相対充填密度は60%未満である。
【0006】
一般的に、孔埋め導電性ペーストをスルーホール内に充填して層間接続を行う場合、小さい孔でありながら高導電性を必要とするため、孔にできる限り導電性ペーストを充填し、すき間なく導電性ペーストを埋め込む必要がある。そのため、従来の孔埋め導電性ペーストでは、導電粉の配合量を多くして導電性を高めていた。
【0007】
しかし、導電粉の配合量を多くすると導電性ペーストの粘度が高くなり孔への充填性が悪化してしまう。一方、導電性ペースト中のバインダの比率を高くすると粘度が低くなり孔への充填性は向上するが、導電性が低下してしまうという欠点が生じる。
また、導電性ペーストを熱伝導性接着剤として使用し、貫層方向の熱伝導性を高くする場合、導電粉が球状粒子のみからなるペーストでも充填密度が低いと、熱伝導率も低くなってしまう欠点があった。
【0008】
さらに、導電性ペーストを導電性接着剤として使用する場合、自動機で注射器状のシリンジを押して導電性接着剤を所望の位置に所望量供給し、次いで別の位置に移動して、繰り返しシリンジから供給することが行われている。この場合、導電性接着剤のチキソ性が低いと、ペーストが糸引き状態になり、不要な部分に導電性接着剤を塗布してしまうトラブルも生じる。
【0009】
一般に、導電性接着剤のチキソ性を高くするには、微粉の鱗片状粒子を混合している。しかし、鱗片状の微粉粒子を併用すると粘度上昇が大きく、高充填化された導電性接着剤が製造できないという欠点があった。また相対充填密度の低い混合導電粉を使用してペーストを製造する場合、混合導電粉を高い含有率で含有するペーストを製造しようとしても、バインダに混合導電粉を添加すると粘度が極めて高くぼさぼさの状態になり、3本ロールミル、らいかい機等の混合、分散装置を使用しても分散させてペーストにすることができないという問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
請求項1記載の発明は、高充填化された混合導電粉を提供するものである。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明に加えて、流動性に優れた混合導電粉を提供するものである。
請求項3及び4記載の発明は、請求項1及び2記載の発明に加えて、粒子同士の接触が良く、ペースト化した場合に高いチキソ性の得られる混合導電粉を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、概略単分散された粒径の異なる略球状の銀、パラジウム又はこれらの合金の2種類を組み合わせた粒子を用いることにより、相対充填密度が68〜80%の高充填化された混合導電粉が得られることを見いだした。このような高充填化された混合導電粉を使用すると、作業性に優れ、また使用する材料が銀、パラジウム又はこれらの合金であるので、導電性、熱伝導性も良好な導電性ペーストが得られる。
【0012】
本発明は、概略単分散された粒径の異なる略球状の銀、パラジウム又はこれらの合金の2種類を組み合わせた粒子を含み、かつ相対充填密度が68〜80%である混合導電粉に関する。
また、本発明は、上記の2種類を組み合わせた粒子が、一方の平均粒径が他方の平均粒径の5〜25倍である混合導電粉に関する。
また、本発明は、上記の2種類を組み合わせた粒子が、アスペクト比が1〜1.5である混合導電粉に関する。
さらに、本発明は、上記の2種類を組み合わせた粒子が、粒径の小さい側の略球状の粒子の一次粒径が0.3〜1.8μmである混合導電粉に関する。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の混合導電粉は、高充填化され、導電性ペースト及び熱伝導性ペーストに最適である。
請求項2記載の混合導電粉は、請求項1記載の発明に加えて、流動性に優れる。
請求項3及び4記載の混合導電粉は、請求項1及び2記載の発明に加えて、粒子同士の接触が良く、ペースト化した場合に高いチキソ性が得られる。
【0014】
本発明において、相対充填密度が高い混合導電粉を使用して、バインダと混合した場合、粒子同士を混合する必要がなく、バインダと混合導電粉を混合するだけでよいので混合分散に要する時間が短くて済む。そして、混合導電粉の相対充填密度が高いため、少量のバインダでペースト化することができ、またバインダと混合する際、混合を開始した直後の粘度も低いので、容易に均一に混合することができる。
【0015】
概略単分散された粒径の異なる略球状粒子を別個にバインダに添加する場合、一般に略球状粒子の相対充填密度は高いものでも約63%、微小な略球状粒子の相対充填密度は高いものでも約55%であるので、バインダと混合した両者の粘度は比較的高くなる。さらに、これらを一つにまとめてペースト化しようとすると、混合物の粘度がさらに高くなり均一に混合させることが極めて難しい。
【0016】
例えば、無溶剤のバインダを使用して、概略単分散された粒径の異なる銀粉の略球状粒子からなる高充填化(相対充填密度:74%)された混合導電粉を使用すれば、これをペースト化する場合、92重量%になるような割合でバインダに混合導電粉を添加しても均一に混合することができる。しかし、相対充填密度が63%の混合導電粉を使用した場合、バインダが不足してしまい、同じ割合でバインダに添加すると、ばさばさの状態になりペースト状にはならず均一に混合することができない。即ち、本発明のように高充填化された混合導電粉を使用することで、初めて高純度化されたペーストを安定にかつ容易に生産することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に用いられる略球状の粒子としては、銀、パラジウム又はこれらの合金の粒子である。
本発明において粒径の異なる略球状の銀、パラジウム又はこれらの合金の2種類を組み合わせるとは、同一材質で粒径の異なる粒子の組み合わせでも良く、また異質な材質で粒径の異なる粒子の組み合わせのいずれでも良い。
本発明において、概略単分散されているとは、粒子の凝集の大部分が解粒されている状態を指す。
【0018】
本発明における相対充填密度(%)とは、測定した充填密度を、その粒子の真密度で除した値を%で表示したものである。なお、本発明で粒子の相対充填密度を求める方法は、25mmのストロークでタッピングを1,000回行い、その体積と質量から算出したタップ密度を充填密度とし、これをその粒子の真密度又は理論密度で除することで算出した。
【0019】
また、アスペクト比とは粒子の長径と短径の比率(長径/短径)をいう。本発明においては、粘度の低い硬化性樹脂中に粒子をよく混合し、静置して粒子を沈降させると共にそのまま樹脂を硬化させ、得られた硬化物を垂直方向に切断し、その切断面に現れる粒子の形状を電子顕微鏡で拡大して観察し、少なくとも100個の粒子について一つ一つの粒子の長径/短径を求め、それらの平均値をもってアスペクト比とする。
【0020】
上記における短径とは、前記切断面に現れる粒子について、その粒子の外側に接する二つの平行線の組み合わせで粒子を挟むように選択し、それらの組み合わせのうち最短間隔になる二つの平行線の距離である。一方、長径とは、前記短径を決する平行線に直角方向の二つの平行線であって、粒子の外側に接する二つの平行線の組み合わせのうち、最長間隔になる二つの平行線の距離である。これらの四つの線で形成される長方形は、粒子がちょうどその中に納まる大きさとなる。
【0021】
本発明において、概略単分散された略球状の粒子のアスペクト比は、SEM写真からも測定することができる。即ち、略球状の粒子を希薄な濃度で観察用ステージ上に貼り付け、これを拡大して観察し、その長径と短径を個々の粒子について測定し、アスペクト比を個々の粒子について計算し、その平均値を算出すれば良い。また凝集している略球状の粒子の一次粒径は、同様に希薄な濃度で観察用ステージ上に貼り付け、これを拡大して観察し、その長径と短径を個々の粒子について測定し、幾何平均径を計算し。これらの平均を算出すれば良い
【0022】
なお、本発明における平均粒径は、レーザー散乱型粒度分布測定装置により測定することができる。本発明においては、測定装置としてマスターサイザー(マルバン社製)を用いて測定した。
本発明において、略球状の粒子とは、その形状が概略球状と見なせる粒子で、その長径と短径の比(アスペクト比)は、1〜1.5であることが好ましく、1〜1.3であることがより好ましく、1〜1.1であることがさらに好ましい。
【0023】
また、本発明において、粒径の小さい側の略球状の粒子の一次粒径は、0.3〜1.8μmが好ましく、0.5〜1.8μmがより好ましく、0.8〜1.5μmがさらに好ましい。粒径の小さい側の略球状の粒子の一次粒径が0.3μm未満であると粒子同士の凝集が強く解粒不足を起こす場合がある。一方、1.8μmを超えると高充填化することが難しくなる。なお、一次粒径とは、粒子が凝集している場合、凝集体を構成する個々の粒子の粒径を指す。
【0024】
本発明で用いられる概略単分散された略球状の粒子の平均粒径は、一方の略球状の粒子の平均粒径が、他方の小さい粒子の一次粒径の5〜25倍が好ましく、10〜25倍がより好ましい。この倍率が小さいと高充填化が困難となる傾向があり、またこの倍率が大きすぎると、大きい方の略球状の粒子の粒径が大きくなりすぎて、ペースト化した場合、流動性を損ねたり、接着剤として使用する場合、作業性が悪くなるなどの傾向がある。
【0025】
本発明になる混合導電粉は、概略単分散された略球状の粒子を含み、その相対充填密度は68〜80%、好ましくは70〜80%とされ、相対充填密度が68%未満であると、混合導電粉の配合割合を多くした場合、導電ペーストの粘度が高くなり、反面、混合導電粉の配合割合を少なくすると、十分な導電性、熱伝導性及び信頼性が得られなくなる。一方、相対充填密度を80%以上にすることは極めて困難である。
【0026】
本発明において、概略単分散された粒径の異なる略球状の粒子の組成比は、体積比で粒径の大きい略球状の粒子:粒径の小さい略球状の粒子が85:15〜55:45であることが好ましく、80:20〜60:40であることがより好ましい。この範囲以外では高充填化することが困難となる傾向がある。上記に示す範囲にすることにより、相対充填密度が68%以上のものが得られ易い。しかし、相対充填密度を80%以上にすることは極めて困難である。
【0027】
本発明において、略球状の粒子は概略単分散されていれば良い。特に、小さい側の略球状の粒子の凝集が完全に解粒されるまで単分散を行うことは多大な時間を必要とするばかりでなく、極めて困難である。従って、本発明においては、概略単分散された略球状の粒子と凝集している略球状の粒子を一緒に混合しながら、概略単分散された粒径の大きい側の略球状の粒子で凝集した略球状の粒子を解粒すると、粒径の小さい側の略球状の粒子の変形が防止できるので好ましい。特に略球状の粒子として銀粉を使用すると、銀は導電性及び熱伝導性に優れているが、柔らかいため、凝集をビーズなどで解粒しようとすると、微小な銀粉が変形してしまうが、上記の方法で解粒を行えば、微小で凝集している銀の略球状の粒子の変形を防止しながら、解粒と均一に分散を行うことができる。
【0028】
略球状の粒子同士を均一に混合すると共に、凝集した粒径の小さい側の略球状の粒子を解粒する方法は、例えば、両者をボールミル、ロッキングミル、Vブレンダー、振動ミル等の混合機に入れ、その混合粉のみで混合することにより、凝集を解粒することができる。分散及び混合を行う方法は、上記したボールミル、ロッキングミル、Vブレンダー、振動ミル等の回転又は振動エネルギーを使用する方法が容易である。これらと類似の方法で、解粒した概略単分散された鱗片状粒子を、分散用ビーズの代わりに使用して、一部が凝集した略球状の粒子の解粒と同時に分散、混合させることができれば、その装置、方法については特に制限はない。
【0029】
但し、略球状の粒子同士の混合時に、ジルコニア、アルミナ、ガラス等の分散用ビーズを使用すると、粒径の小さな物を使用しても、粒子が変形する場合がある。また0.2mm未満の粒径の分散用ビーズを使用すると、該ビーズと混合導電粉を分離する操作が大変で、篩い分けの作業中にもビーズと略球状の粒子がぶつかりあい、凝集している微細な略球状の粒子は変形又は粉砕してしまう。特に微細な略球状の粒子が銀粉のように柔らかい金属粉の場合には、容易に変形を起こすので好ましくない。
【0030】
ここで、略球状の粒子の解粒に分散用ビーズを使用した場合と、概略単分散している大きめの略球状の粒子を使用した場合の衝突エネルギーを比較する。粒子の運動エネルギーは運動する粒子の質量に比例する。例えば、分散用ビーズの直径が0.2mm、本発明において使用する略球状の粒子の平均粒径が0.01mm(10μm)、アスペクト比が1とすると、分散用ビーズと略球状の粒子の体積比は約8000倍になる。また微粉の落下速度は分散用ビーズの落下速度より小さく、衝突エネルギーは運動速度の2乗に比例するので、分散用ビーズ同士の衝突エネルギーは微粉同士に比べて8000倍以上になる。
【0031】
従って、比重差を考慮しても分散用ビーズ同士が衝突する場合の方が略球状の粒子同士が衝突する場合に比べ、衝突のエネルギーは2000倍大きくなる。すなわち、略球状の粒子が銀粉等の柔らかい金属の場合、解粒の際にビーズの衝突エネルギーで凝集している略球状の粒子を変形させてしまうので、変形無しの解粒はできず、混合導電粉の相対充填密度を高くすることはできなくなってしまう。
【0032】
本発明においては、概略単分散された略球状の粒子及び微細な略球状の粒子の表面は必要に応じて脂肪酸で被覆されていてもよい。本発明で用いることのできる脂肪酸の例としては、ステアリン酸、ラウリン酸、カプリン酸、パルミチン酸等の飽和脂肪酸又はオレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ソルビン酸の不飽和脂肪酸等が挙げられる。
【0033】
これら粒子の表面への脂肪酸の被覆量は、粒子に対して0.02〜1.0重量%の範囲が好ましく、0.02〜0.5重量%の範囲がより好ましく、0.02〜0.3重量%の範囲がさらに好ましい。脂肪酸の被覆量が1.0重量%を超えると、粒子同士が脂肪酸によって凝集し易くなる場合もあり好ましくない。一方、0.02重量%未満では、凝集した粒径の小さい側の略球状の粒子を解粒することが困難となる。
【実施例】
【0034】
以下、本発明を実施例により説明する。
実施例1
概略単分散された略球状の粒子として、平均粒径が10μm及び相対充填密度が62%の銀粉を使用した。そのアスペクト比は1.0であった。また凝集している略球状の粒子として、一次粒径が1.1μmで、タップ密度から求めた相対充填密度が55%の銀粉を使用した。このときの前者の銀粉と後者の銀粉の粒径比は約9であった。
【0035】
上記の概略単分散された略球状の粒子60重量部と凝集している略球状の粒子40重量部を内容積が2リットルのVブレンダで132時間混合し、凝集している略球状の粒子の解粒と両者の均一分散を行って両銀粉が概略単分散された混合導電粉を得た。なお、概略単分散している略球状の粒子と凝集している略球状の粒子の体積比は、概略単分散している略球状の粒子:凝集している略球状の粒子が60:40であり、混合導電粉のタップ密度は7.78g/cmで、相対充填密度は74%であった。
【0036】
実施例2
概略単分散された略球状の粒子として、平均粒径が11μm及び相対充填密度が63%の銀粉を使用した。そのアスペクト比は1.0であった。また凝集している略球状の粒子として、一次粒径が1.0μmで、タップ密度から求めた相対充填密度が48%の銀粉を使用した。このときの前者の銀粉と後者の銀粉の粒径比は11であった。
【0037】
上記の概略単分散された略球状の粒子55重量部と凝集している略球状の粒子45重量部を内容積が2リットルのVブレンダで196時間混合し、凝集している略球状の粒子の解粒と両者の均一分散を行って両銀粉が概略単分散された混合導電粉を得た。なお、概略単分散している略球状の粒子と凝集している略球状の粒子の体積比は、概略単分散している略球状の粒子:凝集している略球状の粒子が55:45であり、混合導電粉のタップ密度は7.74g/cmで、相対充填密度は74%であった。
【0038】
実施例3
概略単分散された略球状の粒子として、平均粒径が12μm及び相対充填密度が64%の銀粉を使用した。そのアスペクト比は1.0であった。また凝集している略球状の粒子として、一次粒径が0.9μmで、タップ密度から求めた相対充填密度が55%の銀粉を使用した。このときの前者の銀粉と後者の銀粉の粒径比は約13であった。
【0039】
上記の概略単分散された略球状の粒子80重量部と凝集している略球状の粒子20重量部を内径が200mmで長さが200mmのボールミルで160時間混合し、凝集している略球状の粒子の解粒と両者の均一分散を行って両銀粉が概略単分散された混合導電粉を得た。なお、概略単分散している略球状の粒子と凝集している略球状の粒子の体積比は、概略単分散している略球状の粒子:凝集している略球状の粒子が80:20であり、混合導電粉のタップ密度は7.61g/cmで、相対充填密度は73%であった。
【0040】
実施例4
概略単分散された略球状の粒子として、平均粒径が9μm及び相対充填密度が61%の銀粉を使用した。そのアスペクト比は1.0であった。また凝集している略球状の粒子として、一次粒径が0.8μmで、タップ密度から求めた相対充填密度が45%の銀粉を使用した。このときの前者の銀粉と後者の銀粉の粒径比は約11であった。
【0041】
上記の概略単分散された略球状の粒子75重量部と凝集している略球状の粒子25重量部を内容積が2リットルのロッキングミルで236時間混合し、凝集している略球状の粒子の解粒と両者の均一分散を行って両銀粉が概略単分散された混合導電粉を得た。なお、概略単分散している略球状の粒子と凝集している略球状の粒子の体積比は、概略単分散している略球状の粒子:凝集している略球状の粒子が75:25であり、混合導電粉のタップ密度は7.541g/cmで、相対充填密度は72%であった。
【0042】
実施例5
概略単分散された略球状の粒子として、平均粒径が12μm及び相対充填密度が63%の銀粉を使用した。そのアスペクト比は1.0であった。また凝集している略球状の粒子として、一次粒径が1.0μmで、タップ密度から求めた相対充填密度が52%の銀粉を使用した。このときの前者の銀粉と後者の銀粉の粒径比は12であった。
【0043】
上記の概略単分散している略球状の粒子70重量部と凝集している略球状の粒子30重量部を内容積が2リットルのVブレンダで288時間混合し、凝集している略球状の粒子の解粒と両者の均一分散を行って両銀粉が概略単分散された混合導電粉を得た。なお、概略単分散している略球状の粒子と凝集している略球状の粒子の体積比は、概略単分散している略球状の粒子:凝集している略球状の粒子が70:30であり、混合導電粉のタップ密度は7.84g/cmで、相対充填密度は75%であった。
【0044】
実施例6
概略単分散された略球状の粒子として、平均粒径が6μm及び相対充填密度が62%の銀粉を使用した。そのアスペクト比は1.0であった。また凝集している略球状の粒子として、一次粒径が1.0μmで、タップ密度から求めた相対充填密度が52%の銀粉を使用した。このときの前者の銀粉と後者の銀粉の粒径比は6であった。
【0045】
上記の概略単分散している略球状の粒子70重量部と凝集している略球状の粒子30重量部を内容積が2リットルのVブレンダで240時間混合し、凝集している略球状の粒子の解粒と両者の均一分散を行って両銀粉が概略単分散された混合導電粉を得た。なお、概略単分散している略球状の粒子と凝集している略球状の粒子の体積比は、概略単分散している略球状の粒子:凝集している略球状の粒子が70:30であり、混合導電粉のタップ密度は7.32g/cmで、相対充填密度は70%であった。
【0046】
実施例7
概略単分散された略球状の粒子として、平均粒径が6μm及び相対充填密度が62%の銀粉を使用した。そのアスペクト比は1.0であった。また凝集している略球状の粒子としては、一次粒径が0.8μmで、タップ密度から求めた相対充填密度が48%の銀粉を使用した。このときの前者の銀粉と後者の銀粉の粒径比は7.5であった。
【0047】
上記の概略単分散している略球状の粒子75重量部と凝集している略球状の粒子25重量部を内容積が2リットルのVブレンダで192時間混合し、凝集している略球状の粒子の解粒と両者の均一分散を行って両銀粉が概略単分散された混合導電粉を得た。概略単分散している略球状の粒子と凝集している略球状の粒子の体積比は、概略単分散している略球状の粒子:凝集している略球状の粒子が75:25であり、混合導電粉のタップ密度は7.37g/cmで、相対充填密度は70%であった。
【0048】
実施例8
概略単分散された略球状の粒子として、平均粒径が6μm及び相対充填密度が62%の銀粉を使用した。そのアスペクト比は1.0であった。また凝集している略球状の粒子としては、一次粒径が0.8μmで、タップ密度から求めた相対充填密度が48%の銀粉を使用した。このときの前者の銀粉と後者の銀粉の粒径比は7.5であった。
【0049】
上記の概略単分散している略球状の粒子60重量部と凝集している略球状の粒子40重量部を内容積が2リットルのVブレンダで168時間混合し、凝集している略球状の粒子の解粒と両者の均一分散を行って両銀粉が概略単分散された混合導電粉を得た。概略単分散している略球状の粒子と凝集している略球状の粒子の体積比は、概略単分散している略球状の粒子:凝集している略球状の粒子が60:40であり、混合導電粉のタップ密度は4.28g/cmで、相対充填密度は69%であった。
【0050】
比較例1
実施例1で使用した概略単分散している略球状の粒子60重量部と実施例1で使用した凝集している略球状の粒子40重量部を内容積が2リットルのVブレンダで0.05時間混合して混合導電粉を得た。概略単分散している略球状の粒子と凝集している略球状の粒子の体積比は、概略単分散している略球状の粒子:凝集している略球状の粒子が60:40であり、混合導電粉のタップ密度は6.42g/cmで、相対充填密度は61%であった。
【0051】
比較例2
実施例2で使用した概略単分散している略球状の粒子30重量部と実施例2で使用した凝集している略球状の粒子70重量部を内容積が2リットルのVブレンダで0.1時間混合して混合導電粉を得た。概略単分散している略球状の粒子と凝集している略球状の粒子の体積比は、概略単分散している略球状の粒子:凝集している略球状の粒子が30:70であり、混合導電粉のタップ密度は5.77g/cmで、相対充填密度は55%であった。
【0052】
比較例3
実施例6で使用した概略単分散している略球状の粒子35重量部と実施例6で使用した凝集している略球状の粒子65重量部を内容積が2リットルのVブレンダで1時間混合して混合導電粉を得た。概略単分散している略球状の粒子と凝集している略球状の粒子の体積比は、概略単分散している略球状の粒子:凝集している略球状の粒子が35:70であり、混合導電粉のタップ密度は5.65g/cmで、相対充填密度は53.9%であった。
【0053】
比較例4
実施例6で使用した概略単分散している略球状の粒子60重量部と実施例6で使用した凝集している略球状の粒子40重量部を内容積が2リットルのVブレンダで0.1時間混合して混合導電粉を得た。概略単分散している略球状の粒子と凝集している略球状の粒子の体積比は、概略単分散している略球状の粒子:凝集している略球状の粒子が60:40であり、混合導電粉のタップ密度は5.86g/cmで、相対充填密度は56%であった。
【0054】
比較例5
実施例6で使用した概略単分散している略球状の粒子90gと実施例2で使用した凝集している略球状の粒子210gを、直径が0.2mmのジルコニアビーズ2kgと共に内容積が2リットルのボールミルに入れ、50min−1の回転速度で2時間混合して混合導電粉を得た。概略単分散している略球状の粒子と凝集している略球状の粒子の体積比は、概略単分散している略球状の粒子:凝集している略球状の粒子が30:70であり、混合導電粉のタップ密度は5.92g/cmで、相対充填密度は56%であった。
【0055】
上記とは別に、エポキシ当量が170g/eqのビスフェノールF型エポキシ樹脂(三井化学(株)製、商品名エポミックR110)55重量部、モノエポキサイド(旭電化工業(株)製、商品名グリシロールED―509)40重量部、2−フェニル−4−メチル−イミダゾール(四国化成(株)製、商品名キュアゾール2P4MZ)5重量部を均一に混合してバインダを得た。
【0056】
次に、上記で得たバインダ9gに、上記の実施例1〜8及び比較例1〜5で得た混合導電粉各91gを添加し、混合した。その結果、実施例1〜8で得た混合導電粉を用いたものは均一に混合でき、ペースト化することができたが、比較例1〜5で得た混合導電粉はペーストにならず、即ち、均一に混合することができず、粘度が極めて高いばさばさの固まりになってしまった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
概略単分散された粒径の異なる略球状の銀、パラジウム又はこれらの合金の2種類を組み合わせた粒子を含み、かつ相対充填密度が68〜80%である混合導電粉。
【請求項2】
請求項1記載の2種類を組み合わせた粒子が、一方の平均粒径が他方の平均粒径の5〜25倍である請求項1記載の混合導電粉。
【請求項3】
請求項1記載の2種類を組み合わせた粒子が、アスペクト比が1〜1.5である請求項1又は2記載の混合導電粉。
【請求項4】
請求項1記載の2種類を組み合わせた粒子が、粒径の小さい側の略球状の粒子の一次粒径が0.3〜1.8μmである請求項1、2又は3記載の混合導電粉。

【公開番号】特開2011−204688(P2011−204688A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−128319(P2011−128319)
【出願日】平成23年6月8日(2011.6.8)
【分割の表示】特願2004−10407(P2004−10407)の分割
【原出願日】平成16年1月19日(2004.1.19)
【出願人】(000004455)日立化成工業株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】