混合濃度測定用センサー装置
【課題】被検出流体の混合物の混合濃度を正確に検知することを目的とする。
【解決手段】内部電極23が、外部電極22の内側に同心軸上に配置され、内部電極23の長さ方向の複数個所が支持部材28a,28bを介してケーシング21から支持されており、外部電極22と内部電極23の間の通路26を通過する被検出流体Sの状態を、外部電極22と内部電極23の間の静電容量に基づいて検出する。
【解決手段】内部電極23が、外部電極22の内側に同心軸上に配置され、内部電極23の長さ方向の複数個所が支持部材28a,28bを介してケーシング21から支持されており、外部電極22と内部電極23の間の通路26を通過する被検出流体Sの状態を、外部電極22と内部電極23の間の静電容量に基づいて検出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検出流体の濃度を静電容量方式により検知するセンサー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図11は特許文献1に記載されたセンサー装置を示す。
上流側の流体配管25から下流側の流体配管27に向かって流れる被検出流体Sを静電容量と温度で検出するために、流体配管25が接続されるパイプ61と、流体配管27が接続されるパイプ62と、パイプ61とパイプ62の間に挟まれた中間パイプ63とで、流体通路64を形成している。中間パイプ63の内側の流体通路64には、内部電極65が支持部材66を介して取り付けられている。ここでは、中間パイプ63が外部電極であって、内部電極65は支持部材66によって中間パイプ63とは電気的に絶縁して取り付けられている。温度センサ67は、検知部68が支持部材66に熱的に結合して、間接的に内部電極65の温度を検出している。
【0003】
このようにして、中間パイプ63と内部電極65の間の静電容量値と、温度センサ67による検出温度とに基づいて、被検出流体Sの濃度などの状態を検出している。
また、図12は特許文献2に記載されたセンサー装置を示す。
【0004】
パイプ70,71は略T字形状に接合されており、パイプ70の一端の流入口70aから流入した被検出流体Sが、パイプ71の一端の流出口71aから流出する。パイプ70の他端は電極挿入部72で閉塞されている。内部電極73は、パイプ70の前記他端からパイプ70の前記一端に向かって挿入されている。74はパイプ70の外周面に取り付けられた温度センサである。
【0005】
このようにして、パイプ70と内部電極73の間の静電容量値と、温度センサ74による検出温度とに基づいて、被検出流体Sの濃度などの状態を検出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2009−505074号公報
【特許文献2】特許第2639753号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、図11の第1従来例では、流体通路64内の棒状の内部電極65が、支持部材66によって一箇所のみで保持されており、被検出流体Sの流速や粘度により支持部材66への余分なストレスが掛かってしまう。支持部材66への余分なストレスにより、内部電極65の振動や位置ズレなどが発生する可能性が高いため、支持部材66を太くするか、電極間距離を広くするなどの対応が一般的だが、電極間距離が広がることによる検出精度の低下は免れない。また、流体通路の断面積が不均一となり被検出流体Sの流れが乱れるため、経時的に被検出流体Sをセンシングする際に検出精度が不安定になり、被検出流体Sの細かな特性変化に気づき難いという課題を有している。
【0008】
図12の第2従来例の場合も同様で、内部電極73の一端だけが電極挿入部72で支持されているため、内部電極73の振動や位置ズレなどが発生する可能性が高い。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、被検出流体Sの流速や粘度にかかわらず、長期間にわたって高精度の検出が可能なセンサー装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の混合濃度測定用センサー装置は、筒状のケーシングの内側の通路に配置された筒状の外部電極と、前記外部電極の内側に前記外部電極と同心軸上に配置されるように前記通路の一端と他端の方向の複数個所が支持部材を介して前記ケーシングに連結された内部電極と、前記ケーシングの端部に取り付けられて内周通路が前記外部電極の内周と前記内部電極の外周との間に形成されている検出通路に連通したブラケットとを設け、前記外部電極と前記内部電極の間の通路を通過する被検出流体の状態を、前記外部電極と前記内部電極の間の静電容量に基づいて検出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、内部電極が外部電極の内側に同心軸上に保持されるように、内部電極の前記通路の一端と他端の方向の複数個所を、支持部材を介してケーシングによって支持したため、内部電極の位置を正確に保持することができ、長期間にわたって高い検出精度を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態1におけるセンサー装置の概略断面図
【図2】同実施の形態の組み立ての工程図
【図3】図2の要部の拡大断面図
【図4】図1におけるA−A断面図
【図5】図1におけるB−B断面図
【図6】実施例1のウレタン発泡設備の構成図
【図7】同実施例1の静電容量測定結果の入出力特性図
【図8】実施例2のウレタン発泡設備の構成図
【図9】実施例2の静電容量測定結果の入出力特性図
【図10】本発明の実施の形態2における要部の拡大断面図
【図11】特許文献1に記載された従来のセンサー装置の断面図
【図12】特許文献2に記載された従来のセンサー装置の断面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の各実施の形態を、図1〜図10に基づいて説明する。
(実施の形態1)
図1〜図5は実施の形態1のセンサー装置20を示す。
【0013】
このセンサー装置20は、筒状のケーシング21の内側の通路に固定された筒状の外部電極22と、外部電極22と同心軸上に外部電極22の内側に配置された内部電極23と、ケーシング21の端部に取り付けられたブラケット24a,24bを有している。被検出流体Sは、ブラケット24aに連結された流体配管25から流入する。
【0014】
センサー装置20に入った被検出流体Sは、外部電極22の内周と内部電極23の外周との間に形成されている検出通路26を流れてブラケット24bを介して、ブラケット24bに連結された流体配管27から流出する。
【0015】
両端の形状が円錐形状の内部電極23は、検出通路26の一端と他端の方向の複数個所、ここでは2個所が支持部材28a,28bを介してケーシング21によって支持されている。なお、内部電極23の長さは外部電極22の長さよりも長く、支持部材28a,28bの位置は、外部電極22と内部電極23との対向部よりも外側である。
【0016】
組み立て工程に基づいて構成を詳しく説明する。
図2(a)に示すように、中央に孔29が形成された電気絶縁体の第1部材30a,30bを、外部電極22の両端に装着する。
【0017】
第1部材30a,30bの外側に、中央に孔31が形成された電気導体の第2部材32a,32bを装着するとともに、この第2部材32a,32bの内周面と内部電極23の外周面の間を電気導体の支持部材28a,28bによって連結している。
【0018】
また、外部電極22,第1部材30a,第2部材32aの内周とブラケット24aの内部通路Eとは、面一に形成されている。外部電極22,第1部材30b,第2部材32bの内周とブラケット24bの内部通路Eも、面一に形成されている。
【0019】
具体的には、図3に示すように、第2部材32aに形成された貫通孔33と支持部材28aの中心孔34にボルト35を通して、ボルト35の先端を内部電極23に螺合させて締める。第2部材32bの側も同様にボルト留めする。
【0020】
外部電極22の端部の外周と第1部材30aの内周面の当接面がOリング36によってシールされている。第1部材30aと第2部材32aとの当接面がOリング37によってシールされている。第1部材30bと第2部材32bとの当接面も、Oリング38によってシールされている。第1部材30bと第2部材32bとの当接面がOリング39によってシールされている。
【0021】
次ぎに、図2(b)に示すように、外部電極22が装着された第1部材30a,30bと内部電極23が装着された第2部材32a,32bを、ケーシング21の内側の通路に挿入して、ケーシング21の内側の通路における径方向の位置が位置決めされる。第1部材30aの外周面とケーシング21の内周面との間をOリング40によってシールし、第1部材30bの外周面とケーシング21の内周面との間がOリング41によってシールされている。
【0022】
図2(c)では、ケーシング21の端部にブラケット24a,24bをボルト42によって取り付ける。第2部材32aとブラケット24aとの当接面がOリング43によってシールされ、第2部材32bとブラケット24bの当接面がOリング44によってシールされている。なお、ブラケット24a,24bの内周Eは、内部電極23の端部の円錐形状に沿ってテーパー状に形成されている。
【0023】
このように組み立てられた後に、ケーシング21の孔45から露出している外部電極22の外周面に、温度センサ46を熱的に結合させ、図1に示すようにケーシング21の外周面に孔45に連通するように筒47が取り付けられている。
【0024】
図4は、図1におけるA−A矢視の部分断面図である。図5は、図1におけるB−B矢視の部分断面図である。
このように構成したため、外部電極22と内部電極23の間の静電容量値を測定し被検出流体Sの薬液濃度を判定する。このとき、比誘電率は被検出流体Sの濃度以外に温度によっても変化するものであるため、温度センサ46を設置している。なお、外部電極22と内部電極23の間の静電容量値の測定、ならびに温度センサ46については、かかる測定を実施するために公知の技術を利用する。
【0025】
流体配管25から流入してセンサー装置20を通過し流体配管27から流出する流路の断面積が、支持部材28a,28bの設置箇所以外で、内部電極23とブラケット24a,24bとの間の流路の断面積と、内部電極23と外部電極22との間の流路の断面積が、ほぼ同一となるように、内部電極23の両端を円錐形状とし、ブラケット24a,24bの内周面も内部電極23の端部に沿ったテーパー状に形成したため、検出通路26を流れる被検出流体Sの流れを層流とできる。
【0026】
内部電極23の円錐部の角度は、最大角度が、60度より大きいと、流体の抵抗が大きく、センサーに力がかかり、安定した測定ができない。最小角度が10度より小さいと、センサーの厚みが薄くなり、センサーがゆがんだり、曲がったりし、測定ができない。よって、10〜60度の範囲がよい。さらに、最大角度が、60度から45度となると、流体の抵抗が下がり、さらに、被検出流体のほとんどが層流となり、測定が安定し、測定精度が上がる。最小角度が、10度から20度となると、強度が向上し、さらに、円錐部の軸方向の長さが短くなり、センサーの全長が短くなるので、測定精度が向上する。よって、20〜45度の範囲がより好ましい。
【0027】
図示の例では、内部電極23の円錐部の角度を両側とも25度に設定し、流体通路26の断面積が一定になるように構成している。
内部電極23の下流端の円錐形状をなくすと、内部電極23の下流側付近で流体が渦を巻き、その近傍の流れが乱れてしまう。図1に示したように、センサー装置20の検出通路26が一直線上になる場合は、両端を円錐形状に設定するほうが好ましい。
【0028】
支持部材28a,28bは、被検出流体Sの流動抵抗を極力軽減するために円柱形状に設定しており、直径はφ1〜3mm程度が望ましい。センサー装置20の検出範囲は外部電極22と内部電極23との対向長さで決定しており、支持部材28a,28bの間の内部電極23と対向するように、この内部電極23の外側に外部電極22を設けることで、支持部材28a,28bを設けたにもかかわらず、検出範囲は均一な断面積の円筒状を成す。
【0029】
かかる構成によれば、内部電極23の両端を支持部材28a,28bを介してケーシング21から支持して、内部電極23の位置を正確に保持するとともに、内部電極23の両端を円錐形状にして流体通路の断面積を均一にし、被検出流体を可能な限り層流状態に近づけることで、より高い検出精度を確保することができる。
【0030】
仮に、内部電極23が円柱形状で片側だけをケーシング21から支持した構成である場合、図11における支持部材66の根元部や図12における電極挿入部72の流体通路側の端部より内部電極が径方向に撓み易くなり、電極間距離が狭まることで測定精度が変わってくる。このような撓みが発生すると、流体の圧力により徐々に撓み量が大きくなり、測定精度も徐々に変化することになる。例えば、電極間距離が5mmの場合に0.5mmの撓み(ズレ)が発生すると検出精度は約10%変化することになる。また、この現象は閉空間で発生するため発見が遅れがちになり、内部電極が外部電極に接してしまった場合は検出不能となる。
【0031】
なお、上記の実施の形態において内部電極23は、図4および図5に示すように両側とも円柱状の支持部材28a,28bを介して4方向で溶着固定しているが、用途に応じて2方向や3方向としても良い。
【0032】
(実施例1)
図6はセンサー装置20を、冷蔵庫断熱材用のウレタン発泡設備の原料供給配管に介装した具体的な実施例を示している。
【0033】
本設備は第1の原料51(ポリオール成分)に、発泡剤となる第2の原料52(シクロペンタン)を混合させたプレミックス原料53からなる循環型原料供配管と、第3の原料54(イソシアネート成分)の循環型原料供給配管と、両原料を混合吐出させるミキシングヘッド55から成り、冷蔵庫などの断熱筐体へウレタン原料を注入させる生産設備である。
【0034】
第1の原料51と第2の原料52を混合するためにスタティックミキサーに代表される液―液混合器56を用いている。なお、本生産設備では発泡剤となる第2の原料52にシクロペンタンを用いていることから、本生産設備にて使用するセンサー装置20は本質安全防爆仕様とする。
【0035】
ここで、第1の原料51と第2の原料52の混合比の重要性について述べる。
第2の原料52は発泡剤であるため、混合、吐出後の流動性に大きく関係する。冷蔵庫などの断熱筐体に混合原料注入直後から時間経過と共に反応が進行し硬化していくが、発泡剤が少な過ぎると発泡倍率が少なくなるため断熱筐体の隅々まで行き渡らず充填不良となり、断熱性能が失われることに加え筐体強度も低下する。また、発泡剤が多過ぎると過度の充填となってしまい筐体の変形やウレタン漏れなどの品質不良の原因となる。このため、発泡剤となる第2の原料52の濃度管理が重要となる。
【0036】
本実施の形態1では第1の原料51と第2の原料52が混合された下流側の原料供給配管にセンサー装置20を設置し、第1の原料51に対する第2の原料52の混合割合Xを1wt%ずつ変更させた3水準(X−1/X/X+1wt%)の原料を用い、静電容量値が温度によって変化する特性を考慮し原料温度を3水準(21/23/25℃)にて測定した。
【0037】
この実施例で用いる原料の比誘電率は、第1の原料51が約11.1、第2の原料52が約2.6を示しており、高い比誘電率の物質の中に低い比誘電率の物質を混合させることから、混合割合Xが増加すれば求める静電容量値は減少すると予測できる。
【0038】
センサー装置20は、電極間距離2.8mm/検出長さ100mmの均一断面円筒形状の検出範囲を有し、発振部より200kHzの発振周波数を印加後、周波数―電圧変換回路により直流電圧に変換出力される。出力電圧は直流電圧0〜10Vの範囲で検出され、10pFの静電容量変動に対し10V変化するように調整されている。
【0039】
図7はこの場合の静電容量測定結果である。
原料温度が低いほど静電容量値は高くなり、原料温度の影響を受け易いことが分かる。どの混合割合の原料においても高い直線性を示していることから、被検出流体の温度管理を同時に行うことで容易に温度補正が可能となり、原料濃度検出に有効であることが分かる。よって、発泡ポリウレタン断熱材およびそれを用いた断熱箱体の発泡品質を向上させることができる。
【0040】
なお、電極間距離2.8mm/検出長さ100mmの検出範囲としたが、被検出流体Sの比誘電率に応じて適当な寸法設定にしても良い。
(実施例2)
図8は、ミキシングヘッド55の上流側で略大気圧で沸点が零度以下の発泡剤57(二酸化炭素)を混合している点が図6とは異なっている。この混合経路は特開2010−138239号に示されたものである。その他は図6と同じである。
【0041】
新たに混合される発泡剤57は略大気圧雰囲気に置かれると気化してプレミックス原料53に気泡が発生するため、8〜13MPa程度の高圧雰囲気下で、液―液混合器58などを用いることが望ましい。プレミックス原料53と発泡剤57は液―液混合器58で混合された後、ミキシングヘッド55にて第2の原料52と混合され、系外へ吐出される。吐出された原料には、略大気圧で容易に気化する発泡剤57を含有しているので、吐出後直ちに発泡が開始される。発泡剤57の混合割合はプレミックス原料53に対し0.1〜1wt%程度が最もよく利用される。そのため、実施の形態1と同様に発泡剤57の混合量と吐出時間における混合分布を検出し管理することは、発泡品質に大きく関わってくる。なお、発泡剤57は吐出タイミングに応じて混合されるため、循環型原料供給配管に戻ることはない。
【0042】
これまでの混合量検出方法として、コリオリ式流量計を代表される公知の流量計で発泡剤57の混合量検出が試みられてきた。コリオリ式流量計とは、U字型のフローチューブ内を被検出流体が流れることにより2つの脚(チューブ)の間で逆方向のコリオリの力が作用し、チューブがねじられ、チューブのねじれ角度を測定すれば流量が分かるというコリオリの力を利用した流量計である。しかし、このコリオリ式流量計はU字型のフローチューブを有しており、そこで発生する圧力損失や振動の影響が設備配管上にセンサー装置を設置する大きな課題に挙げられていた。本発明でターゲットとする発泡剤57の混合量はプレミックス原料3に対し0.1〜1wt%程度と少なく、コリオリ式流量計を用いる場合はさらに感度を上げるためにフローチューブを細くする必要が有り、フローチューブ内の圧力損失や振動の影響が出るなどの理由から、発泡剤57の正確な検出ができないという課題がある。
【0043】
この実施例2では、混合割合が実施例1とは大きく異なるため、センサー固有の電極容量を適正化する必要があり、センサー装置20の電極間距離1.65mm/検出長さ135mmの検出範囲に変更している。
【0044】
図9は実施例2における静電容量測定結果である。
山形の波形D1は、前述のコリオリ式流量計によるCO2流量の測定結果を示し、凹形の波形D2が、センサー装置20による測定結果を示す。両者とも実吐出時間T1は5秒であるが、前者のコリオリ式流量計による測定では、流量ピークまでの応答性が悪い上、実吐出時間を超えて測定を続けているため、実際にどのくらいの発泡剤57が混合されたのか判断ができない。一方のセンサー装置20による測定では、静電容量ピークまでの応答時間が約1秒、吐出終了時の初期値復帰までの応答時間が0.3秒以内を示しており、より高精度な測定ができると言える。また、波形の状態をより詳しく検出可能なことで混合分布をより正確に検出することが可能となる。
【0045】
(実施の形態2)
図10は本発明の実施の形態2のセンサー装置20を示す。
実施の形態1では、内部電極23と第2部材32a,32bの間を、支持部材28a,28bを挟んでボルト締めしていたが、この実施の形態2では、内部電極23と第2部材32a,32bの間を、支持部材28a,28bを挟んで溶着固定している点だけが実施の形態1とは異なっている。
【0046】
その加工工程は、第2部材32aの貫通孔33に支持部材28aを挿入し、支持部材28aの先端を内部電極23に当接させる。このとき、第2部材32aと内部電極23との間隔を規定値に維持するために、第2部材32aと内部電極23の間に電気絶縁性の間隔形成用治具48を挟む。このようにして第2部材32aと内部電極23の間隔を規定値に維持した状態で、支持部材28aを内部電極23に押し付けながら内部電極23と支持部材28aの間に通電して、支持部材28aの先端を内部電極23に熔着させる。
【0047】
次ぎに、支持部材28aと第2部材32aの間に通電して、支持部材28aを第2部材32aに熔着させる。
支持部材28bと内部電極23,支持部材28bと第2部材32bとの熔着も同様に実施し、その後に全ての間隔形成用治具48を取り外す。
【0048】
このように内部電極23と第2部材32a,32bの間を、支持部材28a,28bを挟んで溶着固定することによって、実施の形態1のボルト固定の場合に比べて、検出通路26に占める支持部材28a,28bの面積を小さくすることができ、流量検出精度の向上を期待できる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明のセンサー装置は、被検出流体中の混合物の混合濃度を正確に検知することができるため、被検出流体を用いて製造する部品や製品の品質を向上させることができる。
【符号の説明】
【0050】
20 センサー装置
21 ケーシング
22 外部電極
23 内部電極
24a,24b ブラケット
25 流体配管
26 検出通路
27 流体配管
28a,28b 支持部材
29 孔
30a,30b 第1部材
31 孔
32a,32b 第2部材
33 貫通孔
34 支持部材28aの中心孔
35,42 ボルト
36〜41,43,44 Oリング
45 ケーシング21の孔
46 温度センサ
47 筒
S 被検出流体
E ブラケット24a,24bの内周通路
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検出流体の濃度を静電容量方式により検知するセンサー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図11は特許文献1に記載されたセンサー装置を示す。
上流側の流体配管25から下流側の流体配管27に向かって流れる被検出流体Sを静電容量と温度で検出するために、流体配管25が接続されるパイプ61と、流体配管27が接続されるパイプ62と、パイプ61とパイプ62の間に挟まれた中間パイプ63とで、流体通路64を形成している。中間パイプ63の内側の流体通路64には、内部電極65が支持部材66を介して取り付けられている。ここでは、中間パイプ63が外部電極であって、内部電極65は支持部材66によって中間パイプ63とは電気的に絶縁して取り付けられている。温度センサ67は、検知部68が支持部材66に熱的に結合して、間接的に内部電極65の温度を検出している。
【0003】
このようにして、中間パイプ63と内部電極65の間の静電容量値と、温度センサ67による検出温度とに基づいて、被検出流体Sの濃度などの状態を検出している。
また、図12は特許文献2に記載されたセンサー装置を示す。
【0004】
パイプ70,71は略T字形状に接合されており、パイプ70の一端の流入口70aから流入した被検出流体Sが、パイプ71の一端の流出口71aから流出する。パイプ70の他端は電極挿入部72で閉塞されている。内部電極73は、パイプ70の前記他端からパイプ70の前記一端に向かって挿入されている。74はパイプ70の外周面に取り付けられた温度センサである。
【0005】
このようにして、パイプ70と内部電極73の間の静電容量値と、温度センサ74による検出温度とに基づいて、被検出流体Sの濃度などの状態を検出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2009−505074号公報
【特許文献2】特許第2639753号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、図11の第1従来例では、流体通路64内の棒状の内部電極65が、支持部材66によって一箇所のみで保持されており、被検出流体Sの流速や粘度により支持部材66への余分なストレスが掛かってしまう。支持部材66への余分なストレスにより、内部電極65の振動や位置ズレなどが発生する可能性が高いため、支持部材66を太くするか、電極間距離を広くするなどの対応が一般的だが、電極間距離が広がることによる検出精度の低下は免れない。また、流体通路の断面積が不均一となり被検出流体Sの流れが乱れるため、経時的に被検出流体Sをセンシングする際に検出精度が不安定になり、被検出流体Sの細かな特性変化に気づき難いという課題を有している。
【0008】
図12の第2従来例の場合も同様で、内部電極73の一端だけが電極挿入部72で支持されているため、内部電極73の振動や位置ズレなどが発生する可能性が高い。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、被検出流体Sの流速や粘度にかかわらず、長期間にわたって高精度の検出が可能なセンサー装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の混合濃度測定用センサー装置は、筒状のケーシングの内側の通路に配置された筒状の外部電極と、前記外部電極の内側に前記外部電極と同心軸上に配置されるように前記通路の一端と他端の方向の複数個所が支持部材を介して前記ケーシングに連結された内部電極と、前記ケーシングの端部に取り付けられて内周通路が前記外部電極の内周と前記内部電極の外周との間に形成されている検出通路に連通したブラケットとを設け、前記外部電極と前記内部電極の間の通路を通過する被検出流体の状態を、前記外部電極と前記内部電極の間の静電容量に基づいて検出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、内部電極が外部電極の内側に同心軸上に保持されるように、内部電極の前記通路の一端と他端の方向の複数個所を、支持部材を介してケーシングによって支持したため、内部電極の位置を正確に保持することができ、長期間にわたって高い検出精度を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態1におけるセンサー装置の概略断面図
【図2】同実施の形態の組み立ての工程図
【図3】図2の要部の拡大断面図
【図4】図1におけるA−A断面図
【図5】図1におけるB−B断面図
【図6】実施例1のウレタン発泡設備の構成図
【図7】同実施例1の静電容量測定結果の入出力特性図
【図8】実施例2のウレタン発泡設備の構成図
【図9】実施例2の静電容量測定結果の入出力特性図
【図10】本発明の実施の形態2における要部の拡大断面図
【図11】特許文献1に記載された従来のセンサー装置の断面図
【図12】特許文献2に記載された従来のセンサー装置の断面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の各実施の形態を、図1〜図10に基づいて説明する。
(実施の形態1)
図1〜図5は実施の形態1のセンサー装置20を示す。
【0013】
このセンサー装置20は、筒状のケーシング21の内側の通路に固定された筒状の外部電極22と、外部電極22と同心軸上に外部電極22の内側に配置された内部電極23と、ケーシング21の端部に取り付けられたブラケット24a,24bを有している。被検出流体Sは、ブラケット24aに連結された流体配管25から流入する。
【0014】
センサー装置20に入った被検出流体Sは、外部電極22の内周と内部電極23の外周との間に形成されている検出通路26を流れてブラケット24bを介して、ブラケット24bに連結された流体配管27から流出する。
【0015】
両端の形状が円錐形状の内部電極23は、検出通路26の一端と他端の方向の複数個所、ここでは2個所が支持部材28a,28bを介してケーシング21によって支持されている。なお、内部電極23の長さは外部電極22の長さよりも長く、支持部材28a,28bの位置は、外部電極22と内部電極23との対向部よりも外側である。
【0016】
組み立て工程に基づいて構成を詳しく説明する。
図2(a)に示すように、中央に孔29が形成された電気絶縁体の第1部材30a,30bを、外部電極22の両端に装着する。
【0017】
第1部材30a,30bの外側に、中央に孔31が形成された電気導体の第2部材32a,32bを装着するとともに、この第2部材32a,32bの内周面と内部電極23の外周面の間を電気導体の支持部材28a,28bによって連結している。
【0018】
また、外部電極22,第1部材30a,第2部材32aの内周とブラケット24aの内部通路Eとは、面一に形成されている。外部電極22,第1部材30b,第2部材32bの内周とブラケット24bの内部通路Eも、面一に形成されている。
【0019】
具体的には、図3に示すように、第2部材32aに形成された貫通孔33と支持部材28aの中心孔34にボルト35を通して、ボルト35の先端を内部電極23に螺合させて締める。第2部材32bの側も同様にボルト留めする。
【0020】
外部電極22の端部の外周と第1部材30aの内周面の当接面がOリング36によってシールされている。第1部材30aと第2部材32aとの当接面がOリング37によってシールされている。第1部材30bと第2部材32bとの当接面も、Oリング38によってシールされている。第1部材30bと第2部材32bとの当接面がOリング39によってシールされている。
【0021】
次ぎに、図2(b)に示すように、外部電極22が装着された第1部材30a,30bと内部電極23が装着された第2部材32a,32bを、ケーシング21の内側の通路に挿入して、ケーシング21の内側の通路における径方向の位置が位置決めされる。第1部材30aの外周面とケーシング21の内周面との間をOリング40によってシールし、第1部材30bの外周面とケーシング21の内周面との間がOリング41によってシールされている。
【0022】
図2(c)では、ケーシング21の端部にブラケット24a,24bをボルト42によって取り付ける。第2部材32aとブラケット24aとの当接面がOリング43によってシールされ、第2部材32bとブラケット24bの当接面がOリング44によってシールされている。なお、ブラケット24a,24bの内周Eは、内部電極23の端部の円錐形状に沿ってテーパー状に形成されている。
【0023】
このように組み立てられた後に、ケーシング21の孔45から露出している外部電極22の外周面に、温度センサ46を熱的に結合させ、図1に示すようにケーシング21の外周面に孔45に連通するように筒47が取り付けられている。
【0024】
図4は、図1におけるA−A矢視の部分断面図である。図5は、図1におけるB−B矢視の部分断面図である。
このように構成したため、外部電極22と内部電極23の間の静電容量値を測定し被検出流体Sの薬液濃度を判定する。このとき、比誘電率は被検出流体Sの濃度以外に温度によっても変化するものであるため、温度センサ46を設置している。なお、外部電極22と内部電極23の間の静電容量値の測定、ならびに温度センサ46については、かかる測定を実施するために公知の技術を利用する。
【0025】
流体配管25から流入してセンサー装置20を通過し流体配管27から流出する流路の断面積が、支持部材28a,28bの設置箇所以外で、内部電極23とブラケット24a,24bとの間の流路の断面積と、内部電極23と外部電極22との間の流路の断面積が、ほぼ同一となるように、内部電極23の両端を円錐形状とし、ブラケット24a,24bの内周面も内部電極23の端部に沿ったテーパー状に形成したため、検出通路26を流れる被検出流体Sの流れを層流とできる。
【0026】
内部電極23の円錐部の角度は、最大角度が、60度より大きいと、流体の抵抗が大きく、センサーに力がかかり、安定した測定ができない。最小角度が10度より小さいと、センサーの厚みが薄くなり、センサーがゆがんだり、曲がったりし、測定ができない。よって、10〜60度の範囲がよい。さらに、最大角度が、60度から45度となると、流体の抵抗が下がり、さらに、被検出流体のほとんどが層流となり、測定が安定し、測定精度が上がる。最小角度が、10度から20度となると、強度が向上し、さらに、円錐部の軸方向の長さが短くなり、センサーの全長が短くなるので、測定精度が向上する。よって、20〜45度の範囲がより好ましい。
【0027】
図示の例では、内部電極23の円錐部の角度を両側とも25度に設定し、流体通路26の断面積が一定になるように構成している。
内部電極23の下流端の円錐形状をなくすと、内部電極23の下流側付近で流体が渦を巻き、その近傍の流れが乱れてしまう。図1に示したように、センサー装置20の検出通路26が一直線上になる場合は、両端を円錐形状に設定するほうが好ましい。
【0028】
支持部材28a,28bは、被検出流体Sの流動抵抗を極力軽減するために円柱形状に設定しており、直径はφ1〜3mm程度が望ましい。センサー装置20の検出範囲は外部電極22と内部電極23との対向長さで決定しており、支持部材28a,28bの間の内部電極23と対向するように、この内部電極23の外側に外部電極22を設けることで、支持部材28a,28bを設けたにもかかわらず、検出範囲は均一な断面積の円筒状を成す。
【0029】
かかる構成によれば、内部電極23の両端を支持部材28a,28bを介してケーシング21から支持して、内部電極23の位置を正確に保持するとともに、内部電極23の両端を円錐形状にして流体通路の断面積を均一にし、被検出流体を可能な限り層流状態に近づけることで、より高い検出精度を確保することができる。
【0030】
仮に、内部電極23が円柱形状で片側だけをケーシング21から支持した構成である場合、図11における支持部材66の根元部や図12における電極挿入部72の流体通路側の端部より内部電極が径方向に撓み易くなり、電極間距離が狭まることで測定精度が変わってくる。このような撓みが発生すると、流体の圧力により徐々に撓み量が大きくなり、測定精度も徐々に変化することになる。例えば、電極間距離が5mmの場合に0.5mmの撓み(ズレ)が発生すると検出精度は約10%変化することになる。また、この現象は閉空間で発生するため発見が遅れがちになり、内部電極が外部電極に接してしまった場合は検出不能となる。
【0031】
なお、上記の実施の形態において内部電極23は、図4および図5に示すように両側とも円柱状の支持部材28a,28bを介して4方向で溶着固定しているが、用途に応じて2方向や3方向としても良い。
【0032】
(実施例1)
図6はセンサー装置20を、冷蔵庫断熱材用のウレタン発泡設備の原料供給配管に介装した具体的な実施例を示している。
【0033】
本設備は第1の原料51(ポリオール成分)に、発泡剤となる第2の原料52(シクロペンタン)を混合させたプレミックス原料53からなる循環型原料供配管と、第3の原料54(イソシアネート成分)の循環型原料供給配管と、両原料を混合吐出させるミキシングヘッド55から成り、冷蔵庫などの断熱筐体へウレタン原料を注入させる生産設備である。
【0034】
第1の原料51と第2の原料52を混合するためにスタティックミキサーに代表される液―液混合器56を用いている。なお、本生産設備では発泡剤となる第2の原料52にシクロペンタンを用いていることから、本生産設備にて使用するセンサー装置20は本質安全防爆仕様とする。
【0035】
ここで、第1の原料51と第2の原料52の混合比の重要性について述べる。
第2の原料52は発泡剤であるため、混合、吐出後の流動性に大きく関係する。冷蔵庫などの断熱筐体に混合原料注入直後から時間経過と共に反応が進行し硬化していくが、発泡剤が少な過ぎると発泡倍率が少なくなるため断熱筐体の隅々まで行き渡らず充填不良となり、断熱性能が失われることに加え筐体強度も低下する。また、発泡剤が多過ぎると過度の充填となってしまい筐体の変形やウレタン漏れなどの品質不良の原因となる。このため、発泡剤となる第2の原料52の濃度管理が重要となる。
【0036】
本実施の形態1では第1の原料51と第2の原料52が混合された下流側の原料供給配管にセンサー装置20を設置し、第1の原料51に対する第2の原料52の混合割合Xを1wt%ずつ変更させた3水準(X−1/X/X+1wt%)の原料を用い、静電容量値が温度によって変化する特性を考慮し原料温度を3水準(21/23/25℃)にて測定した。
【0037】
この実施例で用いる原料の比誘電率は、第1の原料51が約11.1、第2の原料52が約2.6を示しており、高い比誘電率の物質の中に低い比誘電率の物質を混合させることから、混合割合Xが増加すれば求める静電容量値は減少すると予測できる。
【0038】
センサー装置20は、電極間距離2.8mm/検出長さ100mmの均一断面円筒形状の検出範囲を有し、発振部より200kHzの発振周波数を印加後、周波数―電圧変換回路により直流電圧に変換出力される。出力電圧は直流電圧0〜10Vの範囲で検出され、10pFの静電容量変動に対し10V変化するように調整されている。
【0039】
図7はこの場合の静電容量測定結果である。
原料温度が低いほど静電容量値は高くなり、原料温度の影響を受け易いことが分かる。どの混合割合の原料においても高い直線性を示していることから、被検出流体の温度管理を同時に行うことで容易に温度補正が可能となり、原料濃度検出に有効であることが分かる。よって、発泡ポリウレタン断熱材およびそれを用いた断熱箱体の発泡品質を向上させることができる。
【0040】
なお、電極間距離2.8mm/検出長さ100mmの検出範囲としたが、被検出流体Sの比誘電率に応じて適当な寸法設定にしても良い。
(実施例2)
図8は、ミキシングヘッド55の上流側で略大気圧で沸点が零度以下の発泡剤57(二酸化炭素)を混合している点が図6とは異なっている。この混合経路は特開2010−138239号に示されたものである。その他は図6と同じである。
【0041】
新たに混合される発泡剤57は略大気圧雰囲気に置かれると気化してプレミックス原料53に気泡が発生するため、8〜13MPa程度の高圧雰囲気下で、液―液混合器58などを用いることが望ましい。プレミックス原料53と発泡剤57は液―液混合器58で混合された後、ミキシングヘッド55にて第2の原料52と混合され、系外へ吐出される。吐出された原料には、略大気圧で容易に気化する発泡剤57を含有しているので、吐出後直ちに発泡が開始される。発泡剤57の混合割合はプレミックス原料53に対し0.1〜1wt%程度が最もよく利用される。そのため、実施の形態1と同様に発泡剤57の混合量と吐出時間における混合分布を検出し管理することは、発泡品質に大きく関わってくる。なお、発泡剤57は吐出タイミングに応じて混合されるため、循環型原料供給配管に戻ることはない。
【0042】
これまでの混合量検出方法として、コリオリ式流量計を代表される公知の流量計で発泡剤57の混合量検出が試みられてきた。コリオリ式流量計とは、U字型のフローチューブ内を被検出流体が流れることにより2つの脚(チューブ)の間で逆方向のコリオリの力が作用し、チューブがねじられ、チューブのねじれ角度を測定すれば流量が分かるというコリオリの力を利用した流量計である。しかし、このコリオリ式流量計はU字型のフローチューブを有しており、そこで発生する圧力損失や振動の影響が設備配管上にセンサー装置を設置する大きな課題に挙げられていた。本発明でターゲットとする発泡剤57の混合量はプレミックス原料3に対し0.1〜1wt%程度と少なく、コリオリ式流量計を用いる場合はさらに感度を上げるためにフローチューブを細くする必要が有り、フローチューブ内の圧力損失や振動の影響が出るなどの理由から、発泡剤57の正確な検出ができないという課題がある。
【0043】
この実施例2では、混合割合が実施例1とは大きく異なるため、センサー固有の電極容量を適正化する必要があり、センサー装置20の電極間距離1.65mm/検出長さ135mmの検出範囲に変更している。
【0044】
図9は実施例2における静電容量測定結果である。
山形の波形D1は、前述のコリオリ式流量計によるCO2流量の測定結果を示し、凹形の波形D2が、センサー装置20による測定結果を示す。両者とも実吐出時間T1は5秒であるが、前者のコリオリ式流量計による測定では、流量ピークまでの応答性が悪い上、実吐出時間を超えて測定を続けているため、実際にどのくらいの発泡剤57が混合されたのか判断ができない。一方のセンサー装置20による測定では、静電容量ピークまでの応答時間が約1秒、吐出終了時の初期値復帰までの応答時間が0.3秒以内を示しており、より高精度な測定ができると言える。また、波形の状態をより詳しく検出可能なことで混合分布をより正確に検出することが可能となる。
【0045】
(実施の形態2)
図10は本発明の実施の形態2のセンサー装置20を示す。
実施の形態1では、内部電極23と第2部材32a,32bの間を、支持部材28a,28bを挟んでボルト締めしていたが、この実施の形態2では、内部電極23と第2部材32a,32bの間を、支持部材28a,28bを挟んで溶着固定している点だけが実施の形態1とは異なっている。
【0046】
その加工工程は、第2部材32aの貫通孔33に支持部材28aを挿入し、支持部材28aの先端を内部電極23に当接させる。このとき、第2部材32aと内部電極23との間隔を規定値に維持するために、第2部材32aと内部電極23の間に電気絶縁性の間隔形成用治具48を挟む。このようにして第2部材32aと内部電極23の間隔を規定値に維持した状態で、支持部材28aを内部電極23に押し付けながら内部電極23と支持部材28aの間に通電して、支持部材28aの先端を内部電極23に熔着させる。
【0047】
次ぎに、支持部材28aと第2部材32aの間に通電して、支持部材28aを第2部材32aに熔着させる。
支持部材28bと内部電極23,支持部材28bと第2部材32bとの熔着も同様に実施し、その後に全ての間隔形成用治具48を取り外す。
【0048】
このように内部電極23と第2部材32a,32bの間を、支持部材28a,28bを挟んで溶着固定することによって、実施の形態1のボルト固定の場合に比べて、検出通路26に占める支持部材28a,28bの面積を小さくすることができ、流量検出精度の向上を期待できる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明のセンサー装置は、被検出流体中の混合物の混合濃度を正確に検知することができるため、被検出流体を用いて製造する部品や製品の品質を向上させることができる。
【符号の説明】
【0050】
20 センサー装置
21 ケーシング
22 外部電極
23 内部電極
24a,24b ブラケット
25 流体配管
26 検出通路
27 流体配管
28a,28b 支持部材
29 孔
30a,30b 第1部材
31 孔
32a,32b 第2部材
33 貫通孔
34 支持部材28aの中心孔
35,42 ボルト
36〜41,43,44 Oリング
45 ケーシング21の孔
46 温度センサ
47 筒
S 被検出流体
E ブラケット24a,24bの内周通路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状のケーシングの内側の通路に配置された筒状の外部電極と、
前記外部電極の内側に前記外部電極と同心軸上に配置されるように前記通路の一端と他端の方向の複数個所が支持部材を介して前記ケーシングに連結された内部電極と、
前記ケーシングの端部に取り付けられて内周通路が前記外部電極の内周と前記内部電極の外周との間に形成されている検出通路に連通したブラケットと
を設け、
前記外部電極と前記内部電極の間の通路を通過する被検出流体の状態を、前記外部電極と前記内部電極の間の静電容量に基づいて検出する
混合濃度測定用センサー装置。
【請求項2】
前記内部電極の端部が前記ブラケットの内周通路に延設され、
前記内部電極と前記ブラケットとの間の流路の断面積と、前記内部電極と前記外部電極との間の流路の断面積が、ほぼ同一である
請求項1記載の混合濃度測定用センサー装置。
【請求項3】
前記内部電極の端部の形状が円錐形状であり、
前記ブラケットの内周通路が前記部電極の端部の円錐形状に沿ってテーパー状に形成されている
請求項2記載の混合濃度測定用センサー装置。
【請求項4】
前記内部電極の端部の円錐形状が10〜60度の角度である
請求項3記載の混合濃度測定用センサー装置。
【請求項5】
前記内部電極の周方向の2個所以上を、前記支持部材によって前記ケーシングに取り付けた
請求項1記載の混合濃度測定用センサー装置。
【請求項6】
中央に前記内部電極が貫通する孔が形成された電気絶縁体の第1部材が、前記外部電極の両端に装着され、
中央に前記内部電極が貫通する孔が形成された電気導体の第2部材を前記第1部材の外側に装着するとともに、この第2部材の内周面と前記内部電極の外周面の間を電気導体の前記支持部材によって連結され、
前記外部電極が装着された第1部材と前記内部電極が装着された第2部材を、前記ケーシングの内側の通路に挿入して、前記ケーシングの内側の通路における径方向の位置が位置決めされ、
前記ケーシングの端部に前記ブラケットを取り付けて前記ケーシングの内側の通路における、前記外部電極,前記内部電極,前記第1部材,前記第2部材の、前記通路の一端と他端の方向の位置が位置決めされ、
前記外部電極と前記第1部材の間、前記第1部材と前記外部電極の間、前記第1部材と前記第2部材の間、前記第2部材と前記ブラケットの間を、それぞれシール材でシールして、被検出流体が前記外部電極と前記内部電極の間を流れるようにした
請求項1記載の混合濃度測定用センサー装置。
【請求項7】
前記外部電極に温度センサーが熱結合している
請求項6記載の混合濃度測定用センサー装置。
【請求項1】
筒状のケーシングの内側の通路に配置された筒状の外部電極と、
前記外部電極の内側に前記外部電極と同心軸上に配置されるように前記通路の一端と他端の方向の複数個所が支持部材を介して前記ケーシングに連結された内部電極と、
前記ケーシングの端部に取り付けられて内周通路が前記外部電極の内周と前記内部電極の外周との間に形成されている検出通路に連通したブラケットと
を設け、
前記外部電極と前記内部電極の間の通路を通過する被検出流体の状態を、前記外部電極と前記内部電極の間の静電容量に基づいて検出する
混合濃度測定用センサー装置。
【請求項2】
前記内部電極の端部が前記ブラケットの内周通路に延設され、
前記内部電極と前記ブラケットとの間の流路の断面積と、前記内部電極と前記外部電極との間の流路の断面積が、ほぼ同一である
請求項1記載の混合濃度測定用センサー装置。
【請求項3】
前記内部電極の端部の形状が円錐形状であり、
前記ブラケットの内周通路が前記部電極の端部の円錐形状に沿ってテーパー状に形成されている
請求項2記載の混合濃度測定用センサー装置。
【請求項4】
前記内部電極の端部の円錐形状が10〜60度の角度である
請求項3記載の混合濃度測定用センサー装置。
【請求項5】
前記内部電極の周方向の2個所以上を、前記支持部材によって前記ケーシングに取り付けた
請求項1記載の混合濃度測定用センサー装置。
【請求項6】
中央に前記内部電極が貫通する孔が形成された電気絶縁体の第1部材が、前記外部電極の両端に装着され、
中央に前記内部電極が貫通する孔が形成された電気導体の第2部材を前記第1部材の外側に装着するとともに、この第2部材の内周面と前記内部電極の外周面の間を電気導体の前記支持部材によって連結され、
前記外部電極が装着された第1部材と前記内部電極が装着された第2部材を、前記ケーシングの内側の通路に挿入して、前記ケーシングの内側の通路における径方向の位置が位置決めされ、
前記ケーシングの端部に前記ブラケットを取り付けて前記ケーシングの内側の通路における、前記外部電極,前記内部電極,前記第1部材,前記第2部材の、前記通路の一端と他端の方向の位置が位置決めされ、
前記外部電極と前記第1部材の間、前記第1部材と前記外部電極の間、前記第1部材と前記第2部材の間、前記第2部材と前記ブラケットの間を、それぞれシール材でシールして、被検出流体が前記外部電極と前記内部電極の間を流れるようにした
請求項1記載の混合濃度測定用センサー装置。
【請求項7】
前記外部電極に温度センサーが熱結合している
請求項6記載の混合濃度測定用センサー装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−237558(P2012−237558A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−104806(P2011−104806)
【出願日】平成23年5月10日(2011.5.10)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月10日(2011.5.10)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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