混合物からの成分の連続的な磁気的分離方法
【課題】化学的物質の混合物、例えば全血サンプルから成分を連続的にオン−ラインで分離するための多次元的勾配を有する磁気装置を提供する。
【解決手段】内部に磁気粒子を含む微小球体は混合チャンバー12の中で全血サンプルと共に攪拌され、微小球体が全血サンプルの血液成分(赤血球)に結合する。微小球体が結合した血液成分を含有する血液サンプルが分離チャンバー22を有する第1の磁気装置20の中に導入される。サンプルはチャンバー22の中にその入口23を通って入る。チャンバー22は複数の溝部25および複数の磁石27を有している。これらの磁石27は互いに接触している。また、これらの磁石は一定の磁場を形成しており、この磁場は溝部25内の微小球体が付着した血液成分を捕捉し、残りの血液(白血球、血小板およびプラズマ)が溝部25を通過して分離チャンバー22の出口24から送り出される。
【解決手段】内部に磁気粒子を含む微小球体は混合チャンバー12の中で全血サンプルと共に攪拌され、微小球体が全血サンプルの血液成分(赤血球)に結合する。微小球体が結合した血液成分を含有する血液サンプルが分離チャンバー22を有する第1の磁気装置20の中に導入される。サンプルはチャンバー22の中にその入口23を通って入る。チャンバー22は複数の溝部25および複数の磁石27を有している。これらの磁石27は互いに接触している。また、これらの磁石は一定の磁場を形成しており、この磁場は溝部25内の微小球体が付着した血液成分を捕捉し、残りの血液(白血球、血小板およびプラズマ)が溝部25を通過して分離チャンバー22の出口24から送り出される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は化学的物質の混合物から成分を連続的にオン−ラインで分離するための多次元的勾配を有する磁気システムおよび装置に関する。本発明のシステムおよび装置は特に全血サンプルから血液成分を分離するために使用できる。また、本発明は多次元的勾配を用いて化学的物質の混合物から成分を連続的かつ磁気的に分離する方法、および連続的な磁気的分離装置を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
全血サンプルからの血液成分の分離および単離は当該血液成分の処理および臨床的かつ研究的検査における重要な態様であり、血液成分の分離のための多くの方法および装置がある。
【0003】
全血は低速の遠心分離により(あるいは血液凝固防止剤が存在している場合に)血清と呼ばれる無細胞流体および細胞および血小板を含有するペレットに分離できる。この分離した流体は約92%の水を含む他に、電解質、リポ蛋白、蛋白、ホルモン、およびビタミン等の栄養物質を含んでいる。リポ蛋白は脂質の主な運搬分子であり、ビタミンEおよびベータカロチン(プロビタミンA)も運搬する。また、リポ蛋白はさらに超低密度のリポ蛋白、低密度リポ蛋白および高密度リポ蛋白に分けられる。多量の低密度リポ蛋白はアテローム硬化症および心臓血管病に関連する。これに対して、多量の高密度リポ蛋白はアテローム硬化症に対する保護作用を有すると考えられている。
【0004】
プラズマ(血漿)内に見られる主な蛋白質はアルブミン、グロブリン、フィブリノーゲンである。とりわけ、アルブミンは最も豊富なプラズマ蛋白(約60%)であり、非エステル化脂肪酸に対応するキャリヤ分子である。また、アルブミンは血液の浸透圧を維持する役割を果たす。グロブリンはさらに分割されてアルファ−、ベータ−、およびガンマ−グロブリンになる。このガンマ−グロブリンの部分は体液性免疫系における抗体として機能する分子を含んでいる。また、フィブリノーゲンは血塊(clot)形成において機能する。
【0005】
赤血球細胞(または赤血球)は血液内に見られる主な細胞である。この特異的な細胞は膜を有しているが、他の膜様の小器官を有しておらず、細胞核も存在しない。この赤血球の主な機能は組織への酸素の運搬および二酸化炭素の除去である。この赤血球の中の酸素運搬分子はヘモグロビンである。赤血球は両凹形状をしていて、極めて変形しやすく、毛細管(capillaries)中で移動できる。貧血症の場合において、血液の一定容量中の赤血球の数が少なく、組織への酸素供給能力が低下する。この場合、栄養的および/または遺伝的な因子が貧血症に起因すると考えられる。
【0006】
さらに、血液は白血球および血小板を含んでいる。白血球細胞(または白血球)は単核細胞、リンパ球、好中球、好酸球、好塩基球を含む。好中球、好酸球、好塩基球(これら3種類の細胞は全て顆粒球と呼ばれる)、および単核細胞は食細胞である。これらの食細胞およびリンパ球は免疫系統において重要な役割を果たす。また、血小板は血塊形成において機能する。
【0007】
血液成分は磁化特性を有しているので、このような血液成分を磁気を利用して分離および単離する多くの試みが行われてきた。このような従来技術における最も一般的な問題は連続的な様式で分離処理を行うことができないことと、多次元的な勾配を使用していないことである。さらに、このような従来技術はデカップリング処理を行わず、これらの従来技術の一部は一定の流動段階ではなく静止した段階において分離処理を行っている。
【0008】
Sorenson他に発行された米国特許第4,910,148号は磁気ビーズに細胞を連結するためにモノクローン抗体を使用する生物流体、特に白血球から磁化した粒子を分離するための方法および装置に関係している。本発明とは対照的に、このSorensonの分離方法は静止(すなわち、流動していない)状態でプラスチックの血液袋の中で行われる。(このSorensonの方法では、)磁気ビーズが攪拌処理により癌の白血球に連結した後に磁場をかけることにより、この磁気ビーズを伴う白血球が廃棄可能なプラスチックバッグ内に保持される。また、Sorensonの装置は磁気勾配(磁力)を最適化しない磁石の間の空間部を必要とする。さらに、このSorenson装置の背面プレートは軟質磁性体であり、磁石はサマリウム−コバルト合金である。このSorensonの方法は血液袋(150ml)を使用してビーズと白血球との間のデカップリング処理がないために処理容量が制限される。実際において、これらの細胞は分離後に廃棄可能な血液袋の中に残る。
【0009】
Lansdorp他に発行された米国特許第5,514,340号は磁場をかけてサンプル中の磁気的にラベル化した細胞を分離するための装置に関係している。このLansdorp(の装置)は磁気粒子を誘引するための磁化したスクリーンを用いて当該スクリーンの磁気ワイヤ中に生物流体を捕捉することを可能にしている。このLansdorp(の装置)において使用される磁石は血液細胞と接触するために常に洗浄することが必要である。
【0010】
Ekenberg他に発行された米国特許第5,567,326号は磁気応答性の粒子が懸濁されている非磁性体の試験媒体から当該磁気応答性の粒子を分離するための装置および方法に関係している。このEkenberg(の方法)においては、少量ずつの生物流体がチューブの中に配置された後に、分離用の磁気ピンが流体の中に挿入される。
【0011】
Wang他に発行された米国特許第5,541,072号は非磁性体の付随物質および媒体から磁性体粒子および/または磁性体の付随物質を分離するための方法および装置に関係している。本発明とは異なり、このWangの方法は磁石を2個の対向する側に配置しているために、利用できる最適な磁気勾配(磁力)を利用していない。
【0012】
Li他に発行された米国特許第4,988,618号はイムノアッセイまたはハイブリダイゼーションアッセイにおいて使用するための磁気分離装置に関係している。このLiの装置は鉄金属粒子を含むサンプルおよび検定成分を保持する非鉄金属コンテナを受容するための複数のオリフィスを有する基台部分により構成されている。これらのオリフィスは当該オリフィスの周囲に離間する複数の磁石により囲まれている。
【0013】
Ullman他に発行された米国特許第4,935,147号は液体媒体から物質を分離するための方法に関しており、特に、水性懸濁液からの細胞および微生物の分離、および被検体の決定に適用できる。このUllman(の特許)は可逆的な非特異的カップリング処理を伴う方法について述べているが、この方法は連続的ではなく、多次元的勾配も利用していない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は多次元的勾配を用いて化学的物質の混合物から成分を連続的に分離するためのシステム、装置および方法を提供することにより上記の問題を解消する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
従って、本発明の目的は化学的物質の混合物から成分を連続的にオン−ラインで分離するための多次元的勾配を有する磁気システムおよび装置を提供することである。
【0016】
本発明の別の目的は全血サンプルから血液成分を連続的にオン−ラインで分離するための装置およびシステムを提供することである。
【0017】
本発明のさらに別の目的は多次元的勾配を利用して化学的物質の混合物から血液成分を連続的かつ磁気的に分離するための方法を提供することである。
【0018】
本発明のさらに別の目的は連続的磁気血液分離装置を製造する方法を提供することである。
【0019】
本発明のさらに別の目的は連続的な血流を使用し、デカップリング処理を有する全血サンプルから血液成分を連続的かつ磁気的に分離するためのシステムおよび方法を提供することである。
【0020】
本発明は化学的物質の混合物から成分を連続的にオン−ラインで分離するための多次元的勾配を有する磁気システムに関する。このシステムは、(a)上記混合物および磁気粒子を攪拌して、この攪拌により当該粒子を混合物の成分に付着させるための少なくとも1個の混合チャンバーと、(b)少なくとも1個の分離チャンバーにより構成されている。この分離チャンバーは複数の磁石と、入口および出口を有する複数の溝部を備えている。これらの磁石は溝部の一方の側に配置されていて、互いに接触して一定の磁場を形成する。(磁気)粒子が付着した成分を含有する混合物は分離チャンバーの溝部の入口内に導入され、磁石の磁場はこの粒子が付着した成分を溝部内において捕捉し、残りの混合物は分離チャンバーの溝部の出口から送り出される。
【0021】
本発明の別の実施形態においては、上記磁気システムがさらに溝部の入口を通して溶液を導入して磁場の不活性化時に分離チャンバーの溝部の出口を通して粒子が付着した成分を流し出すための溶液溜めを備えている。さらに、この磁気システムはデカップリング剤を粒子が付着した成分に誘導するためのデカップリング剤溜めと、デカップリング剤および粒子が付着した成分を攪拌して当該粒子および成分を分離可能にするための付加的な混合チャンバーを備えている。実施形態の一例において、このデカップリング剤が上記成分に付着して、磁気粒子が離脱する。このデカップリング剤が付着した成分および粒子の混合物は分離チャンバー内に再導入され、磁石が再活性化されて当該磁気粒子を捕捉する磁場が形成され、残りのデカップリング剤/成分が分離チャンバーの溝部の出口から送り出される。このような成分および磁気粒子の分離は多数の方法で行うことができる。また、温度または圧力を調節することにより、上記の成分および粒子を物理的に分離できる。さらに、糖、塩またはpH変化剤のようなデカップリング剤が上記の成分および粒子を化学的に分離するために使用できる。
【0022】
さらに、上記磁気システムは残りの混合物を処理するための処理装置、当該処理した混合物に上記の成分を再導入するための回収チャンバー、混合物、成分、溶液およびデカップリング剤の流れを制御するための複数の方向弁を備えている。
【0023】
実施形態の一例において、上記磁気システムの分離チャンバーはさらに磁石を支持するための床部を備えている。この床部の好ましい材料は軟質磁性体の鉄材である。
【0024】
上記の磁石はNdFeB磁石またはSmCo磁石のような任意の高エネルギー希土類磁石とすることができる。各磁石は対向するS極およびN極を伴う軸を有しており、これらの極の一方が床部上にあって、他方の極が上記複数の溝部に対向している。各磁石はその他の磁石に対して横並びに配列されている。各磁石の軸は床部に対して垂直である。また、別の実施形態においては、各磁石の軸はその他の磁石の軸に対して平行で、上記溝部に対して垂直である。
【0025】
上記化学的物質の混合物は全血サンプルとすることができ、上記成分は赤血球、白血球、血小板およびその他のプラズマから生じる成分のような任意の生物学的微小分子とすることができる。
【0026】
実施形態の一例において、上記複数の磁石はそれらの磁極が交互になるように配列して、N−S−N−Sの配列構成で横並びに配置したり、当該横並びの配列構成からわずかにずらすことができる。
【0027】
さらに別の実施形態においては、上記複数の磁石はそれらの磁極が交互になるように垂直に配列して、S極の垂直列に横並びに配列したN極の垂直列を形成したり、当該横並びの配列構成から僅かにずらすことができる。
【0028】
さらに別の実施形態においては、上記複数の磁石はそれらの磁極が交互になるように水平に配列して、S極の水平列に横並びに配列したN極の水平列を形成したり、当該横並びの配列構成から僅かにずらすことができる。
【0029】
また、別の実施形態においては、一方の磁極を持つ1個の磁石が他方の磁極の別の磁石により四方から囲まれているように上記磁石が配列されている。
【0030】
実施形態の一例において、上記の各溝部は変化する幅を有しており、この溝部の幅は上記入口の近くの流入口において増大していて、上記出口の近くの流出口においてテーパー状になっている。さらに、上記複数の磁石は上記分離チャンバーの入口および出口の近くにおける溝部の下方に配置できる。また、上記床部は上記分離チャンバーに対して一方の側において突出していてもよい。この床部の突出している側は分離チャンバーの一方の側に接しており、当該床部の突出していない側は分離チャンバーから約0.5cm乃至約3cm離れている。
【0031】
さらに、上記磁気システムは、分離チャンバーを複数の磁石および磁石床部に接触させて当該磁石により生じた磁場を活性化し、また、分離チャンバーを複数の磁石および床部から離して磁場を不活性化するための切替機構を備えている。この切替機構は複数のガイドレールおよび電磁コイル、ラックおよびピニオン、またはベルト駆動式機構を含むが、これらに限らない。
【0032】
実施形態の一例において、上記磁気粒子は被覆されてカップリング剤が結合しているリガンドである微小球体(microspheres)とすることができる。このリガンドは蛋白であり、カップリング剤はレクチンである。
【0033】
また、本発明は化学的物質の混合物から成分を分離するための多次元的勾配を有する磁気装置に関する。この装置は複数の磁石、および入口および出口を有する複数の溝部を備えている分離チャンバーにより構成されている。この磁石は溝部の一方の面に配置されていて、互いに接触して磁場を形成する。磁気粒子が付着した成分を含有する混合物は分離チャンバーの溝部の入口内に導入され、磁石の磁場はこの粒子が付着した成分を溝部内において捕捉し、残りの混合物は分離チャンバーの溝部の出口から送り出される。
【0034】
実施形態の一例において、上記分離チャンバーはさらに磁石を支持するための床部を備えており、この床部は軟質磁性体の鉄材により構成されているのが好ましい。この磁石を設置する床部は平坦状であってもよく、千鳥足状であってもよい。
【0035】
上記の磁石は高エネルギー希土類磁石であり、好ましくはNdFeB磁石またはSmCo磁石である。各磁石は対向するS極およびN極を伴う軸を有しており、これらの極の一方が上記の磁石床部上にあって、他方の極が上記複数の溝部に対向している。各磁石はその他の磁石に対して横並びに配列されている。各磁石の軸は床部に対して垂直であるが、別の実施形態においては、当該軸をその他の磁石の軸に対して平行にして、上記溝部に対して垂直にすることができる。
【0036】
実施形態の一例において、上記複数の磁石はそれらの磁極が交互になるように配列して、N−S−N−Sの配列構成で横並びに配置したり、当該横並びの配列構成からわずかにずらすことができる。
【0037】
さらに別の実施形態においては、上記複数の磁石はそれらの磁極が交互になるように垂直に配列して、S極の垂直列に横並びに配列したN極の垂直列を形成したり、当該横並びの配列構成から僅かにずらすことができる。
【0038】
さらに別の実施形態においては、上記複数の磁石はそれらの磁極が交互になるように水平に配列して、S極の水平列に横並びに配列したN極の水平列を形成したり、当該横並びの配列構成から僅かにずらすことができる。
【0039】
また、別の実施形態においては、一方の磁極を持つ1個の磁石が他方の磁極の別の磁石により四方から囲まれるように上記磁石を配列できる。
【0040】
本発明の実施形態の一例において、上記の各溝部は変化する幅を有しており、この溝部の幅は上記入口の近くの流入口において増大していて、上記出口の近くの流出口においてテーパー状になっている。さらに、上記複数の磁石は上記分離チャンバーの入口および出口の近くにおける溝部の下方に配置できる。また、上記床部は上記分離チャンバーに対して一方の側において突出していてもよい。この床部の突出している側は分離チャンバーの一方の側に接しており、当該磁石床部の突出していない側は分離チャンバーから約0.5cm乃至約3cm離れている。
【0041】
さらに、別の実施形態において、上記磁気装置は、分離チャンバーを複数の磁石および磁石床部に接触させて当該磁石により生じた磁場を活性化し、また、分離チャンバーを複数の磁石および床部から離して磁場を不活性化するための切替機構を備えている。この切替機構は複数のガイドレールおよび電磁コイル、ラックおよびピニオン、またはベルト駆動式機構とすることができる。
【0042】
上記化学的物質の混合物は全血サンプルとすることができ、上記成分は赤血球、白血球、血小板およびその他のプラズマから生じる成分のような任意の生物学的微小分子とすることができる。
【0043】
本発明は全血から血液成分を連続的にオン−ラインで分離するための多次元的勾配を有する磁気システムを提供する。このシステムは、(a)血液サンプルおよび磁気粒子を攪拌して、この攪拌により当該粒子を血液サンプルにおける血液成分に付着させるための少なくとも1個の混合チャンバーと、(b)少なくとも1個の分離チャンバーにより構成されている。この分離チャンバーは複数の磁石と、入口および出口を有する複数の溝部を備えている。これらの磁石は溝部の一方の面に配置されていて、互いに接触して一定の磁場を形成する。(磁気)粒子が付着した血液成分を含有する血液サンプルは分離チャンバーの溝部の入口内に導入され、磁石の磁場はこの粒子が付着した血液成分を溝部内において捕捉し、残りの血液サンプルは分離チャンバーの溝部の出口から送り出される。
【0044】
本発明の別の実施形態においては、上記磁気システムがさらに溝部の入口を通して溶液を導入して磁場の不活性化時に分離チャンバーの溝部の出口を通して粒子が付着した血液成分を流し出すための溶液溜めを備えている。さらに、この磁気システムはデカップリング剤を粒子が付着した血液成分に誘導するためのデカップリング剤溜めと、デカップリング剤および粒子が付着した血液成分を攪拌して当該粒子および成分を分離可能にするための付加的な混合チャンバーを備えている。実施形態の一例において、このデカップリング剤が上記血液成分に付着して、磁気粒子が離脱する。このデカップリング剤が付着した成分および微小球体の混合物は分離チャンバー内に再導入され、磁石が再活性化されて当該磁気粒子を捕捉する磁場が形成され、残りのデカップリング剤/血液成分が分離チャンバーの溝部の出口から送り出される。上記のデカップリング剤は圧力および温度のような物理的なもの、あるいは、糖、塩またはpH変化剤のような化学的なもののいずれかである。
【0045】
さらに、上記磁気システムは残りの血液サンプルを処理するための処理装置、当該残りの血液サンプルに上記の血液成分を再導入するための回収チャンバー、血液サンプル、血液成分、溶液およびデカップリング剤の流れを制御するための複数の方向弁を備えている。
【0046】
上記の溝部はへび形の形状を含む多数の形状を有することができる。実施形態の一例において、各溝部は変化する幅を有しており、この溝部の幅は上記入口の近くの流入口において増大していて、上記出口の近くの流出口においてテーパー状になっている。さらに、上記複数の磁石は上記分離チャンバーの入口および出口の近くにおける溝部の下方に配置できる。また、床部が上記分離チャンバーに対して一方の側において突出していてもよい。この床部の突出している側は分離チャンバーの一方の側に接しており、当該床部の突出していない側は分離チャンバーから約0.5cm乃至約3cm離れている。
【0047】
また、本発明は全血から血液成分を分離するための多次元的勾配を有する磁気装置を提供する。この装置は、複数の磁石と、入口および出口を有する複数の溝部を備えている分離チャンバーにより構成されている。これらの磁石は溝部の一方の面に配置されていて、互いに接触して一定の磁場を形成する。磁気粒子が付着した血液成分を含有する血液サンプルは分離チャンバーの溝部の入口内に導入され、磁石の磁場はこの粒子が付着した血液成分を溝部内において捕捉し、残りの血液サンプルは分離チャンバーの溝部の出口から送り出される。
【0048】
実施形態の一例において、上記分離チャンバーはさらに磁石を支持するための床部を備えている。この床部は軟鉄材のような磁化可能な材料により構成されている。
【0049】
さらに、本発明は多次元的勾配を利用して化学的物質の混合物から一定の成分を連続的かつ磁気的に分離する方法を提供する。この方法は、(a)複数の磁気微小球体に血液サンプルを誘導する工程と、(b)当該血液サンプルおよび微小球体を攪拌して、微小球体を血液サンプルの血液成分に付着させる工程と、(c)分離チャンバーを備える工程とから成り、当該分離チャンバーが複数の磁石と、入口および出口を有する複数の溝部により構成されており、当該磁石が溝部の一方の面に配置されていて互いに接触して磁場を形成し、さらに、(d)上記微小球体が付着した血液成分を含有する血液サンプルを上記入口から分離チャンバーの溝部の中に導入する工程と、(e)上記磁石を活性化して磁場を生じることにより溝部内における微小球体の付着した血液成分を捕捉する工程と、(f)残りの血液サンプルを分離チャンバーの溝部の出口から送り出す工程とにより構成されている。
【0050】
この工程はさらに、(g)溶液溜めを備えて、上記磁場の不活性化時に、溶液を上記入口および溝部を通して導入して上記微小球体が付着した血液成分を上記出口から流し出す工程により構成されている。さらに、この方法は、(h)デカップリング剤を上記微小球体が付着した血液成分に対して導入する工程と、(i)当該デカップリング剤により上記磁気粒子および血液成分を分離する工程と、(j)当該デカップリング剤が付着した血液成分および磁気粒子の混合物を分離チャンバー内に再導入して磁場を再活性化することにより磁気粒子を捕捉すると共にデカップリング剤が付着した血液成分を分離チャンバーから送り出す工程とにより構成できる。実施形態の一例において、上記磁気粒子および血液成分の分離がデカップリング剤を血液成分に付着させて微小球体を離脱させることにより行われる。さらに、この方法は、工程(f)の残りの血液サンプルを処理する工程、および磁場の不活性化時において溶液を上記入口から溝部の中に導入して磁気粒子を上記出口から流し出す工程(k)により構成できる。
【0051】
実施形態の一例において、上記の方法は、さらに、回収チャンバーを用いて血液成分を上記残りの血液サンプルに再導入して、当該血液サンプル、血液成分、溶液およびデカップリング剤の流れを複数の方向弁により調節する工程により構成できる。
【0052】
また、上記の方法は上記磁石を支持するための床部を有する分離チャンバーを備える工程により構成することもできる。この床部は軟鉄材のような磁化可能な材料により構成されているのが好ましい。また、磁石は高エネルギー希土類磁石であり、好ましくはNdFeB磁石またはSmCo磁石である。
【0053】
各磁石は対向するS極およびN極を伴う軸を有しており、(本発明の方法は)さらに、これらの極の一方が磁石床部上にあって、他方の極が上記複数の溝部に対向していて、各磁石がその他の磁石に対して横並びになるようにこれらの磁石を配列する工程により構成されている。各磁石の軸は磁石床部に対して垂直である。実施形態の一例においては、各磁石の軸はその他の磁石の軸に対して平行で、上記溝部に対して垂直である。
【0054】
実施形態の一例において、本発明の方法は、上記磁石の磁極をN−S−N−Sの配列構成で交互に配置したり、このような横並びの配列構成からわずかにずれるように磁石を配列する工程により構成されている。
【0055】
また、別の実施形態において、本発明は方法は、上記磁石のS極の垂直列に横並びに配列したN極の垂直列を形成したり、このような横並びの配列構成から僅かにずれるように複数の磁石の磁極を交互にしてこれらの磁石を垂直に配置する工程により構成されている。
【0056】
さらに別の実施形態において、本発明の方法は、上記磁石のS極の水平列に横並びに配列したN極の水平列を形成したり、このような横並びの配列構成から僅かにずれるように複数の磁石の磁極を交互にしてこれらの磁石を水平に配置する工程により構成されている。
【0057】
また、別の実施形態において、本発明の方法は、一方の磁極を有する1個の磁石が他方の磁極の別の磁石により四方から囲まれているように上記磁石を配列する工程により構成されている。
【0058】
さらに、本発明の方法は上記溝部の幅を変化させる工程により構成できる。この溝部の幅は上記入口の近くの流入口において増大していて、上記出口の近くの流出口においてテーパー状になっている。さらに、本発明の方法は、上記複数の磁石を上記分離チャンバーの入口および出口の近くにおける溝部の下方に配置する工程により構成できる。また、この方法は、床部を上記分離チャンバーに対してその一方の側において突出させる工程を含む。この床部の突出した側は分離チャンバーの一方の側に接しており、当該床部の突出していない側は分離チャンバーから約0.5cm乃至約3cm離れている。
【0059】
さらに、本発明の方法は、分離チャンバーを床部および磁石に接触させることにより磁場を活性化する切替機構を備える工程により構成できる。また、この方法は、分離チャンバーと磁石/床部とを離間するためのガイドレールおよび電磁コイルを備えることにより磁場を不活性化する工程も含むことができる。
【0060】
さらに、本発明は連続血液分離装置を製造する方法を提供する。この方法は、(a)分離チャンバーを備える工程から成り、当該分離チャンバーは複数の磁石と、入口および出口を有する複数の溝部により構成されており、当該磁石は溝部の一方の面に配列されていて、互いに接触して磁場を形成し、さらに、(b)これらの磁石を支持するための床部を備える工程から成る。
【0061】
本発明のさらに完全な理解および本発明に伴う利点の多くが図面に基づく以下の説明により容易に認識されることとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0062】
以下の幾つかの図面において同一の参照番号は同一または相当する部品を示しており、特に図1において、本発明のシステムおよび方法を示している。混合チャンバー10の中で微小球体のような蛋白被覆した磁気粒子にレクチンが結合し、このレクチンが結合した微小粒子は混合チャンバー12の中で全血サンプルと共に攪拌される。この攪拌により、微小球体が全血サンプルの血液成分(赤血球)に結合する。その後、このような微小球体が結合した血液成分を含有する血液サンプルが分離チャンバー22を有する第1の磁気装置20の中に導入される。サンプルはチャンバー22の中にその入口23を通って入る。チャンバー22は複数の溝部25および複数の磁石27を有している。これらの磁石27は互いに接触している。また、これらの磁石は一定の磁場を形成しており、この磁場は溝部25内の微小球体が付着した血液成分を捕捉し、残りの血液(白血球、血小板およびプラズマ)が溝部25を通過して分離チャンバー22の出口24から送り出される。
【0063】
その後、この送出された残りの血液サンプルはUVARフォトフォレーシス装置のような処理装置30の中に入る。一方、磁場が不活性化されて、溶液が溶液溜め14から分離チャンバー22の中に導入される。この溶液は入口23から入り、溝部25を通過して、微小球体が付着した血液成分を分離チャンバー22の出口24から流し出す。この結果、微小球体が付着した血液成分は方向弁16を通過して別の混合チャンバー17に入り、このチャンバー17にデカップリング剤溜め18からデカップリング剤(糖または塩等)が導入される。この混合チャンバー17の中において、微小球体が付着した血液成分およびデカップリング剤が攪拌されて、デカップリング剤が血液成分に付着すると共に、微小球体が離脱する。さらに、このデカップリング剤が付着した血液成分および微小球体の混合物が分離チャンバー42を有する第2の磁気装置40に導入される。すなわち、この混合物はチャンバー42の中にその入口43を通って入る。さらに、この混合物は複数の溝部45および当該溝部45の下方に配置された複数の磁石47を通過して流れる。磁石47の磁場が活性化されて、微小球体が分離チャンバー42の中で捕捉される。一方、デカップリング剤が付着した血液成分は溝部45を通過して、チャンバー42の出口44から送り出される。その後、このように処理された血液および血液成分が回収チャンバー19により互いに再導入される。
【0064】
図2は分離チャンバー52および床部58から成る組み立てた状態の磁気装置50の斜視図である。この分離チャンバー52は複数の磁石57と、入口53および出口54を有する複数の溝部55を備えている。床部58は軟鉄の磁性体材料により構成できる。また、磁石57は高エネルギー希土類磁石であり、NdFeB磁石またはSmCo磁石であるのが好ましい。これらの磁石57は対向するN極およびS極を有する軸を有しており、これらの磁極の一方が磁石床部58上に支持されていて、他方の磁極が溝部55に対向している。各磁石57はその他の磁石に対して横並びに配列されている。
【0065】
図3は分解した磁気装置50の斜視図であり、特に、装置50の種々の構成部品を中心に示している図である。すなわち、床部58は複数の磁石57が配列されている表面を有している。この床部58は少なくとも2個の高床の端部59を有しており、分離チャンバー52はこの床部58の端部59の間で複数の磁石57の上方に設置される。
【0066】
図4は本発明の磁気分離装置50の別の実施形態を示している図である。この装置50は分離チャンバー52および床部58を備えている。分離チャンバー52は複数の溝部55、および入口53および出口54を有している。また、このチャンバー52は床部58上に配置された複数の磁石57を有している。床部58は少なくとも2個の高床の端部59および当該端部59における穴61を有している。さらに、この装置50は複数の電磁コイル62を備えており、各コイル62は少なくとも2個のガイドレール60を有している。これらのコイル62はチャンバー52に取り付けられ、ガイドレール60は床部58の端部59の穴61の中に挿入される。コイル62がガイドレール60に沿って昇降してチャンバー52と磁石57との間の距離を決定することにより、磁気装置50の磁場の活性化および不活性化を可能にする。
【0067】
図5aは脱励磁状態あるいは磁場の不活性化状態における本発明の磁気装置50の破断図である。磁石57は高床の端部59を有する床部58の上に設置されている。分離チャンバー52は電磁コイル62に接続している。コイル62と端部59との間には一定の距離があって、チャンバー52と床部58上の磁石57との間に一定の距離を設けている。
【0068】
図5bは励磁状態すなわち磁場の活性化状態における本発明の磁気装置50の破断図である。コイル62は端部59と接触していて、チャンバー52および床部58上の磁石57が接触している。
【0069】
図6a乃至図6gは本発明における磁石の種々の配列構成を示している図である。すなわち、図6aは複数の磁石の磁極が交互に配列されていて、磁石がN−S−N−Sの配列構成で横並びに配置されている図である。図6bは図6aにおける磁石が横並びの配列構成から僅かにずれている状態を示している図である。図6cは複数の磁石がそれらの磁極を交互にした状態で垂直に配列されていて、S極の垂直列に対してN極の垂直列が横並びに配列されている図である。図6dは複数の磁石がそれらの磁極を交互にした状態で水平に配列されていて、S極の水平列に対してN極の水平列が横並びに配列されている図である。図6eは図6dの構成から僅かにずれた状態を示している図である。また、図6fは図6cの構成から僅かにずれた状態を示している図である。さらに、図6gは一方の磁極を有する1個の磁石が他方の磁極を有する別の磁石によって四方から囲まれるように配列された複数の磁石を示している図である。
【0070】
図7は本発明の磁気分離装置50の別の実施形態を示しており、この実施形態においては、床部58が一方の側70において分離チャンバー52に対して突出している図である。この床部58の突出した側70はチャンバー52の一方の側に接触できるが、床部58の突き出ていない側71はチャンバー52から約0.5cm乃至約3cmの距離で離間する。
【0071】
上記の教示により本発明の多数の変形および変更が可能になることは明らかである。それゆえ、本発明は、特許請求の範囲に逸脱しない限りにおいて、本明細書において特定的に記載した以外の態様においても実施可能であると理解するべきである。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明による磁気システムの斜視図である。
【図2】本発明の磁気装置の斜視図である。
【図3】分離チャンバー、床部および複数の磁石を含む本発明の磁気装置の斜視図である。
【図4】ガイドレールおよび電磁コイルを含む本発明の磁気装置の切替機構の一実施形態の斜視図である。
【図5a】脱励磁状態におけるガイドレールおよび電磁コイルを伴う磁気装置の破断図である。
【図5b】励磁状態における磁気装置の破断図である。
【図6a】本発明の磁気装置の種々の磁気配列構成の上面図である。
【図6b】本発明の磁気装置の種々の磁気配列構成の上面図である。
【図6c】本発明の磁気装置の種々の磁気配列構成の上面図である。
【図6d】本発明の磁気装置の種々の磁気配列構成の上面図である。
【図6e】本発明の磁気装置の種々の磁気配列構成の上面図である。
【図6f】本発明の磁気装置の種々の磁気配列構成の上面図である。
【図6g】本発明の磁気装置の種々の磁気配列構成の上面図である。
【図7】床部が突出した構成になっている磁気装置の斜視図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は化学的物質の混合物から成分を連続的にオン−ラインで分離するための多次元的勾配を有する磁気システムおよび装置に関する。本発明のシステムおよび装置は特に全血サンプルから血液成分を分離するために使用できる。また、本発明は多次元的勾配を用いて化学的物質の混合物から成分を連続的かつ磁気的に分離する方法、および連続的な磁気的分離装置を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
全血サンプルからの血液成分の分離および単離は当該血液成分の処理および臨床的かつ研究的検査における重要な態様であり、血液成分の分離のための多くの方法および装置がある。
【0003】
全血は低速の遠心分離により(あるいは血液凝固防止剤が存在している場合に)血清と呼ばれる無細胞流体および細胞および血小板を含有するペレットに分離できる。この分離した流体は約92%の水を含む他に、電解質、リポ蛋白、蛋白、ホルモン、およびビタミン等の栄養物質を含んでいる。リポ蛋白は脂質の主な運搬分子であり、ビタミンEおよびベータカロチン(プロビタミンA)も運搬する。また、リポ蛋白はさらに超低密度のリポ蛋白、低密度リポ蛋白および高密度リポ蛋白に分けられる。多量の低密度リポ蛋白はアテローム硬化症および心臓血管病に関連する。これに対して、多量の高密度リポ蛋白はアテローム硬化症に対する保護作用を有すると考えられている。
【0004】
プラズマ(血漿)内に見られる主な蛋白質はアルブミン、グロブリン、フィブリノーゲンである。とりわけ、アルブミンは最も豊富なプラズマ蛋白(約60%)であり、非エステル化脂肪酸に対応するキャリヤ分子である。また、アルブミンは血液の浸透圧を維持する役割を果たす。グロブリンはさらに分割されてアルファ−、ベータ−、およびガンマ−グロブリンになる。このガンマ−グロブリンの部分は体液性免疫系における抗体として機能する分子を含んでいる。また、フィブリノーゲンは血塊(clot)形成において機能する。
【0005】
赤血球細胞(または赤血球)は血液内に見られる主な細胞である。この特異的な細胞は膜を有しているが、他の膜様の小器官を有しておらず、細胞核も存在しない。この赤血球の主な機能は組織への酸素の運搬および二酸化炭素の除去である。この赤血球の中の酸素運搬分子はヘモグロビンである。赤血球は両凹形状をしていて、極めて変形しやすく、毛細管(capillaries)中で移動できる。貧血症の場合において、血液の一定容量中の赤血球の数が少なく、組織への酸素供給能力が低下する。この場合、栄養的および/または遺伝的な因子が貧血症に起因すると考えられる。
【0006】
さらに、血液は白血球および血小板を含んでいる。白血球細胞(または白血球)は単核細胞、リンパ球、好中球、好酸球、好塩基球を含む。好中球、好酸球、好塩基球(これら3種類の細胞は全て顆粒球と呼ばれる)、および単核細胞は食細胞である。これらの食細胞およびリンパ球は免疫系統において重要な役割を果たす。また、血小板は血塊形成において機能する。
【0007】
血液成分は磁化特性を有しているので、このような血液成分を磁気を利用して分離および単離する多くの試みが行われてきた。このような従来技術における最も一般的な問題は連続的な様式で分離処理を行うことができないことと、多次元的な勾配を使用していないことである。さらに、このような従来技術はデカップリング処理を行わず、これらの従来技術の一部は一定の流動段階ではなく静止した段階において分離処理を行っている。
【0008】
Sorenson他に発行された米国特許第4,910,148号は磁気ビーズに細胞を連結するためにモノクローン抗体を使用する生物流体、特に白血球から磁化した粒子を分離するための方法および装置に関係している。本発明とは対照的に、このSorensonの分離方法は静止(すなわち、流動していない)状態でプラスチックの血液袋の中で行われる。(このSorensonの方法では、)磁気ビーズが攪拌処理により癌の白血球に連結した後に磁場をかけることにより、この磁気ビーズを伴う白血球が廃棄可能なプラスチックバッグ内に保持される。また、Sorensonの装置は磁気勾配(磁力)を最適化しない磁石の間の空間部を必要とする。さらに、このSorenson装置の背面プレートは軟質磁性体であり、磁石はサマリウム−コバルト合金である。このSorensonの方法は血液袋(150ml)を使用してビーズと白血球との間のデカップリング処理がないために処理容量が制限される。実際において、これらの細胞は分離後に廃棄可能な血液袋の中に残る。
【0009】
Lansdorp他に発行された米国特許第5,514,340号は磁場をかけてサンプル中の磁気的にラベル化した細胞を分離するための装置に関係している。このLansdorp(の装置)は磁気粒子を誘引するための磁化したスクリーンを用いて当該スクリーンの磁気ワイヤ中に生物流体を捕捉することを可能にしている。このLansdorp(の装置)において使用される磁石は血液細胞と接触するために常に洗浄することが必要である。
【0010】
Ekenberg他に発行された米国特許第5,567,326号は磁気応答性の粒子が懸濁されている非磁性体の試験媒体から当該磁気応答性の粒子を分離するための装置および方法に関係している。このEkenberg(の方法)においては、少量ずつの生物流体がチューブの中に配置された後に、分離用の磁気ピンが流体の中に挿入される。
【0011】
Wang他に発行された米国特許第5,541,072号は非磁性体の付随物質および媒体から磁性体粒子および/または磁性体の付随物質を分離するための方法および装置に関係している。本発明とは異なり、このWangの方法は磁石を2個の対向する側に配置しているために、利用できる最適な磁気勾配(磁力)を利用していない。
【0012】
Li他に発行された米国特許第4,988,618号はイムノアッセイまたはハイブリダイゼーションアッセイにおいて使用するための磁気分離装置に関係している。このLiの装置は鉄金属粒子を含むサンプルおよび検定成分を保持する非鉄金属コンテナを受容するための複数のオリフィスを有する基台部分により構成されている。これらのオリフィスは当該オリフィスの周囲に離間する複数の磁石により囲まれている。
【0013】
Ullman他に発行された米国特許第4,935,147号は液体媒体から物質を分離するための方法に関しており、特に、水性懸濁液からの細胞および微生物の分離、および被検体の決定に適用できる。このUllman(の特許)は可逆的な非特異的カップリング処理を伴う方法について述べているが、この方法は連続的ではなく、多次元的勾配も利用していない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は多次元的勾配を用いて化学的物質の混合物から成分を連続的に分離するためのシステム、装置および方法を提供することにより上記の問題を解消する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
従って、本発明の目的は化学的物質の混合物から成分を連続的にオン−ラインで分離するための多次元的勾配を有する磁気システムおよび装置を提供することである。
【0016】
本発明の別の目的は全血サンプルから血液成分を連続的にオン−ラインで分離するための装置およびシステムを提供することである。
【0017】
本発明のさらに別の目的は多次元的勾配を利用して化学的物質の混合物から血液成分を連続的かつ磁気的に分離するための方法を提供することである。
【0018】
本発明のさらに別の目的は連続的磁気血液分離装置を製造する方法を提供することである。
【0019】
本発明のさらに別の目的は連続的な血流を使用し、デカップリング処理を有する全血サンプルから血液成分を連続的かつ磁気的に分離するためのシステムおよび方法を提供することである。
【0020】
本発明は化学的物質の混合物から成分を連続的にオン−ラインで分離するための多次元的勾配を有する磁気システムに関する。このシステムは、(a)上記混合物および磁気粒子を攪拌して、この攪拌により当該粒子を混合物の成分に付着させるための少なくとも1個の混合チャンバーと、(b)少なくとも1個の分離チャンバーにより構成されている。この分離チャンバーは複数の磁石と、入口および出口を有する複数の溝部を備えている。これらの磁石は溝部の一方の側に配置されていて、互いに接触して一定の磁場を形成する。(磁気)粒子が付着した成分を含有する混合物は分離チャンバーの溝部の入口内に導入され、磁石の磁場はこの粒子が付着した成分を溝部内において捕捉し、残りの混合物は分離チャンバーの溝部の出口から送り出される。
【0021】
本発明の別の実施形態においては、上記磁気システムがさらに溝部の入口を通して溶液を導入して磁場の不活性化時に分離チャンバーの溝部の出口を通して粒子が付着した成分を流し出すための溶液溜めを備えている。さらに、この磁気システムはデカップリング剤を粒子が付着した成分に誘導するためのデカップリング剤溜めと、デカップリング剤および粒子が付着した成分を攪拌して当該粒子および成分を分離可能にするための付加的な混合チャンバーを備えている。実施形態の一例において、このデカップリング剤が上記成分に付着して、磁気粒子が離脱する。このデカップリング剤が付着した成分および粒子の混合物は分離チャンバー内に再導入され、磁石が再活性化されて当該磁気粒子を捕捉する磁場が形成され、残りのデカップリング剤/成分が分離チャンバーの溝部の出口から送り出される。このような成分および磁気粒子の分離は多数の方法で行うことができる。また、温度または圧力を調節することにより、上記の成分および粒子を物理的に分離できる。さらに、糖、塩またはpH変化剤のようなデカップリング剤が上記の成分および粒子を化学的に分離するために使用できる。
【0022】
さらに、上記磁気システムは残りの混合物を処理するための処理装置、当該処理した混合物に上記の成分を再導入するための回収チャンバー、混合物、成分、溶液およびデカップリング剤の流れを制御するための複数の方向弁を備えている。
【0023】
実施形態の一例において、上記磁気システムの分離チャンバーはさらに磁石を支持するための床部を備えている。この床部の好ましい材料は軟質磁性体の鉄材である。
【0024】
上記の磁石はNdFeB磁石またはSmCo磁石のような任意の高エネルギー希土類磁石とすることができる。各磁石は対向するS極およびN極を伴う軸を有しており、これらの極の一方が床部上にあって、他方の極が上記複数の溝部に対向している。各磁石はその他の磁石に対して横並びに配列されている。各磁石の軸は床部に対して垂直である。また、別の実施形態においては、各磁石の軸はその他の磁石の軸に対して平行で、上記溝部に対して垂直である。
【0025】
上記化学的物質の混合物は全血サンプルとすることができ、上記成分は赤血球、白血球、血小板およびその他のプラズマから生じる成分のような任意の生物学的微小分子とすることができる。
【0026】
実施形態の一例において、上記複数の磁石はそれらの磁極が交互になるように配列して、N−S−N−Sの配列構成で横並びに配置したり、当該横並びの配列構成からわずかにずらすことができる。
【0027】
さらに別の実施形態においては、上記複数の磁石はそれらの磁極が交互になるように垂直に配列して、S極の垂直列に横並びに配列したN極の垂直列を形成したり、当該横並びの配列構成から僅かにずらすことができる。
【0028】
さらに別の実施形態においては、上記複数の磁石はそれらの磁極が交互になるように水平に配列して、S極の水平列に横並びに配列したN極の水平列を形成したり、当該横並びの配列構成から僅かにずらすことができる。
【0029】
また、別の実施形態においては、一方の磁極を持つ1個の磁石が他方の磁極の別の磁石により四方から囲まれているように上記磁石が配列されている。
【0030】
実施形態の一例において、上記の各溝部は変化する幅を有しており、この溝部の幅は上記入口の近くの流入口において増大していて、上記出口の近くの流出口においてテーパー状になっている。さらに、上記複数の磁石は上記分離チャンバーの入口および出口の近くにおける溝部の下方に配置できる。また、上記床部は上記分離チャンバーに対して一方の側において突出していてもよい。この床部の突出している側は分離チャンバーの一方の側に接しており、当該床部の突出していない側は分離チャンバーから約0.5cm乃至約3cm離れている。
【0031】
さらに、上記磁気システムは、分離チャンバーを複数の磁石および磁石床部に接触させて当該磁石により生じた磁場を活性化し、また、分離チャンバーを複数の磁石および床部から離して磁場を不活性化するための切替機構を備えている。この切替機構は複数のガイドレールおよび電磁コイル、ラックおよびピニオン、またはベルト駆動式機構を含むが、これらに限らない。
【0032】
実施形態の一例において、上記磁気粒子は被覆されてカップリング剤が結合しているリガンドである微小球体(microspheres)とすることができる。このリガンドは蛋白であり、カップリング剤はレクチンである。
【0033】
また、本発明は化学的物質の混合物から成分を分離するための多次元的勾配を有する磁気装置に関する。この装置は複数の磁石、および入口および出口を有する複数の溝部を備えている分離チャンバーにより構成されている。この磁石は溝部の一方の面に配置されていて、互いに接触して磁場を形成する。磁気粒子が付着した成分を含有する混合物は分離チャンバーの溝部の入口内に導入され、磁石の磁場はこの粒子が付着した成分を溝部内において捕捉し、残りの混合物は分離チャンバーの溝部の出口から送り出される。
【0034】
実施形態の一例において、上記分離チャンバーはさらに磁石を支持するための床部を備えており、この床部は軟質磁性体の鉄材により構成されているのが好ましい。この磁石を設置する床部は平坦状であってもよく、千鳥足状であってもよい。
【0035】
上記の磁石は高エネルギー希土類磁石であり、好ましくはNdFeB磁石またはSmCo磁石である。各磁石は対向するS極およびN極を伴う軸を有しており、これらの極の一方が上記の磁石床部上にあって、他方の極が上記複数の溝部に対向している。各磁石はその他の磁石に対して横並びに配列されている。各磁石の軸は床部に対して垂直であるが、別の実施形態においては、当該軸をその他の磁石の軸に対して平行にして、上記溝部に対して垂直にすることができる。
【0036】
実施形態の一例において、上記複数の磁石はそれらの磁極が交互になるように配列して、N−S−N−Sの配列構成で横並びに配置したり、当該横並びの配列構成からわずかにずらすことができる。
【0037】
さらに別の実施形態においては、上記複数の磁石はそれらの磁極が交互になるように垂直に配列して、S極の垂直列に横並びに配列したN極の垂直列を形成したり、当該横並びの配列構成から僅かにずらすことができる。
【0038】
さらに別の実施形態においては、上記複数の磁石はそれらの磁極が交互になるように水平に配列して、S極の水平列に横並びに配列したN極の水平列を形成したり、当該横並びの配列構成から僅かにずらすことができる。
【0039】
また、別の実施形態においては、一方の磁極を持つ1個の磁石が他方の磁極の別の磁石により四方から囲まれるように上記磁石を配列できる。
【0040】
本発明の実施形態の一例において、上記の各溝部は変化する幅を有しており、この溝部の幅は上記入口の近くの流入口において増大していて、上記出口の近くの流出口においてテーパー状になっている。さらに、上記複数の磁石は上記分離チャンバーの入口および出口の近くにおける溝部の下方に配置できる。また、上記床部は上記分離チャンバーに対して一方の側において突出していてもよい。この床部の突出している側は分離チャンバーの一方の側に接しており、当該磁石床部の突出していない側は分離チャンバーから約0.5cm乃至約3cm離れている。
【0041】
さらに、別の実施形態において、上記磁気装置は、分離チャンバーを複数の磁石および磁石床部に接触させて当該磁石により生じた磁場を活性化し、また、分離チャンバーを複数の磁石および床部から離して磁場を不活性化するための切替機構を備えている。この切替機構は複数のガイドレールおよび電磁コイル、ラックおよびピニオン、またはベルト駆動式機構とすることができる。
【0042】
上記化学的物質の混合物は全血サンプルとすることができ、上記成分は赤血球、白血球、血小板およびその他のプラズマから生じる成分のような任意の生物学的微小分子とすることができる。
【0043】
本発明は全血から血液成分を連続的にオン−ラインで分離するための多次元的勾配を有する磁気システムを提供する。このシステムは、(a)血液サンプルおよび磁気粒子を攪拌して、この攪拌により当該粒子を血液サンプルにおける血液成分に付着させるための少なくとも1個の混合チャンバーと、(b)少なくとも1個の分離チャンバーにより構成されている。この分離チャンバーは複数の磁石と、入口および出口を有する複数の溝部を備えている。これらの磁石は溝部の一方の面に配置されていて、互いに接触して一定の磁場を形成する。(磁気)粒子が付着した血液成分を含有する血液サンプルは分離チャンバーの溝部の入口内に導入され、磁石の磁場はこの粒子が付着した血液成分を溝部内において捕捉し、残りの血液サンプルは分離チャンバーの溝部の出口から送り出される。
【0044】
本発明の別の実施形態においては、上記磁気システムがさらに溝部の入口を通して溶液を導入して磁場の不活性化時に分離チャンバーの溝部の出口を通して粒子が付着した血液成分を流し出すための溶液溜めを備えている。さらに、この磁気システムはデカップリング剤を粒子が付着した血液成分に誘導するためのデカップリング剤溜めと、デカップリング剤および粒子が付着した血液成分を攪拌して当該粒子および成分を分離可能にするための付加的な混合チャンバーを備えている。実施形態の一例において、このデカップリング剤が上記血液成分に付着して、磁気粒子が離脱する。このデカップリング剤が付着した成分および微小球体の混合物は分離チャンバー内に再導入され、磁石が再活性化されて当該磁気粒子を捕捉する磁場が形成され、残りのデカップリング剤/血液成分が分離チャンバーの溝部の出口から送り出される。上記のデカップリング剤は圧力および温度のような物理的なもの、あるいは、糖、塩またはpH変化剤のような化学的なもののいずれかである。
【0045】
さらに、上記磁気システムは残りの血液サンプルを処理するための処理装置、当該残りの血液サンプルに上記の血液成分を再導入するための回収チャンバー、血液サンプル、血液成分、溶液およびデカップリング剤の流れを制御するための複数の方向弁を備えている。
【0046】
上記の溝部はへび形の形状を含む多数の形状を有することができる。実施形態の一例において、各溝部は変化する幅を有しており、この溝部の幅は上記入口の近くの流入口において増大していて、上記出口の近くの流出口においてテーパー状になっている。さらに、上記複数の磁石は上記分離チャンバーの入口および出口の近くにおける溝部の下方に配置できる。また、床部が上記分離チャンバーに対して一方の側において突出していてもよい。この床部の突出している側は分離チャンバーの一方の側に接しており、当該床部の突出していない側は分離チャンバーから約0.5cm乃至約3cm離れている。
【0047】
また、本発明は全血から血液成分を分離するための多次元的勾配を有する磁気装置を提供する。この装置は、複数の磁石と、入口および出口を有する複数の溝部を備えている分離チャンバーにより構成されている。これらの磁石は溝部の一方の面に配置されていて、互いに接触して一定の磁場を形成する。磁気粒子が付着した血液成分を含有する血液サンプルは分離チャンバーの溝部の入口内に導入され、磁石の磁場はこの粒子が付着した血液成分を溝部内において捕捉し、残りの血液サンプルは分離チャンバーの溝部の出口から送り出される。
【0048】
実施形態の一例において、上記分離チャンバーはさらに磁石を支持するための床部を備えている。この床部は軟鉄材のような磁化可能な材料により構成されている。
【0049】
さらに、本発明は多次元的勾配を利用して化学的物質の混合物から一定の成分を連続的かつ磁気的に分離する方法を提供する。この方法は、(a)複数の磁気微小球体に血液サンプルを誘導する工程と、(b)当該血液サンプルおよび微小球体を攪拌して、微小球体を血液サンプルの血液成分に付着させる工程と、(c)分離チャンバーを備える工程とから成り、当該分離チャンバーが複数の磁石と、入口および出口を有する複数の溝部により構成されており、当該磁石が溝部の一方の面に配置されていて互いに接触して磁場を形成し、さらに、(d)上記微小球体が付着した血液成分を含有する血液サンプルを上記入口から分離チャンバーの溝部の中に導入する工程と、(e)上記磁石を活性化して磁場を生じることにより溝部内における微小球体の付着した血液成分を捕捉する工程と、(f)残りの血液サンプルを分離チャンバーの溝部の出口から送り出す工程とにより構成されている。
【0050】
この工程はさらに、(g)溶液溜めを備えて、上記磁場の不活性化時に、溶液を上記入口および溝部を通して導入して上記微小球体が付着した血液成分を上記出口から流し出す工程により構成されている。さらに、この方法は、(h)デカップリング剤を上記微小球体が付着した血液成分に対して導入する工程と、(i)当該デカップリング剤により上記磁気粒子および血液成分を分離する工程と、(j)当該デカップリング剤が付着した血液成分および磁気粒子の混合物を分離チャンバー内に再導入して磁場を再活性化することにより磁気粒子を捕捉すると共にデカップリング剤が付着した血液成分を分離チャンバーから送り出す工程とにより構成できる。実施形態の一例において、上記磁気粒子および血液成分の分離がデカップリング剤を血液成分に付着させて微小球体を離脱させることにより行われる。さらに、この方法は、工程(f)の残りの血液サンプルを処理する工程、および磁場の不活性化時において溶液を上記入口から溝部の中に導入して磁気粒子を上記出口から流し出す工程(k)により構成できる。
【0051】
実施形態の一例において、上記の方法は、さらに、回収チャンバーを用いて血液成分を上記残りの血液サンプルに再導入して、当該血液サンプル、血液成分、溶液およびデカップリング剤の流れを複数の方向弁により調節する工程により構成できる。
【0052】
また、上記の方法は上記磁石を支持するための床部を有する分離チャンバーを備える工程により構成することもできる。この床部は軟鉄材のような磁化可能な材料により構成されているのが好ましい。また、磁石は高エネルギー希土類磁石であり、好ましくはNdFeB磁石またはSmCo磁石である。
【0053】
各磁石は対向するS極およびN極を伴う軸を有しており、(本発明の方法は)さらに、これらの極の一方が磁石床部上にあって、他方の極が上記複数の溝部に対向していて、各磁石がその他の磁石に対して横並びになるようにこれらの磁石を配列する工程により構成されている。各磁石の軸は磁石床部に対して垂直である。実施形態の一例においては、各磁石の軸はその他の磁石の軸に対して平行で、上記溝部に対して垂直である。
【0054】
実施形態の一例において、本発明の方法は、上記磁石の磁極をN−S−N−Sの配列構成で交互に配置したり、このような横並びの配列構成からわずかにずれるように磁石を配列する工程により構成されている。
【0055】
また、別の実施形態において、本発明は方法は、上記磁石のS極の垂直列に横並びに配列したN極の垂直列を形成したり、このような横並びの配列構成から僅かにずれるように複数の磁石の磁極を交互にしてこれらの磁石を垂直に配置する工程により構成されている。
【0056】
さらに別の実施形態において、本発明の方法は、上記磁石のS極の水平列に横並びに配列したN極の水平列を形成したり、このような横並びの配列構成から僅かにずれるように複数の磁石の磁極を交互にしてこれらの磁石を水平に配置する工程により構成されている。
【0057】
また、別の実施形態において、本発明の方法は、一方の磁極を有する1個の磁石が他方の磁極の別の磁石により四方から囲まれているように上記磁石を配列する工程により構成されている。
【0058】
さらに、本発明の方法は上記溝部の幅を変化させる工程により構成できる。この溝部の幅は上記入口の近くの流入口において増大していて、上記出口の近くの流出口においてテーパー状になっている。さらに、本発明の方法は、上記複数の磁石を上記分離チャンバーの入口および出口の近くにおける溝部の下方に配置する工程により構成できる。また、この方法は、床部を上記分離チャンバーに対してその一方の側において突出させる工程を含む。この床部の突出した側は分離チャンバーの一方の側に接しており、当該床部の突出していない側は分離チャンバーから約0.5cm乃至約3cm離れている。
【0059】
さらに、本発明の方法は、分離チャンバーを床部および磁石に接触させることにより磁場を活性化する切替機構を備える工程により構成できる。また、この方法は、分離チャンバーと磁石/床部とを離間するためのガイドレールおよび電磁コイルを備えることにより磁場を不活性化する工程も含むことができる。
【0060】
さらに、本発明は連続血液分離装置を製造する方法を提供する。この方法は、(a)分離チャンバーを備える工程から成り、当該分離チャンバーは複数の磁石と、入口および出口を有する複数の溝部により構成されており、当該磁石は溝部の一方の面に配列されていて、互いに接触して磁場を形成し、さらに、(b)これらの磁石を支持するための床部を備える工程から成る。
【0061】
本発明のさらに完全な理解および本発明に伴う利点の多くが図面に基づく以下の説明により容易に認識されることとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0062】
以下の幾つかの図面において同一の参照番号は同一または相当する部品を示しており、特に図1において、本発明のシステムおよび方法を示している。混合チャンバー10の中で微小球体のような蛋白被覆した磁気粒子にレクチンが結合し、このレクチンが結合した微小粒子は混合チャンバー12の中で全血サンプルと共に攪拌される。この攪拌により、微小球体が全血サンプルの血液成分(赤血球)に結合する。その後、このような微小球体が結合した血液成分を含有する血液サンプルが分離チャンバー22を有する第1の磁気装置20の中に導入される。サンプルはチャンバー22の中にその入口23を通って入る。チャンバー22は複数の溝部25および複数の磁石27を有している。これらの磁石27は互いに接触している。また、これらの磁石は一定の磁場を形成しており、この磁場は溝部25内の微小球体が付着した血液成分を捕捉し、残りの血液(白血球、血小板およびプラズマ)が溝部25を通過して分離チャンバー22の出口24から送り出される。
【0063】
その後、この送出された残りの血液サンプルはUVARフォトフォレーシス装置のような処理装置30の中に入る。一方、磁場が不活性化されて、溶液が溶液溜め14から分離チャンバー22の中に導入される。この溶液は入口23から入り、溝部25を通過して、微小球体が付着した血液成分を分離チャンバー22の出口24から流し出す。この結果、微小球体が付着した血液成分は方向弁16を通過して別の混合チャンバー17に入り、このチャンバー17にデカップリング剤溜め18からデカップリング剤(糖または塩等)が導入される。この混合チャンバー17の中において、微小球体が付着した血液成分およびデカップリング剤が攪拌されて、デカップリング剤が血液成分に付着すると共に、微小球体が離脱する。さらに、このデカップリング剤が付着した血液成分および微小球体の混合物が分離チャンバー42を有する第2の磁気装置40に導入される。すなわち、この混合物はチャンバー42の中にその入口43を通って入る。さらに、この混合物は複数の溝部45および当該溝部45の下方に配置された複数の磁石47を通過して流れる。磁石47の磁場が活性化されて、微小球体が分離チャンバー42の中で捕捉される。一方、デカップリング剤が付着した血液成分は溝部45を通過して、チャンバー42の出口44から送り出される。その後、このように処理された血液および血液成分が回収チャンバー19により互いに再導入される。
【0064】
図2は分離チャンバー52および床部58から成る組み立てた状態の磁気装置50の斜視図である。この分離チャンバー52は複数の磁石57と、入口53および出口54を有する複数の溝部55を備えている。床部58は軟鉄の磁性体材料により構成できる。また、磁石57は高エネルギー希土類磁石であり、NdFeB磁石またはSmCo磁石であるのが好ましい。これらの磁石57は対向するN極およびS極を有する軸を有しており、これらの磁極の一方が磁石床部58上に支持されていて、他方の磁極が溝部55に対向している。各磁石57はその他の磁石に対して横並びに配列されている。
【0065】
図3は分解した磁気装置50の斜視図であり、特に、装置50の種々の構成部品を中心に示している図である。すなわち、床部58は複数の磁石57が配列されている表面を有している。この床部58は少なくとも2個の高床の端部59を有しており、分離チャンバー52はこの床部58の端部59の間で複数の磁石57の上方に設置される。
【0066】
図4は本発明の磁気分離装置50の別の実施形態を示している図である。この装置50は分離チャンバー52および床部58を備えている。分離チャンバー52は複数の溝部55、および入口53および出口54を有している。また、このチャンバー52は床部58上に配置された複数の磁石57を有している。床部58は少なくとも2個の高床の端部59および当該端部59における穴61を有している。さらに、この装置50は複数の電磁コイル62を備えており、各コイル62は少なくとも2個のガイドレール60を有している。これらのコイル62はチャンバー52に取り付けられ、ガイドレール60は床部58の端部59の穴61の中に挿入される。コイル62がガイドレール60に沿って昇降してチャンバー52と磁石57との間の距離を決定することにより、磁気装置50の磁場の活性化および不活性化を可能にする。
【0067】
図5aは脱励磁状態あるいは磁場の不活性化状態における本発明の磁気装置50の破断図である。磁石57は高床の端部59を有する床部58の上に設置されている。分離チャンバー52は電磁コイル62に接続している。コイル62と端部59との間には一定の距離があって、チャンバー52と床部58上の磁石57との間に一定の距離を設けている。
【0068】
図5bは励磁状態すなわち磁場の活性化状態における本発明の磁気装置50の破断図である。コイル62は端部59と接触していて、チャンバー52および床部58上の磁石57が接触している。
【0069】
図6a乃至図6gは本発明における磁石の種々の配列構成を示している図である。すなわち、図6aは複数の磁石の磁極が交互に配列されていて、磁石がN−S−N−Sの配列構成で横並びに配置されている図である。図6bは図6aにおける磁石が横並びの配列構成から僅かにずれている状態を示している図である。図6cは複数の磁石がそれらの磁極を交互にした状態で垂直に配列されていて、S極の垂直列に対してN極の垂直列が横並びに配列されている図である。図6dは複数の磁石がそれらの磁極を交互にした状態で水平に配列されていて、S極の水平列に対してN極の水平列が横並びに配列されている図である。図6eは図6dの構成から僅かにずれた状態を示している図である。また、図6fは図6cの構成から僅かにずれた状態を示している図である。さらに、図6gは一方の磁極を有する1個の磁石が他方の磁極を有する別の磁石によって四方から囲まれるように配列された複数の磁石を示している図である。
【0070】
図7は本発明の磁気分離装置50の別の実施形態を示しており、この実施形態においては、床部58が一方の側70において分離チャンバー52に対して突出している図である。この床部58の突出した側70はチャンバー52の一方の側に接触できるが、床部58の突き出ていない側71はチャンバー52から約0.5cm乃至約3cmの距離で離間する。
【0071】
上記の教示により本発明の多数の変形および変更が可能になることは明らかである。それゆえ、本発明は、特許請求の範囲に逸脱しない限りにおいて、本明細書において特定的に記載した以外の態様においても実施可能であると理解するべきである。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明による磁気システムの斜視図である。
【図2】本発明の磁気装置の斜視図である。
【図3】分離チャンバー、床部および複数の磁石を含む本発明の磁気装置の斜視図である。
【図4】ガイドレールおよび電磁コイルを含む本発明の磁気装置の切替機構の一実施形態の斜視図である。
【図5a】脱励磁状態におけるガイドレールおよび電磁コイルを伴う磁気装置の破断図である。
【図5b】励磁状態における磁気装置の破断図である。
【図6a】本発明の磁気装置の種々の磁気配列構成の上面図である。
【図6b】本発明の磁気装置の種々の磁気配列構成の上面図である。
【図6c】本発明の磁気装置の種々の磁気配列構成の上面図である。
【図6d】本発明の磁気装置の種々の磁気配列構成の上面図である。
【図6e】本発明の磁気装置の種々の磁気配列構成の上面図である。
【図6f】本発明の磁気装置の種々の磁気配列構成の上面図である。
【図6g】本発明の磁気装置の種々の磁気配列構成の上面図である。
【図7】床部が突出した構成になっている磁気装置の斜視図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学的物質の混合物から成分を分離するための多次元的勾配を有する磁気装置において、
(A)複数の溝部を備え、入口および出口を有する分離チャンバー、
(B)前記分離チャンバーの一方の側の床部の外部に当該床部に接して配置されている複数の磁石であって、当該複数の磁石が互いに磁気的に接触して磁場を形成する複数の磁石、および、
(C)前記磁石により前記分離チャンバーに形成される磁場を活性化し、また、不活性化するための切替機構
を備える、磁気装置。
【請求項2】
請求項1に記載の磁気装置において、
前記床部が磁化可能な軟鉄金属材料により構成されている、磁気装置。
【請求項3】
請求項1に記載の磁気装置において、
前記磁石がNdFeB磁石である、磁気装置。
【請求項4】
請求項1に記載の磁気装置において、
前記磁石がSmCo磁石である、磁気装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の磁気装置において、
前記各磁石が対向するS極およびN極を伴う軸を有しており、これらの磁極の一方が前記床部の上面上に支持されていて、他方の磁極が前記複数の溝部に対向しており、各磁石の軸が前記床部に対して垂直であり、各磁石がその他の磁石に対して横並びに配列されている、磁気装置。
【請求項6】
請求項5に記載の磁気装置において、
前記各磁石の軸がその他の磁石の軸に対して平行であり、前記溝部に対して垂直である、磁気装置。
【請求項7】
請求項5または6に記載の磁気装置において、
前記複数の磁石の磁極が交互になるように当該磁石が配列されて、当該磁石がN−S−N−Sの配列構成で横並びに配置されている、磁気装置。
【請求項8】
請求項7に記載の磁気装置において、
前記磁石が前記横並びの配列構成から僅かにずれている、磁気装置。
【請求項9】
請求項5に記載の磁気装置において、
前記複数の磁石の磁極が交互になるように当該磁石が垂直に配列されて、S極の垂直列に対してN極の垂直列が横並びに配置されている、磁気装置。
【請求項10】
請求項9に記載の磁気装置において、
前記磁石が前記横並びの配列構成から僅かにずれている、磁気装置。
【請求項11】
請求項5に記載の磁気装置において、
前記複数の磁石の磁極が交互になるように当該磁石が水平に配列されて、S極の水平列に対してN極の水平列が横並びに配置されている、磁気装置。
【請求項12】
請求項11に記載の磁気装置において、
前記複数の磁石が前記横並びの配列構成から僅かにずれている、磁気装置。
【請求項13】
請求項5に記載の磁気装置において、
一方の磁極を有する1個の磁石が他方の磁極の別の磁石により四方から囲まれるように前記磁石が配列されている、磁気装置。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれかに記載の磁気装置において、
前記各溝部が変化する幅を有しており、当該溝部の幅が前記入口の近くの流入口において増大していて、前記出口の近くの流出口においてテーパー状になっている、磁気装置。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれかに記載の磁気装置において、
前記複数の磁石が前記分離チャンバーの入口および出口の近くの前記溝部の下方に配置されている、磁気装置。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれかに記載の磁気装置において、
前記床部が前記分離チャンバーに対して一方の側において突出している、磁気装置。
【請求項17】
請求項16に記載の磁気装置において、
前記床部の突出した側が前記分離チャンバーの一方の側に接触し、前記床部の突出していない側が前記チャンバーから0.5cm乃至3cm離れている、磁気装置。
【請求項18】
請求項1〜17のいずれかに記載の磁気装置において、
前記切替機構が複数のガイドレールおよび電磁コイルを備える、磁気装置。
【請求項19】
請求項1〜18のいずれかに記載の磁気装置において、
前記磁石が、一より多くの前記磁石と磁気的に接触する、磁気装置。
【請求項20】
請求項1〜19のいずれかに記載の磁気装置において、
前記切替機構が、前記磁石により前記分離チャンバーに形成される磁場を活性化するために当該分離チャンバーを前記床部に接触させるようにし、また、前記磁石により前記分離チャンバーに形成される磁場を不活性化するために当該分離チャンバーを前記床部から離れさせるための機構を備えている、磁気装置。
【請求項21】
請求項1〜20のいずれかに記載の磁気装置において、
前記磁気粒子はリガンドで被覆されてカップリング剤が結合している微小球体である、磁気装置。
【請求項22】
請求項21に記載の磁気装置において、
前記リガンドが蛋白質であり、前記カップリング剤がレクチンである、磁気装置。
【請求項23】
請求項1〜22のいずれかに記載の磁気装置において、
前記化学的物質の混合物が血液サンプルであり、前記成分が、当該血液サンプルからの血液成分である、磁気装置。
【請求項24】
連続的磁気分離装置を製造する方法において、
(a)複数の溝部を備え、入口および出口を有する分離チャンバーを供給するステップ、
(b)複数の磁石であって、前記分離チャンバーの一方の側の床部の外部に当該床部に接して配列され、互いに磁気的に接触して磁場を形成する複数の磁石を供給するステップ、および、
(c)前記磁石により前記分離チャンバーに形成される磁場を活性化し、また、不活性化するための切替機構を供給するステップ
を含む方法。
【請求項25】
請求項24に記載の方法において、
前記床部が磁化可能な軟鉄金属材料により構成されている、方法。
【請求項26】
請求項24に記載の方法において、
前記磁石がNdFeB磁石である、方法。
【請求項27】
請求項24に記載の方法において、
前記磁石がSmCo磁石である、方法。
【請求項28】
請求項24〜27のいずれかに記載の方法において、
前記各磁石が対向するS極およびN極を伴う軸を有しており、各磁石の軸が前記床部に対して垂直である、方法。
【請求項29】
請求項28に記載の方法において、
前記各磁石の軸がその他の磁石の軸に対して平行であり、前記溝部に対して垂直である、方法。
【請求項30】
請求項27または28に記載の方法において、
前記磁極の一方が前記床部の上面上に支持されていて、他方の磁極が前記複数の溝部に対向しており、各磁石がその他の磁石に対して横並びに配列されるように磁石を配置するステップをさらに含む、方法。
【請求項31】
請求項24〜30のいずれかに記載の方法において、
磁極をN−S−N−Sの配列構成にした状態で、前記複数の磁石をそれらの磁極が交互になるように配列するステップをさらに含む、方法。
【請求項32】
請求項31に記載の方法において、
前記磁石が前記横並びの配列構成から僅かにずれている、方法。
【請求項33】
請求項24に記載の方法において、
前記複数の磁石の磁極が交互になるように当該磁石を垂直に配列して、S極の垂直列に対してN極の垂直列を横並びに配置するステップをさらに含む、方法。
【請求項34】
請求項33に記載の方法において、
前記複数の磁石が前記横並びの配列構成から僅かにずれている、方法。
【請求項35】
請求項24に記載の方法において、
前記複数の磁石の磁極が交互になるように当該磁石を水平に配列して、S極の水平列に対してN極の水平列を横並びに配置するステップをさらに含む、方法。
【請求項36】
請求項35に記載の方法において、
前記複数の磁石が前記横並びの配列構成から僅かにずれている、方法。
【請求項37】
請求項24に記載の方法において、
一方の磁極を有する1個の磁石が他方の磁極の別の磁石により四方から囲まれるように前記磁石を配列するステップをさらに含む、方法。
【請求項38】
請求項24〜37のいずれかに記載の方法において、
前記溝部の幅を変化して、当該溝部の幅が前記入口の近くの流入口において増大して、前記出口の近くの流出口においてテーパー状になるようにするステップをさらに含む、方法。
【請求項39】
請求項24〜38のいずれかに記載の方法において、
前記複数の磁石を前記分離チャンバーの入口および出口の近くの前記溝部の下方に配置するステップをさらに含む、方法。
【請求項40】
請求項24〜39のいずれかに記載の方法において、
前記磁石床部を前記分離チャンバーに対してその一方の側において突出させるステップをさらに含む、方法。
【請求項41】
請求項40に記載の方法において、
前記床部の突出した側が前記分離チャンバーの一方の側に接触し、前記床部の突出していない側が前記チャンバーから0.5cm乃至3cm離れている、方法。
【請求項42】
請求項24〜41のいずれかに記載の方法において、
前記磁石が、一より多くの前記磁石と磁気的に接触する、方法。
【請求項43】
請求項24〜42のいずれかに記載の方法において、
前記切替機構が、前記磁石により前記分離チャンバーに形成される磁場を活性化するために当該分離チャンバーを前記床部に接触させるようにし、また、前記磁石により前記分離チャンバーに形成される磁場を不活性化するために当該分離チャンバーを前記床部から離れさせるための機構を備える、方法。
【請求項44】
請求項24〜43のいずれかに記載の方法において、
前記切替機構が複数のガイドレールおよび電磁コイルを備える、方法。
【請求項45】
請求項24〜44のいずれかに記載の方法において、
前記連続的磁気分離装置が、請求項1〜23のいずれかに記載の磁気装置である、方法。
【請求項1】
化学的物質の混合物から成分を分離するための多次元的勾配を有する磁気装置において、
(A)複数の溝部を備え、入口および出口を有する分離チャンバー、
(B)前記分離チャンバーの一方の側の床部の外部に当該床部に接して配置されている複数の磁石であって、当該複数の磁石が互いに磁気的に接触して磁場を形成する複数の磁石、および、
(C)前記磁石により前記分離チャンバーに形成される磁場を活性化し、また、不活性化するための切替機構
を備える、磁気装置。
【請求項2】
請求項1に記載の磁気装置において、
前記床部が磁化可能な軟鉄金属材料により構成されている、磁気装置。
【請求項3】
請求項1に記載の磁気装置において、
前記磁石がNdFeB磁石である、磁気装置。
【請求項4】
請求項1に記載の磁気装置において、
前記磁石がSmCo磁石である、磁気装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の磁気装置において、
前記各磁石が対向するS極およびN極を伴う軸を有しており、これらの磁極の一方が前記床部の上面上に支持されていて、他方の磁極が前記複数の溝部に対向しており、各磁石の軸が前記床部に対して垂直であり、各磁石がその他の磁石に対して横並びに配列されている、磁気装置。
【請求項6】
請求項5に記載の磁気装置において、
前記各磁石の軸がその他の磁石の軸に対して平行であり、前記溝部に対して垂直である、磁気装置。
【請求項7】
請求項5または6に記載の磁気装置において、
前記複数の磁石の磁極が交互になるように当該磁石が配列されて、当該磁石がN−S−N−Sの配列構成で横並びに配置されている、磁気装置。
【請求項8】
請求項7に記載の磁気装置において、
前記磁石が前記横並びの配列構成から僅かにずれている、磁気装置。
【請求項9】
請求項5に記載の磁気装置において、
前記複数の磁石の磁極が交互になるように当該磁石が垂直に配列されて、S極の垂直列に対してN極の垂直列が横並びに配置されている、磁気装置。
【請求項10】
請求項9に記載の磁気装置において、
前記磁石が前記横並びの配列構成から僅かにずれている、磁気装置。
【請求項11】
請求項5に記載の磁気装置において、
前記複数の磁石の磁極が交互になるように当該磁石が水平に配列されて、S極の水平列に対してN極の水平列が横並びに配置されている、磁気装置。
【請求項12】
請求項11に記載の磁気装置において、
前記複数の磁石が前記横並びの配列構成から僅かにずれている、磁気装置。
【請求項13】
請求項5に記載の磁気装置において、
一方の磁極を有する1個の磁石が他方の磁極の別の磁石により四方から囲まれるように前記磁石が配列されている、磁気装置。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれかに記載の磁気装置において、
前記各溝部が変化する幅を有しており、当該溝部の幅が前記入口の近くの流入口において増大していて、前記出口の近くの流出口においてテーパー状になっている、磁気装置。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれかに記載の磁気装置において、
前記複数の磁石が前記分離チャンバーの入口および出口の近くの前記溝部の下方に配置されている、磁気装置。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれかに記載の磁気装置において、
前記床部が前記分離チャンバーに対して一方の側において突出している、磁気装置。
【請求項17】
請求項16に記載の磁気装置において、
前記床部の突出した側が前記分離チャンバーの一方の側に接触し、前記床部の突出していない側が前記チャンバーから0.5cm乃至3cm離れている、磁気装置。
【請求項18】
請求項1〜17のいずれかに記載の磁気装置において、
前記切替機構が複数のガイドレールおよび電磁コイルを備える、磁気装置。
【請求項19】
請求項1〜18のいずれかに記載の磁気装置において、
前記磁石が、一より多くの前記磁石と磁気的に接触する、磁気装置。
【請求項20】
請求項1〜19のいずれかに記載の磁気装置において、
前記切替機構が、前記磁石により前記分離チャンバーに形成される磁場を活性化するために当該分離チャンバーを前記床部に接触させるようにし、また、前記磁石により前記分離チャンバーに形成される磁場を不活性化するために当該分離チャンバーを前記床部から離れさせるための機構を備えている、磁気装置。
【請求項21】
請求項1〜20のいずれかに記載の磁気装置において、
前記磁気粒子はリガンドで被覆されてカップリング剤が結合している微小球体である、磁気装置。
【請求項22】
請求項21に記載の磁気装置において、
前記リガンドが蛋白質であり、前記カップリング剤がレクチンである、磁気装置。
【請求項23】
請求項1〜22のいずれかに記載の磁気装置において、
前記化学的物質の混合物が血液サンプルであり、前記成分が、当該血液サンプルからの血液成分である、磁気装置。
【請求項24】
連続的磁気分離装置を製造する方法において、
(a)複数の溝部を備え、入口および出口を有する分離チャンバーを供給するステップ、
(b)複数の磁石であって、前記分離チャンバーの一方の側の床部の外部に当該床部に接して配列され、互いに磁気的に接触して磁場を形成する複数の磁石を供給するステップ、および、
(c)前記磁石により前記分離チャンバーに形成される磁場を活性化し、また、不活性化するための切替機構を供給するステップ
を含む方法。
【請求項25】
請求項24に記載の方法において、
前記床部が磁化可能な軟鉄金属材料により構成されている、方法。
【請求項26】
請求項24に記載の方法において、
前記磁石がNdFeB磁石である、方法。
【請求項27】
請求項24に記載の方法において、
前記磁石がSmCo磁石である、方法。
【請求項28】
請求項24〜27のいずれかに記載の方法において、
前記各磁石が対向するS極およびN極を伴う軸を有しており、各磁石の軸が前記床部に対して垂直である、方法。
【請求項29】
請求項28に記載の方法において、
前記各磁石の軸がその他の磁石の軸に対して平行であり、前記溝部に対して垂直である、方法。
【請求項30】
請求項27または28に記載の方法において、
前記磁極の一方が前記床部の上面上に支持されていて、他方の磁極が前記複数の溝部に対向しており、各磁石がその他の磁石に対して横並びに配列されるように磁石を配置するステップをさらに含む、方法。
【請求項31】
請求項24〜30のいずれかに記載の方法において、
磁極をN−S−N−Sの配列構成にした状態で、前記複数の磁石をそれらの磁極が交互になるように配列するステップをさらに含む、方法。
【請求項32】
請求項31に記載の方法において、
前記磁石が前記横並びの配列構成から僅かにずれている、方法。
【請求項33】
請求項24に記載の方法において、
前記複数の磁石の磁極が交互になるように当該磁石を垂直に配列して、S極の垂直列に対してN極の垂直列を横並びに配置するステップをさらに含む、方法。
【請求項34】
請求項33に記載の方法において、
前記複数の磁石が前記横並びの配列構成から僅かにずれている、方法。
【請求項35】
請求項24に記載の方法において、
前記複数の磁石の磁極が交互になるように当該磁石を水平に配列して、S極の水平列に対してN極の水平列を横並びに配置するステップをさらに含む、方法。
【請求項36】
請求項35に記載の方法において、
前記複数の磁石が前記横並びの配列構成から僅かにずれている、方法。
【請求項37】
請求項24に記載の方法において、
一方の磁極を有する1個の磁石が他方の磁極の別の磁石により四方から囲まれるように前記磁石を配列するステップをさらに含む、方法。
【請求項38】
請求項24〜37のいずれかに記載の方法において、
前記溝部の幅を変化して、当該溝部の幅が前記入口の近くの流入口において増大して、前記出口の近くの流出口においてテーパー状になるようにするステップをさらに含む、方法。
【請求項39】
請求項24〜38のいずれかに記載の方法において、
前記複数の磁石を前記分離チャンバーの入口および出口の近くの前記溝部の下方に配置するステップをさらに含む、方法。
【請求項40】
請求項24〜39のいずれかに記載の方法において、
前記磁石床部を前記分離チャンバーに対してその一方の側において突出させるステップをさらに含む、方法。
【請求項41】
請求項40に記載の方法において、
前記床部の突出した側が前記分離チャンバーの一方の側に接触し、前記床部の突出していない側が前記チャンバーから0.5cm乃至3cm離れている、方法。
【請求項42】
請求項24〜41のいずれかに記載の方法において、
前記磁石が、一より多くの前記磁石と磁気的に接触する、方法。
【請求項43】
請求項24〜42のいずれかに記載の方法において、
前記切替機構が、前記磁石により前記分離チャンバーに形成される磁場を活性化するために当該分離チャンバーを前記床部に接触させるようにし、また、前記磁石により前記分離チャンバーに形成される磁場を不活性化するために当該分離チャンバーを前記床部から離れさせるための機構を備える、方法。
【請求項44】
請求項24〜43のいずれかに記載の方法において、
前記切替機構が複数のガイドレールおよび電磁コイルを備える、方法。
【請求項45】
請求項24〜44のいずれかに記載の方法において、
前記連続的磁気分離装置が、請求項1〜23のいずれかに記載の磁気装置である、方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5a】
【図5b】
【図6a】
【図6b】
【図6c】
【図6d】
【図6e】
【図6f】
【図6g】
【図7】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5a】
【図5b】
【図6a】
【図6b】
【図6c】
【図6d】
【図6e】
【図6f】
【図6g】
【図7】
【公開番号】特開2009−279586(P2009−279586A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−168453(P2009−168453)
【出願日】平成21年7月17日(2009.7.17)
【分割の表示】特願2000−532218(P2000−532218)の分割
【原出願日】平成11年2月19日(1999.2.19)
【出願人】(500391095)フロリダ・ステート・ユニバーシティ (1)
【氏名又は名称原語表記】FLORIDA STATE UNIVERSITY
【住所又は居所原語表記】2525 Pottsdamer Street, Tallahasse, FL 32310, U.S.A.
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月17日(2009.7.17)
【分割の表示】特願2000−532218(P2000−532218)の分割
【原出願日】平成11年2月19日(1999.2.19)
【出願人】(500391095)フロリダ・ステート・ユニバーシティ (1)
【氏名又は名称原語表記】FLORIDA STATE UNIVERSITY
【住所又は居所原語表記】2525 Pottsdamer Street, Tallahasse, FL 32310, U.S.A.
【Fターム(参考)】
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