説明

混合物の処理装置及び処理方法

【課題】 全体を小型化、簡素化することができ、設備費及び運転費を削減できる混合物の処理装置を提供する。
【解決手段】 粉粒分と水分との混合物としてのモルタル排水を分離して処理する混合物の処理装置であって、加熱手段22と、加熱手段22にモルタル排水を吹き付ける吹付手段23と、吹付手段23から吹き付けられて、加熱手段22で加熱されたモルタル排水に含まれる水分が蒸発して生じた水蒸気を凝縮して水に戻す凝縮手段32とを備える。吹付手段23から加熱手段22に向けてモルタル排水を吹き付け、モルタル排水を加熱手段22によって加熱することよりモルタル排水に含まれる水分を蒸発させることができ、この水蒸気を凝縮手段33で凝縮して水に戻すことにより、モルタル排水を粉粒分と水分とに分離して処理することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、混合物の処理装置及び処理方法に関し、特に、粉粒体と液体との混合物を処理するのに好適な混合物の処理装置及び処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
土木や建築の現場から発生するモルタル排水(セメントと砂と水との混合物)は、環境保護の問題から、そのまま下水道や河川等に放流することはできない。このため、凝集沈殿方式や濾過除去方式により、対象のモルタル排水をセメント分と水分とに分離し、セメント分は、産業廃棄物として処分し、セメント成分が含まれる水は、炭酸ガスや中和剤を用いてpH処理を行った後に、下水道や河川等に放流している。
【0003】
また、常時、モルタル排水の処理が必要な大規模は現場においては、非特許文献1に記載のような排水処理機が用いられている。非特許文献1に記載の排水処理機は、モルタル排水のセメント分を沈殿させる原水槽と、原水槽でセメント分を分離させた上澄水を貯留させる中和槽と、中和槽に炭酸ガスを吹き込む炭酸ガス供給装置とを備えたものであって、この排水処理機を現場に設置して、回収したモルタル排水を原水槽に供給することにより、現場から発生するモルタル排水を連続して処理することができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】株式会社鶴見製作所ホームページ、pH制御システムカタログ、インターネット<http://www.tsurumipump.co.jp/products/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のような構成の排水処理機にあっては、原水槽、中和槽、炭酸ガス供給装置等からなる大型で、構造が複雑な設備であるため、設備費が高く、また、設置可能な場所が制限される。
【0006】
また、モルタル排水から分離したセメント分を産業廃棄物として処分する費用の他に、モルタル排水から分離した上澄水を中和する費用が必要になるため、モルタル排水の処理費用が高く付く。
【0007】
このため、モルタル排水の処理量が少なく、設置場所が制限されるリニューアル工事等の小規模の現場には適用することが難しい。また、建築現場の上層階等においても、エレベータに載せる搬入することができないため、適用することができない。
【0008】
本発明は、上記のような従来の問題に鑑みなされたものであって、土木や建築等の小規模の現場や、建築現場の上層階等においても、適用が可能な混合物の処理装置及び処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記のような課題を解決するために、本発明は、以下のような手段を採用している。
すなわち、本発明は、粉粒分と水分との混合物としてのモルタル排水を分離して処理する混合物の処理装置であって、加熱手段と、前記加熱手段に前記モルタル排水を吹き付ける吹付手段と、前記吹付手段から吹き付けられて、前記加熱手段で加熱されたモルタル排水に含まれる水分が蒸発して生じた水蒸気を凝縮して水に戻す凝縮手段とを備えていることを特徴とする。
【0010】
本発明の混合物の処理装置によれば、粉粒分と水分との混合物としてのモルタル排水を吹付手段によって加熱手段に吹き付けることにより、加熱手段によってモルタル排水が加熱されて、モルタル排水に含まれる水分が蒸発され、この水蒸気が凝縮手段で凝縮されて水に戻されることになる。従って、分離した粒状分としてのセメント分を産業廃棄物として処分し、分離した水分は、純水となるのでpHの調整をする必要がなく、純水として下水道等に放流するか、或いはモルタルの製造等に再利用することができる。
【0011】
また、本発明において、内部が第1室と第2室の2室に区画されたケーシングを備え、前記第1室内に前記加熱手段及び吹付手段が設けられ、前記第2室内に前記凝縮手段が設けられていることとしてもよい。
【0012】
本発明の混合物の処理装置によれば、ケーシング内に加熱手段、吹付手段、及び凝縮手段を収納して一体化することができるので、全体を小型化、簡素化することができる。従って、モルタル排水を処理する場合に、処理量が少ない小規模の現場にも十分に適用することが可能となる。また、ケーシングの内部を第1室と第2室とに区画し、第1室内で混合物を加熱して混合物に含まれる水分を蒸発させて水蒸気を生じさせ、この水蒸気を第2室内で冷却して水に戻しており、加熱と冷却とを別の室で行っているので、モルタル排水の処理を効率よく行うことができる。
【0013】
さらに、本発明において、前記吹付手段は、前記モルタル排水を遠心力の作用により、前記加熱手段に吹き付ける脱水濾過ドラムを備えていることとしてもよい。
【0014】
さらに、本発明において、前記吹付手段は、前記モルタル排水を圧送して噴射させることにより、前記加熱手段に向けて吹き付けるノズルを備えていることとしてもよい。
【0015】
さらに、本発明において、前記加熱手段は、前記第1室の内面に設けられた面状ヒータであることとしてもよい。
【0016】
本発明の混合物の処理装置によれば、加熱手段としての面状ヒータにモルタル排水を吹き付けることにより、面状ヒータでモルタル排水が加熱され、モルタル排水に含まれる水分が蒸発させられることになる。また、面状ヒータを用いたことにより、吹き付けられたモルタル排水を広範囲で受け止めることができるとともに、面状ヒータの各位置において、蒸気を造るモルタル排水は少量となり、この少量のモルタル排水を加熱してモルタル排水に含まれる水分を蒸発させることができるので、モルタル排水に含まれる水分を効率良く蒸発させて水蒸気を生じさせることができる。
【0017】
さらに、本発明において、前記凝縮手段は、前記第2室内に設けられた熱交換器と、前記第2室内に外気を取り込む冷却ファンとからなることとしてもよい。
【0018】
本発明の混合物の処理装置によれば、加熱手段によって加熱されて蒸発された蒸気は、凝縮手段の熱交換器に導かれ、熱交換器で冷却ファンによって第2室内に取り込まれた外気との間で熱交換されることにより、凝縮されて水に戻されることになる。
【0019】
さらに、本発明は、粉粒分と水分との混合物としてのモルタル排水を分離して処理する混合物の処理方法であって、加熱手段と、前記加熱手段に前記モルタル排水を吹き付ける吹付手段と、前記吹付手段から吹き付けられて、前記加熱手段で加熱されたモルタル排水に含まれる水分が蒸発して生じた水蒸気を凝縮して水に戻す凝縮手段とを備えた混合物の処理装置を用い、前記吹付手段から前記加熱手段に向けて前記モルタル排水を吹き付け、該モルタル排水を前記加熱手段によって加熱することより該モルタル排水に含まれる水分を蒸発させ、該水蒸気を前記凝縮手段で凝縮して水に戻すことにより、前記モルタル排水を粉粒分と水分とに分離して処理することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
以上、説明したように、本発明の混合物の処理装置及び処理方法によれば、粉粒分と水分との混合物としてのモルタル排水を吹付手段によって加熱手段に吹き付けることにより、加熱手段によってモルタル排水が加熱されて、モルタル排水に含まれる水分が蒸発され、この蒸気が凝縮手段で凝縮されて水に戻されることになる。従って、分離した粒状分(セメント分、砂分等)を産業廃棄物として処分し、分離した水分は純水となるのでpHの調整をする必要がなく、純水として下水道等に放流するか、或いはモルタルの製造等に再利用することができる。
また、吹付手段と、加熱手段と、凝縮手段とからなる簡単な構成のものであるので、全体を小型化できるとともに、設備費を安く抑えることができ、混合物の処理量が少ない小規模の現場にも十分に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明による混合物の処理装置の第1の実施の形態を示した概略正面図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】図1の混合物の処理装置の脱水濾過ドラムに混合物としてのモルタル排水を投入した状態を示した説明図である。
【図4】脱水濾過ドラムによるモルタル排水の水分の吹き付け状態、面状ヒータによる水分の加熱状態、及び熱交換器による蒸気の凝縮状態を示した説明図である。
【図5】第1室から粒状分を排出させ、第2室から水を排出させている状態を示した説明図である。
【図6】本発明による混合物の処理装置の第2の実施の形態を示した概略正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
図1及び図2には、本発明による混合物の処理装置の第1の実施の形態が示されている。本実施の形態の混合物の処理装置(以下、処理装置1という。)は、粉粒体と液体との混合物を粉粒体と液体とに分離して処理するのに適用可能なものであって、本実施の形態においては、土木や建築の現場から発生するモルタル排水40(セメントと砂と水との混合物)をセメントと砂からなる粒状分41と水分42とに分離して処理するのに適用している。
【0023】
本実施の形態の処理装置1は、図1及び図2に示すように、内部が第1室16と第2室19の2室に区画されるケーシング2と、第1室16内に設けられる加熱手段22と、第1室16内に設けられるとともに、加熱手段22に向けて回収したモルタル排水40を吹き付ける吹付手段23と、第2室19内に設けられるとともに、加熱手段22で加熱されて蒸発した水蒸気を回収して凝縮させる凝縮手段32とを備えている。
【0024】
ケーシング2は、4枚の側板3〜6と、底板8と、上板7とからなる箱状をなすものであって、内部が仕切り板9によって第1室16と第2室19の2室に区画されている。
ケーシング2の上部(上板7)には、第1室16内にモルタル排水40を投入する投入口12が設けられ、この投入口12は開閉蓋13によって開閉可能に構成されている。ケーシング2の側部(側板5)には、第1室16内から粒状分41を排出させる排出口14が設けられ、この排出口14は開閉蓋15によって開閉可能に構成されている。ケーシング2の第1室16内は、仕切り板11によって上室17と下室18の2室に区画され、上室17内に加熱手段22が設けられ、上室17及び下室18内に後述する吹付手段23が設けられている。
【0025】
ケーシング2の上部(上板7)には、第2室19内に外気を取り込むための外気口20が設けられ、この外気口20に後述する凝縮手段32の冷却ファン36が設けられ、この冷却ファン36の作動により、外気が外気口20を介して第2室19内に取り込まれる。ケーシング2の仕切り板9の上部には、第1室16と第2室19との間を相互に連通する複数の流入口10が設けられ、各流入口10を介して第1室16内の水蒸気が第2室19に設置された熱交換器33(後述する)に導かれる。ケーシング2の側部(側板6)には、第2室19内から水を排出させるための排水口21が設けられ、この排水口21はホース等を介して下水道等に接続されている。
【0026】
加熱手段22は、例えば、IHヒータ等の面状ヒータ22であって、本実施の形態においては、第1室16の内面の全体(内側面及び底面)を覆うように、複数枚の面状ヒータ22が第1室16の内面に設けられている。面状ヒータ22に後述する吹付手段23からモルタル排水40を吹き付けることにより、モルタル排水40が加熱されてモルタル排水40に含まれる水分42が蒸発する。
【0027】
加熱手段22は、面状ヒータ22に限らず、モルタル排水40に含まれる水分42を効率良く加熱して蒸発させることができるものであればよい。また、面状ヒータ22は、少なくとも吹付手段23から吹き付けられるモルタル排水40を受け止める部分のみに設けるように構成してもよい。
【0028】
吹付手段23は、例えば、第1室16の上室17内の中央部に回転可能に設けられる脱水濾過ドラム24と、第1室16の下室18内に設けられるとともに、脱水濾過ドラム24を回転駆動させる駆動源25とから構成されている。
【0029】
脱水濾過ドラム24は、例えば、側面及び底面がフィルタにより形成された、直径の異なる3つの円筒状の第1フィルタ部材26、第2フィルタ部材27、及び第3フィルタ部材28を内側からこの順に間隔をおいて3層に配置して構成したものであって、最も内側の第1フィルタ部材26の内側にモルタル排水40が投入される。
【0030】
本実施の形態においては、第1フィルタ部材26、第2フィルタ部材27、第3フィルタ28の順にフィルタの目の粗さが小さくなるように、各フィルタ部材27〜28のフィルタの目の粗さを設定している。これにより、第1フィルタ部材27の内側に投入されたモルタル排水40は、第1フィルタ部材26のフィルタ、第2フィルタ部材27のフィルタ、及び第3フィルタ部材28のフィルタで順次濾過され、第3フィルタ部材28のフィルタを通過したモルタル排水40から分離された水分42が遠心力によって面状ヒータ22の表面に吹き付けられる。
【0031】
本実施の形態においては、例えば、第1フィルタ部材26のフィルタの目の粗さを1.0mmとし、第2フィルタ部材27のフィルタの目の粗さを100μmとし、第3フィルタ部材28のフィルタの目の粗さを25μmとしている。
【0032】
なお、各フィルタ部材26〜28のフィルタの目の粗さは、上記のサイズに限らず、対象とするモルタル排水40に含まれるモルタル分41の粒度に応じて設定すればよい。また、脱水濾過ドラム24は、3層に限らず、1層、2層、又は4層以上としてもよい。
【0033】
凝縮手段32は、第2室19内に設けられる熱交換器33と、第2室19の外気口20に設けられる冷却ファン36とから構成されている。熱交換器33は、仕切り板9の各流入口10にそれぞれ接続されるとともに、第2室19の略全体に行き渡るように所望の形状に折り曲げられた凝縮管34と、凝縮管34に取り付けられた複数の冷却フィン35とから構成されている。
【0034】
第1室16内の蒸気は、各流入口10を介して熱交換器33の凝縮管34内に流入し、凝縮管34内を流れる際に、冷却ファン35によって第2室19内に取り込んだ外気との間で熱交換されることにより凝縮されて水に戻され、第2室19内に貯留される。
【0035】
上記のように構成した本実施の形態の処理装置1を用いてモルタル排水40を処理するには、まず、図3に示すように、開閉蓋13を開けて投入口12を開放し、現場から回収したモルタル排水40を投入口12から第1室16内の脱水濾過ドラム24の第1フィルタ部材26の内側に投入し、開閉蓋13で投入口12を閉じる。
【0036】
次に、図4に示すように、駆動源25を作動させて、脱水濾過ドラム24を回転させることにより、第1フィルタ部材26の内側に投入したモルタル排水40に遠心力を作用させて、第1フィルタ部材26のフィルタ、第2フィルタ部材27のフィルタ、及び第3フィルタ部材28のフィルタで順次濾過することにより、モルタル排水40を粒状分41と水分42とに分離する。
【0037】
ここで、モルタル排水40から分離された粒状分41は、第1フィルタ部材26の内側、第2フィルタ部材27の内側、及び第3フィルタ部材28の内側にそれぞれ回収されるとともに、各フィルタ部材26〜28の下部のフィルタを通過した粒状分41は、第1室16の底部に回収される。
【0038】
また、第1フィルタ部材26のフィルタ、第2フィルタ部材27のフィルタ、及び第3フィルタ部材28のフィルタを通過したモルタル排水40から分離された水分42は、第3フィルタ部材28の側部のフィルタを介して面状ヒータ22の表面に吹き付けられる。
【0039】
面状ヒータ22に吹き付けられた水分42は、面状ヒータ22によって加熱されることにより蒸発して水蒸気となり、この水蒸気は第1室16内を上昇して各流入口10から第2室19の熱交換器33の凝縮管34内に流入し、凝縮管34内を流れる際に、冷却ファン35によって第2室19内に取り込まれた外気との間で熱交換されることにより凝縮され、水に戻されて第2室19内に貯留される。
【0040】
そして、図5に示すように、第2室19内に貯留された水は、第2室19から排水口21を通じて下水道や河川等に放流するか、或いは、純水としてモルタルの製造等に再利用する。
【0041】
上記のように構成した本実施の形態の処理装置1にあっては、吹付手段23(脱水濾過ドラム24)と、加熱手段22(面状ヒータ22)と、凝縮手段32(熱交換器33)とを一体化させて、それらを一つのケーシング2内に収納したものであるので、全体を小型化することができる。
【0042】
従って、設置スペースが制限されるような小規模な現場でも十分に適用することができる。また、建築現場の上層階等でのモルタル排水40の処理に使用する場合にも、エレベータを用いて上層階に搬入できるので、そのような現場にも対応することができる。
【0043】
また、吹付手段23の脱水濾過ドラム24は、円筒状のフィルタ部材26〜28を3層に組み合わせたものであり、また、加熱手段22の面状ヒータ22は、IHヒータ等を利用したものであり、さらに、凝縮手段32は、熱交換器33と冷却ファン36とを組み合わせたものであるので、全体の構造を簡素化することができ、設備費を安く抑えることができる。
【0044】
さらに、モルタル排水40を粒状分41と水分42とに分離し、粒状分41は産業廃棄物として処分し、水分42は一旦蒸発させた後に水に戻しているので、水のpHを調整する必要がなく、純水として下水道等に放流するか、或いは、モルタルの製造等に再利用することができ、pHの調整に要する費用を削減することができる。
【0045】
さらに、モルタル排水40から分離させた水分42を、加熱手段22としての面状ヒータ22に吹き付けて蒸発させて水蒸気とし、この水蒸気を凝縮して水に戻しているので、水分42の処理に要する時間を短縮することができ、モルタル排水40の分離処理を効率良く行うことができる。
【0046】
さらに、面状ヒータ22を用いたことにより、吹き付けられたモルタル排水40を広範囲で受け止めることができるとともに、ヒータ22の各位置で蒸気を作る排水モルタル40は少量となり、この少量のモルタル排水40を加熱して、モルタル排水40に含まれる水分42を蒸発させればよいので、モルタル排水40に含まれる水分42を効率良く蒸発させて水蒸気を生じさせることができる。
【0047】
さらに、ケーシング2の内部を第1室16と第2室19とに区画し、第1室16内でモルタル排水40加熱して、モルタル排水40に含まれる水分42を蒸発させて水蒸気を生じさせ、この水蒸気を第2室19内で加熱して水に戻しており、加熱と冷却を別の室で行っているので、モルタル排水40の処理を効率よく行うことができる。
【0048】
図6には、本発明による混合物の処理装置の第2の実施の形態が示されている。本実施の形態の混合物の処理装置1は、吹付手段23を、モルタル排水40を面状ヒータ22に吹き付ける複数の噴射孔を有するノズル29と、ノズル29にモルタル排水40を圧送する圧送ポンプ31と、圧送ポンプ31とノズル29とを連結する配管30とによって構成したものであって、その他の構成は前記実施の形態に示すものと同様である。
【0049】
本実施の形態においては、圧送ポンプ31を作動させて、モルタル排水40を配管30を介してノズル29に供給し、このモルタル排水40をノズル29の噴射孔から面状ヒータ22の表面に向けて霧状にして吹き付けることにより、モルタル排水40が面状ヒータ22によって加熱され、モルタル排水40に含まれる水分42が蒸発して水蒸気となり、この水蒸気が第2室19の熱交換器33に導かれる。
【0050】
ここで、ノズル29としては、モルタル排水40を霧状にして噴射させることができるものであれば制限はなく、例えば、スパイラルノズル(株式会社 共立合金製作所製)を用いることができる。また、モルタル排水40をフィルタで濾過した後に、ノズル29に供給してもよいし、フィルタ付きのノズルを使用してもよい。
【0051】
そして、本実施の形態の混合物の処理装置にあっても、前記第1の実施の形態に示すものと同様の作用効果を奏する。
【0052】
なお、上記の各実施の形態の処理装置1を複数台設置することにより、大規模の現場におけるモルタル排水40の処理に適用してもよい。
【0053】
また、前記各実施の形態においては、本発明による混合物の処理装置1をモルタル排水40を粒状分41と水分42とに分離して処理する場合に適用したが、その他の各種の粉粒体と液体との混合物を分離処理する場合に本発明を適用してもよいものであり、その場合にも同様の作用効果を奏する。
【符号の説明】
【0054】
1 処理装置
2 ケーシング
3 側板
4 側板
5 側板
6 側板
7 上板
8 底板
9 仕切り板
10 流入口
11 仕切り板
12 投入口
13 開閉蓋
14 排出口
15 開閉蓋
16 第1室
17 上室
18 下室
19 第2室
20 外気口
21 排水口
22 加熱手段(面状ヒータ)
23 吹付手段
24 脱水濾過ドラム
25 駆動源
26 第1フィルタ部材
27 第2フィルタ部材
28 第3フィルタ部材
29 ノズル
30 配管
31 圧送ポンプ
32 凝縮手段
33 熱交換器
34 凝縮管
35 冷却フィン
36 冷却ファン
40 モルタル排水
41 粒状分
42 水分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉粒分と水分との混合物としてのモルタル排水を分離して処理する混合物の処理装置であって、
加熱手段と、前記加熱手段に前記モルタル排水を吹き付ける吹付手段と、前記吹付手段から吹き付けられて、前記加熱手段で加熱された前記モルタル排水に含まれる水分が蒸発して生じた水蒸気を凝縮して水に戻す凝縮手段とを備えていることを特徴とする混合物の処理装置。
【請求項2】
前記加熱手段は、面状ヒータであることを特徴とする請求項1に記載の混合物の処理装置。
【請求項3】
内部が第1室と第2室の2室に区画されたケーシングを備え、前記第1室内に前記加熱手段及び吹付手段が設けられ、前記第2室内に前記凝縮手段が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の混合物の処理装置。
【請求項4】
前記吹付手段は、前記モルタル排水を遠心力の作用により、前記加熱手段に吹き付ける脱水濾過ドラムを備えていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の混合物の処理装置。
【請求項5】
前記吹付手段は、前記混合物を圧送して噴射させることにより、前記加熱手段に向けて吹き付けるノズルを備えていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の混合物の処理装置。
【請求項6】
前記凝縮手段は、前記第2室内に設けられた熱交換器と、前記第2室内に外気を取り込む冷却ファンとからなることを特徴とする請求項3〜5の何れか1項に記載の混合物の処理装置。
【請求項7】
粉粒分と水分との混合物としてのモルタル排水を分離して処理する混合物の処理方法であって、
加熱手段と、前記加熱手段に前記モルタル排水を吹き付ける吹付手段と、前記吹付手段から吹き付けられて、前記加熱手段で加熱された前記モルタル排水に含まれる水分が蒸発して生じた水蒸気を凝縮して水に戻す凝縮手段とを備えた混合物の処理装置を用い、
前記吹付手段から前記加熱手段に向けて前記モルタル排水を吹き付け、該モルタル排水を前記加熱手段によって加熱することより該モルタル排水に含まれる水分を蒸発させ、該水蒸気を前記凝縮手段で凝縮して水に戻すことにより、前記モルタル排水を粉粒分と水分とに分離して処理することを特徴とする混合物の処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−34957(P2013−34957A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−174069(P2011−174069)
【出願日】平成23年8月9日(2011.8.9)
【出願人】(000000549)株式会社大林組 (1,758)
【Fターム(参考)】