混合玉を有するアプリケータ先端部
【課題】流体アプリケータデバイスと一緒に使用するためのアプリケータ先端部を提供すること。
【解決手段】本開示に従うアプリケータ先端部は、本体部分および分配先端部を備える。この本体部分は、流体源との流体連絡のために適合された入口を有する近位端、開口部を備える遠位端、およびこれらの間に配置された混合チャンバを備える。この混合チャンバは、その内部に配置された少なくとも1つの混合玉および少なくとも1つの生物学的に活性な剤を備える。この分配先端部は、それを通る管腔を規定する。この管腔は、この本体部分の遠位端の開口部と流体連絡しており、そしてそれを通る流体の通過のための出口を備える。
【解決手段】本開示に従うアプリケータ先端部は、本体部分および分配先端部を備える。この本体部分は、流体源との流体連絡のために適合された入口を有する近位端、開口部を備える遠位端、およびこれらの間に配置された混合チャンバを備える。この混合チャンバは、その内部に配置された少なくとも1つの混合玉および少なくとも1つの生物学的に活性な剤を備える。この分配先端部は、それを通る管腔を規定する。この管腔は、この本体部分の遠位端の開口部と流体連絡しており、そしてそれを通る流体の通過のための出口を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、流体アプリケータデバイスと一緒に使用するためのアプリケータ先端部に関し、そして特に、アプリケータ先端部を通して送達される流体と一緒に分配される薬物または他の生物学的に活性な剤を収容する、アプリケータ先端部に関する。
【背景技術】
【0002】
流体アプリケータ(例えば、注射器)は、流体混合物(例えば、薬物および栄養など)を体内に注入するために、一般的に使用される。この流体混合物はしばしば、乾燥成分(例えば、薬物および栄養など)を、キャリア溶液または流体成分(例えば、生理食塩水溶液)に溶解または混合することによって、調製される。次いで、この流体混合物は、流体アプリケータに入れられ、そしてアプリケータ先端部を通して排出される。
【0003】
いくつかの混合物は、早い時点で調製され得るが、成分を使用の直前に混合することが、必要ではないがしばしば有利である。従って、この混合物を適用する目的で、この混合物を調製する工程、および流体アプリケータにこの調製された混合物を入れる工程が、さらに行われる必要があり得るか、または別の混合物成分を収容する予め包装された流体アプリケータが、利用され得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
より抜きの生物学的に活性な剤を流体混合物への組み込みのために調整する能力を有することが、有利である。このことは、患者の特定の要求を満たすことによって、患者の区別された処置を可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は、例えば、以下を提供する:
(項目1A)
近位端、遠位端、および該近位端と遠位端との間に配置された混合チャンバを備える本体部分であって、該近位端は、流体源との流体連絡のために適合された入口を有し、該遠位端は、開口部を備え、そして該混合チャンバは、該混合チャンバ内に配置された少なくとも1つの混合玉および少なくとも1つの生物学的に活性な剤を有する、本体部分;ならびに
分配先端部であって、該分配先端部は、該分配先端部を通る管腔を規定し、該管腔は、該本体部分の該遠位端の開口部と流体連絡しており、そして該管腔を通る流体の通過のための出口を備える、分配先端部、
を備える、アプリケータ先端部。
(項目2A)
前記分配先端部の前記管腔は、静的ミキサを備え、該静的ミキサは、該静的ミキサ内に配置された1つ以上の固定バフルを有する、上記項目に記載のアプリケータ先端部。
(項目3A)
前記少なくとも1つの生物学的に活性な剤が低分子薬物である、上記項目のうちのいずれかに記載のアプリケータ先端部。
(項目4A)
前記低分子薬物が、麻酔薬、脈管形成薬、抗痙攣薬、非ステロイド性抗炎症薬、ステロイド、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、上記項目のうちのいずれかに記載のアプリケータ先端部。
(項目5A)
前記少なくとも1つの生物学的に活性な剤が高分子薬物である、上記項目のうちのいずれかに記載のアプリケータ先端部。
(項目6A)
前記高分子薬物が、タンパク質、増殖因子または成長因子である、上記項目のうちのいずれかに記載のアプリケータ先端部。
(項目7A)
前記増殖因子または成長因子がTGF−βである、上記項目のうちのいずれかに記載のアプリケータ先端部。
(項目8A)
前記生物学的に活性な剤が、前記混合玉の少なくとも一部分にコーティングされている、上記項目のうちのいずれかに記載のアプリケータ先端部。
(項目9A)
前記生物学的に活性な剤が、リポソームおよびミクロスフィアからなる群より選択される成分に閉じ込められている、上記項目のうちのいずれかに記載のアプリケータ先端部。
(項目10A)
前記混合玉が多孔性である、上記項目のうちのいずれかに記載のアプリケータ先端部。
(項目11A)
前記混合玉がイオン荷電している、上記項目のうちのいずれかに記載のアプリケータ先端部。
(項目12A)
流体および生物学的に活性な剤を組織に送達するための送達デバイスであって、該送達デバイスは、
流体アプリケータであって、流体を収容する少なくとも1つの流体チャンバ、および該流体チャンバから該流体を分配するように構成された流体アクチュエータを備える、流体アプリケータ;ならびに
混合チャンバを備えるアプリケータ先端部であって、該混合チャンバは、該流体アプリケータの少なくとも1つの流体チャンバに流体結合されており、該混合チャンバは、少なくとも1つの混合玉および少なくとも1つの生物学的に活性な剤を収容し、そして分配先端部に流体結合されている、アプリケータ先端部;
を備え、
該流体アプリケータの該流体アクチュエータは、活性化されて、流体を、該流体アプリケータの該少なくとも1つの流体チャンバから該アプリケータ先端部の該混合チャンバ内へと推進し、その結果、該流体の動きが、該混合玉を該混合チャンバ内で動かし、そして該流体を該混合チャンバ内に配置された該生物学的に活性な剤と混合するように構成されており;そして
該分配先端部は、該流体および生物学的に活性な剤を該標的組織部位へと分配するように構成されている、
送達デバイス。
(項目13A)
前記流体アプリケータが2つの流体チャンバを備える、上記項目に記載の送達デバイス。
(項目14A)
前記流体アクチュエータが、プランジャー、制御ボタン、およびトリガからなる群より選択される、上記項目のうちのいずれかに記載の送達デバイス。
(項目15A)
前記流体アプリケータが、少なくとも1つの導管を備える細長シースをさらに備え、該導管が、該流体アプリケータの前記少なくとも1つの流体チャンバを前記アプリケータ先端部の前記混合チャンバと流体接続している、上記項目のうちのいずれかに記載の送達デバイス。
(項目16A)
前記分配先端部が、該分配先端部内にしっかりと固定された少なくとも1つのバフルを備える、上記項目のうちのいずれかに記載の送達デバイス。
(項目17A)
前記生物学的に活性な剤が2種以上の生物学的に活性な剤を含む、上記項目のうちのいずれかに記載の送達デバイス。
(項目18A)
前記生物学的に活性な剤のうちの少なくとも1つが色素である、上記項目のうちのいずれかに記載の送達デバイス。
(項目19A)
前記流体が、前記生物学的に活性な剤との混合によって前記混合チャンバ内で色を変化させるように処方されている、上記項目のうちのいずれかに記載の送達デバイス。
(項目12B)
流体および生物学的に活性な剤を組織に送達する方法であって、
標的組織部位に送達デバイスを導入する工程であって、該送達デバイスは、
流体アプリケータであって、流体を収容する少なくとも1つの流体チャンバ、および該流体チャンバから該流体を分配するための流体アクチュエータを備える、流体アプリケータ;ならびに
混合チャンバを備えるアプリケータ先端部であって、該混合チャンバは、該流体アプリケータの少なくとも1つの流体チャンバに流体結合されており、該混合チャンバは、少なくとも1つの混合玉および少なくとも1つの生物学的に活性な剤を収容し、そして分配先端部に流体結合されている、アプリケータ先端部;
を備える、工程;
該流体アプリケータの該流体アクチュエータを活性化させて、流体を、該流体アプリケータの該少なくとも1つの流体チャンバから該アプリケータ先端部の該混合チャンバ内へと推進する工程であって、その結果、該流体の動きが、該混合玉を該混合チャンバ内で動かし、そして該流体を該混合チャンバ内に配置された該生物学的に活性な剤と混合する、工程;ならびに
該流体および生物学的に活性な剤を該分配先端部に通して該標的組織部位へと分配する工程、
を包含する、方法。
(項目13B)
上記流体アプリケータが2つの流体チャンバを備える、上記項目に記載の方法。
(項目14B)
上記流体アクチュエータが、プランジャー、制御ボタン、およびトリガからなる群より選択される、上記項目のうちのいずれかに記載の方法。
(項目15B)
上記流体アプリケータが、少なくとも1つの導管を備える細長シースをさらに備え、該導管が、該流体アプリケータの上記少なくとも1つの流体チャンバを上記アプリケータ先端部の上記混合チャンバと流体接続している、上記項目のうちのいずれかに記載の方法。
(項目16B)
上記分配先端部が、該分配先端部内にしっかりと固定された少なくとも1つのバフルを備える、上記項目のうちのいずれかに記載の方法。
(項目17B)
上記生物学的に活性な剤が2種以上の生物学的に活性な剤を含む、上記項目のうちのいずれかに記載の方法。
(項目18B)
上記生物学的に活性な剤のうちの少なくとも1つが色素である、上記項目のうちのいずれかに記載の方法。
(項目19B)
上記流体および生物学的に活性な剤を上記標的組織部位に送達する前に、該流体が上記混合チャンバ内で色を変化させることを待つ工程をさらに包含する、上記項目のうちのいずれかに記載の方法。
【0006】
(摘要)
本開示に従うアプリケータ先端部は、本体部分および分配先端部を備える。この本体部分は、流体源との流体連絡のために適合された入口を有する近位端、開口部を備える遠位端、およびこれらの間に配置された混合チャンバを備える。この混合チャンバは、その内部に配置された少なくとも1つの混合玉および少なくとも1つの生物学的に活性な剤を備える。この分配先端部は、それを通る管腔を規定する。この管腔は、この本体部分の遠位端の開口部と流体連絡しており、そしてそれを通る流体の通過のための出口を備える。
【0007】
(要旨)
本開示は、流体アプリケータデバイスと一緒に使用するためのアプリケータ先端部を提供する。ある実施形態において、本開示のアプリケータ先端部は、流体源との流体連絡のために適合された入口を有する近位端、開口部を備える遠位端、およびこれらの間に配置された混合チャンバ(この混合チャンバは、その内部に配置された少なくとも1つの混合玉および少なくとも1つの生物学的に活性な剤を有する)を備える本体部分;ならびに分配先端部を備え、この分配先端部は、それを通る管腔を規定し、この管腔は、この本体部分の遠位端の開口部と流体連絡しており、そしてそこを通る流体の通過のための出口を備える。ある実施形態において、この生物学的に活性な剤は、この混合玉の少なくとも一部分にコーティングされ得る。
【0008】
流体および生物学的に活性な剤を送達するための方法もまた提供される。ある実施形態において、本開示の方法は、標的組織部位に送達デバイスを導入する工程を包含し得、この送達デバイスは、流体を収容する少なくとも1つの流体チャンバおよびこの流体をこの流体チャンバから分配するための流体アクチュエータを備える流体アプリケータ;ならびにこの流体アプリケータの少なくとも1つの流体チャンバに流体結合された混合チャンバを備えるアプリケータ先端部であって、この混合チャンバは、少なくとも1つの混合玉および少なくとも1つの生物学的に活性な剤を収容し、そして分配先端部と流体結合している、アプリケータ先端部を備える。この流体アプリケータの流体アクチュエータは、流体を、この流体アプリケータの少なくとも1つの流体チャンバから、このアプリケータ先端部の混合チャンバへと推進するように活性化され得、その結果、この流体の動きが、混合玉をこの混合チャンバ内で動かし、そしてこの流体とこの混合チャンバ内に配置されたこの生物学的に活性な剤とを混合する。次いで、この流体および生物学的に活性な剤は、この分配先端部をとおして標的組織部位へと分配され得る。
【0009】
添付の図面は、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成し、本開示の実施形態を図示し、そして上に与えられた本開示の一般的な説明および以下に与えられる実施形態(複数可)の詳細な説明と一緒になって、本開示の原理を説明するのに役立つ。
【発明の効果】
【0010】
本発明によって、流体アプリケータデバイスと一緒に使用するためのアプリケータ先端部が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1A】図1Aは、本開示の1つの実施形態に従うアプリケータ先端部の正面図である。
【図1B】図1Bは、図1Aのアプリケータ先端部の断面図である。
【図2】図2は、本開示の別の実施形態に従う静的ミキサを備えるアプリケータ先端部の断面図である。
【図3】図3は、本開示の1つの実施形態に従うアプリケータ先端部の混合チャンバ内に流動可能に配置された生物学的に活性な剤を収容するアプリケータ先端部の断面図である。
【図4A】図4Aは、本開示の別の実施形態に従うアプリケータ先端部の混合チャンバ内の混合玉にコーティングされた生物学的に活性な剤を収容するアプリケータ先端部の断面図である。
【図4B】図4Bは、図4Aの混合玉への生物学的に活性な剤のコーティングの1つの実施形態の概略図である。
【図4C】図4Cは、図4Aの混合玉への生物学的に活性な剤のコーティングの別の実施形態の概略図である。
【図5A】図5Aは、本開示の1つの実施形態に従う、生物学的に活性な剤でコーティングされた混合玉の断面図である。
【図5B】図5Bは、図5Aの混合玉をコーティングするための型の概略図である。
【図6】図6は、本開示の別の実施形態に従う、生物学的に活性な剤でコーティングされた混合玉の断面図である。
【図7】図7は、本開示のなお別の実施形態に従う、生物学的に活性な剤でコーティングされた混合玉の断面図である。
【図8】図8は、本開示の1つの実施形態に従うアプリケータ先端部と一緒に使用するための流体アプリケータの斜視図である。
【図9】図9は、本開示の別の実施形態に従うアプリケータ先端部と一緒に使用するための流体アプリケータの斜視図である。
【図10A】図10Aは、本開示のなお別の実施形態に従うアプリケータ先端部と一緒に使用するための流体アプリケータの斜視図である。
【図10B】図10Bは、図10Aの流体アプリケータの断面図である。
【図11A】図11Aは、本開示の別の実施形態に従うアプリケータ先端部と一緒に使用するための流体アプリケータの斜視図である。
【図11B】図11Bは、図11Aの流体アプリケータの部分断面図である。
【図12】図12は、本開示のなお別の実施形態に従うアプリケータ先端部と一緒に使用するための流体アプリケータの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示に従うアプリケータ先端部は、混合チャンバおよび分配先端部を備える。この混合チャンバは、生物学的に活性な剤を収容し、流体アプリケータデバイスとの取り付けのために構成される。流体は、この流体アプリケータデバイスからこのアプリケータ先端部の混合チャンバ内へと送達され得、これによって、この流体の動きおよび流れ、ならびにこの混合チャンバ内に配置された混合玉が、生物学的に活性な剤をこの流体と混合する。次いで、この流体および生物学的に活性な剤は、この分配先端部を通して標的部位へと送達され得る。
【0013】
流体アプリケータデバイスに収容される流体は、医療有用性を有する任意の流動可能物質であり得る。ある実施形態において、この流体は、塩溶液(生理食塩水溶液が挙げられる)、ヒドロゲルの前駆体、封止剤、接着剤、または他の任意の溶液、半固体、もしくはペーストであり得る。従って、このアプリケータ先端部を通して送達される流体は、当業者により予想されるような他の用途のうちでもとりわけ、接着剤、封止剤、移植物のためのコーティング、薬物送達デバイス、創傷充填剤、および/または組織強化材料として、利用され得る。
【0014】
本開示のアプリケータ先端部の実施形態が、ここで図面を参照しながら詳細に記載される。図面において、同じ参照番号は、類似の構造要素または同一の構造要素を見分ける役に立つ。図面に示され、そして以下の説明全体にわたって記載される場合、慣習的であるように、用語「近位」とは、装置の使用者に近い方の端部をいい、そして用語「遠位」とは、装置の使用者から遠い方の端部をいう。
【0015】
最初に図1Aおよび図1Bを参照すると、本開示に従うアプリケータ先端部が、一般に参照番号100として示されている。アプリケータ先端部100は、本体部分110および分配先端部130を備える。本体部分110は、近位端112、遠位端116、およびこれらの間に規定される混合チャンバ120を備える。
【0016】
本体部分110の近位端112は、アプリケータ先端部100を流体源(例えば、以下にさらに詳細に記載されるような流体アプリケータデバイス)に取り外し可能に固定するための構成および寸法にされる。入口114が、近位端112に、混合チャンバ120と流体アプリケータデバイスとの間の流体連絡のために提供される。図1Bに図示されるように、近位端112の内側表面は、ねじ山115を備える。これらのねじ山は、流体アプリケータデバイスの外側表面とのねじばめ接続を確立して、これらの2つの構成要素間に流体密シールを達成するためのものである。他の従来の機械的手段(例えば、差込みカップリング、スナップばめ配置、摩擦ばめ、溝形構成(tongue and groove configuration)、カムロック機構、および当業者の知識の範囲内である他のはめ込み形ファスナー(male/female fastener)が挙げられる)が、アプリケータ先端部と流体アプリケータデバイスとを取り外し可能に固定するために利用され得ることが想定される。あるいは、アプリケータ先端部100の近位端112は、嵌合部材を有さないかもしれず、接着剤の使用によって流体アプリケータデバイスに化学的に結合可能であっても、超音波溶接によって永続的に結合可能であっても、他の方法で結合可能であってもよい。他の実施形態において、アプリケータ先端部と流体アプリケータデバイスとの間に流体密シールを形成するために、外部ファスナーが、アプリケータ先端部と流体アプリケータデバイスとの間、またはこれらを覆って配置され得る。
【0017】
遠位端116は、本体部分110の混合チャンバ120を分配先端部130と流体接続させるための開口部118を備える。混合チャンバ120は、少なくとも1つの混合玉122および少なくとも1つの生物学的に活性な剤(図示せず)を備える。混合玉122は、形状が球状であるように図示されているが、混合玉122は、当業者の知識の範囲内である任意の形状(例えば、卵形、楕円体、および/または無定形)であり得ることが想定される。混合玉122の直径は、入口114の直径および混合チャンバ120の開口部118より大きく、その結果、混合玉122は、混合チャンバ120内に閉じ込められ、そしてこの混合チャンバ内で自由に動き、そして/または回転する。
【0018】
混合玉122は、種々の材料(ポリマー、プラスチック、金属、およびセラミックが挙げられる)から製造され得る。混合玉が製造され得る適切なポリマーとしては、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン(超高分子量ポリエチレンが挙げられる)およびポリプロピレン(アタクチック、アイソタクチック、シンジオタクチック、およびこれらのブレンドが挙げられる));ポリエチレングリコール(PEG);ポリエチレンオキシド;ポリエチレンとポリプロピレンとのコポリマー;ポリイソブチレンとエチレン−αオレフィンとのコポリマー;フッ素化ポリオレフィン(例えば、ポリフルオロエチレン、ポリフルオロプロピレン、フルオロPEG、およびポリテトラフルオロエチレン);ポリアミド;ポリアミン;ポリイミン;ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、およびポリブチレンテレフタレート);ポリエーテル;ポリブタエステル;ポリテトラメチレンエーテルグリコール;1,4−ブタンジオール;ポリウレタン;アクリルポリマー;メタクリル類;ハロゲン化ビニルポリマーおよびコポリマー(例えば、ポリ塩化ビニル);ポリビニルアルコール;ポリビニルエーテル(例えば、ポリビニルメチルエーテル);ポリハロゲン化ビニリデン(例えば、ポリフッ化ビニリデンおよびポリ塩化ビニリデン);ポリクロロフルオロエチレン;ポリアクリロニトリル;ポリアリールエーテルケトン;ポリビニルケトン;ポリビニル芳香族(例えば、ポリスチレン);ポリビニルエステル(例えば、ポリ酢酸ビニル);ビニルモノマー同士のコポリマーおよびビニルモノマーとオレフィンとのコポリマー(例えば、エチレン−メタクリル酸メチルコポリマー);アクリロニトリル−スチレンコポリマー;アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂;エチレン−酢酸ビニルコポリマー;アルキド樹脂;ポリカーボネート;ポリオキシメチレン;ポリホスファジン;ポリイミド;エポキシ樹脂;アラミド;シリコーン;ならびにこれらのコポリマーおよび組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0019】
さらに、混合玉122は、生分解性ポリマーから製造され得る。例えば、混合玉122は、グリコリド、dl−ラクチド、1−ラクチド、カプロラクトン、ジオキサノン、トリメチレンカーボネート、ポリ(ヒドロキシ酸)、ポリ(オルトカーボネート)、ポリ(酸無水物)、ポリ(ラクトン)、ポリ(アミノ酸)、ポリ(カーボネート)、ポリ(ホスホネート)、およびこれらの組み合わせなどのポリマー、コポリマーおよびオリゴマーから製造され得る。
【0020】
図1Aおよび図1Bに戻ると、分配先端部130は、それを通る管腔132を規定し、そして流体を標的部位に向けて排出するための出口134を備える。分配先端部130は、分配されるべき流体の所望の圧力、流量、およびスプレーパターンに依存して、サイズ、長さ、および形状が様々であり得る。流体の粘度および先端部の直径が挙げられる要因もまた、分配先端部130のスプレー特性に影響を与え得る。
【0021】
分配先端部130は、図2に図示されるように、流体(複数可)と生物学的に活性な剤(複数可)とを混合するための静的ミキサ136を備え得る。静的ミキサ136は、1つ以上のバフル136aなどを備え得る。バフル136aは、固定され得、流体および生物学的に活性な剤が通過する際に、実質的に動かないままであり得る。ある実施形態において、流体および生物学的に活性な剤が分配先端部130内へ、そして静的ミキサ136を通して押されると、この流体の流れがバフル136aにそれぞれ遭遇する際に妨害されて流れを変えられ、これによって、混合チャンバ120内で乱流を引き起こし、そしてこの流体とこの生物学的に活性な剤とをブレンドする。
【0022】
混合チャンバ内に配置される生物学的に活性な剤は、臨床用途を有する任意の物質または物質混合物であり得る。生物学的に活性な剤は、生物学的作用を引き起こし得るか、生物学的影響を及ぼし得るか、または1つ以上の生物学的プロセスにおいて役割を果たし得る。あるいは、生物学的に活性な剤は、本質的に薬理学的活性を有さないかもしれない(例えば、色素)。任意の生物学的に活性な剤が本開示のアプリケータ先端部と一緒に利用され得ることが想定される。使用される生物学的に活性な剤の型および量は、他の要因のうちでもとりわけ、処置されるべき特定の部位および状態、ならびに流体アプリケータデバイスから分配される流体の型に依存する。
【0023】
本開示に従って利用され得る生物学的に活性な剤のクラスの例としては、接着防止剤、抗菌薬、鎮痛薬、解熱薬、麻酔薬、鎮痙薬(antiepileptics)、抗ヒスタミン薬、抗炎症薬、心臓血管剤、診断剤、交感神経様作用薬、コリン様作用薬、抗ムスカリン薬、抗痙攣薬、ホルモン、筋弛緩薬、アドレナリン作用性ニューロン遮断薬、抗腫瘍薬、免疫原性剤、免疫抑制薬、胃腸薬、利尿薬、ステロイド、脂質、リポ多糖類、多糖類、血小板活性化薬物、凝結因子、および酵素が挙げられる。
【0024】
生物学的に活性な剤として含有され得る適切な抗菌剤としては、トリクロサン(triclosan)(2,4,4’−トリクロロ−2’−ヒドロキシジフェニルエーテルとしてもまた公知);クロルヘキシジンおよびその塩(酢酸クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン、塩酸クロルヘキシジン、および硫酸クロルヘキシジンが挙げられる);銀およびその塩(酢酸銀、安息香酸銀、炭酸銀、クエン酸銀、ヨウ素酸銀、ヨウ化銀、乳酸銀、ラウリン酸銀、硝酸銀、酸化銀、パルミチン酸銀、プロテイン銀、および銀スルファジアジンが挙げられる);ポリミキシン;テトラサイクリン;アミノグリコシド(例えば、トブラマイシンおよびゲンタマイシン);リファンピシン;バシトラシン;ネオマイシン;クロラムフェニコール;ミコナゾール;キノロン(例えば、オキソリン酸、ノルフロキサシン、ナリジクス酸、ペフロキサシン(pefloxacin)、エノキサシンおよびシプロフロキサシン);ペニシリン(例えば、オキサシリンおよびピプラシル(pipracil));ノンオキシノール9;フシジン酸;セファロスポリン;ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。さらに、抗菌タンパク質およびペプチド(例えば、ウシラクトフェリンおよびラクトフェリシン(lactoferricin)B)が、本開示において、生物学的に活性な剤として含有され得る。
【0025】
他の生物学的に活性な剤としては、局所麻酔薬;非ステロイド性抗受精剤;副交感神経様作用剤;精神療法剤;トランキライザ;うっ血除去薬;鎮静催眠薬;ステロイド;スルホンアミド;交感神経様作用剤;ワクチン;ビタミン;抗マラリア薬;抗片頭痛薬;抗パーキンソン剤(例えば、L−ドパ);抗痙攣薬;抗コリン作用性剤(例えば、オキシブチニン);鎮咳薬;気管支拡張薬;心臓血管剤(例えば、冠状血管拡張薬およびニトログリセリン);アルカロイド;鎮痛薬;麻酔薬(例えば、コデイン、ジヒドロコデイノン、メペリジン、モルヒネなど);非麻酔薬(例えば、サリチレート、アスピリン、アセトアミノフェン、d−プロポキシフェンなど);オピオイドレセプターアンタゴニスト(例えば、ナルトレキソンおよびナロキソン);抗がん剤;鎮痙薬(anti−convulsants);制吐薬;抗ヒスタミン薬;抗炎症剤(例えば、ホルモン剤、ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、プレドニゾン、非ホルモン剤、アロプリノール、インドメタシン、フェニルブタゾンなど);プロスタグランジンおよび細胞傷害性剤;化学療法剤;エストロゲン;抗菌剤;抗生物質;抗真菌剤;抗ウイルス剤;抗凝固薬;鎮痙薬(anticonvulsants);抗うつ薬;抗ヒスタミン薬;ならびに免疫学的剤が挙げられる。
【0026】
適切な生物学的に活性な剤の他の例としては、ウイルスおよび細胞;ペプチド、ポリペプチドおよびタンパク質、ならびにそのアナログ、ムテイン、ならびに活性フラグメント;免疫グロブリン;抗体;サイトカイン(例えば、リンホカイン、モノカイン、ケモカイン);血液凝固因子(blood clotting factors);造血因子;インターロイキン(IL−2、IL−3、IL−4、IL−6);インターフェロン(β−IFN、α−IFNおよびγ−IFN);エリスロポイエチン;ヌクレアーゼ;腫瘍壊死因子;コロニー刺激因子(例えば、GCSF、GM−CSF、MCSF);インスリン;抗腫瘍剤および腫瘍抑制因子;血液タンパク質(例えば、フィブリン、トロンビン、フィブリノゲン、合成トロンビン、合成フィブリン、合成フィブリノゲン);性腺刺激ホルモン(例えば、FSH、LH、CGなど);ホルモンおよびホルモンアナログ(例えば、成長ホルモン);ワクチン(例えば、腫瘍性抗原、細菌性抗原およびウイルス性抗原);ソマトスタチン;抗原;血液凝固因子(blood coagulation factors);増殖因子または成長因子(例えば、神経発育因子、インスリン様成長因子);タンパク質インヒビター;タンパク質アンタゴニスト;タンパク質アゴニスト;核酸(例えば、アンチセンス分子、DNA、およびRNA);オリゴヌクレオチド;ポリヌクレオチド;リボザイム;天然に存在するポリマー(コラーゲンなどのタンパク質、およびグリコサミノグリカンなどの種々の天然に存在する多糖類の誘導体が挙げられる);ペプチド加水分解酵素(例えば、エラスターゼ、カテプシンG、カテプシンE、カテプシンB、カテプシンH、カテプシンL、トリプシン、ペプシン、キモトリプシン、およびγ−グルタミルトランスフェラーゼ(γ−GTP)など);糖鎖加水分解酵素(例えば、ホスホリラーゼ、ノイラミニダーゼ、デキストラナーゼ、アミラーゼ、リゾチーム、およびオリゴサッカラーゼ(oligosaccharase)など);オリゴヌクレオチド加水分解酵素(例えば、アルカリホスファターゼ、エンドリボヌクレアーゼ、およびエンドデオキシリボヌクレアーゼなど)が挙げられる。
【0027】
ある実施形態において、生物学的に活性な剤は、特定の細胞型(例えば、平滑筋細胞、幹細胞、および免疫細胞など)を誘引または動因し得る、生物学リガンドまたは細胞特異的リガンドである。
【0028】
ある実施形態において、生物学的に活性な剤は、増殖因子(例えば、トランスホーミング増殖因子(TGF)、線維芽細胞増殖因子(FGF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、上皮増殖因子(EGF)、結合組織活性化ペプチド(CTAP)、骨形成因子、ならびにこのような増殖因子の生物学的に活性なアナログ、フラグメント、および誘導体)であり得る。ある実施形態において、多機能調節タンパク質である、トランスホーミング増殖因子(TGF)スーパーファミリーのメンバーが利用される。TGFスーパー遺伝子ファミリーのメンバーとしては、βトランスホーミング増殖因子(例えば、TGF−β1、TGF−β2、TGF−β3);骨形成タンパク質(例えば、BMP−1、BMP−2、BMP−3、BMP−4、BMP−5、BMP−6、BMP−7、BMP−8、BMP−9);ヘパリン結合性増殖因子(例えば、線維芽細胞増殖因子(FGF)、上皮増殖因子(EGF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、インスリン様成長因子(IGF));インヒビン(例えば、インヒビンA、インヒビンB);組織分化因子(growth differentiating factor)(例えば、GDF−1);およびアクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンAB)が挙げられる。
【0029】
ある実施形態において、生物学的に活性な剤は、適用の時点、または画像化設備(X線、MRI、およびCAT走査設備が挙げられる)の使用による適用後の、流体の可視化を可能にするための、画像化剤(例えば、ヨウ素および硫酸バリウム、またはフッ素)であり得る。含有され得る他の画像化剤は、当業者の知識の範囲内であり、そして医療移植可能医療デバイスにおいて使用するのに適切な物質(例えば、FD&C色素3および6、エオシン、メチレンブルー、インドシアニングリーン、または合成外科手術用縫合糸において通常見られる有色色素)が挙げられるが、これらに限定されない。適切な色としては、緑色および/または青色が挙げられる。なぜなら、このような色は、血液の存在下、または桃色もしくは白色の組織の背景で、よりよく見え得るからである。ある実施形態において、生物学的に活性な剤は、流体を分配先端部に通して分配する前に、この生物学的に活性な剤がこの流体と混合することを確認するために、混合チャンバ内の流体の可視化を可能にするための色素を含有し得る。
【0030】
生物学的に活性な剤は、混合チャンバ内に種々の様式で配置され得る。図3に図示されるように、生物学的に活性な剤124は、任意の形態(例えば、粉末または液体)で混合チャンバ122内で自由に動くように配置され得、その結果、流体が本体部分110の近位端112の入口114から混合チャンバ内に導入されると、この流体は、生物学的に活性な剤124を分配先端部130に通して外に運ぶ。他の実施形態において、生物学的に活性な剤は、混合チャンバの内側の表面に配置され得、その結果、流体がこの表面と接触すると、この剤がこの流体内で混合される。あるいは、生物学的に活性な剤は、混合玉の表面または内部に配置され得るか、あるいは生物学的に活性な剤は、混合玉自体を形成し得る。混合玉は、本開示の実施形態において、生物学的に活性な剤によって完全にコーティングされているように図示されるが、混合玉の一部分(複数可)のみがコーティングされてもよいことが想定される。さらに、1種以上の生物学的に活性な剤を含有する組成物でコーティングされることに加えて、混合玉の一部分(複数可)が、異なる生物学的に活性な剤(または生物学的に活性な剤の混合物)でコーティングされ得る。例えば、混合玉の半分が第一の生物学的に活性な剤でコーティングされ得、そしてこの混合玉の残りの半分が第二の生物学的に活性な剤でコーティングされ得る。同様に、混合玉は、1つの生物学的に活性な剤を含む内側コーティング、および第二の生物学的に活性な剤を含む外側コーティングを有し得る。同一の広がりを持つ層状コーティングを有するこのような実施形態において、第二の生物学的に活性な剤は、流体の分配の際に最初に放出され、そして第一の生物学的に活性な剤は、第二の生物学的に活性な剤が放出された後に放出される。
【0031】
ここで図4Aを参照すると、混合玉222は、生物学的に活性な剤224でコーティングされ得る。ある実施形態において、この混合玉は、実質的に中実であり、そして連続的な外側表面を備える。他の実施形態において、この混合玉の外側表面は、生物学的に活性な剤の塗布前に、生物学的に活性な剤のこの混合玉への接着を補助するために、改変され得る。例えば、ある実施形態において、混合玉の外側表面は、粗くされ得るか、またはプラズマ処理され得る。
【0032】
生物学的に活性な剤224は、当業者の知識の範囲内である技術(浸漬、ワイピング、スプレー、全液浸、溶媒エバポレーションなどが挙げられる)を利用して、混合玉222に塗布され得る。図4Bに図示されるように、生物学的に活性な剤224を含有する水性の溶媒または溶液10が、ディスペンサーまたは噴霧器12によって、混合玉222にスプレーされ得る。生物学的に活性な剤224を含有する溶液10の、混合玉222の表面へのスプレーおよびコーティング後、この溶液は乾燥させられ得、そして硬化させられ得る。ある実施形態において、乾燥温度は、約1℃〜約70℃であり得る。
【0033】
他の実施形態において、図4Cに図示されるように、混合玉222は、混合玉222を矢印の方向に移動させることによって、混合玉222の表面をコーティングするために充分な時間にわたって、生物学的に活性な剤224を含有する溶液10を収容する容器14に沈められ得る。その後、混合玉222は容器14から取り出され、そして乾燥または硬化させられて、図4Aに示されるような、生物学的に活性な剤224でコーティングされた混合玉222を形成する。
【0034】
なお別の実施形態において、生物学的に活性な剤は、親水性ポリマーまたは分解性ポリマーの薄層に含まれ得るか、または閉じ込められ得る。生物学的に活性な剤を含む層が混合玉に付けられ得、そして硬化させられ得る。
【0035】
生物学的に活性な剤324はまた、混合玉322の表面に凍結乾燥させられて、図5Aに図示されるような多孔性コーティングを形成し得る。ある実施形態において、生物学的に活性な剤324を含有する粘性溶液が、混合玉322に、例えば、上記のようなスプレーコーティングまたは浸漬コーティングにより塗布され得、次いで、生物学的に活性な剤324が、フリーズドライされて、混合玉322上にコーティングを形成し得る。組成物を凍結乾燥またはフリーズドライするために適切な技術は、当業者の知識の範囲内である。
【0036】
生物活性剤を混合玉に塗布するための他の方法は、型の使用を包含する。図5Bに図示されるように、混合玉324は、型16に入れられ得る。位置決め要素18(例えば、プロング)が、混合玉322を型16の実質的に中央に保持し得る。生物学的に活性な剤を含有する溶液(図示せず)が、型16の開口部20を通して導入されて、内部に配置される混合玉322を囲み得る。この溶液は、凍結乾燥させられて図5Aに図示されるような多孔性コーティングを形成し、そして型16が取り外される。型16のサイズ、形状、および寸法は様々であり得、これによって、任意の適切な形状またはサイズの生物学的に活性な剤324を混合玉322上に作製し得ることが想定される。
【0037】
図6に図示されるように、生物学的に活性な剤424の粉末コーティングもまた、混合玉422をコーティングするために利用され得る。乾燥粉末形態の生物学的に活性な剤424は、正または負に荷電した混合玉422に付けられ得る。あるいは、乾燥した生物学的に活性な剤424が、例えば、静電銃などでのスプレーによって、中性の混合玉422に静電的に付けられ得る。静的コーティングを付ける方法は、当業者の知識の範囲内である。
【0038】
ある実施形態において、生物学的に活性な剤は、上に記載された技術のいずれかによる混合玉のコーティング前に、リポソームまたはミクロスフィアに充填され得る。ある実施形態において、これらのリポソームまたはミクロスフィアは、混合玉をコーティングすることを補助するように、官能基化され得る。例えば、陽イオン性脂質が、陰イオン性の混合玉にイオン結合し得るか、または陰イオン性脂質が、陽イオン性混合玉に引き付けられ得る。このようなリポソームまたはミクロスフィアを形成する際に使用するのに適切なポリマーは、当業者の知識の範囲内である。
【0039】
リポソームおよび/またはミクロスフィアを形成する際に利用され得る負に荷電したポリマーの例としては、コラーゲン(例えば、スクシニル化コラーゲン)、およびグリコサミノグリカン誘導体(例えば、ヒアルロン酸ナトリウム、ケラタン硫酸、ケラトスルフェート、ナトリウムコンドロイチン硫酸A、ナトリウムデルマタン硫酸B、ナトリウムコンドロイチン硫酸C、ヘパリン、エステル化コンドロイチン硫酸C、およびエステル化ヘパリン)が挙げられる。正に荷電したポリマーの例としては、コラーゲン(例えば、メチル化コラーゲン)、およびグリコサミノグリカン誘導体(例えば、エステル化脱アセチル化ヒアルロン酸、エステル化脱アセチル化脱スルフェート化コンドロイチン硫酸A、エステル化脱アセチル化脱スルフェート化コンドロイチン硫酸C、脱アセチル化脱スルフェート化硫酸ケラチン、脱アセチル化脱スルフェート化ケラトスルフェート、エステル化脱スルフェート化ヘパリン、およびキトサン)が挙げられる。
【0040】
ある実施形態において、脂質または界面活性剤(例えば、非イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤と陽イオン性界面活性剤との混合物、ポリマー、またはコロイド粒子)が、例えば粉末形態で提供され得、これに、生物学的に活性な剤を含有する水溶液が添加され得る。次いで、この脂質と生物学的に活性な剤を含有する水溶液とが混合される。これらの脂質は、水溶液中で自己集合して、生物学的に活性な剤を内部に組み込むミセルを形成し得る。脂質小胞に組み込まれる生物学的に活性な剤の量は、脂質対生物学的に活性な剤の比に依存して、変わり得る。得られる組成物は、例えば、超遠心分離により精製されて、これらのリポソームを、カプセル化されていない、すなわち遊離した、生物学的に活性な剤から分離し得る。
【0041】
他の実施形態において、生物学的に活性な剤をカプセル化するミクロスフィアは、エマルジョンの内部制御されたゲル化により形成され得る。生物学的に活性な剤を含有する水相が、油相と次第に混合して、エマルジョンを形成する。固化のために充分な時間が経過した後に、このエマルジョンが破壊され、そして生物学的に活性な剤を収容するミクロスフィアが回収される。
【0042】
図7に図示されるように、混合玉522は多孔性であり得、その結果、生物学的に活性な剤524は、混合玉522の表面と、混合玉522の細孔526内との両方に固定され得る。例えば、生物学的に活性な剤524は、上に提供された技術の任意のものによって、混合玉522に付けられ得る。生物学的に活性な剤524は、混合玉522の細孔526内に染み込み得るか、または機械的相互作用(例えば、吸い上げまたは毛管作用)によって、混合玉522の細孔526に入り得る。次いで、生物学的に活性な剤524が乾燥または硬化させられ得る。
【0043】
あるいは、混合玉自体が、例えば、凍結乾燥または他の成形もしくはキャスティング技術によって、生物学的に活性な剤から形成され得る。例えば、生分解性ポリマーが生物学的に活性な剤と混合され得、そして例えば凍結乾燥により形作られて、混合玉を形成し得る。
【0044】
流体は、アプリケータ先端部の混合チャンバに、本開示のアプリケータ先端部と一緒に使用するように適合された注射器または他の流体アプリケータデバイスを介して、供給され得る。本開示のアプリケータ先端部と一緒に利用され得る適切な流体アプリケータデバイスの例としては、図8〜図12に図示されるものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0045】
例えば、図8に示されるように、図1Aおよび図1Bと組み合わせて、注射器150は、アプリケータ先端部100と一緒に使用するために適合される。注射器150は、流体「F」を内部に保持するための、2つの流体チャンバまたはバレル152および154を備える。ある実施形態において、バレル152および154は、2部分混合物の第一の成分および第二の成分を収容するために提供される。二重バレル注射器として図示されているが、注射器150は、単一バレル注射器であっても、2つより多くの流体チャンバを備えてもよいことが想定される。注射器150は、流体(複数可)をバレル152および154から注射器150の開口遠位端158に通して推進するための、手で操作可能なプランジャー156をさらに備える。ある実施形態において、プランジャー156は、各バレルに関して独立した動作のために構成され得る。注射器150の遠位端158は、注射器150の遠位端158をアプリケータ先端部100の近位端112のねじ山115に取り外し可能に結合するためのねじ山159を備える。上記のように、注射器150は、注射器150とアプリケータ先端部100との間に流体密シールを提供する任意の嵌合機構によって、アプリケータ先端部100に取り外し可能に固定され得ることもまた想定される。
【0046】
理解され得るように、アプリケータ先端部100が注射器150と係合すると、注射器150の開口遠位端158は、アプリケータ先端部100の本体部分110の混合チャンバ120と流体連絡し、その結果、プランジャー156を押すと、流体「F」は、注射器150のバレル152および154から混合チャンバ120内へ、分配先端部130を通して推進され、そして標的部位への送達のために、出口134から出る。
【0047】
図9は、アプリケータ先端部100と一緒に使用するための流体アプリケータデバイスの別の実施形態を図示する。流体アプリケータデバイス160は一般に、ハンドルまたはハウジング162を備え、このハンドルまたはハウジングは、近位端164、遠位端166、および流体「F」(複数可)を保持するための内部の少なくとも1つのチャンバ168を有する。ハウジング162は、流体「F」を分配するために電力を流体アプリケータデバイス160に供給するためのエネルギー源161に結合される。あるいは、流体アプリケータデバイス160は、バッテリにより電力を与えられ得る。ハウジング162内に配置された導管163は、空洞168に結合され、ハウジング162を通って遠位に延び、そして最終的に、ハウジング162の遠位端166に配置されたコネクタ165に結合する。コネクタ165は、上記のように、ハウジング162の遠位端166をアプリケータ先端部100の近位端112に取り外し可能に結合するためのねじ山167を備える。ハウジング162はまた、流体アプリケータデバイス160の操作を制御するための、1対のボタンまたは制御器169aおよび169bを備え得る。制御器169aおよび169bは、例えば、空洞168からコネクタ165に通しての流体の送達を活性化/不活性化するため、ならびに/または操作の様々なモード間(例えば、高電力流体分配モードと低電力流体分配モードとの間)を切り替えるために構成され得る。
【0048】
ここで図10Aおよび図10Bを参照すると、流体アプリケータデバイス170の別の実施形態が示されている。流体アプリケータデバイス170は、近位端174および遠位端176を有するハウジング172を備える。ハウジング172は、2つのハウジングセクション172aおよび172bから形成され、これらのハウジングセクションは、協働してハウジング172を形成する。ハウジングセクション172aおよび172bは、ハウジング172の内側へのアクセスを提供するために、例えば、スナップばめ係合によって、取り外し可能に係合可能である。
【0049】
図10Bに最もよく見られるように、1対の流体チャンバまたはレザバ178および179が、ハウジング172内に配置され得る。ハウジングセクション172aおよび172bの係合を外すと、流体レザバ178および179が交換され得、そして/または所望の流体を収容する新しいレザバと交換され得る。あるいは、流体レザバ178および179は、再充填可能であり得る。
【0050】
ハウジング172は、その遠位端174に配置されたコネクタ171をさらに備え、このコネクタ171は、アプリケータ先端部100の本体部分110の近位端112を係合するために構成される。コネクタ171は、コネクタ171をアプリケータ先端部100の近位端112のねじ山115に取り外し可能に結合するためのねじ山171aを有し得る。ハウジング172内に配置された1対の導管173および175が、それぞれ流体レザバ178および179を、アプリケータ先端部100の混合チャンバ120の開口部114と結合させ、その結果、起動の際に、流体レザバ178および179からの流体は、混合チャンバ120内に推進され得、そして所望の部位への送達のために、分配先端部130に通され得る。従って、ハウジング172は、流体を流体レザバ178および179から導管173および175に通してアプリケータ先端部100の混合チャンバ120内へと推進するための、選択的に押すことが可能なアクチュエータ177を備える。
【0051】
ここで図11Aおよび図11Bを参照すると、流体アプリケータデバイス180は、マニホルドまたは基部182、基部182から延びる細長シャフト184、およびコネクタ186を備え得る。流体チャンバ183および185が、基部182内に配置され、そしてそれぞれ導管181および187に流体接続される。ある実施形態において、流体チャンバ183および185は、患者への投与のための、他の外部流体源(図示せず)に接続され得る。細長シャフト184は、その長さに延びる第一の管腔188および第二の管腔189を備える。細長シャフト184は、マニホルド182の遠位延長部181に固定され、その結果、第一の管腔188および第二の管腔189は、それぞれ第一の導管181および第二の導管187と整列して、これらの導管を通る流体の流れを可能にする。あるいは、細長シャフト184は、マニホルド182と一体的に形成され得る。コネクタ186は、アプリケータ先端部100の近位端112とのしっかりとした係合のための、ねじ山、溝、移動止め、または他の結合手段をさらに備え得る。
【0052】
図12は、使用者によるピストルグリップ係合のために構成されたハウジング192、ハウジング192に作動可能に接続された流体供給源194、およびハウジング192から遠位に延びるコネクタ196を備える、流体アプリケータデバイス190を図示する。流体アプリケータデバイス190は、流体を流体供給源194からコネクタ196に通して推進するように構成される。コネクタ196は、アプリケータ先端部100の近位端112とのしっかりとした係合のための、ねじ山、溝、移動止め、または他の結合手段をさらに備え得る。
【0053】
本開示のアプリケータ先端部を備える流体アプリケータデバイスの操作は、流体と生物学的に活性な剤との送達を確実にする。ある実施形態において、所望の流体アプリケータデバイスが選択され、所望の流体を収容する(意図される用途に依存する)。アプリケータ先端部(所望の量および型の生物学的に活性な剤、ならびに所望の数および型の混合玉を備える)が、この流体アプリケータデバイスに取り付けられる。次いで、送達デバイスが、塗布の標的部位に導入され得る。流体アクチュエータ(例えば、プランジャー、制御ボタン、および/またはトリガ)を活性化させると、流体が、この流体アプリケータデバイスの流体収容チャンバ(複数可)から、生物学的に活性な剤(複数可)および混合玉(複数可)を収容するアプリケータ先端部の混合チャンバ内へと推進される。上記のように、生物学的に活性な剤(複数可)は、混合チャンバ自体に入れられ得るか、混合玉上にあり得るか、混合玉を製造するために使用される材料(複数可)の一部であり得るか、これらの組み合わせであり得る、などであり得る。流体が流れる力は、混合玉(複数可)を混合チャンバ内で動かし得、これによって、この流体とこの生物学的に活性な剤とを混合し得る。2種以上の流体が混合チャンバに導入される実施形態において、流体の動き、および混合玉(複数可)の動きは、これらの流体を互いに混合させる。
【0054】
この流体は、生物学的に活性な剤(複数可)のためのキャリアとして働く。ある実施形態において、混合チャンバ内への流体(複数可)の導入は、生物学的に活性な剤(複数可)をこの流体に可溶化し、そしてこの流体内に拡散させる。次いで、この流体(複数可)および生物学的に活性な剤(複数可)は、分配先端部内に推進され得、そして塗布の標的部位に入り得る。ある実施形態において、分配先端部内に配置された静的ミキサが、この流体(複数可)と生物学的に活性な剤(複数可)との均質な混合を確実にすることを補助し得る。
【0055】
ある実施形態において、本開示のアプリケータ先端部は、光、UV、可視化手段(例えば、カメラ)、およびこれらの組み合わせなどを、アプリケータにさらに組み込み得る。いくつかの実施形態において、光は、生物学的に活性な剤を活性化させるために使用され得る。
【0056】
当業者は、本明細書中に具体的に記載され、そして添付の図面に図示されるデバイスおよび方法が、非限定的な例示的実施形態であること、ならびにこれらの記載、開示、および図が、特定の実施形態の単なる例示であると解釈されるべきであることを理解する。従って、本開示は、記載される正確な実施形態には限定されないこと、ならびに種々の他の変更および改変が、本開示の範囲または趣旨から逸脱することなく当業者によって行われ得ることが、理解されるべきである。さらに、1つの例示的実施形態に関連して図示または記載される要素および特徴は、本開示の範囲から逸脱することなく別の例示的実施形態の要素および特徴と組み合わせられ得ること、ならびにこのような改変およびバリエーションもまた、本開示の範囲内に含まれることが意図されることが、想定される。従って、本開示の主題は、具体的に示され記載されたものによって限定されない。なぜなら、改変およびバリエーションが、添付の特許請求の範囲の趣旨および範囲内でなされることが意図されるからである。
【符号の説明】
【0057】
100 アプリケータ先端部
110 本体部分
112 近位端
114 入口
115 ねじ山
116 遠位端
118 開口部
120 混合チャンバ
122 混合玉
130 分配先端部
132 管腔
134 出口
【技術分野】
【0001】
本開示は、流体アプリケータデバイスと一緒に使用するためのアプリケータ先端部に関し、そして特に、アプリケータ先端部を通して送達される流体と一緒に分配される薬物または他の生物学的に活性な剤を収容する、アプリケータ先端部に関する。
【背景技術】
【0002】
流体アプリケータ(例えば、注射器)は、流体混合物(例えば、薬物および栄養など)を体内に注入するために、一般的に使用される。この流体混合物はしばしば、乾燥成分(例えば、薬物および栄養など)を、キャリア溶液または流体成分(例えば、生理食塩水溶液)に溶解または混合することによって、調製される。次いで、この流体混合物は、流体アプリケータに入れられ、そしてアプリケータ先端部を通して排出される。
【0003】
いくつかの混合物は、早い時点で調製され得るが、成分を使用の直前に混合することが、必要ではないがしばしば有利である。従って、この混合物を適用する目的で、この混合物を調製する工程、および流体アプリケータにこの調製された混合物を入れる工程が、さらに行われる必要があり得るか、または別の混合物成分を収容する予め包装された流体アプリケータが、利用され得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
より抜きの生物学的に活性な剤を流体混合物への組み込みのために調整する能力を有することが、有利である。このことは、患者の特定の要求を満たすことによって、患者の区別された処置を可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は、例えば、以下を提供する:
(項目1A)
近位端、遠位端、および該近位端と遠位端との間に配置された混合チャンバを備える本体部分であって、該近位端は、流体源との流体連絡のために適合された入口を有し、該遠位端は、開口部を備え、そして該混合チャンバは、該混合チャンバ内に配置された少なくとも1つの混合玉および少なくとも1つの生物学的に活性な剤を有する、本体部分;ならびに
分配先端部であって、該分配先端部は、該分配先端部を通る管腔を規定し、該管腔は、該本体部分の該遠位端の開口部と流体連絡しており、そして該管腔を通る流体の通過のための出口を備える、分配先端部、
を備える、アプリケータ先端部。
(項目2A)
前記分配先端部の前記管腔は、静的ミキサを備え、該静的ミキサは、該静的ミキサ内に配置された1つ以上の固定バフルを有する、上記項目に記載のアプリケータ先端部。
(項目3A)
前記少なくとも1つの生物学的に活性な剤が低分子薬物である、上記項目のうちのいずれかに記載のアプリケータ先端部。
(項目4A)
前記低分子薬物が、麻酔薬、脈管形成薬、抗痙攣薬、非ステロイド性抗炎症薬、ステロイド、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、上記項目のうちのいずれかに記載のアプリケータ先端部。
(項目5A)
前記少なくとも1つの生物学的に活性な剤が高分子薬物である、上記項目のうちのいずれかに記載のアプリケータ先端部。
(項目6A)
前記高分子薬物が、タンパク質、増殖因子または成長因子である、上記項目のうちのいずれかに記載のアプリケータ先端部。
(項目7A)
前記増殖因子または成長因子がTGF−βである、上記項目のうちのいずれかに記載のアプリケータ先端部。
(項目8A)
前記生物学的に活性な剤が、前記混合玉の少なくとも一部分にコーティングされている、上記項目のうちのいずれかに記載のアプリケータ先端部。
(項目9A)
前記生物学的に活性な剤が、リポソームおよびミクロスフィアからなる群より選択される成分に閉じ込められている、上記項目のうちのいずれかに記載のアプリケータ先端部。
(項目10A)
前記混合玉が多孔性である、上記項目のうちのいずれかに記載のアプリケータ先端部。
(項目11A)
前記混合玉がイオン荷電している、上記項目のうちのいずれかに記載のアプリケータ先端部。
(項目12A)
流体および生物学的に活性な剤を組織に送達するための送達デバイスであって、該送達デバイスは、
流体アプリケータであって、流体を収容する少なくとも1つの流体チャンバ、および該流体チャンバから該流体を分配するように構成された流体アクチュエータを備える、流体アプリケータ;ならびに
混合チャンバを備えるアプリケータ先端部であって、該混合チャンバは、該流体アプリケータの少なくとも1つの流体チャンバに流体結合されており、該混合チャンバは、少なくとも1つの混合玉および少なくとも1つの生物学的に活性な剤を収容し、そして分配先端部に流体結合されている、アプリケータ先端部;
を備え、
該流体アプリケータの該流体アクチュエータは、活性化されて、流体を、該流体アプリケータの該少なくとも1つの流体チャンバから該アプリケータ先端部の該混合チャンバ内へと推進し、その結果、該流体の動きが、該混合玉を該混合チャンバ内で動かし、そして該流体を該混合チャンバ内に配置された該生物学的に活性な剤と混合するように構成されており;そして
該分配先端部は、該流体および生物学的に活性な剤を該標的組織部位へと分配するように構成されている、
送達デバイス。
(項目13A)
前記流体アプリケータが2つの流体チャンバを備える、上記項目に記載の送達デバイス。
(項目14A)
前記流体アクチュエータが、プランジャー、制御ボタン、およびトリガからなる群より選択される、上記項目のうちのいずれかに記載の送達デバイス。
(項目15A)
前記流体アプリケータが、少なくとも1つの導管を備える細長シースをさらに備え、該導管が、該流体アプリケータの前記少なくとも1つの流体チャンバを前記アプリケータ先端部の前記混合チャンバと流体接続している、上記項目のうちのいずれかに記載の送達デバイス。
(項目16A)
前記分配先端部が、該分配先端部内にしっかりと固定された少なくとも1つのバフルを備える、上記項目のうちのいずれかに記載の送達デバイス。
(項目17A)
前記生物学的に活性な剤が2種以上の生物学的に活性な剤を含む、上記項目のうちのいずれかに記載の送達デバイス。
(項目18A)
前記生物学的に活性な剤のうちの少なくとも1つが色素である、上記項目のうちのいずれかに記載の送達デバイス。
(項目19A)
前記流体が、前記生物学的に活性な剤との混合によって前記混合チャンバ内で色を変化させるように処方されている、上記項目のうちのいずれかに記載の送達デバイス。
(項目12B)
流体および生物学的に活性な剤を組織に送達する方法であって、
標的組織部位に送達デバイスを導入する工程であって、該送達デバイスは、
流体アプリケータであって、流体を収容する少なくとも1つの流体チャンバ、および該流体チャンバから該流体を分配するための流体アクチュエータを備える、流体アプリケータ;ならびに
混合チャンバを備えるアプリケータ先端部であって、該混合チャンバは、該流体アプリケータの少なくとも1つの流体チャンバに流体結合されており、該混合チャンバは、少なくとも1つの混合玉および少なくとも1つの生物学的に活性な剤を収容し、そして分配先端部に流体結合されている、アプリケータ先端部;
を備える、工程;
該流体アプリケータの該流体アクチュエータを活性化させて、流体を、該流体アプリケータの該少なくとも1つの流体チャンバから該アプリケータ先端部の該混合チャンバ内へと推進する工程であって、その結果、該流体の動きが、該混合玉を該混合チャンバ内で動かし、そして該流体を該混合チャンバ内に配置された該生物学的に活性な剤と混合する、工程;ならびに
該流体および生物学的に活性な剤を該分配先端部に通して該標的組織部位へと分配する工程、
を包含する、方法。
(項目13B)
上記流体アプリケータが2つの流体チャンバを備える、上記項目に記載の方法。
(項目14B)
上記流体アクチュエータが、プランジャー、制御ボタン、およびトリガからなる群より選択される、上記項目のうちのいずれかに記載の方法。
(項目15B)
上記流体アプリケータが、少なくとも1つの導管を備える細長シースをさらに備え、該導管が、該流体アプリケータの上記少なくとも1つの流体チャンバを上記アプリケータ先端部の上記混合チャンバと流体接続している、上記項目のうちのいずれかに記載の方法。
(項目16B)
上記分配先端部が、該分配先端部内にしっかりと固定された少なくとも1つのバフルを備える、上記項目のうちのいずれかに記載の方法。
(項目17B)
上記生物学的に活性な剤が2種以上の生物学的に活性な剤を含む、上記項目のうちのいずれかに記載の方法。
(項目18B)
上記生物学的に活性な剤のうちの少なくとも1つが色素である、上記項目のうちのいずれかに記載の方法。
(項目19B)
上記流体および生物学的に活性な剤を上記標的組織部位に送達する前に、該流体が上記混合チャンバ内で色を変化させることを待つ工程をさらに包含する、上記項目のうちのいずれかに記載の方法。
【0006】
(摘要)
本開示に従うアプリケータ先端部は、本体部分および分配先端部を備える。この本体部分は、流体源との流体連絡のために適合された入口を有する近位端、開口部を備える遠位端、およびこれらの間に配置された混合チャンバを備える。この混合チャンバは、その内部に配置された少なくとも1つの混合玉および少なくとも1つの生物学的に活性な剤を備える。この分配先端部は、それを通る管腔を規定する。この管腔は、この本体部分の遠位端の開口部と流体連絡しており、そしてそれを通る流体の通過のための出口を備える。
【0007】
(要旨)
本開示は、流体アプリケータデバイスと一緒に使用するためのアプリケータ先端部を提供する。ある実施形態において、本開示のアプリケータ先端部は、流体源との流体連絡のために適合された入口を有する近位端、開口部を備える遠位端、およびこれらの間に配置された混合チャンバ(この混合チャンバは、その内部に配置された少なくとも1つの混合玉および少なくとも1つの生物学的に活性な剤を有する)を備える本体部分;ならびに分配先端部を備え、この分配先端部は、それを通る管腔を規定し、この管腔は、この本体部分の遠位端の開口部と流体連絡しており、そしてそこを通る流体の通過のための出口を備える。ある実施形態において、この生物学的に活性な剤は、この混合玉の少なくとも一部分にコーティングされ得る。
【0008】
流体および生物学的に活性な剤を送達するための方法もまた提供される。ある実施形態において、本開示の方法は、標的組織部位に送達デバイスを導入する工程を包含し得、この送達デバイスは、流体を収容する少なくとも1つの流体チャンバおよびこの流体をこの流体チャンバから分配するための流体アクチュエータを備える流体アプリケータ;ならびにこの流体アプリケータの少なくとも1つの流体チャンバに流体結合された混合チャンバを備えるアプリケータ先端部であって、この混合チャンバは、少なくとも1つの混合玉および少なくとも1つの生物学的に活性な剤を収容し、そして分配先端部と流体結合している、アプリケータ先端部を備える。この流体アプリケータの流体アクチュエータは、流体を、この流体アプリケータの少なくとも1つの流体チャンバから、このアプリケータ先端部の混合チャンバへと推進するように活性化され得、その結果、この流体の動きが、混合玉をこの混合チャンバ内で動かし、そしてこの流体とこの混合チャンバ内に配置されたこの生物学的に活性な剤とを混合する。次いで、この流体および生物学的に活性な剤は、この分配先端部をとおして標的組織部位へと分配され得る。
【0009】
添付の図面は、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成し、本開示の実施形態を図示し、そして上に与えられた本開示の一般的な説明および以下に与えられる実施形態(複数可)の詳細な説明と一緒になって、本開示の原理を説明するのに役立つ。
【発明の効果】
【0010】
本発明によって、流体アプリケータデバイスと一緒に使用するためのアプリケータ先端部が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1A】図1Aは、本開示の1つの実施形態に従うアプリケータ先端部の正面図である。
【図1B】図1Bは、図1Aのアプリケータ先端部の断面図である。
【図2】図2は、本開示の別の実施形態に従う静的ミキサを備えるアプリケータ先端部の断面図である。
【図3】図3は、本開示の1つの実施形態に従うアプリケータ先端部の混合チャンバ内に流動可能に配置された生物学的に活性な剤を収容するアプリケータ先端部の断面図である。
【図4A】図4Aは、本開示の別の実施形態に従うアプリケータ先端部の混合チャンバ内の混合玉にコーティングされた生物学的に活性な剤を収容するアプリケータ先端部の断面図である。
【図4B】図4Bは、図4Aの混合玉への生物学的に活性な剤のコーティングの1つの実施形態の概略図である。
【図4C】図4Cは、図4Aの混合玉への生物学的に活性な剤のコーティングの別の実施形態の概略図である。
【図5A】図5Aは、本開示の1つの実施形態に従う、生物学的に活性な剤でコーティングされた混合玉の断面図である。
【図5B】図5Bは、図5Aの混合玉をコーティングするための型の概略図である。
【図6】図6は、本開示の別の実施形態に従う、生物学的に活性な剤でコーティングされた混合玉の断面図である。
【図7】図7は、本開示のなお別の実施形態に従う、生物学的に活性な剤でコーティングされた混合玉の断面図である。
【図8】図8は、本開示の1つの実施形態に従うアプリケータ先端部と一緒に使用するための流体アプリケータの斜視図である。
【図9】図9は、本開示の別の実施形態に従うアプリケータ先端部と一緒に使用するための流体アプリケータの斜視図である。
【図10A】図10Aは、本開示のなお別の実施形態に従うアプリケータ先端部と一緒に使用するための流体アプリケータの斜視図である。
【図10B】図10Bは、図10Aの流体アプリケータの断面図である。
【図11A】図11Aは、本開示の別の実施形態に従うアプリケータ先端部と一緒に使用するための流体アプリケータの斜視図である。
【図11B】図11Bは、図11Aの流体アプリケータの部分断面図である。
【図12】図12は、本開示のなお別の実施形態に従うアプリケータ先端部と一緒に使用するための流体アプリケータの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示に従うアプリケータ先端部は、混合チャンバおよび分配先端部を備える。この混合チャンバは、生物学的に活性な剤を収容し、流体アプリケータデバイスとの取り付けのために構成される。流体は、この流体アプリケータデバイスからこのアプリケータ先端部の混合チャンバ内へと送達され得、これによって、この流体の動きおよび流れ、ならびにこの混合チャンバ内に配置された混合玉が、生物学的に活性な剤をこの流体と混合する。次いで、この流体および生物学的に活性な剤は、この分配先端部を通して標的部位へと送達され得る。
【0013】
流体アプリケータデバイスに収容される流体は、医療有用性を有する任意の流動可能物質であり得る。ある実施形態において、この流体は、塩溶液(生理食塩水溶液が挙げられる)、ヒドロゲルの前駆体、封止剤、接着剤、または他の任意の溶液、半固体、もしくはペーストであり得る。従って、このアプリケータ先端部を通して送達される流体は、当業者により予想されるような他の用途のうちでもとりわけ、接着剤、封止剤、移植物のためのコーティング、薬物送達デバイス、創傷充填剤、および/または組織強化材料として、利用され得る。
【0014】
本開示のアプリケータ先端部の実施形態が、ここで図面を参照しながら詳細に記載される。図面において、同じ参照番号は、類似の構造要素または同一の構造要素を見分ける役に立つ。図面に示され、そして以下の説明全体にわたって記載される場合、慣習的であるように、用語「近位」とは、装置の使用者に近い方の端部をいい、そして用語「遠位」とは、装置の使用者から遠い方の端部をいう。
【0015】
最初に図1Aおよび図1Bを参照すると、本開示に従うアプリケータ先端部が、一般に参照番号100として示されている。アプリケータ先端部100は、本体部分110および分配先端部130を備える。本体部分110は、近位端112、遠位端116、およびこれらの間に規定される混合チャンバ120を備える。
【0016】
本体部分110の近位端112は、アプリケータ先端部100を流体源(例えば、以下にさらに詳細に記載されるような流体アプリケータデバイス)に取り外し可能に固定するための構成および寸法にされる。入口114が、近位端112に、混合チャンバ120と流体アプリケータデバイスとの間の流体連絡のために提供される。図1Bに図示されるように、近位端112の内側表面は、ねじ山115を備える。これらのねじ山は、流体アプリケータデバイスの外側表面とのねじばめ接続を確立して、これらの2つの構成要素間に流体密シールを達成するためのものである。他の従来の機械的手段(例えば、差込みカップリング、スナップばめ配置、摩擦ばめ、溝形構成(tongue and groove configuration)、カムロック機構、および当業者の知識の範囲内である他のはめ込み形ファスナー(male/female fastener)が挙げられる)が、アプリケータ先端部と流体アプリケータデバイスとを取り外し可能に固定するために利用され得ることが想定される。あるいは、アプリケータ先端部100の近位端112は、嵌合部材を有さないかもしれず、接着剤の使用によって流体アプリケータデバイスに化学的に結合可能であっても、超音波溶接によって永続的に結合可能であっても、他の方法で結合可能であってもよい。他の実施形態において、アプリケータ先端部と流体アプリケータデバイスとの間に流体密シールを形成するために、外部ファスナーが、アプリケータ先端部と流体アプリケータデバイスとの間、またはこれらを覆って配置され得る。
【0017】
遠位端116は、本体部分110の混合チャンバ120を分配先端部130と流体接続させるための開口部118を備える。混合チャンバ120は、少なくとも1つの混合玉122および少なくとも1つの生物学的に活性な剤(図示せず)を備える。混合玉122は、形状が球状であるように図示されているが、混合玉122は、当業者の知識の範囲内である任意の形状(例えば、卵形、楕円体、および/または無定形)であり得ることが想定される。混合玉122の直径は、入口114の直径および混合チャンバ120の開口部118より大きく、その結果、混合玉122は、混合チャンバ120内に閉じ込められ、そしてこの混合チャンバ内で自由に動き、そして/または回転する。
【0018】
混合玉122は、種々の材料(ポリマー、プラスチック、金属、およびセラミックが挙げられる)から製造され得る。混合玉が製造され得る適切なポリマーとしては、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン(超高分子量ポリエチレンが挙げられる)およびポリプロピレン(アタクチック、アイソタクチック、シンジオタクチック、およびこれらのブレンドが挙げられる));ポリエチレングリコール(PEG);ポリエチレンオキシド;ポリエチレンとポリプロピレンとのコポリマー;ポリイソブチレンとエチレン−αオレフィンとのコポリマー;フッ素化ポリオレフィン(例えば、ポリフルオロエチレン、ポリフルオロプロピレン、フルオロPEG、およびポリテトラフルオロエチレン);ポリアミド;ポリアミン;ポリイミン;ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、およびポリブチレンテレフタレート);ポリエーテル;ポリブタエステル;ポリテトラメチレンエーテルグリコール;1,4−ブタンジオール;ポリウレタン;アクリルポリマー;メタクリル類;ハロゲン化ビニルポリマーおよびコポリマー(例えば、ポリ塩化ビニル);ポリビニルアルコール;ポリビニルエーテル(例えば、ポリビニルメチルエーテル);ポリハロゲン化ビニリデン(例えば、ポリフッ化ビニリデンおよびポリ塩化ビニリデン);ポリクロロフルオロエチレン;ポリアクリロニトリル;ポリアリールエーテルケトン;ポリビニルケトン;ポリビニル芳香族(例えば、ポリスチレン);ポリビニルエステル(例えば、ポリ酢酸ビニル);ビニルモノマー同士のコポリマーおよびビニルモノマーとオレフィンとのコポリマー(例えば、エチレン−メタクリル酸メチルコポリマー);アクリロニトリル−スチレンコポリマー;アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂;エチレン−酢酸ビニルコポリマー;アルキド樹脂;ポリカーボネート;ポリオキシメチレン;ポリホスファジン;ポリイミド;エポキシ樹脂;アラミド;シリコーン;ならびにこれらのコポリマーおよび組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0019】
さらに、混合玉122は、生分解性ポリマーから製造され得る。例えば、混合玉122は、グリコリド、dl−ラクチド、1−ラクチド、カプロラクトン、ジオキサノン、トリメチレンカーボネート、ポリ(ヒドロキシ酸)、ポリ(オルトカーボネート)、ポリ(酸無水物)、ポリ(ラクトン)、ポリ(アミノ酸)、ポリ(カーボネート)、ポリ(ホスホネート)、およびこれらの組み合わせなどのポリマー、コポリマーおよびオリゴマーから製造され得る。
【0020】
図1Aおよび図1Bに戻ると、分配先端部130は、それを通る管腔132を規定し、そして流体を標的部位に向けて排出するための出口134を備える。分配先端部130は、分配されるべき流体の所望の圧力、流量、およびスプレーパターンに依存して、サイズ、長さ、および形状が様々であり得る。流体の粘度および先端部の直径が挙げられる要因もまた、分配先端部130のスプレー特性に影響を与え得る。
【0021】
分配先端部130は、図2に図示されるように、流体(複数可)と生物学的に活性な剤(複数可)とを混合するための静的ミキサ136を備え得る。静的ミキサ136は、1つ以上のバフル136aなどを備え得る。バフル136aは、固定され得、流体および生物学的に活性な剤が通過する際に、実質的に動かないままであり得る。ある実施形態において、流体および生物学的に活性な剤が分配先端部130内へ、そして静的ミキサ136を通して押されると、この流体の流れがバフル136aにそれぞれ遭遇する際に妨害されて流れを変えられ、これによって、混合チャンバ120内で乱流を引き起こし、そしてこの流体とこの生物学的に活性な剤とをブレンドする。
【0022】
混合チャンバ内に配置される生物学的に活性な剤は、臨床用途を有する任意の物質または物質混合物であり得る。生物学的に活性な剤は、生物学的作用を引き起こし得るか、生物学的影響を及ぼし得るか、または1つ以上の生物学的プロセスにおいて役割を果たし得る。あるいは、生物学的に活性な剤は、本質的に薬理学的活性を有さないかもしれない(例えば、色素)。任意の生物学的に活性な剤が本開示のアプリケータ先端部と一緒に利用され得ることが想定される。使用される生物学的に活性な剤の型および量は、他の要因のうちでもとりわけ、処置されるべき特定の部位および状態、ならびに流体アプリケータデバイスから分配される流体の型に依存する。
【0023】
本開示に従って利用され得る生物学的に活性な剤のクラスの例としては、接着防止剤、抗菌薬、鎮痛薬、解熱薬、麻酔薬、鎮痙薬(antiepileptics)、抗ヒスタミン薬、抗炎症薬、心臓血管剤、診断剤、交感神経様作用薬、コリン様作用薬、抗ムスカリン薬、抗痙攣薬、ホルモン、筋弛緩薬、アドレナリン作用性ニューロン遮断薬、抗腫瘍薬、免疫原性剤、免疫抑制薬、胃腸薬、利尿薬、ステロイド、脂質、リポ多糖類、多糖類、血小板活性化薬物、凝結因子、および酵素が挙げられる。
【0024】
生物学的に活性な剤として含有され得る適切な抗菌剤としては、トリクロサン(triclosan)(2,4,4’−トリクロロ−2’−ヒドロキシジフェニルエーテルとしてもまた公知);クロルヘキシジンおよびその塩(酢酸クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン、塩酸クロルヘキシジン、および硫酸クロルヘキシジンが挙げられる);銀およびその塩(酢酸銀、安息香酸銀、炭酸銀、クエン酸銀、ヨウ素酸銀、ヨウ化銀、乳酸銀、ラウリン酸銀、硝酸銀、酸化銀、パルミチン酸銀、プロテイン銀、および銀スルファジアジンが挙げられる);ポリミキシン;テトラサイクリン;アミノグリコシド(例えば、トブラマイシンおよびゲンタマイシン);リファンピシン;バシトラシン;ネオマイシン;クロラムフェニコール;ミコナゾール;キノロン(例えば、オキソリン酸、ノルフロキサシン、ナリジクス酸、ペフロキサシン(pefloxacin)、エノキサシンおよびシプロフロキサシン);ペニシリン(例えば、オキサシリンおよびピプラシル(pipracil));ノンオキシノール9;フシジン酸;セファロスポリン;ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。さらに、抗菌タンパク質およびペプチド(例えば、ウシラクトフェリンおよびラクトフェリシン(lactoferricin)B)が、本開示において、生物学的に活性な剤として含有され得る。
【0025】
他の生物学的に活性な剤としては、局所麻酔薬;非ステロイド性抗受精剤;副交感神経様作用剤;精神療法剤;トランキライザ;うっ血除去薬;鎮静催眠薬;ステロイド;スルホンアミド;交感神経様作用剤;ワクチン;ビタミン;抗マラリア薬;抗片頭痛薬;抗パーキンソン剤(例えば、L−ドパ);抗痙攣薬;抗コリン作用性剤(例えば、オキシブチニン);鎮咳薬;気管支拡張薬;心臓血管剤(例えば、冠状血管拡張薬およびニトログリセリン);アルカロイド;鎮痛薬;麻酔薬(例えば、コデイン、ジヒドロコデイノン、メペリジン、モルヒネなど);非麻酔薬(例えば、サリチレート、アスピリン、アセトアミノフェン、d−プロポキシフェンなど);オピオイドレセプターアンタゴニスト(例えば、ナルトレキソンおよびナロキソン);抗がん剤;鎮痙薬(anti−convulsants);制吐薬;抗ヒスタミン薬;抗炎症剤(例えば、ホルモン剤、ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、プレドニゾン、非ホルモン剤、アロプリノール、インドメタシン、フェニルブタゾンなど);プロスタグランジンおよび細胞傷害性剤;化学療法剤;エストロゲン;抗菌剤;抗生物質;抗真菌剤;抗ウイルス剤;抗凝固薬;鎮痙薬(anticonvulsants);抗うつ薬;抗ヒスタミン薬;ならびに免疫学的剤が挙げられる。
【0026】
適切な生物学的に活性な剤の他の例としては、ウイルスおよび細胞;ペプチド、ポリペプチドおよびタンパク質、ならびにそのアナログ、ムテイン、ならびに活性フラグメント;免疫グロブリン;抗体;サイトカイン(例えば、リンホカイン、モノカイン、ケモカイン);血液凝固因子(blood clotting factors);造血因子;インターロイキン(IL−2、IL−3、IL−4、IL−6);インターフェロン(β−IFN、α−IFNおよびγ−IFN);エリスロポイエチン;ヌクレアーゼ;腫瘍壊死因子;コロニー刺激因子(例えば、GCSF、GM−CSF、MCSF);インスリン;抗腫瘍剤および腫瘍抑制因子;血液タンパク質(例えば、フィブリン、トロンビン、フィブリノゲン、合成トロンビン、合成フィブリン、合成フィブリノゲン);性腺刺激ホルモン(例えば、FSH、LH、CGなど);ホルモンおよびホルモンアナログ(例えば、成長ホルモン);ワクチン(例えば、腫瘍性抗原、細菌性抗原およびウイルス性抗原);ソマトスタチン;抗原;血液凝固因子(blood coagulation factors);増殖因子または成長因子(例えば、神経発育因子、インスリン様成長因子);タンパク質インヒビター;タンパク質アンタゴニスト;タンパク質アゴニスト;核酸(例えば、アンチセンス分子、DNA、およびRNA);オリゴヌクレオチド;ポリヌクレオチド;リボザイム;天然に存在するポリマー(コラーゲンなどのタンパク質、およびグリコサミノグリカンなどの種々の天然に存在する多糖類の誘導体が挙げられる);ペプチド加水分解酵素(例えば、エラスターゼ、カテプシンG、カテプシンE、カテプシンB、カテプシンH、カテプシンL、トリプシン、ペプシン、キモトリプシン、およびγ−グルタミルトランスフェラーゼ(γ−GTP)など);糖鎖加水分解酵素(例えば、ホスホリラーゼ、ノイラミニダーゼ、デキストラナーゼ、アミラーゼ、リゾチーム、およびオリゴサッカラーゼ(oligosaccharase)など);オリゴヌクレオチド加水分解酵素(例えば、アルカリホスファターゼ、エンドリボヌクレアーゼ、およびエンドデオキシリボヌクレアーゼなど)が挙げられる。
【0027】
ある実施形態において、生物学的に活性な剤は、特定の細胞型(例えば、平滑筋細胞、幹細胞、および免疫細胞など)を誘引または動因し得る、生物学リガンドまたは細胞特異的リガンドである。
【0028】
ある実施形態において、生物学的に活性な剤は、増殖因子(例えば、トランスホーミング増殖因子(TGF)、線維芽細胞増殖因子(FGF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、上皮増殖因子(EGF)、結合組織活性化ペプチド(CTAP)、骨形成因子、ならびにこのような増殖因子の生物学的に活性なアナログ、フラグメント、および誘導体)であり得る。ある実施形態において、多機能調節タンパク質である、トランスホーミング増殖因子(TGF)スーパーファミリーのメンバーが利用される。TGFスーパー遺伝子ファミリーのメンバーとしては、βトランスホーミング増殖因子(例えば、TGF−β1、TGF−β2、TGF−β3);骨形成タンパク質(例えば、BMP−1、BMP−2、BMP−3、BMP−4、BMP−5、BMP−6、BMP−7、BMP−8、BMP−9);ヘパリン結合性増殖因子(例えば、線維芽細胞増殖因子(FGF)、上皮増殖因子(EGF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、インスリン様成長因子(IGF));インヒビン(例えば、インヒビンA、インヒビンB);組織分化因子(growth differentiating factor)(例えば、GDF−1);およびアクチビン(例えば、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンAB)が挙げられる。
【0029】
ある実施形態において、生物学的に活性な剤は、適用の時点、または画像化設備(X線、MRI、およびCAT走査設備が挙げられる)の使用による適用後の、流体の可視化を可能にするための、画像化剤(例えば、ヨウ素および硫酸バリウム、またはフッ素)であり得る。含有され得る他の画像化剤は、当業者の知識の範囲内であり、そして医療移植可能医療デバイスにおいて使用するのに適切な物質(例えば、FD&C色素3および6、エオシン、メチレンブルー、インドシアニングリーン、または合成外科手術用縫合糸において通常見られる有色色素)が挙げられるが、これらに限定されない。適切な色としては、緑色および/または青色が挙げられる。なぜなら、このような色は、血液の存在下、または桃色もしくは白色の組織の背景で、よりよく見え得るからである。ある実施形態において、生物学的に活性な剤は、流体を分配先端部に通して分配する前に、この生物学的に活性な剤がこの流体と混合することを確認するために、混合チャンバ内の流体の可視化を可能にするための色素を含有し得る。
【0030】
生物学的に活性な剤は、混合チャンバ内に種々の様式で配置され得る。図3に図示されるように、生物学的に活性な剤124は、任意の形態(例えば、粉末または液体)で混合チャンバ122内で自由に動くように配置され得、その結果、流体が本体部分110の近位端112の入口114から混合チャンバ内に導入されると、この流体は、生物学的に活性な剤124を分配先端部130に通して外に運ぶ。他の実施形態において、生物学的に活性な剤は、混合チャンバの内側の表面に配置され得、その結果、流体がこの表面と接触すると、この剤がこの流体内で混合される。あるいは、生物学的に活性な剤は、混合玉の表面または内部に配置され得るか、あるいは生物学的に活性な剤は、混合玉自体を形成し得る。混合玉は、本開示の実施形態において、生物学的に活性な剤によって完全にコーティングされているように図示されるが、混合玉の一部分(複数可)のみがコーティングされてもよいことが想定される。さらに、1種以上の生物学的に活性な剤を含有する組成物でコーティングされることに加えて、混合玉の一部分(複数可)が、異なる生物学的に活性な剤(または生物学的に活性な剤の混合物)でコーティングされ得る。例えば、混合玉の半分が第一の生物学的に活性な剤でコーティングされ得、そしてこの混合玉の残りの半分が第二の生物学的に活性な剤でコーティングされ得る。同様に、混合玉は、1つの生物学的に活性な剤を含む内側コーティング、および第二の生物学的に活性な剤を含む外側コーティングを有し得る。同一の広がりを持つ層状コーティングを有するこのような実施形態において、第二の生物学的に活性な剤は、流体の分配の際に最初に放出され、そして第一の生物学的に活性な剤は、第二の生物学的に活性な剤が放出された後に放出される。
【0031】
ここで図4Aを参照すると、混合玉222は、生物学的に活性な剤224でコーティングされ得る。ある実施形態において、この混合玉は、実質的に中実であり、そして連続的な外側表面を備える。他の実施形態において、この混合玉の外側表面は、生物学的に活性な剤の塗布前に、生物学的に活性な剤のこの混合玉への接着を補助するために、改変され得る。例えば、ある実施形態において、混合玉の外側表面は、粗くされ得るか、またはプラズマ処理され得る。
【0032】
生物学的に活性な剤224は、当業者の知識の範囲内である技術(浸漬、ワイピング、スプレー、全液浸、溶媒エバポレーションなどが挙げられる)を利用して、混合玉222に塗布され得る。図4Bに図示されるように、生物学的に活性な剤224を含有する水性の溶媒または溶液10が、ディスペンサーまたは噴霧器12によって、混合玉222にスプレーされ得る。生物学的に活性な剤224を含有する溶液10の、混合玉222の表面へのスプレーおよびコーティング後、この溶液は乾燥させられ得、そして硬化させられ得る。ある実施形態において、乾燥温度は、約1℃〜約70℃であり得る。
【0033】
他の実施形態において、図4Cに図示されるように、混合玉222は、混合玉222を矢印の方向に移動させることによって、混合玉222の表面をコーティングするために充分な時間にわたって、生物学的に活性な剤224を含有する溶液10を収容する容器14に沈められ得る。その後、混合玉222は容器14から取り出され、そして乾燥または硬化させられて、図4Aに示されるような、生物学的に活性な剤224でコーティングされた混合玉222を形成する。
【0034】
なお別の実施形態において、生物学的に活性な剤は、親水性ポリマーまたは分解性ポリマーの薄層に含まれ得るか、または閉じ込められ得る。生物学的に活性な剤を含む層が混合玉に付けられ得、そして硬化させられ得る。
【0035】
生物学的に活性な剤324はまた、混合玉322の表面に凍結乾燥させられて、図5Aに図示されるような多孔性コーティングを形成し得る。ある実施形態において、生物学的に活性な剤324を含有する粘性溶液が、混合玉322に、例えば、上記のようなスプレーコーティングまたは浸漬コーティングにより塗布され得、次いで、生物学的に活性な剤324が、フリーズドライされて、混合玉322上にコーティングを形成し得る。組成物を凍結乾燥またはフリーズドライするために適切な技術は、当業者の知識の範囲内である。
【0036】
生物活性剤を混合玉に塗布するための他の方法は、型の使用を包含する。図5Bに図示されるように、混合玉324は、型16に入れられ得る。位置決め要素18(例えば、プロング)が、混合玉322を型16の実質的に中央に保持し得る。生物学的に活性な剤を含有する溶液(図示せず)が、型16の開口部20を通して導入されて、内部に配置される混合玉322を囲み得る。この溶液は、凍結乾燥させられて図5Aに図示されるような多孔性コーティングを形成し、そして型16が取り外される。型16のサイズ、形状、および寸法は様々であり得、これによって、任意の適切な形状またはサイズの生物学的に活性な剤324を混合玉322上に作製し得ることが想定される。
【0037】
図6に図示されるように、生物学的に活性な剤424の粉末コーティングもまた、混合玉422をコーティングするために利用され得る。乾燥粉末形態の生物学的に活性な剤424は、正または負に荷電した混合玉422に付けられ得る。あるいは、乾燥した生物学的に活性な剤424が、例えば、静電銃などでのスプレーによって、中性の混合玉422に静電的に付けられ得る。静的コーティングを付ける方法は、当業者の知識の範囲内である。
【0038】
ある実施形態において、生物学的に活性な剤は、上に記載された技術のいずれかによる混合玉のコーティング前に、リポソームまたはミクロスフィアに充填され得る。ある実施形態において、これらのリポソームまたはミクロスフィアは、混合玉をコーティングすることを補助するように、官能基化され得る。例えば、陽イオン性脂質が、陰イオン性の混合玉にイオン結合し得るか、または陰イオン性脂質が、陽イオン性混合玉に引き付けられ得る。このようなリポソームまたはミクロスフィアを形成する際に使用するのに適切なポリマーは、当業者の知識の範囲内である。
【0039】
リポソームおよび/またはミクロスフィアを形成する際に利用され得る負に荷電したポリマーの例としては、コラーゲン(例えば、スクシニル化コラーゲン)、およびグリコサミノグリカン誘導体(例えば、ヒアルロン酸ナトリウム、ケラタン硫酸、ケラトスルフェート、ナトリウムコンドロイチン硫酸A、ナトリウムデルマタン硫酸B、ナトリウムコンドロイチン硫酸C、ヘパリン、エステル化コンドロイチン硫酸C、およびエステル化ヘパリン)が挙げられる。正に荷電したポリマーの例としては、コラーゲン(例えば、メチル化コラーゲン)、およびグリコサミノグリカン誘導体(例えば、エステル化脱アセチル化ヒアルロン酸、エステル化脱アセチル化脱スルフェート化コンドロイチン硫酸A、エステル化脱アセチル化脱スルフェート化コンドロイチン硫酸C、脱アセチル化脱スルフェート化硫酸ケラチン、脱アセチル化脱スルフェート化ケラトスルフェート、エステル化脱スルフェート化ヘパリン、およびキトサン)が挙げられる。
【0040】
ある実施形態において、脂質または界面活性剤(例えば、非イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤と陽イオン性界面活性剤との混合物、ポリマー、またはコロイド粒子)が、例えば粉末形態で提供され得、これに、生物学的に活性な剤を含有する水溶液が添加され得る。次いで、この脂質と生物学的に活性な剤を含有する水溶液とが混合される。これらの脂質は、水溶液中で自己集合して、生物学的に活性な剤を内部に組み込むミセルを形成し得る。脂質小胞に組み込まれる生物学的に活性な剤の量は、脂質対生物学的に活性な剤の比に依存して、変わり得る。得られる組成物は、例えば、超遠心分離により精製されて、これらのリポソームを、カプセル化されていない、すなわち遊離した、生物学的に活性な剤から分離し得る。
【0041】
他の実施形態において、生物学的に活性な剤をカプセル化するミクロスフィアは、エマルジョンの内部制御されたゲル化により形成され得る。生物学的に活性な剤を含有する水相が、油相と次第に混合して、エマルジョンを形成する。固化のために充分な時間が経過した後に、このエマルジョンが破壊され、そして生物学的に活性な剤を収容するミクロスフィアが回収される。
【0042】
図7に図示されるように、混合玉522は多孔性であり得、その結果、生物学的に活性な剤524は、混合玉522の表面と、混合玉522の細孔526内との両方に固定され得る。例えば、生物学的に活性な剤524は、上に提供された技術の任意のものによって、混合玉522に付けられ得る。生物学的に活性な剤524は、混合玉522の細孔526内に染み込み得るか、または機械的相互作用(例えば、吸い上げまたは毛管作用)によって、混合玉522の細孔526に入り得る。次いで、生物学的に活性な剤524が乾燥または硬化させられ得る。
【0043】
あるいは、混合玉自体が、例えば、凍結乾燥または他の成形もしくはキャスティング技術によって、生物学的に活性な剤から形成され得る。例えば、生分解性ポリマーが生物学的に活性な剤と混合され得、そして例えば凍結乾燥により形作られて、混合玉を形成し得る。
【0044】
流体は、アプリケータ先端部の混合チャンバに、本開示のアプリケータ先端部と一緒に使用するように適合された注射器または他の流体アプリケータデバイスを介して、供給され得る。本開示のアプリケータ先端部と一緒に利用され得る適切な流体アプリケータデバイスの例としては、図8〜図12に図示されるものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0045】
例えば、図8に示されるように、図1Aおよび図1Bと組み合わせて、注射器150は、アプリケータ先端部100と一緒に使用するために適合される。注射器150は、流体「F」を内部に保持するための、2つの流体チャンバまたはバレル152および154を備える。ある実施形態において、バレル152および154は、2部分混合物の第一の成分および第二の成分を収容するために提供される。二重バレル注射器として図示されているが、注射器150は、単一バレル注射器であっても、2つより多くの流体チャンバを備えてもよいことが想定される。注射器150は、流体(複数可)をバレル152および154から注射器150の開口遠位端158に通して推進するための、手で操作可能なプランジャー156をさらに備える。ある実施形態において、プランジャー156は、各バレルに関して独立した動作のために構成され得る。注射器150の遠位端158は、注射器150の遠位端158をアプリケータ先端部100の近位端112のねじ山115に取り外し可能に結合するためのねじ山159を備える。上記のように、注射器150は、注射器150とアプリケータ先端部100との間に流体密シールを提供する任意の嵌合機構によって、アプリケータ先端部100に取り外し可能に固定され得ることもまた想定される。
【0046】
理解され得るように、アプリケータ先端部100が注射器150と係合すると、注射器150の開口遠位端158は、アプリケータ先端部100の本体部分110の混合チャンバ120と流体連絡し、その結果、プランジャー156を押すと、流体「F」は、注射器150のバレル152および154から混合チャンバ120内へ、分配先端部130を通して推進され、そして標的部位への送達のために、出口134から出る。
【0047】
図9は、アプリケータ先端部100と一緒に使用するための流体アプリケータデバイスの別の実施形態を図示する。流体アプリケータデバイス160は一般に、ハンドルまたはハウジング162を備え、このハンドルまたはハウジングは、近位端164、遠位端166、および流体「F」(複数可)を保持するための内部の少なくとも1つのチャンバ168を有する。ハウジング162は、流体「F」を分配するために電力を流体アプリケータデバイス160に供給するためのエネルギー源161に結合される。あるいは、流体アプリケータデバイス160は、バッテリにより電力を与えられ得る。ハウジング162内に配置された導管163は、空洞168に結合され、ハウジング162を通って遠位に延び、そして最終的に、ハウジング162の遠位端166に配置されたコネクタ165に結合する。コネクタ165は、上記のように、ハウジング162の遠位端166をアプリケータ先端部100の近位端112に取り外し可能に結合するためのねじ山167を備える。ハウジング162はまた、流体アプリケータデバイス160の操作を制御するための、1対のボタンまたは制御器169aおよび169bを備え得る。制御器169aおよび169bは、例えば、空洞168からコネクタ165に通しての流体の送達を活性化/不活性化するため、ならびに/または操作の様々なモード間(例えば、高電力流体分配モードと低電力流体分配モードとの間)を切り替えるために構成され得る。
【0048】
ここで図10Aおよび図10Bを参照すると、流体アプリケータデバイス170の別の実施形態が示されている。流体アプリケータデバイス170は、近位端174および遠位端176を有するハウジング172を備える。ハウジング172は、2つのハウジングセクション172aおよび172bから形成され、これらのハウジングセクションは、協働してハウジング172を形成する。ハウジングセクション172aおよび172bは、ハウジング172の内側へのアクセスを提供するために、例えば、スナップばめ係合によって、取り外し可能に係合可能である。
【0049】
図10Bに最もよく見られるように、1対の流体チャンバまたはレザバ178および179が、ハウジング172内に配置され得る。ハウジングセクション172aおよび172bの係合を外すと、流体レザバ178および179が交換され得、そして/または所望の流体を収容する新しいレザバと交換され得る。あるいは、流体レザバ178および179は、再充填可能であり得る。
【0050】
ハウジング172は、その遠位端174に配置されたコネクタ171をさらに備え、このコネクタ171は、アプリケータ先端部100の本体部分110の近位端112を係合するために構成される。コネクタ171は、コネクタ171をアプリケータ先端部100の近位端112のねじ山115に取り外し可能に結合するためのねじ山171aを有し得る。ハウジング172内に配置された1対の導管173および175が、それぞれ流体レザバ178および179を、アプリケータ先端部100の混合チャンバ120の開口部114と結合させ、その結果、起動の際に、流体レザバ178および179からの流体は、混合チャンバ120内に推進され得、そして所望の部位への送達のために、分配先端部130に通され得る。従って、ハウジング172は、流体を流体レザバ178および179から導管173および175に通してアプリケータ先端部100の混合チャンバ120内へと推進するための、選択的に押すことが可能なアクチュエータ177を備える。
【0051】
ここで図11Aおよび図11Bを参照すると、流体アプリケータデバイス180は、マニホルドまたは基部182、基部182から延びる細長シャフト184、およびコネクタ186を備え得る。流体チャンバ183および185が、基部182内に配置され、そしてそれぞれ導管181および187に流体接続される。ある実施形態において、流体チャンバ183および185は、患者への投与のための、他の外部流体源(図示せず)に接続され得る。細長シャフト184は、その長さに延びる第一の管腔188および第二の管腔189を備える。細長シャフト184は、マニホルド182の遠位延長部181に固定され、その結果、第一の管腔188および第二の管腔189は、それぞれ第一の導管181および第二の導管187と整列して、これらの導管を通る流体の流れを可能にする。あるいは、細長シャフト184は、マニホルド182と一体的に形成され得る。コネクタ186は、アプリケータ先端部100の近位端112とのしっかりとした係合のための、ねじ山、溝、移動止め、または他の結合手段をさらに備え得る。
【0052】
図12は、使用者によるピストルグリップ係合のために構成されたハウジング192、ハウジング192に作動可能に接続された流体供給源194、およびハウジング192から遠位に延びるコネクタ196を備える、流体アプリケータデバイス190を図示する。流体アプリケータデバイス190は、流体を流体供給源194からコネクタ196に通して推進するように構成される。コネクタ196は、アプリケータ先端部100の近位端112とのしっかりとした係合のための、ねじ山、溝、移動止め、または他の結合手段をさらに備え得る。
【0053】
本開示のアプリケータ先端部を備える流体アプリケータデバイスの操作は、流体と生物学的に活性な剤との送達を確実にする。ある実施形態において、所望の流体アプリケータデバイスが選択され、所望の流体を収容する(意図される用途に依存する)。アプリケータ先端部(所望の量および型の生物学的に活性な剤、ならびに所望の数および型の混合玉を備える)が、この流体アプリケータデバイスに取り付けられる。次いで、送達デバイスが、塗布の標的部位に導入され得る。流体アクチュエータ(例えば、プランジャー、制御ボタン、および/またはトリガ)を活性化させると、流体が、この流体アプリケータデバイスの流体収容チャンバ(複数可)から、生物学的に活性な剤(複数可)および混合玉(複数可)を収容するアプリケータ先端部の混合チャンバ内へと推進される。上記のように、生物学的に活性な剤(複数可)は、混合チャンバ自体に入れられ得るか、混合玉上にあり得るか、混合玉を製造するために使用される材料(複数可)の一部であり得るか、これらの組み合わせであり得る、などであり得る。流体が流れる力は、混合玉(複数可)を混合チャンバ内で動かし得、これによって、この流体とこの生物学的に活性な剤とを混合し得る。2種以上の流体が混合チャンバに導入される実施形態において、流体の動き、および混合玉(複数可)の動きは、これらの流体を互いに混合させる。
【0054】
この流体は、生物学的に活性な剤(複数可)のためのキャリアとして働く。ある実施形態において、混合チャンバ内への流体(複数可)の導入は、生物学的に活性な剤(複数可)をこの流体に可溶化し、そしてこの流体内に拡散させる。次いで、この流体(複数可)および生物学的に活性な剤(複数可)は、分配先端部内に推進され得、そして塗布の標的部位に入り得る。ある実施形態において、分配先端部内に配置された静的ミキサが、この流体(複数可)と生物学的に活性な剤(複数可)との均質な混合を確実にすることを補助し得る。
【0055】
ある実施形態において、本開示のアプリケータ先端部は、光、UV、可視化手段(例えば、カメラ)、およびこれらの組み合わせなどを、アプリケータにさらに組み込み得る。いくつかの実施形態において、光は、生物学的に活性な剤を活性化させるために使用され得る。
【0056】
当業者は、本明細書中に具体的に記載され、そして添付の図面に図示されるデバイスおよび方法が、非限定的な例示的実施形態であること、ならびにこれらの記載、開示、および図が、特定の実施形態の単なる例示であると解釈されるべきであることを理解する。従って、本開示は、記載される正確な実施形態には限定されないこと、ならびに種々の他の変更および改変が、本開示の範囲または趣旨から逸脱することなく当業者によって行われ得ることが、理解されるべきである。さらに、1つの例示的実施形態に関連して図示または記載される要素および特徴は、本開示の範囲から逸脱することなく別の例示的実施形態の要素および特徴と組み合わせられ得ること、ならびにこのような改変およびバリエーションもまた、本開示の範囲内に含まれることが意図されることが、想定される。従って、本開示の主題は、具体的に示され記載されたものによって限定されない。なぜなら、改変およびバリエーションが、添付の特許請求の範囲の趣旨および範囲内でなされることが意図されるからである。
【符号の説明】
【0057】
100 アプリケータ先端部
110 本体部分
112 近位端
114 入口
115 ねじ山
116 遠位端
118 開口部
120 混合チャンバ
122 混合玉
130 分配先端部
132 管腔
134 出口
【特許請求の範囲】
【請求項1】
近位端、遠位端、および該近位端と遠位端との間に配置された混合チャンバを備える本体部分であって、該近位端は、流体源との流体連絡のために適合された入口を有し、該遠位端は、開口部を備え、そして該混合チャンバは、該混合チャンバ内に配置された少なくとも1つの混合玉および少なくとも1つの生物学的に活性な剤を有する、本体部分;ならびに
分配先端部であって、該分配先端部は、該分配先端部を通る管腔を規定し、該管腔は、該本体部分の該遠位端の開口部と流体連絡しており、そして該管腔を通る流体の通過のための出口を備える、分配先端部、
を備える、アプリケータ先端部。
【請求項2】
前記分配先端部の前記管腔は、静的ミキサを備え、該静的ミキサは、該静的ミキサ内に配置された1つ以上の固定バフルを有する、請求項1に記載のアプリケータ先端部。
【請求項3】
前記少なくとも1つの生物学的に活性な剤が低分子薬物である、請求項1に記載のアプリケータ先端部。
【請求項4】
前記低分子薬物が、麻酔薬、脈管形成薬、抗痙攣薬、非ステロイド性抗炎症薬、ステロイド、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項3に記載のアプリケータ先端部。
【請求項5】
前記少なくとも1つの生物学的に活性な剤が高分子薬物である、請求項1に記載のアプリケータ先端部。
【請求項6】
前記高分子薬物が、タンパク質、増殖因子または成長因子である、請求項5に記載のアプリケータ先端部。
【請求項7】
前記増殖因子または成長因子がTGF−βである、請求項6に記載のアプリケータ先端部。
【請求項8】
前記生物学的に活性な剤が、前記混合玉の少なくとも一部分にコーティングされている、請求項1に記載のアプリケータ先端部。
【請求項9】
前記生物学的に活性な剤が、リポソームおよびミクロスフィアからなる群より選択される成分に閉じ込められている、請求項1に記載のアプリケータ先端部。
【請求項10】
前記混合玉が多孔性である、請求項1に記載のアプリケータ先端部。
【請求項11】
前記混合玉がイオン荷電している、請求項1に記載のアプリケータ先端部。
【請求項12】
流体および生物学的に活性な剤を組織に送達するための送達デバイスであって、該送達デバイスは、
流体アプリケータであって、流体を収容する少なくとも1つの流体チャンバ、および該流体チャンバから該流体を分配するように構成された流体アクチュエータを備える、流体アプリケータ;ならびに
混合チャンバを備えるアプリケータ先端部であって、該混合チャンバは、該流体アプリケータの少なくとも1つの流体チャンバに流体結合されており、該混合チャンバは、少なくとも1つの混合玉および少なくとも1つの生物学的に活性な剤を収容し、そして分配先端部に流体結合されている、アプリケータ先端部;
を備え、
該流体アプリケータの該流体アクチュエータは、活性化されて、流体を、該流体アプリケータの該少なくとも1つの流体チャンバから該アプリケータ先端部の該混合チャンバ内へと推進し、その結果、該流体の動きが、該混合玉を該混合チャンバ内で動かし、そして該流体を該混合チャンバ内に配置された該生物学的に活性な剤と混合するように構成されており;そして
該分配先端部は、該流体および生物学的に活性な剤を該標的組織部位へと分配するように構成されている、
送達デバイス。
【請求項13】
前記流体アプリケータが2つの流体チャンバを備える、請求項12に記載の送達デバイス。
【請求項14】
前記流体アクチュエータが、プランジャー、制御ボタン、およびトリガからなる群より選択される、請求項12に記載の送達デバイス。
【請求項15】
前記流体アプリケータが、少なくとも1つの導管を備える細長シースをさらに備え、該導管が、該流体アプリケータの前記少なくとも1つの流体チャンバを前記アプリケータ先端部の前記混合チャンバと流体接続している、請求項12に記載の送達デバイス。
【請求項16】
前記分配先端部が、該分配先端部内にしっかりと固定された少なくとも1つのバフルを備える、請求項12に記載の送達デバイス。
【請求項17】
前記生物学的に活性な剤が2種以上の生物学的に活性な剤を含む、請求項12に記載の送達デバイス。
【請求項18】
前記生物学的に活性な剤のうちの少なくとも1つが色素である、請求項17に記載の送達デバイス。
【請求項19】
前記流体が、前記生物学的に活性な剤との混合によって前記混合チャンバ内で色を変化させるように処方されている、請求項18に記載の送達デバイス。
【請求項1】
近位端、遠位端、および該近位端と遠位端との間に配置された混合チャンバを備える本体部分であって、該近位端は、流体源との流体連絡のために適合された入口を有し、該遠位端は、開口部を備え、そして該混合チャンバは、該混合チャンバ内に配置された少なくとも1つの混合玉および少なくとも1つの生物学的に活性な剤を有する、本体部分;ならびに
分配先端部であって、該分配先端部は、該分配先端部を通る管腔を規定し、該管腔は、該本体部分の該遠位端の開口部と流体連絡しており、そして該管腔を通る流体の通過のための出口を備える、分配先端部、
を備える、アプリケータ先端部。
【請求項2】
前記分配先端部の前記管腔は、静的ミキサを備え、該静的ミキサは、該静的ミキサ内に配置された1つ以上の固定バフルを有する、請求項1に記載のアプリケータ先端部。
【請求項3】
前記少なくとも1つの生物学的に活性な剤が低分子薬物である、請求項1に記載のアプリケータ先端部。
【請求項4】
前記低分子薬物が、麻酔薬、脈管形成薬、抗痙攣薬、非ステロイド性抗炎症薬、ステロイド、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項3に記載のアプリケータ先端部。
【請求項5】
前記少なくとも1つの生物学的に活性な剤が高分子薬物である、請求項1に記載のアプリケータ先端部。
【請求項6】
前記高分子薬物が、タンパク質、増殖因子または成長因子である、請求項5に記載のアプリケータ先端部。
【請求項7】
前記増殖因子または成長因子がTGF−βである、請求項6に記載のアプリケータ先端部。
【請求項8】
前記生物学的に活性な剤が、前記混合玉の少なくとも一部分にコーティングされている、請求項1に記載のアプリケータ先端部。
【請求項9】
前記生物学的に活性な剤が、リポソームおよびミクロスフィアからなる群より選択される成分に閉じ込められている、請求項1に記載のアプリケータ先端部。
【請求項10】
前記混合玉が多孔性である、請求項1に記載のアプリケータ先端部。
【請求項11】
前記混合玉がイオン荷電している、請求項1に記載のアプリケータ先端部。
【請求項12】
流体および生物学的に活性な剤を組織に送達するための送達デバイスであって、該送達デバイスは、
流体アプリケータであって、流体を収容する少なくとも1つの流体チャンバ、および該流体チャンバから該流体を分配するように構成された流体アクチュエータを備える、流体アプリケータ;ならびに
混合チャンバを備えるアプリケータ先端部であって、該混合チャンバは、該流体アプリケータの少なくとも1つの流体チャンバに流体結合されており、該混合チャンバは、少なくとも1つの混合玉および少なくとも1つの生物学的に活性な剤を収容し、そして分配先端部に流体結合されている、アプリケータ先端部;
を備え、
該流体アプリケータの該流体アクチュエータは、活性化されて、流体を、該流体アプリケータの該少なくとも1つの流体チャンバから該アプリケータ先端部の該混合チャンバ内へと推進し、その結果、該流体の動きが、該混合玉を該混合チャンバ内で動かし、そして該流体を該混合チャンバ内に配置された該生物学的に活性な剤と混合するように構成されており;そして
該分配先端部は、該流体および生物学的に活性な剤を該標的組織部位へと分配するように構成されている、
送達デバイス。
【請求項13】
前記流体アプリケータが2つの流体チャンバを備える、請求項12に記載の送達デバイス。
【請求項14】
前記流体アクチュエータが、プランジャー、制御ボタン、およびトリガからなる群より選択される、請求項12に記載の送達デバイス。
【請求項15】
前記流体アプリケータが、少なくとも1つの導管を備える細長シースをさらに備え、該導管が、該流体アプリケータの前記少なくとも1つの流体チャンバを前記アプリケータ先端部の前記混合チャンバと流体接続している、請求項12に記載の送達デバイス。
【請求項16】
前記分配先端部が、該分配先端部内にしっかりと固定された少なくとも1つのバフルを備える、請求項12に記載の送達デバイス。
【請求項17】
前記生物学的に活性な剤が2種以上の生物学的に活性な剤を含む、請求項12に記載の送達デバイス。
【請求項18】
前記生物学的に活性な剤のうちの少なくとも1つが色素である、請求項17に記載の送達デバイス。
【請求項19】
前記流体が、前記生物学的に活性な剤との混合によって前記混合チャンバ内で色を変化させるように処方されている、請求項18に記載の送達デバイス。
【図1A】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図11A】
【図11B】
【図12】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図11A】
【図11B】
【図12】
【公開番号】特開2012−90954(P2012−90954A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−179556(P2011−179556)
【出願日】平成23年8月19日(2011.8.19)
【出願人】(507362281)タイコ ヘルスケア グループ リミテッド パートナーシップ (666)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月19日(2011.8.19)
【出願人】(507362281)タイコ ヘルスケア グループ リミテッド パートナーシップ (666)
【Fターム(参考)】
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