説明

混合菌体及び同混合菌体を用いた廃棄物の処理方法並びに処理残渣の肥料としての使用

【課題】従来の処理の至適温度範囲に比して、有機性廃棄物に含まれる水分の蒸散をさらに効率良く行える高い温度帯で、効率の良い有機物分解能を発揮することのできる菌体又は混合菌体、及び同菌体又は同混合菌体を用いた有機性廃棄物の処理方法の提供。
【解決手段】植物性廃棄物、動物性廃棄物、余剰汚泥、糞尿から選ばれる少なくともいずれか1つの廃棄物を80℃以上の温度下で分解する能力を有する特許微生物寄託センターに受託されたバチルス・オレロニウス(Bacillusoleronius)US-1、バチルス・コアグランス(B.coagulans)US-2、バチルス・コアグランス(B.coagulans)US-3、バチルス・サーモアミロボランス(B.thermoamylovorans)US-4から選ばれるいずれか1株の菌体又はいずれか2株以上を混合した混合菌体とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、混合菌体及び同混合菌体を用いた廃棄物の処理方法並びに処理残渣の肥料としての使用に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一般家庭やホテルの厨房、食品工場等から排出される動植物性の廃棄物や、活性汚泥法により廃水処理した際に発生する余剰汚泥、人畜の糞尿等の有機性廃棄物を処理するために、微生物による発酵を利用した処理方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
このような処理方法によれば、有機性廃棄物を減容化するとともに、処理残渣を肥料等として使用できるため、廃棄物を有効利用できるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−21010号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、微生物による発酵を利用した有機性廃棄物の処理において、処理を効率的に行うためには、処理の対象となる有機性廃棄物の温度と、微生物の至適生育温度とのバランスが非常に重要である。
【0006】
すなわち、有機性廃棄物の温度が高い程、有機性廃棄物が元来保持する水分を効率的に蒸散させることができ、速やかに有機性廃棄物の減容化を行うことが可能となるが、温度が高すぎると、微生物の働きが悪くなり、有機性廃棄物の分解効率が低下することとなる。
【0007】
翻って、上記従来の処理方法によれば、比較的高温で生育する微生物を用いて有機性廃棄物の処理を行っているものの、水分の蒸散と微生物の分解とが両立される至適温度範囲は微生物の成育可能な55〜65℃と低く、水分の蒸散が著しく制限されてしまい、効率の良い有機性廃棄物の処理とは言い難いものとなっていた。
【0008】
また、肥料製造の観点によれば、微生物による有機物分解で生成した養分が水分の蒸発により十分に濃縮されるまで長時間を要することとなり、効率的に製造された肥料が使用できるとは言い難いものであった。
【0009】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、従来の処理の至適温度範囲に比して、有機性廃棄物に含まれる水分の蒸散をさらに効率良く行える高い温度帯で、効率の良い有機物分解能を発揮することのできる混合菌体、及び同混合菌体を用いた有機性廃棄物の処理方法を提供する。また、微生物による有機物分解で生成した養分が濃厚に含まれる処理残渣の肥料としての使用についても提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明では、植物性廃棄物、動物性廃棄物、余剰汚泥、糞尿から選ばれる少なくともいずれか1つの廃棄物を80℃以上の温度下で分解する能力を有する特許微生物寄託センターに受託されたバチルス・オレロニウス(Bacillusoleronius)US-1(受託番号NITEP-911)、バチルス・コアグランス(Bacilluscoagulans)US-2(受託番号NITEP-912)、バチルス・コアグランス(Bacilluscoagulans)US-3(受託番号NITEP-913)、バチルス・サーモアミロボランス(Bacillusthermoamylovorans)US-4(受託番号NITEP-914)から選ばれるいずれか1株の菌体とした。
【0011】
また、請求項2に係る発明では、植物性廃棄物、動物性廃棄物、余剰汚泥、糞尿から選ばれる少なくともいずれか1つの廃棄物を80℃以上の温度下で分解する能力を有する特許微生物寄託センターに受託されたバチルス・オレロニウス(Bacillusoleronius)US-1(受託番号NITEP-911)、バチルス・コアグランス(Bacilluscoagulans)US-2(受託番号NITEP-912)、バチルス・コアグランス(Bacilluscoagulans)US-3(受託番号NITEP-913)、バチルス・サーモアミロボランス(Bacillusthermoamylovorans)US-4(受託番号NITEP-914)から選ばれるいずれか2株以上を混合した混合菌体とした。
【0012】
また、請求項3に係る発明では、請求項1に記載の菌体又は請求項2に記載の混合菌体を、植物性廃棄物、動物性廃棄物、余剰汚泥、糞尿から選ばれる少なくともいずれか1つの廃棄物と混合し、同廃棄物を80℃以上の温度下で分解する廃棄物の処理方法とした。
【0013】
また、請求項4に係る発明では、請求項3に記載の廃棄物の処理方法において、前記廃棄物に混合する菌体又は混合菌体は、30℃〜40℃の温度帯で3時間〜12時間培養する低温馴化工程と、45℃〜70℃の温度帯で1時間〜12時間培養する中温馴化工程と、80℃〜100℃の温度帯で3時間〜12時間培養する高温馴化工程とを経ることにより、80℃〜100℃の温度に馴化された菌体又は混合菌体であることに特徴を有する。
【0014】
さらに、請求項5に係る発明では、請求項1に記載の菌体又は請求項2に記載の混合菌体を、植物性廃棄物、動物性廃棄物、余剰汚泥、糞尿から選ばれる少なくともいずれか1つの廃棄物と混合し、この混合物を80℃以上の温度下で分解処理した際に生じる処理残渣を肥料として使用した。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に係る発明では、植物性廃棄物、動物性廃棄物、余剰汚泥、糞尿から選ばれる少なくともいずれか1つの廃棄物を80℃以上の温度下で分解する能力を有する特許微生物寄託センターに受託されたバチルス・オレロニウス(Bacillusoleronius)US-1(受託番号NITEP-911)、バチルス・コアグランス(Bacilluscoagulans)US-2(受託番号NITEP-912)、バチルス・コアグランス(Bacilluscoagulans)US-3(受託番号NITEP-913)、バチルス・サーモアミロボランス(Bacillusthermoamylovorans)US-4(受託番号NITEP-914)から選ばれるいずれか1株の菌体としたため、従来の処理の至適温度範囲に比して、有機性廃棄物に含まれる水分の蒸散をさらに効率良く行える高い温度帯で、効率の良い有機物分解能を発揮することのできる菌体を提供することができる。
【0016】
また、請求項2に係る発明では、植物性廃棄物、動物性廃棄物、余剰汚泥、糞尿から選ばれる少なくともいずれか1つの廃棄物を80℃以上の温度下で分解する能力を有する特許微生物寄託センターに受託されたバチルス・オレロニウス(Bacillusoleronius)US-1(受託番号NITEP-911)、バチルス・コアグランス(Bacilluscoagulans)US-2(受託番号NITEP-912)、バチルス・コアグランス(Bacilluscoagulans)US-3(受託番号NITEP-913)、バチルス・サーモアミロボランス(Bacillusthermoamylovorans)US-4(受託番号NITEP-914)から選ばれるいずれか2株以上を混合した混合菌体としたため、従来の処理の至適温度範囲に比して、有機性廃棄物に含まれる水分の蒸散をさらに効率良く行える高い温度帯で、効率の良い有機物分解能を発揮することのできる混合菌体を提供することができる。
【0017】
また、請求項3に係る発明では、請求項1に記載の菌体又は請求項2に記載の混合菌体を、植物性廃棄物、動物性廃棄物、余剰汚泥、糞尿から選ばれる少なくともいずれか1つの廃棄物と混合し、同廃棄物を80℃以上の温度下で分解する廃棄物の処理方法としたため、従来の処理の至適温度範囲に比して、有機性廃棄物に含まれる水分の蒸散をさらに効率良く行える高い温度帯で、効率の良い有機物分解を行うことができる。
【0018】
また、請求項4に係る発明では、前記廃棄物に混合する菌体又は混合菌体は、30℃〜40℃の温度帯で3時間〜12時間培養する低温馴化工程と、45℃〜70℃の温度帯で1時間〜12時間培養する中温馴化工程と、80℃〜100℃の温度帯で3時間〜12時間培養する高温馴化工程とを経ることにより、80℃〜100℃の温度に馴化された菌体又は混合菌体としたため、有機物の分解をより円滑に行うことができる。
【0019】
また、請求項5に係る発明では、請求項1に記載の菌体又は請求項2に記載の混合菌体を、植物性廃棄物、動物性廃棄物、余剰汚泥、糞尿から選ばれる少なくともいずれか1つの廃棄物と混合し、この混合物を80℃以上の温度下で分解処理した際に生じる処理残渣を肥料として使用したため、微生物による有機物分解で生成した養分が濃厚に含まれる処理残渣を肥料として使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】分離菌US-1の相同性検索結果及び分子進化系統樹を示す説明図である。
【図2】分離菌US-2の相同性検索結果及び分子進化系統樹を示す説明図である。
【図3】分離菌US-3の相同性検索結果及び分子進化系統樹を示す説明図である。
【図4】分離菌US-4の相同性検索結果及び分子進化系統樹を示す説明図である。
【図5】本実施形態に係る処理装置の外観及び内部構造を示した説明図である。
【図6】本実施形態に係る廃棄物の処理方法の流れを示すフローである。
【図7】廃棄物を処理した際の具体的な投入量や温度を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本実施形態に係る菌体又は混合菌体は、植物性廃棄物、動物性廃棄物、余剰汚泥、糞尿から選ばれる少なくともいずれか1つの廃棄物を80℃以上の温度下で分解する能力を有する特許微生物寄託センターに受託されたバチルス・オレロニウス(Bacillusoleronius)US-1(受託番号NITEP-911)、バチルス・コアグランス(Bacilluscoagulans)US-2(受託番号NITEP-912)、バチルス・コアグランス(Bacilluscoagulans)US-3(受託番号NITEP-913)、バチルス・サーモアミロボランス(Bacillusthermoamylovorans)US-4(受託番号NITEP-914)である。なお、以下の説明において、これらの菌、又はこれらの菌のうち少なくともいずれか2株以上を混合した混合菌体を総称して「処理菌」ともいう。
【0022】
この処理菌は、80℃以上の温度帯においても、有機物分解能を発揮することが可能である。特に、90℃を越える温度であっても、廃棄物を効率よく分解することができる。
【0023】
すなわち、この処理菌によれば、従来の処理の至適温度範囲に比して、有機性廃棄物に含まれる水分の蒸散をさらに効率良く行える高い温度帯で、効率の良い有機物分解能を発揮することができる。
【0024】
本実施形態に係る処理菌は、直接、廃棄物処理槽を有した廃棄物処理装置に投入して使用することができ、また着床材等と組み合わせた処理母材の状態として用いることもできる。すなわち、処理母材は、処理菌が担持された着床材であると言える。
【0025】
着床材としては、木材を細かく破砕、細紛化した木質系チップや米ぬか、おがくず、もみ殻、ふすま、活性炭、セラミックビーズ、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ケイ酸カルシウム、ゼオライト、ビートモス、シリカゲル等がある。また、着床材は、単独で使用することもできるが、複数の着床材を組み合わせて使用することもできる。
【0026】
本実施形態に係る廃棄物の処理方法は、上述した処理菌を廃棄物と共に処理槽内で80℃以上の温度条件下で分解処理することにより、廃棄物の処理効率が高い処理法である。
【0027】
処理に供する廃棄物は、特に限定されるものではないが、例えば、植物性廃棄物、動物性廃棄物、余剰汚泥、糞尿を挙げることができる。植物性廃棄物とは、一般家庭やホテルの厨房、食品工場等から排出される野菜や果物の廃棄物、落葉や刈草等の廃棄物、緑農地から排出される植物の茎葉等の廃棄物である。
【0028】
また、動物性廃棄物とは、一般家庭やホテルの厨房、食品工場等から排出される魚や動物の廃棄物、動物の屍骸等の廃棄物である。また、余剰汚泥とは、下水道処理施設から排出される汚泥である。また、糞尿とは、人や家畜から排出される糞尿である。
【0029】
また、本実施形態に係る廃棄物の処理方法は、前記処理菌と、植物性廃棄物、動物性廃棄物、余剰汚泥、糞尿から選ばれる少なくともいずれか1つの廃棄物とを混合し、同廃棄物を80℃以上の温度条件下で分解処理するものとした。
【0030】
このようにして廃棄物を処理するために、従来の処理の至適温度範囲に比して、有機性廃棄物に含まれる水分の蒸散をさらに効率良く行える高い温度帯で、効率の良い有機物分解を行うことができる。
【0031】
また、前述の処理菌を、植物性廃棄物、動物性廃棄物、余剰汚泥、糞尿から選ばれる少なくともいずれか1つの廃棄物と混合し、この混合物を80℃以上の温度下で分解処理した際に生じる処理残渣は、肥料として使用することができる。
【0032】
このようにして生成された処理残渣には、微生物による有機物分解で生成した養分が濃厚に含まれており、植物の育成を良好とすることができる。
【0033】
また、処理菌を構成する微生物も生存しているため、土中の有機物分解能を促進して、土壌菌との微生物連鎖による土壌の活性化を期待することができる。
【0034】
また、この肥料は水分含量が少ないため、腐敗が起こる可能性が低く、また仮に、他の微生物によるコンタミネーションが生じた場合であっても、肥料内は処理菌を構成する微生物が支配的であるため、他の微生物による汚染を可及的防止することができる。
【0035】
以下、本実施形態に係る菌体又は混合菌体、及び、同菌体又は同混合菌体を用いた廃棄物の処理方法、並びに、処理残渣の肥料としての使用について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0036】
〔1.混合菌体の性状〕
(1−1)生菌数測定試験
まず、本実施形態に係る混合菌体にどの程度の生菌数が含まれているのかを確認するために、生菌数の測定を行った。本実施形態に係る混合菌体は、本発明者が宮崎県の山中で取得した山土を配合し、互いに共生可能でありながら、廃棄物処理に適した状態となるよう調製したものである。
【0037】
試験に供する混合菌体は、着床材と混合された処理母材の状態となっており、まず90℃、10分間の加熱処理を行った。次に、加熱処理後の処理母材を、所定量の生理食塩水に懸濁し、上清を得て、トリプトソイ寒天培地上に播種し、好気条件下にて3日間培養を行った。なお、培養時の温度条件は、30℃と55℃の2種とした。
【0038】
30℃にて培養した培地上には、検鏡及び形態観察の結果、1種の菌が優勢に成育していた。この30℃の培養で分離菌は、混合菌体1g中に2.1×106cfu含まれていることが分かった。この30℃の培養で得られた分離菌は、仮に「分離菌a」として取り扱われ、その後「US-1」と命名された。
【0039】
また、55℃にて培養した培地上には、検鏡及び形態観察の結果、3種の菌が優勢に成育していた。培地上でコロニーを形成していた3種の菌は、それぞれ、仮に「分離菌b」「分離菌c」「分離菌d」として取り扱われ、その後「US-2」「US-3」「US-4」と命名された。また、生理食塩水の希釈倍数から、各菌の混合菌対中における生菌数は、US-2が混合菌体1gあたり0.7×105cfu、US-3が混合菌体1gあたり0.8×105cfu、US-4が混合菌体1gあたり1.5×105cfuであった。
これらの試験結果をまとめて表1に示す。
【表1】

【0040】
(1−2)温度生育試験
次に、生育上限温度が55℃以下であることが示されたUS-1以外の菌について、生育上限温度を検証するために、温度生育試験を行った。
【0041】
具体的には、US-2〜US-4について温度生育試験を行った。その温度生育試験結果を表2に示す。なお、表3における「+」は分離菌の生育が認められたものであり、「−」は分離菌の生育が認められなかったものである。
【0042】
【表2】

【0043】
表2に示すように、温度55℃においては、前述の生菌数測定試験でも確認されたように、分離菌US-2,US-3,US-4のいずれも生育が認められた。
【0044】
また、温度60℃においては、分離菌US-2,US-3の生育が認められるものの、分離菌US-4の生育が認められなかった。
【0045】
さらに、温度65℃においては、分離菌US-2,US-3,US-4のいずれも生育が認められなかった。結果として、分離菌US-2〜US-4において、それぞれ単独の菌だけでは65℃の温度条件下で生育できないことがわかった。
【0046】
すなわち、いずれの菌も、単独では65℃以上の温度条件下では生育不可であることが示された。しかしながら、後に詳述するが、US-1〜US-4の菌が混合されることによって、90℃の条件下においても生育可能であることが示されている。それゆえ、本実施形態に係る混合菌体のUS-1〜US-4の菌の組み合わせは、生育可能温度が高くなるという非常に興味深い現象を生起可能な組み合わせであると言える。
【0047】
(1−3)分離菌同定試験
次に、16srRNA遺伝子の塩基配列を決定し、ホモロジー検索を行うことにより、各分離菌の同定を試みた。
【0048】
具体的には、分離菌US-1〜US-4のDNAを抽出し、PCR法により16SrRNA遺伝子の増幅を行った。次いで、増幅したDNAを、ABI PRISM 310 Genetic Analyzer(Applied Biosystems社製)に供し、分離菌US-1〜US-4の16srRNA遺伝子の塩基配列の決定を行った。
【0049】
決定された塩基配列は、US-1で1460bp、US-2で1436bp、US-3で1459bp、US-4で1428bpであった。
【0050】
得られたこれらの塩基配列を国際塩基配列データベース(DDBJ/EMBL/GenBank)に登録されている配列及びMicroSeq ID Analysis Software Version 2.0(Applied Biosystems社製)のデータベースと相同性検索を行い、近縁種との系統樹を近隣結合法(NJ法)により作成した。
【0051】
まず、US-1のホモロジー検索の結果と16srRNA遺伝子による分子進化系統樹を図1に示す。なお、以下に説明する図1〜4の分子進化系統樹において、<>内に記載の番号は、GenBankのアクセッションナンバーである。
【0052】
図1(a)は、US-1のホモロジー検索結果を示しており、図1(b)は、US-1に近縁と推定された種との16srRNA遺伝子に基づく分子進化系統樹を示している。図1(a)に示すように、ホモロジー検索の結果、US-1は、99.90%の相同性で、Bacillus oleroniusに最も近縁であることが示唆された。また、前述のソフトウェアを用いて描画した分子進化系統樹からも、Bacillus oleroniusに最も近縁であることがわかった。しかしながら、US-1とBacillus oleroniusとは、相同性に差異が認められるため、今回新たに発見したBacillus oleronius US-1株であるとした結論付けられた。
【0053】
次に、US-2のホモロジー検索の結果と16srRNA遺伝子による分子進化系統樹を図2に示す。
【0054】
図2(a)に示すように、ホモロジー検索の結果、US-2は、99.51%の相同性で、Bacillus coagulansに最も近縁であることが示唆された。また、前述のソフトウェアを用いて描画した分子進化系統樹からも、Bacillus coagulansに最も近縁であることがわかった。しかしながら、このUS-2は、前述の生菌数試験においてコロニーを観察した結果を検討すると、Bacillus coagulansとは異なった形質を示しており、Bacillus coagulansには属するものの、今回新たに発見された菌株であると結論付けられた。
【0055】
次に、US-3ののホモロジー検索の結果と16srRNA遺伝子による分子進化系統樹を図3に示す。
【0056】
図3(a)に示すように、ホモロジー検索の結果、US-3は、99.97%の相同性で、Bacillus coagulansに最も近縁であることが示唆された。また、前述のソフトウェアを用いて描画した分子進化系統樹からも、Bacillus coagulansに最も近縁であることがわかった。しかしながら、このUS-3は、前述の生菌数試験においてコロニーを観察した結果を検討すると、Bacillus coagulansとは異なった形質を示しており、また、US-2とも異なった形質を示すことから、今回新たに発見された菌株であると結論付けられた。
【0057】
次に、US-4のホモロジー検索の結果と16srRNA遺伝子による分子進化系統樹を図4に示す。
【0058】
図4(a)に示すように、ホモロジー検索の結果、US-4は、99.30%の相同性で、Bacillus thermoamylovoransに最も近縁であることが示唆された。また、前述のソフトウェアを用いて描画した分子進化系統樹からも、Bacillus thermoamylovoransに最も近縁であることがわかった。しかしながら、US-4とBacillus thermoamylovoransとは、相同性に差異が認められるため、今回新たに発見したBacillus thermoamylovorans US-4株であるとした結論付けられた。
【0059】
〔2.処理菌を用いた廃棄物の処理方法〕
次に、本実施形態に係る処理菌を用いた廃棄物の処理について説明する。ここでは、一般的な廃棄物の処理装置10により、本実施形態に係る処理菌を用いて、廃棄物と攪拌・発酵させながら処理を行った例を示す。まず、処理装置10の具体的な構成について説明し、その後、処理方法について言及する。
【0060】
(2−1.処理装置の概要)
廃棄物の処理装置10は、図5(a)に示すように、外観視略矩形状の筐体11を有しており、天面部12に設けられた開閉蓋13を開き、内部に処理菌と廃棄物とを投入することにより、廃棄物の処理を行うものである。
【0061】
具体的には、図5(b)に示すように、筐体11の内部には、処理槽14が設けられており、同処理槽14の上部に設けた投入口15より投入される廃棄物や処理菌を貯留可能に構成している。なお、前述の開閉蓋13は、投入口15を閉塞するためのものである。また、以下の説明において、処理槽14に貯留された廃棄物と処理菌との混合物や、廃棄物と処理母材との混合物を単に「混合物」とも言う。
【0062】
処理槽14は、図5(b)にも示すように、断面視略U字状としており、底部に貯留される混合物を攪拌するための攪拌部16がその内部に配設されている。
【0063】
攪拌部16は、処理槽14の内部に回転自在に架設された攪拌軸17と、同攪拌軸17の軸線と直交する方向へ複数立設した撹拌翼18とで構成しており、攪拌軸17の端部にはスプロケット19を同軸状に連結している。
【0064】
このスプロケット19は、図5(a)に示す動力部20内に収容されたモータ(図示せず)に連動連結されており、同モータを駆動することにより、攪拌部16が回動し、処理槽14内の混合物を攪拌するよう構成している。
【0065】
また、筐体11の前面には動力部20に電気的に接続された動力操作盤21が設けられており、使用者がこの動力操作部21を操作することにより、攪拌部16の回動や停止、回動スピードの調整を行うことができるようにしている。
【0066】
また、処理槽14の外周面には、内部に収容した混合物22を加温するためのヒータ23が配設されている。
【0067】
このヒータ23は、筐体11内に配設された加熱電力供給部24に電気的に接続されており、天面部12に配設された温度操作部25の設定に応じた電力をヒータ23へ供給することにより、混合物22を所定の温度に加温可能としている。
【0068】
また、処理槽14の底部には、温度計測手段として機能する熱電対27が配設されている。この熱電対27もまた、加熱電力供給部24に電気的に接続されており、加熱電力供給部24は、混合物の温度に応じた熱電対27からの温度信号を受信して、温度操作部25の設定に近づくようにヒータ23の通電制御を行う。
【0069】
また、処理槽14の上部には、同処理槽14に連通する排気筒26が配設されており、混合物22を加温することにより処理槽14内に充満する水蒸気を処理装置10の外部へ放散するよう構成している。
【0070】
(2−2.廃棄物処理フロー)
次に、上述の構成を有する処理装置10を用いた、廃棄物の処理方法について説明する。廃棄物の処理は、図6に示すフローに従って実現することができる。
【0071】
廃棄物の処理を行うにあたり、まず、処理装置10の処理槽14内に着床材を収容する着床材収容工程を行う(ステップS10)。ここでは、米ぬかと籾殻とを混合して調製した着床材を、攪拌軸17の位置よりも少し浅い位置まで収容した。
【0072】
次に、廃棄物を分解する働きを行う処理菌を投入する処理菌収容工程を行う(ステップS11)。この処理菌の量は、例えば、着床材100容量部に対して10〜20容量部とすることができる。本ステップにより、処理槽14の内部にて処理母材が調製される。
【0073】
次に、処理槽14内部の処理母材を低温で混合する低温馴化工程を行う(ステップS12)。この低温馴化工程は、後述する中温馴化工程や高温馴化工程とともに、処理菌を熱に対して慣れさせるための工程である。本低温馴化工程では、処理槽14内の混合物の温度を30℃〜40℃、より好ましくは、35℃〜37℃とした状態で、3時間〜12時間、より好ましくは4時間〜5時間攪拌を行う。
【0074】
次に、低温馴化工程を経た処理母材を熟成させる熟成工程を行う(ステップS13)。この熟成工程は、加熱と攪拌とを停止状態とし、外気温に応じた温度(好ましくは常温)で1時間〜16時間程度静置する。各馴化工程中にこの熟成工程を挟むことにより、処理菌を休ませて、より円滑に馴化させることが可能となる。この熟成工程は必要に応じて行うことができる。
【0075】
次に、処理母材を中温で混合する中温馴化工程を行う(ステップS14)。本中温馴化工程では、処理槽14内の混合物の温度を45℃〜70℃、より好ましくは、50℃〜60℃とした状態で、1時間〜12時間、より好ましくは4時間〜5時間攪拌を行う。
【0076】
次に、中温馴化工程を経た処理母材を熟成させる熟成工程を再び行う(ステップS15)。この熟成工程は、加熱と攪拌とを停止状態とし、外気温に応じた温度(好ましくは常温)で1時間〜16時間程度静置する。
【0077】
次に、処理母材を高温で混合する高温馴化工程を行う(ステップS16)。本高温馴化工程では、処理槽14内の処理母材の温度を80℃〜100℃、より好ましくは、85℃〜90℃とした状態で、3時間〜12時間、より好ましくは5時間〜6時間攪拌を行う。すなわち、30℃〜40℃の温度帯で3時間〜12時間培養する低温馴化工程と、45℃〜70℃の温度帯で1時間〜12時間培養する中温馴化工程と、80℃〜100℃の温度帯で3時間〜12時間培養する高温馴化工程とを経ることにより、処理菌は80℃〜100℃の温度に馴化される。
【0078】
このようにステップS12〜ステップS16を経た処理母材中の処理菌は、高温での廃棄物処理に適した状態となっており、処理槽14内に廃棄物の投入を行い(ステップS17)、廃棄物と処理母材とが混合された混合物の状態で、廃棄物の処理を開始することが可能となる。
【0079】
この廃棄物投入工程における廃棄物の投入量は、処理母材100容量部に対して25容量部以下、より好ましくは20容量部以下とするのが良い。25容量部を越えると、処理母材に対する廃棄物の量が過剰となり、廃棄物の処理効率が著しく低下するおそれがある。20容量部以下とすることにより、廃棄物を効率的に処理することができる。
【0080】
このような状態で、攪拌部16を駆動させ、温度を80℃〜100℃、より好ましくは、85℃〜90℃とした状態で廃棄物分解工程を行う(ステップS18)。この廃棄物分解工程での処理時間は、特に限定されるものではなく、廃棄物の水分の蒸発と分解が進み、未処理の廃棄物の残骸が目立たなくなれば良い。
【0081】
廃棄物の分解が終了したあとは、再びステップS17に戻り、廃棄物の投入をおこなっても良い。また、廃棄物の処理を一度終了させる場合には、攪拌と温度調整とを停止し、処理槽14を常温に戻す。この際、再び廃棄物の処理を行う場合でも、処理菌は既に80℃〜100℃の温度に馴化されており、再び馴化工程を行う必要はないが、再度、ステップS12から馴化工程を行うようにしても良い。
【0082】
上述してきたように、本実施形態に係る処理菌を使用することにより、廃棄物を効率的に処理することができる。なお、上述してきた各工程のうち、熟成工程や低温・中温馴化工程では、前述の温度帯で発酵を行わせるのが好適であるが、処理菌の発酵熱により自ずと温度が上昇して、この温度帯から外れてしまう場合もある。この場合、加温せずに攪拌するなどして温度を下げてもよいが、そのまま静置しておいても、廃棄物の処理に大きな影響を及ぼすことはないと思われる。むしろ、微生物の自然な発酵に任せた方が好ましい場合もある。すなわち、前述の温度帯は、必ずしも厳密に管理すべきものではなく、各工程での半分程度の時間においてその温度帯に合致していれば良い。
【0083】
(2−3.廃棄物処理例1)
養豚場から排出された豚糞・豚尿を含む廃棄物50Lの処理を、本実施形態に係る混合微生物により行った。処理条件を表3に示す。
【表3】

その結果、廃棄物投入工程で投入した50Lの豚糞・豚尿は、3時間後には処理母材と見分けがつかない程度に分解され、同化していた。また、水分は効率よく蒸発させられ、当初80%あった水分含量は、処理後の処理残渣で約30%となっていた。
【0084】
(2−4.廃棄物処理例2)
養豚場から排出された病死した豚50kgの処理を、本実施形態に係る混合微生物により行った。処理条件を表4に示す。なお、今回の処理は、上述の廃棄物処理例1に引き続き行ったため、着床材収容工程から高温馴化工程を省略して行った。この場合、廃棄物処理例1で生成する処理残渣が処理母材として機能する。
【表4】

その結果、廃棄物投入工程で投入した50kgの豚は、2.5時間後には処理母材と見分けがつかない程度に分解され、同化していた。また、水分は効率よく蒸発させられ、処理後の混合物の水分含量は、処理後の処理残渣で約30%となっていた。
【0085】
このように、上述の混合菌体によれば、従来の処理の至適温度範囲に比して、有機性廃棄物に含まれる水分の蒸散をさらに効率良く行える高い温度帯で、効率の良い有機物分解能を発揮することができる。
【0086】
(2−5.廃棄物処理例3)
次に、牛舎から排出された牛糞の処理を、本実施形態に係る混合菌体により連続的に行った例を示す。本処理例3に示す試験は、国立都城工業高等専門学校の技術支援センターの協力を得て、熟練した技術者により実施されたものであり、後に参照するデータについても、当該センターより提出された報告書から一部抜粋したものである。
【0087】
予め廃棄物の処理に用いていた処理残渣(US-1〜US-4の4菌株を含有)220Lを、図5に示す処理装置10内に処理母材として収容し、同処理装置10を稼働させた状態で、10分毎に2.8Lの牛糞と水分とを投入し続け、合計201.6Lの牛糞の処理を行った。処理の具体的な内容については、図7に示す。なお、本処理例3では、第1回目の牛糞投入から第41回目の牛糞投入まで行った後、日を跨ぐため15時間20分処理を休止し、その後第42回目の牛糞投入から第72回目の牛糞投入を行った。また、投入した牛糞には、約50%の敷き料が含まれていた。敷き料とは、飼育される牛のストレスを軽減するために牛舎の床面に敷設するおがくず等の木質材料である。
【0088】
その結果、第72回目の牛糞投入を行った後に処理装置10内部に残存した処理残渣の量は320Lであり、投入した牛糞は半分に減量された。しかしながら、牛糞には約50%の敷き料が含まれており、木質材料は処理菌により分解されないことから、牛糞を構成する実質的な牛の排泄物は、ほぼ全量分解されたものと考えられた。
【0089】
このように、本実施形態に係る混合菌体及び廃棄物の処理方法によれば、連続処理においても有機性廃棄物に含まれる水分の蒸散を効率良く行うことができ、また、効率良く有機物分解を行って廃棄物の大幅な減容を可能とすることが示された。
【0090】
〔3.処理残渣の肥料としての利用〕
次に、処理残渣を肥料として利用した例について言及する。上述の方法により、混合菌体を廃棄物と混合し、この混合物を80℃以上の温度下で分解処理した際に生じる処理残渣は、栄養分が極めて濃縮された濃厚肥料として利用することができる。
【0091】
使用する作物は、特に限定されるものではなく、草花や野菜類、穀類の栽培に好適に利用できる。以下、処理残渣の肥料としての利用例について述べる。
【0092】
(3−1.草花栽培での利用)
長さ80cm×幅20cm×深さ20cmの3つのプラスチック製プランターにそれぞれパンジー、シバザクラ、チューリップを複数株移植し、第1のプランターには上述の試験で得られた処理残渣、第2のプランターにはホームセンターにて購入した化成肥料を与えて栽培を行った。なお、第3のプランターには施肥を行わなかった。また、処理残渣及び化成肥料は、乾燥状態で同じ重量分施肥した。
【0093】
その結果、第1のプランター及び第2のプランターは、第3のプランターに比して、良好な生育が見られた。また、第1のプランターは、第2のプランターよりも生育がよく、特に、葉数が多く広がっている点が特徴的であった。
【0094】
このように、上述の方法により得られた処理残渣を肥料として使用することにより、草花を良好に育成させることができる。
【0095】
(3−2.野菜栽培での利用)
200cm×90cmに区画された3つの畑にそれぞれレタス、トマト、エダマメを複数株移植し、第1の畑には上述の試験で得られた処理残渣、第2の畑にはホームセンターにて購入した化成肥料を与えて栽培を行った。なお、第3の畑には施肥を行わなかった。また、第1〜第3の各畑は、雨水などにより養分が移動しないようそれぞれ十分な距離が保たれている場所を選択した。また、処理残渣及び化成肥料は、乾燥状態で同じ重量分施肥した。
【0096】
その結果、第1の畑及び第2の畑は、第3の畑に比して、良好な生育が見られた。また、レタスの生育において、第1の畑は、第2の畑よりも生育がよく、特に、葉の巻き数が多いのが特徴的であった。また、第1の畑にて得られたトマトは、第2の畑で得られたトマトに比して赤味が深く、男性3名女性2名による試食の結果、第1の畑で得られたトマトの方が、第2及び第3の畑で得られたトマトに比して食味がよいとの評価が得られた。
【0097】
また、エダマメに関しても同様に、男性3名女性2名による試食の結果、第1の畑で得られたエダマメの方が、第2及び第3の畑で得られたエダマメに比して実が厚く、甘みが多いとの評価が得られた。
【0098】
このように、上述の方法により得られた処理残渣を肥料として使用することにより、草花や野菜などの植物を良好に育成させることができる。
【0099】
特に、本実施形態に係る処理残渣の肥料としての利用の長所は、従来、動物の糞を醗酵肥料に使用したときはその中に混在する、草の種子等を完全に死滅させることができず、肥料して用いたとき雑草を生じさせる原因となっていたが、高温処理によって雑菌、種子等が死滅し、好適な細菌のみが多数存在する栄養分が極めて濃縮された濃厚肥料となる点にある。
【0100】
このような観点からも、本実施形態に係る処理残渣を肥料として利用することは、植物を良好に生育させることができると言える。
【0101】
上述してきたように、本実施形態に係る処理菌によれば、植物性廃棄物、動物性廃棄物、余剰汚泥、糞尿から選ばれる少なくともいずれか1つの廃棄物を80℃以上の温度下で分解する能力を有する特許微生物寄託センターに受託されたバチルス・オレロニウス(Bacillusoleronius)US-1(受託番号NITEP-911)、バチルス・コアグランス(Bacilluscoagulans)US-2(受託番号NITEP-912)、バチルス・コアグランス(Bacilluscoagulans)US-3(受託番号NITEP-913)、バチルス・サーモアミロボランス(Bacillusthermoamylovorans)US-4(受託番号NITEP-914)から選ばれるいずれか1株の菌体又はいずれか2株以上を混合した混合菌体としたため、従来の処理の至適温度範囲に比して、有機性廃棄物に含まれる水分の蒸散をさらに効率良く行える高い温度帯で、効率の良い有機物分解能を発揮することのできる処理菌を提供することができる。
【0102】
最後に、上述した各実施の形態の説明は本発明の一例であり、本発明は上述の実施の形態に限定されることはない。このため、上述した各実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0103】
10 処理装置
11 筐体
12 天面部
13 開閉蓋
14 処理槽
15 投入口
16 攪拌部
17 攪拌軸
18 撹拌翼
19 スプロケット
20 動力部
21 動力操作部
22 混合物
23 ヒータ
24 加熱電力供給部
25 温度操作部
26 排気筒
27 熱電対

【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物性廃棄物、動物性廃棄物、余剰汚泥、糞尿から選ばれる少なくともいずれか1つの廃棄物を80℃以上の温度下で分解する能力を有する特許微生物寄託センターに受託されたバチルス・オレロニウス(Bacillus oleronius)US-1(受託番号NITEP-911)、バチルス・コアグランス(Bacillus coagulans)US-2(受託番号NITEP-912)、バチルス・コアグランス(Bacillus coagulans)US-3(受託番号NITEP-913)、バチルス・サーモアミロボランス(Bacillus thermoamylovorans)US-4(受託番号NITEP-914)から選ばれるいずれか1株の菌体。
【請求項2】
植物性廃棄物、動物性廃棄物、余剰汚泥、糞尿から選ばれる少なくともいずれか1つの廃棄物を80℃以上の温度下で分解する能力を有する特許微生物寄託センターに受託されたバチルス・オレロニウス(Bacillus oleronius)US-1(受託番号NITEP-911)、バチルス・コアグランス(Bacillus coagulans)US-2(受託番号NITEP-912)、バチルス・コアグランス(Bacillus coagulans)US-3(受託番号NITEP-913)、バチルス・サーモアミロボランス(Bacillus thermoamylovorans)US-4(受託番号NITEP-914)から選ばれるいずれか2株以上を混合した混合菌体。
【請求項3】
請求項1に記載の菌体又は請求項2に記載の混合菌体を、植物性廃棄物、動物性廃棄物、余剰汚泥、糞尿から選ばれる少なくともいずれか1つの廃棄物と混合し、同廃棄物を80℃以上の温度下で分解する廃棄物の処理方法。
【請求項4】
前記廃棄物に混合する菌体又は混合菌体は、30℃〜40℃の温度帯で3時間〜12時間培養する低温馴化工程と、45℃〜70℃の温度帯で1時間〜12時間培養する中温馴化工程と、80℃〜100℃の温度帯で3時間〜12時間培養する高温馴化工程とを経ることにより、80℃〜100℃の温度に馴化された菌体又は混合菌体であることを特徴とする請求項3に記載の廃棄物の処理方法。
【請求項5】
請求項1に記載の菌体又は請求項2に記載の混合菌体を、植物性廃棄物、動物性廃棄物、余剰汚泥、糞尿から選ばれる少なくともいずれか1つの廃棄物と混合し、この混合物を80℃以上の温度下で分解処理した際に生じる処理残渣の肥料としての使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−229430(P2011−229430A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−101090(P2010−101090)
【出願日】平成22年4月26日(2010.4.26)
【出願人】(597138601)
【Fターム(参考)】