説明

混合触媒フィルター及びその製造方法

【課題】 多様な気孔サイズを有して触媒の効率を向上できる混合触媒フィルター及びその製造方法を開示する。
【解決手段】 混合触媒フィルターの製造方法は、ナノ繊維を紡糸し、ナノ繊維を熱処理し、ナノ繊維を破砕することによってチップ状に形成し、チップ状のナノ繊維と粒子状の触媒とを混合することによって混合触媒を獲得し、混合触媒を熱処理することを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、触媒の効率を向上できる混合触媒フィルター及びその製造方法を開示する。
【背景技術】
【0002】
触媒は、空気又は水中の汚染物質を除去及び分解する機能を有する。最近は、光触媒を用いて空気を浄化する方法が提案されているが、光触媒は、半導体セラミックの一種であって、光との反応によって触媒としての役割をする。
【0003】
代表的な光触媒としては、二酸化チタン(TiO)が使用される。二酸化チタンは、光が照射されると、紫外線を吸収することによって電子と正孔を発生させるが、このような電子と正孔はそれぞれ強い還元力と酸化力を有している。特に、正孔は、水及び溶存酸素などとの反応によってOHラジカルと活性酸素を生成させ、その結果、前記OHラジカルエネルギーは有機物を構成する各分子の結合エネルギーより高く、簡単に切断して分解可能であるので、空気中の各種有害な化学物質及び悪臭物質を始めとして、空気中の各化学物質の分解・無害化、汚染の分解などの多様な環境浄化に適用されている。
【0004】
しかし、このような触媒は、粒子状に形成されるため気孔のサイズに制限があり、除去対象物質によって急激な効率の差が発生するという問題を有する。
【0005】
また、気孔のサイズが過度に小さいので、触媒層の内部に拡散されていく触媒の速度が非常に低く、悪臭物質の分解が迅速でないという問題を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の一側面は、多様な気孔のサイズを有し、多様な種類のガスを吸入できる混合触媒フィルターの製造方法、及びその製造方法で製造された混合触媒フィルターを提供する。
【0007】
本発明の他の側面は、ナノ繊維、粒子状の触媒及びチップ状の触媒が混合(以下では、「混合触媒」という。)され、内部気孔の分布がランダムかつ多様に構成される混合触媒フィルターの製造方法、及びその製造方法で製造された混合触媒フィルターを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施例に係る混合触媒フィルターの製造方法は、ナノ繊維を紡糸し、前記ナノ繊維を熱処理し、前記ナノ繊維を破砕することによってチップ状に形成し、前記チップ状のナノ繊維と粒子状の触媒とを混合することによって混合触媒を獲得し、前記混合触媒を熱処理することを含む。
【0009】
前記混合触媒をフィルター支持体にコーティングすることをさらに含む。
【0010】
前記粒子状の触媒は、TiO、ZnO、SnO、WO、ZrO又はCdSであることを特徴とする。
【0011】
熱処理過程後の前記混合触媒を再び熱処理することによって不純物を除去し、前記粒子状の触媒を活性化させることをさらに含む。
【0012】
前記ナノ繊維は、溶液紡糸又は溶融紡糸で紡糸されることを特徴とする。
【0013】
前記フィルター支持体は、前記ナノ繊維を担持する物質であって、多孔性母材、ステンレススチール、ガラス板、金属、セラミック、有機重合体、木材及び紙のうちいずれか一つであることを特徴とする。
【0014】
前記粒子状の触媒のサイズは、前記熱処理時間の延長によって増加させることを特徴とする。前記粒子状の触媒のサイズは、前記熱処理時間の短縮によって減少させることを特徴とする。前記粒子状の触媒は、互いに異なるサイズを有し、前記ナノ繊維の表面から外側に行くほど大きいサイズのものが配置されることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の他の実施例に係る混合触媒フィルターの製造方法は、フィルター支持体にナノ繊維を紡糸し、前記ナノ繊維を前記フィルター支持体の内部に浸透させ、前記フィルター支持体の内部に浸透された前記ナノ繊維に粒子状の触媒をコーティングすることによって混合触媒を獲得し、前記混合触媒を熱処理することを含む。
【0016】
前記ナノ繊維を前記フィルター支持体の内部に浸透させることは、ウォータージェット又はエアジェットを使用して行うことを特徴とする。
【0017】
前記粒子状の触媒のサイズは、熱処理時間の調節によって制御することを特徴とする。前記粒子状の触媒は、互いに異なるサイズを有し、前記ナノ繊維の表面から外側に行くほど大きいサイズのものが配置されることを特徴とする。
【0018】
本発明の他の実施例に係る混合触媒フィルターは、ナノ繊維と、前記ナノ繊維に吸着される粒子状の触媒とを含むことを特徴とする。前記ナノ繊維は、単繊維又はチップ状の触媒であることを特徴とする。
【0019】
前記粒子状の触媒のサイズは、熱処理時間の調節によって制御することを特徴とする。前記粒子状の触媒は、互いに異なるサイズを有し、前記ナノ繊維の表面から外側に行くほど大きいサイズのものが配置されることを特徴とする。
【0020】
また、本発明の他の実施例に係る混合触媒フィルターは、フィルター支持体と、前記フィルター支持体に吸着される互いに異なるサイズを有する粒子状の触媒とを含み、前記粒子状の触媒はTiOであることを特徴とする。
【0021】
前記粒子状の触媒のサイズは、熱処理時間の調節によって制御し、前記フィルター支持体の表面から外側に行くほど大きいサイズのものが配置されることを特徴とする。また、前記粒子状の触媒は、別途のバインディングなしに製造されることを特徴とする。
【0022】
本発明の他の実施例に係る空気調和機は、少なくとも一つの吸入口を有する本体と;前記本体の内部に設置されて外部空気を吸入する送風装置と;前記送風装置を通して吸入する空気を浄化するために、ナノ繊維と、前記ナノ繊維に吸着される互いに異なるサイズを有する粒子状の触媒とを含む混合触媒フィルターと;を含むことを特徴とする。
【0023】
また、前記粒子状の触媒は、前記ナノ繊維の表面から外側に行くほど大きいサイズのものが配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明の実施例によると、多様な気孔サイズを形成することによって多様なガスを吸入することができ、高い浄化効率を得ることができる。
【0025】
また、多様な気孔サイズによってガス拡散速度を向上させ、ガス吸着速度を改善することによって、脱臭性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施例に係る混合触媒フィルターを概略的に示した図である。
【図2】図1の「A」部分の拡大図である。
【図3A】本発明の一実施例に係る混合触媒フィルターの製造方法を概略的に示した図である。
【図3B】本発明の一実施例に係る混合触媒フィルターの製造方法を概略的に示した図である。
【図3C】本発明の一実施例に係る混合触媒フィルターの製造方法を概略的に示した図である。
【図3D】本発明の一実施例に係る混合触媒フィルターの製造方法を概略的に示した図である。
【図3E】本発明の一実施例に係る混合触媒フィルターの製造方法を概略的に示した図である。
【図3F】本発明の一実施例に係る混合触媒フィルターの製造方法を概略的に示した図である。
【図4A】本発明の他の実施例に係る混合触媒フィルターの製造方法を概略的に示した図である。
【図4B】本発明の他の実施例に係る混合触媒フィルターの製造方法を概略的に示した図である。
【図4C】本発明の他の実施例に係る混合触媒フィルターの製造方法を概略的に示した図である。
【図4D】本発明の他の実施例に係る混合触媒フィルターの製造方法を概略的に示した図である。
【図4E】本発明の他の実施例に係る混合触媒フィルターの製造方法を概略的に示した図である。
【図5】本発明の他の実施例に係る混合触媒フィルターを概略的に示した図である。
【図6】本発明の他の実施例に係る混合触媒フィルターを概略的に示した図である。
【図7A】本発明の他の実施例に係る混合触媒フィルターの製造方法を概略的に示した図である。
【図7B】本発明の他の実施例に係る混合触媒フィルターの製造方法を概略的に示した図である。
【図7C】本発明の他の実施例に係る混合触媒フィルターの製造方法を概略的に示した図である。
【図7D】本発明の他の実施例に係る混合触媒フィルターの製造方法を概略的に示した図である。
【図8】本発明の実施例に係る混合触媒フィルターが装着された空気調和機を概略的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下では、本発明に係る各実施例を添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0028】
図1〜図2に示したように、混合触媒1は、複数のナノ繊維2と、複数の粒子状の触媒3とを含む。
【0029】
ナノ繊維2は、直径が数十〜数百ナノメートル(nm)に過ぎない超極細繊維であって、体積に比べて表面積が大きいためフィルターとして使用される。
【0030】
しかし、ナノ繊維2のみからなる構造層は、フィルターの抵抗が非常に大きく、直径が大きいため、光透過性能が急激に減少し、光分解効率が低下するという問題を有する。
【0031】
粒子状の触媒3は、光触媒半導体であって、例えば、TiO、ZnO、SnO、WO、ZrO、CdSなどを含む。これらのうち、二酸化チタン(Titan、TiO、アナターゼ型)が使用される。
【0032】
二酸化チタン光触媒は、n型半導体であって、光が照射されるとき、紫外線を吸収することによって電子と正孔を発生させるが、これら電子と正孔はそれぞれ強い還元力と酸化力を有している。
【0033】
特に、正孔は水及び溶存酸素などとの反応によってOHラジカルと活性酸素を生成させ、その結果、前記OHラジカルエネルギーは、有機物を構成する各分子の結合エネルギーより高く、簡単に切断して分解可能であるので、空気中の各種有害な化学物質及び悪臭物質を始めとして、空気中の各化学物質の分解・無害化、汚染の分解などの多様な環境浄化に適用されている。
【0034】
このような原理に基づいて、空気中の汚染物質を分解させて無害な水と炭酸ガスに変化させる。二酸化チタン光触媒は、n型半導体の機能を用いるので、半導体光触媒と称することもできる。
【0035】
しかし、粒子状の触媒3は、直径が数〜数十ナノメートルとして結晶サイズが過度に小さく、気孔のサイズが小さいので、触媒層の内部へのガスの拡散速度が低い。また、粒子状の触媒3は、気孔のサイズが小さいので、除去対象物質によって効率の差が発生するという問題を有する。
【0036】
したがって、本発明の一実施例は、多様な気孔サイズを有するようにナノ繊維2と粒子状の触媒3とが混合された混合触媒1を含む混合触媒フィルター1'及びその製造方法を開示する。
【0037】
混合触媒1は、ナノ繊維2の表面に粒子状の触媒3が吸着される構造を有する。数十〜数百ナノメートルの結晶サイズを有するナノ繊維2と数〜数十ナノメートルの結晶サイズを有する粒子状の触媒3との混合によって多様な気孔サイズを形成することができ、多様な汚染ガスを除去することができる。
【0038】
図3A〜図3Fに示したように、本発明の一実施例に係る混合触媒1の製造方法は、1)ナノ繊維を紡糸し、2)前記ナノ繊維を熱処理し、3)前記ナノ繊維を破砕することによってチップ状に形成し、4)前記チップ状のナノ繊維と粒子状の触媒とを混合することによって混合触媒を獲得し、5)前記混合触媒を熱処理することを含む。
【0039】
まず、ナノ繊維2が分散されないようにコンベヤーベルト11上にナノ繊維2を紡糸する(図3A)。
【0040】
このとき、紡糸は、スピナー10で溶液紡糸又は溶融紡糸を行うことが望ましい。
【0041】
紡糸されたナノ繊維2は、ヒーター12で熱処理された後、破砕機13によってチップ状に破砕される(図3B、図3C)。熱処理されたナノ繊維2は、水分が除去されて乾燥状態のチップ状に変化する。チップ状に破砕されたナノ繊維2は、粒子状の触媒3と混合されて熱処理されることによって混合触媒1を形成する。
【0042】
このように形成された混合触媒1は、フィルター支持体20にコーティングされ、混合触媒フィルター1'を形成することができる。
【0043】
このとき、フィルター支持体20は、ナノ繊維2を担持する物質であって、多孔性母材、ステンレススチール、ガラス板、金属、セラミック、有機重合体、木材及び紙のうちいずれか一つであることが望ましい。
【0044】
また、熱処理過程で得た混合触媒1を再び熱処理することによって混合触媒1内の不純物を除去し、粒子状の触媒3を活性化させることをさらに含むことができる。
【0045】
熱処理過程後、粒子状の触媒3の内部はアナターゼ構造に、外部はルチル又はブルッカイト構造に変化させることができる。
【0046】
アナターゼ及びルチル型の粒子状の触媒は、結晶構造と屈折率によって差があるが、光触媒としての機能を行える二酸化チタンである。アナターゼは、正方晶系に属しながら鋭い錐状、時には板状の結晶型を示す。
【0047】
また、ルチルは、正方晶系に属しながら棒状又は針状の結晶型を示す。
【0048】
また、ブルッカイトは、板状、稀には錐状の結晶型を示す。
【0049】
このような粒子状の触媒3は、アナターゼ構造のみを使用するよりは、ルチル構造などの他の構造をアナターゼと混合して使用することが望ましい。
【0050】
光触媒、すなわち、二酸化チタンは、光が照射されると電子と正孔とに分離されるが、正孔から分離された電子は、正孔に再び結合される。このとき、再結合が遅延されるほどOHラジカルの量が増加する。その理由は、OHラジカルが正孔から生成されるので、正孔が再び電子によって占有されると、OHラジカルの生成が中断されるためである。
【0051】
このようにルチル構造がアナターゼ構造と接触していると、アナターゼ正孔から分離された電子をルチル構造が受け、アナターゼ正孔の存在時間を延長させるようになる。
【0052】
したがって、OHラジカルの量が増加するほど、空気中の各種有害な化学物質及び悪臭物質を始めとする多様な化学物質の分解、汚染源の分解などが活発に行われる。結果的に、粒子状の触媒3は、100%のアナターゼ構造で形成する場合に比べて、ルチルなどの他の構造とアナターゼとを混合したときに約20%高い効率を示すことができる。
【0053】
粒子状の触媒3のサイズ(直径)は、ヒーター12の熱処理時間を調節することによって制御することができる。すなわち、粒子状の触媒3のサイズは、熱処理時間の短縮によって減少させることもでき、その反対に、熱処理時間の延長によって増加させることもできる。
【0054】
このとき、粒子状の触媒3の熱処理時間を増加させると、各粒子間の再結合が行われるので、そのサイズが大きくなる。粒子状の触媒3のサイズは、400℃の温度で時間を1時間、2時間、4時間に変更して測定し、その結果を下記の表1に示した。
【0055】
【表1】

前記表1に示すように、粒子状の触媒3は、互いに異なるサイズを有することができ、このように互いに異なるサイズを有する粒子状の触媒3をナノ繊維2と混合し、混合触媒1を形成することもできる。
【0056】
粒子状の触媒3がナノ繊維2の表面に吸着されるとき、互いに異なるサイズを有する粒子状の触媒3は、ナノ繊維2の表面から外側に行くほど大きいサイズのものが配置されることが望ましい。
【0057】
例えば、粒子状の触媒3は、5nm(3a)、8nm(3b)、25nm(3c)などの多様なサイズを有し、ナノ繊維2の表面から外側方向に5nm(3a)、8nm(3b)、25nm(3c)の順に配置される(図5)。
【0058】
このように互いに異なるサイズを有する粒子状の触媒3とナノ繊維2が混合触媒1を形成すると、気孔のサイズが多様になる。その結果、多様な種類のガスを除去することができ、触媒層内部への臭いの拡散速度が向上し、清浄効率を向上できるようになる。
【0059】
図4A〜図4Eに示したように、本発明の他の実施例に係る混合触媒フィルター1'の製造方法は、1)フィルター支持体にナノ繊維を紡糸し、2)前記ナノ繊維を前記フィルター支持体の内部に浸透させ、3)前記フィルター支持体の内部に浸透された前記ナノ繊維に粒子状の触媒をコーティングすることによって混合触媒を獲得し、4)前記混合触媒を熱処理することを含む。
【0060】
フィルター支持体20は、ナノ繊維2が分散されないようにナノ繊維2を担持する物質であって、多孔性母材、ステンレススチール、ガラス板、金属、セラミック、有機重合体、木材及び紙のうちいずれか一つを含むことが望ましい。フィルター支持体20に紡糸されたナノ繊維2をフィルター支持体20の内部に浸透させた後、粒子状の触媒3をコーティングすることによって混合触媒1を得る(図4D)。
【0061】
ナノ繊維2をフィルター支持体20の内部に浸透させることは、ウォータージェット15又はエアジェット、又はエアブローイングを用いて行うことが望ましい。
【0062】
紡糸されたナノ繊維2にウォータージェット又はエアジェットを用いてウォーター又はエアを高圧で噴射することによってナノ繊維2を切断し、ナノ繊維2をフィルター支持体20の内部に浸透させる(図4C)。このとき、ナノ繊維2は、単繊維又はチップ状の触媒であることが望ましい。
【0063】
このように得られたフィルター支持体20、ナノ繊維2及び粒子状の触媒3を含む混合触媒をヒーター12で熱処理することによって粒子状の触媒3を活性化させる(図4E)。
【0064】
このとき、粒子状の触媒3のサイズ(直径)は、熱処理時間の調節によって制御できるが、粒子状の触媒3の粒子サイズを変更させるための内容は、表1及び前記実施例の説明と同一であるので、それについての具体的な説明は省略する。
【0065】
したがって、図5に示したように、多様なサイズの粒子状の触媒3を混合触媒フィルターの製造に適用することによって多様な気孔サイズを形成することができ、多様なガスを除去可能であり、浄化効果を向上させることができる。
【0066】
図6に示したように、本発明の他の実施例に係る混合触媒フィルター1'は、フィルター支持体20と、フィルター支持体20に吸着される多様なサイズを有する複数の粒子状の触媒3とを含む。
【0067】
粒子状の触媒3は、TiO、ZnO、SnO、WO、ZrO又はCdSであることが望ましく、一般的にはTiOが使用される。
【0068】
このとき、粒子状の触媒3のサイズ(直径)は、熱処理時間の調節によって制御できるが、粒子状の触媒3の粒子サイズを変更させるための内容は、表1及び前記実施例の説明と同一であるので、それについての具体的な説明は省略する。
【0069】
このとき、フィルター支持体20の表面に吸着される粒子状の触媒3は、フィルター支持体20の表面から外側方向に行くほど大きいサイズのものが配置される。
【0070】
例えば、粒子状の触媒3は、5nm(3a)、8nm(3b)、25nm(3c)などの多様なサイズを有し、フィルター支持体20の表面から外側方向に5nm(3a)、8nm(3b)、25nm(3c)の順に配置される。
【0071】
したがって、粒子状の触媒層の内部にはナノメートル(nm)単位の粒子状の触媒3が配置され、吸着容量を向上させることができる。
【0072】
また、多様なサイズを有する気孔が順次形成されることによって、多様なガスの種類を除去することができる。
【0073】
図7A〜図7Dに示したように、本発明の他の実施例に係る混合触媒フィルター1'の製造方法は、1)水に多様なサイズを有する粒子状の触媒を分散することによって前記粒子状の触媒を引力によって凝集させ、2)凝集された前記粒子状の触媒を熱処理した後、破砕することによってフィルター支持体にコーティングすることを含む。
【0074】
溶媒又は別途のPH変化を誘導していない純粋な水(W)に粒子状の触媒3a、3b、3c(以下、3)を注入すると、分散された粒子状の触媒3が引力によって凝集される。
【0075】
粒子状の触媒3は、沈澱法、浸漬法、水熱合成、ゾルゲル、プラズマ又はスプレー方法によって凝集され、少なくとも2つ以上の工程条件及び工程時間を適用することによってフィルター支持体20に適用される。
【0076】
凝集された粒子状の触媒3は、特定に規定できない多様な形状を有する(図7A)。凝集された粒子状の触媒3は、ヒーター12で熱処理された後、特定サイズに破砕される。
【0077】
このとき、破砕された粒子状の触媒3は、同一の体積を有する場合にもそれぞれ異なる形状を有する。これは、粒子状の触媒3の凝集が特定の規則にしたがって行われないためである。
【0078】
特定サイズに破砕された粒子状の触媒3は、フィルター支持体20にコーティングされる。したがって、フィルター支持体20には、それぞれ異なるサイズを有する粒子状の触媒3が多様な形状で吸着され、多様な気孔サイズを有し、その結果、多様なガスを除去することができる。
【0079】
図8に示したように、本発明の実施例に係る空気調和機100は、吸入口102が形成される本体101と、本体101の内部に配置される送風装置110と、送風装置110を通して流入する空気を浄化するためのフィルター120とを含む。
【0080】
吸入口102は、本体101に設けられ、室内空間からの空気の吸入を可能にする。また、吐出口103は、本体101の上部に設けられ、本体101を通過した空気の室内空間への吐出を可能にする。吸入口102の内側には、本体101内に吸入する空気中の異物をろ過するためのフィルター120が設置される。
【0081】
フィルター120は、本発明の実施例の多様な気孔サイズを有するようにナノ繊維2と粒子状の触媒3とが混合された混合触媒1を含む混合触媒フィルター1'及びその製造方法によって製造される。混合触媒フィルター1'及びその製造方法は前記各実施例と同一であるので、それについての具体的な説明は省略する。
【0082】
したがって、このような混合触媒フィルター1'が装着された空気調和機は、多様な気孔サイズを有する混合触媒フィルター1'によって多様なガスを除去することができ、優れた空気浄化効果を有することができる。
【符号の説明】
【0083】
1 混合触媒
1’ 混合触媒フィルター
2 ナノ繊維
3 粒子状の触媒
20 フィルター支持体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナノ繊維を紡糸し、
前記ナノ繊維を熱処理し、
前記ナノ繊維を破砕することによってチップ状に形成し、
前記チップ状のナノ繊維と粒子状の触媒とを混合することによって混合触媒を獲得し、
前記混合触媒を熱処理することを含む混合触媒フィルターの製造方法。
【請求項2】
前記混合触媒をフィルター支持体にコーティングすることをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の混合触媒フィルターの製造方法。
【請求項3】
前記粒子状の触媒は、TiO、ZnO、SnO、WO、ZrO又はCdSであることを特徴とする、請求項1に記載の混合触媒フィルターの製造方法。
【請求項4】
熱処理過程後の前記混合触媒を再び熱処理することによって不純物を除去し、前記粒子状の触媒を活性化させることをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の混合触媒フィルターの製造方法。
【請求項5】
前記ナノ繊維は、溶液紡糸又は溶融紡糸によって紡糸されることを特徴とする、請求項1に記載の混合触媒フィルターの製造方法。
【請求項6】
前記フィルター支持体は、前記ナノ繊維を担持する物質であって、多孔性母材、ステンレススチール、ガラス板、金属、セラミック、有機重合体、木材及び紙のうちいずれか一つであることを特徴とする、請求項2に記載の混合触媒フィルターの製造方法。
【請求項7】
前記粒子状の触媒のサイズは、前記熱処理時間の延長によって増加させることを特徴とする、請求項1に記載の混合触媒フィルターの製造方法。
【請求項8】
前記粒子状の触媒のサイズは、前記熱処理時間の短縮によって減少させることを特徴とする、請求項1に記載の混合触媒フィルターの製造方法。
【請求項9】
前記粒子状の触媒は、互いに異なるサイズを有し、前記ナノ繊維の表面から外側に行くほど大きいサイズのものが配置されることを特徴とする、請求項7又は8に記載の混合触媒フィルターの製造方法。
【請求項10】
フィルター支持体にナノ繊維を紡糸し、
前記ナノ繊維を前記フィルター支持体の内部に浸透させ、
前記フィルター支持体の内部に浸透された前記ナノ繊維に粒子状の触媒をコーティングすることによって混合触媒を獲得し、
前記混合触媒を熱処理することを含む混合触媒フィルターの製造方法。
【請求項11】
前記ナノ繊維を前記フィルター支持体の内部に浸透させることは、ウォータージェット又はエアジェットで行うことを特徴とする、請求項10に記載の混合触媒フィルターの製造方法。
【請求項12】
前記粒子状の触媒のサイズは、熱処理時間の調節によって制御することを特徴とする、請求項10に記載の混合触媒フィルターの製造方法。
【請求項13】
前記粒子状の触媒は、互いに異なるサイズを有し、前記ナノ繊維の表面から外側に行くほど大きいサイズのものが配置されることを特徴とする、請求項12に記載の混合触媒フィルターの製造方法。
【請求項14】
ナノ繊維と、
前記ナノ繊維に吸着される互いに異なるサイズを有する粒子状の触媒と、を含むことを特徴とする混合触媒フィルター。
【請求項15】
前記ナノ繊維は、単繊維又はチップ状の触媒であることを特徴とする、請求項14に記載の混合触媒フィルター。
【請求項16】
前記粒子状の触媒のサイズは、熱処理時間の調節によって制御することを特徴とする、請求項14に記載の混合触媒フィルター。
【請求項17】
前記粒子状の触媒は、互いに異なるサイズを有し、前記ナノ繊維の表面から外側に行くほど大きいサイズのものが配置されることを特徴とする、請求項15に記載の混合触媒フィルター。
【請求項18】
フィルター支持体と、
前記フィルター支持体に吸着される互いに異なるサイズを有する粒子状の触媒と、を含み、
前記粒子状の触媒はTiOであることを特徴とする混合触媒フィルター。
【請求項19】
前記粒子状の触媒のサイズは、熱処理時間の調節によって制御し、
前記フィルター支持体の表面から外側に行くほど大きいサイズのものが配置されることを特徴とする、請求項18に記載の混合触媒フィルター。
【請求項20】
前記粒子状の触媒は別途のバインディングなしに製造されることを特徴とする、請求項18に記載の混合触媒フィルター。
【請求項21】
少なくとも一つの吸入口を有する本体と;
前記本体の内部に設置されて外部空気を吸入する送風装置と;
前記送風装置を通して吸入する空気を浄化するために、ナノ繊維と、前記ナノ繊維に吸着される互いに異なるサイズを有する粒子状の触媒と、を含む混合触媒フィルターと;を含むことを特徴とする空気調和機。
【請求項22】
前記粒子状の触媒は、前記ナノ繊維の表面から外側に行くほど大きいサイズのものが配置されることを特徴とする、請求項21に記載の空気調和機。
【請求項23】
前記粒子状の触媒は、溶媒又は純粋な水に引力によって凝集されることを特徴とする、請求項1に記載の混合触媒フィルターの製造方法。
【請求項24】
前記粒子状の触媒は、沈澱法、浸漬法、水熱合成、ゾルゲル、プラズマ、スプレー方法のうち少なくとも一つによって凝集されることを特徴とする、請求項23に記載の混合触媒フィルターの製造方法。
【請求項25】
前記粒子状の触媒は、少なくとも2つ以上の工程条件及び工程時間を適用することによって前記フィルター支持体に適用されることを特徴とする、請求項2に記載の混合触媒フィルターの製造方法。
【請求項26】
前記粒子状の触媒は、溶媒又は純粋な水に引力によって凝集されることを特徴とする、請求項10に記載の混合触媒フィルターの製造方法。
【請求項27】
前記粒子状の触媒は、沈澱法、浸漬法、水熱合成、ゾルゲル、プラズマ、スプレー方法のうち少なくとも一つによって凝集されることを特徴とする、請求項26に記載の混合触媒フィルターの製造方法。
【請求項28】
前記粒子状の触媒は、少なくとも2つ以上の工程条件及び工程時間を適用することによって前記フィルター支持体に適用されることを特徴とする、請求項10に記載の混合触媒フィルターの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図3F】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図4E】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−245515(P2012−245515A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−118857(P2012−118857)
【出願日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung−ro,Yeongtong−gu,Suwon−si,Gyeonggi−do,Republic of Korea
【Fターム(参考)】