説明

混合配位子アルミニウムキレート発色体

【構成】 次式の、(Rs −Q)2−Al−O−Lを含むアルミニウムキレートからなるブルー放出性発光組成物(上式中、Qは各場合に応じて置換8−キノリノラート配位子を表し、Rs はアルミニウム原子に対する2を越える置換8−キノリノラート配位子の結合を立体的に阻害するように選ばれた8−キノリノラート環置換基を表し、O−Lはフェノラート配位子であり、Lはフェニル部分を含む炭素6〜24個の炭化水素である)
【効果】 フェノラート配位子の存在がスペクトルのブルー域へ発光を移動させる。ペンタ炭素環状の芳香族蛍光色素を組み入れることによりさらに短いブルー波長へ発光を移動できる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は混合配位子アルミニウムキレートを含んでなる発光組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】通常、発光材料または発光体と称されている励起により光りを放出しうる材料は、多種多様な分野で使用できる。ある分野では、紫外線の吸収および可視光の放出に発光体を用いることができる。他の分野では、多様な輻射線誘導源、例えばαもしくはβ粒子、γ線またはX線の一つを用いることができる。エレクトロルミネセンスと称されるようなさらに別の分野では、正孔−電子対の再結合が発光(ルミネセンス)用の誘導エネルギー源を供給できる。
【0003】多くの発光体の用途分野にとって、薄い(<1μm)フィルム発光体に対するニーズが存在する。堆積用の環境は溶液よりの塗布に適さないことがよくある。従って、多くの用途で発光体は蒸気相から薄いフィルムとして堆積できるものでなければならない。蒸着法は、均一性と形成速度の点でフィルム厚を十分に制御できる利点がある。蒸着には発光体だけが必要とされるにすぎないので、非常に高純度のフィルムが形成できる。蒸着に必要な環境下で薄いフィルムの構成に使用される発光体の具体例は、米国特許第4,539,507号、同4,769,292号、同4,720,432号、同4,885,211号および同4,950,950号明細書に記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】過去数年間行われてきた一連の研究を通して、蒸着できそして高水準のルミネセンス効率と安定性を示す好適なグリーン放出性発光体はアルミニウムトリソキシン類〔別名、トリス(キノリノレート)アルミニウム(III)キレート類〕であることが判明してきた。残念ながら、これらのキレート類はグリーン放出性発光体であって、かなりの品質を示すブルー放出性発光体の技術分野で必要な要件を満足しない。
【0005】本発明の目的は、ブルー放出性で、蒸着できる新規発光組成物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、下記式で示されるアルミニウムキレートを含んでなるブルー放出性発光組成物に向けられる。
(Rs −Q)2−Al−O−L上式中、Qは各場合に応じて置換8−キノリノラート配位子を表し、Rs はアルミニウム原子に対する2を越える置換8−キノリノラート配位子の結合を立体的に阻害するように選ばれた8−キノリノラート環置換基を表し、O−Lはフェノラート配位子であり、そしてLはフェニル部分を含む炭素6〜24個の炭化水素である。
【0007】もう一つの態様では、本発明は、さらに蛍光色素を含むことを特徴とする前述の組成物に向けられる。
【0008】
【好ましい態様の記述】本発明はブルー放出性で蒸着可能な新規発光組成物に関する。この組成物は、発光層として有機ELデバイスに組み込むためのルミネセンス特性、蒸着特性、安定性およびエレクトロルミネセンス効率の点で都合がよい。
【0009】用語「ブルー放出性」と「グリーン放出性」は十分な理解が容易でありそして殆どの例と同一であるが、純粋なブルーから純粋なグリーンにわたる色相の連続スペクトルが存在するので、定量的な基準は正確な記述が必要である。この定量的基準は、1931 C.I.E.色度図で提供される。この1931 C.I.E.色度図は、可視スペクトル内の色相を定量化する手法として広く認められている。この1931 C.I.E.色度図の十分な説明は、WyszeckiとStilesの、Color Science,Concepts andMethods:Quantitative Data and Formulae、第2版、第3章(Colorimetry,Wiley)1982、117〜143ぺージに記載されており、そしてより簡潔な説明は、The Theory of the Photographic Process、第4版、(Macmillan)1977、第19章、II、B.Colorimetry、563〜565ページに記載されている。
【0010】380nm〜770nmの間にある十分に飽和した単色色相は、可視スペクトルの飽和境界を特定する曲線を形成する。その曲線の境界内に入る色相はある程度脱飽和されており、それらがより白色傾向をおびることを意味する。x軸とy軸は各可視色相を正確に位置付けするための記述子として使用される。
【0011】本明細書で使用される語「ブルー放出性」とは、430nmから499.2nmまでそしてD.C.BおよびAに到り、そして430nmにもどる点により囲まれる色度図中の領域を意味する。460nmから480nmまでそしてCからBに到り、460nmにもどる領域は、肉眼で青色であるものとして知覚される。430nmから460nmまでそしてBからAに到り、そして430nmにもどる領域は、肉眼で青がかった紫色であるものとして知覚される。480nmから499.2nmまでそしてDからCに到り、そして480nmにもどる領域は、肉眼で緑がかった青または青がかった緑色であるものとして知覚される。A.B.CおよびD点の右側の領域は、視覚がほとんど白色の色相であるように色相が脱飽和されているので省略した。
【0012】本明細書で使用される語「グリーン放出性」とは、色度図の499.2nmから576nmまでそしてEからDを通して499.2nmにもどる点によって囲まれた領域を意味する。スペクトルのこの領域内は、従来のグリーン放出性有機ELデバイスが発光する領域である。499.2とDによって限定される境界の右側では観察される色相は緑であるが、576とEによって限定される境界の左側では観察される色相は黄緑である。
【0013】ブルー放出性発光組成物は、混合配位子キレート、具体的には、ビス(Rs −8−キノリノラート)(フェノラート)アルミニウム(III)キレート(ここで、Rs はアルミニウム原子に対する2を越える8−キノリノラート配位子の結合を阻害するように選ばれた8−キノリノラート環核の環置換基である)を含んでなる。
【0014】これらの化合物は次式(I)によって示すことができる。
(Rs −Q)2−Al−O−L (I)
上式中、Qは各場合に応じて置換8−キノリノラート配位子を表し、Rs はアルミニウム原子に対する2を越える8−キノリノラート配位子の結合を立体的に阻害するように選ばれた8−キノリノラート環置換基を表し、O−Lはフェノラート配位子であり、そしてLはフェノール部分を含む炭素6〜24個の炭化水素である。
【0015】蒸着が有機ELデバイスに連続する有機層の構成にとって好ましい。蒸着は十分制御された厚さと均一性を有する非常に薄い層が堆積することを可能にする。正孔放出および輸送帯である堆積基体の性能を消去、汚染または破壊する可能性がある溶剤や他の余分な材料をその堆積基体と接触する必要がない。さらに蒸着には、堆積速度を制御できそしてデバイス構造の自由度と広範な適合性を可能にする利点がある。
【0016】フェノラート配位子の存在は、発光のブルースペクトル部への移動に応答可能にする。本明細書で使用される「フェノラート配位子」の語は、フェノールの脱水素化水酸基を介してアルミニウム原子に結合した配位子を意味するように、当該技術分野で認められた用法で使用されている。
【0017】最も簡単な形状のフェノラート配位子はヒドロキシベンゼンの脱水素化によって提供できる。紫外誘導は500nmより短い波長でピーク発光が認められうることを示す。有機ELデバイスでの試験は、許容できる安定性(50時間以上初期発光強度の少なくとも半分が保持されること)が認められている。
【0018】性能を改善する試みに際して置換フェノール類が研究された。メトキシおよびジメトキシ置換フェノラート配位子が、比較的弱い発光強度を示すことが観察された。メトキシ置換基は電子供与性であるのでハロ、シアノおよびα−ハロアルキル置換基のような電子吸引性置換基を有するフェノール類も研究された。これらの配位子を有するアルミニウムキレートは発光体ではあるが、十分な気相転換性を示さなかった。
【0019】下記例で具体的に示すようなさらなる研究から、式(I)のアルミニウムキレートにとって好ましいフェノラート配位子はHO−Lフェノール類(ここで、Lはフェノール部分を含む炭素6〜24個の炭化水素である)から誘導されるものと決定された。これはヒドロキシベンゼンだけでなく、各種の炭化水素で置換されたヒドロキシベンゼン類、ヒドロキシナフタレン類および他の縮合環炭化水素類をも含む。フェニル部分のモノメチル置換は発光波長を短くするので、フェノラート配位子は少なくとも7個の炭素を含むことが好ましい。一般に、非常に多数の炭素を有するフェノラート配位子を使用することにより得られる利点は少ない。しかしながら、18個の芳香族環炭素を有するフェノラート配位子の研究が高水準の安定性を示した。従って、総炭素7〜18個を含むフェノラート配位子が好ましい。
【0020】フェノラート配位子のフェニル部分の脂肪族置換基は、それぞれ1〜12個の炭素を含むことが予期されている。炭素1〜3個のフェニル部分のアルキル置換基が特に好ましく、メチル置換基を有するものが最も優れた総合的な特性を示すことが観察されてきた。
【0021】フェニル部分の芳香族炭化水素置換基としては、フェニル環またはナフチル環が好ましい。フェニル部分のフェニル、ジフェニルおよびトリフェニル置換基のすべてが非常に望ましい有機ELデバイス特性を提供することが観察された。
【0022】αもしくはβナフトール由来のフェノラート配位子が、特異的な水準の安定性を示すアルミニウムキレートを提供することが観察された。短波長への発光の制限された移動度が、ヒドロキシベンゼン誘導フェノラート配位子によって示されるのと同様に認められた。後述するブルー放出性蛍光色素と組み合わされたナフトラート配位子含有アルミニウムキレートを使用することによって、非常に望ましいデバイス構造物が可能になる。
【0023】各種フェノラート配位子のオルト、メタおよびパラ置換同族体の比較から、炭化水素置換基によって占められるフェニル環部分の位置に起因する性能上の差違は存在するとしても少ないことが判明した。
【0024】下記式(II)を満足するアルミニウムキレート類が好ましいものである。
【0025】
【化1】


【0026】上式中、QおよびRs は前記定義のとおりであり、そしてL1 ,L2 ,L3 ,L4 およびL5 は、全体で炭素12個以下であり、そしてそれぞれ独立して、水素原子または炭素1〜12個の炭化水素基であるが、L1とL2 またはL2 とL3 は一緒になって縮合ベンゾ環を形成してもよい。
【0027】8−キノリノラート環のいずれかもしくは両者とも立体的に阻害されている置換基を含みうるが、それらの環のさらなる置換基は不要である。環当り1を越える置換基は立体的な阻害に寄与できることも認識されている。各種の立体的に阻害されている置換基の可能なものは、下記式(III)を参照すれば容易に理解される。
【0028】
【化2】


【0029】上式中、Lは前記のいずれかの形状をとることができ、そしてR2 〜R7 は8−キノリノラート環を含む環の2位〜7位の各々において置換可能な基を表す。環の4位、5位および6位の置換基は、単一アルミニウム原子に対する3個の8−キノリノラート核の結合を立体的に阻害するように配置されないことが好ましい。環の3位または7位における大きな置換基は十分な立体障害を提供できることが予期されているが、嵩高い置換基は分子の性能を高めることなく分子量を実質的に増大するので総合的な性能を損ねる。他方、環の2位は立体障害を提供するのに適しており、環のこれらの位置の1つの非常に小さな置換基(例えば、メチル基)でさえも有効な立体阻害性置換基を提供する。合成の便宜上、立体阻害性置換基は環の2位に配置することが特に好ましい。本明細書で使用する「立体阻害性」の語は、Rs −Q配位子がアルミニウム原子の第三の配位子として含まれるための競争を不可能にすることを示すように使用されている。
【0030】フェノラート配位子はブルー発光を得るのに主として予定されているが、8−キノリノラート環の置換基も有用な色相移動機能を奏することが観察された。このキノリン環は、縮合ベンゾ環とピリド環からなる。キノリン環のピリド成分が1個以上の電子供与性置換基で置換されている場合には、発光の色相を短波長に移動する効果がある。すなわち、発光はスペクトルのグリーン域からより主要なブルー域に移動される。ピリド環のオルトおよびパラ位(すなわちキノリン環の2位および4位)は、発光色相に特に影響を及ぼすが、ピリド環のメタ位(すなわち、キノリン環の3位)は、発光色相にほとんど影響を及ぼさない。事実、所望であれば、電子受容性置換基はブルー発光特性を保持したまま環の3位に配置できることが認識されている。立体障害は電子供与性または電子受容性とまったく無関係であるので、理論上、R2 は電子供与性基または電子受容性基のいずれであってもよいが、R2 は電子供与性基の中から選ぶことが好ましい。第二の電子供与性基R4 を加えることにより、色相をスペクトルのグリーン域からさらに移動させることができる。ここでは、R3 はいずれか合成上都合のよい形状をとることができるが、これもまた電子供与性であることが好ましい。
【0031】逆に、キノリン核のベンゾ環成分の電子受容性置換基は、発光色素を短波長へ移動する。従って、キノリン環の5位、6位および7位のいずれかまたはすべては、それが存在する場合には、電子受容性であることが好ましい。
【0032】特定置換基が電子供与性であるかまたは電子受容性であるかを決定することは、当該技術分野の常識内に入る。膨大な数の最も普通の置換基の電子供与性または電子受容性は、すべてに共通する置換に反映することが確認され、定量化され、そして公表されている。電子供与性および電子受容性の最も普通の定量化は、ハメットσ値に従っている。負のハメットσ値を有する置換基は電子供与性であるが、正のハメットσ値を有する置換基は電子受容性である。水素はハメットσ値がゼロであるが、他の置換基はそれらの電子受容性または供与性に直接関連して正に増大するかまたは負に増大するハメットσ値を有する。
【0033】Langeの“Handbook of Chemistry”、第12版(McGraw Hill)1979、Table2〜12、3〜134ページから3〜138ページは、普通に見られる多数の置換基に対するハメットσ値を掲載している。この文献は、引用により本明細書の内容となる。ハメットσ値はフェニル環の置換を基準に特定されているが、それらはキノリン環用の電子供与性基と電子受容性基を定性的に選択する有用な指針を与える。
【0034】立体阻害性、合成の便宜および電子供与性または電子受容性を含むすべての因子を考慮すると、R2 はアミノ、オキシまたは炭化水素置換基が好ましい。適当な立体障害は、R2 がメチルでありそして単一の8−キノリノラート環置換基である場合に提供される。すなわち、R3 ,R4 ,R5 ,R6 およびR7 の各々は水素原子である。従って、少なくとも1個の炭素を有するいずれかのアミノ、オキシまたは炭化水素置換基も好ましい置換基の予期されたものに入る。好ましくは、いずれか1種の炭化水素部分には炭素10個以下が存在し、そして最適には、炭素6個以下が存在する。従って、R2 は−R′,−OR′または−N(R″)R′(ここで、R′は炭素1〜10個の炭化水素であり、そしてR″はR′または水素原子である)の形態をとることが好ましい。R2 は10個以下の炭素を含むことが好ましく、そして6個以下の炭素を含むことが最適である。
【0035】前述した理由でR3 とR4 はR2 よりも広範な形態をとりうるが、具体的には、R2 として好ましい置換基と同様な基から選ぶことが望ましい。環の3位および4位の置換は不要であるため、R3 とR4 も水素原子であることができる。
【0036】環の5位、6位または7位の置換は不要であるので、R5 ,R6 およびR7 は水素原子を表すことができる。好ましい態様では、R5 ,R6 およびR7 は合成上都合のよい電子受容性置換基、例えば、シアノ、ハロゲン、炭素10個以下、好ましくは6個以下を含むα−ハロアルキル、α−ハロアルコキシ、アミド、スルホニル、カルボニル、カルボニルオキシおよびオキシカルボニル置換基から選ぶことができる。
【0037】以下に、本発明の要件を満足する好ましい混合配位子アルミニウムキレート類の具体例を挙げる。
【0038】
【化3】


【0039】
【化4】


【0040】
【化5】


【0041】
【化6】


【0042】
【化7】


【0043】
【化8】


【0044】
【化9】


【0045】
【化10】


【0046】
【化11】


【0047】ブルー放出性発光組成物は、上記混合配位子アルミニウム(III)キレート類の1種またはその組み合わせからなることができるが、混合配位子アルミニウム(III)キレート類をTangらの米国特許第4,769,292号明細書の教示に従う蛍光色素の1種またはその組み合わせと一緒に使用することが特に好ましいであろう。1種以上の蛍光色素と1種以上の式(I)を満足する化合物からなるいずれのブルー放出性組み合わせも使用できる。3種の明らかに相違する範疇の組み合わせがブルー発光を可能にする。
【0048】第一の範疇に入るブルー放出性発光組成物は、式(I)を満足する化合物(本例ではホスト化合物として働く)を、電荷受容性化合物から受け取った正孔および電子にとって好ましい再結合部位を提供するように選ばれたブルー放出性蛍光色素と配合することにより形成できる。この配列では、ホストと蛍光色素がTangらにより教示された関係で存在する。この関係が好ましい場合には、蛍光色素はホスト化合物の還元電位よりも負の方に低い還元電位を示し、この蛍光色素はホスト化合物のバンドキャップ(bandgap)電位よりも正に低いその電位を示し、そしてホスト化合物と蛍光色素は分光的に対を形成する。すなわち、ホスト化合物が単独で使用された場合には、蛍光色素の吸収波長に対応する波長で発光する性能を有する。最適の結合としては、ホストのピーク発光波長が蛍光色素のピーク吸収波長の±100nm、最適には±25nmの範囲内のものに対応することが好ましい。この例では、発光の色相は全面的に蛍光色素によって決定されるので、ブルー放出性蛍光色素が要求される。
【0049】第二の範疇に入る式(I)の化合物と蛍光色素の関係と役割は、単に逆の関係にあるものである。蛍光色素は前記ホスト化合物のように作用するが、一方、式(I)の化合物はブルー発光に応答可能である。この関係では、式(I)の化合物がホスト化合物の還元電位より負に低い還元電位を示し、式(I)の化合物がホスト化合物のバンドギャップ電位より正に低いその電位を示し、そしてホスト化合物と式(I)の化合物は分光的に対になる。すなわち、ホスト化合物が単独で使用された場合には、それが式(I)の化合物の吸収波長に対応する波長で発光する性能を有する。最適の結合では、ホストのピーク発光波長は式(I)の化合物のピーク吸収波長の±100nm、最適には±25nmの範囲内のものに対応することが好ましい。
【0050】前記第一および第二の範疇でそれぞれ予期されるように、第一および第二の条件の範疇のどちらも蛍光色素または式(I)の化合物からの単独での発光を十分に満足しない場合、蛍光色素と式(I)の化合物の各々が他方が存在しないときにそれが発光するのと同じ波長で発光する場合には第三の範疇が存在す。この例では、式(I)の化合物と蛍光色素のどちらもブルー放出性であることが好ましい。
【0051】式(I)の化合物のピーク発光より短波長におけるピーク発光を有する蛍光色素を選ぶことによって、第一または第三の範疇に入る構造物のいずれかで有機ELデバイスの発光をより短波長に移動させることが実現されうる。
【0052】驚くべきことに、少なくとも5つの縮合炭素環状の芳香族環(以下、「ペンタ炭素環状の芳香族蛍光色素」と称する)を含有する発色性単位を有する蛍光色素を使用することによって、有機ELデバイスの操作安定性を高めることができ、そしてブルー発光のより短波長への移動を実現できることが発見された。
【0053】ペンタ炭素環状の芳香族蛍光色素は、有機ELデバイスの発光波長を低減するのに非常に有利であることが発見された。第一の範疇の装置の作用にとって、ホスト化合物(この例では式(I)の化合物)の発光波長に対応する波長で蛍光色素が吸収することが必須である。他方、すべての蛍光色素はそれらが吸収されるよりも長波長で発光するものと認識されている。換言すれば、色素は、その吸収されるよりも高エネルギー水準の光を放出できない。蛍光色素の吸収極大(以下、「ピーク吸収」と称する)の最も長い波長と発光極大(以下、「ピーク発光」と称する)の最も短い波長との間の差違は、ストークス・シフト(StokesShift)として知られている。蛍光色素のストークス・シフトが大きい場合には、効率のよいスペクトル結合(coupling)を達成することが困難であり、さらに式(I)の化合物のピーク発光より短波長でピーク発光を得ることも困難である。
【0054】ペンタ炭素環状の芳香族蛍光色素はそれらの相対的に硬質の発色単位に起因して80nmから20nm未満までのストークス・シフトを示すので、それらの色素はより短いブルー波長へ有機ELデバイスの発光を移動させるのに特に適している。従って、たとえペンタ炭素環状の芳香族蛍光色素の吸収ピークが式(I)の化合物の発光ピークより波長がわずか20nmばかり短いとしても、有機ELデバイスにおける浅色移動は、実現できる。好ましいペンタ炭素環状の芳香族蛍光色素は、式(I)の化合物により示される発光ピークよりも100〜20nm短い波長で吸収ピークを示すものである。
【0055】ペンタ炭素環状の芳香族蛍光色素は発色単位を形成する少なくとも5つの縮合炭素環状の芳香族環をそれぞれが含むものと考慮されている。5つの必要な縮合環に加えられる縮合芳香族炭素環状の環は性能特性を損ねない。好ましい発色単位としては、完成した核としてまたは他の芳香族環と縮合して完成された核としてペリレン、ベンゾピレン、ベンゾクリセン、ベンゾナフタセン、ピセン、ペンタフェン、ペンタセン、ヘキサセンまたはアンサンスレン核が挙げられる。これらのペンタ炭素環状の芳香族環は、有機媒体の他の成分と同様にそれらを真空蒸着によって堆積できる利点を有する。ペンタ炭素環状の芳香族環はそれらの中に発色団を有するかまたはそれら自体が発色団を提供するので、他の環置換基を存在させる必要はない。しかしながら、発色団としてペンタ炭素環状の芳香族環を含有する多くの色素は、もともと溶液化学で使用するために製造されたものであるため、溶解性を変性し、そしていくつかの例では、色相を変性することを意図した置換基をもつのが普通である。上述した米国特許第4,769,292号明細書で公表されるタイプのペンタ炭素環状の芳香族環における各種置換基が考慮されている。
【0056】第一の範疇の組み合わせにおいて、式(I)のホスト化合物に蛍光ペンタ炭素環状の芳香族色素が組み入れられる場合には、利点を実現するのにほんの少量の蛍光色素が必要であるにすぎない。蛍光ペンタ炭素環状の芳香族色素は、式(I)の化合物のモル当り0.05〜5モル%の濃度範囲で組み入れることが好ましい。濃度範囲は、式(I)の化合物のモル当り0.2〜3モル%であり、そして最適の例では電荷受容化合物のモル当り0.5〜2モル%である。
【0057】
【実施例】本発明およびその利点は、以下の具体例により十分に認識できるであろう。
【0058】化合物の製造PC−1〜PC−23の製造および特性決定は次のとおりである。
【0059】PC−12−メチル−8−キノリノール(Eastman Kodak Company)の試料は、エタノール/水から再結晶した。次に、再結晶したこの配位子0.8g(0.005モル)を、99.995%アルミニウムイソプロキシド(Aldrich Chemical Company)1.0g(0.05モル)と40mL無水エタノール中で加熱、攪拌した。約30分後、反応溶液をセライトマットを通して濾過し、少量の不溶液物質を除去した。次に、再結晶化2−メチル−8−キノリノール0.8g(0.005モル)とフェノール(Eastman Kodak Company)1.0g(0.01モル)を含有するエタノール溶液を、もとの溶液へ加えた。得られた溶液を4時間還流下で加熱、攪拌し、次いで室温まで放冷した。固体を集め、エタノール、次いでエーテルで洗浄し、通風乾燥した。固体は1.0gの重量であったので、46%の収率を示した。
【0060】PC−2〜PC−18フェノールを適当な置換フェノールで置き換えた以外はPC−1の製造について上記した操作を使用して標題の化合物を製造した。PC−2,PC−4,PC−7,PC−12,PC−13,PC−14およびPC−15を製造するのに使用した置換フェノール類は、Aldrichから入手し、残りの置換フェノール類はEastman Kodak Companyから得た。結果を表Iにまとめる。
【0061】表 I化合物 収率(%)PC−2 59PC−3 77PC−4 84PC−5 82PC−6 84PC−7 89PC−8 64PC−9 82PC−10 76PC−11 60PC−12 56PC−13 87PC−14 71PC−15 83PC−16 91PC−17 91PC−18 76
【0062】PC−19このアルミニウムキレートは、2−メチル−8−キノリノールを2,4−ジメチル−8−キノリノールで置き換えた以外はPC−1と同様に製造した。使用したオルト−フェニルフェノールはEastman Kodak Companyから得た。標題の化合物の収量は73%であった。
【0063】PC−20このアルミニウムキレートは、2−メチル−8−キノリノールを2,4−ジメチル−8−キノリノールで置き換えた以外はPC−1と同様に製造した。使用したパラ−フェニルフェノールはEastman Kodak Companyから得た。標題の化合物の収量は94%であった。
【0064】PC−21無水エーテル65mL中で、99.995%アルミニウムイソプロポキシド(Aldrich Chemical Company)1.0g(0.005モル)とメタ−フェニルフェノール(Eastman Kodak Company)1.7g(0.010モル)とを2,4−ジメチル−8−キノリノール試料1.74g(0.010モル)と攪拌した。3時間後に純粋でない固体(0.94g)を集めた。
【0065】PC−22無水エーテル75mL中で、99.995%アルミニウムイソプロポキシド(Aldrich Chemical Company)1.0g(0.005モル)と3,5−ジメチルフェノール(Aldrich Chemical Company)1.2g(0.010モル)とを2,4−ジメチル−8−キノリノール試料1.74g(0.010モル)と攪拌した。不純な固体(2.3g)を6時間後に集めた。
【0066】PC−23無水エーテル40mL中で、99.995%アルミニウムイソプロポキシド(Aldrich Chemical Company)0.5g(0.0025モル)と3,5−ジ−tert−ブチルフェノール(Aldrich Chemical Company)1.0g(0.005モル)とを2,4−ジメチル−8−キノリノール試料0.87g(0.005モル)と攪拌した。不純な固体(0.83g)を5時間後に集めた。
【0067】化合物の特性製造した化合物を、分析しそして表IIに示すような理論的な組成と比較した。この提供されたデータは、意図する化合物が合成されたことを意味する。次の試験は、これらの化合物を真空蒸着することによりそれらの意図された構造を保持したまま堆積できることを確認した。化合物を分解を伴うことなく真空蒸着しうるには、この操作では物質を精製することが望ましい効果を有した。この技法では、粉末試料を磁製ボートに入れ、次いでこのものを径2.54cmのPyrex(商標)管に挿入した。この中心部を管状の窯炉で加熱しながら、約2torrの圧力でアルゴンをその管に流した。各々の試料をこの方法で処理した。気相から凝集した固体を分析し、結果を表IIに示す。
【0068】これらの化合物が蛍光性であること決定するためにさらに評価した。先に調製したような粉末の各々について蛍光スペクトルを記録した。各粉末試料の紫外線励起発光スペクトルは、その粉末を径2.48cm×深さ0.24cmのアルミニウム敷台に充填し、そしてその敷台を蛍光分光光度計の試料室中に置くことによって得た。各試料を、モノクロメーターとバンド透過フィルターを通過させたキセノン放電ランプ由来の355nmに中心をもち、4nmのバンド幅を有する紫外線に露光した。放出された光を集め、オーダー・ソーティング・フィルター(order−sorting filter)を通し、そして約4nmの分解能(極大半値幅)で±1nm以内に調整された分光光度計で測定した。極大発光強度の波長を表IIに示す。
【0069】
【表1】


【0070】
【表2】


【0071】化合物の有機ELデバイスへの使用
【0072】例1〜23 ブルー放出性有機ELデバイス本発明の要件を満足する一連の有機ELデバイスは、次のように構成した。
(a)ガラス基体に塗布したインジウム錫酸化物(ITO)を市販の洗剤で超音波洗浄し、脱イオン水ですすぎ、トルエン蒸気で脱脂し、次いで強酸化剤にさらした。
(b)厚さ375Åを有するフタロシアニン銅(CuPc)の正孔放出層を基体のITO上にタンタルボートから真空蒸着した。
(c)CuPc層上に4,4′−ビス〔N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ〕ビフェニルの375Åの正孔輸送層をタンタルボートからまた真空蒸着した。
(d)ブルー放出性電子輸送層(300Å)を、正孔輸送層上に堆積させた。この化合物もまた、タンタルボートから真空蒸発させた。
(e)この電子輸送層上に300Åのアルミニウムトリソキシン電子放出層を、再びタンタルボートから真空蒸着した。
(f)Mg対Agの原子比10:1からなる2000Åのカソードをアルミニウムトリソキシン上に真空蒸着することにより有機ELデバイスを完成した。
操作によって、図1のC.I.E.xとy座標に発光ピーク波長強度と発光色度を記録した。この情報を下記表III にまとめる。
【0073】
【表3】


【0074】フェノラート配位子を含有するアルミニウムキレートのすべてのルミネセンスが粉末として測定され、そしてブルー放出性であることが見い出された。これらのアルミニウムキレートを有機ELデバイスに組み入れた場合、発光ピークが粉末に比較していくぶん長波長に移動したが、そのデバイスもまたブルー放出性であった。スペクトルの緑部に最も近いC.I.E.色度インデックスを有する有機ELデバイスは、図1に示されるようにアルミニウムキレートPC−17を含むものであった。最も短い波長部にC.I.E.色度インデックスを有する有機ELデバイスは、図2に示されるようにアルミニウムキレートPC−23を含有するものであった。図1のPC−17は、点D−C−480−499.2で囲まれるスペクトルのブルー−グリーン部内にある。図1のE−23は、点C−B−460−480で囲まれるスペクトルの純粋ブルー部内にある。フェノラート配位子を含有する残りのアルミニウムキレートのすべては、E−17とE−23の両端の中間点におけるスペクトルのこれらの同じブルー放出性領域内に位置する。
【0075】効率に関する有機ELデバイスの作用(電流1アンペア当りの発光のワットを測定)、初期光出力(ILO:1cm2 当りのミリワットによる初期強度)および安定性(20mA/cm2 の一定電流で操作した場合に初期光出力のもとの強度の1/2まで減衰するのに要する時間として測定)を表IVにまとめる。
【0076】
【表4】


【0077】各有機ELデバイスは、初期効率と光出力の両方に関して許容可能であるものと考えられた。50時間後に少なくとも初期光出力の半分が保持できることが最低の許容可能な安定性の目安として考えれた。表IIから、一定の性能特性は、アルミニウムキレートのフェノラート配位子と相関性があった。未置換およびメチル置換ヒドロキシベンゼン配位子に由来する配位子(PC1〜4)は、最低の安定性要件を十分に満たしながら、許容できる色度、極大発光波長、効率および初期光出力を示す。メチル置換基は、未置換ヒドロキシベンゼン配位子に比べて発光の著しい浅色移動を起こした。環のメチルの位置は性能特性のいずれに対してもあまり影響を及ぼさない。メチル置換基がフェニル置換基で置き換えられた場合には、実質的に同様な初期性能特性を保持しながら非常に高水準の安定性が認められた(PC−5,6,7,13)。2−ナフトール配位子(PC−18)は、フェニル置換ヒドロキシフェニル配位子の性能特性と同様な性能特性を示すが、一方、1−ナフトール配位子は低い効率と初期光出力を示すが安定性を高めた。
【0078】性能と色度を考慮すると、最高の総合的性能は、メチルまたはフェニル置換ヒドロキシベンゼンフェノラート配位子で達成された。メチル置換基は低級アルキル(炭素1,2または3個)置換基の性能を代表するものと考えられるが、フェニル置換基は、フェニル、ビフェニルおよびナフチル置換基の性能を代表するものと考えられる。
【0079】比較例24〜29 グリーン放出性有機ELデバイスフェノラート配位子含有アルミニウムキレートを、以下のアルミニウムキレート類で置き換えた以外は、例1〜23と同様に有機ELデバイスを構成した。
【0080】C−24 トリス(8−キノリノラート)アルミニウム(III)C−25 トリス(4−メチル−8−キノリノラート)アルミニウム(III)C−26 トリス(5−メチル−8−キノリノラート)アルミニウム(III)C−27 トリス(3,4−ジメチル−8−キノリノラート)アルミニウム(III)C−28 トリス(4,6−ジメチル−8−キノリノラート)アルミニウム(III)C−29 トリス(4,5−ジメチル−8−キノリノラート)アルミニウム(III)
【0081】C−24を含有する有機ELデバイスは、0.024W/Aの効率と0.48mV/cm2 の初期光出力を示し、例1〜23のものと同様の性能特性を示すが、しかしながら、C−24の安定性は例1〜23の化合物に対し著しく優れていた。
【0082】C−24〜C−29を含有する有機ELデバイスのすべての例は明らかなグリーン放出性であったため、対照化合物をPC−1〜PC−23のいずれかと置き代えることは適当でなかった。この結果を下記表Vに示す。
【0083】
【表5】


【0084】測定された最も好ましい色度の位置はC−25のものであった。この点は図1に示されている。それはスペクトルのグリーン部にある。
【0085】比較例30〜32 強電子吸引性置換基を有するキレート類下記の化合物で例1のアルミニウムキレート化合物PC−1〜PC−23の1つを置換することを意図してそれらを製造した。
【0086】C−30 ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(4−クロロフェノラート)アルミニウム(III)C−31 ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(4−シアノフェノラート)アルミニウム(III)C−32 ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(4−トリフルオロメチルフェノラート)アルミニウム(III)
【0087】出発原料と真空蒸着された材料の元素分析による比較は、これらの化合物を蒸気相に転換しそして固体にもどす際に著しい分解が起こることを示した。
【0088】真空蒸着の出発原料として、フェノラート配位子含有アルミニウムキレートをC−30またはC−31で置き換えた以外は例1〜23と同様に有機ELデバイスを構成した。C−30で構成された有機ELデバイスは、493nmの発光ピーク波長と0.022W/Aの効率を示した。C−31で構成された有機ELデバイスは、530nmの発光ピーク波長と0.018W/Aの効率を示した。ピーク発光波長と効率を考慮すると、C−30およびC−31はPC−1〜PC−23と比較した場合に低品位のブルー放出性有機ELデバイスを提供した。
【0089】比較例33〜34 強電子供与性環置換基を有するキレート類フェノラート配位子含有アルミニウムキレートを下記アルミニウムキレート類で置き換えた以外は例1〜23と同様に有機ELデバイスを構成した。
【0090】C−33 ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(4−メトキシフェノラート)アルミニウム(III)C−34 ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(3,5−ジメトキシフェノラート)アルミニウム(III)
【0091】C−33から構成された有機ELデバイスは、発光ピーク波長490nmと効率0.008W/Aを示した。すなわち、ルミネセンスは極度に弱かった。C−34から構成された有機ELデバイスは、発光ピーク波長491nmを示した。効率は0.028で初期光出力は0.56mW/cm2 であったが、このデバイスはその初期光出力が1/2に減衰するのにほんの18時間であり、不適当な安定性を示した。
【0092】比較例35 縮合非炭素環状の環のフェノラート配位子を有するキレートこの比較の目的は、炭素環状の環の存在するフェノラート配位子中でヒドロキシベンゼン環が縮合した環の重要性を示すことにある。有機ELデバイスを、フェノラート配位子含有アルミニウムキレートを次のアルミニウムキレートで置き換えた以外は例1〜23と同様に構成した。
【0093】C−35 ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(5−キノリノラート)アルミニウム(III)
【0094】この有機デバイスは500nmという相当長い極大発光波長を示し、そして初期光出力が1時間以内に1/2まで減衰するので性能上許容できないと判断された。
【0095】例36〜39 より短い発光波長を達成するためのドーピングPC−7を各種量のペリレン(FD−1)(PC−7当り0.5〜3モル%)でドーヒングした以外は例7と同様に一連の有機ELデバイスを構成した。結果を下記表VIおよびVII にまとめる。
【0096】
【表6】


【0097】表VIから、PC−7当り0.5〜3モル%のFD−1濃度範囲のすべてが例36〜39の有機ELデバイスの発光色相をより短い波長へ移動するのに有効であることがわかる。図1の点E−7(x=0.2、y=0.30)とE−36(x=0.16、y=0.21)は、FD−1によって提供されうる色相移動を示す。データは、0.2〜3モル%の濃度範囲が好ましい範囲であり、0.5〜2モル%は最適な範囲であることを示す。
【0098】
【表7】


【0099】表VII を見ると、有機ELデバイスの総合的な効率は最初増大し、そしてその後ドーパントのレベルが増加するにつれて幾分低下するが、認められる安定性が非常に激的に増大されるので相殺されてあまりあることを表す。
【0100】例40〜45 各種フェノラート配位子アルミニウムキレートのドーピングFD−1をフェノラート配位子アルミニウムキレートホスト当り1モル%の濃度で電子輸送層に含めるかまたは省略した以外は、例1〜23と同様に一連の有機ELデバイスを構成した。結果を下記表VIIIおよびIXにまとめる。
【0101】
【表8】


【0102】表VIIIから、各種フェノラート配位子アルミニウムキレートホストの各々で発光色相の浅色移動が達成されることがわかる。
【0103】
【表9】


【0104】表IXによると、すべての例でドーパントが有機ELデバイスの安定性を著しく増大することがわかる。
【0105】
【発明の効果】本発明はブルー放出性で蒸着できる発光組成物を提供する。2つの置換8−キノリノラート配位子と1つのフェノラート配位子を有するアルミニウムキレートを使用する利点は、有機ELデバイスの好ましいグリーン放出性発光体の望ましい物理特性のすべてを保持しつつ、発光をスペクトルのブルー域へ移動させることである。より具体的には、2つの置換8−キノリノラート配位子と1つのフェノラート配位子の組み合わせは、有機ELデバイスの電子輸送層を形成するために気相から堆積できるアルミニウムキレートを提供する。
【図面の簡単な説明】
【図1】特に興味深いカラー領域について描いた1931C.I.E.色度図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 次式(Rs −Q)2−Al−O−L(上式中、Qは各場合に応じて置換8−キノリノラート配位子を表し、Rs はアルミニウム原子に対する2を越える置換8−キノリノラート配位子の結合を立体的に阻害するように選ばれた8−キノリノラート環置換基を表し、O−Lはフェノラート配位子であり、そしてLはフェニル部分を含む炭素6〜24個の炭化水素である)で示されるアルミニウムキレートを含んでなるブルー放出性発光組成物。
【請求項2】 発光性層が蛍光色素をさらに含むことを特徴とする請求項1記載のブルー放出性発光組成物。

【図1】
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【公開番号】特開平5−214332
【公開日】平成5年(1993)8月24日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平4−206685
【出願日】平成4年(1992)8月3日
【出願人】(590000846)イーストマン コダック カンパニー (1,594)