説明

混合野菜の栽培方法

【課題】 生育後に各栽培トレーごとに収穫するだけで均等に混合した混合野菜を鮮度を保ちながら容易に得ることができる混合野菜の方法を提供する。
【解決手段】 栽培トレー1を用いて異なる品種の野菜を混合栽培する方法である。栽培トレー1は、縦横に列をなす多数の植込部を有する。栽培トレー1に異なる品種の野菜種子を縦列又は横列に播種して生育する。野菜の生育後、栽培トレー1ごとに生育野菜をその葉元部から切り落として収穫し、異なる品種の混合野菜とする。栽培トレー1には、葉幅が狭く葉柄が細い品種、葉幅が広く葉柄が短い品種、害虫を寄せ付けない品種、害虫がつきやすい品種などを列ごと又は混在状に配置して植え付け、生育するのが好適である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、栽培トレーを用いて異なる品種の葉野菜やハーブなどの野菜を栽培して混合野菜として収穫する混合野菜の栽培方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
葉野菜やハーブ、すなわちターサイ、ミズナ、オークリーレタス、ガーデンレタス、ホウレンソウ、コマツナ、ルッコラ、グリーンマスタード、レッドビート、レッドマスタード、デトロイト、ケール、カラシナ、レッドオーク、レッドロメイン、ターツァイ、グリーンロメインなどの幼葉はベビーリーフと総称されるが、ベビーリーフには、それらの成葉に比べて栄養素が凝縮されていて、ミネラルやビタミンも豊富で注目されている。
【0003】
これらのベビーリーフは、品種ごとに栽培して収穫し、収穫後に複数品種を混合して需要に供することも行われているが、ベビーリーフを収穫後に混合すると品質の劣化をきたしやすいので、取り扱いが甚だ難しいのが実情である。
【0004】
なお、栽培トレーおよび栽培トレーを用いた野菜の栽培方法は、例えば、特開2004−344086公報、特開2004−344088公報に記載されている。また、水耕栽培した野菜の根本をカッター装置で切断して収穫する方法および装置は、特開平6−105626号公報に記載されている。
【特許文献1】特開2004−344086公報
【特許文献2】特開2004−344088公報
【特許文献3】特開平6−105626号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで本発明は、異なる品種の野菜を栽培トレー毎に混合状態で栽培して収穫することにより、複数品種が均等に混合された野菜を得る栽培方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明の請求項1に係る混合野菜の栽培方法は、栽培トレーを用いて異なる品種の野菜を混合栽培する方法であって、縦横に列をなす多数の植込部を有する栽培トレーを用い、前記栽培トレーに異なる品種の野菜種子を縦列又は横列に播種して生育し、野菜の生育後、栽培トレーごとに生育野菜をその葉元部から切り落として収穫し、異なる品種の混合野菜とすることを特徴とするものである。
【0007】
また、本発明の請求項2に係る混合野菜の栽培方法は、請求項1の方法において、栽培トレーに異なる品種の野菜種子を縦列又は横列に播種する異品種同時播種装置を用いることを特徴とするものである。
【0008】
また、本発明の請求項3に係る混合野菜の栽培方法は、請求項1又は2の方法において、葉幅が狭く葉柄が細い品種、葉幅が広く葉柄が短い品種、害虫を寄せ付けない品種、害虫がつきやすい品種などを列ごと又は混在状に配置して植え付け、生育させることを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明の請求項4に係る混合野菜の栽培方法は、請求項1又は2の方法において、栽培トレー毎に子葉の高さがほぼ同じ品種同士を揃えて播種して生育させることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る混合野菜の栽培方法によれば、縦横に列をなす多数の植込部を有する栽培トレーを用い、前記栽培トレーに異なる品種の野菜種子を縦列又は横列に播種して生育し、野菜の生育後、栽培トレー毎に生育野菜をその葉元部から切り落として収穫し、異なる品種の混合野菜とすることにより、生育後に各栽培トレー毎に収穫するだけで均等に混合された混合野菜を鮮度を保ちながら容易に得ることができる。
【0011】
更に子葉が混合野菜に混入すると腐りやすく見栄えもよくないため、子葉の高さが略同じ品種同士を一つの栽培トレーに播種して生育することによって子葉の高さより高い位置で切り取れば子葉が混入することなく品質の良い混合野菜を得ることができる。また子葉の高さが揃うため切り取り作業が容易になり、切り取り作業を自動化する上にも効果的である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図4には栽培する野菜としてベビーリーフについて例示している。図1及び図2に示すように、1は栽培トレーである。この栽培トレー1は、縦横に列をなす多数の植込部2を有しており、図示のものにおいては横方向に第1列ないし第8列をなすように植込部2が縦横に配列されている。各植込部2はピートモスなどの床土を充填する凹部をなしている。
【0013】
本発明に係る混合野菜の栽培方法においては、図3に示すように、前記栽培トレー1に播種装置3により第1列ないし第8列ごとにそれぞれ異なる品種の野菜種子を同時に播種し、播種後は栽培室等において野菜を生育し、所要の生育状態になった際に、栽培トレー毎に生育野菜をその葉元部から切り落として収穫すれば、異なる品種の混合野菜となる。
【0014】
栽培トレーに異なる品種の野菜の栽培態様としては、葉幅が狭く葉柄が細い品種、葉幅が広く葉柄が短い品種、害虫を寄せ付けない品種、害虫がつきやすい品種などを列ごと又は混在状に配置して植え付け、生育させることか好ましい。すなわち、図4に例示するように、栽培トレー1の第1列に害虫を寄せ付けない品種であるカラシナ、第2列に害虫がつきやすい品種であるルッコラやミズナ、第3列に葉幅が狭く葉柄が細い品種であるミズナ、第4列に葉幅が広く葉柄が短い品種であるレッドオーク、レッドロメイン、第5列に葉柄が長く葉が丸くて小さい品種であるターツァイ、第6列に葉幅が広く葉柄が短い品種であるグリーンロメイン、第7列に葉幅が狭く葉柄が細い品種であるミズナ、第8列に害虫を寄せ付けないカラシナなどを栽培すると、隣接する互いの品種の生育環境が損なわれないうえ、刈り取るだけで見栄がよく品質もよい混合野菜を得ることができる。
【0015】
また栽培トレー毎に子葉の高さがほぼ同じ品種同士を揃えて播種して生育させる方法としては、子葉の高さが低い品種例えばグリーンロメイン、レッドオーク、エンダイブやレタス系の品種を同じ栽培トレーに播種、生育させ、子葉の高さが高い品種例えばルッコラ、ミズナ、カラシナ、アカタカナやロラロッサなどの品種を同じ栽培トレーに播種、生育させて切り取ることによって子葉が混入することがないため見栄えもよく品質の良い混合野菜を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0016】
本発明に係る混合野菜の栽培方法は、特にベビーリーフの混合栽培に適しているが、ベビーリーフに限らず広く野菜の生産などに好適である。よって、本発明に係る混合野菜の栽培方法は、広範囲にわたる利用可能性が期待できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る混合野菜の栽培に用いる栽培トレーの斜視図である。
【図2】同上断面図である。
【図3】栽培トレーに播種する態様を示す斜視図である。
【図4】栽培トレーに異なる品種の野菜の栽培態様を一例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0018】
1 栽培トレー
2 植込部
3 播種装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
栽培トレーを用いて異なる品種の野菜を混合栽培する方法であって、
縦横に列をなす多数の植込部を有する栽培トレーを用い、
前記栽培トレーに異なる品種の野菜種子を縦列又は横列に播種して生育し、
野菜の生育後、栽培トレー毎に生育野菜をその葉元部から切り落として収穫し、異なる品種の混合野菜とすることを特徴とする混合野菜の栽培方法。
【請求項2】
栽培トレーに異なる品種の野菜種子を縦列又は横列に播種する異品種同時播種装置を用いることを特徴とする請求項1記載の混合野菜の栽培方法。
【請求項3】
葉幅が狭く葉柄が細い品種、葉幅が広く葉柄が短い品種、害虫を寄せ付けない品種、害虫がつきやすい品種などを列ごと又は混在状に配置して植え付け、生育させることを特徴とする請求項1又は2記載の混合野菜の栽培方法。
【請求項4】
栽培トレー毎に子葉の高さがほぼ同じ品種同士を揃えて播種して生育させることを特徴とする請求項1又は2記載の混合野菜の栽培方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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