説明

混合金属酸化物

本発明は、混合金属酸化物、SrM1−xTiに関し、xは0<x<1でありMはHf又はZrであり、例えばストロンチウム−ハフニウム−チタニウム酸化物、ストロンチウムジルコニウム−チタニウム酸化物である。また本発明は、前記混合金属酸化物を含む機能装置に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ストロンチウム−ハフニウム−チタニウム及びストロンチウム−ジルコニウム−チタニウム酸化物などの混合金属(ストロンチウム−チタニウム)酸化物に関し、また前記混合金属酸化物を含む機能装置、電気、電子、磁気、機械、光学又は熱装置として又はその部分として誘電体(即ちhigh−k誘電体として)に関し、及び前記混合金属酸化物を含む機能装置を製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
MOS(金属酸化物半導体)電界効果トランジスタ装置中のシリコン二酸化物(SiO)ゲート層は、高誘電率を持つ(high−k)酸化物材料で置換され得る。しかし、誘電率、熱安定性及びバンドギャップの要求を満たし、なおシリコンプロセスによる集積化に適したインタフェースを与える酸化物材料はほとんどない(J.Robertson、J.Appl.Phys.104、7(2008)を参照)。これらの酸化物は、ZrO(M.N.S.Miyazakiら、Microelectronic Engineering59、6(2001)及びR.N.Wen−Jie.Qiら、Appl.Phys.Lett.77、3(2000)を参照)、HfO(T.M.R.C.Smithら、Adv.Mater.Opt.Electron.10、10(2000);E.C.E.P.Gusevら、Microelectronic Engineering59、9(2001);及びR.H.D.C.Gilmerら、Appl.Phys.Lett.81、3(2002)を参照)、Al(E.C.M.Copelら、Appl.Phys.Lett.78、3(2001)及びC.P.E.Ghiraldelliら、Thin Solid Films517、3(2008)を参照)、及びLaAlO(S.K.Seung−Gu.Limら、J.Appl.Phys.91、6(2002);H.B.L.L.Yanら、Appl.Phys.A77、4(2003);及びH.L.Wenfeng.Xiangら、J.Appl.Phys.93、4(2003)を参照)が挙げられる。
【0003】
高誘電率(〜35)及び大きなバンドギャップ(〜6.2eV)により、SrHfOはhigh−k材料の候補として興味がますますもたれている(B.M.C.Rosselら、Appl.Phys.Lett.89、3(2006);G.K.G.Lupinaら、Appl.Phys.Lett.93、3(2008)及びC.R.M.Sousaら、J.Appl.Phys.102、6(2007)を参照)。SrTiO及びSr1−xBaTiOは、それらのより大きい絶対誘電率によりゲート誘電体としての候補として興味が持たれている。しかし3dTi状態の比較的低いエネルギによる低導電バンドオフセットは、Si系電子回路にとっては好ましくない。
【0004】
EP−A−568064には、ゲルマミウム層及びBiTi12の層との間の格子不整合と化学的相互作用を改善するためのストロンチウム、ハフニウム及びチタニウムを含む非化学量論的混合相層の使用(バッファ層)が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、混合金属酸化物、SrM1−xTiに関し、xは0<x<1でありMはHf又はZrであり、例えばストロンチウム−ハフニウム−チタニウム酸化物、ストロンチウムジルコニウム−チタニウム酸化物を提供することであり、また前記混合金属酸化物を含む機能装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、Hf又はZrをSrTiOに導入してバンドギャップを挙げるためにHfの高5d状態又はZrの高4d状態につき研究を行っている。これはhigh−k値を損なうことなく達成される。
【0007】
従って、本発明の第一の側面は、混合金属酸化物:SrM1−xTiを提供することである。ここでxは0<x<1及びMはHf又はZrである。
【0008】
Ti−O結合に拠る高絶対誘電率を維持し、バンドギャップを強化するためにHfの高5d状態又はZrの高4d状態を利用することで、本発明によるストロンチウム−ハフニウム−チタニウム及びストロンチウム−ジルコニウム−チタニウム酸化物は、シリコン系集積回路で使用される高誘電材料の優れた候補である。
【0009】
好ましい実施態様では、MはHfである。
【0010】
好ましい実施態様では、MはZrである。
【0011】
好ましくは、0.01<x<0.99であり、特に好ましくは0.05≦x≦0.95であり、より好ましくは0.2≦x≦0.8であり、特により好ましくは0.3≦x≦0.7であり、さらに好ましくは0.4≦x≦0.6であり、より好ましくは0.45≦x≦0.55である。好ましい実施態様ではxは約0.5である。
【0012】
好ましい実施態様において、混合金属酸化物(バルク材料の形で)は35を超える誘電率(通常10kHzで)であり、好ましくは36〜200の範囲を示し、特に好ましくは45〜125の範囲を示し、より特に好ましくは60〜100の範囲の誘電率を示す。
【0013】
好ましい実施態様において、混合金属酸化物(バルク材料の形で)は3.10eV以上のバンドギャップを示し、好ましくは3.10〜6.10eVの範囲、特に好ましくは3.24〜3.80eV、より好ましくは3.40〜3.50eVの範囲のバンドギャップを示す。
【0014】
本発明の混合金属酸化物は、高温固体反応、ゾルゲルプロセス、PVD、エアロゾル補助堆積、火炎堆積、スピンコーティング、スパッタ、CVD(例えばMOCVD)、ALD、MBE又はPLDなどで製造され得る。
【0015】
本発明の混合金属酸化物の高誘電率及びバンドギャップは、電気、電子又は光学製品へ利用され得る。例えば、本発明の混合金属酸化物は、電界効果トランジスタ装置(例えばMOSFET装置)のゲート誘電体として又は高周波誘電体応用に有用なものである。例えば、本発明の混合金属酸化物は、キャパシタ(例えばDRAM又はRAMなどのメモリ装置で)として又はその部分として、電圧制御装置、駆動装置、表示装置(例えばTFT又はOLED)、太陽電池、電荷結合装置、粒子及び放射検出装置、プリント回路基板、CMOS装置、光ファイバ又は光ガイドなどとして使用され得るものである。
【0016】
本発明の混合金属酸化物は、多相組成物として存在し得る。好ましくは混合金属酸化物は実質的に単相である。
【0017】
さらなる側面から本発明は、上で定めたような混合金属酸化物およびストロンチウム、M及びチタニウムのひとつ又はそれ以上の酸化物の、ひとつ又はそれ以上の酸化物を含む組成物を提供する。
【0018】
ストロンチウム、M及びチタニウムのひとつ又はそれ以上の酸化物の、ひとつ又はそれ以上の酸化物は、単一酸化物又は混合金属酸化物であってよい。ストロンチウム、M及びチタニウムのひとつ又はそれ以上の酸化物の、ひとつ又はそれ以上の酸化物として、SrTiO、ZrTiO又はHfTiOが挙げられる。
【0019】
さらなる側面から本発明は機能装置を提供し、前記機能装置が:基板、及び前記基板上に設けられたエレメントを含み、前記エレクトロルミネッセンス装置が上で定めた混合金属酸化物又はそれらの組成物を含む。
【0020】
前記機能装置は、電気、電子、磁気、機械、光学又は熱的装置であり得る。
【0021】
前記基板は層であってよい。前記エレメントは層又は薄フィルムであってよい。
【0022】
前記基板は、酸化物半導体、有機半導体、III−V族半導体(例えば、GaAs、InGaAs、TiN、GaN又はInGaN)、II−VI族半導体(例えばZnSe又はCdTe)、又は透明導電性酸化物(例えばAl:ZnO、インジウムスズ酸化物又はフッ素ドープスズ酸化物)などである。
【0023】
前記基板はシリコン(又はシリコンを含む)、ドープシリコン又はシリコン酸化物であってよい。
【0024】
前記基板は、ゲルマニウム、シリコン、シリコン酸化物、ドープシリコン、GaAs、InGaAs、GaN、InGaN、ZnSe、CdTe、ZnO、TiN、Al:ZnO、インジウムスズ酸化物又はフッ素ドープスズ酸化物などを含む群から選択され得る。
【0025】
前記基板は電子基板であって、ひとつ又はそれ以上の電子部品、装置又は構造(例えばプリント回路基板)を含むことができる。
【0026】
前記基板は導電性であってよい。例えば前記基板は、金属ドープ金属酸化物(例えばNbドープSrTiO)などの導電性混合金属酸化物であってよい。
【0027】
電極は前記エレメント上に設けられるか適用され得る(例え堆積される)。前記電極は、元素状金属又は金族合金からなっていてよい。例えば、前記電極はタンタル、チタニウム、金又は白金であってよい(又は含むものであってよい)。
【0028】
好ましい実施態様において、前記機能装置は、電界効果トランジスタ装置であって、前記基板が基板層及び前記エレメントが前記基板層上に設けられたゲート誘電体であり、前記電界効果トランジスタがさらに、前記ゲート誘電体上にゲートを含むものである。
【0029】
好ましくは、前記電界効果トランジスタはMOSFET装置である。前記電界効果トランジスタはCPU又はGPU内に存在し得る。
【0030】
前記ゲート誘電体は通常ゲート誘電体層である。前記ゲート誘電体層の厚さは3.0nm以上であってよい。前記ゲート誘電体層は前記基板層状に堆積されてよい。例えば、前記ゲート誘電体層は前記基板層上にエピタキシャル堆積され得る。
【0031】
さらなる側面から、本発明は誘電体(例えばhigh−k誘電体)として上で定めた混合金属酸化物又はそれらの組成物を、電子、電気、磁気、機械、光学又は熱装置として又はその装置内で使用することを提供する。
【0032】
好ましくは、前記使用は、電界効果トランジスタ装置内である。前記電界効果トランジスタ装置はCPU又はGPU内に存在する。
【0033】
好ましくは、前記使用はキャパシタ(例えばDRAM又はRAMなどのメモリ装置内で)、電圧制御装置、電子シグナルフィルタ、ミクロエレクトロメカニカル装置、センサ、駆動装置、表示装置(TFT又はOLED)、太陽電池、電荷結合装置、粒子及び放射線検出装置、プリント回路基板、CMOS装置、光ファイバ又は光ガイドなどとして、又はその一部としての使用である。
【0034】
他の側面から本発明は、上で定めた機能装置を製造するためのプロセスを提供するものでああり:別々に揮発させた量の、ストロンチウム前駆体、ハフニウム又はジルコニウム前駆体及びチタニウム前駆体を、前記基板へ、閉鎖環境下で、順に暴露させることを含む。
【0035】
それぞれの別々の揮発量は、前記閉鎖環境にひとつ又はそれ以上のパルスの形で導入され得る。
【0036】
好ましくは、前記プロセスはさらに:前記ひとつ又はそれ以上の暴露ステップ又は前記暴露ステップの間のひとつ又はそれ以上の間隔において、前記閉鎖環境へ酸化剤を導入することを含む。
【0037】
前記酸化剤は、前記暴露ステップの間に連続的に前記閉鎖環境内へ導入され得る。前記酸化剤は前記閉鎖環境へひとつ又はそれ以上のパルスの形で導入され得る(例えば暴露ステップ間のひとつ又はそれ以上の間隔で)。
【0038】
前記酸化剤は、酸素(例えば酸素プラズマ)、水蒸気、過酸化水素(又はその水溶液)、オゾン、窒素酸化物(NO、NO又はNOなど)、ハロゲン酸素化合物(例えば、二酸化塩素又は過塩素酸など)、過酸(例えば過安息香酸又は過酢酸)、アルコール(メタノール又はエタノールなど)及びラジカル(酸素ラジカル及びヒドロキシラジカルなど)を含む群から選択され得る。
【0039】
好ましくは前記プロセスは:前記順次暴露ステップ間に前記閉鎖環境をパージすることを含む。
【0040】
前記閉鎖環境は、順次暴露ステップを変更するステップにパージされ得る。パージは不活性ガスフローで実行され得る。
【0041】
好ましくは前記順次暴露ステップは循環性である。別々に揮発させた量の、ストロンチウム前駆体、ハフニウム又はジルコニウム前駆体及びチタニウム前駆体を、前記基板へ順に暴露させるステップのそれぞれの回数及び順序は、望ましい化学量論及び導入速度を達成されるように経験的に決めることができる。循環回数は望ましい酸化物厚さにより決められる。通常前記順序暴露ステップは2から100回繰り返される。
【0042】
好ましくは本発明のプロセスは、順序暴露ステップの循環(A)、(B)及び(C)を含み、ステップ(A)が:別々に揮発させた量の、ストロンチウム前駆体を前記閉鎖環境へ導入しかつ前記閉鎖環境からストロンチウム前駆体をパージすることを含み、ステップ(B)が別々に揮発させた量のハフニウム又はジルコニウム前駆体を前記閉鎖環境へ導入しかつ前記閉鎖環境からハフニウム又はジルコニウム前駆体をパージすることを含み、ステップ(C)が別々に揮発させた量のチタニウム前駆体を前記閉鎖環境へ導入しかつ前記閉鎖環境からチタニウム前駆体をパージすることを含む。
【0043】
それぞれのステップ(A)、(B)及び(C)は循環的であってよい。好ましくはステップ(B)の循環回数とステップ(C)の循環回数との比率が、1:1から1:3の範囲である。
【0044】
特に好ましくは、本発明のプロセスが、ステップ(A')、(B')及び(C')の順に循環することを含み、ステップ(A')が:別々に揮発させた量の、ストロンチウム前駆体を前記閉鎖環境へ導入しかつ前記閉鎖環境からストロンチウム前駆体をパージすることを含み、酸化剤を前記閉鎖環境へ導入しかつ前記閉鎖環境をパージすることを含み、ステップ(B')が別々に揮発させた量のハフニウム又はジルコニウム前駆体を前記閉鎖環境へ導入しかつ前記閉鎖環境からハフニウム又はジルコニウム前駆体をパージすることを含み、酸化剤を前記閉鎖環境へ導入しかつ前記閉鎖環境をパージすることを含み、ステップ(C')が別々に揮発させた量のチタニウム前駆体を前記閉鎖環境へ導入しかつ前記閉鎖環境からチタニウム前駆体をパージすることを含み、酸化剤を前記閉鎖環境へ導入しかつ前記閉鎖環境をパージすることを含む。
【0045】
ステップ(A')、(B')及び(C')は循環的であってよい。好ましくはステップ(B')の循環回数とステップ(C')の循環回数との比率が、1:1から1:3の範囲である。
【0046】
前記閉鎖環境は通常反応チャンバである。
【0047】
それぞれの前駆体は、揮発性液体又は固体、フラッシュ蒸発のための溶媒媒体中に溶解可能の薄膜か分散可能な固体又は昇華性固体であり得る。前駆体の揮発は熱又は光り補助であってよい。それぞれの揮発量はガス相で前記閉鎖環境に導入され得る(例えば蒸気として)。閉鎖環境は温度が100〜700℃、好ましくは150〜500℃の範囲である。
【0048】
前記プロセスは、前記基板の前処理(例えば前加熱)を含む。
【0049】
前記プロセスはさらに、後処理ステップを含む。後処理ステップは、後熱処理(アニーリング、例えば加熱後アニーリング)ステップ、酸化ステップ又は還元ステップであってよい。後アニーリングステップは、通常、前記順序ステップが閉鎖環境中で実行される温度を超える温度で実行される。例えば後アニーリングは500℃〜900℃の範囲の温度で、数秒から60分、空気流中で実行され得る。
【0050】
それぞれの前駆体は、金属とひとつ又はそれ以上の有機リガンドのそれぞれとの間のひとつ又はそれ以上の結合で構成される錯体であってよい(例えば、金属及び、酸素又は窒素間の配位結合、又は金属及び炭素間結合)。前駆体は金属有機物又は有機金属錯体であってよい。
【0051】
チタニウム前駆体には、チタニウム(III)又はチタニウム(IV)前駆体であってよい。チタニウム前駆体には、チタニウムハロゲン化物、チタニウムβジケトナート、チタニウムアルコキシド(iso−プロポキシド又はtert−ブトキシド)、ジアルキルアミノチタニウム錯体、アルキルアミノチタニウム錯体、シリルアミドチタニウム錯体、シクロペンタジエニルチタニウム錯体、チタニウムジアルキルジチオカルバメート又は硝酸チタニウムなどが挙げられる。
【0052】
チタニウム前駆体のチタニウムはひとつ又はそれ以上(例えば4)の有機リガンドを持ち、それらは同じか又は異なっていてよく、式(I)から(IV)(好ましくは式(I)から(IV)のひとつ)により定められる有機リガンドの群から選択される:
(I) [RC(O)−CH−C(O)R
(ここで、R及びRは、同じでも異なっていてもよく、場合によりフッ素化されていてもよく、直鎖又は分枝C1−12アルキル基である);
(II)[X(R(R(R
(ここで、RはH、又は場合によりフッ素化された直鎖又は分枝C1−12アルキル基であり、場合によりひとつ又はそれ以上のアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ又はジアルキルアミノ基又はSi(R又はSi(R基であり;
はH又は場合によりフッ素化された直鎖又は分枝C1−12アルキル基であり、場合によりひとつ又はそれ以上のアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ又はジアルキルアミノ基又はSi(R又はSi(R基であり;
はH又は場合によりフッ素化された直鎖又は分枝C1−12アルキル基であり、場合によりひとつ又はそれ以上のアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ又はジアルキルアミノ基又はSi(R又はSi(R基であり;R、R、Rは独立してH又は直鎖又は分枝C1−12アルキル基、C6−12アリール基、C3−12アリル基又はC3−12ビニル基であり、場合によりひとつ又はそれ以上のアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ又はジアルキルアミノ基で置換され;
wは1又は2の整数であり;
yは0又は1の整数であり;及び
zは0又は1の整数である);
(III)[SCN(R)(R10)]
(ここで、R及びR10はそれぞれ独立に、場合によりフッ素化された、直鎖又は分枝C1−12アルキル基であり、場合によりひとつ又はそれ以上のアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ又はジアルキルアミノ基で置換される);
(IV)[Cp]
(ここで、Cpは単一又は縮合シクロペンタジエン基であり、場合により、非脂環式又は脂環式、直鎖又は分枝アルキル、アルケニル、アリール、アルキルアリール、アラルキル又はアルコキシ基又はチオ、アミノ、シアノ、又はシリル基で部分的に又は完全に環置換されていてもよい。)
好ましくは、チタニウム前駆体のチタニウムは、式(I)から(IV)(好ましくは式(I)から(IV)のひとつ)から選択される4つの有機リガンドを持つ。
【0053】
好ましくは式(I)のリガンドは、場合によりメチル化及び/又は場合によりフッ素化される(例えば場合によりトリ又はヘキサフルオロ化)アセチルアセトナート、ヘプタンジオナート又はオクタンジナートリガンドが挙げられる。例えば、式(I)のリガンドは、1、1、1−トリフルオロペンタン−2、4−ジオナート、1、1、1、5、5、5−ヘキサフルオロペンタン−2、4−ジオナート又は2、2、6、6−テトラメチル−3、5−ヘプタンジオナートリガンドが挙げられる。
【0054】
及びRのいずれか又は両方とも好ましくはとりフルオロ化又はヘキサフルオロ化されている。
【0055】
好ましくはRは、C1−6ペンタフルオロアルキルである。好ましくはRはC1−6のパーフルオロアルキルである。
【0056】
好ましくはXはOである。特に好ましくはXはO、yは0、zは0、wは1及びRは場合によりフッ素化された直鎖又は分枝C1−12アルキル基であり、場合により、ひとつ又はそれ以上のアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ又はジアルキルアミノ基で置換される。例えば、式(II)のリガンドには、ヘキサフルオロイソプロポキシ、2−ジメチルアミノエタノレート、2−メトキシエタノレート又はl−メトキシ−2−メチル−2−プロパノレートリガンドが挙げられる。
【0057】
好ましくはXはNである。特に好ましくはXはN、yは1、wは1、zは1及びR、R及びRのそれぞれが、独立にH、場合によりフッ素化された、直鎖又は分枝C1−12アルキル基であり場合によりひとつ又はそれ以上のアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ又はジアルキルアミノ基で置換される。
【0058】
又は特に好ましくは、XはNであり、yは1、wは1、zは1であり、RはSi(R又はSi(R、RはSi(R又はSi(R及びRはSi(R又はSi(Rであり、ここでそれぞれのR、R及びRは独立に、メチル、プロピル又はブチルである。
【0059】
好ましくはR、R及びRのそれぞれは独立して、メチル、エチル、プロピル、ブチル又はペンチル、特に好ましくはメチル、ピロピル又はブチル、より好ましくはn−ブチル、tert−ブチル、iso−プロピル又はエチルである。
【0060】
好ましくはチタニウム前駆体のチタニウムは式(IV)の2つのリガンドを持つ。式(IV)の2つのリガンドのシクロペンダジエン基は橋架け構造である。前記橋架け構造は、置換又は置換されていないC1−6アルキレン基であり、場合によりヘテロ原子が介在している(例えばO、Si、N、P、Se又はS)。
【0061】
好ましくは、式(IV)のリガンドは、シクロペンタジエニル、インデニル、フルオレニル、ペンタメチルシクロペンタジエニル、tert−ブチルシクロペンタジエニル又はトリイソプロピルシクロペンタジエニルリガンドである。
【0062】
好ましくはチタニウム前駆体では式(IV)のリガンド(又はそれぞれ)が式(V)のシクロペンタジエニルリガンドである。
[C(R115−m](V)
(ここで、mは0から5の整数であり、R11は同じであっても異なっていてもよく、C1−12アルキル、C1−12アルキルアミノ、C1−12ジアルキルアミノ、C1−12アルコキシ、C3−10シクロアルキル、C2−12アルケニル、C7−12アラルキル、C7−12アルキルアリール、C6−12アリール、C5−12ヘテロアリール、C1−10パーフルオロアルキル、シリル、アルキルシリル、パーフルオロアルキルシリル、トリアリールシリル及びアルキルシリルシリル基である。)
好ましくはR11基(又はそれぞれ)は、メチル、エチル、プロピル(例えばイソプロピル)又はブチル(例えばtert−ブチル)である。
【0063】
チタニウム前駆体は、Ti(OC、Ti(OPr)、Ti(OBu)、Ti(OBu)4又はTi(OCH(C)CHCであってよい。
【0064】
チタニウム前駆体は、硝酸チタニウムであってよい。
【0065】
チタニウム前駆体は、ジ(イソ−プロポキシ)ビス(2、2、6、6−テトラメチル−3、5−ヘプタンジオネート)チタニウム又はトリス(2、2、6、6、−テトラメチル−3、5−ヘプタンジオネート)チタニウム又はそれらの付加物又は水和物が挙げられる。
【0066】
チタニウム前駆体には、テトラキス(ジエチルアミド)チタニウム、テトラキス(ジメチルアミド)チタニウム、テトラキス(エチルメチルアミド)チタニウム、テトラキス(イソプロピルメチルアミド)チタニウム、ビス(ジエチルアミド)ビス(ジメチルアミド)チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)ビス(ジメチルアミド)チタニウム、トリス(ジメチルアミド)(N、N、N'−トリメチルエチルジアミド)チタニウム又はtert−ブチルトリス(ジメチルアミド)チタニウム又はそれらの付加物又は水和物が挙げられる。
【0067】
チタニウム前駆体には、チタニウム(η−C、チタニウム(η−C)(η−C)、(η−C)チタニウムZ(ここでZはアリキル(例えばメチル)、ベンジル又はカルボニル)、ビス(tert−ブチルシクロペンタジエニル)チタニウム二塩化物、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)チタニウム二塩化物又は(Cチタニウム(CO)又はそれらの付加物又は水和物が挙げられる。
【0068】
チタニウム前駆体は、チタニウムジアルキルジチオカルバメートであってよい。
【0069】
チタニウム前駆体は、TiCl、TiCl、TiBr、TiI又はTiIであってよい。
【0070】
ハフニウム前駆体は、ハフニウム(IV)前駆体であり得る。ハフニウム前駆体には、ハフニウムβジケトナート、ハフニウムアルコキシド、ジアルキルアミノハフニウム錯体、アルキルアミノハフニウム錯体又はシクロペンタジエニルハフニウム錯体が挙げられる。
【0071】
ハフニウム前駆体のハフニウムは、式(VI)から(VIII)で定められる有機リガンドから選択される同じか又は異なるひとつ又はそれ以上の(例えば4)有機リガンドを持つことができる(好ましくは式(VI)から(VIII)のひとつ)。
(VI)[R12C(O)−CH−C(O)R13
(ここで、R12及びR13はそれぞれ同じか異なっていてよく、場合によりフッ素化された、直鎖又は分枝C1−12アルキル基である。)
(VII)[X(R14(R15(R16
(ここで、Xはヘテロ原子を表す;R14はH又は場合によりフッ素化された直鎖又は分枝C1−12アルキル基であり、場合により、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ又はジアルキルアミノ基又は(SiR17又は(SiR17のひとつ又はそれ以上の置換基により置換されており;
15はH又は場合によりフッ素化されている、直鎖又は分枝C1−12アルキル基であり、場合により、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ又はジアルキルアミノ基又は(SiR18又は(SiR18のひとつ又はそれ以上の置換基により置換されており;
16は、H又は場合によりフッ素化されている、直鎖又は分枝C1−12アルキル基であり、場合により、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ又はジアルキルアミノ基又は(SiR19又は(SiR19のひとつ又はそれ以上の置換基により置換されており;
17、R18、R19はそれぞれ独立にH、又は直鎖又は分枝C1−12アルキル、C6−12アリール、C3−12アリル又はC3−12ビニル基であり、場合によりさらにひとつ又はそれ以上のアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ又はジアルキルアミノ基で置換されている、ひとつ又はそれ以上の置換基で置換されており;
wは1又は2の整数であり;
yは0又は1の整数であり;及び
zは0又は1の整数である);
(VIII) [Cp]
(ここで、Cpは単一又は縮合されたシクロペンタジエン基であり、場合により、非脂環式又は脂環式、直鎖又は分枝アルキル、アルケニル、アリール、アルキルアリール、アラルキル又はアルコキシ基又はチオ、アミノ、シアノ、又はシリル基で部分的に又は完全に環置換されていてもよい。)
好ましくは、チタニウム前駆体のチタニウムは、式(VI)から(VIII)(好ましくは式(VI)から(VIII)のひとつ)から選択される4つの有機リガンドを持つ。
【0072】
好ましくは式(VI)のリガンドは、場合によりメチル化及び/又は場合によりフッ素化される(例えば場合によりトリ又はヘキサフルオロ化)アセチルアセトナート、ヘプタンジオナート又はオクタンジナートリガンドが挙げられる。例えば、式(VI)のリガンドは、1、1、1−トリフルオロペンタン−2、4−ジオナート、1、1、1、5、5、5−ヘキサフルオロペンタン−2、4−ジオナート又は2、2、6、6−テトラメチル−3、5−ヘプタンジオナートリガンドが挙げられる。
【0073】
12及びR13のいずれか又は両方とも好ましくはトリフルオロ化又はヘキサフルオロ化されている。
【0074】
好ましくはR12は、C1−6ペンタフルオロアルキルである。好ましくはR13はC1−6のパーフルオロアルキルである。
【0075】
好ましくはXはOである。特に好ましくはXはO、yは0、zは0、wは1及びRは場合によりフッ素化された直鎖又は分枝C1−12アルキル基であり場合により、ひとつ又はそれ以上のアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ又はジアルキルアミノ基で置換される。例えば、式(II)のリガンドには、ヘキサフルオロイソプロポキシ、2−ジメチルアミノエタノレート、2−メトキシエタノレート又は1−メトキシ−2−メチル−2−プロパノレートリガンドが挙げられる。
【0076】
好ましくはXはNである。特に好ましくはXはN、yは1、wは1、zは1及びR14、R15及びR16のそれぞれが、独立にH、場合によりフッ素化された、直鎖又は分枝C1−12アルキル基であり場合によりひとつ又はそれ以上のアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ又はジアルキルアミノ基で置換される。
【0077】
好ましくはR14、R15及びR16のそれぞれは独立して、メチル、エチル、プロピル、ブチル又は ペンチル、特に好ましくはメチル、ピロピル又はブチル、より好ましくはn−ブチル、tert−ブチル、iso−プロピル又はエチルである。
【0078】
ハフニウム前駆体のハフニウムは、式(VIII)のひとつ又は2つのリガンドを含む。
【0079】
好ましくは、ハフニウム前駆体のハフニウムは、式(VIII)の2つのリガンドを含む。式(VIII)の2つのリガンドのシクロペンタジエン基は橋架け構造である。前記橋架け構造は、置換又は置換されていないC1−6アルキレン基であり、場合によりヘテロ原子が介在している(例えばO、Si、N、P、Se又はS)。
【0080】
好ましくは、式(VIII)のリガンドは、シクロペンタジエニル、インデニル、フルオレニル、メチルシクロペンタジエニル、ペンタメチルシクロペンタジエニル又はトリイソプロピルシクロペンタジエニルリガンドである。
【0081】
好ましくはハフニウム前駆体では式(VIII)のリガンド(又はそれぞれ)が式(IX)のシクロペンタジエニルリガンドである。
[C(R205−m](IX)
(ここで、mは0から5の整数であり、R11は同じであっても異なっていてもよく、C1−12アルキル、C1−12アルキルアミノ、C1−12ジアルキルアミノ、C1−12アルコキシ、C3−10シクロアルキル、C2−12アルケニル、C7−12アラルキル、C7−12アルキルアリール、C6−12アリール、C5−12ヘテロアリール、C1−10 パーフルオロアルキル、シリル、アルキルシリル、パーフルオロアルキルシリル、トリアリールシリル及びアルキルシリルシリル基である。)
好ましくはR20基(又はそれぞれ)は、メチル、エチル、プロピル(例えばイソプロピル)又はブチル(例えばtert−ブチル)、特にメチルである。
【0082】
ハフニウム前駆体には、ジ(イソ−プロポキシ)ビス(2、2、6、6−テトラメチル−3、5−ヘプタンジオネート)ハフニウムが挙げられる。
【0083】
ハフニウム前駆体には、ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジメチエルハフニウム、ビス(メチルシクロペンタジエニル)メトキシメトルメチルハフニウム又はエチルシクロペンタジエニルハフニウムトリス(ジメメチルアミド)又はそれらの付加物又は水和物が挙げられる。
【0084】
ハフニウム前駆体には、テトラキス(ジメチルアミド)ハフニウム、テトラキス(ジエチルアミド)ハフニウム又はテトラキス(エチルメチルアミド)ハフニウム又はそれらの付加物又は水和物が挙げられる。
【0085】
ハフニウム前駆体には、ハフニウム(IV)イソ−プロポキシド、ハフニウム(IV)tert−ブトキシ、テトラキス(2−メチル−2−メトキシプロポキシ)ハフニウム、ビス(イソ−プロポキシ)ビス(2−メチル−2−メトキシプロポキシ)ハフニウム又はビス(tert−ブトキシ)ビス(2−メチル−2−メトキシプロポキシ)ハフニウム又はそれらの付加物又は水和物が挙げられる。
【0086】
ハフニウム前駆体には、HfClが挙げられる。
【0087】
ジルコニウム前駆体は、ジルコニウム(IV)前駆体であってよい。ジルコニウム前駆体には、ジルコニウムβジケトナート、ジルコニウムアルコキシド、ジアルキルアミノジルコニウム錯体、アルキルアミノジルコニウム錯体又はシクロペンタジエニルジルコニウム錯体が挙げられる。
【0088】
ジルコニウム前駆体のジルコニウムは、式(X)から(XII)で定められる有機リガンドかれあ選択される同じか又は異なるひとつ又はそれ以上の(例えば4)有機リガンドを持つことができる(好ましくは式(X)から(XII)のひとつ)。
(X)[R21C(O)−CH−C(O)R22
(ここで、R21及びR22はそれぞれ同じか異なっていてよく、場合によりフッ素化された、直鎖又は分枝C1−12アルキル基である。)
(XI) [X(R23(R24(R25
(ここで、Xはヘテロ原子を表す;R23はH又は場合によりフッ素化された直鎖又は分枝C1−12アルキル基であり、場合により、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ又はジアルキルアミノ基又は(SiR26又は(SiR26のひとつ又はそれ以上の置換基により置換されており;
24はH又は場合によりフッ素化されている、直鎖又は分枝C1−12アルキル基であり、場合により、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ又はジアルキルアミノ基又は(SiR27又は(SiR27のひとつ又はそれ以上の置換基により置換されており;
25は、H又は場合によりフッ素化されている、直鎖又は分枝C1−12アルキル基であり、場合により、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ又はジアルキルアミノ基又は(SiR28又は(SiR28のひとつ又はそれ以上の置換基により置換されており;
26、R27、R28はそれぞれ独立にH、又は直鎖又は分枝C1−12アルキル、C6−12アリール、C3−12アリル又はC3−12ビニル基であり、場合によりさらにひとつ又はそれ以上のアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ又はジアルキルアミノ基で置換されている、ひとつ又はそれ以上の置換基で置換されており;
wは1又は2の整数であり;
yは0又は1の整数であり;及び
zは0又は1の整数である);
(XII)[Cp]
(ここで、Cpは単一又は縮合されたシクロペンタジエン基であり、場合により、非脂環式又は脂環式、直鎖又は分枝アルキル、アルケニル、アリール、アルキルアリール、アラルキル又はアルコキシ基又はチオ、アミノ、シアノ、又はシリル基で部分的に又は完全に環置換されていてもよい。)
好ましくは、ジルコニウム前駆体のジルコニウム、式(X)から(XII)(好ましくは式(X)から(XII)のひとつ)から選択される4つの有機リガンドを持つ。
【0089】
好ましくは式(X)のリガンドは、場合によりメチル化及び/又は場合によりフッ素化される(例えば場合によりトリ又はヘキサフルオロ化)アセチルアセトナート、ヘプタンジオナート又はオクタンジナートリガンドが挙げられる。例えば、式(X)のリガンドは、1、1、1−トリフルオロペンタン−2、4−ジオナート、1、1、1、5、5、5−ヘキサフルオロペンタン−2、4−ジオナート又は2、2、6、6−テトラメチル−3、5−ヘプタンジオナートリガンドが挙げられる。
【0090】
21及びR22のいずれか又は両方とも好ましくはトリフルオロ化又はヘキサフルオロ化されている。
【0091】
好ましくはR21は、C1−6ペンタフルオロアルキルである。好ましくはR22はC1−6のパーフルオロアルキルである。
【0092】
好ましくはXはOである。特に好ましくはXはO、yは0、zは0、wは1及びRは場合によりフッ素化された直鎖又は分枝C1−12アルキル基であり場合により、ひとつ又はそれ以上のアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ又はジアルキルアミノ基で置換される。例えば、式(XI)のリガンドには、ヘキサフルオロイソプロポキシ、 2−ジメチルアミノエタノレート、2−メトキシエタノレート又は1−メトキシ−2−メチル−2−プロパノレートリガンドが挙げられる。
【0093】
好ましくはXはNである。特に好ましくはXはN、yは1、wは1、zは1及びR23、R24及びR25のそれぞれが、独立にH、場合によりフッ素化された、直鎖又は分枝C1−12アルキル基であり場合によりひとつ又はそれ以上のアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ又はジアルキルアミノ基で置換される。
【0094】
好ましくはR23、R24及びR25のそれぞれは独立して、メチル、エチル、プロピル、ブチル又は ペンチル、特に好ましくはメチル、ピロピル又はブチル、より好ましくはn−ブチル、tert−ブチル、iso−プロピル又はエチルである。
【0095】
ジルコニウム前駆体のジルコニウム、式(XII)のひとつ又は2つのリガンドを含む。
【0096】
好ましくは、ジルコニウム前駆体のジルコニウムは、式(XII)の2つのリガンドを含む。式(XII)の2つのリガンドのシクロペンタジエン基は橋架け構造である。前記橋架け構造は、置換又は置換されていないC1−6アルキレン基であり、場合によりヘテロ原子が介在している(例えばO、Si、N、P、Se又はS)。
【0097】
好ましくは、式(XII)のリガンドは、シクロペンタジエニル、インデニル、フルオレニル、メチルシクロペンタジエニル、又はトリイソプロピルシクロペンタジエニルリガンドである。
【0098】
好ましくはジルコニウム前駆体では式(XII)のリガンド(又はそれぞれ)が式(XIII)のシクロペンタジエニルリガンドである。
[C(R295−m](XIII)
(ここで、mは0から5の整数であり、R29は同じであっても異なっていてもよく、C1−12アルキル、C1−12アルキルアミノ、C1−12ジアルキルアミノ、C1−12アルコキシ、C3−10シクロアルキル、C2−12アルケニル、C7−12アラルキル、C7−12アルキルアリール、C6−12アリール、C5−12ヘテロアリール、C1−10パーフルオロアルキル、シリル、アルキルシリル、パーフルオロアルキルシリル、トリアリールシリル及びアルキルシリルシリル基である。)
好ましくはR29基(又はそれぞれ)は、メチル、エチル、プロピル(例えばイソプロピル)又はブチル(例えばtert−ブチル)、特にメチルである。
【0099】
ジルコニウム前駆体には、ジ(イソ−プロポキシ)ビス(2、2、6、6−テトラメチル−3、5−ヘプタンジオネート)ジルコニウムが挙げられる。
【0100】
ジルコニウム前駆体には、ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジメチエルジルコニウム、ビス(メチルシクロペンタジエニル)メトキシメトルメチルジルコニウム又はエチルシクロペンタジエニルジルコニウムトリス(ジメメチルアミド)又はそれらの付加物又は水和物が挙げられる。
【0101】
ジルコニウム前駆体には、テトラキス(ジメチルアミド)ジルコニウム、テトラキス(ジエチルアミド)ジルコニウム又はテトラキス(エチルメチルアミド)ジルコニウム又はそれらの付加物又は水和物が挙げられる。
【0102】
ジルコニウム前駆体には、ジルコニウム(IV)イソ−プロポキシド、ジルコニウム(IV)tert−ブトキシド、テトラキス(2−メチル−2−メトキシプロポキシ)ジルコニウム、ビス(イソ−プロポキシ)ビス(2−メチル−2−メトキシプロポキシ)ジルコニウム又はビス(tert−ブトキシ)ビス(2−メチル−2−メトキシプロポキシ)ジルコニウム又はそれらの付加物又は水和物が挙げられる。
【0103】
ジルコニウム前駆体には、ZrCl又はZrBrが挙げられる
ストロンチウム前駆体はストロンチウム(II)前駆体であってよい。ストロンチウム前駆体はストロンチウムハロゲン化物、ストロンチウムβジケントナート、ストロンチウムアルコキシド(例えばイソプロポキシド又はtert−ブトキシド)、ジアルキルアミノストロンチウム錯体、アルキルアミノストロンチウム錯体、シリルアミドストロンチウム錯体、シクロペンタジエニルストロンチウム錯体又は硝酸ストロンチウムが挙げられる。
【0104】
ストロンチウム前駆体のストロンチウムは、ひとつ又はそれ以上のリガンドを持ち(例えば4)、前記リガンドは同じ又は異なっていてよく、次の式(XIV)から(XVI)により定められ有機リガンドの群から選択される(好ましくはしく(XIV)から(XVI)のひとつ)。
(VI)[R30C(O)−CH−C(O)R31
(ここで、R30及びR31はそれぞれ同じか異なっていてよく、場合によりフッ素化された、直鎖又は分枝C1−12アルキル基である。)
(XV) [X(R32(R33(R34
(ここで、Xはヘテロ原子を表す;R14はH又は場合によりフッ素化された直鎖又は分枝C1−12アルキル基であり、場合により、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ又はジアルキルアミノ基又は(SiR35又は(SiR35のひとつ又はそれ以上の置換基により置換されており;
33はH又は場合によりフッ素化されている、直鎖又は分枝C1−12アルキル基であり、場合により、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ又はジアルキルアミノ基又は(SiR36又は(SiR36のひとつ又はそれ以上の置換基により置換されており;
34は、H又は場合によりフッ素化されている、直鎖又は分枝C1−12アルキル基であり、場合により、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ又はジアルキルアミノ基又は(SiR37又は(SiR37のひとつ又はそれ以上の置換基により置換されており;
wは1又は2の整数であり;
yは0又は1の整数であり;及び
zは0又は1の整数である);
(XVI)[Cp]
(ここで、Cpは単一又は縮合されたシクロペンタジエン基であり、場合により、非脂環式又は脂環式、直鎖又は分枝アルキル、アルケニル、アリール、アルキルアリール、アラルキル又はアルコキシ基又はチオ、アミノ、シアノ、又はシリル基で部分的に又は完全に環置換されていてもよい。)
好ましくは、ストロンチウム前駆体のストロンチウムは、式(XIV)から(XVI)(好ましくは式(XIV)から(XVI)のひとつ)から選択される2つの有機リガンドを持つ。
【0105】
好ましくは式(XIV)のリガンドは、場合によりメチル化及び/又は場合によりフッ素化される(例えば場合によりトリ又はヘキサフルオロ化)アセチルアセトナート、ヘプタンジオナート又はオクタンジナートリガンドが挙げられる。例えば、式(XIV)のリガンドは、1、1、1、5、5、5−ヘキサフルオロペンタン−2、4−ジオナート、6、6、7、7、8、8、8−ヘプタフルオロ−2、2−ジメチル−3、5−ヘプタンジオナートリガンドが挙げられる。
【0106】
好ましくは、R30又はR31のいずれか又は両方とも好ましくはトリフルオロ化又はヘキサフルオロ化されている。
【0107】
好ましくはR30は、C1−6ペンタフルオロアルキルである。好ましくはR31はC1−6のパーフルオロアルキルである。
【0108】
好ましくはXはOである。特に好ましくはXはO、yは0、zは0、wは1及びR32は場合によりフッ素化された直鎖又は分枝C1−12アルキル基であり場合により、ひとつ又はそれ以上のアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ又はジアルキルアミノ基で置換される。例えば、式(XV)のリガンドには、ヘキサフルオロイソプロポキシ、2−ジメチルアミノエタノレート、2−メトキシエタノレート又は1−メトキシ−2−メチル−2−プロパノレートリガンドが挙げられる。
【0109】
好ましくはXはNである。特に好ましくはXはN、yは1、wは1、zは1及びR32、R33及びR34のそれぞれが、独立にH、場合によりフッ素化された、直鎖又は分枝C1−12アルキル基であり場合によりひとつ又はそれ以上のアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ又はジアルキルアミノ基で置換される。
【0110】
好ましくはR32、R33及びR34のそれぞれは独立して、メチル、エチル、プロピル、ブチル又は ペンチル、特に好ましくはメチル、ピロピル又はブチル、より好ましくはn−ブチル、tert−ブチル、iso−プロピル又はエチルである。
【0111】
好ましくは、式(XVI)のリガンドは、シクロペンタジエニル、インデニル、フルオレニル、メチルシクロペンタジエニル、ペンタメチルシクロペンタジエニル又はトリイソプロピルシクロペンタジエニルリガンドであり、好ましくはシクロペンタジエニエル又はインデニルリガンドである。
【0112】
ストロンチウム前駆体のストロンチウムは式(XVI)のひとつ又は2つのリガンドを持つ。好ましくはストロンチウム前駆体のストロンチウムは式(XVI)の2つのリガンドを持つ。式(XVI)の2つのリガンドのシキロペンタジエン基は橋架け構造である前記橋架け構造は、置換又は置換されていないC1−6アルキレン基であり、場合によりヘテロ原子が介在している(例えばO、Si、N、P、Se又はS)。式(XVI)の2つのリガンドのシクロペンタジエン基は同じであっても異なっていてもよい。好ましくは式(XVI)の2つの2つのリガンドのシクロペンタジエン基のそれぞれがシクロペンタジエニル又はインデニルである。好ましくは式(XVI)の2つの2つのリガンドのシクロペンタジエン基がシクロペンタジエニルおよびインデニルである。
【0113】
好ましくはジルコニウム前駆体では式(XVI)のリガンド(又はそれぞれ)が式(XVII)のシクロペンタジエニルリガンドである。
[C(R385−m](XVII)
(ここで、mは0から5の整数であり、R38は同じであっても異なっていてもよく、C1−12アルキル、C1−12アルキルアミノ、C1−12ジアルキルアミノ、C1−12アルコキシ、C3−10シクロアルキル、C2−12アルケニル、C7−12アラルキル、C7−12アルキルアリール、C6−12アリール、C5−12ヘテロアリール、C1−10 パーフルオロアルキル、シリル、アルキルシリル、パーフルオロアルキルシリル、トリアリールシリル及びアルキルシリルシリル基である。)
好ましくはR38基(又はそれぞれ)は、メチル、エチル、プロピル(例えばイソプロピル)又はブチル(例えばtert−ブチル)である。特に好ましくはメチルである。
【0114】
ストロンチウム前駆体は硝酸ストロンチウムであり得る。
【0115】
ストロンチウム前駆体には、ビス(1、1、1−トリフルオロペンタン−2、4−ジオナート)ストロンチウム、ビス(1、1、1、5、5、5−ヘキサフルオロペンタン−2、4−ジオナート)ストロンチウム、ビス(2、2、6、6−テトラメチル−3、5−ヘプタンジオナート)ストロンチウム又はビス(6、6、7、7、8、8、8−ヘプタフルオロ−2、2−ジメチル−3、5−オクタンジオナート)ストロンチウム又はそれらの付加物又は水和物が挙げられる。
【0116】
ストロンチウム前駆体には、ストロンチウム(C5(CH3)5)2、ビス((tert−Bu)3シクロペンタジエニル)ストロンチウム又はビス(n−プロピルテトラメチルシクロペンタジエニル)ストロンチウム又はそれらの付加物又は水和物が挙げられる。
【0117】
ストロンチウム前駆体には、ビス[N、N、N'、N'、N''−ペンタメチルジエチレントリアミン]ストロンチウム、[テトラメチル−n−プロピルシクロペンタジエニル][N、N、N'、N'、N''−ペンタメチルジエチレントリアミン]ストロンチウム又はそれらの付加物又は水和物が挙げられる。
【0118】
ここまで説明したリガンドのひとつ又はそれ以上に加えて、前駆体の金属は、アニオン性リガンド、中性一配位又は多配位付加リガンド及びルイス塩基リガンドから選択されるひとつ又はそれ以上の追加のリガンドを含み得る。金属は1から4(例えば2)の追加のリガンドを持ち得る。例えば、(それぞれの)追加のリガンドには、βジケトナート(又は硫黄又は窒素類自体)、ハロゲン化物、アミド、アルコキシド、カルボキシレート、置換又は無置換C1−6アルキル基(場合により、O、Si、N、P、Se又はSなどのヘテロ原子で中断されている)、ベンジル、カルボノル、脂肪族エーテル、チオエーテル、ポリエーテル、C1−12アルキルアミノ、C3−10シクロアルキル、C2−12アルケニル、C7−12アラルキル、C7−12アルキルアリール、C6−12アリール、C5−12ヘテロアリール、C1−10パーフルオロアルキル、シリル、アルキルシリル、パーフルオロアルキルシリル、トリアリールシリル、アルキルシリルシリル、グライム(例えば、ジメトキシエタン、ジグライム、トリフライム又はテトラグライム)、シクロアルケニル、シクロジエニル、シクロオクタテトラエニル、アルキニル、置換アルキニル、ジアミン、トリアミン、テトラミン、ホスフィニル、カルボニル、ジアルキルスルフィド、ビニルトリメチルシラン、アリルトリメチルシラン、アリールアミン、一級アミン、二級アミン、三級アミン、ポリアミン、環状エーテル又はピリジンアリール基などが挙げられる。追加のリガンドには、ピリジン、トルエン、テトラヒドロフラン、ビピリジン、窒素含有多座配位リガンド(例えば、N、N、N'、N'、N''−ペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA)又はN、N、N'、N'−テトラメチルエチレンジアミンなど)又はシッフ塩基が挙げられる。これらの中性一座配位又は多座配位付加リガンドは溶媒(例えばテトラヒドロフラン)から誘導され得る。
【0119】
好ましくは付加リガンドには、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジエチルエーテル、ジメトキシメタン、ジエトキシメタン、ジプロポキシメタン、1、2−ジメトキシエタン、1、2−ジエトキシエタン、1、2−ジプロポキシエタン、1、3−ジメトキシプロパン、1、3−ジプロポキシプロパン、1、2−ジメトキシベンゼン、1、2−ジエトキシベンゼン及び1、2−ジプロポキシベンゼンが挙げられる。
【0120】
前駆体は、溶媒に溶解、分散又は懸濁させることができ、溶媒としては、脂肪族炭化水素又は芳香族炭化水素(例えばキシレン、トルエン、ベンゼン、1、4−テトラブチルトルエン、1、3−ジイソプロピルベンゼン、テトラリン又はジメチルテトラリン)場合により安定剤と共に(例えば、ルイス塩基リガンド)、アミン(例えばオクチルアミン、NN−ジメチルドデシルアミン又はジメチルアミノプロピルアミン)、脂肪族又は脂環式エーテル(例えばテトラヒドロフラン)、グライム(例えば、ジグライム、トリグライ、テトラグライム)、C3−12アルカン(例えば、ヘキサン、オクタン、デカン、ヘプタン又はノナン)及び三級アミンが挙げられる。
【0121】
特に規定しない限り、ここで使用される用語アルキルには、直鎖又は分枝、非環式又は環式、C1−12アルキルであり、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシルが含まれる。好ましくは、ここで挙げたC1−12アルキルは、C1−8、特に好ましくはC1−6アルキルである。
【0122】
特に規定しない限り、ここで使用される用語アリールには、置換、単環又は多環状C6−12アリール基であり、場合により置換フェニール、ナフチル、キシレン及びフェニルタンを含む。
【0123】
本発明は、以下非限定的な実施例において説明される。
【0124】
本発明は以下、非限定的意味で実施例及び添付図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0125】
【図1】図1は、SrTO及びSrHf0.5Ti0.5の拡散反射スペクトルを示す。前記スペクトルは反射から吸収へKubelka−Munk関数を用いて変換され、光学バンドギャップが前記吸収端から外挿されて計算された。
【図2】図2は、本図は、(001)Nb−SrTiO基板上に堆積させたSrHf0.5Ti0.5フィルムのXRDパターンを示す。基板からのピークは矢印で示される。挿入図は、室温でのバルクのSrHf0.5Ti0.5からのXRDデータのRietveldフィッティングを示す(空間群Pm−3m、a=4.008±0.0002Å)。観察データ(点線)及び計算データ(実線)が上に示され、反射チックマーク及び調整された差プロフィールが下に示される。
【図3】図3の主図は、Nb−SrTiO基板上に成長させたSrHf0.5Ti0.5フィルムのXRD曲線を示すパターンを示す。上部の図は、Nb−SrTiO(S)及びSrHf0.5Ti0.5(F)の(−103)付近で記録されたCRD−Φスキャンを示す。下図は、[110]方向に沿ったSHTOフィルムの最終RHEEDイメージを示す。
【図4a】図4aは、測定周波数に依存する相対的誘電率(円形)及び損失タンジェント(lost tangent)(四角)を示す。
【図4b】図4bは、適用された電場を関数として、96nm厚さのSrHf0.5Ti0.5フィルム漏れ電流密度(星)及び相対的誘電率(円形)(100kHzでの)を示す。
【図5】図5は、(x)SrTiO−(1−x)SrHfOサンプルのXRDパターンを示す。
【図6a】図6aは、単結晶Nb−SrTiO(001)基板での測定から得られたバンドギャップを示す。
【図6b】図6bは、前記バルクサンプルのバンドギャップを決定するためのUV/VIS測定を示す。
【図7】図7は、(x)SrTiO−(1−x)SrHfOの格子定数を示す。
【図8】図8は、(x)SrTiO−(1−x)SrHfOの絶対誘電率を示す。
【図9】図9は、(x)SrTiO−(1−x)SrHfOのバンドギャップを示す。
【発明を実施するための形態】
【0126】
実施例1:
実験
試薬グレードのSrCO、HfO及びTiO前駆体から固体反応により、SrHf0.5Ti0.5及びSrTiOを合成した。前駆体の化学量論的混合物を最初にエタノール中で、イットリア安定化ジルコニアを用いて5時間ボールミルにかけた。粉末焼成は、12時間で順に1000℃、1300℃、1400℃及び1500℃で焼成して行った。各焼成の間に均一性を達成するために粉砕を行った。物理測定及びPLDターゲットとして適する高密度ペレットは、1550℃で12時間、粉末を焼成平衡加圧ディスクを用いて得られた。SrHf0.5Ti0.5フィルムは、(001)Nb−SrTiO(Nb0.5重量%、PI−KEM Ltd)単結晶導電性基板上に、PLD(Neocera)を248nmのKrFエキシマレーザー(Lambda Physik)を用いて行い堆積させた。成長は、二重差ポンプSTAIB高圧反射高エネルギ電子反射(RHEED)システムにてモニタした。SrHf0.5Ti0.5フィルムは、基板温度750℃で酸素圧100mTorrで堆積された。前記レーザーは、堆積中、繰り返し速度4Hz及びパルスエネルギ260mJであった。
【0127】
結果
バルクSrHf0.5Ti0.5及びSrTiOの粉末の拡散反射スペクトルは図1に示される。これらのスペクトルは、Perkin Elmer Lambda 650 S UV/VisスペクトルメータとLabshereの積算球を用いて、BaSOを反射標準品として190−900nmのスペクトル範囲で測定した。SrTiO及びSrHf0.5Ti0.5の光学バンドギャップはそれぞれ3.15及び3.47eVであった。SrHf0.5Ti0.5の光学バンドギャップは、純粋なSrTiOの光学バンドギャップより大きく、SrHfOの6.2eVよりは小さい(M.Sousaら、J.Appl.Phys.102、104103(2007)参照)。このことは、SrTiOのTiの一部をHfに置換することでバンドギャップを増加させることができることを意味する。
【0128】
図2は、 SrHf0.5Ti0.5フィルムのX線回折(XRD)を示す(PANalytical X−Pert回折メータとX−Celerator検出器及びCo Kα1放射線を用いて集めた)。SrHf0.5Ti0.5及びNb−SrTiO基板(格子定数c=3.905Å)に対応するピークが見える。SrHf0.5Ti0.5フィルムからの(00l)ピークは、(001)Nb−SrTiO基板上に対して高度に平面内(in−plane)に成長するエピタキシャル成長を確認するものである。XRDで決定されたSrHf0.5Ti0.5フィルムのc−格子定数は4.014±0.0002Åである。この値は、バルク材料のXRDデータのRietveld分析により決定された、バルクのSrHf0.5Ti0.5(立方空間群Pm−3m、a=4.008±0.0002Å)で得られた構造パラメータ(図2に挿入されている)と一致する。
【0129】
SrHf0.5Ti0.5フィルムのX線反射(XRR)測定(図3)は、弱い振幅の規則的な振動を示しその分離は96.2±1nm厚さに対応する(Philips X’Pert Powder MPD回折メータとPrefixアタッチメントとしてのEulerianクレードルと、CuKα1放射線とを用いて実施された)。平面内結晶性の評価は、図3に丈夫に挿入された図に示され、(−103)オフ軸反射のΦ−スキャンにより測定された。Φ−スキャンは、SrHf0.5Ti0.5フィルム及びNb−SrTiO基板とのエピタキシャル関係を明らかにする。Φ反射の半最大幅(FWHM)での大きい全幅及びそれらの弱い強度は、広い程度の平面内構造により説明される。SrHf0.5Ti0.5フィルム堆積プロセスの際、高品質RHEED振動がプロセス中に使用される高酸素圧(100mmTorr)で得られなかった。しかし、最終フィルムのRHEEDは、良好に並んだ明るいストリーク(図3の下部に挿入)を示し、これはSrHf0.5Ti0.5フィルムが滑らかな表面を持って十分結晶化されていることを示す。
【0130】
0.5重量%Nb(001)Nb−SrTiO基板は導電性であり(Y.Huangら、Chinese Sci.Bull.51、3(2006);及びH.B.Luら、Appl.Phys.Lett.84、5007(2004)参照)、抵抗値4x10−4Ωcmを持つ。分離スぺース1mmの円形Au接続電極(φ=290μm)がSrHf0.5Ti0.5フィルム上にスパッタされた。前記フィルムの誘電率及び漏れ電流密度が、室温(293K)で、LCR Agilent E4980Aメータを用いて測定された(周波数範囲20〜2MHzおよびバイアス電圧±40V)。全ての測定は室温(193K)で実施された。
【0131】
SrHf0.5Ti0.5フィルムの相対的誘電率及び損失タンジェントの周波数依存が図4aに示される。10kHzで、フィルムの相対的誘電率は62.8であり、これは SrHfO3で報告されている値35よりも非常に大きい(Sousa[supra]参照)。10kHzでのSrHf0.5Ti0.5フィルムの損失タンジェントは、0.07未満であり、これはHfOと好ましいことに同程度である(S.W.Jeongら、Thin Solid Films515、526(2007)参照)。SrHf0.5Ti0.5フィルムの適用される電場を関数とする(100kHzでの)性能が図4bに示される。SrHf0.5Ti0.5フィルムの相対的誘電率は、600kV/cmまでの電場適用につきほんの0.9%のみ変化し、このことは、極端な電場の下でも安定であることを示す(Z.C.Quanら、Thin Solid Films516、999(2008);及びW.F.Qinら、J.Mater.Sci.42、8707(2007)参照)。
【0132】
600kV/cmでの漏れ電流密度(J)は4.63x10−4A/cmであり、HfOなどの誘電材料と同程度である(S.W.Jeong[supra];及びB.D.Ahnら、Mater.Sci.Semicon.Process.9、6(2006)参照)。しかしこれはTiN上のSrHfOフィルムよりは大きい(G.Lupinaら、Appl.Phys.Lett.93、3(2008)参照)。
【0133】
結論
3.4.7eVバンドギャップを持つSrHf0.5Ti0.5フィルムはNb−SrTiO3 基板上に750℃で、100mTorr酸素下で堆積された。得られたエピタキシャルフィルムは相対誘電率62.8、低損失タンジェント0.07を持ち、低漏れ電流密度及び高電場適用に下でも安定性を併せ持つ。これは、SrTiO中のTiをHfに置換することを介して高誘電率及びバンドギャップが補強されたことを意味する.SrHf0.5Ti0.5フィルムは従って、シリコン系集積回路のための、high−kゲート誘電体の有力な候補材料である。
【0134】
実施例2:
説明
(x)SrTiO−(1−x)SrHfO固体溶液中でのバルクセラミックサンプルが、PLD薄フィルムと性質比較(格子定数、誘電率及びバンドギャップ)するために製造された。
【0135】
合成
粉末サンプルは、SrCO、HfO及びTiO前駆体の固体反応により合成された。粉末は最初ボールミルにかけ、十分な混合を確認した。その後各焼成の間にも手動で粉砕を行った。焼成は、1000℃から1500℃へ温度増加させて行った。平衡加圧ディスクの焼成は1550℃で行った。
【0136】
結果
4つの組成物が得られた。x=0.75、0.50、0.33及び0.20であった。以下の表1にこの実施例で製造したSrHf1−xTixO(0≦x≦1)の格子定数、誘電率及びバンドギャップが与えられる。
【0137】
粉末及び焼成ペレット表面(STOE透過率を用いた)のXRDは、一連のSrTiO−SrHfOの単一相組成物であることを確認した。図5は前記サンプルのXRDパターンを重ねて示す。格子はHf含有量が増えると大きくなる(ピークはより小さい2θへ移動する)。
【0138】
上記パターンのプロフィールフィッティングが格子定数を見積もるために実施された。データは立方Pm−3m空間群に適合した。これはSrTiO構造である。しかしSrHfOは小さい斜方晶系歪(Pnma)を持つ。これらのサンプル及びSTOE解析について、斜方晶分離はこの組成物には見られなかった。決定された値は表1にまとめられている。
【0139】
SrHfOの格子定数は実際は疑斜方晶近似であるがほんのやや歪んだ微妙な斜方晶セルである。一般的に単位セルはHfを添加すると直線的に拡張する。この傾向は図7にも見られる。
【0140】
バルクペレットサンプルの誘電率k’が室温及び1kHzでSolatron装置を用いて測定された。得られた容量値はサンプル寸法に合わせて規格化された。誘電率k’値はHf含有量が増えると増加することが観察された。測定値は表1にまとめられ図8にプロットされる。SrHfO及びSrTiOの報告された文献値間を直線補間して比較すると、測定されたバルク値はやや小さい。このことは、焼成ペレットの非理想的密度の結果と考えられる。サンプル密度は85〜90%と推定される。
【0141】
UV/vis測定は、バルクサンプルのバンドギャップを決めるために行われた。データは図6bに示される。SrTiOのバンドギャップは単結晶Nb−SrTiO(001)基板上での測定から得られた(データは図6aに示される)。バルクサンプル対単結晶サンプルの吸収スペクトルを測定するために測定された形状及び吸収強度は異なるけれど、外挿されたバンドギャップ値はよく一致する。これらの値は表1にまとめられ、図9にプロットされている。
【0142】
バンドギャップはHf含有量が増えると直線的に増加する。測定されたSrTiO値は文献値とよく一致する。しかし、いくつかの文献には、SrHfOが5〜6eVであると報告されている。図9の直線傾向に基づくと、SrHfOのバンドギャップは約4eVであると予想される。この違いの理由は不明である。本システムが、SrHfOへ近づく組成では非直線的にバンドギャップの増加が見られるということもあり得る。またこれまで報告された値が過大評価されているということもあり得る。
【0143】
【表1】

実施例3: Sr(Hf1−xTi)Oの製造プロセス
混合金属酸化物Sr(Hf1−xTi)Oのフィルムは、次の前駆体を用いて反応装置(OpaL ALD(Oxford Instruments Limited))中で製造された。
【0144】
前駆体P1:ビス(2、2、6、6−テトラメチルヘプタン−3、5−ジオナート)ストロンチウム(原料温度170℃)、前駆体P2:ビス(メチル−η−シクロペンタジエニル)メトキシメチルハフニウム(原料温度80℃)、前駆体P3: チタニウム(IV)イソプロポキシド(原料温度50℃)。
【0145】
反応装置は、圧力1〜2mbarに維持し、基板温度は300℃に維持する。
【0146】
パージガスは200sccmのアルゴンである。
【0147】
nサイクルのそれぞれの堆積サイクルでのステップの時間が次の通りである:
{[P1、2秒/パージ2秒/HO、0.5秒/パージ3.5秒]、[P2、2秒/パージ2秒/HO、0.5秒/パージ3.5秒]、[P3、2秒/パージ2秒/HO、0.5秒/パージ3.5秒](x:y約1:1〜1:3)。
【0148】
実施例4: Sr(Zr1−xTi)Oの製造プロセス
混合金属酸化物Sr(Zr1−xTi)Oのフィルムは、次の前駆体を用いて反応装置(OpaL ALD(Oxford Instruments Limited))中で製造された。
【0149】
前駆体P1:ビス(2、2、6、6−テトラメチルヘプタン−3、5−ジオナート)ストロンチウム(原料温度170℃)、前駆体P2:ビス(メチル−η−シクロペンタジエニル)メトキシメチルジルコニウム(原料温度70℃)、前駆体P3:チタニウム(IV)イソプロポキシド(原料温度50℃)。
【0150】
反応装置は、圧力2mbarに維持し、基板温度は325℃に維持する。
【0151】
パージガスは300sccmのアルゴンである。
【0152】
nサイクルのそれぞれの堆積サイクルでのステップの時間が次の通りである:
{[P1、2秒/パージ2秒/HO、0.5秒/パージ3.5秒]、[P2、2秒/パージ2秒/HO、0.5秒/パージ3.5秒]、[P3、2秒/パージ2秒/HO、0.5秒/パージ3.5秒](x:y約1:1〜1:3)。
【0153】
実施例5: Sr(Hf1−xTi)Oの製造プロセス
混合金属酸化物Sr(Hf1−xTi)Oのフィルムは、次の前駆体を用いて反応装置(OpaL ALD(Oxford Instruments Limited))中で製造された。
【0154】
前駆体P1:Sr(tert−BuCp)2、前駆体P2:Hf(HNEtMe)4、前駆体P3:Ti(OMe
【0155】
反応装置は、圧力1〜2mbarに維持し、基板温度は300℃に維持する。パージガスは200sccmのアルゴンである。
【0156】
nサイクルのそれぞれの堆積サイクルでのステップの時間が次の通りである:
{[P1、1秒/パージ2秒/HO、0.5秒/パージ5秒]、[P2、1秒/パージ2秒/HO、0.5秒/パージ5秒]、[P3、1秒/パージ2秒/HO、0.5秒/パージ5秒](x:y約1:1〜1:3)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式、SrM1−xTiを持つ混合金属酸化物(ここで、0<x<1、及びMはHf又はZrを示す)。
【請求項2】
請求項1に記載の混合金属酸化物であり、0<x<0.99である混合金属酸化物。
【請求項3】
請求項1又は2のいずれか一項に記載の混合金属酸化物であり、前記ストロンチウム−ハフニウム−チタニウム酸化物が、35を超える誘電率を示す混合金属酸化物。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の混合金属酸化物であり、バンドギャップが3.10eV以上を示す、混合金属酸化物。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の混合金属酸化物であり、実質的に単相である、混合金属酸化物。
【請求項6】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の混合金属酸化物であり、前記MがHfである、混合金属酸化物。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の混合金属酸化物および、ストロンチウム、M及びチタニウムのひとつ又はそれ以上の、ひとつ又はそれ以上の酸化物を含む、混合金属酸化物。
【請求項8】
機能装置であり:基板及び前記基板上に設けられたエレメントを含み、前記エレメントが、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の混合金属酸化物又はそれらの組成物を含む、機能装置。
【請求項9】
請求項8に記載の機能装置であり、電気、電子、磁気、機械、光学又は熱装置である、機能装置。
【請求項10】
請求項8又は9のいずれか一項に記載の機能装置であり、前記基板がシリコンである、機能装置。
【請求項11】
請求項8乃至10のいずれか一項に記載の電場効果トランジスタ装置である機能装置であり、前記基板が基板層であり、前記エレメントが前記基板層上に設けられたゲート誘電体であり、前記電場効果トランジスタがさらに前記ゲート誘電体上にゲートを有する、機能装置。
【請求項12】
請求項11に記載の機能装置であり、前記装置がMOSFET装置である、機能装置。
【請求項13】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の混合金属酸化物又はそれらの組成物を、電気、電子、磁気、機械、光学又は熱装置として又は装置内で誘電体としての使用。
【請求項14】
請求項8乃至12のいずれか一項に記載の機能装置の製造のためのプロセスであり:ストロンチウム前駆体、ハフニウム前駆体又はジルコニウム前駆体及びチタニウム前駆体の別々の揮発量を、閉鎖環境内で順に前記基板に暴露することを含む、プロセス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5】
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【図6a】
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【図6b】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2012−523361(P2012−523361A)
【公表日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−504084(P2012−504084)
【出願日】平成22年4月7日(2010.4.7)
【国際出願番号】PCT/GB2010/050599
【国際公開番号】WO2010/116184
【国際公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(508346000)ザ ユニバーシティ オブ リバプール (5)
【氏名又は名称原語表記】THE UNIVERSITY OF LIVERPOOL
【Fターム(参考)】