説明

混合除草組成物

【課題】有用植物生育地に発生する望ましくない雑草に対して高活性で殺草スペクトラムが広く残効性に優れ、かつ有用植物に対して高い安全性を有する除草剤を提供する。
【解決手段】(A)一般式(I)
【化1】


(式中のRは水素原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数2〜6のアルコキシアルキル基である)で表されるジフルオロメタンスルホニルアニリド化合物又はその塩から選ばれる化合物と、
(B)ピラクロニル、イマゾスルフロン、エスプロカルブ、メタミホップ、トリアジフラム、ピラゾキシフェン、2,4−D、エトベンザニド、メソトリオン、AVH−301(試験番号)および除草用微生物から選ばれる少なくとも1種類とを有効成分として含有することを特徴とする混合除草組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有用植物の栽培において望ましくない雑草の選択的防除に適した除草活性成分の組合わせを含んで成る新規な混合除草組成物、それを用いた雑草の防除方法、及びその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
これまでに種々の除草剤が開発されており、農業生産性および省力化に寄与してきた。しかしながら、ある種の除草剤は長年にわたり使用されてきたため、これら除草剤が効かない難防除雑草が増えてきており、殺草スペクトラムが広く且つこれら難防除雑草に対しても有効な除草剤の出現が望まれている。また、従来の除草剤による環境汚染問題を解消するため、高活性且つ低薬量で有効な除草剤の開発も望まれている。さらには、長期間にわたる雑草の不斉一発生に対処するため、残効性に優れ、且つ雑草の発生前から生育期までの広範囲の時期にわたって処理しても有効な処理適期幅の広い除草剤の出現も望まれている。また、従来の除草剤使用において、温度、風や光等の気象条件、土性や土壌有機物含量等の土壌条件、浅い移植深度や深水管理等の栽培管理条件、除草剤の不均一散布や過量散布等の薬剤施用条件等種々の要因により作物に薬害が発生する場合があることが知られているが、このような条件下でも作物に薬害の心配のない高い安全性を有する除草剤も望まれている。
【0003】
特許文献1には、除草活性化合物としてジフルオロメタンスルホニルアニリド化合物が既に知られている。
【0004】
非特許文献1及び非特許文献2には、ピラクロニル、AVH−301(試験番号;化合物名:2−{2−クロロ−4−メシル−3−[(テトラヒドロフラン−2−イルメトキシ)メチル]ベンゾイル}シクロヘキサン−1,3−ジオン)、イマゾスルフロン、ハロスルフロンメチル、エスプロカルブ、オキサジアゾン、メタミホップ、クミルロン、クロマゾン、トリアジフラム、ペノキススラム、ピラゾキシフェン、2,4−D、MCPA、シクロスルファムロン、アジムスルフロン、エトベンザニド、エトキシスルフロン、シノスルフロン、フルセトスルフロン、ピリベンゾキシム、メソトリオン等が除草活性を示すことが記載されている。
【0005】
非特許文献3には、ドレクスレラモノセラス(Drechslera monoceras) は、植物病原性不完全菌(MTB−951株)であり、特にヒエ類に除草作用を示すことが知られている。
【0006】
しかしながら、これらの除草剤のみでは、望まれるような広範囲な殺草スペクトラム、長期間にわたる雑草の生育制御効果および有用植物保護のための十分な効果が得られない場合がある。
【特許文献1】特開2000−44546号公報
【非特許文献1】The Pesticide Manual 第13版、2004年(British Crop Protection Council発行)
【非特許文献2】Ag Chem New Compound Review 2006 (AGRANOVA発行)
【非特許文献3】Weed Biology and Management 第4巻(2)(2004年)、71−74頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、従来の除草剤が有していた前記の如き問題点を解決し、望ましくない雑草に対して高活性で殺草スペクトラムが広く残効性に優れ、かつ有用植物に対して高い安全性を有する除草剤を提供することにある。
【0008】
本発明者らは、上記の問題点を解決すべく鋭意検討した結果、本発明の混合除草組成物が水田や畑作、園芸、芝地などに発生する多種類の望ましくない雑草を長期間防除することが可能であり、かつ有用植物に対しては高い安全性を有することを見出した。驚いたことに、本発明の混合除草組成物は、発芽前及び発芽後生育中の両方において、望ましくない雑草の大部分、特に有用植物生育地に発生する望ましくない雑草を防除することができ、有用植物に対してほとんど害を与えないということを明らかにし、本発明を完成した。
【0009】
すなわち、本発明は、下記の(1)〜(17)に関するものである。
【0010】
(1) (A)一般式(I)
【0011】
【化1】

【0012】
(式中のRは水素原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数2〜6のアルコキシアルキル基である)で表されるジフルオロメタンスルホニルアニリド化合物又はその塩から選ばれる化合物(成分A)と、
(B)ピラクロニル、イマゾスルフロン、エスプロカルブ、メタミホップ、トリアジフラム、ピラゾキシフェン、2,4−D、エトベンザニド、メソトリオン、AVH−301(試験番号)および除草用微生物から選ばれる少なくとも1種類(成分B)とを有効成分として含有することを特徴とする混合除草組成物。
【0013】
(2)成分Bが、ピラクロニルである前記(1)に記載の混合除草組成物。
【0014】
(3)成分Bが、AVH−301である前記(1)に記載の混合除草組成物。
【0015】
(4)成分Bが、イマゾスルフロンである前記(1)に記載の混合除草組成物。
【0016】
(5)成分Bが、エスプロカルブである前記請求項1に記載の混合除草組成物。
【0017】
(6)成分Bが、メタミホップである前記(1)に記載の混合除草組成物。
【0018】
(7)成分Bが、トリアジフラムである前記(1)に記載の混合除草組成物。
【0019】
(8)成分Bが、ピラゾキシフェンである前記(1)に記載の混合除草組成物。
【0020】
(9)成分Bが、2,4−Dである前記(1)に記載の混合除草組成物。
【0021】
(10)成分Bが、エトベンザニドである前記(1)に記載の混合除草組成物。
【0022】
(11)成分Bが、メソトリオンである前記(1)に記載の混合除草組成物。
【0023】
(12)成分Bが、除草用微生物である前記(1)に記載の混合除草組成物。
【0024】
(13)成分Bが、ドレクスレラモノセラス(Drechslera monoceras、 MTB−951株)である前記(1)に記載の混合除草組成物。
【0025】
(14)除草有効量の前記(1)〜(13)に記載の混合除草組成物を、有用植物を生育させようとする若しくは生育している場所に対して作用させ、有用植物中の望ましくない雑草の成長を制御する方法。
【0026】
(15)望ましくない雑草の成長を制御するための前記(1)〜(13)に記載の混合除草組成物の使用。
【0027】
(16)有用植物が、水田作物、畑地作物、園芸作物、芝、果樹、非農耕地栽培植物である前記(14)に記載の方法。
【0028】
(17)有用植物を生育させようとする若しくは生育している場所が水田、畑地、芝地又は非農耕地である前記(14)に記載の方法。
【発明の効果】
【0029】
本発明の混合除草組成物は、有用植物生育地に発生する望ましくない雑草に対して幅広い殺草スペクトラムを有し、さらには、既存の除草剤に比べて薬剤処理適期幅が広く、望ましくない雑草の発生を長期間にわたって抑制し、しかも有用植物に対して薬害を生じさせず、栽培の省力化と作物の増産に寄与することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本発明において、成分Aの一般式(1)で表される化合物中のRは、好ましくは、水素原子、炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐のアルキル基又は炭素数2〜6の直鎖もしくは分岐のアルコキシアルキル基である。アルキル基としては水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、1−メチルブチル基、ヘキシル基などが好ましく、特にエチル基などが好ましい。アルコキシアルキル基としては、メトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、3−エトキシプロピル基、1−メチル−3−メトキシブチル基などが好ましく、特にメトキシメチル基などが好ましい。
【0031】
また、一般式(I)で表されるジフルオロメタンスルホニルアニリド化合物又はその塩は、ハロスルフロンメチル、オキサジアゾン、クミルロン、クロマゾン、ペノキススラム、MCPA、シクロスルファムロン、アジムスルフロン、エトキシスルフロン、シノスルフロン、フルセトスルフロン、ピリベンゾキシムなどから選ばれる少なくとも1種類の化合物とも混合して使用することもできる。
【0032】
さらに本発明において、成分Bから2種以上を混合しても良好な除草効果が得られる。
【0033】
さらに、本発明の混合除草組成物は、各単剤の除草効果に比べ除草効果の発現や完成が速まったり、さらに各々の単剤の除草効果からは推定ができないほどの高い除草効果を示すとともに、幅広い殺草スペクトラムを有する。
【0034】
例えば、本発明の混合除草組成物は、水田に発生する一年生雑草のタイヌビエやイヌビエ等のノビエ類、タマガヤツリ、ヒナガヤツリ等のカヤツリグサ類、コナギ、ミズアオイ等のミズアオイ科雑草、アゼナ類、アブノメ等のゴマノハグサ科雑草、キカシグサ、ヒメミソハギ等のミソハギ科雑草、ミゾハコベ等及び多年生雑草であるウリカワ、オモダカ類等のオモダカ科雑草、ミズガヤツリ、シズイ、クログワイ、イヌホタルイ、コウキヤガラ、マツバイ等のカヤツリグサ科雑草、ヒルムシロ、セリ等を、また、畑地や芝地、非農耕地などに発生するノビエ類、メヒシバ類、エノコログサ類、スズメノカタビラ、オヒシバ等のイネ科雑草、ヒメジョン、ハルジョン、オオアレチノギク等のキク科雑草、ハマスゲ、ヒメクグ、カヤツリグサ等のカヤツリグサ科雑草、ミミナグサ、ハコベ等のナデシコ科雑草、イヌノフグリ類のゴマノハグサ科雑草、タデ類、スイバ類のタデ科雑草、アオビユ、イヌビユ等のヒユ科雑草、ツユクサ、マルバツユクサ等のツユクサ科雑草、スギナ、イヌスギナ等のトクサ科雑草、ニシキソウ類のトウダイグサ科雑草、チドメグサ類のセリ科雑草等の発芽前から生育期の広い範囲にわたって防除することができ、有用植物に対しては高い安全性を示す。なお、ここで言う「有用植物」には、育種法や遺伝子工学的方法によって除草剤又は除草剤群に対して耐性となっているものも含まれる。
【0035】
本発明の混合除草組成物は、対象場面、対象作物、望ましくない雑草の種類や雑草の状態、散布時期、散布方法、製剤型等により異なるものであり、必要に応じて広い範囲で混合割合、散布量を変えることが可能である。
【0036】
配合割合は、一般的に重量比で成分Aの1部に対して、成分Bを0. 1〜2000部、好ましくは0.2〜1500部、特に好ましくは0.5〜1000部の範囲内で配合することが望ましい。
【0037】
また、本発明の混合除草組成物は必要に応じて殺虫剤、殺菌剤、他の除草剤、植物生長調節剤、微生物、肥料等と混用してもよい。
【0038】
本発明の混合除草組成物は、使用するにあたっては有効成分それ自体で用いてもよいが、必要に応じ農薬製剤に通常用いられる添加成分を含有することができる。
【0039】
この添加成分としては、固体担体又は液体担体等の担体、界面活性剤、結合剤、粘着付与剤、増粘剤、着色剤、拡展剤、展着剤、凍結防止剤、固結防止剤、崩壊剤、分解防止剤等があげられる。
【0040】
その他必要に応じ、防腐剤や、植物片等を添加成分として用いてもよい。
【0041】
これらの添加成分は単独で用いてもよいし、また、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0042】
上記添加成分について説明する。
【0043】
固体担体としては、例えば石英、クレー、カオリナイト、ピロフィライト、セリサイト、タルク、ベントナイト、酸性白土、アタパルジャイト、ゼオライト、珪藻土等の天然鉱物質類、炭酸カルシウム、硫酸アンモニウム、硫酸ナトリウム、塩化カリウム等の無機塩類、合成ケイ酸、合成ケイ酸塩、デンプン、セルロース、植物粉末等の有機固体担体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリデン等のプラスチック担体等があげられる。これらは単独で用いてもよいし、また、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0044】
液体担体としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール等の一価アルコール類や、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコール類のようなアルコール類、プロピレン系グリコールエーテル等の多価アルコール系化合物類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、エチルエーテル、ジオキサン、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、ノルマルパラフィン、ナフテン、イソパラフィン、ケロシン、鉱油等の脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン、ソルベントナフサ、アルキルナフタレン等の芳香族炭化水素類、ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類、酢酸エチル、ジイソプロピルフタレート、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、アジピン酸ジメチル等のエステル類、γ‐ブチロラクトン等のラクトン類、ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N‐アルキルピロリジノン等のアミド類、アセトニトリル等のニトリル類、ジメチルスルホキシド等の硫黄化合物類、大豆油、ナタネ油、綿実油、ヒマシ油等の植物油、水等をあげることができる。これらは単独で用いてもよいし、また、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0045】
界面活性剤としては、例えばソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン樹脂酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸ジエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンジアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、アルキルポリオキシエチレンポリプロピレンブロックポリマーエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレン脂肪酸ビスフェニルエーテル、ポリアルキレンベンジルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンスチリルフェニルエーテル、アセチレンジオール、ポリオキシアルキレン付加アセチレンジオール、ポリオキシエチレンエーテル型シリコーン、エステル型シリコーン、フッ素系界面活性剤、ポリオキシエチレンひまし油、ポリオキシエチレン硬化ひまし油等の非イオン性界面活性剤、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、リグニンスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物の塩、アルキルナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物の塩、脂肪酸塩、ポリカルボン酸塩、N‐メチル‐脂肪酸サルコシネート、樹脂酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸塩等のアニオン性界面活性剤、ラウリルアミン塩酸塩、ステアリルアミン塩酸塩、オレイルアミン塩酸塩、ステアリルアミン酢酸塩、ステアリルアミノプロピルアミン酢酸塩、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、アルキルジメチルベンザルコニウムクロライド等のアルキルアミン塩等のカチオン界面活性剤、アミノ酸型又はベタイン型等の両性界面活性剤等があげられる。
【0046】
これらの界面活性剤は単独で用いてもよいし、また、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0047】
また、結合剤や粘着付与剤としては、例えばカルボキシメチルセルロースやその塩、デキストリン、水溶性デンプン、キサンタンガム、グアーガム、蔗糖、ポリビニルピロリドン、アラビアゴム、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ポリアクリル酸ナトリウム、平均分子量6000〜20000のポリエチレングリコール、平均分子量10万〜500万のポリエチレンオキサイド、燐脂質(例えばセファリン、レシチン等)等があげられる。
【0048】
増粘剤としては、例えばキサンタンガム、グアーガム、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、アクリル系ポリマー、デンプン系化合物及び水溶性多糖類のような水溶性高分子、高純度ベントナイト、フュームド シリカ(fumed silica,ホワイトカーボン)のような無機微粉等があげられる。
【0049】
着色剤としては、例えば酸化鉄、酸化チタン、プルシアンブルーのような無機顔料、アリザリン染料、アゾ染料、金属フタロシアニン染料のような有機染料等があげられる。
【0050】
拡展剤としては、例えばシリコーン系界面活性剤、セルロース粉末、デキストリン、加工デンプン、ポリアミノカルボン酸キレート化合物、架橋ポリビニルピロリドン、マレイン酸とスチレン類の共重合体、(メタ)アクリル酸系共重合体、多価アルコールからなるポリマーとジカルボン酸無水物とのハーフエステル、ポリスチレンスルホン酸の水溶性塩等があげられる。
【0051】
展着剤としては、例えばパラフィン、テルペン、ポリアミド樹脂、ポリアクリル酸塩、ポリオキシエチレン、ワックス、ポリビニルアルキルエーテル、アルキルフェノールホルマリン縮合物、合成樹脂エマルション等があげられる。
【0052】
凍結防止剤としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコール類等があげられる。
【0053】
固結防止剤としては、例えばデンプン、アルギン酸、マンノース、ガラクトース等の多糖類、ポリビニルピロリドン、フュームド シリカ(fumed silica,ホワイトカーボン)、エステルガム、石油樹脂等があげられる。
【0054】
崩壊剤としては、例えばトリポリリン酸ソーダ、ヘキサメタリン酸ソーダ、ステアリン酸金属塩、セルロース粉末、デキストリン、メタクリル酸エステル系の共重合体、ポリビニルピロリドン、ポリアミノカルボン酸キレート化合物、スルホン化スチレン・イソブチレン・無水マレイン酸共重合体、デンプン・ポリアクリロニトリルグラフト共重合体等があげられる。
【0055】
分解防止剤としては、例えばゼオライト、生石灰、酸化マグネシウム等の乾燥剤、サリチル酸系、ベンゾフェノン系等の紫外線吸収剤等があげられる。
【0056】
防腐剤としては、例えばソルビン酸カリウム、1,2‐ベンズチアゾリン‐3‐オン等があげられる。
【0057】
植物片としては、例えばおがくず、ヤシガラ、トウモロコシ穂軸、タバコ茎等があげられる。
【0058】
本発明の混合除草組成物に上記添加成分を含有させる場合、その含有割合は、質量基準で、担体では通常5〜95%、好ましくは20〜90%、界面活性剤では通常0.1%〜30%、好ましくは0.5〜10%、その他の添加剤では0.1〜30%、好ましくは0.5〜10%の範囲で選ばれる。
【0059】
本発明の混合除草組成物は、液剤、乳剤、水和剤、粉剤、油剤、顆粒水和剤、フロアブル剤、乳懸濁剤、粒剤、微粒剤、ジャンボ剤、サスポエマルション、マイクロカプセル等の任意の剤型に製剤化して使用される。
【0060】
この製剤化時に、成分A及び成分B以外の農薬、例えば他の除草剤、殺虫剤、殺菌剤、植物成長調節剤や、肥料等との混合組成物とすることもできる。
【0061】
本発明の混合除草組成物は、使用に際し、直接施用してもよいし、使用目的に応じた濃度に希釈して、茎葉散布、土壌施用または水面施用等により使用される。また、本発明の混合除草組成物はあらかじめ混合して使用してもよいし、目的に応じて順次使用してもよい。
【0062】
本発明の混合除草組成物の製剤中の有効成分量は必要に応じて適宜選ばれる。粉剤、微粒剤または粒剤とする場合は0.01〜80%(重量)、好ましくは0.05〜50%(重量)の範囲から選択するのが好ましい。また、乳剤、液剤、フロアブル剤、水和剤及び顆粒水和剤とする場合は1〜90%(重量)、好ましくは5〜80%(重量)の範囲から選択するのが好ましい。
【0063】
本発明の混合除草組成物の施用量は含有する有効成分の種類、対象雑草、発生傾向、環境条件、使用する製剤の剤型等によって変わる。
【0064】
粉剤、微粒剤又は粒剤の場合には、有効成分として10アール当り0.1g〜5kg、好ましくは0.5g〜1kgの範囲から選択して使用する。
【0065】
乳剤、液剤、フロアブル剤、水和剤又は顆粒水和剤等で水に希釈して使用する場合には、使用時の有効成分濃度として一般的に10〜100,000ppmの範囲から選択して使用する。
【実施例】
【0066】
次に本発明の混合除草組成物に関する実施例をあげて説明する。有効成分、添加剤の種類及び配合比率は、これのみに限定されることなく広い範囲で変更可能である。また、以下の例で化合物A−1とは、一般式(1)においてRがメトキシメチル基である化合物、すなわち2−{(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)ヒドロキシメチル}−6−メトキシメチル−N−ジフルオロメタンスルホニルアニリドを示す。
【0067】
尚、以下の説明において「部」は重量部を意味する。
【0068】
〈実施例1〉 水和剤
化合物A−1 1部
ピラクロニル 7部
ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル 0.5部
β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩 0.5部
珪藻土 20部
クレー 71部
以上を混合粉砕し、水和剤を得る。
【0069】
〈実施例2〉 水和剤
化合物A−1 1部
AVH−301 10部
ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル 0.5部
β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩 0.5部
珪藻土 20部
クレー 68部
以上を混合粉砕し、水和剤を得る。
【0070】
〈実施例3〉 水和剤
化合物A−1 1部
メソトリオン 10部
ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル 0.5部
β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩 0.5部
珪藻土 20部
炭酸カルシウム 68部
以上を混合粉砕し、水和剤を得る。
【0071】
〈実施例4〉 顆粒水和剤
化合物A−1 10部
AVH−301 10部
リグニンスルホン酸ナトリウム 5部
ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル 1部
ポリカルボン酸ナトリウム 3部
ホワイトカーボン 5部
α化デンプン 1部
炭酸カルシウム 65部
水 10部
以上を加え混合練り押し造粒する。得られた粒状物を流動層乾燥機で乾燥し、顆粒水和剤を得る。
【0072】
〈実施例5〉 フロアブル剤
水 62.9部
化合物A−1 5部
メソトリオン 15部
リグニンスルホン酸ナトリウム 2部
ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸アンモニウム 4部
ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル 0.5部
キタンサンガム 0.1部
ベントナイト 0.5部
エチレングリコール 10部
以上を高速撹拌機で混合し、湿式粉砕機で粉砕しフロアブル剤を得る。
【0073】
〈実施例6〉 粒剤
化合物A−1 1部
ピラクロニル 7部
タルクとベントナイトを1:3の割合で混合した増量剤 77部
ホワイトカーボン 10部
界面活性剤ポリオキシエチレンソルビタンアルキレート、
ポリオキシエチレンアルキルアリールポリマー及び
アルキルアリールスルホネートの混合物 5部
水 10部
以上を加え、よく練ってペースト状としたものを直径1mmのふるい穴から押し出して乾燥した後、0.5〜1mmの長さに切断し、粒剤を得る。
【0074】
次に試験例をあげて本発明の混合除草組成物の奏する効果を説明する。
【0075】
〈試験例1〉水田における除草効果試験
1/2000アールのプラスチックポットに水田土壌を充填し、施肥、代かき後、タイヌビエ(Eo)、コナギ(Mo)、イヌホタルイ(Sc)、イボクサ(An)の各種子を播種、およびミズガヤツリ(Cs)の塊茎を埋めて水深1cmに湛水した。また、同じポットに水稲(Or)を移植し、温室内で育成した。その後、タイヌビエが2.5葉期に達した段階で湛水深3cmとし、実施例1に準じて調製した水和剤の所定量を水で希釈して水面に施用した。その後は湛水深3cmを維持して育成し、処理25日目に表1に示した基準に従って除草効果および薬害程度を指数で表示した。結果を表2に示す。尚、薬量は10アールあたりの有効成分量で示した。
【0076】
〔表1〕
―――――――――――――――――――――――――――
指数 除草効果及び薬害程度(地上部の生育抑制度)
―――――――――――――――――――――――――――
10 95%以上の生育抑制
9 85%以上95%未満の生育抑制
8 75%以上85%未満の生育抑制
7 65%以上75%未満の生育抑制
6 55%以上65%未満の生育抑制
5 45%以上55%未満の生育抑制
4 35%以上45%未満の生育抑制
3 25%以上35%未満の生育抑制
2 15%以上25%未満の生育抑制
1 5%以上15%未満の生育抑制
0 5%未満の生育抑制
―――――――――――――――――――――――――――
【0077】
【表2】

【0078】
〈試験例2〉水田における除草効果試験
1/2000アールのプラスチックポットに水田土壌を充填し、施肥、代かき後、タイヌビエ(Eo)、コナギ(Mo)、イヌホタルイ(Sc)、イボクサ(An)の各種子を播種およびミズガヤツリ(Cs)の塊茎を埋めて水深1cmに湛水した。また、同じポットに水稲(Or)を移植し、温室内で育成した。その後、タイヌビエが2葉期に達した段階で湛水深10cmとし、ドレクスレラモノセラス(MTB−951株)の分生子を2.5×1010個/10アールとなるように調製し、実施例1に準じて調整した化合物A−1の水和剤の所定量を水で希釈した散布液に混合して水面に施用した。その後は湛水深10cmを維持して育成し、処理25日目に表1に示した基準に従って除草効果および薬害程度を指数で表示した。結果を表3に示す。尚、薬量は10アールあたりの有効成分量で示した。
【0079】
【表3】

【0080】
尚、薬量の単位は、化合物A−1が「g ai/10a」であり、ドレクスレラモノセラスが「個/10a」である。
〈試験例4〉 直播水稲における茎葉処理除草効果試験
1/10000アールのプラスチックポットに水田土壌を充填し、施肥、代かき後、水稲(Or)、イヌビエ(Ec)、アゼガヤ(Le)、タマガヤツリ(Cy)の各種子を播種した。その後、温室内で育成し、水稲、イヌビエ、タマガヤツリが4葉期、アゼガヤが5−6葉期に達した時点で、実施例1に準じて調製した水和剤の所定量を水で希釈し、化合物Aには展着剤サーファクタントを散布水量の0.1%となるように調整して、植物体全体に茎葉処理した。その後、処理2日後に湛水深3cmとして、再び温室内で育成し、処理後30日目に表1に示した基準に従って除草効果および薬害程度を指数で表示した。結果を表4に示す。尚、薬量はヘクタール(ha)あたりの有効成分量で示した。
【0081】
【表4】

【0082】
〈試験例3〉 茎葉処理による除草効果試験
1/10000アールのプラスチックポットに畑地土壌を充填し、メヒシバ(Di)の種子を播種し、ポット底部より給水した。温室内で育成し、メヒシバが5葉期に達した時点で、実施例1に準じて調製した水和剤の所定量を水で希釈し、植物体全体に茎葉処理した。その後、再びガラス室内で育成し、処理後30日目に表1に示した基準に従って除草効果および薬害程度を指数で表示した。結果を表5に示す。尚、薬量はヘクタール(ha)あたりの有効成分量で示した。
【0083】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)一般式(I)
【化1】


(式中のRは水素原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数2〜6のアルコキシアルキル基である)で表されるジフルオロメタンスルホニルアニリド化合物又はその塩から選ばれる化合物(成分A)と、
(B)ピラクロニル、イマゾスルフロン、エスプロカルブ、メタミホップ、トリアジフラム、ピラゾキシフェン、2,4−D、エトベンザニド、メソトリオン、AVH−301(試験番号)および除草用微生物から選ばれる少なくとも1種類(成分B)とを有効成分として含有することを特徴とする混合除草組成物。
【請求項2】
成分Bが、ピラクロニルである前記請求項1に記載の混合除草組成物。
【請求項3】
成分Bが、AVH−301である前記請求項1に記載の混合除草組成物。
【請求項4】
成分Bが、イマゾスルフロンである前記請求項1に記載の混合除草組成物。
【請求項5】
成分Bが、エスプロカルブである前記請求項1に記載の混合除草組成物。
【請求項6】
成分Bが、メタミホップである前記請求項1に記載の混合除草組成物。
【請求項7】
成分Bが、トリアジフラムである前記請求項1に記載の混合除草組成物。
【請求項8】
成分Bが、ピラゾキシフェンである前記請求項1に記載の混合除草組成物。
【請求項9】
成分Bが、2,4−Dである前記請求項1に記載の混合除草組成物。
【請求項10】
成分Bが、エトベンザニドである前記請求項1に記載の混合除草組成物。
【請求項11】
成分Bが、メソトリオンである前記請求項1に記載の混合除草組成物。
【請求項12】
成分Bが、除草用微生物である前記請求項1に記載の混合除草組成物。
【請求項13】
成分Bが、ドレクスレラモノセラス(Drechslera monoceras、 MTB−951株)である前記請求項1に記載の混合除草組成物。
【請求項14】
除草有効量の請求項1〜13に記載の混合除草組成物を、有用植物を生育させようとする若しくは生育している場所に対して作用させ、有用植物中の望ましくない雑草の成長を制御する方法。
【請求項15】
望ましくない雑草の成長を制御するための、請求項1〜13に記載の混合除草組成物の使用。
【請求項16】
有用植物が、水田作物、畑地作物、園芸作物、芝、果樹、非農耕地栽培植物である請求項14に記載の方法。
【請求項17】
有用植物を生育させようとする若しくは生育している場所が水田、畑地、芝地又は非農耕地である請求項14に記載の方法。

【公開番号】特開2007−320904(P2007−320904A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−152947(P2006−152947)
【出願日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【出願人】(000000169)クミアイ化学工業株式会社 (86)
【Fターム(参考)】