説明

混成セットの端末を含むネットワークのためのコンテキスト管理システム

情報を処理するために最も適切なコンテキストをユーザ(160)に提供するコンテキスト管理システムに関する。該システムは、ローカル情報送信ネットワーク(110)によって相互接続され、マスタ端末(108)を含む端末の混成セット(120)と、前記混成セット(120)の端末による情報処理のために、最も適切なコンテキストを決定するための処理手段(130)を含むサーバ・コンピュータ(102)と、サーバ(102)を、少なくともマスタ端末(108)に接続する外部の情報送信ネットワーク(104)とを備える。サーバ(102)は、ユーザ(160)が前記最も適切なコンテキストをマスタ端末(108)にダウンロードするのを可能とするアプリケーション(142)をマスタ端末(108)に送るためのコンバータ・モジュール(140)をさらに備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ローカル情報送信ネットワークのユーザのためのコンテキスト管理システム及び方法に関し、特に、混成セットの相互接続された端末を含むローカル・ネットワークに関する。
【背景技術】
【0002】
本文脈において、表現「ローカル・ネットワーク」は、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)だけでなく、パーソナル・エリア・ネットワーク(PAN)もしくはワイヤレス・パーソナル・エリア・ネットワーク(WPAN)を意味するものである。
【0003】
ローカル・ネットワークによって相互接続された混成セットの端末の内の或る端末がウェブサイトに問合せを送るとき、それは返事としてその問合せに対応する情報を受信する。このことは従来において知られている。この情報は、種々の形態におけるデータ、例えば、テキスト、画像、もしくは音声を含み得る。
【0004】
端末は、制限された情報処理能力を有し得、それが送った問合せに応答してそれに送られたデータの種々の形態を必ずしも用いることができない。
【0005】
これらの問題を解決するために、本件出願人の名前による仏国特許出願FR2 818 848は、ネットワークの端末の異なった処理能力を考慮して混成セットの端末を含むローカル・ネットワークによって送信されるもしくは受信される情報を管理することができる情報管理システムを提案している。
【0006】
図5は、外部の情報送信ネットワーク4に接続されたサーバ2を含む、上述の種類のシステムを示す。従って、サーバは、外部のネットワーク4を介して、ウェブサイト6へのアクセスを有する。
【0007】
サーバ2は、マスタ端末8を介してアクセス可能であり、該マスタ端末8もネットワーク4に接続される。このマスタ端末8は、ローカル情報送信ネットワーク10によりその近辺における他の端末12、14、16及び18にも接続される。これらの端末には、ローカル・ネットワーク10、例えば、ブルートゥース通信技術を支援する通信手段を介して互いに通信するための手段が設けられる。従って、それらは、無線により互いに情報を交換することができる端末のピコネット20を形成する。
【0008】
マスタ端末8は、端末及びそれらの情報処理能力についてローカル・ネットワーク10の構成を決定するための手段22を含む。このように、マスタ端末8は、コンテキストを限定するための手段、すなわち、ユーザの環境においてサービスを提供することができそうなすべての端末を或る与えられた時間において検出するもしくは限定するための手段を含む。
【0009】
サーバ2は、さらに、マスタ端末8によって送られた問合せに応答してウェブサイト6から来る情報を処理するために端末の最も適切なサブセットを決定するための処理手段24を含む。
【0010】
サーバ2は、また、情報のフォーマット及び量を、端末の各々の情報処理能力に適合させるためのアダプタ手段28をも含む。この情報は、次に、経路付け手段26によってピコネット20の端末のサブセットに送られる。
【0011】
従って、従来技術を用いた場合、各端末に、もしくは少なくともマスタ端末に、コンテキスト管理システムの部分を提供することが必要である。
【0012】
コンテキストがマスタ端末に記憶されると仮定すれば、ユーザは、マスタ端末を変える際にコンテキスト管理システムを変える。
【0013】
ユーザがコンテキストを変えるためには、手動及び時には反復動作が必要である。同じ日に多くのコンテキストの変化がある場合、ユーザは、終いには、このコンテキスト管理機能をもはや用いなくなり、このことは最終的にこの機能を役に立たないものとする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、上述の問題を解決することであり、常にコンテキストの最も適切な選択をそれらに提供することにより、端末の混成セットのユーザのためのコンテキスト管理を単純化して自動化することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
これらの目的は、情報を処理するために最も適切なコンテキストをユーザに提供するコンテキスト管理システムであって、
ローカル情報送信ネットワークによって相互接続され、マスタ端末を含む端末の混成セットと、
前記混成セットの端末による情報処理のために、最も適切なコンテキストを決定するための処理手段を含むサーバ・コンピュータと、
サーバを、少なくともマスタ端末に接続する外部の情報送信ネットワークと、
を備え、ユーザが前記最も適切なコンテキストをマスタ端末にダウンロードするのを可能とするアプリケーションをマスタ端末に送るためのコンバータ・モジュールを、サーバがさらに備えることを特徴とするコンテキスト管理システムによって達成される。
【0016】
従って、ユーザは、マスタ端末にシステムの部分を提供する必要なしで、最も適切なコンテキストをダウンロードすることができる。
【0017】
マスタ端末に送られるアプリケーションは、該マスタ端末によってアクセス可能な端末の前記混成セットにおける複数の端末または該端末を長所的に検出することができる。
【0018】
処理手段は、予めプログラミングされたデータの関数として、及び/または、それらがマスタ端末から受信するイベントの関数として、最も適切なコンテキストを決定する。
【0019】
処理手段は、ルール・ベース及びコンテキスト・ベースと関連したルール・エンジンを含み、ルール・エンジンは、予めプログラミングされたデータの関数として、及び/またはマスタ端末から受信されたイベントの関数として、コンテキスト・ベースにおけるデータと関連させてルール・ベースにおいて利用可能なルールのすべてを走査し、それにより、最も適切なコンテキストを決定する。
【0020】
マスタ端末から受信されたイベントは、マスタ端末によってアクセス可能な複数の端末もしくは該端末の前記アプリケーションによる通常の検出を含む。
【0021】
本発明の特徴によれば、マスタ端末から受信されたイベントは、マスタ端末の地理的場所を含み得る。
【0022】
本発明のもう1つの特徴によれば、予めプログラミングされたデータは、コンテキスト・タイムテーブルの変化を含み得る。
【0023】
コンテキスト・ベースは、アクセス可能でありそうな端末と、ローカル・ネットワーク及び外部のネットワーク間の接続の適切な型と、それらの能力の関数として情報を端末に戻す態様と、を各コンテキストごとに限定するコンテキストのリストを長所的に含む。
【0024】
ルール・ベースは、マスタ端末によってアクセス可能な端末、及び/または、コンテキスト・タイムテーブルの変化、及び/または、マスタ端末の地理的場所、に基づくルールのリストを含み得る。
【0025】
本発明の特定の実施形態においては、当該システムは、ルール・エンジン及びルール・ベースを読取り/書き込むための周辺機器を含み得る。
【0026】
システム監視の役目を有するセッション管理モジュールをさらに含み得る。
【0027】
本発明の態様によれば、ローカル・ネットワークは、無線送信通信ネットワークである。
【0028】
本発明のもう1つの態様によれば、ローカル・ネットワークは、赤外線送信通信ネットワークである。
【0029】
本発明のさらなる態様によれば、ローカル・ネットワークは、ケーブル・ネットワークである。
【0030】
端末の混成セットは、移動及び/または固定の端末を含み得る。
【0031】
外部のネットワークは、複数の相互接続されたネットワークを含む。
【0032】
外部のネットワークは、インターネット・プロトコル・ネットワーク及び電話ネットワークを含む。
【0033】
本発明は、また、ローカル情報送信ネットワークによって相互接続されてマスタ端末を含む端末の混成セットによる情報処理のための最も適切なコンテキストを決定するステップを含み、ユーザに情報を処理するための最も適切なコンテキストを提供するコンテキスト管理方法であって、該方法は、ユーザが前記最も適切なコンテキストをマスタ端末にダウンロードするのを可能とするよう、サーバ・コンピュータを少なくともマスタ端末に接続する外部の情報送信ネットワークを介して、サーバ・コンピュータがアプリケーションをマスタ端末に送るさらなるステップを含むことを特徴とするコンテキスト管理方法を提供する。
【0034】
アプリケーションは、マスタ端末によりアクセス可能な、端末の前記混成セットにおける複数の端末もしくは該端末を検出する。
【0035】
最も適切なコンテキストは、予めプログラミングされたデータの関数として、及び/またはサーバ・コンピュータがマスタ端末から受信したイベントの関数として、コンテキスト・ベースにおいて利用可能なデータと関連させてルール・ベースにおいて利用可能なルールを走査することにより決定される。
【0036】
本発明の他の特徴及び長所は、添付図面を参照して、図示的かつ非制限的な例によって以下に与えられる説明を読むことから明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
図1は、情報を処理するための最も適切なコンテキストをユーザに提供する本発明によるコンテキスト管理システムを示す。
【0038】
該システムは、外部の情報送信ネットワーク104に接続されたサーバ・コンピュータ102と、ローカル情報送信ネットワーク110によって相互接続された端末108、112、114、116及び118の混成セット120とを含む。端末のこの混成セット120は、ブラウザ144が設けられたマスタ端末108を含む。混成セット120は、移動及び/または固定端末を含み得る端末のユーザの環境に依存する。
【0039】
例えば、仕事場の環境においては、マスタ端末108は、コンピュータであって良く、他の端末は、マイクロ・コンピュータ112、イヤーフォン114、ファクシミリ・マシン116、及びパーソナル・ディジタル・アシスタント(PDA)118であって良い。
【0040】
自動車の環境においては、マスタ端末108は、パーソナル・ディジタル・アシスタント(PDA)であって良く、そして他の端末は、例えば、カー・ラジオ112、スピーカ114、移動電話116、もしくは、他の端末118であって良い。
【0041】
これらの端末には、ローカル・ネットワーク110を介して互いに通信するための手段が設けられ、それにより、無線、赤外線、またはケーブル接続を介して情報を交換することができる端末のピコネットを形成する。
【0042】
換言すれば、ローカル・ネットワーク110は、ブルートゥース型の無線通信ネットワーク、赤外線送信ネットワーク、またはケーブル・ネットワークであって良い。
【0043】
外部の情報送信ネットワーク104は、サーバ・コンピュータ102を少なくともマスタ端末108に接続する。この例において、端末116及び118は、外部のネットワーク104を介してサーバ・コンピュータ102にも接続される。
【0044】
サーバ・コンピュータ102は、外部のネットワーク104を介してウェブサイト106へのアクセスを有する。それは、マスタ端末108の代わりにウェブに問合せを提出するよう命じられる「代理」サーバである。
【0045】
外部のネットワーク104は、複数の相互接続されたネットワークを含み得る。例えば、それは、インターネット・プロトコル・ネットワーク及び電話ネットワークを含み得る。
【0046】
サーバ・コンピュータ102は、端末の混成セットが情報を処理するために最も適切なコンテキストを決定するための処理手段130を含む。
【0047】
サーバ・コンピュータ102は、また、ユーザがマスタ端末108に最も適切なコンテキストをダウンロードするのを可能とするようマスタ端末108にアプリケーションを送るためのコンバータ・モジュール140をも含む。
【0048】
図2は、このアプリケーションをマスタ端末108に送るための機構を示す。
【0049】
ユーザが、マスタ端末108からウェブサイトに問合せ(情報に対するリクエスト)を送るとき、該端末108のブラウザ144は、サーバ・コンピュータ102のコンバータ・モジュール140に外部ネットワーク104を介してリクエストを送る(矢印a)。
【0050】
コンバータ・モジュール140は、ユーザによって要求されたURLをホストする(hosts)ウェブサイト106に変化されない問合せを送る(矢印b)。
【0051】
コンバータ・モジュール140は、ウェブサイト106から、問合せの関数であるデータを受信する(矢印c)。
【0052】
コンバータ・モジュール140は、次に、このデータに、当該技術において既知の「アプレット」プログラムを含むメッセージまたはバナー(banner:のぼりまたは表象)の形態にあるアプリケーション142を追加して、それをマスタ端末のブラウザに送る。アプリケーションもしくはアプレットは、処理手段130に接続するためのメニュー及びパラメータを含むインターフェースである。
【0053】
マスタ端末108のブラウザ144によるこのアプリケーション142の実行は、ユーザがサーバ・コンピュータ102の処理手段130からマスタ端末108に最も適切なコンテキストをダウンロードするのを可能とする。
【0054】
アプリケーション142を実行することは、メッセージを、サーバ・コンピュータ102の処理手段130にメッセージを送る(矢印e)。返事として、処理手段130は、アプリケーション142に最も適切なコンテキストを含むレスポンスもしくは応答(矢印f)を送り、該アプリケーション142は、次に、このレスポンスもしくは応答をユーザに表示する。
【0055】
処理手段130は、それらがマスタ端末108から受信したイベントの関数として、及び/または予めプログラミングされたデータとして、最も適切なコンテキストを決定する。処理手段130により最も適切なコンテキストを決定するための機構の例を以下に説明する。
【0056】
マスタ端末108に送られたアプリケーション142は、また、端末の混成セット120からのどの端末もしくは複数の端末がマスタ端末108にアクセス可能であるかを検出するためにも用いられる。
【0057】
アクセス可能な端末についての構成を自動的に決定するためのこのようなアプリケーションまたはコンピュータ・プログラムは、当該技術分野においては既知であり、ここではさらには説明しない。
【0058】
マスタ端末108にアプリケーションを送る1つの長所は、最も適切なコンテキストをダウンロードするために、端末のいずれもが、サーバ・コンピュータ102と通信するための特定の手段を有することを必要としないということである。
【0059】
図3は、最も適切なコンテキストを決定するための手段を詳細に示すコンテキスト管理システムを示す。
【0060】
処理手段130は、ルール・ベース134及びコンテキスト・ベース136と関連したルール・エンジン132を含む。
【0061】
ルール・ベース134及びコンテキスト・ベース136は、サーバ・コンピュータ102の部分または外部ネットワーク104の部分を形成し得ることに留意されたし。ルール・エンジン132及びコンピュータ・モジュール140は、同じサーバ・コンピュータ102もしくは異なったサーバ・コンピュータに属し得る。
【0062】
コンテキスト・ベース136は、アクセス可能でありそうな端末と、ローカル・ネットワーク110及び外部のネットワーク104間の適切な型の接続と、端末に関する情報をそれらの能力の関数として再生する方法とを、各コンテキストごとに限定するコンテキストのリストを含む。
【0063】
例えば、コンテキスト・ベース136は、「オフィス」コンテキストと、「自動車」コンテキストと、「家庭」コンテキストと、「ローミング」コンテキストとを含む。
【0064】
オフィス・コンテキストに対して、アクセス可能な端末は、例えば、コンピュータ及びファクシミリ・マシンであり、接続またはゲートウェイの型は、イーサネット(登録商標)端末であり、そして情報のすべては、例えば、コンピュータによって再生される。
【0065】
自動車コンテキストに対して、アクセス可能な端末は、例えば、カー・ラジオ、PDA及びGSM移動電話であり、接続の型は、GSMゲートウェイであり、そして情報の再生は、カー・ラジオによって音声が再生され、他のすべてがPDA上で再生されるように、種々の端末間で分担される。
【0066】
家庭コンテキストに対して、アクセス可能な端末は、例えば、ADSL接続を有するコンピュータであり、接続の型は、ADSLであり、そして情報のすべては、コンピュータによって再生される。
【0067】
ローミング・コンテキストに対してアクセス可能な端末は、例えば、イヤーピース(イヤーフォン)、PDA、及びGSM移動電話であり、接続の型は、GSMゲートウェイであり、そして情報の再生は、音声がイヤーピースによって再生され、他のすべて(画像、テキスト、ビデオ)がPDA上で再生されるように、種々の端末間で分担される。
【0068】
ルール・ベース134は、マスタ端末にアクセス可能な端末、及び/またはコンテキスト・タイムテーブル、及び/またはマスタ端末の地理的場所に基づくルールのリストを含む。これらのルールのデータは、例えば、XML型の拡張可能なメタ言語内に構造化される。
【0069】
以下は、これらのルールのすべてを網羅したわけではない2、3の例である。
・ もし、利用可能またはアクセス可能な端末もしくは周辺機器がコンピュータ及びイーサネット(登録商標)端末を含むか、もしくは時間帯が9hから18hであるならば、次に、最も適切なコンテキストは、オフィス・コンテキストである。
・ もし、アクセス可能な端末がカー・ラジオであるならば、次に、最も適切なコンテキストは、自動車コンテキストである。
・ もし、アクセス可能な端末もしくは周辺機器がコンピュータ及びADSL端末を含み、そして時間帯が9hから18hにないならば、次に、最も適切なコンテキストは、家庭コンテキストである。
【0070】
従って、ルール・エンジン132は、コンテキスト・ベース136におけるデータと関連してルール・ベース134において利用可能なルールのすべてを、それがマスタ端末108から受信するイベントの関数として、または/及び予めプログラミングされたデータとして、走査することにより、最も適切なコンテキストを決定する。
【0071】
ルール・エンジン132がマスタ端末108から受信するイベントは、コンバータ・モジュール140によってマスタ端末108に送られたアプリケーション142によって普通に検出されるアクセス可能な端末のサブセットを含み得る。
【0072】
ルール・エンジン132がマスタ端末108から受信するイベントは、マスタ端末108の地理的場所を含み得、それにより、最も適切なコンテキストが該場所に従って決定される。
【0073】
最も適切なコンテキストは、例えば、コンテキスト・タイムテーブルの変化を含む予めプログラミングされたデータの関数として決定され得る。このデータは、ユーザによって構成され得る。
【0074】
もし、ユーザが、例えばオフィスにいるならば、コンテキスト管理システムは、ユーザが「オフィス」コンテキストに切換えるよう促し、もし、ユーザが自動車内にいるならば、システムは、ユーザが「自動車」コンテキストに切換えるよう促し、もし、ユーザが家庭にいるならば、システムは、ユーザが「家庭」コンテキストに切換えるよう促す。
【0075】
図3は、コンテキスト管理システムが、また、ルール・エンジンに接続されたセッション管理モジュール152及び周辺機器154をも含み得るということを示す。
【0076】
セッション管理モジュール152は、サーバ102の部分であっても良く、または別のサーバ・コンピュータの部分であっても良く、その機能は、システム監視である。
【0077】
それは、いつでも、ユーザにアクセス可能な端末の混成セット120の構成を、遠隔通信サービス・オペレータに話す。このモジュールは、また、遠隔通信サービスの代価を請求するためにも用いられ得る。
【0078】
周辺機器154は、ルール・エンジン及びルール・ベースを読取る/書き込むためのものである。一般的に言えば、それは、端末の混成セット120に属さないルール・エンジン132及びルール・ベース134を読取り/書き込むための手段を構成する。例えば、それは、ユーザがルールを変更するために用いるディスク・トップ・コンピュータであるか、またはユーザに予め限定されたルールを提供する遠隔通信サービス・オペレータ設備である。
【0079】
サーバ・コンピュータ102は、また、ウェブ106から到来する情報のフォーマット及び量を各端末の情報処理能力に適合させるためのアダプタ手段128と、最も適切なコンテキストによって限定された態様で、この情報をアクセス可能な端末に向けるための経路付け手段126と、をも含む。このことは、当該技術分野で既知である。
【0080】
図4は、ユーザ160に最も適切なコンテキストを提供するコンテキスト管理方法の一例の全体的な動的考察を示す図である。
【0081】
ステップは、上から下に実行される。ステップE1において、ユーザ160は、リンク上をクリックすることによって、またはアドレスもしくはURL、すなわち、ユーザがブラウザ144で見ることを望むウェブサイトのリソースへのフォーマット及びアクセス経路に入ることによって、インターネット・リソースへのアクセスを要求する。
【0082】
ステップE2において、ユーザによって入られたURLは、ブラウザ144によって、URL(例えば、http)に対応するプロトコルに一致する問合せに変換し、それをサーバ・コンピュータ102に送る。ブラウザ144は、マスタ端末108のブラウザ144の代わりにインターネットまたはウェブサイトに該問合せを提出するサーバ102に全ての問合せを系統的に送るよう構成されている。
【0083】
ステップE3において、サーバ・コンピュータ102は、コンバータ・モジュール140に、変更されないこの問合せを送る。
【0084】
次のステップE4において、何等変更は為されず、そしてコンバータ・モジュール140は、ユーザ160によって要求されたURLをホストするウェブサイト106に該問合せを送る。
【0085】
ステップE5において、問合せの関数として、コンバータ・モジュール140は、例えばグラフィカル・ページまたはHTML“ウェブ・ページ”の形態で、問合せに対応するマルチメディア情報をウェブサイト106から受信する。
【0086】
ステップE6の間、コンバータ・モジュール140は、最も適切なコンテキストへのアクセスを提供してサーバ・コンピュータ102にすべてを送るプログラムを含むメッセージまたはバナーの形態でアプリケーション142をこの情報に追加する。
【0087】
ステップE7の間、サーバ・コンピュータ102は、マスタ端末108に適切なフォーマットで、マスタ端末108のブラウザ144に、最も適切なコンテキストにアクセスするためのアプリケーション142及びウェブ・ページを送る。
【0088】
このページを受信すると、ブラウザ144はそれを表示し、アプリケーション・コードを実行する(ステップE8)。換言すれば、ブラウザは、問合せと同じ経路をたどるセッション・オープニングのためのインスタンスを創成する。
【0089】
ステップE9において、アプリケーション142は、セッション・オープニング・メッセージをサーバ・コンピュータ102に送る。
【0090】
ステップE10において、サーバ・コンピュータ102は、このメッセージをセッション・マネージャ・モジュール152に送る。
【0091】
ステップE11において、アプリケーションは、アクセス可能な端末を検出し、それらのリストをサーバ・コンピュータ102に送る。
【0092】
ステップE12において、サーバ・コンピュータ102は、このリストを、セッションを更新するためにセッション・マネージャ・モジュール152に送る。
【0093】
ステップE13において、セッション管理モジュール152は、ルール・エンジン132に、アクセス可能な端末のリスト、現在の時間、場所情報、もしくは一般的に言えば、コンテキストを決定する際に用いられる任意のものを送る。
【0094】
ステップE14において、ルール・エンジン132は、対応のルールが見つかるまでルール・ベース134を走査し、セッション管理モジュール152にレスポンスを送る。
【0095】
ステップE15において、セッション管理マネージャ152は、サーバ・コンピュータ102にレスポンスを送る。
【0096】
ステップE16において、サーバ・コンピュータ102は、アプリケーション142にレスポンスを送る。
【0097】
ステップE17において、アプリケーションは、最も適切なコンテキストをユーザに知らせるメッセージを表示する。
【0098】
ステップE18において、ユーザは、提案されたコンテキストを受け入れるかもしくは拒否する。もし、ユーザが拒否するならば、システムは、先行するコンテキストを維持し、そしてもし、ユーザが受け入れるならば、新しいコンテキストが、現在のコンテキストであるように考慮される。
【0099】
ステップE19において、ユーザのレスポンスは、サーバ・コンピュータ102に送られる。
【0100】
ステップE20において、サーバ・コンピュータ102は、このレスポンスを、セッションを更新するためにセッション管理モジュール152に送る。
【0101】
引き続くステップは、新しいコンテキストを提案する目的で新しい端末を検出することに対応する。これらのステップは、場所指示の変化もしくは時間帯の変化によって置き換えられ得る。
【0102】
ステップE21において、アプリケーションは、例えば、ユーザ160によってアクセス可能な新しい端末を検出してしまい、そしてこの情報をサーバ・コンピュータ102に送る。
【0103】
ステップE22において、サーバ・コンピュータ102は、この情報を、セッションを更新するためにセッション管理モジュール152に送る。
【0104】
ステップE23において、セッション管理モジュール152は、新しいアクセス可能な端末に関する情報をルール・エンジン132に送る。
【0105】
ステップE24において、ルール・エンジン132は、対応のルールを見つけるまでルール・ベース134を走査し、セッション管理モジュール152にレスポンスを送る。
【0106】
ステップE25において、セッション管理モジュール152は、レスポンスを、サーバ・コンピュータ102に送る。
【0107】
ステップE26において、サーバ・コンピュータ102は、レスポンスを、アプリケーション142に送る。
【0108】
ステップE27において、アプリケーションは、新しい最も適切なコンテキストをユーザに知らせるメッセージを表示する。
【0109】
ステップE28において、ユーザは、提案されたコンテキストを受け入れるかもしくは拒絶する。
【0110】
ステップE29において、ユーザのレスポンスは、サーバ・コンピュータ102に送られる。
【0111】
ステップE30において、サーバ・コンピュータ102は、このレスポンスを、セッションを更新するためにセッション管理モジュール152に送る。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】本発明のコンテキスト管理システムの図である。
【図2】図1に示す手段またはユニット間で情報を交換するためのプロセスの数ステップを示すコンテキスト管理システムの図である。
【図3】図1からの或るユニットを一層詳細に示す図である。
【図4】図3に示す手段またはユニット間で情報を交換するためのプロセスの種々のステップの全体的動作態様を示す図である。
【図5】従来技術による情報管理システムの図である。
【符号の説明】
【0113】
102 サーバ・コンピュータ
104 外部の情報送信ネットワーク
106 ウェブサイト
108 マスタ端末(コンピュータ、パーソナル・ディジタル・アシスタント)
110 ローカル情報送信ネットワーク
112 端末(マイクロ・コンピュータ、カー・ラジオ)
114 端末(イヤーフォン、スピーカ)
116 端末(ファクシミリ・マシン、移動電話)
118 端末(パーソナル・ディジタル・アシスタント)
120 混成セット
130 処理手段
140 コンバータ・モジュール
144 ブラウザ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報を処理するために最も適切なコンテキストをユーザ(160)に提供するコンテキスト管理システムであって、
ローカル情報送信ネットワーク(110)によって相互接続され、マスタ端末(108)を含む端末の混成セット(120)と、
前記混成セット(120)の端末による情報処理のために、最も適切なコンテキストを決定するための処理手段(130)を含むサーバ・コンピュータ(102)と、
サーバ(102)を、少なくともマスタ端末(108)に接続する外部の情報送信ネットワーク(104)と、
を備え、ユーザ(160)が前記最も適切なコンテキストをマスタ端末(108)にダウンロードするのを可能とするアプリケーション(142)をマスタ端末(108)に送るためのコンバータ・モジュール(140)を、サーバ(102)がさらに備えることを特徴とするコンテキスト管理システム。
【請求項2】
マスタ端末(108)に送られるアプリケーション(142)は、該マスタ端末(108)によってアクセス可能な端末の前記混成セット(120)における複数の端末もしくは該端末を検出するためのものであることを特徴とする請求項1に記載のコンテキスト管理システム。
【請求項3】
処理手段(130)は、予めプログラミングされたデータの関数として、及び/または、それらがマスタ端末(108)から受信するイベントの関数として、最も適切なコンテキストを決定することを特徴とする請求項1または2に記載のコンテキスト管理システム。
【請求項4】
処理手段(130)は、ルール・ベース(134)及びコンテキスト・ベース(136)と関連したルール・エンジン(132)を含み、ルール・エンジン(132)は、予めプログラミングされたデータの関数として、及び/またはマスタ端末から受信されたイベントの関数として、コンテキスト・ベース(136)におけるデータと関連させてルール・ベース(134)において利用可能なルールのすべてを走査し、それにより、最も適切なコンテキストを決定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のコンテキスト管理システム。
【請求項5】
マスタ端末(108)から受信されたイベントは、マスタ端末(108)によってアクセス可能な複数の端末もしくは該端末の前記アプリケーション(142)による通常の検出を含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のコンテキスト管理システム。
【請求項6】
マスタ端末(108)から受信されたイベントは、マスタ端末(108)の地理的場所を含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のコンテキスト管理システム。
【請求項7】
予めプログラミングされたデータは、コンテキスト・タイムテーブルの変化を含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のコンテキスト管理システム。
【請求項8】
コンテキスト・ベース(136)は、アクセス可能でありそうな端末と、ローカル・ネットワーク(110)及び外部のネットワーク(104)間の接続の適切な型と、それらの能力の関数として情報を端末に戻す態様と、を各コンテキストごとに限定するコンテキストのリストを含むことを特徴とする請求項4に記載のコンテキスト管理システム。
【請求項9】
ルール・ベース(134)は、マスタ端末(108)によってアクセス可能な端末、及び/または、コンテキスト・タイムテーブルの変化、及び/または、マスタ端末の地理的場所、に基づくルールのリストを含むことを特徴とする請求項4に記載のコンテキスト管理システム。
【請求項10】
ルール・エンジン(132)及びルール・ベース(134)を読取り/書き込むための周辺機器(154)を含むことを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載のコンテキスト管理システム。
【請求項11】
システム監視の役目を有するセッション管理モジュール(152)をさらに含むことを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載のコンテキスト管理システム。
【請求項12】
ローカル・ネットワーク(110)は、無線送信通信ネットワークであることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載のコンテキスト管理システム。
【請求項13】
ローカル・ネットワーク(110)は、赤外線送信通信ネットワークであることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載のコンテキスト管理システム。
【請求項14】
ローカル・ネットワーク(110)は、ケーブル・ネットワークであることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載のコンテキスト管理システム。
【請求項15】
端末の混成セット(120)は、移動及び/または固定の端末を含むことを特徴とする請求項1乃至14のいずれかに記載のコンテキスト管理システム。
【請求項16】
外部のネットワーク(104)は、複数の相互接続されたネットワークを含むことを特徴とする請求項1乃至15のいずれかに記載のコンテキスト管理システム。
【請求項17】
外部のネットワーク(104)は、インターネット・プロトコル・ネットワーク及び電話ネットワークを含むことを特徴とする請求項16に記載のコンテキスト管理システム。
【請求項18】
ローカル情報送信ネットワーク(11)によって相互接続されてマスタ端末(108)を含む端末の混成セット(120)による情報処理のための最も適切なコンテキストを決定するステップを含み、ユーザに情報を処理するための最も適切なコンテキストを提供するコンテキスト管理方法であって、該方法は、ユーザが前記最も適切なコンテキストをマスタ端末(108)にダウンロードするのを可能とするよう、サーバ・コンピュータ(102)を少なくともマスタ端末(108)に接続する外部の情報送信ネットワーク(104)を介して、サーバ・コンピュータ(102)がアプリケーション(142)をマスタ端末(108)に送るさらなるステップを含むことを特徴とするコンテキスト管理方法。
【請求項19】
アプリケーション(142)は、端末の前記混成セット(120)からの、マスタ端末(108)によりアクセス可能な複数の端末もしくは該端末を検出することを特徴とする請求項18に記載のコンテキスト管理方法。
【請求項20】
最も適切なコンテキストは、予めプログラミングされたデータの関数として、及び/またはサーバ・コンピュータ(102)がマスタ端末から受信したイベントの関数として、コンテキストベース(136)において利用可能なデータと関連させてルール・ベース(134)において利用可能なルールを走査することにより決定されることを特徴とする請求項18または19に記載のコンテキスト管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−505417(P2007−505417A)
【公表日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−530365(P2006−530365)
【出願日】平成16年5月19日(2004.5.19)
【国際出願番号】PCT/FR2004/001229
【国際公開番号】WO2004/107705
【国際公開日】平成16年12月9日(2004.12.9)
【出願人】(591034154)フランス・テレコム (290)
【Fターム(参考)】