説明

混成航法衛星受信機/携帯電話組合せ、全地球測位システム受信機部と通信送受信機部を含む単一の携帯装置を備える一体化された衛星航法受信機/通信装置組合せシステム、及び航法受信機と携帯電話を一体的に組み合わせるときに基準発振器に必要な水晶の数を2個に制限する方法

【課題】電源遮断時の混成GPS受信機/携帯電話に対する正確な時刻の保持。
【解決手段】混成航法衛星受信機/携帯電話は水晶振動子を2個だけ使用する。約27MHzでマスタクロックを動作し、数ミリワットの電力を消費するものが一つである。もう一方の振動子は数マイクロワットしか消費せず、約32KHzでバッテリー電力により連続動作する。電源「遮断」の間、第2の振動子である低周波振動子のみが稼動し続ける。電源「再起動」時に、リアルタイムクロック・カウンタに問い合わせてGPSシステム時刻の推定値が再生されかつGPS−DSPに供給されるようにしてその初期化を早める。マスタクロックはGPS較正され、携帯電話部及びホストCPU用のNCOを駆動するために正確なクロックが使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は時刻が不確かなときの遅い初期化の問題、より詳細には、初期化中に混成のGPS受信機及び携帯電話の両者に対して正確な時刻推定値を供給するために電源遮断サイクル中にも稼動したままのGPS較正されたリアルタイムクロックを使用することに関する。
【背景技術】
【0002】
ほとんどの消費者向け電子装置は大量生産され、それらの売上は、それらにどのような値段が付けられるかに大きく依存する。よりよい値段を提供する一つの方法は製造コスト、例えば労務及び使用部品のコストを下げることである。今では航法衛星受信機/通信装置の組合せが可能であり、従来商品の多くは航法衛星受信部用に水晶・水晶振動子の1つのセットと通信装置用に別個のセットを備えている。
【0003】
全地球測位システム(GPS)受信機はいくつかの地球軌道衛星群から受信された信号を使用して使用者の位置と速度、及び他の航法データを決定する。先行技術の航法受信機は電源投入直後はそれがどこにいるかも、その水晶振動子がどのぐらいの誤差を持つかも、何時であるかもまだ分からない。これら全てを知りかつ衛星送信機にロックする必要があり、従って、その可能性について探索が成されなければならない。時間を節約するために最も確度の高いものが先ず探索される。
【0004】
高感度GPS受信機は、初期時刻または周波数の不確定性が大きいときに問題になる。信号エネルギーが極端に微弱であるときに信号エネルギーを見つけることは小さいステップを踏み、各ステップに長く留まることを必要とする。従って、ローカルの基準発振器のより良好な初期推定値をもつことにより初期測位時間を改善することができる。
【0005】
−145dbmより良好な信号レベルを有するGPS受信機は強いGPS衛星媒体(SV)に直ぐにロックし、NAVデータを復号できる。それはSVエフェメリス及び位置を生み出す。その後に、総合擬似距離をハードウェア・コード位相から形成する必要がある。従来のGPS受信機は整数ミリ秒及びいわゆるZカウントを決定する。
【0006】
信号レベルが大雑把に言って−145dbm乃至−150dbmより良好でないときは、実用的な高感度GPS受信機はパターンマッチング技法を採用してエニウェア・フィックス(Anywhere−fix)のためのZカウント又は整数ミリ秒を得る。
【0007】
一つ以上のGPS衛星媒体(SV)にロックされ、追跡するGPS受信機は非常に高精度で時刻を知る。これはGPSシステムが、使用される時刻及び周波数基準を設定する原子時計に基づいているからである。SVにより送信された粗捕捉(C/A)は1ミリ秒の搬送波長ごとに繰り返し、従って、どのミリ秒についてGPS受信機が観測しているかについての基本的な不確定性がある。整数ミリ秒が既知(例えば時刻が1ミリ秒より高精度で既知)であるなら、整数不確定性を解決する必要はない。Zカウントは既知である。Zカウントを見つけ、整数ミリ秒を設定するステップを省略することにより、コールドスタート後にその初期航法解測位を行うことにGPS受信機が関わる膨大な量の時間と労力を節約することができる。
【特許文献1】米国特許第6421002号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
航法衛星受信機と通信装置の組み合わせを低価格で生産する必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
簡潔に言えば、本発明の混成航法衛星受信機/携帯電話の実施例は水晶発振器を二つだけ使用する。27MHz近辺でマスタクロックを動作し、数ミリワットの電力を消費するものが一つである。もう一方の発振器は数マイクロワットしか消費せず、約32KHzのバッテリー電力で連続動作する。電源「遮断」の間、第2の低周波発振器のみが稼動し続ける。電源「再起動」時に、リアルタイムクロック・カウンタを調べてGPSシステム時刻の推定値が再生され、GPS−DSPに供給されてその初期化を早める。マスタクロックはGPS較正され、携帯電話部及びホストCPU用のNCOを駆動するために正確なクロックが使用される。
【0010】
本発明の利点は、混成航法受信機/携帯電話組合せが迅速にかつ二つの水晶しか用いずに初期化するためのシステム及び方法が提供されることである。
【0011】
本発明のこれら及び他の目的と利点は、種々の図面の図に図解される好ましいGPS受信機の以下の詳細な説明を読めば当業者にはおそらく明らかとなるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1は本発明の混成衛星航法受信機/通信装置実施例を図解し、本願では共通の参照数字100で参照される。システム100は二つの基本部分である全地球測位システム(GPS)受信機102の形式の航法受信機及び携帯電話104の形式の通信装置を有する。GPS部102は自立型測位モデルか、ホストCPU上で実行される測位コードを有する測定モデルのどちらかである。各部はそれぞれGPSシステムと携帯電話インフラストラクチャから正確なシステム時刻を引き出せる。正確な時刻はそれらのそれぞれのローカル発振器(LOgpsとLOcell)を安定化するために必要である。正確なローカル発振器をもつことにより各部は周波数探索中の期間なしにそれらの個々のスペクトル内に搬送波を見つけ出すことができる。
【0013】
本発明の実施例はバッテリー電力を節約するためにGPS受信機102と携帯電話104の両方の完全シャットダウンが可能である。GPS受信機102はGPS−RF−IF部108に接続されたGPSアンテナ106を備える。GPSデジタル信号プロセッサ(GPS−DSP)110はダウン変換された信号をサンプリングし、位置解と高精度のGPSシステム時刻を作り出す。27MHz水晶112はマスタクロック114を制御する。GPS受信機により必要とされる種々のLO及びIF周波数はGPS発振器116によりマスタクロックから生成される。ソフトウェア制御型水晶発振器(SCXO)モデル118は温度センサ(T)120から温度入力を受信する。それはまたタイムベース122から正確なGPS時刻を受信する。SCXOモデル118は水晶112の温度ドリフトを補償できる。親出願と本願に引用して援用されたこの技術の完全な議論に関して、2003年1月21日に発行された米国特許第6509870B1号を参照のこと。
【0014】
通常動作の間、マスタクロック114は動作するのに数ミリワットの電力を必要とする。従って、ユーザが「遮断」コマンドを入力したときは、これはシャットダウンされねばならない。ユーザが「再起動」コマンドを出したときは、その動作は回復される。問題は正確なGPS時刻が遮断時間の間、計算されていなかったことである。
【0015】
通常動作の間、正確なタイムベース122は計算されたGPSシステム時刻をGPS時刻再生器124に供給する。これはまたリアルタイムクロック(RTC)126から「オフセット」カウントを受信する。低周波数32KHz水晶128がRTC126を制御し、それは数マイクロワットの電力で動作する。これはマスタクロック114が必要とするものより3桁少ない大きさの電力である。GPS時刻再生器124は低周波32KHz水晶128の誤差及びドリフトを計算できる。それはまたGPSシステム時刻に合わせたカウントを受信する。「遮断」コマンドを受信したときに、計算された最新の良好なGPSシステム時刻に合わせたオフセットカウントが記憶される。「再起動」コマンドを受信したときは、GPS時刻再生器124は誤差とドリフトが補正された現在オフセットカウントを計算された最新の良好なGPSシステム時刻に追加する。これは再生されたGPS時刻をもたらし、この時刻は正確なタイムベース122を通じてGPS=−DSP110にフィードバックされる。そこで、それは搬送波周波数探索及びドップラー推定を開始する出発点として使用される。それはまたマスタクロック112がSCXOモデル118の制御の下に動作を直ちに開始できるようにする。従って、「再起動」後、携帯電話104は直ちに正確なマスタクロックを入手できる。
【0016】
そのような携帯電話104は通信送受信機132に接続された通信アンテナ130を備える。通信DSP134は携帯電話の音声呼出しを復号及び符号化する。ホストCPU136は携帯ユニットにあり、他のアプリケーションに使用できる。それはまた正確なLO周波数が第1の数値制御型発振器(NCO1)138により合成されるように制御する。第2のNCO2、140は同様にCPU136又はそのアプリケーションにより必要とされるクロックに対して制御することができる。
【0017】
図2とその関連開示は元々親件(本発明者ポール・W・マクバーニー、アーサー・ウー、及びフランス・ロードによる、2003年9月4日に出願され、「COMBINATION NAVIGATION SATELLITE RECEIVERS AND COMMUNICATIONS DEVICES」という名称の米国特許出願第10/656078号に対する部分継続出願である。本願では「親件」と称される)により引用されて援用されたが、読者の便宜のために本願で繰り返される。援用された資料は、本発明者の一人であるポール・マクバーニーの、2004年3月30日に発行された米国特許第6714160号として現在世に出ている。それはOMNIクライアント航法衛星受信機ネットワークを提示し、本願では共通の参照数字200により示される。OMNIクライアント航法衛星受信機ネットワークはネットワークサーバ204により支援された少なくとも一つの航法プラットフォーム202を含む。
【0018】
各GPS測定プラットフォーム202は典型的にはGPSアンテナ206、低雑音増幅器(LNA)208、GPS弾性表面波(SAW)フィルタ210、中間周波数(IF)SAWフィルタ214を有する無線周波数(RF)用途専用集積回路(ASIC)212、デジタル信号プロセッサ(DSP)216、基準水晶発振器218、及び基準水晶温度センサ220を備える。
【0019】
自律型クライアント222はほとんどサーバ204からの援助なしに機能し、ユーザに航法解を提供することができる。デミ・クライアント(demi-client)224は援助、例えばエフェメリス及び時刻のバイアス計算を単純化する多項式モデルを必要とする。シンクライアント226はそのローカルホストに航法解処理の負担をかけない。それはほとんど全ての航法計算をサーバ204に任せ、基本的に自らの視点から見たSV衛星群の観測測定値のみを提供する。航法解は、ユーザがそこにいて、それらを見たければ、ローカルディスプレー用に返送される。シンクライアント226においては、DSPは何か他の非GPSアプリケーションとの共有部分である。従って、マルチススレッドのアプリケーションプログラムはこのクライアントには必要とされず、単純なプログラムループのみが実行される。
【0020】
OMNIクライアント227はほとんど完全に自律的に稼動するが、周期的にコンピュータネットワークを通じてエフェメリス一式を収集する。それは更に、電力を元通りにアップしたときに150km以下のその位置不確定性sigmaposを保持するように電源遮断中も動作する。これらの条件により、信号電力を見つけるためにはるかに細かい探索ステップが使用されかつ各ステップの滞留時間が長い高感度動作が可能になる。OMNIクライアント227はまた水晶振動子218が温度センサ220による温度測定値を用いてソフトウェア補償されれば大いに有利である。航法プラットフォーム202の電力がアップされる度に、時刻真値に対して1ミリ秒未満まで正確なリアルタイムクロック(RTC)が稼動し続ける。
【0021】
ローカル基準発振器の水晶振動子218は温度の関数として変化する周波数ドリフト誤差を有する。ローカル基準発振器の水晶振動子218の温度を測定するために基準水晶温度センサ220が使用される。第1の用途は、航法プラットフォーム202が初期化され、SVを追跡しているときに、製造較正中の曲線を構築するためにデータを収集することである。それに続く用途は、航法プラットフォーム202が初期化され、その最初のSVにロックしようとしている間に9次の多項式が、記憶された係数から計算できるようにインデックス値を提供することである。
【0022】
サーバ204は典型的には、GPS信号入力を基準局マネージャ232に供給する多数の基準局アンテナ228及び230を備える。ロケーションサーバ234は初期測位時間と位置解品質を向上するためにデミ・クライアント224、シンクライアント226、及びOMNIクライアント227に支援情報を提供できる。高感度モードで動作するOMNIクライアント227の場合、サーバ204により収集及び転送されたエフェメリス情報は−150dbm以下のSVからの信号レベルによりエニウェア・フィックス(Anywhere−fix)を可能にする。
【0023】
本発明の方法実施例はOMNIクライアント、例えばクライアント航法プラットフォーム202がサーバ204にいつ、どのようにコンタクトするかを決定する。バイトあたりの通信コストが高かったり、ネットワークが周期的にしかアクセス出来なかったりするので、多くの状況においてサーバコンタクトはまれでかつ最小限でなければならない。
【0024】
信号強度が大きいときは、NAVデータを収集することによりZカウントとBTTは実際に測定される。BTTは如何なるコード位相の反転も一掃するために使用される。一般的には20msec以下の部分は合致するはずである。BTTにはZカウントより少し多い雑音がある。しかしながら、Zカウントはコード位相が反転する間際の短期間に1ミリ秒だけ休止できる。
【0025】
OMNIクライアントはsigmaTimeを1ミリ秒まで低下するために良好な時刻ソースを必要とする。パターンマッチングを行って間接的に時刻を知るために50HzのNAVデータが使用される。それはZカウントが復調できないときにGPS受信機に適当な時刻ソースを提供できる。パターンマッチングが十分信用できるなら、SVに対する整数ミリ秒intMも決定できる。
【0026】
開始時刻の不確定性sigmaTimeが+/−10msecより大きい場合、いわゆる大デルタT項(DT)を解測位に使用しなければならない。それは必要なSV数を1つ増やす。位置不確定性sigmaPosが150kmより悪く、SVに対するintMが入手できないいときはgridFix法が使用できる。sigmaTimeが10ミリ秒より大きい場合、Zカウントなし測位タイプが使用される。
【0027】
全てのGPS・SVに対してアルマナックではなくエフェメリスを用いて完全なGPSアルマナックhighAccAlmがサーバにより送信される。現在追跡されていないSVに対する古いエフェメリスを含む別の完全なGPSアルマナックmixAccAlmがサーバにより送られる。
【0028】
好ましくは、GPS衛星群全体の連続観測可能性を有するWWserverサーバーが実施される。それは適切に空間的に間隔をおいた、同時に世界中のSVを見渡すに十分な数の基準局を有する。サーバ204は、GPS・SV衛星群全体の部分集合のみを観測する一つ以上の基準局を有するローカルサーバLAserverを表す。従って、LAserverはhighAccAlmではなく、mixAccAlmのみを提供できる。
【0029】
電源投入後、アルマナックは実際にはアルマナックであるエフェメリスを含む。12時間の1周期後にアルマナックのいくつかはエフェメリスを基本とするアルマナックと置き換えられる。
【0030】
GPS・SVからのNAVデータは−145dbmの低い信号レベルまで直接収集できる。従って、エフェメリス、Zカウント及びBTTはこのレベルで得られる。このレベルのSVはサーバと独立に動作でき、開始位置精度を必要としない測位、例えばエニウェア・フィックス(Anywhere−fix)において使用できる。パターンマッチングは−145dbmから必須であり、−150dbmの低いレベルまで実行できる。それによりZカウント又はintMsが得られ、従ってSVはエニウェア・フィックス(Anywhere−fix)で使用できる。しかしながら、そのような信号レベルでは、エフェメリスはサーバ又は代わりのソースからネットワークを通じて得る必要がある。−150dbm以下の信号レベルではNAVデータはパターンマッチングに十分な信頼性がない。NAVデータはサーバ204から得なければならず、そのような弱い信号のSVは不確定性が150km未満であるときにのみ測位に参加できる。
【0031】
初期のSV捕捉中にはエフェメリスレベルの精度は必要ない。予備測位に必要なデータを予測するにはアルマナック又は格下のエフェメリスで十分である。エフェメリスレベルの精度も測位には必要ない。測位用のエフェメリス年齢に対してタイムアウトが定められる。そのような閾値は、時間の関数としての精度劣化が適切にモデル化されていれば緩和でき、良質な測位をなお維持できる。年齢閾値は、顧客が所望の性能レベルを選択できるように制御可能なパラメータでもよい。
【0032】
最初の測位又は時刻設定にはサーバからのNAVデータのサブフレームデータが必要とされる。その後、subFrameはこれ以上クライアントにより要求されない。クライアントにより復号されたNAVデータはサーバがパターンマッチングを行うためにサーバに送られる。
【0033】
全てが−145dbmより良好な信号レベルを有する3つ以上のSVがあるときは、OMNIクライアントはサーバ接続を必要としない。エフェメリスが収集されねばならない場合、初期測位時間(TTFF)は長くなる。前に収集されたエフェメリスを使用できる場合もある。
【0034】
前に収集されたSV用エフェメリスを持ち合わせかつsigmaPosが150km未満のときは、OMNIクライアントはサーバ接続を必要としない。必要なSV最小数はsigmaTimeに依存する。そのような時刻不確定性は温度ドリフトに対してソフトウェア補償されたリアルタイムクロック(RTC)により小さくできる。従って、そのようなRTCでは3つのSVを必要とし、RTCがなければ4つのSVを必要とする。
【0035】
そうでなければ、測位用に解を求めるにはOMNIクライアントがサーバにコンタクトでき、ある一定の情報を要求できる必要がある。SV信号が−145dbm乃至−150dbmであり、sigmaPos>150kmのときは、NAVデータのサブフレームが必要とされる。これらのSVに対するintMsはそれらが初期測位に参加するために必要とされる。−145dbm以下のSVが3つしか利用できず、また、正確な時刻について他のよい手段がなければ、パターンマッチングが使用される。そのときは4つのSVを用いていわゆるZカウントなし測位が使用される。
【0036】
SV信号が−145dbmより強くなく、それらのエフェメリスがタイムアウトしたときはエフェメリスを要求しなければならない。そのような場合、できるだけ早いTTFFが望ましい。
【0037】
主要プログラムアプリケーションは周期的にGPS受信機をオンにして測位を得ることができる。それにより前回測位から受信機がどのぐらい移動したかを決定し、あるいは単にGPS受信機が所定の区域を出たかどうかを判定する。−145dbm未満の弱いSVにintMsの必要がないようにsigmaPosを150km内に維持するように測位間の時間間隔が選択される。それによりNAVデータsubFrameを要求するためのサーバ接続を必要としないで高感度測位を維持する能力を拡大できる。サーバ要求のタイミングは適応型である。これは、サーバ要求がなくても十分な性能がある場合に平静なクライアント/サーバ接続を提供するために必要とされる。
【0038】
OMNIクライアントは手持ちのデータ、データ年齢、及び捕捉成功の尤度、例えばSV数及び信号レベルを評価しなければならない。その後に、OMNIクライアントは接続を行うべきかどうか、何のデータを要求すべきかを決定する。適応性をディスエーブルでき、サーバ接続は明示コマンドにより行うことができる。マスタアプリケーションがサーバ接続を1時間ごとに行うように決定してもよい。従って、5分ごとに行われる測位に対して12回目の測位がサーバ接続を行うことになる。
【0039】
マスタアプリケーションがデータを収集し、次いでそれを汎用APIを介してクライアントに押し込む放送型のエフェメリスサービスを使用できる。クライアントにはセッション中いつでもサーバ接続を行う権限を与えてもよい。
【0040】
クライアントは典型的には測位前に1ミリ秒を超える時刻不確定性を有する。従って、完全なコード位相の探索は従来、初期測位に先立って行われる。初期測位後、あるいはRTCを用いたいくつかの再起動により、クライアントは1ミリ秒未満の時刻不確定性を持つこともある。これらの場合、クライアントはコード探索ウィンドーを小さくできる。従って、たとえクライアントが測定されたZカウントから時刻を得たとしても、クライアントはコード不確定性について1023個のチップ全てをなお探索しなければならない
【0041】
重要なことは、本発明の全ての実施例において、DSP216(図2)の一部は電源遮断後も通電が維持され、クライアントセッション間の時刻ソースとして維持されることである。電力低下中に、実際にはRF・ASIC212、ASIC212、sampleClock、 sampleMem、及びOSMに対して電源は切られる。しかし通電は水晶振動子218に対して維持され、またDSP216に本質的なミリ秒の割り込みに対してもそれを処理できるように維持される。
【0042】
クライアント202は次のGPSセッションまで比較的長期間前回位置測位で計算された時刻を維持する際に発振器が安定性しているという利点を有する。
【0043】
クライアントは達成可能な精度を経験的に決定する。これを行うためにクライアントは測位から時刻を設定し、次いで所定の停止時間の間追跡を停止する。次いでクライアントは追跡を再イネーブルし、クロックがどの程度ずれたかの指標として、測定されたZカウントを使用する。クライアントが測位において行うクロック調節はGPS時刻に対してクロックがどの程度ずれたかを教えてくれる。
【0044】
この技術は、クライアントが水晶振動子218及びDSP216に対して電力を維持することを必要とする。それは、装置が見かけ上では電源が切られたときでもクライアントがGPS回路への電力を維持する能力を有することを必要とする。
【0045】
典型的なシャットダウンにおいて、全てのファームウェア・ステートマシンがアイドリングされるときは、全ての「int1」活動は停止すべきである。クライアントはまた、「int0」活動も停止するように自動出力をディスエーブルすることになる。この時点で、如何なるバックグラウンド活動も存在すべきではなく、DSP216はそのタスクを終え、休止モードになるべきである。休止モードは、割り込みがあるまでアイドリングを維持し、その時点でその割り込みサービスルーチンに自動的にジャンプするというDSP216の特別な低電力機能である。
【0046】
ミリ秒割り込みが到着したら、DSP216はウェークアップし、それを処理し、GPS時刻推定値を含む全てのタイマを1ミリ秒だけ進める。次いでDSP216は割り込みを終えたら休止モードに戻る。
【0047】
クライアントは絶対時刻を出力する必要がある。そうして、GPS−TOW(秒単位)は604799から0まで回る度にクライアントは週カウンタもインクリメントすべきである。クライアントは今のところDSP216に対して絶対GPS週を維持しないのでRTCモードの機能が追加されねばならない。しかしながら、DSP216上の処理は何れも週数を使用しない。それはDSP216外部に絶対GPS時刻を提供するために含まれるだけであろう。クライアントはまた、再起動したときにクライアントが読み取れる休止変数(time-off variable)を維持すれば有利である。
【0048】
サイクルは別のクライアントセッションが始まるときに終了する。この時点で、クライアントは連続した時刻メッセージ出力を再び要求し、クライアントはDSP216がオンのままか、オフのままか、またその時刻が信用できるかどうかを観察することができる。こうしてクライアントは、DSP216からの時刻を如何に使用できるかを決定するためにクライアントが使用できるバイアスとドリフトの不確定性を構築する必要がある。
【0049】
クライアントが時刻調節値を送信するときは、時刻設定の推定精度も送信すべきである。この精度はDSP216により受け入れられる。この精度は温度に対する水晶の安定性のモデルに従ってDSP216内部に自動的に伝播される。温度変化が多いほど、バイアスとドリフトの不確定性は高速で伝播されるべきである。しかしながら、温度が一定なら、不確定性はより遅い速度で伝播される。
【0050】
クライアントがセッションを終了しようとしているときは、それは全てのGPS追跡機能をディスエーブルするようにDSP216と通信する。これによりRF・ASIC212が中断され、全てのGPSステートマシンがディスエーブルされる。クライアントはディープスリープ・モードかRTCモードのどちらかを選択できる。ディープスリープが選択されたら、クライアントは水晶振動子218の電源を切る。しかしながら、RTCモードが要求されたら、クライアントは水晶をオンにしておく。
【0051】
クライアントはまた、DSP216がそのミリ秒クロックを維持することを要求できる。それはまた、最低の電力消費を所望する場合、ミリ秒を含むあらゆるものを中断することを決定できる。ほとんどの電力はトランジスタが状態を変更するときにのみ消費され、従って、全ての回路がオフになれば、消費は最小になる。ディープスリープにおいては、DSP216がディープスリープ・モードを検出し、休止コマンドを受けたら振動子の電源も切られる。
【0052】
クライアントがDSP216の電源を切っても、ミリ秒オプションを要求した場合、ファームウェアは可能な全てのモードをディスエーブルするが、ミリ秒と振動子は作動させておく。クライアントはまたDSP216をできるだけ平静に保つために時刻メッセージの自動出力をディスエーブルする。
【0053】
組み込みアプリケーションにおいては、適切なシャットダウン手順を用いないで電力が切られる可能性が常にある。クライアントが、そのクライアントを使用しているアプリケーションから電源遮断要求を受けるのが理想的であろう。これは以下の表における一連のイベントを開始する。
* クライアントがホストアプリケーションからGPSの電源を切りたいという要求を受ける。
* クライアントが全てのGPS追跡エンジン(ODSM、IDSM、TSM)の電源を切るようにDSP216にメッセージを送る。
* クライアントがDSP216の好ましいシャットダウンモードを送り、アクションの受領確認を待つ。最低電力モードを希望する場合、DEEP_SLEEP_MODEを要求する。最大限の情報を希望する場合、RTC_MODEを要求する。
* クライアントがそのシリアルバッファから全てのデータを一掃する。
* クライアントが全てのイベントの処理を完了し、従って、バッテリー・バックアップされた重要なメモリ素子がスタティックになる。
* バッテリー・バックアップされたデータが保存される。
* シャットダウンしても安全な状態にあるというメッセージをクライアントがホストアプリケーションに返送する。
* ホストがクライアント・アプリケーションを割り当て解除する。
このような手順はシャットダウンが制御された方法で生じるときに好ましい方法である。
【0054】
もっと無秩序な停止が生じる可能性もある。そのような場合、ホストアプリケーションは、そのシャットダウン手順を実行可能となる前に不意に終了する(例えば、DSP216が適切にシャットダウンされなかったり、電力がシステムからなくなった場合)。これは誰かがバッテリーを取り外したり、バッテリーが適切な動作レベルを維持できるだけの電流を供給できないときに起こる。
【0055】
DSP216がなお電力供給されているなら、クライアントとの通信が終了したかどうかを検知するためにチェックロジックを含んでもよい。その場合、DSP216はそれ自身の電源遮断シーケンスを行う。DSP216が単純に電源遮断されたら、それは再電源投入時にそのデフォルト状態にあり、問題はない。しかしながら、クライアントがそのときにバッテリー・バックアップされたファイルのある部分に書き込んでいてデータが破損する危険性がある。DSP216のシャットダウンを適切に指示するために変数をフラッグに書き込むこともできる。起動時にデータが読み込まれたときに変数が設定されなかったら、データは無効と見なされ、明示的に無効状態に設定される。
【0056】
電源投入の間、クライアント・アプリケーションは起動され、DSP216をウェークアップするために合図し、現状時刻を要求する。そのような合図によりDSP216内のTCOも直ちに起動する。現状時刻を受信したときに現状時刻が無効なら、クライアントはそのバイアスとドリフトの不確定性を未知の状態に設定する。このようにして、バッテリー・バックアップされたデータやサーバからのデータは何れも最小のシグマを目指して自ら適切に対処できる。クライアントが自分の他の情報源に問い合わせるまでGPS時刻もまたこの時点ではゼロである。
【0057】
もし現状時刻が有効ならば、クライアントは時刻不確定データをコピーし、自分の内部データ構造をこれら時刻不確定データで初期化する。もし、より状態のよいデータが他のソースから入手可能ならば、当該データは入手可能となった時点でこれら不確定性と競合することができる。次いで、クライアントはバッテリー・バックアップされたデータに関する状態を読み込む。これは、データ有効性フラグを設定したデータセクションと同化する。その後、クライアントはその入手可能な情報を評価する準備ができ、サーバからのデータ要求を開始する。
【0058】
順当なシャットダウンの間、RTC_MODEが選択されたら、時刻データがDSP216に送られる。それはシャットダウン手順の一部として受領確認を待つ。時刻データがシャットダウン手順中にのみ送られたら、順当でないクライアントのシャットダウンが生じ、電源はDSP216に対してONのままである。この場合、RTC_MODEはイネーブルされず、DSP216は稼動し続ける。ステートマシンはなお稼動しており、時刻情報は失われる。
【0059】
クライアントとDSP216間では周期的ハンドシェークが好ましい。そのハンドシェークがなくなり、DSP216がなお電力供給された場合、DSP216は自らを平静な状態にする必要がある。
【0060】
タイミングデータが定期的に送られて来るのであればクライアントは時刻をなお有効にしておくこともできる。しかしながら、タイミングデータの維持は計算費用が高くつき、クライアントはこれらの計算の優先度が非常に低くなるように仕組む必要があろう。
【0061】
以下の時刻及び不確定性の維持方程式を設計に使用することができる。ある時点において、クライアントは位置測位、Zカウント、パターンマッチングの何れかから、あるいは異なるリアルタイムクロック等の別のソースから、あるいはサーバのレイテンシ推定量から時刻情報を得る。クライアントはバイアスとドリフトに対する各データソースの精度のモデルを生成できる。計算はバイアスに関してはメートルで、ドリフトに関してはm/sで行われる。SCXOモデルに使用される単位はm/sである。予備測位において、クライアントは常に擬似距離及び擬似距離変化率で計算し、次いで64番目のチップのハードウェア単位と搬送波NCO単位に変換する。従って、クライアントがこの数をDSP216において直接使用したければクライアントはNCO単位に変換しなければならない。
Drift (m/s) / λ (m / cycle) * bits / Hz
= drift * (1575.42 e6 / 2.99792458 e8) * 224 / 528,000
= drift * 166.9789113
Drift NCO units (bits/Hz)=drift (m/s) * 166.9789113
クライアントは周期的に以下の原子データセットを送るべきである。
1.2-6のLSBを有するメートル単位の現在のバイアス(bfix
2.2-12のLSBを有するメートル/秒単位の現在のドリフト(bfix
3.2-6のLSBを有するメートル単位のバイアスシグマ(σbf
4.1ミリ秒のLSBを有するミリ秒単位のミリ秒シグマ(σmillisecond
5.2-12のLSBを有するメートル/秒単位のドリフトシグマ(σdf
6.カウント単位のドリフト推定値に最も近いTCO測定値(TCOfix
7.バイアスに正確に対応し、また全ての他のパラメータにも対応するmsec16
周波数不確定性に関し、クライアントはたった一つのパラメータσdfを有する。しかしながら、時刻不確定性に関しては、クライアントは二つのパラメータで稼動することを好む。多くの場合、初期測位前は、時刻不確定性は多数ミリ秒であり、従って、クライアントは時刻不確定性を2つの成分、即ち、多数ミリ秒の部分と、ミリ秒以下の部分に分解することを好む。
異なるソースからのバイアスとドリフトの精度

【0062】
伝播方程式はTCOと前のドリフトを用いてドリフトを更新し、そのドリフトを用いてバイアスを伝播し、バイアスが+/−1/2ミリ秒を超えるときはミリ秒調節を行い、ドリフトの不確定性を更新し、バイアス不確定性を更新する。バイアスとバイアスシグマを伝播するために、クライアントはドリフトとドリフトシグマを更新する必要がある。基本的にはバイアスはドリフトの積分であり、バイアスシグマはドリフトシグマの積分である。
【0063】
クライアントは測位におけるドリフトデータと、現在TCO読み値による現在SCXOデータとに基づいてドリフトを推定する。
driftHat = function(drift at fix, SCXO drift at fix, current SCXO drift)
【0064】
ドリフト推定値によるバイアスが伝播される。バイアスが+/−1/2ミリ秒を超えるときは、クライアントはミリ秒を正確にしておくためにDSP216のミリ秒を調節する。
Bias = bias + driftHat * dt
If (bias > millisecond/2)
{Bias −= millisecond Adjust DSP 216 millisecond +1 millisecond }
else if (bias < -millisecond/2)
{ bias += millisecond Adjust DSP 216 millisecond −one millisecond }
【0065】
クライアントは測位におけるドリフトと、現在TCOによる現在ドリフトモデルとに基づいてドリフトシグマを更新する。
driftSigma(t) = function(drift sigma at fix, SCXO sigma at fix, current SCXO sigma)
【0066】
クライアントはドリフト不確定性の積分としてバイアス不確定性を伝播する。
biasSigma = biasSigmaAtFix + integral ( driftSigma(t) ) * dt
【0067】
次のセッションが始まったらクライアントはバイアス、ドリフト、及びシグマを返送する。うまくいけば、バイアスシグマの増大は10又は20ミリ秒未満であり、これはクライアントが他の何れのソースからの時刻にも頼ることなく測位を実際に行えることを意味する。従って、以下のパラメータが観測値から定義される。
1.δ(tfix)=dfix−dSCXO(tfix).この符号の付いたパラメータは測位時に測定され、その測位時のモデル誤差を表す。それはプロセスが再開されるまで一定である。
2.δ(tnow)=dSCXO(tnow)−dSCXO(tfix).これは符号の付いたパラメータであり、測位時からのモデルの変化を表す。
【0068】
最初の目標はドリフトの最良推定値を用いてバイアスを伝播することである。もちろん、クライアントはまた、推定されたバイアスシグマが真のバイアス誤差の最小上界(LUB)であるという条件を有する。このようにして、クライアントがバイアスシグマを伝播する際に、それは十分小さく抑えられるので長期間を経ても、そのシグマは、クライアントがそのバイアスを測位計算に使用できることを示す。逆に言えば、バイアスシグマが大き過ぎれば、クライアントは測位計算にそのバイアス推定値を自信をもって使用できない。
【0069】
測位時刻近辺では、測定されたドリフトは確かにクライアントが有する最良の推定値である。温度が測位温度近傍に留まる限り、クライアントは伝播ソースとしてその測位時ドリフトを使用できる。これはまた最小のドリフトシグマを生み出し、従って、バイアスシグマは緩やかに積分され、LUB規準の作成を助ける。
【0070】
反対に、前回の測位からの時間が長いときは、クライアントは基準点としての測位時ドリフトに自信がもてなくなる傾向にあり、クライアントは完全にモデル化されたデータへの移行を好む。しかしながら、クライアントは伝播するのに大きいシグマを使用しなければならない。
【0071】
これらの両極の中間において、二つのソース(測位及びモデル)を融合させるのが論理的であるように思える。クライアントは経験的に、ドリフト軌跡が長期間SCXOモデルからいくらかバイアスされるのが一般的であることが分かっている。しかしながら、日によってバイアスがモデルより上下することも同様に起こり得る。クライアントがデータを融合させ、最近の日々のバイアスを生成するためにできるだけ長く測位時ドリフトに頼る場合、クライアントはうまくいけばより正確なドリフトを得ることができ、またそれをより小さいドリフトシグマに反映させることもできる
【0072】
一つの重要な観測値は,測位時の測定ドリフトとモデル化ドリフトの差である|σ(tfix)|である。クライアントが測位に使用された測定値や、測位自身に対しても何らかの完全性チェックを行うと仮定しよう。例えば、計算された速度がゼロに近ければ、これは安定した点のようであり、多分ドップラー測定誤差は小さい。こうして、クライアントは、測位時からのドリフト測定値が高い信頼性をもつと見なすであろう。屋内測定値を使用することによる劣化は測位時からのドリフトシグマを反映している。この観点から、クライアントは最近の測定データ対してより自信をもつ傾向にある。
【0073】
水晶のエージング又は衝撃は水晶とモデル間のバイアスを生じがちである。クライアントは測定データとモデル化データ間の不一致があることを受け入れなければならない。測定データに大きい重み付けをするけれども、測定からの時間が長くなるにつれてモデル化されたドリフトにゆっくりと収束するようなドリフト及びドリフトシグマを用いたバイアス及びバイアスシグマを伝播する方法論をクライアントは開発することになる。
【0074】
測位時に推定されたドリフトからSCXOにより推定されたドリフトへ移行するために単純な式が定義される。クライアントは2つの簡単なパラメータを介して移行率を制御することになる。
【0075】
クライアントは2つのドリフト推定値、即ち、一つは現在TCOに基づくSCXOモデルのものと、もう一つは調節された測位時ドリフトとを融合させる。調節された測位時ドリフトは簡単に言えば、現在時刻と測位時刻から生じるモデルの変化に対して補正された測位時からのドリフトである。調節された測位時ドリフトは
da(tk) = d(tfix)+dSCXO(tk)−dSCXO(tfix)
クライアントは融合されたドリフト推定値を以下のように定義する。
d(tk) = [1−α] * da(tk) + α * dSCXO(tk)
クライアントがパラメータαを用いて融合させる二つのドリフト推定値をもつことに注意のこと。このパラメータは以下をもたらす。
1.tk=tfix なら、クライアントはd(tk) = da(tk) にしたい。従って、α=0。
2.tk>>tfixなら、クライアントはd(tk) =dSCXO(tk)にしたい。従って、α=1。
そうして、パラメータNをフィルタが更新された回数として、
N1=1 (k=1の場合)
Nk=k (k≦Nmaxの場合)
Nk=Nmax(k>Nmaxの場合)
と定義しよう。クライアントはまた整数計算を用いて掛け算を実行したい。そこで、クライアントは
α = Nk / 2M
1−α = (2M−Nk) / 2M
Nmax = 2M
と定義する。クライアントは一つのパラメータMしか指定する必要はなく、それで変化率が完全に定義される。

同じ式がドリフトシグマに対して使用される。
σd(tk) = [1−α] * σfix + α * σSCXO(tk)
モデルは毎秒更新され、従って間接的に1秒が掛け算され、クライアントは以下のようにバイアスを更新できる。
b(tk) = b(tk-1) + d(tk)
クライアントはドリフトシグマの積分としてバイアスシグマも更新することになり、従って、以下のように間接的に1秒が掛け算される。
σb(t1) = σbfix
σb(tk) = σb(tk-1) + σb(tk)
【0076】
水晶振動子218及びDSP216のハードウェアはモデルの精度を確かめ、また正しい時間定数を選択するために使用できる。現実のDSP216ハードウェアは、クライアントが常に真のバイアスとドリフトを測定できるように少なくとも一つの衛星を追跡する。クライアントは以下のように真の位置近辺において擬似距離及び擬似距離変化率を線形化することによりこれを行う。
a.LPR = intms * cmsec + codePhase − rangeHat − corr
b.LPRR = rangeRate − rangeRateHat
c.モデルはLPR = biasTrue かつLPRR = driftTrue となる
まさしく最初の測定において、クライアントはLPR及びLPRRをクリアするように受信機クロック時刻を設定する。+/−1/2を超えるLPRの何れの成分もミリ秒クロック調節が行われる。ミリ秒以下の端数は開始バイアスである。最初の調節後、次にクライアントはSCXOデータと上記の方程式からバイアスとドリフトの形成を開始する。バイアスが+/−1/2ミリ秒の範囲を超えたら、クライアントは通常通りクロック調節を行う。LPRとLPRRは真のバイアスとドリフトを提供し、方程式は推定されたバイアスとドリフトを提供する。また、測定されたZカウントがあるとき、及びクライアントがルールオブサム値(rule-of-thumb value)を70と見なすのではなく、真のintMsを用いて補正すれば、真のミリ秒時刻誤差をもつことになる。
【0077】
図3は、参照数字300で示される本発明の衛星航法受信機と通信装置システムの一体化された組み合せにおける周波数の多重再使用を図解する。システム300はGPS部302と携帯電話部304を有し、両者は同じ携帯又はハンドヘルド装置の中に一体化される。GPS部302はGPSアンテナ306と、GPS・RF受信機308と、GPSデジタルプロセッサ/周波数発生器(チップ)310と、GPS発振器(oscGPS)312と、低周波発振器(osc3)314とを有する。クロックセレクタ316が例えばクロック周波数の種類により、通常動作か低電力動作かを選択する。携帯電話部304は携帯電話アンテナ318と、通信送受信機320と、デジタル信号プロセッサ322と、電話CPU電力制御クロックセレクタ324と、分周器325と、電圧制御型発振器(VCO)326とを含む。
【0078】
VCO326に加えられる周波数の相対的安定性と精度を向上するために分周器325が含まれる。携帯電話部304は、非常に正確な基準をローカルにもっているときは、適切なCDMA動作のために良好な基準周波数を供給するその携帯電話基地局に頼るようなものではない。基地局領域において動作している全ての携帯電話がそのようなGPSから提供される基準信号をもっていたら、基地局は高価な原子時計を装備する必要はなくなる。
【0079】
典型的なVCO発振器は比較的遅い10〜13MHzで動作するので、通信装置は一般的にそれら自身のより高速プロセッサ用水晶を必要とする。特殊通信機能用になお一層高い周波数に切り換え可能なプロセッサもある。より多くの計算リソースを要するアプリケーションを実行するためには、ダウン変換プロセスに使用され、RFチップ内で生成される中間周波数(IF)が使用される。低周波発振器が低電力時刻維持のために選択され、これは通常は32KHz水晶である。
【0080】
電源投入時、GPSチップ310は、例えば不揮発性メモリロケーションから電話CPU324用のデフォルトの起動プロセッサクロック選択をロードする。GPSクロックを逓倍することにより数値制御型発振器(NCO)に入力するホストプロセッサクロック周波数が生成される。このようなNCOは、その入力周波数の半分までの任意の出力周波数を生成するようにデジタル処理でプログラムすることができる。GPS部302はそれ自身をスリープ状態の低電力モードにし、いつGPSを使用すべきかをユーザに決定させる。ホストシステムはそのクロックが安定しているときに動作を開始する。次いでホストはホストCPU324とGPSデジタルチップ310間の通信を介して異なる周波数を選択できる。電話部304は所望の周波数を送信することにより大まかな周波数数値を要求できる。それは、いつVCOが使用すべき周波数(例えば日本PDCシステム用の12.6MHz)に調整されるかを制御できる。GPS部302がGPS衛星を追跡し、その周波数誤差を解いている場合、そのGPS水晶の誤差がどのぐらいあるかの知識により、要求された12.6MHzを補償できる。このように、それはより安定した周波数を通信装置VCO326に供給できる。低電力モードが必要な場合、通信装置304は、GPS部302が低電力モードに入ることを要求できる。それはosc3、314からの低周波水晶入力を用いて刻時する。GPS発振器312を低電力にできる場合、32kHz発振器314は除去できる。GPS部302は、定期的かつ正確な間隔で生じることを必要とするある一定のプロセスをウェークアップするためにタイムイベントラインを通じて電話部304に割り込みを送信できる。
【0081】
GPS部302はGPS衛星時刻標準により補正されたVCO周波数を供給し、非常に正確である。GPS部302からは、例えば周波数分割多元接続(FDMA)システムに必要な周波数ステッピング動作をするために、電話部304からの要求に応答する可変VCOを供給できる。水晶出力を近似するためにGPS部302によりアナログ正弦波電圧を出力できる。正確な位相を得るために加算器の上部からのビットを使用することによりそのような電圧を要求してもよい。そのような位相は線形のカウンタ値ではなく、もっと代表的な正弦曲線水準を有するテーブルを用いて変換される。テーブル値はデジタル−アナログ変換器においてアナログ信号に変換できる。単純な1ビットデジタルクロック周波数を生成するために加算器のオーバフローも使用できる。GPS受信機及びosc3、314におけるGPS秒割り込みとミリ秒割り込みの組合せから時間間隔割り込みを構成できる。イベントのタイミングはオフセットを用いて基準のどのタイムフレームに対しても同調できる。
【0082】
本発明の方法実施例において、一体化された航法受信機/携帯電話組合せにおけるソース振動子の数は、例えば約27MHzのGPS水晶振動子と約32KHzの時計用水晶振動子の二つに減らされる。より高い周波数を生成するために逓倍器がGPS水晶発振器に接続される。VCO及びホストCPU周波数をそれぞれ生成するために二つの数値制御型発振器(NCO1とNCO2)が使用される。タイムイベント論理は、GPSミリ秒割り込み、GPS秒パルス、デジタルオフセット、及び時計用水晶振動子の組合せからホストCPUに対してタイムイベントを発生する。
【0083】
概ね、本発明の実施例は製造コストと装置性能を共に改善する。例えば、航法受信機は水晶を再使用するために通信装置に基準水晶周波数を供給し、こうして第2の水晶として必要な通信VCO水晶を除去する。また航法受信機がそのような基準水晶周波数を通信装置に供給する場合、初期周波数探索空間を削減できるほど周波数不確定性が少なくなるために通信受信機感度が改善される。従って、受信機はより小さいインクリメント又はステップを用いて周波数領域内の信号を探索でき、しかも妥当な時間で初期ロックを見つけ出すことができる。
【0084】
現時点での好ましい実施例という点から本発明を述べてきたが、開示は制限的であると解釈すべきでないことは言うまでもない。上記の開示を読めば、当業者には、種々の変更及び変形が明らかになることは疑いの余地がない。従って、添付された特許請求の範囲は発明の「真の」精神と範囲に入る全ての変更及び変形を包含すると解釈されるものと考える。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の組合せGPS衛星航法受信機部/通信装置システム実施例の機能ブロック図である。
【図2】ネットワークサーバにより情報が供給されるクライアント受信機を支援する本発明のGPSシステム実施例の機能ブロック図である。
【図3】本発明の組合せGPS衛星航法受信機部/通信装置システム実施例における周波数の多重再使用の模式図である。
【符号の説明】
【0086】
100 混成衛星航法受信機/通信装置組合せ
108 GPS無線周波数部
110 GPS−DSP処理部
112 27MHz水晶
114 マスタクロック
118 水晶発振器モデル
122 タイムベース
124 GPS時刻再生器
126 リアルタイムクロック
128 32KHz水晶
132 携帯電話送受信機部
134 通信DSP
136 ホストCPU
138 数値制御型発振器
300 一体化された衛星航法受信機/通信装置組合せシステム
302 GPS受信機部
304 通信送受信機部
308 GPS・RF受信機部
310 GPSデジタルプロセッサ/周波数発生器(GPSチップ)
312 GPS発振器
314 低周波発振器
316 クロックセレクタ
320 携帯電話送受信機
322 携帯電話デジタル信号プロセッサ
324 携帯電話ホストCPU
325 分周器
326 電圧制御型発振器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置解と正確なGPSシステム時刻を計算するGPS無線周波数(108)/GPS−DSP処理部(110)と、
携帯通信用の携帯電話送受信機(132)/DSP処理部(134)と、
前記GPS無線周波数/DSP処理部と前記携帯電話送受信機/DSP処理部にローカル発振器(LO)周波数基準を独立に供給するために接続されたマスタクロック(114)と、
前記マスタクロックを制御するために接続されたソフトウェア制御型水晶発振器(SCXO)モデル(118)と、
前記マスタクロックにおける誤差とドリフトを補償できるように前記SCXOモデルに正確なクロックを供給するために接続された正確なタイムベース(122)であって、計算されたGPSシステム時刻を受信するための入力を有する正確なタイムベースと、
「電源遮断」コマンドが入力される前に取得された最新の既知の計算GPSシステム時刻に合わせたオフセットカウントを加算することにより再生されたGPSシステム時刻を供給するGPS時刻再生器(124)と、
「電源遮断」期間の間に前記オフセットカウントを生成し、それを前記GPS時刻再生器に供給するリアルタイムクロック(RTC)(126)と
を備える混成航法衛星受信機/携帯電話組合せ(100)。
【請求項2】
前記マスタ発振器に設けられた27MHz水晶(112)と、前記RTCに設けられた32KHz水晶(128)とを更に備える請求項1に記載の混成組合せ。
【請求項3】
前記GPS無線周波数/DSP処理部と前記携帯電話送受信機/DSP処理部と共存するホストCPU(136)と、可変のローカル発振器基準周波数を供給するために接続された、前記ホストCPUによりプログラム可能な数値制御型発振器(NCO)(138)とを更に備える請求項1に記載の混成組合せ。
【請求項4】
前記GPS時刻再生器(124)が前記RTCからのオフセットカウントをGPSシステム時刻に継続的に関連付け、「電源遮断」コマンドが入力されたら、最新の関連付けを記憶することを特徴とする請求項1に記載の混成組合せ。
【請求項5】
電源「再起動」コマンドが入力されたら、前記GPS時刻再生器(124)が前記RTC(126)からの現在オフセットカウントを読み込み、それを前記最新の関連付けと組み合わせて再生されたGPSシステム時刻を推定することを特徴とする請求項4に記載の混成組合せ。
【請求項6】
前記GPS時刻再生器(124)が、前記再生されたGPSシステム時刻による前記GPS−DSP処理部の初期化に備えることを特徴とする請求項5に記載の混成組合せ。
【請求項7】
全地球測位システム(GPS)受信機部(302)と通信送受信機部(304)を含む単一の携帯装置を備える一体化された衛星航法受信機/通信装置組合せシステム(300)において、
前記GPS受信機部(302)がGPS・RF受信機(308)と、GPSデジタルプロセッサ/周波数発生器(GPSチップ)(310)と、GPS発振器(oscGPS)(312)と、約32KHzで動作する低周波発振器(osc3)(314)と、通常動作と刻時のみの低電力動作に対するクロック周波数の種類を選択するクロックセレクタ(316)とを含み、
前記通信送受信機部(304)が携帯電話送受信機(320)と、デジタル信号プロセッサ(DSP)(322)と、電話ホストCPU(324)と、分周器(325)と、電圧制御型発振器(VCO)(326)とを含む、
一体化された衛星航法受信機/通信装置組合せシステムであって、
電源投入時に、前記GPSチップ(310)が前記電話CPU(324)に対するデフォルトの起動プロセッサクロック合成周波数値をロードし、要求された出力周波数を生成するようにデジタル式にプログラム可能な数値制御型発振器(NCO)に入力されたGPSクロックを逓倍することによりホストプロセッサクロック周波数が生成され、
前記GPS受信機部(302)がGPS衛星を追跡しており、かつ周波数誤差を解いていたら、前記GPS受信機部が、前記GPS発振器(oscGPS)(312)における前記誤差を計算することにより要求された周波数を補償して前記VCO(326)に一層安定した周波数を供給する
ことを特徴とする一体化された衛星航法受信機/通信装置組合せシステム。
【請求項8】
前記ホストCPU(324)が前記ホストCPU(324)と前記GPSチップ(310)間の通信リンクを介して異なる周波数を選択するようにイネーブルされ、前記通信送受信機部(304)が特定の出力周波数を要求でき、前記通信送受信機部が、いつ前記VCO(326)がそのような周波数の出力を開始するかを制御できることを特徴とする請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
低電力モードを採るべき場合、前記GPS受信機部(302)が前記低電力モードに入るように前記通信装置(304)が要求を送ることを特徴とする請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
osc3(314)からの入力を有する低周波水晶で時刻が維持されることを特徴とする請求項7に記載のシステム。
【請求項11】
前記GPS受信機部(302)が前記通信送受信機部(304)にある一定のプロセスをウェークアップする割り込みを送ることを特徴とする請求項7に記載のシステム。
【請求項12】
前記GPS受信機部(302)がそれ自身をスリープ低電力モードにし、いつGPS機能を使用すべきかをユーザに決定させることを特徴とする請求項7に記載のシステム。
【請求項13】
特定の周波数、波形及び位相を生成するために前記通信送受信機部(304)からの要求に応じて前記GPS受信機部(302)から出力される可変VCOを更に備える請求項7に記載のシステム。
【請求項14】
前記GPS受信機部(302)に含まれるGPS秒割り込みとGPSミリ秒割り込みの組合せから構成された時間間隔割り込みを更に備える請求項7に記載のシステム。
【請求項15】
航法受信機と携帯電話を一体的に組み合わせるときに基準発振器に必要な水晶の数を2個に制限する方法であって、
GPS発振器に約27MHzで動作する第1の水晶を備えるステップと、
時計振動子に約32KHzで動作する第2の水晶を備えるステップと、
GPS受信機を動作するより高い周波数を生成するために逓倍器を前記GPS発振器に接続するステップと、
通信送受信機を動作するVCO周波数を第1の数値制御型発振器(NCO1)を用いて生成するステップと、
ホストCPU周波数を第2の数値制御型発振器(NCO2)を用いて生成するステップと、
GPSミリ秒割り込み、GPS秒パルス、デジタルオフセット、及び前記時計振動子の論理組合せを用いてホストCPUにタイムイベントを発生するステップと
を含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−314095(P2006−314095A)
【公開日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−117056(P2006−117056)
【出願日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【出願人】(501396026)イーライド,インク. (10)
【氏名又は名称原語表記】eRide,Inc.
【住所又は居所原語表記】3450 California Street San Francisco,Calif           ornia 94118−1837,United States of America
【Fターム(参考)】