説明

混注部材及び医療用回路

【課題】アダプタ部材の内部空間を十分に滅菌処理することが可能で、かつ、包装材から開封したとき又は開封後においても雑菌汚染の発生を抑制することが可能な混注部材を提供する。
【解決手段】ジョイント部材と、第1接続部及び第2接続部140を有するアダプタ部材100と、第2接続部140に着脱自在に構成されたキャップ部材60とを備える混注部材50。第1及び第2接続部の間には対向部132が設けられており、アダプタ部材100とキャップ部材60とは、キャップ部材60を第2接続部140に装着したときに、キャップ部材60の開口端面65と対向部132とが直接接しないよう距離L3だけ離間するように構成されている。対向部132から第2接続部の端面144までの長さをL1とし、キャップ部材60の開口端面65から天面部66までの長さをL2としたとき、「L1<L2+L3」の関係式を満たす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、混注部材及び医療用回路に関する。
【背景技術】
【0002】
血液回路や輸液回路等の医療用回路に配設される混注部材として、従来、ジョイント部材の下方又は側方にアダプタ装着部が設けられた混注部材が知られている(例えば、特許文献1及び2参照。)。
【0003】
図16は、従来の混注部材850を説明するために示す図である。図16(a)は従来の混注部材850においてアダプタ部材900をアダプタ装着部984に装着したときの一部断面図であり、図16(b)はプライミング時において従来の混注部材850を図16(a)の矢印A方向から見た一部断面図である。なお、図16(a)においては、キャップ部材860をアダプタ部材900の第2接続部940に装着し、アダプタ部材900をジョイント部材950のアダプタ装着部984に装着した状態を図示している。また、図16(b)においては、アダプタ部材900の第2接続部940からキャップ部材860を外し、アダプタ部材900を栓止部材870に差し込んで、アダプタ部材900とジョイント部材950とを接続させた状態を図示している。
【0004】
従来の混注部材850は、図16に示すように、医療用回路内に配設されたチューブに接続されるジョイント部材950と、ジョイント部材950のアダプタ装着部984に装着可能に構成されたアダプタ部材900と、アダプタ部材900の第2接続部940に着脱自在に構成されたキャップ部材860とを備える。
ジョイント部材950は、2つのチューブ接続部962,964と、チューブ接続部962,964と連通する混注部970と、ジョイント部材950の下方に設けられたアダプタ装着部984とを有する。
アダプタ部材900は、混注部970と接続可能でかつアダプタ装着部984に装着可能に構成された第1接続部910と、第1接続部910と連通する第2接続部940とを有する。
キャップ部材860は、開口部864と、天面部866とを有する。
【0005】
従来の混注部材850においては、ジョイント部材950にアダプタ装着部984が設けられているため、アダプタ装着部984にアダプタ部材900を装着した状態で滅菌処理及び包装しておくことにより、使用時にわざわざ別部品のアダプタ部材を準備する必要なく、滅菌処理されたアダプタ部材900を使用することが可能となる。
また、従来の混注部材850においては、キャップ部材860を備えているため、包装材から開封したとき又は開封後において、アダプタ部材900の第2接続部940が露出したままの状態となることによる雑菌汚染の発生を抑制することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−523号公報
【特許文献2】特開2006−334288号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の混注部材850においては、キャップ部材860をアダプタ部材900の第2接続部940にしっかり装着した状態で滅菌処理を行った場合、アダプタ部材900の第1接続部910側はアダプタ装着部984に装着された状態であり、アダプタ部材900の第2接続部940側はキャップ部材860が装着された状態であることから、アダプタ部材900の内部空間(アダプタ部材900の内腔)が十分に滅菌処理されているとは言い難い。
【0008】
そうかといって、キャップ部材860を外した状態で滅菌処理を行うと、アダプタ部材900の内部空間については十分な滅菌処理ができたとしても、包装材から開封したとき又は開封後において、アダプタ部材900の第2接続部940が露出したままの状態となってしまうため、上述の雑菌汚染の問題が生じかねない。
【0009】
そこで、本発明は、このような問題を解決するためになされたもので、アダプタ部材の内部空間を十分に滅菌処理することが可能で、かつ、包装材から開封したとき又は開封後においても雑菌汚染の発生を抑制することが可能な混注部材及び医療用回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
[1]本発明の混注部材(50)は、医療用回路内に配設されたチューブと接続可能に構成されたチューブ接続部(162,164)、前記チューブ接続部(162,164)と連通する混注部(170)及び管状であって一方向に開口するアダプタ装着部(184)を有するジョイント部材(150)と、前記混注部(170)と接続可能でかつ前記アダプタ装着部(184)に装着可能に構成された第1接続部(110)及び前記第1接続部(110)と連通する第2接続部(140)を有するアダプタ部材(100)と、開口部(64)及び天面部(66)を有し、前記第2接続部(140)に着脱自在に構成されたキャップ部材(60)とを備え、前記アダプタ部材(100)における前記第1及び第2接続部(110,140)の間には、前記キャップ部材(60)を前記第2接続部(140)に装着したときに、前記開口部の開口端面(65)と対向する対向部(132)が設けられており、前記アダプタ部材(100)と前記キャップ部材(60)とは、前記キャップ部材(60)を前記第2接続部(140)に装着したときに、前記開口端面(65)と前記対向部(132)とが直接接しないよう所定距離だけ離間するように構成されており、前記対向部(132)から前記第2接続部の端面(144)までの長さをL1とし、前記開口端面(65)から前記天面部(66)までの長さをL2とし、前記キャップ部材(60)を前記第2接続部(140)に装着したときの、前記開口端面(65)と前記対向部(132)とが離間した距離をL3としたとき、「L1<L2+L3」の関係式を満たすことを特徴とする。
【0011】
詳細については図15を用いて後述するが、本発明の混注部材によれば、キャップ部材をアダプタ部材(第2接続部)に装着したときに、キャップ部材の開口端面とアダプタ部材の対向部とが離間することで隙間ができるように構成されており、さらには上記の関係式を満たすことによって、キャップ部材の天面部とアダプタ部材における第2接続部の端面との間に空隙を設けることができることから、キャップ部材とアダプタ部材との間にできた隙間とその空隙を介して、キャップ部材の外部空間からアダプタ部材の内部空間へと通じる流路を形成することができる。その結果、滅菌処理時においてキャップ部材をアダプタ部材に装着していたとしても、アダプタ部材の内部空間に至るまで十分に滅菌処理を施すことが可能となる。
また、本発明の混注部材によれば、キャップ部材をアダプタ部材に装着した状態で滅菌処理を施すことができることから、包装材から開封したとき又は開封後において、アダプタ部材の第2接続部が露出したままの状態となることもなく、上述した雑菌汚染の問題が生じることもない。
したがって、本発明の混注部材は、アダプタ部材の内部空間を十分に滅菌処理することが可能で、かつ、包装材から開封したとき又は開封後においても雑菌汚染の発生を抑制することが可能な混注部材となる。
【0012】
[2]本発明の混注部材(50)においては、前記対向部(132)及び前記開口端面(65)のうち少なくとも一方には、前記L3と同じ突出高さからなる凸部(130)が設けられていることが好ましい。
【0013】
このように構成することにより、比較的簡易な構成でもって、キャップ部材の開口端面とアダプタ部材の対向部との間に隙間を設けることが可能となる。
【0014】
[3]本発明の混注部材(50)においては、前記凸部として、複数の凸部(130)を備え、当該複数の凸部(130)のそれぞれは、前記キャップ部材(60)を前記アダプタ部材(100)に装着する方向から視たとき、互いに等間隔になるように配置されていることが好ましい。
【0015】
このように構成することにより、キャップ部材をアダプタ部材に装着したときにおける、キャップ部材の望ましくない傾きの発生を抑制することができるため、キャップ部材の外部空間からアダプタ部材の内部空間へと通じる流路を確実に確保することが可能となる。その結果、アダプタ部材の内部空間を確実に滅菌処理することが可能となる。
【0016】
[4]本発明の混注部材(50)においては、前記第2接続部(140)及び前記キャップ部材(60)はともに円筒状であり、前記第2接続部(140)の外周面には、螺旋状突起(142)が設けられており、前記キャップ部材(60)の内周面には、前記螺旋状突起(142)に対応する他の螺旋状突起(62)が設けられていることが好ましい。
【0017】
このように構成することにより、キャップ部材をアダプタ部材に確実かつ比較的容易に装着することが可能となる。
また、キャップ部材をアダプタ部材に装着したとき、キャップ部材の内周面に設けられた他の螺旋状突起の各突起間には、キャップ部材の開口部からキャップ部材の天面部に向かう螺旋状の空間が生まれることとなる。この螺旋状の空間には、第2接続部の外周面に設けられた螺旋状突起が存在しているが、アダプタ部材に設けられた螺旋状突起とキャップ部材に設けられた他の螺旋状突起との間には、構造上の理由から遊びがあるため、上記した螺旋状の空間がアダプタ部材の螺旋状突起によって完全に塞がれてしまうことはない。つまり、上記のように構成することにより、キャップ部材をアダプタ部材に装着したとしても、少なくとも上記した螺旋状の空間が流路となることから、キャップ部材の内部空間、さらにはアダプタ部材の内部空間に至るまで十分に滅菌処理を施すことが可能となる。
【0018】
[5]本発明の医療用回路(1)は、本発明の混注部材(50)を備えることを特徴とする。
【0019】
このため、本発明の医療用回路によれば、上記した優れた混注部材を備えているため、アダプタ部材の内部空間を十分に滅菌処理することが可能で、かつ、包装材から開封したとき又は開封後においても雑菌汚染の発生を抑制することが可能な医療用回路となる。
【0020】
なお、特許請求の範囲及び本欄(課題を解決するための手段の欄)に記載した各部材等の文言下に括弧をもって付加された符号は、特許請求の範囲及び本欄に記載された内容の理解を容易にするために用いられたものであって、特許請求の範囲及び本欄に記載された内容を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施形態に係る医療用回路1の概略図。
【図2】実施形態に係る混注部材50を説明するために示す図。
【図3】アダプタ部材100を説明するために示す図。
【図4】アダプタ部材100の側面図。
【図5】図4のA−A線断面図。
【図6】アダプタ部材100の上面図。
【図7】アダプタ部材100の斜視図。
【図8】ジョイント部材150の斜視図。
【図9】ジョイント部材150を説明するために示す図。
【図10】ジョイント部材150を説明するために示す図。
【図11】ジョイント部材150及びアダプタ部材100を説明するために示す図。
【図12】混注部材50(アダプタ部材100)の使用方法を説明するために示す図。
【図13】混注部材50(アダプタ部材100)の使用方法を説明するために示す図。
【図14】混注部材50(アダプタ部材100)の使用方法を説明するために示す図。
【図15】比較例に係る混注部材50a及び実施形態に係る混注部材50を説明するために示す図。
【図16】従来の混注部材850を説明するために示す図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の混注部材及び医療用回路について、図に示す実施の形態に基づいて説明する。
【0023】
[実施形態]
まず、実施形態に係る医療用回路1の構成について、図1を用いて詳細に説明する。
図1は、実施形態に係る医療用回路1の概略図である。
【0024】
医療用回路1は、血液透析用の血液回路であって、図1に示すように、血液処理器(ダイアライザーともいう。)10と、動脈側回路20と、静脈側回路30と、動脈側回路20の回路内に配設された混注部材50とを備える。血液処理器10は、例えば中空糸型の血液処理器である。動脈側回路20は、血液処理器10の一方端部に接続されており、静脈側回路30は、血液処理器10の他方端部に接続されている。
【0025】
動脈側回路20は、チューブ21〜24と、チューブ21とチューブ22の間に配置されたドリップチャンバ25と、チューブ22とチューブ23との間に配置されたローリングチューブ26と、チューブ24の端部に配置されたシャントキャップ27とを有する。チューブ23には、プライミング液としての生理食塩水を回路内に導入するための生食ライン41と、ヘパリン液を回路内に導入するためのヘパリンライン42とが接続されている。ドリップチャンバ25には、モニターラインが接続されている。チューブ23とチューブ24の間には、回路内に薬液等を注入したり回路内から血液を採取したりするための混注部材50が配置されている。
【0026】
静脈側回路30は、チューブ31,32と、チューブ31とチューブ32の間に配置されたドリップチャンバ33と、チューブ32の端部に配置されたシャントキャップ34とを有する。ドリップチャンバ33には、プライミング処理時に余分な生理食塩水を排出するための排液ライン44と、モニターライン45とが接続されている。
【0027】
動脈側回路20のシャントキャップ27と静脈側回路30のシャントキャップ34とは、オス−メス嵌合可能に構成されており、医療用回路1のプライミング処理(回路内の異物・空気除去)を行う際に用いられる。
【0028】
次に、実施形態に係る混注部材50について、図2を用いて詳細に説明する。
【0029】
図2は、実施形態に係る混注部材50を説明するために示す図である。図2(a)は混注部材50の構成部品を示す図であり、図2(b)はアダプタ用キャップ60の端面図であり、図2(c)は被冠部材80の端面図である。なお、図2(a)において、アダプタ用キャップ60と被冠部材80については、部材の一部を断面で図示している。
【0030】
混注部材50は、図2(a)に示すように、ジョイント部材150と、ルアーロック式(ねじ込み式)シリンジ等をジョイント部材150に接続するためのアダプタ部材100と、アダプタ部材100の後述する第2接続部140に着脱自在に構成されたキャップ部材60と、ジョイント部材150の後述する混注部170を栓止する栓止部材70と、栓止部材70によって混注部170が栓止された状態で混注部170を外側から覆うように装着される被冠部材80とを備える。
【0031】
キャップ部材60は、円筒状の部材であって、図2(b)に示すように、内周面に設けられた他の螺旋状突起62と、開口部64と、天面部66とを有する。天面部66の中心部67は、開口部64側に向けて凹んでいる。
【0032】
栓止部材70は、ゴム状の弾性体からなる。栓止部材70としては、例えばシリコンゴムを好適に用いることができる。
【0033】
被冠部材80は、図2(c)に示すように、円筒状の部材であり、内周面に所定の凹凸形状からなる被係止部82が設けられている。被係止部82の凹凸形状は、後述する混注部170の係止部172の形状と対応しており、混注部170に被冠部材80を装着したときに、係止部172と被係止部82とが係止可能に構成されている。
【0034】
ジョイント部材150については、詳細に後述する。
【0035】
次に、アダプタ部材100の構成について、図3〜図7を用いて詳細に説明する。
【0036】
図3は、アダプタ部材100を説明するために示す図である。図3(a)は第2接続部140が上に位置し針保護フード120が下に位置するようにしてアダプタ部材100を見た図(正面図)であり、図3(b)は図3(a)に示す図から一部の部材を削除した図である。なお、図3(b)においては、発明の理解を容易にするため、針管110と、切欠き122の奥に見えるはずの針保護フード120を削除して図示している。
図4は、アダプタ部材100の側面図である。
図5は、図4のA−A線断面図である。
図6は、アダプタ部材100の上面図である。
図7は、アダプタ部材100の斜視図である。
【0037】
アダプタ部材100は、図3〜図7に示すように、第1接続部としての針管110と、針管110を覆うように構成された略筒状の針保護フード120と、2つの嵌合孔136と、円管状の第2接続部140とを備える。針管110と第2接続部140とは、連通している(図5参照。)。
【0038】
針保護フード120の先端側には、2つの切欠き122が設けられている(図3(b)及び図7参照。)。2つの切欠き122は、針管110を間にして対向配置されている。第2接続部140が上に位置し針保護フード120が下に位置するようにして切欠き122を正面から見たとき(図3(b)参照。)、針管110の中心軸を含む仮想平面Vでもって切欠き122を2つに分割した右側に第1切欠き部124が位置し、左側に第2切欠き部128が位置する。第1切欠き部124の切欠き形状と第2切欠き部128の切欠き形状とは、非対称である。
【0039】
切欠き122における第2接続部140側の位置には、所定長さのスリット138が設けられている。
【0040】
針保護フード120の外周面には、指で把持しやすいように複数のリブ134が設けられている。
【0041】
2つの嵌合孔136は、平面視円形状の孔であって、針保護フード120の先端側の所定位置に針管110を間にして対向配置されている。嵌合孔136は、アダプタ部材100をジョイント部材150に接続したときに、ジョイント部材150の後述する突起190と係合するように構成されている。
【0042】
アダプタ部材100における第1及び第2接続部110,140の間(針保護フード120の付け根部分)には、キャップ部材60を第2接続部140に装着したときに、キャップ部材60の開口端面65と対向する対向部132が設けられている。
【0043】
対向部132には、図3及び図4に示すように、突出高さがL3からなる2つの凸部130が設けられている。凸部130は、図6に示すように、上面視略矩形状の形状を有する。2つの凸部130のそれぞれは、キャップ部材60をアダプタ部材100に装着する方向(すなわち図6に示す方向)から視たとき、第2接続部140の中心軸(針管110の位置)を中心として、例えば180度の回転位置に配置されている。すなわち、2つの凸部130のそれぞれは、互いに等間隔になるように配置されていると言える。
【0044】
第2接続部140の外周面には、螺旋状突起142が設けられている。第2接続部140が上に位置し針保護フード120が下に位置するようにしてアダプタ部材100を見たとき(図3及び図4参照。)、螺旋状突起142は、右上がりの螺旋構造となっている。
【0045】
アダプタ部材100を構成する各部材は、金型により一体成形されている。アダプタ部材100を構成する材料としては、例えばポリプロピレンやポリカーボネートなどのプラスチック材料を好適に用いることができる。実施形態に係るアダプタ部材100においては、例えばポリプロピレンを材料として用いている。
【0046】
次に、実施形態に係るジョイント部材150の構成について、図8〜図11を用いて詳細に説明する。
【0047】
図8は、ジョイント部材150の斜視図である。図8(a)は2つのチューブ接続部162,164のうちチューブ接続部162が手前側となるようにして見たときの斜視図であり、図8(b)はチューブ接続部164が手前側となるようにして見たときの斜視図である。
図9は、ジョイント部材150を説明するために示す図である。図9(a)はチューブ接続部162が手前側に位置するようにしてジョイント部材150を見た図(正面図)であり、図9(b)はチューブ接続部164が手前側に位置するようにしてジョイント部材150を見た図(背面図)である。
図10は、ジョイント部材150を説明するために示す図である。図10(a)はジョイント部材150の側面図であり、図10(b)は図9(b)のB−B線断面図である。
図11は、ジョイント部材150及びアダプタ部材100を説明するために示す図である。図11(a)は鞍状部182にアダプタ部材100を収納した状態(以下、アダプタ収納状態)において、チューブ接続部162が手前側に位置するようにしてジョイント部材150及びアダプタ部材100を見た斜視図であり、図11(b)はアダプタ収納状態において、チューブ接続部164が手前側に位置するようにしてジョイント部材150及びアダプタ部材100を見た斜視図である。
【0048】
ジョイント部材150は、図8〜図10に示すように、医療用回路1のチューブと接続可能に構成されたチューブ接続部162,164と、チューブ接続部162,164と連通する混注部170と、アダプタ部材100を保持するアダプタ保持部180と、2つの突起190とを有する。
【0049】
チューブ接続部162,164は円管状の部材であり、チューブ接続部162とチューブ接続部164とが一直線上に位置するように配置されている。一方側のチューブ接続部162は、図1に示す動脈側回路20のチューブ23の端部と接続されており、他方側のチューブ接続部164は、同じく動脈側回路20のチューブ24の端部と接続されている。
【0050】
混注部170は円管状の部材であり、開口周辺部分に係止部172が設けられている。混注部170の係止部172と被冠部材80の被係止部82とは、互いに係止可能に構成されている。混注部170は、混注部170の管軸がチューブ接続部162,164の管軸と直交するように配置されている。
【0051】
アダプタ保持部180は、鞍形状(断面略コの字状)の鞍状部182と、鞍状部182の内側に配置された管状のアダプタ装着部184と、アダプタ装着部184を支持する略板状の支持部186と、鞍状部182の外側の面に設けられた複数のリブ188とを有する。複数のリブ188が設けられていることにより、ジョイント部材150を指で把持しやすくなる。
【0052】
アダプタ装着部184の孔は、図8及び図10(b)に示すように、チューブ接続部162側に向けて開いている。また、支持部186の厚みは、アダプタ部材100に設けられたスリット138のスリット幅と対応している。この針管収納部184の孔に対してアダプタ部材100の針管110を挿入するとともに、スリット138に対して支持部186を嵌め込むことにより、図11に示すように、鞍状部182内にアダプタ部材100を収納することができる。
【0053】
突起190は、断面円形状の棒状部材であって、チューブ接続部162,164と混注部170との付け根部分に設けられている。突起190は、アダプタ部材100をジョイント部材150に接続したときに、当該接続状態を維持する機能を有する。突起190の突出高さは、アダプタ部材100をジョイント部材150に接続したときに、アダプタ部材100の嵌合孔136と嵌合可能な高さである。
【0054】
ジョイント部材150を構成する各部材は、金型により一体成形されている。ジョイント部材150を構成する材料としては、例えばポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂などのプラスチック材料を好適に用いることができる。実施形態に係るジョイント部材150においては、例えばポリカーボネートを材料として用いている。
【0055】
次に、上記した混注部材50(ジョイント部材150)にルアーロック式シリンジを接続する方法及び混注部材50(ジョイント部材150)からルアーロック式シリンジを取り外す方法について、図12〜図14を用いて詳細に説明する。なお、以下の説明においては、薬液が充填されたルアーロック式シリンジ90を例にして説明する。
【0056】
図12〜図14は、実施形態に係る混注部材50(アダプタ部材100)の使用方法を説明するために示す図である。図12(a)はジョイント部材150の鞍状部182内に収納されたアダプタ部材100を示す図であり、図12(b)は図12(a)に示すアダプタ部材100からキャップ部材60を取り外した状態を示す図であり、図12(c)は第2接続部140にルアーロック式シリンジ90のルアーロック部92を接続する前の様子を示す図であり、図12(d)は第2接続部140にルアーロック部92を接続した後の様子を示す図である。なお、図12(a)〜図12(d)においては、発明の理解を容易にするため、ジョイント部材150の一部(鞍状部182の部分)を切り欠いて図示している。また、図12(a)〜図12(c)において、アダプタ部材100の一部(針保護フード120等)を断面で図示するとともに、図12(c)において、ルアーロック式シリンジ90のルアーロック部92の部分を断面で図示している。図13(a)はルアーロック式シリンジ90をジョイント部材150に接続する前の様子を示す図であり、図13(b)はルアーロック式シリンジ90をジョイント部材150に接続したときの様子を示す図であり、図13(c)はルアーロック式シリンジ90内に充填された薬液を注入する様子を示す図である。図14(a)ルアーロック式シリンジ90をジョイント部材150から取り外すときの様子を示す図であり、図14(b)は図14(a)の要部を拡大して示す図であり、図14(c)はルアーロック式シリンジ90をジョイント部材150から取り外した後の様子を示す図である。
なお、図12〜図14においては、ジョイント部材150のチューブ接続部162,164に接続されたチューブ23,24(図1参照。)の図示を省略している。
【0057】
混注部材50にルアーロック式シリンジ90を接続するにあたって、まず、ジョイント部材150の鞍状部182内に収納されたアダプタ部材100から、キャップ部材60を取り外す(図12(a)及び図12(b)参照。)。
【0058】
次に、図12(c)に示すように、アダプタ部材100に対してルアーロック式シリンジ90を回転させながら、ルアーロック式シリンジ90のルアーロック部92を第2接続部140と接続し、ルアーロック式シリンジ90とともにアダプタ部材100をジョイント部材150から取り外す(図12(d)参照。)。
【0059】
次に、ジョイント部材150の混注部170に配置された栓止部材70(栓止部材70については図2参照。)に対して、アダプタ部材100の針管110を垂直方向から穿刺して、アダプタ部材100とジョイント部材150とを接続する(図13(a)及び図13(b)参照。)。このとき、嵌合孔136と突起190とが係合する位置まで栓止部材70に針管110を穿刺すると、突起190が嵌合孔136に嵌合して“パチン”という音が発生し、ジョイント部材150内部で針管110とチューブ接続部162,164とが連通した状態となる。つまり、医療用回路1のチューブ23,24とルアーロック式シリンジ90とが、混注部材50を介して接続された状態となる。アダプタ部材100とジョイント部材150との接続が完了した状態で、図13(c)に示すように、ルアーロック式シリンジ90のピストン部94を押すと、ルアーロック式シリンジ90内に充填された薬液が医療用回路1内に注入されることとなる。
【0060】
ジョイント部材150からルアーロック式シリンジ90を取り外すにあたっては、図14(a)に示すように、ルアーロック式シリンジ90(及びアダプタ部材100)を、ジョイント部材150に対して時計回りに回転させる。すると、図14(b)に示すように、チューブ接続部162の外周面と、第1切欠き部124とが接触する。このとき、チューブ接続部162の外周面が曲面であることに加えて、第1切欠き部124の切欠き形状が、第2接続部140側から針保護フード120の先端側に向けて広がる形状であることから、ルアーロック式シリンジ90(及びアダプタ部材100)を徐々に回転させていくと、その回転動作にともなって第1切欠き部124の部分がチューブ接続部162(反対側のチューブ接続部164についても同様である。)の外周面を乗り上げ、アダプタ部材100が抜き取り方向(図14(a)に示す直線矢印方向)に徐々に押し上げられる。また、ルアーロック式シリンジ90(及びアダプタ部材100)を時計回りに回転させると、図14(a)及び図14(b)に示すように、針保護フード120の先端側のうち切欠き122が設けられていない部分が広げられ、その結果、突起190と嵌合孔136との係合状態が解除される。
以上の操作により、図14(c)に示すように、ジョイント部材150からルアーロック式シリンジ90を比較的容易に取り外すことができる。
【0061】
なお、ここでは薬液が充填されたルアーロック式シリンジ90を例にして、混注部材50(ジョイント部材150)にルアーロック式シリンジを接続する方法及び混注部材50(ジョイント部材150)からルアーロック式シリンジを取り外す方法について説明したが、血液採取用のルアーロック式シリンジを接続又は取り外す方法についても同様である。
【0062】
次に、実施形態に係る混注部材50について、図15を用いてさらに詳細に説明する。
図15は、比較例に係る混注部材50a及び実施形態に係る混注部材50を説明するために示す図である。図15(a)は、比較例に係る混注部材50aにおいて、キャップ部材60aを第2接続部140aに装着した状態を示す図であり、図15(b)は、比較例に係る混注部材50aにおいて、滅菌処理時の流体の流れを示す図である。図15(c)は、実施形態に係る混注部材50において、キャップ部材60を第2接続部140に装着した状態を示す図であり、図15(d)は、実施形態に係る混注部材50において、滅菌処理時の流体の流れを示す図である。
なお、図15においては、発明の理解を容易にするため、構成要素の一部(例えば第2接続部140の外周面に設けられた螺旋状突起142など)の図示を省略するとともに、第2接続部140などの形状を模式化して図示している。
また、図15(b)及び図15(d)に示す図は、図15(a)及び図15(c)に示す図を、アダプタ部材100a,100の長手方向(キャップ部材60a,60の着脱方向)に沿った仮想線を中心軸として90度回転させて示したものである。
【0063】
比較例に係る混注部材50aは、基本的には上述の実施形態に係る混注部材50とよく似た構成を有するが、図15(a)に示すように、上記した凸部130を備えていない点で、実施形態に係る混注部材50とは異なる。
【0064】
このため、比較例に係る混注部材50aによれば、キャップ部材60aを第2接続部140aに装着したときに、キャップ部材60aの開口端面65aとアダプタ部材100aの対向面132aとが直接接することとなり、キャップ部材60aの開口端面65aとアダプタ部材100aの対向面132aとの間に隙間ができないこととなる。その結果、図15(b)から分かるように、滅菌処理時において、アダプタ部材100aの内部空間に流体(滅菌ガス)が十分に行き渡らない。
【0065】
これに対し、実施形態に係る混注部材50においては、図15(c)に示すように、対向面132に凸部130が設けられていることから、キャップ部材60を第2接続部140に装着したときに、アダプタ部材100とキャップ部材60とは、キャップ部材60の開口端面65と対向部132とが直接接しないよう所定距離だけ離間することとなる(図15(d)参照。)。
ここで、図15(c)に示すように、対向部132から第2接続部140の端面144までの長さをL1とし、キャップ部材60の開口端面65から天面部66までの長さをL2とし、キャップ部材60を第2接続部140に装着したときの、開口端面65と対向部132とが離間した距離をL3としたとき、実施形態に係る混注部材50においては、「L1<L2+L3」の関係式を満たすこととなる。つまり、キャップ部材60を第2接続部140に装着すると、キャップ部材60の天面部66(天面部の内面)とアダプタ部材100における第2接続部140の端面144との間に空隙が設けられることとなる。
【0066】
このように、実施形態に係る混注部材50によれば、キャップ部材60をアダプタ部材100(第2接続部140)に装着したときに、キャップ部材60の開口端面65とアダプタ部材100の対向部132とが離間することで隙間ができるように構成されており、さらには上記した「L1<L2+L3」の関係式を満たすことによって、キャップ部材60の天面部66とアダプタ部材100における第2接続部140の端面144との間に空隙を設けることができることから、キャップ部材60とアダプタ部材100との間にできた隙間とその空隙を介して、キャップ部材60の外部空間からアダプタ部材100の内部空間へと通じる流路を形成することができる。その結果、滅菌処理時においてキャップ部材60をアダプタ部材100に装着していたとしても、アダプタ部材100の内部空間に流体(滅菌ガス)が十分に行き渡ることとなり、アダプタ部材100の内部空間に至るまで十分に滅菌処理を施すことが可能となる。
また、実施形態に係る混注部材50によれば、キャップ部材60をアダプタ部材100に装着した状態で滅菌処理を施すことができることから、包装材から開封したとき又は開封後において、アダプタ部材100の第2接続部140が露出したままの状態となることもなく、上述した雑菌汚染の問題が生じることもない。
したがって、実施形態に係る混注部材50は、アダプタ部材の内部空間を十分に滅菌処理することが可能で、かつ、包装材から開封したとき又は開封後においても雑菌汚染の発生を抑制することが可能な混注部材となる。
【0067】
実施形態に係る混注部材50においては、対向部132には、突出高さL3からなる凸部130が設けられている。これにより、比較的簡易な構成でもって、キャップ部材60の開口端面65とアダプタ部材100の対向部132との間に隙間を設けることが可能となる。
【0068】
実施形態に係る混注部材50においては、凸部として、複数の凸部130を備え、当該複数の凸部130のそれぞれは、キャップ部材60をアダプタ部材100に装着する方向から視たとき、互いに等間隔になるように配置されている。これにより、キャップ部材60をアダプタ部材100に装着したときにおける、キャップ部材60の望ましくない傾きの発生を抑制することができるため、キャップ部材60の外部空間からアダプタ部材100の内部空間へと通じる流路を確実に確保することが可能となる。その結果、アダプタ部材100の内部空間を確実に滅菌処理することが可能となる。
【0069】
実施形態に係る混注部材50においては、第2接続部140及びキャップ部材60はともに円筒状である。また、第2接続部140の外周面には、螺旋状突起142が設けられており、キャップ部材60の内周面には、螺旋状突起142に対応する他の螺旋状突起62が設けられている。これにより、キャップ部材60をアダプタ部材100に確実かつ比較的容易に装着することが可能となる。
また、キャップ部材60をアダプタ部材100に装着したとき、キャップ部材60の内周面に設けられた他の螺旋状突起62の各突起間には、キャップ部材60の開口部64から天面部66に向かう螺旋状の空間が生まれることとなる。この螺旋状の空間には、第2接続部140の外周面に設けられた螺旋状突起142が存在しているが、螺旋状突起142と他の螺旋状突起62との間には構造上の理由から遊びがあるため、上記した螺旋状の空間が螺旋状突起142によって完全に塞がれてしまうことはない。つまり、キャップ部材60をアダプタ部材100に装着したとしても、少なくとも上記した螺旋状の空間が流路となることから、キャップ部材60の内部空間、さらにはアダプタ部材100の内部空間に至るまで十分に滅菌処理を施すことが可能となる。
【0070】
実施形態に係る医療用回路1は、上記した優れた混注部材50を備えているため、アダプタ部材の内部空間を十分に滅菌処理することが可能で、かつ、包装材から開封したとき又は開封後においても雑菌汚染の発生を抑制することが可能な医療用回路となる。
【0071】
以上、本発明の混注部材及び医療用回路を上記の実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0072】
(1)上記実施形態においては、対向部132にのみ凸部130が設けられている場合を例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、キャップ部材60の開口端面65に凸部が設けられていてもよいし、対向部132とキャップ部材60の開口端面65との両方に凸部が設けられていてもよい。
【0073】
(2)上記実施形態においては、対向部132に2つの凸部が設けられている場合を例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、3つ以上の凸部が設けられていてもよい。
【0074】
(3)上記実施形態においては、凸部130の形状が上面視略矩形状である場合を例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、上面視略楕円状など、他の形状であってもよい。
【0075】
(4)上記実施形態においては、アダプタ部材100の第1接続部が針管110である場合を例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、従来の混注部材850(図16参照。)において説明した第1接続部910のように、針で構成されていない接続部であってもよい。
【0076】
(5)上記実施形態においては、針保護フード120における第1切欠き部124の切欠き形状と第2切欠き部128の切欠き形状とが非対称である場合を例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、対称(図3(b)の仮想平面Vを境界面として面対称)であってもよい。また、第1及び第2切欠き部124,128の切欠き形状については、図3などに示す形状に限定されるものではなく、例えば直線のみから構成された形状であったり、2つ以上の曲線が組み合わされた形状など、他の形状であってもよい。
【0077】
(6)上記実施形態においては、針保護フード120の先端側に2つの切欠き122が設けられており、2つの切欠き122が針管110を間にして対向配置されている場合を例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、針保護フードの先端側に1つ又は3つ以上の切欠きが設けられていてもよい。または、針保護フードの先端側に2つの切欠きが設けられているが、針管を間にして対向配置されておらず、例えば針管を中心として90度となる位置関係で配置されていてもよい。すなわち、針保護フードの先端側に設けられる切欠きの数及び配置位置は、混注部材本体の形状等に合わせて適宜変更させてもよい。
【0078】
(7)上記実施形態においては、アダプタ部材を構成する各部材が、金型により一体成形されている場合を例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、アダプタ部材を構成する各部材を個別に作成した後、各部材を接合してもよい。ジョイント部材についても同様に、金型により一体成形されているものに限定されず、各部材を接合したものであってもよい。
【0079】
(8)上記実施形態においては、アダプタ部材の材料としてポリプロピレンを用い、ジョイント部材の材料としてポリカーボネートを用いたが、本発明はこれに限定されるものではなく、他のプラスチック材料を用いてもよい。
【0080】
(9)上記実施形態においては、動脈側回路20の一部(ローリングチューブ26とシャントキャップ27との間)に混注部材50を配設した場合を例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、動脈側回路20の他の位置や静脈側回路30に本発明の混注部材を配設してもよい。また、本発明の混注部材を、上記した医療用回路1とは異なる回路構成からなる血液回路に用いてもよいし、血液透析用以外の血液回路(例えば、血漿分離用の血液回路や人工心肺用の血液回路等)や、輸液回路に用いてもよい。
【符号の説明】
【0081】
1 医療用回路
10 血液処理器
20 動脈側回路
21〜24,31,32 チューブ
25,33 ドリップチャンバ
26 ローリングチューブ
27,34 シャントキャップ
30 静脈側回路
41 生食ライン
42 ヘパリンライン
43,45 モニターライン
44 排液ライン
50,50a,850 混注部材
60,60a,860 キャップ部材
62 他の螺旋状突起
64,864 開口部
65,65a 開口端面
66,66a,866 天面部
67 天面部の中心部
70,870 栓止部材
80,880 被冠部材
82 (被冠部材の)被係止部
90 ルアーロック式シリンジ
92 ルアーロック部
94 ピストン部
100,100a,900 アダプタ部材
110 針管(第1接続部)
120 針保護フード
122 切欠き
124 第1切欠き部
128 第2切欠き部
130 凸部
132,132a 対向部
134 (針保護フードの)リブ
136 嵌合孔
138 スリット
140,140a,940 第2接続部
142 (第2接続部の)螺旋状突起
144,144a (第2接続部の)端面
150 ジョイント部材
162,164,962,964 チューブ接続部
170,970 混注部
172,572 (ジョイント部材の)係止部
180 アダプタ保持部
182 鞍状部
184,984 アダプタ装着部
186 支持部
188 (アダプタ保持部の)リブ
190 突起
910 第1接続部
L1 対向部132から第2接続部140の端面144までの長さ
L2 キャップ部材60の開口端面65から天面部66までの長さ
L3 キャップ部材60の開口端面65と対向部132とが離間した距離
V 仮想平面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用回路内に配設されたチューブと接続可能に構成されたチューブ接続部(162,164)、前記チューブ接続部(162,164)と連通する混注部(170)及び管状であって一方向に開口するアダプタ装着部(184)を有するジョイント部材(150)と、
前記混注部(170)と接続可能でかつ前記アダプタ装着部(184)に装着可能に構成された第1接続部(110)及び前記第1接続部(110)と連通する第2接続部(140)を有するアダプタ部材(100)と、
開口部(64)及び天面部(66)を有し、前記第2接続部(140)に着脱自在に構成されたキャップ部材(60)とを備え、
前記アダプタ部材(100)における前記第1及び第2接続部(110,140)の間には、前記キャップ部材(60)を前記第2接続部(140)に装着したときに、前記開口部の開口端面(65)と対向する対向部(132)が設けられており、
前記アダプタ部材(100)と前記キャップ部材(60)とは、前記キャップ部材(60)を前記第2接続部(140)に装着したときに、前記開口端面(65)と前記対向部(132)とが直接接しないよう所定距離だけ離間するように構成されており、
前記対向部(132)から前記第2接続部の端面(144)までの長さをL1とし、
前記開口端面(65)から前記天面部(66)までの長さをL2とし、
前記キャップ部材(60)を前記第2接続部(140)に装着したときの、前記開口端面(65)と前記対向部(132)とが離間した距離をL3としたとき、
「L1<L2+L3」の関係式を満たすことを特徴とする混注部材(50)。
【請求項2】
請求項1に記載の混注部材において、
前記対向部(132)及び前記開口端面(65)のうち少なくとも一方には、前記L3と同じ突出高さからなる凸部(130)が設けられていることを特徴とする混注部材(50)。
【請求項3】
請求項2に記載の混注部材において、
前記凸部として、複数の凸部(130)を備え、
当該複数の凸部(130)のそれぞれは、前記キャップ部材(60)を前記アダプタ部材(100)に装着する方向から視たとき、互いに等間隔になるように配置されていることを特徴とする混注部材(50)。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の混注部材において、
前記第2接続部(140)及び前記キャップ部材(60)はともに円筒状であり、
前記第2接続部(140)の外周面には、螺旋状突起(142)が設けられており、
前記キャップ部材(60)の内周面には、前記螺旋状突起(142)に対応する他の螺旋状突起(62)が設けられていることを特徴とする混注部材(50)。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の混注部材(50)を備えることを特徴とする医療用回路(1)。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図16】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図11】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2011−250851(P2011−250851A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−124906(P2010−124906)
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(000200035)川澄化学工業株式会社 (103)
【Fターム(参考)】