説明

混練装置及びトナー製造方法

【課題】石臼型の連続混練装置で混練対象物を効率よく冷却し、混練対象物に対して十分なせん断力を作用させることが出来る連続混練装置を提供する。
【解決手段】回転円盤部材14及びスクリュ部材15が固定された駆動軸部材125を回転することで、筒状の固定部110の内部空間内の混練対象物を回転軸方向に搬送しながら、固定部110の内壁と回転円盤部材14の表面とが対向する領域でせん断力を付与することよって通過する混練対象物を連続的に混練する連続混練装置で、回転円盤部材14よりも混練対象物の搬送方向上流側に配置されたスクリュ部材15に混練対象物よりも低温の冷媒が通過するスクリュ用冷媒通路15aを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂コンパウンド用の混練装置、及び、電子写真方式の画像形成装置に用いる静電荷像現像用のトナー製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
樹脂コンパウンドとは一般にベースとなる樹脂に各種の機能を付与するために、各種機能性フィラーを混練・分散させることである。付与する機能としては、例えば導電性、帯電性、磁性、熱伝導性、圧電性、制振性、遮音性、摺動性、断熱性、軽量性、光散乱・反射性、熱線ふく射性、難燃性、放射線保護性、紫外線保護性、脱水性、発色性、離型性、等を挙げることができる。また、機能性フィラーとしては、カーボンブラック、黒鉛、フェライト、磁性酸化鉄、アルミナ、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸塩、マイカ、チタン酸カリウム、ゾノライト、炭素繊維、鉛粉、硫酸バリウム、硫化モリブデン、テフロン(登録商標)粉、タルク、ガラスバルーン、シラスバルーン、木炭粉、酸化チタン、ガラスビーズ、炭酸カルシウム、アルミ粉、酸化マグネシウム、ハイドロタルサイト、ドーソナイト、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化カルシウム、 酸化マグネシウム、顔料、ワックス等を挙げることができる。
樹脂コンパウンドの具体的な応用製品としては、樹脂に顔料、ワックス、帯電制御剤などを分散させた静電荷像現像用トナーや、樹脂に顔料を分散させた顔料マスターバッチ、樹脂に難燃剤を分散させた難燃性プラスチック、樹脂に発泡剤を分散させた発泡剤マスターバッチ等が挙げられる。(参考文献:株式会社テクノシステム発行「混練・分散の基礎と先端的応用技術」、337頁)
【0003】
機能性フィラーを混練分散させる樹脂コンパウンドの方式としては、まず大きく分けてバッチ式混練方式と連続式混練方式に分けられる。バッチ式混練方式は混練温度制御が難しく、バッチ毎の品質にバラツキが出やすいという問題があり、また長時間の稼動が必要である為、処理量が少なく、生産性が低いという問題もある。このようなバッチ式の問題から、近年の樹脂コンパウンドの方式は連続式混練方式が主流になりつつある。
連続式混練方式の混練装置(以下、連続混練装置と呼ぶ)として最も一般的なのが、加熱溶融した樹脂を平行に近接配置された二本のスクリュ間のせん断力によってベース樹脂中に機能性フィラーを混練分散させる二軸スクリュ式の連続混練装置である。しかし、近年の樹脂コンパウンドでは各種機能性の更なる向上のため、フィラーの微分散化のニーズが強まっている。二軸スクリュ式の連続混練装置では、このニーズに対応させるには有効な混練領域を増加させるために装置を軸方向に延長させる必要がある。これは、有効な混練領域は二本のスクリュが近接する領域であるため、フィラーの微分散化のニーズに対応させるには混練領域となる二本のスクリュが近接する領域を延長する必要があるためである。装置を軸方向に延長させると、装置のサイズアップ及びコストアップといった問題が発生する。
【0004】
そこで近年の樹脂コンパウンドにおけるフィラー微分散化のニーズに対応するために、着目されているのが石臼型の連続混練装置である(特許文献1〜3)。以下、石臼型の連続混練装置について説明する。
石臼型の連続混練装置は、加熱溶融した樹脂が通過可能な内部空間を備える筒状の固定部と、固定部の内部空間に配置され、回転することで内部空間を通過する樹脂を連続的に混練しながら回転軸方向に搬送する回転部とを有する。固定部には内部空間の径が部分的に狭くなるように配置された環状の固定円盤を備え、回転部には回転軸方向に延在し、駆動源から駆動が伝達される駆動軸部材と、円盤形状の中心を駆動軸部材が貫通した状態で駆動軸部材に固定される回転円盤部材とを備える。回転円盤部材はその円状の表面が、固定円盤の円環状の表面に対向するように配置され、回転円盤部材と固定円盤との互いに対向する面には山谷状の凹凸が設けられており、回転円盤部材と固定円盤とによって石臼状の混練領域を形成する。そして、固定円盤に対して回転円盤部材が回転することで石臼のように回転円盤部材と固定円盤との間の隙間に存在する樹脂が移動させられながらせん断作用を受けて混練分散が行われる。このような石臼型の連続混練装置では、混練領域は回転軸方向に対して直交する方向に形成されるため、二本のスクリュが近接する領域が混練領域となる二軸スクリュ式の連続混練装置よりも効率よく混練を行うことができる。このため、石臼型の連続混練装置は、フィラーの微分散化のニーズに対応させるために装置の軸方向の長さを延長させる必要がなく、二軸スクリュ式の連続混練装置に比してコンパクトで低価格な装置で、フィラーの微分散化を実現できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、更なるフィラーの微分散化のニーズがあり、石臼型の連続混練装置であってもそのニーズに十分に対応できないことがあった。
石臼型の連続混練装置では、回転円盤部材と固定円盤との間の隙間で樹脂に対してせん断力が作用するが、この隙間における樹脂の温度が高過ぎると、加熱溶融した樹脂の粘度が低下し、せん断力が作用し難くなり、さらなるフィラーの微分散化は困難になる。
特許文献1に記載の連続混練装置では、混練する樹脂よりも低温の冷媒が通過する冷媒通路を固定部に設けているが、回転部には設けておらず、混練領域でせん断力を作用させるのに適した温度まで樹脂を冷却することができなかった。
【0006】
一方、特許文献2及び3に記載の連続混練装置では、回転部を構成する駆動軸部材及びこの駆動軸部材に固定される回転円盤部材に冷却通路を設けている。このため、特許文献1に記載の連続混練装置に比べて、混練領域でせん断力を作用させるのに適した温度に樹脂の温度を近付けることができる。しかし、駆動軸部材及び回転円盤部材に冷却溶媒を通過させる構成では、樹脂を冷却する効率が悪いことがわかった。これは以下の理由による。
【0007】
特許文献2及び3に記載の連続混練装置の回転部は、メンテナンスの都合上、混練する樹脂に接触する部材を駆動軸部材とは別部材で作製し、混練する樹脂に接触する部材を駆動軸部材に固定する構成であることが望ましい。詳しくは、回転円盤部材に対して樹脂の搬送方向上流側で混練する樹脂に接触し、回転することで樹脂に対して回転軸方向に向かう搬送力を付与するスクリュ部材と回転円盤部材とを駆動軸部材とは別部材で作製し、スクリュ部材と回転円盤部材とを駆動軸部材に固定する構成である。
スクリュ部材や回転円盤部材は樹脂と接触することで経時の摩耗や一時的な負荷による欠けが起こるおそれがあるため、交換できる構成である必要がある。そして、スクリュ部材や回転円盤部材が駆動軸部材に対して分離できない構成であると、摩耗や欠けが生じたときに、回転部全体を交換する必要が生じ、ランニングコストの増加につながる。スクリュ部材や回転円盤部材が駆動軸部材とは別部材であり、駆動軸部材に対して分離できる構成であれば、摩耗や欠けが生じたときに、摩耗や欠けが生じた部材のみを交換すればよく、ランニングコストを抑制することができる。さらに、形状が異なるスクリュ部材や回転円盤部材に付け替えることで、搬送条件や混練条件を或る程度変更することが容易にでき、メンテナンスに都合の良い構成となる。
【0008】
スクリュ部材と駆動軸部材とが別部材であると、スクリュ部材と駆動軸部材との間での熱伝達の効率が悪く、駆動軸部材の内部に冷媒を通過させていても、スクリュ部材と接触する位置に存在する樹脂に対して冷却作用は作用し難い。
混練領域では、せん断力が作用するときの摩擦熱によって樹脂は昇温するが、回転円盤部材の内部に冷媒を通過させることで、昇温を抑制することが出来るが、混練領域で昇温する前に冷媒による冷却作用が作用する方が効率よく冷却を行うことができる。しかし、混練領域で昇温する前に樹脂が通過するスクリュ部材と接触する位置では上述したように冷却作用が作用し難いため、駆動軸部材及び回転円盤部材に冷却溶媒を通過させる構成では、樹脂を冷却する効率が悪くなる。
そして、樹脂を冷却する効率が悪いと、混練領域に入力される樹脂の温度を十分に下げることが出来ず、樹脂に対して十分なせん断力を作用させることができずに、更なるフィラーの微分散化を図ることができない。
【0009】
また、電子写真用のトナーの製造工程において、材料を溶かして連続混練装置で混ぜ合わせる混練工程で、ベースとなる樹脂にフィラーの微分散化が不十分であると、画像形成時にトナーに求められる機能を発揮することが出来ず、画像品質の低下につながるおそれがある。
【0010】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、第一の目的は、石臼型の連続混練装置で混練対象物を効率よく冷却し、混練対象物に対して十分なせん断力を作用させることが出来る連続混練装置を提供することである。
また、第二の目的は、ベースとなる樹脂に対して各種のフィラーが十分に微分散化されたトナーを得ることができるトナー製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、回転円盤部材及びスクリュ部材が固定された駆動軸部材を回転することで、筒状の固定部の内部空間内の混練対象物を回転軸方向に搬送しながら、該固定部の内壁と該回転円盤部材の表面とが対向する領域でせん断力を付与することよって通過する混練対象物を連続的に混練する連続混練装置において、上記回転円盤部材よりも混練対象物の搬送方向上流側に配置された上記スクリュ部材に上記内部空間を通過する混練対象物よりも低温の冷媒が通過する冷媒通路を設けたことを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の連続混練装置において、上記回転円盤部材の円状の表面と、この円状の表面が対向する部分の上記固定部の内壁の表面とに、これらの表面の隙間を通過する混練対象物に対してせん断力を付与するための凹凸形状を備えることを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1または2の連続混練装置において、上記固定部は、上記回転円盤部材の円状の表面と対向する内壁面を形成する環状の固定円盤を備えることを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の連続混練装置において、上記回転円盤部材に上記冷媒が通過する冷媒通路を備え、上記スクリュ部材に設けられた冷媒通路と該回転円盤部材の冷媒通路とが隣接し、流路として繋がっていることを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の連続混練装置において、上記固定部の上記内部空間の搬送方向上流側端部には、混練対象物を該内部空間に投入する投入口を備え、上記スクリュ部材が搬送力を付与する領域に該投入口から投入された混練対象物を搬送する上流側搬送部材として、回転軸が平行な二本のスクリュを備えることを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の連続混練装置において、上記回転円盤部材の円状の表面と、この円状の表面が対向する部分の上記固定部の内壁の表面との間の最小クリアランスが、0.2[mm]以上5.0[mm]以下の範囲であることを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の連続混練装置において、上記駆動軸部材に対して上記回転円盤部材を上記回転軸方向の複数箇所に配置し、複数の該回転円盤部材のそれぞれの上流側に冷媒通路が設けられた上記スクリュ部材を備えることを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の連続混練装置において、上記冷媒を所定温度に調節する冷媒温度調節手段を備え、該冷媒温度調節手段によって温度が調節された冷媒は、上記スクリュ部材に設けられた冷媒通路を通過した後、上記駆動軸部材の内部に設けられた冷媒通路を通過して再び該冷媒温度調節手段に戻ることを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、トナーを構成する樹脂等の複数の原料を計量する計量工程と、該計量工程で計量された複数の原料を加熱溶融して溶融樹脂とする加熱工程と、該溶融樹脂を混練する混練工程と、該混練工程で混練された該溶融樹脂を冷却して固形樹脂とする冷却工程と、該固形樹脂を粉砕する粉砕トナーを得る粉砕工程とを経て電子写真用のトナーを製造するトナー製造方法において、上記混練工程で上記請求項1乃至8のいずれか1項に記載の連続混練装置を用いて上記溶融樹脂の混練を行うことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本願請求項1の構成を備えた発明であれば、せん断力によって通過する混練対象物を連続的に混練する領域よりも上流側で混練対象物と接触するスクリュ部材に冷媒通路を設けているため、混練される前の混練対象物の温度を十分に下げることが可能となり、混練対象物を効率よく冷却し、混練対象物に対して十分なせん断力を作用させることができるという優れた効果がある。
また、本願請求項9の構成を備えた発明であれば、トナー製造工程の混練工程において、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の連続混練装置を用いることで、樹脂とフィラーとからなる混練対象物に対して十分なせん断力を作用するため、ベースとなる樹脂に対して各種のフィラーが十分に微分散化されたトナーを得ることができるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施形態の連続混練装置の概略構成図。
【図2】回転部の説明図。
【図3】混練部の一部の拡大説明図。
【図4】固定円盤を回転軸に平行な方向から見た外観図。
【図5】回転円盤部材を回転軸に平行な方向から見た外観図。
【図6】スクレーパー式の排出機構の説明図、(a)は上面図、(b)は正面図。
【図7】ダイス排出方式の排出機構の説明図、(a)は上面図、(b)は正面図。
【図8】破砕羽による排出方式の排出機構の説明図、(a)は上面図、(b)は正面図。
【図9】変形例の混練部の一部の拡大説明図。
【図10】スクリュ部材を直接冷却する冷媒通路を備えない構成の混練部の一部の拡大説明図。
【図11】実験で用いた連続混練装置のバンドヒーターと温度センサの配置の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を適用した連続混練装置100の一例について説明する。
図1は、本実施形態の連続混練装置100を上方から見た概略構成図である。
連続混練装置100は、加熱溶融された混練対象物が通過可能な内部空間を備える筒状の固定部110と、固定部110の内部空間に配置され、回転することで内部空間内の混練対象物を連続的に混練しながら回転軸方向(図1中の左方向)に搬送する回転部120とを有する。さらに、回転部120に駆動伝達ギヤ121を介して駆動を伝達する駆動源である駆動モータ150を有する。また、駆動伝達ギヤ121とサブ駆動伝達ギヤ231とを介して、駆動モータ150から駆動が伝達され、回転部120に平行に配置されたサブスクリュ23を備える。
図2は、回転部120の説明図であり、図2中の斜線部に含まれる各部材が回転部120として一体的に回転する。
【0015】
連続混練装置100の混練部115に対して混練対象物の搬送方向上流側(図1中の右側)には、水などの冷媒が通過するフィードライナー用冷媒通路18が形成された筒状のフィードライナー17を備える。また、フィードライナー17に対して搬送方向上流側には、第一フィードシリンダー19、シリンダー受け21、及び、第二フィードシリンダー20等を備える。また、第二フィードシリンダー20の搬送方向上流側端部には、シールボックス24を備える。
【0016】
第二フィードシリンダー20には、冷媒通路として、下流側冷媒通路20aと上流側冷媒通路20bとが形成されている。下流側冷媒通路20aが形成されている領域の第二フィードシリンダー20の外周には不図示のバンドヒーターが設けられており、不図示の下流側温度センサの検知結果に基づいてバンドヒーターや冷媒の流れを制御し、第二フィードシリンダー20の下流側の温度制御を行う。また、上流側冷媒通路20bが形成されている領域の第二フィードシリンダー20にはバンドヒーターは設けられておらず、不図示の上流側温度センサの検知結果が所定温度よりも高い場合は、冷媒の流れを制御して第二フィードシリンダー20の上流側の冷却を行う。
【0017】
また、連続混練装置100の混練部115に対して混練対象物の搬送方向下流側(図1中の左側)には、出口フランジ11、ロール10、出口シリンダー7、固定側フランジ6、軸受けフランジ5、ピローブロック4、及び、ロータリージョイント3等が配置されている。ロータリージョイント3には、冷媒出口配管1及び冷媒入口配管2が接続されており、これらの配管を介して不図示の冷媒温度調節機と接続されている。また、ロール10と出口シリンダー7との間は補強部材としてのロッド9が設けられている。さらに、固定側フランジ6の内側となる位置の回転部120には、逆スクリュ8が設けられている。
【0018】
連続混練装置100では、一種類以上の樹脂及び一種類以上の機能性フィラーの混合物からなる混練対象物を第二フィードシリンダー20に設けられた供給口130から投入する。投入された混練対象物は、回転中のメインスクリュ22及びサブスクリュ23の噛みこみ部に落下する。その後、フィードライナー用冷媒通路18を通過する冷媒によって冷却されている筒状のフィードライナー17の内部空間を通過して、混練対象物は下流側の混練部115へと搬送されていく。
【0019】
次に、混練部115について説明する。
図3は、混練部115の一部の拡大説明図である。
図1及び図3に示すように、混練部115における固定部110は、混練シリンダー12と固定円盤13とが軸方向に交互に4箇所ずつ配置されている。一方、混練部115における回転部120は、駆動軸部材125に対して回転円盤部材14とスクリュ部材15とが軸方向に交互に固定され、メインスクリュ22と同一の回転軸で回転する構成である。なお、回転円盤部材14とスクリュ部材15とは嵌合する構成であり、この嵌合部には不図示のシール部材が挟まれている。
また、図1及び図3中の矢印は、回転部120中を流れる水などの冷媒の流れを示している。
【0020】
図4は、固定円盤13を回転軸に平行な方向から見た外観図である。
図4に示すように、固定円盤13の内周面のうち回転円盤部材14の一部と対向する固定円盤対向面13bには、山谷構造が形成されている。また、固定円盤13の内部には、水などの冷媒が通過可能な固定円盤用冷媒通路16が設けられ、さらに、固定円盤13の外周には不図示のバンドヒーターが設けられている。さらに、固定円盤13には、不図示の温度センサが設けられており、この温度センサの検知結果に基づいてバンドヒーターや冷媒の流れを制御し、固定円盤13の温度制御を行う。詳しくは、温度センサで検知した固定円盤13の温度が所望の温度よりも低い場合はバンドヒーターによる加熱を行う。また、固定円盤13の温度が所望の温度よりも高い場合は不図示の冷媒循環機構を駆動して固定円盤用冷媒通路16内の冷媒に流れを生じさせ、固定円盤13内の冷媒を温度が調節された冷媒に入れ替えることで、固定円盤13の冷却を行う。このように、固定円盤13の温度制御を行うことで、フィードライナー17から混練部115に搬送されてきた混練対象物に対して、4箇所の固定円盤13のそれぞれの近傍で温度制御を行うことができる。
【0021】
図5は、回転円盤部材14を回転軸に平行な方向から見た外観図である。
図5に示すように、回転円盤部材14の外周面のうち固定円盤13の固定円盤対向面13bと対向する回転円盤対向面14bには、山谷構造が形成されている。また、回転円盤部材14の内部には、水などの冷媒が通過可能な回転円盤用冷媒通路14aが設けられている。
【0022】
また、表面に山谷構造をもった固定円盤対向面13bと回転円盤対向面14bとの間を、加熱溶融された混練対象物が通過することで、混練対象物はせん断応力を受けて、ベースとなる樹脂中のフィラーが混練分散される。
【0023】
図1に示すように、回転部120を構成する回転円盤部材14、スクリュ部材15、ロール10、及び、逆スクリュ8は同じ冷媒によって冷却がなされる。本実施形態の連続混練装置100では、固定部110の外部に配置された不図示の冷媒温度調節機によって所望の温度に調節された冷媒は冷媒入口配管2からロータリージョイント3を介して回転部120内に流入する。回転部120内では、逆スクリュ8、ロール10、回転円盤部材14及びスクリュ部材15と、各部材に設けられた冷媒通路を流れ、各部材の冷却が行われる。その後の冷媒は、それぞれ4箇所ずつ配置された回転円盤部材14とスクリュ部材15とを交互に流れていき、メインスクリュ22の途中から駆動軸部材125に設けられた駆動軸用冷媒通路125a内に流れ、冷媒の進行方向も逆向きとなる。その後の冷媒は、駆動軸用冷媒通路125a内を図1中の右方向に流れていき、ロータリージョイント3を介して冷媒出口配管1から冷媒温度調節機へと搬送される。
【0024】
次に、本実施形態の連続混練装置100における混練結果物の排出部について説明する。
混練領域での混練分散と、スクリュ部材15による搬送方向下流側(図1の左側)へと向かう搬送力の付与を構成に応じて繰り返した後、混練対象物は混練結果物として出口フランジ11に到達する。その後、材料の排出が行われるが、材料、特に樹脂の特性や目的に応じて、図6〜図8に示す排出方式を使い分けることが出来る。
【0025】
図6は、スクレーパー式の排出機構の説明図である。図6(a)は、排出機構を図1と同じ方向から見た上面図、図6(b)は排出機構を回転軸に平行な方向から見た正面図である。
図6に示す排出機構は、先端がロール10に接触するスクレーパー25、スクレーパー支持台26、ロール10に巻きついた混練結果物に冷却エアーを当てる冷却エアーノズル28、及び、冷却エアーノズル用支持台27等を備える。図6に示すスクレーパー式の排出機構では、ロール10に円環状に巻きついた状態で出口フランジ11から排出される混練結果物をスクレーパー25によって剥ぎ取りながら回収していく。また、出口フランジ11から排出される混練結果物に対して排出された材料に冷却エアーノズル28によって冷却エアーを当てることにより、材料の固化を促進し、排出性が向上できる。
【0026】
図7は、ダイス排出方式の排出機構の説明図である。図7(a)は、排出機構を図1と同じ方向から見た上面図、図7(b)は排出機構を回転軸に平行な方向から見た正面図である。
図7に示す排出機構は、排出ダイス29、ロール部つきスクリュ31、及び、ダイス穴32を備え、排出ダイス29には、水等の冷媒が通過する排出ダイス用冷媒通路30が設けられている。図7に示す排出機構は、下方に向けて設けられているダイス穴32から混練結果物を排出する方式であり、この方式では高い処理量でも安定した排出が可能となる。
【0027】
図8は、破砕羽による排出方式の排出機構の説明図である。図8(a)は、排出機構を図1と同じ方向から見た上面図、図8(b)は排出機構を回転軸に平行な方向から見た正面図である。
図8に示す排出機構は、冷却エアーノズル28、冷却エアーノズル支持カバー34、及び、破砕羽33等を備える。図8に示す排出機構では、出口フランジ11から排出される混練結果物に対して冷却エアーノズル28によって冷却エアーを当てて、混練結果物がロール10に巻きつかない状態まで固化する。このように固化させると、混練結果物は筒状に固化して、回転せずにそのまま進行方向に押し出されていく。押し出された筒状の混練結果物はロール10に隣接して設けられ、回転している破砕羽33まで到達し、破砕され固形物のまま回収できる。本方式では、固形物のまま回収できるため、混練後の破砕工程が不要になるというメリットがある。
【0028】
次に、連続混練装置100の特徴部について説明する。
図3に示すように、連続混練装置100は、スクリュ部材15に混練対象物よりも低温の冷媒が通過するスクリュ用冷媒通路15aを備える。
通常、混練対象物として、溶融された樹脂中にせん断応力を与え、機能性フィラーを分散させる時は、3つの因子が重要となる。
一つ目は、混練領域で混練対象物を挟む壁面同士の距離である。連続混練装置100では、回転円盤部材14の回転円盤対向面14bと固定円盤13の固定円盤対向面13bとの間の距離に相当するが、この距離が小さいほど混練対象物が受けるせん断応力は大きくなる。
二つ目に重要なのは、混練対象物を挟む2つの壁面の相対的な速度差である。連続混練装置100では、固定円盤13は静止しているため、回転円盤部材14の回転数が本因子にあたる。回転円盤部材14の回転数を高めると混練対象物が受けるせん断応力は大きくなる。
三つ目は、混練対象物の粘度であり本因子がせん断応力に対しては最も支配的と考えられる。混練対象物の粘度が低いと機械的なエネルギーをロスしてしまうため、混練対象物の粘度が高いほうが、せん断応力が向上する。
【0029】
連続混練装置100では、混練領域を形成する固定円盤13は温度制御されており、回転円盤部材14は温度調節がなされた冷媒によって冷却される。このため、混練領域での混練対象物を狙いの温度分布、例えば内側と外側との間でムラのない少ない低温な温度分布にすることができ、高いせん断応力を混練対象物に与えることができる。また、混練領域の前後に位置するスクリュ部材15も温度調節がなされた冷媒によって冷却されるため、混練領域に入力する前の混練対象物を効率よく冷却することができ、混練領域で混練対象物に高いせん断応力を容易に与えることができる。
【0030】
なお、上記特許文献2及び3の記載の混練装置では、回転部の回転円盤部材には冷媒が通過する冷媒通路が設けられているものの、スクリュ部材に冷媒通路が設けられていない。
図10は、上記特許文献2及び3の記載の混練装置と同様に、スクリュ部材に冷媒通路が設けられていない構成の連続混練装置の混練部の一部の拡大説明図である。
図10に示す構成では、駆動軸部材125の内側に固定軸部材126が配置されており、固定軸部材126の内側には固定軸用冷媒通路126aが形成されており、駆動軸部材125の内壁面と固定軸部材126の外壁面との間に駆動軸用冷媒通路125aが形成されている。また、駆動軸部材125の回転円盤部材14が固定されている箇所に孔が設けられており、回転円盤部材14に設けられた回転円盤用冷媒通路14aと駆動軸用冷媒通路125aとが連通する構成である。そして、孔が設けられた箇所では、駆動軸用冷媒通路125aを通過できない構成となっている。このような構成では、駆動軸用冷媒通路125aを上流側(図10中の右側)から流れてきた冷媒は、孔を介して回転円盤用冷媒通路14aに流入する。その後、駆動軸部材125の外周面に沿って回転円盤用冷媒通路14a内を回転方向に移動し、回転円盤用冷媒通路14aに流入した孔とは異なる孔から駆動軸用冷媒通路125aに流入し、駆動軸用冷媒通路125a内を下流側(図10中の左側)に向かって移動する。
【0031】
図10に示す構成の連続混練装置は、本実施形態の連続混練装置100と同様に、回転円盤部材14とスクリュ部材15とは、ともに駆動軸部材125とは別部材で形成され、駆動軸部材125に固定されて、回転部として一体的に回転する構成である。しかし、スクリュ部材15に冷媒を通過させる冷媒通路を備えていない点で、図10に示す構成の連続混練装置は本実施形態の連続混練装置100とは異なる。
このような構成では、固定円盤13と回転円盤部材14との間で混練対象物が圧縮せん断される混練領域に向けて混練対象物を搬送する、または、混練領域を通過した混練対象物をさらに下流側に搬送するスクリュ部材15を直接冷却する冷媒通路が無いため、せっかく混練領域で混練対象物の温度分布を均一に近付けても、スクリュ部材15で搬送される領域では混練対象物の温度が成り行き状態となってしまい、混練対象物を冷却する効率が悪くなる。
一方、本実施形態の連続混練装置100では、混練領域の前後に位置するスクリュ部材15も温度調節がなされた冷媒によって冷却されるため、混練領域に入力する前の混練対象物を効率よく冷却することができる。このため、混練領域で混練対象物に高いせん断応力を容易に与えることができ、ベースとなる樹脂に対してフィラーの微分散化が可能となる。
【0032】
上記特許文献2及び3に記載の混練装置では、混練対象物を装置に投入する供給口の下方の原材料供給部の搬送スクリュが一軸構造であり、搬送性が低い。このため、かさ密度の低い材料を用いると原材料供給部での混練対象物の逆流が発生するおそれがあった。また、材料のかさ密度以外でも樹脂の高粘度混練時には排出性が悪くなり、装置内に混練対象物が滞留し内圧が高まるため、原料供給部での原料の逆流が発生するおそれがあった。
一方、本実施形態の連続混練装置100では、原材料供給部を構成する第二フィードシリンダー20内に、メインスクリュ22及びサブスクリュ23の二本のスクリュが配置されている。フィラーの微分散化を行うために固定部110の内部空間の低温度化をおこなうと、上述したように排出性の低下に伴い、供給と排出のバランスが崩れ、原材料供給部での投入材料逆流が発生するおそれがある。特に原材料供給部内のスクリュがメインスクリュ22の1本のみでは材料の搬送性が悪いため、メインスクリュ22に加え、サブスクリュ23を設けることで原材料供給部での材料の搬送性が飛躍的に向上し、原材料の逆流を抑制できる。
【0033】
上記特許文献2及び3に記載の混練装置では、混練部を形成する部分の固定部が一体的に構成されており、製作、組み付けが困難であって、装置のコストアップに繋がる。また、一度組み付けてしまうと、装置の構成(各種、円盤形状・枚数)の変更が容易にはできず、構成変更には固定部を再製作する必要が生じるケースもある。
一方、本実施形態の連続混練装置100では、混練部115を形成する部分の固定部110は、混練シリンダー12と固定円盤13とが軸方向に交互に配置して固定した構成である。別々の部材である混練シリンダー12と固定円盤13とを交互に固定することで、混練部115を形成する部分の固定部110を容易に製作することができ、装置のコストアップを抑制することが出来る。さらに、混練シリンダー12と固定円盤13とを交互に配置する個数を増やしたり、固定円盤13を形状の異なるものに取り替えたりすることで、装置の構成の変更を容易に行うことが出来る。そして、固定円盤13及び回転円盤部材14の枚数を増加させることで、混練領域の数が増加し、更にフィラーを微分散することができる。
【0034】
上記特許文献2及び3に記載の混練装置では、固定軸と駆動軸との同心二軸構造である軸部材を備える。この構成の冷媒の流路は、先ず、混練装置における混練対象物の排出側である下流側から固定軸の内側の冷媒通路を上流側(混練対象物を装置に投入する側)に向けて移動させる。その後、冷媒は固定軸の内側の冷媒通路の端部から駆動軸の内側の冷媒通路に移動して、進行方向が逆になって、駆動軸の外側で駆動軸内に設けられた外側冷媒通路の上流から下流に回転円盤部材を介して下流に流れて装置から排出される構造となっている。
このような構成の混練装置では、装置に供給する前に冷媒温度調節機によってコントロールされた冷媒の温度が、混練分散部(固定円盤と回転円盤の間)に到達するまでに維持できず、混練対象物の冷却の効率が悪くなる。
一方、本実施形態の連続混練装置100では、不図示の冷媒温度調節機によって温度が調節された冷媒は、駆動軸部材125に固定されたスクリュ部材15及び回転円盤部材14内の冷媒通路を通過した後、駆動軸部材125内の駆動軸用冷媒通路125aを通って冷媒温度調節機に戻される構成である。所望の温度に調節された水などの冷媒の熱的ロスを最小限にして混練部115における混練対象物を効率的に冷却するためには、混練分散に対して支配的な位置、すなわち駆動軸部材125よりも混練対象物に近い、スクリュ部材15や回転円盤部材14側から先に冷媒を通すことが望ましい。連続混練装置100の混練部115では、先ず、スクリュ部材15及び回転円盤部材14の冷媒通路を冷媒が通過し、その後、駆動軸部材125の冷媒通路に冷媒を通して冷媒温度調節機に戻す構成である。このため、混練部115における混練対象物を効率的に冷却することができ、混練によるフィラーの微分散化能力を飛躍的に向上することができる。
【0035】
また、本実施形態の連続混練装置100では、固定円盤13と回転円盤部材14との間の最小クリアランスdが0.2[mm]以上、5[mm]以下に設定している。最小クリアランスdが5[mm]以上の場合は、壁面間の距離が広いため、移動壁面(回転円盤部材14の回転円盤対向面14b)のエネルギーが混練対象物全体に伝達され難くなり、結果として混練対象物が受けるせん断応力が小さくなる。また、最小クリアランスdを0.2[mm]以下にすると固定円盤13及び回転円盤部材14がそれぞれ熱膨張し、原材料供給部での逆流が発生したり、固定円盤13と回転円盤部材14が接触し、円盤の表面が磨耗したり駆動に対する過負荷が発生したりする。このため、最小クリアランスdは、0.2[mm]<d<5[mm]の範囲が望ましく、好ましくは0.4[mm]<d<3[mm]の範囲となることが望ましい。最小クリアランスdをこの範囲にすることで装置に対する過負荷もなく安定稼動をしながら、混練対象物にかかるせん断応力を飛躍的に向上できる。
このように、本実施形態の連続混練装置100の構成であれば、強力なせん断力により混練対象物内で各材料を高分散でき、かつ安定稼動が可能な樹脂コンパウンド用の連続混練装置を実現することが出来る。
【0036】
樹脂コンパウンドの具体的な応用製品としては、樹脂に顔料、ワックス、帯電制御剤などを分散させた静電荷像現像用トナーや、樹脂に顔料を分散させた顔料マスターバッチ、樹脂に難燃剤を分散させた難燃性プラスチック、樹脂に発砲剤を分散させた発砲剤マスターバッチ等が挙げられる。
樹脂コンパンウンドの応用製品としては、電子写真方式の画像形成装置に用いる静電荷像現像用のトナーが従来より知られている。
静電荷像を現像する方式には、大別して、絶縁性有機液体中に各種の顔料や染料を微細に分散させた現像剤を用いる液体現像方式と、カスケード法、磁気ブラシ法、パウダークラウド法等の天然又は合成樹脂に顔料を分散、含有させたトナーと言われる微粉末現像剤を用いる乾式現像方式とがある。ここでは乾式現像方式に用いるトナーについて説明する。
【0037】
乾式現像方式における画像形成に使用されるトナーは、通常、結着樹脂、ワックス、着色剤、及び、帯電制御剤等を所定量ずつ混合して混練装置により混練物を製造し、その混練物を粉砕、分級して得られる。トナーに要求される様々な性能、品質を保持するために、トナーの混練工程においては、特に結着樹脂中に他材料を微分散させることが要求されている。特に近年の省エネの為の低温定着化に対応させる為にトナー中のワックス含有量は増加傾向にあるが、トナー中のワックス分散径が大きいと現像装置内の汚染や現像装置内の汚染を発生させてしまう為、ワックスは微分散化した方が良いのだが、ワックスは樹脂と比較した場合に軟化温度が低く、樹脂と相溶しずらい。そこで、混練時のせん断応力を高めワックスを微分散化することが求められている。
このような要求に対して、トナー製造時の混練工程に、本実施形態の連続混練装置100を用いることで、ワックスを結着樹脂内に微分散化することが出来る。これにより、像形成装置に対して耐久性が向上した静電荷像現像用トナーを得ることができる。
【0038】
〔変形例〕
なお、回転部120を構成するスクリュ部材15に冷媒通路を設ける構成としては、図3に示す構成に限るものではない。図9は、スクリュ部材15にスクリュ用冷媒通路15aを設け、回転円盤部材14には冷媒通路を設けない、変形例の連続混練装置100の混練部115の一部の拡大説明図である。図9に示す変形例の構成は、図10を用いて説明した構成と同様に軸部材が、駆動軸部材125と固定軸部材126との同心二軸構造となっている。変形例の連続混練装置100では駆動軸部材125に設けられた駆動軸用冷媒通路125aの冷媒が孔を介してスクリュ部材15のスクリュ用冷媒通路15aに流入する。そして、スクリュ用冷媒通路15aを回転方向に流れた後、スクリュ用冷媒通路15aに流入した孔とは異なる孔から駆動軸用冷媒通路125aに流入する。このような構成により、スクリュ部材15に接触する混練対象物を効率よく冷却することができる。変形例の連続混練装置100では、回転円盤部材14には冷媒通路を設けていないため、混練領域における混練対象物の昇温を抑制する作用は上述した実施形態の連続混練装置100に劣るが、混練領域に入力される前の混練対象物を効率よく冷却することができる。このため、低温で粘度の高い状態の混練対象物を混練領域に入力することができるので、混練対象物に高いせん断力を付与することができ、スクリュ部材15に冷媒通路を備えない構成に比べて、ベースとなる樹脂に対するフィラーのさらなる微分散化を図ることができる。
【0039】
〔実験〕
図1に示す本実施形態の連続混練装置100の各種条件を変更して、トナー製造工程の混練工程に用い、混練結果物であるトナーの機能を比較する実験を行った。
本実験の連続混練装置で混練を行うトナーの材料を以下に示す。
ポリエステル樹脂:100[質量部]
シアン顔料:10[質量部]
カルナバワックス:5[質量部]
四級アンモニウム塩:0.5[質量部]
これらの原材料をスーパーミキサー(SMV−200、カワタ製)にて十分に混合し粉体原料を得た。
【0040】
トナーの製造工程は、計量工程、加熱工程、混練工程、冷却工程、粉砕工程、分級工程、及び、添加工程から構成される。計量工程は、トナーを構成する樹脂等の複数の原料を計量して混練対象物を得る工程であり、加熱工程は計量して得られた混練対象物を加熱溶融して溶融樹脂とする工程である。また、混練工程は、溶融樹脂を混練してベースとなる樹脂に各種機能性フィラーを混練・分散させる工程である。冷却工程は、混練工程で混練された加熱溶融樹脂を冷却して固形樹脂とする工程であり、粉砕工程はこの固形樹脂を粉砕して粉砕トナーを得る工程である。この粉砕工程で得られた粉砕トナーは、5[μm]〜10[μm]といったサイズとなるため、分級工程において、粉砕工程で得た粉砕トナーから大き過ぎるものや小さすぎるものを取り除いて、ほしいサイズの粒径の粉砕トナーのみを得る。そして、粉砕トナーの粒径サイズが所定の範囲に揃ったあとに、添加工程でシリカやチタンなどの添加剤を混ぜる。
各実施例及び比較例の連続混練装置の装置構成及び稼動条件を表1に示す。
排出機構は図6を用いて説明したスクレーパータイプの排出機構を用いた。また、実施例2〜6及び比較例は、表1に示す装置構成以外の条件は実施例1と同様の条件である。
【0041】
【表1】

【0042】
表1中の「スクリュ本数」について、「2本」という条件は、図1に示す連続混練装置100のメインスクリュ22及びサブスクリュ23のように、原材料供給部に配置されたスクリュが2本という構成である。また、「スクリュ本数」が「1本」と言う条件は、原材料供給部に配置されたスクリュがメインスクリュ22に対応する1本のみという構成である。
表1中の「固定円盤の配置」及び「回転円盤部材の配置」について、実施例4及び実施例5のように、「4箇所」という条件は、図1に示す連続混練装置100のように、固定円盤13と回転円盤部材14とが軸方向に4箇所ずつ配置されている構成である。実施例1〜3、実施例6及び比較例のように、「1対」という条件は、図3に示す混練部115の一部のように、一箇所の回転円盤部材14を軸方向の前後で挟むように2つの固定円盤13が配置された構成である。
【0043】
図11は、実験で用いる連続混練装置100のバンドヒーターと温度センサの配置の説明図である。図11の領域A〜領域Gはそれぞれ独立して温度制御がなされる領域であり、Sa〜Sgは各領域における温度センサが配置されている位置を示している。
領域Aでは、バンドヒーターは配置されておらず、上流側温度センサSaの検知結果が所定温度よりも高い場合は、上流側冷媒通路20b内を流れる冷媒の流れを制御して領域Aの冷却を行う。
領域Bdは、第二フィードシリンダー20の外径が小さい領域B1と外径が大きいB2とで内径の大きさが異なる2つのバンドヒーターが第二フィードシリンダー20の外周に配置されており、下流側温度センサSbの検知結果に基づいて、下流側冷媒通路20a内を流れる冷媒の流れや2つのバンドヒーターによる加熱を制御し、領域Bの温度制御を行う。
領域Cでは、フィードライナー17とそれの下流側に隣接して配置された固定円盤13との外周を一つのバンドヒーターが覆うように配置されており、温度センサScの検知結果に基づいて、フィードライナー用冷媒通路18及び固定円盤用冷媒通路16内を流れる冷媒の流れやバンドヒーターによる加熱を制御し、領域Cの温度制御を行う。
領域D〜領域Fでは、一つの混練シリンダー12とその下流側に隣接して配置された固定円盤13との外周を一つのバンドヒーターが覆うように配置されており、各温度センサ(Sc〜Sf)のそれぞれの検知結果に基づいて、固定円盤用冷媒通路16内を流れる冷媒の流れやバンドヒーターによる加熱を制御し、各領域(C〜F)の温度制御を行う。
領域Gでは、一つの混練シリンダー12の外周を一つのバンドヒーターが覆うように配置されており、温度センサSgの検知結果が所定温度よりも低い場合は、バンドヒーターによる加熱を制御し、領域Gの加熱を行う。
【0044】
図11は、実施例5に対応した連続混練装置100の説明図であり、実施例4の場合は図11に示す構成とは駆動軸用冷媒通路125aを通過する冷媒の流れの向きが逆となる。実施例1〜3、実施例6及び比較例のように、「固定円盤の配置」及び「回転円盤部材の配置」が「1対」という条件の場合は、領域A〜領域Dは図11に示す連続混練装置100と同様であり、領域Dの下流側に領域E〜領域Gを設けず、出口フランジ11が配置された構成となる。
【0045】
表1中の「最小クリアランス」は、固定円盤13と回転円盤部材14との間の最小クリアランスdの大きさを示している。また、「材料供給量」は各実施例及び比較例で共通であり、供給口130から上記粉体原料を1時間に10[kg]の割合で連続的に投入する。「回転部の回転数」は、駆動軸部材125、駆動軸部材125に固定された回転円盤部材14及びスクリュ部材15などから構成される回転部120の回転数である。
「第二フィードシリンダー温度」は、原材料供給部を形成する第二フィードシリンダー20の設定温度であり、第二フィードシリンダー20に配置された下流側温度センサSbの検知結果に基づいて不図示の冷却機構(冷媒の流れ)や加熱機構(バンドヒーター)を制御し、下流側温度センサSbが配置された箇所の温度が「60[℃]」になるように温度制御が成される構成である。
【0046】
「第一固定円盤温度」、「第二固定円盤温度」及び「第三〜第四固定円盤温度」は、各固定円盤13の設定温度であり、固定円盤13に配置された不図示の温度センサの検知結果に基づいて、固定円盤用冷媒通路16内の冷媒の流れやバンドヒーターを制御し、温度センサが配置された箇所の温度が「60[℃]」になるように温度制御が成される構成である。
【0047】
なお、第一〜第四の各固定円盤温度は、実施例4及び5のように、上述した実施形態の連続混練装置100と同様の構成で、固定円盤13を軸方向に4箇所配置する構成の場合は、搬送方向の最下流側(図1中の一番左側)の固定円盤13の設定温度を「第一固定円盤温度」とし、これよりも上流側にある固定円盤13の設定温度を順に第二〜第四固定円盤温度としている。
図11では、領域Fに配置された温度センサSfの検知温度が「第一固定円盤温度」となり、領域Cに配置された温度センサScの検知温度が「第四固定円盤温度」となる。
また、実施例1〜3、実施例6、及び、比較例のように、一箇所の回転円盤部材14を軸方向の前後で挟むように2つの固定円盤13が配置された構成では、回転円盤部材14に対して搬送方向下流側の固定円盤13の設定温度を「第一固定円盤温度」とし、搬送方向上流側の固定円盤13の設定温度を「第二固定円盤温度」としている。すなわち、図11中の領域E〜領域Gを備えない構成では、領域Dに配置された温度センサSdの検知温度が「第一固定円盤温度」となり、領域Cに配置された温度センサScの検知温度が「第二固定円盤温度」となる。
【0048】
「回転部冷媒温度」は、回転部120の駆動軸部材125、スクリュ部材15及び回転円盤部材14内を循環する冷媒を不図示の冷媒温度調節機が調整する所定の温度であり、冷媒温度調節機から回転部120に送られる冷媒の温度を「60[℃]」になるように調節する構成である。
また、「回転部冷媒流れ方向」とは、冷媒温度調節機から回転部120に送られた冷媒が、先に、駆動軸用冷媒通路125aを通過するのか、回転円盤用冷媒通路14aやスクリュ用冷媒通路15aを通過した後に駆動軸用冷媒通路125aを通過するのか、という冷媒の流れの条件を示すものである。冷媒温度調節機から回転部120に送られた冷媒が、駆動軸用冷媒通路125aを通過した後に回転円盤用冷媒通路14aやスクリュ用冷媒通路15aを通過して冷媒温度調節機に戻ってくる構成が「内側⇒外側」であり、回転円盤用冷媒通路14aやスクリュ用冷媒通路15aを通過した後に駆動軸用冷媒通路125aを通過して冷媒温度調節機に戻って構成が「外側⇒内側」である。図1等を用いて説明した実施形態の連続混練装置100では、冷媒の流れの条件は「外側⇒内側」であり、「固定円盤の配置」及び「回転円盤部材の配置」が「4箇所」であり、冷媒の流れの条件が「外側⇒内側」である実施例5が上述した実施形態の連続混練装置100に対応する実施例である。
なお、比較例は、回転部120に冷媒を通過させない構成であるため、「回転部冷媒温度」及び「回転部冷媒流れ方向」の欄は空欄となっている。
【0049】
WAX分散評価
ミクロトームにて、表1に示す各条件の連続混練装置で得た混練結果物の切片を得て、透過型電子顕微鏡(10000倍)にて30視野(箇所)の撮影を行う。各々の写真についてWAX分散粒子を抽出し、長径と短径の平均値をWAX粒子径とし画像別のWAX平均粒子径を算出した。その後、30枚の画像対しての平均粒子径を算出し、WAX分散径の評価を行った。評価データ及び評価ランクを表2に示す。なお、評価データと評価ランクとの対応を表3に示す。
【0050】
【表2】

【0051】
【表3】

【0052】
稼動安定性評価
10時間の連続稼動中に供給口130からの原料の逆流や、排出不良などに起因する設備停止の発生回数を計測し、連続安定性の評価を行った。評価データ及び評価ランクを表4に示す。なお、評価データと評価ランクの対応を表5に示す。
【0053】
【表4】

【0054】
【表5】

【0055】
画像形成装置の耐久性評価
リコー製IpsioSPC411に各実施例及び比較例で得られた静電荷像現像用トナーを搭載し、シアンベタ部5[%]の画像を印刷し、ワックスによる現像スリーブ汚染に起因する異常画像が発生する枚数を評価した。評価データ及び評価ランクを表6に示す。なお、評価データと評価ランクの対応を表7に示す。
【0056】
【表6】

【0057】
【表7】

【0058】
以上、本実施形態の連続混練装置100では、回転円盤部材14及びスクリュ部材15が固定された駆動軸部材125を回転することで、筒状の固定部110の内部空間内の混練対象物を回転軸方向に搬送しながら、固定部110の内壁と回転円盤部材14の表面とが対向する領域でせん断力を付与することよって通過する混練対象物を連続的に混練する構成であり、回転円盤部材14よりも混練対象物の搬送方向上流側に配置されたスクリュ部材15に内部空間を通過する混練対象物よりも低温の冷媒が通過するスクリュ用冷媒通路15aを設けたことにより、せん断力によって通過する混練対象物を連続的に混練する混練領域よりも上流側で混練対象物に接触するスクリュ部材15をスクリュ用冷媒通路15a内の冷媒で冷却することができるため、混練される前の混練対象物の温度を十分に下げることが可能となり、混練対象物を効率よく冷却し、混練対象物に対して十分なせん断力を作用させることができる。
【0059】
また、連続混練装置100では、回転円盤部材14の円状の表面の回転円盤対向面14bと、回転円盤対向面14bが対向する部分の固定部の内壁の表面である固定円盤対向面13bとに、これらの表面の隙間を通過する混練対象物に対してせん断力を付与するための凹凸形状として山谷構造を備えるため、混練対象物に対して十分なせん断力を作用させることができる。
【0060】
また、連続混練装置100では、固定部110が回転円盤部材14の円状の表面の回転円盤対向面14bと対向する内壁面を形成する環状の固定円盤13を備え、混練シリンダー12に対して固定する構成である。別部材である固定円盤13と混練シリンダー12とを組み合わせて形成することにより、複雑な形状の固定部110の混練部115を簡易に形成することができる。
【0061】
また、連続混練装置100では、回転円盤部材14に冷媒が通過する回転円盤用冷媒通路14aを備え、スクリュ部材15に設けられたスクリュ用冷媒通路15aと回転円盤用冷媒通路14aとが隣接し、流路として繋がっているため、個別に流路を設ける構成に比べて、回転部120を冷却する構成を簡易に実現することが出来る。
【0062】
また、連続混練装置100では、固定部110の内部空間の搬送方向上流側端部には、混練対象物を内部空間に投入する投入口である供給口130を備え、スクリュ部材15が搬送力を付与する領域に供給口130から第二フィードシリンダー20に投入された混練対象物を搬送する上流側搬送部材として、回転軸が平行な二本のスクリュ(メインスクリュ22及びサブスクリュ23)を備えることにより、原材料供給部での混練対象物の逆流を防止することができる。
【0063】
また、連続混練装置100では、回転円盤部材14の回転円盤対向面14bと、回転円盤対向面14bが対向する固定部の内壁の表面である固定円盤対向面13bとの間の最小クリアランスdを、0.2[mm]以上5.0[mm]以下の範囲とすることにより、装置に対する過負荷もなく安定稼動をしながら、混練対象物にかかるせん断応力を飛躍的に向上できる。
【0064】
また、連続混練装置100では、駆動軸部材125に対して回転円盤部材14を回転軸方向の複数箇所に配置し、複数の回転円盤部材14のそれぞれの上流側にスクリュ用冷媒通路15aが設けられたスクリュ部材15を備え、さらに、複数の回転円盤部材14のそれぞれの回転円盤対向面14bに対向する位置に固定円盤13を備えている。これにより、各部材の数を増やすことで容易に混練対象物にかかるせん断応力を飛躍的に向上できる。
【0065】
また、連続混練装置100では、冷媒を所定温度に調節する冷媒温度調節手段である不図示の冷媒温度調節機を備え、冷媒温度調節機によって温度が調節された冷媒は、スクリュ用冷媒通路15aを通過した後、駆動軸部材125の内部に設けられた駆動軸用冷媒通路125aを通過して再び冷媒温度調節機に戻る構成である。このような構成により、所望の温度に調節された水などの冷媒の熱的ロスを最小限にして混練部115における混練対象物を効率的に冷却することができ、混練によるフィラーの微分散化能力を飛躍的に向上することができる。
【0066】
トナーを構成する樹脂等の複数の原料を計量する計量工程と、計量工程で計量された複数の原料を加熱溶融して溶融樹脂とする加熱工程と、溶融樹脂を混練する混練工程と、混練工程で混練された溶融樹脂を冷却して固形樹脂とする冷却工程と、固形樹脂を粉砕する粉砕トナーを得る粉砕工程とを経て電子写真用のトナーを製造するトナー製造方法の混練工程で、本実施形態の連続混練装置100を用いて溶融樹脂の混練を行うことにより、樹脂とフィラーとからなる混練対象物に対して十分なせん断力を作用するため、ベースとなる樹脂に対して各種のフィラーが十分に微分散化されたトナーを得ることができる。
【符号の説明】
【0067】
1 冷媒出口配管
2 冷媒入口配管
3 ロータリージョイント
4 ピローブロック
5 軸受けフランジ
6 固定側フランジ
7 出口シリンダー
8 逆スクリュ
9 ロッド
10 ロール
11 出口フランジ
12 混練シリンダー
13 固定円盤
13b 固定円盤対向面
14 回転円盤部材
14a 回転円盤用冷媒通路
14b 回転円盤対向面
15 スクリュ部材
15a スクリュ用冷媒通路
16 固定円盤用冷媒通路
17 フィードライナー
18 フィードライナー用冷媒通路
19 第一フィードシリンダー
20 第二フィードシリンダー
20a 下流側冷媒通路
20b 上流側冷媒通路
21 シリンダー受け
22 メインスクリュ
23 サブスクリュ
24 シールボックス
25 スクレーパー
26 スクレーパー支持台
27 冷却エアーノズル用支持台
28 冷却エアーノズル
29 排出ダイス
30 排出ダイス用冷媒通路
31 ロール部つきスクリュ
32 ダイス穴
33 破砕羽
34 冷却エアーノズル支持カバー
100 連続混練装置
110 固定部
115 混練部
120 回転部
121 駆動伝達ギヤ
125 駆動軸部材
125a 駆動軸用冷媒通路
126 固定軸部材
126a 固定軸用冷媒通路
130 供給口
150 駆動モータ
231 サブ駆動伝達ギヤ
d 最小クリアランス
【先行技術文献】
【特許文献】
【0068】
【特許文献1】特公平02−000092号公報
【特許文献2】特開昭52−148868号公報
【特許文献3】特公昭54−024743号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転円盤部材及びスクリュ部材が固定された駆動軸部材を回転することで、筒状の固定部の内部空間内の混練対象物を回転軸方向に搬送しながら、該固定部の内壁と該回転円盤部材の表面とが対向する領域でせん断力を付与することよって通過する混練対象物を連続的に混練する連続混練装置において、
上記回転円盤部材よりも混練対象物の搬送方向上流側に配置された上記スクリュ部材に上記内部空間を通過する混練対象物よりも低温の冷媒が通過する冷媒通路を設けたことを特徴とする連続混練装置。
【請求項2】
請求項1の連続混練装置において、
上記回転円盤部材の円状の表面と、この円状の表面が対向する部分の上記固定部の内壁の表面とに、これらの表面の隙間を通過する混練対象物に対してせん断力を付与するための凹凸形状を備えることを特徴とする連続混練装置。
【請求項3】
請求項1または2の連続混練装置において、
上記固定部は、上記回転円盤部材の円状の表面と対向する内壁面を形成する環状の固定円盤を備えることを特徴とする連続混練装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の連続混練装置において、
上記回転円盤部材に上記冷媒が通過する冷媒通路を備え、上記スクリュ部材に設けられた冷媒通路と該回転円盤部材の冷媒通路とが隣接し、流路として繋がっていることを特徴とする連続混練装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の連続混練装置において、
上記固定部の上記内部空間の搬送方向上流側端部には、混練対象物を該内部空間に投入する投入口を備え、上記スクリュ部材が搬送力を付与する領域に該投入口から投入された混練対象物を搬送する上流側搬送部材として、回転軸が平行な二本のスクリュを備えることを特徴とする連続混練載置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の連続混練装置において、
上記回転円盤部材の円状の表面と、この円状の表面が対向する部分の上記固定部の内壁の表面との間の最小クリアランスが、0.2[mm]以上5.0[mm]以下の範囲であることを特徴とする連続混練装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の連続混練装置において、
上記駆動軸部材に対して上記回転円盤部材を上記回転軸方向の複数箇所に配置し、複数の該回転円盤部材のそれぞれの上流側に冷媒通路が設けられた上記スクリュ部材を備えることを特徴とする連続混練装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の連続混練装置において、
上記冷媒を所定温度に調節する冷媒温度調節手段を備え、該冷媒温度調節手段によって温度が調節された冷媒は、上記スクリュ部材に設けられた冷媒通路を通過した後、上記駆動軸部材の内部に設けられた冷媒通路を通過して再び該冷媒温度調節手段に戻ることを特徴とする連続混練装置。
【請求項9】
トナーを構成する樹脂等の複数の原料を計量する計量工程と、
該計量工程で計量された複数の原料を加熱溶融して溶融樹脂とする加熱工程と、
該溶融樹脂を混練する混練工程と、
該混練工程で混練された該溶融樹脂を冷却して固形樹脂とする冷却工程と、
該固形樹脂を粉砕する粉砕トナーを得る粉砕工程とを経て電子写真用のトナーを製造するトナー製造方法において、
上記混練工程で上記請求項1乃至8のいずれか1項に記載の連続混練装置を用いて上記溶融樹脂の混練を行うことを特徴とするトナー製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−126089(P2011−126089A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−285350(P2009−285350)
【出願日】平成21年12月16日(2009.12.16)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【出願人】(591111868)浅田鉄工株式会社 (11)
【Fターム(参考)】