混釈装置
【課題】容器内に収容された混合するべき複数の材料を均一に混合することができて、容器の運動方向が急激に変換しても容器内の材料が容器外に飛散しない混合装置の提供。
【解決手段】テーブル282と、(X方向)単振動を発生する第1の単振動発生機構260と、(Y方向)の単振動を発生する第2の単振動発生機構270を備え、前記テーブル282は、第1の単振動発生機構260による単振動と第2の単振動発生機構270による単振動を合成した運動(リサージュ運動)を行う部材261に取り付けられている。
【解決手段】テーブル282と、(X方向)単振動を発生する第1の単振動発生機構260と、(Y方向)の単振動を発生する第2の単振動発生機構270を備え、前記テーブル282は、第1の単振動発生機構260による単振動と第2の単振動発生機構270による単振動を合成した運動(リサージュ運動)を行う部材261に取り付けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、混合するべき複数の材料(例えば、微生物検査装置の検査対象と培地)を、自動運転により混合するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
混合するべき複数の材料(例えば、微生物検査装置の検査対象と培地)を混合するための技術が従来から、種々提案されている。
しかし、自動操縦により混合する技術では、混合するべき複数の材料を収容した容器(例えば、シャーレ)に単振動を付与するのみのものが多い。そして、単振動を与えるのみでは、当該容器内の混合するべき複数の材料は、均一に混合されない。
また、混合するべき複数の材料を収容した容器の運動方向が急激に変換してしまう場合には、容器内の混合するべき材料が、容器外に飛散してしまう恐れがある。
【0003】
その他の従来技術として、微生物培養施設に用いられ、培地の混釈を行なう混釈装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、係る従来技術は、均一な混合や、混合するべき材料の飛散に関する上述した問題を解消するものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−153961号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、容器内に収容された混合するべき複数の材料を均一に混合することができて、しかも、容器の運動方向が急激に変換しても、容器内の材料が容器外に飛散しない様な混合装置の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の混釈装置(200、200A)は、混合するべき材料(例えば、微生物検査装置の検査対象と培地)を収容した容器を載置するテーブル(282)と、平面上で直交する2方向(X方向、Y方向)における何れか一方向(例えば、X方向)の単振動を発生する第1の単振動発生機構(260)と、前記2方向における他方の方向(例えば、Y方向)の単振動を発生する第2の単振動発生機構(270)を備え、前記テーブル(282)は、第1の単振動発生機構(260)による単振動(例えば、X方向の単振動)と第2の単振動発生機構(270)による単振動(例えば、Y方向の単振動)を合成した運動(リサージュ運動)を行う部材(図6で示すプレート261)に取り付けられていることを特徴としている。
ここで、平面上で直交する2方向(X方向、Y方向)における何れか一方向(例えば、X方向)の単振動の移動速度は、50mm/秒〜350mm/秒が好ましく、より好ましくは、100mm/秒〜250mm/秒である。また、前記2方向における他方の方向(例えば、Y方向)の単振動の移動速度は、50mm/秒〜350mm/秒が好ましく、50mm/秒〜200mm/秒がより好ましい。前記2方向の移動速度は互いに異なることが好ましく、その移動速度の差は50mm/秒以上であることがより好ましい。
また、混合するべき材料の粘度は特に限定されないが、0mPa・s〜2000mPa・sの粘度を有する混合するべき材料に対して、上述した移動速度でリサージュ運動を行なって混釈した場合に、混合するべき材料を、特に均一に混ぜることが出来る。そのため、混合するべき材料の粘度は0mPa・s〜2000mPa・sであることが好ましく、より好ましくは、1000mPa・s〜1700mPa・sである。この粘度は、B型粘度計(回転式粘度計)で測定したものであり、測定温度は10℃である。ローター(回転式粘度計における円筒形の測定装置)の回転速度や、ローターNo.(回転式粘度計における円筒形の測定装置の番号)等の測定条件は、混合するべき材料の粘度に応じて、適宜決定すれば良い。
粘度をレオメーターで測定する場合は、測定温度が5℃であれば、レオメーターにおけるプランジャー(円盤状の測定装置)にかかる荷重を50g〜200gにするのが好ましく、当該荷重を80g〜160gにするのがより好ましい。
【0007】
本発明の混釈装置(200、200A)は、検査対象が貯蔵された容器(検査対象製品容器或いは試験管)から検査対象を吸引して検査用容器(例えば、シャーレ)に注入(分注)する検査対象吸引装置(分注機2)と、検査対象が注入された検査用容器に培地を注入する培地注入装置(培地ユニット5)と、検査用容器を載置するテーブル(282)を有し且つ当該テーブル(282)を動かして検査用容器内の検査対象及び培地を混合(混釈)する混釈装置(200)と、検査対象及び培地が注入された検査用容器を混釈装置(200)に搬送する搬送装置(シャーレ搬送部4)を有する微生物検査装置で用いられることが好ましい。
係る微生物検査装置では、検査対象を検査用容器内に注入した後に検査対象吸引装置(2)に装着されている検査対象用ノズルを貯蔵する貯蔵容器(使用済みノズルのノズルラック62)を含むことが可能である。ただし、前記微生物検査装置では、係る貯蔵装置(62)を具備していなくても、微生物を自動的に検査することが出来る。
【発明の効果】
【0008】
上述した構成を具備する本発明の混釈装置(200、200A)によれば、平面上で直交する2方向(X方向、Y方向)における何れか一方向(例えば、X方向)の単振動を発生する第1の単振動発生機構(260)と、前記2方向における他方の方向(例えば、Y方向)の単振動を発生する第2の単振動発生機構(270)を備え、前記検査用容器を載置するテーブル(282)を、第1の単振動発生機構(260)による単振動(例えば、X方向の単振動)と第2の単振動発生機構(270)による単振動(例えば、Y方向の単振動)を合成した運動(リサージュ運動)を行う部材(図6で示すプレート261)に取り付ければ、混釈装置上に載置される検査用容器(シャーレ)にもリサージュ運動を行わせることができる。このように構成することにより、X方向の振動の大きさとY方向の振動の大きさを自由に変更することができ、最適なリサージュ運動を行なうよう調整することができる。
リサージュ運動は、偏芯運動とは異なり、種々の方向に向かって移動する。そして、リサージュ図形の原点近傍では速度が速く、原点から離れると速度が減少するという性質を有している。
そして、装置上に載置されるシャーレがリサージュ運動を行うと、種々の方向に向かって移動するため、シャーレ内の混合するべき材料が均一に混合される。
【0009】
ここで、シャーレの運動方向が急激に変換すると、シャーレ内の液体がシャーレ外に飛散してしまう恐れがある。しかし、リサージュ運動では、運動方向が変換するのは原点から離れた領域であり、原点から離れた領域では運動の速度が減少する。そのため、方向転換した際に、シャーレ内の混合するべき材料が飛散してしまうことはない。
すなわち、混釈装置に載置されたシャーレがリサージュ運動を行うことにより、シャーレ内の混合するべき材料をシャーレ外に飛散してしまうことなく、均一な混合が可能になる。
平面上で直交する2方向(X方向、Y方向)における何れか一方向(例えば、X方向)の単振動の移動速度は、50mm/秒〜350mm/秒が好ましく、より好ましくは、100mm/秒〜250mm/秒である。また、前記2方向における他方の方向(例えば、Y方向)の単振動の移動速度は、50mm/秒〜350mm/秒が好ましく、50mm/秒〜200mm/秒がより好ましい。前記2方向の移動速度は互いに異なることが好ましく、その移動速度の差は50mm/秒以上であることがより好ましい。
また、混合するべき材料の粘度は特に限定されないが、0mPa・s〜2000mPa・sの粘度を有する混合するべき材料に対して、上述した移動速度でリサージュ運動を行なって混釈した場合に、混合するべき材料を、特に均一に混ぜることが出来る。そのため、混合するべき材料の粘度は0mPa・s〜2000mPa・sであることが好ましく、より好ましくは、1000mPa・s〜1700mPa・sである。この粘度は、B型粘度計(回転式粘度計)で測定したものであり、測定温度は10℃である。ローターの回転速度や、ローターNo.等の測定条件は、混合するべき材料の粘度に応じて、適宜決定すれば良い。
粘度をレオメーターで測定する場合は、測定温度を5℃であれば、レオメーターにおけるプランジャーにかかる荷重を50g〜200gにするのが好ましく、当該荷重を80g〜160gにするのがより好ましい。
【0010】
市販される飲食物、例えば飲料品等には、乳酸菌や、ビフィブス菌等、人体に有益な生菌を包含するタイプの製品が存在し、係る製品の製造設備では、製品を汚染する微生物、例えば大腸菌や酵母等(汚染微生物)が存在するか否かを検査している。
汚染微生物が存在するか否かを検査するに際しては、検査対象(例えば、市販の飲食物)を培地(人体に有益な生菌の培養には寄与しないが、検出の対象となっている汚染微生物の培養には適している組成を有する培地)と混合して、汚染微生物を培養する。そして、所定の静置期間内に汚染微生物のコロニーが形成されたか否かを判定する。その様なコロニーが形成されなければ、検査対象には汚染微生物が混入していないことになる。
係る検査は、従来は、人手により行なわれていたが、検体(検査対象)を吸入する作業、検査対象をシャーレに分注する作業、検査対象が分注されたシャーレに培地を分注する作業、検査対象と培地を混合する作業は、高度な技量と集中力とが要求される。そして、その様な高度な技量と集中力を持つ作業員を養成することは容易ではない(出願人の経験では、少なくとも3ヶ月の訓練期間が必要である)。また、係る高度な技量と集中力を有する作業員により行なわれる検査には、多大な労力及びコストが必要となってしまう。
そのため、検査対象を吸入する作業、検査対象をシャーレに分注する作業、検査対象が分注されたシャーレに培地を分注する作業、検査対象と培地を混合する作業を自動処理する技術が要求されている。
【0011】
本発明の混釈装置(200、200A)を、検査対象が貯蔵された容器(検査対象製品容器或いは試験管)から検査対象を吸引して検査用容器(例えば、シャーレ)に注入(分注)する検査対象吸引装置(分注機2)と、検査対象が注入された検査用容器に培地を注入する培地注入装置(培地ユニット5)と、検査用容器を載置するテーブル(282)を有し且つ当該テーブル(282)を動かして検査用容器内の検査対象及び培地を混合(混釈)する混釈装置(200)と、検査対象及び培地が注入された検査用容器を混釈装置(200)に搬送する搬送装置(シャーレ搬送部4)を有する微生物検査装置で用いれば、微生物検査で必要とされる各種作業、例えば、検査対象の吸引、分注作業や、培地の分注作業、検査対象と培地を混釈する作業等を自動化することが出来る。
そのため、長期間の訓練を行なった作業員を確保しなくても、容易に検査対象における微生物の有無を決定することが出来る。
また、複数種類の培地を検出対象毎に分注することが出来るので、検出対象となる汚染微生物(例えば大腸菌や酵母等)に好適な培地を選択して、人体に有益な生菌がコロニーを形成せずに、検出対象である汚染微生物のみがコロニーを形成することが可能にすることが出来る。
【0012】
さらに、本発明の混釈装置(200、200A)を、検査対象が貯蔵された容器(検査対象製品容器或いは試験管)から検査対象を吸引して検査用容器(例えば、シャーレ)に注入(分注)する検査対象吸引装置(分注機2)と、検査対象が注入された検査用容器に培地を注入する培地注入装置(培地ユニット5)と、検査用容器を載置するテーブル(282)を有し且つ当該テーブル(282)を動かして検査用容器内の検査対象及び培地を混合(混釈)する混釈装置(200)と、検査対象及び培地が注入された検査用容器を混釈装置(200)に搬送する搬送装置(シャーレ搬送部4)を有する微生物検査装置で用いれば、検査対象を検査対象吸引装置(分注機2)により吸引して検査用容器(シャーレ)に注入し、検査対象を吸引した検査対象用ノズルを貯蔵する貯蔵装置(使用済みノズルのノズルラック62)を有しているので、検査対象を吸引する以前のノズル(滅菌済みの使用前のノズル)と、吸引後のノズル(使用後のノズル)を分離して貯蔵することが出来る。そのため、検査対象を吸引する以前のノズルに既に吸引された検査対象が混入すること(いわゆる「コンタミ」、「コンタミネーション」)が発生することが防止される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】リサージュ運動の一例を示す説明図である。
【図2】本発明の実施形態の原理を説明する説明図である。
【図3】本発明の実施形態に係る混釈装置の側面断面図である。
【図4】実施形態に係る混釈装置の正面断面図である。
【図5】図3、図4で示す混釈装置で用いられる第1のプレートを示す平面図である。
【図6】図3、図4で示す混釈装置で用いられる第2のプレートを示す平面図である。
【図7】図3、図4で示す混釈装置で用いられる第3のプレートを示す平面図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係る混釈装置を示す部分断面側面図である。
【図9】第2実施形態に係る混釈装置を示す部分断面正面図である。
【図10】本発明の実施形態が適用される微生物検査装置の一例を示す平面図である。
【図11】図10で示す微生物検査装置の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
先ず、図1〜図7を参照して、本発明の第1実施形態を説明する。
図1〜図7の第1実施形態に係る混釈装置200は、混釈するべきシャーレをリサージュ運動させることにより、攪拌棒等を使用せずに、シャーレ内の培地及び検査対象を飛散させること無く、培地と検査対象を均一に混合することが出来る。
【0015】
ここで、リサージュ運動とは、互いに直交する二つの単振動を順序対として得られる点の軌跡上を移動する運動であり、単一のXY平面を想定した際におけるX方向の単振子とY方向の単振子を重ね合わせた図形上を移動する運動である。
より詳細に述べると、パラメータ方程式で記述される曲線の一つであるリサージュ図形は、一般式として次式、次のように表現される。
x(t)=Acos(ωxt−δx)
y(t)=Bsin(ωyt−δy)
或いは、
x(t)=Csin(ωt+δ)
y(t)=Dsin(t)
なお、「ωx」、「ωy」、「ω」は角速度であり、「t」は時間(例えば秒)であり、「δx」、「δy」、「δ」は定数である。
係る式は、X方向とY方向の単振動の式の形をしており、そのため、リサージュ図形は、X方向の単振子とY方向の単振子の重ね合わせに相当する。そして、リサージュ運動は、その様なリサージュ図形上を移動する運動であり、X方向の単振動とY方向の単振動を合成した運動である。
図1は、リサージュ運動によって得られたリサージュ図形の一例を示している。
【0016】
図1〜図7の第1実施形態に係る混釈装置200は、例えば、図10、図11を参照して後述する様な微生物検査装置において、検査対象と培地とを混合するのに用いられる。
図10、図11を参照して後述する微生物検査装置では、検査対象は、例えば市販の飲料品(乳酸菌を包含する飲料品等)であり、培地に比較して粘度が高い場合が多いので、単純な偏芯運動で混合を行う従来の混釈装置では、検査対象と培地とが均一に混合しない場合が多かった。そして、検査対象と培地は色彩が異なるため、均一に混合しないと、混合物の色彩が均一にならず、その場合には、色彩が濃い部分をコロニーと誤認する可能性がある。
また、検査対象と培地が均一に混合していないと、仮に、検査対象中に、飲料品中に存在することを前提としない微生物(製品を汚染している微生物、例えば大腸菌や酵母等)が存在したとしても、シャーレ内で培養されずに、コロニーを検出できない恐れがある。
【0017】
これに対して、混合するべき材料(例えば、上述した様な検査対象と、培地)を容器(例えば、シャーレ)に注入し、第1実施形態に係る混釈装置200によって、シャーレ中の検体と培地を混釈すれば、混釈装置200に載置されたシャーレの移動軌跡(シャーレの中心点の移動軌跡)がリサージュ図形となる様に構成されている。
換言すれば、第1実施形態に係る混釈装置200では、装置上に載置されるシャーレがリサージュ運動を行う。
ここで、リサージュ運動は、偏芯運動とは異なり、図1に示すように、種々の方向に向かって移動する。そして、リサージュ図形の原点近傍では速度が速く、原点から離れると速度が減少するという性質を有している。
【0018】
混釈装置200上に載置されるシャーレがリサージュ運動を行うと、種々の方向に向かって移動するため、シャーレ内の検査対象と培地が均一に混合される。
ここで、シャーレの運動方向が急激に変換すると、シャーレ内の液体がシャーレ外に飛散してしまう恐れがある。しかし、リサージュ運動では、運動方向が変換するのは原点から離れた領域であり、原点に近いほど運動速度が速いので、原点から離れた領域(運動方向が急激に変化する領域)における運動速度は、減少して遅くなる。そのため、シャーレの運動方向を方向転換した際には、シャーレの移動速度は遅くなっており、シャーレ内の検査対象や培地が飛散してしまうことはない。
すなわち、混釈装置200に載置されたシャーレがリサージュ運動を行うことにより、シャーレ内の液体(検査対象や培地)がシャーレ外に飛散してしまうことなく、均一に混合される。
【0019】
第1実施形態に係る混釈装置200を、図10、図11を参照して後述する様な微生物検査装置で使用する場合等では、シャーレは自動的に搬送されるため、混釈装置200における混釈開始時におけるシャーレの位置と、混釈終了時におけるシャーレの位置とを同一位置にして、微生物検査装置のシャーレ搬送部から混釈装置200へシャーレを移動する処理と、混釈装置200から微生物検査装置のシャーレ搬送部へシャーレを移動する処理(いわゆる「載せ変え」)を容易にしたい、という要請が存在する。
混釈装置200は、シャーレを混釈している場合に、シャーレが描く軌跡がリサージュ図形となる様に構成されており、混釈装置200の混釈開始の位置と混釈終了時の位置を原点と一致させているので、リサージュ運動を行なっている運動体(シャーレ)は所定のサイクルで必ず通過する原点と、混釈装置200の混釈開始の位置及び混釈終了時の位置とが一致する。従って、混釈装置200における混釈開始時におけるシャーレの位置と、混釈終了時におけるシャーレの位置は同一の位置になる。
これにより、図10、図11に係る微生物検査装置のシャーレ搬送部から混釈装置200へシャーレを移動する処理と、混釈装置200から図10、図11に係る微生物検査装置のシャーレ搬送部へシャーレを移動する処理(いわゆる「載せ変え」)が、容易且つ確実に行われる。
【0020】
第1実施形態に係る混釈装置200において、混釈装置200に載置される容器がシャーレに限定されるのであれば、リサージュ曲線の外郭は、正方形に近いことが好ましい。
ただし、非円形の容器(シャーレ以外の容器)を混釈装置200に載置して、(容器内の)複数種類の物質を混合するのであれば、リサージュ曲線の外郭が長方形であっても良い。
【0021】
第1実施形態に係る混釈装置200の構造について、以下で説明する。
最初に図2を参照して、混釈装置200の作動原理を説明する。
図2において、プーリPa(図3のプーリ203に相当)は、X軸方向の単振動運動を行うための回転機構であり、プーリPb(図3のプーリ204に相当)は、Y軸方向の単振動運動を行なうための回転機構である。
プーリPaには、ピンX(図3におけるカムフォロア267に相当)が突設されており、ピンXは、後述するガイドプレート261(図3参照)をX方向に単振動運転させるための部材である。プーリPbには、ピンY(図4におけるカムフォロア277に相当)が突設されており、ピンYは、後述するガイドプレート271(図4参照)をY方向に単振動運転させるための部材である。
プーリPa(歯付きプーリ)の歯数Txは、プーリPb(歯付きプーリ)の歯数Tyよりも少ない。その結果、ピンXの回転速度は、ピンYの回転速度よりも速い。
【0022】
図2において、プーリPa、Pbに加えてテンションプーリ(アイドラプーリ)Ptが設けられており、全てのプーリにはベルトB(例えば、内周面に歯が形成されているベルト)が掛け回されている。
図2では明示されていないが、プーリPa、Pb、Ptの何れか一つのプーリ(駆動プーリ)は、その下方に電動機(駆動源)が配置されており、ベルトを介して、他の二つのプーリ(従動プーリ)を回転駆動している。
図3、図4では、プーリPaに相当するプーリ203のプーリ軸が電動モータ201によって回転駆動される。すなわち、プーリ203が駆動プーリであり、プーリ204が従動プーリである。
【0023】
図2において、プーリPaの中心からピンXの中心までの距離を符号Rxで示し、プーリPbの中心からピンYの中心までの距離を符号Ryで示す。
プーリPaが回転角r(ラジアン)だけ回転する場合を考えると、プーリPaの中心からピンXの中心までのX軸方向の距離は、下式
x=sin(r)・Rx
で表現される。この式は、X軸方向の単振動を示す数式である。
一方、プーリPbの中心からピンYの中心までのY軸方向の距離は、下式
y=cos(Rt・r)・Ry
(ただし、Rt=Tx/Ty)
で表現される。この式は、Y軸方向の単振動を示す数式である。
【0024】
すなわち、図2で示す機構によれば、プーリPa及びピンXによりX軸方向の単振動が行なわれ、プーリPb及びピンYによりY軸方向の単振動が行なわれる。そのため、この両者を合成すれば、混釈装置にリサージュ運動を行なわせることが出来る。
ここで、ガイドプレート261(図3参照)に平面上でX軸方向にのみ移動可能なリニアガイド(図3の符号262、263に相当)と、ガイドプレート271(図4参照)に平面上でY軸方向にのみ移動可能なリニアガイド(図4の符号272、273に相当)とを設ける。
図2において、歯付きプーリPaの歯数と歯付きプーリPbの歯数の比率を10:12に構成し、且つ、プーリPaが6回転したら、ガイドプレート271が同じ点(原点)を通過する様に構成し、運動軌跡の開始点と終了点を係る点(原点)に設定する。その結果、運動軌跡は、図1で示す様なリサージュ図形となる。
図2において、プーリPaのX軸方向偏芯量δxを7.5mmとすれば、プーリPaが半回転するとX軸方向へ15mm(=7.5mm×2)移動し、プーリPaが一回転するとX軸方向に往復移動する距離は、合計で30mm(=15mm×2)となる。そして、プーリPbのY軸方向偏芯量δyを5.0mmとすれば、プーリPbが半回転するとY軸方向へ10mm(=5.0mm×2)移動し、プーリPbが一回転するとY軸方向に往復移動する距離は、合計で20mm(=10mm×2)となる。
ここで、X軸方向の偏芯量は、1mm〜20mmが好ましく、より好ましくは3mm〜10mmである。また、Y軸方向の偏芯量は、1mm〜10mmが好ましく、より好ましくは3mm〜10mmである。
【0025】
プーリPaが6回転するのを1工程(原点から離脱して、次の原点に到達するまで)とすれば、その間にプーリPbは5回転(=6回転×10/12)するので、1工程におけるX軸方向(往復)移動距離とY軸方向(往復)の移動距離は、
X軸方向移動距離:30mm×6=180mm
Y軸方向移動距離:20mm×5=100mm
となる。
また、図2において、X軸方向の移動速度は200mm/秒であり、Y軸方向の移動速度は130mm/秒である。
ここで、X軸方向の移動速度は、50mm/秒〜350mm/秒が好ましく、より好ましくは、100mm/秒〜250mm/秒である。また、Y軸方向の移動速度は、50mm/秒〜350mm/秒が好ましく、50mm/秒〜200mm/秒がより好ましい。前記2方向の移動速度は互いに異なることが好ましく、その移動速度の差は50mm/秒以上であることがより好ましい。
また、混合するべき材料の粘度は特に限定されないが、0mPa・s〜2000mPa・sの粘度を有する混合するべき材料に対して、上述した移動速度でリサージュ運動を行なって混釈した場合に、混合するべき材料を、特に均一に混ぜることが出来る。そのため、混合するべき材料の粘度は0mPa・s〜2000mPa・sであることが好ましく、より好ましくは、1000mPa・s〜1700mPa・sである。この粘度は、B型粘度計で測定したものであり、測定温度は10℃である。ローターの回転速度や、ローターNo.等の測定条件は、混合するべき材料の粘度に応じて、適宜決定すれば良い。
粘度をレオメーターで測定する場合は、測定温度が5℃であれば、レオメーターにおけるプランジャーにかかる荷重を50g〜200gにするのが好ましく、当該荷重を80g〜160gにするのがより好ましい。
【0026】
図1で示す運動軌跡において、X軸方向の切替し(方向転換)及びY軸方向の切替し(方向転換)を行なうことによる軌跡は、リサージュ曲線を構成する。
図1で示す様なリサージュ図形或いはリサージュ曲線で示す様な運動軌跡で検体と培地を分注したシャーレを移動することにより、その移動スピードの変化と切替し(方向転換)により進行方向を変更することにより、検体と培地とを均一に混ぜることができる。
【0027】
図1、図2で説明した原理に基づいて作動する混釈装置200について、図3〜図7を参照して説明する。
図3、図4において、混釈装置200は、電動モータ201、エアシリンダ202、第1のプーリ203、第2のプーリ204、アイドラプーリ205、ベルト206、カップリング207を備えている。
図示の例では、上記3つのプーリ203、204、205は、何れも歯付きプーリであり、ベルト206は内周面に歯を形成したベルトである。
混釈装置200は、電動モータ支持部230、シリンダロッド接続部240、プーリ取り付け部250、第1の単振動発生機構260、第2の単振動発生機構270、シャーレ載置部280を備えている。
【0028】
電動モータ201は、電動モータ支持部230によって、プーリ取り付け部250の下端に吊り下げられるように取り付けられている。
エアシリンダ202は、シリンダ本体202a、2本のロッド202b、ロッド先端接続部202cを有している。シリンダ本体202aの下端は、検査装置ベース211の上面に公知の手段によって固定されている。
検査装置ベース211の一方の端部(図3の右端)には垂直部材212が固設され、当該固設された箇所のコーナー部は補強板213によって補強されている。
図3において、第1のプーリ203と第2のプーリ204にベルト206が掛け回されていることを明示するため、アイドラプーリ205の図示を省略している。そして、図4において、第2のプーリ204に掛け回されているベルト206が、アイドラプーリ205にも掛けられていることを明示するため、アイドラプーリ205の位置を実機よりも外側(図4では右側)に配置している。そのため、アイドラプーリ205は、図4では、その一部がプーリ取り付け部250からはみ出した様に示されている。
【0029】
図3において、電動モータ支持部230は、モータ取り付け部231と2枚の垂直部材232によって、断面形状が溝型に構成されている。
モータ取り付け部231は、電動モータ201を直接取り付け、図示では明確ではないが電動モータ201の回転軸201aを貫通させる貫通孔が形成されている。
2枚の垂直部材232の上端は、プーリ取り付け部250(図4参照)の下方水平部材251(図4参照)の下面に、例えば溶接などによって固着されている。
【0030】
図4において、シリンダロッド接続部240は、矩形の水平部材241、2枚の矩形の垂直部材242を備えている。
水平部材241、2枚の垂直部材242は、幅方向寸法(図3の左右方向寸法)が同一である。
水平部材241の下面側には、公知の手段によってエアシリンダ202(図3)のロッド先端接続部202c(図3)が固定されている。また、2枚の垂直部材242の上端は、プーリ取り付け部250の下方水平部材251の下面に、例えば溶接などによって固着されている。
【0031】
図4において、プーリ取り付け部250は、矩形の下方水平部材251、2枚の垂直部材252、矩形の上方水平部材253を備えている。
図示では明確ではないが、下方水平部材251、上方水平部材253における共通投影面、すなわち図3、図4の上方から下方を見た共通投影面上には、それぞれ2箇所にベアリング取付け孔(段付き貫通孔:図示せず)が形成されている。
当該ベアリング孔には、合計2対のボールベアリング268(図3)、278(図4)が配置されている。そして、2対のボールベアリング268、278は、後述するプーリ軸264、274を回転自在に軸支している。
【0032】
図3において、第1の単振動発生機構260は、ガイドプレート261、リニアガイドの上方部材262、リニアガイドの下方レール263、第1のプーリ軸264、第1のクランクカム265、第1のカムフォロア266、カムフォロアピン267、1対のボールベアリング268を備えている。
第1のプーリ軸264は、軸の概略中央に第1のプーリ203を固着させており、軸の下端はカップリング207によって電動モータ201の回転軸201aと接続されている。
第1のプーリ軸264における第1のプーリ203を固着させた近傍の上下には、1対のボールベアリング268が配置され、当該ベアリング268によって第1のプーリ軸264が回転自在に軸支されている。
【0033】
図3において、第1のプーリ軸264の上端には、円盤状の第1のクランクカム265が固設されている。第1のクランクカム265において、第1のプーリ軸264の中心から寸法δ2だけ偏寄した位置には、カムフォロアピン266が嵌入され、固定されている。
カムフォロアピン266には、カムフォロア267が回転自在に軸支されている。
カムフォロア267は、ガイドプレート261に形成されたガイド溝2613(図6参照)に挿入され、ガイド溝2613内を自在に移動する様に構成されている。
【0034】
図3において、ガイドプレート261の下面には、1対のリニアガイドの上方部材262が紙面に垂直な方向に移動可能に固着されている。
一方、1対のリニアガイドの下方レール263は、図3の紙面に垂直な方向へ延在する様に、プーリ取り付け部250(図4参照)の上方水平部材253(図4参照)の上面に固着されている。
図3で示すように、1対のリニアガイドの上方部材262と1対のリニアガイドの下方レール263は係合している。そして、リニアガイドの上方部材262及び1対のリニアガイドの上方部材262を固着したガイドプレート261は、下方レール263に沿って、図3の紙面に垂直な方向へ移動する様に構成されている。
【0035】
図5は、プーリ取り付け部250(図4参照)の上方水平部材253(図4参照)を、平面的に示している。
図5において、上方水平部材253は、図示の例では厚み6mmの鋼板を矩形状に裁断し、その矩形の4隅を面取りして、構成されている。
図5で示す様に、上方水平部材253は中心線Lcに対して線対称(左右対称)である。ここで、図5における「上方」が図3の「右方」であり、図5における「下方」が図3の「左方」である。
上方水平部材253は、図5の上下両端部の6箇所に、ビス孔2531が形成されている。ビス孔2531は、図示しない接続用のビス(例えば、皿ビス)により、プーリ取り付け部250の1対の垂直部材252を接続させるために形成されており、テーパ座ぐりが施されている。
また、上方水平部材253には、雌ねじ2532が合計8箇所に形成されている。雌ねじ2532は、ビス孔2531の列よりも、図5における上下方向中心側に配列されており、リニアガイドの下方レール263を固定するために形成されている。
【0036】
上方水平部材253の中心線Lc上には、ボールベアリングを嵌入するための貫通孔2533、2534が形成されている。
貫通孔2534には、図5の紙面手前側に、第1のクランクカム265(図3参照)の直径よりも大径の座ぐり2535(例えば、深さ2mm)が施されている。座ぐり2535は、第1のクランクカム265との干渉を避けるために形成されている。
貫通孔2533にはボールベアリング278が嵌入され、ボールベアリング278は、第2の単振動発生機構270の構成要素である。一方、貫通孔2534にはボールベアリング268が嵌入され、ボールベアリング268は、第1の単振動発生機構260の構成要素である。
【0037】
図6は、ガイドプレート261を平面的に示している。
図6において、ガイドプレート261は、図示の例では厚み6mmの鋼板を矩形状に裁断し、その矩形の4隅を面取りしている。
図6で示す様に、ガイドプレート261は、中心線Lcに対して左右対称である。図6では、その「上方」が図3の右方であり、「下方」が図3の左方である。
図6において、ガイドプレート261は、中心線Lc近傍で且つ図6の上下両端部近傍に、ビス孔2611が合計8箇所形成されている。ビス孔2611には、テーパ座ぐりが施されている。
8箇所のビス孔2611には、皿ビスによって、リニアガイドの上方部材262が接続される。
【0038】
ガイドプレート261において、図6における左右端部近傍には、合計8箇所に雌ねじ2612が、2列に配置されている。合計8箇所の雌ねじ2612には、第2の単振動発生機構270における1対のリニアガイドの下方レール273が固定される。
図6において、ガイドプレート261の中心線Lc上には、ガイド溝(長孔)2613と、長孔2614が形成されている。ガイド溝(長孔)2613の長軸が中心線Lc上に配置されており、長孔2614の短軸が中心線Lc上に配置されている。
ガイド溝2613の幅W26は、第1のカムフォロア267が円滑に長孔2613内を移動できるように、設定されている。
長孔2614は、混釈装置200が作動した際(第1の単振動と第2の単振動が同時に発生した際)に、第2の単振動発生機構270における第2のプーリ軸274が、長孔2614の縁部と干渉しない程度に、十分に大きな開口面積に設定されている。
【0039】
図4において、第2の単振動発生機構270は、ガイドプレート271、リニアガイドの上方部材272、リニアガイドの下方レール273、第2のプーリ軸274、第2のクランクカム275、第2のカムフォロア276、カムフォロアピン277、1対のボールベアリング278を備えている。
第2のプーリ軸274は、概略中央に第2のプーリ204を固着している。
第2のプーリ軸274において、第2のプーリ204を固着させた箇所近傍には、1対のボールベアリング278が配置されている。このベアリング278によって、第2のプーリ軸274が回転自在に軸支されている。
【0040】
第2のプーリ軸274の上端に、円盤状の第2のクランクカム275が固設されている。第2のクランクカム275において、第2のプーリ軸274の中心から寸法δ1だけ偏寄した位置には、カムフォロアピン276が嵌入され、固定されている。
カムフォロアピン276には、カムフォロア277が回転自在に軸支されている。
カムフォロア277は、ガイドプレート271に形成されたガイド溝2713(図7参照)に挿入され、ガイド溝2713内を自在に摺動する様に構成されている。
【0041】
図4において、ガイドプレート271の下面には、1対のリニアガイドの上方部材272が、図4の紙面と垂直な方向に移動可能に固着されている。
一方、1対のリニアガイドの下方レール273は、図4の紙面と垂直な方向に延在しており、第1の単振動発生機構260におけるガイドプレート261(図3参照)の上面に固着されている。
図4において、1対のリニアガイドの上方部材272と、1対のリニアガイドの下方レール273は係合している。そして、リニアガイドの上方部材272及び上方部材272を固着したガイドプレート271は、下方レール273に沿って、図4の紙面と垂直な方向に移動する様に構成されている。
【0042】
図7で示すガイドプレート271は、図示の例では厚み6mmの鋼板を矩形状に裁断し、その矩形の4隅を面取りしている。
図7において、ガイドプレート271は、中心線Lcに対して左右対称である。ここで、図7の下方が図3の左方であり、図7の上方が図3の右方である。
図7において、ガイドプレート271の上下方向中央で、且つ、左右方向両端部には、ビス孔2711が合計8箇所形成されており、ビス孔2711の各々にはテーパ座ぐりが施されている。8箇所のビス孔2711は、皿ビスにより、1対のリニアガイドの上方部材272(図4参照)を、ガイドプレート271に固定するために形成されている。
【0043】
図7において、ガイドプレート271の上下方向中央側の領域で、中心線Lc上には、テーパ座ぐりを施したビス孔2712が、2箇所、形成されている。ここで、ビス孔2712のテーパ座ぐりは、ガイドプレート261の図7における裏面側に形成されている。ビス孔2712は、図示しない皿ビスによって、シャーレ載置部280(図3、図4参照)の垂直基板281を固定するために形成されている。
図7において、ガイドプレート261の中心線Lc上には、ガイド溝(長孔)2713が形成されている。ガイド溝(長孔)2713の長軸は、中心線Lcと直交している。
ガイド溝2713の幅W27は、第2のカムフォロア277が、円滑に長孔2713内を移動できるように設定されている。
【0044】
図4において、シャーレ載置部280は、垂直基板281、水平部材282、4本のピン283によって構成されている。
垂直基板281、水平部材282はT字状に固着されており、垂直基板281の下端が2本の皿ビスによって、第2の単振動発生機構270のガイドプレート271上面に取り付けられる。
4本のピン283は、例えば樹脂製であり、水平部材282の上面で且つ外縁近傍にピンの下端が埋設されるように取り付けられている。
図示しないシャーレは、4本のピン283と外接して保持されるので、混釈装置200の作動時に、シャーレ載置部280から脱落しない。
【0045】
図3において、電動モータ201には、回転軸201b(回転力伝達用ではない回転軸)側に、回転角度を検知するロータリーエンコーダ208が介装されている。
ロータリーエンコーダ208は、回転角度センサ208a、回転角度認識板(カット板)208b、取り付けボス208cを有している。回転角度認識板(カット板)208bは、取り付けボス208cを介して、電動モータ201の回転力伝達用ではない回転軸201bに取り付けられている。
回転角度センサ208aは、センサ取り付けブラケット208Bを介して、モータ取り付け部231に取り付けられている。
回転角度認識板(カット板)208bは、円盤の外縁の一箇所にノッチ(或いは複数個所に異なる形状のノッチ)が形成されている。
回転角度センサ208aは、係るノッチを検知することにより、電動モータ201の回転数(或いは回転角度)を正確に検出する。
【0046】
図3において、第2のプーリ軸274の下端には、第2のプーリ軸274の回転角度を検知するロータリーエンコーダ209が介装されている。
ロータリーエンコーダ209は、回転角度センサ209a、回転角度認識板(カット板)209b、取り付けボス209cを有している。回転角度認識板(カット板)209bは、取り付けボス209cを介して、第2のプーリ軸274に取り付けられている。
回転角度センサ209aは、センサ取り付けブラケット209Bを介してプーリ取り付け部250の下方水平部材251に取り付けられている。
回転角度認識板(カット板)209bは、円盤の外縁の一箇所にノッチ(切欠き)が形成されており、或いは、円盤の外縁の複数個所に異なる形状のノッチが形成されている。
回転角度センサ209aは、ノッチを検知することにより、第2のプーリ軸274の回転数、(或いは回転角度)を正確に検出する。
【0047】
エアシリンダ202は、シャーレ載置部280にシャーレを載置或いは移動する際に、伸縮する。
エアシリンダ202のシリンダ本体202aには、上下各1箇所の吸気口、排気口が設けられ、吸気口、排気口にはスピードコントローラ291が設けられており、エアシリンダ202の作動速度を加減する様に構成されている。
【0048】
混釈装置200による混合に際しては、混合するべき複数種類の物質(例えば、検体と培地)が分注されたシャーレ(対象シャーレ)が、混釈装置200の上方に、搬送機構(例えば、図10におけるシャーレ搬送部4)より送られてくる。
対象シャーレが混釈装置200の上方の所定位置に達すると、当該搬送機構は停止する。対象シャーレが混釈装置200の上方の所定位置に達する際に、混釈装置200のエアシリンダ202が作動して、混釈装置200のシャーレ載置部280は、シャーレ載置部280の水平部材282で対象シャーレを載置する様に、その高さ位置を調節する。
シャーレが水平部材282上に載置されて、所定時間が経過すると、電動モータ201が回転を開始する。
【0049】
電動モータ201が回転すると、その回転力は第1のプーリ軸264、第1のプーリ203、ベルト206、第2のプーリ204、第2のプーリ軸274を介して、第1の単振動発生機構260、第2の単振動発生機構270を同時に作動させる。
第1の単振動発生機構260、第2の単振動発生機構270の単振動動作は、シャーレ載置部280、或いはシャーレ載置部280に載置されたシャーレに、図1に示すようなリサージュ運動を生じさせる。
所定時間経過後、電動モータ201は停止する。更に所定時間が経過して、図示しないマニピュレータが作動して、規定の混釈が終了したシャーレを持ち上げて、前記搬送機構(例えば、図10におけるシャーレ搬送部4)における所定箇所にシャーレを載置する。
これにより、対象シャーレの混釈作業が完了する。
【0050】
第1実施形態に係る混釈装置200によれば、シャーレ載置部280及びそこに載置されるシャーレに、リサージュ運動を行わせしめている。
リサージュ運動は、偏芯運動とは異なり、種々の方向に向かって移動する。そして、リサージュ図形の原点近傍では速度が速く、原点から離れると速度が減少するという性質を有している。
そして、装置200上に載置されるシャーレがリサージュ運動を行うと、種々の方向に向かって移動するため、シャーレ内の混合するべき複数種類の物質(例えば、図10の微生物検査装置であれば、検査対象と培地)が均一に混合される。
【0051】
ここで、シャーレの運動方向が急激に変換すると、シャーレ内の液体がシャーレ外に飛散してしまう恐れがある。しかし、第1実施形態に係る混釈装置200では、シャーレはリサージュ運動を行なっているため、その運動方向が急激に変換するのは原点から離れた領域であり、原点から離れた領域では運動の速度が減少する。そのため、第1実施形態に係る混釈装置200では、方向転換した際にシャーレ内の検査対象や培地が飛散してしまうことはない。
すなわち、第1実施形態に係る混釈装置200によれば、当該混釈装置200に載置されたシャーレがリサージュ運動を行うことにより、シャーレ内の混合するべき複数種類の物質(例えば、図10の微生物検査装置であれば、検査対象や培地)をシャーレ外に飛散してしまうことなく、均一な混合が可能になる。
【0052】
第1実施形態に係る混釈装置200は、X軸方向単振動及びY軸方向単振動が、同一の電動モータを駆動源として行なわれている。
それに対して、X軸方向単振動と、Y軸方向単身動を、別々の駆動源(電動モータ)によって行うことも可能である。
図8、図9で示す第2実施形態では、混釈装置(装置全体に符号200Aを付す)が、X軸方向単振動を行う電動モータと、Y軸方向単身動を行う電動モータとを備えている。
以下、図8、図9を参照して、第2実施形態に係る混釈装置200Aについて、主に、図1〜図7で説明した内容と異なる点について、説明する。
【0053】
図8、図9において、混釈装置200Aは、2台の電動モータ201、201を備えている。
2台の電動モータ201、201は、共に電動モータ取り付けフレーム220に直接取り付けられている。
図8において、電動モータ取り付けフレーム220は、下方水平部材221、1対の垂直部材222、上方水平部材223を有しており、2台の電動モータ201は、下方水平部材221に直接取り付けられている。
【0054】
電動モータ取り付けフレーム220の上方水平部材223には、明確には図示されていないが、2箇所に貫通孔が形成されている。
当該貫通孔にはそれぞれ、ベアリング268(図8)、278(図9)が介装されている。
当該ベアリング268、278には、それぞれ第1の単振動発生機構260Aのクランクカム軸264A、第2の単振動発生機構270Aのクランクカム軸274Aが回転自在に軸支されている。
クランクカム軸264A、274Aは、それぞれ、別個の電動モータ201、201に、カップリング207によって接続されている。
【0055】
図8、図9の第2実施形態では、第1の単振動発生機構260A、第2の単振動発生機構270Aが、それぞれ別個の電動モータ201によって駆動される。そのため、第1実施形態において、電動モータ201から第1の単振動発生機構260及び第2の単振動発生機構270へ回転を伝達するために必要とされた部材、例えば、ベルト及びテンションプーリが、第2実施形態では不要である。
なお、2台の電動モータの回転は、それぞれ別のロータリーエンコーダ208によって検出されている。
図8、図9の第2実施形態におけるその他の構成及び作用効果は、図1〜図7で説明した第1実施形態と同様である。
【0056】
次に、図10、図11を参照して、上述した混釈装置が適用される微生物検査装置について説明する。
図10、図11において、全体を符号100で示す微生物検査装置は、検査対象である製品(例えば、乳酸菌やビフィズス菌の生菌を含有するタイプの飲料品または製造工程の途中の製品)中に、当該製品を汚染している微生物、例えば大腸菌や酵母等(汚染微生物)が存在するか否かを検査する機能を有している。
【0057】
図10、図11で示す微生物検査装置100では、検査対象(例えば、市販される飲料品や製造工程の途中の製品)は、希釈されることなく培地と混釈(混合)されて、静置、培養した後に、汚染微生物のコロニーができたかどうかがチェックされる。
微生物検査装置100では、ステンレス製のノズル(検体ノズルN:図11参照)により、検査対象を吸入している。ここで、樹脂製のノズル(いわゆる「チップ」)では、検査対象である製品の容器開口部を被覆するアルミ箔等(図示せず)を貫通することが出来ないので、図10、図11の微生物検査装置100では、ステンレスで製造されたノズルを採用している。ステンレス製のノズルであれば、アルミ箔等を貫通可能な程度の剛性を有し、且つ、防錆性能に優れているからである。
【0058】
図10、図11において、微生物検査装置100は、レーザー印刷ユニット1、分注機2、ハンド3、シャーレ搬送部4、培地ユニット5、ノズルラック6、シャーレ供給部7、シャーレ収納部8、パレット搬送部9、パレット10、混釈装置200を備えている。
図11において、微生物検査装置100は、培地移動機構11、培地ボトル12、培地用スターラ121、培地ノズル122、ノズル昇降機123、培地シャッタ124、ペリスタルポンプ13、UV殺菌灯14を備えている。
【0059】
レーザー印刷ユニット1は、シャーレの蓋に各種検査情報を印字し、以って、検査対象や培地等の情報を間違えない様にせしめている。レーザー印刷ユニット1でシャーレの蓋に印字される検査情報としては、例えば、検査日時、検査対象名、検査培地、撒き数等がある。
分注機2は、検査対象製品容器から検査対象(検体)を吸入する機能と、吸入された検査対象をシャーレ内に分注する機能とを有している。分注機2は、図10の矢印X方向に移動可能に構成されている。換言すると、分注機2は、図10で示す位置と、図10におけるX方向のパレット10による搬送位置(図10では9A側のパレットの位置)との間を移動可能に構成されている。
【0060】
ハンド3は検査対象製品の前処理機構部であり、パレット10(後述)から製品情報を読み取り、PC入力(パソコンから入力された情報)との照合を行う。そして、製造工程の途中の製品(例えば、試験管に封入されている製品)が検査対象の場合は、ハンド3は、試験管を封入しているシリコン栓を取り外す処理を実行する。
シャーレ搬送部4は、検体と培地を分注したシャーレを混釈装置200に搬送し、混釈後に、検体と培地均一に混合されたシャーレをシャーレ収納部に搬送する機能を有する。
【0061】
培地ユニット5は、培地の供給源である。
培地ユニット5は、図11に示すように、培地ボトル12、培地用スターラ121、培地ノズル122、ノズル昇降機123、培地シャッタ124を有している。
そして、培地ボトル12から新しい培地を吸引して、吸引した培地を培地ノズル122によって、微生物培養用のシャーレに注入する機能を有している。
なお、培地ユニット5における構成については、後述する。
【0062】
ノズルラック6には、滅菌済みノズルラック61と、使用済みノズルラック62が設けられている。
滅菌済みノズルラック61には、滅菌されたノズルNがセットされている。使用済みノズルラック62には、検査対象の吸入に使用されたノズルNが使用後に収容される。
微生物検査装置100による検査が行なわれる以前の段階では、使用済みノズルラック62には、ノズルN(図11参照)はセットされていない。
【0063】
図11では、検体用ノズルNが分注機2に装着された状態が示されている。
検体用ノズルNの分注機2への着脱に関しては、先ず、図示しないマニピュレータ或いはロボットハンドにより、滅菌済みノズルラック61にセットされた滅菌済みノズルNを分注機2に装着して、検査対象の吸引、吐出を行う。
そして、使用したノズル(使用済みノズル)Nを、図示しないマニピュレータ或いはロボットハンドにより分注機2から取り外し、使用済みノズルラック62に配置する。
分注機2にノズルを装着する際、或いは取り外す際には、分注機2は図10の矢印X方向に移動し、ノズルラック6は図10の矢印Y方向に移動する。
【0064】
シャーレ供給部7は、図示の例では5台のラックを有し、各ラックには未使用のシャーレが、それぞれ最大で30個ずつ積層されるように構成されている。
シャーレ収納部8は、混釈装置200(或いは、200A)により検体と培地が均一に混合されたシャーレを、一時収容しておく機能を有している。
【0065】
パレット搬送部9は、複数のパレット10が載置された循環経路(経路9A、経路9Bを含む)により構成されており、パレット移動手段(例えば、チェーン駆動のコンベア)が設けられている。図10では、経路9Aは左方向へ移動し、経路9Bは右方向へ移動している。
また、経路9Aの最左端のパレット10は、例えば、エアシリンダ(図示せず)によって、経路9Aから経路9Bに移動する。そして、経路9Bにおける最右端のパレット10は、例えば、図示しないエアシリンダによって、経路9Bから経路9Aに移動させられる。
【0066】
パレット搬送部9上のパレット10には、検査対象製品の容器が載置されている。この容器は、例えば、検査対象が市販の飲料品であれば、市販品の容器であり、検査対象が製造工程の途中の中間製品であれば、当該中間製品が充填された実験用容器である。
検査対象製品容器を載せる操作は、作業者により(人手により)行なわれる作業である。
例えば、最初に検査するべき検査対象の検出対象製品容器は、図10において符号「No.1」で示す停止しているパレットに載置される。以下、図10において、パレットNo.1の右側に位置しているパレットから、順次、検出対象製品容器を載置する。
各パレット10には検査対象製品が一つずつ載置され、所定の作業毎に、例えば分注機2により検査対象が検査対象製品容器から吸入される毎に、パレット10が一コマ分、図10における太い矢印方向(概略反時計方向)に移動する。
【0067】
図10、図11の微生物検査装置100では、分注機2で検査対象を吸入された検査対象製品容器は、自動的に廃棄はされず、そのままパレット10に載置された状態のまま放置される。
パレット10に載置された全ての検査対象製品容器から検査対象が吸入された後、作業員によって、検査対象が吸入済みの検査対象製品容器を、パレット10上から除去するのである。
【0068】
図11において、培地移動機構11は、シャーレの蓋を開閉して、シャーレを移動する機構である。すなわち、培地移動機構11でシャーレの蓋を開き、培地ユニット5側へ移動する。
培地ユニット5でシャーレに培地を吐出した後、蓋を開いた位置までシャーレを戻し、培地移動機構11によりシャーレの蓋を閉める。
【0069】
培地ユニット5は保温された閉鎖空間(室)SPを具備しており、当該保温された閉鎖空間SPには、培地ボトル12、ペリスタルポンプ(チューブポンプ)13、培地用スターラ121、培地ノズル122、ノズル昇降機123、ノズルシャッター124が設けられている。
【0070】
培地ボトル12は複数(図示の例では3個)配置されており、検出しようとする微生物の培養に適切な培地のボトルが準備されている。
分注機2でシャーレに検査対象を吐出した後、当該シャーレに対して、培地ユニット5により培地が分注される。
【0071】
培地用スターラ121は、培地ボトル12内で培地中の成分が沈殿しない様に、培地ボトル12内を攪拌する機構である。明確には図示されてはいないが、培地用スターラ121は、培地ボトル12内に設けられた磁性体と、培地ボトル12下方に設けられたスターラ本体とから構成されている。スターラ本体は、磁性体(培地ボトル内の磁性体とは別個の磁性体:図示せず)と、当該磁性体を回転運動するための機構(図示せず)を備えており、スターラ本体の磁性体を回転運動させることにより、ボトル内の磁性体がボトル内で回転運動して、培地ボトルに収容された培地を攪拌して、培地が沈殿物と上澄液とに分離しない様にせしめている。
【0072】
培地ボトル12からペリスタルポンプ13によって培地が吸入され、培地ノズル122からシャーレ内に吐出される。
シャーレ内に培地を吐出する際には、前記保温された閉鎖空間SPから、培地ノズル122が、ノズル昇降機123によって下降する。そして、培地ノズル122直下の位置に置かれたシャーレ(検査対象が既に分注されているシャーレ:図11では図示せず)内に培地を分注する。
【0073】
培地シャッタ124は、保温された閉鎖空間SPの底部に設けられている。
培地ノズル122からシャーレ内に培地を注入するときに、培地シャッタ124が開放状態となり、培地ノズル122が通過する開口部(前記閉鎖空間の底部に存在する開口部:明示せず)を開放する。
培地ノズル122からシャーレ内に培地を注入しない状態では、培地シャッタ124を閉鎖して、前記開口部を閉鎖している。培地ノズル122が通過する開口を介して、外気が侵入することにより、閉鎖空間SP内の気温が低下することを防止するためである。
【0074】
微生物検査装置100におけるシャーレの移動は、以下の(a)〜(f)の順番で行なわれる。
(a) シャーレ供給部7から、レーザー印刷ユニット1にシャーレを移動して、レーザー印刷ユニット1でシャーレに印字する。
(b) 分注機2において、滅菌済みノズルラック61から1個のノズルNをつまみ出し、当該ノズルNを分注機2に装着する。そして、ハンド3からの照合情報に基づいて、パレット搬送部9のパレット10上の検査対象製品容器から、検査対象を、ノズルNを介して吸引し、シャーレに吐出する。
(c) 次に、培地ユニット5において、培地ボトル12からペリスタルポンプ13で培地を吸入し、培地ノズル122からシャーレ内に培地を吐出する。
(d) シャーレ搬送部4により、培地及び検査対象製品を分注されたシャーレが、混釈装置200(或いは、200A)に搬送される。
(e) 混釈装置200で、シャーレ内で、培地及び検査対象製品が均一に混合される。
(f) 培地及び検査対象製品が均一に混合されたシャーレが、シャーレ収納部8に移動して、収納される。
【0075】
上述した様に、図10、図11の微生物検査装置100は、汚染微生物が存在するか否かを検査するための装置であり、汚染微生物の数は検査しない場合がある。
しかし、汚染微生物の種類や、検査対象である飲料品の種類によっては、汚染微生物が存在した場合に、その数量(どの程度の量の汚染微生物が存在しているのか)を特定する必要がある。
その様な場合には、培地と検査対象を混釈した後、発生した微生物のコロニー数を決定すれば、検査対象の質量から、検査対象である飲料品製品中に存在する汚染微生物数を特定することが出来る。
【0076】
図10、図11の微生物検査装置100によれば、微生物検査で必要とされる各種作業、例えば、検査対象の吸引、分注作業や、培地の分注作業、検査対象と培地を混釈する作業等を自動化することが出来る。
そのため、長期間の訓練を行なった作業員を確保しなくても、容易に検査対象における微生物の有無を決定することが出来る。
また、複数種類の培地を検出対象毎に分注することが出来るので、検出対象となる汚染微生物(例えば大腸菌や酵母等)に好適な培地を選択して、人体に有益な生菌がコロニーを形成せずに、検出対象である汚染微生物のみがコロニーを形成することが可能にすることが出来る。
【0077】
さらに図10、図11の微生物検査装置100では、検査対象を分注機2により吸引してシャーレに注入し、検査対象を吸引した検査対象用ノズルを貯蔵する使用済みノズルのノズルラック62を有しているので、検査対象を吸引する以前のノズル(滅菌済みの使用前のノズル)と、吸引後のノズル(使用後のノズル)を分離して貯蔵することが出来る。
そのため、検査対象を吸引する以前のノズルに既に吸引された検査対象が混入すること(いわゆる「コンタミ」、「コンタミネーション」)が発生することが防止される。
【0078】
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨の記述ではない旨を付記する。
【符号の説明】
【0079】
1・・・レーザー印刷ユニット
2・・・分注機
3・・・ハンド
4・・・シャーレ搬送部
5・・・培地ユニット
6・・・ノズルラック
7・・・シャーレ供給部
8・・・シャーレ収納部
9・・・パレット搬送部
10・・・パレット
11・・・培地移動機構
12・・・培地ボトル
13・・・ペリスタルポンプ
100・・・微生物検査装置
200、200A・・・混釈装置
260・・・第1の単振動発生機構
261、271・・・ガイドプレート
270・・・第2の単振動発生機構
282・・・水平部材(テーブル)
【技術分野】
【0001】
本発明は、混合するべき複数の材料(例えば、微生物検査装置の検査対象と培地)を、自動運転により混合するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
混合するべき複数の材料(例えば、微生物検査装置の検査対象と培地)を混合するための技術が従来から、種々提案されている。
しかし、自動操縦により混合する技術では、混合するべき複数の材料を収容した容器(例えば、シャーレ)に単振動を付与するのみのものが多い。そして、単振動を与えるのみでは、当該容器内の混合するべき複数の材料は、均一に混合されない。
また、混合するべき複数の材料を収容した容器の運動方向が急激に変換してしまう場合には、容器内の混合するべき材料が、容器外に飛散してしまう恐れがある。
【0003】
その他の従来技術として、微生物培養施設に用いられ、培地の混釈を行なう混釈装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、係る従来技術は、均一な混合や、混合するべき材料の飛散に関する上述した問題を解消するものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−153961号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、容器内に収容された混合するべき複数の材料を均一に混合することができて、しかも、容器の運動方向が急激に変換しても、容器内の材料が容器外に飛散しない様な混合装置の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の混釈装置(200、200A)は、混合するべき材料(例えば、微生物検査装置の検査対象と培地)を収容した容器を載置するテーブル(282)と、平面上で直交する2方向(X方向、Y方向)における何れか一方向(例えば、X方向)の単振動を発生する第1の単振動発生機構(260)と、前記2方向における他方の方向(例えば、Y方向)の単振動を発生する第2の単振動発生機構(270)を備え、前記テーブル(282)は、第1の単振動発生機構(260)による単振動(例えば、X方向の単振動)と第2の単振動発生機構(270)による単振動(例えば、Y方向の単振動)を合成した運動(リサージュ運動)を行う部材(図6で示すプレート261)に取り付けられていることを特徴としている。
ここで、平面上で直交する2方向(X方向、Y方向)における何れか一方向(例えば、X方向)の単振動の移動速度は、50mm/秒〜350mm/秒が好ましく、より好ましくは、100mm/秒〜250mm/秒である。また、前記2方向における他方の方向(例えば、Y方向)の単振動の移動速度は、50mm/秒〜350mm/秒が好ましく、50mm/秒〜200mm/秒がより好ましい。前記2方向の移動速度は互いに異なることが好ましく、その移動速度の差は50mm/秒以上であることがより好ましい。
また、混合するべき材料の粘度は特に限定されないが、0mPa・s〜2000mPa・sの粘度を有する混合するべき材料に対して、上述した移動速度でリサージュ運動を行なって混釈した場合に、混合するべき材料を、特に均一に混ぜることが出来る。そのため、混合するべき材料の粘度は0mPa・s〜2000mPa・sであることが好ましく、より好ましくは、1000mPa・s〜1700mPa・sである。この粘度は、B型粘度計(回転式粘度計)で測定したものであり、測定温度は10℃である。ローター(回転式粘度計における円筒形の測定装置)の回転速度や、ローターNo.(回転式粘度計における円筒形の測定装置の番号)等の測定条件は、混合するべき材料の粘度に応じて、適宜決定すれば良い。
粘度をレオメーターで測定する場合は、測定温度が5℃であれば、レオメーターにおけるプランジャー(円盤状の測定装置)にかかる荷重を50g〜200gにするのが好ましく、当該荷重を80g〜160gにするのがより好ましい。
【0007】
本発明の混釈装置(200、200A)は、検査対象が貯蔵された容器(検査対象製品容器或いは試験管)から検査対象を吸引して検査用容器(例えば、シャーレ)に注入(分注)する検査対象吸引装置(分注機2)と、検査対象が注入された検査用容器に培地を注入する培地注入装置(培地ユニット5)と、検査用容器を載置するテーブル(282)を有し且つ当該テーブル(282)を動かして検査用容器内の検査対象及び培地を混合(混釈)する混釈装置(200)と、検査対象及び培地が注入された検査用容器を混釈装置(200)に搬送する搬送装置(シャーレ搬送部4)を有する微生物検査装置で用いられることが好ましい。
係る微生物検査装置では、検査対象を検査用容器内に注入した後に検査対象吸引装置(2)に装着されている検査対象用ノズルを貯蔵する貯蔵容器(使用済みノズルのノズルラック62)を含むことが可能である。ただし、前記微生物検査装置では、係る貯蔵装置(62)を具備していなくても、微生物を自動的に検査することが出来る。
【発明の効果】
【0008】
上述した構成を具備する本発明の混釈装置(200、200A)によれば、平面上で直交する2方向(X方向、Y方向)における何れか一方向(例えば、X方向)の単振動を発生する第1の単振動発生機構(260)と、前記2方向における他方の方向(例えば、Y方向)の単振動を発生する第2の単振動発生機構(270)を備え、前記検査用容器を載置するテーブル(282)を、第1の単振動発生機構(260)による単振動(例えば、X方向の単振動)と第2の単振動発生機構(270)による単振動(例えば、Y方向の単振動)を合成した運動(リサージュ運動)を行う部材(図6で示すプレート261)に取り付ければ、混釈装置上に載置される検査用容器(シャーレ)にもリサージュ運動を行わせることができる。このように構成することにより、X方向の振動の大きさとY方向の振動の大きさを自由に変更することができ、最適なリサージュ運動を行なうよう調整することができる。
リサージュ運動は、偏芯運動とは異なり、種々の方向に向かって移動する。そして、リサージュ図形の原点近傍では速度が速く、原点から離れると速度が減少するという性質を有している。
そして、装置上に載置されるシャーレがリサージュ運動を行うと、種々の方向に向かって移動するため、シャーレ内の混合するべき材料が均一に混合される。
【0009】
ここで、シャーレの運動方向が急激に変換すると、シャーレ内の液体がシャーレ外に飛散してしまう恐れがある。しかし、リサージュ運動では、運動方向が変換するのは原点から離れた領域であり、原点から離れた領域では運動の速度が減少する。そのため、方向転換した際に、シャーレ内の混合するべき材料が飛散してしまうことはない。
すなわち、混釈装置に載置されたシャーレがリサージュ運動を行うことにより、シャーレ内の混合するべき材料をシャーレ外に飛散してしまうことなく、均一な混合が可能になる。
平面上で直交する2方向(X方向、Y方向)における何れか一方向(例えば、X方向)の単振動の移動速度は、50mm/秒〜350mm/秒が好ましく、より好ましくは、100mm/秒〜250mm/秒である。また、前記2方向における他方の方向(例えば、Y方向)の単振動の移動速度は、50mm/秒〜350mm/秒が好ましく、50mm/秒〜200mm/秒がより好ましい。前記2方向の移動速度は互いに異なることが好ましく、その移動速度の差は50mm/秒以上であることがより好ましい。
また、混合するべき材料の粘度は特に限定されないが、0mPa・s〜2000mPa・sの粘度を有する混合するべき材料に対して、上述した移動速度でリサージュ運動を行なって混釈した場合に、混合するべき材料を、特に均一に混ぜることが出来る。そのため、混合するべき材料の粘度は0mPa・s〜2000mPa・sであることが好ましく、より好ましくは、1000mPa・s〜1700mPa・sである。この粘度は、B型粘度計(回転式粘度計)で測定したものであり、測定温度は10℃である。ローターの回転速度や、ローターNo.等の測定条件は、混合するべき材料の粘度に応じて、適宜決定すれば良い。
粘度をレオメーターで測定する場合は、測定温度を5℃であれば、レオメーターにおけるプランジャーにかかる荷重を50g〜200gにするのが好ましく、当該荷重を80g〜160gにするのがより好ましい。
【0010】
市販される飲食物、例えば飲料品等には、乳酸菌や、ビフィブス菌等、人体に有益な生菌を包含するタイプの製品が存在し、係る製品の製造設備では、製品を汚染する微生物、例えば大腸菌や酵母等(汚染微生物)が存在するか否かを検査している。
汚染微生物が存在するか否かを検査するに際しては、検査対象(例えば、市販の飲食物)を培地(人体に有益な生菌の培養には寄与しないが、検出の対象となっている汚染微生物の培養には適している組成を有する培地)と混合して、汚染微生物を培養する。そして、所定の静置期間内に汚染微生物のコロニーが形成されたか否かを判定する。その様なコロニーが形成されなければ、検査対象には汚染微生物が混入していないことになる。
係る検査は、従来は、人手により行なわれていたが、検体(検査対象)を吸入する作業、検査対象をシャーレに分注する作業、検査対象が分注されたシャーレに培地を分注する作業、検査対象と培地を混合する作業は、高度な技量と集中力とが要求される。そして、その様な高度な技量と集中力を持つ作業員を養成することは容易ではない(出願人の経験では、少なくとも3ヶ月の訓練期間が必要である)。また、係る高度な技量と集中力を有する作業員により行なわれる検査には、多大な労力及びコストが必要となってしまう。
そのため、検査対象を吸入する作業、検査対象をシャーレに分注する作業、検査対象が分注されたシャーレに培地を分注する作業、検査対象と培地を混合する作業を自動処理する技術が要求されている。
【0011】
本発明の混釈装置(200、200A)を、検査対象が貯蔵された容器(検査対象製品容器或いは試験管)から検査対象を吸引して検査用容器(例えば、シャーレ)に注入(分注)する検査対象吸引装置(分注機2)と、検査対象が注入された検査用容器に培地を注入する培地注入装置(培地ユニット5)と、検査用容器を載置するテーブル(282)を有し且つ当該テーブル(282)を動かして検査用容器内の検査対象及び培地を混合(混釈)する混釈装置(200)と、検査対象及び培地が注入された検査用容器を混釈装置(200)に搬送する搬送装置(シャーレ搬送部4)を有する微生物検査装置で用いれば、微生物検査で必要とされる各種作業、例えば、検査対象の吸引、分注作業や、培地の分注作業、検査対象と培地を混釈する作業等を自動化することが出来る。
そのため、長期間の訓練を行なった作業員を確保しなくても、容易に検査対象における微生物の有無を決定することが出来る。
また、複数種類の培地を検出対象毎に分注することが出来るので、検出対象となる汚染微生物(例えば大腸菌や酵母等)に好適な培地を選択して、人体に有益な生菌がコロニーを形成せずに、検出対象である汚染微生物のみがコロニーを形成することが可能にすることが出来る。
【0012】
さらに、本発明の混釈装置(200、200A)を、検査対象が貯蔵された容器(検査対象製品容器或いは試験管)から検査対象を吸引して検査用容器(例えば、シャーレ)に注入(分注)する検査対象吸引装置(分注機2)と、検査対象が注入された検査用容器に培地を注入する培地注入装置(培地ユニット5)と、検査用容器を載置するテーブル(282)を有し且つ当該テーブル(282)を動かして検査用容器内の検査対象及び培地を混合(混釈)する混釈装置(200)と、検査対象及び培地が注入された検査用容器を混釈装置(200)に搬送する搬送装置(シャーレ搬送部4)を有する微生物検査装置で用いれば、検査対象を検査対象吸引装置(分注機2)により吸引して検査用容器(シャーレ)に注入し、検査対象を吸引した検査対象用ノズルを貯蔵する貯蔵装置(使用済みノズルのノズルラック62)を有しているので、検査対象を吸引する以前のノズル(滅菌済みの使用前のノズル)と、吸引後のノズル(使用後のノズル)を分離して貯蔵することが出来る。そのため、検査対象を吸引する以前のノズルに既に吸引された検査対象が混入すること(いわゆる「コンタミ」、「コンタミネーション」)が発生することが防止される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】リサージュ運動の一例を示す説明図である。
【図2】本発明の実施形態の原理を説明する説明図である。
【図3】本発明の実施形態に係る混釈装置の側面断面図である。
【図4】実施形態に係る混釈装置の正面断面図である。
【図5】図3、図4で示す混釈装置で用いられる第1のプレートを示す平面図である。
【図6】図3、図4で示す混釈装置で用いられる第2のプレートを示す平面図である。
【図7】図3、図4で示す混釈装置で用いられる第3のプレートを示す平面図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係る混釈装置を示す部分断面側面図である。
【図9】第2実施形態に係る混釈装置を示す部分断面正面図である。
【図10】本発明の実施形態が適用される微生物検査装置の一例を示す平面図である。
【図11】図10で示す微生物検査装置の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
先ず、図1〜図7を参照して、本発明の第1実施形態を説明する。
図1〜図7の第1実施形態に係る混釈装置200は、混釈するべきシャーレをリサージュ運動させることにより、攪拌棒等を使用せずに、シャーレ内の培地及び検査対象を飛散させること無く、培地と検査対象を均一に混合することが出来る。
【0015】
ここで、リサージュ運動とは、互いに直交する二つの単振動を順序対として得られる点の軌跡上を移動する運動であり、単一のXY平面を想定した際におけるX方向の単振子とY方向の単振子を重ね合わせた図形上を移動する運動である。
より詳細に述べると、パラメータ方程式で記述される曲線の一つであるリサージュ図形は、一般式として次式、次のように表現される。
x(t)=Acos(ωxt−δx)
y(t)=Bsin(ωyt−δy)
或いは、
x(t)=Csin(ωt+δ)
y(t)=Dsin(t)
なお、「ωx」、「ωy」、「ω」は角速度であり、「t」は時間(例えば秒)であり、「δx」、「δy」、「δ」は定数である。
係る式は、X方向とY方向の単振動の式の形をしており、そのため、リサージュ図形は、X方向の単振子とY方向の単振子の重ね合わせに相当する。そして、リサージュ運動は、その様なリサージュ図形上を移動する運動であり、X方向の単振動とY方向の単振動を合成した運動である。
図1は、リサージュ運動によって得られたリサージュ図形の一例を示している。
【0016】
図1〜図7の第1実施形態に係る混釈装置200は、例えば、図10、図11を参照して後述する様な微生物検査装置において、検査対象と培地とを混合するのに用いられる。
図10、図11を参照して後述する微生物検査装置では、検査対象は、例えば市販の飲料品(乳酸菌を包含する飲料品等)であり、培地に比較して粘度が高い場合が多いので、単純な偏芯運動で混合を行う従来の混釈装置では、検査対象と培地とが均一に混合しない場合が多かった。そして、検査対象と培地は色彩が異なるため、均一に混合しないと、混合物の色彩が均一にならず、その場合には、色彩が濃い部分をコロニーと誤認する可能性がある。
また、検査対象と培地が均一に混合していないと、仮に、検査対象中に、飲料品中に存在することを前提としない微生物(製品を汚染している微生物、例えば大腸菌や酵母等)が存在したとしても、シャーレ内で培養されずに、コロニーを検出できない恐れがある。
【0017】
これに対して、混合するべき材料(例えば、上述した様な検査対象と、培地)を容器(例えば、シャーレ)に注入し、第1実施形態に係る混釈装置200によって、シャーレ中の検体と培地を混釈すれば、混釈装置200に載置されたシャーレの移動軌跡(シャーレの中心点の移動軌跡)がリサージュ図形となる様に構成されている。
換言すれば、第1実施形態に係る混釈装置200では、装置上に載置されるシャーレがリサージュ運動を行う。
ここで、リサージュ運動は、偏芯運動とは異なり、図1に示すように、種々の方向に向かって移動する。そして、リサージュ図形の原点近傍では速度が速く、原点から離れると速度が減少するという性質を有している。
【0018】
混釈装置200上に載置されるシャーレがリサージュ運動を行うと、種々の方向に向かって移動するため、シャーレ内の検査対象と培地が均一に混合される。
ここで、シャーレの運動方向が急激に変換すると、シャーレ内の液体がシャーレ外に飛散してしまう恐れがある。しかし、リサージュ運動では、運動方向が変換するのは原点から離れた領域であり、原点に近いほど運動速度が速いので、原点から離れた領域(運動方向が急激に変化する領域)における運動速度は、減少して遅くなる。そのため、シャーレの運動方向を方向転換した際には、シャーレの移動速度は遅くなっており、シャーレ内の検査対象や培地が飛散してしまうことはない。
すなわち、混釈装置200に載置されたシャーレがリサージュ運動を行うことにより、シャーレ内の液体(検査対象や培地)がシャーレ外に飛散してしまうことなく、均一に混合される。
【0019】
第1実施形態に係る混釈装置200を、図10、図11を参照して後述する様な微生物検査装置で使用する場合等では、シャーレは自動的に搬送されるため、混釈装置200における混釈開始時におけるシャーレの位置と、混釈終了時におけるシャーレの位置とを同一位置にして、微生物検査装置のシャーレ搬送部から混釈装置200へシャーレを移動する処理と、混釈装置200から微生物検査装置のシャーレ搬送部へシャーレを移動する処理(いわゆる「載せ変え」)を容易にしたい、という要請が存在する。
混釈装置200は、シャーレを混釈している場合に、シャーレが描く軌跡がリサージュ図形となる様に構成されており、混釈装置200の混釈開始の位置と混釈終了時の位置を原点と一致させているので、リサージュ運動を行なっている運動体(シャーレ)は所定のサイクルで必ず通過する原点と、混釈装置200の混釈開始の位置及び混釈終了時の位置とが一致する。従って、混釈装置200における混釈開始時におけるシャーレの位置と、混釈終了時におけるシャーレの位置は同一の位置になる。
これにより、図10、図11に係る微生物検査装置のシャーレ搬送部から混釈装置200へシャーレを移動する処理と、混釈装置200から図10、図11に係る微生物検査装置のシャーレ搬送部へシャーレを移動する処理(いわゆる「載せ変え」)が、容易且つ確実に行われる。
【0020】
第1実施形態に係る混釈装置200において、混釈装置200に載置される容器がシャーレに限定されるのであれば、リサージュ曲線の外郭は、正方形に近いことが好ましい。
ただし、非円形の容器(シャーレ以外の容器)を混釈装置200に載置して、(容器内の)複数種類の物質を混合するのであれば、リサージュ曲線の外郭が長方形であっても良い。
【0021】
第1実施形態に係る混釈装置200の構造について、以下で説明する。
最初に図2を参照して、混釈装置200の作動原理を説明する。
図2において、プーリPa(図3のプーリ203に相当)は、X軸方向の単振動運動を行うための回転機構であり、プーリPb(図3のプーリ204に相当)は、Y軸方向の単振動運動を行なうための回転機構である。
プーリPaには、ピンX(図3におけるカムフォロア267に相当)が突設されており、ピンXは、後述するガイドプレート261(図3参照)をX方向に単振動運転させるための部材である。プーリPbには、ピンY(図4におけるカムフォロア277に相当)が突設されており、ピンYは、後述するガイドプレート271(図4参照)をY方向に単振動運転させるための部材である。
プーリPa(歯付きプーリ)の歯数Txは、プーリPb(歯付きプーリ)の歯数Tyよりも少ない。その結果、ピンXの回転速度は、ピンYの回転速度よりも速い。
【0022】
図2において、プーリPa、Pbに加えてテンションプーリ(アイドラプーリ)Ptが設けられており、全てのプーリにはベルトB(例えば、内周面に歯が形成されているベルト)が掛け回されている。
図2では明示されていないが、プーリPa、Pb、Ptの何れか一つのプーリ(駆動プーリ)は、その下方に電動機(駆動源)が配置されており、ベルトを介して、他の二つのプーリ(従動プーリ)を回転駆動している。
図3、図4では、プーリPaに相当するプーリ203のプーリ軸が電動モータ201によって回転駆動される。すなわち、プーリ203が駆動プーリであり、プーリ204が従動プーリである。
【0023】
図2において、プーリPaの中心からピンXの中心までの距離を符号Rxで示し、プーリPbの中心からピンYの中心までの距離を符号Ryで示す。
プーリPaが回転角r(ラジアン)だけ回転する場合を考えると、プーリPaの中心からピンXの中心までのX軸方向の距離は、下式
x=sin(r)・Rx
で表現される。この式は、X軸方向の単振動を示す数式である。
一方、プーリPbの中心からピンYの中心までのY軸方向の距離は、下式
y=cos(Rt・r)・Ry
(ただし、Rt=Tx/Ty)
で表現される。この式は、Y軸方向の単振動を示す数式である。
【0024】
すなわち、図2で示す機構によれば、プーリPa及びピンXによりX軸方向の単振動が行なわれ、プーリPb及びピンYによりY軸方向の単振動が行なわれる。そのため、この両者を合成すれば、混釈装置にリサージュ運動を行なわせることが出来る。
ここで、ガイドプレート261(図3参照)に平面上でX軸方向にのみ移動可能なリニアガイド(図3の符号262、263に相当)と、ガイドプレート271(図4参照)に平面上でY軸方向にのみ移動可能なリニアガイド(図4の符号272、273に相当)とを設ける。
図2において、歯付きプーリPaの歯数と歯付きプーリPbの歯数の比率を10:12に構成し、且つ、プーリPaが6回転したら、ガイドプレート271が同じ点(原点)を通過する様に構成し、運動軌跡の開始点と終了点を係る点(原点)に設定する。その結果、運動軌跡は、図1で示す様なリサージュ図形となる。
図2において、プーリPaのX軸方向偏芯量δxを7.5mmとすれば、プーリPaが半回転するとX軸方向へ15mm(=7.5mm×2)移動し、プーリPaが一回転するとX軸方向に往復移動する距離は、合計で30mm(=15mm×2)となる。そして、プーリPbのY軸方向偏芯量δyを5.0mmとすれば、プーリPbが半回転するとY軸方向へ10mm(=5.0mm×2)移動し、プーリPbが一回転するとY軸方向に往復移動する距離は、合計で20mm(=10mm×2)となる。
ここで、X軸方向の偏芯量は、1mm〜20mmが好ましく、より好ましくは3mm〜10mmである。また、Y軸方向の偏芯量は、1mm〜10mmが好ましく、より好ましくは3mm〜10mmである。
【0025】
プーリPaが6回転するのを1工程(原点から離脱して、次の原点に到達するまで)とすれば、その間にプーリPbは5回転(=6回転×10/12)するので、1工程におけるX軸方向(往復)移動距離とY軸方向(往復)の移動距離は、
X軸方向移動距離:30mm×6=180mm
Y軸方向移動距離:20mm×5=100mm
となる。
また、図2において、X軸方向の移動速度は200mm/秒であり、Y軸方向の移動速度は130mm/秒である。
ここで、X軸方向の移動速度は、50mm/秒〜350mm/秒が好ましく、より好ましくは、100mm/秒〜250mm/秒である。また、Y軸方向の移動速度は、50mm/秒〜350mm/秒が好ましく、50mm/秒〜200mm/秒がより好ましい。前記2方向の移動速度は互いに異なることが好ましく、その移動速度の差は50mm/秒以上であることがより好ましい。
また、混合するべき材料の粘度は特に限定されないが、0mPa・s〜2000mPa・sの粘度を有する混合するべき材料に対して、上述した移動速度でリサージュ運動を行なって混釈した場合に、混合するべき材料を、特に均一に混ぜることが出来る。そのため、混合するべき材料の粘度は0mPa・s〜2000mPa・sであることが好ましく、より好ましくは、1000mPa・s〜1700mPa・sである。この粘度は、B型粘度計で測定したものであり、測定温度は10℃である。ローターの回転速度や、ローターNo.等の測定条件は、混合するべき材料の粘度に応じて、適宜決定すれば良い。
粘度をレオメーターで測定する場合は、測定温度が5℃であれば、レオメーターにおけるプランジャーにかかる荷重を50g〜200gにするのが好ましく、当該荷重を80g〜160gにするのがより好ましい。
【0026】
図1で示す運動軌跡において、X軸方向の切替し(方向転換)及びY軸方向の切替し(方向転換)を行なうことによる軌跡は、リサージュ曲線を構成する。
図1で示す様なリサージュ図形或いはリサージュ曲線で示す様な運動軌跡で検体と培地を分注したシャーレを移動することにより、その移動スピードの変化と切替し(方向転換)により進行方向を変更することにより、検体と培地とを均一に混ぜることができる。
【0027】
図1、図2で説明した原理に基づいて作動する混釈装置200について、図3〜図7を参照して説明する。
図3、図4において、混釈装置200は、電動モータ201、エアシリンダ202、第1のプーリ203、第2のプーリ204、アイドラプーリ205、ベルト206、カップリング207を備えている。
図示の例では、上記3つのプーリ203、204、205は、何れも歯付きプーリであり、ベルト206は内周面に歯を形成したベルトである。
混釈装置200は、電動モータ支持部230、シリンダロッド接続部240、プーリ取り付け部250、第1の単振動発生機構260、第2の単振動発生機構270、シャーレ載置部280を備えている。
【0028】
電動モータ201は、電動モータ支持部230によって、プーリ取り付け部250の下端に吊り下げられるように取り付けられている。
エアシリンダ202は、シリンダ本体202a、2本のロッド202b、ロッド先端接続部202cを有している。シリンダ本体202aの下端は、検査装置ベース211の上面に公知の手段によって固定されている。
検査装置ベース211の一方の端部(図3の右端)には垂直部材212が固設され、当該固設された箇所のコーナー部は補強板213によって補強されている。
図3において、第1のプーリ203と第2のプーリ204にベルト206が掛け回されていることを明示するため、アイドラプーリ205の図示を省略している。そして、図4において、第2のプーリ204に掛け回されているベルト206が、アイドラプーリ205にも掛けられていることを明示するため、アイドラプーリ205の位置を実機よりも外側(図4では右側)に配置している。そのため、アイドラプーリ205は、図4では、その一部がプーリ取り付け部250からはみ出した様に示されている。
【0029】
図3において、電動モータ支持部230は、モータ取り付け部231と2枚の垂直部材232によって、断面形状が溝型に構成されている。
モータ取り付け部231は、電動モータ201を直接取り付け、図示では明確ではないが電動モータ201の回転軸201aを貫通させる貫通孔が形成されている。
2枚の垂直部材232の上端は、プーリ取り付け部250(図4参照)の下方水平部材251(図4参照)の下面に、例えば溶接などによって固着されている。
【0030】
図4において、シリンダロッド接続部240は、矩形の水平部材241、2枚の矩形の垂直部材242を備えている。
水平部材241、2枚の垂直部材242は、幅方向寸法(図3の左右方向寸法)が同一である。
水平部材241の下面側には、公知の手段によってエアシリンダ202(図3)のロッド先端接続部202c(図3)が固定されている。また、2枚の垂直部材242の上端は、プーリ取り付け部250の下方水平部材251の下面に、例えば溶接などによって固着されている。
【0031】
図4において、プーリ取り付け部250は、矩形の下方水平部材251、2枚の垂直部材252、矩形の上方水平部材253を備えている。
図示では明確ではないが、下方水平部材251、上方水平部材253における共通投影面、すなわち図3、図4の上方から下方を見た共通投影面上には、それぞれ2箇所にベアリング取付け孔(段付き貫通孔:図示せず)が形成されている。
当該ベアリング孔には、合計2対のボールベアリング268(図3)、278(図4)が配置されている。そして、2対のボールベアリング268、278は、後述するプーリ軸264、274を回転自在に軸支している。
【0032】
図3において、第1の単振動発生機構260は、ガイドプレート261、リニアガイドの上方部材262、リニアガイドの下方レール263、第1のプーリ軸264、第1のクランクカム265、第1のカムフォロア266、カムフォロアピン267、1対のボールベアリング268を備えている。
第1のプーリ軸264は、軸の概略中央に第1のプーリ203を固着させており、軸の下端はカップリング207によって電動モータ201の回転軸201aと接続されている。
第1のプーリ軸264における第1のプーリ203を固着させた近傍の上下には、1対のボールベアリング268が配置され、当該ベアリング268によって第1のプーリ軸264が回転自在に軸支されている。
【0033】
図3において、第1のプーリ軸264の上端には、円盤状の第1のクランクカム265が固設されている。第1のクランクカム265において、第1のプーリ軸264の中心から寸法δ2だけ偏寄した位置には、カムフォロアピン266が嵌入され、固定されている。
カムフォロアピン266には、カムフォロア267が回転自在に軸支されている。
カムフォロア267は、ガイドプレート261に形成されたガイド溝2613(図6参照)に挿入され、ガイド溝2613内を自在に移動する様に構成されている。
【0034】
図3において、ガイドプレート261の下面には、1対のリニアガイドの上方部材262が紙面に垂直な方向に移動可能に固着されている。
一方、1対のリニアガイドの下方レール263は、図3の紙面に垂直な方向へ延在する様に、プーリ取り付け部250(図4参照)の上方水平部材253(図4参照)の上面に固着されている。
図3で示すように、1対のリニアガイドの上方部材262と1対のリニアガイドの下方レール263は係合している。そして、リニアガイドの上方部材262及び1対のリニアガイドの上方部材262を固着したガイドプレート261は、下方レール263に沿って、図3の紙面に垂直な方向へ移動する様に構成されている。
【0035】
図5は、プーリ取り付け部250(図4参照)の上方水平部材253(図4参照)を、平面的に示している。
図5において、上方水平部材253は、図示の例では厚み6mmの鋼板を矩形状に裁断し、その矩形の4隅を面取りして、構成されている。
図5で示す様に、上方水平部材253は中心線Lcに対して線対称(左右対称)である。ここで、図5における「上方」が図3の「右方」であり、図5における「下方」が図3の「左方」である。
上方水平部材253は、図5の上下両端部の6箇所に、ビス孔2531が形成されている。ビス孔2531は、図示しない接続用のビス(例えば、皿ビス)により、プーリ取り付け部250の1対の垂直部材252を接続させるために形成されており、テーパ座ぐりが施されている。
また、上方水平部材253には、雌ねじ2532が合計8箇所に形成されている。雌ねじ2532は、ビス孔2531の列よりも、図5における上下方向中心側に配列されており、リニアガイドの下方レール263を固定するために形成されている。
【0036】
上方水平部材253の中心線Lc上には、ボールベアリングを嵌入するための貫通孔2533、2534が形成されている。
貫通孔2534には、図5の紙面手前側に、第1のクランクカム265(図3参照)の直径よりも大径の座ぐり2535(例えば、深さ2mm)が施されている。座ぐり2535は、第1のクランクカム265との干渉を避けるために形成されている。
貫通孔2533にはボールベアリング278が嵌入され、ボールベアリング278は、第2の単振動発生機構270の構成要素である。一方、貫通孔2534にはボールベアリング268が嵌入され、ボールベアリング268は、第1の単振動発生機構260の構成要素である。
【0037】
図6は、ガイドプレート261を平面的に示している。
図6において、ガイドプレート261は、図示の例では厚み6mmの鋼板を矩形状に裁断し、その矩形の4隅を面取りしている。
図6で示す様に、ガイドプレート261は、中心線Lcに対して左右対称である。図6では、その「上方」が図3の右方であり、「下方」が図3の左方である。
図6において、ガイドプレート261は、中心線Lc近傍で且つ図6の上下両端部近傍に、ビス孔2611が合計8箇所形成されている。ビス孔2611には、テーパ座ぐりが施されている。
8箇所のビス孔2611には、皿ビスによって、リニアガイドの上方部材262が接続される。
【0038】
ガイドプレート261において、図6における左右端部近傍には、合計8箇所に雌ねじ2612が、2列に配置されている。合計8箇所の雌ねじ2612には、第2の単振動発生機構270における1対のリニアガイドの下方レール273が固定される。
図6において、ガイドプレート261の中心線Lc上には、ガイド溝(長孔)2613と、長孔2614が形成されている。ガイド溝(長孔)2613の長軸が中心線Lc上に配置されており、長孔2614の短軸が中心線Lc上に配置されている。
ガイド溝2613の幅W26は、第1のカムフォロア267が円滑に長孔2613内を移動できるように、設定されている。
長孔2614は、混釈装置200が作動した際(第1の単振動と第2の単振動が同時に発生した際)に、第2の単振動発生機構270における第2のプーリ軸274が、長孔2614の縁部と干渉しない程度に、十分に大きな開口面積に設定されている。
【0039】
図4において、第2の単振動発生機構270は、ガイドプレート271、リニアガイドの上方部材272、リニアガイドの下方レール273、第2のプーリ軸274、第2のクランクカム275、第2のカムフォロア276、カムフォロアピン277、1対のボールベアリング278を備えている。
第2のプーリ軸274は、概略中央に第2のプーリ204を固着している。
第2のプーリ軸274において、第2のプーリ204を固着させた箇所近傍には、1対のボールベアリング278が配置されている。このベアリング278によって、第2のプーリ軸274が回転自在に軸支されている。
【0040】
第2のプーリ軸274の上端に、円盤状の第2のクランクカム275が固設されている。第2のクランクカム275において、第2のプーリ軸274の中心から寸法δ1だけ偏寄した位置には、カムフォロアピン276が嵌入され、固定されている。
カムフォロアピン276には、カムフォロア277が回転自在に軸支されている。
カムフォロア277は、ガイドプレート271に形成されたガイド溝2713(図7参照)に挿入され、ガイド溝2713内を自在に摺動する様に構成されている。
【0041】
図4において、ガイドプレート271の下面には、1対のリニアガイドの上方部材272が、図4の紙面と垂直な方向に移動可能に固着されている。
一方、1対のリニアガイドの下方レール273は、図4の紙面と垂直な方向に延在しており、第1の単振動発生機構260におけるガイドプレート261(図3参照)の上面に固着されている。
図4において、1対のリニアガイドの上方部材272と、1対のリニアガイドの下方レール273は係合している。そして、リニアガイドの上方部材272及び上方部材272を固着したガイドプレート271は、下方レール273に沿って、図4の紙面と垂直な方向に移動する様に構成されている。
【0042】
図7で示すガイドプレート271は、図示の例では厚み6mmの鋼板を矩形状に裁断し、その矩形の4隅を面取りしている。
図7において、ガイドプレート271は、中心線Lcに対して左右対称である。ここで、図7の下方が図3の左方であり、図7の上方が図3の右方である。
図7において、ガイドプレート271の上下方向中央で、且つ、左右方向両端部には、ビス孔2711が合計8箇所形成されており、ビス孔2711の各々にはテーパ座ぐりが施されている。8箇所のビス孔2711は、皿ビスにより、1対のリニアガイドの上方部材272(図4参照)を、ガイドプレート271に固定するために形成されている。
【0043】
図7において、ガイドプレート271の上下方向中央側の領域で、中心線Lc上には、テーパ座ぐりを施したビス孔2712が、2箇所、形成されている。ここで、ビス孔2712のテーパ座ぐりは、ガイドプレート261の図7における裏面側に形成されている。ビス孔2712は、図示しない皿ビスによって、シャーレ載置部280(図3、図4参照)の垂直基板281を固定するために形成されている。
図7において、ガイドプレート261の中心線Lc上には、ガイド溝(長孔)2713が形成されている。ガイド溝(長孔)2713の長軸は、中心線Lcと直交している。
ガイド溝2713の幅W27は、第2のカムフォロア277が、円滑に長孔2713内を移動できるように設定されている。
【0044】
図4において、シャーレ載置部280は、垂直基板281、水平部材282、4本のピン283によって構成されている。
垂直基板281、水平部材282はT字状に固着されており、垂直基板281の下端が2本の皿ビスによって、第2の単振動発生機構270のガイドプレート271上面に取り付けられる。
4本のピン283は、例えば樹脂製であり、水平部材282の上面で且つ外縁近傍にピンの下端が埋設されるように取り付けられている。
図示しないシャーレは、4本のピン283と外接して保持されるので、混釈装置200の作動時に、シャーレ載置部280から脱落しない。
【0045】
図3において、電動モータ201には、回転軸201b(回転力伝達用ではない回転軸)側に、回転角度を検知するロータリーエンコーダ208が介装されている。
ロータリーエンコーダ208は、回転角度センサ208a、回転角度認識板(カット板)208b、取り付けボス208cを有している。回転角度認識板(カット板)208bは、取り付けボス208cを介して、電動モータ201の回転力伝達用ではない回転軸201bに取り付けられている。
回転角度センサ208aは、センサ取り付けブラケット208Bを介して、モータ取り付け部231に取り付けられている。
回転角度認識板(カット板)208bは、円盤の外縁の一箇所にノッチ(或いは複数個所に異なる形状のノッチ)が形成されている。
回転角度センサ208aは、係るノッチを検知することにより、電動モータ201の回転数(或いは回転角度)を正確に検出する。
【0046】
図3において、第2のプーリ軸274の下端には、第2のプーリ軸274の回転角度を検知するロータリーエンコーダ209が介装されている。
ロータリーエンコーダ209は、回転角度センサ209a、回転角度認識板(カット板)209b、取り付けボス209cを有している。回転角度認識板(カット板)209bは、取り付けボス209cを介して、第2のプーリ軸274に取り付けられている。
回転角度センサ209aは、センサ取り付けブラケット209Bを介してプーリ取り付け部250の下方水平部材251に取り付けられている。
回転角度認識板(カット板)209bは、円盤の外縁の一箇所にノッチ(切欠き)が形成されており、或いは、円盤の外縁の複数個所に異なる形状のノッチが形成されている。
回転角度センサ209aは、ノッチを検知することにより、第2のプーリ軸274の回転数、(或いは回転角度)を正確に検出する。
【0047】
エアシリンダ202は、シャーレ載置部280にシャーレを載置或いは移動する際に、伸縮する。
エアシリンダ202のシリンダ本体202aには、上下各1箇所の吸気口、排気口が設けられ、吸気口、排気口にはスピードコントローラ291が設けられており、エアシリンダ202の作動速度を加減する様に構成されている。
【0048】
混釈装置200による混合に際しては、混合するべき複数種類の物質(例えば、検体と培地)が分注されたシャーレ(対象シャーレ)が、混釈装置200の上方に、搬送機構(例えば、図10におけるシャーレ搬送部4)より送られてくる。
対象シャーレが混釈装置200の上方の所定位置に達すると、当該搬送機構は停止する。対象シャーレが混釈装置200の上方の所定位置に達する際に、混釈装置200のエアシリンダ202が作動して、混釈装置200のシャーレ載置部280は、シャーレ載置部280の水平部材282で対象シャーレを載置する様に、その高さ位置を調節する。
シャーレが水平部材282上に載置されて、所定時間が経過すると、電動モータ201が回転を開始する。
【0049】
電動モータ201が回転すると、その回転力は第1のプーリ軸264、第1のプーリ203、ベルト206、第2のプーリ204、第2のプーリ軸274を介して、第1の単振動発生機構260、第2の単振動発生機構270を同時に作動させる。
第1の単振動発生機構260、第2の単振動発生機構270の単振動動作は、シャーレ載置部280、或いはシャーレ載置部280に載置されたシャーレに、図1に示すようなリサージュ運動を生じさせる。
所定時間経過後、電動モータ201は停止する。更に所定時間が経過して、図示しないマニピュレータが作動して、規定の混釈が終了したシャーレを持ち上げて、前記搬送機構(例えば、図10におけるシャーレ搬送部4)における所定箇所にシャーレを載置する。
これにより、対象シャーレの混釈作業が完了する。
【0050】
第1実施形態に係る混釈装置200によれば、シャーレ載置部280及びそこに載置されるシャーレに、リサージュ運動を行わせしめている。
リサージュ運動は、偏芯運動とは異なり、種々の方向に向かって移動する。そして、リサージュ図形の原点近傍では速度が速く、原点から離れると速度が減少するという性質を有している。
そして、装置200上に載置されるシャーレがリサージュ運動を行うと、種々の方向に向かって移動するため、シャーレ内の混合するべき複数種類の物質(例えば、図10の微生物検査装置であれば、検査対象と培地)が均一に混合される。
【0051】
ここで、シャーレの運動方向が急激に変換すると、シャーレ内の液体がシャーレ外に飛散してしまう恐れがある。しかし、第1実施形態に係る混釈装置200では、シャーレはリサージュ運動を行なっているため、その運動方向が急激に変換するのは原点から離れた領域であり、原点から離れた領域では運動の速度が減少する。そのため、第1実施形態に係る混釈装置200では、方向転換した際にシャーレ内の検査対象や培地が飛散してしまうことはない。
すなわち、第1実施形態に係る混釈装置200によれば、当該混釈装置200に載置されたシャーレがリサージュ運動を行うことにより、シャーレ内の混合するべき複数種類の物質(例えば、図10の微生物検査装置であれば、検査対象や培地)をシャーレ外に飛散してしまうことなく、均一な混合が可能になる。
【0052】
第1実施形態に係る混釈装置200は、X軸方向単振動及びY軸方向単振動が、同一の電動モータを駆動源として行なわれている。
それに対して、X軸方向単振動と、Y軸方向単身動を、別々の駆動源(電動モータ)によって行うことも可能である。
図8、図9で示す第2実施形態では、混釈装置(装置全体に符号200Aを付す)が、X軸方向単振動を行う電動モータと、Y軸方向単身動を行う電動モータとを備えている。
以下、図8、図9を参照して、第2実施形態に係る混釈装置200Aについて、主に、図1〜図7で説明した内容と異なる点について、説明する。
【0053】
図8、図9において、混釈装置200Aは、2台の電動モータ201、201を備えている。
2台の電動モータ201、201は、共に電動モータ取り付けフレーム220に直接取り付けられている。
図8において、電動モータ取り付けフレーム220は、下方水平部材221、1対の垂直部材222、上方水平部材223を有しており、2台の電動モータ201は、下方水平部材221に直接取り付けられている。
【0054】
電動モータ取り付けフレーム220の上方水平部材223には、明確には図示されていないが、2箇所に貫通孔が形成されている。
当該貫通孔にはそれぞれ、ベアリング268(図8)、278(図9)が介装されている。
当該ベアリング268、278には、それぞれ第1の単振動発生機構260Aのクランクカム軸264A、第2の単振動発生機構270Aのクランクカム軸274Aが回転自在に軸支されている。
クランクカム軸264A、274Aは、それぞれ、別個の電動モータ201、201に、カップリング207によって接続されている。
【0055】
図8、図9の第2実施形態では、第1の単振動発生機構260A、第2の単振動発生機構270Aが、それぞれ別個の電動モータ201によって駆動される。そのため、第1実施形態において、電動モータ201から第1の単振動発生機構260及び第2の単振動発生機構270へ回転を伝達するために必要とされた部材、例えば、ベルト及びテンションプーリが、第2実施形態では不要である。
なお、2台の電動モータの回転は、それぞれ別のロータリーエンコーダ208によって検出されている。
図8、図9の第2実施形態におけるその他の構成及び作用効果は、図1〜図7で説明した第1実施形態と同様である。
【0056】
次に、図10、図11を参照して、上述した混釈装置が適用される微生物検査装置について説明する。
図10、図11において、全体を符号100で示す微生物検査装置は、検査対象である製品(例えば、乳酸菌やビフィズス菌の生菌を含有するタイプの飲料品または製造工程の途中の製品)中に、当該製品を汚染している微生物、例えば大腸菌や酵母等(汚染微生物)が存在するか否かを検査する機能を有している。
【0057】
図10、図11で示す微生物検査装置100では、検査対象(例えば、市販される飲料品や製造工程の途中の製品)は、希釈されることなく培地と混釈(混合)されて、静置、培養した後に、汚染微生物のコロニーができたかどうかがチェックされる。
微生物検査装置100では、ステンレス製のノズル(検体ノズルN:図11参照)により、検査対象を吸入している。ここで、樹脂製のノズル(いわゆる「チップ」)では、検査対象である製品の容器開口部を被覆するアルミ箔等(図示せず)を貫通することが出来ないので、図10、図11の微生物検査装置100では、ステンレスで製造されたノズルを採用している。ステンレス製のノズルであれば、アルミ箔等を貫通可能な程度の剛性を有し、且つ、防錆性能に優れているからである。
【0058】
図10、図11において、微生物検査装置100は、レーザー印刷ユニット1、分注機2、ハンド3、シャーレ搬送部4、培地ユニット5、ノズルラック6、シャーレ供給部7、シャーレ収納部8、パレット搬送部9、パレット10、混釈装置200を備えている。
図11において、微生物検査装置100は、培地移動機構11、培地ボトル12、培地用スターラ121、培地ノズル122、ノズル昇降機123、培地シャッタ124、ペリスタルポンプ13、UV殺菌灯14を備えている。
【0059】
レーザー印刷ユニット1は、シャーレの蓋に各種検査情報を印字し、以って、検査対象や培地等の情報を間違えない様にせしめている。レーザー印刷ユニット1でシャーレの蓋に印字される検査情報としては、例えば、検査日時、検査対象名、検査培地、撒き数等がある。
分注機2は、検査対象製品容器から検査対象(検体)を吸入する機能と、吸入された検査対象をシャーレ内に分注する機能とを有している。分注機2は、図10の矢印X方向に移動可能に構成されている。換言すると、分注機2は、図10で示す位置と、図10におけるX方向のパレット10による搬送位置(図10では9A側のパレットの位置)との間を移動可能に構成されている。
【0060】
ハンド3は検査対象製品の前処理機構部であり、パレット10(後述)から製品情報を読み取り、PC入力(パソコンから入力された情報)との照合を行う。そして、製造工程の途中の製品(例えば、試験管に封入されている製品)が検査対象の場合は、ハンド3は、試験管を封入しているシリコン栓を取り外す処理を実行する。
シャーレ搬送部4は、検体と培地を分注したシャーレを混釈装置200に搬送し、混釈後に、検体と培地均一に混合されたシャーレをシャーレ収納部に搬送する機能を有する。
【0061】
培地ユニット5は、培地の供給源である。
培地ユニット5は、図11に示すように、培地ボトル12、培地用スターラ121、培地ノズル122、ノズル昇降機123、培地シャッタ124を有している。
そして、培地ボトル12から新しい培地を吸引して、吸引した培地を培地ノズル122によって、微生物培養用のシャーレに注入する機能を有している。
なお、培地ユニット5における構成については、後述する。
【0062】
ノズルラック6には、滅菌済みノズルラック61と、使用済みノズルラック62が設けられている。
滅菌済みノズルラック61には、滅菌されたノズルNがセットされている。使用済みノズルラック62には、検査対象の吸入に使用されたノズルNが使用後に収容される。
微生物検査装置100による検査が行なわれる以前の段階では、使用済みノズルラック62には、ノズルN(図11参照)はセットされていない。
【0063】
図11では、検体用ノズルNが分注機2に装着された状態が示されている。
検体用ノズルNの分注機2への着脱に関しては、先ず、図示しないマニピュレータ或いはロボットハンドにより、滅菌済みノズルラック61にセットされた滅菌済みノズルNを分注機2に装着して、検査対象の吸引、吐出を行う。
そして、使用したノズル(使用済みノズル)Nを、図示しないマニピュレータ或いはロボットハンドにより分注機2から取り外し、使用済みノズルラック62に配置する。
分注機2にノズルを装着する際、或いは取り外す際には、分注機2は図10の矢印X方向に移動し、ノズルラック6は図10の矢印Y方向に移動する。
【0064】
シャーレ供給部7は、図示の例では5台のラックを有し、各ラックには未使用のシャーレが、それぞれ最大で30個ずつ積層されるように構成されている。
シャーレ収納部8は、混釈装置200(或いは、200A)により検体と培地が均一に混合されたシャーレを、一時収容しておく機能を有している。
【0065】
パレット搬送部9は、複数のパレット10が載置された循環経路(経路9A、経路9Bを含む)により構成されており、パレット移動手段(例えば、チェーン駆動のコンベア)が設けられている。図10では、経路9Aは左方向へ移動し、経路9Bは右方向へ移動している。
また、経路9Aの最左端のパレット10は、例えば、エアシリンダ(図示せず)によって、経路9Aから経路9Bに移動する。そして、経路9Bにおける最右端のパレット10は、例えば、図示しないエアシリンダによって、経路9Bから経路9Aに移動させられる。
【0066】
パレット搬送部9上のパレット10には、検査対象製品の容器が載置されている。この容器は、例えば、検査対象が市販の飲料品であれば、市販品の容器であり、検査対象が製造工程の途中の中間製品であれば、当該中間製品が充填された実験用容器である。
検査対象製品容器を載せる操作は、作業者により(人手により)行なわれる作業である。
例えば、最初に検査するべき検査対象の検出対象製品容器は、図10において符号「No.1」で示す停止しているパレットに載置される。以下、図10において、パレットNo.1の右側に位置しているパレットから、順次、検出対象製品容器を載置する。
各パレット10には検査対象製品が一つずつ載置され、所定の作業毎に、例えば分注機2により検査対象が検査対象製品容器から吸入される毎に、パレット10が一コマ分、図10における太い矢印方向(概略反時計方向)に移動する。
【0067】
図10、図11の微生物検査装置100では、分注機2で検査対象を吸入された検査対象製品容器は、自動的に廃棄はされず、そのままパレット10に載置された状態のまま放置される。
パレット10に載置された全ての検査対象製品容器から検査対象が吸入された後、作業員によって、検査対象が吸入済みの検査対象製品容器を、パレット10上から除去するのである。
【0068】
図11において、培地移動機構11は、シャーレの蓋を開閉して、シャーレを移動する機構である。すなわち、培地移動機構11でシャーレの蓋を開き、培地ユニット5側へ移動する。
培地ユニット5でシャーレに培地を吐出した後、蓋を開いた位置までシャーレを戻し、培地移動機構11によりシャーレの蓋を閉める。
【0069】
培地ユニット5は保温された閉鎖空間(室)SPを具備しており、当該保温された閉鎖空間SPには、培地ボトル12、ペリスタルポンプ(チューブポンプ)13、培地用スターラ121、培地ノズル122、ノズル昇降機123、ノズルシャッター124が設けられている。
【0070】
培地ボトル12は複数(図示の例では3個)配置されており、検出しようとする微生物の培養に適切な培地のボトルが準備されている。
分注機2でシャーレに検査対象を吐出した後、当該シャーレに対して、培地ユニット5により培地が分注される。
【0071】
培地用スターラ121は、培地ボトル12内で培地中の成分が沈殿しない様に、培地ボトル12内を攪拌する機構である。明確には図示されてはいないが、培地用スターラ121は、培地ボトル12内に設けられた磁性体と、培地ボトル12下方に設けられたスターラ本体とから構成されている。スターラ本体は、磁性体(培地ボトル内の磁性体とは別個の磁性体:図示せず)と、当該磁性体を回転運動するための機構(図示せず)を備えており、スターラ本体の磁性体を回転運動させることにより、ボトル内の磁性体がボトル内で回転運動して、培地ボトルに収容された培地を攪拌して、培地が沈殿物と上澄液とに分離しない様にせしめている。
【0072】
培地ボトル12からペリスタルポンプ13によって培地が吸入され、培地ノズル122からシャーレ内に吐出される。
シャーレ内に培地を吐出する際には、前記保温された閉鎖空間SPから、培地ノズル122が、ノズル昇降機123によって下降する。そして、培地ノズル122直下の位置に置かれたシャーレ(検査対象が既に分注されているシャーレ:図11では図示せず)内に培地を分注する。
【0073】
培地シャッタ124は、保温された閉鎖空間SPの底部に設けられている。
培地ノズル122からシャーレ内に培地を注入するときに、培地シャッタ124が開放状態となり、培地ノズル122が通過する開口部(前記閉鎖空間の底部に存在する開口部:明示せず)を開放する。
培地ノズル122からシャーレ内に培地を注入しない状態では、培地シャッタ124を閉鎖して、前記開口部を閉鎖している。培地ノズル122が通過する開口を介して、外気が侵入することにより、閉鎖空間SP内の気温が低下することを防止するためである。
【0074】
微生物検査装置100におけるシャーレの移動は、以下の(a)〜(f)の順番で行なわれる。
(a) シャーレ供給部7から、レーザー印刷ユニット1にシャーレを移動して、レーザー印刷ユニット1でシャーレに印字する。
(b) 分注機2において、滅菌済みノズルラック61から1個のノズルNをつまみ出し、当該ノズルNを分注機2に装着する。そして、ハンド3からの照合情報に基づいて、パレット搬送部9のパレット10上の検査対象製品容器から、検査対象を、ノズルNを介して吸引し、シャーレに吐出する。
(c) 次に、培地ユニット5において、培地ボトル12からペリスタルポンプ13で培地を吸入し、培地ノズル122からシャーレ内に培地を吐出する。
(d) シャーレ搬送部4により、培地及び検査対象製品を分注されたシャーレが、混釈装置200(或いは、200A)に搬送される。
(e) 混釈装置200で、シャーレ内で、培地及び検査対象製品が均一に混合される。
(f) 培地及び検査対象製品が均一に混合されたシャーレが、シャーレ収納部8に移動して、収納される。
【0075】
上述した様に、図10、図11の微生物検査装置100は、汚染微生物が存在するか否かを検査するための装置であり、汚染微生物の数は検査しない場合がある。
しかし、汚染微生物の種類や、検査対象である飲料品の種類によっては、汚染微生物が存在した場合に、その数量(どの程度の量の汚染微生物が存在しているのか)を特定する必要がある。
その様な場合には、培地と検査対象を混釈した後、発生した微生物のコロニー数を決定すれば、検査対象の質量から、検査対象である飲料品製品中に存在する汚染微生物数を特定することが出来る。
【0076】
図10、図11の微生物検査装置100によれば、微生物検査で必要とされる各種作業、例えば、検査対象の吸引、分注作業や、培地の分注作業、検査対象と培地を混釈する作業等を自動化することが出来る。
そのため、長期間の訓練を行なった作業員を確保しなくても、容易に検査対象における微生物の有無を決定することが出来る。
また、複数種類の培地を検出対象毎に分注することが出来るので、検出対象となる汚染微生物(例えば大腸菌や酵母等)に好適な培地を選択して、人体に有益な生菌がコロニーを形成せずに、検出対象である汚染微生物のみがコロニーを形成することが可能にすることが出来る。
【0077】
さらに図10、図11の微生物検査装置100では、検査対象を分注機2により吸引してシャーレに注入し、検査対象を吸引した検査対象用ノズルを貯蔵する使用済みノズルのノズルラック62を有しているので、検査対象を吸引する以前のノズル(滅菌済みの使用前のノズル)と、吸引後のノズル(使用後のノズル)を分離して貯蔵することが出来る。
そのため、検査対象を吸引する以前のノズルに既に吸引された検査対象が混入すること(いわゆる「コンタミ」、「コンタミネーション」)が発生することが防止される。
【0078】
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨の記述ではない旨を付記する。
【符号の説明】
【0079】
1・・・レーザー印刷ユニット
2・・・分注機
3・・・ハンド
4・・・シャーレ搬送部
5・・・培地ユニット
6・・・ノズルラック
7・・・シャーレ供給部
8・・・シャーレ収納部
9・・・パレット搬送部
10・・・パレット
11・・・培地移動機構
12・・・培地ボトル
13・・・ペリスタルポンプ
100・・・微生物検査装置
200、200A・・・混釈装置
260・・・第1の単振動発生機構
261、271・・・ガイドプレート
270・・・第2の単振動発生機構
282・・・水平部材(テーブル)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
混合するべき材料を収容した容器を載置するテーブルと、平面上で直交する2方向における何れか一方向の単振動を発生する第1の単振動発生機構と、前記2方向における他方の方向の単振動を発生する第2の単振動発生機構を備え、前記テーブルは、第1の単振動発生機構による単振動と第2の単振動発生機構による単振動を合成した運動を行う部材に取り付けられていることを特徴としている混釈装置。
【請求項2】
平面上で直交する2方向における何れか一方向の単振動の移動速度が100mm/秒〜250mm/秒であり、前記2方向における他方の方向の単振動の移動速度が50mm/秒〜200mm/秒である請求項1記載の混釈装置。
【請求項1】
混合するべき材料を収容した容器を載置するテーブルと、平面上で直交する2方向における何れか一方向の単振動を発生する第1の単振動発生機構と、前記2方向における他方の方向の単振動を発生する第2の単振動発生機構を備え、前記テーブルは、第1の単振動発生機構による単振動と第2の単振動発生機構による単振動を合成した運動を行う部材に取り付けられていることを特徴としている混釈装置。
【請求項2】
平面上で直交する2方向における何れか一方向の単振動の移動速度が100mm/秒〜250mm/秒であり、前記2方向における他方の方向の単振動の移動速度が50mm/秒〜200mm/秒である請求項1記載の混釈装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−235736(P2012−235736A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−106883(P2011−106883)
【出願日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(000006884)株式会社ヤクルト本社 (132)
【出願人】(300090846)株式会社ライフテック (13)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(000006884)株式会社ヤクルト本社 (132)
【出願人】(300090846)株式会社ライフテック (13)
【Fターム(参考)】
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