説明

添加剤とこれを用いた塗料及び粘着剤

【課題】この発明は、ホルムアルデヒド放散量試験において、ホルムアルデヒド放散量を0.1mg/リットル以下に低減することのできる添加剤とこの添加剤を用いた塗料及び粘着剤を提供する。
【解決手段】この発明に係る添加剤は、塗料、インク、接着剤、絵の具、粘着剤等に添加され、ホルムアルデヒドを分解除去する添加剤であって、漂白効果を有する物質からなる第1群より選択された第1の材料、窒素官能化合物から選択された第2群より選択された第2の材料、前記第2群以外の窒素含有化合物からなる第3群より選択された第3の材料及び溶剤からなることにある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、有害物質としてのホルムアルデヒドを効率的に分解除去可能な添加剤とこの添加剤を用いた塗料及び粘着剤に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1,2,3は、それぞれ室内の床、壁面、天井、家具などに使用される合板やビニル壁紙に塗布され、これらから揮発するホルミアルデヒドや可塑剤類などの有害物質を吸着又は分解する塗膜を形成し、さらに塗布時にも揮発性有機化合物の揮散の少ない室内汚染対策用塗料を開示する。
【0003】
特許文献4は、ホルムアルデヒド等のVOCに対する分解性に優れている塗膜を形成することを可能にするために、水性合成樹脂エマルジョン及び光触媒活性を有する酸化チタンを含有し、水性エマルジョン塗料中での顔料のPWCが40〜95であることを特徴とするものである。
【特許文献1】特開2000−95979号公報
【特許文献2】特開2000−95980号公報
【特許文献3】特開2002−338897号公報
【特許文献4】特開2005−146293号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したような従来の塗料等では、JIS K5601−4−1「塗料成分試験方法−塗膜からの放散成分分析−第1節ホルムアルデヒド」の3.デジケーター法によるホルムアルデヒド放散量試験において、ホルムアルデヒド放散量をF4(0.1mg/リットル以下)にすることは困難であった。
【0005】
そのため、この発明は、ホルムアルデヒド放散量試験において、ホルムアルデヒド放散量を0.1mg/リットル以下に低減することのできる添加剤とこの添加剤を用いた塗料及び粘着剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
したがって、この発明に係る添加剤は、塗料、インク、接着剤、絵の具、粘着剤等に添加され、ホルムアルデヒドを分解除去する添加剤であって、漂白効果を有する物質からなる第1群より選択された第1の材料、窒素官能化合物から選択された第2群より選択された第2の材料、前記第2群以外の窒素含有化合物からなる第3群より選択された第3の材料及び溶剤からなることにある。
【0007】
また、前記第1群は、次亜塩素酸ナトリウム(NClO)、二酸化塩素(ClO)、塩素酸ナトリウム(NaClO)、苛性ソーダ(NaOH)、過酸化水素(H)、リン酸ナトリウム(NaPO)、リン酸水素カルシウム(CaHPO)を少なくとも含み、前記第2群は、コハク酸イミド(CNO)、トリエタノールアミン(C15NO)、ε−カプロラクタム(C11NO)、N−メチル−2−ピロリドン(CNO)及びテトラヒドロ−2−ピリミジノン(CO)を含み、前記第3群は、エチレン尿素(CO)、2−ピロリドン(CNO)、NNジエチル尿素(C12O)、βピコリン(CN)を少なくとも含むことが望ましい。また、第2群に代えて、エピクロロヒドリン(CClO)を用いることもできる。
【0008】
さらに、添加剤は、前記第1の材料として二酸化塩素、前記第2の材料としてコハク酸イミド、第3の材料としてエチレン尿素を含むことが望ましい。さらに、前記第1の材料として二酸化塩素、前記第2の材料としてコハク酸イミド、第3の材料として2−ピロリドンを含むものであっても良く、前記第1の材料として次亜塩素酸ナトリウム、前記第2の材料としてコハク酸イミド、前記第3の材料としてエチレン尿素を含むものであっても良い。さらにまた、塗料は、前記添加剤を、0.5wt%〜5%の範囲で含むことが望ましい。
【0009】
さらに塗料への添加剤としては、具体的には、前記添加剤は、前記第1の材料として二酸化塩素15〜45部、前記第2の材料としてコハク酸イミド5〜20部、第3の材料としてエチレン尿素10〜45部を含み、さらにこれらの材料の混合物の容量合計の1〜30%の溶剤、好ましくは3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、商品名ソルフィットを付加することが望ましい。
【0010】
また、塗料への添加剤としては、前記第1の材料として二酸化塩素40〜45部、前記第2の材料としてコハク酸イミド10〜20部、第3の材料として2−ピロリドン10〜45部を含み、さらに溶剤としてブタノンを容量合計の10〜40%を付加することが望ましい。
【0011】
さらにまた、塗料への添加剤としては、前記第1の材料として次亜塩素酸ナトリウム40〜45部、前記第2の材料としてコハク酸イミド10〜20部、前記第3の材料としてエチレン尿素10〜45部を含み、溶剤としてエタノールを10〜50%付加するものであっても良い。
【0012】
また、添加剤は、前記第1の材料として次亜塩素酸ナトリウム、前記第2の材料としてε−カプロラクタム、前記第3の材料として2−ピロリドンを含むものであっても良い。また粘着剤は、この添加剤を、0.5wt%〜5%の範囲で含むことが望ましい。
【0013】
さらに粘着剤への添加剤としては、具体的には、前記第1の材料として次亜塩素酸ナトリウム40〜45部、前記第2の材料としてε−カプロラクタム10〜20部、前記第3の材料として2−ピロリドン40〜45部を含み、溶剤としてヘキサンを容量合計の10〜50%付加するものが好ましい。
【0014】
さらに、溶剤としては、添加剤が添加される物質の溶剤と同じかその溶剤との相性の良い溶剤を選択することが望ましい。したがって、溶剤としては、アルコール、メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール類、ケトン類、エステル及びエーテル等のエステル類、酢酸メチル等の炭化水素類、ブタノン、ヘキサン、ミネラルスピリット、ソルフィット(商標:3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール)等がある。
【発明の効果】
【0015】
本発明の3種類の主成分に所定の割合の溶剤を添加することによって作製された添加剤を、塗料等に用いることによってホルムアルデヒド放散量をF4のランク(0.1mg/リットル以下)まで低減することができるので、シックハウス症候群の原因を完全に解消することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
この発明に係る添加剤は、塗料、インク、接着剤、粘着剤等に添加され、ホルムアルデヒドを分解除去するために、漂白効果を有する物質からなる第1群より選択された第1の材料、窒素官能化合物から選択された第2群より選択された第2の材料、前記第2群以外の窒素含有化合物からなる第3群より選択された第3の材料及び溶剤からなる添加剤である。
【0017】
また、前記第1群は、次亜塩素酸ナトリウム(NClO)、二酸化塩素(ClO)、塩素酸ナトリウム(NaClO)、苛性ソーダ(NaOH)、過酸化水素(H)、リン酸ナトリウム(NaPO)、リン酸水素カルシウム(CaHPO)を少なくとも含み、前記第2群は、コハク酸イミド(CNO)、トリエタノールアミン(C15NO)、ε−カプロラクタム(C11NO)、N−メチル−2−ピロリドン(CNO)及びテトラヒドロ−2−ピリミジノン(CO)を含み、前記第3群は、エチレン尿素(CO)、2−ピロリドン(CNO)、NNジエチル尿素(C12O)、βピコリン(CN)を少なくとも含むものである。また、第2群に代えて、エピクロロヒドリン(CClO)を用いることもできる。
【実施例1】
【0018】
実施例1に係る添加剤は、第1の材料として二酸化塩素10cc、第2の材料としてコハク酸イミド1.5g、第3の材料としてエチレン尿素10cc、溶剤として合計容量の2%の3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールを配合したものである。
【0019】
測定法として、1.ガラス板10cm角の表面1面に添加剤を塗布し、テトラパック10リットル内に裏面を上にして中心に放置し、密封後ホルムアルデヒド混合気体を封入する。測定器は、JMS社製厚生省認可番号第1602号を用いて、測定物(配合例)原液ホルムアルデヒド低減テストを行った。その結果は以下の通りである。
【0020】
【表1】

【0021】
以上のように、実施例1に係る添加剤の場合は、ホルムアルデヒド封入後約1時間で目標を達成したことがわかる。
【実施例2】
【0022】
実施例2に係る添加剤は、第1の材料として二酸化塩素10cc、第2の材料としてコハク酸イミド1.0g、第3の材料として2−ピロリドン10cc、溶剤として合計容量の10%のブタノンを配合したものである。この添加剤を上記と同様の方法で、測定物(配合例)原液ホルムアルデヒド低減テストを行った。その結果は以下の通りである。
【0023】
【表2】

【0024】
以上のように、実施例2に係る添加剤の場合は、ホルムアルデヒド封入後約8時間、再封入後約2.5時間で目標を達成したことがわかる。
【実施例3】
【0025】
実施例3に係る添加剤は、第1の材料として次亜塩素酸ナトリウム10cc、第2の材料としてコハク酸イミド2.0g、第3の材料としてエチレン尿素10cc、溶剤として合計容量の10%のエタノールを配合したものである。この添加剤を上記と同様の方法で、測定物(配合例)原液ホルムアルデヒド低減テストを行った。その結果は以下の通りである。
【0026】
【表3】

【0027】
以上のように、実施例3に係る添加剤の場合は、ホルムアルデヒド封入後約7時間で目標を達成したことがわかる。
【実施例4】
【0028】
実施例3に係る添加剤は、第1の材料として次亜塩素酸ナトリウム(ClO)10cc、第2の材料としてコハク酸イミド2.0g、第3の材料としてエチレン尿素10cc、溶剤として合計容量の10%のエタノールを配合したものである。この添加剤を上記と同様の方法で、測定物(配合例)原液ホルムアルデヒド低減テストを行った。その結果は以下の通りである。
【0029】
【表4】

【0030】
以上のように、実施例4に係る添加剤の場合は、ホルムアルデヒド封入後約15分で目標を達成したことがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗料、インク、接着剤、絵の具、粘着剤等に添加され、ホルムアルデヒドを分解除去する添加剤であって、
漂白効果を有する物質からなる第1群より選択された第1の材料、窒素官能化合物から選択された第2群より選択された第2の材料、前記第2群以外の窒素含有化合物からなる第3群より選択された第3の材料及び溶剤からなることを特徴とする添加剤。
【請求項2】
前記第1群は、次亜塩素酸ナトリウム、二酸化塩素、塩素酸ナトリウム、苛性ソーダ、過酸化水素、リン酸ナトリウム、リン酸水素カルシウムを少なくとも含み、
前記第2群は、コハク酸イミド、トリエタノールアミン、ε−カプロラクタム、N−メチル−2−ピロリドン及びテトラヒドロ−2−ピリミジノンを含み、
前記第3群は、エチレン尿素、2−ピロリドン、NNジエチル尿素、βピコリンを少なくとも含むことを特徴とする請求項1記載の添加剤。
【請求項3】
前記第1の材料として二酸化塩素、前記第2の材料としてコハク酸イミド、第3の材料としてエチレン尿素を含むことを特徴とする請求項1記載の添加剤。
【請求項4】
前記第1の材料として二酸化塩素、前記第2の材料としてコハク酸イミド、第3の材料として2−ピロリドンを含むことを特徴とする請求項1記載の添加剤。
【請求項5】
前記第1の材料として次亜塩素酸ナトリウム、前記第2の材料としてコハク酸イミド、前記第3の材料としてエチレン尿素を含むことを特徴とする請求項1記載の添加剤。
【請求項6】
請求項3〜5のいずれか一つに記載の添加剤を、0.5wt%〜5%の範囲で含むことを特徴とする塗料。
【請求項7】
前記第1の材料として次亜塩素酸ナトリウム、前記第2の材料としてε−カプロラクタム、前記第3の材料として2−ピロリドンを含むことを特徴とする請求項1記載の添加剤。
【請求項8】
請求項7記載の添加剤を、0.5wt%〜5%の範囲で含むことを特徴とする粘着剤。

【公開番号】特開2007−186575(P2007−186575A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−4934(P2006−4934)
【出願日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【出願人】(502261174)アムコテクノロジー株式会社 (1)
【Fターム(参考)】