説明

添加物の時間および温度スケジューリング

昇華ドナーは第1の温度より上でドナーから昇華する第1のファブリックエンハンサー剤をもつ。第2の温度より上でドナーから昇華する第2のファブリックエンハンサー剤が後に続く。第1と第2の温度の両方は、260°Fより上で、第2の温度は少なくとも第1の温度より10°F高い。単一パス処理ユニットの下で昇華すると、第1および第2の触媒が、それぞれ第1および第2の温度で昇華するように、第1および第2のファブリックエンハンサー剤を促進させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2006年3月24日に出願された米国仮出願番号60/785527の優先権も請求する。
【0002】
本発明の分野はテキスタイル製品の昇華である。
【背景技術】
【0003】
テキスタイル製造のための従来の方法は、広い範囲のステップ、処理、基層および関係する機械のために、複雑である。原材料または製造された繊維を加工された布に処理することから始めて、テキスタイルの処理過程を、大きく2つのステップ、乾式処理と湿式処理に分けることができる。乾式処理は、多くのステップに関係するが、それらは主に機械プロセスであり、それらは、湿式処理ほど多くは環境廃棄物をもたらさない傾向がある。湿式処理は機械プロセスだけでなく、相当の環境への影響をもたらす化学薬品の大量の準備を含む。
【0004】
従来の湿式処理の間に、布を清浄にし、準備しなければならず、それには、しばしばスカーリング、漂白、熱硬化、テクスチャリングなどが含まれる。準備されると、布はプリントおよび染色の準備ができ、より効果的な特徴および性質のために、布柔軟剤、抗菌剤、しみ除去剤など様々な化学薬品で布が調整される仕上げステップがしばしば続く。
【0005】
従来の湿式処理法に関連して少なくとも2つの主要な問題がある。第1に、分離した処理過程の下、多くの個々のステップが必要となり、このことは複数の機械を使用しなければならないことを意味する。異なる機械およびステップは、テキスタイルが、最終製品に組み立てられるためにサイトからサイトへ、または国から国に移動することをしばしば必要とする。
【0006】
いくつかの化学プロセスを1つのステップに統合することによって、時間および労働コストを節約する試みがなされた。米国特許第6251210号明細書(Bullockによる)は、耐汚染剤、撥水剤および抗菌剤を含む布を1つの設定で仕上げる方法を説明している。米国特許第7037346号明細書(Catesらによる)も、フルオロケミカル基内に複数の仕上げ剤を含むテキスタイル基層を説明している。陽イオンおよび忌避の性質が布に加えられると、プリントおよび染色のためのプリントステーションに動かされる前に、布は水溶液に浸される。これらの特許の欠点は、それらは、複数の処理ステップを単一の連続したプロセスに統合するという問題をなお解決していないことである。この場合も、複数の処理ステップは時間と労力において相当なコストをもたらすが、それらは第2の、より深刻な問題である−公害−を生み出す。
【0007】
従来の湿式処理の間の触媒および化学薬品の使用は、空気から水までの汚染物に及ぶひとそろいの環境廃棄物をしばしば生み出す。処理ステップの多くを1つの連続したプロセスに統合する単一パス昇華機械が使用される努力がなされてきた。しかし、商用で実用的な公害のない触媒を確認できないために、単一パスプロセスは、成功した商用への適用のためには、なお困難に面している。
【0008】
米国特許第7101921号明細書(Edwardsによる)および韓国特許第2050328A号明細書(Chaらによる)に示されるような公害のない触媒をもたらすために、様々の努力もなされたが、これらの触媒もなお、1つの組み合わされた単一パス機械で、テキスタイルの調整をもたらすことができない。努力目標は、すべての湿式処理のステップを1つの連続したプロセスに統合した単一パス機械を、労働コスト、時間および公害を限定する公害のない触媒と組み合わせることである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、連続プロセスで、より効率的に、事前処理され、活性化され調整され、かつ、より少ない公害をもたらすテキスタイルを得ることが望ましい。準備するためにロール品または切断されたものとして機械に入り、仕上げられ、恒久的に染められ、連続した1分より短い時間でプリントされ、すぐに裁断または裁縫の準備ができる布を得ることも望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、昇華ドナーが、様々な温度で活性化される様々なファブリックエンハンサー剤を含む装置、システムおよび方法を提供する。
【0011】
好ましい実施形態では、昇華ドナーは、第1の温度より上でドナーから昇華する第1のファブリックエンハンサー剤と、それに続いて第2の温度より上でドナーから昇華する第2のファブリックエンハンサー剤とをもつ。第1および第2の温度の両方は、260°Fより上であり、第2の温度は少なくとも第1の温度より10°F高い。
【0012】
別の好ましい実施形態では、それぞれ第1および第2の温度で昇華するように、第1および第2のファブリックエンハンサー剤を促進する第1および第2の触媒がある。触媒は、オレフィン、スルフォニウム化合物、ポリアニリン化合物およびテトラアミド大環状配位子からなる群から選択される。ファブリックエンハンサー剤は仕上げ剤および調整剤を含んでもよい。
【0013】
さらに別の好ましい実施形態では、ファブリックエンハンサー剤の1つは、漂白剤、抗菌物質またはしみ除去剤である。第1および第2の温度は少なくとも20°Fおよび30°F異なる。ドナーが、それぞれ360°Fより高い温度でドナーから昇華する第1および第2の異なる着色剤をもつことも企図される。
【0014】
別の好ましい実施形態では、昇華ドナーを使用して作られた布は、第1および第2のファブリックエンハンサー剤を第1および第2の温度で昇華する。さらに、布はまた、第1と第2の着色剤の両方を目で検出できる量含み、布が第1のファブリックエンハンサー剤を検出できる量含み、第1のファブリックエンハンサー剤が漂白剤、抗菌物質およびしみ除去剤からなる群から選択される。
【0015】
好ましい実施形態では、第1および第2の着色剤は、連続した配置で布の上に昇華される。布が第2のファブリックエンハンサー剤を検出できる量含み、第1と第2のファブリックエンハンサー剤がそれぞれ、漂白剤、抗菌物質およびしみ除去剤からなる群から選択される。
【0016】
さらに好ましい実施形態では、レシーバは、第1の温度より上でレシーバに対して活性になる第1のファブリックエンハンサー剤と、第2の温度より上でレシーバに対して活性になる第2のファブリックエンハンサー剤とを含む。第1および第2の温度が、それぞれ260°Fより上であり、第2の温度が、第1の温度より少なくとも10°F高い。
【0017】
別の好ましい実施形態では、昇華プリントデバイスを動作させる方法は、第1および第2の改良剤を受け入れるドナーを提供するステップと、レシーバの少なくとも一部にドナーの少なくとも一部を近接させるステップと、次いで、温度(T1)から温度(T2)に、Q=M・(T1−T2)・Sで定義される時間(S)の間で、ドナーを加熱するステップとを含む。Qがドナーを昇華させるのに必要なカロリーで表わされたエネルギーであり、Mは、g/cmで表されたレシーバの質量である。関係は、レシーバの質量および熱源の能力に応じて、より長い昇華時間および温度が必要である。
【0018】
さらに別の好ましい実施形態では、昇華プリントデバイスを動作させる方法であって、第1の温度より上でドナーから昇華する第1のファブリックエンハンサー剤と、それに続いて第2の温度より上でドナーから昇華する第2のファブリックエンハンサー剤とをもつドナーをまず提供するステップと、レシーバの少なくとも一部にドナーの少なくとも一部を近接させるステップと、次いで、260°Fから385°Fに、少なくとも0.35秒、0.5秒または0.7秒の時間の間で、ドナーを加熱するステップとを含む方法が提供される。
【0019】
本発明の様々な目的、特徴、性質および利点は、本発明の好ましい実施形態の以下の詳細な説明、ならびに、同じ参照番号が同じ構成要素を表す添付の図面から、より明白になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
発明者は、公害のない触媒などの様々な自然成分で処理されたドナーキャリアを、1要素を1回ずつ、所定の時間の決まったスケジュールを備える離散的な温度に従った昇華を介して活性化できることを発見した。好ましくは、加工染料だけと共にもたらされる標準のドナーとは異なり処理されたドナーは、漂白剤、ファブリックエンハンサー剤および様々な他の布変換薬剤など様々の異なる化学成分で準備される。
【0021】
本発明性主題は、処理されたドナーキャリアに積み重ねられた一連の化学事象を促進するために単一供給源のエネルギーを使用する。昇華プロセスは、所定の時間および離散的温度スケジュールを介して制御される。処理されたドナーと、時間および温度の制御の組合せは、単一パスプロセス昇華を、最も効率的にコスト効率のよくまた実質的に公害を減らす方法で、実行することを可能にする。
【0022】
1.処理されたドナー
一般に、レシーバ上に昇華するために、ドナーを特別の染料または他のタイプの化学薬剤で処理する必要がある。できる限り広い意味で、本明細書内で使用され、かつ定義される化学薬剤は、化学薬品、薬剤、ならびに、湿気および一定の温度にさらされたときに、適用されて、布の表面を準備し、または調整できる物質を含む。
【0023】
特に、ドナーを、「準備剤」または「複数の準備剤」で処理することができる。準備剤は、仕上げ、プリントおよび染色の前に、布を清浄にし、または準備する。通常、準備剤は、昇華プロセスの間に最初に加えられる。準備剤は、布を準備するために業界で使用されている、知られている材料から選択され、例えば、好ましい準備は漂白を含む。しかし、準備剤は、加熱硬化、のり抜き、毛焼き、精錬、綿のマーセル化さえも引き起こす薬剤または化学成分を含む。
【0024】
好ましい実施形態では、ドナーは仕上げステップに進む。布の仕上げステップは、布の外面および/または有用性を改善する任意の処理過程を含む。仕上げはテクスチャリングまたはナッピングなどのいくつかの機械的プロセスを含むが、今の仕上げは、ファブリックエンハンサー剤を使用する化学的プロセスを好むと企図される。本明細書で使用される用語「ファブリックエンハンサー剤」は、湿気および一定の温度にさらされたとき、布の面を扱い、仕上げまたは調整をすることができる、化学薬品、薬剤および材料を含むように、できる限り広い意味で定義される。ファブリックエンハンサー剤を、布柔軟剤、パーマネントプレス剤、抗菌剤、しみ忌避剤、接着剤、防水剤、難燃剤、帯電防止剤、硬化剤、しわ防止剤、脱臭剤、耐虫剤、オイル忌避剤、さび止め剤、収縮抑制剤など、性能を改良するために、業界で使用される、知られている材料から選択することができる。ファブリックエンハンサー剤は、調整剤、薬剤、布の触媒変換を通して、着る人の皮膚に栄養的価値を与える栄養薬剤を含むことも企図される。特定の化学薬剤を布の上にパッド化して、洗うごとに皮膚に供給することができる皮膚吸収剤を使用することもできる。
【0025】
ファブリックエンハンサー剤を使用した化学仕上げは、単一の連続仕上げプロセスユニットまたは布を準備するステップと一緒のレンジで、なされることが好ましい。最終製品の望ましい特徴に応じて、いくつかの布を、他のもの以上に仕上げることができる。任意の布の基層に対して使用される化学プロセスに対して定められたレシピはないことに注意することが重要である。与えられた時間に対して与えられた温度で、異なるファブリックエンハンサー剤を、活性化することが企図される。
【0026】
他の化学薬剤および添加剤は、これだけには限らないが、ビルダー、界面活性剤、酵素、漂白活性剤、漂白増進剤、漂白剤、アルカリ源、抗細菌剤、着色剤、芳香剤、芳香促進剤、仕上げ補助剤、石灰石鹸分散剤、合成悪臭抑制剤、臭気中和剤、ポリマ染料転写抑制剤、結晶成長抑制剤、光脱色剤、重金属イオン封鎖剤、抗変色剤、抗菌剤、抗酸化剤、抗再析剤、電解物、pH変性剤、濃縮剤、研磨剤、二価または三価イオン、金属イオン塩、酵素安定剤、腐食抑止剤、ジアミンまたはポリアミンおよび/またはそれらのアルコキシ塩、石鹸水安定ポリマ、溶媒、プロセス補助剤、布軟化薬剤、蛍光増白剤、ヒドロトロープ、石鹸水または泡抑圧剤、石鹸水または泡増進剤、布柔軟剤、帯電防止剤、染料固定剤、染料摩耗抑制剤、摩擦色落ち抑制剤、しわ削減剤、しわ防止剤、汚れ解放ポリマ、汚れ忌避剤、日焼け止め剤、抗退色剤、防水剤、難燃剤、およびそれらの混合物を含む。
【0027】
化学成分を活性化するために使用される触媒は、好ましくは、あったとしても、毒性物質をほとんどもたない環境に優しい触媒である。いくつかの好ましい触媒は、オレフィン、スルフォニウム化合物、ポリアニリン化合物およびテトラアミド大環状配位子を含む。しかし、任意の環境に優しい、または「グリーン」触媒を、布の上の化学自然成分を活性化するために使用することができることが企図される。
【0028】
好ましい実施形態では、布のプリントおよび染色は、連続昇華プロセスの最終ステップである。加熱するとき、染料および着色剤は一定の繊維面と反応し、それらと親和性を形成する。染料ベースの配合によって、プロセスの加熱ステップは、染料粒子が固体状態から気体状態に変化させる。気体状態では、染料粒子は、ポリエステル布の繊維などの薄織物の中に入り、染料を固定する。熱は、ポリエステル繊維の細孔を開き、気体が、より高度に反射し、基層上でより鮮やかな色を生み出すことができる分子の形状で入ることを可能にする。冷却ステージに従って、染料粒子は、ポリエステル繊維の内部に捕捉され、場合によっては、それらの固体状態に戻り、または少なくとも固体の基層繊維の中に固定される。白い布がプリントされたドナー材料に対して置かれ、熱が材料に加えられるとき、分子が励起されて気体状態に変換される。加熱された染料粒子が加熱された布を透過するとき、染料粒子が布を浸透し、布の単繊維の部分となる。今では、染料をもつ分子が布の内部の恒久部分であり、通常の洗濯または漂白では影響されない。
【0029】
用語「染料」および「着色剤」は、できるだけ広い意味で使用され、したがって、インクおよび、実際、受ける材料を着色するために、その材料に転写できる任意の化学成分を含むことも理解すべきである。したがって、用語「染料」および「着色剤」は、温度および他の条件に応じて、色を変える化学成分を含み、加えられたときには色がないが、湿気または高温にさらされると、色を変える化学成分さえも含む。
【0030】
レシーバを、様々な化学薬品に直接、反応させるために使用できることもさらに企図される。デバイスは、様々な化学薬剤を直接レシーバに配置し散布しまたは噴射することができる。レシーバが時間および温度スケジュールを経過していくとき、化学薬剤が放出されて、触媒フェーズが、直接レシーバの上で起こる。これは、レシーバの中に噴射され、直接、または間接に、設定された時間の間、熱源に反応する特定の染料に適用することもできる。熱源の下、染料は、レシーバ上で反応し活性化し、そこに留まる。これは、好ましくは、昇華ドナー材料が必ずしも最高の結果をもたらさない、カーペットおよび敷物の領域でより適用できる。直接、レシーバを活性化することによって、化学薬剤および染料をより効果的に固定することができる。
【0031】
2.インプリメンテーション
図1に示された例示的な構成では、プロセスユニット100は、一般に、加熱部分10と、作業台20とを含む。連続加工対象物25が機械の上に配置され、連続加工対象物25は、対応するドナー供給ロール32およびドナー巻上げロール34を備えるドナー材料30と、対応する薄織物供給ロール42および薄織物巻上げロール44を備える薄織物材料40と、対応するレシーバ供給ロール52およびレシーバ巻上げロール54を備えるレシーバ50とを含む。
【0032】
好ましい実施形態では、プロセスユニット100は、1つの単一プレスで、準備および、テキスタイルをプリントおよび染色および仕上げすることを扱うことができる。そのようなプロセスの利点は、仕上げステップを、染色およびプリントステップの前に達成することができることである。
【0033】
好ましくは、ドナー材料30を、知られているドナーペーパまたは業界で使用されている他の材料から選択することができる。ドナー材料30は、複数の準備剤、ファブリックエンハンサー剤および染料によって調整されることが企図される。ドナー材料は、好ましくは、準備剤、ファブリックエンハンサー剤および染料を一時的に保持できる表面をもつ薄いシートである。ドナー材料を、一定の時間フレーム、一定の温度で加熱すると、触媒機構が促進され、準備剤、ファブリックエンハンサー剤および染料を布の上に放出する。
【0034】
さらに、Carnegie Mellon’s Institute for Green Oxidationで発見された化合物、鉄テトラアミド大環状配位子のために、TAML(登録商標)などの公害のない触媒の使用を、より早くより安全に作用する、準備剤、ファブリックエンハンサー剤および染料の分散用の放出機構を促進するために追加することができる。米国特許第6100394号明細書(Collinsらによる)のコラム4の6−24行に記載された大環状テトラアミドなどの他の公害のない触媒も企図される。この参考文献は、本明細書内にその全体が参照として、組み込まれている。組み込まれた参照の用語の定義または使用が、本明細書内で提供された用語の定義に矛盾し、または一致しない場合は、本明細書内で提供された用語の定義を適用し、参照の用語の定義は適用しない。
【0035】
次いで、ドナー材料30は、昇華のために加熱部分16を通っていく。加熱部分16は、一般に、回転主要加熱要素12と、固定加熱要素14と、熱伝導ウェブ16とを含む。ウェブ16は、位置決め装置16A−16Eによって位置決めされる。加熱部分16の回転速度、構成および大きさが、ドナー材料30の挟まれた加工対象物、レシーバ50および薄織物40の上の昇華熱の滞留時間を決める。
【0036】
したがって、布の準備から、布を仕上げ、最後に布をプリントし染色する全体のプロセスにおいて昇華するのに十分な範囲の熱が、少なくとも5秒間、より好ましくは少なくとも10秒間、20秒間、40秒間、60秒間、最も好ましくは80秒間、少なくともレシーバの1つの面から加えられることが企図される。しかし、5秒間から30分間の任意の加熱が、予期される受け入れられる範囲であることが企図される。
【0037】
全体プロセスに対する昇華温度の範囲は、好ましくは、260°Fより低くなく、好ましくは、390°Fより高くない温度から始まることも企図される。
【0038】
しかし、昇華するための温度および時間ウィンドーは、レシーバの特徴による。特定のサイズのレシーバに必要なカロリーに関する時間と温度スケジュールの関係は以下の通りである。
Q=M・(T1−T2)・S
Mは、g/cmで測定されたレシーバの質量を定義する。T1は第1の温度を定義し、T2は第2の温度を定義する。Sは秒で測定された時間を定義する。関係は、必要なそのようなカロリーが、レシーバの質量および時間と温度範囲に依存することを表わす。好ましくは、温度範囲は少なくとも260°Fで、440°Fを超えない。しかし、レシーバの質量に応じて、異なる温度範囲が必要となることが企図される。
【0039】
インクの深さまで布に適切に透過する限り、赤外線加熱などの他の熱源を使用することもできるが、強制された熱空気による加熱が好ましい。熱に加えて、他の機構を、ドナーの中の化学成分または触媒を活性化し、染料を硬化するために使用することができ、それらを、特定の触媒、染料および基層の組合せにより一般に使用されている機構から決めることができる。
【0040】
好ましくは、熱源は、昇華するためにドナーに連続して加えられる。しかし、熱を、レシーバを破損することなく、レシーバに間接的に加えることができることが企図される。熱源を、長く続く照射をすることなく、最大温度を得るために、短い脈動間隔で加えることができる。非常に短時間に、高温の形で提供される高エネルギーは、結合を破壊し、ドナー上に熱を分散させる。例えば、ドナーがレシーバ上に昇華するとき、熱は、レシーバに接触していないドナーの側だけに脈動される。化学薬剤の触媒変換は、熱源の脈動の間、より高く上がる温度で、なお起こる。熱がより高い温度で脈動しない場合、レシーバを破損し得る。熱源を脈動させることは、ドナーのフェーズにかかわらず、異なる触媒フェーズがレシーバ上で起こることを可能にする。これは時間および温度スケジュールの柔軟性の別の例である。
【0041】
連続処理の今の優先的選択にもかかわらず、本発明性主題の実施形態を、不連続な方法、例えば、挟まれた加工対象物を組み立て、熱および圧力を少しずつ加える方法で実行することもできることも企図される。この点に関し、レシーバをバルクの材料から切断することも特に企図される。本明細書に記載された発明性概念に従って動作するように変更できる既存の機械(例、Monti Antorio(商標)、Practix(商標)および他のシリンダベースの機械)が存在する。
【0042】
好ましい実施形態では、スケジュールにおいて、ドナー材料は様々な準備剤、ファブリックエンハンサー剤および染料と反応し、または親和性を形成する。用語「スケジュール」は、特定のまたは離散的な時間と温度を含み、その温度で準備剤、ファブリックエンハンサー剤または染料が活性化され、布の中に分散されるように、できる限り広い意味で使用されることも理解すべきである。したがって、用語「スケジュール」は、設定された時間フレームに対する温度範囲を含む。
【0043】
例えば、ドナー材料がプロセス装置に入ると、第1のスケジュールにおいて、温度が290°Fに達し、320°Fを少なくとも1.8秒間超えないとき、第1の準備剤、好ましくは、漂白剤が活性化される。
【0044】
別の実施形態では、第1の触媒および最初のスケジュールを付加するとき、第1の調製漂白剤が活性化される。第1の触媒の性質のために、第1のスケジュールは、好ましくは、より短い時間フレームに、より高い温度を含む。
【0045】
第1の準備剤の活性化に続いて、ドナー材料は、考えられるには、第2のスケジュールで、第2の準備剤の活性化のために、プロセス装置を通る。あるいは、第2のスケジュールで、第1のファブリックエンハンサー剤が活性化される。例えば、布柔軟剤、次亜塩素酸カルシウムを第2のスケジュールで活性化できる。第2のスケジュールは、好ましくは、第1のスケジュールより高い320°Fの温度であり、時間フレームは第1のスケジュールとほぼ同じである。次いで、第3のファブリックエンハンサー剤が、好ましくは、第2のスケジュールより高い345°Fの温度であり、時間フレームは第2のスケジュールとほぼ同じである第3のスケジュールで、活性化される。プロセスは、すべてのファブリックエンハンサー剤が活性化され、布の中に分散されるまで繰り返される。
【0046】
好ましくは、すべてのファブリックエンハンサー剤の活性化に続いて、第4、5、6などの分散用のスケジュールで、第1の染料をドナー材料に加える。プロセスの加熱ステップは染料粒子が固体状態から気体状態に変化することをもたらすと企図される。染料粒子がレシーバに入る好ましい温度範囲は、少なくとも2.5秒間で、好ましくは、360°Fより高い。しかし、少なくとも10秒間で、380°Fから420°Fまでの温度などの他の範囲も企図される。加熱された染料分子が、今では加熱された布に入ると、それらは場所を交換し、布の単繊維の一部になる。今では、染料をもつ分子が布の内部の恒久部分であり、通常の洗濯および漂白では影響されない。
【0047】
レシーバ50は、昇華プリントを受けることができる任意の材料でよい。これは、ポリエステルおよび高い温度および圧力で、染料を吸収する他の合成ポリマを非常に特別に含み、今、好ましいレシーバ材料は、真の合成繊維または非セルロース系繊維(例、ポリエステル、ナイロン、アクリル、モダクリル繊維、ポリオレフィン)、混合物などを含む。レシーバ材料は、天然繊維(例、綿、羊毛、絹、リネン、麻、ラミー、ジュート)、半合成またはセルロース系繊維(例、ビスコースレーヨンおよびセルロースアセテート)を含んでもよいと企図されるが、今、入手できる着色剤は、それらの繊維をあまりよく「取る」ことをしない。レシーバは、柔軟または剛性でよく、漂白され、または無漂白でよく、白く、または着色でよく、織られても、または織られてなくてもよく、編んでも、または編んでなくてもよく、これらまたは他の要素の任意の組合せでよい。したがって、レシーバは、例えば、一面が織られた材料、他面が織られない材料または異なる織られた材料を含むことができる。なかでも、レシーバは、衣類、バナー、旗、カーテンおよび他の壁紙およびカーペットさえのために使用される布および繊維を含むと企図される。
【0048】
薄織物40を、業界で使用される、知られている巻上げ薄織物から選択することができ、今の実施形態で、レシーバ50およびドナー材料30を完全に通る染料を吸収するために使用することができる。本発明の実施形態で、過剰の着色剤から機械部分を保護する役割もする。
【0049】
本明細書で開示された方法およびシステムの利点は非常に大きい。最終の既成品への組み立てを準備するためにサイトからサイトに、しばしば国から国に布を運送する代わりに、単一プロセスが準備、仕上げ、プリントおよび布の染色を供給する。ワンストップショッププロセスは、莫大な量のコストおよび時間を節約するだけでなく、従来のテキスタイル製造方法に伴って起こる、多くの化学廃棄物を効果的に排除する。
【0050】
化学添加物に対して離散的な時間および温度スケジューリングをもつことによって、本発明性主題は、単一パスプロセス法への従来の努力を妨げてきた困難を克服する。化学添加物の活性化のための公害のない触媒を提供することに加えて、離散的な適用およびスケジューリングされた供給と組み合わされた単一供給源のエネルギーは、テキスタイルを準備するために、さらにより包括的で、効率的なプロセスを供給する。時間および労働コストの低減は、魅力的で、本発明性主題に対し商業的に重要な応用例を提供する。
【実施例】
【0051】
以下の実施例は、本発明性主題の実施形態を特に説明し、当分野の技術者が本発明性主題を理解し実行することを助ける。それらは説明の目的だけに記載され、本発明性主題を決して限定するようにとるべきではない。
【0052】
実施例1−化学薬剤
以下は、所定の時間および離散的な温度スケジュールに従う昇華の間に使用することができる化学薬剤の群である。
【0053】
漂白剤
一般的に、性能ベースの布に対して、漂白は、布を準備するための好ましい方法である。漂白の目的は、布を傷つけずに染料を受け入れることができる白い布へと今の色素を自然に脱色することである。酸化漂白剤および還元漂白剤などの多くの供給源の漂白剤が使用される。好ましくは、次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)、次亜塩素酸カルシウム(CaCl)、過酸化水素、過硫酸塩、過ホウ酸塩および過炭酸塩ならびに過酢酸などの酸化漂白剤と、二酸化硫黄、ジチオン酸ナトリウムなどの還元漂白剤とを漂白剤として使用することができる。
【0054】
より好ましくは、次亜塩素酸カルシウム、次亜塩素酸塩ナトリウムが使用される。両方ともかび汚れ(mildew)および見出される他の細菌のための優れた殺菌剤であり、それらを商用で求めることができる。商用の次亜塩素酸塩ナトリウムは、少なくとも12%から15%の活性塩素を含み、少なくとも65%の活性塩素を含む固体材料として、次亜塩素酸塩ナトリウムを求めることができる。
【0055】
漂白の時間と温度は相互関係がある。温度が上がるにつれて、、漂白剤を活性化するために必要な時間がより少なくなる。より高い漂白濃度も、活性化のために必要とする時間および温度をより少なくする。好ましい漂白剤の供給源は、それらを、室温で、または、温度280°Fから320°Fまで、1.8秒から2.2秒の好ましい時間の間に活性化できる限り、使用される。
【0056】
使用される漂白剤の量は、布の様々なタイプおよび特徴による。例えば、濃い色の染料が使用される場合には、布は必ずしも漂白されなくてもよい。好ましい漂白剤配合の例を表1に示すことができる。
【表1】

【0057】
好ましくは、漂白は、漂白剤を布の上で活性化するために時間および温度に相互関係がある単一連続装置の下で行われる。
【0058】
過酸化水素などの漂白剤の他のタイプは、分解するためにより高い温度を必要とし、使用される他の添加剤によるが、単一連続昇華装置で、よりよい漂白剤としての役割を果たすことができる。さらにより高い温度速度での漂白を見込む食塩、別の漂白剤も企図される。
【0059】
布柔軟剤
破断の硬さまたは剛さによる布の触感を改善するために布柔軟剤が使用される。柔軟剤は、摩擦抵抗も改善し、引き裂き強度を増加させ、縫糸の破断を減らし、衣服が縫われるとき針切断を減らす。大体の柔軟剤は、分子のイオンの性質を説明する3つの主要な化学カテゴリ、陰イオン、陽イオン、非イオンに分けられる。大体の柔軟剤は、脂肪酸アミン凝縮物にも基づいており、それを時間および温度供給プロセスの広い範囲に使用することができる。
【0060】
好ましい柔軟剤は、高温で優れた安定性を示す陰イオン柔軟剤である。硫酸、スルホン酸脂肪酸アミドおよびエステルなどの陰イオン柔軟剤は、仕上げ剤と干渉せず、脱泡剤のように振る舞い、実質的に再湿潤の性質を示す。柔軟剤で処理された布は、離散的な時間と温度のスケジュールで実行されるものと企図される。好ましい柔軟剤は、脂肪酸アミド基剤の合成および柔軟剤配合への適切な添加剤の添加ならびに酸性触媒によって活性化できる潤滑剤の添加によって作られる。
【0061】
柔軟剤の成分を、望ましい効果および処理される布の性質に応じて変えることができる。全部で8から20の炭素をもつ炭化水素基が、テキスタイル柔軟剤で使用される最も有効な分子群である。好ましくは、乳濁された脂肪酸凝縮物を含むだけでなく、それぞれ様々なシリコーンおよびワックスも含む高級な多機能柔軟剤が企図される。そのような組合せは、明らかに、よりよい効果を考慮するだけでなく、柔軟剤の性質を、個々の要求プロファイルに合うようにしつらえることもできる。
【0062】
室温で、または310°Fから350°Fまでの温度で、2.0秒から2.3秒の好ましい時間の間にそれらを活性化できる限り、布柔軟剤の多くの供給源を使用することができる。例えば、米国特許第4185961号明細書(Danzikによる)は、コラム2の14−21行に、ジメチロールジヒドロキシエチレン尿素(DMDHEU)と酸性触媒とを含む水溶液を含む布柔軟剤を説明する。米国特許第7108725号明細書(Caswellによる)は、コラム61の52−67行およびコラム62の1−45行に、成分の重量%で約5%から約20%のポリジメチルシロキサンまたはその誘導体を含む成分を備える水溶性成分をカプセル化したフィルムを含む布柔軟剤を説明する。
【0063】
シリコーン、酸化エチレン誘導体およびパラフィンまたはポリエチレンに基づく炭化水素ワックスなどの非イオン柔軟剤も、企図される。例えば、シリコーンは無色透明のオイルであり、高温まで安定しており、布を変色させない。
【0064】
忌避剤
多くの供給源の忌避剤を使用することができる。しみ忌避剤は布が、液滴の重さおよび毛細管力だけを含む静的条件で液体および汚れの透過に耐えるように処理する。オイル忌避剤は、オイルが布の上面に存在することに抵抗し、オイルが布の面に透過することを防止する。撥水剤は、より高い静水圧の水の透過を遮断する防水剤とは違って、空気および水蒸気に透過するように布の面の細孔を活性化する。
【0065】
撥水性であるべき布に対して、繊維面の臨界表面張力を 約25から30dynes/cmに下げなければならない。オイル忌避性は、繊維面を13dynes/cmに下げることを必要とする。忌避剤の好ましい供給源は、過フッ化炭化水素の仕上げ剤を含む。フルオロケミカルのポリマはオイルが布の中に透過することを防止し、または、汚れが繊維面に粘着するのを防止する。ほとんどの布のしみは、繊維に着色物を配置する液体によって引き起こされる。洗濯できないテキスタイル、例えば、椅子張り生地およびカーペットに対して、フルオロケミカルの仕上げ剤は、しみおよび汚れの忌避性を非常に効率的で効果的にもたらす。一般的な配合は表2に示される。少なくとも330°Fから370°Fまでの温度で、少なくとも2.2秒から2.4秒の間、仕上げ剤を、単一プロセス昇華ユニットを介して布の上に配合をパッド化することによって、加えることができる。乾燥サイクルは、添加物供給スケジュールの次のステップで、布を過熱することによって達成される。
【表2】

【0066】
パラフィンワックス、疎水基を有する炭化水素、Nメチロールステアルアミド、ピリジニウム化合物、樹脂フォーマなどの忌避剤の他のタイプおよびシリコーンさえも企図される。忌避剤は有機溶媒として加えられる。
【0067】
しみ除去剤
しみ除去剤は、より落ちにくい粒子および布に透過できる汚れを遮断するために布を調整する。ほとんどのしみ除去剤は非イオン性であり、例えば、非イオンしみ除去ポリマは、本明細書に参照により組み込まれている、米国特許第4849257号明細書(Borcher、Sr.らによる)の要約書に説明されている。好ましいしみ除去剤は、エチレンおよび/またはプロピレン基の反復単位のコポリマ単位を含むポリマの薬剤であり、フルオロケミカルのポリマは、オイルおよびしみの除去に対して優れた二重作用を提供する非イオン汚れ除去剤の例である。例えば、3M Companyによって開発された、唯一のブロックコポリマ、Scotchguard Brand Dual−Action Fabric Protectorは、清浄する二重作用を提供する。混成ポリマの主鎖は、長鎖の過フルオロ脂肪族基を含むセグメントに結合されたポリオキシエチレンに基づくセグメントからなる。
【0068】
他の有用なしみ除去剤は、陰イオンおよび陽イオンポリマを含むことができる。適切な陰イオンポリマまたはオリゴマーの汚れ除去剤が、本明細書に参照により組み込まれている、米国特許第4018569号明細書(Changによる)のコラム3の25−50行に開示されている。他の適切なポリマが、本明細書に参照により組み込まれている、米国特許第4808086号明細書(Evansらによる)のコラム2の45−55行に開示されている。
【0069】
少なくとも330°Fから370°Fまでの温度で、少なくとも2.2秒から2.4秒の間、単一プロセス昇華ユニットを介して、布の上に配合物をパッド化することによって、仕上げ剤を好ましくは加えることができる。
【0070】
抗菌剤
抗菌剤は、微生物またはバクテリア因子が布に入ることを防止するために、布の面の特徴を変える。抗菌剤の好ましい供給源は、優れた抗菌剤である、酸化銀などの銀イオンを含む高性能の薬剤を含む。分極電荷を示し、銀は、布の表面に、イオンフィールドを生み出し、バクテリアは、布と接触すると酸化銀とイオンを交換し、代わりに、銀は、それらの細胞壁を切り裂いて開き、バクテリアを殺す。米国特許第6436420号明細書(Antelmanらによる)は、適切な供給源である高性能な銀抗菌剤を説明する。
【0071】
他の銀でない供給源も企図される。米国特許第5271952号明細書(Liangらによる)の要約書、米国特許第4410593号明細書(Tombieらによる)の要約書、米国特許第5458906号明細書(Liangによる)の要約書はすべて、銅イオンを適切な抗菌剤の供給源として開示している。最近の技術は、米国特許第7112621号明細書(Rohrbaughによる)の詳細な説明に記載されたものなど、より大きな透過および分散をするために、ナノポリマを布の面上にカプセル化することを可能にする。最後に、米国特許第6251210号明細書(Bullockらによる)のコラム4の33−50行は、テキスタイルの布の上で対汚染剤、撥水剤、抗菌剤を準備する方法を説明している。これらすべての参考文献は、それらの全体が本明細書内に組み込まれている。
【0072】
同様に、少なくとも330°Fから370°Fまでの温度で、少なくとも2.2秒から2.4秒の間、単一プロセス昇華ユニットを介して、布の上に配合物をパッド化することによって、抗菌剤を好ましくは加えることができる。
【0073】
接着剤
接着剤が、好ましくは、フロック加工のために加えられる。フロック加工は、細かく刻んだ繊維が接着剤で覆われた表面に加えられる布地の飾り付けの方法である。大部分のフロック加工は、細かく切った天然または合成繊維を使用する。フロック加工プロセスでは、繊維の基層は、最初、接着剤で覆われ、続いて、細かいまたは単一繊維(通常、ナイロン、レーヨンまたはポリエステル)が加えられ、乾燥される。フロック加工の仕上げは、学校のイニシャルまたはエンブレムなど装飾的および/または機能的な特徴を表面に与える。
【0074】
個々のストランドの直径は、好ましくは、1cmの数千分の1であり、長さにおいて、0.25mmから5mmまで変動する。好ましい実施形態では、接着剤の層が最初にドナーの基層に加えられ、続いて、高温で急速乾燥される。これは、接着剤から湿気を取り除くが、なお接着剤の結晶構造の性質を残す。次いで、フロック繊維が加えられ、放出のとき、接着剤が、繊維を垂直にし、立ち上がらせて、フロック加工の効果を生み出すことを可能にする低い引張強度をもたらす。
【0075】
フロックは、綿、レーヨン、ナイロンおよびポリエステルなどの天然または合成材料でよい。フロックの好ましいタイプは、カットフロックであり、カットフロックは品質のよい単繊維合成材料から作られる。切断プロセスは、非常に均一な長さのフロックを生み出す。フロックの好ましい長さは、0.3mmから0.5mmまで、直径において1.7−22dtexで変動する。しかし、綿または合成繊維材料の廃棄物から作られるミルドフロックも企図される。
【0076】
フロック加工の目的で様々な接着剤を使用することができる。一般に、フロック接着剤は、単一および2つの部分の両方の触媒システムである。好ましい接着剤は、プラスチゾルまたは水性の接着剤でよく、プラスチゾルインクの濃度をもつ。
【0077】
染料および着色剤
本発明で使用するための好ましい染料および着色剤は、非常に水溶性である染料、例えば、Milliken Chemical Companyから入手できるLIQUITINT染料を含む。
【0078】
任意の染料を本発明の成分において使用することができるが、ゼータ電位モディファヤおよび/または発明性の成分と組み合わせて使用される染料転写抑制剤との相互作用を減らすために、非イオン染料が望ましい。
【0079】
適切な色は、これらには限らないが、Acid Black 1、Acid Blue 3、Acid Blue 9 Aluminum Lake、Acid Blue 74、Acid Green 1、Acid Orange 6、Acid Red 14 Aluminum Lake、Acid Red 27、Acid Red 27 Aluminum Lake、Acid Red 51、Acid Violet 9、Acid Yellow 3、Acid Yellow 3 Aluminum Lake、Acid Yellow 73、アルミニウム粉末、Basic Blue 6、Basic Yellow 11、Carotene、Brilliant Black 1、Bromocresol Green、Chromium Oxide Greens、Curry Red、D&C Blue No.1 Aluminum Lake、D&C Blue No.4、D&C Brown No.1、D&C Green No.3 Aluminum Lake、D&C Green No.5、D&C Orange No.4 Aluminum Lake、D&C Red No.6、D&C Red No.6 Aluminum Lake、D&C Violet No.2、D&C Yellow No.7、D&C Yellow No.11、D&C Blue No.1、FD&C Yellow No.5 Aluminum Lake、酸化鉄、Pigment Orange 5、Pigment Red 83、Pigment Yellow 73、Solvent Orange 1、Solvent Yellow 18、ウルトラマリン、ステアリン酸亜鉛を含む。
【0080】
実施例2−単一パス添加物スケジューリングチャート
本発明の主題の1つの実施形態は、漂白剤、抗菌剤および/またはしみ除去剤の活性化とそれに続く、ドナーのプリントおよび染色を含む、ドナー材料の昇華である。
【0081】
重ね合わされた化学薬剤のそれぞれのスケジュールされた放出および結合が、温度で画定された時間ウィンドーに基づいて、企図される。化学薬剤は、ドナーの基層または成分として加えられる。ドナーが目的対象物(通常、布)に接触して置かれると、熱が組合せ(ドナーおよび対象物)に加えられる。低い温度では、両者とも不活性のままであるが、組合せの温度が上がると、同じ機械内の目的ドナーの染色および/またはプリントの前に、それは、ファブリックエンハンサー剤のそれぞれの内で触媒相変化を促進する。以下のチャートは、化学成分の放出の時間および温度を示す。
【表3】

【0082】
室温下で、特別の染料とプリントを備えるドナーは、昇華の前に、1:20の濃度の漂白剤、次亜塩素酸カルシウムと、1:50の濃度の酸化銀、抗菌剤と、スコッチガード、しみ除去剤とで調整された。
【0083】
ドナーが処理されると、それは、260°Fの最適温度の予備加熱から始まる単一パス昇華装置を通る。昇華プロセスは、点Aで始まり、低い温度と短い昇華時間のために、ドナーは不活性のままである。ドナー材料が、温度290°F、1.8秒の点B1で昇華を続けるとき、次亜塩素酸カルシウム、漂白剤が活性化される。漂白剤の活性化の直後に、ドナー材料は、単一パス昇華機械を通って、さらに進み、抗菌剤が、温度330°F、2.0秒の点B2で活性化される。次に、しみ除去剤が、さらに高い温度365°F、通算昇華時間2.25秒の点B3で活性化される。次いで、中断なく、昇華単一パス機械は、温度385°F、通算昇華時間2.5秒の点Cで、レシーバ、昇華単一パス機械の染色および印刷段階の布の上にドナーを昇華させる。全昇華プロセスを、1分より少ない時間で、連続した継ぎ目のないプロセスで、いかなる環境への影響もなく終えることができる。
【0084】
したがって、添加物の時間および温度のスケジューリングの特定の実施形態および応用例が開示された。しかし、当分野の技術者には、すでに説明されたものに加えて、本明細書内の発明性の概念から逸脱することなく、多くのさらなる変更が可能であることが明らかである。したがって、発明性の主題は、添付の特許請求の範囲の趣旨を除いて、限定されない。さらに、明細書および特許請求の範囲の両方の解釈において、すべての項目は、文脈と一致した、できる限り広い方法で解釈されるべきである。特に、「含む」および「含んでいる」という用語は、要素、構成要素またはステップを非独占的なように言及し、言及された要素、構成要素またはステップは提示され、または使用され、または明示的に参照されていない他の要素、構成要素またはステップと組み合わせることを示すと解釈されるべきである。特許請求の範囲が、A、B、C・・・およびNからなる群から選択されるものの少なくとも1つを指す場合には、文は、AとN、またはBとNなどではなく、群から1つの要素だけを必要とすると解釈されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本明細書中の教示による、処理装置の概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の温度より上でドナーから昇華する第1のファブリックエンハンサー剤と、第2の温度より上でドナーから昇華する第2のファブリックエンハンサー剤とを含み、第1および第2の温度がそれぞれ260°Fより上であり、第2の温度が第1の温度より少なくとも10°F高い、昇華ドナー。
【請求項2】
それぞれ第1および第2の温度で昇華するように第1および第2のファブリックエンハンサー剤を促進する第1および第2の触媒をさらに含む、請求項1記載のドナー。
【請求項3】
触媒の少なくとも1つが、オレフィン、スルフォニウム化合物、ポリアニリン化合物およびテトラアミド大環状配位子からなる群から選択される、請求項2記載のドナー。
【請求項4】
ファブリックエンハンサー剤が仕上げ剤である、請求項1記載のドナー。
【請求項5】
ファブリックエンハンサー剤が調整剤である、請求項1記載のドナー。
【請求項6】
ファブリックエンハンサー剤の少なくとも1つが、漂白剤である、請求項1記載のドナー。
【請求項7】
ファブリックエンハンサー剤の少なくとも1つが、抗菌物質である、請求項1記載のドナー。
【請求項8】
ファブリックエンハンサー剤の少なくとも1つが、しみ除去剤である、請求項1記載のドナー。
【請求項9】
第1および第2のファブリックエンハンサー剤が、漂白剤、抗菌物質およびしみ除去剤からなる群から選択される、請求項1記載のドナー。
【請求項10】
第1と第2の温度が、少なくとも20°F異なる、請求項1記載のドナー。
【請求項11】
第1と第2の温度が、少なくとも30°F異なる、請求項1記載のドナー。
【請求項12】
それぞれが、少なくとも360°Fの温度でドナーから昇華する、第1および第2の異なる着色剤をさらに含む、請求項1記載のドナー。
【請求項13】
布が第1と第2の着色剤の両方を目で検出できる量含み、布がさらに第1のファブリックエンハンサー剤を検出できる量含み、第1のファブリックエンハンサー剤が漂白剤、抗菌物質およびしみ除去剤からなる群から選択される、請求項12記載の昇華ドナーを使用して作られた布。
【請求項14】
第1と第2の着色剤が、連続した配置で、布の上に昇華される、請求項13に記載の布。
【請求項15】
布が第2のファブリックエンハンサー剤の検出できる量を含み、第1と第2のファブリックエンハンサー剤がそれぞれ、漂白剤、抗菌物質およびしみ除去剤からなる群から選択される、請求項13に記載の布。
【請求項16】
昇華プリントデバイスを動作させる方法であって、
請求項1によりドナーを提供するステップと、
レシーバの少なくとも一部にドナーの少なくとも一部を近接させるステップと、
次いで、温度(T1)から温度(T2)に、Q=M・(T1−T2)・Sで定義される時間(S)の間で、ドナーを加熱するステップと
を含む、方法。
【請求項17】
Qがドナーを昇華させるためのカロリーで表わされたエネルギーである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
Mがレシーバの質量である、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
第1の温度より上でレシーバに対して活性になる第1のファブリックエンハンサー剤と、第2の温度より上でレシーバに対して活性になる第2のファブリックエンハンサー剤とを含むレシーバであって、第1および第2の温度が、それぞれ260°Fより上であり、第2の温度が、第1の温度より少なくとも10°F高い、レシーバ。
【請求項20】
昇華プリントデバイスを動作させる方法であって、
請求項1によりドナーを提供するステップと、
レシーバの少なくとも一部にドナーの少なくとも一部を近接させるステップと、
次いで、温度260°Fから温度420°Fまでに、少なくとも0.3秒の間にわたって、ドナーを加熱するステップと
を含む、方法。

【図1】
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【公表番号】特表2009−530513(P2009−530513A)
【公表日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−501593(P2009−501593)
【出願日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際出願番号】PCT/US2007/007322
【国際公開番号】WO2007/112037
【国際公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【出願人】(508284975)コロレツプ・インコーポレイテツド (2)
【Fターム(参考)】