説明

清掃体ホルダ、清掃用具

【課題】 複数の保持体を介して清掃体を保持する構成の清掃体ホルダにおいて、安価な構造で清掃体ホルダの使用形態を多様化させるのに有効な技術を提供する。
【解決手段】 本発明に係る清掃用具100の清掃体ホルダ130は、使用者の手指によって把持されるハンドル部150と、清掃体100を保持するべくハンドル部150から並行して所定の長尺方向にそれぞれ延在する2つの保持体142,142と、を含み、2つの保持体142,142がいずれも平板状の長尺部材として構成され、平板状の長尺部材は、ハンドル部150側の固定端部142aと、長尺方向に関し固定端部142aとは反対側の自由端部142bと、固定端部142aと自由端部142bとの間に設けられ、互いに法線ベクトルの異なる複数の延在面が長尺方向に沿って連接された延在部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、清掃用具に係り、詳しくは清掃対象を清掃するための清掃用具の構築技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特開2009−273729号公報(特許文献1)には、清掃掃対象の清掃処理を行うシート状の清掃体を備える清掃用具として、清掃体ホルダの2つの保持板によって清掃体が保持される構成の清掃用具が開示されている。この清掃用具では、各保持板は特に上下方向に関して定の可撓性を有する。また、特開2007−50251号公報(特許文献2)には、螺旋状に構成された1つの保持板を清掃体に装着することによって清掃体を螺旋状に設定するように構成された清掃用具が開示されている。一方で、種々の清掃の用途に対応するためには、清掃体を保持する保持体を複数設ける構成が要請されるが、この種の清掃用具を設計する際には、清掃体ホルダの複数の保持体にそれぞれ、より多くの方向の可撓性を持たせることによって、清掃作業の円滑化を図る技術が要請される。また、その場合には、特開2010−268975号公報(特許文献3)に開示のように、高価な材質である熱可塑性エラストマーを用いることなく、比較的安価に清掃体ホルダを製造できることが望ましい。これに対して、上記の特許文献1の清掃用具によれば、清掃体ホルダの可撓性を有する方向が制限され、また上記の特許文献2の清掃用具によれば、1つの保持板のみからなる清掃体ホルダが使用されるため、いずれの場合も当該清掃体ホルダの使用形態が限定されるという問題が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−273729号公報
【特許文献2】特開2007−50251号公報
【特許文献3】特開2010−268975号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、複数の保持体を介して清掃体を保持する構成の清掃体ホルダにおいて、安価な構造で清掃体ホルダの使用形態を多様化させるのに有効な技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を達成するため、各請求項に記載の発明が構成される。
【0006】
本発明にかかる清掃体ホルダは、清掃対象の清掃に用いられる清掃体を保持する長尺状のホルダ部材であって、把持部及び2つの保持体を含む。この場合、清掃体ホルダは2つの保持体に加えて更なる保持体を含むように構成されてもよい。把持部は、使用者によって把持される把持領域として構成される。各保持体は、清掃体を保持するべく把持部から並行して所定の長尺方向に延在する保持部材として構成される。ここでいう「並行」に関しては、2つの保持体が並置される形態であればよく、2つの保持体が互いに平行に配設される形態や、2つの保持体間の距離が先端側に向かうにつれて縮小される形態などが包含される。これら2つの保持体がいずれも平板状の長尺部材として構成され、この平板状の長尺部材は、固定端部、自由端部及び延在部を備える。固定端部は、長尺部材のうち把持部側の端部として構成される。自由端部は、長尺部材のうち長尺方向に関し固定端部とは反対側の端部として構成される。延在部は、固定端部と自由端部との間に設けられ、互いに法線ベクトルの異なる複数の延在面が長尺方向に沿って連接された部位として構成される。即ち、この延在部では、垂直なベクトルの異なる複数の延在面が互いに連接しつつ長尺方向に延在している。本態様には、平板状の長尺部材が固定端部から自由端部に向けて延在する過程で、当該長尺部材の延在面の法線ベクトルが長尺方向に沿って連続的に変化する構成や、当該長尺部材の延在面の法線ベクトルが長尺方向に沿って断続的或いは段階的に変化する構成が包含される。また、延在部を構成する延在面には、平面、曲面、段差面等が包含される。
【0007】
このような構成によれば、各保持体では、固定端部と自由端部との間に、互いに異なる方向に向かう複数の延在面が長尺方向に沿って形成されることとなり、当該保持体が可撓性を有する方向を増やすことが可能となる。これにより、使用者は把持部を持ち替えることなく種々の清掃の用途に対応することができ、以って清掃体ホルダの使用形態を多様化させることが可能となる。また、各保持体の形状の工夫によって当該保持体が可撓性を有する方向を増やす構造を採用することによって、材料面での制限を受けることがなく、少なくとも保持体を製造するのに、特に高価な熱可塑性エラストマー等の樹脂を使用することなく、高硬度で可撓性のない、或いは可撓性の低い安価な材料を用いることが可能となる。
【0008】
本発明にかかる更なる形態の清掃体ホルダでは、前記の延在部は、固定端部と自由端部との間で長尺部材の長軸まわりに所定の捩じれ形状を形成しつつ長尺方向に延在することによって、複数の平面を形成する構成であるのが好ましい。このような構成によれば、長尺方向に関し互いに法線ベクトルの異なる複数の延在面を、平板状の長尺部材の捩じれ形状によって簡便に形成させることができる。このとき、長尺方向に関して各保持体の延在面の向きが捩じれ面にしたがって徐々に変化するため、結果的に互いに異なる方向に向かう複数の延在面が形成されることとなる。ここでいう所定の捩じれ形状に関しては、当該捩じれ形状が一定の方向にのみ捩じられた形状であってもよいし、或いは異なる複数方向に捩じられた形状が互いに組み合わせられてもよい。また、一方の保持体の延在部の捩じれ形状と、他方の保持体の捩じれ形状は、同一の形態であってもよいし、或いは異なる形態であってもよい。
【0009】
本発明にかかる更なる形態の清掃体ホルダでは、一方の平板状の長尺部材は、延在部として長軸まわりに右回転方向に捩じられつつ長尺方向に延在する右回転方向捩じれ部を有し、且つ他方の平板状の長尺部材は、延在部として長軸まわりに左回転方向に捩じられつつ長尺方向に延在する左回転方向捩じれ部を有するのが好ましい。このような構成によれば、一方の長尺部材と他方の長尺部材とで可撓性を有する方向を異ならせることができ、清掃体ホルダの使用形態をより多様化させることが可能となる。
【0010】
本発明にかかる更なる形態の清掃体ホルダでは、2つの平板状の長尺部材はそれぞれ、当該2つの長尺部材の並置面と交差する方向に関する上縁部及び下縁部を有し、また拡張部及び縮小部が形成される構成であるのが好ましい。拡張部は、一方の平板状の長尺部材の上縁部と、他方の平板状の長尺部材の上縁部との間の距離が、固定端部から自由端部に向かうにつれて徐々に拡張された部位として構成される。縮小部は、一方の平板状の長尺部材の下縁部と、他方の平板状の長尺部材の下縁部との間の距離が、固定端部から自由端部に向かうにつれて徐々に縮小された部位として構成される。このような構成によれば、拡張部に荷重が作用した場合、2つの長尺部材は、当該拡張部の形状にしたがって互いに離間する方向へと撓みつつ変位する。従って、この拡張部を使用することによって、清掃体を介して例えば比較的広い清掃面を拭く場合や、清掃対象物を挟み込んで拭く場合に効果的である。一方で、縮小部に荷重が作用した場合、2つの長尺部材は、当該縮小部の形状にしたがって互いに近接する方向へと撓みつつ変位する。従って、この縮小部を使用することによって、清掃体を介して例えば比較的狭い場所や隙間を清掃する場合に効果的である。
【0011】
本発明にかかる更なる形態の清掃体ホルダでは、平板状の長尺部材は、略長方形の断面形状を有し、当該断面形状の一方の短辺に相当する縁部によって上縁部が形成され、当該断面形状の他方の短辺に相当する縁部によって下縁部が形成されるのが好ましい。このような構成によれば、上縁部及び下縁部をともに平板状の保持体自体(縁部)によって形成することができるため、清掃体ホルダの構造を簡素化することが可能となる。
【0012】
本発明にかかる清掃用具は、前記構成の清掃体ホルダと、当該清掃体ホルダによって保持され清掃対象の清掃に用いられる清掃体と、を含む。清掃体は、長尺状の複数の分割清掃部に分割されるとともに、被挿入領域及び空間部を備える。被挿入領域は、保持体を挿入するべく各分割清掃部に設けられた領域として構成される。空間部は隣接する2つの分割清掃部間に設けられ清掃対象を挿入可能な部位として構成される。このような構成によれば、保持体が被挿入領域に挿入された取り付け状態では、清掃体が清掃体ホルダによって保持される。また、この保持状態で空間部に清掃対象が挿入されることによって、当該清掃対象を2つの分割清掃部間に挟みつつ清掃する清掃形態を実現することができる。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明によれば、複数の保持体を介して清掃体を保持する構成の清掃体ホルダにおいて、安価な構造で清掃体ホルダの使用形態を多様化させることが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施の形態の清掃用具100を構成する清掃体110及び清掃体ホルダ130を互いに組み付ける前の状態の斜視図である。
【図2】図1中の清掃体ホルダ130の保持体142,142を上方から視た図である。
【図3】図1中の清掃体ホルダ130の保持体142,142を下方から視た図である。
【図4】図2中の保持体142,142のC−C線についての断面構造を示す図である。
【図5】図2中の保持体142,142のD−D線についての断面構造を示す図である。
【図6】図2中の保持体142,142のE−E線についての断面構造を示す図である。
【図7】図2中の保持体142,142のF−F線についての断面構造を示す図である。
【図8】図1中の清掃体110を各積層要素に分解した状態の斜視図である。
【図9】図8中の清掃体110の保持シート部112の斜視図である。
【図10】図1中の清掃体110のA−A線に関する断面構造を示す図である。
【図11】図1中の清掃体110のB−B線に関する断面構造を示す図である。
【図12】別実施の形態の保持体242,242の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明にかかる「清掃用具」の一実施の形態である清掃用具100の構成を、図面を参照しつつ詳細に説明する。この清掃用具100は、各種の清掃対象を清掃するのに用いられる。典型的な清掃対象としては、一戸建て、マンション、ビル、工場、車両等の室内、室外、屋外における被清掃領域(床面、壁面、窓、天井面、外壁面、柱、家具面、衣類、カーテン、ブラインド、寝具、照明、電気コード類、家電品等)や、人体の各構成部位における被清掃領域等が挙げられる。これら各種の清掃対象として、平面構造或いは立体構造のものが挙げられる。この場合、清掃対象における被清掃領域は、平面、曲面、凹凸面、段差面などによって構成される。
【0016】
本実施の形態の清掃用具100に関し、清掃体110及び清掃体ホルダ130を互いに組み付ける前の状態が図1に示されており、この図1によれば、清掃用具100は、その構成要素が清掃体(「モップ」ともいう)110と清掃体ホルダ130に大別される。
【0017】
清掃体110は、清掃対象における被清掃領域のごみ、埃、塵ないし汚れ(以下、「被清掃物」ともいう)を拭き取る拭き取り機能、被清掃物を掃き取る掃き取り機構、或いは被清掃物を掻き取る掻き取り機能を有する。この清掃体110は、販売時或いは未使用時にはシート状ないし平板状とされる一方、使用時には解されてシート厚み方向に関し嵩高な状態とされる。詳細については後述するが、この清掃体110は、所定の長手方向(長辺の延在方向)に長尺状に延在するような平面視が長方形のシート体であって、それぞれが同様の平面形状を有する複数のシート(後述する清掃体シート部116及び保持シート部112)が互いに重ねられた積層構造になっている。ここでいう清掃体110が、本発明における「清掃体」に相当する。
【0018】
なお、必要に応じては、この清掃体110を、平面視が長方形以外の他の形状、例えば平面視が正方形の清掃体として構成することもできる。また、平面視が長方形ないし正方形とされたこの清掃体110の隅部(角部)は、必要に応じて直角状或いは曲線状とされるのが好ましい。この清掃体110は、一回使用を目安とした使い捨てタイプのものや、清掃対象における被清掃領域から除去した被清掃物を刷毛部において保持しつつ複数回の使用を目安として交換を行う使い捨てタイプのものであってもよいし、或いは洗濯などを行ったうえで繰り返し使用することが可能なタイプのものであってもよい。
【0019】
清掃体ホルダ130は、上記構成の清掃体110に対し取り付け及び取り外しが自在とされており、それぞれが互いに連接するホルダ本体140及びハンドル部150からなる長尺状の部材として構成されている。この清掃体ホルダ130は、典型的には合成樹脂材料によって構成される。ここでいう清掃体ホルダ130が、本発明における「清掃体ホルダ」に相当する。ハンドル部150は、長尺状に延在するハンドル本体151を備え、このハンドル本体151が接続部152を介してホルダ本体140に接続されている。ハンドル部150のハンドル本体151は、使用者の手指によって把持される部位とされる。この清掃体ホルダ130の構造に関しては、ホルダ本体140及びハンドル部150(ハンドル本体151及び接続部152)の各々を別体構造として組み付け自在とする構成や、ホルダ本体140及びハンドル部150を接続部152とともに一体成型とする構成、またホルダ本体140、ハンドル本体151及び接続部152のいずれか二つを一体成型とする構成などを適宜採用することができる。ここでいうハンドル部150、ハンドル本体151及び接続部152が、本発明における「把持部」を構成する。
【0020】
ホルダ本体140は、清掃体110を保持する機能を有する。このホルダ本体140は、左右一対の保持体142,142を備えている。ここでいう左右一対の保持体142,142とは、ハンドル部150の長手方向を前後方向として規定した場合、ハンドル部150の長手方向と交差する左右方向に関し、2つの保持体142,142が互いに並置された態様として規定される。
【0021】
これら一対の保持体142,142はいずれも、固定端部(「基端部」ともいう)142aから自由端部(「先端部」ともいう)142bに向けて第1の方向D1に長尺状に延在している。この場合の固定端部142aは、保持体142の各部位のうち接続部152側の端部であり、自由端部142bは、第1の方向D1に関し固定端部142aとは反対側の端部である。即ち、本実施の形態のホルダ本体140は、その先端側が保持体142,142によって二股状に分かれたフォーク形状を有する。これら2つの保持体142,142は、所定の間隔を空けて(挿入空間144を隔てて)互いに平行に(並行して)延在する構成であるのが好ましい。また、典型的には各保持体142が長手状の延在する延在長さを100〜180mmの範囲に設定するのが好ましい。ここでいう保持体142,142が、本発明における「保持体」及び「長尺部材」に相当する。
【0022】
各保持体142には、当該保持体から第2の方向D2に沿って保持体外方へと突出する突片143が設けられている。この突片143は、各保持体142の長手方向に関し1または複数設けられるのが好ましい。これにより、各保持体142のうち突片143が設けられた部位は、当該保持体の各部位のうち左右方向の径が最も拡張された拡径部として構成される。
【0023】
なお、本明細書中では、各保持体142が長尺状に延在する第1の方向D1は、清掃用具100ないし清掃体110に関する「清掃体前後方向」として規定される。また、一対の保持体142,142の並置方向、即ち各保持体の延在方向と交差する第2の方向D2方向は、清掃用具100ないし清掃体110に関する「清掃体左右方向」として規定される。更に、各保持体142の上下方向、即ち清掃体ホルダ装着時の清掃体100の厚み方向は、第1の方向D1及び第2の方向D2の双方と交差する第3の方向として規定される。この場合、使用者がハンドル部150を把持した状態で一対の保持体142,142の上縁部を視たとき、左右一対の保持体のうち右側に位置する一方の保持体を右側の保持体142ともいい、また左側に位置する他方の保持体を左側の保持体142ともいう。また、清掃体ホルダ装着時において、保持体142の先端142bの領域が、「清掃体前端領域」或いは「清掃体前端側」としても規定され、保持体142の固定端部142aの領域が、「清掃体後端領域」或いは「清掃体後端側」としても規定される。
【0024】
各保持体142は、清掃体110の被挿入領域(後述する挿入孔115)への挿入が可能とされており、この挿入状態において清掃体110を保持する機能を有する。この挿入状態においては、各保持体142が清掃体110側の被挿入領域に密着状に摺接して嵌まり込み、清掃体110に対し止着作用を付与する。更に、この挿入状態においては、各保持体142の拡径部である突片143が清掃体110の抜け止めとして作用する。これにより、各保持体142を清掃体110側の被挿入領域に挿入した挿入状態では、清掃体110がホルダ本体140によって抜け止めされつつ確実に保持されることとなる。
【0025】
上記清掃体ホルダ130の保持体142,142の更なる具体的な構造に関しては、図1に加えて更に図2〜図7が参照される。ここで、図2には図1中の保持体142,142を上方から視た図が示され、図3には図1中の保持体142,142を下方から視た図が示されている。また図3〜図7にはそれぞれ保持体142,142の図3中での異なる領域での断面図が示されている。
【0026】
本実施の形態では、特に図1及び図2が参照されるように、各保持体142はいずれも板厚がほぼ一定寸法に設定された平板状ないし扁平状の長尺部材として構成されている。各保持体142は、略長方形の断面形状を有する。また各保持体142は、固定端部142aと自由端部142bとの間で所定の捩じれ形状を形成しつつ、当該保持体の長尺方向である第1の方向D1に延在している。ここでいう固定端部142a及び自由端部142bがそれぞれ、本発明における「固定端部」及び「自由端部」に相当する。
【0027】
具体的には、右側の保持体142は、固定端部142aから第1の方向D1の長軸A1まわりに右回転方向に捩じられつつ第1の方向D1に自由端部142bまで延在する延在部、即ち右回転方向捩じれ部を有している。固定端部142aと自由端部142bとの間のこの延在部が、本発明における「延在部」及び「右回転方向捩じれ部」に相当する。これに対して、左側の保持体142は、固定端部142aから第1の方向D1の長軸A2まわりに左回転方向に捩じられつつ第1の方向D1に自由端部142bまで延在する延在部、即ち左回転方向捩じれ部を有している。固定端部142aと自由端部142bとの間のこの延在部が、本発明における「延在部」及び「左回転方向捩じれ部」に相当する。最終的にこれら2つの保持体142,142では、いずれも固定端部142aから自由端部142bに至るまでの範囲で、およそ150°の捩じれ角(「変位角」ともいう)を形成している。この捩じれ角は、各保持体142の捩じれ形状に応じて適宜の選択が可能であり、例えば90°を下回る捩じれ角や180°を上回る捩じれ角を選択することもできる。
【0028】
各保持体142の各部位のうち上記の捩じれ形状を形成する延在部によれば、互いに法線ベクトル(垂直なベクトル)の異なる複数の延在面が長軸A1又はA2に沿って(長尺方向に沿って)連接される。これにより、長尺方向に関して各保持体の延在面の向きが捩じれ面にしたがって徐々に変化するため、結果的に互いに異なる方向に向かう複数の延在面が形成されることとなる。図4が参照されるように、図2中のC−C線断面の部位、即ち自由端部142bの近傍の部位では、各保持体142はいずれも、第2の方向D2に沿った平面P1上にて延在している。従って、この部位においては、左右の保持体142,142は、第2の方向D2及び第3の方向D3のいずれに関しても対称な断面形状を形成する。これにより、平面P1上に延在する第1延在面11,11は、特に第3の方向D3の可撓性を有する。
【0029】
図5が参照されるように、図2中のD−D線断面の部位では、各保持体142はいずれも、第2の方向D2に沿った平面P1と交差する平面P2或いはP3上にて延在している。この場合、平面P2と平面P3は互いに交差しつつ延在している。従って、この部位においては、左右の保持体142,142は、第2の方向D2に関しては対称な断面形状を形成する一方で、第3の方向D3に関しては非対称な断面形状を形成する。これにより、平面P2上に延在する第2延在面12、及び平面P3上に延在する第3延在面13はいずれも、特に第2の方向D2及び第3の方向D3の双方に交差する方向の可撓性を有する。
【0030】
図6が参照されるように、図2中のE−E線断面の部位では、各保持体142はいずれも、第2の方向D2に沿った平面P1と直交する平面P4或いは平面P5上にて延在しており、更に平面P1上にて延在する突片143との協働によってT字状の断面形状を形成している。この場合、平面P4と平面P5は互いに平行に延在している。従って、この部位においては、左右の保持体142,142及びそれに連接する突片143は、第2の方向D2及び第3の方向D3のいずれに関しても対称な断面形状を形成する。これにより、平面P1上に延在する第4延在面14,14は、特に第3の方向D3の可撓性を有し、また平面P4或いは平面P5上に延在する第5延在面15,15は、特に第2の方向D2の可撓性を有する。
【0031】
また、このE−E線断面の部位は、保持体142の捩じれ量(捩じれ度合)が大きい部位であり、当該部位に突片143を設けることによって、負荷による過剰な変形を防止する機能(補強部としての機能)が発揮される。従って、本来、清掃体110の抜け止めとしての機能を果たす突片143が、保持体142のための補強部としての機能も果たすため合理的である。
【0032】
図7が参照されるように、図2中のF−F線断面の部位、即ち固定端部142aの近傍の部位では、各保持体142はいずれも、第2の方向D2に沿った平面P1と交差する平面P6或いはP7上にて延在している。この場合、平面P6と平面P7は互いに交差しつつ延在している。従って、この部位においては、左右の保持体142,142は、第2の方向D2に関しては対称な断面形状を形成する一方で、第3の方向D3に関しては非対称な断面形状を形成する。これにより、平面P6上に延在する第6延在面16、及び平面P7上に延在する第7延在面17はいずれも、特に第2の方向D2及び第3の方向D3の双方に交差する方向の可撓性を有する。
【0033】
各保持体142の上記構成によれば、固定端部142aと自由端部142bとの間に、互いに異なる方向に向かう複数の延在面が長尺方向に沿って形成されるため、ホルダ本体140の保持体142,142は任意の方向についての可撓性が得られる。即ち、右側保持体142は、互いに異なる方向に向かう複数の延在面として、少なくとも第1延在面11、第2延在面12、第4延在面14、第5延在面15及び第6延在面16を形成する。従って、右側保持体142に関しては、第1延在面11、第2延在面12、第4延在面14、第5延在面15及び第6延在面16に加えて、これらの各延在面の間に連接して延在する延在面が、互いに法線ベクトルの異なる延在面が長尺方向に沿って連接された延在部を構成している。同様に、左側保持体142は、互いに異なる方向に向かう複数の延在面として、少なくとも第1延在面11、第3延在面13、第4延在面14、第5延在面15及び第7延在面17を形成する。従って、左側保持体142に関しては、第1延在面11、第3延在面13、第4延在面14、第5延在面15及び第7延在面17に加えて、これらの各延在面の間に連接して延在する延在面が、互いに法線ベクトルの異なる延在面が長尺方向に沿って連接された延在部を構成している。これにより、各保持体142は、当該延在面のそれぞれと交差する、少なくとも5つの異なる方向についての可撓性を有するため、当該保持体142が可撓性を有する方向を増やすことが可能となり、例えば接続部152を中心としておよそ360°の範囲を可動範囲として任意の方向に撓むことができる。ここでいう第1〜第7延在面11〜17によって、本発明における「互いに法線ベクトルの異なる複数の延在面」が構成される。
【0034】
上記構成によれば、使用者はハンドル部150を持ち替えることなく種々の清掃の用途に対応することができ、以って清掃体ホルダ130の使用形態を多様化させることが可能となる。特に、本実施の形態では、一方の保持体142と他方の保持体142とで可撓性を有する方向を異ならせることができ、清掃体ホルダ130の使用形態をより多様化させることが可能となる。また、本実施の形態によれば、長尺方向に関し互いに法線ベクトルの異なる複数の延在面(第1〜第7延在面11〜17)を、平板状の長尺部材の捩じれ形状によって簡便に形成させることができる
【0035】
また、各保持体142の形状の工夫によって当該保持体が可撓性を有する方向を増やす構造を採用することによって、材料面での制限を受けることがなく、少なくとも保持体142,142を製造するのに、特に高価な熱可塑性エラストマー等の樹脂を使用することなく、高硬度で可撓性のない、或いは可撓性の低い安価な材料を用いることが可能となる。このような安価な材料として、例えばPP(ポリエチレン)樹脂を用いることができる。また、必要に応じては、PP樹脂を主材料として、当該PP樹脂にPE(ポリエチレン)、LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)、エラストマー等の可撓性を有する材料が任意の割合で配合された材料を用いることもできる。
【0036】
また、図2及び図3が参照されるように、各保持体142の縁部142cは、略長方形の断面形状の短辺に相当する部位であり、第1の方向D1に関する先端側領域(例えば、図2中のC−C線断面の部位)では当該保持体の外側面145を構成している。また、図2及び図3が参照されるように、各保持体142の縁部142cは、第1の方向D1に関する基端側領域146(例えば、図2中のE−E線断面の部位)では当該保持体の上縁部147及び下縁部148を構成している。具体的には、上縁部147は、略長方形の断面形状の一方の短辺に相当する縁部142cによって形成され、2つの保持体142,142の並置面(例えば、図4中の平面P1)と交差する方向に関する上部構成面(「上面」ともいう)を構成する。一方で、下縁部148は、略長方形の断面形状の他方の短辺に相当する縁部142cによって形成され、当該並置面と交差する方向に関する下部構成面(「下面」ないし「底面」ともいう)を構成する。ここでいう上縁部147及び下縁部148がそれぞれ、本発明における「上縁部」及び「下縁部」に相当する。このような構成によれば、上縁部147及び下縁部をともに平板状の保持体142自体(縁部142c)によって形成することができるため、清掃体ホルダ130の構造を簡素化することが可能となる。
【0037】
この場合、図2に示すように、保持体142,142は、2つの上縁部147間の距離(間隔)d1が固定端部142aから自由端部142bに向けて徐々に拡張されるように構成された拡張部を有する。ここでいう拡張部が、本発明における「拡張部」に相当する。このような構成によれば、保持体142,142の拡張部(2つの上縁部147,147)に荷重(負荷)が作用した場合、2つの保持体142,142は、当該拡張部の形状にしたがって互いに離間する方向(図2中の白抜き矢印の方向)へと撓みつつ変位する。従って、保持体142,142の2つの上縁部147,147を使用することによって、清掃体100を介して例えば比較的広い清掃面を拭く場合や、清掃対象物を挟み込んで拭く場合に効果的である。
【0038】
一方で、図3に示すように、保持体142,142は、2つの下縁部147間の距離(間隔)d2が固定端部142aから自由端部142bに向けて徐々に縮小されるように構成された縮小部を有する。ここでいう縮小部が、本発明における「縮小部」に相当する。このような構成によれば、保持体142,142の縮小部(2つの下縁部148,148)に荷重(負荷)が作用した場合、2つの保持体142,142は、当該縮小部の形状にしたがって互いに近接する方向(図3中の白抜き矢印の方向)へと撓みつつ変位する。従って、保持体142,142の2つの下縁部148,148を使用することによって、清掃体100を介して例えば比較的狭い場所や隙間を清掃する場合に効果的である。
【0039】
なお、各保持体142の断面形状については、図4〜図7に示す断面形状に限定されるものではなく、円形、楕円形、半円形、半楕円形、三角形、四角形、多角形、V字形、Y字形、X字形、星形等、必要に応じて適宜変更が可能である。この場合、各保持体142の板厚を、当該保持体の各部位に応じて異なる寸法に設定することができる。
【0040】
次に、上記清掃体110の具体的な構造に関し、図1に加え更に図8〜図11を参照しつつ詳細に説明する。ここで、図8には、図1中の清掃体110を各積層要素に分解した状態の斜視図が示される。また、図9は、図8中の清掃体110の保持シート部112の構成を示す斜視図である。また、図10には、図1中の清掃体110のA−A線に関する断面構造が示され、図11には、図1中の清掃体110のB−B線に関する断面構造が示されている。
【0041】
清掃体100は、図8が参照されるように、第3の方向D3に関し保持シート部112の両面に清掃体シート部116,116が積層状に重ねられた構成になっている。この清掃体110は、図9及び図10に示すように清掃体前後方向(第1の方向D1)に延在するスリット状の空間部125を備えている。この空間部125は、典型的には保持シート部112の中央部分が清掃体前後方向に関し直線状、曲線状ないし波線状に切り込まれた切り込み部分として構成される。この空間部125は、典型的には清掃体前後方向に直線状、曲線状、或いは波線状に延在する構成とされる。
【0042】
また、この清掃体110は、図10が参照されるように、空間部125を挟んで左右一対の長尺状の分割清掃部124,124に分割される。ここでいう左右一対の分割清掃部124,124とは、清掃体前後方向と交差する左右方向(第2の方向D2)に関し2つの分割清掃部124,124が並置された態様として規定される。ここでいう2つの分割清掃部124,124によって、本発明における「複数の分割清掃部」が構成される。分割清掃部124,124間に形成される空間部125は、清掃体110が清掃体ホルダ130に取り付けられたときに、2つの保持体142,142間に形成された挿入空間144に合致し、清掃処理がなされる清掃対象を挿入可能な空間部として構成される。ここでいう空間部125が、本発明における「空間部」に相当する。これにより、各保持体142が清掃体110に取り付けられた取り付け状態で、空間部125に清掃対象が挿入されることによって、当該清掃対象を2つの分割清掃部124,124間に挟みつつ清掃する清掃形態が実現される。
【0043】
保持シート部112は、特に図9に示すように、2片の保持シート114,114の間に基材シート113を介在させ、またこの基材シート113が各保持体142の挿入側に保持シート114よりも若干突出するように構成されている。そして、この保持シート部112は、分割清掃部124ごとに溶着接合部121(「融着部」ともいう)によって互いに接合されるように構成されている。この溶着接合部121は、その接合部分が清掃体前後方向に沿って連続状に延在する単一の接合線として構成されている。
【0044】
この保持シート部112において、2片の保持シート114,114が互いに対向することによって形成される対向空間は、各保持体142の挿入を許容するべく分割清掃部124の長尺方向に長手状に延在する挿入孔115(挿入空間)として構成される。このとき、基材シート113は、保持シート114よりも各保持体142の挿入側に突出することによって、挿入孔115の開口部115aへ各保持体142を円滑に誘導することができる。各保持体142が各挿入孔115に挿入された取り付け状態では、清掃体110が清掃体ホルダ130によって保持される。保持体142が挿入孔115に挿入される挿入動作の際、分割清掃部124は、保持体142に対する挿入孔115の大きさや形状によっては、保持体142の捩じれ形状にしたがって捩じられつつ取り付けられる形態や、当該捩じれ形状に影響さえることなく取り付けられる形態を採り得る。分割清掃部124の長尺方向は、典型的には、清掃体110に清掃体ホルダ130が取り付けられた状態において、保持体142の延在方向としても規定される。ここでいう挿入孔115が、本発明における「被挿入領域」に相当する。なお、この挿入孔115を、保持体の挿入を許容する挿入孔以外の被挿入領域、例えばスリット、切り込み等に置き換えることもできる。
【0045】
一方、各清掃体シート部116は、図8に示すように、3つの繊維集合体117及び表面シート118が積層状に重ねられた状態で、保持シート部112の両面(上縁部及び下縁部)に配設されるように構成されている。このとき、表面シート118が清掃体110の表面に露出するように各清掃体シート部116が配設される。なお、必要に応じて、保持シート部112の片面のみに清掃体シート部116が配設された構成を採用することもできる。
【0046】
更に、上記の保持シート部112及び清掃体シート部116,116は、特に図10が参照されるように、保持シート部112の両面に清掃体シート部116,116が積層状に重ねられた状態で、溶着接合部120によって互いに接合されるように構成されている。この溶着接合部120は、その接合部分が清掃体前後方向に沿って連続状に延在する複数の接合線の集合体として構成されている。
【0047】
上記構成の保持シート114及び表面シート118はいずれも、図8に示すように、その左右方向の両端側にジクザグ状にカットされた短冊片(短冊部分)114a及び118aを複数備える構成であるのが好ましい。この場合、保持シート114及び表面シート118は、短冊シートとも称呼される。このような構成の短冊片114a,118aは、ごみを引っ掛けて捕捉し易く、また凹部に入り込んだごみを描き出し易い、清掃機能の高い構造として特に効果的である。なお、短冊片114a,118aの形状に関しては、ジクザグ状、直線状、曲線状などのうちの単一種類或いは複数種類の形状を適宜用いることができる。本実施の形態では、これら短冊片114a及び118aは、いずれも分割清掃部124の長尺方向(保持体142の延在方向と交差する方向)に延在する構成とされる。
【0048】
次に、上記基材シート113、保持シート114及び表面シート118を形成する不織布の構成、及び繊維集合体117を形成する繊維集合体の構成につき詳細に説明する。
【0049】
(不織布の構成)
基材シート113、保持シート114及び表面シート118に関しては、いずれも典型的には熱溶融性繊維(熱可塑性繊維)からなるシート状の不織布を使用することができる。従って、これら基材シート113及び保持シート114は、「不織布シート」とも称呼される。この不織布は、機械的、化学的、熱的などの処理によって繊維を固着したり絡み合わせたりして作られるシート状の構成物であって、熱可塑性繊維を一部に含み溶着することができる。熱可塑性繊維(熱溶融繊維)としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等を使用することができる。
【0050】
また、この不織布は、実用的な強度を備える10〜100g/mの熱可塑性繊維によって構成されるのが好ましい。この不織布としては、エアースルー法、スパンボンド法、サーマルボンド法、スパンレース法、ポイントボンド法、メルトブローン法、ステッチボンド法、ケミカルボンド法、ニードルパンチ法等により製造されたものを適宜使用することができる。なお、清掃時の掃き出し機能を向上させるためには、剛性の高い不織布を用いるのが好ましい。また、不織布に代えて或いは加えて、ウレタン、スポンジ、織布、ネット、ワリフなどの素材を短冊状に加工したものを用いることもできる。
【0051】
(繊維集合体の構成)
一方、繊維集合体117は、繊維による単一の繊維構造体や、繊維が長さ方向および/または径方向にそろった繊維構造体(撚糸、紡績糸、複数の長繊維が部分的に接続された糸材など)、ないし当該繊維構造体の集合体とされ、熱可塑性繊維を一部に含み融着(「溶着」ともいう)が可能な繊維集合体として構成される。この繊維集合体117を形成する繊維とは、糸、織物などの構成単位であり、太さに比して十分な長さを持つ、細くてたわみやすい形態のものとして規定され、典型的には長い連続状の繊維が長繊維(フィラメント)とされ、短い繊維が短繊維(ステープル)とされる。この繊維集合体117の繊維は、保持シート114及び表面シート118の短冊片114a及び118aと同様に、保持体142の延在方向と交差する方向に長尺状に延在する構成とされる。
【0052】
なお、本実施の形態では、三つの繊維集合体117が積層状に重ねられる場合について記載しているが、この繊維層の数は必要に応じて1または複数とすることができる。この繊維集合体117は、所定の平面や曲面による面構造を有するとともに、ある程度の厚みを有する立体形状として、或いは薄肉シート形状として構成されるのが好ましい。ここでいう「繊維集合体」は、典型的にはポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロン、レーヨンなどを材質とし、実用上はトウを開繊することによって得られる長繊維(フィラメント)の集合体がこの繊維集合体として多用される。特には、芯部分がポリプロピレン(PP)或いはポリエチレンテレフタレート(PET)であり、この芯部分の外面を覆う鞘部分がポリエチレン(PE)の複合繊維を用いて繊維集合体が構成されるのが好ましい。この繊維集合体を形成する長繊維は、その繊度が0.5〜66dtexとされるのが好ましい。また、各繊維集合体は概ね同様の繊度の繊維から構成されてもよいし、或いは各繊維集合体が異なる繊度の繊維を含む構成であってもよい。また、熱可塑性樹脂を含む繊維を用いる場合、少なくとも2種類以上の異なった融点の樹脂(例えば融点差が20℃以上の樹脂)を使用するのが好ましい。
【0053】
また、清掃時の掃き出し機能を向上させるためには、剛性の高い繊維、すなわち繊度が高い繊維を含む繊維集合体を用いるのが好ましい。また、繊維集合体は、捲縮繊維を有する構成されるのが好ましい。この場合、1インチあたりのクリンプ数が5〜30の倦縮繊維を用いるのが好ましい。ここでいう捲縮繊維は、所定の巻き縮み処理が付与された繊維として構成され、繊維同士が絡み易い構造とされる。このような捲縮繊維を用いると、繊維集合体が清掃体ホルダ装着前の状態よりも嵩高となり、更に捲縮部分にごみを取り込み易い構造とされる。本構造は、特にトウ繊維から形成された捲縮繊維を用いることによって実現され得る。また、ゴミ、塵、埃などを確実に吸着するべく、着塵油剤を含有する繊維を用いるのが好ましい。
【0054】
なお、繊維集合体として、フィルムをテープ状にスリットし、縦方向へ延伸させたフラットヤーンや、スプリットヤーンと称呼される熱可塑性フィルム樹脂を樹脂の配向方向と直交する方向にかきわけて、繊維状となったフィルムが網目状に接合されているものを使用してもよい。或いは、繊維集合体として、エアースルー不織布などの嵩高で繊維密度の低い不織布を使用してもよい。
【0055】
(他の実施の形態)
なお、本発明は上記の実施の形態のみに限定されるものではなく、種々の応用や変形が考えられる。例えば、上記実施の形態を応用した次の各形態を実施することもできる。
【0056】
上記実施の形態では、2つの保持体142,142は挿入空間144を隔てて互いに平行に延在する場合について記載したが、本発明では当該保持体が平行に延在しないような変更例を採用することもできる。この変更例については図12が参照される。図12中の2つの保持体242,242では、一方の保持体242の長軸A1と、他方の保持体242の長軸A2が交差するように構成されており、2つの保持体242,242間の距離が自由端部142bに向かうにつれて縮小されている。このような構成によれば、前述の2つの保持体142,142を用いる場合と同様の作用効果を奏する上に、各保持体142を挿入孔115の開口部115aに挿入し易くなる。
【0057】
また上記実施の形態では、一方の保持体142が右回転方向に捩じられつつ延在し、他方の保持体142が左回転方向に捩じられつつ延在する場合について記載したが、本発明では、各保持体の捩じれ形状は、異なる方向に捩じられた形状が組み合わせられていても。また、2つの保持体142,142がいずれも右回転方向或いは左回転方向に捩じられつつ延在する構成を採用することもできる。
【0058】
また上記実施の形態では、各保持体142が固定端部142aから自由端部142bに向けて延在する過程で、当該保持体142の複数の延在面の法線ベクトルが長尺方向に沿って連続的に変化している場合について記載したが、本発明では、当該保持体142の複数の延在面の法線ベクトルが長尺方向に沿って断続的或いは段階的に変化する構成を採用することもできる。この場合、当該保持体142の延在面には、平面、曲面、段差面等が包含される。
【0059】
上記実施の形態では、上縁部147及び下縁部148をともに平板状の保持体142自体(縁部142c)によって形成する場合について記載したが、本発明では、上縁部147や下縁部148に相当する部位を、保持体の平板部分に設けられた別の部材によって形成することもできる。
【0060】
また本発明においては、清掃体110や清掃体ホルダ130の構成要素の種類や数等に関しては、上記の例に限定されるものではなく、必要に応じて種々選択が可能である。例えば、清掃体ホルダ130の構成に関し、2つの保持体142,142に加えて、更なる保持体を設けることもできる。
【0061】
また上記実施の形態では、2つの保持体142,142有する清掃体ホルダ130と、これら保持体に対応する2つの分割清掃部124,124を有する清掃体110について記載したが、本発明では、保持体142及び分割清掃部124の数は2つ以外でもよく、1または3以上の範囲で適宜設定することが可能である。
【0062】
また上記実施の形態では、清掃体110をシート状の不織布と繊維集合体を用いて構成する場合について記載したが、本発明では、シート状の不織布と繊維集合体のいずれか一方によって清掃体が構成されてもよい。
【0063】
また上記実施の形態の清掃体110では、各清掃体シート部116に表面シート118を含む場合について記載したが、清掃体110の設計仕様変更等の必要に応じては、表面シート118を省略することも可能である。
【0064】
上記実施の形態や種々の変更例の記載に基づいた場合、本発明では、以下の各態様を採用することができる。
【0065】
(態様1)
「清掃対象の清掃に用いられる清掃体を保持する長尺状の清掃体ホルダであって、
使用者の手指で把持される把持部と、前記清掃体を保持するべく前記把持部から並行して所定の長尺方向にそれぞれ延在する2つの保持体と、
を含み、
前記2つの保持体がいずれも平板状の長尺部材として構成され、前記平板状の長尺部材は、前記把持部側の固定端部と、前記長尺方向に関し前記固定端部とは反対側の自由端部と、前記固定端部と前記自由端部との間に設けられ、互いに法線ベクトルの異なる複数の延在面が前記長尺方向に沿って連接された延在部と、を備えることを特徴とする清掃体ホルダ」という態様(態様1)を採り得る。
【0066】
(態様2)
「態様1に記載の清掃体ホルダであって、
前記延在部は、前記固定端部と前記自由端部との間で前記長尺部材の長軸まわりに所定の捩じれ形状を形成しつつ前記長尺方向に延在することによって、前記複数の延在面を形成するように構成されていることを特徴とする清掃体ホルダ」という態様(態様2)を採り得る。
【0067】
(態様3)
「態様2に記載の清掃体ホルダであって、
一方の前記平板状の長尺部材は、前記延在部として前記長軸まわりに右回転方向に捩じられつつ前記長尺方向に延在する右回転方向捩じれ部を有し、且つ他方の前記平板状の長尺部材は、前記延在部として前記長軸まわりに左回転方向に捩じられつつ前記長尺方向に延在する左回転方向捩じれ部を有することを特徴とする清掃体ホルダ」という態様(態様3)を採り得る。
【0068】
(態様4)
「態様1から3のうちのいずれかに記載の清掃体ホルダであって、
2つの前記平板状の長尺部材はそれぞれ、当該2つの長尺部材の並置面と交差する方向に関する上縁部及び下縁部を有し、一方の前記平板状の長尺部材の前記上縁部と、他方の前記平板状の長尺部材の前記上縁部との間の距離が、前記固定端部から前記自由端部に向かうにつれて徐々に拡張された拡張部と、一方の前記平板状の長尺部材の前記下縁部と、他方の前記平板状の長尺部材の前記下縁部との間の距離が、前記固定端部から前記自由端部に向かうにつれて徐々に縮小された縮小部と、が形成されるように構成されていることを特徴とする清掃体ホルダ」という態様(態様4)を採り得る。
【0069】
(態様5)
「態様4に記載の清掃体ホルダであって、
2つの前記平板状の長尺部材はそれぞれ、略長方形の断面形状を有し、当該断面形状の一方の短辺に相当する縁部によって前記上縁部を形成し、当該断面形状の他方の短辺に相当する縁部によって前記下縁部を形成するように構成されていることを特徴とする清掃体ホルダ」という態様(態様5)を採り得る。
【0070】
(態様6)
「態様1〜5のうちのいずれかに記載の清掃体ホルダと、前記清掃体ホルダによって保持され清掃対象の清掃に用いられる清掃体と、を含む清掃用具であって、
前記清掃体は、長尺状の複数の分割清掃部に分割されるとともに、前記保持体を挿入するべく各分割清掃部に設けられた被挿入領域と、隣接する2つの分割清掃部間に設けられ前記清掃対象を挿入可能な空間部と、を備えることを特徴とする清掃用具」という態様(態様6)を採り得る。
【符号の説明】
【0071】
11…第1延在面
12…第2延在面
13…第3延在面
14…第4延在面
15…第5延在面
16…第6延在面
17…第7延在面
100…清掃用具
110…清掃体
112…保持シート部
113…基材シート
114…保持シート
114a…短冊片
115…挿入孔
115a…開口部
116…清掃体シート部
117…繊維集合体
118…表面シート
118a…短冊片
120,121…溶着接合部
124…分割清掃部
125…空間部
130…清掃体ホルダ
140…ホルダ本体
142…保持体
142a…固定端部
142b…自由端部
142c…縁部
143…突片
144…挿入空間
145…外側面
146…基端側領域
147…上縁部
148…下縁部
150…ハンドル部
151…ハンドル本体
152…接続部
A1,A2…長軸
D1…第1の方向
D2…第2の方向
D3…第3の方向
P1〜P7…平面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
清掃対象の清掃に用いられる清掃体を保持する長尺状の清掃体ホルダであって、
使用者の手指で把持される把持部と、前記清掃体を保持するべく前記把持部から並行して所定の長尺方向にそれぞれ延在する2つの保持体と、
を含み、
前記2つの保持体がいずれも平板状の長尺部材として構成され、前記平板状の長尺部材は、前記把持部側の固定端部と、前記長尺方向に関し前記固定端部とは反対側の自由端部と、前記固定端部と前記自由端部との間に設けられ、互いに法線ベクトルの異なる複数の延在面が前記長尺方向に沿って連接された延在部と、を備えることを特徴とする清掃体ホルダ。
【請求項2】
請求項1に記載の清掃体ホルダであって、
前記延在部は、前記固定端部と前記自由端部との間で前記長尺部材の長軸まわりに所定の捩じれ形状を形成しつつ前記長尺方向に延在することによって、前記複数の延在面を形成するように構成されていることを特徴とする清掃体ホルダ。
【請求項3】
請求項2に記載の清掃体ホルダであって、
一方の前記平板状の長尺部材は、前記延在部として前記長軸まわりに右回転方向に捩じられつつ前記長尺方向に延在する右回転方向捩じれ部を有し、且つ他方の前記平板状の長尺部材は、前記延在部として前記長軸まわりに左回転方向に捩じられつつ前記長尺方向に延在する左回転方向捩じれ部を有することを特徴とする清掃体ホルダ。
【請求項4】
請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の清掃体ホルダであって、
2つの前記平板状の長尺部材はそれぞれ、当該2つの長尺部材の並置面と交差する方向に関する上縁部及び下縁部を有し、一方の前記平板状の長尺部材の前記上縁部と、他方の前記平板状の長尺部材の前記上縁部との間の距離が、前記固定端部から前記自由端部に向かうにつれて徐々に拡張された拡張部と、一方の前記平板状の長尺部材の前記下縁部と、他方の前記平板状の長尺部材の前記下縁部との間の距離が、前記固定端部から前記自由端部に向かうにつれて徐々に縮小された縮小部と、が形成されるように構成されていることを特徴とする清掃体ホルダ。
【請求項5】
請求項4に記載の清掃体ホルダであって、
2つの前記平板状の長尺部材はそれぞれ、略長方形の断面形状を有し、当該断面形状の一方の短辺に相当する縁部によって前記上縁部を形成し、当該断面形状の他方の短辺に相当する縁部によって前記下縁部を形成するように構成されていることを特徴とする清掃体ホルダ。
【請求項6】
請求項1〜5のうちのいずれか一項に記載の清掃体ホルダと、前記清掃体ホルダによって保持され清掃対象の清掃に用いられる清掃体と、を含む清掃用具であって、
前記清掃体は、長尺状の複数の分割清掃部に分割されるとともに、前記保持体を挿入するべく各分割清掃部に設けられた被挿入領域と、隣接する2つの分割清掃部間に設けられ前記清掃対象を挿入可能な空間部と、を備えることを特徴とする清掃用具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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